A method of manufacturing a smoking article for the perfume-containing sheet, the smoking article for the perfume-containing sheet is produced by the method, and smoking article comprising it |
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申请号 | JP2013502344 | 申请日 | 2012-02-27 | 公开(公告)号 | JP5514952B2 | 公开(公告)日 | 2014-06-04 |
申请人 | 日本たばこ産業株式会社; | 发明人 | 康男 田中; 達也 日下部; | ||||
摘要 | |||||||
权利要求 | カラギーナンおよびゲランガムの少なくとも一つを含む多糖類、香料、乳化剤、並びに70〜95重量%の水を含み、多糖類を基準とした香料の含有量が100〜1000重量%の範囲にあり、ゾル状態にある60〜90℃の原料スラリーを基材上に伸展させる工程、 伸展させた原料スラリーを0〜40℃の試料温度に冷却してゲル化させる工程、および ゲル化した原料を加熱して、70〜100℃の試料温度で乾燥させることを含む加熱乾燥工程を含むことを特徴とする喫煙物品用香料含有シートの製造方法。 前記乳化剤が、多糖類に対して0.5〜5重量%のレシチンであることを特徴とする、請求項1記載の喫煙物品用香料含有シートの製造方法。 前記乳化剤が、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよびショ糖脂肪酸エステルからなる群より選択されるエステルであることを特徴とする、請求項2記載の喫煙物品用香料含有シートの製造方法。 前記多糖類が、原料スラリー中に2〜6重量%の濃度で含有されることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項記載の喫煙物品用香料含有シートの製造方法。 前記香料がメンソールであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の香料含有シートの製造方法。 前記メンソールの含有量が、多糖類に対して250〜500重量%の範囲にあることを特徴とする、請求項5記載の喫煙物品用香料含有シートの製造方法。 請求項1〜4の何れか1項記載の方法により製造されることを特徴とする喫煙物品用香料含有シート。 請求項5または6記載の方法により製造されることを特徴とする喫煙物品用香料含有シート。 製造後のシートにおけるメンソール含有量が45重量%以上であり、50℃で30日間蔵置した後のシートにおけるメンソール含有量が45重量%以上であることを特徴とする請求項8記載の喫煙物品用香料含有シート。 タバコ刻みを含む喫煙物品であって、前記タバコ刻みに、請求項7〜9の何れか1項記載の喫煙物品用香料含有シートの裁刻物が配合されていることを特徴とする喫煙物品。 タバコ刻みおよび該タバコ刻みの周囲を巻装するシガレット巻紙を含むタバコロッドを備えたシガレットであって、前記タバコ刻みに、請求項7〜9の何れか1項記載の喫煙物品用香料含有シートの裁刻物が配合されていることを特徴とするシガレット。 |
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说明书全文 | 本発明は、香料を含有し、喫煙物品に使用されるシートの製造方法、該方法により製造される喫煙物品用香料含有シート、およびそれを含む喫煙物品に関する。 メンソール等の揮発性を有する香料成分は、溶液状態でタバコ刻みに添加されると、長期間の蔵置において香料成分が散逸してしまい、香料効果が持続しないという問題がある。 この問題を解決するために、これまでに種々の報告が為されている。 特許文献1および特許文献2は、シガレットのフィルター部に香料成分を天然多糖類で被覆して配置することにより、香料成分の揮散・散逸を抑え、喫煙時にこれを押圧破壊して香料を放出させることを開示する。 また、特許文献3は、シガレットのフィルター部に、デキストリン等の水溶性マトリックスで香味成分を被覆して配置し、香味成分の揮散・散逸を抑え、喫煙時に主流煙中の水分により水溶性マトリックスを溶解させ、香料を放出させることを開示する。 このように、シガレットの非燃焼部であるフィルター部に香料成分を配置した場合、喫煙時にフィルター部を押圧する動作が必要であったり、主流煙中の水分で水溶性マトリックスを溶解させて香料を放出させるため、香味を味わうまでにタイムラグがあったりする。 一方、燃焼部であるタバコ刻みまたはそれを被包する巻紙に香料成分を配置させた例として、特許文献4〜6が報告されている。 特許文献4は、香味成分がグルカン分子の三次元網目構造の内部に取り込まれた香料素材を、タバコ充填材を被包する巻紙に塗布することを開示する。 特許文献4のシガレットは、香味成分をグルカン分子の三次元網目構造の内部に取り込んで固定、保持するため、保香性が良い。 しかし、香味成分は、グルカン分子内に比較的少ない量(20重量%以下)で存在するため、メンソールなどの比較的多くの添加量を必要とする香味成分の場合、香料素材のシガレットへの配合量が多量になる。 特許文献5は、液体香料とカラギーナンゾルとを混合してイオン溶液(カリウムイオンを含む溶液)に滴下して粒状ゲルを調製し、これを空気中で乾燥させることで「180℃まで安定な安定化芳香物質」を調製することを開示する。 しかし、特許文献5の方法は、粒状ゲルを空気中で乾燥させるため、大量の素材を調製するためには長い時間および大きな設備を必要とする。 また、この方法では、ゲル化のために金属イオン(ゲル化促進剤)を添加する。 特許文献6は、メンソール等の香料成分と多糖類を含有するスラリーを乾燥させて、香料成分が多糖類のゲルで被覆された状態で含有されるシートを作成し、これを裁刻してタバコ刻みに添加することを報告している。 この報告では、スラリーの乾燥に40℃で1週間の時間を要している。 以上記載したとおり、香料成分の揮散を抑制するための技術として種々の報告がなされているが、蔵置保香性を更に向上させた香料素材を簡便な手法で製造することが求められている。 本発明は、香料含有量が多く香料の調製歩留りが高い香料含有シートであって、喫煙物品に配合された際の蔵置保香性が高い喫煙物品用香料含有シートを短時間で製造することが可能な方法を提供すること、および喫煙物品に配合された際の蔵置保香性が高く、かつ短時間での製造が可能な喫煙物品用香料含有シートを提供することを目的とする。 かかる課題を解決するために本発明者が検討した結果、多糖類、香料および乳化剤を含有する原料スラリーを加熱乾燥させて香料含有シートを調製する際に、多糖類としてカラギーナンまたはゲランガムを使用し、かつ加熱乾燥前に一旦冷却した上で乾燥を行うと、高温の乾燥温度を採用した場合であっても、香料含有量が多く香料の調製歩留りが高いシートを製造することができ、かつそのシートは蔵置経過後も高い香料含有量を維持できることを見出し、本発明を完成させるに至った。 すなわち、本発明の一つの側面によれば、カラギーナンおよびゲランガムの少なくとも一つを含む多糖類、香料、乳化剤、並びに70〜95重量%の水を含み、多糖類を基準とした香料の含有量が100〜1000重量%の範囲にあり、ゾル状態にある60〜90℃の原料スラリーを基材上に伸展させる工程、伸展させた原料スラリーを0〜40℃の試料温度に冷却してゲル化させる工程、およびゲル化した原料を加熱して、70〜100℃の試料温度で乾燥させることを含む加熱乾燥工程を含むことを特徴とする喫煙物品用香料含有シートの製造方法が提供される。 好ましい態様によれば、前記乳化剤は、多糖類に対して0.5〜5重量%のレシチンである。 あるいは、好ましい態様によれば、前記乳化剤は、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよびショ糖脂肪酸エステルからなる群より選択されるエステルである。 好ましい態様によれば、前記多糖類は、原料スラリー中に2〜5重量%の濃度で含有される。 好ましい態様によれば、前記香料はメンソールであり、更に好ましい態様によれば、前記メンソールの含有量は、多糖類に対して250〜500重量%の範囲にある。 また、本発明の別の側面によれば、前記方法により製造されることを特徴とする喫煙物品用香料含有シートが提供される。 