緩み止め紐

申请号 JP2015559367 申请日 2015-11-20 公开(公告)号 JP6385961B2 公开(公告)日 2018-09-05
申请人 株式会社SHINDO; 发明人 大木 崇司;
摘要
权利要求

筒状織物に1本または複数本のピコ用線状体が経糸方向に織り込まれ、該ピコ用線状体が筒状織物の長さ方向において所定の間隔で筒状織物の表面上にループ状に突出していることを特徴とする緩み止め紐。前記筒状織物が、経糸の一部に弾性糸を含む経糸方向に伸縮性を有する組織で構成されると共に、ピコ用線状体に可撓性を有する紐糸材が使用されて、当該ピコ用線状体によって形成されたループが、筒状織物の伸張時には曲率の小さい緩やかな山なり形状に、筒状織物の弛緩時には曲率の大きい鋭く突出した形状に変化することを特徴とする請求項1記載の緩み止め紐。前記ピコ用線状体に、単体の直径が1〜3mmのエラストマー製の紐材が使用されていることを特徴とする請求項1または2に記載の緩み止め紐。前記ピコ用線状体に、複数本の糸を集合一体化させた見掛け直径1〜3mmの紐材が使用されていることを特徴とする請求項1または2に記載の緩み止め紐。前記筒状織物に複数本のピコ用線状体が織り込まれると共に、これら複数本のピコ用線状体同士が、非突出部位において筒状織物の内部で緯糸によって縛り付けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の緩み止め紐。筒状織物の表面に突出するループ間のピッチが5〜50mmで、各ループ形状は付け根間距離が2〜10mm、高さが1〜7mmであることを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の緩み止め紐。前記ピコ用線状体に、融点が120℃以上の熱融着性繊維から成る紐材が使用されると共に、当該ピコ用線状体と筒状織物の緯糸や経糸とが筒状織物内で熱融着されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか一つに記載の緩み止め紐。前記筒状織物に織り込まれた複数本のピコ用線状体同士が、筒状織物内で熱融着されていることを特徴とする請求項7記載の緩み止め紐。筒状織物の長さ方向においてピコ用線状体が筒状織物の表面に所定の間隔で連続的にループ状に突出する紐本体部の両側に、筒状織物内側のピコ用線状体を芯部とする紐先部が紐本体部よりも細く形成されていることを特徴とする請求項1〜8の何れか一つに記載の緩み止め紐。前記紐先部において、経糸の一部として織り込まれた弾性糸が、緯糸と絡まない状態で筒状織物の内側にピコ用線状体と並行に配置されていることを特徴とする請求項9記載の緩み止め紐。

说明书全文

本発明は、緩み止め紐に関し、特にアイレットに通して締結する靴や衣服など使用される緩み止め紐に関する。

複数本の糸が組まれた組紐は独特の意匠性と柔軟性を備えていることから種々の用途に用いられており、代表的な用途として靴紐がある。靴紐は意匠性の他に結び易くて、解けにくいという機能性も重要で、特に運動靴等における解けにくいという要求に対して多くの提案がなされている。

特許文献1においては、細長い部材の一側面にフックを、そして反対面にループを設けてファスナー作用で結び目を解けにくくする技術が提案されており、結び目におけるフックとループの係合により一旦結ばれた結び目は解け難い効果を発揮するが、結び付ける際にフックとループが引っ掛かって結び辛いくなるのが問題である。

一方、特許文献2においては、弾性コアとシースからなる紐体で、シースによる締め付けの強い箇所と弱い箇所を繰り返し、締め付けの強い箇所は伸縮性が制限されて伸縮に伴う径変化は殆どないが、締め付けの弱い箇所は弾性コアの収縮によりシースが緩んで紐体の径が増大、一方、弾性コアが引き伸ばさられるとシースが紐体の径が縮小する弾性コードが提案されている。

特許文献2の弾性コードに引っ張りが及んでいないフリーな状態では確かに見掛けの径は大きくなるが、シースを構成する編組が膨らんだ状態で柔軟なためにシューズのアイレット部での引っ掛かりこぶとしては不十分である。

