留め具

申请号 JP2015204286 申请日 2015-10-16 公开(公告)号 JP6116640B1 公开(公告)日 2017-04-19
申请人 ナックス株式会社; 发明人 村井 勇輝;
摘要 【課題】固定後の取り外しを不可能とし、雌体に対する雄体の回転を阻止する構造の留め具を提供する。 【解決手段】雄体10は、雄体軸部15、鍔部16、側方ガイド壁18からなる係合突起14を備え、雌体20は、雄体10の係合突起14が挿入される軸孔25が形成され、該軸孔25には雄体10の下向き段差部17と係合する上向き段差部26と嵌合空間27が形成され、雌体基部23から上向き段差部26を経て雌体軸部24の一部に至る部分に分割溝28が形成され、側方ガイド壁18と分割溝28とを対応させて挿入すると、下向き段差部17と上向き段差部26が係合されるとともに雄体10の回転を阻止し、これらの 位置 をずらして挿入すると、側方ガイド壁18の外周面18aに上向き段差部26が圧接して仮止め状態となる。 【選択図】図4
权利要求

雄体および雌体からなる留め具であって、 前記雄体は、板状の雄体基部、前記雄体基部の内側表面から立設する雄体軸部、前記雄体軸部の周壁よりも大径であり下向き段差部を形成するようにして当該雄体軸部の先端に延設される鍔部、前記雄体軸部の互いに離隔した少なくとも2箇所の周壁の位置から前記鍔部と同径となるように側方に突出し、前記鍔部と前記雄体基部との間を軸方向に沿って連結する側方ガイド壁とが設けられた係合突起を備え、 前記雌体は、板状の雌体基部と、前記雌体基部の内側表面から立設し、前記雄体の鍔部より大径の雌体軸部とを備え、前記雌体軸部を貫通して前記雌体基部の外側表面に開口し、前記係合突起が挿入される軸孔が形成され、 前記軸孔は、前記鍔部が嵌合される径の嵌合空間が前記雌体基部の外側表面の開口部分に形成され、当該嵌合空間の下面となる位置に内径が前記鍔部および前記側方ガイド壁の径よりも小さく前記鍔部の下向き段差部と係合する上向き段差部が形成され、前記上向き段差部の下側に軸方向に沿って内径が前記鍔部および前記側方ガイド壁の径と同径になるまで拡大するテーパー状の内周面が形成されるとともにその下側に前記鍔部および前記側方ガイド壁と同径の内周面が形成され、 さらに、前記軸孔に挿入された前記係合突起の前記側方ガイド壁が突出する位置と周方向の位置を対応させた少なくとも2箇所の位置で、前記雌体基部から前記上向き段差部および前記テーパー状の内周面を含めた前記雌体軸部の一部に至る部分を、前記軸孔の軸方向に沿って、前記側方ガイド壁が嵌入可能な溝幅の分割溝が形成され、 前記係合突起は、前記側方ガイド壁と前記分割溝との周方向の位置を対応させて前記雌体の前記軸孔に挿入されたときに、前記分割溝で分割されている上向き段差部が一時的に押し広げられて貫通することにより、前記下向き段差部が前記上向き段差部と係合されるとともに前記鍔部が前記嵌合空間に嵌合され、 前記下向き段差部が、前記上向き段差部に係合された後に前記係合突起を前記軸孔から引き抜く方向のが作用したときに、前記上向き段差部を押圧するとともに前記鍔部を側方から圧接する力が働くように構成され、 さらに前記分割溝に前記側方ガイド壁が嵌入されて前記雄体の周方向の回転が制限されるように構成され、 前記係合突起は、前記側方ガイド壁と前記分割溝との周方向の位置が位置ずれした状態で前記雌体の前記軸孔に挿入されたときには、上向き段差部が押し広げられた状態のままで貫通することにより、前記側方ガイド壁の外周面に上向き段差部が圧接して仮止め状態となるように構成されることを特徴とする留め具。前記雄体と前記雌体とが変形自在な連結部材を介して一体に接続される請求項1に記載の留め具。前記雄体または前記雌体または前記連結部材の少なくともいずれかにフック機構が付設される請求項1または請求項2に記載の留め具。

