【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、少なくとも熱可塑性繊維を含む伸縮性生地からなる被服を、身体の老化防止等の医療目的又は美的補正目的によって、外方に膨出させることなく熱プレス・セットすることにより、乳房部、腹部、腰回り部、臀部、ふくらはぎ部等の身体の膨らみを制限すべき部分に対応する部分の全部或いは各一部分を必要な伸びに押さえると同時に、前記身体の膨らみを制限すべき部分が必要以上に圧迫されないように所定部分を熱プレス・セットしたファンデーション等の被服に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、一般に身体の運動に伴う各部の変化に対応できるよう伸縮性生地を用いた上半身、下半身の肌着等が製作されているが、単に伸縮性生地で形成しただけでは身体の動きに対応できても、身体の膨らみに応じ生地自体も伸びてしまって常に身体の膨らみを制限すべき部分を押えておくことはできない。 そこで、腹部その他の膨らみを制限すべき部分に伸縮性の特に強い生地を使用すれば身体の膨らみ抑制の目的は達成されても、逆に腹部、ふくらはぎ部等を必要以上に圧迫してうつ血を引き起こす等医療目的に反する結果を招く問題点があった。 【0003】そこで、本出願人は、かかる問題点を解決するため、実公昭59−28008号公報に開示された技術を既に提案している。 【0004】この実公昭59−28008号公報に係る所定部分を熱プレス・セットしたファンデーション等の被服は、少なくとも熱収縮性繊維を含む伸縮性生地よりなる被服において、乳房部、腹部、腰回り部、臀部、ふくらはぎ部等の美容上及び医療上身体の膨らみを制限すべき部分に対応する部分の全部或いは各1部分を、熱収縮性繊維の収縮により外方に膨出させることなく熱プレス・セットし、該部分の外方への伸びと、内方への収縮を押えるように構成したものである。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来技術の場合には、次のような問題点を有している。 すなわち、上記実公昭59−28008号公報に係る所定部分を熱プレス・セットしたファンデーション等の被服の場合には、上述したように、少なくとも熱収縮性繊維を含む伸縮性生地よりなる被服において、乳房部、腹部、腰回り部、臀部、ふくらはぎ部等の美容上及び医療上身体の膨らみを制限すべき部分に対応する部分の全部或いは各1部分を、熱収縮性繊維の収縮により外方に膨出させることなく熱プレス・セットし、該部分の外方への伸びと、内方への収縮を押えるように構成したので、 確かに、熱プレス・セットにより、少なくとも熱可塑性繊維を含む伸縮性生地からなる被服の身体の膨らみを制限すべき部分に対応する部分の伸びを押さえると同時に、熱プレス・セットしない部分は、圧迫から身体を保護し、美容上又は医療上からも優れた効果を発揮させることができるものの、熱プレス・セットした部分は、完全に外方への伸びと、内方への収縮が押えられてしまい、例えば、人体のウエスト部分など、縦方向への伸びは押さえたいが、横方向への伸びは許容したい場合などに対応することができず、美容上及び医療上の効果が不十分であるという問題点を有していた。 【0006】そこで、この発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、少なくとも熱可塑性繊維を含む伸縮性生地からなる被服の身体の膨らみを制限すべき部分に対応する部分の伸びを押さえると同時に、熱プレス・セットしない部分は、圧迫から身体を保護し、美容上又は医療上からも優れた効果を発揮させることができるのは勿論のこと、伸びを押さえる方向を任意に設定することができ、一定方向への伸びを押さえつつ、他方向への伸びは許容するなどして、医療上の効果を十分発揮しつつ、腹部を押さえるなどして、美容上の効果も十分発揮することが可能なファンデーション等の被服を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、少なくとも熱収縮性繊維を含む伸縮性生地よりなるファンデーション等の被服において、乳房部、腹部、腰回り部、臀部、ふくらはぎ部等の美容上及び医療上身体の膨らみを制限すべき部分に対応する部分の全部或いは各1部分を、熱セットしたことを特徴とするファンデーション等の被服である。 