炭素熱源及び香味吸引具

申请号 JP2016091932 申请日 2016-04-28 公开(公告)号 JP6175539B2 公开(公告)日 2017-08-02
申请人 日本たばこ産業株式会社; 发明人 秋山 健; 小林 朋広; 山田 学;
摘要
权利要求

柱状形状の炭素熱源であって、 パフ側の端面を有しており、前記柱状形状の炭素熱源の長手軸方向に通気連通する1つの空洞を有する筒部と、 着火側の端面を有する着火端部とを具備しており、 前記着火側の端面は、前記空洞に連通する溝を有することを特徴とする炭素熱源。前記溝は、前記着火端部の側面に露出することを特徴とする請求項1に記載の炭素熱源。前記筒部及び前記着火端部は、一体成形体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の炭素熱源。前記筒部及び前記着火端部によって前記柱状形状が形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の炭素熱源。前記空洞は、前記着火端部の前記着火側の端面まで伸びており、 前記溝は、前記着火端部に設けられる前記空洞である空隙を介して、前記筒部に設けられる前記空洞に連通することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の炭素熱源。前記空隙の径は、前記筒部に設けられる前記空洞の径と同じであることを特徴とする請求項5に記載の炭素熱源。前記溝は、前記着火側の端面において十字形状を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の炭素熱源。

说明书全文

本発明は、炭素熱源及び香味吸引具に関する。

従来、炭素熱源を有し、かかる炭素熱源から発生する熱によって香味発生源を加熱するように構成されている香味吸引具について、種々の提案が行われている。

例えば、特許文献1には、着火性を向上させるために、着火面(着火側の端面)に着火面を横切る畝溝が形成された炭素熱源を有する香味吸引具が記載されている。

また、特許文献2には、直径1.5mm〜3mmの貫通孔を有する円柱形状の炭素熱源を有する香味吸引具が記載されている。

ここで、香味吸引具に用いられる炭素熱源は、以下の条件を満たすことが好ましい。

1つ目の条件は、燃焼開始時から初期パフ(吸煙)時までの期間において、着火性が良好であり、十分な熱量を供給することである。

また、2つ目の条件は、中盤から後半にかけてのパフ(吸煙)時において、発熱量の変動が少なく、安定した熱量を供給することである。

これに対して、特許文献1に記載されている炭素熱源は、着火面に形成された溝によって、燃焼開始時から初期パフ時までの期間における着火性については向上させることができるが、ライター等の着火源及び着火端部の接触面積を増大させているのみで、燃焼開始時から初期パフ時までの期間における空気流路について着火端部に効率的に熱が伝達する構成となっていないため、その効果は不十分である。

また、特許文献1に記載されている炭素熱源は、炭素熱源において発生した熱を当該炭素熱源の囲包部材や保持部材を介して香味発生源へ伝達する構成の香味吸引具で用いられることを想定しているため、炭素熱源において発生した熱を主に対流伝熱によって香味発生源へ伝達する構成の香味吸引具で用いられた場合には、中盤から後半にかけてのパフ時における安定した熱量の供給は困難であるという問題点があった。

また、特許文献2に記載されている炭素熱源は、全長に渡って均一な円柱形状であるため、すなわち、着火面において溝等が形成されていないため、一般に流通しているライター等の着火源では、着火面に効率的に熱を伝達することが困難であり、燃焼開始時から初期パフ時までの期間において、良好な着火性を得ることが困難であるという問題点があった。

これら特許文献1及び2のように、従来の一体成型された炭素熱源において、燃焼開始時から初期パフ時における良好な着火性と、中盤から後半にかけてのパフ時における安定した熱量供給とを両立することは、非常に困難であった。