说明书全文

本発明は、雄体側を雌体側に挿入するようにして固定する留め具に関し、さらに詳細には、固定後に再び外すことや、雌体に対し雄体を回転することが困難な留め具に関する。

シート部材を重ねて固定したり、一方の部材を他方の部材に固定したりする際の固定用の留め具(止め具)として、合成樹脂で作製されたネジ、ナット、スナップ、ホック、鋲等が従来から用いられている。 多くの留め具は、繰り返し着脱して使用できるように着脱自在な構造となっているが、中には、一度取り付けると二度と取り外せない方が望ましい用途に使用される留め具もある。 例えば組み立て式のダンボール製ボックス等では、組み立ての際に、隣り合う側面どうしが一部重なるようにダンボール紙の側面の一部をコーナー部分で折り曲げ、重ね合わされたダンボール紙どうしを留め具で固定するようにしてある。このとき、コーナーを固定するための「コーナー留め」として雌雄一対の留め具が用いられるが、この場合の留め具は、一旦固定した後は決して外れたり破断したりしないようにすることが必要になる。

このような用途に適した留め具として、出願人は、雄体と雌体とからなる留め具であって、雌体の軸方向に沿って大きな分割溝を形成した留め具を開発し、出願している(特許文献1参照)。

図7は特許文献1に開示された留め具1aを示す斜視図であって、該留め具1aは雄体10aと雌体20aとからなり、これらを互いに係合させて固定した状態を示している。 また、図8は雄体10aの斜視図であり、図9は雌体20aの斜視図(a)と分割溝28の形成方向から見た正面図(b)であり、図10は留め具1aの使用状態における断面図である。

留め具1aの雄体10aと雌体20aとは合成樹脂(ポリエチレン等)からなる一対の部材で構成される。 雄体10aは、内側表面11が平面、外側表面12が凸面である円板状の雄体基部13と、内側表面11から立設する係合突起14とからなる。 係合突起14は、雄体基部13に近い側で柱状の軸体をなす雄体軸部15と、雄体軸部15の先端に設けられる鍔部16とからなる。鍔部16と雄体軸部15との境界部分には、鍔部16よりも外径の小さい括れ部17aが形成してある。括れ部17aは雄体軸部15の先端側を先細りのテーパー状の外周面として形成してあり、鍔部16の外径と雄体軸部15の基部側の外径とは略同径にしてある。この括れ部17aが形成されることにより、鍔部16の下面となる下向きの段差面が形成されている。この段差部分は後述する雌体20aの段差面26aと係合する際の係合面となる。鍔部16上面の周縁は丸く面取りしてある。

雌体20aは、内側表面21が平面、外側表面22が凸面である円板状の雌体基部23と、内側表面21から立設する雌体軸部24とからなる。雌体軸部24の軸径は雄体10aの鍔部16の外径よりも大径となっており、雌体軸部24を軸方向に貫通し、外側表面22に開口する軸孔25が形成してある。

この軸孔25は、雄体10aの係合突起14を挿入できるよう、係合突起14の形状に合わせた内径にしてあり、雄体軸部15先端側のテーパー状の外周面である括れ部17aに対応する部分にはテーパー状の内周面25aが形成してあり、鍔部16に対応する部分には鍔部16が嵌合される嵌合空間27が形成してある。すなわち、軸孔25は外側表面22に向かって開口する部分に鍔部16と嵌合する嵌合空間27が形成され、嵌合空間27の奥には鍔部16の外径よりも小径の孔で鍔部16下面の段差と係合する段差面26aが形成されており、また、段差面26aからテーパー状内周面25aが形成され、このテーパー状内周面25aの先には雄体軸部15基部側の柱状部分が挿入される筒状内周面25bが形成されている。

