衣服、特に保護ベスト、及びスライドファスナ配置

本発明は、衣服、特にサイズ調節可能な保護ベストに関連し、2つの歯列を有する少なくとも1つの外側スライドファスナが提供され、外側スライドファスナが閉状態のときに衣服は第1サイズを有し、外側スライドファスナが開状態のときに衣服は第2サイズを有し、第1サイズは第2サイズより小さく、外側スライドファスナが開状態のとき、外側スライドファスナが閉状態のときに外側スライドファスナにより少なくとも部分的に覆われる材料によって、歯列は、互いに離間した状態で共に保持される。

本発明は更に、スライドファスナ配置に関する。

サイズ調節可能な衣服は、多数の変形例で知られている。この変形例は、保護ベストにも適用される。「保護ベスト」という用語は、本明細書において、最も一般的な意味で理解されたい。保護ベストのいくつかの例を挙げると、警告ベスト、安全ベスト、作業ベストなどが含まれる。現在知られている保護ベストのサイズ調節性は、例えば、異なる位置に固定可能な面ファスナによって提供される。このような保護ベストは実現可能な解決策であるが、製造においては比較的複雑である。更に、面ファスナを調節することは困難、または煩わしいことがある。また、面ファスナは、不利な条件下で、時間の経過とともに機能を失う傾向がある。

更に、特許文献1〜特許文献5は、1つのスライドファスナを構成するような方法でサイズ調節可能な衣服を説明している。

独国特許出願公開第102004031654号明細書

独国実用新案出願公開第29802758号明細書

独国特許出願公開第10249196号明細書

米国特許出願公開第2008/0086794号明細書

中国実用新案広告第205106439号明細書

本発明は、製造が容易であり、様々なサイズ調節に容易に変換されることができ、サイズ適応のための手段の領域が、全く、またはほとんど摩耗を示さない、サイズ調節可能な衣服を提供することを目的としている。

前記目的は、独立請求項の特徴によって解決される。

本発明の有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。

本発明は、サイズ調節可能な一般的な衣服に基づいており、外側スライドファスナが閉状態のときに外側スライドファスナによって少なくとも部分的に覆われ、かつ外側スライドファスナが開状態のときに露出する2つの歯列を有する外側スライドファスナが提供され、衣服は、内側スライドファスナが閉状態のときに第2サイズを有し、かつ内側スライドファスナが開状態のときに第3サイズを有し、第2サイズは第3サイズより小さく、内側スライドファスナの歯列は、内側スライドファスナが開状態のとき、内側スライドファスナが閉状態のときに内側スライドファスナにより少なくとも部分的に覆われる材料によって、互いに離間した状態で共に保持される。ここで、サイズの調節可能性はまた、複数のスライドファスナによって提供される。スライドファスナを有する衣服の製造は、容易かつ低コストである。更に、適切な品質のスライドファスナは、非常に長い耐用年数を有する。本発明に基づいて、衣服のサイズを容易に調節することができる。行う必要があるのはスライドファスナを開くことだけであり、すぐにより大きい衣服を利用できる。それ以外の方法では、行う必要があるのは、スライドファスナを閉じることにより衣服をより小さくすることだけである。特に、保護ベストは異なる体積を有する他の衣服の上に着用されるため、保護ベストに関しては、サイズの簡単な調節性は特に有利である。夏には、保護ベストはシャツの上にしか着用されず、小さなサイズの保護ベストで十分であるが、冬には、例えば、ボリュームのあるダウンジャケットの上に保護ベストを着用する必要があり得る。同一の保護ベストのサイズが異なるため、同じ着用者が異なる衣服を着ることが許容されるという利点とは別に、同一の保護ベストが、異なる衣服サイズを有する人々のために使用され得るという利点もある。この利点は製造プロセスを合理化し、保管及び流通を大幅に促進する。例えば、本発明による衣服は、例として競技用の識別ベスト、すなわち番号付きのベストであってもよい。複数のスライドファスナが重ね合わさっていること、すなわち外側スライドファスナ及び内側スライドファスナが特に有利である。第1サイズ(最小サイズ)から第2サイズへの移行のために外側スライドファスナを開いた後、内側スライドファスナを開くことによって第3サイズ(第2サイズより大きい)への移行も可能である。したがって、利用可能であるのは衣服の2つの異なるサイズだけではない。「覆われた」という用語は、厳密な幾何学的意味では定義されていないため、例えば、スライドファスナは、任意の突起の歯列によって重ねられていなければならない。意味するのは、歯列が何にでも覆われているということである。これは、本開示のすべての実施形態に適用される。