【0008】ここで、上記少なくとも熱収縮性繊維を含む伸縮性生地としては、例えば、熱収縮糸を持って構成された伸縮性編み地・経て編み・ヨコ編み・丸編み等による編み地が挙げられる。 【0009】また、請求項2に記載された発明は、商品特性に基づき、熱セット型パターンのデザインによって熱収縮量及び熱セット方向の少なくともいずれか一方を他の部分と異ならせたことを特徴とする請求項1記載のファンデーション等の被服である。 【0010】さらに、請求項3に記載された発明は、熱セットによる収縮部と未収縮部とをデザインし、人体の凸部並びに凹部に順応させたことを特徴とする請求項1 又は2記載のファンデーション等の被服である。 【0011】また更に、請求項4に記載された発明は、 少なくとも熱収縮性繊維を含む伸縮性生地よりなるファンデーション等の被服において、前記伸縮性生地の全体又は部分的に、伸張率、伸張力、伸張方向の少なくともいずれか一つを他の部分と異ならせたことを特徴とするファンデーション等の被服である。 【0012】ここで、上記伸縮性生地の全体又は部分的にとは、例えば、人体皮脂に適合する補正機能を考慮した部分をいう。 【0013】又、請求項5に記載された発明は、前記熱収縮性繊維が、衛生的且つ健康的組成を包含していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれに記載のファンデーション等の被服である。 【0014】ここで、熱収縮性繊維が衛生的且つ健康的組成を包含しているものとしては、例えば、テビロン(登録商標)を用いることが望ましい。 また、別途当該編み地に交編又は挿入することによりえられる、より医療的特性をもった医療的衣料としてもよい。 【0015】更に、請求項6に記載された発明は、前記熱収縮性繊維が、熱セットを必要とする部位のみに使用されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれに記載のファンデーション等の被服である。 また、ガードルの腹部等にパターン化し、別途熱収縮糸で編まれた編み地を縫い止めした後、熱セットするように構成してもよい。 【0016】また、請求項7に記載された発明は、少なくとも熱収縮性繊維を含む伸縮性生地よりなるファンデーション等の被服において、乳房部、腹部、腰回り部、 臀部、ふくらはぎ部等の美容上及び医療上身体の膨らみを制限すべき部分に対応する部分の全部或いは各1部分を、熱収縮性繊維の収縮により外方に膨出させることなく熱プレス・セットし、該部分の外方への伸びと、内方への収縮を押さえるとともに、前記少なくとも熱収縮性繊維を含む伸縮性生地の熱プレス・セットされた面積が、当該伸縮性生地の表面に沿って方向性を持つことにより、所定の方向に伸びを制限すべき部分を設定したことを特徴とするファンデーション等の被服である。 【0017】さらに、請求項8に記載された発明は、前記外方への伸びと、内方への収縮を押さえた部分は、少なくとも熱収縮性繊維を含む伸縮性生地の全面に、熱プレス・セットを施したことを特徴とする請求項7記載のファンデーション等の被服である。 【0018】又、請求項9に記載された発明は、前記少なくとも熱収縮性繊維を含む伸縮性生地の熱プレス・セットされた面積が、当該伸縮性生地の表面に沿って方向性を持つ部分とは、互いに平行に配設された複数本の加熱部分を持つ熱プレスによって、熱プレス・セットを行ない、加熱部分に沿った方向への伸びを制限するとともに、加熱部分と直交する方向への伸びを許容したことを特徴とする請求項7記載のファンデーション等の被服である。 【0019】 【発明の実施の形態】以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。 【0020】実施の形態1 図1はこの発明の実施の形態1に係るファンデーション等の被服としてのタイツを示すものである。 【0021】図1において、1はファンデーション等の被服としてのタイツを示すものであり、このタイツ1 は、図3に示すように、人体骨格のウエストの上部から、脚のふくらはぎの下部までを覆うように構成されている。 また、図1及び図3のAは腹部、Bは腰回り部、 Cは臀部で、何れも美容上又は医療上膨らみを制限したり、ヒップアップ等の目的のために被服の伸縮性を制限すべき部分を示すものである。 そして、A部分の伸縮の制限すれば矢印aの如く腹部の膨らみを押さえることができ、B部分の伸縮を制限すれば、矢印bの如く腰回りの垂れ下がりを整えることができる。 