新規なポリイミドフィルム並びにそれを用いて得られる接着フィルム、フレキシブル金属張積層板 |
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申请号 | JP2006536349 | 申请日 | 2005-09-14 | 公开(公告)号 | JPWO2006033267A1 | 公开(公告)日 | 2008-05-15 |
申请人 | 株式会社カネカ; | 发明人 | 菊池 剛; 剛 菊池; 金城 永泰; 永泰 金城; | ||||
摘要 | 本発明は、特にラミネート法で金属層とポリイミドフィルムを積層した場合の、材料にかかる熱歪みを抑制する機能を持ったポリイミドフィルム、及び該ポリイミドフィルムを用いた接着フィルム、フレキシブル金属張積層板を提供することにある。芳香族ジアミンと芳香族酸二無 水 物を反応させて得られるポリアミド酸を、イミド化して得られるポリイミドフィルムであってフィルムの貯蔵弾性率が特定の範囲となっているポリイミドフィルム、接着フィルム、フレキシブル金属張積層板によって上記課題を解決しうる。 | ||||||
权利要求 | 芳香族ジアミンと芳香族酸二無水物を反応させて得られるポリアミド酸を、イミド化して得られるポリイミドフィルムであって、下記(1)〜(4)の条件(1)270℃〜340℃の範囲に貯蔵弾性率の変曲点を有し、 (2)損失弾性率を貯蔵弾性率で割った値であるtanδのピークトップが320℃〜 410℃の範囲内にあり、 (3)380℃における貯蔵弾性率が0.4GPa〜2.0GPaであり、 (4)変曲点における貯蔵弾性率α 1 (GPa)と、380℃における貯蔵弾性率α 2 (GPa)が下記式(1)の範囲にある(式1);85≧{(α 1 −α 2 )/α 1 }×100≧65 を全て満たすことを特徴とする、ポリイミドフィルム。 前記ポリイミドフィルムが、下記の工程(a)〜(c) (a)芳香族酸二無水物と、これに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る(b)続いて、ここに芳香族ジアミン化合物を追加添加する(c)更に、全工程における芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンが実質的に等モルとなるように芳香族酸二無水物を添加して重合するを経ることによって得られたポリアミド酸溶液をイミド化して得られることを特徴とする、請求項1記載のポリイミドフィルム。 前記(a)工程で用いる芳香族ジアミン化合物が、柔構造のジアミンであり、前記(b)工程で用いる芳香族ジアミン化合物が、剛構造のジアミンであることを特徴とする、請求項2記載のポリイミドフィルム。 前記ポリイミドフィルムが、3,4'−ジアミノジフェニルエーテルを、全ジアミン成分の10モル%以上使用して得られることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載のポリイミドフィルム。 前記ポリイミドフィルムの引張弾性率が、6.0GPa以上であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載のポリイミドフィルム。 前記ポリイミドフィルムを50℃、40%R. H. で3時間保持した後、80%R. H. で3時間保持した際の吸湿膨張係数が、13ppm/℃以下であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載のポリイミドフィルム。 前記ポリイミドフィルムの100℃〜200℃における線膨張係数が、15ppm/℃以下であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載のポリイミドフィルム。 さらに前記ポリイミドフィルムは、分子配向軸角度がフィルム搬送方向(MD方向)に対して−15から15度となっていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のポリイミドフィルム。 前記ポリイミドフィルムが、 (A)ポリアミド酸を重合する工程(B)ポリアミド酸及び有機溶媒を含む組成物を支持体上に流延・塗布後、ゲルフィルムを形成する工程、 (C)該ゲルフィルムを引き剥がし、両端を固定する工程(D)フィルムの両端を固定しながら加熱炉内を搬送する工程、 を含む有機絶縁性フィルムの製造方法であって、前記(D)工程は、(D−1)少なくとも一部においてフィルム幅方向(TD方向)の張力が実質的に無張力となるように固定されて搬送する工程を含むことを特徴とする有機絶縁性フィルムの製造方法により得られるものであることを特徴とする、請求項8記載のポリイミドフィルム。 請求項1乃至9のいずれかに記載のポリイミドフィルムの少なくとも片面に、熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けた接着フィルム。 熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度(Tg)が230℃以上であることを特徴とする、請求項10記載の接着フィルム。 フィルム厚みが15μm以下となっている請求項10または11記載の接着フィルム。 一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置を用いて、請求項10乃至12のいずれかに記載の接着フィルムに金属箔を貼り合わせて得られることを特徴とする、フレキシブル金属張積層板。 前記一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置を用いて、接着フィルムに金属箔を貼り合わせる際に、非熱可塑性ポリイミド、またはガラス転移温度(Tg)がラミネート温度よりも50℃以上高い熱可塑性ポリイミドからなる保護材料を金属箔とロールの間に配してラミネートを行い、ラミネート後冷却された段階で保護材料を剥離して得られることを特徴とする、請求項13記載のフレキシブル金属張積層板。 前記ラミネート後、保護材料を剥離する前に、保護材料とフレキシブル金属張積層板が密着している積層体を、加熱ロールに0.1〜5秒の範囲で接触させ、その後冷却して積層体から保護材料を剥離することを特徴とする、請求項14記載のフレキシブル金属張積層板。 金属箔除去後に250℃、30分の加熱を行う前後の寸法変化率が、MD方向、TD方向共に−0.04〜+0.04%の範囲にあることを特徴とする、請求項13乃至15のいずれかに記載のフレキシブル金属張積層板。 接着フィルムの厚みが15μmであり、かつ金属箔除去後に250℃、30分の加熱を行う前後の寸法変化率が、MD方向、TD方向共に−0.05〜+0.05%の範囲にあることを特徴とする、請求項13乃至15のいずれかに記載のフレキシブル金属張積層板。 |
