【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、紫外線の有害な効果からの改良された保護を提供する繊維に関する。 そのような繊維を製造する方法もまた、本発明内において考慮される。 【0002】 【従来の技術】紫外線により課せられた危険は、環境問題に関する関心、特に地球の保護オゾン層が薄くなるに従って、顕著になっている。 例えば、太陽光および有害な紫外線の過剰照射による皮膚ガンが生じ始めている。 人間の皮膚に有害であることが証明されている紫外線(UV)には、光のスペクトルの波長320〜400n mの範囲内のUV−A、および波長290〜320nm の範囲内のUV−Bとして知られている2つのタイプがある。 このように、紫外線の透過を減少または阻止する方法は、これらの波長間(290および400nm)の光を効果的にブロックまたは吸収するものでなければならない。 【0003】人間の皮膚と直接接触する太陽光保護組成物は、そのような過剰照射から生ずる損傷を良好に防止するために開発された。 例えば、PABAまたはパラ− アミノ安息香酸は、日焼け用ローションのような、組成物中に含まれ得る、一般的な紫外線(UV)ブロック化合物または吸収剤である。 この化合物は、使用者の皮膚がそのような光に十分にさらされないように、紫外域の有害な光を効果的に吸収する。 一般に、皮膚用組成物中のそのようなUV吸収剤の濃度が高ければ高い程、組成物は、より高い太陽光保護ファクター(SPF)数を有する。 SPF数は、次の式により測定される。 即ち、U VNO100%透過=SPF数である。 このように、U Vを20%透過する組成物は、5のSPF#を有し、一方、UVを10%透過する組成物は、10のSPF#を有する。 しかし、紫外線は多くの繊維バリアを透過し得るので、人体の飾られていない領域に適用された保護バリアをもってさえ、紫外線照射の危険は残る。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】衣服を透過する紫外線の透過を減少させるために、過去の開発は、衣服繊維への所定の化合物の導入により、そのような有害な光線からの保護手段を提供した。 この技術の公知技術の代表例として、米国特許第4,857,305号(Bernh ardt et al)、5,458,924号(Ka shiwai et al)、および5,637,34 8号(Thompson et al)、および英国特許第4,861,651号(American Cya namid)がある。 更に、着用者の皮膚から紫外線を効果的に遮蔽する、繊維の糸の所定の型の編み方、捩じり方、曲げ方が開発された。 そのような技術は、米国特許第4,861,651号(Goldenhersh) により、公知技術のものとして現されている。 そのような化学的にまたは物理的に変性された繊維を用いると、 着用者は、そのような太陽光保護衣服により自らを飾ることにより、自らの皮膚をより効果的にカバーすることが出来る。 しかし、公知技術である変性された繊維は、 高レベルの紫外線の透過を許容し、または一般に不快であり、寒い気候においてしか使用可能ではなく、製造するのに高価である。 【0005】本発明の目的は、改良された太陽光保護繊維、特に、より温暖な天候または気候に使用するための繊維を提供することにある。 本発明の他の目的は、着用者を紫外線の有害な効果から保護する上で、既存技術の改良である、衣服に使用されるための比較的安価な繊維を提供することにある。 本発明の更に他の目的は、着用者に非常に心地好い、太陽光保護衣服用の繊維を提供することにある。 本発明の更にまた他の目的は、必ずしも衣服の範囲にはない太陽光保護カバーに使用されるための繊維を提供することにある。 また、本発明の他の目的は、そのような太陽光保護繊維の製造方法を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】従って、本発明は、本明細書の一部をなすものである、AATCCテスト法12 4−1996“繰り返された家庭における洗濯後の繊維の外観”により定義されているように、連続的にしわをつけられていることにより、3次元製品である繊維、および繊維の個々の糸に含ませられた、または最終製品繊維の表面に被覆された紫外線吸収剤を有する繊維に関する。 どの従来技術にも、そのような、しわをつけられた繊維の外観が、繊維を通る紫外線を減少させるために使用されていない。 好ましい繊維は、比較的安価であり、 かつしわをつけられた状態で製造されるとき、着用するのに非常に心地好いので、ポリエステルである。 そのようなしわをつけられた外観および効果によると、着用者の皮膚に接触する繊維の量は、しわをつけられていない繊維の場合よりも少ない。 その結果、着用者の皮膚上に存在する汗または他の水分が、繊維と着用者の皮膚との間の顕著な密着効果を生ぜしめることはない。 温暖な天候および気候では、そのような繊維は、そのような水分が着用者の快適さに与える有害な効果を緩和する上で、 非常に有利であろう。 【0007】しわの存在はまた、紫外線からの保護を劇的に増加させる。 光線は、無数の角度で繊維をたたくので、高度に、従って受け入れられないほど危険なレベルで透過する光線の量は、しわをつけられていない繊維に比べて少ない。 この利点は、従来技術には開示されておらず、用いられていない。 