全頭かつら

申请号 JP2016087571 申请日 2016-12-16 公开(公告)号 JPWO2017104808A1 公开(公告)日 2018-10-11
申请人 株式会社カネカ; 发明人 園山 雄二郎;
摘要 本発明は、頭部に装着するかつらベース10と、かつらベース10に植毛された毛髪20を含む全頭かつら1において、かつらベース10は、頭頂部領域に装着される第1部分11と、後頭部領域に装着される第2部分12と、首付近に装着される第3部分13からなり、第1部分11に植毛された毛髪21は、ポリエステル系繊維Aを60〜80質量%と、人工タンパク質繊維を20〜40質量%含み、第2部分12に植毛された毛髪22は、人工タンパク質繊維を20〜90質量%と、ポリエステル系繊維Bを10〜80質量%と、ポリエステル系繊維Aを0〜70質量%含み、第3部分13に植毛された毛髪23は、ポリエステル繊維A及びポリエステル系繊維Bからなる群から選ばれる一種以上の繊維からなる全頭かつらに関する。これにより、自然な外観、良好な櫛通り性及びアイロンセット性、並びに繰り返し使用耐久性を有する全頭かつらを提供する。
权利要求

頭部に装着するかつらベースと、前記かつらベースに植毛された毛髪を含む全頭かつらにおいて、 前記かつらベースは、頭頂部領域に装着される第1部分と、後頭部領域に装着される第2部分と、首付近に装着される第3部分からなり、 第1部分に植毛された毛髪は、第1部分に植毛される毛髪全体の質量を100質量%とした場合、ポリエステル系繊維Aを60〜80質量%と、人工タンパク質繊維を20〜40質量%含み、 第2部分に植毛された毛髪は、第2部分に植毛される毛髪全体の質量を100質量%とした場合、人工タンパク質繊維を20〜90質量%と、ポリエステル系繊維Bを10〜80質量%と、ポリエステル系繊維Aを0〜70質量%含み、 第3部分に植毛された毛髪は、ポリエステル系繊維A及びポリエステル系繊維Bからなる群から選ばれる一種以上の繊維からなり、 ポリエステル系繊維Aは臭素化エポキシ系難燃剤及び三酸化アンチモンを含み、ポリエステル系繊維Bは三酸化アンチモンを含まないことを特徴とする全頭かつら。第1部分に植毛された毛髪は、第1部分に植毛される毛髪全体の質量を100質量%とした場合、ポリエステル系繊維A繊維70〜80質量%と、人工タンパク質繊維20〜30質量%を含み、第2部分に植毛された毛髪は、第2部分に植毛される毛髪全体の質量を100質量%とした場合、人工タンパク質繊維20〜30質量%と、ポリエステル系繊維B20〜30質量%と、ポリエステル系繊維A40〜60質量%を含み、第3部分に植毛された毛髪は、第3部分に植毛される毛髪全体の質量を100質量%とした場合、ポリエステル系繊維A50〜70質量%と、ポリエステル系繊維B30〜50質量%からなる請求項1に記載の全頭かつら。前記人工タンパク質繊維は、コラーゲン繊維である請求項1又は2に記載の全頭かつら。ポリエステル系繊維Bは、臭素化エポキシ系難燃剤を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の全頭かつら。

说明书全文

本発明は、かつらベースに植毛する毛髪を少なくとも二つの異なる構成にした全頭かつらに関する。

通常、先天的に頭髪が少ない場合、円形脱毛症により頭髪が消失している時、抗ガン剤治療などにより脱毛している場合には、頭部全体を覆う全頭かつらが用いられていた。例えば、特許文献1には、かつら本体と部分かつらを備えた全頭用かつらが開示されている。また、髪型のファッション性を高めるために全頭かつらを用いることもある。例えば、特許文献2には、頭部を被包する第1かつらと襟足部分に被冠してこれを装飾する第2かつらからなり、それぞれのかつらを単独で又はクリップにより連結して使用することにより、髪型に多様な意匠性を自由に設定できるかつらが提案されている。

