内部層形状構成を有するニット構成要素を組み込んだ履物製品

申请号 JP2015542695 申请日 2013-11-07 公开(公告)号 JP2015534876A 公开(公告)日 2015-12-07
申请人 ナイキ イノヴェイト シーヴィー; ナイキ イノヴェイト シーヴィー; 发明人 ファハミ,ウィンドラ; シーマークス,カール;
摘要 【課題】外側部104と内側部105との間で変わる異なる特性をアッパー120に与える。【解決手段】履物製品のアッパーは、ニット構成要素130と、そのニット構成要素130の外側面に固定された表面層とを含んでいる。ニット構成要素130は、ニット構成要素130の内側面に固定された非対称内部層280を含む。非対称内部層280は、裏地層284と、非対称内部層280を形成するように接合する接続層282とを含んでいる。非対称内部層280は、アッパーの変化する側面に沿って、異なる量の感触およびクッション性をもたらす、変化する外側部104および内側部105を有している。【選択図】図26
权利要求

アッパーと、前記アッパーに固定されたソール構造とを有する履物製品であって、前記アッパーが、足先領域、中足領域およびかかと領域にわたり、 前記アッパーは、前記アッパーから離れて広がっている外側面と、着用者の足を収容するための前記アッパー内の空洞を囲んでいる内側面とを有するニット構成要素と、前記ニット構成要素の前記内側面に取り付けられた非対称内部層とを含み、 前記非対称内部層が、前記足先領域から、前記アッパーの内側部上の前記中足領域の一部までの第1の距離だけ延びている内側部と、前記足先領域から、前記アッパーの外側部上の前記中足領域の一部までの第2の距離だけ延びている外側部とを含み、前記第2の距離が前記第1の距離よりも大きい、履物製品。前記非対称内部層の内側部は、前記アッパーの足先領域全体で、前記非対称内部層の外側部と実質的に連続している、請求項1に記載の履物製品。前記非対称内部層の前記外側部は、前記足先領域から、前記アッパーの前記外側部の前記かかと領域の部分までさらに延びている、請求項1に記載の履物製品。前記非対称内部層の前記外側部は、前記アッパーの前記外側部で、前記ニット構成要素のカラーまで延びている、請求項3に記載の履物製品。前記非対称内部層は、前記ニット構成要素のカラーに隣接して設けられた少なくとも1つのカラー部をさらに含む、請求項1に記載の履物製品。前記非対称内部層は、裏地層および接続層をさらに含み、前記接続層は、熱可塑性高分子材料で形成され、前記裏地層は布地材料で形成される、請求項1に記載の履物製品。前記接続層は重複領域を含み、前記重複領域は、前記裏地層の周辺に沿って前記裏地層の少なくとも一部を覆い、および 前記熱可塑性高分子材料は、前記接続層を前記裏地層に接続するために、前記重複領域に沿って前記裏地層に少なくとも部分的に入り込む、請求項6に記載の履物製品。前記ニット構成要素は、(a)前記着用者の足の少なくとも一部を覆うための足部分と、(b)前記着用者の足首の少なくとも一部を覆うための足首部分とをさらに含み、前記足部分および前記足首部分は、一体ニット構造で形成され、および、 前記アッパーは、前記かかと領域に配置され、前記ニット構成要素の前記内側面に取り付けられ、および前記ニット構成要素の前記足部分から、前記ニット構成要素の前記足首部分まで及ぶかかとパッドをさらに含む、請求項1に記載の履物製品。アッパーと、前記アッパーに固定されたソール構造とを有する履物製品であって、前記アッパーが、足先領域、中足領域およびかかと領域にわたって及び、 前記アッパーは、前記アッパーから離れて広がっている外側面と、着用者の足を収容するためのアッパー内の空洞を囲んでいる内側面とを有するニット構成要素と、前記ニット構成要素の前記内側面に取り付けられた非対称内部層とを有し、 前記非対称内部層が、裏地層および接続層を含み、前記接続層が熱可塑性高分子材料で形成され、および前記裏地層が布地材料で形成され、 前記裏地層は、前記足先領域から、前記アッパーの前記内側部上の前記中足領域の一部まで及んでいる内側部と、前記足先領域から、前記アッパーの外側部上の前記中足領域の一部まで及んでいる外側部とを含み、前記外側部が前記内側部よりも大きくなっている、履物製品。前記接続層は重複領域を含み、前記重複領域は、前記裏地層の周辺に沿って前記裏地層の少なくとも一部を覆い、および 前記熱可塑性高分子材料は、前記接続層を前記裏地層に接続するために、前記重複領域に沿って前記裏地層に少なくとも部分的に入り込む、請求項9に記載の履物製品。前記接続層は、 前記非対称内部層のほぼ中間を中心とするスロート部と、 少なくとも1つの延長部であって、前記スロート部から、前記非対称内部層の内側部および外側部の少なくとも一方まで延びている少なくとも1つの延長部と、 をさらに含む、請求項9に記載の履物製品。前記接続層の前記少なくとも1つの延長部は、前記裏地層の前記内側部および外側部の一方の周辺の輪郭をたどる、請求項11に記載の履物製品。前記接続層の前記スロート部は、複数の開口を含み、前記複数の開口は、締めひもを収容するために前記ニット構成要素に設けられた締めひも収容要素と位置合わせされて一致するように構成される、請求項11に記載の履物製品。前記裏地層の前記外側部は、前記アッパーの前記外側部の前記ニット構成要素のカラーまで延びている、請求項9に記載の履物製品。前記非対称内部層は、前記ニット構成要素のカラーに隣接して設けられた少なくとも1つのカラー部をさらに含む、請求項9に記載の履物製品。前記少なくとも1つのカラー部は、前記裏地層のカラー部を囲む前記接続層のカラー部を含む、請求項15に記載の履物製品。前記ニット構成要素は、(a)前記着用者の足の少なくとも一部を覆うための足部分と、(b)前記着用者の足首の少なくとも一部を覆うための足首部分とをさらに含み、前記足部分および前記足首部分は、一体ニット構造で形成され、および、 前記アッパーは、前記かかと領域に配置され、前記ニット構成要素の前記内側面に取り付けられ、および前記ニット構成要素の前記足部分から、前記ニット構成要素の前記足首部分まで及んでいるかかとパッドをさらに含む、請求項9に記載の履物製品。アッパーと、前記アッパーに固定されたソール構造とを有する履物製品であって、前記アッパーは、足先領域、中足領域およびかかと領域にわたって広がり、前記アッパーは、前記アッパーから離れて広がっている外側面と、着用者の足を収容するための前記アッパー内の空洞を囲んでいる内側面とを有するニット構成要素を含み、 前記ニット構成要素は、(a)前記着用者の足の少なくとも一部を覆うための足部分と、(b)前記着用者の足首の少なくとも一部を覆うための足首部分とをさらに含み、前記足部分および前記足首部分は、一体ニット構造で形成され、および、 前記アッパーは、前記かかと領域に配置され、前記ニット構成要素の前記内側面に取り付けられ、および前記ニット構成要素の前記足部分から、前記ニット構成要素の前記足首部分まで及んでいるかかとパッドをさらに含む、履物製品。前記かかとパッドは、前記ニット構成要素の前記足部分に設けられた本体部と、前記ニット構成要素の前記足首部分に設けられた上行部とを含み、および 前記本体部は、前記上行部よりも幅広である、請求項18に記載の履物製品。前記かかとパッドの前記本体部は、前記着用者のかかとに一致するように構成された形状を有し、および 前記上行部は、前記着用者のアキレスに一致するように構成された形状を有する、請求項19に記載の履物製品。前記かかとパッドの前記本体部は、前記着用者の足首に一致して囲むように構成された形状を有する、請求項19に記載の履物製品。表面層が前記ニット構成要素に固定され、前記表面層は、前記アッパーの外側面の一部を形成し、 前記表面層は、前記ニット構成要素の足首部分にはない、請求項18に記載の履物製品。前記足首部分は、前記着用者の足首の周り全体に及ぶための連続構造を有する、請求項18に記載の履物製品。前記かかとパッドは、前記着用者の足を収容するための開口部に隣接する上縁部から、前記アッパーの底部に沿って設けられた中敷きに隣接する底縁部まで延びている、請求項23に記載の履物製品。前記かかとパッドは、パッド層および被覆層を含む少なくとも2つの層を含み、前記パッド層は、前記ニット構成要素の内側面に沿って設けられ、前記被覆層は、前記パッド層に沿って設けられ、前記ニット構成要素の内側面の少なくとも一部は、前記パッド層を越えて延びている、請求項18に記載の履物製品。前記被覆層は、前記アッパーの底部に隣接している前記かかとパッドの底縁部まで延び、および 前記パッド層は、前記アッパーの底部の上の第1の高さだけ、前記底縁部から離間して配置されている前記かかとパッドの部分に設けられる、請求項25に記載の履物製品。前記ニット構成要素に固定され、および前記アッパーの内側面の一部を形成する内部層をさらに含む、請求項18に記載の履物製品。

说明书全文

本発明はニット構成要素を組み込んだ履物製品に関するものである。

従来の履物製品は一般に、アッパーおよびソール構造という2つの主要な要素を含んでいる。アッパーは、ソール構造に固定されて、足を快適かつ安定して受け入れるために、履物の内部に空洞を形成する。ソール構造は、アッパーと地面との間に配置されるように、アッパーの下面に固定されている。

例えば、いくつかの運動用の履物では、ソール構造は、ミッドソールとアウトソールとを含んでもよい。ミッドソールは、地面の反を弱めて、歩くとき、走るとき、および他の歩行活動中に足および脚にかかる応力を低減するポリマー発泡材料によって形成される。アウトソールは、ミッドソールの下面に固定されて、耐久性のある耐摩耗性材料で形成されるソール構造の地面係止部を構成している。また、ソール構造は、履物の快適性を高めるために、空洞内に配置され、足の下面に近接する中敷きも含んでもよい。

アッパーは大略的に、足の甲およびつま先領域にわたり、足の内側部および外側部に沿って、足のかかと領域の周りに延びている。バスケットボール用履物およびブーツなどいくつかの履物製品では、アッパーは上方に、足首の周りに延びて、足首に支持または保護を与えてもよい。アッパーの内部の空洞へのアクセスは、一般に、履物のかかと領域にある足首開口部によって提供される。

アッパーの履き心地を調整するために、しばしば締めひもシステムがアッパーに組み込まれ、それによりアッパー内の空洞に足を入れ、足を抜くことが可能になる。締めひもシステムにより、着用者がアッパーの特定の寸法、特に周長を調節して、さまざまな寸法の足を収容することもできる。くわえて、アッパーは、締めひもシステムの下に延びて、履物の調節可能性を高めるベロを含んでもよく、アッパーは、かかとの動きを制限するために、ヒールカウンタを組み込んでもよい。

さまざまな材料が、従来よりアッパーを製造する際に利用されている。例えば、運動用の履物のアッパーは、複数の材料要素によって形成してもよい。それらの材料要素は、例えば、耐伸縮性、耐摩耗性、柔軟性、通気性、圧縮性および速乾性を含むさまざまな特性に基づいて選択することができる。アッパーの外側に関しては、つま先領域およびかかと領域は、比較的高い耐摩耗性を付与するために、革、合成皮革またはゴム材料によって形成してもよい。革、合成皮革およびゴム材料は、外側の他のさまざまな領域に対しては、所望の程度の柔軟性および通気性を呈していなくてもよい。したがって、外側の他の領域は、例えば、合成繊維によって形成してもよい。そのため、アッパーの外側は、それぞれ異なる特性をアッパーに付与する複数の材料要素によって形成される。

アッパーの中間または中心層は、クッション性をもたらし、および快適性を高める軽量ポリマー発泡材料によって形成してもよい。同様に、アッパーの内部は、足を直接囲んでいる領域から汗を取り除く快適で速乾性の繊維で形成してもよい。さまざまな材料要素および他の構成要素は、接着剤または縫製で接合してもよい。

したがって、従来のアッパーは、それぞれ異なる特性を、履物のさまざまな領域に付与するさまざまな材料要素によって形成されている。

米国特許第6,931,762号明細書

米国特許第7,347,011号明細書

米国特許出願公開第2008/0110048号明細書

米国特許出願公開第2010/0154256号明細書

米国特許出願公開第20120233882号明細書

米国特許出願公開第2010/0199406号明細書

米国特許出願公開第2010/0246973号明細書

本発明は、内部層形状構成を有するニット構成要素を組み込んだ履物製品を提供することを目的とする。

本発明は、アッパーと、そのアッパーに固定されたソール構造とを有する履物製品を提供する。アッパーは、足先領域、中足領域およびかかと領域にわたって及んでおり、アッパーから離れて広がっている外側面と、着用者の足を収容するためのアッパー内の空洞を囲んでいる内側面とを有する。アッパーのニット構成要素の内側面に非対称内部層が取り付けられている。非対称内部層は、(1)足先領域から、アッパーの内側部上の中足領域の一部までの第1の距離だけ延びている内側部と、(2)足先領域から、アッパーの外側部上の中足領域の一部までの第2の距離だけ延びている外側部とを含み、この場合、第2の距離は第1の距離よりも大きい。

別の態様において、本発明は、アッパーと、そのアッパーに固定されたソール構造とを有する履物製品を提供する。アッパーは、足先領域、中足領域およびかかと領域にわたって及んでおり、アッパーから離れて広がっている外側面と、着用者の足を収容するためのアッパー内の空洞を囲んでいる内側面とを有する。アッパーのニット構成要素の内側面に非対称内部層が取り付けられている。非対称内部層は、裏地層および接続層を含み、接続層は、熱可塑性高分子材料で形成され、裏地層は、布地材料で形成され、この場合、裏地層は、足先領域から、アッパーの内側部上の中足領域の一部まで及んでいる内側部と、足先領域から、アッパーの外側部上の中足領域の一部まで及んでいる外側部とをさらに含み、この場合、外側部は、内側部よりも大きくなっている。

