層状物品

申请号 JP2016173303 申请日 2016-09-06 公开(公告)号 JP2017065253A 公开(公告)日 2017-04-06
申请人 日東電工株式会社; 发明人 内田 翔; 生島 伸祐; 武田 公平; 中川 宗重;
摘要 【課題】繊維の不織布を含む層を少なくとも1層有し、柔軟性が十分であり、良好な手触り感を達成できる、層状物品を提供する。また、本発明の層状物品を有する面ファスナーを提供する。また、本発明の層状物品を有する衛生用品を提供する。 【解決手段】本発明の層状物品は、繊維の不織布を含む層を少なくとも1層有する層状物品であって、溶着部を有し、式(1)で表される指数Aが0.90×10 −6 m 3 /g以下である。A=T/G (1) (T:溶着部の厚み(単位はm)、G:坪量(単位はg/m 2 )) 【選択図】図2
权利要求

繊維の不織布を含む層を少なくとも1層有する層状物品であって、 溶着部を有し、 式(1)で表される指数Aが0.90×10−6m3/g以下である、 層状物品。 A=T/G (1) T:溶着部の厚み(単位はm) G:坪量(単位はg/m2)前記指数Aが0.75×10−6m3/g以下である、請求項1に記載の層状物品。前記Tが35×10−6m以下である、請求項1または2に記載の層状物品。前記Gが50g/m2以下である、請求項1から3までのいずれかに記載の層状物品。前記溶着部が前記繊維同士の溶着部を含む、請求項1から4までのいずれかに記載の層状物品。前記溶着部に存在する直径100μm以上の孔の個数が10個/m2以下である、請求項1から5までのいずれかに記載の層状物品。前記溶着部がエンボスパターンを有する、請求項1から6までのいずれかに記載の層状物品。前記エンボスパターンが不連続のエンボスパターンである、請求項7に記載の層状物品。面ファスナー雌部材である、請求項1から8までのいずれかに記載の層状物品。面ファスナー雄部材に係合可能な係合層と該係合層を保持する物性層とを有する、請求項9に記載の層状物品。前記係合層中の不織布の坪量と前記物性層中の不織布の坪量との合計が60g/m2以下である、請求項10に記載の層状物品。前記面ファスナー雌部材が不織布のみからなる、請求項9から11までのいずれかに記載の層状物品。前記係合層に含まれる不織布を構成する繊維の表面と前記物性層の該係合層側の表面が、同種のポリマーを含む、請求項10から12までのいずれかに記載の層状物品。前記ポリマーがポリオレフィンである、請求項13に記載の層状物品。請求項9から14までのいずれかに記載の層状物品と、該層状部材と係合する面ファスナー雄部材とを有する、面ファスナー。請求項1から14までのいずれかに記載の層状物品を有する衛生用品。

说明书全文

本発明は、層状物品に関する。本発明は、また、本発明の層状物品を有する面ファスナーに関する。本発明は、また、本発明の層状物品を有する衛生用品に関する。

おむつやマスクなどの衛生用品等の物品の部材として、層状物品が提案されている(例えば、特許文献1、2など参照)。

近年、衛生用品(特に、使い捨ておむつ、サポーター、マスクなど)に用いられる層状物品の多くには、不織布が採用されている。

しかし、従来の不織布が採用された層状物品は、柔軟性が十分ではなく、良好な手触り感を達成できていないという問題がある。

特表2009−527315号公報

特開2010−125337号公報

本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的とするところは、繊維の不織布を含む層を少なくとも1層有し、柔軟性が十分であり、良好な手触り感を達成できる、層状物品を提供することにある。また、本発明の目的とするところは、本発明の層状物品を有する面ファスナーを提供することにある。また、本発明の目的とするところは、本発明の層状物品を有する衛生用品を提供することにある。

本発明の層状物品は、 繊維の不織布を含む層を少なくとも1層有する層状物品であって、 溶着部を有し、 式(1)で表される指数Aが0.90×10−6m3/g以下である。 A=T/G (1) T:溶着部の厚み(単位はm) G:坪量(単位はg/m2)

1つの実施形態においては、上記指数Aが0.75×10−6m3/g以下である。

1つの実施形態においては、上記指数Aが0.20×10−6m3/g〜0.72×10−6m3/gである。

1つの実施形態においては、上記指数Aが0.30×10−6m3/g〜0.70×10−6m3/gである。

1つの実施形態においては、上記指数Aが0.40×10−6m3/g〜0.65×10−6m3/gである。

1つの実施形態においては、上記Tが35×10−6m以下である。

1つの実施形態においては、上記Tが1×10−6m〜30×10−6mである。

1つの実施形態においては、上記Tが5×10−6m〜28×10−6mである。

1つの実施形態においては、上記Tが10×10−6m〜25×10−6mである。

1つの実施形態においては、上記Gが50g/m2以下である。

1つの実施形態においては、上記Gが1g/m2〜48g/m2である。

1つの実施形態においては、上記Gが10g/m2〜46g/m2である。

1つの実施形態においては、上記Gが20g/m2〜43g/m2である。

1つの実施形態においては、上記溶着部が上記繊維同士の溶着部を含む。

1つの実施形態においては、上記溶着部に存在する直径100μm以上の孔の個数が10個/m2以下である。

1つの実施形態においては、上記溶着部に存在する直径100μm以上の孔の個数が5個/m2以下である。

1つの実施形態においては、上記溶着部がエンボスパターンを有する。

1つの実施形態においては、上記エンボスパターンが不連続のエンボスパターンである。

1つの実施形態においては、上記層状物品が面ファスナー雌部材である。

1つの実施形態においては、上記層状物品が面ファスナー雄部材に係合可能な係合層と該係合層を保持する物性層とを有する。

1つの実施形態においては、上記係合層中の不織布の坪量と上記物性層中の不織布の坪量との合計が60g/m2以下である。

1つの実施形態においては、上記係合層中の不織布の坪量と上記物性層中の不織布の坪量との合計が30g/m2〜47g/m2である。

1つの実施形態においては、上記面ファスナー雌部材が不織布のみからなる。

1つの実施形態においては、上記係合層に含まれる不織布を構成する繊維の表面と上記物性層の該係合層側の表面が、同種のポリマーを含む。

1つの実施形態においては、上記ポリマーがポリオレフィンである。

本発明の面ファスナーは、上記層状物品と、該層状部材と係合する面ファスナー雄部材とを有する。

本発明の衛生用品は、上記層状物品を有する。

本発明によれば、繊維の不織布を含む層を少なくとも1層有し、柔軟性が十分であり、良好な手触り感を達成できる、層状物品を提供することができる。また、そのような層状物品を有する面ファスナーを提供することができる。また、そのような層状物品を有する衛生用品を提供することができる。