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说明书全文 | 本発明は、フレキシブル金属張積層板の製造工程で発生する寸法変化を抑制しうるポリイミドフィルム、特に、接着層を設けて熱ラミネート法で金属箔を貼り合わせた際に、優れた寸法安定性を有するフレキシブル金属張積層板が得られるポリイミドフィルム、並びにそれを用いて得られる接着フィルム、フレキシブル金属張積層板に関する。 近年、エレクトロニクス製品の軽量化、小型化、高密度化にともない、各種プリント配線板の需要が伸びているが、中でもフレキシブルプリント配線板(以下、FPCとも称する)の需要が特に伸びている。 フレキシブルプリント配線板は、絶縁性フィルム上に金属箔からなる回路が形成された構造を有している。 上記フレキシブル配線板の元となるフレキシブル金属張積層板は、一般に、各種絶縁材料により形成され、柔軟性を有する絶縁性フィルムを基板とし、この基板の表面に、各種接着材料を介して金属箔を加熱・圧着することにより貼りあわせる方法により製造される。 上記絶縁性フィルムとしては、ポリイミドフィルム等が好ましく用いられている。 上記接着材料としては、エポキシ系、アクリル系等の熱硬化性接着剤が一般的に用いられている(これら熱硬化性接着剤を用いたFPCを以下、三層FPCともいう)。 熱硬化性接着剤は比較的低温での接着が可能であるという利点がある。 しかし今後、耐熱性、屈曲性、電気的信頼性といった要求特性が厳しくなるに従い、熱硬化性接着剤を用いた三層FPCでは対応が困難になると考えられる。 これに対し、絶縁性フィルムに直接金属層を設けたり、接着層に熱可塑性ポリイミドを使用したFPC(以下、二層FPCともいう)が提案されている。 この二層FPCは、三層FPCより優れた特性を有し、今後需要が伸びていくことが期待される。 二層FPCに用いるフレキシブル金属張積層板の作製方法としては、金属箔上にポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を流延、塗布した後イミド化するキャスト法、スパッタ、メッキによりポリイミドフィルム上に直接金属層を設けるメタライジング法、熱可塑性ポリイミドを介してポリイミドフィルムと金属箔とを貼り合わせるラミネート法が挙げられる。 この中で、ラミネート法は、対応できる金属箔の厚み範囲がキャスト法よりも広く、装置コストがメタライジング法よりも低いという点で優れている。 ラミネートを行う装置としては、ロール状の材料を繰り出しながら連続的にラミネートする熱ロールラミネート装置またはダブルベルトプレス装置等が用いられている。 上記の内、生産性の点から見れば、熱ロールラミネート法をより好ましく用いることができる。 従来の三層FPCをラミネート法で作製する際、接着層に熱硬化性樹脂を用いていたため、ラミネート温度は200℃未満で行うことが可能であった(特許文献1参照)。 これに対し、二層FPCは熱可塑性ポリイミドを接着層として用いるため、熱融着性を発現させるために200℃以上、場合によっては400℃近くの高温を加える必要がある。 そのため、ラミネートされて得られたフレキシブル金属張積層板に残留歪みが発生し、エッチングして配線を形成する際、並びに部品を実装するために半田リフローを行う際に寸法変化となって現れる。 特にラミネート法は、ポリイミドフィルム上に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設ける際に、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を流延、塗布した後に連続的に加熱してイミド化を行い、金属箔を貼り合わせる際も連続的に加熱加圧を行うため、材料は張力がかけられた状態で加熱環境下に置かれることが多い。 そのため、MD方向とTD方向で異なる熱応力が発生する。 具体的には、張力のかかるMD方向には引張られる力が働き、逆にTD方向には縮む力が働く。 その結果、フレキシブル積層板から金属箔をエッチングする際と、半田リフローを通して加熱する際にこの歪みが解放され、MD方向は収縮し、逆にTD方向は膨張してしまう。 近年、電子機器の小型化、軽量化を達成するために、基板に設けられる配線は微細化が進んでおり、実装する部品も小型化、高密度化されたものが搭載される。 そのため、微細な配線を形成した後の寸法変化が大きくなると、設計段階での部品搭載位置からずれて、部品と基板とが良好に接続されなくなるという問題が生じる。 そこで、ラミネート圧力の制御や、接着フィルムの張力制御により、寸法変化を抑える試みがなされている(特許文献2または3参照)。 しかしながら、これらの手段により寸法変化は改善されるものの、まだ充分ではなく、更なる寸法変化の改善が求められている。 特に近年では、鉛フリー半田の採用により、吸湿半田耐性の要求レベルが高くなる傾向にあり、それに対応するために接着層の高Tg(ガラス転移温度)化が進んでいるが、その結果としてラミネートに必要な温度も必然的に高くなっている。 そのため、材料にかかる熱応力は更に大きくなり、寸法変化が発生しやすい状況となっている。 従って、より効率的に、熱応力を緩和する材料設計が必要となる。 また、現在の二層FPCに使用される絶縁層の厚みは25μm(1ミル)が主流であるが、基板実装スペースの更なる削減、スプリングバック等の課題から、絶縁層の厚みを15μm以下にした、いわゆる「ハーフミル」の要求も出始めている。 しかしながら、ハーフミル品は接着フィルムの厚みが薄くなるため、ラミネート時の熱応力の影響を更に受けやすくなり、1ミル品よりも寸法変化改善のハードルはかなり高くなる。 本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、フレキシブル銅張り積層板の製造工程で発生する寸法変化を抑制しうるポリイミドフィルム、特に、ラミネート法で材料にかかる熱歪みを抑制する機能を持ったポリイミドフィルム、及び該ポリイミドフィルムの少なくとも片面に接着層を設けた接着フィルム、そして該接着フィルムに熱ラミネート法で金属箔を貼り合わせて得られる、寸法変化の発生を抑制できるフレキシブル金属張積層板、特に接着フィルムの厚みが薄い場合でも寸法変化の発生を抑制できるフレキシブル金属張積層板を提供することにある。 本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意検討した結果、貯蔵弾性率の値が特定の範囲に制御されたポリイミドフィルムは、これを用いたフレキシブル銅張積層板の製造工程で発生しうる寸法変化を抑制できること、特に、フィルムの少なくとも片面に接着層を設けた接着フィルムのコア層として使用することで、熱ラミネート時における熱歪みを緩和し、寸法変化の発生を効果的に抑制できることを独自に見出し、本発明を完成させるに至った。 すなわち、以下の新規なポリイミドフィルム、これを用いた接着フィルムおよびフレキシブル金属張積層板によって、上記目的を達成しうる。 本発明のポリイミドフィルムは、フレキシブル銅張り積層板の製造工程で発生する寸法変化を抑制することができる。 