別の態様において、本発明は、アッパーと、そのアッパーに固定されたソール構造とを有する履物製品を提供する。アッパーは、足先領域、中足領域およびかかと領域にわたって広がっており、アッパーから離れて広がっている外側面と、着用者の足を収容するためのアッパー内の空洞を囲んでいる内側面とを含む。アッパーのニット構成要素は、(1)着用者の足の少なくとも一部を覆うための足部分と、(b)着用者の足首の少なくとも一部を覆うための足首部分とをさらに含み、足部分および足首部分は、一体ニット構造で形成され、この場合、アッパーは、かかと領域に配置され、ニット構成要素の内側面に取り付けられ、およびニット構成要素の足部分から、ニット構成要素の足首部分まで及ぶかかとパッドをさらに含んでいる。

本発明のさまざまな側面を特徴付ける新規性の利点および特徴は、添付の請求項で具体的に指摘されている。しかし、新規性の利点および特徴をより一層理解するために、本発明に関するさまざまな構成および概念を説明および図示した以下の説明事項および添付図面を参照することができるであろう。

履物製品の第1の構成を示す側面立面図である。

履物製品の第1の構成を示す内側立面図である。

履物製品の第1の構成を示す平面図である。

図3の切断線4Aによって画定される、履物製品の第1の構成を示す断面図である。

図3の切断線4Bによって画定される、履物製品の第1の構成を示す断面図である。

図3の切断線4Cによって画定される、履物製品の第1の構成を示す断面図である。

履物製品の第1の構成のアッパーから見たニット構成要素および表面層を示す平面図である。

ニット構成要素および表面層の分解平面図である。

図5の切断線7Aによって画成されるニット構成要素および表面層を示す断面図である。

図5の切断線7Bによって画成されるニット構成要素および表面層を示す断面図である。

図5の切断線7Cによって画成されるニット構成要素および表面層を示す断面図である。

ニット構成要素および表面層の例示的な部分を示す斜視図である。

ニット構成要素および表面層の例示的な部分を示す斜視図である。

ニット構成要素のさらなる構造を示す平面図である。

ニット構成要素のさらなる構造を示す平面図である。

ニット構成要素のさらなる構造を示す平面図である。

プレスを利用してニット構成要素と表面層を付着するためのプロセスを示す斜視図である。

プレスを利用してニット構成要素と表面層を付着するためのプロセスを示す斜視図である。

プレスを利用してニット構成要素と表面層を付着するためのプロセスを示す斜視図である。

プレスを利用してニット構成要素と表面層を付着するためのプロセスを示す斜視図である。

図10Aの切断線11Aによって画成される、プレスを利用するためのプロセスを示す断面図である。

図10Bの切断線11Bによって画成される、プレスを利用するためのプロセスを示す断面図である。

図10Cの切断線11Cによって画成される、プレスを利用するためのプロセスを示す断面図である。

図10Dの切断線11Dによって画成される、プレスを利用するためのプロセスを示す断面図である。

履物製品の第2の構造を示す外側立面図である。

履物製品の第2の構造を示す内側立面図である。

履物製品の第2の構造を示す平面図である。

図14の切断線15によって画成される、履物製品の第2の構造を示す断面図である。

履物製品の第3の構造を示す平面図である。

図16の切断線17によって画成される、履物製品の第3の構造を示す断面図である。

履物製品の第3の構造のベロを示す平面図である。

図18の切断線19によって画成されるベロを示す断面図である。

ニット構成要素および締めひものさらなる構造を示す平面図である。

ニット構成要素および締めひものさらなる構造を示す平面図である。

図21の切断線22によって画成される断面図を示す。

第1の構造のアッパーの表面層のさらなる構成を示す、図5に対応する平面図である。

第1の構造のアッパーの表面層のさらなる構成を示す、図5に対応する平面図である。

内部層を含むニット構成要素の構造を示す底部平面図である。

図4Aに対応する履物製品の内部層を示す断面図である。

ニット構成要素の非対称内部層の第1の構造を示す組立分解等図である。

ニット構成要素が仮想線で図示されている、非対称内部層の第1の構造を示す底部平面図である。

非対称内部層の第1の構造の構成要素を示す組立分解等角図である。

非対称内部層の第1の構造を組み込んだ履物製品を示す平面図である。

図29の切断線30Aに対応する、履物製品の断面図である。

図29の切断線30Bに対応する、履物製品の断面図である。

ニット構成要素のための非対称内部層の第2の構造を示す組立分解等角図である。

ニット構成要素が仮想線で図示されている、非対称内部層の第2の構造を示す組立分解等角図である。

非対称内部層の第2の構造の構成要素を示す組立分解等角図である。

非対称内部層の第2の構造を組み込んだ履物製品を示す平面図である。

図34の切断線35Aに対応する履物製品を示す断面図である。

図34の切断線35Bに対応する履物製品を示す断面図である。

図34の切断線35Cに対応する履物製品を示す断面図である。

かかとパッドを組み込んだ履物製品を示す組立分解側面図である。

履物製品が仮想線で図示されている、かかとパッドの側面図である。

着用者の足が中に配置されている、かかとパッドを組み込んだ履物製品を示す長手方向断面図である。

かかとパッドの構成要素を示す組立分解内部図である。

かかとパッドの代替的な実施形態を組み込んだ履物製品を示す組立分解側面図である。

履物製品が仮想線で図示されている、かかとパッドの代替的な実施形態を示す側面図である。

着用者の足が中に配置されている、かかとパッドの代替的な実施形態を組み込んだ履物製品を示す長手方向断面図である。

かかとパッドの代替的な実施形態の構成要素を示す組立分解内部図である。

本発明は、以下の図面および説明を参照すれば、一層理解することができる。図面における構成要素は、一定の縮尺である必要はなく、その代わりに、本発明の原理を説明することに重点が置かれている。さらに、図面においては、同様の参照数字は、異なる図にわたって対応する部材を示している。

以下の説明および添付図面は、ニット構成要素および表面層を含むアッパーを有する履物製品を開示する。

履物製品は、ウォーキングやランニングに適した全体的構造を有するものとして開示されている。アッパーを含む履物に関連する概念は、例えば、バスケットボールシューズ、野球靴、クロストレーニングシューズ、サイクリングシューズ、フットボールシューズ、サッカーシューズ、短距離走用シューズ、テニスシューズおよびハイキングブーツを含むさまざまな種類の他の運動靴に適用してもよい。また、その概念を、ドレスシューズ、ローファー、サンダルおよび作業靴を含む、一般的に非運動用と考えられている履物の種類に当てはめてもよい。したがって、本願明細書に開示した概念は、幅広い種類の履物に適用される。

〈履物の全体構造〉 図1〜図4Cには、ソール構造110およびアッパー120を含む履物製品100が図示されている。ソール構造110は、履物製品の下部に配置されて、その履物を支持し、アッパー120は、足に対して快適性としっかりした覆いをもたらしている。このように、足を履物100内に効果的に固定するか、または足と履物100を一体化するように、アッパー120の空洞にその足を配置することができる。さらに、ソール構造110は、アッパー120の下側領域に固定されて、例えば、地面の反力を弱めて(すなわち、足の衝撃を和らげて)静止摩擦力を生成し、安定性を高め、および足の動きに影響を与えるように、足と地面の間に延びている。

参照のために、履物100は、3つの大略的領域、すなわち、足先領域101と、中足領域102と、かかと領域103とに分けてもよい。足先領域101は、大略的に、つま先を含む足の前方部分に対応する履物100の部分と、中足骨と指骨を接続する関節とを含んでいる。中足領域102は、大略的に、アーチ領域を含む足の中間部分に対応する履物100の部分を含んでいる。かかと領域103は、大略的に、かかとと踵骨を含む足の後方部分に対応する履物100の部分を含んでいる。

また、履物100は、外側部104および内側部105を含み、それらは、領域101〜領域103の各々を通って延びており、履物100の両側に相当する。より具体的には、外側部104は、足の外側領域(すなわち、他方の足から離れて対向する面)に相当し、内側部105は、足の内側領域(すなわち、他方の足に向かって対向する面)に相当する。

領域101〜領域103と側部104,105は、履物100の厳密な領域を区別することを意図するものではない。むしろ、領域101〜領域103と側部104,105は、以下の説明に役立つように、履物100の大略的領域を表すことが意図されている。履物100に加えて、領域101〜領域103および側部104,105もまた、ソール構造110、アッパー120およびそれらの個々の要素に適用してもよい。

ソール構造110の主要要素は、ミッドソール111、アウトソール112および中敷き113である。ミッドソール111は、アッパー120の下面に固定されており、ウォーキング、ランニングまたは他の歩行活動中に、足と地面の間で圧縮されると、地面の反力を弱める(すなわち、クッション性をもたらす)圧縮性ポリマー発泡体要素(例えば、ポリウレタンまたはエチルビニルアセテート発泡体)によって形成してもよい。さらなる構成では、ミッドソール111は、さらに力を弱め、安定性を高め、足の動きに影響を与えるプレート、モデレータ、液体充填チャンバ、ラスティング要素またはモーションコントロール部材を組み込んでもよく、または、ミッドソール21は、主に液体充填チャンバによって形成してもよい。

アウトソール112は、ミッドソール111の下面に固定され、静止摩擦力を付与するように織られた耐摩耗性のゴム材料によって形成してもよい。中敷き113は、履物100の快適性を高めるために、アッパー120の空洞に設けられて、足の下面の下に広がるように配置されている。

ソール構造110の場合のこの構造は、アッパー120とともに用いることができるソール構造の実施例を提供しているが、ソール構造110のためのさまざまな他の従来の構造または従来にない構造を用いてもよい。したがって、ソール構造110、または、アッパー120とともに用いられる何らかのソール構造の形状構成は、大幅に変わってもよい。

アッパー120は、外側面121および反対側の内側面122を含んでいる。外側面121は、履物100から離れて外側に向いているのに対して、内側面122は、内側に向いて、足を収容するための履物100内の空洞の大部分または相当の部分を画成している。その空洞は、足を収容するような形状に形成されている。そのため、足がその空洞内に配置されると、アッパー120は、足の外側部に沿って、足の内側部に沿って、足を覆って、かかとの周りに、および足の下に及ぶ。さらに、内側面121は、足、または、足を覆う靴下に押し付けてもよい。

また、アッパー120は、主にかかと領域103内に位置して、空洞へのアクセスを足にもたらす開口部を形成しているカラー123も含んでいる。より具体的には、足は、カラー123によって形成された開口部を介してアッパー120内に挿入することができ、また、足は、カラー123によって形成された開口部を介してアッパー120から引き抜くことができる。

アッパー120のスロート領域124は、カラー123の前方で、主に中足領域102内に位置している。スロート領域124の範囲は変えてもよいが、スロート領域124は、足の甲または上面に対応し、締めひも125と、複数の締めひも収容要素126と、ベロ127とを含んでいる。締めひも125は、いくつかの締めひも収容要素126に係合して、締めひも収容要素126間でジグザグの経路を辿っている。さらに、締めひも125は、スロート領域124の両側間で、スロート領域124を何度も横切っている。

履物100を用いた場合、締めひも125は、着用者が、足のサイズに合わせてアッパー120の寸法を変更することを可能にする。より具体的には、締めひも125は、着用者が、(a)アッパー120を足の周りに締め付けること、および(b)アッパー120を緩めて、(カラー123によって形成された開口部を介した)アッパー120内の空洞への足の挿入および空洞からの足の抜き出しを容易にすることを可能にするような従来の方法で扱うことができる。締めひも収容要素126は、アッパー120の開口として図示されており、締めひも125がそれらの開口を通っており、締めひも収容要素126は、ループ、アイレット、フックまたはD字状リングであってもよい。

アッパー120の大部分は、ニット構成要素130および表面層140から形成されており、それらは、図5および図6における履物100の残りの部分とは別に図示されている。ニット構成要素130は、横編みプロセスによって製造してもよく、領域101〜領域103の各々にわたって、外側部104および内側部105の両方に沿って、足先領域101を覆って、およびかかと領域103の周りに及んでいる。ニット構成要素130の部分は、外側面121を形成しているが、ニット構成要素130は、内側面122の大部分または比較的多くの部分を形成し、それによって、アッパー120内の空洞の一部を画成している。いくつかの構造では、ニット構成要素130は、足の下に及んでいてもよい。

さまざまな図における実施例のために、ストローベル式中敷き128がニット構成要素130に固定されて、足の下に広がっているアッパー120の部分の大部分を形成している。この構造では、中敷き113は、ストローベル式中敷き128の上に広がって、足がその上に載る面を形成している。くわえて、図3および図4Cに図示されているように、ニット構成要素130の縁部を接合するために、縫い目129がかかと領域103を通って垂直方向に延びている。

表面層140は、ニット構成要素130に隣接して位置し、ニット構成要素130の外側に固定され、それによって、外側面121の大部分または比較的多くの部分を形成している。表面層140を形成するのに、ポリマーシート、革または合成皮革から成る要素、織布または不織布、または金属箔を含むさまざまな材料を用いてもよい。

ニット構成要素130と同様に、表面層140は、領域101〜領域103の各々を通って、外側部104および内側部105の両方に沿って、足先領域101を覆って、およびかかと領域103の周りに及んでいる。表面層140は、スロート領域124(例えば、ベロ127)から成る部分および内側面122がないように図示されている。履物100のさらなる構造では、表面層140は、アッパー120の他の領域がなくてもよく、または、スロート領域124の部分を覆って、内側面122内まで及んでいてもよい。

ニット構成要素130と表面層140の組合せは、さまざまな利点を履物100にもたらす。実施例として、ニット構成要素130および表面層140は、ウォーキング、ランニングおよびその他の歩行活動中に、履物100内の足を固定する、比較的きつい、手袋のようなフィット感をアッパー120に付与する。例えば、サッカーシューズとして作られた場合、その比較的きつい、手袋のようなフィット感は、着用者に、ボールの感触およびボールコントロール性を高める。また、表面層140は、アッパー120の領域を補強するのに利用することもできる。例えば、表面層140は、ニット構成要素130の伸縮性を抑えるとともに、アッパー120の耐摩耗性または磨耗耐久性を高めることができる。