円弧状のエンボスパターンの一例の概略平面図である。

本発明の層状物品の好ましい製造方法の一例を示す概略断面図である。

≪1.本発明の層状物品≫ 本発明の層状物品は、繊維の不織布を含む層を少なくとも1層有する層状物品である。本発明の層状物品が有する上記繊維の不織布を含む層の数は、好ましくは1層〜10層であり、より好ましくは1層〜7層であり、さらに好ましくは1層〜5層であり、特に好ましくは1層〜3層であり、最も好ましくは2層〜3層である。本発明の層状物品が有する上記繊維の不織布を含む層の数が上記範囲内にあれば、該層状物品は、柔軟性がより十分となり、より良好な手触り感を達成できる。

本発明の層状物品は、繊維の不織布を含む層を少なくとも1層有すれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の層を有していてもよい。

本発明の層状物品は溶着部を有する。本発明の層状物品が溶着部を有することにより、本発明の層状物品は、柔軟性がより十分となり、より良好な手触り感を達成できる。

溶着部は、好ましくは、繊維の不織布を含む層の該繊維同士の溶着部を含む。

溶着部においては、該溶着部に存在する直径100μm以上の孔の個数が、好ましくは10個/m2以下であり、より好ましくは5個/m2以下であり、さらに好ましくは3個/m2以下であり、特に好ましくは0個/m2である。溶着部に存在する直径100μm以上の孔の個数が上記範囲内にあれば、外観が良好となるとともに、孔を起点とした破壊が生じにくくなる。

溶着部は、好ましくは、エンボスパターンを有する。このようなエンボスパターンは、好ましくは、エンボス処理によって形成される。エンボスパターンの具体例としては、例えば、連続格子状、不連続格子状、連続曲線状、不連続曲線状、連続ジグザグ状、不連続ジグザグ状、連続直線状、不連続直線状、円状、楕円状、中空円状、中空楕円状、円弧状、中空円弧状などが挙げられる。

エンボスパターンとしては、本発明の効果をより効果的に発現させ得る点で、好ましくは、不連続のエンボスパターンであり、より好ましくは、円弧状のエンボスパターンである。円弧状のエンボスパターンの一例の概略平面図を図1に示す。図1において、溶着部100は、円弧状のエンボスパターンを構成する複数のエンボス10を有する。図1において、溶着部100は、エンボスパターンのない領域20を有する。円弧状のエンボスパターンにおいては、好ましくは、個々のエンボスが「」を有さないエンボスである。

エンボスパターンを構成する複数のエンボスのエンボス幅は、好ましくは0.1mm〜3.0mmであり、より好ましくは0.3mm〜2.0mmであり、さらに好ましくは0.3mm〜1.5mmであり、特に好ましくは0.5mm〜1.5mmであり、最も好ましくは0.5mm〜1.0mmである。エンボス幅が上記範囲内にあれば、本発明の層状物品は、柔軟性がより十分となり、より良好な手触り感を達成できる。なお、エンボス幅とは、例えば、図1に示すエンボス10のMD方向の幅Wのことである。

エンボスパターンを構成する複数のエンボス中の隣接する2つのエンボスの距離は、MD方向のいずれの線上においても、好ましくは10mm以下であり、より好ましくは1mm〜10mmであり、さらに好ましくは1.5mm〜9mmであり、特に好ましくは2mm〜8mmであり、最も好ましくは2.5mm〜7mmである。エンボスパターンを構成する複数のエンボス中の隣接する2つのエンボスの距離が、MD方向のいずれの線上においても、上記範囲内にあれば、本発明の層状物品は、柔軟性がより十分となり、より良好な手触り感を達成できる。なお、エンボスパターンを構成する複数のエンボス中の隣接する2つのエンボスのMD方向の線上の距離とは、例えば、図1に示すMD方向の線P(CD方向のいずれの位置におけるMD方向の線でもよい)上における、隣接する2つのエンボスの距離Lのことである。

エンボスの深さは、好ましくは0.1mm〜2.0mmであり、より好ましくは0.2mm〜1.8mmであり、さらに好ましくは0.3mm〜1.5mmであり、特に好ましくは0.5mm〜1.5mmであり、最も好ましくは0.7mm〜1.2mmである。エンボスの深さが上記範囲内にあれば、本発明の層状物品は、柔軟性がより十分となり、より良好な手触り感を達成できる。

本発明の層状物品の表面全体の面積に対する、エンボスパターンによる溶着部の面積の割合(以下、「エンボス溶着面積割合」と称することがある)は、好ましくは50%以下であり、より好ましくは1%〜40%であり、さらに好ましくは5%〜35%であり、特に好ましくは10%〜30%であり、最も好ましくは15%〜25%である。上記エンボス溶着面積割合が上記範囲内にあれば、本発明の層状物品は、柔軟性がより十分となり、より良好な手触り感を達成できる。

本発明の層状物品は、式(1)で表される指数Aが0.90×10−6m3/g以下である。 A=T/G (1)

式(1)において、Tは、溶着部の厚み(単位はm)を表し、Gは、坪量(単位はg/m2)を表す。なお、この坪量とは、本発明の層状物品の全体の総坪量を意味する。

指数Aは、好ましくは0.75×10−6m3/g以下であり、より好ましくは0.20×10−6m3/g〜0.72×10−6m3/gであり、さらに好ましくは0.30×10−6m3/g〜0.70×10−6m3/gであり、特に好ましくは0.40×10−6m3/g〜0.65×10−6m3/gであり、最も好ましくは0.50×10−6m3/g〜0.60×10−6m3/gである。

指数Aが上記範囲内にあれば、本発明の層状物品は、柔軟性がより十分となり、より良好な手触り感を達成できる。

指数Aは、本発明の層状物品のような、繊維の不織布を含む層を少なくとも1層有して溶着部を有する層状物品の柔軟性を適切に反映する指標である。指数Aがより小さいということは、溶着部の厚み方向の層状物品の材料の量が非溶着部の厚み方向の層状物品の材料の量に比べてより少ないことを反映しており、このような層状物品の材料の量の少ない部分が屈曲の起点となるため、柔軟性が高いものとなる。本発明の層状物品においては、指数Aが0.90×10−6m3/g以下というレベルになると、特に実用効果としての柔軟性に優れることを反映しているものといえる。なお、指数Aは小さいほどよいが、小さ過ぎると屈曲時に破断するという問題が起こり得るため、指数Aの下限値は、上記のように、好ましくは0.50×10−6m3/gである。