【0008】本発明において、「しわ」、「しわ状に」、「しわのつけられた」という語は、AATCCテスト法124−1996“繰り返された家庭における洗濯後の繊維の外観”のための標準AATCC3次元外観スケールにおいて、2.5以下のグレードの外観を有するものとして定義されている。 好ましくは、グレードは、2.0以下、より好ましくは1.5以下、最も好ましくは、1.0以下である。 本発明の繊維のしわつけの決定に用いられるものとして、このテストは、洗濯後の繊維のしわのついた外観だけに関するものではない。 本発明の範囲内のものとして今ここで考慮されている、そのようなしわのつけられた繊維は、たとえアイロンがけまたはしわを除去する処理が行われたとしても、そのしわのついた外観を失わないように、連続的にしわをつけられる。 このように、本発明の繊維が、洗濯前または後に、上述のAATCCテスト法124−1996に従って外観を測定されるたびに、繊維は、上述のように、常に2.5以下の外観のグレ−ドを保持しなければならない。 【0009】このように特に定義された“しわを付けられた”繊維は、繊維内に必要とされる程度の、永久に除去出来ないしわを生ずるように製造される。 本発明の繊維にしわを付ける、または化学的に変性する好ましい方法は、繊維の仕上げ適用前に通常の量の繊維を2回ジェット乾燥機に充填し、乾燥手順が完了した後に繊維を熱硬化することを伴う。 この方法は、更に、以下のように例示され、説明される。 しわのある外観に繊維を物理的に修正する他の周知の方法は、密の縦糸と粗の縦糸とを織ることによりしわ状のストライプが形成されているシルスカ−(seersucker)パターニング;1セットの加熱ローラにそのような繊維を通過させることにより繊維がしわを付けられるギアエンボス−加熱ローラの1つはローラからなり、他の1つは雌ローラであり、 それらは表面に3次元パターンを有する−;一連の機械的フィンガーの使用により加熱されたチャンバー内に繊維が詰められ、数分間チャンバー内に保持され、チャンバーの一端にある開口部を通してチャンバーから回収される、スタッファーボックス(stuffer bo x)である。 このリストは、限定的ではなく、上述のA ATCCテスト法の等級に合致する繊維に、連続の、除去できないしわを付与するどのような方法も本発明の範囲内に含まれる。 【0010】本発明の繊維はまた、ここの繊維内に、またはその表面に紫外線吸収剤をも含有する。 上述のように、紫外線吸収剤は、紫外線の透過を阻止する上で有効である。 特に、本発明は、光のスペクトル内において2 90nmと400nmの間の波長を有する有害な光の透過を効果的に減少させるUV吸収剤の存在を考慮する。 しわの付けられた繊維に存在するUV吸収剤の量は、減少したUV透過の利益に匹敵するコストに依存する。 好ましくは、しわが付けられた衣服繊維内に導入された又は含まれている量は、繊維重量の約0.3〜約3.0% であろう。 より好ましくは、約0.01〜約5%であり、最も好ましくは約2%である。 本発明内のものとして考慮される紫外線吸収化合物は、カテゴリー“UV安定化剤”、キルクオスマーエンサイクロペジア オフ ケミカル テクノロジー(Kirk−Othmer E ncyclopedia of Chemical T echnology)、第4版、622−624頁にリストされているものを含んでいる。 好ましい化合物は、 ベンゾトリアゾールを含むものである。 より好ましくは、クロロベンゾトリアゾールである。 最も好ましくは、2−(3´−ターブチル−2´ヒドロキシ−5´メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールである。 そのような紫外線吸収剤の存在は、特に、本発明におけるように、しわの付けられた繊維内またはその表面に用いられた時に、そのような有害な光線からの保護を増加させる。 【0011】染料、サイジング化合物、および柔軟剤のような他の標準の繊維添加剤が、最終のしわお付けられた衣服繊維基体内に含まれるか又はその表面に導入され得る。 特に、本発明の繊維に望ましい任意の仕上げ剤は、繊維の濡れ性および水洗性を改善する汚れ放出剤である。 好ましい汚れ放出剤は、ポリエステルの表面に親水性を付与するものである。 そのように修正された表面を持つと、繊維は、糸の湿気により着用者に心地好さを与える。 本発明の範囲内のものとして考慮される、好ましい汚れ放出剤は、米国特許第3,377,249号、 3,535,151号、3,540,831号、3,5 63,795号、3,574,620号、3,598, 641号、3,620,826号、3,632,420 号、3,649,165号、3,650,801号、 3,652,212号、3,660,010号、3,6 76,052号、3,690,942号、3,897, 206号、3,981,807号、3,625,754 号、4,014、857号、4,073、993号、 4,090、844号、4,131,550号、4,1 64,392号、4,168,954号、4,207, 071号、4,290,765号、4,068,035 号、4,427,557号、および4,937,277 号に見出される。 【0012】本発明の太陽光保護繊維は、その有利なU Vブロック性能およびその心地好さのため、衣服に含めることが出来る。 