さらに、雌体20aには雌体基部23の外側表面22から段差面26aを経て雌体軸部24の一部(図10においてS−S’線で示した雌体軸部24のテーパー状内周面25a形成領域を越えた深さ)にかけて、軸孔25の軸方向に沿って雌体20aを分割する分割溝28が形成されており、この分割溝28により雌体基部23側が4分割されている。このような分割溝28を形成することにより、雌体基部23は弾性変形が可能になって半径方向に大きく広がることができるようにしてある。

したがって、雄体10aの鍔部16が軸孔25のテーパー状内周面25aと接する位置まで挿入されたとき、雌体20aの弾性変形によって軸孔25のテーパー状内周面25aが押し広げられることで、抵抗なく鍔部16を挿入することができるようになっている。 また、雌体20aが弾性変形することにより段差面26aの位置の孔径を大きく変化させることができるので、段差面26aで鍔部16の段差と接する部分の面積を十分に大きくとることができるようになっている。

ここで、具体例として、ダンボール紙等の板状の第一部材1Dと第二部材2Dとを固定する場合における雄体10aと雌体20aとの使用例について図10を用いて説明する。 雄体10aは、第一部材1Dに形成された貫通孔に係合突起14を貫通させるとともに、雄体基部13の内側表面11が第一部材1Dに当接するようにして取り付けてある。同様に雌体20aは、第二部材2Dに形成された貫通孔に雌体軸部24を貫通させるとともに、雌体基部23の内側表面21が第二部材2Dに当接するようにして取り付けてある。

雄体10aの係合突起14を雌体20aの軸孔25の筒状内周面25b側から挿入していくと、やがて係合突起14の鍔部16がテーパー状内周面25aの位置まで到達してこれに接することにより軽い抵抗を受けるようになる。さらに挿入していくと、雌体20aは弾性変形してテーパー状内周面25aが押し広げられ、鍔部16が段差面26aを越えると、弾性変形した状態から元に戻って段差面26aと括れ部17aの段差とが面接するようになる。そして鍔部16の側面が嵌合空間27の内面で嵌合され、雄体10aが雌体20aに完全に固定された状態になる。

雄体10aが雌体20aに一旦固定された後は、雄体10aを雌体20aから引き抜こうとする軸方向の強い引き抜き力が働いても、両者は堅固に固定されているため係合状態を解除することが困難となる。 すなわち、雄体10aの括れ部17aの段差が雌体20aの段差面26aと当接しているため、これが強い抵抗となって引き抜けなくなる。しかも大きな引き抜き力が加わるほど、雌体20aにおける分割溝28で分割された雌体基部23側の各分割片は、分割溝28の底(図10のS−S’線の位置)を支点(軸)とし、段差面26aを力点とする力のモーメントが働き、鍔部16側面や括れ部17a近辺を周囲から強く圧接するようになる。この作用によって引き抜き力に対する抵抗がさらに強まって係合が堅固になる。 このように、留め具1aを使用することにより、一旦雄体10aと雌体20aとが固定されてしまうと堅固に固定され、簡単には取り外せないようにすることができる。

国際公開WO2015/111234号公報

上記の留め具1aは、固定後の取り外しを阻止する用途において非常に優れた留め具である。 一方、用途によっては固定後の取り外しを不可能とするだけでなく、雌体に対して雄体を回転できなくすることが求められる場合もある。 例えば図10の使用例において、雄体10aと雌体20aとに挟まれた第一部材1Dと第二部材2Dの互いに接する面どうしが回転しないように固定したい場合には、雄体10aが雌体20aに対し回転できないように固定することができれば、雄体10aの内側表面11を第一部材1Dに接着剤等で接着させ、雌体20aの内側表面21を第二部材2Dに接着させておくだけで、第一部材1Dと第二部材2Dとの回転を阻止することができる。 そこで本発明は、一旦固定した後の取り外しを不可能とするとともに、雌体に対し雄体が回転できない構造の留め具を提供することを第一の目的とする。