また、C部分の伸縮を制限すればヒップアップの効果を持たせることができ、本発明は、熱セットによる収縮部と未収縮部とをデザインし、人体の凸部並びに凹部に順応させた衣料であるので、C部分の収縮により得られるヒップ上部のゆとりが、臀部皮脂の移動を容易にさせる、又、D部分の伸縮を制限すれば、矢印dのふくらはぎ部を適度に圧迫し血行を高める作用を与えるものである。 また、図1及び図3のEはウエスト部を示すものであり、縦方向の伸びのみを規制しつつ、横方向(胴回り方向)には伸びるように構成したものである。 【0022】このタイツ1の熱プレス・セット前の形状は、立体縫製によることなく製作される。 なお、タイツ1は、本発明のファンデーション等の被服における各一例を示すものであるが、本発明は、これのみに限定されるものではなく、ブラジャーやガードルなど、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、身体の膨らみを制限すべき部分に使用される被服は、全て本発明の被服の概念の中に含まれるべきことは言うまでもない。 ここで、身体の膨らみを制限とは、凸部を押さえ凹化する・腹部を押さえる・イメージと人体皮脂の老化によるバスト並びにヒップ等の下辺部皮脂の弛緩を補い凸化させる・シルエットを高めることなども含むものである。 【0023】上記タイツ1を構成する生地としては、伸縮性の生地が用いられ、この伸縮性生地は、基本的に、 360度の方向に伸縮性があるものが望ましいが、一般的に身体の起伏、運動等による伸び縮みの変化に対応できるものであればよく、またストレッチヤーンからなるパワーネット、ウーリーナイロン等からなる伸縮地などの熱可塑性繊維生地単独ではなく、少なくとも熱収縮性繊維が含まれていれば天然繊維混入生地などであっても差し支えなく、生地組織も各種メリヤス、レース地等が用いられる。 【0024】この熱収縮性繊維には、主としてポリ塩化ビニル製の繊維、ポリ塩化ビニルとPVAの共重合繊維などが用いられる。 ポリ塩化ビニル製の繊維としては、 ポリ塩化ビニルを長繊維化した「テビロン」((株)帝人:登録商標)や、ポリ塩化ビニルの短繊維である「ロビロン」(商標)などが用いられる。 このポリ塩化ビニルを長繊維化した「テビロン」繊維は、70℃位から形状変化をはじめ、熱セット・プレスの温度としては、7 0〜150℃の範囲が望ましく、セット圧力並びにセット温度を適宜調整することにより、対応する素材の肉厚又は組織等を考慮して、伸縮性生地の伸度を設定する必要がある。 【0025】上記「テビロン」糸を含む伸縮性生地において、製品の原布となる素材における「テビロン」糸の混容率は、編み組織、編み条件等により異なるが、概ね50%以上の混容率に設定するのが望ましい。 また、伸縮性生地の収縮率を求めるヒップの造形は、編みゲージの粗い丸編み等による組織(経編みでもゲージが24ゲージ以下の目粗)が望ましい。 【0026】一方、上記タイツ1を構成する伸縮性生地のセット方式は、部分的にセットの強弱を付与することから、基本的にはプレス方式となるが、型にセットした被服又は生地の所要箇所に70〜150℃の熱をかけることにより、該加熱部分の生地が型の形状に沿って収縮して熱プレス・セットされる。 また、セットには、樹脂を介在させることにより前記目的を更に強調することもできる。 なお、上記70〜150℃の温度条件は、熱収縮性繊維として、ポリ塩化ビニルを長繊維化した「テビロン」((株)帝人:登録商標)などを主に使用した場合、収縮糸の軟化点温度によると同時に、他の繊維との公編又は挿入等編み環境によって大きく変わるものである。 【0027】さて前記の少なくとも熱収縮性繊維を含む伸縮性生地の熱プレス・セットされない部分は、適度な伸張で身体の起伏、運動による変化に即応し、外方に膨出させることなく熱プレス・セットされた部分は伸縮が押さえられると共に、伸縮方向を変えて目的に沿った補整機能を発揮させることができる。 例えば、図3の場合は腹部Aの伸縮を制限することにより、腹部の膨らみを押さえて美容的な効果を高めると共に、強すぎる伸縮によって必要以上に腹部が圧迫されないようにする効果がある。 また、熱収縮性繊維を混入した生地を熱セットにより腹部を凹面にプレスして、腹部の押さえを強調することもでき、更に他の部分もこの繊維の収縮と熱と圧力との調整により伸びの制限を適度なものとすることができる。 次に、図3のB部分の腰回り部を熱プレス・セットすることにより腰回りの整容の効果を高めることができ、また、図3のふくらはぎ部Dを熱プレス・セットすることにより適度な力で該部分を押さえ、うっ血を防止して医療的効果を高めることができる。 