更に、外側スライドファスナが開状態であって、かつ内側スライドファスナが開状態のときに、外側スライドファスナの少なくとも1つの歯列が、内側スライドファスナの少なくとも1つの歯列に、1つのスライドファスナを構成するように連結されることが考えられる。外側スライドファスナの1つの歯列を内側スライドファスナの他の歯列に連結することによって、中間サイズである別のサイズを利用可能にすることができる。

本発明は、2つの歯列を有する別の内側スライドファスナが提供されている点、または2つの歯列を有する複数の更なる内側スライドファスナが提供されている点で更に発展することができ、それぞれ隣接する内側スライドファスナは、外側スライドファスナと外側スライドファスナのすぐ後に続く内側スライドファスナとのように、相互に関連する。したがって、例えば、1つの外側スライドファスナ及び1つの内側スライドファスナが存在し、外側スライドファスナが閉じた状態での最小サイズは別として、外側スライドファスナを開くだけ、及び内側スライドファスナを開くだけで、2つの更なるサイズが調節可能である。スライドファスナの歯列が互いに連結されると、少なくとも1つの衣服の追加サイズを利用可能にすることができる。全体として、複数の重ね合わされたスライドファスナを利用可能にすることができる。より上方に配置されたスライドファスナを開くことによって露出されたばかりの、それぞれの次のスライドファスナを開くことによって、その後、別のサイズの衣服を供給する。個々のスライドファスナの歯列は、中間サイズが提供され得るように、1つのスライドファスナを構成するような方法で、全部または一部が互いに連結可能であり得る。この目的のために、互いに連結することのできる歯列は、「設計上同一」である必要がある。しかし、歯列の全部または一部が設計上同一ではなく、連結することができない異なるスライドファスナを提供することも可能である。

1つ以上の内側スライドファスナの代わりに、1つのスライドファスナを構成するような方法で互いに連結可能である必要のない1つ以上の歯列が提供されるが、これらの歯列は、外側スライドファスナ及び/または内側スライドファスナの少なくとも1つの歯列と、1つのスライドファスナを構成するようにして連結され得ることも考えられる。例えば、1つの外側スライドファスナのみの配置、内側スライドファスナのない配置、及び閉状態における外側スライドファスナによって、完全にまたは部分的に覆われた単一の歯列のみの配置の場合、小さいサイズから大きいサイズへの移行は、外側スライドファスナを開くことによって実現され得る。他のスライドファスナは存在しないため、より大きいサイズを実現することはできない。しかし、内側に提供された歯列は、外側のスライドファスナの歯列の1つと連結することができる。このようにして、中間サイズが生成される。複数の歯列を互いに隣接して提供することにより、複数の中間サイズを提供することができる。

スライドファスナ配置は、スライドファスナ(複数可)及び/または歯列によって提供され、かつスライドファスナ配置は、衣服の複数の位置に提供されることが、更に考えられる。例えば、保護ベストでは、スライドファスナ配置が保護ベストの各側部にそれぞれ置かれることが考えられる。

これに関連して、スライドファスナ配置が少なくとも部分的に、設計上同一であることが有用であり得る。すべてのスライドファスナ配置は、同一の機能を有する。

しかし、スライドファスナ配置が、設計上少なくとも部分的に異なることも有用であり得る。例えば、保護ベストの側部に提供されたスライドファスナ配置では、一方の側部が他方の側部より設計上複雑であってもよい。これは、スライドファスナ配置の設計に制約を課し得る他の機能的特徴をベストが有するときに、特に有用である。

本発明はまた、本発明による衣服の使用に適し、本発明による衣服に関連して定義されたスライドファスナ配置で構成される。

したがって、本発明によれば、1つのスライドファスナを構成するような方法によるサイズ調節の公知の原理が有利に拡大される。これは、内側に配置された1つ以上のスライドファスナによって、もしくは内側に配置された1つ以上の歯列、またはこれらの組み合わせによって達成される。内側の歯列は、スライドファスナの単一の歯列または複数の歯列であり、同一設計の歯列を必要とする他のスライドファスナの歯列と組み合わせることができる。しかし、これは中間サイズの調節が省かれる場合には不要である。

本発明は、添付の図面を参照し、好ましい実施形態に関連した例によって説明される。

第1状態における、本発明による衣服を示す図である。

第2状態における、本発明による衣服を示す図である。

第3状態における、本発明による衣服を示す図である。

第4状態における、本発明による衣服を示す図である。

図1は、第1状態における本発明による衣服10を示す。衣服10はベストである。衣服10にはスライドファスナ配置が提供され、図1では外側スライドファスナ12のみが見える。スライドファスナ配置の更なる構成要素は、外側スライドファスナ12、または外側スライドファスナ12に隣接する衣服10の材料によって覆われている。外側スライドファスナ12は、2つの外側歯列(14、16)と、外側端部片28と、外側スライダ30とを含む。スライドファスナは、衣服10のアーム開口部から、衣服10の下端まで延在している。閉状態では、外側スライダ30はアーム開口部に位置するが、外側端部片28は下端部に位置する。同様に、外側スライドファスナ12を反対方向に適用して、外側端部片28をアーム開口部に位置させ、外側スライダ30を衣服の下端部に位置させることも可能である。