特に、ラミネート時の熱応力を緩和すべく、貯蔵弾性率の変曲点を持たせており、かつその値を制御している。 その結果、該ポリイミドフィルムをコアに使用した接着フィルムに、ラミネート法で金属箔を貼り合わせたフレキシブル金属張積層板は、寸法変化の発生が効果的に抑制されている。 具体的には、金属箔除去後に250℃、30分の加熱を行う前後の寸法変化率を、MD方向、TD方向共に−0.04〜+0.04%の範囲とすることが可能である。 従って、微細な配線を形成したFPC等にも好適に用いることが可能で、位置ずれ等の問題を改善できる。 本発明の実施の形態について、以下に説明する。 まず、本発明に係るポリイミドフィルムの場合について、その実施の形態の一例に基づき説明する。 (本発明のポリイミドフィルム) また、損失弾性率を貯蔵弾性率で割った値であるtanδのピークトップが320℃〜410℃以上、好ましくは330℃〜400℃の範囲内にあることが必要である。 tanδのピークトップが上記範囲よりも低い場合、tanδが増加し始める温度が250℃前後もしくはそれ以下になり、寸法変化測定時にコア層が軟化し始める場合があるため、寸法変化率が悪化する可能性がある。 逆にtanδのピークトップが上記範囲よりも高い場合、歪みを緩和するのに充分なレベルまでコア層を軟化させるために必要な温度が高くなりすぎ、既存のラミネート装置では熱応力を充分に緩和せず、寸法変化が悪化する可能性がある。 上記範囲を外れる場合、貯蔵弾性率の変曲点と同様、寸法変化が悪化する原因となる。 また、380℃における貯蔵弾性率が、0.4〜2.0GPa、好ましくは0.6〜1.8GPa、更に好ましくは0.7〜1.6GPaの範囲にあることが必要である。 本発明者らは鋭意検討を行った結果、半田耐熱性も両立させる場合、接着層のガラス転移温度は240℃〜280℃とする必要があることを見出した。 その場合、生産性良くラミネートを行うためには、ラミネート温度が380℃程度必要である。 そのため、380℃での貯蔵弾性率制御が非常に重要となる。 380℃における貯蔵弾性率が上記範囲よりも低い場合、フィルムのイミド化時または熱ラミネート時に、フィルムが自己支持性を保てなくなり、フィルムの生産性を悪化させたり、得られるフレキシブル金属張積層板の外観を悪化させる原因となる。 逆に上記範囲よりも高い場合、コア層が十分に軟化しないため、熱ラミネート時の熱応力緩和効果が十分に発現せず、寸法変化が悪化する原因となる。 また、本発明者らは、変曲点における貯蔵弾性率α 1 (GPa)と380℃における貯蔵弾性率α 2 (GPa)の値の関係について検討した結果、下記式(1)の範囲にあることが、フレキシブル金属張積層板を製造する工程で発生する寸法変化を抑制するのに重要であることを見出した。 寸法安定性に優れたフレキシブル金属張積層板を得るためには、上記4条件を全て満たしたポリイミドフィルムが必要である。 これまで、上記特性のすべてを満たすポリイミドフィルムは知られていなかった。 このようなポリイミドフィルムを得る方法は、特に限定はされないが、一例を挙げて説明する。 本発明のポリイミドフィルムは、原料モノマーであるジアミン並びに酸二無水物の構造のみならず、モノマー添加順序を制御することによっても、諸物性を制御することが可能である。 従って、本発明のポリイミドフィルムを得るためには、下記(a)〜(c)の工程を経ることによって得られたポリアミド酸溶液をイミド化することが好ましい。 上記(a)工程において、熱可塑性ポリイミド由来のブロック成分を形成するプレポリマーを得ることが好ましい。 熱可塑性ポリイミド由来のブロック成分を形成するプレポリマーを得るためには、屈曲性を有するジアミン(柔構造のジアミン)と酸二無水物とを反応させることが好ましい。 本発明において熱可塑性ポリイミド由来のブロック成分とは、その高分子量体のフィルムが400℃に加熱した際に熔融し、フィルムの形状を保持しないようなものを指す。 具体的には、(a)工程で用いる芳香族ジアミン化合物および芳香族酸二無水物成分を等モル反応させて得られるポリイミドが、上記温度で溶融するか、あるいはフィルムの形状を保持しないかを確認することで、芳香族ジアミン化合物および芳香族酸二無水物成分を選定することができる。 このプレポリマーを用いて(b)、(c)工程の反応を進めることにより、熱可塑性部位が分子鎖中に点在したポリアミド酸が得られる。 ここで、(b)、(c)工程で用いる芳香族ジアミン化合物および芳香族酸二無水物成分を選択して、最終的に得られるポリイミドが非熱可塑性となるようにポリアミド酸を重合すれば、これをイミド化して得られるポリイミドフィルムは、熱可塑性部位を有することにより、高温領域で貯蔵弾性率の変曲点を発現するようになる。 その一方で、分子鎖中の大部分は非熱可塑性の構造であるため、熱可塑性部位と非熱可塑性部位の割合を制御することによって、高温領域で貯蔵弾性率が極端に低下することを防ぐことが可能となる。 (式中のR 4は、 で表される2価の有機基または連結基からなる群から選択される基であり、式中のR 5は同一または異なって、H−,CH 3 −、−OH、−CF 3 、−SO 4 、−COOH、−CO-NH 2 、Cl−、Br−、F−、及びCH 3 O−からなる群より選択される1つの基である。 ) 式中のR2は で表される2価の芳香族基からなる群から選択される基であり、式中のR 3は同一または異なってH−,CH 3 −、−OH、−CF 3 、−SO 4 、−COOH、−CO-NH 2 、Cl−、Br−、F−、及びCH 3 O−からなる群より選択される何れかの1つの基である) ここで、剛構造と柔構造(屈曲性を有するジアミン)のジアミンの使用比率はモル比で80:20〜20:80が好ましく、さらには70:30〜30:70、特には60:40〜40:60の範囲となるようにするのが好ましい。 剛構造のジアミンの使用比率が上記範囲を上回ると、得られるフィルムのガラス転移温度が高くなり過ぎる、高温領域の貯蔵弾性率が殆ど低下しない、線膨張係数が小さくなり過ぎるという弊害が発生する場合がある。 逆にこの範囲を下回ると、正反対の弊害を発生する場合がある。 上記柔構造、剛構造のジアミンはそれぞれ複数種を組み合わせて使用しても良いが、本発明のポリイミドフィルムにおいては、柔構造のジアミンとして、3,4'−ジアミノジフェニルエーテルを使用することが特に好ましい。 3,4'−ジアミノジフェニルエーテルは、屈曲部位であるエーテル結合は一つしかないが、片方のアミノ基がメタ位に結合しているため、柔構造のジアミンではあるが、柔構造のジアミンの中でも、剛構造のジアミンに近い性質を示す。 即ち、貯蔵弾性率を低下させる効果を有しつつ、線膨張係数を若干低下させる効果を発現させる。 そのため、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン等の屈曲部位を多く有するジアミンと併用することで、得られるポリイミドフィルムの物性バランスを取ることが容易となる。 