また、異なる用途として、第一部材1D、第二部材2Dに複数の孔が形成してあり、これら複数の孔のそれぞれに対し、同数の留め具1aを用いて、全ての孔を固定したい場合がある。その場合、留め具1aを1つずつ孔に通して固定していく方法では、途中で何らかの不具合が発生したときに、既に固定した留め具1aを取り外すことができない。このような事態を防ぐには、全ての孔に留め具1aを仮止め状態で取り付けておき、最終的に不具合がないことを確認した後で、仮止め状態から完全な固定状態に移行する方法が望ましい。 そこで本発明は、取り外しが困難な完全固定状態の前段階として、取り外しが可能な仮止め状態にすることができる留め具を提供することを第二の目的とする。

上記課題を解決するために、本発明では次のような技術的手段を講じた。 すなわち、本発明の留め具は、雄体および雌体からなる留め具であって、前記雄体は、板状の雄体基部、前記雄体基部の内側表面から立設する雄体軸部、前記雄体軸部の周壁よりも大径であり下向き段差部を形成するようにして当該雄体軸部の先端に延設される鍔部、前記雄体軸部の互いに離隔した少なくとも2箇所の周壁の位置から前記鍔部と同径となるように側方に突出し、前記鍔部と前記雄体基部との間を軸方向に沿って連結する側方ガイド壁とが設けられた係合突起を備え、前記雌体は、板状の雌体基部と、前記雌体基部の内側表面から立設し、前記雄体の鍔部より大径の雌体軸部とを備え、前記雌体軸部を貫通して前記雌体基部の外側表面に開口し、前記係合突起が挿入される軸孔が形成され、前記軸孔は、前記鍔部が嵌合される径の嵌合空間が前記雌体基部の外側表面の開口部分に形成され、当該嵌合空間の下面となる位置に内径が前記鍔部および前記側方ガイド壁の径よりも小さく前記鍔部の下向き段差部と係合する上向き段差部が形成され、前記上向き段差部の下側に軸方向に沿って内径が前記鍔部および前記側方ガイド壁の径と同径になるまで拡大するテーパー状の内周面が形成されるとともにその下側に前記鍔部および前記側方ガイド壁と同径の内周面が形成され、さらに、前記軸孔に挿入された前記係合突起の前記側方ガイド壁が突出する位置と周方向の位置を対応させた少なくとも2箇所の位置で、前記雌体基部から前記上向き段差部および前記テーパー状の内周面を含めた前記雌体軸部の一部に至る部分を、前記軸孔の軸方向に沿って、前記側方ガイド壁が嵌入可能な溝幅の分割溝が形成され、前記係合突起は、前記側方ガイド壁と前記分割溝との周方向の位置を対応させて前記雌体の前記軸孔に挿入されたときに、前記分割溝で分割されている上向き段差部が一時的に押し広げられて貫通することにより、前記下向き段差部が前記上向き段差部と係合されるとともに前記鍔部が前記嵌合空間に嵌合され、前記下向き段差部が、前記上向き段差部に係合された後に前記係合突起を前記軸孔から引き抜く方向の力が作用したときに、前記上向き段差部を押圧するとともに前記鍔部を側方から圧接する力が働くように構成され、さらに前記分割溝に前記側方ガイド壁が嵌入されて前記雄体の周方向の回転が制限されるように構成され、前記係合突起は、前記側方ガイド壁と前記分割溝との周方向の位置が位置ずれした状態で前記雌体の前記軸孔に挿入されたときには、上向き段差部が押し広げられた状態のままで貫通することにより、前記側方ガイド壁の外周面に上向き段差部が圧接して仮止め状態となるように構成される。

