【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、側壁等にあって横長となるよう配設した収納ボックス内に、ベッドを横向きの状態で回転可能なるよう枢支しておき、当該ベッドを必要に応じて手前側への回転により開成することで、ベッドとして使用し得るようにした横形収納ベッドの改良に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、横形収納ベッドとしては、収納ボックスの扉をベッドフレームの裏側に一体に固設しておき、収納ボックスに対してベッドフレームを回転自在に枢支し、当該ベッドの閉成時(収納時)および開成時(取出し時)ベッドの回転を軽く操作させるため、収納ボックスとベッドフレーム間に引張りばねを張設し、これにより当該ベッドに反力を付与するようにしたものが知られている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の横形収納ベッドは、扉とベッドフレームとが一体に固定したものであるため、嵩張り、重くなることから、 当該ベッドフレームを収納ボックスに枢着するためには、少なくとも二人以上の作業員が必要となるだけでなく、当該ベッドの組立て作業性が悪いものとなっている。 【0004】また、上述従来のベッドは、ベッドフレームの回転運動に際して生ずる変位量を利用して、引張りばねに反力が蓄勢される構成であるため、ベッドを回転起立させていき、所定の角度を過ぎると、当該ベッドが急激に閉成作動されることによる衝撃によって、円滑な閉成動作が行われなかったり、当該ベッドの構成部材間に無理な力が加わり故障の原因となっている。 【0005】さらに、ベッドを手前側へ回転していき、 所定の開成角度を過ぎると、これまた当該ベッドが急激に開成作動されることによって、床面等に脚部が激しく突き当たり、危険であるだけでなく、脚部や構成部材相互の枢着部等が衝撃によって破損し易くなる。 【0006】本発明は、上記した従来技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたもので、請求項1では、 扉だけを収納ボックスの左右両側内面下部に枢支し、該扉と別体のベッドフレームを扉に載置して両者を、その前部で枢着すると共に、同上側壁内面下部にローラーを軸支し、これにベッドフレーム裏面の左右両側後端部を上下方向へスライドしながら回転可能なるよう載置し、 かつ、当該ベッドフレームを収納ボックスとの間に引張りばねを張設しておく。 【0007】上記の如き構成とすることで、収納ボックスに対して扉だけを単独で枢着し、これに別体であるベッドフレームを載置した後、両者を前部で互いに枢着すれば組立て得るようにし、かくして、当該ベッドの組立作業を一人だけで容易に、かつ作業性良く行なうことができ、これにより生産性を向上しようとするのが、その目的である。 【0008】請求項2にあっては、前記請求項1の構成に加えて、ベッドフレーム裏面の後端下部に、急閉防止用のストッパを回転可能に軸支し、このストッパとベッドフレームとの間に引張りばねを張設して、当該ストッパにベッドフレーム後端から離間する方向への回転力を付勢させておき、これによりベッド閉成時において上記ストッパが床面に当接した際、当該ストッパが引張りばねの張力に抗して回転され、これにより、当該ベッドの閉成作動がゆるやかに行なわれるようにして、ベッド閉成時の衝撃を緩和しようとしている。 【0009】請求項3では、請求項1の構成に加えて、 ベッドフレーム裏面の左右両側後端部にあって、収納ボックスの左右両側壁内面に設けたローラーと当接して摺動自在な突起部を設けることで、ベッドの開成作動が緩やかに行なわれるようにしている。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するため、ベッド本体を横向きに回転起立して収納可能とした収納ボックスにあって、その左右両側壁内面の前方下部には、回転により開閉可能なるよう扉の後端部を枢着すると共に、同上側壁内面下部にあって、前記扉の枢着部よりも後方上部には、ベッド本体の開成および閉成時において、ベッド本体の閉成方向へばね力を付勢させてあるベッドフレームが上方および下方へスライドしながら回転可能なるよう当該ベッドフレームの裏面における左右両側後部が載置されるローラーを軸支し、前記扉内面の左右両側前部とベッドフレーム裏面の左右両側前部とを枢着してなることを特徴とする横形収納ベッドを提供するものである。 【0011】次に、請求項2にあっては、請求項1の構成に加えて、ベッドフレーム裏面の後端下部には、ベッド本体の閉成時において床面において床面に当接することにより、ベッドフレームの後端方向へ回転可能なるよう急閉防止止用のストッパを枢設し、当該ストッパには、引張りばねにより前記回転方向とは逆方向の回転力を付勢させてなることを、その内容としている。 【0012】さらに請求項3にあっては、請求項1の構成にベッドフレーム裏面の左右両側後端部には、ベッド本体の閉成作動時において、ベッド本体の開成速度が減速可能なるよう前記ローラーに押当する突起部が突設されている構成が付加されている。 