バルクアモルファス合金の締着具

申请号 JP2015501640 申请日 2012-03-23 公开(公告)号 JP6001159B2 公开(公告)日 2016-10-05
申请人 クルーシブル インテレクチュアル プロパティ エルエルシー; CRUCIBLE INTELLECTUAL PROPERTY LLC; アップル インコーポレイテッド; 发明人 プレスト,クリストファー ディー.; プール,ジョセフ シー.; ワニューク,セオドア アンドリュー; ファム,トラン クォック; ステヴィック,ジョセフ ダブリュー.;
摘要
权利要求

第1締着具と第2締着具との間に少なくとも半永久的な結合を形成するために、第1のフックのセットを含む第1締着具を、第2のフックのセット又は第2のループのセットの一方又は両方を含む第2締着具に取り付ける工程を含み、 前記第1のフックのセット、前記第2のフックのセット及び前記第2のループのセットからなるグループの少なくとも1つは、バルク凝固アモルファス合金を含む、結合方法。前記取り付ける工程が、前記バルク凝固アモルファス合金のガラス転移温度(Tg)以上の温度で実施される、請求項1に記載の方法。前記第2締着具は前記第2のフックのセットを含み、及び 前記第1のフックのセット及び第2のフックのセットが、前記バルク凝固アモルファス合金を含む、請求項1に記載の方法。前記取り付ける工程の際に、前記第1のフックのセット、前記第2のフックのセット及び前記第2のループのセットからなるグループの少なくとも1つの局所的な温度が前記バルク凝固アモルファス合金のガラス転移温度(Tg)より上であることを除き、前記第1締着具又は前記第2締着具の温度は、前記バルク凝固アモルファス合金のガラス転移温度(Tg)より下又は前記バルク凝固アモルファス合金のガラス転移温度(Tg)より上である、請求項1に記載の方法。前記第1のフックのセット、前記第2のフックのセット及び前記第2のループのセットからなるグループの少なくとも1つにおける少なくとも一部分を、少なくとも部分的に結晶化させる工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。バルク凝固アモルファス合金から、前記バルク凝固アモルファス合金を含むベースから延びる複数のフックを形成する工程を含む、締着具の製造方法。前記複数のフックを形成する工程が、 前記バルク凝固アモルファス合金を前記バルク凝固アモルファス合金のガラス転移温度(Tg)より上の温度に加熱する工程と、 前記フックを形成するために、前記バルク凝固アモルファス合金がTgより上である間に、前記バルク凝固アモルファス合金及び形成デバイスを互いに接触させて配置する工程と、を含む、請求項6に記載の方法。前記複数のフックを形成する工程が、 前記バルク凝固アモルファス合金のガラス転移温度(Tg)と融解温度(Tm)との間の温度に、前記バルク凝固アモルファス合金を加熱する工程と、 前記フックを形成するために、前記バルク凝固アモルファス合金がTgとTmとの間にある間に、前記バルク凝固アモルファス合金及び形成デバイスを互いに接触させて配置する工程と、を含む、請求項6に記載の方法。前記複数のフックを形成する工程が、 前記バルク凝固アモルファス合金を前記バルク凝固アモルファス合金の融解温度(Tm)以上に加熱する工程と、 前記バルク凝固アモルファス合金を形成デバイスに挿入する工程と、 前記バルク凝固アモルファス合金を前記バルク凝固アモルファス合金のガラス転移温度(Tg)より下の温度に冷却して前記フックを形成する工程とを含む、請求項6に記載の方法。前記形成デバイスが、プレートを通って延びる複数の穴を定義する前記プレートを含む、請求項7に記載の方法。バルク凝固アモルファス合金から、前記バルク凝固アモルファス合金を含むベースから延びる複数のループを形成する工程を含む、締着具の製造方法。前記複数のループを形成する工程が、 前記バルク凝固アモルファス合金を前記バルク凝固アモルファス合金のガラス転移温度(Tg)より上に加熱する工程と、 前記バルク凝固アモルファス合金がTgより上である間に、前記バルク凝固アモルファス合金のストランドを形成する工程及び前記ループを形成するために前記ストランドを曲げる工程とを含む、請求項11に記載の方法。前記複数のループを形成する工程が、 前記バルク凝固アモルファス合金のガラス転移温度(Tg)と融解温度(Tm)との間の温度に、前記バルク凝固アモルファス合金を加熱する工程と、 前記バルク凝固アモルファス合金がTgとTmとの間にある間に、前記バルク凝固アモルファス合金のストランドを形成する工程及び前記ループを形成するために前記ストランドを曲げる工程とを含む、請求項11に記載の方法。前記複数のループを形成する工程が、 前記バルク凝固アモルファス合金を前記バルク凝固アモルファス合金の溶融温度(Tm)以上に加熱する工程と、前記バルク凝固アモルファス合金のストランドを形成する工程と、前記ストランドを曲げる工程と、前記ループを形成するために前記バルク凝固アモルファス合金を前記バルク凝固アモルファス合金のガラス転移温度(Tg)より下の温度に冷却する工程と、を含む、請求項11に記載の方法。前記ストランドを形成する工程の操作が、前記バルク凝固アモルファス合金にピンの配列を挿入する工程と、前記ストランドを形成するために、前記ベースから前記ピンを引き出す工程とを含む、請求項12に記載の方法。バルク凝固アモルファス合金を含むベース部分と、前記ベース部分から延び且つ前記バルク凝固アモルファス合金を含む複数のフックとを含む締着具。前記バルク凝固アモルファス合金が、以下の分子式:(Zr,Ti)a(Ni,Cu,Fe)b(Be,Al,Si,B)cで表わされ、式中、原子百分率で、「a」は30〜75の範囲、「b」は5〜60の範囲、及び「c」は0〜50の範囲である、 請求項16に記載の締着具。前記バルク凝固アモルファス合金が、以下の分子式:(Zr,Ti)a(Ni,Cu)b(Be)cで表わされ、式中、原子百分率で、「a」は40〜75の範囲、「b」は5〜50の範囲、及び「c」は5〜50の範囲である、請求項16に記載の締着具。バルク凝固アモルファス合金を含むベース部分と、前記ベース部分から延び且つ前記バルク凝固アモルファス合金を含む複数のループとを含む締着具。前記バルク凝固アモルファス合金が、分子式:(Zr,Ti)a(Ni,Cu,Fe)b(Be,Al,Si,B)cで表わされ、式中、原子百分率で、「a」は30〜75の範囲、「b」は5〜60の範囲、及び「c」は0〜50の範囲である、請求項19に記載の締着具。前記バルク凝固アモルファス合金が、分子式:(Zr,Ti)a(Ni,Cu)b(Be)cで表わされ、式中、原子百分率で、「a」は40〜75の範囲、「b」は5〜50の範囲、及び「c」は5〜50の範囲である、請求項19に記載の締着具。前記締着具を形成する工程の操作が、 前記バルク凝固アモルファス合金の複数のストランドを形成するために、前記バルク凝固アモルファス合金を前記プレートの前記穴を通して押し出す工程と、 前記プレートをエッチング除去する工程とをさらに含む、請求項10に記載の方法。前記締着具を形成する工程の操作が、 前記プレートをエッチング除去する工程の前に、フック部分を形成するために前記ストランドを曲げる工程をさらに含む、請求項22に記載の方法。

说明书全文

本発明は、締着具、とりわけ永久的又は半永久的係止締着具に関し、少なくとも一部分がバルク凝固アモルファス金属合金からなる締着具に関する。

最もよく知られた半永久的締着具の1つは、商品名Velcro(登録商標)の面ファスナーである。面ファスナーは2つの構成要素からなる。典型的に、2枚の線状布地ストリップ(あるいは、丸いドット又は正方形)が、固定される対向面に取り付けられる(例えば縫い付け、接着など)。第1構成要素は小さなフックを特徴とする。第2構成要素は更に小さい「毛状の」ループを特徴とする。この2つの面が合わせて押し付けられると、フックがループにひっかかり、この2片が一時的に固定又は拘束される。この2つの面を引っ張り又は引き剥がすことにより、分離する際に、Velcroストリップは特徴的な引き裂き音をたてる。最初のVelcroサンプルは木綿製であったが、これは実用的ではないことが証明され、ナイロン及びポリエステルに取って代わった。テフロン製ループ、ポリエステル製フック、及びガラス製支持体からなるVelcro締着具は、例えばスペースシャトルなどの航空宇宙用途に使用されている。

