【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術】本発明は物を挟む挟持具に関するもので、例えば書類等をまとめ綴じするクリップであったり、また、スキー帽の紛失防止用や携帯電話機のストラップ等に使用して対象物を確実に挟み、且つ保持することのできるプラスチック製挟持具に関するものである。 【0002】 【従来の技術】一般に、従来の挟持具は、例えば、洗濯バサミのように、合成樹脂、金属、木材等で製造された挟持部材を金属製のバネで、挟持方向に付勢しているものが提案されている。 この様な形式の挟持具は、ものを挟む挟持力をバネの付勢力のみに依存している。 また、 別の従来例では、断面略コ字状の板状弾性体を開口部が狭くなる方向に変形させておき、ものを挟む際に広げて使用するものが提案されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の挟持具では、以下のような問題点を有していた。 例えば、洗濯バサミのような挟持具では、ものを挟む挟持力を、バネ自体の付勢力のみに依存している為に、バネの弾性が劣化すると挟む力も低下し、物を確実に挟めず、抜けてしまうと云う欠点が存在した。 また、ここに開示された従来の挟持具では、部品点数が多く製造工程が複雑であった。 更に、挟む物の厚さが変化した場合、確実に挟む事ができず所定の厚さより厚い場合や薄い場合には、挟持具から外れてしまう虞が存在した。 【0004】そこで本願発明の目的は、上記した従来の欠点を改良するべく、挟むものの厚さに応じて、確実に把持する事のできるプラスチック製挟持具を提供することである。 更に、部品点数が少なく故障の少ない汎用プラスチック製挟持具を提供することにある。 また、片手で操作する事ができる汎用プラスチック製挟持具を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決するため、基本的に以下に記載されたような構成を採用するものである。 すなわち本発明に係る挟持具は、第1 のクランプ部材と、該第1のクランプ部材の一部に回動可能に軸支された第2のクランプ部材と、該第2のクランプ部材を開方向に付勢するために第1のクランプ部材と一体的に形成された弾性部材と、該第2のクランプ部材に一体的に形成された係合片部と、前記第1のクランプ部材の一部に回動可能に支承された操作部材とから成り、当該操作部材と係合片部との係合により、前記第1 のクランプ部材と第2のクランプ部材との位置関係を固定しうる様に構成したことを特徴とするものである。 【0006】また、前記弾性部材と第2のクランプ部材とは、該第2のクランプ部材の近傍に形成されたカム部で当接することを特徴とするものである。 更に、該カム部は、第2のクランプ部材の開度が小さくなるにしたがって前記弾性部材を変形させることを特徴とする。 【0007】また、当該係合片部の一部の表面に当該操作部材の可動先端部の係合突起と係合する係合溝が配置されている事を特徴とするものであり、当該係合溝が一個または複数個配置されている事を特徴とするものである。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明の挟持具は、上記した様な従来技術に於ける問題点を解決する為、例えば、第1のクランプ部材と、該第1のクランプ部材の一部に回動可能に軸支された第2のクランプ部材と、該第2のクランプ部材を開方向に付勢するために第1のクランプ部材と一体的に形成された弾性部材と、該第2のクランプ部材に一体的に形成された係合片部と、前記第1のクランプ部材の一部に回動可能に支承された操作部材とから成り、当該操作部材と係合片部との係合により、前記第1 のクランプ部材と第2のクランプ部材との位置関係を固定しうる様に構成したので、種々の厚さの物を挟持固定できる。 【0009】 【実施例】以下に、本発明に係る挟持具の一具体例の構成を図面を参照しながら詳細に説明する。 図1は、本発明に係る挟持具の一実施例を説明する部品の分解斜視図、図2は、本発明に係る挟持具の組み立てた完成品の開いた状態を示す斜視図、図3は、閉じた状態を示す斜視図である。 