【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、紙葉類保持具に係り、特にページ数の多い楽譜をピアノ等の譜面台に載せて使用する場合に、所望のページを分厚く挾持しても確実に楽譜を開いたままに維持できるようにした、極めて実用的でページ保持能力に優れ、かつ軽量で安価な紙葉類保持具に関する。 【0002】 【従来の技術】書籍や楽譜等は、手で持って開いている間はよいが、手を離せばたいてい自然に閉じてしまう。 従って手を用いずに楽譜等を開いた状態に保持するためには、なんらかの保持具が必要であり、従来より所望のページを開いた状態に維持するための保持具が、種々提案されている。 【0003】例えば特開平9−20091には、弾力を有する板状部材からなる書籍ひらき保持具が開示されている。 しかし、該書籍ひらき保持具は、書籍を単に開いて保持することはできても、書籍自体を所定の場所に固定することはできないものであった。 【0004】また特開平11−277935には、現在読んでいるページに常に自動的に差し込まれるようにすることで、読書を中断して本を閉じても、再び読書を再開したときに、即座に中断時のページを開くことができるようにした、自動しおりが開示されている。 しかし、 該自動しおりは、しおりとして用いるためのものであり、所望のページを開いたままに保持することはできないものであった。 【0005】特開平10−44644には、楽譜等の紙葉類を挾持し、ピアノ等の譜面台に固定するためのクリップが開示されている。 該クリップは、譜面台に固定するための吸盤と、線ばねからなる紙葉類の挾持部を備えているが、吸盤により譜面台に固定するようになっているため、取付け位置の調整が煩雑であり、また挾持部の長さが短いために保持能力が低く、多数のページを重ねた状態で挾持しようとすると、挾持部から紙葉類が外れてしまうという不便さがあった。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した従来技術の欠点を除くためになされたものであって、その目的とするところは、長手方向と直角方向に弾性的に開閉する開閉体を長手方向の全長にわたって一体的に形成し、該開閉体が相手の取付け箇所を弾性的に挾持することで該取付け箇所に固定されるように構成し、弾性的に変形して紙葉類を挾持し保持する保持部を開閉体の全長にわたって一体的に形成することによって、例えば楽譜を相手の取付け箇所である譜面台に固定し、かつ該楽譜の所望のページを開いたままに保持できるようにすると共に、そのまま沢山のページをめくりながら例えばピアノを演奏しつつ楽譜をかなり分厚く保持できるようにすることであり、またこれによってピアノ演奏を容易にすることである。 【0007】また他の目的は、上記構成に加えて、保持部の長手方向に一対の平行なリブを突出形成することによって、紙葉類を挾持する際の挾持力を強めてより確実に紙葉類を沢山挾持できるようにすることである。 【0008】更に他の目的は、上記構成において、開閉体を断面円弧形状に形成し、該開閉体との間に長手方向に長い溝が形成され、該溝に紙葉類が保持可能となるように開閉体の円周方向位置と反対方向の1箇所に一端から全長にわたって片持ちはり状の保持部を一体的に形成することによって、主として通常のアップライトピアノの譜面台に対する取付け位置の調整を容易にすると共に、所望のページを分厚く挾持しても確実に楽譜を開いたままに維持できるようにすることである。 【0009】また他の目的は、上記構成において、開閉体の円周方向位置と直角方向の1箇所に片持ちはり状の保持部を一体的に形成することによって、譜面台及びその周辺の形状が異なるグランドピアノ及び特殊なアップライトピアノのいずれの譜面台にも使用できる紙葉類保持具を提供することである。 【0010】更に他の目的は、アップライトピアノの蓋に取り付けて使用することにより、不意に該蓋が閉まったときでも、手指が挾まれない程度の空間が確保されるようにして、奏者の怪我を防止できるようにすることである。 【課題を解決するための手段】要するに本発明(請求項1)は、長手方向と直角方向に弾性的に開閉する開閉体が長手方向の全長にわたって一体的に形成され該開閉体が相手の取付け箇所を弾性的に挾持することで該取付け箇所に固定されるように構成され、弾性的に変形して紙葉類を挾持し保持する保持部が前記開閉体の全長にわたって一体的に形成されてなることを特徴とするものである。 【0011】また本発明(請求項2)は、長手方向と直角方向に弾性的に開閉する開閉体が長手方向の全長にわたって一体的に形成され該開閉体が相手の取付け箇所を弾性的に挾持することで該取付け箇所に固定されるように構成され、弾性的に変形して紙葉類を挾持し保持する保持部が前記開閉体の全長にわたって一体的に形成されてなり、該保持部の幅方向の両側かつ前記開閉体側に一対の平行なリブを突出形成したことを特徴とするものである。 