特開平5−103836号公報

特表2010−535530号公報

第1の特徴に係る柱状形状の炭素熱源は、前記炭素熱源の長手軸方向に通気連通する1つの空洞が設けられている筒部と、前記筒部よりも前記炭素熱源の着火側に設けられている着火端部とを具備する。前記着火端部における前記着火側の端面に、前記空洞と連通する溝が形成されている。前記着火端部は、前記筒部に設けられた前記空洞の延長方向において前記空洞に連通する空隙を有する。前記溝は、前記空隙とは別に形成される。

第1の特徴において、前記溝部は、前記着火端部の側面に露出する。

第1の特徴において、前記筒部は、円筒形状を有する。前記空洞の直径と前記炭素熱源の外径との差は、1mm以上となるように構成されている。

第1の特徴において、前記筒部及び前記着火端部は、一体成形されている。

第1の特徴において、前記炭素熱源の長手軸方向において、前記炭素熱源のサイズは、10mm〜30mmとなるように構成されている。前記長手軸方向に直交する方向において、前記炭素熱源のサイズは、4mm〜8mmとなるように構成されている。

第1の特徴において、前記炭素熱源の長手軸方向に直交する方向において、前記空洞のサイズは、1mm〜4mmとなるように構成されている。

本発明の第2の特徴は、第1の特徴を有する炭素熱源を具備する香味吸引具であることを要旨とする。

図1は、本発明の実施形態に係る炭素熱源を有する香味吸引具について示す図である。

図2は、本発明の実施形態に係る炭素熱源について示す図である。

図3は、本発明の実施形態に係る炭素熱源について示す図である。

図4は、本発明の実施形態に係る炭素熱源における着火面に形成される溝の一例について示す図である。

図5は、本発明の実施形態に係る炭素熱源における着火面に形成される溝の一例について示す図である。

図6は、本実施形態に係る炭素熱源10を製造する方法について説明するための図である。

図7は、本発明の実施例1を説明するための図である。

図8は、本発明の実施例2を説明するための図である。

図9は、本発明の変更例1に係る炭素熱源について示す図である。

図10は、本発明の変更例1に係る炭素熱源について示す図である。

図11は、本発明の変更例2に係る炭素熱源について示す図である。

(本発明の一実施形態) 図1乃至図6を参照して、本発明の一実施形態に係る香味吸引具1について説明する。

ここで、図1は、本実施形態に係る香味吸引具1を側面方向から見た図であり、図2(a)は、本実施形態に係る炭素熱源10を側面方向Zから見た図であり、図2(b)は、本実施形態に係る炭素熱源10を着火面方向Xから見た図であり、図2(c)は、本実施形態に係る炭素熱源10を着火面Eの反対面(パフ側の端面)方向Yから見た図である。

図1に示すように、本実施形態に係る香味吸引具1は、香味発生源2と、炭素熱源10と、香味発生源2及び炭素熱源10を保持するホルダ3を具備している。

香味発生源2は、炭素熱源10によって生じた熱が伝達されることによって、香味を放出する。

香味発生源2としては、例えば、たばこ葉を用いることができ、シガレット(紙巻きたばこ)に使用される一般的な刻みたばこや、嗅ぎたばこに使用される粒状たばこや、ロールたばこや、成形たばこ等のたばこ原料を採用することができる。また、香味発生源2として、多孔質素材又は非多孔質素材の担持体を採用してもよい。

なお、ロールたばこは、シート状の再生たばこをロール状に成形して得られ、内部に流路を有する。また、成形たばこは、粒状たばこを型成形することによって得られる。

さらに、上述の香味発生源2として用いられるたばこ原料又は担持体には、所望の香料が含まれていてもよい。

ホルダ3は、例えば、矩形形状の厚紙を円筒状に湾曲させて両側縁部を合わせて中空の円筒体として形成された紙管によって構成されていてもよい。

なお、ホルダ2内部において、炭素熱源10と香味発生源2との間に、空隙部又は通気性を有する不燃部材を配置することによって、炭素熱源10及び香味発生源2が隣接しないように構成されていてもよい。

