衣類

申请号 JP2017064494 申请日 2017-03-29 公开(公告)号 JP2017186726A 公开(公告)日 2017-10-12
申请人 東レ株式会社; 社会福祉法人兵庫県社会福祉事業団; 发明人 陳 隆明; 本田 雄一郎; 中村 豪; 笠坊 美紀; 岡崎 統;
摘要 【課題】自身の筋 力 による関節運動を楽にして筋力低下を効果的に抑制し、日常の身体活動を維持したり高めたりするための衣類を提供する。 【解決手段】身体被覆地21aに補助帯2aおよび2bが配置された衣類20aであって、前記補助帯2aおよび2bは、前記身体被覆地21aにおける着用者の関節を覆う部分を挟んで一方の端部側3aから他方の端部側3bにかけて着用者の身体表面に沿うように前記身体被覆地に配置されており、前記補助帯と前記身体被覆地とは、互いに分離されて独立して伸縮することができるように前記補助帯は前記身体被覆地に固定され、前記補助帯の前記一方の端部側と他方の端部側とを結ぶ方向の前記衣類の着用時における張力が、前記補助帯と重なっている前記身体被覆地の前記方向に平行な方向の前記衣類の着用時における張力よりも大きいことを特徴とする。 【選択図】図1
权利要求

身体被覆地に補助帯が配置された衣類であって、 前記補助帯は、前記身体被覆地における着用者の関節を覆う部分を挟んで一方の端部側から他方の端部側にかけて着用者の身体表面に沿うように前記身体被覆地に配置されており、 前記補助帯と前記身体被覆地とは、互いに分離されて独立して伸縮することができるように前記補助帯は前記身体被覆地に固定され、 前記補助帯の前記一方の端部側と前記他方の端部側とを結ぶ方向Sの前記衣類の着用時における張T1が、前記補助帯と重なっている前記身体被覆地の前記方向Sに平行な方向の前記衣類の着用時における張力T2よりも大きい、衣類。前記張力T1と前記張力T2との比、(T1/T2)が3以上100以下である、請求項1に記載の衣類。前記張力T1を調整する手段を有する、請求項1または2に記載の衣類。A1とA2の2つの補助帯を備えており、 前記身体被覆地が、着用者の腰周部を覆う部分A、着用者の右膝周部を覆う部分Bおよび着用者の左膝周部を覆う部分Cを備えており、 補助帯A1の一方の端部が前記部分Aに着脱可能な状態で固定されており、補助帯A1の他方の端部が前記部分Bに着脱可能な状態で固定されており、 補助帯A2の一方の端部が前記部分Aに着脱可能な状態で固定されており、補助帯A2の他方の端部が前記部分Cに着脱可能な状態で固定されている、請求項1〜3のいずれかに記載の衣類。さらに調節帯を備え、 前記身体被覆地が、着用者の腰周部を覆う部分Aを備えており、 前記衣類の着用時に着用者の左右の腸骨稜付近を覆う前記身体被覆地の部分が前記調節帯により被覆されており、 前記部分Aの少なくとも一部と前記調整帯とを着脱可能な状態で固定する腰締結部を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の衣類。前記身体被覆地が、着用者の上腕部を覆う部分D、着用者の肘部を覆う部分E、および着用者の手首部を覆う部分Fを備えた筒状体であり、 補助帯の一方の端部が前記部分Dに着脱可能な状態で固定されており、補助帯の他方の端部が前記部分Fに着脱可能な状態で固定されている、請求項1〜3のいずれかに記載の衣類。

说明书全文

本発明は、身体能低下者およびその予備軍に好適に用いることができて、自身の筋力による関節運動を楽にして筋力低下を効果的に抑制し、日常の身体活動を維持したり高めたりする衣類に関するものである。

近年、世界的な高齢化が急速に進行している。人々が年を重ねてもその能力に応じて働き続け、あるいは自立的で活動的な日常生活をおくることを支援しながら、増大する医療費や社会保障費をいかに抑えていくかが大きな社会的課題となっている。

筋力を高めることは、日常生活を送るための能力を維持および向上させる上で重要な要素となっている。高齢者にとって筋力の低下は、関節への負担を大きくするだけでなく、起居動作などの日常の活動に支障をきたす結果を招くと言われている。また、柔軟性を高めることは、関節の可動域や関節の機能を改善したり、筋の緊張を和らげたりすることによって、傷害の予防につながる。特に歩行などの自然な体の動きを再現するような関節運動を促進することは、健常者の身体能力の機能維持はもとより、身体能力低下者の機能回復のためのリハビリテーションの現場においても、重要なアプローチとなっている。

身体能力や活動度に問題ない人々、あるいは相対的に身体能力や活動度が高い人々に向けては、スポーツウェアやスポーツインナー、およびサポート機能を持った様々な衣料が提案されている。例えば、下肢部の衣服圧を部分的に変化させた衣類(特許文献1参照)や、特定部分の締め付け力を高めた衣類(特許文献2参照)、伸縮性の方向性が異なる素材を組み合わせた衣類(特許文献3参照)、着用者の筋肉または靭帯に沿う部分に補強部が設けられた衣類(特許文献4参照)などが知られており、これらはその衣服圧からコンプレッション衣料と総称されている。

しかしながら、これらのコンプレッション衣料は、特定の筋肉に衣服圧がかかるように設計され、その筋肉を保護あるいは増強することを目的としたものであり、関節の動きを直接補助するものではなかった。また、全体として締め付け力が強いものが多く、握力が弱い身体能力低下者やその予備軍にとって履いたり着用したりしにくく、特に加齢に伴い腹回り径が増す傾向にある高齢者にとっては長時間の着用が困難であるという問題もあった。また、身体能力低下者やその予備軍、例えば運動習慣がない一般の中高年はそもそも筋力が極めて低い人が多く、上記のコンプレッション衣料を着用して根気よく運動を継続してやっと得られる筋力の増強は気力や持久力の面で受け入れられにくい面があった。

そのように筋力がない身体能力低下者に向けては、特許文献5および6に代表されるような股関節の振り出しを少し補助して歩行を楽にする電気駆動式のアシスト装具が、様々な自動車メーカー、材料メーカー、および大学から提案され始めている。

特開平10−130915号公報

特開平10−280209号公報

特開2006−219778号公報

特開2013−227717号公報

特開2009−095645号公報

特開2014−018536号公報

しかし、特許文献5および6に示される上記のアシスト装具は電気駆動式であるがゆえにバッテリーが必須であり、現状のリチウムイオン電池バッテリー容量ではアシスト装具の重量が非常に大きなものとなり、このアシスト装具の使用時間などに制約がある。また、着用回毎に着用者の身体能力に合わせて専門家による補助力の電子的な設定や、機械的な調整が必要であり、着用に要する手間が煩雑であるという課題もある。

そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、電気的な駆動源を必要とせず、低コストで、着用性や安全性に優れ、人の自然な動きを再現するような体の関節運動に対し、それを効果的に補助する衣類を提供することにある。

本発明者は前記課題を解決するために鋭意検討をおこなった結果、次のような手段を採用することにより課題を解決できることを見出した。

(1)身体被覆地に補助帯が配置された衣類であって、前記補助帯は、前記身体被覆地における着用者の関節を覆う部分を挟んで一方の端部側から他方の端部側にかけて着用者の身体表面に沿うように前記身体被覆地に配置されており、前記補助帯と前記身体被覆地とは、互いに分離されて独立して伸縮することができるように前記補助帯は前記身体被覆地に固定され、前記補助帯の前記一方の端部側と前記他方の端部側とを結ぶ方向Sの前記衣類の着用時における張力T1が、前記補助帯と重なっている前記身体被覆地の前記方向Sに平行な方向の前記衣類の着用時における張力T2よりも大きい衣類。