永久的係止締着具は一般に周知であり、従来の金属、例えばアルミニウム、真鍮、銅及び鋼(例えば浸炭焼入れ鋼及びステンレス鋼)で製造される。これらの従来型金属及び合金は、転位形成、すなわち塑性仕事によって変形を行う。これらの従来の金属について、製造プロセスは、主に成形と切断という2つのカテゴリーに分けることができる。成形プロセスは、を印加することにより、材料を、破断しないように塑性的に変形させるものである。そのようなプロセスは、金属を望ましい形状に屈曲させ、又は伸張させることができる。切断プロセスは、材料を破断して分離し、これにより材料を切断又は除去するものである。現在入手可能な締着具は有効ではあるが、永久的又は半永久的締着具、特に電子機器向けの耐タンパー性締着具に対する必要性が継続的に存在する。

タンパーには、製品、パッケージ、又はシステムの意図的な改変又は開封が含まれる。耐タンパー性とは、製品、パッケージ、若しくはシステムの通常のユーザー、又はそれに物理的にアクセスできる他の者によるタンパーに抵抗することである。耐タンパー性を採用するには、数多くの理由がある。耐タンパー性には、特殊なヘッドを備えたねじなどの単純な形状のものから、個々のチップ間のすべてのデータ送信に、それ自体を操作不能にする機能をもたせるか若しくは暗号化する、又は、特殊な工具及び知識を必要とする材料を使用するような、より複雑なデバイスまで、範囲が及ぶ。耐タンパー性デバイス又は機能は、パッケージ又は製品のタンパーを抑止するため、パッケージに一般的に使用される。用途によっては、デバイスは、耐タンパー性ではなく、単に開封明示性である。

特に電子機器について、単純な締着具に、タンパーに対するセキュリティを持たせるのは、無数のタイプの攻撃が可能であることから、非常に困難であるとされてきた。しかしながら依然として、少なくとも物理的なタンパーを防ぐか、又は、その締着具がタンパーされた場合に、その締着具、及び恐らくはその締着具が取り付けられる機器の機能を失わせることが可能な、単純であっても、効果的で永久的又は半永久的締着具に対する必要性がある。

本明細書の実施形態により提案される解決策は、フープを有するフックサイド締着具と、ループを有するループサイド締着具とを合わせて接合させることにより、永久的及び半永久的締着を形成することに関する。フック及び/又はループは、バルク凝固アモルファス合金で製造される。締着の方法には、フックサイド締着具を取得する工程と、ループサイド締着具を取得する工程と、そのフック及びループを合わせて結合させ、永久的又は半永久的結合を形成する工程とが含まれ得る。

例示的なバルク凝固アモルファス合金の、温度粘度図である。

例示的なバルク凝固アモルファス合金に関する、時間−温度−変態(TTT)図の概略図である。

本明細書の実施形態のフックサイド締着具を製造するための方法の概略図である。

本明細書の実施形態のフックサイド締着具を製造するための方法の概略図である。

本明細書の実施形態のフックサイド締着具を製造するための方法の概略を示し、フックはバルブ又はマッシュルーム形状である場合の図である。

本明細書の実施形態のループサイド締着具を製造するための方法の概略図である。

本明細書の実施形態のループサイド締着具を製造するための方法の概略図である。

本明細書の実施形態のループサイド締着具を製造するための方法の概略図である。

本明細書の実施形態のループサイド締着具を製造するための方法の概略図である。

本明細書の実施形態のループサイド締着具を製造するための方法の概略図である。

本明細書の実施形態によるいくつかの締着具及び固定方法の概略図である。

本明細書の実施形態によるいくつかの締着具及び固定方法の概略図である。

本明細書の実施形態によるいくつかの締着具及び固定方法の概略図である。

本明細書に引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。

冠詞「a」及び「an」は、本明細書では、1つ又は2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)の、その冠詞の文法的対象語を指すために使用される。例として、「ポリマー樹脂(a polymer resin)」は、1つのポリマー樹脂又は2つ以上のポリマー樹脂を意味する。本明細書に記載されるいずれの範囲も、包括的である。本明細書の全体を通して使用される用語「実質的に」及び「約」は、小規模な変動を記述及び説明するために使用される。例えば、それらの用語は、±5%以下、例えば±2%以下、例えば±1%以下、例えば±0.5%以下、例えば±0.2%以下、例えば±0.1%以下、例えば±0.05%以下を指すことができる。

バルク凝固アモルファス合金、すなわちバルク金属ガラス(「BMG」)は、最近開発された部類の金属材料である。これらの合金は、比較的穏やかな速度で、凝固及び冷却させることができ、それらはアモルファスの、非晶質(すなわち、ガラス質)状態を室温で保持する。アモルファス合金は、それらの結晶性の対応物よりも、多くの優れた特性を有する。しかしながら、冷却速度が十分に高速ではない場合には、冷却の間に、その合金の内部で結晶が形成される恐れがあり、そのため、アモルファス状態の利益が失われる恐れがある。例えば、バルクアモルファス合金部品の製作に伴う1つの重要な課題は、徐冷又は合金原材料中の不純物のいずれかによる、それらの部品の部分的な結晶化である。BMG部品内では、高い程度のアモルファス化度(また反対に、低い程度の結晶化度)が望ましいため、制御された量のアモルファス化度を有するBMG部品を鋳造するための方法を開発する必要性がある。

図1(米国特許第7,575,040号より入手)は、Liquidmetal Technologyによって製造されたZr−Ti−Ni−Cu−BeファミリーのVIT−001シリーズからの、例示的なバルク凝固アモルファス合金の粘度−温度グラフを示す。アモルファス固体の形成の間、バルク凝固アモルファス金属に関しては、明確な液体/固体変態が存在しないことに留意するべきである。この溶融合金は、ガラス転移温度近傍で固体形態に近づくまで、過冷却の増大と共に、ますます粘稠になる。したがって、バルク凝固アモルファス合金に関する凝固前面の温度は、ガラス転移温度近傍であり得、その温度近傍で、この合金は、急冷アモルファスシート製品を取り出すために、実際に固体として作用する。

図2(米国特許第7,575,040号より入手)は、例示的なバルク凝固アモルファス合金の、時間−温度−変態(TTT)冷却曲線、すなわちTTT図を示す。バルク凝固アモルファス金属は、従来型金属と同様に、冷却時に液体/固体の結晶化変態を起こさない。その代わりに、高温で(「融解温度」Tm近傍で)見出される、流動性の高い非晶質形態の金属は、温度が低下するにつれて(ガラス転移温度Tg近傍まで)より粘稠になり、最終的に従来の固体の外面的な物理的特性を呈する。

バルク凝固アモルファス金属に関しては、液体/結晶化変態は存在しないにも関わらず、対応する結晶相の熱力学的液相温度として、「融解温度」Tmを定義することができる。この体系の下では、バルク凝固アモルファス合金の融解温度での粘度は、約0.1ポアズ〜約10,000ポアズの範囲に、更に場合によっては、0.01ポアズ未満にあることが可能である。この「融解温度」でのより低い粘度は、BMG部品を成形するためのバルク凝固アモルファス金属による、シェル/金型の複雑な部分のより速く完全な充填をもたらし得る。 更には、BMG部品を成形するための溶融金属の冷却速度は、冷却の間の時間−温度プロファイルが、図2のTTT図内の結晶化領域を境界付けるノーズ形状領域を横断しないようなものでなければならない。図2では、Tノーズは、結晶化が最も急速であり、かつ最短の時間スケールで生じる、臨界結晶化温度Txである。

冷却液体領域、すなわちTg〜Txの温度領域は、バルク凝固合金の結晶化に対する極度の安定性を明示するものである。この温度領域内では、バルク凝固合金は、高粘度の液体として存在し得る。この過冷却液体領域内でのバルク凝固合金の粘度は、ガラス転移温度での1012Pa・sから、結晶化温度である過冷却液体領域の高温限界での105Pa・sに至るまでの間で変化し得る。そのような粘度を有する液体は、加圧力の下で、実質的な塑性歪みを経験し得る。本明細書の実施形態は、成形及び分離方法として、この過冷却液体領域内での大きい塑性成形性を利用する。

Txについて明確にする必要がある。技術的には、TTT図に示されるノーズ形状の曲線は、Txを温度及び時間の関数として説明する。それゆえ、金属合金を加熱又は冷却する間に辿る軌跡とは関係なく、このTTT曲線に当る場合に、Txに到達している。図2では、Txは破線として示されるが、これは、Tmの近位からTgの近位まで、Txが変化し得るためである。