一方、全頭かつらを人毛で構成すると、人毛の入手が困難なうえコストが高いという問題があり、人工毛髪を用いることが行われている。全頭かつらを人工毛髪で構成する場合、一般的に、かつらベースには全体的に単一構成の人工毛髪が植毛される。

特開2014−91870号公報

特開2004−91972号公報

全頭かつらについては、自然な外観、良好な櫛通り性及びヘアアイロンによるアイロンセット性が求められるとともに、繰り返し使用耐久性が求められるが、かつらベースの全体に単一構成の人工毛髪を植毛すると、これらの品質要求を満たすことが困難であった。

本発明は、前記従来の問題を解決するため、自然な外観、良好な櫛通り性及びヘアアイロンによるアイロンセット性、並びに繰り返し使用耐久性を有する全頭かつらを提供する。

本発明は、頭部に装着するかつらベースと、前記かつらベースに植毛された毛髪を含む全頭かつらにおいて、前記かつらベースは、頭頂部領域に装着される第1部分と、後頭部領域に装着される第2部分と、首付近に装着される第3部分からなり、第1部分に植毛された毛髪は、第1部分に植毛される毛髪全体の質量を100質量%とした場合、ポリエステル系繊維Aを60〜80質量%と、人工タンパク質繊維を20〜40質量%含み、第2部分に植毛された毛髪は、第2部分に植毛される毛髪全体の質量を100質量%とした場合、人工タンパク質繊維を20〜90質量%と、ポリエステル系繊維Bを10〜80質量%と、ポリエステル系繊維Aを0〜70質量%含み、第3部分に植毛された毛髪は、ポリエステル系繊維A及びポリエステル系繊維Bからなる群から選ばれる一種以上の繊維からなり、ポリエステル系繊維Aは臭素化エポキシ系難燃剤及び三酸化アンチモンを含み、ポリエステル系繊維Bは三酸化アンチモンを含まないことを特徴とする全頭かつらに関する。

本発明の全頭かつらにおいて、第1部分に植毛された毛髪は、第1部分に植毛される毛髪全体の質量を100質量%とした場合、ポリエステル系繊維A70〜80質量%と、人工タンパク質繊維20〜30質量%を含み、第2部分に植毛された毛髪は、第2部分に植毛される毛髪全体の質量を100質量%とした場合、人工タンパク質繊維20〜30質量%と、ポリエステル系繊維B20〜30質量%と、ポリエステル系繊維A40〜60質量%を含み、第3部分に植毛された毛髪は、第3部分に植毛される毛髪全体の質量を100質量%とした場合、ポリエステル系繊維A50〜70質量%と、ポリエステル系繊維B30〜50質量%からなることが好ましい。

前記人工タンパク質繊維は、コラーゲン繊維であることが好ましい。また、ポリエステル系繊維Bは、臭素化エポキシ系難燃剤を含むことが好ましい。

本発明は、自然な外観、良好な櫛通り性及びヘアアイロンによるアイロンセット性、並びに繰り返し使用耐久性を有する全頭かつらを提供することができる。

図1は本発明の一実施形態の全頭かつらを装着した状態を、毛髪を透過して示した模式的側面図である。

図2Aは本発明の一実施形態の全頭かつらの裏面を示す模式的側面図であり、図2Bは同模式的表面図である。

図3は頭部の各部位を示した模式的側面図である。

図4A—Cは嵩高測定機の模式的説明図である。

図5はカール形状を説明する模式図である。

本発明者らは、頭部に装着するかつらベースと、前記かつらベースに植毛された人工毛髪を含む全頭かつら(フルウィッグ、全かつらとも称される。)において、自然な外観、良好な櫛通り性及びヘアアイロンによるアイロンセット性(以下において、単に「アイロンセット性」とも記す。)、並びに繰り返し使用耐久性の全ての品質を満たすことについて検討を重ねた。その結果、かつらベースにおいて、頭頂部領域に装着される第1部分、後頭部領域に装着される第2部分、及び首付近に装着される第3部分のそれぞれに植毛される人工毛髪を特異の構成(繊維配合)にすることで、自然な外観、良好な櫛通り性及びアイロンセット性、並びに繰り返し使用耐久性の全ての品質を満たすことを見出し、本発明に至った。