また、引っ掛かりのこぶを強固にするために、例えば特許文献3ではこぶを有した中心ひもを芯にし、ゴム状素材と通常素材で組紐した固定ひもが提案されており、中心ひものこぶにより強固なこぶが形成され、アイレット部での滑り止め効果を発揮するが、反面、固定ひもが引き伸ばされても中心ひものこぶの存在により、直径変化が少ないためにアイレットに通し難い問題がある。

特表昭56−500243号公報

特表2002−541352号公報

特開2014−012912号公報

上述した問題点を鑑みて解決しようとする課題は、衣服や靴などにおいて紐をアイレットに通して結束する際に、紐が緩んだり、解けたりすることがなく、また外観においてもこれまでにない意匠効果を発揮しうる緩み止め紐を提供することにある。

本発明者が上記技術的課題を解決するために採用した手段を、添付図面を参照して説明すれば、次のとおりである。

即ち、本発明は、筒状織物に1本または複数本のピコ用線状体を経糸方向に織り込み、該ピコ用線状体を筒状織物の長さ方向において所定の間隔で筒状織物の表面にループ状に突出させて緩み止め紐を構成した。なお本明細書中における「ピコ」とは、小さなループが連続した縁飾りのことを意味する。

また本発明では、上記筒状織物を、経糸の一部に弾性糸を含む経糸方向に伸縮性を有する組織で構成すると共に、ピコ用線状体に可撓性を有する紐糸材を使用して、当該ピコ用線状体によって形成されたループを、筒状織物の伸張時には曲率の小さい緩やかな山なり形状に、筒状織物の弛緩時には曲率の大きい鋭く突出した形状に変化させる技術的手段を採用することができる。

そして、上記のように筒状織物の経糸に弾性糸を織り込めば、アイレットに通す際に、紐全体を伸長させることで突出するループの付け根間も伸ばされ、ループ形状が緩やかな山なりになって紐表面が凹凸の小さい滑らかな形状となるので容易に通すことが出来、更には伸縮性により結び目に常に締め付け作用が働くので紐が解け難くなる。

また、上記ピコ用線状体に関しては、単体の直径が1〜3mmのエラストマー製の紐材を使用することが好ましく、具体的には天然ゴム、合成ゴムなどのラバーゴム、ウレタンゴム、シリコンゴムやポリウレタン弾性糸の何れかから成る楕円、丸紐を用いるのが好ましい。

一方、上記ピコ用線状体には、複数本の糸を集合一体化させた見掛け直径1〜3mmの紐材を使用することもでき、具体的にはリリアン編、製紐、あるいは撚糸の中から選ばれた糸束集合工程により一体化したものを好適に使用できる。

また更に、上記ピコ用線状体に関しては、筒状織物内において緯糸と部分的に交錯させて筒状織物内側に拘束するのが好ましく、特に筒状織物に複数本のピコ用線状体を織り込む場合には、これら複数本のピコ用線状体同士を、非突出部位において筒状織物の内部で緯糸によって縛り付けておくことが好ましい。

そしてまた、本発明においては、上記筒状織物の表面に突出するループ間のピッチを5mm〜50mm、各ループ形状は付け根間距離を2mm〜10mm、高さを1〜7mmとするのが好ましい。

また上記ピコ用線状体に関しては、融点が120℃以上の熱融着性繊維から成る紐材を使用して、当該ピコ用線状体と筒状織物の緯糸や経糸とを筒状織物内で熱融着させておくことが好ましい。

また特に上記ピコ用線状体を筒状織物内に複数本織り込む場合には、これら筒状織物に織り込まれた複数本のピコ用線状体同士を筒状織物内で熱融着させておくことが好ましい。

また更に、上記筒状織物の長さ方向においてピコ用線状体が筒状織物の表面に所定の間隔で連続的にループ状に突出する紐本体部の両側には、筒状織物内側のピコ用線状体を芯部とする紐先部を紐本体部よりも細く形成することで、セルチップ加工を省略できる。

また上記紐先部を形成する場合には、経糸の一部として織り込まれた弾性糸を、緯糸と絡まない状態で筒状織物の内側にピコ用線状体と並行に配置することによって紐先部をより細く形成することができる。

本発明にあっては、筒状織物に1本または複数本のピコ用線状体を経糸方向に織り込み、該ピコ用線状体が長さ方向において所定の間隔で筒状織物の表面にループ状で突出させているため、衣服や靴などにおいて紐をアイレットに通して結束した際に、突出したループがアイレット部で抵抗となって紐の緩みが防止される。

