【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は釣り込まれた靴を底を上にして支持する靴支持台に関し、この靴支持台は一対の支持部材を有しており、この一対の支持部材は相互に隔置され、支持される靴の長さ方向に延び、足型のコーンを一対の支持部材の間に受け入れることができるようになっており、さらに、靴は靴底を露出させて、支持部材の靴支持表面部分により支持されるようになっている。 この靴支持台は、例えば、靴底に接着剤を塗布し、接着剤のコーティングを乾燥させるか、あるいは、乾燥工程に置くような場合に靴を支持する装置として有用である。 【0002】 【従来の技術】このような靴支持台には、成人用の大きな靴から幼児用の小さな靴までを収容できるように調節可能であることが必要である。 このような範囲の種々の靴を収容するための色々な靴支持台がこれまで提案されてきたが、これらの靴支持台の多くはオペレータがロック機構を解除し、支持部材を適当な位置に再配置し、再び支持部材をロックする必要があった。 しかし、このような作業は時間を浪費するばかりでなく、面倒であり、 特に、この問題は、靴工場の他の部署から広範囲の大きさの靴を即座に受け入れることが必要である乾燥装置に使用されている支持部材の場合には顕著である。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】このため、本発明は、 所定の靴を受け入れることができるように即座に調節可能な支持部材を有する靴支持台を提供することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明に係る靴支持台においては、種々の大きさの靴を受け入れる支持部材の靴支持表面部分の間の間隔を調節するために、各支持部材は該支持部材の延長しているエッジに隣接する軸の回りに枢動自在に取り付けられており、支持部材を調節後の位置に維持するための摩擦部材が設けられている。 この摩擦部材によって、オペレータは容易に支持部材を新しい位置に移行させることができ、さらに、その位置に維持することができ、どのような靴でも正確に支持することができる。 特に、例えば、乾燥装置などにおいて本発明の靴支持台を用いると、支持部材の位置調整を迅速に行うことができるようになる。 【0005】本発明の一実施態様においては、各支持部材は、キャリアに回転可能に取り付けられている軸に取り付けられており、摩擦部材は摩擦プラグを有している。 この摩擦プラグはキャリアに取り付けられ、軸の表面と係合している。 このような比較的簡単な機構によって、支持部材を調節し、支持部材を調節後の位置に維持することができる。 【0006】さらに、この実施態様においては、支持部材は断面が楕円形状の中空バーからなっている。 このような支持部材は釣り込まれた靴を支持するのに非常に適している。 【0007】しかしながら、釣り込まれた靴底に塗布された接着剤をソールユニットの靴底(このソールユニットの靴底にも接着剤が塗布されている)に接着させる前にその接着剤を乾燥させる場合に本発明の靴支持台を用いる場合には、ソールユニットを靴底と同時に乾燥させ、双方の靴端部ソールユニットを同時に相互に接着できる状態にすることができれば、極めて便利である。 【0008】このため、本発明の他の実施態様においては、各支持部材をプレート部材として形成し、このプレート部材の寸法は、該プレート部材が前記軸の回りに枢動してその靴支持表面部分を共通の平面に移行させたときに、靴支持表面部分がほぼ連続した表面(この表面の上に、例えば、ソールユニットを支持することができる)を形成するように定められる。 【0009】本発明に係る靴支持台を複数集めて靴運搬装置の一部を形成することも可能である。 この靴運搬装置においては、靴支持台は、連続駆動機構上において相互に隣接して取り付けられており、さらに、負荷領域から無負荷領域へ連続して運ばれる。 この目的のためには、駆動機構はリニア型のものがよく、また、負荷領域と無負荷領域はリニア型駆動機構の一つのリーチ(例えば、上部リーチ)の両側に位置していることが好ましい。 これにより、靴支持台は前記駆動機構の他方のリーチに沿って負荷領域に戻ることができる。 【0010】さらに、靴支持台が一対のプレート部材を有している場合には、隣接する靴支持台の一部を形成している、隣接する靴支持台は共通軸の回りに枢動自在に取り付けられていることが好ましい。 このようにすることによって、スペースを節約することができ、各支持部材が単独に枢動軸に取り付けられている場合と比較して、負荷領域と無負荷領域との間において所定の距離に対してより多くの靴および/または靴部品を移動させることができる。 【0011】このような靴運搬装置は乾燥チャンバを有する乾燥装置に用いることに特に適している。 靴はこの靴運搬装置によって乾燥チャンバ内を通過し、乾燥チャンバ内では空気ジェットが靴運搬装置により支持されている靴の露出している靴底に向けられており、この空気ジェットにより靴底が加熱される。 さらに、本発明の一実施態様においては、靴運搬装置は前述した一対のバー部材からなる支持部材を有しており、この靴運搬装置を別個の連続駆動機構とともに用いることができる。 