本発明の一実施形態において、かつらベースとしては、特に限定されず、例えば、ネット、生地などの一般的にかつらベースとして用いるものを用いることができる。前記かつらベースは、頭頂部領域に装着される第1部分、後頭部領域に装着される第2部分、及び首付近に装着される第3部分に区分けられる。通常、図3に示されているように、頭部30は、バング部分31、トップ部分32、サイド部分33、クラウン部分34、ミドルセクション35及びネープ部分36に分けられる。本発明の一実施形態において、かつらベースの第1部分は、バング部分31、トップ部分32、サイド部分33の一部、及びクラウン部分34に装着され、かつらベースの第2部分は、サイド部分33の一部、及びミドルセクション35に装着され、かつらベースの第3部分は、ネープ部分36に装着されることが好ましい。

第1部分に植毛された毛髪は、第1部分に植毛される毛髪全体の質量を100質量%とした場合、ポリエステル系繊維Aを60〜80質量%、及び人工タンパク質繊維を20〜40質量%含む。好ましくは、ポリエステル系繊維Aを70〜80質量%、及び人工タンパク質繊維を20〜30質量%含む。より好ましくは、ポリエステル系繊維A75〜80質量%、及び人工タンパク質繊維20〜25質量%を含む。毛髪の光沢が低く、自然な外観を有するとともに、アイロンセット性にも優れる。全頭かつらにおいて、光沢は、主に、頭頂部の毛髪の光沢によって左右されるため、頭頂部領域に装着される第1部分に植毛される毛髪に臭素化エポキシ系難燃剤と三酸化アンチモンを含むポリエステル系繊維Aを60質量%以上含ませると、光沢を抑制することができ、かつら全体が自然な外観を有することになる。

第1部分に植毛された毛髪は、本発明の目的を阻害しない範囲において、ポリエステル系繊維A及び人工タンパク質繊維に加えて、他の人工毛髪用繊維を含んでもよい。他の人工毛髪用繊維としては、ポリエステル系繊維A以外のポリエステル系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、モダクリル繊維、ポリオレフィン系繊維などを用いることができる。特に限定されないが、第1部分に植毛される毛髪全体の質量を100質量%とした場合、他の繊維の含有量は、例えば20質量%以下にすることができる。

第2部分に植毛された毛髪は、第2部分に植毛される毛髪全体の質量を100質量%とした場合、人工タンパク質繊維を20〜90質量%、ポリエステル系繊維Bを10〜80質量%、及びポリエステル系繊維Aを0〜70質量%含む。好ましくは、人工タンパク質繊維を20〜50質量%、ポリエステル系繊維Bを10〜40質量%、及びポリエステル系繊維Aを40〜70質量%含む。より好ましくは、人工タンパク質繊維を20〜40質量%、ポリエステル系繊維Bを20〜40質量%、及びポリエステル系繊維Aを40〜60質量%含む。さらに好ましくは、人工タンパク質繊維20〜30質量%、ポリエステル系繊維B20〜30質量%、及びポリエステル系繊維A40〜60質量%を含む。アイロンセット性に優れるとともに、櫛通り性に優れる。全頭かつらにおいて、櫛通り性は、主に後頭部の毛髪に影響される。後頭部領域に装着される第2部分に植毛される毛髪に人工タンパク質繊維を20質量%以上、及び三酸化アンチモンを含まないポリエステル系繊維Bを10質量%以上含ませることで櫛通り性が良好になる。