本発明によれば、雌体は雌体基部の外側表面から上向き段差部およびテーパー状の内周面を含めた雌体軸部の一部に至る部分までが分割溝で複数に分割されており、雄体は雄体軸部の周壁から側方に向けて鍔部の径と同径かつ分割溝に嵌入可能な幅の側方ガイド壁が設けられている。そして、側方ガイド壁と分割溝とは周方向の位置が対応するように設けてある。 したがって、側方ガイド壁と分割溝の互いの周方向の位置が一致するように対応させて、雌体の軸孔に雄体の係合突起を挿入していくと、鍔部により雌体の上向き段差部が押し広げられて貫通し、雄体の下向き段差部と雌体の上向き段差部とが係合されるとともに鍔部が嵌合空間に嵌合され、さらに分割溝に側方ガイド壁が嵌入される。 その結果、雄体が雌体に固定された後に、係合突起を軸孔から引き抜く方向の力、および、係合突起を回転する力が作用したときには、下向き段差部が上向き段差部を押圧するとともに鍔部を側方から圧接する力が働くようになって引き抜きが困難になるだけでなく、側方ガイド壁が分割溝に嵌入されていることにより雄体の周方向の回転も制限される。 また、側方ガイド壁と分割溝との周方向の位置が位置ずれした状態で、係合突起が雌体の軸孔に挿入されたときには、上向き段差部が押し広げられた状態のまま鍔部が貫通することにより、側方ガイド壁の外周面に上向き段差部が圧接するようになって仮止め状態となる。この仮止め状態のときに再び引き抜く方向の力を作用させると、上向き段差部が側方ガイド壁の外周面を圧接する摩擦力を超える力を加えるだけで引き抜くことができる。一方、仮止め状態から雄体軸部を回転して位置ずれをなくすことにより、側方ガイド壁が分割溝に嵌入するとともに上向き段差部と下向き段差部とが係合するようになり、堅固な固定が実現される。

したがって、本発明によれば、側方ガイド壁と分割溝の周方向の位置を合わせて雄体を雌体に挿入することにより、堅固な固定とともに雄体の回転を制限することができるようになり、また、側方ガイド壁と分割溝の周方向の位置をずらして雄体を雌体に挿入することにより、再び雄体を抜き出し可能な仮止め状態とすることができる。

上記発明において、前記雄体と前記雌体とが変形自在な連結部材を介して一体に接続されるようにしてもよい。

れにより雄体と雌体とを一対で保持できるので、雄体または雌体のいずれかが不足して留めることができなくなるといった不具合を防ぐことができる。

また、上記発明において、前記雄体または前記雌体または前記連結部材の少なくともいずれかにフック機構が付設されるようにしてもよい。これにより留め具で固定した他の部材に対し、フック機構を堅固に取り付けることができる。

本発明に係る留め具の一実施形態を示す斜視図。

図1の留め具の雄体部分を示す図。

図1の留め具の雌体部分を示す図。

図1に示す留め具の断面図。

本発明の留め具における雌体の仮止め状態を示す部分断面図。

本発明に係る留め具の変形実施例を示す図。

従来の留め具の構造を示す斜視図。

図7の留め具の雄体部分を示す図。

図7の留め具の雌体部分を示す図。

図7に示す留め具の断面図。

以下において、本発明の詳細をその実施形態を示す図面に基づいて説明する。 図1は本発明の一実施形態である留め具1を示す斜視図である。留め具1は雄体10と雌体20とからなり、図1では互いを係合させて固定した状態(使用状態)を示している。 図2は雄体10の構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(b)におけるA−A’線断面図、(d)は(a)におけるB−B’線断面図である。 図3は雌体20の構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は一部断面正面図である。 図4は図1の留め具1の固定状態における断面図である。 なお、図7〜10の従来例において説明した留め具1aの雌体20aは分割溝28で4分割されているのに対し、本実施形態では雌体20が3分割されている点が異なるが、この点以外の同じ機能を有する構成部分については、同じ符号を付すことにより説明を省略する。

