【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は効果的に発光することで装飾効果を高めることができる装飾用の団扇に関するものである。 【0002】 【従来の技術】団扇の中には、これを実用的な使用目的以外の目的で使用する装飾用の団扇、即ち例えば団扇を発光させることで装飾効果を高めたものがある。 【0003】この種の団扇としては、例えば団扇の外周に所定間隔毎に発光ダイオードを取り付けたものや、団扇の表面に蓄光性の塗料を塗ったものなどがあった。 【0004】しかしながら団扇の外周に発光ダイオードを取り付けたものは、団扇の表面自体を光らせることができず、例えば団扇表面にデザインした模様を効果的に光らせることができず、発光素子の部分のみを点状に光らせるのみで、装飾効果が小さい。 【0005】一方蓄光性の塗料を塗った団扇は、その表面全体を光らせることはできるが、暗い場所で所定時間光った後は光らなくなってしまう。 つまり長時間これを光らせておくことができない。 また光そのものの強さが弱く、この点で装飾効果が小さい。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、団扇の表面を効果的に長時間明るく照らし出すことができ、その装飾効果の大きい装飾用の団扇を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するため本発明は、団扇本体から取っ手を引き出してなる団扇において、前記団扇本体を透光性のある材料で形成するとともに、該団扇には団扇本体内に光を導入して発光させる発光素子を取り付けたことを特徴とする。 また前記団扇本体に主発光部を設け、前記発光素子は主発光部の内部に向けて光を放射するように設置されていることを特徴とする。 また前記主発光部の両面の内の少なくとも一方の面は、前記発光素子から発射される光の進行方向に向かってその厚みを薄くするテーパ面とすることで反射部としたことを特徴とする。 また前記団扇本体の主発光部の部分とその周囲の外周部との間に、開口を設けたことを特徴とする。 また前記主発光部の外周に取っ手が接続され、前記発光素子は取っ手の主発光部に接続した部分近傍に取り付けられていることを特徴とする。 また前記主発光部は前記団扇本体の中心部よりも取っ手側に偏った位置に設けられていることを特徴とする。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。 図1は本発明を適用した団扇の1例を示す平面図、図2は図1のA‐A断面拡大図である。 図1に示すように団扇1は、略円板状の団扇本体10の外周から取っ手50を引き出して構成されている。 以下各構成部品について説明する。 【0009】団扇本体10はその全体を透明な合成樹脂(例えばアクリル樹脂)を一体に成形することで構成されており、具体的形状は、内部に略円板状の主発光部1 1を設けると共に、リング状の外周部21と主発光部1 1との間を複数本の連結部26によって連結している。 【0010】主発光部11は一方の面を表示部13、他方の面を反射部23としている。 表示部13は平面状であってその表面に加飾用フイルムからなる加飾部15を貼り付けている。 加飾部15は透明フイルムに必要な部分だけから光が通るように印刷することで抜き文字状に形成したり、または単に図柄を印刷することで構成したりする。 また加飾部15を構成するフイルムを不透光性フイルムとし、抜き文字・抜き模様となる部分のみを切り欠くようにしても良い。 要はその裏面から光を当てることで表面側に効果的に装飾が浮き出るように印刷するものであればどのような印刷形式であっても良い。 なお図では図示の都合上、加飾部15(下記する反射部材2 5も同じ)は実際よりもかなり厚く記載している。 【0011】反射部23はその面全体がテーパ面となっている。 図3(a)はテーパの状態を明確に示すために実際よりもテーパの状態を極端に大きく示したものであるが、図2,図3(a)に示すように、反射部23は、 取っ手50を取り付けた根元部分から先端部分に向かってその厚みを薄くするテーパ面となっている。 即ち表示部13は平ら(光の進行方向に平行)に、反射部23は少しテーパ状(光の進行方向に少し斜め)に形成している。 