3,4'−ジアミノジフェニルエーテルの使用量は、全ジアミン成分の10モル%以上であることが好ましく、15モル%以上がより好ましい。 これよりも少ないと、上記効果を十分に発現しない場合がある。 一方、上限については、50モル%以下が好ましく、40モル%以下がより好ましい。 これよりも多いと、剛構造ジアミンとの相乗効果で、得られるポリイミドフィルムの線膨張係数が小さくなり過ぎる場合がある。 本発明のポリイミドフィルムの原料モノマーとして使用し得る酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4'−オキシフタル酸二無水物、3,4'−オキシフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1− ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)及びそれらの類似物等が挙げられる。 これらを単独または、任意の割合の混合物が好ましく用い得る。 ジアミンの場合と同様、酸二無水物についても、柔構造と剛構造とに分類し、前者を(a)工程で、後者を(c)工程でそれぞれ使用する。 (a)工程で使用する柔構造の酸二無水物としては、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物類、オキシフタル酸二無水物類、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物類が好ましい例として挙げられる。 (c)工程で使用する剛構造の酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物が好ましい例として挙げられる。 また、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物類、オキシフタル酸二無水物類、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物類の好ましい使用量は、全酸二無水物に対して10〜50モル%、より好ましくは15〜45モル%、特に好ましくは20〜40モル%である。 上記範囲よりも少ない場合、柔構造ジアミンだけでは、得られるポリイミドフィルムのガラス転移温度が高すぎたり、高温領域の貯蔵弾性率が十分に低下しない場合がある。 逆に上記範囲よりも多い場合、ガラス転移温度が低すぎたり、高温領域の貯蔵弾性率が低すぎてフィルム製膜が困難になる場合がある。 本発明に係るポリイミドフィルムは、上記の範囲の中で芳香族酸二無水物および芳香族ジアミンの種類、配合比を決定して用いることにより、所望のガラス転移温度、高温領域の貯蔵弾性率を発現することができるが、使用用途である接着フィルムの加工方法、即ち熱ラミネート法で加工することを考えると、引張弾性率が6.0GPa以上であることが好ましく、6.5GPa以上であることがより好ましい。 引張弾性率が上記値よりも小さいと、張力の影響を受けやすくなり、フレキシブル金属張積層板に残留応力が発生し、寸法変化の原因となる。 また、フィルム厚を薄くした際、フィルムのコシが弱いため、搬送性や取扱い性に問題が生じる場合がある。 引張弾性率の上限値としては、10GPa以下が好ましく、9.0GPa以下がより好ましい。 上記値よりも大きいと、コシが強すぎて、取扱い性に問題が生じる場合がある。 引張弾性率は、剛構造のジアミンまたは酸二無水物、もしくは3,4'−ジアミノジフェニルエーテルの割合を増やすことで値が大きくなり、割合を減らすことで逆に小さくなる。 また、寸法変化への影響を考慮すると、ポリイミドフィルムを50℃、40%R. H. で3時間保持した後、80%R. H. で3時間保持した際の吸湿膨張係数が、13ppm/℃以下であることが好ましく、11ppm/℃以下であることがより好ましい。 吸湿膨張係数が上記値よりも大きい場合、寸法変化の環境依存性が大きくなり、FPCとして使用する際に問題が生じる場合がある。 吸湿膨張係数は、ポリイミド分子鎖中のエーテル基、カルボニル基等の極性基の割合が増えると、大きくなる傾向にある。 また、分子量の小さいジアミン成分、酸二無水物成分を使用する(単位分子量あたりのイミド基の数が多くなる)ことによっても、大きくなる傾向にある。 そのため、柔構造成分の使用比率の調整、ならびにモノマー構造(分子量)の選択により、制御することが可能である。 更に、同じく寸法変化への影響を考慮すると、前記ポリイミドフィルムの100℃〜200℃における線膨張係数が、15ppm/℃以下であることが好ましく、13ppm/℃以下であることがより好ましい。 線膨張係数が上記値よりも大きい場合、接着フィルムにした際の線膨張係数が大きくなり過ぎてしまい、金属箔の線膨張係数との差が大きくなるため、寸法変化の原因となる。 逆にポリイミドフィルムの線膨張係数が小さ過ぎると、やはり金属箔の線膨張係数の差が大きくなってしまう。 そのため、線膨張係数の下限は5ppm/℃であることが好ましく、6ppm/℃であることがより好ましい。 ポリイミドフィルムの線膨張係数が5〜15ppm/℃、好ましくは6〜13ppm/℃の範囲内であれば、接着フィルムの線膨張係数を金属箔のそれに近づけることが容易となる。 ポリイミドフィルムの線膨張係数は、上記の通り、柔構造成分と剛構造成分の混合比により調整が可能である。 フィラーの粒子径は改質すべきフィルム特性と添加するフィラーの種類によって決定されるため、特に限定されるものではないが、一般的には平均粒径が0.05〜100μm、好ましくは0.1〜75μm、更に好ましくは0.1〜50μm、特に好ましくは0.1〜25μmである。 粒子径がこの範囲を下回ると改質効果が現れにくくなり、この範囲を上回ると表面性を大きく損なったり、機械的特性が大きく低下したりすることがある。 また、フィラーの添加部数についても改質すべきフィルム特性やフィラー粒子径などにより決定されるため特に限定されるものではない。 一般的にフィラーの添加量はポリイミド100重量部に対して0.01〜100重量部、好ましくは0.01〜90重量部、更に好ましくは0.02〜80重量部である。 フィラー添加量がこの範囲を下回るとフィラーによる改質効果が現れにくく、この範囲を上回るとフィルムの機械的特性が大きく損なわれる可能性がある。 フィラーの添加は、 ここで、脱水剤とは、ポリアミド酸に対し、脱水閉環作用を示すものであり、例えば、脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物、N,N'− ジアルキルカルボジイミド、ハロゲン化低級脂肪族、ハロゲン化低級脂肪酸無水物、アリールホスホン酸ジハロゲン化物、チオニルハロゲン化物、またはそれら2種以上の混合物が挙げられる。 中でも入手の容易性、コストの点から、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水ラク酸等の脂肪族酸無水物、またはそれら2種以上の混合物を好ましく用いることができる。 (ポリイミドフィルムの製造工程) 前記ゲルフィルムの端部を固定して硬化時の収縮を回避して乾燥し、水、残留溶媒、残存脱水剤及びイミド化触媒を除去し、そして残ったアミド酸を完全にイミド化して、本発明のポリイミドフィルムが得られる。 (A)工程では、上述のようにしてポリアミド酸を重合する。 また(B)工程は、ポリアミド酸及び有機溶媒を含む組成物(ポリアミド酸溶液ともいう)を支持体上に流延・塗布後、ゲルフィルムを形成する工程であり、上述のようにゲルフィルムを得ればよい。 なお、(B)工程におけるゲルフィルムの揮発分含量は、500重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは25〜200重量%、特に好ましくは30〜150重量%である。 (C)工程は、ゲルフィルムを支持体から引き剥がし連続的にゲルフィルムの両端を固定する工程であり、クリップによる固定やピンニング等の従来公知の方法を用いればよい。 なお、後述する(D)工程においての少なくとも一部においてTD方向の張力が実質的に無張力となるように固定する方法として、この(C)工程の、ゲルフィルムの端部を固定する際に、TD方向の張力が実質的に無張力となるように固定してもよい。 フィルムを固定する段階で、TD方向の張力が実質的に無張力となるように行い、そのまま(D)工程へ送る方法である。 具体的には、端部を固定する際に、フィルムを弛ませて固定するのである。 (D)工程は、フィルムの両端を固定しながら加熱炉内を搬送する工程である。 本発明においては、この(D)工程の少なくとも一部において(D−1)フィルム幅方向(TD方向)の張力が実質的に無張力となるように固定されて搬送する工程を含むことが、MD方向に配向が制御された有機絶縁性フィルムを得るという点で好ましい。 ここで、TD方向の張力が実質的に無張力であるとは、フィルムの自重による張力以外に、機械的なハンドリングによる引っ張り張力がTD方向にかからないことを意味している。 実質的にはフィルムの両端部固定端の距離(図1の7)よりも両端部固定端間のフィルムの幅(図1の8)が広いことを意味しており、そのような状況下でのフィルムを実質的に無張力下のフィルムと言う。 図1を用いて説明すると、フィルムは、把持装置によって固定され、このとき図1の7の長さが両端部固定装置端の距離である。 通常は、フィルムの両端はピンと張力がかかった状態であり、この両端部固定端距離7と両端部固定端間のフィルムの幅8は同じである。 本発明においては、図1のように、両端部固定端距離7とこの間のフィルムの幅8は異なり、両端部固定端の距離が小さくなっている。 具体的には、フィルムは弛ませて固定されているのである。 特に、MD方向の分子配向を制御しやすいという点から、両端部固定端の距離7をX、両端部固定端間のフィルムの幅8をYとしたとき、XとYが下記式を満足するように固定されていることが好ましい。 本発明においては、(D)工程における加熱炉の入り口において、TD方向の張力が実質的に無張力となるように固定されていることが、フィルム全幅においてMD方向に配向軸を向けてフィルムを製造する点から好ましい。 加熱炉の入り口において、TD方向の張力が実質的に無張力となるように固定されて搬送するには、前述の(C)工程の、ゲルフィルムの端部を固定する際に、TD方向の張力が実質的に無張力となるように固定し、そのまま(D)工程に送る方法(方法その1)の他に、(C)工程の後、一旦両端部固定端の距離を縮める操作を行って、(D)工程に送る方法(方法その2)が挙げられる。 方法その1は、ゲルフィルムの両端を固定する際に、(式3)を満たすように固定する方法が好ましく、方法その2は、(式3)を満たすように固定端の距離を縮めることが好ましい。 もちろん、(D)工程の加熱炉に入って後、両端部固定端の距離を縮める操作を行ってもよく(方法その3)、これらの方法を組み合わせて行ってもよい。 方法その3では、両端部固定端の距離を縮める操作は300℃以下、さらには250℃以下、特には200℃以下の温度範囲で行うことが好ましい。 300℃以上の温度領域において方法その3の操作を行った場合には、フィルムの配向を制御しにくくなる傾向にあり、特にフィルム端部での配向が制御しにくくなる傾向にある。 (D)工程では、フィルムが急激に加熱されるため、フィルムはある程度収縮する。 従って、加熱炉の入り口で、TD方向の張力が実質的に無張力となるように固定して搬送すると、加熱によるフィルムの収縮によって、フィルム幅が小さくなるので、両端部固定端距離と両端部固定端間のフィルムの幅は同じとなり、しわのないフィルムが製造できるのである。 本発明に好適に用いられる加熱炉は、フィルム上面もしくは下面、或いは、両面から100℃以上の熱風をフィルム全体に噴射して加熱する方式の熱風炉、もしくは、遠赤外線を照射してフィルムを焼成する遠赤外線発生装置を備えた遠赤外線炉が用いられる。 加熱工程においては、段階的に温度を上げて焼成することが好ましく、その為に、熱風炉、もしくは、遠赤外線炉、もしくは、熱風炉と遠赤外線炉を混在させながら数台連結して焼成する段階式の加熱炉を用いることが好ましい。 各炉の間には、前炉からの熱を次炉へ伝えないために、各炉を仕切るための装置が備え付けられていることが好ましい。 炉内に搬送される際のゲルフィルムに与えられるMD方向の張力はフィルム1mあたりにかけられる張力で、1〜20kg/mであることが好ましく、特に好ましくは1〜15kg/mであることが好ましい。 張力が1kg/m以下の場合にはフィルムを安定して搬送することが難しく、フィルムを把持して安定したフィルムが製造しにくくなる傾向にある。 また、フィルムにかける張力が20kg/m以上の場合には、特に、フィルムの端部においてMD方向に分子配向を制御しにくくなる傾向にある。 炉内に搬送されるゲルフィルムに与える張力発生装置としては、ゲルフィルムに荷重をかける荷重ロール、ロールの回転速度を調整して荷重を変化させるロール、ゲルフィルムを2つのロールで挟み込み張力の制御を行う二ップロールを用いる方式等の種々の方法を用いてゲルフィルへの張力を調整することができる。 尚、フィルムに与える張力はポリイミドフィルムの厚みにより上記範囲内で適宜調整することが好ましい。 フィルム厚みとしては、1〜200μmの厚みが好ましく、特に好ましくは1〜100μmであることが好ましい。 前記加熱処理を経ることにより、得られるポリイミドフィルムはMD方向にポリイミド分子が配向する。 フィルムMD方向に対する分子配向軸角度(θ)は、必ずしも制限されるわけではないが、−15°≦θ≦15°となることが好ましい。 フィルムMD方向に対する分子配向軸角度θが上記範囲外である場合、配向が不十分となる場合があるため、寸法変化を抑制する効果が発現しにくくなることがある。 寸法変化を抑制する効果を十分に発現するためには、−15°≦θ≦15°となることが好ましいが、−10°≦θ≦10°の範囲とすることが更に好ましく、最も好ましくは−5°≦θ≦5°である。 