また、図1に示すように、炭素熱源10の少なくとも一部をホルダ3から露出させることで、炭素熱源10の燃焼状態の視認性を向上させることができる。

図2及び図3に示すように、炭素熱源10は、円柱形状であって、円筒部11と、着火側端部12とを具備している。

図2(a)に示すように、円筒部11には、炭素熱源10の長手軸方向Lに通気連通する空洞11Aが設けられている。

また、図2(c)に示すように、かかる空洞11Aは、炭素熱源10の全長に渡って、円筒部11の中心軸と同一の中心軸を有する同軸円柱の形状を有していてもよい。かかる場合、空洞11Aの製造工程を容易にすることができる。

ここで、中盤から後半にかけてのパフ時において、安定した熱量を供給するため、すなわち、自然燃焼時(非吸煙時)における発熱量とパフ時における発熱量との間の変動量を抑制するためには、パフ時における流入空気と燃焼領域との接触面積を低減した形状とすることが好ましい。

したがって、例えば、図2(a)に示すように単一の空洞11Aのみを有する円筒形状とすることで、自然燃焼時における発熱量とパフ時における発熱量との間の変動量を抑制することが可能となる。

ここで、空洞11Aの直径R1と炭素熱源(円筒部11)の外径R2との差(円筒部11の肉厚)は、炭素熱源のカーボン配合割合等に応じて十分な着火性を得るための数値が適宜選択されるが、1mm以上、好ましくは、1.5mm以上、より好ましくは、2.0mm以上となるように構成されていてもよい。かかる構成によって、ユーザは、香味の吸引を十分な回数行うことができる。

また、空洞11Aの直径R1は、1mm以上、好ましくは、1.5mm以上、より好ましくは、2.0mm以上となるように構成されていてもよい。かかる構成によって、吸引時に生じる圧損失を低減することができる。

或いは、かかる空洞11Aは、円錐形状等のように、長手軸方向Lに沿って異なる直径となる形状を有していてもよい。かかる場合、中盤から後半にかけてのパフ時において供給する熱量を精密に制御することができる。

図2(a)に示すように、着火端部12は、円筒部11よりも炭素熱源10の着火側(着火面E)側に設けられている。着火端部12は、円筒部11に設けられた空洞11Aの延長方向において空洞11Aに連通する空隙を有する。第1実施形態において、着火端部12の空隙は、空洞11Aよりも小さい径を有している。但し、着火端部12の空隙は、空洞11Aと同じ径を有していてもよい。

また、図2(b)及び図3に示すように、着火端部12における着火面Eに、空洞11Aと連通する溝12Aが形成されている。溝12Aは、着火端部12の空隙とは別に形成されることに留意すべきである。すなわち、炭素熱源の全体に亘って長手軸方向Lに沿った空洞が形成されており、空洞が着火端Eに露出しているケースにおいて、着火端Eに露出する空洞は、溝12Aには該当しないことに留意すべきである。かかる構成によれば、「着火面Eの面積(溝12Aが形成されている部分の面積を除く)」を小さくし、「溝12Aにおける溝壁の面積」を大きくするため、ライター等の着火源の熱が効率的に着火端部に伝達し、燃焼開始時から初期パフ時までの期間において、良好な着火性を得ることができる。

すなわち、十分な着火性を得るためには、「着火面Eの面積(溝12Aが形成されている部分の面積を除く)」に対する「溝12Aにおける溝壁の面積」の割合、「溝12Aにおける溝壁の面積」/「着火面Eの面積(溝12Aが形成されている部分の面積を除く)」が大きい方が望ましい。

この「着火面Eの面積(溝12Aが形成されている部分の面積を除く)」に対する「溝12Aにおける溝壁の面積」の割合は、炭素熱源のカーボン配合割合等に応じて十分な着火性を得るための数値が適宜選択されるが、例えば、0.5以上、好ましくは、1.25以上、さらに好ましくは、2.5以上とすることで十分な着火性を得ることができる。