第2部分に植毛された毛髪は、本発明の目的を阻害しない範囲において、ポリエステル系繊維A、ポリエステル系繊維B及び人工タンパク質繊維に加えて、他の人工毛髪用繊維を含んでもよい。他の人工毛髪用繊維としては、ポリ塩化ビニル系繊維、モダクリル繊維、ポリオレフィン系繊維などを用いることができる。特に限定されないが、第2部分に植毛される毛髪全体の質量を100質量%とした場合、他の繊維の含有量は、例えば20質量%以下にすることができる。

全頭かつらにおいて、ヘアアイロンによるアイロンセット性は、主に頭頂部及び後頭部の毛髪に影響される。頭頂部領域に装着される第1部分及び後頭部領域に装着される第2部分に植毛される毛髪に人工タンパク質繊維を20質量%以上含ませることでアイロンセット性が良好になる。

第3部分に植毛された毛髪は、ポリエステル系繊維A及び/又はポリエステル系繊維Bからなる。第3部分に植毛される毛髪全体の質量を100質量%とした場合、ポリエステル系繊維B30〜70質量%、及びポリエステル系繊維A30〜70質量%からなることが好ましく、より好ましくは、ポリエステル系繊維B30〜50質量%、及びポリエステル系繊維A50〜70質量%からなる。ヘアアイロンによってダメージが修復しやすい。全頭かつらにおいて、繰り返し使用耐久性は、主に、ダメージが蓄積しやすい首付近の毛髪のダメージ修復性を高めることで向上する。首付近に装着される第3部分に植毛される毛髪をポリエステル系繊維A及び/又はポリエステル系繊維Bで構成することで、ヘアアイロンによってダメージが修復しやすく、かつらの使用耐久性が良好になる。

前記人工タンパク質繊維としては、人工的に作製したタンパク質の繊維であればよく、特に限定されず、例えば、コラーゲン繊維、ケラチン繊維などのたんぱく質を主成分となる繊維を用いることができる。前記コラーゲン繊維としては、特に限定されず、公知のコラーゲン繊維を用いることができる。例えば、再生コラーゲン繊維を用いることができる。前記再生コラーゲン繊維は、例えば、コラーゲン原料を溶解処理し、可溶化して得られた可溶化コラーゲン溶液を紡糸することで得ることができる。具体的には、市販の再生コラーゲン繊維、特開2007−169806号公報に記載の再生コラーゲン繊維などを用いることができる。市販の再生コラーゲン繊維としては、特に限定されないが、例えば、株式会社カネカ製の再生コラーゲン繊維「Ultima(登録商法)」などを用いることができる。

前記人工タンパク質繊維は、毛髪に好適という観点から、単繊維繊度が10〜100dtexであることが好ましく、より好ましくは20〜90dtexであり、さらに好ましくは35〜80dtexである。

ポリエステル系繊維Aは、ポリアルキレンテレフタレート及びポリアルキレンテレフタレートを主体とする共重合ポリエステルからなる群から選ばれる1種以上のポリエステル樹脂、臭素化エポキシ系難燃剤、及び三酸化アンチモンを含むことが好ましい。ポリエステル系繊維Aは、ポリエステル樹脂100質量部に対して、臭素化エポキシ系難燃剤5質量部以上40質量部以下と、三酸化アンチモン1.5質量部以上7質量部未満を含むことが好ましい。好ましくは、上記ポリエステル樹脂100質量部に対し、臭素化エポキシ系難燃剤を10質量部以上30質量部以下含み、15質量部以上25質量部以下含むことがさらに好ましい。臭素化エポキシ系難燃剤としては、樹脂の難燃化に用いるものを用いればよく、特に限定されない。光沢調整効果に優れるという観点から、ポリエステル樹脂100質量部に対し、三酸化アンチモンを1.5質量部以上5質量部以下含むことが好ましく、1.5質量部以上4質量部以下含むことがより好ましく、1.5質量部以上3質量部以下含むことがさらに好ましい。ポリエステル系繊維Aとしては、特に限定されないが、例えば、株式会社カネカ製の難燃性ポリエステル系繊維「Futura−NL」などの市販のものを用いることができる。