図2の概略的なTTT図は、時間−温度の軌跡(例示的軌跡として、(1)として示す)がTTT曲線に当ることがない、Tm以上〜Tg未満のダイカストの加工処理方法を示す。ダイカストの間、この成形は、軌跡がTTT曲線に当ることを回避するために、実質的に急速冷却と同時に行われる。時間−温度の軌跡(例示的軌跡として、(2)、(3)及び(4)として示す)がTTT曲線に当ることがない、Tg以下からTm未満までの超塑性成形(SPF)に関する加工処理方法(熱可塑性成形とも呼ばれる)。SPFでは、アモルファスBMGは、過冷却液体領域内へと再加熱され、利用可能な加工処理ウインドウは、ダイカストよりも遙かに大きく、より良好なプロセスの可制御性をもたらすことが可能である。SPFプロセスは、冷却の間の結晶化を回避するための急速冷却を必要としない。また、例示的軌跡(2)、(3)、及び(4)によって示されるように、SPFの間の最高温度が、Tノーズ超又はTノーズ未満、最大約Tmとなる状態で、SPFを実施することができる。アモルファス合金の断片を昇温させつつ、TTT曲線に当ることを回避させた場合には、「Tg〜Tm」に加熱しても、Txには到達していない。

20℃/分の加熱速度で得られる、バルク凝固アモルファス合金の典型的な示差走査熱量計(DSC)加熱曲線は、大部分は、TTTデータを横切る具体的な軌跡を説明するものであり、特定温度でのTgと、DSC加熱傾斜がTTT結晶化開始と交差する場合のTxと、最終的に、同じ軌跡が融解に関する温度範囲と交差する場合の融解ピークとが認められるであろう。図2の軌跡(2)、(3)、及び(4)の上り傾斜部分によって示されるような急速な加熱速度で、バルク凝固アモルファス合金を加熱する場合には、TTT曲線を完全に回避することが可能であり、DSCデータは、加熱の際、ガラス転移を示すが、Txは示さない。このことについての別の考察方法は、軌跡(2)、(3)、及び(4)は、結晶化曲線に当らない限り、TTT曲線のノーズ(及び更にその上方)〜Tg線の温度内の、いずれの場所にも収まることができる点である。そのことは、加工処理温度が上昇するにつれて、軌跡内の平な平坦部が遙かに短くなり得ることを単に意味する。 相

本明細書での用語「相」は、熱力学状態図内で見出すことができるものを指し得る。相は、その全体にわたって、材料の全ての物理的特性が本質的に均一である、空間の領域(例えば、熱力学系)である。物理的特性の例としては、密度、屈折率、化学組成、及び格子周期性が挙げられる。相の単純な説明は、化学的に均一で、物理的に異なっており、及び/又は機械的に分離可能な材料の領域である。例えば、ガラスジャー内の、氷及び水からなる系では、その氷が1つの相であり、水が第2の相であり、その水の上の湿り空気が第3の相である。ジャーのガラスは、別の分離相である。相は、金属間化合物などの、2成分、3成分、4成分以上の溶体又は化合物とすることができる、固溶体を指すことができる。別の例としては、アモルファス相は、結晶相とは区別ができる。 金属、遷移金属、及び非金属

用語「金属」は、電気陽性の化学元素を指す。本明細書での用語「元素」は、一般的には、周期表に見出すことができる元素を指す。物理的には、基底状態の金属原子は、占有状態に近い、空状態を有する部分的充満帯を含む。用語「遷移金属」とは、不完全な内部電子殻を有し、一連の元素内の、最も電気陽性のものと最も電気陽性ではないものとの間の遷移リンクとして役立つ、周期表の第3族〜第12族の範囲内の金属元素のうちのいずれかである。遷移金属は、複数の原子価、着色化合物、及び安定な錯イオンを形成する能力によって特徴付けられる。用語「非金属」は、電子を失って陽イオンを形成する能力を有さない化学元素を指す。

用途に応じて、任意の好適な非金属元素、又はそれらの組み合わせを使用することができる。合金(又は「合金組成物」)は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ以上の非金属元素などの複数の非金属元素を含み得る。非金属元素は、周期表内の第13族〜第17族内に見出される、いずれかの元素とすることができる。例えば、非金属元素は、F、Cl、Br、I、At、O、S、Se、Te、Po、N、P、As、Sb、Bi、C、Si、Ge、Sn、Pb、及びBのうちの、いずれか1つとすることができる。場合により、非金属元素はまた、第13族〜第17族内の特定の半金属(例えば、B、Si、Ge、As、Sb、Te、及びPo)を指すこともできる。一実施形態では、非金属元素としては、B、Si、C、P、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。したがって、例えば、その合金は、ホウ化物若しくは炭化物、又は双方を含み得る。

遷移金属元素は、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、ラザホージウム、ドブニウム、シーボーギウム、ボーリウム、ハッシウム、マイトネリウム、ウンウンニリウム、ウンウンウニウム、及びウンウンビウムのうちのいずれかとすることができる。一実施形態では、遷移金属元素含有BMGは、Sc、Y、La、Ac、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、及びHgのうちの少なくとも1つを有し得る。用途に応じて、任意の好適な遷移金属元素、又はそれらの組み合わせを使用することができる。合金組成物は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ以上の遷移金属元素など、複数の遷移金属元素を含み得る。

本明細書で説明される、合金又は合金「サンプル」又は「試料」合金は、任意の形状又はサイズを有し得る。例えば、合金は、球形、楕円、ワイヤ状、ロッド状、シート状、フレーク状、又は不規則形状などの形状を有し得る、微粒子の形状を有し得る。この微粒子は、任意のサイズを有し得る。例えば、その微粒子は、約5マイクロメートル〜約80マイクロメートルなど、約10マイクロメートル〜約60マイクロメートルなど、約15マイクロメートル〜約50マイクロメートルなど、約15マイクロメートル〜約45マイクロメートルなど、約20マイクロメートル〜約40マイクロメートルなど、約25マイクロメートル〜約35マイクロメートルなど、約1マイクロメートル〜約100マイクロメートルの平均直径を有し得る。例えば、一実施形態では、微粒子の平均直径は、約25マイクロメートル〜約44マイクロメートルである。一部の実施形態では、ナノメートルの範囲のものなどの、より小さい微粒子、又は100マイクロメートルよりも大きいものなどの、より大型の微粒子を使用することができる。

合金のサンプル又は試料はまた、遙かに大きい寸法のものにすることもできる。例えば、インゴットなどのバルク構造構成要素、電子機器の筺体/ケーシング、又は更にミリメートル、センチメートル、又はメートルの範囲の寸法を有する構造的構成要素の一部分とすることができる。 固溶体

用語「固溶体」は、溶体の固体形態を指す。用語「溶体」は、固体、液体、気体、又はこれらの組み合わせとすることができる、2種以上の物質の混合物を指す。この混合物は、均質又は不均質とすることができる。用語「混合物」とは、互いに組み合わされ、一般的には分離することが可能である、2種以上の物質の組成物である。一般的には、それらの2種以上の物質は、互いに化合されない。 合金

一部の実施形態では、本明細書で説明される合金組成物は、完全に合金化することができる。一実施形態では、「合金」とは、一方の原子が他方の原子に置き換わるか、又は原子間の格子間位置を占有する、2種以上の金属の均質な混合物又は固溶体を指すものであり、例えば、黄銅は、亜鉛及び銅の合金である。合金とは、複合材料とは対照的に、金属マトリックス中の1種以上の化合物などの、金属マトリックス中の1種以上の元素の部分的又は完全な固溶体を指すことができる。本明細書での合金という用語は、単一の固相の微細構造を呈し得る全率固溶合金、及び2つ以上の相を呈し得る部分的溶体の双方を指すことができる。本明細書で説明される合金組成物は、合金を含むもの、又は合金含有複合材料を含むものを指すことができる。

それゆえ、完全に合金化した合金は、固溶体相であれ、化合物相であれ、又は双方であれ、その構成成分の均質な分布を有し得る。本明細書で使用される用語「完全に合金化された」は、許容誤差範囲内の僅かな変異を説明することができる。例えば、その用語は、少なくとも95%の合金化など、少なくとも99%の合金化など、少なくとも99.5%の合金化など、少なくとも99.9%の合金化など、少なくとも90%の合金化を指すことができる。本明細書での百分率は、文脈に応じて、体積百分率又は重量百分率のいずれかを指すことができる。これらの百分率は、合金の部分ではない組成又は相の観点によるものとすることができる不純物によって均衡させることができる。 アモルファスすなわち非晶質固体