また、表面層140は、履物100に耐摩耗性を付与することも可能である。くわえて、この構造で履物100を形成することは、比較的軽い重量または質量、足のためのサポート、均一なフィット感および足の形状に対する適合性、および着用者のための快適性を高めた比較的縫い目のない内部をもたらすことができる。

上記の説明は、アッパー120のさまざまな特徴および要素を示している。しかし、履物100のさらなる構造では、(a)安定性を高めるためのかかと領域103内のヒールカウンタ、(b)耐摩耗性材料で形成されている足先領域101内のつま先ガード、および(c)ロゴ、商標、および注意書きや材料情報が記載された札のうちの1つ以上を含んでもよい。したがって、アッパー120は、本願明細書で説明した、および図面に図示されている形状構成および要素に加えて、さまざまな他の形状構成および要素を組み込んでもよい。

〈ニット構成要素の構造〉 ニット構成要素130は、アッパー120全体に及んでおり、内側面122の大部分を構成し、それによって、アッパー120内の空洞の一部を画成している。ニット構成要素130には縫い目が存在していてもよいが、ニット構成要素130の大部分は、実質的に縫い目のない構造を有している。さらに、ニット構成要素130は、一体ニット構造で形成してもよい。

ニット構成要素(例えば、ニット構成要素130)は、本願明細書において用いる場合、編みプロセスによってワンピース要素として形成された場合の「一体ニット構造」で形成されるものと定義される。すなわち、その編みプロセスは、かなりの追加的な製造工程または製造プロセスを要することなく、ニット構成要素130のさまざまな機能および構造を実質的に生じさせる。ニット構成要素130の部分は、編みプロセスに続いて、互いに接合することができるが(例えば、ニット構成要素130の縁部が、縫い目129として一緒に接合される)、ニット構成要素130は、ワンピースニット要素として形成されているため、依然として一体ニット構造で形成されたままである。

さらに、ニット構成要素130は、編みプロセスに続いて、他の要素(例えば、締めひも125、ストローベル式中敷き128、ロゴ、商標、札)が付加された場合も、依然として一体ニット構造で形成されたままである。ニット構成要素130に用いることができるニット構成要素のさまざまな構造の実施例は、Duaに対する特許文献1、Duaらに対する特許文献2、Duaらに対する特許文献3、Duaに対する特許文献4、およびHuffaらに対する特許文献5に開示されており、これらの明細書の各々は、参照によってその全体が本願明細書に組み込まれるものとする。

ニット構成要素130の主要な要素は、ニット要素131とインレイストランド(inlaid strand)132である。ニット要素131は、さまざまなコースおよびウェールを画成する複数の互いにかみ合うループを形成するように(例えば、編み機によって)操作される少なくとも1本のヤーン(yarn)から形成されている。すなわち、ニット要素131は、ニット布地から成る構造を有している。インレイストランド132は、ニット要素131を通って延びており、ニット要素131内のさまざまなループの間を通っている。

インレイストランド132は、ニット要素131内のコースに沿って大略的に延びているが、インレイストランド132は、ニット要素131内のウェールに沿って延びていてもよい。インレイストランド132の利点は、サポート、安定性および構造を提供することを含む。例えば、インレイストランド132は、アッパー120を足の周りに固定するのを補助し、アッパー120の領域における変形を制限し(例えば、耐伸縮性を付与し)、および締めひも125とともに機能して、履物100のフィット感を高めている。先述され、および本願明細書に組み込まれている、Huffaらに対する特許文献5は、ニット要素131内にインレイストランド132を配置するか、または他の方法で設けるプロセスを含む、ニット構成要素130を形成することができる方法の説明を記載している。

ニット要素131は、縫製およびヤーンのさまざまな種類および組合せを組み込んでもよい。縫製に関しては、ニット要素131を形成するヤーンは、ニット要素131の1つの領域に1つの種類の縫製と、ニット要素131の別の領域に別の種類の縫製を有していてもよい。用いる縫製の種類および組合せにより、ニット要素131から成る領域は、例えば、無地のニット構造、メッシュニット構造または畝編み構造を有してもよい。異なる種類の縫製は、ニット要素131の美観、伸縮性、厚さ、通気性および耐摩耗性に影響を及ぼすことがある。すなわち、異なる種類の縫製は、ニット構成要素130の異なる領域に異なる特性を付与することがある。

ヤーンに関しては、ニット要素131は、ニット要素131の1つの領域に1つの種類のヤーンと、ニット要素131の別の領域に別の種類のヤーンを有していてもよい。さまざまなデザイン基準により、ニット要素131は、例えば、異なるデニール、材料(例えば、綿、エラステイン、ポリエステル、レーヨン、ウールおよびナイロン)および撚りの程度を有するヤーンを組み込んでもよい。異なる種類のヤーンは、ニット要素131の美観、伸縮性、厚さ、通気性および耐摩耗性を含むニット要素131の物理特性に影響を及ぼすことがある。すなわち、異なる種類のヤーンは、ニット構成要素130の異なる領域に異なる特性を付与することがある。さまざまな種類および組合せの縫製およびヤーンを組合せることにより、ニット要素131から成る各領域は、履物100の快適性、耐久性および性能を高める固有の特性を有することができる。いくつかの構造では、ニット構成要素130を形成するために、異なる色を有する複数のヤーンを用いてもよい。異なる色を有するヤーンをまとめて撚って編んだ場合、ニット構成要素130は、複数の色がアッパー120全体に不規則に分散された杢色の外観を有することができる。

ニット要素131内の1つ以上のヤーンは、加熱したときに柔らかくなるか、または溶けて、冷却すると固体状態に戻る熱可塑性ポリマー材料によって部分的に形成してもよい。より具体的には、熱可塑性ポリマー材料は、十分な熱にさらされた場合、固体状態から軟化状態または液体状態に移行し、その後、熱可塑性ポリマー材料は、十分に冷却されると、軟化状態または液体状態から固体状態に移行する。このように、熱可塑性ポリマー材料は、多くの場合、2つの対象物または要素を一緒に接合するのに用いられる。この場合、熱可塑性ポリマー材料を含むヤーンは、例えば、(a)そのヤーンの他の部分にヤーンを、(b)他のヤーンにそのヤーンを、(c)ヤーンをインレイストランド132に、または、(d)ニット構成要素130を表面層140に接合するのに用いることができる。

インレイストランド132は、上述したように、ニット要素131を通って延びて、ニット要素131内のさまざまなループ間を通っている。より具体的には、インレイストランド132は、ニット要素131のニット構造内に設けられている。

例えば、図7Aおよび図7Bを参照すると、ニット要素131は、チャネルまたは管状構造を有効に画成する2つの独立して離間された布地層を形成し、また、インレイストランド132は、それらの離間された布地層の間に配置されている。しかし、いくつかの構造では、ニット要素131は、インレイストランド132から成る領域に、単一の布地層から成る構造を有していてもよい。どちらの構造でも、インレイストランド132は、ニット要素131内で、ニット要素131の両面の間に配置されている。インレイストランド132は、主にニット要素131内にあるが、インレイストランド132から成る部分は、可視であってもよく、または、ニット要素131の一方または両方の面に露出していてもよい。

ニット構成要素130を履物100に組み込んだ場合、インレイストランド132は、大略的に垂直方向に、およびスロート領域124から、ソール構造110がアッパー120に固定される領域まで延びている。より具体的には、インレイストランドは、スロート領域124から、ソール構造110に隣接する領域までニット要素131を何度も通っている。スロート領域124では、インレイストランドは、締めひも収容要素126の周りに延びて、それによって、締めひも125がそこを通るループを形成してもよい。

ニット要素131と比較して、インレイストランド132は、より大きな耐伸縮性を呈していてもよい。すなわち、インレイストランド132は、ニット要素131よりも伸縮性が小さくてもよい。インレイストランド132から成る多くの部分が、スロート領域124からソール構造110に向かって延びていれば、インレイストランド132は、アッパー120のこの領域に耐伸縮性を付与する。さらに、締めひも125に張力をかけると、インレイストランド132に張力を付与することができ、それによって、アッパー120から成る部分をスロート領域124とソール構造110との間に誘導して、足に押し付けてもよい。このように、インレイストランド132は、アッパー120を足の周りに固定するのを補助して履物100のフィット感を高めるように、締めひも122とともに機能する。

インレイストランド132の構造は、大幅に変えてもよい。ヤーンに加えて、インレイストランド132は、例えば、フィラメント(例えば、単繊維)、スレッド、ロープ、帯、ケーブルまたは鎖から成る構造を有してもよい。ニット要素131を形成するヤーンと比較して、インレイストランド132の厚さは、より大きくもよい。いくつかの構造では、インレイストランド132は、ニット要素131のヤーンよりも著しく大きな厚さを有してもよい。

さらに、インレイストランド132を形成する材料は、綿、エラステイン、ポリエステル、レーヨン、ウールおよびナイロン等のニット要素131内のヤーンのための材料のうちのいずれかを含んでもよいが、金属と、ガラス、アラミド(例えば、パラアラミドおよびメタアラミド)、超高分子量ポリエチレンおよび液晶ポリマーを含む、高引張強度用途に利用されるさまざまなエンジニアリングフィラメントとを含んでもよい。別の実施例として、ポリエステル製組糸をインレイストランド132として用いてもよい。

ニット構成要素130と表面層140の組合せは、さまざまな利点を履物100にもたらす。しかし、いくつかの構造では、表面層140が履物100になくてもよい。すなわち、ニット構成要素130は、個別に用いてアッパー120の部分を形成してもよく、また、ニット構成要素130は、面121および122の各々の比較的多くの部分の大部分を形成してもよい。さらに、表面層140がない場合の突出領域133の存在は、追加的な厚さまたはロフトをアッパー120に付与することができるとともに、アッパー120の伸縮性を変えることもできる。したがって、ニット構成要素130は、表面層140と組合せて説明したが、単独で用いてもよい。

〈表面層の構造〉 表面層140は、ニット構成要素130に隣接し、外側面121の一部を形成するようにニット構成要素130に固定されている。上述したように、表面層140は、ポリマーシート、革または合成皮革から成る要素、織布または不織布、または金属箔によって形成することができる。表面層140は、ポリマーシートまたは高分子層として形成される場合、まず、例えば、高分子フィルム、ポリマー粉末またはポリマー樹脂としてもよい。これらの構造のいずれかの場合、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタンおよびナイロンを含むさまざまな高分子材料を表面層140に用いることができる。ニット構成要素130に接合することができる熱可塑性ポリマーフィラメントを用いた不織布の実施例は、Duaらに対する特許文献6に開示されており、その明細書は、参照によって本願明細書に組み込まれるものとする。さらに、表面層140に関連する追加的な考察は、Duaに対する特許文献7で見つけることができ、その明細書は、参照によって本願明細書に組み込まれるものとする。

表面層140は、熱硬化性高分子材料によって形成してもよいが、表面層140の多くの構造は、熱可塑性高分子材料(例えば、熱可塑性ポリウレタン)によって形成される。一般的に、熱可塑性高分子材料は、加熱されると、柔らかくなるか、または溶けて、冷却されると、固体状態に戻る。より具体的には、熱可塑性高分子材料は、十分な熱にさらされると、固体状態から軟化状態または液体状態に移行し、その後、十分に冷却されると、熱可塑性高分子材料は、軟化状態または液体状態から固体状態に移行する。このように、熱可塑性高分子材料は、複数のサイクルを介して、溶解、成型、冷却、再溶融、再成型、および再冷却することができる。また、熱可塑性高分子材料は、ニット構成要素130等の繊維要素に熱接合または熱結合してもよい。

履物100の多くの構造では、表面層140から成る単一の要素がニット構成要素130全体にわたって固定されて、ニット構成要素130の実質的にすべてを覆っている。しかし、さらなる構造では、表面層140から成る異なる要素を、異なる材料から形成して、ニット構成要素130から成る別々の領域に配置してもよい。すなわち、1つの材料から形成された表面層140の部分を、ニット構成要素130の1つの領域に接合してよく、および別の材料から形成された表面層140の別の部分を、ニット構成要素130の異なる領域に接合してもよい。表面層140を形成する材料を変えることにより、異なる特性を、アッパー120の異なる領域に適用させることができる。他の構成では、表面層140は、ニット構成要素130の特定の領域のみを覆って、それによって、ニット構成要素130の他の領域を露出させたままにしてもよい。そのため、表面層140は、ニット構成要素130のいくつかの領域にはなくてもよい。

表面層140は、ニット構成要素130の外側に配置されるものとして上述した。しかし、いくつかの構造では、表面層140は、ニット構成要素130の反対側の面と接合して、それによって、内側面122から成る部分を形成してもよい。他の構成では、2つの表面層140を、ニット構成要素130の両面に接合してもよく、または、表面層140は、ニット構成要素130内に組み込むか、または別の方法でニット構成要素内まで延びていてもよい。

〈突出領域〉 ニット構成要素130は、アッパー120内の空洞から離れて外側に延びている複数の突出領域133を含んでいる。突出領域133は、膨らみ、突出部、隆起部、または他の外側に延びている部分をニット構成要素130に形成している。

インレイストランド132の場合と同様に、突出領域133のほとんどは、スロート領域124から、ソール構造110がアッパー120に固定されている領域まで、概して垂直方向に延びている。突出領域133のいくつかは、インレイストランド132と一致しており、およびそのインレイストランドを含んでいる。くわえて、突出領域133のいくつかは、2つの他の突出領域133の間で、概して平方向に延びている。すなわち、水平方向の突出領域133は、2つの垂直方向の突出領域133の間に延び、および実用的には、それらの2つの領域に接合されている。突出領域133は、独特の美観を履物100にもたらすことにくわえて、アッパー120の強度を高めることができ、または、さまざまな異なる特性をアッパー120に付与することができる。