図3は膨出部の下方部回りの臀部Cを熱プレス・セットしたもので、プレスしない膨出部の膨出がプレス・セットしたC部により強調されて、ヒップアップの効果を高めることができる。 さらに、熱プレス・セットされたE部は、縦方向の伸びが規制され、横方向(胴回り方向)へ伸びは規制されていないため、縦方向への伸びの規制により、腹部A の膨らみを押さえた美容的な効果を高めることができるとともに、横方向(胴回り方向)への伸びを許容することにより、不必要に腹部Aを圧迫することがなく、健康上にも優れている。 また、上記熱プレス・セットされたE部は、縦方向にみて、B部やC部と繋がっているため、ヒップアップ効果などをより一層高めることができる。 【0028】さらに、この実施の形態では、少なくとも熱収縮性繊維を含む伸縮性生地の熱プレス・セットされた面積が、当該伸縮性生地の表面に沿って方向性を持つことにより、所定の方向に伸びを制限すべき部分を設定するように構成されている。 【0029】また、この実施の形態では、外方への伸びと、内方への収縮を押さえた部分は、少なくとも熱収縮性繊維を含む伸縮性生地の全面に、熱プレス・セットを施すように構成されている。 ここで、内方への収縮は、 原則として、編み地の表面積又は表面寸法以上に収縮することは無い。 又、熱セットを施し収縮させた当該セット部は、やはりセット後の表面積又は表面寸法以上に収縮はしない。 本発明では、通常、編みたてられた表面積を小さくすることにある。 さらに、逆に、面積を小さくすることにより、未セット部を凸状とすることもできる。 編み地本体は、一定の面積であり、この編み地をベースに収縮させ、結果、最も面積の大きいところ(編み地の原型で熱セットしないところ)、最も面積の小さいところ(最も熱セットにより収縮をさせた部分)と、これらの中間点の部分とがある。 そこで、これらの編み地本体の一定の面積部分や、最も面積の大きいところ(編み地の原型で熱セットしないところ)、最も面積の小さいところ(最も熱セットにより収縮をさせた部分)と、 これらの中間点の部分とを適宜組み合わせることにより、外方への伸びや、内方への収縮を押さえた部分とを、適宜設計することが可能となる。 【0030】また更に、この実施の形態では、前記少なくとも熱収縮性繊維を含む伸縮性生地の熱プレス・セットされた面積が、当該伸縮性生地の表面に沿って方向性を持つ部分とは、互いに平行に配設された複数本の加熱部分を持つ熱プレスによって、熱プレス・セットを行ない、加熱部分に沿った方向への伸びを制限するとともに、加熱部分と直交する方向への伸びを許容するように構成したものである。 【0031】すなわち、この実施の形態では、熱プレス・セットを行なう熱プレスとして、一方の熱プレス機1 0が、図2(a)に示すように、互いに平行に配設され、その端部が熱プレス・セットを行なう部分に対応した形状に形成された複数本の加熱部分11を持つとともに、他方の熱プレス機が平面状に形成され、全面が一様に加熱されるように構成したものが用いられる。 また、 上記熱プレスは、熱プレス・セットを行なう形状に合った形状に、熱プレス機の形状を形成したものが用いられるが、加熱部分の形状のみが熱プレス・セットを行なう形状に合ったものを用いても勿論良い。 なお、熱プレス・セットを行なう熱プレスとして、一方の熱プレス機1 0は、図2(b)(c)に示すように、格子状又は大小などのドット状に形成されたものを用いてもよい。 【0032】そして、上記熱プレスを用いて、図1に示すように、タイツ1のウエスト部分Eを所定の形状に熱プレス・セットすることにより、当該熱プレス・セットされた部分は、縦方向への伸びが制限されるが、横方向へは伸びが許容されるようになっている。 【0033】そのため、伸びを押さえる方向を任意に設定することができ、一定方向への伸びを押さえつつ、他方向への伸びは許容するなどして、医療上の効果を十分発揮しつつ、腹部を押さえるなどして、美容上の効果も十分発揮することが可能となる。 【0034】実施の形態2 図4〜図7はこの発明の実施の形態2を示すものであり、この実施の形態2では、ファンデーション等の被服としてのガードルに適用するように構成したものである。 【0035】図4はガードルの前面図、図5は同ガードルの背面図、図6は丸編み状態で縫着前の前部斜視図、 図7は同丸編み状態の背面斜視図である。 なお、図中同じ斜線部は同じ伸び率の編み組織を示す。 