(2)前記張力T1と前記張力T2との比、(T1/T2)が3以上100以下である前記(1)記載の衣類。

(3)前記張力T1を調整する手段を有する前記(1)または(2)記載の衣類。

(4)A1とA2の2つの補助帯を備えており、前記身体被覆地が、着用者の腰周部を覆う部分A、着用者の右膝周部を覆う部分Bおよび着用者の左膝周部を覆う部分Cを備えており、補助帯A1の一方の端部が前記部分Aに着脱可能な状態で固定されており、補助帯A1の他方の端部が前記部分Bに着脱可能な状態で固定されており、補助帯A2の一方の端部が前記部分Aに着脱可能な状態で固定されており、補助帯A2の他方の端部が前記部分Cに着脱可能な状態で固定されている前記(1)〜(3)のいずれかに記載の衣類。

(5)さらに調節帯を備え、前記身体被覆地が、着用者の腰周部を覆う部分Aを備えており、前記衣類の着用時に着用者の左右の腸骨稜付近を覆う前記身体被覆地の部分が前記調節帯により被覆されており、前記部分Aの少なくとも一部と前記調整帯とを着脱可能な状態で固定する腰締結部を有する前記(1)〜(4)のいずれかに記載の衣類。

(6)前記身体被覆地が、着用者の上腕部を覆う部分D、着用者の肘部を覆う部分E、および着用者の手首部を覆う部分Fを備えた筒状体であり、補助帯の一方の端部が前記部分Dに着脱可能な状態で固定されており、補助帯の他方の端部が前記部分Fに着脱可能な状態で固定されている前記(1)〜(3)のいずれかに記載の衣類。

本発明によれば、身体能力低下者およびその予備軍に好適に用いて、身体運動を楽にして体を動かす意欲を引き出し、結果として筋力低下を効果的に抑制することができ、電気的な駆動源を必要とせず、低コストで、着用性や安全性に優れ、人の自然な動きを再現するような体の動きを効果的に補助する衣類を提供することができる。

図1は、本発明の一実施形態例に係る衣類の着用時における概略正面図である。

図2は、本発明の他の実施形態例に係る衣類の着用時における概略正面図である。

図3は、本発明の他の実施形態例に係る衣類の着用時における概略正面図である。

図4は、本発明の他の実施形態例に係る衣類の着用時における概略正面図である。

図5は、本発明の他の実施形態例に係る衣類の着用時における概略背面図である。

図6(a)は、図3および図4に示された本発明の衣類に用いられた一実施形態例に係る身体被覆地の概略左側面図、図6(b)は、図3および図4に示された本発明の衣類に用いられた一実施形態例に係る身体被覆地の概略正面図、図6(c)は、図3および図4に示された本発明の衣類に用いられた一実施形態例に係る身体被覆地の概略右側面図である。

図7(a)(b)は、図1〜5に示された本発明の衣類に用いられた一実施形態例に係る補助帯の概略正面図である。

図8(a)は、図1および図2に示された本発明の衣類に用いられた一実施形態例に係る身体被覆地の概略左側面図、図8(b)は、図1および図2に示された本発明の衣類に用いられた一実施形態例に係る身体被覆地の概略正面図、図8(c)は、図1および図2に示された本発明の衣類に用いられた一実施形態例に係る身体被覆地の概略右側面図である。

図9(a)は、図5に示された本発明の衣類に用いられた一実施形態例に係る身体被覆地の概略左側面図、図9(b)は、図5に示された本発明の衣類に用いられた一実施形態例に係る身体被覆地の概略正面図、図9(c)は、図5に示された本発明の衣類に用いられた一実施形態例に係る身体被覆地の概略右側面図である。

図10は、本発明の他の実施形態例に係る衣類の着用時における概略右側面図である。

図11は、図10に示された本発明の衣類に用いられた一実施形態例に係る身体被覆地の概略右側面図である。

図12は、図6(a)(b)(c)に示された本発明の衣類の一実施形態例に用いられた身体被覆地の構成パーツを示す概略展開図である。

図13は、図8(a)(b)(c)に示された本発明の衣類の一実施形態例に用いられた身体被覆地の構成パーツを示す概略展開図である。

図14(a)は、本発明の他の実施形態例に係る衣類の着用時における概略正面図、図14(b)は、本発明の他の実施形態例に係る衣類の着用時における概略右側面図、図14(c)は、本発明の他の実施形態例に係る衣類の着用時における概略背面図である。

図15は、図14(a)(b)(c)に示された本発明の衣類に用いられた一実施形態例に係る調整帯の概略正面図である。

本発明の衣類は、身体被覆地に補助帯が配置された衣類であって、前記補助帯は、前記身体被覆地における着用者の関節を覆う部分を挟んで一方の端部側から他方の端部側にかけて着用者の身体表面に沿うように前記身体被覆地に配置されている。ここで、前記補助帯と前記身体被覆地とは、互いに分離されて独立して伸縮することができるように前記補助帯は前記身体被覆地に固定されており、さらに、前記衣類の着用時における前記補助帯の前記一方の端部側と前記他方の端部側とを結ぶ方向Sの張力T1が、前記補助帯と重なっている前記身体被覆地の前記方向Sに平行な方向の張力T2よりも大きい。

このように、対象とする着用者の関節の両側に補助帯の一方の端部と片方の端部とを配置し、上記の張力T1が上記の張力T2よりも大きくなるように予め適度に引っ張っておくことで、補助帯がもとに戻ろうとする力を利用して関節の初動運動を望ましい方向に誘導することができる。本発明の衣類においては、対象とする着用者の関節の部分で身体被覆地と前記補助帯とは互いに分離されて独立して伸縮するので、補助帯は身体被覆地との固定点以外では拘束されることがなく、前記補助帯と前記関節を覆う部分とが重なる部分において、補助帯は身体被覆地の伸びを阻害しない。そのため、従来のコンプレッション衣料に比べて圧迫感が小さく長時間の着用にも耐えられる。また、補助帯と身体被覆地が互いに独立して伸縮することで、補助帯の一方の端部と他方の端部とが直接引き合い、その力は分散されることなくダイレクトに着用者の関節部位に伝わりやすくなる。ここで、補助帯がもとに戻ろうとする力をより効率的に利用するためには、前記身体被覆地と、前記補助帯が前記身体被覆地に固定されていない部分との静摩擦係数が低いことが望ましい。

本発明の衣類がサポートの対象とする関節は、上肢では肩関節、肘関節、手関節、手および指の関節、前腕など、下肢では股関節、膝関節、足関節、足指の関節、頸部および胸腰部などが具体的に挙げられる。すなわち、上記の関節は、骨と骨が連結されている部分であれば特に限定されず、補助帯は複数の関節に跨っていても差し支えない。また、これらの関節には屈曲、伸展、内転、外転、内旋、外旋、回内、回外など部位毎に決まった運動方向と度で表される可動域があり、着用者の状態に応じて、望ましい部位において、望ましい関節運動を誘引するように補助帯を配置することが望ましい。

本発明の衣類において補助帯は複数であってもよく、複数の補助帯は別の位置に配置されても、重ね合わせて配置されてもよい。

ここで、図1は、本発明の一実施形態例に係る衣類の着用時における概略正面図を示す。この衣類20aは身体被覆地21aおよび2つの補助帯2a、2bを有し、この身体被覆地21aは、衣類の着用時に着用者の腰周部を覆う部分(A)1、衣類の着用時に着用者の右膝周部を覆う部分(B)4、衣類の着用時に着用者の左膝周部を覆う部分(C)5、および4つの対となる係止部の一方を有している。また、補助帯2a、2bはそれぞれ2つの対となる係止部の他方を有している。すなわち、補助帯2a、2bに設けられた対となる係止部の他方側を構成するものが身体被覆地21aに設けられた対となる係止部の一方側を構成するものに係止されることにより、補助帯2a、2bは身体被覆地21aに着脱可能な状態で固定される。