ここで、「着火面Eの面積(溝12Aが形成されている部分の面積を除く)」は、図5に示す斜線部分の面積であり、「溝12Aにおける溝壁の面積」は、「着火面Eにおける溝12Aの全長(図5に示すA〜Hの8辺の長さの合計)」×「溝12Aの深さ」によって算出される面積である。

なお、溝12Aは、空洞11Aと連通する形状であれば、任意の配置とすることができる。

例えば、図2(b)及び図3に示すように、溝12Aは、着火端部12の側面12Bに露出していてもよい。かかる構成によれば、燃焼開始時から初期パフ時までの期間において、より効率的に溝12Aの側壁を燃焼せしめることができ、さらに着火性が向上する。

また、例えば、図2(b)に示すように、着火面Eにおいて、2本の溝12Aが、直交するように配置されていてもよいし、図4に示すように、着火面Eにおいて、3本の溝12Aが、60℃で交差するように配置されていてもよい。

ここで、着火面Eを均等に分割するように、複数の溝12Aを配置することで、燃焼開始時から初期パフ時までの期間において、着火面E全体に均一且つ効率的に熱を伝達することができる。

なお、溝12Aは、曲線状として配置されていてもよいし、各々の溝が空洞11Aに連通していれば、複数の溝12Aが、空洞11Aの中心以外の位置で交差するように配置されていてもよい。

さらに、溝12Aは、例えば、空洞11Aに向かって深くなるように傾斜していてもよい。

また、着火面E内の様々な位置において複数の曲線状の溝12Aや直線状の溝12Aを交差させることで、着火面Eにおいて、複数の突起形状が設けられることになってもよい。

また、溝12Aの深さを深くすることで、着火端部における空気の流路の面積が大きくなり、より着火性を向上させることができる。

なお、着火性の向上には、溝12Aよりも効果は低減するものの、デザイン性等の観点から、溝12Aと併せて空洞11Aと連通しない溝等の加工を施すことも本発明に含まれることは勿論である。

さらに、着火面Eに対して、面取り加工を施すことで、着火面Eにおける欠けを防止することができる。

また、炭素熱源10(すなわち、円筒部11及び着火側端部12)は、後述するように、押出や打錠や圧鋳込み等の方法によって、一体成形されていてもよい。

さらに、炭素熱源10の長手軸方向Lの長さL1は、8mm〜30mm、好ましくは、10mm〜30mm、より好ましくは、10mm〜15mmとなるように構成されていてもよい。かかる構成の炭素熱源10は、香味吸引具の熱源として好適に採用することができる。

また、炭素熱源10の外径R2は、4mm〜8mm、より好ましくは、5mm〜7mmとなるように構成されていてもよい。かかる構成の炭素熱源10は、香味吸引具の熱源として好適に採用することができる。

なお、円筒部11の外径及び着火端部12の外径は、炭素熱源10の外径R2と同じになるように構成されている。

また、長手軸方向Lにおける円筒部11の長さは、着火端部12の機能(着火性)を阻害しない範囲で任意に設定され得る。例えば、長手軸方向Lにおける円筒部11の長さは、長手軸方向Lにおける炭素熱源10の全長から、上述の溝12Aの深さを減じた長さであってもよい。

以下、図6を参照して、本実施形態に係る炭素熱源10を製造する方法の一例について説明する。

図6に示すように、ステップS101において、炭素熱源10についての一次成形を行う。

一次成形時の炭素熱源10は、空洞11Aが設けられていない円柱形状を有していてもよいし、長手軸方向に通気連通する空洞11Aが設けられている円柱形状を有していてもよい。

ここで、植物由来の炭素材料や不燃添加物やバインダ(有機バインダ又は無機バインダ)や等を含む混合物を、押出、打錠、圧鋳込み等の方法によって一体成形することで、炭素熱源10を得ることができる。