ここで、挟持具は、第1のクランプ部材1 0と、該第1のクランプ部材10に回動可能に軸支された第2のクランプ部材11と、該第2のクランプ部材1 1を開方向に付勢する弾性部材13と、該第2のクランプ部材11に形成された係合片部14と、前記第1のクランプ部材10に回動可能に支承された操作部材15とから成り、当該操作部材と係合片部との係合により、前記第2のクランプ部材と第2のクランプ部材とを当接状態で固定しうる様に構成されている。 【0010】第1のクランプ部材10は、先端に滑り止め突起16が形成されていると共に、幅方向の両端に第2のクランプ部材11を回動自在に軸支する穴17を有した肩部18が立設されている。 また、肩部18には、 操作部材15を軸支するピン19を挿通する為の穴20 が形成されている。 穴17と穴20とは平行に配置され、穴17の方がやや上方に配置されている。 そして、 この切欠き部21内に例えば操作部材15がピン19によって回動可能に軸支される。 【0011】第1のクランプ部材10には、弾性部材1 3が例えば切欠き部21内に一体的に形成されている。 更に、第1のクランプ部材10の後端部には、紐等を結ぶ為の係止穴22を有した係止穴部22aが形成されている。 この係止穴部22aは、書類等をクリップする場合は、全く欠落していてもよい。 本実施例では、弾性部材13は、第1のクランプ部材10の幅方向に左右一対形成されている。 また、第1のクランプ部材10先端内側の滑り止め突起16は、代わりにゴム等の滑り止め用の部材を配設してもよくまた、別途摩擦係数の高い部材を添付してもよい。 【0012】第2のクランプ部材11は、基端部に回動軸23が形成されると共に、先端部内側に滑り止め突起24が形成されている。 本実施例では、回動軸23は、 第2のクランプ部材11と一体的に構成したが、別体の物質であってもよい。 また、第2のクランプ部材11には、開口部25が幅方向中央に形成されている。 また、 開口部25内には、前記操作部材15と係合する係合片部14が形成されている。 更に、弾性部材13と当接するカム部11aが設けられている。 本実施例では、滑り止め突起24としたが、ゴム等の摩擦係数の大きなシートを張ってもよい。 【0013】また、操作部材15は、第1のクランプ部材10の一部である肩部18に回動可能にピン19で軸支されており、ピン19を中心にして回動する。 更にピン19は、側面から挿通する事により、取り付ける事ができる。 また、操作部材15は、軸支部分を中心にして回動することにより係合片部14と係合、または解除となる。 【0014】操作部材15は、内側に凹部26を有しており、第1のクランプ部材10と第2のクランプ部材1 1の先端が当接した時に操作部材15と第2のクランプ部材11とは、ほぼ近似した形状を示す。 また、操作部材15は外側面の先端に指を掛ける操作片部15aを有すると共に内側に係合溝14aと係合する係合突起15 bを有している。 更に、第1のクランプ部材10,第2 のクランプ部材11及び操作部材15はエンジニアリングプラスチック等から形成されている。 また、操作部材15は、第1のクランプ部材10の一部に回動可能に軸支されており、軸支部分を中心にして回動することにより前記係合片部14と係合、または解除が行われる。 【0015】図4は、第2のクランプ部材11のカム部11aと弾性部材13との関係を示す説明図である。 図4は、第2のクランプ部材11を開いた状態を示し、カム部11aが弾性部材13の上面に軽く当接している。 したがって、第2のクランプ部材11は、軽い付勢力を受けている。 また、カム部11aは、図5に示すように回動軸23を中心として回動方向に向かって径が次第に長くなるように形成されているので、操作部材15を作動させると第2のクランプ部材11が閉じるに従って、 カム部11aが弾性部材13を変形させる。 このため、 第2のクランプ部材11が閉じるに従ってより強い付勢力を受ける事となる。 また、操作部材15の係合解除により、弾性部材の付勢力と第2のクランプ部材のカム効果で第2のクランプ部材は、開くこととなる。 【0016】また、係合片部14の一部表面に当該操作部材15の可動先端部と係合する係合溝14aが配置されており、当該係合溝14aは一個または複数個配置されている。 更に、当該操作部材15の可動先端部に、当該係合溝14aと係合する係合突起15bが設けられている。 また、係合片部14は、当該第2のクランプ部材11に設けられた開口部25内に設けられている。 係合溝14aは、前記係合片部14の長手方向に一個または複数個配設されている。 