【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、種々の用途に使用できる多目的クッションに関する。 【0002】 【従来の技術】従来のクッションとしては、座蒲団、枕又は背当て等の種々のものがある。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のクッションは専ら一つの用途に特化したものであり、例えば、 従来の座蒲団を枕として使用しても使い勝手があまり良いものではない。 一方、一般家庭においては、居間で寛いで横になったときに、枕を居間に常置してあると便利であるが、急な来客があった場合には体裁が悪い。 【0004】また、その他の種々の用途に一つのクッションで対応できれば日常生活上極め便利である。 そこで、本発明は、種々の用途に使用できる多目的クッションを提供することを目的とし、特に、座蒲団として使用できる展開状態からワンタッチで枕として安定的に使用できる鞍状へと姿勢変更し得るようにすることを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明では、次の技術的手段を講じた。 すなわち、 本発明の多目的クッションは、略方形状の布帛切れを上下に重合わせ、これら布帛切れを互いに縫着することにより前後方向に長尺の袋状部を左右方向に5つ並設し、 これら袋状部の内部に粒状の充填材を多数充填することにより保形性柱状部を形成するとともに、中央側の3つの袋状部の前後両側にこれら袋状部を合わせた左右方向幅にわたる補助袋状部を設けて該補助袋状部に粒状の充填材を充填し、左右両外側の柱状部の上下方向幅は、中央側の3つの柱状部の上下方向幅よりも大きくされ、左右両外側の柱状部は、左右中央の柱状部を持ち上げることにより自重によって中央側の3つの柱状部の下方に折り畳まれるように構成されていることを特徴としている。 【0006】このクッションにおいて、左右両外側の柱状部の左右方向幅を、前後方向中央から前後方向両端に向かって漸次大きくすることができる。 また、左右中央の袋状部を除く他の袋状部と、補助袋状部とを、それらの内部の充填材が通過可能な連通口部を介して互いに連通させることができる。 また、充填材をプラスチックパイプとすることができる。 【0007】また、本発明の多目的クッションは、前後方向に長尺の中央部の左右両側に、中央部を持ち上げたときに自重により中央部の下方に折り畳まれる前後方向に長尺の柱状部が設けられ、かかる折り畳まれた柱状部によって中央部を所定高さで保持するための脚部が構成されるようになっていることを特徴としている。 このクッションにおいて、中央部は、前後方向に長尺の保形性柱状部を備えているものとすることができる。 【0008】 【作用】本発明のクッション1は、展開状態、即ち左右両外側の柱状部23を折り畳まない状態では、図3にも例示するように平面視略方形状となるので、座蒲団として、或いは椅子の背凭れに設置する背当て(図4参照) 等として使用するのに適している。 座蒲団として使用するときには、中央部2(中央側の3つの柱状部21,2 2)が左右両外側の柱状部23よりも低くなるので、肛門を圧迫することが防止され、痔を患っている人には最適である。 また、図4に例示するように背当てとして使用するときには、左右両外側の柱状部23によって背中を後方から抱き抱えるようになり、背中を安定的に支持する。 【0009】また、前後方向に長尺の5つの保形性柱状部21,22,23が、上下の布帛切れ4の縫着部分7,8を介して互いに左右方向に接続されるようになるので、クッション1は前後方向には折れ曲がり難く、左右方向には極めて折れ曲がり易くなる。 したがって、中央の柱状部21を片手で摘み上げれば、左右両外側の柱状部23が、その自重によって中央部2(中央側の3つの柱状部21,22)の下方に自然に折り畳まれて、該左右両外側の柱状部23が、中央側の3つの柱状部2 1,22を所定高さで保持するための脚部となり、クッション1はワンタッチで図1に例示するように鞍状となる。 かかる状態では、枕として使用したり、又は、図5 に例示するいうに正座するときに跨がる椅子として使用する場合等に適している。 さらに、本発明では、中央の柱状部21と左右両外側の柱状部23との間に中間の柱状部22を配しているので、クッション1を鞍状としたときに、左右両外側の柱状部23を、その左右外縁部2 3a同士が近接する程度に折り畳むことができ、鞍状クッション1に荷重をかけても容易には型崩れしないようになる。 【0010】袋状部11,12,13の内部に多数の粒状のプラスチックパイプを充填することにより柱状部2 1,22,23を構成すれば、プラスチックパイプの異方性(軸方向には圧縮しないが径方向には容易に圧縮する性質)と、そのパイプ形状に起因して袋状部11,1 2,13内部で流動し難いという性質とによって、鞍状としたクッション1の上部に荷重をかけると、若干変形した後、それ以上は殆ど変形しなくなり、鞍状クッション1が一定形状で安定した状態となる。 