表面層140は、突出領域133を覆って延びており、また、突出領域133およびニット構成要素130の他の領域に固定されていてもよい。このように、表面層140は、対応する膨らみ、突出部、隆起部、または、他の外側に延びている部分を、例えば、図7Aおよび図7Cに図示されているように、突出領域133の位置に、および外側面121に形成している。この構造の利点は、履物100の摩擦特性を、突出領域133がアッパー120内に形成する特定のパターンによって制御することができるということである。

実施例として、突出領域133と表面層140の組合せは、サッカーというスポーツをしているときのボールのコントロールを高めることができる。すなわち、サッカーのプレーヤーは、突出領域133によって形成されているアッパー120の隆起した、または外側に延びている部分によって、サッカーボールのコントロールを高めることができる。

突出領域133は、さまざまな構造を有するように形成することができる。すなわち、複数のニット構造および編み方を用いて、突出領域133を形成することができる。

実施例として、図8Aおよび図8Bの各々は、突出領域133のための2つの異なる構造を有するアッパー120の例示的な部分を図示している。より具体的には、第1の突出領域133は、第1の管状構造134と、インレイストランド132から成る部分とを含み、また、第2の突出領域133は、第2の管状構造135と、複数のヤーン部分136とを含んでいる。これらの構造の各々を、以下でより詳細に説明する。

第1の管状構造134は、2つの独立して離間された繊維層137を有するニット構成要素131から成る領域である。第1の管状構造134の縁部領域は、接合されて一体ニット構造で形成されているのに対して、中央領域は、接合されておらず、インレイストランド132がその中に配置されているチャネルを形成している。第1の管状構造134は、突出領域133のうちの1つを単独で形成するのに十分であるが、インレイストランド132の存在が、追加的な厚みをもたらしている。インレイストランド132は、第1の管状構造134を通って長手方向に延びており、それによって、第1の管状構造134の長さに沿って延びている。

第2の管状構造135は、2つの別々の、離間された繊維層138を有するニット構成要素131から成る領域であり、それによって、第1の管状構造134と同様の構造を有している。第2の管状構造135の縁部領域は接合されて、一体ニット構造で形成されているのに対して、中央領域は接合されておらず、複数のヤーン部分136が配置されているチャネルを形成している。第2の管状構造135は、単独で突出領域133のうちの1つを形成するのに十分であるが、ヤーン部分136の存在が、追加的な厚みをもたらしている。

ヤーン部分136は、第2の管状構造135の外側を横切って延びており、それによって、第2の管状構造135の長手方向の長さに沿ってではなく、第2の管状構造135の幅を横切って延びている。ヤーン部分136が固定される方法は変えてもよいが、ヤーン部分136は、図7A、図7C、図8Aおよび図8Bにおいて、互いに横切っているように図示されており、および第2の管状構造135の両側で引き上げ編みを形成していてもよい。すなわち、引き上げ編みは、ヤーン部分136と、第2の管状構造135の両側とを接合してもよい。

図8Bの切り欠き領域に図示されているように、突出領域133のうちの1つ(すなわち、水平方向の突出領域133)は、追加的なヤーン部分136を含み、および管状構造134と管状構造135との間に延び、および実用的にはその間で接合し、それによって、第1の管状構造134から第2の管状構造135まで延びている。ヤーン部分136は、第2の管状構造135の幅方向に延びて互いに交差してもよいが、ヤーン部分136は、その他のさまざまな構造を有してもよい。実施例として、ヤーン部分136は、互いに交差せずに、平面内に位置してもよく、または、ヤーン部分136は、長手方向に、第2の管状構造135の長さに沿って延びていてもよい。

上述したように、突出領域133は、膨らみ、突出部、隆起部、または他の外側に延びている部分をニット構成要素130に形成している。このように、突出領域133は、ニット構成要素130の他の領域よりも大きな厚さを有するニット構成要素130の部分である。この構造では、ニット構成要素130の大部分または比較的多くの部分は、第1の厚さを有し、また、さまざまな突出領域133は、第2の厚さを有し、第1の厚さは第2の厚さよりも小さい。

ニット構成要素130を形成するのに用いられるニット構造および編み方と、ニット構成要素130に用いられるヤーンとにより、第1の厚さと第2の厚さの違いは、1〜10ミリメートル以上の範囲で変えてもよい。多くの構造では、第1の厚さは、4ミリメートル未満であり、第2の厚さは、第1の厚さよりも少なくとも2ミリメートル以上大きい。

突出領域133がアッパー120に形成している特定のパターンは、かなり変わってもよい。例えば、図1および図2を参照すると、突出領域133は、外側部104および内側部105の大部分を通って延びているが、足先領域101の前方部分と、かかと領域103の後方部分にはない。しかし、突出領域133の配置および構造は、大幅に変えてもよい。

実施例として、図9Aは、さまざまな突出領域133間の間隔が、ニット構成要素130全体にわたって変わっている構造を示す。さらに、他の突出領域133間に延び、およびそれらの他の突出領域に接続している突出領域133がいくつかの領域に存在しているが、その他の領域にはない。突出領域133は、足先領域101に対応するニット構成要素130の領域内には存在しているが、突出領域133は、かかと領域103に対応する領域にはない。この構造では、ニット構成要素131は、スロート領域124に対応する領域を横切って延び、それによって、ベロ127の代わりになっている。

図9Bは、突出領域133がニット構成要素130の全体にわたって存在している別の構造を示す。別の構造が図9Cに図示されており、この場合、突出領域133は、インレイストランド132に相当するように配置されているが、他の領域にはない。くわえて、図9A〜図9Cに図示されている構造の各々では、インレイストランド132から成る部分は、締めひも125を受け入れるループを形成するように露出されている。したがって、ニット構成要素130および突出領域133に関するさまざまな態様は、かなり変わってもよい。

〈接合プロセス〉 ニット構成要素130と表面層140を接合するのに、さまざまなプロセスを用いることができる。いくつかの構造では、表面層140は、熱可塑性高分子材料によって形成してもよく、その表面層は、ニット構成要素130に熱接合または熱結合することができる。上述したように、熱可塑性高分子材料は、加熱されると溶けて、十分に冷却されると、固体状態に戻る。熱可塑性高分子材料のこの特性に基づいて、熱結合プロセスを、表面層140から成る部分をニット構成要素130に接合する熱結合を構成するのに用いてもよい。

「熱結合」またはその変形は、本願明細書において用いる場合、冷却した場合に、2つの要素の材料が互いに固定されるように、それらの要素のうちの少なくとも一方の中での熱可塑性高分子材料の軟化または溶融を伴うそれら2つの要素の間の固定方法として定義される。同様に、「熱接合」という用語、またはその変形は、接合、結び付き、または、冷却された場合に、それらの要素の材料が互いに固定されるように、それらの要素のうちの少なくとも一方の中での熱可塑性高分子材料の軟化または溶融を伴うプロセスによって、2つの要素を接合する構造として定義される。

実施例として、熱結合は、(a)冷却された場合に、熱可塑性高分子材料がニット構成要素130の材料と混ざって、一緒に固定されるような表面層140の溶融または軟化と、(b)冷却された場合に、熱可塑性高分子材料が、ニット構成要素130の構造内に延びるか、または浸入して(例えば、ニット構成要素130のフィラメントまたは繊維の周りに延びるか、またはそれらのフィラメントまたは繊維に接合する)、それらの要素を一緒に固定するような表面層140の溶融または軟化を伴ってもよい。くわえて、熱結合は、一般に、縫製または接着剤の使用を伴わないが、それらの要素を熱を用いて互いに直接的に接合することを伴う。しかし、いくつかの状況では、熱結合によるそれらの要素の熱接合または接合を補完するために、縫製または接着剤を利用してもよい。

接合プロセスは、図10Aおよび図11Aに図示されているように、第1のプレス部151と第2のプレス部152とを含むプレス150を用いる。プレス部151および152の各々は、ニット構成要素130と表面層140を一緒に圧縮する対向面を有している。プレス部151および152の表面は、実質的に平坦であり、異なる圧縮性を有する材料を含んでいる。

より具体的には、第1のプレス部151は、第1の材料153を含み、第2のプレス部152は、第2の材料154を含んでいる。比較すると、第1の材料153は、第2の材料154よりも大きい圧縮性を有している。適切な材料の例として、(a)第1の材料153はシリコーンであってもよく、および第2の材料154は鋼鉄であってもよく、(b)材料153および154はともにシリコーンであってもよく、第1の材料153は、第2の材料154よりも大きな厚さを有し、または、(c)材料153および154はともに、シリコーンであってもよく、第1の材料153は、第2の材料154よりも小さい密度または硬さを有している。エチルビニルアセテートおよびゴム等のさまざまなポリマーおよび発泡体を含む、その他のさまざまな材料を用いてもよい。しかし、シリコーンの利点は、圧縮歪みに関連している。より具体的には、シリコーンは、圧痕または他の表面むらを形成することなく、多くの圧縮作業を実行することができる。

次に、ニット構成要素130と表面層140を結合するか、または他の方法で接合するためのプロセスを説明する。その結合プロセスに関連する詳細を説明するために、図8Aおよび図8Bに図示されているニット構成要素130と表面層140とから成る例示的な部分を、図10A〜図10Dおよび図11A〜図11Dで利用する。しかし、当業者は、本願明細書で説明され、および図面に図示されている概念を、ニット構成要素130および表面層140の全体に適用してもよいことを認識するであろう。

再び図10Aおよび図11Aを参照すると、表面層140は、重なった構造でニット構成要素130に隣接して配置されている。表面層140は、第1のプレス部151に隣接して位置しているのに対して、ニット構成要素130は、第2のプレス部152に隣接して位置している。より具体的には、表面層140は、第1の材料153(すなわち、より大きな圧縮性の材料)に接触するように配置され、ニット構成要素130は、第2の材料(すなわち、より小さな圧縮性の材料)に接触するように配置されている。ニット構成要素130および表面層140を正しく配置するために、(a)これらの構成要素を互いに対して保持するジグ、および(b)これらの構成要素を動かすシャトルフレームまたは他の装置の一方または両方を利用してもよい。くわえて、ジグまたは他の装置は、結合プロセス中に、ニット構成要素130が正しい形状を保持して、概して平坦な構造を確実に維持することを支援することができる。

プレス150は、ニット構成要素130と表面層140を一緒に圧縮するのに用いられる。しかし、ニット構成要素130および表面層140を結合するために、ニット構成要素130および表面層140の一方または両方は、結合を容易にする温度まで加熱される。プレス部151とプレス部152との間に配置される前に、ニット構成要素130および表面層140を加熱するために、さまざまな輻射ヒータまたは他の装置を用いることができる。しかし、いくつかの製造プロセスでは、プレス150は、プレス150と、ニット構成要素130および表面層140との間の接触が、それらの構成要素の温度を、結合を容易にするレベルまで上昇させるように加熱してもよい。したがって、ニット構成要素130および表面層140の一方または両方が、このプロセス中に加熱される時点は変えてもよい。

ニット構成要素130および表面層140が、一旦、配置されると、図10Bおよび図11Bに図示されているように、プレス部151および152は、互いに平行移動して、(a)第1の材料153を有する第1のプレス部151の表面が、表面層140に接触し始めるように、および(b)第2の材料154を有する第2のプレス部152の表面が、ニット構成要素130に接触し始めるように、それらの構成要素を近づける。

そして、プレス部151および152は、図10Cおよび図11Cに図示されているように、互いに向かってさらに平行移動して、それらの構成要素を完全に圧縮する。この段階で、表面層140は、ニット構成要素130に有効に結合され、または他の方法で接合される。より具体的には、プレス150の圧縮力は、それらの圧縮された構成要素の温度上昇と相まって、ニット構成要素130と表面層140を接合する熱結合を生じさせる。

上述したように、第1の材料153は、第2の材料154よりも容易に圧縮される。図10Cおよび図11Cを参照すると、突出領域133に隣接している表面層140から成る領域は、第1の材料153内に圧入され、それに対して、第2の材料154は、より平坦なままであるが、ある程度圧縮される。材料153および154間の異なる圧縮性により、第1の材料153は突出領域133の位置で圧縮される。さらに、(a)ニット構成要素130の突出領域133に接触している表面層140の部分は、第1の材料153によって形成された表面に第1の深さまで突出し、また、(b)ニット構成要素130の他の領域(すなわち、より厚さが小さい領域)と接触している表面層140の部分は、第1の材料153によって形成された表面に第2の深さまで突出し、第1の深さは、第2の深さよりも大きい。

結合が完了すると、図10Dおよび図11Dに図示されているように、プレス150が開いて、結合されたそれらの構成要素が取り外されて冷却できるようになる。このプロセスの最後の工程として、ニット構成要素130および表面層140の組合せを、履物100のアッパー120に組み込んでもよい。

プレス150の表面間に異なる圧縮性を与えるために、材料153および154間の相対的な硬さ、密度および厚さは、かなり変えてもよい。硬さ、密度および厚さを変えることにより、それらの表面の圧縮性を、特定のプレス作業または構造に合わせてもよい。硬さ、密度および厚さをそれぞれ考慮してもよいが、プレス150のいくつかの構造は、硬さが異なるだけの、密度が異なるだけの、または、厚さが異なるだけの材料153および154を有してもよい。

くわえて、プレス150のいくつかの構造は、(a)硬さと密度は同じであるが、厚さが異なる、(b)硬さと厚さは同じであるが、密度が異なる、または、(c)密度と厚さは同じであるが、硬さが異なる、材料153および154を有してもよい。したがって、プレス150の表面間で、異なる相対的圧縮性を実現するために、材料153および154のさまざまな特性を、さまざまな方法で変更してもよい。

材料153および154の各々は、実質的に平坦な表面を有するように図示されている。しかし、ニット構成要素130およびさまざまな突出領域133から成る構造により、材料153および154の表面もそれに合うように形成することができる。例えば、第1の材料153は、突出領域133の位置に一致するさまざまなくぼみまたは圧痕を含んで、それによって、表面層140が突出領域133の周りを覆う程度を大きくしてもよい。