また、結び目においても表面に突出ループが滑りの抵抗となるので、一旦結束すると解け難く、特に動きの激しい運動靴等で効果を発揮する。

そして更に、本発明では、袋組織からなる織物から紐を構成しているため、ジャカード柄出し等により組織柄や色柄など、多彩な意匠性を有した緩み止め紐を供給することが出来る。

また、上記ループ状に突出しているピコ用線状体を、筒状織物内で交差、または交錯する緯糸、経糸、および他のピコ用線状体の何れかと融着させれば、ピコ用線状体の移動を抑制し、安定したループ形状を保持することが出来る。

また製造時において、上記筒状織物の長さ方向においてピコ用線状体が筒状織物の表面に所定の間隔で連続的にループ状に突出する紐本体領域L5と、ピコ用線状体を芯材として細く形成された紐先領域L6を交互に形成し、更に紐先領域L6の中央を熱溶融カットすれば、紐の先端部をセルチップ加工なしで細く固く仕上げることが出来る。

本発明の緩み止め紐の構造を表す概略図である。

本発明の緩み止め紐における機能性を説明するための状態説明図である。

本発明の緩み止め紐の形状及び内部構造を表す説明図である。

本発明の緩み止め紐の組織構造を表す概略断面図である。

本発明の緩み止め紐の製造方法を説明するための概略図である。

本発明を実施するための形態を、具体的に図示した図面に基づいて、更に詳細に説明すると、次のとおりである。

[緩み止め紐の基本構成について] まず図1は本発明の一実施態様を示し、図中、符号1で指示するものは、緩み止め紐であり、また符号2で指示するものは、袋織から成る筒状織物である。また符号3で指示するものは、ピコ用線状体である。また本実施例では、2本のピコ用線状体3・3を、筒状織物2に織り込み、当該ピコ用線状体3を、所定の間隔で筒状織物2の表面にループ31を成して突出させて緩み止め紐1を構成している。

[筒状織物の組織及び糸材について] 筒状織物2はシャトル織機を用い、二重組織で表側と裏側を交互に製織する、或いはニードル織機を用いて二重組織で部を連結させて袋織とすることが出来、織物幅は5〜15mmの細幅で製織されたもので、製織後の筒状織物2の断面形状は円形、あるいは楕円形を成している。なおこの断面形状は、筒状織物2内に挿入されたピコ用線状体3の本数等の影響を受ける。

筒状織物2の経糸、および緯糸は通常衣料用で用いられている織糸を使用することが出来、例えば綿や毛等の天然繊維、あるいはポリエステル、ポリアミド、アクリル等の合成繊維からなる紡績糸やフィラメント糸、更にはそれらの混紡糸、加工糸などであり、それらの糸の繊度は50〜400dtex程度の太さの糸を使用することが出来、また、織物組織においては平織、綾織、朱子織、あるいは先染め糸を用いてジャカード柄などにすることが出来る。

[ピコ用線状体により形成されるループについて] 一方、上記筒状織物2には、経糸と別に可撓性を有するピコ用線状体3を織り込み、そのピコ用線状体3を筒状織物2の内側で所定の長さの長浮と、筒状織物2の表側への短い浮を繰り返し、表側へ浮部分のピコ用線状体3の送り出し長を大きくしてループ31を形成している。

また、上記ピコ用線状体3は1本または複数本配列され、ピコ用線状体3が複数本の場合には筒状織物2の円周方向に対して均等間隔で、更にそれらのピコ用線状体3によるループ31形成位置が長さ方向に対して同位置(同じ円周上の位置)に配置されるようにすることが好ましく、そうすることでピコ用線状体3の周りに存在する複数のループ31の内どれかがアイレットに引っ掛かる確率が高くなり、緩み止め効果が確実となる。

また、上記ピコ用線状体3に関しては、筒状織物2の表側への浮の長さ、すなわちループ31・31同士の付け根間距離L1を2〜10mmとすることが好ましい。これは、付け根間距離を2mm以下とした場合には、ループ31が筒状織物面上に垂直方向に立ってループ31の突出量が過大になってしまい、衣服や靴などのアイレットに通す際に引っ掛かりの抵抗が大きくなって、通し難くなるためである。また、付け根間距離L1を10mm以上とした場合には、突出量が非常に小さい円弧状のループ31となってしまい、アイレットへの引っ掛かり抵抗が小さくなって、本発明の目的である緩み止め効果が得られないためである。