図4において、ガードルGは従来のガードルと同様の形態を成しているが、このガードルは図示の如く三つの異なる編み組織によって構成されており、図8中、Bで示すエラスチックヤーンを使用して丸編みで編み上げられている。 エラスチックヤーンは、ポリウレタン糸の90〜250デニール範囲の糸(商品名ロイカ、HS)を使用し、最大伸長力が200%以内となる範囲となるように編み上げる。 この時のポリウレタン糸は高伸長であることを主体とし、かつ、150〜200パーセントの伸長範囲を最も伸長力の安定した領域となるように、さらに少なくとも前記領域を着用領域として編み上げてあることが望ましい。 【0036】ガードルを丸編みにより商品化するには、 図4、図5に示すようにガードルの部位によって以下に述べるような伸び率の異なる編み組織として編み上げて行く。 図4に示す如くガードル前面の菱形をした腹部中央部21と、図5に示す背面臀部下部と背面中央の凹部に沿った部分22を最も伸び率の低い編み組織a(伸びにくい編み組織)で編み上げ、腹部中央部21から両側胴回り周囲にかけての部分23を最も伸び率の高い編み組織c(伸びやすい編み組織)で編み上げ、さらに股部24は前記最も伸び率の低い編み組織aと前記最も伸び率の高い編み組織cの中間の伸び率をもった編み組織b で編み上げ、図6、図7に示す如く丸編みを完成する。 その後図6、7中、端部26を端部25に縫着してガードルを構成する。 なお、上記編み組織の伸び率は次の関係となっている。 【0037】最も伸び率の低い編み組織a<中間の伸び率の編み組織b<最も伸び率の高い編み組織cまた、前記複数の編み組織のうち、最も伸び率の高い編み組織c (伸び易い編み組織)は、タテ、ヨコ方向にも伸び易い組織であり、また最も伸び率の低い編み組織a(のび難い編み組織)はタテ、ヨコ方向とものびずらい編み組織として構成されており、その中間の伸長率をもった編み組織は、使用部位に応じてタテ方向あるいはヨコ方向にのびずらい編み組織とすることが望ましい。 【0038】その後必要に応じて、体の凸部(具体的にはヒップ部)はその形状に合わせたモールド加工を行うとともに、さらに必要に応じて股部24の内側には綿等からなる裏布を重ねあわせることもできる。 また、モールド加工を行う際にはモールド部分は、必ずヒップを支える機能を持つ伸び率の小さいパワーのある編み組織に掛かるようにモールド加工することが重要であり、そうすることでモールドによる体型補正効果を一層高めることができる。 さらに上記のように編み上げてあるガードルは、編み組織(編地)がもっとも過酷な伸び状態となっても伸長率(最大伸長率)が250〜350パーセント以内に収めることができるように丸編みされており、 これによって体屈伸時の窮屈感を解消できる。 また、上記以外の付属のエッジのテープ等には最も伸びやすい編み組織に相当する伸長率をもったものを使用することが重要である。 以上のように構成されたガードルは、ピップアップ機能を有しながら体の屈伸運動に追従する必要のあるヒップ部および腹部側面を伸長率が最も高い編み組織cで編み上げ、ガードル前面の腹部中央部には最も伸長力が低い編み組織aを使用して構成したため体型維持とヒップアップ機能を十分に果たしながら、体の伸縮時にはその伸縮に十分に追随でき、着用時の窮屈感が無く、さらに体への密着性が良いガードルとすることができる。 【0039】ところで、上記編み組織は上述の三つに限定することなく、ガードルの部分を4〜6程度に分け、 夫々の部分で編み組織を変えることもできる。 この場合、人体部分を支える、押さえる、引き上げる等の補正力に応じた編み組織を採用することで、フィット感に優れたガードルとすることができる。 特に、人体のシルエットを変えるために押さえては成らない部分の補正力を弱めたり、人体の屈折や、人体の皮膚表面の移動の激しい部分には伸びやすい編み組織を使用することで、ガードルのフィット感を極めて良することができる。 【0040】一般的に使用されている仕上げ用ストレッチテープ、ストレッチレース等を利用し、ガードルの所定箇所に縫製、熱溶着等により取り付けることで体型補正機能をより効果的に実現することがでもできる。 さらに目減らしの技術を活用して丸編み時に人体のヒップの基本体型に近づけたガードルを得ることもできる。 さらに上記ガードルには、必要に応じて装飾性を持たせるため柄をデザイン化して織り込んでもよく、また後加工によりプリント、またはミシン、モールド加工により装飾を付加することもできる。 