「アモルファス」又は「非晶質固体」は、結晶に特徴的な格子周期性を欠く固体である。本明細書で使用するとき、「アモルファス固体」は、ガラス転移を通じて、加熱されると液体状の状態へと軟化及び変態するアモルファス固体である、「ガラス」を含む。一般的には、アモルファス材料は、結晶に特徴的な長距離秩序を欠くが、それらのアモルファス材料は、化学結合の性質による、原子の長さスケールでの何らかの短距離秩序を保有し得る。アモルファス固体と結晶性固体との区別は、X線回折及び透過型電子顕微鏡検査などの構造特性評価技術によって判定される、格子周期性に基づいて行うことができる。

用語「秩序」及び「無秩序」とは、多粒子系内での何らかの対称性又は相関性の有無を指示する。用語「長距離秩序」及び「短距離秩序」は、長さスケールに基づいて、材料内の秩序を区別する。

固体における秩序の最も厳密な形態は格子周期性であり、特定のパターン(単位格子内の原子配列)が何度も繰り返され、空間の並進に普遍の、空間充填を形成する。この格子周期性は、結晶の定義特性である。可能な対称性は、14種のブラベー格子及び230種の空間群に分類されている。

格子周期性は、長距離秩序を示唆するものである。1つの単位格子のみが知られる場合には、その並進対称性によって、任意の距離での、全ての原子配置を正確に予測することが可能である。一般に逆も真であるが、ただし、例えば、完全に確定的な充填を有するが、格子周期性を保有しない準結晶の場合は例外である。

長距離秩序は、同じサンプルの遠隔の部分が、相関する挙動を呈する、物理系を特徴付ける。この長距離秩序は、相関関数、すなわち次のスピン−スピン相関関数として表現することができる。G(x,x’)=〈s(x),s(x’)〉

上記の関数では、sはスピン量子数であり、xは特定の系内の距離関数である。この関数は、x=x’である場合、単位元に等しく、距離|x−x’|が増大するにつれて減少する。典型的には、この関数は、長距離で、指数関数的にゼロまで減衰し、その系は無秩序であると見なされる。しかしながら、この相関関数が大きい|x−x’|で一定値へと減衰する場合には、その系は長距離秩序を保有すると述べることができる。この関数が、距離の累乗でゼロまで減衰する場合には、準長距離秩序と呼ぶことができる。大きい値の|x−x’|を構成するものは、相対的であることに留意されたい。

系は、その挙動を定義する一部のパラメータが、経時的に進展しないランダム変数である(すなわち、それらが急冷又は凍結された)場合、急冷無秩序、例えば、スピングラスを提示すると延べることができる。この急冷無秩序は、ランダム変数自体が進展することが可能な、焼鈍無秩序とは反対である。本明細書の実施形態は、急冷無秩序を含む系を包含する。

本明細書で説明される合金は、結晶性、部分結晶性、アモルファス、又は実質的アモルファスとすることができる。例えば、合金サンプル/試料は、少なくともある程度の結晶化度を含み得るものであり、結晶粒/結晶は、ナノメートル及び/又はマイクロメートルの範囲のサイズを有する。あるいは、合金は、完全にアモルファスであるなどの、実質的アモルファスとすることができる。一実施形態では、合金組成物は、完全に結晶性であるなど、実質的に結晶性であり、少なくとも実質的にアモルファスではない。

一実施形態では、他のアモルファス合金中の1種の結晶又は複数種の結晶の存在は、その合金中の「結晶相」として解釈することができる。合金の結晶化度の程度(又は一部の実施形態では、略して「結晶化度」)とは、その合金中に存在する結晶相の量を指すことができる。その程度とは、例えば、合金中に存在する結晶の分率を指すことができる。この分率は、文脈に応じて、体積分率又は重量分率を指すことができる。アモルファス合金がどの程度「アモルファス」であるかの尺度を、アモルファス化度とすることができる。アモルファス化度は、結晶化度の程度の観点により測定することができる。例えば、一実施形態では、低い程度の結晶化度を有する合金は、高い程度のアモルファス化度を有すると述べることができる。一実施形態では、例えば、60体積%の結晶相を有する合金は、40体積%のアモルファス相を有し得る。 アモルファス合金又はアモルファス金属

「アモルファス合金」とは、50体積%超のアモルファス含有量、好ましくは90体積%超のアモルファス含有量、より好ましくは95体積%超のアモルファス含有量、最も好ましくは99体積%超〜ほぼ100体積%のアモルファス含有量を有する合金である。上述のように、アモルファス化度が高い合金は、結晶化度の程度が同等に低いことに留意されたい。「アモルファス金属」とは、無秩序な原子スケール構造を有するアモルファス金属材料である。結晶性であり、したがって高度に秩序化された原子配置を有する、殆どの金属とは対照的に、アモルファス合金は非晶質である。そのような無秩序構造が、冷却の間に液体状態から直接作り出される材料は、「ガラス」と称される場合がある。したがって、アモルファス金属は、一般に「金属ガラス」又は「ガラス金属」と称される。一実施形態では、バルク金属ガラス(「BMG」)とは、その微細構造が少なくとも部分的にアモルファスである合金を、指すことができる。しかしながら、アモルファス金属を作り出すためには、極度な急速冷却の他にも、物理蒸着、固相反応、イオン照射、メルトスピニング、及び機械的合金化を含めた、幾つかの方法が存在する。アモルファス合金は、それらが調製される方法とは関係なく、単一の部類の材料とすることができる。

アモルファス金属は、様々な急冷法を通じて作り出すことができる。例えば、アモルファス金属は、回転する金属ディスク上に溶融金属をスパッタリングすることによって、作り出すことができる。1秒当り約数百万度の急冷は、結晶が形成するには過度に高速である得るため、その金属は、ガラス状態で「固定」される。また、アモルファス金属/合金は、厚い層のアモルファス構造、例えば、バルク金属ガラスの形成を可能にするための、十分に低速な臨界冷却速度で作り出すこともできる。

用語「バルク金属ガラス」(「BMG」)、バルクアモルファス合金(「BAA」)、及びバルク凝固アモルファス合金は、本明細書で互換的に使用される。それらの用語は、少なくともミリメートルの範囲の最小寸法を有する、アモルファス合金を指す。例えば、その寸法は、少なくとも約1mmなど、少なくとも約2mmなど、少なくとも約4mmなど、少なくとも約5mmなど、少なくとも約6mmなど、少なくとも約8mmなど、少なくとも約10mmなど、少なくとも約12mmなどの、少なくとも約0.5mmとすることができる。幾何学形状に応じて、その寸法は、直径、半径、厚さ、幅、長さなどを指すことができる。BMGはまた、少なくとも約1.0cmなど、少なくとも約2.0cmなど、少なくとも約5.0cmなど、少なくとも約10.0cmなどの、センチメートルの範囲の少なくとも1つの寸法を有する、金属ガラスとすることもできる。一部の実施形態では、BMGは、少なくともメートルの範囲の、少なくとも1つの寸法を有し得る。BMGは、金属ガラスに関連する、上述の形状又は形態のうちの、いずれかを呈することができる。したがって、本明細書で説明されるBMGは、一部の実施形態では、重要な一態様での従来の堆積技術によって作製される薄膜とは異なるものとすることができ、前者のBMGは、後者の薄膜よりも遙かに大きい寸法のものとすることができる。

アモルファス金属は、純金属ではなく、合金とすることができる。この合金は、著しく異なるサイズの原子を含有し得ることにより、溶融状態で、低い自由体積がもたらされる(またそれゆえ、他の金属及び合金よりも、桁違いとなるまでの高い粘度を有する)。この粘度は、原子が、規則格子を形成するために十分に移動することを防ぐ。この材料構造は、冷却の間の低収縮性、及び塑性変形に対する抵抗性をもたらし得る。一部の場合には結晶性材料の弱点である、この結晶粒界の不在は、例えば、磨耗及び腐食に対する、より良好な抵抗性をもたらし得る。一実施形態では、技術的にはガラスであるが、アモルファス金属はまた、酸化物ガラス及びセラミックよりも遙かに強靭であり、脆性ではないものにすることもできる。