言い換えれば取っ手50を取り付けた根元部分に設置される発光素子70から発射される光が主発光部11 の先端に進行する方向に向かってその厚みを薄くするテーパ面としている。 そしてこの反射部23には反射用の白い紙からなる反射部材25が貼り付けられている。 なお反射部材25は光を反射するものであれば他の色彩でも良く、材質も樹脂フイルム等の他の材質でも良く、直接反射部23に塗料を塗布したり蒸着したりしても良い。 また反射部材25には抜き文字を設けることでその一部から光が漏れるようにすることで、反射部として使用すると同時に表示部として使用しても良い。 【0012】また主発光部11と外周部21との間は、 複数本の波状に湾曲する連結部26によって連結することで、連結部26の間に多数の開口27を設けている。 【0013】次に取っ手50は筒状であって、その内部に三つのボタン電池51と1つのスライドスイッチ53 と3つの発光素子70とを回路的に結合して収納している。 そしてスライドスイッチ53のスライドボタン55 をスライドすることで、前記発光素子70をオンオフする。 3つの発光素子70は何れも取っ手50の主発光部11に接続した部分近傍に設置され、その向きは、中央のものが取っ手50の軸方向を向き、左右のものがそれぞれ該取っ手50の軸方向に対して主発光部11の面内で左右に傾いて向くように設置されている。 つまり複数の発光素子70の向きを変えることで、主発光部11の各部を均一に発光させるようにしている。 なおこの実施形態では発光素子70として発光ダイオードを使用したが、その他の構造の発光素子を使用しても良い。 また発光素子70の数も必要に応じて変更可能であり、1つ以上であれば良い。 【0014】次にこの団扇1の動作について説明する。 この団扇1は、例えば販売促進用の粗品として利用したり、コンサート会場においてペンライトの代わりに使用したり、盆踊りや夜店の団扇として利用したりする。 即ち暗い場所で、前記スライドボタン55を操作することでスライドスイッチ53をオンすると、三つの発光素子70が点灯し、主発光部11の面内を光が進む。 この光は表示部13の面に対して略平行に進むが、反対の反射部23はテーパ面となっているので、この面において光の多くは反射され、表示部13側に向かう。 従って光の多くの部分は表示部13の面全体から外部に放射され、 加飾部15を効果的に照らし出す。 【0015】光の一部は主発光部11の外周から連結部26を通って外周部21に導入され、これら連結部26 と外周部21も光らせる。 ただしこれらに導入される光はその量が多くないので主発光部11ほどには明るく照らし出せない。 【0016】発光素子70の光量はそれほど大きくないので、団扇本体10全体を平板状に形成し、その表面全体を明るく照らし出そうとすると、発光素子70から近い部分は明るく照らし出せるが、発光素子70から離れた団扇本体10の外周縁近傍部分については暗くなり、 光のムラが大きくなって装飾性を阻害する(団扇本体1 0の外形の小さいものであればそれでも良い)。 そこでこの本実施形態においては、団扇本体10の内の少ない面積の主発光部11のみを明るく照らし出してその部分において行った装飾を効果的に浮き立たせ、その他の部分についてもこれを比較的暗いけれども発光させることで装飾効果をさらに増すように構成したのである。 【0017】なお場合によっては団扇本体10の内の主発光部11の部分のみを透光性材料で構成し、その他の部分については不透光性材料で構成するか、或いは不透光性塗料を塗布することで、主発光部11のみを光らせるようにしてもよい。 【0018】またこの実施形態のように主発光部11を団扇本体10の中心部よりも取っ手50側に偏った位置に設けているのは、発光素子70を取っ手50の部分に設けているので、主発光部11をできるだけ発光素子7 0に近い部分に位置させるためである。 【0019】また上記実施形態において、主発光部11 と外周部21の間を連結部26で連結することで開口2 7を設けたのは、以下の3つの理由による。 即ち1つは風抜きのためである。 この団扇1は装飾用のものなので風を送るためにはそれほど有効にはできていない。 そして団扇本体10はモールド樹脂製なのでそれほど撓むものではなく、これをあおいだときに風圧によって団扇本体10の部分や団扇本体10と取っ手50の間の部分にわれが生じるなどの問題が生じる恐れがある。 