また、身体被覆地21aに設けられた4つの対となる係止部の一方側を構成するものは、前記の腰周部を覆う部分Aの右側部R1および左側部L1と、前記の右膝周部を覆う部分Bの左側部L2と、前記の左膝周部を覆う部分Cの右側部R2とに、それぞれ1つずつ配置されている。また、補助帯2a、2bに設けられた2つの対となる係止部の他方側を構成するものは、一方の端部3aと他方の端部3bに配置されている。

そして、2つの補助帯2a、2bのうち2aは、この補助帯2aの一方の端部3aに設けられた係止部が腰周部を覆う部分Aの右側部R1に設けられた係止部に係止されることにより、補助帯2aは着脱可能な状態で固定されており、この補助帯2aの他方の端部3bに設けられた係止部が右膝周部を覆う部分Bの左側部L2に設けられた係止部に係止されることにより、補助帯2aは着脱可能な状態で固定されている。また、2つの補助帯2a、2bのうち2bは、この補助帯2bの一方の端部3aに設けられた係止部が腰周部を覆う部分Aの左側部L1に設けられた係止部に係止されることにより、補助帯2bは着脱可能な状態で固定されており、この補助帯2bの他方の端部3bに設けられた係止部が左膝周部を覆う部分Cの右側部R2に設けられた係止部に係止されることにより、補助帯2bは着脱可能な状態で固定されている。

また、2つの補助帯2a、2bは、これらの補助帯の2つの端部3aと3bが着用者の股関節を挟むように、かつ着用者の大腿前面の身体表面に沿うように配置されている。ここで、上記のとおり補助帯2a、2bが身体被覆地21aの表面に配された状態で、補助帯2aまたは2bの一方の端部3a側と他方の端部3b側とを結ぶ方向Sの張力T1が、補助帯と重なっている身体被覆地21aの前記方向Sに平行な方向の張力T2よりも大きいため、本発明の衣類は着用者の股関節の屈曲運動を適切に補助し、着用者は歩行アシストの効果を得ることができる。

また、本発明の衣類は、上記に例示されるような構成を採用するものであるため電気的な駆動源を必要とせず生産性に優れ低コストであり、また、衣類であるため電気駆動式のアシスト装具に比べ軽量で安全性が高く、さらに安全性にも優れる。

本発明の衣類において、前記張力T1と前記張力T2との比、(T1/T2)は3以上100以下であるのが望ましい。T1/T2を3以上とすることで、補助帯がもとの形状に戻ろうとする力が十分に発揮され、関節の運動を望ましい方向により適切に誘導することができる。一方で、T1/T2を100以下とすることで、補助帯の2つの端部同士が引き合う力が適度なものとなり、衣類の着用性がより向上するとともに、関節運動の誘導前の姿勢および体位の維持による疲労をより軽減することができる。また、T1/T2の下限は、7以上であることがより好ましく、T1/T2の上限は80以下であることがより好ましい。

図2は、本発明の他の実施形態例に係る衣類の着用時における概略正面図である。ここで、この衣類20bは図1に示された衣類20aを構成する部材と同一の部材から構成されているが、補助帯2cと2dの張力T1が図1に示された衣類20aの補助帯2aと2bの張力T1よりも弱くなるように身体被覆地21bに固定されている点で図1に示された衣類20aとは異なる。例えば、同一の2つの補助帯において、一方の補助帯を長さ方向に特定の力で引っ張った際の補助帯の張力と他方の補助帯を長さ方向に上記の特定の力よりも弱い力で引っ張った際の補助帯の張力とを比較すると、後者の張力の方が弱くなる。このような図1に示された衣類20aと図2に示された衣類20bの差異は、本発明の衣類が張力T1を調整する手段を有することで実現する。

そして、このように同一の衣類で補助帯の張力T1を調整できることによって、例えば、運動訓練初期時はまず張力の弱い状態とし、慣れて来たら着用者にとって最適と感じられる張力に段階的に強めたり弱めたりしながら最適な位置を探ることができる。人の体調や身体能力は季節や時間帯でも変化するので、こうした張力の調整によりその時の能力に応じた補助力が得られるので好ましい。さらに、四肢の能力に左右差がある場合にも、左右の張力を変えることで左右のバランスを整えることができる。これは、従来のコンプレッション衣料の多くが着用者の筋肉または靭帯に沿う部分に補強部が設けられているだけで、個々の能力に応じた張力の調整を着用後などにできないのに対し大きな利点である。個々の能力に応じた張力の調整ができることは着用の習慣化と関節運動の定着化が図られやすい。以上のように着用者の身体能力に合わせて柔軟な関節補助の調整効果を得ることができる。

また、上記の張力T1を調整する手段としては、長さ方向に引っ張られていない補助帯の長さを変更する方法と、補助帯と身体被覆地との固定部間の長さを変更する方法の2つを例示することができる。前者の方法(補助帯の長さを変更する方法)にはアパレル副資材で通常使用されるナイロンやポリアセタール等の各素材や幅のバックルやアジャスターを好適に使用することができる。バックルやアジャスターの調整により補助帯の非固定部の長さが長いほど張力T1は小さくなり、逆に補助帯の非固定部の長さが短いほど張力T1を大きくすることができる。一方、後者の方法(補助帯と身体被覆地との固定部間の長さを変更する方法)は、面ファスナーやスナップボタンなど、補助帯と身体被覆地とを部分的に止着できる副資材が適用され得る。例えば、補助帯の少なくとも一つの端部に面ファスナーを予め設けておき、身体被覆地の対応する部分に面ファスナーを設け、身体被覆地に設ける面ファスナーの長さや幅を補助帯の端部に設ける上記面ファスナーに対して大きく設けておけば、補助帯の端部に設ける上記の面ファスナーを係止する身体被覆地に設ける面ファスナーの部位を調整することで、補助帯の固定部間の距離を調整することができ、結果として、張力T1を容易に変更することができる。

ここで、面ファスナーは、面と面を押し付けるとそれだけで貼り付くようになっているもので、貼り付けたり剥がしたりすることが自在にできる。一般的に面ファスナーはフック面とループ面からなるものが多いが、フックとループ両方が埋め込まれており区別のないタイプ、フック面がマッシュルーム状や鋸歯状となっており結合力を強めたタイプなども好ましく使用できる。面ファスナーにも伸縮性を有するタイプがあり、運動追従性が高まるので、対となる面ファスナーのいずれか片方には伸縮性タイプを使用するのが望ましい。同一の補助帯であれば、補助帯の固定部間の長さを長くして、すなわち、より引っ張った状態の補助帯を身体被覆地に止着するほど張力Aは大きくなり、補助帯の固定部間の長さを短くして、すなわち、より引っ張っていない状態の補助帯を身体被覆地に止着するほど張力Aは小さくなる。

なお、張力T1を調整するタイミングは、衣類の着用前でも着用後でもよい。すなわち、衣類の着用前に張力T1を調整し、着用者にとって望ましい補助力を予め設定した上で衣類を着用しても良いし、補助帯を固定しない状態で衣類を着用してから、その日その時間帯の着用者の能力や体調に合わせて張力T1を調整してもよい。簡単でアナログ的な調整手段であるので、例えば一度、訓練を受けた専門家の指導や立会いのもと着用者の身体能力に合わせた補助力を設定しておけば、着用者は自宅でその配置を再現することにより自発的なリハビリテーションや効果的な運動を行うことができる。