この連続駆動機構はプラットフォーム部分を有しており、このプラットフォーム部分の上に靴のソールユニットを支持することができ、さらに、このソールユニットを、靴運搬装置の駆動機構の作動と時間的に関連させて、別個の乾燥チャンバの中を通過させることができる。 この別個の乾燥チャンバの中には空気ジェットがプラットフォーム部分により支持されたソールユニットの露出部分に向けられており、この空気ジェットによりソールユニットの露出部分が加熱される。 【0012】あるいは、本発明の他の実施態様においては、靴支持台は上述したような一対のプレート部材からなり、本態様では、靴支持台のプレート部材の配置に従って、靴と靴部品の双方が同じ乾燥チャンバーを通過するように支持することができる。 【0013】以下、図面を参照して、本発明に係る二つの靴支持台と、本発明に係る靴支持台を組み込んでいる靴運搬装置を有する二つの乾燥装置について詳述する。 以下の説明は単なる例示的なものであって、本発明はこれらに限定されるものではない。 【0014】 【実施例】図1に示すように、本発明に係る第一の乾燥装置は二つの乾燥チャンバー10、12を有している。 その一方は他方の上方に位置し、各々がプレナムチャンバー14と赤外線乾燥領域16とを有している。 乾燥チャンバー10は釣り込まれた靴の底に塗布された接着剤を乾燥させるためのものであり、乾燥チャンバー12はソール・ヒールユニットに塗布された接着剤を乾燥させ、次の靴底への取り付けに備えるものである。 各ユニットを乾燥チャンバー12の内部を通過させるため、連続ベルト18が設けられている。 この連続ベルト18は複数のプラットフォーム部分を形成しており、このプラットフォーム部分の上に各ユニットが支持される。 あるいは、例えば連続チェーンによって支持されたプラットフォームを用いることもできる。 ただし、ベルトとチェーンのいずれを用いるにしても、これらが乾燥チャンバー12の駆動機構をなし、靴運搬装置20(この靴運搬装置20により靴は乾燥チャンバー10の中を運ばれる)と時間的な関連の下に駆動される。 【0015】靴運搬装置20はチェーン22を備えている。 このチェーン22は二つの大きなスプロケット24 の回りに掛けられており、複数のキャリア30を支持している。 このキャリア30の各々が本発明に係る第一の靴支持台の一部を形成している。 一方のスプロケット(図1で見て右側)はフリーホィール26を介してピストン・シリンダ機構28により駆動され、これにより、 チェーン22は間欠的に駆動される。 これらの機構により、ある時間にチェーンの上部リーチにより支持された靴支持台は負荷領域Aの一端から無負荷領域Bの反対端へ移動し、靴支持台は下部リーチに沿って負荷領域Aに戻る。 【0016】図2に示すように、各キャリア30は鋳造品32を備えており、この鋳造品32はチェーン22に取り付けられ、二つの直立ラグ34を有している。 各直立ラグ34は軸36を支持している。 軸36は直立ラグ34の外側まで突出しており、乾燥チャンバー10の横方向に延びている。 後述するように、軸36は直立ラグ34の内部で回転可能である。 軸36には支持部材として中空バー38が取り付けられている。 この中空バー3 8は楕円形断面であり、靴支持台の靴支持表面部分をなしている。 各軸36は各直立ラグ34の内部で回転可能であるので、各中空バー38(その一方のエッジは軸3 6の中心軸に位置している)は垂直方向(図2に破線で示す範囲)および水平方向(図2で実線で示す範囲)に枢動することができる。 軸36の中心軸に対してどの位置に中空バー38を配置させるかによって、中空バー3 8の靴支持表面部分の間の間隔を大きくしたり、小さくしたりすることが可能である。 このため、種々の大きさの靴を支持することができる。 図2には、水平方向に位置する中空バー38により支持されている比較的小さな足型(L1)(この足型のコーンが中空バー38の間を下方に突出している)と、中空バー38が垂直方向に枢動することにより支持された比較的大きな足型(L2) とが示されている。 【0017】中空バー38を調節後の位置に維持するため、プラグ40(例えば、ナイロン製)が設けられている。 このプラグ40は各直立ラグ34の内部に形成されたネジ穴の中に配置され、軸36の表面と係合可能であるようにされている。 さらに、セットネジ42その他これに類するものによって、プラグ40が軸36の表面に対して与える圧力を変えることができるようになっている。 このようにして、中空バー38は調節後の位置に維持され、広範囲の大きさの足型を支持できるようにされている。 【0018】オペレータが中空バー38の位置を変える場合には、単に、負荷領域にある中空バー38をつかみ、それを所望の新しい位置まで回転させればよい。 【0019】図3には本発明の第二の乾燥装置が示されている。 この第二の乾燥装置は、プレナムチャンバー(図示せず。ただし、第一の乾燥装置のそれと同じ)と赤外線乾燥領域116とを有する乾燥チャンバー110 を備えている。 各ユニットを乾燥チャンバー110の中を通過させるため、靴運搬装置120が設けられている。 この靴運搬装置120はチェーン122を有しており、このチェーン122は複数のスプロケットの回りに掛け渡され、側部において複数のキャリア130を支持している。 このキャリア130の各々が本発明に係る第二の靴支持台の一部を形成している。 スプロケットの一つは第一の乾燥装置の場合と同様な方法で駆動されており、キャリア130は負荷領域Aと無負荷領域Bとの間でチェーン122の上部リーチに沿って移動する。 