アモルファス材料の熱伝導率は、それらの結晶性対応物の熱伝導率よりも低いものにすることができる。より緩徐な冷却の間でも、アモルファス構造の形成を達成するために、3種以上の構成成分で合金を作製して、より高いポテンシャルエネルギー、及びより低い形成の確率を有する、複合結晶単位をもたらすことができる。アモルファス合金の形成は、以下の幾つかの因子:合金の構成成分の組成、構成成分の原子半径(好ましくは、高い充填密度及び低い自由体積を達成するために、12%超の有意差を有する)、並びに結晶核生成を阻止し、溶融金属が過冷却状態に留まる時間を延長する、構成成分の組み合わせの負の混合熱によって決まり得る。しかしながら、アモルファス合金の形成は、多種多様な変数に基づくものであるため、合金組成物がアモルファス合金を形成し得るか否かを事前に判定することは、困難な場合がある。

例えば、ホウ素、ケイ素、リン、及び他のガラス形成剤と、磁性金属(鉄、コバルト、ニッケル)とのアモルファス合金は、低い保磁力及び高い電気抵抗を有する、磁性のものとすることができる。この高い抵抗は、例えば、トランス用磁心として有用な特性である、交番磁界に晒された場合の渦電流による低損失をもたらす。

アモルファス合金は、潜在的に有用な様々な特性を有し得る。具体的には、アモルファス合金は、同様の化学組成の結晶性合金よりも強固である傾向にあり、それらは結晶性合金よりも大きい可逆性(「弾性」)変形に耐え得る。アモルファス金属は、それらの強度を、それらの非晶質構造から直接導き出すものであり、この非晶質構造は、結晶性合金の強度を制限する欠陥(転位などの)を全く有し得ない。例えば、Vitreloy(商標)として知られる、1つの最新のアモルファス金属は、高級チタンのほぼ2倍の引張り強さを有する。一部の実施形態では、室温での金属ガラスは延性ではなく、張力が負荷されると突然破損するが、このことは、差し迫った破壊が明白ではないため、信頼性が重要な用途での、その材料の適用性を制限する。それゆえ、この課題を克服するために、延性の結晶性金属の樹枝状の粒子又は繊維を含有する金属ガラスマトリックスを有する、金属マトリックス複合材料を使用することができる。あるいは、深刻化を引き起こす傾向がある元素(例えば、Ni)が少ないBMGを使用することができる。例えば、Niを含まないBMGを使用することにより、そのBMGの延性を改善することができる。

バルクアモルファス合金の別の有用な特性は、これらが真のガラスであり、換言すれば、加熱により軟化かつ流動し得ることである。これは、ポリマーと同様に射出成形などの容易な加工処理を可能にする。結果として、アモルファス合金は、スポーツ用品、医療用機器、電子部品及び電子装備、並びに薄膜を作製するために使用することができる。アモルファス金属の薄膜は、高速酸素燃料技術を介して、保護コーティングとして堆積させることができる。

材料は、アモルファス相、結晶相、又は双方を有し得る。これらのアモルファス相及び結晶相は、同じ化学組成を有し、微細構造のみが異なる(すなわち、一方はアモルファスであり、他方は結晶質である)ものとすることができる。一実施形態での微細構造は、25×以上の倍率の顕微鏡によって明らかとなるような材料の構造を指す。あるいは、これらの2つの相は、異なる化学組成及び微細構造を有し得る。例えば、組成物は、部分的アモルファス、実質的アモルファス、又は完全アモルファスとすることができる。

上述のように、アモルファス化度の程度(また反対に結晶化度の程度)は、合金中に存在する結晶の分率によって測定することができる。その程度とは、合金中に存在する結晶相の体積分率又は重量分率を指すことができる。部分的アモルファス組成物とは、少なくとも約10体積%など、少なくとも約20体積%など、少なくとも約40体積%など、少なくとも約60体積%など、少なくとも約80体積%など、少なくとも約90体積%などの、少なくともその約5体積%がアモルファス相である組成物を指すことができる。用語「実質的に」及び「約」は、本明細書中の他の場所で定義されている。したがって、少なくとも実質的にアモルファスである組成物とは、少なくとも約95体積%など、少なくとも約98体積%など、少なくとも約99体積%など、少なくとも約99.5体積%など、少なくとも約99.8体積%など、少なくとも約99.9体積%などの、少なくともその約90体積%がアモルファスであるものを指すことができる。一実施形態では、実質的アモルファス組成物は、その中に存在する、何らかの付随的な少量の結晶相を有し得る。

一実施形態では、アモルファス合金組成物は、アモルファス相に関して均質とすることができる。組成が均一である物質は、均質である。このことは、不均質である物質とは対照的である。用語「組成」とは、物質中の化学組成及び/又は微細構造を指す。物質は、その物質の体積を半分に分割して、両半分が実質的に同じ組成を有する場合に均質である。例えば、微粒子懸濁液は、その微粒子懸濁液の体積を半分に分割して、両半分が実質的に同じ体積の粒子を有する場合に均質である。しかしながら、顕微鏡下で個々の粒子を視認することが可能な場合もある。均質な物質の別の例は、空気であり、その空気中の種々の成分は等しく浮遊するが、空気中の粒子、気体、及び液体は、個別に分析することができ、又は空気から分離することもできる。

アモルファス合金に関して均質である組成とは、その微細構造の全体にわたって実質的に均一に分布するアモルファス相を有するものを指すことができる。換言すれば、その組成物は、組成物の全体にわたって実質的に均一に分布するアモルファス合金を巨視的に含む。代替の実施形態では、この組成は、非アモルファス相をその中に有する、アモルファス相を有する複合材料のものとすることができる。この非アモルファス相は、1つの結晶又は複数の結晶とすることができる。それらの結晶は、球形、楕円、ワイヤ状、ロッド状、シート状、フレーク状、又は不規則形状などの、任意の形状の微粒子の形態とすることができる。一実施形態では、結晶は、樹枝状形態を有し得る。例えば、少なくとも部分的にアモルファスの複合組成物は、アモルファス相マトリックス中に分散する樹枝状結晶の形状の結晶相を有し得るものであり、この分散は、均一又は不均一なものとすることができ、アモルファス相と結晶相とは、同じ化学組成又は異なる化学組成を有し得る。別一実施形態では、それらの相は実質的に同じ化学組成を有し得る。別の実施形態では、結晶相は、BMG相よりも延性とすることができる。

本明細書で説明される方法は、任意のタイプのアモルファス合金に適用可能とすることができる。同様に、組成物又は物品の成分として、本明細書で説明されるアモルファス合金は、任意のタイプのものとすることができる。このアモルファス合金は、Zr、Hf、Ti、Cu、Ni、Pt、Pd、Fe、Mg、Au、La、Ag、Al、Mo、Nb、Beの元素、又はこれらの組み合わせを含み得る。すなわち、この合金は、その化学式又は化学組成中に、これらの元素のいずれかの組み合わせを含み得る。それらの元素は、種々の重量百分率又は体積百分率で存在し得る。例えば、鉄「ベース」合金とは、その中に存在する無視することができない重量百分率の鉄を有する、合金を指すことができ、その重量百分率は、例えば、少なくとも約40重量%など、少なくとも約50重量%など、少なくとも約60重量%など、少なくとも約80重量%などの、少なくとも約20重量%などとすることができる。あるいは、一実施形態では、上述の百分率は、重量百分率の代わりに、体積百分率とすることができる。したがって、アモルファス合金は、ジルコニウムベース、チタンベース、白金ベース、パラジウムベース、金ベース、銀ベース、銅ベース、鉄ベース、ニッケルベース、アルミニウムベース、モリブデンベースなどとすることができる。この合金はまた、特定の目的に適合するように、上述の元素のうちのいずれかを含まない場合もある。例えば、一部の実施形態では、この合金、又はこの合金を含む組成物は、ニッケル、アルミニウム、チタン、ベリリウム、又はこれらの組み合わせを実質的に含まないものであり得る。一実施形態では、この合金又は複合材料は、ニッケル、アルミニウム、チタン、ベリリウム、又はこれらの組み合わせを全く含まない。