更に、本発明の別の側面によれば、タバコ刻みを含む喫煙物品であって、前記タバコ刻みに、前記喫煙物品用香料含有シートの裁刻物が配合されていることを特徴とする喫煙物品が提供される。 本発明の喫煙物品用香料含有シートの製造方法によれば、高い香料含有量を有し、香料の調製歩留りが高く、かつ喫煙物品に配合された際の蔵置保香性が高い喫煙物品用香料含有シートを短時間で製造することが可能である。 また、本発明の喫煙物品用香料含有シートは、シガレットに配合された際の蔵置保香性が高く、かつ短時間での製造が可能である。 以下、本発明を説明するが、以下の説明は、本発明を詳説することを目的とし、本発明を限定することを意図しない。 本発明の香料含有シートに含有される香料としては、喫煙物品に用いられる香料であれば限定されることなく任意の香料を使用することができる。 主な香料としては、メンソール、葉たばこ抽出エキス、天然植物性香料(例えば、シナモン、セージ、ハーブ、カモミール、葛草、甘茶、クローブ、ラベンダー、カルダモン、チョウジ、ナツメグ、ベルガモット、ゼラニウム、蜂蜜エッセンス、ローズ油、レモン、オレンジ、ケイ皮、キャラウェー、ジャスミン、ジンジャー、コリアンダー、バニラエキス、スペアミント、ペパーミント、カシア、コーヒー、セロリー、カスカリラ、サンダルウッド、ココア、イランイラン、フェンネル、アニス、リコリス、セントジョンズブレッド、スモモエキス、ピーチエキス等)、糖類(例えば、グルコース、フルクトース、異性化糖、カラメル等)、ココア類(パウダー、エキス等)、エステル類(例えば、酢酸イソアミル、酢酸リナリル、プロピオン酸イソアミル、酪酸リナリル等)、ケトン類(例えば、メントン、イオノン、ダマセノン、エチルマルトール等)、アルコール類(例えば、ゲラニオール、リナロール、アネトール、オイゲノール等)、アルデヒド類(例えば、バニリン、ベンズアルデヒド、アニスアルデヒド等)、ラクトン類(例えば、γ−ウンデカラクトン、γ−ノナラクトン等)、動物性香料(例えば、ムスク、アンバーグリス、シベット、カストリウム等)、炭化水素類(例えば、リモネン、ピネン等)が挙げられる。 好ましくは、乳化剤の添加により溶媒中で分散状態が形成されやすい香料、たとえば疎水性香料や油溶性香料等を用いることができる。 これら香料は、単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。 以下、香料としてメンソールを用いた場合を例に本発明を説明する。 1. 喫煙物品用メンソール含有シート 本発明の一態様において、喫煙物品用メンソール含有シート(以下メンソール含有シートという)は、 本明細書において「試料温度」は、試料(すなわちスラリーまたはシート)の表面の温度を意味する。 (1)原料スラリーの調製 本発明において原料スラリーは、(i)カラギーナンおよびゲランガムの少なくとも一つを含む多糖類と水とを混合、加熱して多糖類の水溶液を調製する工程と、(ii)かかる水溶液にメンソールと乳化剤とを加えて混練・乳化させる工程とを含む方法により調製することができる。 (i)の工程は、具体的には、多糖類を少量ずつ水に添加して攪拌しながら溶解させることにより行うことができる。 ここでの加熱温度は、60〜90℃、好ましくは75〜85℃とすることができる。 (ii)の工程は、原料スラリーが、上記加熱温度において10,000 mPas程度(ゾル状態)の乳化に支障のない粘度を有するため、ホモジナイザーを用いて公知の乳化技術により行うことができる。 多糖類は、原料スラリー中に2〜5重量%の濃度で含有されることが好ましい。 たとえば、原料スラリーが溶媒として10リットルの水を使用する場合、原料スラリーは、200〜500グラムの多糖類を含有することができる。 より好ましくは、多糖類は、原料スラリー中に3〜5重量%の濃度で含有される(後述の実施例10を参照)。 原料スラリーの配合は、たとえば、水10リットルに対して、500グラムの多糖類、500〜5000グラムのメンソール、5重量%の乳化剤溶液50〜500mlとすることができる。 原料スラリーの水分含量は、70〜95重量%、好ましくは80〜90重量%である。 原料スラリー中の多糖類とメンソールの割合(重量比)は、1:1〜1:10とすることができ、好ましくは、1:2.5〜1:5である。 すなわち、メンソールの配合量は、多糖類に対して100〜1000重量%とすることができ、好ましくは、多糖類に対して250〜500重量%である(後述の実施例11を参照)。 原料スラリー中の多糖類は、カラギーナンおよびゲランガムの一方を含んでいればよいが、両方を含んでいてもよい。 また、多糖類は、カラギーナンおよび/またはゲランガムのみから構成されていてもよいし、カラギーナンおよび/またはゲランガムに加えて、他の多糖類、たとえばタマリンドガムなどを含んでいてもよい。 ただし、他の多糖類は、カラギーナンおよびゲランガムの配合量以下で、スラリー中に含有される。 カラギーナンは、κ−カラギーナンを用いることができる。 本発明において多糖類は、加熱後の一旦冷却時にゲル化して、メンソールのミセルを固定して被覆する性質を有する。 カラギーナンおよびゲランガムについては、これらの水溶液が、温度に応答して特に優れたゾルゲル転移特性を示すことが本発明で見出されている(後述の実施例4および9を参照)。 すなわち、カラギーナン水溶液およびゲランガム水溶液は、一旦冷却してゲル化させると、その後、温度を上昇させてもゾルに戻りにくく、ゲル状態を維持することができるという特性を有する(図2Bおよび図7Bを参照)。 この特性により、カラギーナンまたはゲランガムで被覆されたメンソールは、一旦冷却した後に、加熱乾燥工程で高温に晒されたとしても、その被膜がゾルに戻りにくく、被膜内のメンソールを安定に維持することができる(図7Dおよび図7Fを参照)。 かかる特性を、本発明では、「温度応答性ゾル−ゲル転移特性」と称する。 このように、温度応答性ゾル−ゲル転移特性を有する多糖類は、メンソールを被覆して高い蔵置保香性を達成することができるという利点を有するとともに、ゲル化のために温度応答性ゾル−ゲル転移特性を利用すれば金属イオン(ゲル化促進剤)を添加しなくてもよいという利点も有する。 本発明においてメンソールは、l−メンソールを用いることができる。 本発明において乳化剤は、天然由来の乳化剤、たとえばレシチン、具体的にはサンレシチンA-1(太陽化学株式会社)を使用することができる。 乳化剤としてレシチンを使用した場合、レシチンは、多糖類に対して0.5〜5重量%の量でスラリー中に含有することができる。 多糖類としてカラギーナンを使用した場合、レシチン添加量は、多糖類に対して好ましくは0.5〜2重量%である。 また、多糖類としてゲランガムを使用した場合、レシチン添加量は、多糖類に対して好ましくは0.5〜5重量%、より好ましくは0.5〜2重量%である(後述の実施例12を参照)。 乳化剤として、レシチンの他に、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよびショ糖脂肪酸エステルからなる群より選択されるエステルを使用することができる。 グリセリン脂肪酸エステルは、たとえばモノステアリン酸モノグリセリドやコハク酸モノグリセリドなどの脂肪酸モノグリセリドを含み;ポリグリセリン脂肪酸エステルは、たとえばモノステアリン酸ペンタグリセリンを含み;ソルビタン脂肪酸エステルは、たとえばソルビタンモノステアレートを含み;プロピレングリコール脂肪酸エステルは、たとえばモノステアリン酸プロピレングリコールを含み;ショ糖脂肪酸エステルは、たとえばショ糖ステアリン酸エステルを含む(後述の実施例13を参照)。 これら乳化剤も、多糖類に対して0.5〜5重量%の量でスラリー中に含有することができる。 (2)原料スラリーの基材上への伸展 上述のとおり調製された60〜90℃の原料スラリーを、基材上に伸展させる。 原料スラリーの伸展は、原料スラリーをキャスティングゲートを使用したりスリットダイを通したりして基材上に押し出すことにより行うことができる。 基材としては、乾燥成形により作製されたメンソール含有シートが剥離され得る任意の基板を使用することができ、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(フタムラ化学株式会社 FE2001)を使用することができる。 原料スラリーは、たとえば、乾燥時の厚みが、通常のタバコ刻と同等の厚さである0.1mm程度になるように伸展させることができる。 (3)スラリーの乾燥成形前の冷却 本発明のメンソール含有シートの調製において、伸展させた原料スラリーは、乾燥させる前に、スラリーが十分にゲル化し(40℃以下)、かつ一般にエマルジョンが氷結して破壊されない温度(0℃以上)、すなわち0〜40℃、好ましくは0〜30℃、より好ましくは15〜25℃になるように一旦冷却する。 ここで冷却前の原料スラリーは、60〜90℃、好ましくは75〜85℃の温度を有し、ゾルの状態にある。 かかる予備冷却は、伸展させた原料スラリーに、単なる送風もしくはスポットクーラー(例えばスイデン SS-25DD-1)により発生させた冷風(例えば10℃)を2〜3分間あてることにより行うことができる。 あるいは、予備冷却は、伸展させた原料スラリーを、冷温水発生器(チラー、例えば(株)アピステ PCU-1600R)で発生させた冷媒(例えば10℃)を通した管に1〜2分間接触させることにより行ってもよい。 あるいは、予備冷却は、伸展させた原料スラリーを室温に放置することにより行ってもよい。 後述の実施例4および9に示されるとおり、上記で例示した多糖類の水溶液は、一旦冷却してゲル化すると、その後、温度を上昇させても、ゲルに転移した温度でも容易にはゾル化せず、ゲル化状態を維持することができるという性質を有する。 かかる性質を本発明で利用して、原料スラリーを乾燥させる前に予備冷却を行うと、予備冷却後の原料スラリーは、乾燥時に温度を上昇させても、そこに含まれる多糖類がゾル化しにくく、かかる多糖類で被覆されたメンソールは、揮散されにくいことが本発明で実証されている。 また、原料スラリーを基材上に伸展させて一旦冷却すると、その後の乾燥工程で高温に晒されても、伸展させた原料スラリーが型崩れしにくいという利点を有する。 かかる冷却が香料含有シート(たとえばメンソール含有シート)の蔵置保香性に及ぼす効果は、後述の実施例6(図4B)で実証され、より低い冷却温度が、より大きなメンソール含有量につながることが後述の実施例7(図5)で実証されている。 (4)スラリーの乾燥成形 伸展され冷却された原料スラリーの加熱乾燥は、熱風乾燥、赤外線加熱乾燥などの任意の加熱乾燥手段により行うことができる。 以下、原料スラリーの「加熱乾燥」は、単に「乾燥」ともいう。 本発明において原料スラリーの乾燥は、冷却された原料スラリーを加熱して、70〜100℃の試料温度で乾燥させることを含み、好ましくは全乾燥時間にわたって試料温度は100℃以下である。 このような試料温度で乾燥させることにより、メンソールの揮散を防ぐことができるとともに、短時間でメンソール含有シートを製造することが可能である。 ここで「試料温度」は、試料(すなわちスラリーまたはシート)の表面の温度を意味する。 また、「全乾燥時間」は、加熱乾燥機内で加熱されている期間を指す。 全乾燥時間は、一般に20分以下であり、好ましくは7〜20分、より好ましくは10〜18分である。 本発明では、乾燥工程の間に試料温度が70℃未満になってもよいが、乾燥時間の短縮のためには、試料温度が70℃未満である期間は短いことが好ましい。 また、本発明では、乾燥工程の間に試料温度が100℃を超えてもよいが、メンソールなどの香料を安定に維持するためには、試料温度が100℃を超える期間は短いことが好ましい。 したがって、好ましくは、原料スラリーの乾燥は、冷却された原料スラリーを、全乾燥時間の1/2以上の時間をかけて70〜100℃の試料温度で乾燥させることにより行うことができ、好ましくは全乾燥時間にわたって試料温度は100℃以下である。 より好ましくは、原料スラリーの乾燥は、冷却された原料スラリーを、全乾燥時間にわたって70〜100℃の試料温度で乾燥させることにより行うことができる。 ただし、加熱乾燥を開始した直後、加熱乾燥機内の試料の温度は、予備冷却温度から所望の試料温度(70℃)へ上昇中であり、所望の試料温度へ到達していないため、「全乾燥時間にわたって70〜100℃の試料温度で」と表現した場合の「全乾燥時間」は、試料温度が所望の試料温度へ上昇している冒頭期間を除く全乾燥時間を意味する。 たとえば、後述の実施例5(図3A〜3G)において、加熱乾燥の開始から約1分間の期間は、試料温度が所望の試料温度へ上昇中であるため、この冒頭期間は、「全乾燥時間にわたって70〜100℃の試料温度で」と表現した場合の「全乾燥時間」から除かれる。 好ましくは、原料スラリーの乾燥は、原料スラリーを、20分以下の全乾燥時間で、10%未満の水分含量を有するシートの形態まで乾燥させることにより行うことができる。 上述の試料温度の下で原料スラリーの乾燥を行った場合、乾燥により得られたシートは高い蔵置保香性を達成できることが後述の実施例5(図3D〜3G)で実証されている。 以下、熱風乾燥の場合について説明する。 熱風乾燥の場合、70〜100℃の試料温度を維持するために、好ましくは、100℃以上の温度を有する熱風による乾燥を、原料スラリーの最初の乾燥時に行い、その後、最初の熱風温度と同じ温度または最初の熱風温度より低い温度(好ましくは70℃以上100℃未満)でスラリーを乾燥させる。 これにより、乾燥の後期で試料温度が上昇するのを抑制することができ、たとえば、全乾燥時間にわたって試料温度が100℃を超えないように維持することができる。 本発明では、調製された原料スラリーを一旦冷却することにより、その後の乾燥工程の間に、試料温度が70〜100℃となるような乾燥操作(たとえば100℃以上の熱風による高温乾燥)が含まれていたとしても、作製されたメンソール含有シートは、メンソール含有量が大きく、メンソールの調製歩留りが高く、かつ蔵置後においてもメンソール含有量を高い値で維持することが可能である。 熱風乾燥の場合、熱風温度は、乾燥工程全体にわたって一定の温度であってもよいし、乾燥工程の間に変化させてもよい。 熱風温度を変化させる場合、好ましくは、原料スラリーの乾燥は、100℃以上の熱風による高温での初期乾燥とその後の100℃未満の熱風による低温での後期乾燥により行う。 本明細書において「初期乾燥」は、100℃以上の高温の熱風を使用した、乾燥工程の最初の乾燥を意味し、「後期乾燥」は、100℃未満の低温の熱風を使用した、初期乾燥に続く乾燥を意味する。 このように高温の熱風での初期乾燥と低温の熱風での後期乾燥を組み合わせて行うと、試料温度が高温になりすぎることがないという利点を有する。 熱風乾燥の場合、乾燥機内の温度は、熱風温度と同じである。 更に好ましくは、原料スラリーの乾燥は、 このように、高温の熱風での初期乾燥と低温の熱風での後期乾燥を組み合わせて行うことにより、後期乾燥で試料温度が上昇するのを抑制することができ、たとえば、試料温度が100℃を超えないように保つことができる。 これにより、本発明のメンソール含有シートは、作製後に高いメンソール含有量を有しているとともに、蔵置後においてもメンソール含有量を高い値で維持することが可能である(後述の実施例1の試料番号4、実施例2の試料番号5、および実施例3の試料番号6を参照)。 原料スラリーを熱風乾燥により乾燥させた場合、初期乾燥は、たとえば100℃以上130℃以下の熱風温度で4〜6分行うことができ、後期乾燥は、たとえば70℃以上100℃未満の熱風温度で4〜6分行うことができる。 熱風の風量は、たとえば3〜20m/秒とすることができる。 全乾燥時間は、一般に20分以下であり、好ましくは7〜20分、より好ましくは10〜18分である。 初期乾燥および後期乾燥の条件(温度、時間および風量)は、たとえば、上記範囲内で適宜設定することができる。 たとえば、原料スラリーの表面の水分が蒸発してスラリーの表面に充分な膜が形成されるまで100℃以上130℃以下の熱風温度で初期乾燥を行い、その後速やかに70℃以上100℃未満の熱風温度に切り替えて後期乾燥を行うことができる。 初期乾燥の間の熱風温度は、一定であってもよいし、100℃以上130℃以下の間で、順次低下するように変化させてもよい。 また、後期乾燥の間の熱風温度も、一定であってもよいし、70℃以上100℃未満の間で、順次低下するように変化させてもよい。 たとえば、後述の実施例で使用した熱風乾燥機は、3つの乾燥室を有し、第1室→第2室→第3室の順に試料がベルトコンベヤで運ばれるため、第1室および第2室を同じまたは異なる温度で初期乾燥(100℃以上)のために使用し、第3室を後期乾燥(100℃未満)のために使用してもよいし、第1室を初期乾燥(100℃以上)のために使用し、第2室および第3室を同じまたは異なる温度で後期乾燥(100℃未満)のために使用してもよい。 