なお、かかる炭素材料としては、加熱処理等によって揮発性の不純物を除去したものを用いることが望ましい。

また、炭素熱源10は、10重量%〜99重量%の範囲の炭素材料を含むことができる。ここで、十分な熱量の供給や灰締まり等の燃焼特性の観点から、炭素熱源10は、30重量%〜70重量%の範囲の炭素材料を含むことが好ましく、40重量%〜50重量%の範囲の炭素材料を含むことがより好ましい。

有機バインダとしては、例えば、CMC(カルボキシメチルセルロース)、CMC−Na(カルボキシメチルセルロースナトリウム)、アルギン酸塩、EVA、PVA、PVAC及び糖類の少なくとも1つを含む混合物を使用することができる。

また、無機バインダとしては、例えば、精製ベントナイト等の鉱物系、又は、コロイダルシリカや水ガラスやケイ酸カルシウム等のシリカ系バインダを使用することができる。

例えば、香味の観点から、上述のバインダが、1重量%〜10重量%のCMC又はCMC−Naを含むことが好ましく、1重量%〜8重量%のCMC又はCMC−Naを含むことがより好ましい。

また、不燃添加物としては、例えば、ナトリウムやカリウムやカルシウムやマグネシウムやケイ素等からなる炭素塩又は酸化物を使用することができる。なお、炭素熱源10は、40重量%〜89重量%の不燃添加物を含むことができる。

ここで、不燃添加物として、炭酸カルシウムを使用し、炭素熱源10が、40重量%〜55重量%の不燃添加物を含むことが好ましい。

炭素熱源10は、燃焼特性を改善する目的で、塩化ナトリウム等のアルカリ金属塩を、1重量%以下の割合で含んでもよい。

ステップS102において、円筒部11を形成するための加工を行う。例えば、一次成形された炭素熱源10の一方の端面(パフ側の端面)より、ドリルにて所定位置まで穴を開けることで、空洞11Aを有する円筒部11を形成する。

ステップS103において、着火端部12を形成するための加工を行う。例えば、ステップS102でドリルを挿入した面(パフ側の端面)と反対側の面(着火面)に、ダイヤモンドカッティングディスクにて、所定加工を施すことによって、溝12Aを形成する。

ここで、炭素熱源10の組成(カーボン配合率等)や外径R2に応じて、溝12Aの本数や深さや幅等を適宜調整することで、良好な着火性を得ることができる。

なお、ステップS102及びステップS103の順序は、反対であってもよい。また、一次成形において空洞11Aが形成されている場合、ステップS102は、省略されてもよい。

本実施形態に係る香味吸引具1及び炭素熱源10によれば、着火面Eにおいて、溝12Aを形成すると共に、円筒部11において、炭素熱源10の長手軸方向Lに通気連通する空洞11Aを形成することで、着火面Eにおける良好な着火性及び円筒部11における安定した熱量の供給を同時に満たすことができる。

(実施例1) 図7を参照して、着火面Eにおける溝12Aの形状及び着火性の関係を評価するために行った試験について説明する。

かかる試験では、以下のように、複数の試験用サンプルA-1〜E-3を製造した。各試験用サンプルA-1〜E-3における溝12Aの幅や深さや本数について、表1に示す。

第1に、100gの活性炭と90gの炭酸カルシウムと10gのCMC(エーテル化度0.6)とを混合した後、1gの塩化ナトリウムを含む270gの水を加えて、さらに混合した。

第2に、かかる混合物を混練した後、外径6mmで且つ内径0.7mmの円柱形状となるように押出成形を行った。

第3に、かかる押出成形によって得られた成形物を乾燥した後、13mmの長さに切断し、一次成形体(一次成形時の炭素熱源10)を得た。

第4に、一次成形体の一方の端面(パフ側の端面)より、2mm径のドリルにて所定位置まで穴を開けることで、空洞11Aを有する円筒部11を形成した。

第5に、ステップS102でドリルを挿入した面(パフ側の端面)と反対側の面(着火面)に、ダイヤモンドカッティングディスクにて、所定加工を施すことによって、溝12Aを形成した。