留め具1は、合成樹脂(ポリエチレン等)製の雄体10と雌体20とからなる一対の部材で構成される。 雄体10は、内側表面11、外側表面12が平らな円板状の雄体基部13と、内側表面11から立設する係合突起14とからなる。雄体基部13は、作製時に使用する樹脂量を節約するとともに加工時に安定した加工を実施するため、肉抜きの開口13aが設けてある。

係合突起14は、雄体基部13に近い側で柱状の軸体をなす雄体軸部15と、雄体軸部15より大径であり雄体軸部15の先端に設けられる鍔部16と、雄体軸部15の軸線周りに互いに回転対称となる位置、具体的には120度ずつ離隔した位置に、周壁15aから鍔部16と同径となるように側方に突出し、鍔部16と雄体基部13との間を軸方向に沿って連結する側方ガイド壁18とからなる。 鍔部16と雄体軸部15との境界部分で、側方ガイド壁18が突出して鍔部16と同径になっていない位置には、鍔部16の下面として段差をなす下向き段差部17が形成してある。下向き段差部17は後述する雌体20の上向き段差部26と係合する際の係合面となる。鍔部16上面の周縁は丸く面取りしてある。

雌体20は、内側表面21が平面、外側表面22が凸面である円板状の雌体基部23と、内側表面21から立設する雌体軸部24とからなり、雌体基部23から雌体軸部24の一部(図4のS−S’線)にかけて軸線J方向に沿った分割溝28が形成してある。なお、分割溝28の数が軸線J周りの回転対称(120度ずつ離隔)の位置に3つ形成されている点を除いて、図9で説明した雌体20a(90度ずつ4分割)と基本的に同様の構造である。すなわち、雌体軸部24の外径は雄体10の鍔部16の外径よりも大径となっており、雌体軸部24を軸方向に貫通し、外側表面22に開口する軸孔25が形成してある。

この軸孔25の内径は、雄体10の鍔部16が挿入できるように、鍔部16の外径に合わせてある。すなわち、雄体10が雌体20に固定される状態まで挿入した状態での鍔部16に対応する部分には鍔部16が嵌合される嵌合空間27が形成してあり、この嵌合空間27の下面になる位置であって、雄体10の下向き段差部17に対応する部分には上向き段差部26が形成してある。 また、上向き段差部26より下側で、分割溝28の溝底よりも上側の領域の軸孔25には、下側へ向かうにつれて内径が拡大するテーパー状内周面25aが形成してあり、それよりも下側の軸孔25の内径は再び鍔部16の外径に合わせてある。 分割溝28によって雌体基部23は3分割されているが、このような分割溝28を形成することにより、雌体基部23は弾性変形が可能になって半径方向に大きく広がることができるようにしてある。また、分割溝28の溝幅Wは、雄体10の側方ガイド壁18が嵌り込む幅に形成してある。

次に、雄体10と雌体20とを係合させて固定した状態について説明する。図4の左半分は側方ガイド壁18が分割溝28に嵌り込んだ部分の断面であり、右半分は雄体10の下向き段差部17と雌体20の上向き段差部26とが係合した部分の断面である。すなわち、雄体10の側方ガイド壁18の周壁となる外周面18a(図2(c)参照)が分割溝28の位置にくるように合わせて雌体20に挿入したときの、図2(a)のB−B’線断面に対応する断面図である。

側方ガイド壁18の外周面18aが分割溝28の周方向の位置に合わされた状態で、雄体10の鍔部16が下方から軸孔25のテーパー状内周面25aと接する位置まで挿入されていくと、雌体20がテーパー状内周面25aでの弾性変形によって押し広げられることで、鍔部16がさらに上方に挿入されるようになる。 鍔部16が上向き段差部26を完全に貫通する位置まで挿入されて下向き段差部17が上向き段差部26を越えると、弾性変形が元に戻り、図4に示すように上向き段差部26と下向き段差部17とが面接するようになる。