本発明において乾燥は、メンソール含有シートが十分に乾燥した状態であって、メンソール含有シートを基材から容易に剥離することができ、かつその後の裁刻工程でメンソール含有シートが裁刻され得る状態になるまで行う。 具体的には、メンソール含有シートの水分含量が10重量%未満、好ましくは3〜9重量%、より好ましくは3〜6重量%になるまで乾燥は行う(後述の実施例8参照)。 ここでの水分含量は、後述の実施例に記載の測定方法で測定される値を指す。 本発明のメンソール含有シートの(調製直後の)メンソール含有量は、好ましくは45重量%以上、より好ましくは55〜75重量%である。 また、本発明のメンソール含有シートの蔵置(50℃、30日間)後のメンソール含有量は、好ましくは45重量%以上、より好ましくは48〜63重量%である。 ここでのメンソール含有量は、後述の実施例に記載の測定方法で測定される値を指す。 2. 喫煙物品 本発明のメンソール含有シートは、たとえば通常のタバコ刻と同等のサイズに裁刻して、喫煙物品のタバコ刻みに配合することができる。 メンソール含有シートの裁刻物は、タバコ刻み100gあたり2〜10gの量で配合することができる。 メンソール含有シートの裁刻物は、好ましくは、タバコ刻み中に分散させて配合される。 本発明のメンソール含有シートは、任意の喫煙物品、たとえば、タバコの葉を燃焼させてタバコの香喫味を味わう燃焼型喫煙物品、とりわけシガレットのタバコ刻みに配合することができる。 とりわけ、本発明のメンソール含有シートは、タバコ刻みおよび該タバコ刻みの周囲を巻装するシガレット巻紙を含むタバコロッドを備えたシガレットのタバコ刻みに配合することができる。 [実施例1] 攪拌ミキサーからホモジナイザー(PRIMIX TK AUTO MIXER Model 40/ローター−ステーターヘッド装着/4000 rpm)に交換して10分間乳化を行い、更にレシチン(120 mL (5%水溶液))を添加して10分間、乳化を続けて原料スラリーを得た。 メンソールは原料スラリーに分散した。 (2)乾燥成形 得られた原料スラリーを、スリットダイからベースフィルムの上に押し出し、その後、2〜3分間、スポットクーラー(スイデン SS-25DD-1)により発生させた冷風(10℃)を当て、原料スラリーが20℃程度になるように冷却し、その後、熱風乾燥機内をベルト搬送することにより熱風乾燥し、フィルム状のメンソール含有シートを得た。 実験の詳細を以下に記す。 スリットダイ:縦型スリットダイ(60℃加熱保温)、厚さ900μm、幅20 cm 下記表1に記載されるとおり熱風乾燥条件を変更して、試料番号1〜4のメンソール含有シートを調製した。 記載の温度は、熱風温度である。 乾燥時間は、メンソール含有シートが十分に乾燥し、ベースフィルムから容易に剥離することができ、その後の裁刻工程でメンソール含有シートが裁刻され得るように設定した。 本実施例で得られたメンソール含有シートの水分含量は約3%であった。 (3)メンソール含有シートの乾燥状況の測定 メンソール含有シートの水分含量は、以下のとおりGC−TCDで測定した。 まず、メンソール含有シート(1×10 mm裁刻)0.1 gを秤量し、これに10 mLメタノール(試薬特級または同等以上のものを、空気中の水分吸収の影響を排除するため、新品を大気に曝さないで分注する)を、50 mL容量の密閉容器(スクリュー管)内で加え、40分間の振盪(200 rpm)を行った。 一晩放置した後、再度40分間の振盪(200 rpm)を行い、静置後の上澄み液を(ここではGC測定のために希釈せず)測定溶液とした。 測定溶液を、以下のGC−TCDにかけて、検量線法により定量した。 GC−TCD;Hewlett Packard社製6890ガスクロマトグラフ (4)メンソール含有シートのメンソール含有量の測定 メンソール含有シートのメンソール含有量は、以下のとおりGC−FIDで測定した。 まず、メンソール含有シート(1×10 mm裁刻)0.1 gを秤量し、これに10 mLメタノール(試薬特級または同等以上のものを、空気中の水分吸収の影響を排除するため、新品を大気に曝さないで分注する)を、50 mL容量の密閉容器(スクリュー管)内で加え、40分間の振盪(200 rpm)を行った。 一晩放置した後、再度40分間の振盪(200 rpm)を行い、静置後の上澄み液を(ここではGC測定のために×10メタノール希釈して)測定溶液とした。 測定溶液を、以下のGC−FIDにかけて、検量線法により定量した。 GC−FID;Agilent社製6890Nガスクロマトグラフ 作成されたメンソール含有シートのメンソール含有量(mg)と加速環境下で蔵置したメンソール含有シートのメンソール含有量(mg)を、それぞれ測定し、表1に「初期メンソール含有量(%)」および「蔵置後メンソール含有量(%)」として示す。 初期メンソール含有量(%)={メンソール含有量の測定値(mg)/メンソール含有シートの重量(mg)}×100 加速環境は、以下のとおりとした。 メンソール含有シート(1×10 mm裁刻、5 g程度)を開放容器に入れ、50℃に設定した恒温器(ヤマト科学(株) Drying Oven DX600)内で、最長30日間蔵置した。 メンソール含有量の値からメンソール保香率を以下の式により計算し、メンソール含有シートの保香機能を評価した。 メンソール保香率(%)={(蔵置後メンソール含有量)/(初期メンソール含有量)}×100 試料番号1 試料番号2 試料番号3 試料番号4 [実施例2] 試料番号5では、試料番号1〜4よりも熱風の風量を増加させた。 第1室において熱風は、浮遊して搬送されるメンソール含有シートに上下方向から通風により当てられた。 第2室および第3室において熱風は、ベルト上を搬送されるメンソール含有シートに通風により当てられた。 試料番号5では、初期乾燥(第1室)を高温(120℃)の熱風で4分間行い、後期乾燥(第2室および第3室)を低温(70℃)の熱風で8分間行った。 試料番号5では、全乾燥時間12分で、十分に乾燥した試料(水分含量3.1%)を調製することができた。 また、シート調製後の「初期メンソール含有量」は、72.7%と十分に高く、また、加速環境下で(30日間)蔵置後の「蔵置後メンソール含有量」も58.5%と高く、シート調製後の保香性および蔵置保香性のいずれも良好であった。 このように、高温での初期乾燥と低温での後期乾燥を採用すると、優れた保香性を有するシートを、比較的短い乾燥時間で調製することができた。 [実施例3] 試料番号6および7では、乾燥区画が4室となる熱風型乾燥成形機を用いてメンソール含有シートを調製した。 試料番号6では、初期乾燥(第1室〜第3室)を高温(110℃→100℃)の熱風で6.6分間行い、後期乾燥(第4室)を低温(80℃)の熱風で2.2分間行った。 試料番号6では、全乾燥時間8.8分で、十分に乾燥した試料(水分含量5%)を調製することができた。 また、シート調製後の「初期メンソール含有量」は、63.5%と十分に高く、また、加速環境下で(30日間)蔵置後の「蔵置後メンソール含有量」も59.9%と高く、シート調製後の保香性および蔵置保香性のいずれも良好であった。 このように、初期乾燥の間の熱風温度を110℃から100℃に順次低下させるように変化させても、高温での初期乾燥と低温での後期乾燥を採用することにより、優れた保香性を有するシートを、比較的短い乾燥時間で調製することができた。 試料番号7では、初期乾燥、後期乾燥の区別なく、全て100℃の熱風で乾燥を行った。 試料番号7では、低温での後期乾燥を採用しなかったが、スラリーの乾燥過程において、試料番号4〜6と同様、試料中の水分の存在により試料温度が高温になりすぎることがなかったと推定される。 すなわち、試料番号7では、全乾燥時間8.8分で十分に乾燥した試料(水分含量4.9%)を調製することができた。 また、シート調製後の「初期メンソール含有量」は、61.9%と十分に高く、また、加速環境下で(30日間)蔵置後の「蔵置後メンソール含有量」も60.8%と高く、シート調製後の保香性および蔵置保香性のいずれも良好であった。 このように、乾燥工程全体にわたって100℃という同じ熱風温度を採用しても、試料番号4〜6と同様、優れた保香性を有するシートを、比較的短い乾燥時間で調製することができた。 [実施例4] 水 0.1リットル ゲランガム(ゲルコゲル/三栄源エフ・エフ・アイ) 5グラム 水(0.1L)を70℃に保持し、(株)エーテックジャパン 高性能ミキサーDMMで攪拌しつつゲランガム(5g)をダマにならないように少量ずつ溶解し、多糖類水溶液(スラリー)を調製した。 