その後、各試験用サンプルA-1〜E-3(炭素熱源10)に対して、以下の方法で、着火性の評価試験を行った。

第1に、図7に示すように、各試験用サンプルA-1〜E-3(炭素熱源10)の円筒部11を、紙管によって形成されているホルダ3に接続する。

第2に、市販のガスライター100を使用し、各試験用サンプル(炭素熱源10)を、ガスライター100の炎に接触させ、3秒間、加熱した後、55ml/2秒でパフする。ここで、かかるパフを、15秒間隔で繰り返した。

各試験用サンプルA-1〜E-3における着火性の評価試験の結果について、表1に示す。

ここで、着火性の評価試験として、「最初のパフ後における各試験用サンプルの着火面の燃焼状態(着火面の全体が燃焼するか否か)」及び「2回目のパフ後における燃焼の持続の可否(均一に燃焼が持続するか)」について確認した。

かかる評価試験の結果によれば、溝12Aの本数が「2本」である場合、溝12Aの深さを「2mm以上」とすることで、市販のガスライター100でも十分な着火性を有することが確認できた。

また、溝12Aの深さが「1mm」の場合であっても、溝12Aの本数を「3本以上」とすることで、着火性が向上する傾向が認められた。

また、かかる評価試験の結果によれば、着火面に対する溝壁の面積比(「着火面Eの面積(溝12Aが形成されている部分の面積を除く)」に対する「溝12Aにおける溝壁の面積」の割合) が大きいほど、着火性が向上していることが分かる。

なお、溝深さとは、長手軸方向Lにおいて、着火面Eから溝12Aの底までの距離である。溝幅は、着火面Eにおいて、溝12Aの延長方向に直交する方向における溝12Aのサイズである。

(実施例2) 以下において、実施例2について説明する。実施例2では、図8に示す複数のサンプル(サンプルL−1〜サンプルM−2)を作成して、パフ間の温度差及び燃焼持続パフ回数について確認した。

各サンプルは、活性炭、炭酸カルシウム及びCMCによって構成される炭素熱源である。サンプルの総重量が100重量%である場合に、サンプルは、80重量%の活性炭、15重量%の炭酸カルシウム及び5重量%のCMCによって構成される。長手軸方向Lにおける各サンプルの全長は、15mmである。各サンプルが有する空洞の数、空洞のサイズ及び空洞の個数は、図8に示す通りである。

このようなサンプルを紙管に挿入して、市販のガスライターの炎を3秒間に亘って着火端に接触させた後に55ml/2秒のパフを行った。

図8に示すように、複数の空洞を有するサンプルM−1〜サンプルM−2と比べて、単数の空洞を有するサンプルL−1〜サンプルL−3では、パフ間の温度差及び燃焼持続パフ回数の双方において良好な結果が得られた。

すなわち、複数の空洞が設けられる場合と比べて、単数の空洞が設けられる場合に、“成形体断面積/流路周長”が大きいため、パフ間の温度差が縮小することが確認された。また、複数の空洞が設けられる場合と比べて、単数の空洞が設けられる場合に、“成形体断面積/流路周長”が大きいため、パフ回数が増加することが確認された。

(変更例1) 以下において、上述した実施形態の変更例1について説明する。以下においては、上述した実施形態に対する相違点について説明する。

図9及び図10は、変更例1に係る炭素熱源10を示す図である。図9は、炭素熱源10を着火側の端面(以下、着火面E)側から見た図である。図10は、図9に示すS断面をT側から見た図である。S断面は、空洞11Aの中心を通り、かつ、溝12Aを通る断面である。図10においては、説明の便宜上、手前側に見える稜線を点線で示していることに留意すべきである。