ポリエステル系繊維Bとしては、三酸化アンチモンを含まないポリエステル系繊維であればよく、特に限定されない。難燃性に優れる観点から、臭素化エポキシ系難燃剤を含むことが好ましい。ポリエステル系繊維Bは、ポリアルキレンテレフタレート及びポリアルキレンテレフタレートを主体とする共重合ポリエステルからなる群から選ばれる1種以上のポリエステル樹脂100質量部に対し、臭素化エポキシ系難燃剤を5質量部以上40質量部以下含むことが好ましく、より好ましくは10質量部以上30質量部以下含み、さらに好ましくは15質量部以上25質量部以下含む。ポリエステル系繊維Bは、難燃助剤として、三酸化アンチモン以外のアンチモン化合物、例えばアンチモン酸ソーダを含んでもよい。ポリエステル系繊維Bとしては、特に限定されないが、例えば、株式会社カネカ製の難燃性ポリエステル系繊維「Futura」及び難燃性ポリエステル系繊維(商品名「Futura−ST」)などの市販のものを用いることができる。

ポリエステル系繊維A及びポリエステル系繊維Bは、毛髪に好適という観点から、単繊維繊度が10〜100dtexであることが好ましく、より好ましくは20〜90dtexであり、さらに好ましくは35〜80dtexである。

本発明において、かつらベースへの毛髪の植毛も、特に限定されず、例えば、一般的にかつらを作製する時に行われる方法及び装置などを用いて行うことができる。

以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。

図1は、本発明の一実施形態の全頭かつらを装着した状態を、毛髪を透過して示した側面図である。図2Aは本発明の一実施形態の全頭かつらの裏面を示す模式的側面図であり、図2Bは同模式的表面図である。

図1〜2に示しているように、該実施形態の全頭かつら1は、頭部に装着するかつらベース10と、かつらベース10に植毛された毛髪20を含む。かつらベース10は、頭頂部領域に装着される第1部分11と、後頭部領域に装着される第2部分12と、首付近に装着される第3部分13からなる。第1部分11に植毛された毛髪21は、第1部分に植毛される毛髪全体の質量を100質量%とした場合、ポリエステル系繊維Aを60〜80質量%、及び人工タンパク質繊維を20〜40質量%含む。第2部分12に植毛された毛髪22は、第2部分に植毛される毛髪全体の質量を100質量%とした場合、人工タンパク質繊維を20〜90質量%、ポリエステル系繊維Bを10〜80質量%、及びポリエステル系繊維A0〜70質量%を含む。第3部分13に植毛された毛髪23は、ポリエステル系繊維A及び/又はポリエステル系繊維Bからなる。

図1〜図3から分かるように、該実施形態のかつらベースの第1部分11は、バング部分31、トップ部分32、サイド部分33の一部、及びクラウン部分34に装着され、かつらベースの第2部分12は、サイド部分33の一部及びミドルセクション35に装着され、かつらベースの第3部分13は、ネープ部分36に装着される。

以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。

まず、下記表1に示す構成の毛髪用試料について、下記のように、光沢値、櫛通り性、ヘアアイロンによるアイロンセット性及びヘアアイロンによるダメージ修復率を測定した。その結果を下記表1に示した。ポリエステル系繊維Aとして株式会社カネカ製の難燃性ポリエステル系繊維(商品名「Futura−NL」、単繊維繊度58dtex)を用い、ポリエステル系繊維Bとして株式会社カネカ製の難燃性ポリエステル系繊維(商品名Futura」、単繊維繊度65dtex)を用い、コラーゲン繊維として株式会社カネカ製の再生コラーゲン繊維(商品名「Ultima」、単繊維繊度78dtex)を用いた。