【0013】 【作用】請求項1の形成収納ベッドによれば、ベッドフレームは扉と一体に、その後端部の枢支点を中心に回転できるので、ベッド本体における横幅方向の前端部を上方へ引き上げることで、回転起立させることができるが、この時、ベッドフレーム裏面の左右両側後端部が収納ボックスに軸支のローラーにより下方へスライドしながら回転起立されることとなり、当該ベッド本体は横向き起立状態で収納ボックス内に収納されると同時に扉は閉成され、収納ボックスの前面開口部が閉扉されることになる。 また、ベッド本体の回転起立する方向へ引張りばねの張力が作用するので、当該ベッド本体の回転起立を軽い操作で行うことができる。 【0014】収納状態にあるベッド本体の前端部を手前側へ引き下げると、ローラーによりベッドフレームが上方向へスライドしながら前方へ回転し、扉前面に突設の脚が床面に当接し、当該ベッド本体は水平な使用状態に保持される。 また、ヘッドフレームの当該前方への回転により、引張りばねは伸張され、これによりベッド収納時に必要な反力が蓄勢される。 【0015】請求項2の横形収納ベッドにあっては、前記の通りベッド本体を回転起立させた際、床面にストッパが突き当って、引張りばねの張力に抗して回転されることになるから、当該ベッド本体の回転起立作動がゆっくり行なわれ、閉成時(収納時)の衝撃が緩和される。 【0016】請求項3の場合には、請求項1につき前記した通り収納状態にあるベッド本体を手前側に引き下げると、ローラーによりベッドフレームが上方向へスライドしながら前方へ回転し、所定角度まで回転されると、 上記ローラーに、ベッドフレーム裏面の後端部に突設の突起部が押当し、さらに、ローラー上に乗り上げられることとなり、この際における抵抗力にて、当該ベッド本体時の摩擦力で当該ベッドの開成(取出し)作動が、ゆっくりと行なわれることになる。 【0017】 【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。 図1ないし図3に示す通り、収納ボックス1は、後述するようにして枢支されるベッド本体2が、 横向きにて回転起立した状態で収納できるだけの高さと奥行きをもって形成されている。 収納ボックス1の左右両側壁1a、1aにおける内面には、その手前側下部にあって、ローラー3、3が、図示しないビスにて当該側壁1a、1aに固定した板状の反力取付座4、4に、支軸5にて各々軸支されている。 【0018】ベッド本体2は、枠組みにより形成されたベッドフレーム6にマットレス7を載置したもので、当該ベッドフレーム6は、上記収納ボックス1の前面板となる扉8とは別個に形成されている。 上記ベッドフレーム6は、収納ボックス1に枢着するのではなく、その裏面の左右両側後端部6a、6aが、当該ベッド本体2の開成(取出し)および閉成(収納)時において、夫々上方および下方へ移動しながら回転可能となるように、収納ボックス1の左右両側壁1a、1aに軸支されたローラー3、3に載置されている。 【0019】扉8は、枠状とした扉フレーム9と、これに対してベッド本体2を収納状態としたとき、その前面となる側に板状の扉材10を固定することにより形成されており、該扉8は、その扉フレーム9の左右両側後端部9aを、収納ボックス1の左右両側壁にあって、上記ローラー3、3の軸支部よりも下側前方部位に、ヒンジ11にて枢着することで、回転により開成および閉成可能なるよう枢着されている。 また、扉8は、その表面の前部に脚12が突設され、これが床面13に押当して、 当該ベッド本体2が図1および図2に実線で示した如く、水平な使用状態に保持される。 【0020】上述の如く、収納ボックス1に扉8を枢着した後、図1および図2に実線で示したように開成して水平状態となし、前記のベッドフレーム6を、これに載置し、該ベッドフレーム6の裏面における左右両側前部と、扉フレーム9の内面における左右両側前部とにあって、対応して垂設した夫々の連結金具14、15を互いに支軸16にて枢着することにより、当該扉8とベッドフレーム6とが組立てられる。 【0021】従って、上述構成により、扉8の前端部を持って引き上げ、または手前に引き上げることで、当該扉8は、その後端の枢着点aを中心として回転し、この際ベッドフレーム6の裏面における左右両側後端部9a が、収納ボックス1のローラー3、3上を回転させながら下方または上方へスライドし、従って扉8は当該ベッド本体2は図1および図2に二点鎖線で示した横向きに起立した収納状態に閉成されると共に、同図の実線で示した横向きの水平な使用状態に開成されることとなる。 【0022】さらに、上記収納ボックス1に軸支の各ローラー3、3における支軸5、5と、上記ベッドフレーム6の裏面における左右両側部とに夫々固設したばね掛け17、17、18、18間には、端部を掛止して引張りばね19、19が張設されている。 すなわち、ベッドフレーム6の回転運動によって生ずる変位量を利用して、上記引張りばね19、19に反力が蓄勢されるように当該引張りばね19、19は張設されているのであり、これにより、当該ベッド本体2は軽い力で回転起立による閉動が可能となる。 