ここで、張力T1の値としては4N以上55N以下であるのが好ましい。張力T1の値を4N以上とすることで、補助帯がもとの形状に戻ろうとする力が十分に発揮され、関節の運動を望ましい方向により適切に誘導することができる。一方で、張力T1の値を55N以下とすることで、補助帯の2つの端部同士が引き合う力が適度なものとなり、衣類の着用性がより向上するとともに、関節運動の誘導前の姿勢および体位の維持による疲労をより軽減することができる。

ここで、補助帯は天然ゴムや合成プラスチック、金属(スプリング状に加工したもの)など伸縮可能な材料を含み適度な弾性を有するものであれば特に制約はない。ただし、人が着用する衣類に用いるものであるので、万が一転倒しても安全性が担保できる観点から、補助帯はゴムや樹脂などの弾性材料や伸縮性のある繊維材料からなるものであることが望ましい。また、アレルギー体質の人の中には天然ゴムにアレルギー反応を示す人がいるため、特に合成プラスチックなどの弾性体からなるものであることが好ましく、例えばポリエステル系エラストマー樹脂ハイトレル(登録商標)からなる補助帯が好ましく使用される。

補助帯に好適に用いることができる繊維材料としては、絹やウールなどの天然繊維やレーヨンなどの再生繊維およびアクリル系繊維やポリエステル系繊維などの合成繊維などからなる群より選ばれる少なくとも1種の繊維に弾性繊維(ポリウレタン繊維、ポリエステルエラストマー繊維など)を混用したもので編成した伸縮性織編物等、あるいは弾性繊維単独で編成した伸縮性織編物等が挙げられる。また、弾性繊維を使用しないで、例えば一方がポリトリメチレンテレフタレート(PTT)を主体としたポリエステルである2種類のポリエステル重合体を繊維長さに沿ってサイドバイサイドに貼りあわせた複合繊維のマルチフィラメントを経糸および緯糸の少なくとも一方に用いたポリエステル系伸縮性織編物も好適に使用することができる。

前記繊維材料の構成は、織物および編物いずれであってもよいが、高い伸縮特性を有し、かつ組織構造により吸汗および速乾機能などを付与できる点で編物の方がより好ましい。編組織は経編および緯編のいずれでもよいが、より好ましくは高い伸縮性を有する経編が好ましい。

前記補助帯は単一材料でもよいが複数の素材を複合してもよい。複合方法として、例えば、異なる伸長率を有する複数の素材を重ねても、繋いでも、その両方でもよく、複合化することで所望の張力を微調整することができる。

補助帯の形状は、着用者の関節を覆う部分を挟んで一方の端部側から他方の端部側にかけて着用者の身体表面に沿うように前記身体被覆地に配置できれば特に制約はない。しかしながら、人の関節部周辺の躯体は周径が連続的に変化しているので、周径の大きい部位から小さい部位に補助帯を配置する際には補助帯を先細のテーパー状とし、テーパー状補助帯の先細になっている先端部分が周径の小さい躯体部位に固定され、テーパー状補助帯のもう一端の太い部分が周径の大きい躯体部位に固定されるよう配置するのが好ましい。

テーパー状補助帯の作成には特に制約はないが、同じ幅の補助帯の一部が部分的に重なるようにV字状に折り曲げて幅広の部分から幅狭の部分にかけて連続的に幅が狭くなっているテーパー状補助帯を作成することができる。V字とすることで、関節運動の振り子の動きにあわせてV字の補助帯の片方の帯がのびた時にはもう片方の帯が縮み、そして、今度は伸びていたほうの帯が縮むときはもう片方の帯が伸びるというように交互に伸び縮みするので、例えばI字の補助帯に較べて、張力がかかるのが分散され耐久性も向上し、相互に帯が伸び縮みすることから帯の先細部分が大きく左右にふれることが抑制され、補助帯の長さ方向にパワーが集中し、望ましい関節運動の安定感を高められる。また、体肢の太い部分の身体被覆地は必然的に伸長率が高くなる傾向にあるが、補助帯の幅が小さいと一箇所に応力が集中し、身体被覆地にさらなる応力がかかり、破れたりほつれたり損傷が起こりやすくなる。これに対し、体肢の太い部分には太幅の補助帯、体肢の細い部分には細幅の補助帯、すなわちテーパー状の補助帯を使用することで、特定の部位に応力が集中過ぎることなく、部位太さに応じてバランスよく身体をカバーして補助力を作用させることができる。

補助帯の沿わせ方としては、図1などに示すとおり、身体表面を補助帯2a、2bが斜めに横切るように、体肢を周回しながら沿わせるのが望ましい。このような補助帯の沿わせ方を採用することで、補助帯の長さを、限られた身体表面において相対的に長く保つことができ、大きな張力エネルギーを蓄積することができるためである。より好ましくは、対象とする関節とその両側の体肢を筒にみなしたとき、図1に示すように、補助帯2aの一方の端部3aから他方の端部3bに至る外側線をELとした場合、外側線ELの始点(一方の端部3a側にあるもの)と筒体の中心軸を含む面に対して、外側線ELの終点(他方の端部3b側にあるもの)と筒体の中心軸を含む面がなす角度、すなわち、筒体に対する補助帯の周回角度が135°〜225°であるのが好ましい。筒体とみなした身体表面に対する補助帯の周回角度が135°より小さいと補助帯が緩んだとき身体表面との隙間が開きやすく、階段の手すりなどの突起物等が上記の隙間に入り込み身体を持っていかれる恐れがあり、また長さが短いので補助帯の張力をさほど蓄積できずパワーが関節に伝わりにくくなる。筒体とみなした身体表面に対する補助帯の周回角度が225°を超えて補助帯を身体表面に周回しすぎると、補助体が身体へ拘束されるので、関節に力が作用しにくくなる。

また、上記の位置関係において、補助帯を沿わせる方向(時計周り又は反時計回り)を替えるだけで関節運動補助の方向性を容易に変更することができ、トレーニングの自由度が極めて高くなり好ましい。

補助帯の伸びやすさは、すなわち弾性を示す「ばね」に負荷をかけたときのばね定数で表現される。一般に、ばね定数が大きい素材は伸びにくく、ばね定数が小さい素材は少しの力で伸びやすいが、補助帯のばね定数は0.01〜0.50N/mmであることが好ましい。上記ばね定数の値が0.01N/mmより小さいと、補助帯がもとに戻ろうとするばねの力が弱くなり、関節を望ましい方向に誘導することが難しくなる。一方で、ばね定数の値が0.50N/mmより大きいと、補助帯の端部同士が引き合う力が強くなりすぎ、着用しづらくなったり、あるいは関節運動の誘導前の姿勢および体位を維持するのに疲れてしまう。そこで、補助帯のばね定数は0.01〜0.50N/mmであるのが好ましい。なお、所望のばね定数を得るためには、異なるばね定数を有する素材を重ねても、繋いでも、その両方でもよい。同じ素材を2枚重ねると合成ばね定数は約2倍になり、異なるばね定数を持つ素材をつなぐと合成ばね定数の逆数は各ばね係数の逆数の和の関係になる(フックの法則)ので、所望のばね定数を得るためのシミュレーション計算ができるため、適切な補助力の検討期間の短期化にもつながる。

身体被覆地に用いられる生地は伸縮性を有する伸縮性生地であることが望ましい。上記の生地の伸縮性が低く身体被覆地と身体との間に大きな隙間があると、衣類がずり上がったり型が崩れたりし、補助帯の張力を身体にうまく伝えられず、望ましい関節運動を誘引しにくくなる。このようなずり上がりや型崩れを防ぎ、前記補助帯が身体被覆地に固定される固定部が関節運動の支点として作動するためにも、身体への密着性を優れたものとするとの観点からも身体被覆地に用いられる生地は伸縮性生地であることが望ましいのである。さらに、前記伸縮性生地の伸び率は30%以上であることが好ましい。伸び率を30%以上とすることで、人体運動時の皮膚の伸びに十分に伸縮性生地が追従し、運動追従性を高めることができる。さらに、衣類のずり上がりを抑制するため、身体被覆地の少なくとも一部に滑り止め機能を持つ素材を使用してもよく、具体的には、滑り止め機能を有する生地や巾テープ等の張り合わせや樹脂の塗布が考えられる。