また、上記ループ31の高さに関しては、アイレットでの引っ掛かりの抵抗とアイレットへの挿通性を考慮に入れて、ループ31の高さを1〜7mmの範囲内とするのが好ましい。

そしてまた、上記ループ31の付け根間距離L1は、ピコ用線状体3が筒状織物2の表側へ浮間の緯糸打ち込み密度と本数で調整出来、また、ループ31の高さはピコ用線状体3の送り出し量と製織後の筒状織物2の収縮量で決めることが出来る。

また、筒状織物2の表側に突出させるループ31間のピッチL2は出来るだけ小さい方が締め付け調整し易い点から好ましいが、前述のループ31の付け根間距離L1との関係からピッチL2は5〜50mmの範囲内であることが好ましい。なお上記ループ31の高さ、ループ31の付け根間距離L1、及びループ31間のピッチL2の各寸法は、緩み止め紐1に外力を加えずにフリーな状態で測定したサイズとする。

[筒状織物の弾性糸について] 図2は、筒状織物2の経糸の一部に弾性糸を用いて織り込み、筒状織物2に伸縮性を付与した緩み止め紐1を示すものであり、図2の(イ)は緩み止め紐1の長さ方向に引っ張り力が作用していない状態、図2の(ロ)は(イ)において矢印方向に引っ張り力が作用した状態である。そして、引張り力が作用した場合には、図2の(ロ)に示すようにループ31の付け根間距離L1も引き伸ばされるのでループ31が曲率の小さい緩やかな山なり形状となる一方、緩めてフリーな状態にすると、図2の(イ)に示すように根間距離L1が狭まってループ31の形状が曲率の大きい鋭く突出した形状に変化する。これにより、アイレットに通す際には、紐を引き伸ばすことで抵抗が減り、挿通して引き伸ばしを止めた後はアイレット部での引っ掛かり効果が増すという機能が発揮される。

また、緩み止め紐1自体に伸縮性を付与すると、弾性回復力により結び目が常に締め付けられた状態を維持するので、結び目が解け難いという効果も得られる。

筒状織物2の経糸に弾性糸を用いる方法としては、ポリウレタン弾性糸をそのまま用いても良いが、弾性糸を保護、あるいは染色差を無くす目的でポリウレタン弾性糸を芯として普通糸でカバーリング加工を施し、普通糸からなる経糸数本に対して1本の割合で配列して製織することで得られ、ポリウレタン弾性糸の混率としては、引き伸ばし時の回復力と材料コストのバランスから、緩み止め紐1に対して3〜10重量%であることが好ましい。

[ピコ用線状体の材料について] 緩み止め紐1におけるループ31はアイレット部で擦れが生じるので、ピコ用線状体3は耐摩耗性に優れた材料が好ましく、合成繊維糸をリリアン編、製紐、あるいは撚糸など加工を施して複数本の糸を集合一体化しておくことで、耐摩耗性も優れ、また剛性も増すのでアイレットでの引っ掛かり抵抗が増す。

また、ピコ用線状体3は、見掛け直径で1〜3mmの太さであることが好ましく、直径が1mm以下ではピコ用線状体3の剛性が不足してアイレット部や結び目での抵抗不足となり、一方、直径が3mm以上となると逆に剛性が高過ぎて屈曲させ難く、筒状織物2本体がピコ用線状体3の高剛性に負けて蛇行する問題が生じる。

なお、見掛けの直径とは、本発明の緩み止め紐1において筒状織物2の表面上に突出するループ31を形成しているピコ用線状体3の直径で、楕円断面においては長径を指すものである。

また上記ピコ用線状体3に関しては、単体の直径が1〜3mmのエラストマー製の紐材が使用することも可能で、具体的には天然ゴム、合成ゴムなどのラバーゴム、ウレタンゴム、シリコンゴムやポリウレタン弾性糸のいずれかからなる楕円、丸紐を使用することでより一層の滑り止め効果が得られ、前記ゴムの硬度としては20〜70であることが好ましい。なお、硬度はJIS6253に準拠した値であって、硬度が70以上では屈曲し難いためにループ31の形成が不可能であり、また、硬度が20以下では引っ張り強度や摩耗強度が不足するために、製織性や製品の耐久性が劣る問題があるために、好ましい硬度は20〜70の範囲である。