なお、上記の分子配向軸角度とは、基準となる軸と、ポリイミド分子鎖の配向軸とのなす角度を意味し、例えば、フィルムMD方向に対する分子配向軸角度θが0°である場合は、分子配向軸がフィルムMD方向と一致することを意味する。 また、前記加熱処理により、得られるポリイミドフィルムの線膨張係数も変化するが、ポリイミドフィルムのMD方向における線膨張係数(200〜300℃)をβ 1 (ppm/℃)、TD方向における線膨張係数(200〜300℃)をβ 2 (ppm/℃)とした場合、2≦β 1 ≦10、かつ5≦β 2 ≦25、かつ10≦(β 1 +β 2 )≦40の範囲内となることが好ましい。 β 1並びにβ 2の値が上記範囲外である場合、例えば、熱ラミネート工程時の張力の影響を十分に解消できないことがあり、寸法変化を抑制する効果が小さくなることがある。 また、(β 1 +β 2 )の値が上記範囲外となった場合、フィルム厚み方向(z軸方向)の配向が大きく変化していることがあり、寸法変化を抑制する効果が発現されず、他物性も低下することがある。 本発明に係る接着フィルムの接着層に含有される熱可塑性ポリイミドとしては、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性ポリアミドイミド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリエステルイミド等を好適に用いることができる。 中でも、低吸湿特性の点から、熱可塑性ポリエステルイミドが特に好適に用いられる。 また、既存の装置でラミネートが可能であり、かつ得られる金属張積層板の耐熱性を損なわないという点から考えると、本発明における熱可塑性ポリイミドは、150〜300℃の範囲にガラス転移温度(Tg)を有していることが好ましい。 更に、吸湿半田耐性も考慮に入れると、Tgは230℃以上であることが好ましく、240℃以上であることがより好ましい。 なお、Tgは動的粘弾性測定装置(DMA)により測定した貯蔵弾性率の変曲点の値により求めることができる。 熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸についても、特に限定されるわけではなく、公知のあらゆるポリアミド酸を用いることができる。 その製造に関しても、公知の原料や反応条件等を用いることができる(例えば、後述する実施例参照)。 また、必要に応じて無機あるいは有機物のフィラーを添加しても良い。 (接着フィルム) いずれのイミド化手順を採る場合も、イミド化を効率良く進めることができるという観点から、その時の温度は、(熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度−100℃)〜(ガラス転移温度+200℃)の範囲内に設定することが好ましく、(熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度−50℃)〜(ガラス転移温度+150℃)の範囲内に設定することがより好ましい。 熱キュアの温度は高い方がイミド化が起こりやすいため、キュア速度を速くすることができ、生産性の面で好ましい。 但し、高すぎると熱可塑性ポリイミドが熱分解を起こすことがある。 一方、熱キュアの温度が低すぎると、ケミカルキュアでもイミド化が進みにくく、キュア工程に要する時間が長くなってしまう。 イミド化時間に関しては、実質的にイミド化および乾燥が完結するに十分な時間を取ればよく、一義的に限定されるものではないが、一般的には1〜600秒程度の範囲で適宜設定される。 また、接着層の熔融流動性を改善する目的で、意図的にイミド化率を低くする及び/又は溶媒を残留させることもできる。 イミド化する際にかける張力としては、1kg/m〜15kg/mの範囲内とすることが好ましく、5kg/m〜10kg/mの範囲内とすることが特に好ましい。 張力が上記範囲より小さい場合、フィルム搬送時にたるみが生じ、均一に巻き取れない等の問題が生じることがある。 逆に上記範囲よりも大きい場合、接着フィルムに強い張力がかかった状態で高温まで加熱されるため、引張弾性率の高いコアフィルムや、MD配向させたコアフィルムのコアフィルムを用いたとしても接着フィルムに熱応力が発生し、寸法変化に影響を与えることがある。 上記ポリアミド酸溶液を基材フィルムに流延、塗布する方法については特に限定されず、ダイコーター、リバースコーター、ブレードコーター等、既存の方法を使用することができる。 また、前記ポリアミド酸溶液には、用途に応じて、例えば、フィラーのような他の材料を含んでもよい。 接着フィルム各層の厚み構成については、用途に応じた総厚みになるように適宜調整すれば良い。 ただし、熱ラミネート時の熱歪みの発生を抑制するという観点から、200〜300℃における接着フィルムの熱膨張係数が金属箔に近くなるように設定することが好ましい。 具体的には、金属箔の熱膨張係数の±10ppm以内とすることが好ましく、±5ppm以内とすることがより好ましい。 また、必要に応じて、接着層を設ける前、もしくは接着層を設けた後にコロナ処理、プラズマ処理、カップリング処理等の各種表面処理をコアフィルム表面に施しても良い。 (フレキシブル金属張積層板) 本発明において、上記金属箔の厚みについては特に限定されるものではなく、その用途に応じて、十分な機能が発揮できる厚みであればよい。 接着フィルムと金属箔の貼り合わせ方法としては、例えば、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置或いはダブルベルトプレス(DBP)による連続処理を用いることができる。 中でも、装置構成が単純であり保守コストの面で有利であるという点から、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置を用いることが好ましい。 また、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置で金属箔と貼り合わせた場合に特に寸法変化が発生しやすいことから、本発明のポリイミドフィルムおよび接着フィルムは、熱ロールラミネート装置で張り合わせた場合に顕著な効果を発現する。 ここでいう「一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置」とは、材料を加熱加圧するための金属ロールを有している装置であればよく、その具体的な装置構成は特に限定されるものではない。 上記熱ラミネートを実施する手段の具体的な構成は特に限定されるものではないが、得られる積層板の外観を良好なものとするために、加圧面と金属箔との間に保護材料を配置することが好ましい。 保護材料としては、熱ラミネート工程の加熱温度に耐えうる材料、即ち、非熱可塑性ポリイミドフィルム等の耐熱性プラスチック、銅箔、アルミニウム箔、SUS箔等の金属箔等が挙げられる。 