前記伸縮性生地はポリウレタン弾性繊維を使用したものが望ましく、なかでも、ポリウレタン弾性繊維は、市販のライクラ(登録商標)、T−127C(商品名)を使用するのが望ましい。小さい力で大きく伸び、素早く元の状態に戻る性質を備えるためである。ここで、身体被覆地は必ずしも対象とする関節周囲を全て被覆している必要はなく、ムレを防ぎ衣類の通気性と快適感を高めるため、一部に孔が空いていてもよい。身体被覆地として、メッシュ状の生地や補助帯との重なり部分に孔を空ける構造も好適に使用できる。

本発明が対象とする関節は特に限定されないが、歩行運動の要である股関節を対象とするのが特に望ましい。ここで、図1〜5には股関節を補助対象とする本発明の衣類の形態例を示す。図1に基づいて以下説明すると、この衣類20aは補助帯として2a、2bの2つを備えており、身体被覆地21aが、着用者の腰周部を覆う部分(A)1、着用者の右膝周部を覆う部分(B)4および着用者の左膝周部を覆う部分(C)5を備えている。これら2つの補助帯2a、2bのうち2aの一方の端部3aが、前記衣類の着用時における腰周部を覆う部分Aの右側部R1(右腰外側)に着脱可能な状態で固定されており、補助帯2aの他方の端部3bが前記衣類の着用時における右膝周部を覆う部分Bの左側部L2(右膝内側)に着脱可能な状態で固定されている。これらの2つの補助帯2a、2bのうち2bの一方の端部3aが、前記衣類の着用時における腰周部を覆う部分Aの左側部L1(左腰外側)に着脱可能な状態で固定されており、補助帯2bの他方の端部3bが前記衣類の着用時における左膝周部を覆う部分Cの右側部R2(左膝内側)に着脱可能な状態で固定されている。前記補助帯2a、2bは大腿前面の身体表面に沿って配置されている。

ここで補助帯の身体表面への沿わせ方としては、例えば図1〜4のように、補助帯2a、2b、2c、2d、2e、2f、2g、2h、2iおよび2jを大腿部の身体前面側に沿わせる方法と、図5のように、補助帯2kおよび2mを身体後ろ面側に沿わせる方法があるが、歩行能力低下者に向けては、大腿部の身体前面側に沿わせるのが望ましい。そうすることで、股関節伸展時に補助体が伸びて蓄積される張力エネルギーが、股関節振り出しの際に解放されアシスト力に変換されるためである。高齢者が躓きやすいのは、前記股関節振り出し力低下に起因するところが大きいので、これを適切に補助することで足を振り出しやすくし躓きや転倒を予防することができる。一方で、前記のように補助帯にエネルギーを蓄積することは、歩行能力低下者にとって相応の労力が必要ではないかという懸念があるが、股関節が伸展する時は脚が地についた状態であり、体の自然な動きである慣性と体重移動を利用して伸展するので大きな負担感はない。着用者は自身の歩行能力に合わせて前記アシスト力を適宜調整しながら自身の筋力による歩行運動を楽にして筋力低下を効果的に抑制することができる。

ここでの補助帯の沿わせ方は、右腰外側から右膝内側に斜めに沿わせるのがさらに好ましい。図1の形態例では、対象とする関節が股関節であり、太腿の体肢を筒にみなしたとき、図1に示すように、補助帯2aの一方の端部3aから他方の端部3bに至る外側線をELとした場合、外側線ELの始点(一方の端部3a側にあるもの)と筒体の中心軸を含む面に対して、外側線ELの終点(他方の端部3b側にあるもの)と筒体の中心軸を含む面がなす角度、すなわち、筒体に対する補助帯の周回角度が175〜185°であるように配置させている。そうすることで、例えば、右腰外側から右膝外側というように、まっすぐ沿わせたとき(前記角度が0°)に比べ、相対的な長さを長くとることで、より張力エネルギーを蓄積できる。さらに着用者のへそ周辺から膝部外側に補助帯を斜めに沿わせる方法もあるが、股関節を振り上げたときに股付近に補助帯と身体被覆地との隙間がややできやすくなる。そのため補助帯が一連の歩行動作を通じて補助帯と身体被覆地の間に隙間ができにくい右腰外側から右膝内側に配置するのが望ましい。より好ましくは、腰周部においては骨盤稜線部付近の着用者の身長方向長さ5cmであって胴周囲方向長さ15cmの領域に補助帯の一方の端部を固定し、膝部においては内側側副靭帯を中心に着用者の身長方向長さ15cmであって膝周囲方向長さ3cmの領域に補助帯のもう片方の端部を固定するように補助帯を配置するのが望ましい。

また、伸縮性の生地を使用した身体被覆地は履きにくい面があるので、図6のように裾部にファスナー6を設けておくとさらに好ましくなる。

こうした歩行補助により身体能力や活動度が向上してきたら、図5のように補助帯2k、2mの身体表面への沿わせ方を身体背面側に沿わせる方法に変えてもよい。そうすることで、股関節振り出し(すなわち股関節収縮)時には逆に負荷がかかるようになり(すなわち股関節伸展のアシスト)、着用者の筋力をさらに鍛えることもできる。もちろん、本発明は、身体能力や活動度に問題ない人々、あるいは相対的にそれらが高い人々(アスリート、スポーツ選手など)の身体能力増強にも好適に使用できる。

身体被覆地の身生地をどのようなパターンで製作するかに制約はないが、図13に示す身生地のパターンのように補助帯が通る位置を身体被覆地のパターンに反映させて、縫い目と兼ねて案内ラインを予め設けておくのがよい。さらに、図8に示す身体被覆地の一実施形態例のように、補助帯の適切な長さと幅を身体被覆地側に別の案内ライン7a、7b、8a、8bで段階的に示してもよい。どの位置に補助帯を付ければよいかが明確化され、自分にあった張力を再現することが容易になる。

さらに、本発明の衣類のウエストを着用者のウエスト周りにあわせて調整する調整帯を備え、この調整帯が着用者の少なくとも左右の腸骨稜付近を覆い、図1に示す腰周部を覆う部分(A)1を調整帯が被覆することが好ましい。そして、上記腰周部を覆う部分(A)1の少なくとも一部と調整帯とを着脱可能な状態で固定する腰締結部を有することがさらに好ましい。この調整帯が腸骨稜付近を覆いつつ着用者の腰部を締めることで、股関節周りの衣類と体のズレにより補助帯の張力が股関節に作用するのが低下しないようにすることができるためである。また、それほど肥満という体型でなくとも内臓を支える筋力の低下により内臓が骨盤に降りてきて下腹部のみが骨盤の位置に対して前方に出ている高齢者にとって、身体被覆地を着用する際(すわなち、身体被覆地の着用者の腰周部を覆う部分A(以下、ウエスト部ともいう)を着用者の下腹部が通過する際)にはウエスト部と着用者の下腹部の間に十分な隙間を確保することができ、ウエスト部が着用者の腰周部に配置されている身体被覆地の着用後の状態時には着用者の腰周部をウエスト部によって締め、ウエスト部と着用者の腰周部との間の隙間を十分に減少させることができる。調整帯に用いられる生地は伸縮性を有する伸縮性生地であることが好ましく、伸縮性生地としては前記したものを使用することができる。腰締結部としては、例えば、腰周部を覆う部分(A)1に一方の係止部を設け、調整帯に他方の係止部を設け、調整帯に設けた係止部が腰周部を覆う部分(A)1に設けた係止部に係止されることにより締結される構造を採用することができる。また、この係止部としては、面ファスナーを採用することができる。また、身体被覆地の股上を深く設定し、前述した、内臓を支える筋力の低下により内臓が骨盤に下りてきて下腹部のみが骨盤の位置に対して前方に出ている高齢者の、前記下腹部をすっぽり覆う構造にすることにより、身体被覆地のずり下がりを抑制することが、さらに望ましい。