[ピコ用線状体の熱融着について] また上記ピコ用線状体3は、高融点ポリマーが芯で、低融点ポリマーが鞘の芯鞘構造の複合糸を含め、複合糸の低融点ポリマー成分により各糸条同士を接着一体化させておくと、ピコ用線状体3によるループ31の剛性が増し、アイレット部での抵抗が増す効果があり、これによって、より細いピコ用線状体3を用いることも可能となる。

また、ピコ用線状体3は低融点ポリマーで熱接着されていない柔軟性を有した状態で製織し、製織後に熱接着工程を行うことで、筒状織物2も乱れることなく、理想のループ31形状を得ることが出来るし、更にはピコ用線状体3と筒状織物2が接着されるのでループ31が外力を受けて筒状織物2内に押し込まれたするようなことが防止される。

また上記芯鞘構造複合糸に関しては、特に限定されないが、ポリエステルの芯鞘複合糸で鞘部の融点が180℃程度以下の低融点ポリマーで構成された複合糸をピコ用線状体3に対して5〜15重量%程度含めることより、接着が容易となって確実に接着させることが出来るので好ましい。

また、上記ピコ用線状体3に熱溶融性のポリマーを用いて、ポリマーの溶融温度の軟化点以上の温度で熱処理すれば、ピコ用線状体3が交差、または交錯する緯糸、経糸の何れかと熱融着されるため、ループ31が外力を受けて筒状織物2内に押し込まれたりする現象を確実に防止できる。加えて、ピコ用線状体3を筒状織物2内に複数本織り込む場合には、これら筒状織物2に織り込まれた複数本のピコ用線状体3・3同士を筒状織物2内で熱融着させておくことが好ましい。

熱溶融性のポリマーとしては、例えば融点が120℃以上であるポリマーが好ましく、その中でも更に融点が165〜200℃の熱接着性ウレタン弾性糸を使用すれば、熱処理温度が比較的低温度であることから処理し易く、伸縮性も得られるので好ましい。

[緩み止め紐の紐先部について] また図3に示すように、上記筒状織物2の紐本体部11(ピコ用線状体3が筒状織物2の表面に長さ方向にわたって所定の間隔で連続的にループ状に突出している部位)の両側には、筒状織物2内側のピコ用線状体3を芯部32とする紐先部12を紐本体部11よりも細く形成することができ、これによってセルチップ加工を省略することができる。

[緩み止め紐の組織構造について] [1]ループ突出部位 次に緩み止め紐1における各部位の組織構造について説明する。まずループ31の突出部位L3(図3参照)に関しては、図4(a)に示すように、筒状織物2を経糸21と緯糸22から成る袋組織とし、更にピコ用線状体3のループ31部分を長浮きさせることでループ31を形成している。また筒状織物2の緯糸22は、弾性糸21a及びその他の経糸21と交錯するように螺旋状に織り込んでいる。

[2]ループ非突出部位 またループ31が形成されていない非突出部位L4(図3参照)に関しては、図4(b)(c)に示すようにピコ用線状体3を芯組織とすることで筒状織物2内に隠れるようにしている。またこの非突出部位L4においては、図4(b)に示すように、ピコ用線状体3を部分的に緯糸と交錯させて、筒状織物2の内側に拘束している。特に筒状織物2に複数本のピコ用線状体3を織り込む場合には、複数本のピコ用線状体3・3同士を、筒状織物の2内部で緯糸によって縛り付けておくことが好ましく、これによってピコ用線状体3が摩擦でずれてループ31の形状が崩れるという現象を防ぐことが出来る。

更には、ピコ用線状体3を部分的に緯糸と交錯させて縛りつける部分での緯糸の交錯幅を狭くし、打ち込みを増やすことでより強固なずれ防止効果が得られる。

[3]紐先部 また緩み止め紐1の紐先部12(図3参照)に関しては、図4(d)に示すように、経糸の一部として織り込まれた弾性糸21aを、緯糸22と絡まない状態で筒状織物2の内側にピコ用線状体3と並行に配置することで、紐先部12をより細く形成することができる。