中でも、耐熱性、再使用性等のバランスが優れる点から、非熱可塑性ポリイミドフィルムもしくは、ラミネート温度よりも50℃以上高い熱可塑性ポリイミドからなるフィルムが好ましく用いられる。 また、厚みが薄いとラミネート時の緩衝並びに保護の役目を十分に果たさなくなるため、非熱可塑性ポリイミドフィルムの厚みは75μm以上であることが好ましい。 また、ラミネート温度が高温の場合、保護材料をそのままラミネートに用いると、急激な熱膨張により、得られるフレキシブル金属張積層板の外観や寸法安定性が充分でない場合がある。 従って、ラミネート前に保護材料に予備加熱を施した方が好ましい。 予備加熱の手段としては、保護材料を加熱ロールに抱かせるなどして接触させる方法が挙げられる。 接触時間としては1秒以上が好ましく、更に好ましくは3秒以上接触させることが好ましい。 保護材料の予備加熱を行うことにより、ラミネートする際には保護材料の熱膨張が終了しているため、フレキシブル金属張積層板の外観や寸法特性に影響を与えることが抑制される。 接触時間が上記よりも短い場合、保護材料の熱膨張が終了しないままラミネートが行われるため、ラミネート時に保護材料の急激な熱膨張が起こり、得られるフレキシブル金属張積層板の外観や寸法特性が悪化することがある。 保護材料を加熱ロールに抱かせる距離については特に限定されず、加熱ロールの径と上記接触時間から適宜調整すれば良い。 保護材料の剥離は、ラミネート後に冷却された段階で行う。 ラミネート直後は、保護材料ならびに被積層材料が高温で軟化した状態にあるため、この時に保護材料を剥離すると、被積層材料が剥離応力の影響を受け、寸法安定性が悪化することがある。 また、高温で保護材料を剥離すると、被積層材料の動きが抑制されず、冷却収縮により被積層材料の外観が悪化することがある。 保護材料の剥離は、接着フィルムのガラス転移温度よりも100℃以上低い温度まで被積層材料が冷却されてから剥離することが好ましく、室温まで冷却されてから剥離することが更に好ましい。 上記熱ラミネート手段における被積層材料の加熱方式は特に限定されるものではなく、例えば、熱循環方式、熱風加熱方式、誘導加熱方式等、所定の温度で加熱し得る従来公知の方式を採用した加熱手段を用いることができる。 同様に、上記熱ラミネート手段における被積層材料の加圧方式も特に限定されるものではなく、例えば、油圧方式、空気圧方式、ギャップ間圧力方式等、所定の圧力を加えることができる従来公知の方式を採用した加圧手段を用いることができる。 上記熱ラミネート工程における加熱温度、すなわちラミネート温度は、接着フィルムのガラス転移温度(Tg)+50℃以上の温度であることが好ましく、接着フィルムのTg+100℃以上がより好ましい。 Tg+50℃以上の温度であれば、接着フィルムと金属箔とを良好に熱ラミネートすることができる。 また、Tg+100℃以上であれば、ラミネート速度を上昇させてその生産性をより向上させることができる。 特に、本発明の接着フィルムのコアとして使用しているポリイミドフィルムは、Tg+100℃以上でラミネートを行った場合に、熱応力の緩和が有効に作用するように設計しているため、寸法安定性に優れたフレキシブル金属張積層板を生産性良く得られる。 ここで、熱ラミネート時の熱応力の緩和機構について説明する。 接着フィルムの接着層に熱可塑性ポリイミドが含有される場合、ラミネート温度が必然的に高くなるため、ラミネート直後のフレキシブル金属張積層板も非常に高温となっている。 ここで、接着フィルムのコア層の貯蔵弾性率が一定以上の値にまで低下していると、接着層と合わせて接着フィルム全体が軟化する(但し、自己支持性は保っている)。 その際、熱ラミネート時の張力、圧力によって積層板に蓄積された熱応力が緩和されるのである。 より効率的に熱応力を緩和する場合、積層板にかかる張力を最小限に留めた方が好ましい。 そのため、ラミネート直後のフレキシブル金属張積層板は、保護材料を配したままの状態で加熱ロールに抱かせるなどして接触させ、張力の影響を受けないようにした状態で熱ラミネート時に発生した残留歪みを緩和させ、その後加熱ロールから離すようにした方が好ましい。 加熱ロールへの接触時間は0.1秒以上が好ましく、より好ましくは0.2秒以上、0.5秒以上が特に好ましい。 接触時間が上記範囲より短い場合、緩和効果が十分に発生しない場合がある。 接触時間の上限は、5秒以下が好ましい。 5秒以上接触させても緩和効果がより発現するわけではなく、ラミネート速度の低下やラインの取り回しに制約が生じるため好ましくない。 また、ラミネート後に加熱ロールに接触させて徐冷を行ったとしても、依然としてフレキシブル金属張積層板と室温との差は大きく、また、残留歪みを緩和しきれていない場合もある。 そのため、加熱ロールに接触させて徐冷した後のフレキシブル金属張積層板は、保護材料を配したままの状態で後加熱工程を通した方が好ましい。 この際の張力は1〜10N/cmの範囲とすることが好ましい。 また、後加熱の雰囲気温度は(ラミネート温度−200℃)〜(ラミネート温度+100℃)の範囲とすることが好ましい。 ここでいう「雰囲気温度」とは、フレキシブル金属張積層板の両面に密着させている保護材料の外表面温度をいう。 実際のフレキシブル金属張積層板の温度は、保護材料の厚みによって多少変化するが、保護材料表面の温度を上記範囲内にすれば、後加熱の効果を発現させることが可能である。 保護材料の外表面温度測定は、熱電対や温度計などを用いて行うことができる。 上記熱ラミネート工程におけるラミネート速度は、0.5m/分以上であることが好ましく、1.0m/分以上であることがより好ましい。 0.5m/分以上であれば十分な熱ラミネートが可能になり、1.0m/分以上であれば生産性をより一層向上することができる。 上記熱ラミネート工程における圧力、すなわちラミネート圧力は、高ければ高いほどラミネート温度を低く、かつラミネート速度を速くすることができる利点があるが、一般にラミネート圧力が高すぎると得られる積層板の寸法変化が悪化する傾向がある。 また、逆にラミネート圧力が低すぎると得られる積層板の金属箔の接着強度が低くなる。 そのためラミネート圧力は、49〜490N/cm(5〜50kgf/cm)の範囲内であることが好ましく、98〜294N/cm(10〜30kgf/cm)の範囲内であることがより好ましい。 この範囲内であれば、ラミネート温度、ラミネート速度およびラミネート圧力の三条件を良好なものにすることができ、生産性をより一層向上することができる。 上記ラミネート工程における接着フィルム張力は、0.01〜4N/cm、さらには0.02〜2.5N/cm、特には0.05〜1.5N/cmが好ましい。 張力が上記範囲を下回ると、ラミネートの搬送時にたるみや蛇行が生じ、均一に加熱ロールに送り込まれないために外観の良好なフレキシブル金属張積層板を得ることが困難となることがある。 逆に、上記範囲を上回ると、接着層のTgと貯蔵弾性率の制御では緩和できないほど張力の影響が強くなり、寸法安定性が劣ることがある。 