上向き段差部26と下向き段差部17の面接後は、これが強い抵抗となって引き抜くことができなくなる。しかも大きな引き抜き力が加わるほど、雌体20の分割溝28で分割された雌体基部23側の各分割片は、分割溝28の溝底(S−S’線)を支点(軸)とし、上向き段差部26を力点とする力のモーメントが働き、鍔部16や下向き段差部17近辺を周囲から強く圧接するようになる。この作用によって引き抜き力に対する抵抗がさらに強まって係合が堅固になる。

また、このとき側方ガイド壁18は分割溝28の溝内に嵌り込んでいるため、側方ガイド壁18の両側面18b、18b(図2(c)参照)は、テーパー状内周面25aの高さにある雌体20の内側に突き出した内壁に挟まれた状態になっているので、雌体20に対する雄体10の回転を阻止している。

したがって、雄体10の内側表面11を第一部材1Dに接着剤等で接着させ、雌体20の内側表面21を第二部材2Dに接着させるだけで、第一部材1Dと第二部材2Dとの回転ずれをなくすことができるようになる。

次に、雄体10と雌体20との仮止め状態について図5を用いて説明する。すなわち、雄体10と雌体20とを図4の固定状態にすると、外すことが困難になる。そのため、完全に固定する直前にこのまま固定してよいかを確認するために、側方ガイド壁18の外周面18aを分割溝28から回転方向に外れた位置に合わせて雄体10を雌体20に挿入することで、一時的に仮止め状態としておくことができる。 図5に示すように、雌体20の上向き段差部26は弾性変形した状態で、側方ガイド壁18の外周面18aを圧接するようになり、この圧接力によって仮止め状態が維持される。 したがって、仮止め状態のときに、このまま固定してよいかを確認することができ、問題なければ、雄体10を回転して側方ガイド壁18の外周面18aを分割溝28に嵌り込ませることで完全に固定することができる。

(変形実施例) 本発明は必ずしも上記の実施形態に特定されるものではなく、本発明の目的を達成し、請求の範囲を逸脱しない範囲内で適宜修正、変更することが可能である。 例えば、上記の実施形態では留め具1の雄体10と雌体20とを別体としたが、一体で作製することもできる。具体的には、雄体と雌体とを変形自在な連結部材を介して一体接続して対にしておくことにより、雄体または雌体の一方の数が不足する不具合をなくすことができる。また、雄体と雌体のいずれかにフック機構を付設することで、留め具で固定した物品とフック機構とを一体にすることができる。

図6は、連結部材で一体にするとともにフック機構を備えた留め具2を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。留め具2は、雄体50と雌体51と連結部材52とフック機構53とが連結するようにして一体成形してある。 フック機構53は雌体51における雌体基部の一部を構成し、フック機構53の一部が連結部材52を兼ねている。連結部材52は中間部分54が屈曲できるように薄肉にしてあり、この部分で折り返すことにより雄体50と雌体51とが固定できるようにしてある。 なお、本実施例では連結部材52、フック機構53は変形しにくい厚さにしているが、フック機構53を設けずに連結部材52を細くして自由に変形できるようにすれば、雌体51に対して雄体50を仮止め状態にして使用することができるようになる。 なお、図6ではフック機構53を雌体51の一部に設けているが、これに代えて連結部材52、あるいは雄体50に設けるようにしてもよい。

また、上記実施形態はいずれも雌体基部を3分割したものを用いたが、2分割や4分割等としてもよい。また、使用する材料についても樹脂に限らず、金属であってもよく、いずれも金型による成形加工で製造することが可能である。

本発明は、雄体側を雌体側に挿入するようにして固定する留め具として利用することができる。

1、2 留め具 10、50 雄体 11 内側表面 13 雄体基部 14 係合突起 15 雄体軸部 16 鍔部 17 下向き段差部 18 側方ガイド壁 18a 外周面 20、51 雌体 21 内側表面 22 外側表面 23 雌体基部 24 雌体軸部 25 軸孔 25a テーパー状内周面 26 上向き段差部 27 嵌合空間 28 分割溝 52 連結部材 53 フック機構

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