<光沢値の測定> 光沢測定装置(ボサノヴァテクノロジース社製、品名「SAMBA Hair」)を用いて光沢値を測定した。光沢値が30以下を合格とし、光沢値が30を超えると不合格とした。

<櫛通り性の評価> フォースゲージ(日本電産シンポ社製、型番「FGC−10B」)に毛髪用試料(繊維質量50g、長さ16inch)を吊り、毛髪用試料をブラシ(成進社製、品名「WIGブラシ」)で挟み込み、上から下へブラシを移動させ、その加重を測定し、櫛通り値とした。櫛通り値が低いほど櫛通り性が良好であることを意味する。櫛通り値が3kg以下を合格とし、3kgを超えると不合格とした。

<アイロンセット性の評価> 毛髪用試料(繊維質量15g、長さ38cm)の上端から2cmの部位をゴム止めした後、マネキンヘット(レジーナ社製、品名「CUT66」)の頭頂部に毛髪用試料の上端部を取り付けた。180℃に加熱したヘアアイロン(米国Belson Products社製、「GOLD N HOT Professional Ceramic Spring Curling Iron 1−1/4inch GH2150」)にて毛髪用試料の毛先を掴み、根元に巻き上げ、5秒間保持した後、カール形状が崩れないように手の上に乗せ、1秒以内に手を離してカールを付与した。カールを付与した毛髪用試料をマネキンヘットからはずし、その長さを計測した。カールを付与した毛髪用試料の長さが小さいほどカールが付きやすく、アイロンセット性が良好であることを意味する。カールを付与した毛髪用試料の長さが35cm以下を合格とし、35cmを超えると不合格とした。

<ダメージ修復率の評価> (1)毛髪用試料(全長16インチ、15g)のレイヤー部(4インチ)の初期嵩高値を測定した。 (2)毛髪用試料に対してブラシにて逆毛を立てて毛髪を絡ませた。 (3)手でレイヤー部を10回揉み込み、毛髪をさらに絡ませた。 (4)ブラシで絡まった毛髪を梳きほぐした。 (5)(2)〜(4)の作業を5回繰り返し、ダメージを促進させた。 (6)ダメージ促進後の毛髪用試料のレイヤー部の嵩高値を測定し、ダメージ後の嵩高値とした。 (7)180℃に加熱したヘアアイロンを5回毛髪用試料の根元から毛先に通してダメージを修復させた。ヘアアイロンは、アイロンセット評価に用いたものと同様のものを用いた。 (8)ヘアアイロン処理後の毛髪用試料のレイヤー部の嵩高値を測定し、ダメージ修復後の嵩高値とした。 (9)下記数式(1)に基づいて、ダメージ修復率を算出した。ダメージ修復率が55%以上を合格とし、55%未満を不合格とした。 ダメージ修復率(%)=(ダメージ後の嵩高値−ダメージ修復後の嵩高値)/ダメージ後の嵩高値×100

<嵩高値の測定> 毛髪用試料の嵩高値は、図4に示した嵩高測定機を用いて測定した。図4A〜Cに示されているように、嵩高測定機100は、支持台101と、支持台101の上に配置され、毛髪を挟む挟み具102、103を備えている。挟み具102には、目盛104が透明テープ(図示無し)で貼り付けられている。支持台101、挟み具102及び103は、いずれもアクリル系樹脂で構成されている。図4Cに示されているように、挟み具102と挟み具103の間に毛髪用試料40を、挟み具102の長さ方向の中心と毛髪用試料40のレイヤー部の中心が一致するように配置して嵩高値を測定した。

上記表1の結果から分かるように、再生コラーゲン繊維を20質量%以上含む毛髪用試料1〜5及び13は、カールを付与した後の長さが35cm以下であり、ヘアアイロンによるアイロンセット性が良好であった。ポリエステル系繊維Aを60質量%以上含む毛髪用試料1〜4、6、9、10及び12は、光沢値が30以下であり、自然な外観を示していた。人工毛髪用繊維を20質量%以上、及びポリエステル系繊維Bを10質量%以上含む毛髪用試料2、3、5〜7及び11は、櫛通り値が3kg以下であり、櫛通り性が良好であった。ポリエステル系繊維A及び/又はポリエステル系繊維Bからなる毛髪用試料6〜9、11及び12は、ヘアアイロンによるダメージ修復率が55%以上であり、使用耐久性が良好であった。