ここで、図3は、本発明の他の実施形態例に係る衣類の着用時における概略正面図を示す。この衣類20cは、少なくとも4つの補助帯を装着することができる身体被覆地を有しており、2つの補助帯2e、2fが上記の身体被覆地に装着されている。また、これら2つの補助帯2e、2fのうちの一方の補助帯2eは右腰外側から右膝内側にかけて身体に沿うように身体被覆地に固定されており、もう一方の補助帯2fは左腰外側から左膝内側にかけて身体に沿うように身体被覆地に固定されている。また、この実施形態例では、補助帯を身体被覆地に固定する手段として対となる面ファスナーが用いられており、身体被覆地には対となる面ファスナーを構成する一方の係止部9が配されている。また、この実施形態例では、上記の対となる面ファスナーを構成する一方の係止部9のうちの身体被覆地の膝内側に配されているもの(以下、内側係止部ともいう)と膝外側に配されているもの(以下、外側係止部ともいう)が着用者の身長方向に比較的長い形状となっている。そこで、着用者は膝内側に配される補助帯の端部を内側係止部9の着用者の身長方向の任意の位置に固定することで補助帯の張力T1を所望のものに調整することができる。

ここで、図4は、本発明の他の実施形態例に係る衣類の着用時における概略正面図を示す。この衣類の実施形態例が有する身体被覆地は、図3に示す衣類の実施形態例が有する身体被覆地と同一のものであり、この衣類の実施形態例では、図3に示す衣類の実施形態例に、さらに2つの補助帯を加えた、計4つの補助帯2g、2h、2iおよび2jが身体被覆地に装着されている点で図3に示す衣服の実施形態例とは異なる。

ここで、図5は、本発明の他の実施形態例に係る衣類の着用時における概略背面図を示す。この衣類20eの実施形態例においては、この衣類20eが有する身体被覆地の背面に2つの補助帯2k、2mが装着されている。また、これら2つの補助帯2k、2mのうち一方の補助帯2mは右腰外側から右膝内側にかけて身体に沿うように身体被覆地に固定されており、もう一方の補助帯2kは左腰外側から左膝内側にかけて身体に沿うように身体被覆地に固定されている。

ここで、図6(a)は図3および4に示された本発明の衣類の一実施形態例に用いられる身体被覆地の概略左側面図を示し、図6(b)は図3および4に示された本発明の衣類の一実施形態例に用いられた身体被覆地の概略正面図を示し、図6(c)は図3および4に示された本発明の衣類の一実施形態例に用いられた身体被覆地の概略右側面図を示す。この身体被覆地は、その腹部に2つの径止部10を有し、その右腰外側および左腰外側にそれぞれ1つの径止部10を有し、その右膝外側および右膝内側にそれぞれ1つの径止部10を有し、その左膝外側および左膝内側にそれぞれ1つの径止部10を有している。

ここで、図7(a)、(b)は、図1〜5に示された本発明の衣類の一実施形態例に用いられる補助帯の概略正面図を示す。この補助帯2n、2pは、補助帯2nおよび2pを、それぞれ部分的に重なるようにV字状に折り曲げて一端の幅広の部分Wから幅狭の部分Nにかけて連続的に幅が狭くなっているテーパー状補助帯であり、このテーパー状補助帯2n、2pの両端には対となる面ファスナーを構成する他方の係止部11が、それぞれ配されている。

ここで、図8(a)は図1および2に示された本発明の衣類の一実施形態例に用いられた身体被覆地の概略左側面図であり、図8(b)は図1および2に示された本発明の衣類の一実施形態例に用いられた身体被覆地の概略正面図であり、図8(c)は図1および2に示された本発明の衣類の一実施形態例に用いられた身体被覆地の概略右側面図を示す。この身体被覆地は、補助帯を身体被覆地に適切に装着するための案内ライン7a、7b、8aおよび8bを備えている。

ここで、図9(a)は図5に示された本発明の衣類の一実施形態例に用いられた身体被覆地の概略左側面図であり、図9(b)は図5に示された本発明の衣類の一実施形態例に用いられた身体被覆地の概略正面図であり、図9(c)は図5に示された本発明の衣類の一実施形態例に用いられた身体被覆地の概略右側面図を示す。この身体被覆地は、前面のみならず、その背面にも補助帯を身体被覆地に適切に装着するための案内ラインが設けられている。12a、12b、13a、13b、14aおよび14bは案内ラインであり、15は係止部である。

ここで、図10は、本発明の他の実施形態例に係る衣類の着用時における概略右側面図を示す。この衣類20fの実施形態例においては、補助の対象となる関節は肘関節である。すなわち、この衣類20fが有する身体被覆地21cは肘関節および、この肘関節の周辺の躯体を被覆しており、この衣類20fが有する補助帯2qは、上記の衣類20fの着用時に、上記の身体被覆地における着用者の肘関節を覆う部分を挟んで一方の端部側から他方の端部側にかけて着用者の身体表面に沿うように身体被覆地に配置されている。

ここで、図11は、図10に示された本発明の衣類20fの一実施形態例に用いられる身体被覆地21cの概略右側面図を示す。この身体被覆地21cは、その両端に対となる面ファスナーを構成する一方の係止部16をそれぞれ有している。

また、肘関節においては、前記身体被覆地21cが、着用者の上腕部を覆う部分D、着用者の肘部を覆う部分E、および着用者の手首部を覆う部分Fを備えた筒状体であり、補助帯2qの一方の端部が、前記衣類20fの着用時における前記部分Dに着脱可能な状態で固定されており、前記補助帯2qの他方の端部が前記衣類20fの着用時における前記部分Fに着脱可能な状態で固定されているのが望ましい。こうすることで、肘を過度に回転させ腕を捻ることなく、自由に所望のパワーや角度が設計可能となり、着用者の体力や機能に応じた関節運動を導くことができる。

ここで、図12は、図6(a)(b)(c)に示された本発明の衣類の一実施形態例に用いられた身体被覆地の構成パーツの概略展開図を示す。これらの構成パーツを縫い合わせることで図6(a)(b)(c)に示された本発明の衣類の一実施形態例に用いられた身体被覆地が得られる。

ここで、図13は、図8(a)(b)(c)に示された本発明の衣類の一実施形態例に用いられた身体被覆地の構成パーツの概略展開図を示す。これらの構成パーツを縫い合わせることで図8(a)(b)(c)に示された本発明の衣類の一実施形態例に用いられる身体被覆地が得られる。

ここで、図14(a)は、本発明の他の実施形態例に係る衣類の着用時における概略正面図、図14(b)は、本発明の他の実施形態例に係る衣類の着用時における概略右側面図、図14(c)は、本発明の他の実施形態例に係る衣類の着用時における概略背面図を示す。この衣服には、身体被覆地の着用者の腰周部を覆う部分Aの周長を調整するための調整帯22が配置されている。この補助帯の両端部は、着用時に着用者の両側の腸骨稜付近を被覆する身体被覆地の部分に、それぞれ配置および固定されており、この補助帯の両端部の間の部分は着用者の腰部を覆うように固定されている。また、補助帯の両端部が着用者の骨盤上部に引っかかって調整帯が固定されるように、補助帯の両端部を着用時に着用者の両側の腸骨稜付近、望ましくは腸骨稜上部を被覆する身体被覆地の部分に、それぞれ配置することが好ましい。図14(a)(b)(c)に示す衣類では、衣類の着用者の歩行時などに大腿部に配置された補助帯の張力によりウエスト部が下方部に引っ張られ徐々にウエスト部が下がってくることが抑制され、身体被覆地と補助帯の適切な位置を維持することができる。