このスラリー(70℃)を降温して、900秒程度かけて25℃にした(0.05℃/秒)。 その後、900秒程度かけて昇温して70℃にした。 このような温度変化によりスラリーの粘度(流動性)がどのように変化したかを図2Aおよび2Bに示す。 図2Aに示されるとおり、スラリーは、25℃に降温(冷却)すると、50℃まで粘度は低かった(流動性は高かった)が、40℃以下で粘度は急激に上昇した(ゲル化現象)。 このゲルを昇温すると、図2Bに示されるとおり、ゲル化した温度(40℃)を越えても容易にゾルに戻ることはなく、ゲル状態はかなり高い温度まで維持された。 この結果より、多糖類を含有するスラリーは、一旦冷却してゲル化させると、その後温度を上昇させてもゾルに戻りにくく、ゲル状態を維持できることが分かる。 かかる多糖類の性質を本発明で利用して、原料スラリーを乾燥させる前に予備冷却を行うと、予備冷却後の原料スラリーは、乾燥時に温度を上昇させても、そこに含まれる多糖類がゾル化しにくく、かかる多糖類で被覆されたメンソールは、揮散されにくいことが期待される。 [実施例5] 試料温度の測定は、非接触温度計(オプティックス株式会社製、PT-7LD)を用いて、乾燥工程の間の試料(スラリー)を直接計測することにより行った。 試料番号1〜7の測定結果を、それぞれ図3A〜3Gに示す。 図3A〜3Gにおいて、「冷却有り」は、乾燥工程前に冷風(10℃)を当て、20℃程度に冷却した試料を指し、「冷却無し」は、かかる冷却を行うことなく、スラリーのキャスティング後速やかに乾燥させた試料を指す。 図3A〜3Gの結果から、スラリーの冷却は、乾燥工程の間の試料の温度に影響を及ぼさないことがわかる。 試料番号1は、熱風乾燥条件として、70℃の熱風温度で4分、その後80℃の熱風温度で4分、その後120℃の熱風温度で4分を採用した。 試料温度は、熱風温度の上昇に伴って上昇し、最終的に100℃を超え、120℃近くまで達した(図3A)。 試料番号1のシートの「蔵置後メンソール含有量」は13.6%と低いことが示されている(表1)。 高い試料温度によりシートの内部構造が破壊され、蔵置後メンソール含有量が低下したと考えられる。 試料番号2は、熱風乾燥条件として、120℃の熱風温度で2分、その後130℃の熱風温度で2分、その後176℃の熱風温度で2分を採用した。 試料温度は、熱風温度の上昇に伴って上昇し、最終的に100℃を超え、140℃近くまで達した(図3B)。 試料番号2のシートの「蔵置後メンソール含有量」は29.2%と低いことが示されている(表1)。 高い試料温度によりシートの内部構造が破壊され、蔵置後メンソール含有量が低下したと考えられる。 試料番号3は、熱風乾燥条件として、70℃の熱風温度で60分を採用した。 図3Cは、乾燥開始から14分後までの試料温度を示すが、試料温度は、全乾燥時間にわたって70℃を超えることはなかった。 試料番号3のシートの「蔵置後メンソール含有量」は59.2%と高いことが示されている(表1)。 試料番号3のシートは、全乾燥時間にわたって高温にならなかったため、加速環境下で蔵置後に、高いメンソール含有量を維持できたと考えられる。 しかし、試料番号3のシートは、70℃未満の試料温度で乾燥されたため、60分の乾燥時間が必要であった。 試料番号4は、熱風乾燥条件として、120℃の熱風温度で5分、その後70℃の熱風温度で2.5分を採用した。 試料温度は、120℃の熱風温度の下で、最大95℃まで達し、70℃の熱風温度の下で72℃まで低下した(図3D)。 試料番号4のシートの「蔵置後メンソール含有量」は62.4%と高いことが示されている(表1)。 試料番号4のシートは、全乾燥時間にわたって、試料番号1および2と比較して低い試料温度に保たれたため、加速環境下で蔵置後に、高いメンソール含有量を維持できたと考えられる。 試料番号5は、熱風乾燥条件として、120℃の熱風温度で4分、その後70℃の熱風温度で8分を採用した。 試料温度は、120℃の熱風温度の下で、最大95℃まで達し、70℃の熱風温度の下で70℃まで低下した(図3E)。 試料番号5のシートの「蔵置後メンソール含有量」は58.5%と高いことが示されている(表2)。 試料番号5のシートは、全乾燥時間にわたって、試料番号1および2と比較して低い試料温度に保たれたため、加速環境下で蔵置後に、高いメンソール含有量を維持できたと考えられる。 試料番号6は、熱風乾燥条件として、110℃の熱風温度で2.2分、その後100℃の熱風温度で4.4分、その後80℃の熱風温度で2.2分を採用した。 試料温度は、約80〜90℃の範囲で維持された(図3F)。 試料番号6のシートの「蔵置後メンソール含有量」は59.9%と高いことが示されている(表3)。 試料番号6のシートは、全乾燥時間にわたって、試料番号1および2と比較して低い試料温度に保たれたため、加速環境下で蔵置後に、高いメンソール含有量を維持できたと考えられる。 試料番号7は、熱風乾燥条件として、100℃の熱風温度で8.8分を採用した。 試料温度は、約80〜90℃の範囲で維持された(図3G)。 試料番号7のシートの「蔵置後メンソール含有量」は60.8%と高いことが示されている(表3)。 試料番号7のシートは、全乾燥時間にわたって、試料番号1および2と比較して低い試料温度に保たれたため、加速環境下で蔵置後に、高いメンソール含有量を維持できたと考えられる。 以上の結果から、全乾燥時間にわたって100℃を超えない試料温度でスラリーを乾燥させると、高い「蔵置後メンソール含有量」を維持できることがわかる。 また、スラリーを、全乾燥時間(乾燥時間の冒頭の約1分間を除く)にわたって70〜100℃の試料温度で乾燥させると短時間でメンソール含有シートを形成できることがわかる。 [実施例6] 試料番号1〜3の測定結果を図4Aに示し、試料番号4〜7の測定結果を図4Bに示す。 図4Aおよび4Bにおいて、「冷却有り」は、乾燥工程前に冷風(10℃)を当て、20℃程度に冷却した試料を指し、「冷却無し」は、かかる冷却を行うことなく、スラリーのキャスティング後速やかに乾燥させた試料を指す。 「冷却無し」の試料は、スラリーのキャスティングから乾燥までの間に、スラリー温度が50℃を下回ることはなかった。 図4Aおよび4Bの「冷却有り」のデータは、図1のデータと同じである。 試料番号1および2のシートは、冷却の有無にかかわらず、30日蔵置後のメンソール含有量は30%に達することなく低かった。 試料番号3のシートは、冷却の有無にかかわらず、30日蔵置後のメンソール含有量は50%を超えて高かったが、試料番号3のシートの調製には、60分の乾燥時間が必要であった。 試料番号4のシートは、「冷却無し」の場合、30日蔵置後のメンソール含有量は18%まで低下したのに対し、「冷却有り」の場合、30日蔵置後のメンソール含有量は62%まで維持されていた。 試料番号5のシートは、「冷却無し」の場合、30日蔵置後のメンソール含有量は20%まで低下したのに対し、「冷却有り」の場合、30日蔵置後のメンソール含有量は59%まで維持されていた。 試料番号6のシートは、「冷却無し」の場合、30日蔵置後のメンソール含有量は20%まで低下したのに対し、「冷却有り」の場合、30日蔵置後のメンソール含有量は60%まで維持されていた。 試料番号7のシートは、「冷却無し」の場合、30日蔵置後のメンソール含有量は12%まで低下したのに対し、「冷却有り」の場合、30日蔵置後のメンソール含有量は61%まで維持されていた。 以上の結果から、原料スラリーを一旦冷却した後に、70〜100℃の試料温度で乾燥させることによりメンソール含有シートを調製すると、短時間でシートを形成することができるとともに、蔵置後に高いメンソール含有量を維持できることがわかる。 [実施例7] 測定結果を図5に示す。 図5の結果から、冷却温度が低いほどシートのメンソール含有量が増加する傾向が認められた。 すなわち、20℃の冷却温度では64%、30℃の冷却温度では61%、40℃の冷却温度では57%、50℃の冷却温度では52%、60℃の冷却温度では43%の初期メンソール含有量を示した。 上述の実施例4では、40℃以下の冷却温度でスラリーのゲル化が起こること、並びに多糖類を含有するスラリーは、一旦冷却してゲル化させると、その後温度を上昇させてもゾルに戻りにくいことが示されている。 また、一般に、エマルジョンは0℃を下回ると氷結して破壊されることが知られている。 これらの結果から、0〜40℃の冷却温度が好ましく、0〜30℃の冷却温度が更に好ましいことがわかる。 [実施例8] 調製されたシートを、実施例1に記載されるとおり50℃に設定した恒温器に30日間置いた。 