溶着部の厚み(単位はm)を表すTは、好ましくは35×10−6m以下であり、より好ましくは1×10−6m〜30×10−6mであり、さらに好ましくは5×10−6m〜28×10−6mであり、特に好ましくは10×10−6m〜25×10−6mであり、最も好ましくは15×10−6m〜22×10−6mである。Tが上記範囲内にあれば、本発明の層状物品は、柔軟性がより十分となり、より良好な手触り感を達成できる。

坪量(単位はg/m2)を表すGは、好ましくは50g/m2以下であり、より好ましくは1g/m2〜48g/m2であり、さらに好ましくは10g/m2〜46g/m2であり、特に好ましくは20g/m2〜43g/m2であり、最も好ましくは30g/m2〜40g/m2である。Gが上記範囲内にあれば、本発明の層状物品は、柔軟性がより十分となり、より良好な手触り感を達成できる。

本発明の層状物品の1つの実施形態は、面ファスナー雌部材である。面ファスナー雌部材は、雄部材(メカニカルフック部材ともいう)に係合可能な係合層を有する面ファスナー雌部材である。面ファスナー雌部材の係合層とは、具体的には、面ファスナー雄部材の係合用フック(あるいはそれと同等の性質を有するもの)が係合可能な層である。面ファスナー雌部材と、該面ファスナー雌部材と係合する面ファスナー雄部材とを有するものが、面ファスナーとなる。

面ファスナー雌部材は、好ましくは、面ファスナー雄部材に係合可能な係合層と該係合層を保持する物性層とを有する。面ファスナー雌部材は、このような係合層と物性層以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の部材を有していてもよい。面ファスナー雌部材は、好ましくは、面ファスナー雄部材に係合可能な係合層と該係合層を保持する物性層とからなる。

面ファスナー雌部材の厚みは、目的に応じて、任意の適切な厚みを設定し得る。面ファスナー雌部材の厚みは、代表的には、好ましくは、0.2mm〜5.0mmであり、より好ましくは、0.3mm〜4.0mmであり、さらに好ましくは、0.5mm〜3.0mmであり、特に好ましくは、0.5mm〜2.0mmである。

係合層は、繊維の不織布を含む。係合層は、1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。係合層は、好ましくは、繊維の不織布のみからなる。

係合層に含まれる繊維の不織布は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。

係合層に含まれる繊維の不織布としては、例えば、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、接着接合不織布、エアスルー不織布、メルトブロー不織布、スパンボンドメルトブロースパンボンド不織布、スパンボンドメルトブローメルトブロースパンボンド不織布、非接合不織布、エレクトロスパン不織布、フラッシュスパン不織布(例えば、DuPont社のTYVEKTM)、カーデッド不織布などが挙げられる。これらの不織布の中でも、好ましくは、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、接着接合不織布、エアスルー不織布、メルトブロー不織布、スパンボンドメルトブロースパンボンド不織布、スパンボンドメルトブローメルトブロースパンボンド不織布であり、より好ましくは、スパンボンド不織布、エアスルー不織布であり、より好ましくは、スパンボンド不織布である。係合層に含まれる繊維の不織布として、例えば、サーマルポイントボンドされたスパンボンド不織布やエアスルー不織布を用いることにより、係合層に含まれる不織布を構成する繊維同士が結合点を有し得る。これにより、面ファスナー雌部材がエンボスパターンを有する場合に、エンボスパターン部分はエンボス処理によって係合層に含まれる不織布を構成する繊維同士がしっかりした結合点を有するだけでなく、エンボスパターンのない領域においても、係合層に含まれる不織布を構成する繊維同士が結合点を有する。このような構造を達成できることにより、面ファスナー雌部材は、柔軟性がより十分となり、より良好な手触り感を達成できるとともに、面ファスナー雄部材との係合に優れる。

係合層に含まれる繊維の不織布がスパンボンド不織布の場合、係合層に含まれる繊維の不織布を光学顕微鏡で観察した際に確認される単位面積当たりの結合点の個数は、エンボスパターンのない領域において、17mm×13mmの視野(7.5倍)において、好ましくは10個〜200個であり、より好ましくは30個〜150個であり、さらに好ましくは50個〜100個である。係合層に含まれる繊維の不織布がスパンボンド不織布の場合、係合層に含まれる繊維の不織布を光学顕微鏡で観察した際に確認される単位面積当たりの結合点の個数が上記範囲内にあれば、面ファスナー雌部材は、柔軟性がより十分となり、より良好な手触り感を達成できるとともに、面ファスナー雄部材を係合してから剥離した後の係合層の毛羽立ちをより効果的に抑えることができる。

係合層に含まれる繊維の不織布がエアスルー不織布の場合、係合層に含まれる繊維の不織布をSEMで観察した際に確認される単位面積当たりの結合点の個数は、エンボスパターンのない領域において、1.3mm×1.0mmの視野(100倍)において、好ましくは1個以上であり、より好ましくは2個〜100個であり、さらに好ましくは5個〜50個である。係合層に含まれる繊維の不織布がエアスルー不織布の場合、係合層に含まれる繊維の不織布をSEMで観察した際に確認される単位面積当たりの結合点の個数が上記範囲内にあれば、面ファスナー雌部材は、柔軟性がより十分となり、より良好な手触り感を達成できるとともに、面ファスナー雄部材を係合してから剥離した後の係合層の毛羽立ちをより効果的に抑えることができる。

係合層に含まれる繊維の不織布は、均一な構造体である繊維を含んでもよく、芯鞘構造、サイドバイサイド構造、海島構造、および他の二成分構造などの、二成分構造体である複合繊維を含んでもよい。不織布の詳細な説明に関しては、例えば、「Nonwoven Fabric Primer and Reference Sampler」、E.A.Vaughn、Association of the Nonwoven Fabrics Industry、第3版(1992)を参照することができる。

係合層に含まれる不織布を構成する繊維としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な繊維を採用し得る。このような繊維は、例えば、ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレンなど)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、エラストマー、レーヨン、セルロース、アクリル、それらのコポリマー、またはそれらのブレンド、またはそれらの混合物などを含む。このような繊維は、本発明の効果をより効果的に発現させ得る点で、好ましくは、ポリオレフィンの繊維(ポリオレフィン繊維)、ポリエステルの繊維(ポリエステル繊維)、および、ポリオレフィンとポリエステルから選ばれる2種以上の樹脂の複合繊維から選ばれる少なくとも1種を含む。