【0012】また本発明(請求項3)は、長手方向と直角方向に弾性的に開閉する断面円弧形状の開閉体が長手方向の全長にわたって一体的に形成され該開閉体が相手の取付け箇所を弾性的に挾持することで該取付け箇所に固定されるように構成され、前記開閉体との間に長手方向に長い溝が形成され該溝に紙葉類が保持可能となるように前記開閉体の円周方向位置と反対方向の1箇所に一端から全長にわたって片持ちはり状の保持部が一体的に形成されてなることを特徴とするものである。 【0013】また本発明(請求項4)は、長手方向と直角方向に弾性的に開閉する断面円弧形状の開閉体が長手方向の全長にわたって一体的に形成され該開閉体が相手の取付け箇所を弾性的に挾持することで該取付け箇所に固定されるように構成され、前記開閉体の円周方向位置と直角方向の1箇所に前記開閉体との間に長手方向に長い溝が形成され該溝に紙葉類が保持可能となるように前記開閉体の一端から全長にわたって片持ちはり状の保持部が一体的に形成されてなることを特徴とするものである。 【0014】 【発明の実施の形態】以下本発明を図面に示す実施例に基いて説明する。 本発明の第1実施例に係る紙葉類保持具1は、図1から図3、図8及び図9において、開閉体2に保持部3が一体的に形成されたものであって、例えばポリプロピレン等の合成樹脂を一体成形して製作されている。 【0015】開閉体2は、長手方向と直角方向に弾性的に開閉する断面円弧形状のものであって、長手方向の全長にわたって一体的に形成され、該開閉体2が相手の取付け箇所の一例たる鍵盤カバー4の縁部4aを弾性的に挾持することで該縁部4aに固定されるように構成されている。 【0016】開閉体2は、一対が一体的に形成されており、夫々が弾性的に開閉するようになっている。 開閉体2のうち実際に縁部4aに当接してこれを挾持する部分には、幅広のつば部2aが長手方向の全長にわたって一体的に形成されている。 これは縁部4aに対して広い面積で当接するようにすることで、該縁部4aが傷つくことを防止するためである。 【0017】保持部3は、開閉体2の円周方向位置の反対方向の1箇所に開閉体2との間に長手方向に長い溝5 が形成され、該溝5に紙葉類の一例たる楽譜6が保持可能となるように開閉体2の一端2bから全長にわたって片持ちはり状に一体的に形成したものであって、平板状に形成され、幅方向の両側かつ開閉体2側には、一対の平行なリブ3aが突出形成されている。 【0018】本実施例においては、保持部3はつば部2 aから、例えば円周方向位置が180°異なる位置に形成されており、図9に示すアップライトピアノ8のように、鍵盤カバー4の縁部4aの向きに対して、楽譜6の面方向が約90°の場合に用いるのに適した形状となっている。 【0019】保持部3の終端部3bには、幅方向の全長にわたって突起3cが形成され、かつ該突起3cは、図2に示すように、開閉体2の他端2cよりも長手方向に突出している。 これは楽譜6を溝5に差し込む際に、手指(図示せず)で保持部3を溝5が広がる方向に弾性変形させ易くするためである。 【0020】次に、本発明の第2実施例に係る紙葉類保持具21は、図4から図6及び図10において、開閉体22に保持部3が一体的に形成されたものであって、例えばポリプロピレン等の合成樹脂を一体成形して製作してもよく、保持部3を開閉体22に接着して製作してもよい。 【0021】開閉体22は、長手方向と直角方向に弾性的に開閉する、一部が平面形状となる断面円弧形状のものであって、開閉体22の円周方向位置と直角方向の1 箇所に長手方向の全長にわたって一体的に形成され、該開閉体22が相手の取付け箇所の一例たる譜面台24を弾性的に挾持することで該譜面台24に固定されるように構成されている。 【0022】開閉体22のうち実際に譜面台24に当接してこれを挾持する部分には、第1実施例と同様に、幅広のつば部22aが長手方向の全長にわたって一体的に形成されている。 【0023】本実施例においては、保持部3は開閉体2 2のつば部22aから、例えば円周方向90°の位置(直角方向の位置)に形成されており、図10に示すグランドピアノ28のように、譜面台24の縁部24aと楽譜6の面方向とが平行となる場合に用いるのに適した形状となっている。 保持部3の形状については、本発明の第1実施例と同様であるので、同一の部分には図面に同一の符号を付し、その説明を省略する。 【0024】本発明は、上記のように構成されており、 以下その作用について説明する。 まず本発明の第1実施例に係る紙葉類保持具1の作用について説明すると、図7に示すように、最初のみ両手を用いて、保持部3の突起3cに図示しない手指を掛けて持ち上げ、溝5を広げると、楽譜6を該溝5に差し込むことができ、その後は片手の手指のみを用いて次々と楽譜を溝5に差し込みながら、演奏を続けることができる。 そして楽譜6を該溝5に差し込んでから保持部3から手を離すと、保持部3 の弾性により、リブ3aが楽譜6に食い込み、楽譜6が確実に挾持される。 【0025】溝5の長さが長手方向に長いため、分厚い楽譜6を該溝5に差し込んで保持部3により保持した場合でも、楽譜6が該溝5から外れることがないので、従来品よりもずっと沢山の楽譜6を挟持することができる。 