そこで風抜き用の開口27を設けたのである。 2つめは開口27 を設けることによって団扇1の重量を軽くするためである。 3つめは開口27を設けることで連結部26を種々の形状としてその装飾性を高めるためである。 【0020】ところで上記実施形態においては主発光部11の一方の面(表示部13)を主として光らせるように構成しているが、反対の反射部23も表示部として光らせるようにしても良い。 即ち図3(b)に示すように表示部13と反射部23の両方をテーパ状に形成し、その両面に加飾兼反射部材15,25を設けている。 両面13,23にはそれぞれ別の面から反射された光が入射し、両面とも均等に照らし出される。 【0021】以上本発明の実施形態を詳細に説明したが本発明は特許請求の範囲及び明細書と図面に開示した技術的思想の範囲内で種々の変形が可能である。 即ち例えば以下のような変形も可能である。 団扇は、団扇本体の外周から取っ手を引き出してなる構造のものであればどのような形状・構造のものであってもよいことは言うまでもない。 【0022】団扇本体は必ずしも透明でなくても良く、要は透光性のある材料で形成するものであればよい。 【0023】発光素子を取り付ける位置は取っ手の部分に限られず、要は団扇本体内に光を導入する位置に取り付けるものであればよい。 【0024】両面を表示部として利用する場合、例えば一方の面を歌手の顔、他方の面に歌手の名前を表示するようにする等、種々の利用方法が考えられる。 【0025】また取っ手50のケースを透明に構成してその内部が透けて見えるようにしても良い。 【0026】また団扇1の内部にタイマを収納しておき、スイッチをオンすることで点灯して所定時間経過後に消灯したり、またはスイッチオンで点滅を繰り返すようにしても良い。 【0027】またスピーカを内蔵することで光と共に音を発生するようにしても良い。 【0028】また図4に示すように、主発光部11の内部に発光素子70から発射された光を反射する、スリット状に切り欠かれた反射部18,18を設けることで、光の弱くなる部分等に強制的に光を導くように構成してもよい。 【0029】また場合によっては団扇本体10全体を主発光部11として構成してもよい。 【0030】 【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明によれば以下のような優れた効果を有する。 団扇本体を透光性のある材料で形成するとともに、団扇本体内に光を導入して発光させる発光素子を取り付けたので、団扇の表面を効果的に長時間明るく照らし出すことができ、装飾効果の大きい装飾用の団扇を提供できる。 【0031】団扇本体の一部に主発光部を設けた場合は主発光部の部分を効果的に照らし出すことができ、少ない光量で装飾効果を増大できる。 【0032】主発光部の両面の内の少なくとも一方の面をテーパ面からなる反射部としたので、主発光部内に導入した光が反射部において反射されてその反対側の面を効果的に照らし出すことができる。 【0033】主発光部の部分とその周囲の外周部との間に開口を設けたので、風抜きができ、且つ団扇の重量を軽くでき、さらにその装飾性を高めることができる。 【0034】主発光部の外周に取っ手を取り付け、発光素子は取っ手の主発光部に接続した部分近傍に取り付けたので、主発光部の外周近傍に容易に発光素子を設置でき、効果的に無駄なく主発光部内に光を導入できる。 特に主発光部を団扇本体の中心部よりも取っ手側に偏った位置に設ければ、取っ手と主発光部の接続が容易になり、好適である。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明を適用した団扇1の1例を示す平面図である。 【図2】図1のA‐A断面拡大図である。 【図3】主発光部11の部分の断面図(図2に相当する部分)であり、図3(a)は図1,図2に示す団扇1を示し、図3(b)は他の実施形態を示している。 【図4】他の実施形態にかかる団扇1を示す平面図である。 【符号の説明】 1 団扇 10 団扇本体 11 主発光部 13 表示部 15 加飾部 21 外周部 23 反射部 25 反射部材 26 連結部 27 開口 50 取っ手 51 ボタン電池 53 スライドスイッチ 70 発光素子 |