ポリオレフィン繊維としては、例えば、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、α−オレフィンコポリマー繊維などが挙げられる。ポリオレフィン繊維としては、本発明の効果をより効果的に発現させ得る点で、好ましくは、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維であり、より好ましくは、ポリプロピレン繊維である。

ポリエステル繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリ乳酸繊維、ポリグリコール酸繊維などが挙げられる。ポリエステル繊維としては、本発明の効果をより効果的に発現させ得る点で、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維である。

ポリオレフィンとポリエステルから選ばれる2種以上の樹脂の複合繊維としては、例えば、芯鞘構造を有する繊維、サイドバイサイド構造を有する繊維、中空繊維などが挙げられる。ここでいう「ポリオレフィンとポリエステルから選ばれる2種以上の樹脂の複合繊維」とは、2種以上のポリオレフィンの樹脂の複合繊維、2種以上のポリエステルの樹脂の複合繊維、1種以上のポリオレフィンと1種以上のポリエステルの樹脂の複合繊維を意味する。

ポリオレフィンとポリエステルから選ばれる2種以上の樹脂の複合繊維としては、具体的には、例えば、2種類のポリオレフィンの一方を芯部、もう一方を鞘部に有する、芯鞘構造を有する繊維、ポリエステルを芯部、ポリオレフィンを鞘部に有する、芯鞘構造を有する繊維、ポリオレフィンとポリエステルがサイドバイサイド構造をなす繊維などが挙げられる。

係合層に含まれる不織布を構成する繊維は、捲縮性繊維であってもよい。捲縮性繊維としては、例えば、サイドバイサイド構造、もしくは、偏配置した芯鞘構造を有する凝固点の異なる2つの成分を含有する繊維であって、溶融状態から固体状態に相変化するときに、凝固点の高い成分が先行して凝固、収縮することにより、比較的半径の小さい微細なコイル状捲縮を発現する繊維などが挙げられる。

係合層に含まれる不織布を構成する繊維は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の成分を含んでよい。このような他の成分としては、例えば、他のポリマー、粘着付与剤、可塑剤、劣化防止剤、顔料、染料、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、発泡剤、熱安定化剤、光安定化剤、無機フィラー、有機フィラーなどが挙げられる。これらは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。係合層に含まれる不織布を構成する繊維中の他の成分の含有割合は、好ましくは10重量%以下であり、より好ましくは7重量%以下であり、さらに好ましくは5重量%以下であり、特に好ましくは2重量%以下であり、最も好ましくは1重量%以下である。

面ファスナー雌部材においては、本発明の効果をより効果的に発現させ得る点で、係合層中の不織布の密度が、好ましくは5kg/m3〜100kg/m3であり、より好ましくは10kg/m3〜100kg/m3であり、さらに好ましくは10kg/m3〜80kg/m3であり、さらに好ましくは10kg/m3〜70kg/m3であり、特に好ましくは10kg/m3〜60kg/m3であり、最も好ましくは20kg/m3〜50kg/m3である。面ファスナー雌部材において、係合層中の不織布の密度が上記範囲内にあれば、柔軟性がより十分となり、より良好な手触り感を達成できるとともに、面ファスナー雄部材との係合力により優れ、使い捨ておむつなどでは装着時や排泄後等においてズレ落ちの問題を効果的に解消し得る。面ファスナー雌部材において、係合層中の不織布の密度が5kg/m3より小さいと、面ファスナー雄部材が引っかかりにくくなる、もしくは、生産性が悪くコスト高になるというおそれがある。係合層中の不織布の密度が100kg/m3より大きいと、面ファスナー雌部材の不織布の繊維が密に詰まった状態になるため、面ファスナー雄部材の係合部分が面ファスナー雌部材中に装入され難くなり、優れた係合力が発現できないおそれがある。なお、係合層中の不織布の密度(kg/m3)は、不織布の坪量(Xg/m2)と不織布の厚み(Ymm)から計算される値である。より具体的には、係合層中の不織布の密度(kg/m3)は、X/Y(kg/m3)として計算される。

面ファスナー雌部材においては、本発明の効果をより効果的に発現させ得る点で、係合層中の不織布の繊維の直径(以後、単に繊維径ともいう)が、好ましくは5μm〜60μmであり、より好ましくは10μm〜60μmであり、さらに好ましくは10μm〜50μmであり、さらに好ましくは10μm〜40μmであり、特に好ましくは15μm〜40μmであり、最も好ましくは20μm〜40μmである。面ファスナー雌部材において、係合層中の不織布の繊維の直径が上記範囲内にあれば、柔軟性がより十分となり、より良好な手触り感を達成できるとともに、面ファスナー雄部材との係合力により優れ、使い捨ておむつなどでは装着時や排泄後等においてズレ落ちの問題を効果的に解消し得る。面ファスナー雌部材において、係合層中の不織布の繊維の直径が5μmより小さいと、面ファスナー雄部材との係合力が低下するおそれがある。係合層中の不織布の繊維の直径が60μmより大きいと、面ファスナー雄部材と係合しにくくなる、もしくは、生産速度が低下してコスト高になるというおそれがある。

面ファスナー雌部材においては、係合層中の不織布の坪量が、好ましくは10g/m2〜60g/m2であり、より好ましくは12g/m2〜50g/m2であり、さらに好ましくは15g/m2〜40g/m2であり、特に好ましくは15g/m2〜30g/m2であり、最も好ましくは15g/m2〜25g/m2である。面ファスナー雌部材において、係合層中の不織布の坪量が上記範囲内にあれば、柔軟性がより十分となり、より良好な手触り感を達成できるとともに、面ファスナー雄部材との係合力により優れた、面ファスナー雌部材を提供することができる。

物性層の材料としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な材料を採用し得る。本発明の効果がより発現し得る点で、物性層の材料としては、好ましくは、繊維の不織布、フィルムが挙げられ、本発明の効果をより効果的に発現させ得る点で、より好ましくは、繊維の不織布である。すなわち、本発明の効果をより効果的に発現させ得る点で、面ファスナー雌部材は、好ましくは、不織布のみからなる。

物性層の材料が繊維の不織布である場合、その不織布は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。

物性層の材料が繊維の不織布である場合、その不織布としては、例えば、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、接着接合不織布、エアスルー不織布、メルトブロー不織布、スパンレース不織布、スパンボンドメルトブロースパンボンド不織布、スパンボンドメルトブローメルトブロースパンボンド不織布、非接合不織布、エレクトロスパン不織布、フラッシュスパン不織布(例えば、DuPont社のTYVEKTM)、カーデッド不織布などが挙げられる。