さらに編み方は、丸編みに限らず、平編みで編み上げておき、必要箇所を縫着することによりガードルを構成することも可能である。 また、 編み組織は、必要に応じて例えばガードル等の股部をパイル編みとすることもできる。 上記のような編み組織の区分け等は下着デザイン時に目的に合わせて設計する。 【0041】ところで、この実施の形態では、上記のような編み組織で構成されたガードルの所要部分には、膨らみを制限すべき部分に対応する部分の全部或いは各1 部分を、熱収縮性繊維の収縮により外方に膨出させることなく熱プレス・セットし、該部分の外方への伸びと、 内方への収縮を押さえるように構成したものである。 【0042】その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。 【0043】実施の形態3 図9はこの発明の実施の形態3を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、前記実施の形態1では、少なくとも熱収縮性繊維を含む伸縮性生地の熱プレス・セットされた面積が、 当該伸縮性生地の表面に沿って方向性を持つ部分として、互いに平行に配設された複数本の加熱部分を持つ熱プレスによって、熱プレス・セットを行ない、加熱部分に沿った方向への伸びを制限するとともに、加熱部分と直交する方向への伸びを許容するように構成したものを用いたが、この実施の形態3では、熱プレス・セットされた部分を、直線状ではなく、小さな円形状に形成し、 当該円形状に熱プレス・セットされた部分の密度に方向性を持たせることによって、少なくとも熱収縮性繊維を含む伸縮性生地の熱プレス・セットされた面積が、当該伸縮性生地の表面に沿って方向性を持つように構成されている。 【0044】すなわち、この実施の形態3では、図9に示すように、熱プレス・セットされた部分30を、直線状ではなく、小さな円形状に形成し、当該円形状に熱プレス・セットされた部分の密度に方向性を持たせることによって、少なくとも熱収縮性繊維を含む伸縮性生地の熱プレス・セットされた面積が、当該伸縮性生地の表面に沿って方向性を持つように構成されている。 この場合には、滑らかに伸縮性を異ならせることができ、着用感にも大変優れたものとなっている。 【0045】その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。 【0046】 【発明の効果】以上詳細に説明したように、この発明によれば、少なくとも熱可塑性繊維を含む伸縮性生地からなる被服の身体の膨らみを制限すべき部分に対応する部分の伸びを押さえると同時に、熱プレス・セットしない部分は、圧迫から身体を保護し、美容上又は医療上からも優れた効果を発揮させることができるのは勿論のこと、伸びを押さえる方向を任意に設定することができ、 一定方向への伸びを押さえつつ、他方向への伸びは許容するなどして、医療上の効果を十分発揮しつつ、腹部を押さえるなどして、美容上の効果も十分発揮することが可能なファンデーション等の被服を提供することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 図1はこの発明の実施の形態1に係るファンデーション等の被服としてのガードルを示す構成図である。 【図2】 図2は熱プレス・セットに用いる熱プレス機を示す構成図である。 【図3】 図3はこの発明の実施の形態1に係るファンデーション等の被服としてのガードルを示す説明図である。 【図4】 図4はこの発明の実施の形態2に係るファンデーション等の被服としてのガードルを示す前面図である。 【図5】 図5は同ガードルの背面図である。 【図6】 図6は丸編み状態で縫着前の前部斜視図である。 【図7】 図7は同丸編み状態の背面斜視図である。 【図8】 図8はこの発明の実施の形態2に係るファンデーション等の被服としてのガードルの特性を示すグラフである。 【図9】 図9はこの発明の実施の形態3に係るファンデーション等の被服としてのガードルの熱セットパターンを示す説明図である。 【符号の説明】 1:ファンデーション等の被服としてのタイツ、A:腹部、B:腰回り部、C:臀部、E:ウエスト部。 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神崎 説夫 神奈川県厚木市田村町6番11号、株式会社 ダッチェス内Fターム(参考) 3B018 HA01 HA05 HB01 |