【0026】また図8に示すように、開閉体2のつば部2aを広げながら、アップライトピアノ8の鍵盤カバー4の縁部4aに嵌め込むと、開閉体2が弾性的に該縁部4aを挾持するので、これにより紙葉類保持具1が縁部4aに固定される。 紙葉類保持具1の取付け位置の調整は、左右に移動させるだけでよく、しかも容易である。 【0027】このようにして、図9に示すように、紙葉類保持具1を鍵盤カバー4の縁部4aに、例えば2個取り付け、譜面台9に楽譜6を載せて所望のページ6aを開き、左右を夫々保持部3により保持するようにすれば、アップライトピアノ8の鍵盤11をたたいて演奏している最中に楽譜6がめくれてしまうこともなく、演奏に集中することができる。 【0028】また鍵盤カバー4の縁部4aに紙葉類保持具1を取り付けておくと、何らかの原因により不意に鍵盤カバー4が閉じた場合でも、手指が挾まる前に該紙葉類保持具1が鍵盤台10に当たるため、安全である。 【0029】次に本発明の第2実施例に係る紙葉類保持具21の作用について説明する。 図10に示すように、 開閉体22のつば部22aを広げながら、グランドピアノ28の譜面台24に嵌め込むと、開閉体22が弾性的に該譜面台24を挾持するので、これにより紙葉類保持具21が譜面台24に固定される。 紙葉類保持具21の取付け位置の調整は、第1実施例と同様に、左右に移動させるだけでよく、しかも容易である。 【0030】保持部3による楽譜6の保持については、 第1実施例と同様であるので、説明を省略する。 【0031】このようにして、紙葉類保持具21を譜面台24に、例えば2個取り付け、該譜面台24に楽譜6 を載せて所望のページ6aを開き、左右を夫々保持部3 により保持するようにすれば、グランドピアノ28の鍵盤11をたたいて演奏している最中に楽譜6がめくれてしまうこともなく、演奏に集中することができる。 【0032】 【発明の効果】本発明は、上記のように長手方向と直角方向に弾性的に開閉する開閉体を長手方向の全長にわたって一体的に形成し、該開閉体が相手の取付け箇所を弾性的に挾持することで該取付け箇所に固定されるように構成し、弾性的に変形して紙葉類を挾持し保持する保持部を開閉体の全長にわたって一体的に形成したので、例えば楽譜を相手の取付け箇所である譜面台に固定し、かつ該楽譜の所望のページを開いたままに保持できるようになると共に、そのまま沢山のページをめくりながら例えばピアノを演奏しつつ楽譜をかなり分厚く保持できるようにすることができ、またこの結果ピアノ演奏を容易にすることができる効果がある。 【0033】また上記構成に加えて、保持部の長手方向に一対の平行なリブを突出形成したので、紙葉類を挾持する際の挾持力を強めてより確実に紙葉類を沢山挾持できるという効果が得られる。 【0034】更には、上記構成において、開閉体を断面円弧形状に形成し、該開閉体との間に長手方向に長い溝が形成され、該溝に紙葉類が保持可能となるように開閉体の円周方向位置と反対方向の1箇所に一端から全長にわたって片持ちはり状の保持部を一体的に形成したので、主として通常のアップライトピアノの譜面台に対する取付け位置の調整を容易にすることができると共に、 所望のページを分厚く挾持しても確実に楽譜を開いたままに維持できるという効果がある。 【0035】また上記構成において、開閉体の円周方向位置と直角方向の1箇所に片持ちはり状の保持部を一体的に形成したので、譜面台及びその周辺の形状が異なるグランドピアノ及び特殊なアップライトピアノのいずれの譜面台にも使用できる紙葉類保持具を提供することができる効果がある。 【0036】更には、アップライトピアノの蓋に取り付けて使用することにより、不意に該蓋が閉まったときでも、手指が挾まれない程度の空間が確保されるようになるため、奏者の怪我を防止できるという効果が得られる。 【図面の簡単な説明】 【図1】図1から図3、図7から図9は、本発明の第1 実施例に係り、図1は紙葉類保持具の斜視図である。 【図2】紙葉類保持具の長手方向の縦断面図である。 【図3】紙葉類保持具の短手方向の縦断面図である。 【図4】図4から図6及び図10は、本発明の第2実施例に係り、図4は紙葉類保持具の斜視図である。 【図5】紙葉類保持具の長手方向の縦断面図である。 【図6】紙葉類保持具の短手方向の縦断面図である。 【図7】鍵盤カバーの縁部に固定され、保持部により楽譜を挾持した状態を示す、紙葉類保持具の斜視図である。 【図8】鍵盤カバーの縁部に固定され、保持部により楽譜を挾持した状態を示す、紙葉類保持具の縦断面図である。 【図9】アップライトピアノの譜面台に開閉体が固定され、保持部により楽譜を挾持した紙葉類保持具の使用状態を示す斜視図である。 【図10】グランドピアノの譜面台に開閉体が固定され、保持部により楽譜を挾持した紙葉類保持具の使用状態を示す斜視図である。 【符号の説明】 1 紙葉類保持具 2 開閉体 2b 一端 3 保持部 3a リブ 4a 取付け箇所の一例たる鍵盤カバーの縁部 5 溝 6 紙葉類の一例たる楽譜 21 紙葉類保持具 22 開閉体 24 取付け箇所の一例たる譜面台 |