外側スライダ30を外側端部片28に向けて動かすことにより外側スライドファスナ12が開かれると、図2に示すイメージが得られる。外側スライドファスナ12の外側歯列(14、16)は互いに離れて配置されているが、外側材料18によって、互いに離間した状態で接続、または連結されている。本実施例の特殊性は、外側歯列(14、16)間の外側材料18が内側スライドファスナ20を含み、内側スライドファスナ20は、2つの内側歯列(22、24)と、内側端部片32と、内側スライダ34とを含むことである。内側スライドファスナ20は、外側スライドファスナ12と同じ方向で衣服10に縫い付けられる。これは必ず必要なことではない。任意の方向、及び任意の方向の組合せは、本発明の範囲内である。

図1、及び図2に示された衣服の2つの状態を比較すると、衣服10が2つの状態で異なるサイズを有することが明らかとなり、外側スライドファスナ12が開かれた図2による状態より、外側スライドファスナ12が閉じられた図1による状態において、衣服はより小さくなる。

次に、図3は、衣服10の別の状態を示す。ここでは、内側歯列(22、24)を有する内側スライドファスナ20も開かれている。内側スライドファスナ20の内側歯列(22、24)はまた、内側材料26によって、互いに離間した状態で連結される。次に図3に示す状態では、図1、及び図2に示す2つのサイズに加え、衣服10の第3サイズが実現される。

しかし、本発明のスライドファスナ配置を用いて、更なるサイズを実現することも可能である。このことを、図4に関連して説明する。図4に示す状態では、内側スライドファスナ20の内側歯列24は、外側スライドファスナの外側歯列14に連結されている。これにより、図1による衣服10と、図2による衣服10との間の中間サイズとなる。同様に、図3に示す状態から、内側スライドファスナ20の内側歯列22を、外側スライドファスナ12の外側歯列16に連結することも可能である。

図2を用いて、本発明の別の態様を説明することができる。図2は、外側スライドファスナ12が開かれたときに露出する、完全な内側スライドファスナ20を示す。しかし同様に、例えば、完全な内側スライドファスナ20の代わりに単一の歯列のみを提供することも可能であろう。この単一の歯列は、外側スライドファスナ12の外側歯列(14、16)の1つと連結されることにより、中間サイズを実現し得る。

本発明の別の変形を、図3を参照して説明することができる。ここでは、内側スライドファスナの内側歯列(22、24)間の内側材料26は、特定の特殊性を有さないと考えられる。内側材料26は、単に織物生地であって、残りの衣服10を完全に、または部分的に含んでいてもよい。しかし、内側材料26の領域に更に別のスライドファスナを提供し、内側スライドファスナ20が外側スライドファスナ12と機能的関係を有するように、更に別のスライドファスナが、内側歯列(22、24)を有する内側スライドファスナ20と機能的関係を有するようにすることも可能である。当然、同様に、内側スライドファスナ20の内側歯列(22、24)間に、単一の歯列のみを、または複数の独立した歯列を提供することも可能である。

このように説明されたスライドファスナ、または歯列の入れ子構成は、所望に応じて継続され、最終的に多数のスライドファスナが共にスライドファスナ配置を形成してもよい。

説明されたスライドファスナ配置は、全体として、繊維構成要素として提供されてもよい。繊維構成要素は、単一のスライドファスナのように衣服に縫い付けられる。

上述の実施形態では、単一のスライドファスナ配置のみが示されている。好ましくは、説明されたスライドファスナ配置と比較して、設計上同一でも異なっていてもよいスライドファスナ配置は、衣服の他方側、すなわち他方のアーム開口部の下側にも存在する。同様に、衣類の下端部と頭部開口部との間、つまり、胸部、及び/または背部領域にスライドファスナ配置を提供することが考えられる。スライドファスナ配置はまたは、2つのアーム開口部の間で水平に延在してもよい。このようにして、衣類の長さを変えることができる。

上述の説明、図面、及び特許請求の範囲に開示された本発明の特徴は、個別の、及び任意の組合せでの本発明の実施のために必須であり得る。

10 衣服 12 外側スライドファスナ 14 外側歯列 16 外側歯列 18 外側材料 20 内側スライドファスナ 22 内側歯列 24 内側歯列 26 内側材料 28 外側端部片 30 外側スライダ 32 内側端部片 34 内側スライダ