調製直後および蔵置後のシートについて、メンソール含有量を測定し、それぞれの測定結果を、以下の表5に「初期メンソール含有量」および「製造直後に蔵置したシートのメンソール含有量」として示す。 また、これらメンソール含有量の値からメンソール保香率を以下の式により計算した。 メンソール保香率(%)={(蔵置後メンソール含有量)/(初期メンソール含有量)}×100 また、調製後2ヶ月経過したシートを、実施例1に記載されるとおり50℃に設定した恒温器に30日間置いた。 調製直後および蔵置後のシートについて、メンソール含有量を測定し、それぞれの測定結果を、以下の表5に「初期メンソール含有量」および「製造2ヶ月後に蔵置したシートのメンソール含有量」として示す。 また、上記式に従ってメンソール保香率を計算した。 その結果を、図6に「製造2ヶ月後 加速蔵置」として示す。 調製直後のシートのメンソール含有量は、試料番号8−1〜8−5のすべてにおいて、およそ50〜60%であった。 調製直後のシートを加速環境下で蔵置した実験では、約6%の水分含量を有するシート(試料番号8−5)は、93%、約9%の水分含量を有するシート(試料番号8−4)は、90%、約11%の水分含量を有するシート(試料番号8−3)は、87%、約15%の水分含量を有するシート(試料番号8−2)は、63%、約23%の水分含量を有するシート(試料番号8−1)は、6%のメンソール保香率を有していることが示された。 調製2ヶ月後のシートを加速環境下で蔵置した実験では、約6%の水分含量を有するシート(試料番号8−5)は、95%、約9%の水分含量を有するシート(試料番号8−4)は、87%、約11%の水分含量を有するシート(試料番号8−3)は、32%、約15%の水分含量を有するシート(試料番号8−2)は、8%、約23%の水分含量を有するシート(試料番号8−1)は、8%のメンソール保香率を有していることが示された。 これらの結果から、シートの水分含量が高くなると、メンソール保香率が急激に低下するため、シートの水分含量は、10%未満、好ましくは9%以下となるようにシートを乾燥させることが望ましいことがわかる。 とりわけ、調製後2ヶ月のシートを、加速環境下で更に蔵置した場合であっても、シートの水分含量が約9%以下であれば、高いメンソール保香率を維持できることがわかる。 また、シートの水分含量を3%より少なくした場合、メンソール保香率は良好であるが、シートに「割れ」や「剥がれ」等が発生するため、シート乾燥後の水分量は、3%以上とすることが望ましい。 [実施例9] 9−1. 方法(温度応答性ゾル−ゲル転移特性) (1)カラギーナン水溶液 水 0.1リットル κ−カラギーナン(カラギニンCS-530/三栄源エフ・エフ・アイ) 5グラム (2)ゲランガム水溶液 実施例4に記載のとおりである。 (3)ペクチン水溶液 水 0.1リットル ペクチン(和光純薬工業株式会社 化学用 かんきつ類由来) 3グラム (4)コンニャクグルコマンナン水溶液 水 0.1リットル コンニャクグルコマンナン(群馬県蒟蒻原料商工業協同組合) 1グラム 上記組成の多糖類水溶液を、実施例4の手法に従って調製した。 多糖類水溶液を降温して、900秒程度かけて25℃にした。 その後、900秒程度かけて昇温した。 降温および昇温により多糖類水溶液の粘度(流動性)がどのように変化したか、レオメータ(Thermo-Haake社製、RheoStress 1)により測定した。 カラギーナン水溶液の結果を図7Aおよび7Bに示し、ゲランガム水溶液の結果を図2Aおよび2Bに示し、ペクチン水溶液の結果を図7Gおよび7Hに示し、コンニャクグルコマンナン水溶液の結果を図7Kおよび7Lに示す。 9−2. 結果(温度応答性ゾル−ゲル転移特性) ゲランガム水溶液は、図2Aおよび2Bに示されるとおり、一旦冷却してゲル化させると、その後転移温度を超えて加熱してもゾルに戻りにくく、ゲル状態を維持することができた(実施例4を参照)。 カラギーナン水溶液およびゲランガム水溶液は、「温度応答性ゾル−ゲル転移特性」を備えていた。 一方、ペクチン水溶液は、図7Gおよび7Hに示されるとおり、「温度応答性ゾル−ゲル転移特性」を具備していなかった。 また、コンニャクグルコマンナン水溶液も、図7Kおよび7Lに示されるとおり、「温度応答性ゾル−ゲル転移特性」を具備していなかった。 9−3. 方法(シートの調製) シートの調製は、実施例1と同様の手法に従って、以下のとおり行った。 (1)カラギーナン含有シートの調製 水 10リットル κ-カラギーナン(カラギニンCS-530/三栄源エフ・エフ・アイ) 500グラム 分散したスラリーを基材(PETフィルム・フタムラ化学株式会社 FE2001)上に、1mm厚(wet状態)でキャスティングした。 その後、スポットクーラー(スイデン SS-25DD-1)で発生させた10℃程度の冷風により、20℃程度まで冷却した。 その後、実施例1と同様の手法に従って、熱風型乾燥機により、水分含量が6%程度まで乾燥成形して、カラギーナン含有シートを調製した。 水分含量は、GC−TCD測定(実施例1参照)により測定した。 熱風乾燥条件は、110℃の熱風温度で3分、その後100℃の熱風温度で6分、その後80℃の熱風温度で3分(全乾燥時間12分)を採用した。 コントロールシート(冷却無し)は、キャスティングされたスラリーを、冷却を行うことなく乾燥成形させることにより調製した。 コントロールシートの熱風乾燥条件は、110℃の熱風温度で2.5分、その後100℃の熱風温度で5分、その後80℃の熱風温度で2.5分(全乾燥時間10分)を採用した。 試料温度の測定は、実施例5と同様、非接触温度計を用いて行った。 図7Cに、乾燥工程の間の試料温度の変化を示す。 ここで「冷却有り」は、乾燥工程前に冷風(10℃)を当て、20℃程度に冷却した試料を指し、「冷却無し」は、かかる冷却を行うことなく、スラリーのキャスティング後速やかに乾燥させた試料を指す。 図7Cより、スラリーの冷却は、乾燥工程の間の試料の温度に影響を及ぼさないことがわかる。 (2)ゲランガム含有シートの調製 水 10リットル ゲランガム(ゲルコゲル/三栄源エフ・エフ・アイ) 300グラム 分散したスラリーを基材(PETフィルム・フタムラ化学株式会社 FE2001)上に、1mm厚(wet状態)でキャスティングした。 その後、スポットクーラー(スイデン SS-25DD-1)で発生させた10℃程度の冷風により、20℃程度まで冷却した。 その後、実施例1と同様の手法に従って、熱風型乾燥機により、水分含量が6%程度まで乾燥成形して、ゲランガム含有シートを調製した。 水分含量は、GC−TCD測定(実施例1参照)により測定した。 熱風乾燥条件は、110℃の熱風温度で2.8分、その後100℃の熱風温度で5.5分、その後80℃の熱風温度で2.8分(全乾燥時間約11分)を採用した。 コントロールシート(冷却無し)は、キャスティングされたスラリーを、冷却を行うことなく乾燥成形させることにより調製した。 コントロールシートの熱風乾燥条件は、110℃の熱風温度で2.3分、その後100℃の熱風温度で4.5分、その後80℃の熱風温度で2.3分(全乾燥時間約9分)を採用した。 試料温度の測定は、実施例5と同様、非接触温度計を用いて行った。 図7Eに、乾燥工程の間の試料温度の変化を示す。 ここで「冷却有り」は、乾燥工程前に冷風(10℃)を当て、20℃程度に冷却した試料を指し、「冷却無し」は、かかる冷却を行うことなく、スラリーのキャスティング後速やかに乾燥させた試料を指す。 図7Eより、スラリーの冷却は、乾燥工程の間の試料の温度に影響を及ぼさないことがわかる。 (3)ペクチン含有シートの調製 水 10リットル ペクチン(和光純薬工業株式会社 化学用 かんきつ類由来) 300グラム 分散したスラリーを基材(PETフィルム・フタムラ化学株式会社 FE2001)上に、1mm厚(wet状態)でキャスティングした。 その後、スポットクーラー(スイデン SS-25DD-1)で発生させた10℃程度の冷風により、20℃程度まで冷却した。 その後、実施例1と同様の手法に従って、熱風型乾燥機により、水分含量が6%程度まで乾燥成形して、ペクチン含有シートを調製した。 水分含量は、GC−TCD測定(実施例1参照)により測定した。 熱風乾燥条件は、110℃の熱風温度で2.8分、その後100℃の熱風温度で5.5分、その後80℃の熱風温度で2.8分(全乾燥時間約11分)を採用した。 コントロールシート(冷却無し)は、キャスティングされたスラリーを、冷却を行うことなく乾燥成形させることにより調製した。 