例えば、このアモルファス合金は、式(Zr,Ti)a(Ni,Cu,Fe)b(Be,Al,Si,B)cを有し得るものであり、式中、a、b、及びcはそれぞれ、重量百分率又は原子百分率を表す。一実施形態では、原子百分率で、aは30〜75の範囲であり、bは5〜60の範囲であり、cは0〜50の範囲である。あるいは、このアモルファス合金は、式(Zr,Ti)a(Ni,Cu)b(Be)cを有し得るものであり、式中、a、b、及びcはそれぞれ、重量百分率又は原子百分率を表す。一実施形態では、原子百分率で、aは40〜75の範囲であり、bは5〜50の範囲であり、cは5〜50の範囲である。この合金はまた、式(Zr,Ti)a(Ni,Cu)b(Be)cを有し得るものでもあり、式中、a、b、及びcはそれぞれ、重量百分率又は原子百分率を表す。一実施形態では、原子百分率で、aは45〜65の範囲であり、bは7.5〜35の範囲であり、cは10〜37.5の範囲である。あるいは、この合金は式(Zr)a(Nb,Ti)b(Ni,Cu)c(Al)dを有し得るものであり、式中、a、b、c、及びdはそれぞれ、重量百分率又は原子百分率を表す。一実施形態では、原子百分率で、aは45〜65の範囲であり、bは0〜10の範囲であり、cは20〜40の範囲であり、dは7.5〜15の範囲である。上述の合金系の例示的一実施形態は、Liquidmetal Technologies(CA,USA)によって製作されるような、Vitreloy−1及びVitreloy−101などの、商品名Vitreloy(商標)の、Zr−−Ti−Ni−Cu−Beベースのアモルファス合金である。種々の系のアモルファス合金の一部の実施例が、表1及び表2に記載される。

その他の例示的な鉄系合金には、例えば米国特許出願公開第2007/0079907号及び同第2008/0118387号に開示されている組成物が挙げられる。これらの組成物には、Fe(Mn,Co,Ni,Cu)(C,Si,B,P,Al)系が含まれ、Fe含有量は60〜75原子パーセント、(Mn,Co,Ni,Cu)の合計は5〜25原子パーセントの範囲内、及び(C,Si,B,P,Al)の合計は8〜20原子パーセントの範囲内であり、例示的な組成はFe48Cr15Mo14Y2C15B6である。また、Fe−Cr−Mo−(Y,Ln)−C−B、Co−Cr−Mo−Ln−C−B、Fe−Mn−Cr−Mo−(Y,Ln)−C−B、(Fe,Cr,Co)−(Mo,Mn)−(C,B)−Y、Fe−(Co,Ni)−(Zr,Nb,Ta)−(Mo,W)−B,Fe−(Al,Ga)−(P,C,B,Si,Ge)、Fe−(Co,Cr,Mo,Ga,Sb)−P−B−C、(Fe,Co)−B−Si−Nb合金、及びFe−(Cr−Mo)−(C,B)−Tmにより記述される合金系が挙げられ、ここにおいてLnはランタニド元素、Tmは遷移金属元素を示す。 更に、このアモルファス合金は、米国特許出願公開第2010/0300148号に記述される例示的組成物Fe80P12.5C5B2.5、Fe80PllC5B2.5Sil.5、Fe74.5Mo5.5P12.5C5B2.5、Fe74.5Mo5.5PllC5B2.5Sil.5、Fe70Mo5Ni5P12.5C5B2.5、Fe70Mo5Ni5PllC5B2.5Sil.5、Fe68Mo5Ni5Cr2P12.5C5B2.5、及びFe68Mo5Ni5Cr2PllC5B2.5Sil.5のうちの1つであり得る。

これらのアモルファス合金はまた、(Fe,Ni,Co)ベース合金などの、鉄合金とすることもできる。かかる組成物の例は、米国特許第6,325,868号、同第5,288,344号、同第5,368,659号、同第5,618,359号、及び同第5,735,975号、InoueらのAppl.Phys.Lett.,Volume 71,p 464(1997)、ShenらのMater.Trans.,JIM,Volume 42,p 2136(2001)、並びに日本特許出願第200126277号(公開番号2001303218(A))で開示されている。1つの例示的な組成物は、Fe72Al5Ga2P11C6B4である。別の実施例は、Fe72Al7Zr10Mo5W2B15である。本明細書でのコーティングに使用することができる、別の鉄ベース合金系が、米国特許出願公開第2010/0084052号で開示されており、そのアモルファス金属は、例えば、括弧内に記される組成の範囲で、マンガン(1〜3原子%)、イットリウム(0.1〜10原子%)、及びケイ素(0.3〜3.1原子%)を含有し、また括弧内に記される組成の指定範囲で以下の元素:クロム(15〜20原子%)、モリブデン(2〜15原子%)タングステン(1〜3原子%)、ホウ素(5〜16原子%)、炭素(3〜16原子%)、及び残部の鉄を含有する。

上述のアモルファス合金系は、Nb、Cr、V、及びCoを含めた添加遷移金属元素などの、添加元素を更に含み得る。これらの添加元素は、約20重量%以下など、約10重量%以下など、約5重量%など、約30重量%以下で存在し得る。一実施形態では、この任意選択の添加元素は、コバルト、マンガン、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、タングステン、イットリウム、チタン、バナジウム、及びハフニウムのうちの少なくとも1つであり、炭化物を形成して、耐摩耗性及び耐食性を更に改善する。更なる任意選択の元素としては、融点を低下させるための、合計で最大約2%の、好ましくは1%未満の、リン、ゲルマニウム、及びヒ素を挙げることができる。他の少量の不純物は、約2%未満、好ましくは0.5%未満とするべきである。

一部の実施形態では、アモルファス合金を有する組成物は少量の不純物を含み得る。不純物元素を意図的に添加することにより、機械的特性(例えば、硬度、強度、破壊機構など)の改善、及び/又は耐食性の改善などの、その組成物の特性を修正することができる。あるいは、それらの不純物は、加工処理及び製造の副生成物として得られるもののような、不可避の付随的な不純物として存在し得る。これらの不純物は、約5重量%など、約2重量%など、約1重量%など、約0.5重量%など、約0.1重量%などの、約10重量%以下とすることができる。一部の実施形態では、これらの百分率は、重量百分率の代わりに、体積百分率とすることができる。一実施形態では、この合金サンプル/組成物は、アモルファス合金から本質的になる(少量の付随的な不純物のみを有する)。別の実施形態では、この組成物はアモルファス合金を含む(観察可能な微量の不純物を全く有さない)。

一実施形態では、最終部品は、バルク凝固アモルファス合金の臨界鋳造厚さを超過するものであった。

本明細書の実施形態では、バルク凝固アモルファス合金が高粘度の液体として存在することができる、過冷却液体領域の存在により、超塑性成形が可能となる。大きい塑性変形を得ることができる。過冷却液体領域内で大きく塑性変形する能力は、成形プロセス及び/又は切断プロセスに使用される。固体とは対照的に、この液体のバルク凝固合金は、局所的に変形し、このことが、切断及び成形のために必要とされるエネルギーを大幅に低下させる。切断及び成形の容易性は、合金、金型、及び切断工具の温度に応じて変化する。温度が高くなるにつれて、粘度が低下し、その結果として、切断及び成形が容易になる。

本明細書の実施形態は、例えば、Tg〜Txで実施される、アモルファス合金を使用する熱可塑性成形プロセスを利用することができる。本明細書では、Tx及びTgは、結晶化の開始の温度、及びガラス転移の開始の温度として、典型的な加熱速度(例えば、20℃/分)での標準的なDSC測定から決定される。

アモルファス合金構成要素は、臨界鋳造厚さを有し得るものであり、最終部品は、その臨界鋳造厚さよりも厚い厚さを有し得る。更には、加熱及び整形操作の時間並びに温度は、アモルファス合金の弾性歪み限界が、1.0%以上、好ましくは1.5%以上であることを実質的に維持し得るように選択される。本明細書の実施形態との関連では、ガラス転移近傍の温度とは、成形温度がガラス転移未満、ガラス転移温度若しくはガラス転位温度近傍、及びガラス転移温度超とすることができることを意味するが、結晶化温度Txより低い温度であることが好ましい。冷却工程は、加熱工程での加熱速度と同様の速度で、好ましくは、加熱工程での加熱速度を超える速度で実施される。冷却工程はまた、好ましくは、形成荷重及び成形荷重が依然として維持されている間にも達成される。 電子機器