他の実施例として、係合片部1 4に設けられる係合溝14aの代わりに係合突起を設けてもよい。 この場合、これと係合する操作部材15側には、係合溝が設けられる。 【0017】次に、以上のように構成された本発明の挟持具の具体的動作を図6〜9を使用して説明する。 本発明は、これらに限定されるものではなく、係合溝が1つの場合でもよいことは、前記した通りである。 図6,8 は、挟持具を開いた状態を示す縦断面である。 この状態で挟持具は、最大限の開度を有しており、開口部分に物をはさむ事ができる。 物を挟んだ後、挟持具全体を支えつつ操作部材15の操作片部15aを指先で矢印C方向に押圧してゆく。 【0018】操作片部15aを矢印C方向に押圧してゆくと、係合片部14の係合溝14aと操作部材15の係合突起15bが係合する。 係合溝14aは複数条形成されているので、間隔または、押圧力が任意に調整されることから第1のクランプ部材10、第2のクランプ部材11の開口部分が種々の厚さであってもそれぞれの位置で保持固定する事が出来る。 【0019】図7,9は、挟持具の操作部材15を更に押圧して第1のクランプ部材10、第2のクランプ部材11の開口部分が互いに接触した状態で固定したものである。 図7に示すように第2のクランプ部材11が閉じると、カム部11aが弾性部材13を変位させ、開方向の付勢力が生じる。 また、図9に示すように第2のクランプ部材11の回動中心と操作部材15の回動中心20 が異なると共に係合片部14の先端部は、押圧された方向に撓むので、係合片部14の係合溝14aと操作部材15の係合突起15bが係合する。 この様に、本発明の挟持具は、複数の係合溝14aによって種々の厚さ位置で保持固定する事が出来る。 【0020】この係止穴22に紐等を結ぶ事により挟持具全体を固定する事ができ、帽子止めや洗濯ばさみ、携帯電話のストラップ等の種々の用途に使用する事が出来る。 また、書類等クリップするために用いる場合は、係止穴部22aは、全く不要であるため、係止穴部22a は形成しなくともよい。 【0021】以上の実施例では、係止穴22を円形の例で示したが、角型、長円形等であってもよい。 【0022】尚、本発明は以上の実施例に限ることなく本発明の技術思想に基づいて種々の設計変更が可能である。 【0023】 【発明の効果】本発明の第1の効果は、挟む物の厚さに対応して、確実に把持固定する事が出来る。 理由は、操作部材と係合片部との係合位置を変更する事によって、 挟持部の間隔を変える事ができるからである。 更にプラスチック製であるから、係合片部の弾性変形が期待できるが故に、該間隔が自動的に調整できる。 また、部品点数が挟持部材と操作部材と軸ピンのみで、バネ部材等が必要ないので、製造工程を著しく簡略化する事が出来る。 更に、故障が少なく、安価に提供する事が出来る。 【0024】第2の効果は、片手で持ったまま容易に操作する事が出来、両手を必要としない。 また、大きさは、これに限る事なく自由に変える事ができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】図1は、本発明に係る挟持具の一実施例を説明する部品の分解斜視図である。 【図2】図2は、本発明に係る挟持具の組み立てた完成品の開いた状態を示す斜視図である。 【図3】図3は、同完成品の閉じた状態を示す斜視図である。 【図4】図4は、第2のクランプ部材11のカム部11 aと弾性部材13との関係を示す説明図である。 【図5】図5は、カム部11aと弾性部材13との関係を示す説明図である。 【図6】図6は、同挟持具の開いた状態を示す縦方向断面図である。 【図7】図7は、同挟持具の閉じた状態を示す縦方向断面図である。 【図8】図8は、同挟持具の開いた状態の係合片部と操作部材の関係を示す縦方向断面図である。 【図9】図9は、同挟持具の閉じた状態の係合片部と操作部材の関係を示す縦方向断面図である。 【符号の説明】 10 第1のクランプ部材 11 第2のクランプ部材 11a カム部 13 弾性部材 14 係合片部 14a 係合溝 15 操作部材 15a 操作片部 15b 係合突起 16 滑り止め突起 17 穴 18 肩部 19 ピン 20 穴 21 切欠き部 22 係止穴 22a 係止穴部 23 回動軸 24 滑り止め突起 25 開口部 26 凹部 |