図9に示すように、炭素熱源10の着火面Eには、空洞11Aの中心を通る十字形状の溝12Aが形成されている。

変更例1において、着火端部12は、円筒部11に設けられた空洞11Aの延長方向において空洞11Aに連通する空隙を有する。変更例1において、着火端部12の空隙は、空洞11Aと同じ径を有している。十字形状の溝12Aは、着火端部12の空隙とは別に形成されることに留意すべきである。

上述した実施形態で既に述べたように、着火面Eに面取り加工が施されていてもよい。例えば、図9及び図10に示すように、着火面Eにおいて径方向の外側端U1には面取り加工が施されている。着火面Eにおいて径方向の内側端U2には面取り加工が施されている。着火面Eの反対側に設けられた非着火端において径方向の外側端U3には面取り加工が施されている。すなわち、外側端U1、内側端U2及び外側端UEは、長手軸方向Lに対する垂直面に対して傾きを有している。このような面取り加工によって、炭素熱源10の欠けが抑制される。

ここで、空洞11Aの直径φは、例えば、2.5mmである。各溝12Aの溝幅は、空洞11Aの直径φよりも小さく、例えば、1mmである。長手軸方向Lにおける炭素熱源10の全長は、例えば、17mmである。長手軸方向Lにおける着火端部12の長さは、例えば、2mmである。長手軸方向Lにおいて、着火端部12のうち、面取り加工が施される部位の長さは、例えば、0.5mmである。すなわち、長手軸方向Lにおいて、着火端部12のうち、面取り加工が施されていない部位の長さは、1.5mmである。

なお、変更例1では、炭素熱源10(円筒部11及び着火端部12)は、一体成形されていることに留意すべきである。例えば、炭素材料によって構成されており、長手軸方向に沿って延びる空洞を有する塊体を押出や打錠や圧鋳込み等の方法によって形成した後に、着火端面の切削によって溝を形成してもよい。

(変更例2) 以下において、上述した実施形態の変更例2について説明する。以下においては、上述した実施形態に対する相違点について説明する。図11は、変更例2に係る炭素熱源10を示す図である。なお、図11では、説明の便宜上、円筒部11の外形を長手軸方向Lに沿って延長することによって、着火端部12の外形が仮想的に点線で示されている。

上述した実施形態で既に述べたように、着火面Eにおいて、複数の突起形状が形成されてもよい。具体的には、図11に示すように、着火端部12は、複数の突起12Pを有する。複数の突起12Pの先端は、着火面Eを構成する。上述した溝12Bは、互いに隣接する突起12Pの間の空間である。

以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。

例えば、実施形態において、炭素熱源10は、円柱形状を有するが、実施形態は、これに限定されるものではない。炭素熱源10は、柱形状を有していてもよい。実施形態において、長手軸方向Lに直交する断面において、空洞11Aは円形形状を有するが、実施形態は、これに限定されるものではない。長手軸方向Lに直交する断面において、空洞11Aは、矩形形状、楕円形状を有していてもよい。このようなケースにおいて、空洞11Aの直径R1及び炭素熱源10の外径R2は、長手軸方向Lに直交する方向のサイズと読み替えてもよい。このようなケースにおいて、長手軸方向Lに直交する方向のサイズは、長手軸方向Lに直交する断面において炭素熱源10(空洞11A)の中心を通る直線の最大長さであってもよく、最小長さであってもよく、平均長さであってもよい。

なお、日本国特許出願第2012−083184号(2012年3月30日出願)の全内容が、参照により、本願明細書に組み込まれている。

以上説明したように、本発明によれば、燃焼開始時から初期パフ時までの期間における着火性が良好であり、かつ、中盤から後半にかけてのパフ時における安定した熱量の供給を実現することができる炭素熱源及び香味吸引具を提供することができる。

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