本明細書の実施形態は、BMGを使用する電子機器の製作で有用であり得る。本明細書での電子機器とは、当該技術分野において既知の任意の電子機器を指すことができる。例えば、この電子機器は、セル電話及び固定電話などの電話、あるいは、例えばiPhone(商標)を含めたスマートフォン、及び電子eメール送信/受信デバイスなどの、いずれかの通信デバイスとすることができる。この電子機器は、デジタルディスプレイ、TVモニタ、電子ブックリーダ、ポータブルウェブブラウザ(例えば、iPad(商標))、及びコンピュータモニタなどの、ディスプレイの一部とすることができる。この電子機器はまた、ポータブルDVDプレーヤ、従来型DVDプレーヤ、ブルーレイディスクプレーヤ、ビデオゲームコンソール、ポータブル音楽プレーヤ(例えば、iPod(商標))などの音楽プレーヤなどを含めた、娯楽機器とすることもできる。この電子機器はまた、画像、ビデオ、音声のストリーミングを制御することなどの、制御を提供する機器(例えば、Apple TV(商標))の一部とすることもでき、又は電子機器用の遠隔制御装置とすることができる。この電子機器は、コンピュータ、あるいはハードドライブタワーの筺体若しくはケーシング、ラップトップ筺体、ラップトップキーボード、ラップトップトラックパッド、デスクトップキーボード、マウス、及びスピーカなどの、コンピュータ付属品の一部とすることができる。この物品はまた、腕時計又は時計などの機器にも適用することができる。 締着具

締着具とは、2つ以上の物体を合わせて機械的に接合又は付着させるハードウェア装置である。締着具は更に、袋、箱、エンクロージャ、又は封筒などの容器を閉じるためにも使用され得る。あるいは、締着具は、柔軟材料の開口部の面を合わせて保持すること、蓋を容器又はノートブックコンピュータなどに取り付けることなどを含み得る。締着具は一時的なものであってよく、このときこれらは締着と解放を繰り返し行うことができ、又は永久的なものであってよく、このときこれらは締着具を破壊することなしには除去できない。

本明細書の実施形態の締着具は、永久的締着具に限定される。ロープ、糸、ワイヤ(例えば金属製ワイヤ、恐らくはプラスチックでコーティングされたもの、又は複数の平行ワイヤがプラスチックのストリップコーティングによって束ねられたもの)、ケーブル、チェーン、又はプラスチックラップなどの物品を使用して、対象物を機械的に接合させることができる。しかしながらこれらは追加の一般的な用途を有するため、本明細書の実施形態による締着具には分類されない。同様に、ヒンジ及びばねも、対象物を合わせて接合させることができるが、これらの目的は堅固な付着ではなく、可動接合を可能にすることであるため、締着具としては見なされない。その他の材料を接合する代替方法には、クリンピング、溶接、ハンダ付け、鑞付け、テープ張り、のり付け、セメント接着、又はその他の接着剤の使用が挙げられるが、これらも、本明細書の実施形態の締着具による締着とは見なされない。磁石、真空(吸盤など)、又は更に摩擦などの、力の使用も締着のために使用され得るが、これらも本明細書の実施形態の締着具による締着とは見なされない。

本明細書の一実施形態は、表面上にアモルファス合金フックの微細な配列を用いた高強度の永久的又は半永久的結合方法に関する。フック付き表面は、ループ又は類似のフックを備えた表面に押し付けられることで、フックが互いに係合する。永久的結合において、フックは、この2片の材料を分離するためには、破壊、溶融、又は切断しなければならないように設計され得る。半永久的結合において、フックは、この2つの材料が分離できる程度の特定の量の力がフックを可塑的に変形させるように設計され得る。この実施形態の締着具にはジッパーが含まれる。ジッパーには、気密及び水密ジッパーが含まれ、これらは、例えば携帯電話のエンクロージャなどの電子機器の密封に使用され得る。

本明細書の実施形態は、バルク凝固アモルファス金属合金の独特の性質(すなわち、バルク凝固アモルファス金属合金の、弾性ひずみ限度が1.5%以上(これに比べ、結晶質金属合金は約0.5%)という高弾性、及び熱可塑性成形機能)を利用する用途向けの、バルク凝固アモルファス合金を含む締着具に関する。本明細書の実施形態により、何らかの種類の基材を通して、バルク凝固アモルファス合金の小さなワイヤを押し出し成形することができ、これら小さなワイヤは、典型的なVelcro締着具に使用されるフック及び/又はループに類似の形状及び構造であり、世界で最も強靱なVelcroタイプの締着具を形成し得る。

この、バルク凝固アモルファス金属合金のフック及び/又はループを製造した場合、プラスチック製の従来型Velcro締着具よりもはるかに高い保持力を得ることができる。このVelcro型締着具は、バルク凝固アモルファス金属合金のTgを上回る温度にフック及び/又はループを加熱し、次に、Velcro型締着具のフック部分とループ部分を分離するためのある程度の力をかけることにより、分離することができる。上述のタイプのVelcro締着具は、半永久的Velcro型締着具であり得る。

また、永久的Velcro型締着具を製造することもできる。この場合、本明細書の実施形態のVelcro型締着具を、そのフック及びループを再加熱して結晶化させ、非常に脆く壊れやすい状態にすることによって、本質的に、非アクティブ化することができる。これにより、このVelcro型締着具を永久的締着具にすることができ、これは、Velcro型締着具のフック及び/又はループを破壊することによってのみ分離することができる。 締着具の製造

この実施形態のVelcro型締着具は、フックを有するフックサイド締着具と、ループを有するループサイド締着具の2つの構成要素を有する。フックサイド締着具とループサイド締着具は合わせて結合し、永久的又は半永久的結合を形成する。

本明細書の実施形態の締着具を製造するには、締着具のタイプに応じていくつかの方法がある。フックを形成してこれをVelcroとして使用する場合、このフックをTg近くの温度で形成し、これをTgより低い温度で使用し得る。フックを形成した後、Velcroとして使用することができるが、このフックを部分的に結晶化させることにより、もし何者かがこのフックを剥がして開封しようとした場合には破壊されるような、セキュリティフックにすることができる。「セキュリティフック」を形成しようとする場合、Tg近くの温度で(最終部品に)永久的フックを形成し、次に2つの表面を合わせて接着し、これにより2つの表面は、フックを破壊することなしには決して離れなくなる。もし誰かがこの2つの表面を分離した場合、2つの表面を元通り接着することはできなくなる。

フックサイド締着具を製造する一方法が、図3(1)及び3(2)と共に下記に記述される。図3(1)は、矢印と共に示されている上側高温プレートを示し、矢印が示すように、この高温プレートは、下にあるBMGプリフォームに向かって下方向に動き、このBMGプリフォームは、中に穴を有する形成デバイスの上に乗っており、これは下側高温プレートの上の定位置に保持するための何らかのタイプの固定具に固定されている。BMGプリフォームは、製造しようとするものに応じて、材料のブロック、又はシート、又はその他の形状であり得る。これは、締着具の寸法に依存する。しかしながら、一実施形態において、BMGプリフォームはBMG材料の薄いシートであり得る。BMGプリフォームは、人手又は機械により、下側高温プレートの上に置くことができる。図3(1)には、上側プレートと下側プレートを備えた高温プレートプレスを示しているが、このBMGプリフォームの面積は小さくても大きくてもよい。図3(2)は、高温のBMGプリフォームに対して高温のプレスを押し付けているところを示す。高温のBMGプリフォームはTgより上の温度、例えばTmより上の溶融状態、又はTgとTmとの間の軟化状態、好ましくはTgとTxとの間の温度に加熱され、これによって、高温のBMGプリフォームの一部が、形成デバイス内の穴を通って流れ出る。図3(2)の形成デバイス内の穴から出てきたBMG材料のストランドが冷却され、曲げられて、フックを形成する。例えば、このストランドは、図3(2)に示すように、気体又は液体を、垂れ下がったストランドを通過して、一方向から他方向へと吹き付け、同時に垂れ下がったストランドを冷却することによって、曲げてフックを形成することができる。

別の一実施形態において、図4に示すように、垂れ下がったストランドの下端は、バルブ又はマッシュルーム形状を有するように成形することができる。図4において、高温プレートがプリフォームに接触し、BMGが、形成プレート内の穴又は開口部を通過して流れ出て、ストランドを形成する。垂れ下がったストランドの下端が丸められて、垂れ下がったストランドの下端で球根形状が形成される。

一般に、プリフォームのBMG材料全部が、形成デバイスの穴を通って押し出されるわけではない。代わりに、形成デバイスの反対側(すなわち、図3(2)及び4の形成デバイスの上側)にBMGの薄い層が残り、これにより、形成デバイスの上側に残ったBMGプリフォームの一部が、フックサイド締着具の基材となり得る。