(実施例1) かつらベース10の第1部分11には、上述した毛髪用試料1と同じ構成のポリエステル系繊維A80質量%及び再生コラーゲン繊維20質量%からなる毛髪21を、かつらベース10の第2部分12には、上述した毛髪用試料5と同じ構成のポリエステル系繊維B30質量%、ポリエステル系繊維A50質量%及び再生コラーゲン繊維20質量%からなる毛髪22を、かつらベース10の第3部分13には、上述した毛髪用試料6と同じ構成のポリエステル系繊維B40質量%、ポリエステル系繊維A60質量%からなる毛髪23を植毛し、図1に示すような全頭かつら1を作製した。

(実施例2) かつらベース10の第1部分11には、上述した毛髪用試料2と同じ構成のポリエステル系繊維A60質量%、ポリエステル系繊維B20質量%及び再生コラーゲン繊維20質量%からなる毛髪21を、かつらベース10の第2部分12にも、上述した毛髪用試料2と同じ構成のポリエステル系繊維A60質量%、ポリエステル系繊維B20質量%及び再生コラーゲン繊維20質量%からなる毛髪22を、かつらベース10の第3部分13には、上述した毛髪用試料7と同じ構成のポリエステル系繊維A40質量%、ポリエステル系繊維B60質量%からなる毛髪23を植毛し、図1に示すような全頭かつら1を作製した。

(実施例3) かつらベース10の第1部分11には、上述した毛髪用試料4と同じ構成のポリエステル系繊維A70質量%、及び再生コラーゲン繊維30質量%からなる毛髪21を、かつらベース10の第2部分12には、上述した毛髪用試料3と同じ構成のポリエステル系繊維A70質量%、ポリエステル系繊維B10質量%及び再生コラーゲン繊維20質量%からなる毛髪22を、かつらベース10の第3部分13には、上述した毛髪用試料9と同じ構成のポリエステル系繊維A80質量%、ポリエステル系繊維B20質量%からなる毛髪23を植毛し、図1に示すような全頭かつら1を作製した。

(比較例1) かつらベースの第1部分、第2部分、第3部分の全てに上述した毛髪用試料10と同じ構成のポリエステル系繊維A90質量%及び再生コラーゲン繊維10質量%からなる毛髪を植毛した以外は、実施例1と同様にして全頭かつらを作製した。

(比較例2) かつらベースの第1部分、第2部分、第3部分の全てに上述した毛髪用試料6と同じ構成のポリエステル系繊維A60質量%、ポリエステル系繊維B40質量%からなる毛髪を植毛し、実施例1と同様にして全頭かつらを作製した。

(比較例3) かつらベースの第1部分、第2部分、第3部分の全てに上述した毛髪用試料11と同じ構成のポリエステル系繊維B100質量%からなる毛髪を植毛し、実施例1と同様にして全頭かつらを作製した。

実施例1〜3、及び比較例1〜3の全頭かつらを被験者の頭部に装着し、光沢、櫛通り性、ヘアアイロンによるカールセット性及びアイロンによるダメージ修復性を下記のように官能評価した。

(光沢) トップ部分における毛髪の光沢を、下記のように5段階の基準で官能評価した。 5:毛髪用試料12とほぼ同等の光沢(毛髪用試料12の光沢の測定値:21) 4:毛髪用試料4とほぼ同等の光沢(毛髪用試料4の光沢の測定値:25) 3:毛髪用試料8とほぼ同等の光沢(毛髪用試料8の光沢の測定値:33) 2:毛髪用試料7とほぼ同等の光沢(毛髪用試料7の光沢の測定値:37) 1:毛髪用試料11とほぼ同等の光沢(毛髪用試料11の光沢の測定値:48)