プレス150は、ニット構成要素130と表面層140を結合するのに用いることができる装置の一実施例を示している。別の実施例として、プレス部151および152のうちの一方を、柔軟な膜と置き換えて、その膜と第2のプレス部152との間から空気を抜くのにポンプを用いてもよい。空気が抜かれるにつれて、膜が表面層140を押し付けて、結合を引き起こすことになる。別の実施例として、ニット構成要素130と表面層140を一緒に圧縮するのに、二重膜システムを用いてもよい。

異なる圧縮性を有するように材料153および154を選択するという利点は、突出領域133がもたらすアッパー120の3次元態様に関連している。より具体的には、異なる圧縮性は、ニット構成要素130と表面層140とが圧縮されて結合されたときに、突出領域133が、膨らみ、突出部、隆起部または他の外側に延びている部分を形成し続けることを確実にする。圧縮性材料がない場合、アッパー120が、突出領域133に外側に延びている部分を含む程度は、より小さくてもよい。

〈足首カフの構造〉 図12〜図15には、着用者の足首の少なくとも一部を覆うための足首カフ160を含む履物100の別の構造が図示されている。そのため、足を覆うことに加えて、アッパー120は、上方に延びて、足首の一部を覆う。

参照のために、アッパー120は、図12、図13および図15に示すように、2つの大まかな領域、すなわち、足領域106と足首領域107とに分けることができる。足領域106は、領域101〜領域103の各々を通って延びており、足に一致するアッパー120の部分を大略的に含んでいる。履物100の多くの構造では、足領域106は、着用者の外果および内果(すなわち、足首の各側部の骨の隆起部)の下になるように意図されているアッパー120の部分に相当する。足首領域107は、主にかかと領域103に配置され、足首に一致するアッパー120の部分を大略的に含んでいる。履物100の多くの構造では、足首領域107は、外果および内果を覆って、それらの上に広がるように意図されているアッパー120の部分に相当する。

足首カフ160は、足首領域107に配置されて、ニット構成要素130の足首部分を形成している。足領域106に位置しているニット構成要素130の残りの部分は、ニット構成要素130の足部分を形成している。ニット構成要素130の足部分が、着用者の足を覆っているのに対して、足首カフ160を含むニット構成要素130の足首部分は、履物100が着用された場合の着用者の足首を覆っている。さらに、足首カフ160と、ニット構成要素130の足首部分は、ニット構成要素130の足部分を有する一体ニット構造で形成してもよい。

縫い目129が足首カフ160にあってもよいが、ニット構成要素130の足首部分は、着用者の足首の周り全体に及ぶための連続構造を有している。

図14の平面図を参照すると、足首カフ160は、アッパー120内の空洞にアクセスできるようにする円形、楕円形または別なふうに連続的で丸みを帯びた開口部161を形成している。開口部161は、足が通過して空洞に入ることを可能にする比較的大きな寸法を有してもよい。しかし、履物100の多くの構造では、開口部161は、足を収容するように伸びる。さらに、足首カフ160は、普通の足首よりも小さい寸法を有していてもよく、また、足首カフ160は、一旦、足が空洞内に配置されると、少し伸びたままで、足首をきつく押し付けてもよい。したがって、足首カフ160と、足首領域107におけるニット構成要素130の他の部分は、伸縮性を有するように形成してもよい。

足首領域107が伸縮性を有しているのに対して、アッパー120の足領域108は、足のサポートをもたらすように、およびソール構造120に対する足の動きを制限するように、ある程度伸びてもよい。すなわち、足領域106は、第1の程度の伸縮性を有し、また、足首領域107は、第2の程度の伸縮性を有してもよく、第1の程度の伸縮性は、第2の程度の伸縮性よりも小さい。いくつかの構造では、領域106および107の両方におけるニット構成要素130の部分は、同様の伸縮性を有してもよく、また、足首領域106におけるインレイストランド132および表面層140の存在が、足首領域106における伸縮性を制限してもよい。他の構造では、ニット構成要素130の足首部分は、伸縮性を付与するヤーンまたはニット構造で形成してもよく、一方、ニット構成要素130の足部分は、より小さな伸縮性を付与するヤーンまたはニット構造によって形成してもよい。

足首カフ160の伸縮性を高めるために、表面層140は、足首領域107になくてもよい。すなわち、表面層140は、ニット構成要素130の足首部分にはなくてもよい。この構造では、足首カフ160を含むニット構成要素130の足首部分は、足首領域107における外側面121および内側面122の部分を形成している。このように、足首カフ160を構成する表面層140およびニット構成要素130の部分は、外側面121の大部分を形成し、また、ニット構成要素130は単独で、内側面122の比較的多くの部分を形成していてもよい。

足首カフ160の領域では、表面層140は、側部104および105の各々で下方に延びている凹状縁部141を形成している。より具体的には、表面層140は、外果および内果を覆うニット構成要素130の領域がなくてもよい。この構造の利点は、足首カフ160は、外果および内果上で伸びて、それによって、履物100の快適性を高めることができるということである。他の構造では、表面層140は、外果および内果を覆うように上方へ延びていてもよく、または、縁部141は、足首カフ160の領域では、比較的直線状または凸状であってもよい。

上記の説明に基づいて、足首カフ160は、アッパー120の他の部分よりも大きな伸縮性を呈していてもよい。この構造は、足が履物100に入ることを可能にすることに加えて、足のサポートをもたらし、およびソール構造120に対する足の動きを制限する。くわえて、足首カフ160は、履物100が着用されたときに、伸びた状態のままでもよく、および足首を押し付けてもよく、これらのことは、2つの利点をもたらす。すなわち、第一には、足首カフ160が、ごみ、ほこりおよびその他の破片が履物100に入るのを防ぐ。第二には、着用者は、足首の周りの足首カフ160の存在に気付くことができ、そのことが、着用者の足の固有感覚認識度を高めている。

〈締めひもチャネルの構造〉 ベロ127内にいくつかの締めひもチャネル170を含んでいる履物100のさらなる構造が図16および図17に図示されている。締めひも125は、締めひもチャネル170を通り、それによって、締めひも125の部分がベロ127内に配置されている。

履物100の残りの部分とは別にベロ127を図示している図18および図19を参照すると、締めひもチャネル170の各々は、履物100の長手方向軸に対して対角線上に向けて配置されている。締めひもチャネル170の位置は、締めひも収容要素126の位置と概して一致しており、およびそのひもが締めひも収容要素126間を通過するように、締めひも125の自然の経路をたどっている。すなわち、締めひもチャネル170の位置および方向は、締めひも収容要素126のうちの2つが、各締めひもチャネル170の両端部に隣接して位置するように選択される。実際には、締めひもチャネル170は、2つの締めひも収容要素126の間に延びるラインに沿って配置される。さらに、締めひも125は、いくつかの締めひもチャネル170を通って延び、および締めひもチャネル170の両端部に配置されている締めひも収容要素126に係合している。このように、締めひも125は、締めひも収容要素126の間でジグザグの経路をたどっている。

締めひもチャネル170は、管状構造134および135と同様の構造を有している。このように、締めひもチャネル170は、互いに重なっている、2つの別々で離間された繊維層171を含んでいる。締めひもチャネル170の縁部領域は接合されて、一体ニット構造で形成されているのに対して、中央領域は接合されずに、締めひも125がその中に配置される管状構造を形成している。すなわち、締めひも125は、長手方向で、各締めひもチャネル170を通って延びており、それによって、各締めひもチャネル170の長さに沿って延びている。

ベロ127を形成するのに、さまざまな方法を用いてもよいが、編みプロセス(例えば、横編みプロセス)を用いることができる。同様の編みプロセスがベロ127およびニット構成要素130のために用いられる構造では、ベロ127およびニット構成要素130の各々は、同様の特性、材料および外観を有してもよい。くわえて、編みプロセスの利点は、締めひもチャネル170は、ベロ127の残りの部分を有する一体ニット構造で形成することができ、そのことが、効率的な製造をもたらし、および滑らかで縫い目のない構造をベロ127に与える。

ニット構成要素130と締めひも125を組み合わせた構造を図20に示す。図9A〜図9Cの構造と同様に、ニット要素131は、スロート領域124に一致する領域を横切って広がり、それによって、ベロ127の代わりになっている。さらに、ニット要素131は、いくつかの締めひもチャネル170を形成している。ベロ127におけるいくつかの締めひもチャネル170の場合と同様に、この構造における締めひもチャネル170は、互いに重なっている2つの別々の離間された繊維層であり、一体ニット構造で形成され、および締めひも125を収容する。

締めひもチャネル170を通って延びている締めひも125が図20に図示されている。締めひも収容要素126を形成する開口に代わって、インレイストランド132が露出されて、締めひも125を収容するためのループを形成している。すなわち、インレイストランド132によって形成されたループが締めひも収容要素126であり、それらは、スロート領域124の両側に設けられている。締めひも125は、(a)インレイストランド132によって形成されたループと、(b)いくつかの締めひもチャネル170を通って延びている。ベロ127と同様に、締めひもチャネル170の各々は、長手方向軸に対して対角線上に向けられて、締めひも125の自然な経路をたどっている。すなわち、締めひもチャネル170の位置および方向は、2つのループが、各締めひもチャネル170の両端部に隣接して位置するように選択される。このように、締めひも125は、インレイストランド132によって形成されたループ間で、ジグザグの経路をたどっている。

締めひもチャネル170は、さまざまな長さを有していてもよい。図16において、締めひもチャネル170の端部は、スロート領域124内のニット構成要素130の縁部に隣接して配置されている。ニット構成要素130は、ベロ127の部分に重なっているが、締めひもチャネル170の端部は露出されて、締めひも125を収容する。

図20においては、締めひもチャネル170の端部は、締めひも収容要素126を形成しているループに隣接して配置されている。どちらの構造でも、締めひもチャネル170のうちの1つ以上が、3センチメートル以上の長さを有していてもよい。しかし、他の構造では、締めひもチャネル170は、1〜10センチメートル以上の範囲であってもよい。

スロート領域124に一致する領域において、インレイストランド132によって形成されたループ間にいくつかの開口172を画成している、ニット構成要素130のさらなる構造を図21および図22に示す。開口172は、ニット要素131を通って延びている開口部を形成している。この構造では、締めひも125は、いくつかの開口172を通って延び、また、締めひも125の部分は、ニット要素131の両側に隣接して位置している。より具体的には、締めひも125は、インレイストランド132によって形成されたループを通って延びて開口172に入り、それによって、それらのループ間にある締めひも125の部分を、ニット要素131の両側に隣接して配置する。開口172の位置は、インレイストランド132によって形成されたループの位置に概して一致しており、および締めひも125の自然な経路をたどっている。すなわち、開口172は、インレイストランド132によって形成されたループのうちの2つの間に延びるラインに沿って配置されている。

〈追加的な構造〉 履物100、アッパー120、ニット構成要素130および表面層140のさまざまな構造が上述されてきた。しかし、それらの構造は、履物100に組み込んでもよい構造および他の機能の実施例を提供することが意図されている。履物100、アッパー120、ニット構成要素130および表面層140に対する多くの変形が可能であるが、いくつかの追加的な構造を以下に説明する。

表面層140は、ニット構成要素130の実質的にすべてを覆っていてもよいが、表面層140は、ニット構成要素130のいくつかの領域にはなくてもよい。上述した実施例に関しては、表面層140は、スロート領域124または足首領域107にはなくてもよい。

別の実施例として、図23Aは、中足領域103に対応する領域と、インレイストランド132を含む領域には存在しているが、足先領域101およびかかと領域103に対応する領域にはないような表面層140を示す。さらに、表面層140は、いくつかの突出領域133を覆っているが、他の突出領域133は、露出されたままである。したがって、表面層140は、ニット構成要素130の特定の領域のみを覆って、それによって、ニット構成要素130の他の領域は露出したままにしてもよい。

表面層140の単一の要素は、上述した多くの構造において、ニット構成要素130に固定されている。図23Bを参照すると、分割線142が、足先領域101に一致する領域を通って長手方向に延びており、それによって、表面層140の異なる部分を分けている。この構造では、表面層140の各部分は、異なる特性を有してもよい。より具体的には、表面層140を形成する材料、その材料の厚さ、または、他の特性は、表面層140のそれらの部分の間で変えてもよく、それにより、アッパー120の異なる領域に異なる特性を付与してもよい。さらなる構造では、分割線142は、他の領域に設けてもよく、または、表面層140のそれらの部分は、ニット構成要素130の一部を露出させるように、互いに離間していてもよい。

〈内部層形状構成〉 履物100の多くの構造では、ニット構成要素130は、内側面122の大部分を形成している。図24および図25を参照すると、ニット構成要素1350に固定されて、内側面122の部分を形成している内側層180が図示されている。内側層180は、アッパー120の伸びを抑制することができ、およびアッパー120の耐摩耗性または磨耗耐久性を高めることができる。また、内側層180は、履物100に耐摩耗性を付与してもよい。くわえて、内側層180を含むように履物100を形成すれば、均一なフィット性および足への適合性、着用者に対する快適性が向上した、比較的縫い目のない内部、比較的軽い重量、および足に対するサポートをもたらすことができる。内側層180は、表面層140も含む構造に利用してもよいが、内側層180は、表面層140がない場合に、または、表面層140の代わりとして用いてもよい。

内側層180は、ニット構成要素130の実質的にすべてを覆って延びていてもよく、または、ニット構成要素130の特定の領域にはなくてもよい。例えば、足先領域101に一致する領域では、内側層180は、アッパー120の伸縮性、柔軟性および通気性を高めることができる複数の開口181を画成している。開口181のサイズ、位置および数を変えることにより、アッパー120の特性を変えてもよい。