物性層の材料が繊維の不織布である場合、その不織布は、均一な構造体である繊維を含んでもよく、芯鞘構造、サイドバイサイド構造、海島構造、および他の二成分構造などの、二成分構造体である複合繊維を含んでもよい。不織布の詳細な説明に関しては、例えば、「Nonwoven Fabric Primer and Reference Sampler」、E.A.Vaughn、Association of the Nonwoven Fabrics Industry、第3版(1992)を参照することができる。

物性層の材料が繊維の不織布である場合、その繊維としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な繊維を採用し得る。このような繊維は、例えば、ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレンなど)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、エラストマー、レーヨン、セルロース、アクリル、それらのコポリマー、またはそれらのブレンド、またはそれらの混合物などを含む。このような繊維は、本発明の効果をより効果的に発現させ得る点で、好ましくは、ポリオレフィンの繊維(ポリオレフィン繊維)、ポリエステルの繊維(ポリエステル繊維)、および、ポリオレフィンとポリエステルから選ばれる2種以上の樹脂の複合繊維から選ばれる少なくとも1種を含む。

ポリオレフィン繊維としては、例えば、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、α−オレフィンコポリマー繊維などが挙げられる。ポリオレフィン繊維としては、本発明の効果をより効果的に発現させ得る点で、好ましくは、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維であり、より好ましくは、ポリプロピレン繊維である。

ポリエステル繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリ乳酸繊維、ポリグリコール酸繊維などが挙げられる。ポリエステル繊維としては、本発明の効果をより効果的に発現させ得る点で、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維である。

ポリオレフィンとポリエステルから選ばれる2種以上の樹脂の複合繊維としては、例えば、芯鞘構造を有する繊維、サイドバイサイド構造を有する繊維、中空繊維などが挙げられる。ここでいう「ポリオレフィンとポリエステルから選ばれる2種以上の樹脂の複合繊維」とは、2種以上のポリオレフィンの樹脂の複合繊維、2種以上のポリエステルの樹脂の複合繊維、1種以上のポリオレフィンと1種以上のポリエステルの樹脂の複合繊維を意味する。

ポリオレフィンとポリエステルから選ばれる2種以上の樹脂の複合繊維としては、具体的には、例えば、2種類のポリオレフィンの一方を芯部、もう一方を鞘部に有する、芯鞘構造を有する繊維、ポリエステルを芯部、ポリオレフィンを鞘部に有する、芯鞘構造を有する繊維、ポリオレフィンとポリエステルがサイドバイサイド構造をなす繊維などが挙げられる。

物性層の材料が繊維の不織布である場合、不織布を構成する繊維は、捲縮性繊維であってもよい。捲縮性繊維としては、例えば、サイドバイサイド構造、もしくは、偏配置した芯鞘構造を有する凝固点の異なる2つの成分を含有する繊維であって、溶融状態から固体状態に相変化するときに、凝固点の高い成分が先行して凝固、収縮することにより、比較的半径の小さい微細なコイル状捲縮を発現する繊維などが挙げられる。

物性層の材料が繊維の不織布である場合、不織布を構成する繊維は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の成分を含んでよい。このような他の成分としては、例えば、他のポリマー、粘着付与剤、可塑剤、劣化防止剤、顔料、染料、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、発泡剤、熱安定化剤、光安定化剤、無機フィラー、有機フィラーなどが挙げられる。これらは、1種のみであっても、2種以上であってもよい。係合層に含まれる不織布を構成する繊維中の他の成分の含有割合は、好ましくは10重量%以下であり、より好ましくは7重量%以下であり、さらに好ましくは5重量%以下であり、特に好ましくは2重量%以下であり、最も好ましくは1重量%以下である。

物性層の材料がフィルムである場合、そのフィルムの材料は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な材料を採用し得る。このような材料としては、本発明の効果をより効果的に発現させ得る点で、好ましくは、例えば、10μm〜60μmの厚みの、無延伸ポリプロピレンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルムなどが挙げられる。

物性層が繊維の不織布である場合、物性層中の不織布の坪量は、好ましくは10g/m2〜40g/m2であり、より好ましくは10g/m2〜30g/m2であり、さらに好ましくは10g/m2〜25g/m2であり、特に好ましくは10g/m2〜20g/m2である。物性層が繊維の不織布である場合、物性層中の不織布の坪量が上記範囲内にあれば、柔軟性がより十分となり、より良好な手触り感を達成できるとともに、ウェブハンドリング中に幅方向の収縮変形が生じにくく、コスト競争力に優れ、印刷性が良好であり、印刷のシースルー性が良好であり、粘着塗工が容易であり、塗工した粘着剤が係合表面に染みだしにくい。

物性層が繊維の不織布である場合、その繊維の直径は、好ましくは40μm以下であり、より好ましくは1μm〜40μmであり、さらに好ましくは1μm〜30μmであり、特に好ましくは1μm〜25μmであり、最も好ましくは1μm〜20μmである。物性層が繊維の不織布である場合、その繊維の直径が上記範囲内にあれば、柔軟性がより十分となり、より良好な手触り感を達成できるとともに、ウェブハンドリング中に幅方向の収縮変形が生じにくく、コスト競争力に優れ、印刷性が良好であり、印刷のシースルー性が良好であり、粘着塗工が容易であり、塗工した粘着剤が係合表面に染みだしにくい。物性層が繊維の不織布である場合、その繊維の直径が40μmより大きいと、ウェブハンドリング中に幅方向の収縮変形が生じやすく、コスト競争力に劣り、印刷性が悪く、粘着塗工が困難であり、塗工した粘着剤が係合表面に染みだすリスクがあるというおそれがある。

物性層が繊維の不織布である場合、面ファスナー雌部材においては、本発明の効果をより効果的に発現させ得る点で、不織布の密度が、好ましくは5kg/m3〜200kg/m3であり、より好ましくは20kg/m3〜150kg/m3であり、さらに好ましくは50kg/m3〜150kg/m3であり、さらに好ましくは50kg/m3〜120kg/m3であり、特に好ましくは60kg/m3〜120kg/m3であり、最も好ましくは70kg/m3〜120kg/m3である。なお、物性層中の不織布の密度(kg/m3)は、不織布の坪量(Xg/m2)と不織布の厚み(Ymm)から計算される値である。より具体的には、物性層中の不織布の密度(kg/m3)は、X/Y(kg/m3)として計算される。

物性層が繊維の不織布である場合、異なる繊維の不織布の積層体(例えば、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布の積層体など)であってもよい。

なお、厚さ方向で繊維の直径が大きく異なる場合(例えば、SMS、SSMMSなど)、各々でN=5以上で同数の繊維の直径を計測し、その平均値を繊維の直径とした。ただし、スパンボンドやスパンメルトなど、熱溶着などにより局所的に厚さが薄くなっている部分は含まないものとした。