【0020】各キャリア130は組立式支持台132を備えており、この支持台132はチェーンの一部をなし、二つの直立ラグ134を有している。 各直立ラグ1 34は軸136を支持している。 軸136は本乾燥装置の幅方向に延びている。 すなわち、チェーン122の両側から外側に突き出ている。 軸136は各直立ラグ13 4の中に固定されている。 軸136の外側に突き出た部分には、軸136に対して枢動可能であるように、支持部材としての二つのプレート部材138が取り付けられている。 一方のプレート部材138は靴支持台の一部を形成しており、他方のプレート部材138が隣接する靴支持台の一部を形成している。 各プレート部材はそのエッジ(このエッジにおいて該プレート部材は軸136に取り付けられている)に沿って連結機構を有しており、 これにより、各プレート部材は軸136に支持されている他方のプレート部材と連動することができるようになっている。 二つのプレート部材は軸の回りに相互に独立に枢動し得る。 各プレート部材138は靴支持表面部分を形成しており、この靴支持表面部分と隣接する軸13 6に支持される隣りのプレート部材がなす靴支持表面部分との間に靴が支持される。 あるいは、例えば、ソールユニットなどの靴部品が支持される。 このため、前述したように、プレート部材138は支持軸136の回りに枢動可能に形成されており、プレート部材が垂直方向に位置しているときには大きな足型L2を支持することができ、プレート部材が水平方向に位置しているときにはほぼ連続した支持表面を形成し、その上に靴部品Sを支持することができる。 各プレート部材138の寸法や各軸136の間の間隔は、各プレート部材138が水平方向に位置したときにほぼ連続する表面が形成されるように選ばれている。 どのような大きさの足型でも、各プレート部材138を垂直方向と水平方向の間の適当な位置に枢動させることにより、各プレート部材138の表面部分により支持することが可能である。 【0021】第一の靴支持台の場合と同様に、各プレート部材138は、オペレータが手動でその動きを調節できるように、枢動自在に取り付けられている。 さらに、 プレート部材をその調節後の位置に維持するため、各靴支持台には、軸136の各端部において、すなわち、軸136の外側端部において、かつ、チェーン122に隣接してカラー144が設けられている。 一方のカラー1 44は軸136に取り付けられた一方のプレート部材の連結機構の側面に当接しており、他方のカラー144も同様に他方のプレート部材の連結機構の側面に当接している。 各カラー144とそれが当接している連結機構の側面との間には、変形可能な材料からなるOリングが配置されており、各カラー144にはこのOリングが部分的に嵌まり込む穴が形成されている。 軸136の外側端部にあるカラー144はボア146を有しており、このボア146の中を取り付けネジ148の軸部が通っている。 一方、取り付けネジ148の頭部はカラー144の端面にある穴に嵌まっている。 取り付けネジ148は軸136の端部のネジ付き内部ボアの内部に螺合されている。 取り付けネジ148がこの内部ボアの中に螺合されているため、カラー144がその位置に保持され、プレート部材138が軸136から外れないようになっているだけでなく、Oリングが変形して各プレート部材の側面に摩擦力を生じさせている。 このようにして、各プレート部材は調節後の位置からずれないようにされている。 【0022】第一の靴支持台の場合と同様に、オペレータが調節後の位置を変える必要があるときには、単に、 負荷領域にあるバーをつかみ、所望の新しい位置に回転させればよい。 【図面の簡単な説明】 【図1】複数の本発明に係る第一の靴支持台を有する第一の乾燥装置の側面図であり、一部に破断図を含む。 【図2】本発明に係る第一の靴支持台の概略図であり、 靴支持台の一部を構成しているバー部材を示すため一部に破断図を含む。 【図3】複数の本発明に係る第二の靴支持台を有する第二の乾燥装置の斜視図である。 【図4】本発明に係る第二の靴支持台の概略図である。 【図5】隣接する靴支持台の一部を形成し、共通の枢動点に取り付けられた二つのプレート部材を示す平面図である。 【符号の説明】 10 乾燥チャンバー 12 乾燥チャンバー 14 プレナムチャンバー 16 赤外線乾燥領域 18 連続ベルト 20 靴運搬装置 22 チェーン 24 スプロケット 26 フリーホィール 28 ピストン・シリンダ機構 30 キャリア 34 直立ラグ 36 軸 38 中空バー 40 プラグ 110 乾燥チャンバー 116 赤外線乾燥領域 120 靴運搬装置 122 チェーン 130 キャリア 132 支持台 134 直立ラグ 136 軸 138 プレート部材 144 カラー 146 ボア 148 取り付けネジ ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 テランス ジヨン ブラウン イギリス レスター エルイー8 1エス ピー ウイグストン ウエルフオード ロ ード 69 (72)発明者 アルフレツド ラルフ コーベツト イギリス レスター バーストール カー ゾン アベニユー 108 (72)発明者 ジヨヴアンニ コツテイノ イタリア 27029 ヴイジエヴアーノ ヴ イアポンペイ 19 |