インレイストランド132に隣接する領域では、内側層180は、より大きな開口を有するように形成され、および中足領域102に一致する領域に柔軟性を促進するとともに、安定性および耐伸縮性ももたらす可能性のある連接構造を有している。また、内側層180のこの部分は、締めひも125が締められたときに、張力を受けて、伸張が抑えられることがある。このように、内側層180とインレイストランド132の組合せは、アッパー120の伸張に対してより大きな抵抗力を付与することができる。かかと領域103に一致する領域では、内側層180は、追加的な耐伸縮性および耐久性をカラー123にもたらすように設けられている。また、内側層180は、ストローベル式中敷き128に接合されているニット構成要素130の縁部まで延びており、そのことが、内側層180をソール構造110に有効に結合または接合することにも留意すべきである。

さまざまな材料を内側層180に用いることができる。実施例として、内側層180は、表面層140の特性の多くを備えたポリマー層であってもよい。また、内側層180は、ニット構成要素130に接着されるか、または結合される超極細繊維等の繊維であってもよい。いくつかの構造では、内側層180は、ニット構成要素130に熱結合するための熱可塑性高分子材料を含む多層構造を有していてもよい。

いくつかの実施形態では、非対称構造を有する内部層をニット構成要素130に設けてもよい。内部層のための非対称構造は、内部層から成る部分を、外側部104と内側部105との間で変わるニット構成要素130の特定の領域に選択的に配置してもよい。

内部層は、この非対称構造を用いて、外側部104と内側部105との間で変わる異なる特性をアッパー120に与えるように構成することができる。例えば、履物製品100がサッカーシューズである実施形態では、外側部104と内側部105との間で、サッカーボールとの異なる相互作用を構成するように、アッパー120の特性を、これらの側部間で変えてもよい。

本発明の実施形態では、非対称内部層を、アッパー120の外側部104に沿った非対称内部層の距離よりも短い距離だけ、内側部105に沿ってアッパー120の中足領域102まで設けてもよい。この構造の場合、履物製品100の着用者が、アッパー120の内側部105に沿ってパスを出すか、またはホールドするためのサッカーボールのより敏感な「感触」を有することを可能にするために、非対称内部層の一部は、内側部105上のアッパー120の中足領域102に沿って無くてもよい。くわえて、サッカーボールまたは他の物体による、アッパー120の外側部104への衝撃を吸収するのを助けるために、外側部104上のアッパー120の中足領域102全体に存在している非対称内部層の部分が、追加的な緩衝部またはパッド部を履物製品100に与えてもよい。

図26から図35A〜図35Cは、ニット構成要素130を含む、上述したニット構成要素のうちのいずれかとともに用いることができる非対称内部層構造のさまざまな実施形態を示す。

図26から図35A〜図35Cに示すように、突出領域133がニット構成要素130の全面に存在している、図9Bに示すニット構成要素130の実施形態と実質的に同様のニット構成要素は、非対称内部層構造とともに用いることができる。図26から図35A〜図35Cに関連して説明されている非対称内部層の例示的な構造は、特定のニット構成要素とともに図示されているが、それらの非対称内部層は、実施形態では、どのようなニット構成要素と用いてもよいことを理解すべきである。

図26から図30A〜図30Bは、非対称内部層280の第1の構造を示す。いくつかの実施形態では、非対称内部層280は、複数の構成要素によって形成してもよい。本発明の実施形態では、非対称内部層280は、接続層282および裏地層284を含んでもよい。

ここで、図26を参照すると、非対称内部層280の第1の構造は、接続層282と、内部層280を形成するように合わせて配置された1つ以上の裏地層284とを含んでいる。

接続層282は、ニット構成要素130の内側面122の部分および/または裏地層284の部分に結合または接着されるように構成される材料から形成してもよい。例えば、接続層282は、加熱されたときに軟化し、または溶け、冷却された場合には固体状態に戻る熱可塑性高分子材料から形成してもよい。より具体的には、熱可塑性高分子材料は、十分な熱にさらされた場合、固体状態から軟化状態または液体状態に移行し、その後、その熱可塑性高分子材料は、十分に冷却されると、軟化した状態または液体状態から固体状態に移行する。この場合、熱可塑性高分子材料を組み込んだ接続層282は、(a)接続層282を、ニット構成要素130の内側面122に、および/または(b)裏地層284を、ニット構成要素130の内側面122に接合するのに用いることができる。

裏地層284は、ニット構成要素130に接着または結合される、メッシュ布地材料またはマイクロファイバー布地材料等の布地から形成してもよい。本発明の実施形態では、裏地層284は、アッパー120の内側面122の部分に沿って、パッド部および/または緩衝部を設けるように構成される何らかの適切な布地材料から選択してもよい。いくつかの実施形態では、裏地層284は、ニット構成要素130の内側面122に接着して取り付けてもよい。くわえて、熱可塑性高分子材料を組み込んだ接続層282は、裏地層284をニット構成要素130に取り付けるのを支援するために、裏地層284の1つ以上の部分と重ねてもよい。

いくつかの実施形態では、裏地層284は、1つ以上の別々の構成要素を含んでもよい。例えば、図26および図28に図示されているように、裏地層284は、それぞれ、裏地層284の外側部104および内側部105に設けられた、外側裏地部285および内側裏地部286を含んでもよい。この実施形態では、外側裏地部285および内側裏地部286は、足先領域101の全面と、中足領域102の少なくとも一部とに及んでいる。本発明の実施形態では、外側裏地部285および内側裏地部286は、外側部104と内側部105との間に実質的に連続的に、およびニット構成要素130の足先領域101の全域に及んでいる。この構造の場合、外側裏地部285と内側裏地部286は、実質的に裏地層284の大部分を形成するように、実質的に互いに連続していてもよい。しかし、他の実施形態では、外側裏地部285および内側裏地部286は、裏地層284の別々の構成要素として設けてもよい。

くわえて、いくつかの実施形態では、裏地層284は、アッパー120内に足を収容するための開口部を形成するかかと領域103内のカラーに関連する部分をさらに含んでもよい。この実施形態では、裏地層284は、内部層280の両側に設けられた外側カラー部287および内側カラー部288を含んでいる。外側カラー部287および内側カラー部288は、上述したように、カラー123を形成するニット構成要素130の部分の内側面122に沿って、追加的なパッド部および/または緩衝部を形成するように構成してもよい。この実施形態では、外側カラー部287および内側カラー部288の各々は、別々に、および裏地層284の残りの部分を形成している外側裏地部285および内側裏地部286に対して非連続的に設けられている。一実施形態において、外側カラー部287および内側カラー部288は、接続層282の部分によって全体的に周りを囲まれて包囲されている。しかし、他の実施形態では、裏地層の1つ以上のカラー部は、裏地層の残りの部分と実質的に連続して設けてもよい。

次に、図27を参照すると、非対称内部層280の第1の構造が、ニット構成要素130の内側面122に沿って配置された平面図で図示されている。本発明の実施形態では、非対称内部層280は、アッパー120の外側部104に沿った非対称内部層280の距離よりも短い距離だけアッパー120の中足領域102の内側部105に沿って設けてもよい。この実施形態では、外側裏地部285と内側裏地部286は、非対称的な構成の非対称内部層280を設けるように、異なるサイズおよび形状を有している。図27に図示されているように、外側裏地部285は、内側裏地部286よりも大きく、および内側裏地部286よりもより遠くまでニット構成要素130の中足領域102内に延びている。

接続層282は、ニット構成要素130の内側面122への裏地層284の取付けを容易にするために、裏地層284の部分の輪郭をたどるように、および/またはその部分に部分的に重なるように構成された複数の構成要素を含んでもよい。この実施形態では、接続層282は、スロート部290を含んでいる。スロート部290は、非対称内部層280のほぼ中間に、および主に中足領域102を中心にして配置されている。いくつかの実施形態では、スロート部290は、甲回り領域または足の上面に一致していてもよい。非対称内部層280をニット構成要素130と組み合わせてアッパー120を形成した場合、接続層282のスロート部290は、アッパー120のスロート領域124に一致していてもよい。本発明の実施形態では、スロート部290は、スロート部290の両側で、外側裏地部285と内側裏地部286とに分けて分離させてもよい。

いくつかの実施形態では、接続層282のスロート部290は、複数の締めひも開口部292を含んでもよい。複数の締めひも開口部292は、図27に図示されているように、スロート部290の周辺に沿っておよび周辺に隣接して配置してもよい。いくつかの実施形態では、複数の締めひも開口部292は、ニット構成要素130の締めひも収容要素126と一致している。締めひも開口部292は、追加的な補強および/または支持を締めひも収容要素126に与えてもよい。

接続層282は、スロート部290から、非対称内部層280の縁部に向かって異なる方向に及んでいる部分を含んでもよい。接続層282は、外側部104および内側部105の各々に向かって異なる方向に延びている部分を含んでもよい。この実施形態では、接続層282は、スロート部290から内側部105に向かう方向に延びている内側延長部294を含んでいる。内側延長部294は、内側裏地部286の周辺の輪郭をたどるように、足先領域101に向かう前方方向にさらに延びていてもよい。また、接続層282は、スロート部290から、外側部104へ向かう方向に延び、および内側延長部294の反対側に配置されている外側延長部295も含んでいる。外側延長部295は、外側裏地部285の周辺に沿って進んで、およびその周辺の輪郭をたどって外側部104に向かって延びていてもよい。

また、接続層は、かかと領域103に向かう長手方向で後方に延びていてもよい。この実施形態では、接続層282は、スロート部290から内側縁部298まで及んでいる内側カラー部296を含んでいる。また、接続層282は、スロート部290から外側縁部299まで及んでいる外側カラー部297も含んでいてもよい。非対称内部層280がニット構成要素130と結合された場合、接続層282の内側縁部298は、かかと領域103の内側部105において、ニット構成要素130の外周に一致し、また、接続層282の外側縁部299は、かかと領域103の外側部104において、ニット構成要素130の外周に一致する。本発明の実施形態では、接続層282の外側カラー部297は、裏地層284の外側カラー部287を包囲して囲んでいてもよく、また、内側カラー部296は、裏地層284の内側カラー部288を包囲して囲んでもよい。

本発明の実施形態では、接続層282は、重複領域293をさらに含んでもよい。重複領域293は、裏地層284と接続層282を接合するために、裏地層284と重なるように、および少なくとも部分的に裏地層に入り込むように構成されている接続層282の一部である。この実施形態では、重複領域293は、内側裏地部286の一部に重なっている内側延長部294に沿って、内側裏地部286および外側裏地部285の部分に重なっているスロート部290を通って、および外側裏地部285の一部に重なっている外側延長部295に沿って延びている。くわえて、重複領域293は、内側裏地部286および外側裏地部285の部分に重なっているスロート部290を通って延びている。

図28は、上述した非対称内部層280の第1の構造の例示的な実施形態を形成する構成要素の組立分解図を示す。図28に図示されているように、非対称内部層280は、接続層282および裏地層284を含んでいる。接続層282は、(複数の開口部292を含む)スロート部290と、内側延長部294と、外側延長部295と、内側カラー部296と、外側カラー部297とを含んでいる。裏地層284は、外側裏地部285と、内側裏地部286と、外側カラー部287と、内側カラー部288とを含んでいる。前述したように、接続層282は、裏地層284の部分を接続層282に取り付けて非対称内部層280を形成するように、および/または非対称内部層280の部分を、ニット構成要素130の内側面122に取り付けるのを支援するように構成される高分子材料で形成してもよい。

次に、図29および図30A〜図30Bを参照すると、非対称内部層280の第1の構造は、履物製品100の例示的な実施形態のアッパー120を形成するようにニット構成要素130に結合されている。履物製品100は、締めひも125と、表面層140と、複数の突出領域133とを含む上述した履物製品の構成要素を含んでいる。この実施形態では、非対称内部層280の非対称的な構造は、外側部104および内側部105の各々に設けられた裏地層284の部分の違いを参照して見れば分かる。

図29に図示されているように、非対称内部層280の内側裏地部286は、足先領域101の前端部から、内側部105の履物製品100の中足領域102までの第1の距離D1だけ延びているが、非対称内部層280の外側裏地部285は、足先領域101の前端部から、外側部104の履物製品100の中足領域102までの第2の距離D2だけ延びている。この実施形態では、第2の距離D2は、第1の距離D1よりも長い。

図30Aの断面図に図示されているように、履物製品100の足先領域101は、ニット構成要素130の内側面122全体に実質的に沿う非対称内部層280を含んでもよい。対照的に、中足領域102の履物製品の一部に沿った図30Bの断面図に図示されているように、非対称内部層280の外側裏地部285は、実質的に、ニット構成要素130の外側部104上の内側面122全体に沿って、締めひも125に隣接する上端部から、ストローベル式中敷き128および中敷き113に隣接する底端部まで設けられている。しかし、非対称内部層280の内側裏地部286は、内側部105において、ニット構成要素130の内側面122の一部にのみ沿って、締めひも125に隣接する上端部から、接続層282の内側延長部294がそこに図示されている内側部105に沿った部分まで設けられている。

この構造の場合、履物製品100の前端部からより短い距離だけ延びている内側裏地部286を非対称内部層280に設けることにより、履物製品100の着用者が、アッパー120の内側部105に沿ってパスを出すか、またはホールドするためのサッカーボールのより敏感な「感触」を有することが可能になる。くわえて、外側部104の履物製品100の前端部からより長い距離だけ延びている外側裏地部285を非対称内部層280に設けることにより、サッカーボールまたは他の物体による、アッパー120の外側部104への衝撃を吸収するのを助けるように、追加的な緩衝部またはパッド部を履物製品100に設けてもよい。

図31から図35A〜図35Cは、非対称内部層380の第2の構造を示す。いくつかの実施形態では、非対称内部層380は、複数の構成要素によって形成してもよい。本発明の実施形態では、非対称内部層380は、接続層382および裏地層384を含んでもよい。