本発明にかかるフレキシブル金属張積層板を得るためには、連続的に被積層材料を加熱しながら圧着する熱ラミネート装置を用いることが好ましいが、この熱ラミネート装置では、熱ラミネート手段の前段に、被積層材料を繰り出す被積層材料繰出手段を設けてもよいし、熱ラミネート手段の後段に、被積層材料を巻き取る被積層材料巻取手段を設けてもよい。 これらの手段を設けることで、上記熱ラミネート装置の生産性をより一層向上させることができる。 上記被積層材料繰出手段および被積層材料巻取手段の具体的な構成は特に限定されるものではなく、例えば、接着フィルムや金属箔、あるいは得られる積層板を巻き取ることのできる公知のロール状巻取機等を挙げることができる。 さらに、保護材料を巻き取ったり繰り出したりする保護材料巻取手段や保護材料繰出手段を設けると、より好ましい。 これら保護材料巻取手段・保護材料繰出手段を備えていれば、熱ラミネート工程で、一度使用された保護材料を巻き取って繰り出し側に再度設置することで、保護材料を再使用することができる。 また、保護材料を巻き取る際に、保護材料の両端部を揃えるために、端部位置検出手段および巻取位置修正手段を設けてもよい。 これによって、精度よく保護材料の端部を揃えて巻き取ることができるので、再使用の効率を高めることができる。 なお、これら保護材料巻取手段、保護材料繰出手段、端部位置検出手段および巻取位置修正手段の具体的な構成は特に限定されるものではなく、従来公知の各種装置を用いることができる。 本発明にかかる製造方法により得られるフレキシブル金属張積層板においては、金属箔除去後に250℃、30分の加熱を行う前後の寸法変化率が、MD方向、TD方向共に−0.04〜+0.04%の範囲にあることが非常に好ましい。 加熱前後の寸法変化率は、エッチング工程後のフレキシブル金属張積層板における所定の寸法および加熱工程後の所定の寸法の差分と、上記加熱工程前の所定の寸法との比で表される。 寸法変化率がこの範囲内から外れると、フレキシブル金属張積層板において、部品搭載時の寸法変化が大きくなってしまい、設計段階での部品搭載位置からずれることになる。 その結果、実装する部品と基板とが良好に接続されなくなるおそれがある。 換言すれば、寸法変化率が上記範囲内であれば、部品搭載に支障がないと見なすことが可能になる。 上記寸法変化率の測定方法は特に限定されるものではなく、フレキシブル金属張積層板において、エッチングまたは加熱工程の前後に生じる寸法の増減を測定できる方法であれば、従来公知のどのような方法でも用いることができる。 ここで、寸法変化率の測定は、MD方向、TD方向の双方について測定することが必須となる。 連続的にイミド化並びにラミネートする場合、MD方向およびTD方向では張力のかかり方が異なるため、熱膨張・収縮の度合いに差が現れ、寸法変化率も異なる。 従って、寸法変化率の小さい材料では、MD方向およびTD方向の双方ともに変化率が小さいことが要求される。 本発明においては、フレキシブル金属張積層板の、金属箔除去後に250℃、30分の加熱を行う前後の寸法変化率の合計値が、MD方向、TD方向共に−0.04〜+0.04%の範囲にあることが非常に好ましい。 更に、本発明の接着フィルムに使用しているコア層のポリイミドフィルムは、前述した通り、熱応力を有効に緩和する特性を持たせているため、より熱応力の影響を受けやすい15μm以下の厚みの接着フィルムを用いた場合でも、得られるフレキシブル金属張積層板の寸法変化率を小さくできる。 具体的には、金属箔除去後に250℃、30分の加熱を行う前後の寸法変化率が、MD方向、TD方向共に−0.05〜+0.05%の範囲となる。 なお、寸法変化率を測定する際の加熱工程においては、250℃で30分間加熱がなされれば良く、具体的な条件は特に限定されない。 本発明にかかる製造方法によって得られるフレキシブル金属張積層板は、前述したように、金属箔をエッチングして所望のパターン配線を形成すれば、各種の小型化、高密度化された部品を実装したフレキシブル配線板として用いることができる。 もちろん、本発明の用途はこれに限定されるものではなく、金属箔を含む積層体であれば、種々の用途に利用できることはいうまでもない。 以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。 なお、合成例、実施例及び比較例における熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度、ポリイミドフィルムの貯蔵弾性率、引張弾性率、吸湿膨張係数、分子配向軸角度並びに線膨張係数、フレキシブル金属張積層板の寸法変化率、金属箔引き剥し強度、吸湿半田耐性の評価法は次の通りである。 (ガラス転移温度) (引張弾性率) (線膨張係数) (金属箔の引き剥がし強度:接着強度) (フレキシブル金属張積層板の半田耐性) (合成例1;熱可塑性ポリイミド前駆体の合成) (実施例1〜6;ポリイミドフィルムの合成) (実施例7;ポリイミドフィルムの合成) (実施例8;ポリイミドフィルムの合成) (実施例9;ポリイミドフィルムの合成) (実施例10〜14;ポリイミドフィルムの合成) (実施例15;ポリイミドフィルムの合成) (実施例16;ポリイミドフィルムの合成) (実施例17〜32) (比較例1) (比較例2) (比較例3) (比較例4) 各実施例、比較例で得られたポリイミドフィルムならびにフレキシブル金属張積層板の特性を評価した結果を表2〜4に示す。 比較例1〜4に示すように、コアフィルムの貯蔵弾性率、tanδピークが規定範囲外である場合は、熱ラミネート時に材料にかかる応力を効率良く緩和できず、寸法変化率が大きくなるという結果となった。 特に、接着フィルム厚が薄くなると、更に寸法変化率が大きくなるという結果となっている。 これに対し、全ての特性が所定範囲内となっているコアフィルムを使用した実施例17〜32では熱ラミネート法で作製しても寸法変化の発生が抑制される結果となった。 特に、接着フィルム厚が薄い実施例25〜32においても、実施例17〜24と同等の寸法変化率となっている。 また、貯蔵弾性率を制御しても接着強度や半田耐性には何ら影響が無く、実使用でも問題無い結果となっている。 1 ゲルフィルム把持部材(ゲルフィルムの端部把持装置) 本発明のポリイミドフィルムは、フレキシブル銅張り積層板の製造工程で発生する寸法変化を抑制することができる。 特に、ラミネート時の熱応力を緩和すべく、貯蔵弾性率の変曲点を持たせており、かつその値を制御している。 その結果、該ポリイミドフィルムをコアに使用した接着フィルムに、ラミネート法で金属箔を貼り合わせたフレキシブル金属張積層板は、寸法変化の発生が効果的に抑制されている。 具体的には、金属箔除去後に250℃、30分の加熱を行う前後の寸法変化率を、MD方向、TD方向共に−0.04〜+0.04%の範囲とすることが可能である。 従って、微細な配線を形成したFPC等にも好適に用いることが可能で、位置ずれ等の問題を改善できる。 |