ここで、図15は、図14に示された本発明の衣類に用いられた一実施形態例に係る調整帯の概略正面図を示す。この調整帯22は、両方の端部から中央部にむかって幅が太くなっている。また、この調整帯22の両端部およびに中央部には、対となる面ファスナーを構成する係止部の一方23が、それぞれ配されている。

以下、本発明をさらに実施例により詳細に説明する。

(伸び率) 伸び率は、JIS L 1096(2010年版)「織物及び編物の生地試験方法」に基づいて測定した。このJISで定める定速伸長形の試験機を使用し、つかみ間隔20cm、引っ張り速度20cm/分の条件で引張荷重14.7Nまで伸長させたときの伸び率をタテ方向およびヨコ方向についてそれぞれ求めた。

(伸長回復率) 伸長回復率は、タテ方向およびヨコ方向についてJIS L 1096(2010年版)「織物及び編物の生地試験方法」B−1法に基づいて、それぞれ測定した。試験片にクランプとその下端から20cmのところに印をつけ、14.7Nの荷重を加え1時間保持後の印間の長さと、荷重を取り除いた後30秒後の印間の長さを測定し、伸長回復率を求めた。

(ばね定数) テンシロン引張試験機を用い、荷重は4.9N、標線間距離は補助帯の非固定部の長さとして、その長尺方向に定速(1000mm/分)で元の長さに対してさらに30%伸長時の応力−歪み曲線を描き、その傾きよりばね定数(N/mm)を求めた。

(張力T1、張力T2) 本発明の衣類を着用し、補助帯と身体被覆地にたるみがない状態での補助帯と身体被覆地の両固定部分に印をつけ、その両固定部分間に存在する非固定部の長手方向の長さを身体表面に沿って測定した。この長さをXとする。次に、衣類を脱ぎ、張力がかかっていない状態で、補助帯と身体被覆地の非固定部の長さ(前記印間の長さ)をそれぞれ測定した。衣類を脱いだ状態では、身体被覆地側の非固定部の長さのほうが、補助帯側の非固定部長さよりも長くなり、たわんでいることが多い。その状態において、補助帯に沿って測定した非固定部の長手方向の長さをY、身体被覆地に沿って測定した非固定部の長手方向の長さをZとする。

張力T1はエー・アンド・ディ社製テンシロン万能材料試験器RTG−1210を用いて、250Nのロードセル条件において、補助帯の両端部を各2枚のアルミ板(幅10cm×高さ5cm×厚み0.5mm)を介して挟んだ状態でつかみ間隔長さYでセットし、その長さYから前記Xの125%まで1000mm/分で伸長して張力(N)−変位曲線を描き、変位Xのときの張力(N)を読み取り、その3回の算術平均値を張力T1とした。

張力T2は身体被覆地を補助帯に重なる部位を補助帯の大きさに等しく切り出したものをサンプルとし、やはり両端部を各2枚のアルミ板(幅10cm×高さ5cm×厚み0.5mm)を介して挟んだ状態でつかみ間隔長さをZにセットし、長さZから前記Xの125%まで1000mm/分で伸長して張力(N)−変位曲線を描き、変位Xのときの張力(N)を読み取り、その3回の算術平均値を張力T2とした。このようにして、補助帯を着用した状態における張力T1と張力T2を模擬的に求めた。

(動作解析) 補助帯の効果を検証するため、5名の被験者(A:男性25歳、B:男性44歳、C:男性78歳、D:女性74歳、E:女性40歳)に、合図と共にまず片方の足を一歩踏み出してもらい、次に残された足を先に踏み出した足に揃えて直立する動作をしてもらった。そして、先に踏み出した側の膝関節の動作を深度センサー(商品名「Kinect」, Microsoft製)を用いて計測した。計測した情報をもとに関節の動作解析を実施した。動作解析は膝関節の移動距離に注目し、後記する4条件の実験動作より膝関節の移動距離を求めて比較した。膝関節の移動距離が大きいことは前記股関節の振り上げが補助されていることを示す。

本実施例では、補助帯を右足側のみに装着して補助帯の効果を検証した。被験者には、可能な限り普段と変わらない力感覚で1歩踏み出すように指示した。下に示す4条件の実験動作(a)〜(d)を順に各7回ずつ計測した。 (a)補助帯を装着していない状態において、右足で1歩を踏み出す (b)補助帯を装着していない状態において、左足で1歩を踏み出す (c)補助帯を右足のみに装着した状態において、右足で1歩を踏み出す (d)補助帯を右足のみに装着した状態において、左足で1歩を踏み出す 装着する補助帯の種類は被験者の身体能力に応じて試行錯誤的に決定した。 5名の被験者に用いた補助帯のばね定数と、張力T1と、張力T2と、(T1/T2)の値を後記する表1に示す。

計測は前記した深度センサー(フレームレート:30[Hz])を用いて行い、被験者が始めに1歩踏み出した側の膝関節の下記式(1)で示される3次元位置の時系列データを取得した。ここで、nはフレーム番号である。膝関節の移動距離の評価では、計測開始時点の膝関節位置(1フレーム目のデータ)を原点として定義した。そして、(a)〜(d)の実験動作ごとに、7回計測したデータそれぞれに対して原点と膝関節位置の2点間における相対位置の最大値dkneeを下記式(2)より抽出し、7回の相対位置の最大値dkneeの算術平均値を膝関節の移動距離として評価した。

(実施例1) ナイロン糸とポリウレタン弾性繊維(ライクラ(登録商標)、商品名「T−127C」)を用いてトリコットに編成し、染色加工により、ナイロン70%、ポリウレタン30%の伸縮性生地(目付250g/m2)を得た。伸び率はタテ方向140%、ヨコ方向100%、伸長回復率はタテ方向92%、ヨコ方向86%であった。上記生地を用いて各パーツを図12のように切り出してフラットシーマミシンで縫合して図6のような下衣を作成した。なお、図6の斜線部分にはストレッチ性を有するB面ファスナー(雌)を設けた。

次にナイロン糸とポリウレタン弾性繊維(ライクラ(登録商標)、商品名「T−127C」)を用いて編成し、染色加工によりパワーネットを得た。前記パワーネットを生地の長さ方向が長手となるように長さ76cmで幅5cmのものを切り出し、切り出したものの一部が部分的に重なるようにV字に折り曲げ、その両端部に長さ5cmで幅5cmのYKK製B面ファスナー(雄)と、長さ5cmで幅8cmのYKK製B面ファスナー(雄)を縫合し、図7のような幅広の部分から幅狭の部分にかけて連続的に幅が狭くなっているテーパー状補助帯を得た。テーパー状補助帯のB面ファスナー部を除く、非固定部の長さは28.5cmであった。(両端のB面ファスナー部込みでは38.5cm)

続いて、前記下衣を被験者Aに着用してもらい、前記テーパー状補助帯を前記補助帯の非固定部の長さが元の28.5cmから48.8cmとなるよう、やや引っ張った状態で図3のように取り付けた。その状態で動作解析を行い、膝関節の移動距離(cm)を測定した結果を後記する表2に示す。