物性層がフィルムである場合、その厚みは、好ましくは60μm以下であり、より好ましくは10μm〜50μmであり、さらに好ましくは10μm〜40μmであり、特に好ましくは10μm〜30μmであり、最も好ましくは15μm〜25μmである。物性層がフィルムである場合、その厚みが上記範囲内に収まることにより、柔軟性がより十分となり、より良好な手触り感を達成できるとともに、ウェブハンドリング中に幅方向の収縮変形が生じにくく、コスト競争力に優れ、印刷のシースルー性が良好であり、粘着塗工が容易である。物性層がフィルムである場合、その厚みが60μmより大きいと、コスト競争力で劣り、印刷のシースルー性が悪化するおそれがある。

面ファスナー雌部材においては、係合層中の不織布の坪量と物性層中の不織布の坪量との合計である総坪量が、好ましくは60g/m2以下であり、より好ましくは10g/m2〜57g/m2であり、さらに好ましくは15g/m2〜53g/m2であり、特に好ましくは20g/m2〜50g/m2であり、最も好ましくは30g/m2〜47g/m2である。面ファスナー雌部材において、係合層中の不織布の坪量と物性層中の不織布の坪量との合計である総坪量が上記範囲内にあれば、柔軟性がより十分となり、より良好な手触り感を達成できるとともに、面ファスナー雄部材との係合力により優れる。また、面ファスナー雌部材において、係合層中の不織布の坪量と物性層中の不織布の坪量との合計である総坪量が上記範囲内にあれば、柔軟性がより十分となり、より良好な手触り感を達成できるとともに、ウェブハンドリング中に幅方向の収縮変形がより生じにくく、コスト競争力により優れ、印刷性がより良好であり、印刷のシースルー性がより良好であり、粘着塗工がより容易であり、塗工した粘着剤が係合表面により染みだしにくい。

面ファスナー雌部材の密度は、好ましくは110kg/m3以下であり、より好ましくは5kg/m3〜110kg/m3であり、さらに好ましくは10kg/m3〜110kg/m3であり、さらに好ましくは10kg/m3〜80kg/m3であり、さらに好ましくは10kg/m3〜70kg/m3であり、特に好ましくは10kg/m3〜60kg/m3であり、最も好ましくは20kg/m3〜50kg/m3である。面ファスナー雌部材の密度が上記範囲内にあれば、柔軟性がより十分となり、より良好な手触り感を達成できるとともに、面ファスナー雄部材との係合力により優れ、使い捨ておむつなどでは装着時や排泄後等においてズレ落ちの問題を効果的に解消し得る。面ファスナー雌部材の密度が100kg/m3より大きいと、面ファスナー雌部材の不織布の繊維が密に詰まった状態になるため、面ファスナー雄部材の係合部分が面ファスナー雌部材中に装入され難くなり、優れた係合力が発現できないおそれがある。なお、面ファスナー雌部材の密度(kg/m3)は、面ファスナー雌部材中の不織布の坪量(Xg/m2)と面ファスナー雌部材中の不織布の厚み(Ymm)から計算される値である。より具体的には、本発明の面ファスナー雌部材の密度(kg/m3)は、X/Y(kg/m3)として計算される。

面ファスナー雌部材においては、好ましくは、係合層に含まれる不織布を構成する繊維の表面と物性層の該係合層側の表面が、同種のポリマーを含む。係合層に含まれる不織布を構成する繊維の表面と物性層の該係合層側の表面が同種のポリマーを含むことにより、柔軟性がより十分となり、より良好な手触り感を達成できるとともに、面ファスナー雄部材との係合力により優れた面ファスナー雌部材を提供することができる。ここで、「係合層に含まれる不織布を構成する繊維の表面」とは、該繊維の表面であればよく、例えば、芯鞘構造を有する繊維における鞘部などがこれにあたる。

係合層に含まれる不織布を構成する繊維の表面と物性層の該係合層側の表面が同種のポリマーを含む場合、そのポリマーとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なポリマーを採用し得る。このようなポリマーとしては、好ましくはポリオレフィンである。係合層に含まれる不織布を構成する繊維の表面と物性層の該係合層側の表面が同種のポリオレフィンを含むことにより、柔軟性がより十分となり、より良好な手触り感を達成できるとともに、面ファスナー雄部材との係合力により優れた面ファスナー雌部材を提供することができる。

面ファスナー雌部材においては、係合層に含まれる繊維の不織布として、例えば、スパンボンド不織布やエアスルー不織布を用いることにより、係合層に含まれる不織布を構成する繊維同士が結合点を有し得る。これにより、面ファスナー雌部材がエンボスパターンを有する場合に、エンボスパターン部分(図1では複数のエンボス10の部分)はエンボス処理によって係合層に含まれる不織布を構成する繊維同士がしっかりした結合点を有するだけでなく、エンボスパターンのない領域(図1ではエンボスパターンのない領域20)においても、係合層に含まれる不織布を構成する繊維同士が結合点を有する。このような構造を達成できることにより、面ファスナー雌部材は、柔軟性がより十分となり、より良好な手触り感を達成できるとともに、面ファスナー雄部材との係合力により優れる。

≪2.本発明の層状物品の用途≫ 本発明の層状物品は、該層状部材と係合する面ファスナー雄部材と組み合わせることにより、面ファスナーとすることができる。すなわち、本発明の面ファスナーは、本発明の層状物品と、該層状物品と係合する面ファスナー雄部材とを有する。また、本発明の層状物品は、本発明の効果を有効に利用できる任意の適切な物品に用いることができる。このような物品としては、代表的には、例えば、衛生用品などが挙げられる。すなわち、本発明の衛生用品は、本発明の層状物品を有する。このような衛生用品としては、例えば、おむつ(特に、使い捨ておむつ)、サポーター、マスクなどが挙げられる。

≪3.本発明の層状物品の製造方法≫ 本発明の層状物品は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法によって製造し得る。本発明の層状物品の好ましい製造方法の一つとしては、繊維の不織布を含む層を少なくとも1層有する単層体または積層体の少なくとも一部を超音波溶着によって溶着する方法が挙げられる。繊維の不織布を含む層を少なくとも1層有する単層体または積層体の少なくとも一部を超音波溶着によって溶着することにより、例えば、熱溶着によって溶着する場合に比べて、生産速度を上げることができる。また、繊維の不織布を含む層を少なくとも1層有する単層体または積層体の少なくとも一部を超音波溶着によって溶着することにより、得られる層状物品は、柔軟性がより十分となり、より良好な手触り感を達成できる。