この形成プレートは、フックサイド締着具から除去することができ、あるいは、フックサイド締着具の一体化した部分として残すことができる。形成プレートは、エッチングにより、例えば、容易に溶かし去ることができ、最終的なフックサイド締着具構造にアモルファス合金だけを残すような、形成プレート材料を選択することによって、除去することができる。あるいは、例えば、穴のある金属ホイル又は類似物(例えば、レーザードリルで穴が開けられたシート鋼)を使用して、フックサイド締着具の最終構造物に接着されたままにしておくことができる。

この形成プレートは、任意の好適な熱伝導体で製造することができる。加熱カートリッジを備えた工具鋼を使用することができる。循環油を使用してこれを加熱することができる。必要な温度を生成するために、形成プレートを誘導加熱することができる。また更に、上側高温プレートがアモルファス合金に接触するより前であっても、形成プレートを加熱し得る何らかのものを使用することもできる。アモルファス合金は、誘導により、又は放射熱により、又は抵抗加熱システムを使用して加熱することができ、これにより軟化させてから、次に又は同時に、高温プレートにより圧力を印加することができる。

BMGプリフォームは、BMGプリフォームのガラス転移温度より上の温度まで加熱することができ、圧力を印加して、フックサイド締着具構造が形成され得る。BMGプリフォームの加熱と、圧力の印加とは別であってよく、又は両方が同時であってもよい。例えば、一実施形態において、形成温度約450℃のジルコニウム系合金を使用し、形成プレートには、非常に薄い厚さ(10ゲージ)のシート材アルミニウム(5061アルミニウム)片を使用することができる。形成プレートに、レーザードリルで一連の穴を開けることができる。図3(1)に示すように、形成プレートの上に、アモルファス合金原料を置くことができる。次に、アモルファス合金を加熱し、アルミニウム形成プレートを通るよう加圧することができる。この時点で、アルミニウム形成プレートをそこに残すことができ、形成プレートの一方の側に突出したフックと、形成プレートのもう一方の側にアモルファス合金のサンドイッチを有し得る。この場合、形成プレートは溶かし去られないため、フックサイド締着具構造全体の一部分となる。あるいは、アルミニウムを容易に腐食するがアモルファス合金は腐食しない酸を使用して、形成プレートを溶かし去り、アモルファスフックサイド締着具のみを残すことができる。

図5(1)〜5(5)は、BMG合金製のループを有するループサイド締着具を製造する一実施形態を示す概略図である。図5(1)〜5(5)に示す方法により、ループを有するループサイド締着具がBMG合金製であるVelcro型締着具を製造することができ、これによりフックサイド締着具とループサイド締着具が、同じか又は実質的に同じ強度を有する。ある材料でできたフックを備えたフックサイド締着具と別の材料のループを備えたループサイド締着具とを使用し、このフックサイド締着具とループサイド締着具が接合された場合、この結合は、フックサイド締着具又はループサイド締着具のうち弱い方と同じ強度になり得る。しかしながら、図5(1)〜5(5)の方法により製造されたループサイド締着具と、図3(1)及び3(2)の方法により製造されたフックサイド締着具とを使用し、ここにおいてループサイド締着具とフックサイド締着具の両方が同じ又は実質的に同じBMG合金で製造されている場合、これによって、フックサイド締着具とループサイド締着具の両方が同じ又は実質的に同じ強度を有するVelcro型締着具を製造することができる。

図5(1)〜5(5)に示す方法は、下記のようになり得る。図5(1)に示すように、溶融又は軟化したBMGのプールを用意する。軟化したBMGとは、そのBMGの金属合金のTgとTmの間の高温形成領域にあるBMGを意味する。溶融又は軟化したBMGは、特定の材料製のピンに付着し得る。よって、ピンの配列全体(これはピンの二次元配列であり得る)を用い、図5(2)に示すように、この先端を溶融又は軟化したBMGに浸すことができる。溶融又は軟化したBMGは、図5(3)に示すように、ピンに付着し、ストランド上に引き上げられる。引き上げられたBMGストランドは丸く曲がって弧状になり、溶融又は軟化したBMGのプールに接触して、図5(4)に示すようにループを形成する。上述のループ形成工程を繰り返すことにより、図5(5)に示すように、BMGストランドの先端を折り曲げて再びバルクBMGに戻し、これによって、ループの配列が生成され、BMG製のループを有するループサイド締着具を形成することができる。図5(1)〜5(5)では、溶融又は軟化したBMGのプールが、ループの高さよりも実質的に厚いものとして示されているが、実際には、溶融又は軟化したBMGプールの厚さは、溶融又は軟化したBMGプールの上に形成されたループの高さより厚くてもよく、同様の厚さでもよく、又はこれより薄くてもよい。溶融又は軟化したBMGプールの上にループを備えた状態で冷却した後、固化したBMGプールをループサイドBMG締着具の基材として備えた、BMG製のループサイド締着具を形成することができる。 永久的及び半永久的締着具の例

上述の方法を使用してフック又は締着具を形成した後、これらを、別のセットのフック、ループ、又は何らかのタイプの係合具、又は類似若しくは異なり得る(どちらでもよい)係合デバイスを有する基材の隣に又は隣接して使用又は配置することができ、次に、2つ以上の締着具又はフックを押し合わせることにより、半永久的又は永久的な結合のいずれかを形成することができる。この方法において、締着具は互いに引っかかり又は係合し、これらの結合した締着具を分離するための1つの方法は、実際に結合を破壊する何らかのプロセスによるものであり得る。あるいは、アモルファス合金が十分な弾性を有する場合は、特に、ガラス転移温度を上回る温度に締着具を加熱することによって、構造に損傷を与えることなく、単にこれらを引っ張ることによって、結合した締着具を機械的に分離することができる。もし、フックが相手側に接合しているときに、その強度が十分ではないために、それらを破壊することなしに分離するのは難しいような場合には、実際に、その締着具を分離するために、接合している締着具構造を破壊しなければならなくなる。

更に、BMG締着具を別の締着具、又は別の基材上のフック/ループに取り付けた後に、その締着具のBMGフックを結晶化させることにより、永久的又は半永久的締着具を形成することができる。簡単に言うと、BMG締着具は、破壊することなしに解放することができるようにBMG締着具のこれらフックを設計することができ、あるいは、締着具を分離するためには永久的変形及び破壊を必要とするような方法でこれらを設計することができる。本明細書の実施形態によるいくつかの締着具及び固定方法の概略図を図6(1)〜6(3)に示す。 永久的及び半永久的締着具の使用

溶融プロセスの一種であるハンダ付けとは異なり、本明細書の締着具の実施形態を用いた永久的又は半永久的アモルファス合金の締着は、室温、又はアモルファス合金の熱可塑性成形温度であり得る。更に、アモルファス合金の熱可塑性成形は、過剰な加熱なしで(例えば300〜500℃の範囲の温度で)行うことができる。典型的にはZr系合金では400〜500℃の範囲であり、貴金属系アモルファス合金については実質的にこれより低くなる。また、アモルファス合金は軟化し、数百パーセントのひずみに耐えることができ、これは印加されるひずみ速度にのみ制限される。加えて、アモルファス合金は、熱可塑性成形プロセスの直後に、完全な強度と硬度を呈し、その典型的な値は、高強度鋼又はチタン合金に匹敵する。よって、本明細書の実施形態の締着具を使用したこの締着プロセスは、比較的低温で局所的な高ひずみを生成することができ、同時に、締着具が締着される基材と締着具との間に、非常に高い強度の接合部が生成される。更に、永久的締着具の場合、この接合部は、接合された部品(すなわち締着具と基材)に実質的な破損を引き起こすことなしに分離するのは困難となる。

また、例えば誘導加熱又はレーザー加熱により、非常に精密に、フック又はループを局所的に加熱することができ、この後にそのフック又はループの熱可塑性成形プロセスを行うことができる。アモルファス合金を、異なる材料に接合することができる。その接合部の近くでアモルファス合金を再加熱することで、結晶性と脆さをもたせることができる。

耐タンパー性永久的アモルファス合金締着は、例えばコンピュータ及び携帯電話などの耐タンパー性電子機器に使用することができる。耐タンパー性アモルファス合金締着は、セットトップボックス、及びデジタル著作権管理を使用するその他の機器に使用することができる。

核兵器を所有しない販売対象国向けの原子炉用の耐タンパー性アモルファス合金締着は、核分散を防止するため、耐タンパー性用に製造する必要がある。例えば、耐タンパー性アモルファス合金締着技法は、侵入の試みが検出されたときに鳴る検出及びアラームと組み合わせることができる。

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