したがって、枕や椅子として使用するには最適である。 【0011】さらに、左右両外側の柱状部23の左右方向幅が前後方向中央から前後方向両端に向かって漸次大きくなされているので、該柱状部23を脚部としてクッション1を鞍状としたときに、該鞍状クッション1の中央部が両端部よりも若干低くなり、枕や椅子としての機能向上が図られ、一層使い勝手が良くなる。 また、袋状部12,13と補助袋状部14とを連通しているので、 これら袋状部12,13,14の内部の充填材を適宜移動させることができ、各柱状部22,23の固さを調節できる。 したがって、クッション1を展開状態で使用したり鞍状で使用したりする場合に、各柱状部22,23 の固さを、それぞれの使用状態に合うように容易に調節できるとともに、使用者の好みに応じても自由に調節できる。 【0012】 【実施例】以下、本発明の実施例を、図面に基づいて説明する。 図1〜図6は本発明の一実施例に係る多目的クッション1を示している。 このクッション1は、図2及び図3に示す展開状態では平面視略正方形状であって、 前後方向に長尺の中央部2と、該中央部2の左右両側に設けられた前後方向に長尺の柱状部23とを備えており、中央部2と柱状部23とは、中央部2を持ち上げたときに柱状部23がその自重によって中央部2の下方に折り畳み可能に接続されており、この折り畳状態ではクッション1は図1に示す鞍状となる。 中央部2は、その左右方向幅が前後方向中央から前後方向両端に向かって漸次小さくなるように構成されており、これに対応して、柱状部23は、その左右方向幅が前後方向中央から前後方向両端に向かって漸次大きくなるこうに構成されている。 かかる構成により、クッション1を鞍状としたときに中央部分が両端よりも若干低くなり、枕や椅子として鞍状クッション1を使用する場合の機能性が向上される。 【0013】中央部2は、前後方向に長尺の保形性の第1柱状部21と、該第1柱状部21の左右両側に折れ曲がり自在に接続された前後方向に長尺の第2柱状部22 とを備えるとともに、これら柱状部21,22を合わせた左右方向幅にわたる補強部24が、柱状部21,22 の前後両側に設けられて成る。 したがって、中央部2 は、前後方向への折れ曲がりは柱状部21,22によってある程度防止されるとともに、左右方向の変形は許容しつつも補強部24によって全体の剛性をある程度高めている。 【0014】中央部2を構成する第1柱状部21と第2 柱状部22の左右方向幅は略等しくされている。 また、 第1柱状部21、第2柱状部22及び補強部24の上下方向幅は略均一になされており、かかる中央部2の上下方向幅に比して、中央部2の左右両側の柱状部23(第3柱状部)の上下方向幅の方が大きくなされており、本実施例では略2倍となされている。 【0015】本実施例をより具体的に説明すると、クッション1は、平面視略正方形状の2枚の布帛切れ4を上下に重ね合わせて、これら布帛切れ4の左右中央部を平面視長方形状に互いに縫着することにより前後方向に長尺の第1袋状部11が設けられている。 なお、この縫着部分7が、第1柱状部21と第2柱状部22、及び、第1柱状部21と補強部24の接続部となり、この縫着部分7では上下の布帛切れ4は互いに密着状とされている。 また、布帛切れ4としては、綿、麻、合成繊維等の種々のものを採用できる。 【0016】また、第1袋状部11の左右側方においても上下の布帛切れ4が互いに縫着され、これにより第1 袋状部11の左右側方に前後方向に長尺の第2袋状部1 2及び第3袋状部13がそれぞれ設けられている。 なお、この縫着部分8が、第2柱状部22と第3柱状部2 3の接続部となる。 即ち、クッション1全体では、前後方向に長尺の袋状部11,12,13が左右方向に5つ並設されている。 【0017】そして、第1袋状部11の内部に粒状のプラスチックパイプ(充填材)が充填されて前記第1柱状部21が形成され、第2袋状部12の内部に粒状のプラスチックパイプが充填されて前記第2柱状部22が形成され、第3袋状部13の内部に粒状のプラスチックパイプが充填されて第3柱状部23が形成されている。 これら柱状部21,22,23は、内部に充填された充填材(プラスチックパイプ)が前後方向への折れ曲がりに対して抵抗となるものであり、この意味で各柱状部21, 22,23は保形性を有するものである。 【0018】また、中央側の3つの袋状部、即ち、第1 袋状部11と左右の第2袋状部12を合わせた左右方向幅にわたる補助袋状部14がこれら袋状部11,12の前後両側に設けられ、この補助袋状部14の内部に粒状のプラスチックパイプが充填されて前記補強部24が構成されている。 