(比較例1) 被験者Aに実施例1と同じ下衣を着用してもらい、補助帯を取り付けずに動作解析を行い、膝関節の移動距離(cm)を測定した結果を後記する表2に示す。

表2に示すように、実施例1は比較例1に比べ膝関節の移動距離が増加していた。

(実施例2) 実施例1と同じ前記下衣を被験者Bに着用してもらい、前記テーパー状補助帯を前記補助帯の非固定部の長さが元の28.5cmから48.7cmとなるよう、やや引っ張った状態で図3のように取り付けた。その状態で動作解析を行い、膝関節の移動距離(cm)を測定した結果を後記する表2に示す。

(比較例2) 被験者Bに実施例1と同じ下衣を着用してもらい、補助帯を取り付けずに動作解析を行い、膝関節の移動距離(cm)を測定した結果を後記する表2に示す。

表2に示すように、実施例2は比較例2に比べ膝関節の移動距離が増加していた。

(実施例3) ナイロン糸とポリウレタン弾性繊維(ライクラ(登録商標)、商品名「T−906C」)を用いてトリコットに編成し、染色加工により、ナイロン70%、ポリウレタン30%の伸縮性生地(目付200g/m2)を得た。伸び率はタテ方向120%、ヨコ方向95%、伸長回復率はタテ方向93%、ヨコ方向92%であった。上記生地を用いて各パーツを図13のように切り出してフラットシーマミシンで縫合して図8のような下衣を作成した。なお、図8の斜線部分には伸縮性を有するB面ファスナー(雌)を設けた。

次に幅5cmの帯ゴムを長さ76cm切り出し、切り出したものの一部が部分的に重なるようにV字に折り曲げ、その両端部に長さ5cmで幅5cmのYKK製B面ファスナー(雄)と、長さ5cmで幅8cmのYKK製B面ファスナー(雄)を縫合し、図7のような幅広の部分から幅狭の部分にかけて連続的に幅が狭くなっているテーパー状補助帯を得た。テーパー状補助帯のB面ファスナー部を除く、非固定部の長さは28.5cmであった。

続いて、前記下衣を被験者Cに着用してもらい、前記テーパー状補助帯を前記補助帯の非固定部の長さが元の28.5cmから48.5cmとなるよう、やや引っ張った状態で図1のように取り付けた。その状態で動作解析を行い、膝関節の移動距離(cm)を測定した結果を後記する表2に示す。

(比較例3) 被験者Cに実施例3と同じ下衣を着用してもらい、補助帯を取り付けずに動作解析を行い、膝関節の移動距離(cm)を測定した結果を後記する表2に示す。

表2に示すように、実施例3は比較例3に比べ膝関節の移動距離が増加していた。

(実施例4) 実施例3の下衣を被験者Dに着用してもらい、前記テーパー状補助帯を前記補助帯の非固定部の長さが元の28.5cmから48.9cmとなるよう、やや引っ張った状態で図4のように取り付けた。その状態で動作解析を行い、膝関節の移動距離(cm)を測定した結果を後記する表2に示す。

(比較例4) 被験者Dに実施例3と同じ下衣を着用してもらい、補助帯を取り付けずに動作解析を行い、膝関節の移動距離(cm)を測定した結果を後記する表2に示す。

表2に示すように、実施例4は比較例4に比べ膝関節の移動距離が増加していた。

(実施例5) ナイロン糸とポリウレタン弾性繊維(ライクラ(登録商標)、商品名「T−906C」)を用いてトリコットに編成し、染色加工により、ナイロン70%、ポリウレタン30%の伸縮性生地(目付け250g/m2)を得た。伸び率は縦方向95%、ヨコ方向120%、伸長回復率はタテ方向93%、ヨコ方向92%であった。上記生地を用いて各パーツを図13のように切り出してフラットシーマミシンで縫合して図8のような下衣を作成した。なお、図8の斜線部分には伸縮性を有するB面ファスナー(雌)を設けた。

次に、ナイロン糸とポリウレタン弾性繊維(ライクラ(登録商標)、商品名「T−127C」)を用いて編成し、染色加工によりパワーネットを得た。前記パワーネットを生地の長さ方向が長手となるように長さ76cmで幅5cmのものを切り出し、切り出したものの一部が部分的に重なるようにV字に折り曲げ、その両端部に長さ5cmで幅5cmのYKK製B面ファスナー(雄)と、長さ5cmで幅8cmのYKK製B面ファスナー(雄)を縫合し、図7のような幅広の部分から幅狭の部分にかけて連続的に幅が狭くなっているテーパー状補助帯を得た。テーパー状補助帯のB面ファスナー部を除く、非固定部の長さは28.5cmであった。(両端のB面ファスナー部込みでは38.5cm)

続いて、前記下衣を被験者Eに着用してもらい、前記テーパー状補助帯を前記補助帯の非固定部の長さが元の28.5cmから47.5cmとなるよう、やや引っ張った状態で図3のように取り付けた。その状態で動作解析を行い、膝関節の移動距離(cm)を測定した結果を後記する表2に示す。

(比較例5) 被験者Eに実施例5と同じ下衣を着用してもらい、補助帯を取り付けずに動作解析を行い、膝関節の移動距離(cm)を測定した結果を後記する表2に示す。 表2に示すように、実施例5は比較例5に比べ膝関節の移動距離が増加していた。

(実施例6) 下衣は実施例5と同様のものを使用した。補助帯に使用する生地は実施例5と同様のパワーネットとし、前記パワーネットを生地の長さ方向が長手となるように長さ40cmで幅5cmのものを切り出し、切り出したものの一部が部分的に重なるようにV字に折り曲げ、その両端部に長さ2.5cmで幅5cmのYKK製B面ファスナー(雄)と、長さ2.5cmで幅8cmのYKK製B面ファスナー(雄)を縫合し、図7のような幅広の部分から幅狭の部分にかけて連続的に幅が狭くなっているテーパー状補助帯を得た。テーパー状補助帯のB面ファスナー部を除く、非固定部の長さは15.0cmであった。(両端のB面ファスナー部込みでは20.0cm)

続いて、前記下衣を被験者Eに着用してもらい、前記テーパー状補助帯を前記補助帯の非固定部の長さが元の15.0cmから20.5cmとなるよう、やや引っ張った状態で図2のように取り付けた。その状態で動作解析を行い、膝関節の移動距離(cm)を測定した結果を後記する表2に示す。

(比較例6) 被験者Eに実施例5と同じ下衣を着用してもらい、補助帯を取り付けずに動作解析を行い、膝関節の移動距離(cm)を測定した結果を後記する表2に示す。 表2に示すように、実施例6は比較例6に比べ膝関節の移動距離が増加していた。

1 着用者の腰周部を覆う部分(A) 2a、2b、2c、2d、2e、2f、2g、2h、2i、2j、2k、2m、2n、2p、2q 補助帯 3a 補助帯の一方の端部 3b 補助帯の他方の端部 4 着用者の右膝部を覆う部分(B) 5 着用者の左膝部を覆う部分(C) 6 ファスナー 7a、7b 案内ライン 8a、8b 案内ライン 9 係止部 10 係止部 11 係止部 12a、12b 案内ライン 13a、13b 案内ライン 14a、14b 案内ライン 15 係止部 16 係止部 20a、20b、20c、20d、20e 衣類 21a、21b、21c 身体被覆地 22 調整帯 23 係止部の一方 D 着用者の上腕部を覆う部分 E 着用者の肘部を覆う部分 F 着用者の手首部を覆う部分 EL 補助帯の外側線 R1 腰周部を覆う部分(A)の右側部 L1 腰周部を覆う部分(A)の左側部 R2 左膝周部を覆う部分(C)の右側部 L2 右膝周部を覆う部分(B)の左側部

QQ群二维码
意见反馈