超音波溶着としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な超音波溶着を採用し得る。

超音波溶着においては、接合対象部材が、超音波によって振動エネルギーを送り出す一般に「ホーン」と称される部品と一般に「アンビル」または「回転アンビル」と称されるロール状部品との間に配置される。多くの場合、ホーンは、接合対象部材および回転アンビルの上方に垂直に配置される。ホーンは、通常20000Hz〜40000Hzで振動して、圧力下、通常摩擦熱の形態でエネルギーを、接合される部材に伝達する。摩擦熱および圧力のために、接合対象部材のうちの少なくとも1つの一部が軟化するかまたは融解し、それにより材料が接合される。

超音波溶着におけるホーンと回転アンビルの間の押付け力は、好ましくは100N〜1500Nであり、より好ましくは300N〜1300Nであり、さらに好ましくは500N〜1100Nであり、特に好ましくは700N〜1000Nである。超音波溶着におけるホーンと回転アンビルの間の押付け力が上記範囲内であれば、得られる層状物品において、柔軟性がより十分となり、より良好な手触り感を達成でき、また、本発明の層状物品の生産速度をより上げることができる。

1つの好ましい種類の超音波溶着は、一般に「連続超音波溶着」として知られている。連続超音波溶着は、通常、略連続的に接合装置内に供給することができる接合対象部材を封止するために使用される。連続超音波溶着では、ホーンは通常固定されており、接合対象部材がその真下を移動する。一種の連続超音波溶着は、固定されたホーンと回転アンビル面とを使用する。連続超音波溶着中、接合対象部材は、ホーンと回転アンビルとの間に引っ張られる。ホーンは、通常、接合対象部材に向かって長手方向に延在し、振動はホーンに沿って軸方向に材料まで移動する。

別の1つの好ましい種類の超音波融着接合は、ホーンは回転タイプであり、円柱状であって長手方向軸を中心に回転する。入力振動は、ホーンの軸方向にあり、出力振動はホーンの放射方向にある。ホーンは回転アンビルに近接して配置され、通常アンビルもまた、接合対象部材が円柱状面の間を、円柱状面の接線速度に実質的に等しい線速度で通過するように回転することができる。

超音波溶着は、例えば、特開2008−526552号公報、特開2010−195044号公報、特開2013−231249号公報、特開2015−16294号公報、米国特許第5976316号明細書などに記載されており、その開示内容は参照により本明細書に援用される。

本発明の層状物品の好ましい製造方法の一つは、繊維の不織布を含む層を少なくとも1層有する単層体または積層体の少なくとも一部を超音波溶着によって溶着する方法であり、より好ましくは、該超音波溶着を加熱した回転アンビルを用いて行う。加熱していない回転アンビルを用いて超音波溶着を行うと、連続的に溶着を行う場合にホーンおよび回転アンビルが経時で蓄熱してしまい、溶着強度が流れ方向および幅方向においてばらついてしまい、製品の品質ばらつきが生じてしまう。加熱した回転アンビルを用いて超音波溶着を行うことにより、ホーンおよび回転アンビルの経時での蓄熱を低減でき、溶着強度のばらつきを抑えることができ、製品の品質ばらつきを低減できる。また、加熱した回転アンビルを用いると、溶着に要するエネルギーとして回転アンビルの熱を利用できるため、溶着に要するエネルギーを増やすことができ、結果として、生産速度を上げることができる。

超音波溶着を加熱した回転アンビルを用いて行う場合、加熱温度は、好ましくは30℃〜150℃であり、より好ましくは35℃〜120℃であり、さらに好ましくは40℃〜100℃であり、特に好ましくは50℃〜90℃であり、最も好ましくは60℃〜80℃である。回転アンビルの加熱温度が上記範囲内であれば、ホーンおよび回転アンビルの経時での蓄熱を低減でき、溶着強度のばらつきを抑えることができ、製品の品質ばらつきを低減でき、また、溶着に要するエネルギーとして回転アンビルの熱を利用できるため、溶着に要するエネルギーを増やすことができ、結果として、生産速度を上げることができる。また、回転アンビルの加熱温度が上記範囲内であれば、得られる層状物品において、柔軟性がより十分となり、より良好な手触り感を達成できる。

超音波溶着を加熱した回転アンビルを用いて行う場合、さらに、回転アンビルの温度の変動が、好ましくは±20℃以内であり、より好ましくは±10℃以内であり、さらに好ましくは±8℃以内であり、特に好ましくは±5℃以内であり、最も好ましくは±2℃以内である。回転アンビルの温度の変動が上記範囲内であれば、溶着強度のばらつきをより抑えることができ、製品の品質ばらつきをより低減できる。さらに、回転アンビルの温度の変動が上記範囲内であれば、得られる層状物品において、柔軟性がより十分となり、より良好な手触り感を達成できる。

回転アンビルを加熱する方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法を採用し得る。このような方法としては、例えば、誘導発熱式、電気加熱式、熱媒循環式、蒸気加熱式などが挙げられる。

図2は、本発明の層状物品の好ましい製造方法の一例を示す概略断面図である。図2において、1000はホーン、2000は回転アンビルであり、係合層300と物性層400の積層体500がホーン1000と回転アンビル2000の間を矢印の方向に流れ、ホーン1000と回転アンビル2000の間において超音波溶着がなされる。ホーン1000と係合層300は接触してもよいし、非接触であってもよい。回転アンビル2000と物性層400は接触してもよいし、非接触であってもよい。ホーン1000と回転アンビル2000の間を通り抜けた積層体500が、本発明の層状物品(例えば、面ファスナー雌部材)となり得る。

繊維の不織布を含む層を少なくとも1層有する単層体または積層体の少なくとも一部を超音波溶着によって溶着する方法において、製造される層状物品の表面全体の面積に対する、超音波溶着によって溶着されて得られる溶着部の面積の割合(以下、「溶着面積割合」と称することがある)は、好ましくは50%以下であり、より好ましくは1%〜40%であり、さらに好ましくは5%〜35%であり、特に好ましくは10%〜30%であり、最も好ましくは15%〜25%である。上記溶着面積割合が上記範囲内にあれば、本発明の層状物品は、柔軟性がより十分となり、より良好な手触り感を達成できる。また、上記溶着面積割合が上記範囲内にあれば、生産速度を上げることができる。なお、後述するように、回転アンビル表面にエンボスパターンが設けられている場合は、「溶着面積割合」を「エンボス溶着面積割合」と言い換えることがある。