[緩み止め紐の製造方法について] 次に上記緩み止め紐1の製造方法について説明する。まず製造時においては、図5に示すように、ループ31の突出が筒状織物の所定の長さ間で連続している紐本体領域L5と、ループ31の突出がなく紐本体領域L5よりも剛性の高い紐先領域L6とを交互に形成する。特に紐先領域L6の長さは10〜80mmであることが好ましく、紐本体領域L5の長さは用途により適宜選択すれば良く、例えば靴紐においては通常0.4〜3m程度の長さの範囲である。

また上記紐先領域L6に関しては、筒状織物2の緯糸に熱収縮が大きい繊維糸を用い、製織後に熱融着性繊維糸の融点以上の温度で熱処理をすることにより筒状織物2の径が縮むと同時にピコ用線状体3を熱溶融させて硬直化させる。そして硬直化させた紐先領域L6の中間を切断部位C(図5参照)としてヒートカッター等で切断することにより、セルチップ加工をしなくてもセルチップの機能である切断端部の解れ防止やアイレット等への良好な挿通性を発揮させることができる。

なお、連続するループ31のピッチが非常に大きくて隣接するループ31間の距離が十分にある場合はループ31の突出がない紐先領域L6を特に設ける必要はないが、通常はループ31間の距離が小さいので織物製織段階でループ31のない紐先領域L6を設けることが好ましい。

「実施例1」 本実施形態に従いニードル織機を用いて図1に示すように筒状織物の外周の対称位置に2つのループを所定の間隔で設けた外観で、[表1]に示す製織、熱処理の基本条件でピコ用線状体3に直径1.5mmのゴム紐を使用し、ループ間のピッチを7mm、各ループ形状を付け根間距離2mm、高さ1.5mmとして実施例1の緩み止め紐を得た。

「実施例2」 実施例1と同じ基本条件(表1)で、ピコ用線状体3に直径2.0mmのゴム紐を使用し、ループ間のピッチを7mm、各ループ形状は付け根間距離3mm、高さ2.5mmとして実施例2の緩み止め紐を得た。

「実施例3」 実施例1と同じ基本条件(表1)で、ピコ用線状体3に直径2.0mmリリアン編を使用し、ループ間のピッチが6mm、各ループ形状は付け根間距離が2mm、高さが2.5mmとして実施例3の緩み止め紐を得た。

「実施例4」 本実施形態に従いニードル織機を用いて図1に示すように筒状織物の外周の対称位置に2つのループを所定の間隔で設けた外観で、[表2]に示す製織、熱処理の基本条件でピコ用線状体3に直径1.0mmの熱融着性繊維を使用し、ループ間のピッチを6mm、各ループ形状を付け根間距離2mm、高さ2.0mmとして実施例4の緩み止め紐を得た。また、熱融着性繊維は熱処理により強固に接着していた。

「実施例5」 本実施形態に従いニードル織機を用いて図1に示すように筒状織物の外周の対称位置に2つのループを所定の間隔で設けた外観で、[表3]に示す製織、熱処理の基本条件でピコ用線状体3に直径1.5mmの熱融着性繊維を使用し、ループ間のピッチを9mm、各ループ形状を付け根間距離1mm、高さ2.0mmとして実施例5の緩み止め紐を得た。また、熱融着性繊維は熱処理により強固に接着していた。

[効果の実証試験] 上記実施例1〜5で得られた本発明の緩み止め紐を14.7Nで伸長した際の伸長率とループ高さの変化を下記の[表4]に示す。[表4]に示されるように、本発明の緩み止め紐はアイレットに通す際に伸長されることでループの曲率が小さくなって抵抗が減少してアイレットに挿通し易くなり、挿通後においては曲率が元に戻って抵抗が増して緩み止め効果を発揮し、また、結束部においてもループが結び目の抵抗となって解けにくいことが確認できた。

1 緩み止め紐 11 紐本体部 12 紐先部 2 筒状織物 21 経糸 21a 弾性糸 22 緯糸 3 ピコ用線状体 31 ループ 32 芯部 C 切断部位 L1 付け根間距離 L2 ピッチ L3 突出部位 L4 非突出部位 L5 紐本体領域 L6 紐先領域

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