ここで、図31を参照すると、非対称内部層380の第2の構造は、接続層382と、内部層380を形成するように合わせて配置された裏地層384の1つ以上の部分とを含んでいる。接続層382は、ニット構成要素130の内側面122の部分および/または裏地層384の部分に結合または接着するために、上述した接続層282と実質的に同じ材料から形成してもよい。この場合、熱可塑性高分子材料を組み込んだ接続層382は、(a)接続層382を、ニット構成要素130の内側面122に、および/または(b)裏地層384を、ニット構成要素130の内側面122に接合するのに用いることができる。

裏地層384は、ニット構成要素130に接着または結合される、メッシュ布地材料またはマイクロファイバー布地材料等の布地から形成してもよい。本発明の実施形態では、裏地層384は、アッパー120の内側面122の部分に沿って、パッド部および/または緩衝部を設けるように構成される何らかの適切な布地材料から選択してもよい。いくつかの実施形態では、裏地層384は、ニット構成要素130の内側面122に接着して取り付けてもよい。くわえて、熱可塑性高分子材料を組み込んだ接続層382は、裏地層384をニット構成要素130に取り付けるのを支援するために、裏地層384の1つ以上の部分と重ねてもよい。

いくつかの実施形態では、裏地層384は、1つ以上の別々の構成要素を含んでもよい。例えば、図31〜図33に図示されているように、裏地層384は、それぞれ、裏地層384の外側部104および内側部105に設けられた、外側裏地部385および内側裏地部386を含んでもよい。

非対称内部層280の第1の構造とは対照的に、非対称内部層380の第2の構造は、外側部104に沿ってより長い距離にわたって延びている。この実施形態では、外側裏地部385は、足先領域101と、中足領域102と、外側部104のかかと領域103の少なくとも一部とに及んでおり、また、内側裏地部386は、足先領域101と、内側部105の中足領域102の少なくとも一部とに及んでいる。本発明の実施形態では、外側裏地部385および内側裏地部386は、外側部104と内側部105との間に実質的に連続的に、およびニット構成要素130の足先領域101の全域に及んでいる。この構造の場合、外側裏地部385と内側裏地部386は、実質的に裏地層384の大部分を形成するように、実質的に互いに連続していてもよい。しかし、他の実施形態では、外側裏地部385および内側裏地部386は、裏地層384の別々の構成要素として設けてもよい。

くわえて、いくつかの実施形態では、裏地層384は、アッパー120内に足を収容するための開口部を形成するかかと領域103内のカラーに関連する部分をさらに含んでもよい。この実施形態では、外側裏地部385は、外側部104のカラーに関連する裏地層384の領域まで延びている。また、裏地層384は、内部層380のかかと領域103内の外側裏地部385と反対側の内側部105に設けられた内側カラー部388も含んでいる。外側裏地部385および内側カラー部388は、上述したカラー123を形成するニット構成要素130の部分の内側面122に沿って、追加的なパッド部および/または緩衝部を形成するように構成してもよい。この実施形態では、内側カラー部388は、別々に、および内側裏地部386と非連続的に設けられているが、外側裏地部385は、裏地層384のカラーまで、外側部104に沿って実質的に連続している。一実施形態において、内側カラー部388は、接続層382の部分によって全体的に周りを囲まれて包囲されている。

次に、図32を参照すると、非対称内部層380の第2の構造が、ニット構成要素130の内側面122に沿って配置された平面図で図示されている。本発明の実施形態では、非対称内部層380は、アッパー120の外側部104に沿った非対称内部層380の距離よりも短い距離だけアッパー120の中足領域102の内側部105に沿って設けてもよい。この実施形態では、外側裏地部385と内側裏地部386は、非対称的な構成の非対称内部層380を設けるように、異なるサイズおよび形状を有している。図32に図示されているように、外側裏地部385は、内側裏地部386よりも大きく、および内側裏地部386よりもより遠くの距離までニット構成要素130のかかと領域103内に延びており、ちょうど中足領域102まで延びている。

接続層382は、ニット構成要素130の内側面122への裏地層384の取付けを容易にするために、裏地層384の部分の輪郭をたどるようにおよび/またはその部分に部分的に重なるように構成された複数の構成要素を含んでもよい。この実施形態では、接続層382は、スロート部390を含んでいる。スロート部390は、非対称内部層380のほぼ中間に、および主に中足領域102を中心にして配置されている。いくつかの実施形態では、スロート部390は、甲回り領域または足の上面に一致していてもよい。非対称内部層380をニット構成要素130と組み合わせてアッパー120を形成した場合、接続層282のスロート部390は、アッパー120のスロート領域124に一致していてもよい。本発明の実施形態では、スロート部390は、スロート部390の両側で、外側裏地部385と内側裏地部386とに分けて分離させてもよい。

いくつかの実施形態では、接続層382のスロート部390は、複数の締めひも開口部392を含んでもよい。複数の締めひも開口部392は、図32に図示されているように、スロート部390の周辺に沿っておよび周辺に隣接して配置してもよい。いくつかの実施形態では、複数の締めひも開口部392は、ニット構成要素130の締めひも収容要素126と一致している。締めひも開口部392は、追加的な補強および/または支持を締めひも収容要素126に与えてもよい。

接続層382は、スロート部390から、非対称内部層380の縁部に向かって異なる方向に及んでいる部分を含んでもよい。例えば、接続層382は、外側部104および内側部105の各々に向かって横方向に延びている部分を含んでもよい。この実施形態では、接続層382は、スロート部390から内側部105に向かう方向に延びている内側延長部394を含んでいる。内側延長部394は、内側裏地部386の周辺の輪郭をたどるように、足先領域101に向かう前方方向にさらに延びていてもよい。また、接続層382は、スロート部390から、かかと領域103へ向かう後部方向に延びて、その後、外側部104の方へ戻って前方方向に延びている外側延長部395も含んでいる。外側延長部395は、内側延長部394の反対側に設けられている。外側延長部395は、外側裏地部385の周辺に沿って進んで、およびその周辺の輪郭をたどって外側部104に向かって延びていてもよい。

また、接続層は、かかと領域103に向かう長手方向で後方に延びていてもよい。この実施形態では、接続層382は、スロート部390から内側縁部398まで及んでいる内側カラー部396を含んでいる。上述したように、接続層382の外側延長部395は、外側部104に向かって前方に延びる前に、スロート部390と外側縁部399との間に延びている。非対称内部層380がニット構成要素130と結合された場合、接続層382の内側縁部398は、かかと領域103の内側部105において、ニット構成要素130の外周に一致し、また、接続層382の外側縁部399は、かかと領域103の外側部104において、ニット構成要素130の外周に一致する。本発明の実施形態では、内側カラー部396は、裏地層384の内側カラー部388を包囲して囲んでいてもよい。

本発明の実施形態では、接続層382は、重複領域393をさらに含んでもよい。重複領域393は、上述した重複領域293と実質的に同じものである。この実施形態では、重複領域393は、内側裏地部386の一部に重なっている内側延長部394に沿って、内側裏地部386および外側裏地部385の部分に重なっているスロート部390を通って、および外側裏地部385の一部に重なっている外側延長部395に沿って延びている。くわえて、重複領域393は、内側裏地部386および外側裏地部385の部分に重なっているスロート部390を通ってさらに延びていてもよい。

図33は、上述した非対称内部層380の第2の構造の例示的な実施形態を形成する構成要素の組立分解図を示す。図33に図示されているように、非対称内部層380は、接続層382および裏地層384を含んでいる。接続層382は、(複数の開口部392を含む)スロート部390と、内側延長部394と、外側延長部395と、内側カラー部396とを含んでいる。裏地層384は、外側裏地部385と、内側裏地部386と、内側カラー部388とを含んでいる。前述したように、接続層382は、裏地層384の部分を接続層382に取り付けて非対称内部層380を形成するように、および/または非対称内部層380の部分を、ニット構成要素130の内側面122に取り付けるのを支援するように構成される高分子材料で形成してもよい。

次に、図34および図35A〜図35Bを参照すると、非対称内部層380の第2の構造は、履物製品100の例示的な実施形態のアッパー120を形成するようにニット構成要素130に結合されている。履物製品100は、締めひも125と、表面層140と、複数の突出領域133とを含む上述した履物製品の構成要素を含んでいる。この実施形態では、非対称内部層380の非対称的な構造は、外側部104および内側部105の各々に設けられた裏地層384の部分の違いを参照して見れば分かる。

図34に図示されているように、非対称内部層380の内側裏地部386は、上述した内側裏地部286と同様に、足先領域101の前端部から、内側部105の履物製品100の中足領域102までの第1の距離D1だけ延びている。しかし、非対称内部層280とは対照的に、非対称内部層380の外側裏地部385は、中足領域102を通って延びる足先領域101の前端部から、外側部104の履物製品100のかかと領域103までの第3の距離D3だけ延びている。この実施形態では、第3の距離D3は、第1の距離D1よりも長い。くわえて、第3の距離D3は、上述した外側裏地部285の第2の距離D2よりも長い。

図35Aの断面図に図示されているように、履物製品100の足先領域101は、ニット構成要素130の内側面122全体に実質的に沿う非対称内部層380を含んでもよい。対照的に、中足領域102の履物製品100の一部に沿った図35Bの断面図に図示されているように、非対称内部層380の外側裏地部385は、実質的に、ニット構成要素130の外側部104上の内側面122全体に沿って、締めひも125に隣接する上端部から、ストローベル式中敷き128および中敷き113に隣接する底端部まで設けられている。しかし、非対称内部層380の内側裏地部386は、内側部105において、ニット構成要素130の内側面122の一部にのみ沿って、締めひも125に隣接する上端部から、接続層382の内側延長部394がそこに図示されている内側部105に沿った部分まで設けられている。

くわえて、かかと領域103における履物製品100の一部に沿った図35Cの断面図に図示されているように、非対称内部層380の外側裏地部385は、ニット構成要素130の外側部104の内側面122の一部に沿って、締めひも125に隣接する上端部から、外側延長部395がそこに図示されている外側部104のほぼ中間まで設けられている。くわえて、かかと領域103には、非対称内部層380の内側カラー部388が、カラー123に隣接するアッパー120の上端部近傍の内側部105で、ニット構成要素130の内側面122の一部のみに沿って設けられている。

この構造の場合、履物製品100の前端部からより短い距離だけ延びている内側裏地部386を非対称内部層380に設けることにより、履物製品100の着用者が、アッパー120の内側部105に沿ってパスを出すか、またはホールドするためのサッカーボールのより敏感な「感触」を有することが可能になる。くわえて、外側部104の履物製品100の前端部からより長い距離だけ延びている外側裏地部385を非対称内部層380に設けることにより、サッカーボールまたは他の物体による、アッパー120の外側部104への衝撃を吸収するのを助けるように、追加的な緩衝部またはパッド部を履物製品100に設けてもよい。くわえて、非対称内部層280の第1の構造と比較して、非対称内部層380の第2の構造は、追加的な緩衝部またはパッド部を着用者のかかとに付加するように、アッパー120の外側部104のかかと領域103の全面に延びている。

いくつかの実施形態では、ニット構成要素の内部層は、快適性および/またはクッション性を着用者の足にもたらすのを支援するように構成されている追加的な内部形状構成を含んでもよい。本発明の実施形態では、快適性および/またはクッション性を着用者の足のかかとにもたらすのを支援するために、ニット構成要素の内部層をかかと領域103に配置してもよい。図36〜図43は、履物製品のかかと領域に内部層として設けてもよい、かかとパッドのさまざまな実施形態を示す。

次に、図36〜図39を参照すると、ニット構成要素130のかかと領域103に内部層として設けることのできる、かかとパッド400の例示的な実施形態が図示されている。場合によっては、かかとパッド400は、内部層180、非対称内部層280の第1の構造および/または非対称内部層380の第2の構造を含む、上述した内部層の他の実施形態とは独立して設けてもよい。他の場合には、かかとパッド400は、本願明細書に記載されている内部層のいずれかの実施形態とともに組み合わせて設けてもよい。

いくつかの実施形態では、かかとパッド400は、かかと領域103内でニット構成要素130の内側面122に沿って配置してもよく、および中敷き113および/またはストローベル式中敷き128に近いかまたは隣接する位置から、ニット構成要素130の開口部を囲むカラー123の上端部まで内側面122に沿って上方へ延びていてもよい。この構造の場合、かかとパッド400は、アッパー120内に設けた場合、着用者の足のかかとに、快適性および/またはクッション性をもたらすことができる。

ニット構成要素130が、足首カフ、例えば、図12〜図15に示すような足首カフ160を含んでいる実施形態では、かかとパッド400は、中敷き113および/またはストローベル式中敷き128に近いかまたは隣接する位置から、ニット構成要素130の開口部を囲む足首カフの上部まで内側面122に沿って延びていてもよい。この構造の場合、かかとパッド400は、アッパー120内に設けた場合、かかとと、着用者の足のアキレスに沿って延びているかかとの上とに快適性および/またはクッション性をもたらすことができる。

次に、図36および図37を参照すると、かかとパッド400は、着用者の足首の少なくとも一部を覆うための足首カフ160を有するニット構成要素130を含む履物製品100に組み込むことができる。そのため、アッパー120は、足を覆うのにくわえて、上方へ延びて、足首の一部を覆う。参考のために、アッパー120は、2つの大略的領域、すなわち、足領域106と、足首領域107とに分けてもよい。

足領域106は、足先領域101、中足領域102およびかかと領域103の各々を通って延び、および足に一致するアッパー120の部分を大略的に包含する。履物製品100の多くの構造では、足領域106は、着用者の外果および内果(すなわち、足首の各側部の踝)の下にあることが意図されているアッパー120の部分に一致している。足首領域107は、主にかかと領域103内に位置しており、および足首に一致するアッパー120の部分を大略的に包含する。履物製品100の多くの構造では、外果および内果の上を覆ってそれらの上に延びていることが意図されているアッパー120の部分に一致している。

図36〜図39に図示されているように、突出領域133がニット構成要素130の全面にわたって存在している、図9Bに図示されているニット構成要素130の実施形態と同様のニット構成要素を、かかとパッド400とともに用いてもよい。くわえて、ニット構成要素130のこの実施形態は、上述したように、足首カフ160を含んでいる。