コントロールシートの熱風乾燥条件は、110℃の熱風温度で2.5分、その後100℃の熱風温度で5分、その後80℃の熱風温度で2.5分(全乾燥時間10分)を採用した。 試料温度の測定は、実施例5と同様、非接触温度計を用いて行った。 図7Iに、乾燥工程の間の試料温度の変化を示す。 ここで「冷却有り」は、乾燥工程前に冷風(10℃)を当て、20℃程度に冷却した試料を指し、「冷却無し」は、かかる冷却を行うことなく、スラリーのキャスティング後速やかに乾燥させた試料を指す。 図7Iより、スラリーの冷却は、乾燥工程の間の試料の温度に影響を及ぼさないことがわかる。 (4)コンニャクグルコマンナン含有シートの調製 水 10リットル コンニャクグルコマンナン(群馬県蒟蒻原料商工業協同組合) 100グラム 分散したスラリーを基材(PETフィルム・フタムラ化学株式会社 FE2001)上に、1mm厚(wet状態)でキャスティングした。 その後、スポットクーラー(スイデン SS-25DD-1)で発生させた10℃程度の冷風により、20℃程度まで冷却した。 その後、実施例1と同様の手法に従って、熱風型乾燥機により、水分含量が6%程度まで乾燥成形して、コンニャクグルコマンナン含有シートを調製した。 水分含量は、GC−TCD測定(実施例1参照)により測定した。 熱風乾燥条件は、110℃の熱風温度で3分 、その後100℃の熱風温度で6分、その後80℃の熱風温度で3分(全乾燥時間12分)を採用した。 コントロールシート(冷却無し)は、キャスティングされたスラリーを、冷却を行うことなく乾燥成形させることにより調製した。 コントロールシートの熱風乾燥条件は、110℃の熱風温度で2.5分、その後100℃の熱風温度で5分、その後80℃の熱風温度で2.5分(全乾燥時間10分)を採用した。 試料温度の測定は、実施例5と同様、非接触温度計を用いて行った。 図7Mに、乾燥工程の間の試料温度の変化を示す。 ここで「冷却有り」は、乾燥工程前に冷風(10℃)を当て、20℃程度に冷却した試料を指し、「冷却無し」は、かかる冷却を行うことなく、スラリーのキャスティング後速やかに乾燥させた試料を指す。 図7Mより、スラリーの冷却は、乾燥工程の間の試料の温度に影響を及ぼさないことがわかる。 9−4. 方法(メンソール含有量の測定) 9−5. 結果(メンソール含有量) ゲランガム含有シートについては、図7Fに示されるとおり、乾燥工程前にスラリーを冷却した場合、初期メンソール含有量は、約70重量%を示し、30日蔵置後のメンソール含有量は、約65重量%を示した(メンソール保香率=90%以上)。 一方、乾燥工程前にスラリーを冷却しなかった場合、初期メンソール含有量は、約55重量%を示し、30日蔵置後のメンソール含有量は、約35重量%を示した(メンソール保香率=約65%)。 ペクチン含有シートについては、図7Jに示されるとおり、乾燥工程前にスラリーを冷却したか否かにかかわらず、初期メンソール含有量は、約60重量%を示し、30日蔵置後のメンソール含有量は、約30重量%を示した(メンソール保香率=約55%〜約65%)。 コンニャクグルコマンナン含有シートについては、図7Nに示されるとおり、乾燥工程前にスラリーを冷却したか否かにかかわらず、初期メンソール含有量は、約30重量%を示し、30日蔵置後のメンソール含有量は、約15重量%を示した(メンソール保香率=約50%)。 以上の結果から、カラギーナンまたはゲランガムを多糖類として使用し、かつ乾燥工程前に一旦冷却した上で乾燥を行った場合、得られたシートは、メンソール含有量が多くメンソールの調製歩留りが高い上に、蔵置経過後も高いメンソール含有量を維持できることがわかる。 このため、以降の実施例では、カラギーナンまたはゲランガムを多糖類として使用し、乾燥工程前に一旦冷却した上で乾燥を行った。 [実施例10] 10−1. 方法(温度応答性ゾル−ゲル転移特性) 実施例9の9−3の欄の記載に従って、カラギーナンを含有する原料スラリーおよびゲランガムを含有する原料スラリーを調製した。 多糖類の濃度に依存して、メンソールは、多糖類の5倍の量(重量比)で添加し、5%レシチン水溶液は、多糖類の2/5倍の量(重量比)で添加した。 各濃度の多糖類を含有する原料スラリーを、70℃から900秒程度かけて25℃にした。 その後、900秒程度かけて70℃まで昇温した。 降温および昇温によりスラリーの粘度(流動性)がどのように変化したか、レオメータ(Thermo-Haake社製、RheoStress 1)により測定した。 カラギーナン含有スラリーの結果を図8Aおよび8Bに示し、ゲランガム含有スラリーの結果を図8Dおよび8Eに示す。 10−2. 結果(温度応答性ゾル−ゲル転移特性) よって、カラギーナンは、原料スラリー中に2〜5重量%の濃度で含有されることが好ましい。 図8Dおよび8Eに示されるとおり、1重量%のゲランガムを含有する原料スラリーの場合、25℃まで冷却しても十分にゲル化せず、この原料を昇温した際にゲル状態を維持することは難しかった。 また、7重量%のゲランガムを含有する原料スラリーの場合、降温過程の初期(70〜60℃の範囲)において粘度が上昇し、ゾル状態を維持することが難しいため、原料スラリーの調製時にメンソールを分散させることが困難である。 よって、ゲランガムは、原料スラリー中に2〜5重量%の濃度で含有されることが好ましい。 10−3. 方法(シートの調製およびメンソール含有量の測定) 作成された直後のシートのメンソール含有量(初期メンソール含有量)と、加速環境下で蔵置したシートのメンソール含有量(蔵置後メンソール含有量)とを測定した。 加速環境は、実施例1に記載したとおりである。 メンソール含有量の測定は、実施例1と同様の手法に従って行った。 カラギーナン含有シートの結果を図8Cに示し、ゲランガム含有シートの結果を図8Fに示す。 10−4. 結果(メンソール含有量) ゲランガム含有シートについては、図8Fに示されるとおり、3重量%の場合も5重量%の場合も、初期メンソール含有量は、約70重量%を示し、30日蔵置後のメンソール含有量は、70重量%に近い値を示した(メンソール保香率=約90%)。 2重量%の場合、初期メンソール含有量は、約70重量%を示し、30日蔵置後のメンソール含有量は、50重量%を超える値を示した(メンソール保香率=78%)。 また、6重量%の場合、初期メンソール含有量は、76重量%を示し、30日蔵置後のメンソール含有量は、63重量%を示した(メンソール保香率=83%) [実施例11] 11−1. 方法(シートの調製およびメンソール含有量の測定) カラギーナン含有シートについては、5重量%(原料スラリー中)のカラギーナンに対して、1倍重量、2.5倍重量、5倍重量、10倍重量、15倍重量、20倍重量のメンソールを配合した。 ゲランガム含有シートについては、3重量%(原料スラリー中)のゲランガムに対して、0.5倍重量、1倍重量、2.5倍重量、5倍重量、10倍重量、15倍重量、20倍重量のメンソールを配合した。 作成された直後のシートのメンソール含有量(初期メンソール含有量)と、加速環境下で蔵置したシートのメンソール含有量(蔵置後メンソール含有量)とを測定した。 加速環境は、実施例1に記載したとおりである。 メンソール含有量の測定は、実施例1と同様の手法に従って行った。 カラギーナン含有シートの結果を図9A〜9Eに示し、ゲランガム含有シートの結果を図9F〜9Jに示す。 これら図において、[1:x]の表記は、原料スラリー中の多糖類とメンソールとの重量比を表し、たとえば[1:5]は、多糖類に対して5倍重量のメンソールが原料スラリー中に含有されることを表す。 また、これら図において、「製造直後」は、シート調製直後を意味し、「50℃・1カ月後」は、50℃で30日蔵置した後を意味する。 11−2. 結果 (1)カラギーナン含有シート カラギーナン含有シートについては、図9Aに示されるとおり、「初期メンソール含有量」は、10倍重量のメンソールを含有するシートの場合が最も高く、次に、5倍重量のメンソールを含有するシートの場合が高く、次に、2.5倍重量のメンソールを含有するシートの場合が高く、次に1倍重量のメンソールを含有するシートの場合が高く、これらの結果は、メンソール配合量に依存していた。 一方、15倍重量および20倍重量のメンソールを含有するシートの場合、「初期メンソール含有量」は20重量%以下であり、とりわけ低かった。 「蔵置後メンソール含有量」は、いずれのメンソール配合量の場合も、初期メンソール含有量からほとんど低下しなかった。 