回転アンビル表面は、好ましくは、エンボスパターンを有する。このようなエンボスパターンの具体例としては、例えば、連続格子状、不連続格子状、連続曲線状、不連続曲線状、連続ジグザグ状、不連続ジグザグ状、連続直線状、不連続直線状、円状、楕円状、中空円状、中空楕円状、円弧状、中空円弧状などが挙げられる。

エンボスパターンとしては、本発明の効果をより効果的に発現させ得る点で、好ましくは、不連続のエンボスパターンであり、より好ましくは、円弧状のエンボスパターンである。回転アンビル表面に有し得る円弧状のエンボスパターンの一例としては、製造される層状物品に前述の図1に示した円弧状のエンボスパターンを付与し得るエンボスパターンが挙げられる。

すなわち、図1は、本発明の層状物品の表面に付与され得るエンボスパターンの一例を示す概略平面図であり、凹部である複数のエンボス10を有するが、このエンボス10を形成するような凸部のエンボスを有するエンボスパターンが、回転アンビル表面に設けられ得る。個々の凸部のエンボスは、「角」を有さないエンボスである。

エンボスパターンを構成する複数の凸部のエンボスのエンボス幅は、好ましくは0.1mm〜3.0mmであり、より好ましくは0.3mm〜2.0mmであり、さらに好ましくは0.3mm〜1.5mmであり、特に好ましくは0.5mm〜1.5mmであり、最も好ましくは0.5mm〜1.0mmである。エンボス幅が上記範囲内にあれば、本発明の層状物品は、柔軟性がより十分となり、より良好な手触り感を達成できる。なお、エンボス幅とは、例えば、図1に示すエンボス10のMD方向の幅Wに相当するものである。

エンボスパターンを構成する複数のエンボス中の隣接する2つのエンボスの距離は、MD方向のいずれの線上においても、好ましくは10mm以下であり、より好ましくは1mm〜10mmであり、さらに好ましくは1.5mm〜9mmであり、特に好ましくは2mm〜8mmであり、最も好ましくは2.5mm〜7mmである。エンボスパターンを構成する複数のエンボス中の隣接する2つのエンボスの距離が、MD方向のいずれの線上においても、上記範囲内にあれば、本発明の層状物品は、柔軟性がより十分となり、より良好な手触り感を達成できる。なお、エンボスパターンを構成する複数のエンボス中の隣接する2つのエンボスのMD方向の線上の距離とは、例えば、図1に示すMD方向の線P(CD方向のいずれの位置におけるMD方向の線でもよい)上における、隣接する2つのエンボスの距離Lに相当するものである。

凸部のエンボスの高さは、好ましくは0.1mm〜2.0mmであり、より好ましくは0.2mm〜1.8mmであり、さらに好ましくは0.3mm〜1.5mmであり、特に好ましくは0.5mm〜1.5mmであり、最も好ましくは0.7mm〜1.2mmである。凸部のエンボスの高さが上記範囲内にあれば、本発明の層状物品は、柔軟性がより十分となり、より良好な手触り感を達成できる。

以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、実施例等における、試験および評価方法は以下のとおりである。また、特に断りがない限り、部は重量部を意味し、%は重量%を意味する。

<繊維径測定> キーエンス社製のデジタルマイクロスコープ「VHX−1000」を用いて、倍率500倍で不織布表面を撮影し、同機の画像解析ソフトにてN=5以上繊維径を計測し、その平均値を繊維径とした。

<エンボスパターンによる溶着部の厚み> 得られた層状物品を凍結ミクロトームで切削して露出させた断面に導電処理を施し、FE−SEM(Hitachi製、S−4800、二次電子像、加速電圧1kV)にて断面を撮影し、溶着部の厚みを計測した。計測点はN=3で計測し、その平均値を溶着部の厚みとした。

<柔軟性> 得られた層状物品を2.5cm(MD方向)×50cm(TD方向)に切出し、切出した層状物品の物性層表面側を巻き内側として、TDが円周となるようにリング状とし、端部が互いに重なることのないようにステープラーで2箇所固定した。 得られた層状物品のリング体に幅方向から人差し指と親指で挟んで圧縮荷重を加え、該リング体が初期直径の半分まで変形させた時の反発力を確認した。 ○:反発力が低く、柔軟性が高い。 ×:反発力が高く、柔軟性が低い。

〔実施例1〜6〕 表1に示す原反不織布を積層し、23℃のエンボスパターンロールと、Herrmann社製超音波連続溶着装置(周波数20kHz、押付け力900N、速度50m/分)を用い、エンボス処理を施して、層状物品を得た。 用いたエンボスパターンは、図1に示す円弧状のエンボスパターンであり、エンボス幅0.8mm、隣接する2つのエンボスのMD方向の線上の距離の最大値(最大エンボス間距離)3.2mm、エンボス溶着面積割合23%、エンボスパターンによる溶着部の厚みは表1に示す通りであった。 結果を表1に示した。

〔実施例7〕 実施例1において、エンボスパターンロールの温度を50℃とし、速度を100m/分とした以外は、実施例1と同様に行った。 結果を表1に示した。

〔実施例8〕 実施例6において、エンボスパターンロールの温度を70℃とし、押付け力を850Nとし、速度を100m/分とした以外は、実施例6と同様に行った。 結果を表1に示した。

〔実施例9〜11〕 実施例8において、原反不織布を表1のように変更した以外は、実施例8と同様に行った。 結果を表1に示した。

〔実施例12〕 実施例6において、エンボスパターンロールの温度を80℃とし、押付け力を830Nとし、速度を100m/分とした以外は、実施例6と同様に行った。 結果を表1に示した。

〔比較例1〜3〕 表1に示す原反不織布を積層し、200℃のエンボスパターンロールと、室温のゴムロール(押付け力5000N、速度10m/分)を用い、エンボス処理を施して、層状物品を得た。 用いたエンボスパターンは、図1に示す円弧状のエンボスパターンであり、エンボス幅0.8mm、隣接する2つのエンボスのMD方向の線上の距離の最大値(最大エンボス間距離)3.2mm、エンボス溶着面積割合23%、エンボスパターンによる溶着部の厚みは表1に示す通りであった。 結果を表1に示した。

本発明の層状物品は、本発明の効果を有効に利用できる任意の適切な物品に用いることができる。このような物品としては、代表的には、例えば、衛生用品などが挙げられる。このような衛生用品としては、例えば、おむつ(特に、使い捨ておむつ)、サポーター、マスクなどが挙げられる。

10 エンボス 20 エンボスパターンのない領域 100 溶着部 300 係合層 400 物性層 500 積層体 1000 ホーン 2000 回転アンビル

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