【0023】また、上記ベッドフレーム6の裏面における長手方向中間部の後端には、図1ないし図4に示したように、側面略くの字状とした急閉防止用のストッパ2 0が、その屈曲部を、ベッドフレーム6の裏面から垂下突設したブラケット21に、ピン22により枢着して、 その一端部20aは当該ベッド本体2の後端部よりも後方部位に、他端部20bはベッドフレーム6の裏側に各々位置した状態で、上下方向へ回転可能なるよう枢設されている。 【0024】上記ストッパ20の他端部20bと、ベッドフレーム6の裏面における長手方向中間部に設けたばね掛け23とには、各端部を掛止して引張りばね24が張設され、該引張りばね24の張力によりストッパ20 は、図2に示す矢印b方向への回転力を受け、これにより、当該ベッド本体2の水平な使用状態において、図2 に実線で示した如く、ベッドフレーム6の後端部6aから後方へ上向き傾斜状に突出した状態にて保持される。 【0025】従って、図2に実線で示した如く開成されて、水平な使用状態にある当該ベッド本体2が引き上げられ、図4の矢印c方向へ回転起立されていき、同図中破線で示した位置まで回転されると、ストッパ20の一端部20aの先端が床面13に突き当り、さらに当該ベッド本体2が矢印c方向へ回転されて、同図中実線で示したように閉成され、横向きに回転起立される過程で、 当該ストッパ20は引張りばね24を伸長しながら、図4に示した通り矢印d方向へ回転することとなり、これにより、当該ベッド本体2は引張りばね24の弾力にて、ゆるやかに回転しながら閉成され、同図実線の起立状態に収納されることとなるから衝撃は緩和される。 【0026】さらに、上記ベッドフレーム6の裏面における左右両側後端にあって、突起部25が図3および図5の如く、当該ベッド本体2が取出し使用位置に開成される際、前記の収納ボックス1に軸支されているローラー3、3と押当するように、ベッドフレーム6の長さ方向に沿設されている。 【0027】従って、当該ベッド本体2が、図5に破線で示したように、横向きの起立状態にて閉成されている収納状態から、これを手前側に引き下げればベッドフレーム6の裏面における左右両側後端部6aが、ローラー3周面を上方へスライドしながら回転していき、当該ベッド本体2が所定の角度まで開成された時点で、上記の突起部25が、図5に二点破線で示した如くローラー3 に突き当たることとなって当該ベッド本体2の開成速度が減速されることとなり、さらに、上記突起部25が当該ローラー3上に乗り上がることで、当該ベッド本体2 は、図5に実線で示したように開成され、水平な使用状態となり、その状態に保持される。 【0028】すなわち、当該ベッド本体2の開成過程において、突起部25がローラー3に当接した後、さらに該ローラー3上に乗り上がることで、ベッドフレーム6 に制動力が作用し、これによって、当該ベッド本体2の開成作動がゆるやかに行なわれる。 【0029】上述のベッド使用状態から、当該ベッド本体2を引き上げ回転させると、突起部25は下方へ転動してローラー3から離れると同時に、ベッドフレーム6 の裏面がローラー3に当接し、下方へ移動しながら回転起立されることとなる。 【0030】 【発明の効果】本発明は以上のように構成されているので、請求項1によるときは、扉だけを収納ボックスに枢着し、該扉と別個に形成してあるベッドフレームを上記扉の内面に載置して両者を、それらの前部において連枢すればよいので、上記ベッドフレームおよび扉の取り扱い操作を各別に行ない得るので、従来、複数の作業員が必要であったものが、一人の作業員だけで簡便に組立て得ることとなり、この種のベッドの生産性向上を図ることができる。 【0031】請求項2にあっては、当該ベッドの回転起立時において、ベッドフレームの裏面後端部に枢設のストッパが床面に突き当たると、該ストッパとベッドフレーム間に張設の引張りばねによる張力に抗してストッパが回転され、ベッド本体の回転起立時における衝撃が緩和され、当該ベッド本体および扉の回転起立による閉成作動を緩徐に行なうことができる。 【0032】しかも、ベッド本体の回転起立時において、その後端部が床面に突き当たることを防止し得るので、故障も生じ難い。 【0033】請求項3によるときは、当該ベッドの開閉途中において、ベッドフレームの裏面後端部に突設した突起部が、収納ボックスに軸支のローラーと押当することにより、開成作動時における速度が減速されるので、 当該ベッドの開成作動途中において、手をはなしても、 衝撃がなくゆるやかに床面に接地することとなって安全性を確保できる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に係る横形収納ベッドの一実施例を示す開成状態の要部横断側面図である。 【図2】同上実施例の開成状態における他の要部を示す横断側面図である。 【図3】同上実施例の開成状態を示した全体平面図である。 【図4】同上実施例における急閉防止用ストッパ部分を示した拡大横断側面図である。 【図5】同上実施例における開成作動減速機構部分を示した拡大横断側面図である。 【符号の説明】 1 収納ボックス 1a 側壁 2 ベッド本体 3 ローラー 6 ベッドフレーム 8 扉 20 ストッパ 24 引張りばね 25 突起部 |