(櫛通り性) サイド部分の毛髪をとり、該毛髪をブラシ(成進社製、品名「WIGブラシ」)で挟み込み、上から下へブラシを移動させた。前記(1)の操作を5回繰り返し、毛の絡み状況に基づいて、下記のように5段階の基準で櫛通り性を評価した。 5:櫛通し5回目まで毛絡みが発生することなくブラシが通る 4:櫛通し4〜5回目で毛絡みが発生するがブラシは通る 3:櫛通し2〜3回目で毛絡みが発生するがブラシは通る 2:櫛通し1回目でやや毛絡みが発生するがブラシは通る 1:櫛通し1回目で毛絡みが発生してブラシが通らない

(ヘアアイロンによるカールセット性) サイド部分の毛髪を同じ毛束量になるように均等3分割し、そのうちの一つの分割部分の毛束を180℃に加熱したヘアアイロン(米国Belson Products社製、「GOLD N HOT Professional Ceramic Spring Curling Iron 1−1/4inch GH2150」)で挟み、毛先から根元に巻き上げ、5秒間保持した後、カール形状がくずれないようにヘアアイロンを外した。カールの形状を目視で確認し、カールセット性(カールの付きやすさ)を下記のように5段階の基準で官能評価した。各評価基準の典型的なカール形状を図5に示した。 5:毛髪が1.5回転以上のカールを有する 4:毛髪が1回転以上1.5回転未満のカールを有する 3:毛髪が0.5回転以上1回転未満のカールを有する 2:毛髪が0.5回転未満のカールを有する 1:カールが付かずほぼ真っ直ぐな形状である

(ヘアアイロンによるダメージ修復性) (1)ネープ部分の幅3cmの毛束をとり、ブラシにて逆毛を立てて毛髪を絡ませ、その後、ブラシで毛髪を解きほぐし、ダメージを付与した。 (2)180℃に加熱したヘアアイロン(米国Belson Products社製、「GOLD N HOT Professional Ceramic Spring Curling Iron 1−1/4inch GH2150」)で、ダメージを付与した毛束を挟み、根元から毛先まで通した。 (3)ヘアアイロンを通した後、ランダムに20本の毛を抜き取った。 (4)20本の毛のそれぞれを目視で確認し、毛先に波目の形状が残っているものをダメージ毛とし、ダメージ毛の割合を下記のように算出し、ダメージ毛の割合の値に基づいて、ダメージ修復性を下記のように5段階の基準で官能評価した。 ダメージ毛の割合(%)=(ダメージ毛の本数/20)×100 5:ダメージ毛の割合が10%以下 4:ダメージ毛の割合が10%超、30%以下 3:ダメージ毛の割合が30%超、50%以下 2:ダメージ毛の割合が50%超、70%以下 1:ダメージ毛の割合が71%超

表2のデータから分かるように、実施例1〜3の全頭かつらは比較例2〜3の全頭かつらに比べて光沢が抑えられており、自然な外観を示していた。また、実施例1〜3の全頭かつらの方が比較例1の全頭かつらに比べて櫛通り性が良好であった。また、実施例1〜3の全頭かつらの方が比較例1〜3の全頭かつらに比べてカールが付きやすかった。また、実施例1〜3の全頭かつらの方が比較例1の全頭かつらに比べてダメージが修復しやすかった。

1 全頭かつら 10 かつらベース 11 第1部分 12 第2部分 13 第3部分 20 毛髪 21 第1部分に植毛された毛髪 22 第2部分に植毛された毛髪 23 第3部分に植毛された毛髪 30 頭部 31 バング部分 32 トップ部分 33 サイド部分 34 クラウン部分 35 ミドルセクション 36 ネープ部分 40 毛髪用試料 100 嵩高測定機 101 支持台 102、103 挟み具 104 目盛

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