このため、図9Bに示されるとおり、30日蔵置後のメンソール保香率は、いずれのメンソール配合量の場合も、70%を超えていた。 なかでも、2.5倍重量のメンソールを含有するシートは、約100%のメンソール保香率を示した。 また、原料スラリー中に配合したメンソール量に対するシート中のメンソール含有量の比を、下記式により「メンソール歩留り(%)」として計算した。 シート作成直後の「メンソール歩留り」は、図9Cに示されるとおり、メンソール配合量が1倍重量から10倍重量までの範囲にある試料において、50%を超える値を示した。 蔵置後の「メンソール歩留り」は、2.5倍重量のメンソールを含有するシートが最も高い値を示した。 5倍重量や10倍重量のメンソールを含有するシートは、2.5倍重量のメンソールを含有するシートより、蔵置後の「メンソール歩留り」は低いが、シート中のメンソール含有量(絶対量)は多い(図9A参照)。 図9Dおよび9Eは、それぞれ、メンソール配合割合(%)とメンソール含有量(%)との関係およびメンソール配合割合(%)とメンソール歩留り(%)との関係を示す。 これら図において、メンソール配合割合(%)は、{メンソール配合量/(メンソール配合量+カラギーナン配合量)}×100を表す。 図9Dに示されるとおり、メンソール配合量が2.5倍重量〜10倍重量(すなわちメンソール配合割合が71〜91%)のシートは、蔵置後に高いメンソール含有量を示した。 また、図9Eに示されるとおり、メンソール配合量が1倍重量〜5倍重量(すなわちメンソール配合割合が50〜83%)のシートは、蔵置後に高いメンソール歩留りを示した。 図9A〜9Eの結果から、カラギーナンに対するメンソールの配合量は、1〜10倍重量の範囲にあることが好ましく、2.5倍重量〜5倍重量の範囲にあることがより好ましいことがわかる。 (2)ゲランガム含有シート ゲランガム含有シートについては、図9Fに示されるとおり、「初期メンソール含有量」は、5倍重量のメンソールを含有するシートの場合が最も高く、0.5倍重量のメンソールを含有するシートの場合が最も低く、メンソール配合量が0.5倍重量から5倍重量までの範囲にある試料については、メンソール配合量に依存していた。 「蔵置後メンソール含有量」は、メンソール配合量が0.5倍重量から5倍重量までの範囲にある試料については、初期メンソール含有量からほとんど低下しなかったが、メンソール配合量が10倍重量以上の試料に関しては、蔵置日数の経過に伴ってメンソール含有量が低下した。 このため、図9Gに示されるとおり、30日蔵置後のメンソール保香率は、メンソール配合量が0.5倍重量から5倍重量までの範囲にある試料に関しては90%を超えていたが、メンソール配合量が10倍重量以上の試料に関しては、50%程度となってしまっている。 上述のとおり、メンソール配合量が0.5倍重量から5倍重量までの範囲にある試料は、メンソール保香率が高いが、なかでも、2.5倍重量のメンソールを含有するシートは、約100%のメンソール保香率を示した。 シート作成直後の「メンソール歩留り」は、図9Hに示されるとおり、1倍重量、2.5倍重量および5倍重量のメンソールを含有するシートにおいて、50%を超える値を示した。 蔵置後の「メンソール歩留り」は、2.5倍重量のメンソールを含有するシートが最も高い値を示した。 5倍重量のメンソールを含有するシートは、2.5倍重量のメンソールを含有するシートより、蔵置後の「メンソール歩留り」は低いが、シート中のメンソール含有量(絶対量)は多い(図9F参照)。 図9Iおよび9Jは、それぞれ、メンソール配合割合(%)とメンソール含有量(%)との関係およびメンソール配合割合(%)とメンソール歩留り(%)との関係を示す。 これら図において、メンソール配合割合(%)は、{メンソール配合量/(メンソール配合量+ゲランガム配合量)}×100を表す。 図9Iに示されるとおり、メンソール配合量が2.5倍重量〜5倍重量(すなわちメンソール配合割合が71〜83%)のシートは、蔵置後に高いメンソール含有量を示した。 また、図9Jに示されるとおり、メンソール配合量が1倍重量〜5倍重量(すなわちメンソール配合割合が50〜83%)のシートは、蔵置後に高いメンソール歩留りを示した。 図9F〜9Jの結果から、ゲランガムに対するメンソールの配合量は、1〜10倍重量の範囲にあることが好ましく、2.5倍重量〜5倍重量の範囲にあることがより好ましいことがわかる。 [実施例12] 12−1. 方法(シートの調製およびメンソール含有量の測定) カラギーナン含有シートについては、5重量%(原料スラリー中)のカラギーナンに対して、0.001倍重量、0.005倍重量、0.01倍重量、0.02倍重量、0.05倍重量、0.1倍重量、0.2倍重量、0.4倍重量のレシチンを配合した。 メンソールは、カラギーナンに対して5倍重量の量で配合した。 同様に、ゲランガム含有シートについても、3重量%(原料スラリー中)のゲランガムに対して、0.001倍重量、0.005倍重量、0.01倍重量、0.02倍重量、0.05倍重量、0.1倍重量、0.2倍重量、0.4倍重量のレシチンを配合した。 メンソールは、ゲランガムに対して5倍重量の量で配合した。 作成された直後のシートのメンソール含有量(初期メンソール含有量)と、加速環境下で蔵置したシートのメンソール含有量(蔵置後メンソール含有量)とを測定した。 加速環境は、実施例1に記載したとおりである。 メンソール含有量の測定は、実施例1と同様の手法に従って行った。 カラギーナン含有シートの結果を図10Aおよび10Bに示し、ゲランガム含有シートの結果を図10Cおよび10Dに示す。 図10Aおよび10Cにおいて、括弧内の数値は、多糖類に対するレシチンの重量比を表し、たとえば[0.01]は、多糖類に対して0.01倍重量のレシチンが原料スラリー中に含有されることを表す。 また、図10Bおよび10Dにおいて、「製造直後」は、シート調製直後を意味し、「50℃・1カ月後」は、50℃で30日蔵置した後を意味する。 12−2. 結果 (1)カラギーナン含有シート カラギーナン含有シートについては、図10Aに示されるとおり、レシチン配合量がカラギーナンに対して0.1〜0.4倍重量の場合、蔵置後にメンソール含有量は大きく低下した。 図10Bは、レシチン配合量(カラギーナンに対する重量比)とメンソール含有量(%)との関係を示す。 図10Bに示されるとおり、レシチン配合量がカラギーナンに対して0.005〜0.02倍重量のシートは、蔵置後に高いメンソール含有量を維持することができた。 (2)ゲランガム含有シート ゲランガム含有シートについては、図10Cに示されるとおり、レシチン配合量がゲランガムに対して0.1〜0.4倍重量の場合、蔵置後にメンソール含有量は大きく低下した。 図10Dは、レシチン配合量(ゲランガムに対する重量比)とメンソール含有量(%)との関係を示す。 図10Dに示されるとおり、レシチン配合量がゲランガムに対して0.005〜0.05倍重量のシートは、蔵置後に高いメンソール含有量を維持することができた。 図10A〜10Dの結果から、多糖類に対するレシチンの配合量は、0.5〜5重量%の範囲にあることが好ましいことがわかる。 具体的には、多糖類としてカラギーナンを使用した場合、多糖類に対するレシチンの配合量は、0.5〜2重量%の範囲にあることが好ましく、多糖類としてゲランガムを使用した場合、多糖類に対するレシチンの配合量は、0.5〜5重量%の範囲にあることが好ましく、0.5〜2重量%の範囲にあることがより好ましい。 [実施例13] 13−1. 方法(シートの調製およびメンソール含有量の測定) 乳化剤として、以下の8種類の乳化剤を使用した。 乳化剤に付した番号1〜8は、図11Aおよび11Bの番号と対応する。 1. レシチン (太陽化学株式会社製 サンレシチンA-1) 13−2. 結果 図11Aおよび11Bの結果から、レシチンに加えて、各種の乳化剤が使用可能であることがわかる。 カラギーナン含有シートについては、乳化剤として、1. レシチン、3. グリセリン脂肪酸エステル(ポリグリセリド)、4. グリセリン脂肪酸エステル(有機酸モノグリセリド)を使用することが特に好ましい。 ゲランガム含有シートについては、乳化剤として、1. レシチン、2. グリセリン脂肪酸エステル(モノグリセリド)、3. グリセリン脂肪酸エステル(ポリグリセリド)、4. グリセリン脂肪酸エステル(有機酸モノグリセリド)、5. ソルビタン脂肪酸エステル、7. プロピレングリコール脂肪酸エステル、8. ショ糖脂肪酸エステルを使用することが特に好ましい。 |