また、第2袋状部12と補助袋状部1 4、及び、第3袋状部13と補助袋状部14は、それらの内部に充填されたプラスチックパイプが通過可能な連通口部6を介して互いに連通されている。 したがって、 使用者の好みに応じて各袋状部12,13,14の内部に充填されるプラスチックパイプの量を適宜調節することができ、各柱状部22,23,24及び補強部24の固さを調節することができる。 【0019】なお、布帛切れ4の外周縁部には、全周にわたってバイアステープ5が縫着されている。 本実施例によれば、クッション1を、図3に示す展開状態と、図1に示す鞍状とに自在に姿勢変更でき、日常生活における種々の用途に使用できる。 例えば、居間で寛いでいるときに、通常は展開状態のクッション1を座蒲団として使用し、横になるときにはクッション1を鞍状にして枕として使用することができる。 また、急な来客があってもすぐにクッション1を展開状態にできるので、客に対する体裁が悪くなることがない。 【0020】また、展開状態のクッション1を座蒲団として使用する場合、中央側の3つの柱状部21,22よりも左右両外側の柱状部23が低くなるので、肛門を圧迫することが防止され、痔の治療促進をすることができる。 また、柱状部21,22,23は、袋状部11,1 2,13の内部に粒状のプラスチックパイプを多数充填することにより構成しているので、ある程度の固さが確保され、かかるクッション1の上に人が座ってもある程度の高さが確保されるので、その人の足の疲れを防止できる。 特に、図6に示すように左右一方の第3柱状部2 3のみを上方に折り畳んで、この柱状部23の上に座るようにすれば、座った人の腰をより高い位置にすることができ、胡座をかいて長時間座っていてもあまり疲れることがなく、足を患っている人には最適である。 【0021】また、展開状態のクッション1を床に置き、このクッション1が背中に当たるようにして仰向けに寝て、背骨伸ばしをすることができ、この場合、柱状部23がある程度の固さを有しているので、整体効果を奏することができる。 また、展開状態のクッション1を図4に示すように背当てとして使用したり、また、自動車の運転席の背当てクッションとして使用することもでき、この場合は、左右の第3柱状部23によって背中を包み込むようになるので、背中を安定的に保持でき、長時間のドライブでも疲れることが防止される。 【0022】さらに、クッション1を鞍状とすれば、枕としての使い勝手が良いのみならず、図5に示すように、正座用の椅子としても非常に使い勝手がよい。 また、クッション1を鞍状とした状態では、左右両外側に位置する第3柱状部23の左右外側縁23aが互いに近接されて、該第3柱状部23は第2柱状部22との接続部分8の方が外側縁23aよりも左右外方かつ上方に位置するようになるので、該クッション1の上部に荷重がかかると、第3柱状部23には、左右の第3柱状部23 同士を押し付ける方向の力が作用するため、鞍状クッション1が型崩れすることは殆どなく、安定した状態で使用することができる。 【0023】本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、適宜設計変更することができる。 たとえば、充填材としては、ポリプロピレンパイプの他、ソバガラ等を採用することもできる。 【0024】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の多目的クッションでは、座蒲団等としての使い勝手の良い展開状態と、枕や正座用椅子としての使い勝手の良い鞍状とに自在に姿勢変更することができ、かかる姿勢変更をワンタッチで、即ち、クッションの中央部を片手で持ち上げることにより左右両外側の柱状部を自然に中央部の下方に折り畳むことができ、さらに、鞍状としたときの型崩れを防止して安定性の向上を図ることができ、また、使用者の好みに応じて左右両外側の柱状部の固さを調節できる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の実施例に係るクッションを鞍状としたときの斜視図である。 【図2】同クッションの展開状態の平面図である。 【図3】同斜視図である。 【図4】同クッションの背当てとしての使用状態を示す斜視図である。 【図5】同クッションの正座用椅子としての使用状態を示す斜視図である。 【図6】同クッションの他の使用状態を示す斜視図である。 【符号の説明】 1 多目的クッション 2 中央部 4 布帛切れ 6 連通口部 11 第1袋状部(左右中央の袋状部) 12 第2袋状部 13 第3袋状部(左右両外側の袋状部) 14 補助袋状部 21 第1柱状部(左右中央の柱状部) 22 第2柱状部 23 第3柱状部(左右両外側の柱状部) 24 補強部 |