更に、そのような繊維の用途は、テント、天幕、クラウド(crowd)カバー、スカーフを含むが、それらに限定されるものではない。 【0013】 【発明の実施の形態】本発明の好ましい繊維は、上述のように、ポリエステルである。 比較的高いUV抵抗を有する他の繊維もまた、考慮される。 木綿/ポリエステル混紡もまた使用可能ではあるが、しかし、ポリエステルに比較して木綿を通る紫外線の非常に高い透過率のため、そのような混紡は望ましくない。 約9.0オンス/ 平方ヤードの重量を有する木綿繊維は、290〜400 nmにおいて、非常に高い、ほぼ28.4%、3.52 のSPF#であるUV透過率を有する。 木綿が湿っていると、繊維を透過するUVの%が急激に増加する。 更に、ナイロンは、そのような有害な照射に対抗する上で有効ではなく、いずれにせよ、その使用は勧められない。 約4.0オンス/平方ヤードの重量を有するナイロンは、290〜400nmにおいて、約41.9%、 2.39SPF#であるUV透過率を有する。 この透過率は、木綿のそれよりも高い。 ポリエステルとの任意の混紡も受け入れられるが、木綿との混紡は望ましくない。 【0014】上述のように、好ましい、しわを付けられたポリエステルの表面に用いられた好ましいUV吸収剤は、ベンゾトリアゾールであり、特に、クロロベンゾトリアゾールであり、最も好ましくは2−(3´−ターブチル−2´ヒドロキシ−5´メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールである。 そのような化合物は比較的高価であり、取扱いおよびそのような繊維基体への適用が非常に安全である。 更に、これらの化合物は、人間の皮膚に接触して顕著な損傷を与えない。 例えば、U V吸収剤は、そのような化合物を仕上げ組成物に含ませることにより、または、糸への仕上げ組成物の適用前または後に、そのようなUV吸収剤溶液を加えることにより、糸の仕上げ工程中に、個々の糸に添加される。 織られたまたは編まれた繊維に対しては、UV吸収剤は、パジング、排出、ローリング等の方法を用いることにより、表面に添加され得る。 適用方法として特に好ましい方法は、ジェット乾燥機内の染料組成物にUV吸収剤を加え、次いで繊維に導入することである。 上述の方法は、それに限られるものではなく、本発明のUV吸収剤を適用する他の利用可能な方法もある。 【0015】 【実施例】以下の例は、本発明の好ましい態様を示すものである。 【0016】例1 縦糸および横糸として、70デニールの34フィラメントの偽可撚されたダクロン567(Dacron56 T:登録商標)を含む100%ポリエステル繊維を用いた。 この繊維は、1インチ当り104本の縦糸端を含み、横糸は、1インチ当り82本を含んでいた。 この繊維を洗浄し、次いで、ヒサカ(Hisaka)ジェット乾燥機により、ベージュ色に乾燥した。 通常のサイズの装入量の2倍の繊維を用い、2−(3´−ターブチル− 2´ヒドロキシ−5´メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールの2%owfを、それ自体、標準分散染料と汚れ放出剤を含有する染料組成物に加えた。 約2 時間ジェット乾燥機内にとどまった繊維は、取り出され、乾燥され、幅出し機で熱硬化された。 得られた生成物をAATCCテスト法124−1996のスケールで、約1.0の等級で、永久にしわを付けられた。 このしわを付けられた繊維の紫外線透過を、290〜400 nmの波長間で、Perkin−Elmer Lamb da 9UV分光光度計で測定した。 この透過率は、 4.6%、21.74SPF#であった。 【0017】比較のため、以下のサンプルを製造した。 【0018】例2(比較例) 2倍の量よりもむしろ通常の量の繊維をジェット乾燥機に装入したことを除いて、例1と同様の手順を用いた。 得られた最終製品は、例1のしわ付き繊維と同一のサイズ/平方フィートであるが、外観は、しわを付けられていない。 その290〜400nm波長範囲のUV透過は、5.4%、18.52SPF#であった。 ポリエステルへのしわの付与は、約17.4%(100を乗じられた21.74SPF#−18.52SPF#/18. 52SPF#)の太陽光保護ファクターの増加をもたらした。 【0019】例2(比較例) 染料組成物にUV吸収剤を加えないことを除いて、例2 と同様の手順を用いた。 得られた最終繊維は、例1および例2と同一のサイズ/平方フィートであるが、しわを付けられておらず、何らUV吸収化合物を含んでいない。 その290〜400nm波長範囲のUV透過は、1 9.5%、5.13SPFであった。 この繊維におけるUV吸収剤の添加およびしわの存在は、約324%(1 00を乗じられた21.74SPF#−5.13SPF #/5.13SPF#)の太陽光保護ファクターの増加をもたらした。 【0020】もちろん、請求の範囲における本発明の原理および範囲にふくまれる、多くの他の態様および変形例がある。 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 マックス・ティー・ハイド アメリカ合衆国、サウス・カロライナ州 29341、ギャフニー、ウエスト・バフォー ド・ストリート 1022、アパートメント 1301 (72)発明者 ベニー・エイチ・レイノルズ アメリカ合衆国、サウス・カロライナ州 29379、ユニオン、バーミューダ・ロード 306 |