いくつかの実施形態では、かかとパッド400は、アッパー120の異なる領域に沿って配置された1つ以上の部分を含んでもよい。一実施形態において、かかとパッド400は、本体部404および上行部402を含んでいる。本体部404は、足領域106のかかと領域103内のニット構成要素130の一部において、着用者のかかとの周りに及ぶように構成してもよい。上行部402は、着用者のかかとの上に沿って延び、および足首領域107のかかと領域103内のニット構成要素130の一部において、少なくとも部分的にアキレス腱を覆うように構成してもよい。

本発明の実施形態では、本体部404および上行部402は、各部分が覆うように構成されている着用者のかかとの部分に一致する形状を有していてもよい。例えば、本体部404は、着用者のかかとのより大きな部分に対応して覆うように、上行部402よりも幅広であってもよい。同様に、上行部402は、かかとパッド400が内側面122に沿って上方へ延びるにつれて、着用者のかかとのアキレス腱に対応して覆うように、本体部404よりも幅が狭くなっていてもよい。

この実施形態では、本体部404は、外側縁部406から内側縁部(図示せず)まで、ニット構成要素130の外側部104と内側部105との間に延びていてもよい。かかとパッド400は、さらに、中敷き113および/またはストローベル式中敷き128に隣接して配置されている本体部404の底縁部412から、足首カフ160の開口部161に隣接して配置されている上行部402の上縁部410まで延びていてもよい。この構造の場合、かかとパッド400は、履物製品100の着用者の足のかかとおよび/またはアキレス腱にパッド性および/またはクッション性をもたらすように構成してもよい。

いくつかの実施形態では、かかとパッド400は、積層構造によってかかとパッド400を形成する1つ以上の層を含む複数の構成要素を含んでもよい。本発明の実施形態では、かかとパッド400は、パッド層420および被覆層430を含んでもよい。

図39に図示されているように、パッド層420は、内側面122に直接沿って設けてもよく、また、被覆層430は、パッド層420を覆って設けてもよい。いくつかの実施形態では、被覆層430は、パッド層420を覆って包み込むように、パッド層420の全周囲よりも大きくしてもよく、および全周囲を覆って延びていてもよい。被覆層430の周囲に沿った縁部は、ニット構成要素130の内側面122に直接沿って設けてもよいが、被覆層430の残りの部分は、パッド層420に接触して設けられている。パッド層420は、衝撃を弱めるポリマー発泡材料から、または、パッド性またはクッション性を足にもたらすように構成された他の何らかの材料から形成してもよい。被覆層430は、マイクロファイバー布地等の布地を含む、内部層のための何らかの適当な材料、または、上述した表面層140の特性の多くを備えたポリマー層材料から形成してもよい。

図37に示すように、かかとパッド400は、アッパー120の内部で、ニット構成要素130の内側面122に沿って延びていてもよい。本発明の実施形態では、パッド層420および被覆層430のうちの1つ以上は、接着剤を用いて、足首カフ160を含むニット構成要素130の内側面122に取り付けることができ、またはその内側面に他の方法で接合することができる。この実施形態では、本体部404は、アッパー120の足領域106において、底縁部412から、足首領域107の開口部161へ向かって続いて、ニット構成要素130の内側面122に取り付けられ、そこでは、上行部402が、開口部161に隣接する上縁部410において、ニット構成要素130の足首カフ160の内側面122に取り付けられている。

図38に図示されているように、かかとパッド400は、着用者の足1000のかかと1002の形状にしっかりと一致し、およびその形状に適合している。この実施形態では、かかとパッド400は、かかと領域103において、中敷き113に隣接する底縁部412から、ニット構成要素130の内側面122に沿って上方へ及んで、さらに、足首カフ160上の開口部161に隣接する上縁部410まで延びている。足首カフ160の開口部161には、かかとパッド400の上行部402の上縁部410が、かかと領域103において、ニット構成要素130の内側面122の底部で中敷き113に隣接する位置に設けられた、かかとパッド400の本体部404の底縁部412よりも、足先領域101の方向においてより前方に配置された位置に設けられている。ニット構成要素130の足首カフ160の柔軟性のため、かかとパッド400の上行部402は、かかと1002の形状にしっかりと一致して適合するように足1000のアキレス腱に沿ってたどるように、かかと1002の湾曲部に沿ってたどって、上縁部410において、足1000の足首1004の上に延びていてもよい。

次に、図40〜図43を参照すると、ニット構成要素130のかかと領域103における内部層として設けることのできるかかとパッド500の代替的な実施形態が図示されている。いくつかの実施形態では、かかとパッド500は、着用者の足の所望の領域にパッド性をもたらすように、かかと領域103の選択された部分に設けてもよい。場合によっては、かかとパッド500は、内部層180、非対称内部層280の第1の構造および/または非対称内部層380の第2の構造を含む、上述した内部層の他の実施形態とは別に設けてもよい。他の場合には、かかとパッド500は、本願明細書に記載されている内部層の実施形態のうちのいずれかと組み合わせて設けてもよい。上述したかかとパッド400と比較すると、かかとパッド500は、着用者の足の所望の領域にパッド性および/またはクッション性をもたらすように、異なるサイズおよび/または形状で構成してもよい。例えば、一実施形態において、かかとパッド500は、着用者の足の足首に対応して囲むニット構成要素130のかかと領域103の部分にパッド性および/またはクッション性をもたらすように選択してもよい。

いくつかの実施形態では、かかとパッド500は、かかと領域103において、ニット構成要素130の内側面122に沿って配置してもよく、および中敷き113および/またはストローベル式中敷き128に近いかまたは隣接する位置から、ニット構成要素130の開口部を囲んでいるカラー123の上端部まで、内側面122に沿って上方へ延びていてもよい。この構造の場合、かかとパッド500は、アッパー120内に設けた場合、着用者の足の足首に快適性および/またはクッション性をもたらすことができる。

ニット構成要素130が、足首カフ、例えば、図12〜図15に示すような足首カフ160を含んでいる実施形態では、かかとパッド500は、中敷き113および/またはストローベル式中敷き128に近いかまたは隣接する位置から、ニット構成要素130の開口部を囲む足首カフの上部まで内側面122に沿って延びていてもよい。この構造の場合、かかとパッド500は、アッパー120内に設けた場合、かかとと、アキレス腱に沿って延びている、および着用者の足の足首の周りに延びているかかとの上とに快適性および/またはクッション性をもたらすことができる。

次に、図41および図42を参照すると、かかとパッド500は、上述したように、着用者の足首の少なくとも一部を覆うための足首カフ160を有するニット構成要素130を含む履物製品100に組み込むことができる。図40〜図43に図示されているように、突出領域133がニット構成要素130の全面にわたって存在している、図9Bに示したニット構成要素130の実施形態と同様のニット構成要素を、かかとパッド500とともに用いてもよい。くわえて、ニット構成要素130のこの実施形態は、上述したように、足首カフ160を含んでいる。

いくつかの実施形態では、かかとパッド500は、アッパー120の異なる領域に沿って配置された1つ以上の部分を含んでもよい。一実施形態において、かかとパッド500は、本体部504および上行部502を含んでいる。本体部504は、足領域106のかかと領域103内のニット構成要素130の一部において、着用者のかかとおよび足首の周りに及ぶように構成してもよい。上行部502は、着用者のかかとの上に沿って延び、および足首領域107のかかと領域103内のニット構成要素130の一部において、少なくとも部分的にアキレス腱を覆うように構成してもよい。本発明の実施形態では、本体部504および上行部502は、各部分が覆うように構成されている着用者のかかとおよび/または足首の部分に一致する形状を有してもよい。例えば、本体部504は、着用者のかかとおよび/または足首のより大きな部分に対応して覆うように、上行部502よりも幅広であってもよい。同様に、上行部502は、かかとパッド500が内側面122に沿って上方へ延びるにつれて、着用者のかかとのアキレス腱に対応して覆うように、本体部504よりも幅が狭くなっていてもよい。

この実施形態では、本体部504は、外側縁部506から内側縁部(図示せず)まで、ニット構成要素130の外側部104と内側部105との間に延びていてもよい。かかとパッド500は、さらに、中敷き113および/またはストローベル式中敷き128に隣接して配置されている本体部504の底縁部512から、足首カフ160の開口部161に隣接して配置されている上行部502の上縁部510まで延びていてもよい。この構造の場合、かかとパッド500は、履物製品100の着用者の足のかかと、足首および/またはアキレス腱にパッド性および/またはクッション性をもたらすように構成してもよい。

くわえて、かかとパッド400と比較して、かかとパッド500は、かかとパッド400の本体部404よりも大きな本体部504を大略的に有していてもよい。本発明の実施形態では、かかとパッド500の本体部504は、着用者の足の足首に対応して囲むように構成してもよい。例えば、この実施形態では、本体部504の外側縁部506および内側縁部は、かかと領域103の後部から第4の距離D4だけ、足先領域101に向かう長手方向に延びていてもよい。第4の距離D4は、アッパー120内に設けた場合の着用者の足の足首のおおよその位置に一致するように構成してもよい。この構造の場合、本体部504は、外側部104および内側部105で、およびアキレス腱を含む足首の後部周辺で、着用者の足の足首を包み込んで囲んでもよい。

いくつかの実施形態では、かかとパッド500は、積層構造によってかかとパッド500を形成する1つ以上の層を含む複数の構成要素を含んでもよい。本発明の実施形態では、かかとパッド500は、パッド層520および被覆層530を含んでもよい。

図43に図示されているように、パッド層520は、内側面122に直接沿って設けてもよく、また、被覆層530は、パッド層520を覆って設けてもよい。いくつかの実施形態では、被覆層530は、パッド層520を覆って包み込むように、パッド層520の全周囲よりも大きくしてもよく、および全周囲を覆って延びていてもよい。被覆層530の周囲に沿った縁部は、ニット構成要素130の内側面122に直接沿って設けてもよいが、被覆層530の残りの部分は、パッド層520に接触して設けられている。パッド層520は、衝撃を弱めるポリマー発泡材料から、または、パッド性またはクッション性を足にもたらすように構成された他の何らかの材料から形成してもよい。被覆層530は、マイクロファイバー布地等の布地を含む、内部層のための何らかの適当な材料、または、上述した表面層140の特性の多くを備えたポリマー層材料から形成してもよい。

図41に示すように、かかとパッド500は、アッパー120の内部で、ニット構成要素130の内側面122に沿って延びていてもよい。本発明の実施形態では、パッド層520および被覆層530のうちの1つ以上は、接着剤を用いて、足首カフ160を含むニット構成要素130の内側面122に取り付けることができ、またはその内側面に他の方法で接合することができる。この実施形態では、本体部504は、アッパー120の足領域106において、底縁部512から、足首領域107の開口部161へ向かって続いて、ニット構成要素130の内側面122に取り付けられ、そこでは、上行部502が、開口部161に隣接する上縁部510において、ニット構成要素130の足首カフ160の内側面122に取り付けられている。

図42に図示されているように、かかとパッド500は、着用者の足1000のかかと1002の形状にしっかりと一致し、およびその形状に適合している。

この実施形態では、かかとパッド500は、かかと領域103において、中敷き113に隣接する底縁部512から、ニット構成要素130の内側面122に沿って上方へ及んで、さらに、足首カフ160上の開口部161に隣接する上縁部510まで延びている。足首カフ160の開口部161には、かかとパッド500の上行部502の上縁部510が、かかと領域103において、ニット構成要素130の内側面122の底部で中敷き113に隣接する位置に設けられたかかとパッド500の本体部504の底縁部512よりも、足先領域101の方向においてより前方に配置された位置に設けられている。ニット構成要素130の足首カフ160の柔軟性のため、かかとパッド500の上行部502は、かかと1002の形状にしっかりと一致して適合するように足1000のアキレス腱に沿ってたどるように、かかと1002の湾曲部に沿ってたどって、上縁部510において、足1000の足首1004の上に延びていてもよい。

いくつかの実施形態では、足1000の所望の領域にさらなるパッド性および/またはクッション性を与えるために、パッド層520を、かかとパッド500の選択した部分に沿って含めてもよい。例えば、図42に示すように、パッド層520は、本体部504および上行部502の一部のみを通って延びていてもよい。この実施形態では、かかと領域103の後部においてソール構造110に取り付けられたアッパー120の底部の上の第1の高さH1に設けられたかかとパッド500の選択した部分にパッド層520が配置されている。くわえて、パッド層520は、上縁部510から離間した位置で終端していてもよい。この構造の場合、パッド層520は、足1000のアキレス腱にほぼ一致するかかと1002の上で足1000の後部の部分に沿って、さらなるパッド性および/またはクッション性をもたらすように構成してもよい。場合によっては、足1000は、足首1004にほぼ位置合わせされたかかと1002の上に延びている領域に中空部または他のくぼみを有していてもよい。この実施形態では、かかとパッド500には、さらなるパッド性および/またはクッション性を足1000のこの中空部またはくぼみにもたらすことに対応して支援するために、および足1000のこの部分への好ましくない圧力および/または摩擦を和らげるために、図42に示すように、略第1の高さH1にパッド層520が設けられている。

本発明は、さまざまな構造に関して、上記および添付図面に開示されている。しかし、その開示が果たす目的は、本発明に関連するさまざまな特徴および概念の実施例を示すことであり、本発明の範囲を限定することではない。当業者は、添付クレームによって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、上述した構造に対してさまざまな変形および変更を行ってもよいことを正しく認識するであろう。

この米国特許本出願は、米国特許法第119条(e)項の下で、2012年11月15日に米国特許商標局に出願された、「ニット構成要素を組み込んだ履物製品」というタイトルの米国特許仮出願第61/727,010号(代理人番号51−2906)の優先権の利益を主張するものであり、その出願の開示全体は、参照によって全体を本願明細書に組み込まれるものとする。

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