低分子量炭化水素の混合物を分画する方法 |
|||||||
申请号 | JP2018509725 | 申请日 | 2016-04-26 | 公开(公告)号 | JP2018514385A | 公开(公告)日 | 2018-06-07 |
申请人 | ロスネフト・オイル・カンパニー; | 发明人 | アンドレイ・アナトリエヴィチ・エリセーエフ; ドミトリー・イーゴレヴィチ・ペトゥコフ; アルテム・アナトリエヴィチ・エリセーエフ; ヴィクトール・アンドレーヴィチ・ブロチマン; アレクセイ・ヴィクトロヴィチ・ルカシン; | ||||
摘要 | 本発明は、ガスの膜分離の分野に関するものであり、天然ガス及び随伴石油ガスの分離並びに乾燥を含む、炭化 水 素混合物のエネルギー効率の良い分画のために使用できる。提案されているのは、均一な多孔性及び5〜250nmの範囲の細孔直径を有する微多孔膜の細孔における、混合物の成分の毛管凝縮に基づく、低分子量炭化水素の混合物を分画する方法であり、毛管凝縮のために、膜の 温度 及び透過側の圧 力 は、透過側の分離された成分の飽和蒸気の平衡圧力が供給流中の成分の分圧より低くなるように、供給混合物の温度及び圧力より低く維持される。この方法は、凝縮可能な成分に関する膜透過率(n-ブタンについて500m3/(m2・atm・h)超)、及びまた成分分離選択性(n-C4H10/CH4分離係数は、随伴石油ガス組成物を有する混合物について、60を超える)を、有意に上昇させることを可能にし、その一方でまた、膜モジュールに供給されるガス流の深冷を省略すること、及び透過側の膜がそれほど顕著に冷却されない条件(-50℃まで)で、ガス分離を実行することを可能にする。より有効なガス分離のために、透過物は、液体状態で収集される。本発明の技術的効果は、天然ガス及び随伴石油ガスから高沸点炭化水素(C3〜C6)を効率的に取り除くこと、並びに一定組成のガス混合物を得ることを可能にする方法の提供である。 | ||||||
权利要求 | 低分子量炭化水素の混合物を分画する方法であって、 供給混合物の、透過物及び保持物への分離が、均一な多孔性及び5から250nmの範囲の細孔直径を有する微多孔膜を使用して実行され、 前記微多孔膜及び前記透過物の温度、並びに透過側の圧力が、前記供給混合物の温度及び圧力より低く維持されて、前記微多孔膜の微細孔において混合物成分の毛管凝縮が引き起こされることを特徴とする、方法。前記微多孔膜の温度及び前記透過側の圧力が、透過側の分離された成分の飽和蒸気の平衡圧力が供給流中の成分の分圧より低くなるように選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。保持物の温度が、前記微多孔膜及び前記透過物の温度より高いことを特徴とする、請求項1に記載の方法。炭化水素の液相が、透過物から取り出されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。前記微多孔膜の材料の細孔径分布が、25%を超えないことを特徴とする、請求項1に記載の方法。陽極酸化アルミニウムの無機微多孔膜が、前記微多孔膜の材料として使用されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。前記陽極酸化アルミニウムの無機微多孔膜が、より大きい直径がより小さい直径のいくつかの細孔に分割され、全ての細孔が、膜表面から同じ深さにおいて同じ直径を有する構造を有することを特徴とする、請求項6に記載の方法。トラック膜が、前記微多孔膜の材料として使用されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。 |
||||||
说明书全文 | 本発明は、ガスの膜分離の分野に関するものであり、天然ガス及び随伴石油ガスの分離並びに乾燥を含む、炭化水素混合物のエネルギー効率の良い分画のために使用できる。本発明の主要な目的は、天然ガス及び随伴石油ガスから重質のC3〜C6炭化水素を取り去ること及びまた一定の組成のガス混合物を生成することである。本発明は、直径5から250nmを有する微多孔膜の細孔におけるガスの選択的毛管凝縮に基づいて、炭化水素を分画する方法に関する。分離方法の改善された特徴は、膜及び透過物の冷却と、均一な細孔径分布及び5から250nmの細孔直径を有する微多孔膜の使用とによって、達成可能である。かかる膜のチャネルにおけるガスの毛管凝縮の方法の実現は、Knudsen拡散機構の実現による透過率の20倍超である500m3/(m2・atm・h)超という、ブタン透過率の独特なパラメータを達成することを可能にし、更に、この方法はまた、液相による膜中のチャネルの封鎖によって測定された63までのC4H10/CH4分離係数の達成を可能にする。膜の小さい表面積を使用する、天然ガス及び随伴石油ガスの有効な乾燥、及び、ガス体積全体を冷却する必要性がないという観点からのエネルギーコストの有意な削減が、それによって実現される。 欧州特許第2539043号に記載されている毛管凝縮手法を使用する、随伴石油ガスの膜分離の方法は、既知であるが、この特許では、その両側で圧力損失が生じる微多孔膜層において、より重質な炭化水素が凝縮することにより、ゼオライト膜上で天然ガスを分離する方法が開示されている。この方法は、膜又は供給ガスを冷却することなく、炭化水素混合物を分離することを可能にする。この方法によれば、出発混合物は、5バール超の圧力で供給され、その一方で、透過側圧力は、4から10バール低い。これにより、膜細孔においてより重質な炭化水素の凝縮が導かれる一方、選択性は、これらの細孔のサイズによって決定される。かかる種類のプラントのために、主にメソ孔のゼオライト膜、すなわち、ZSM-5(NanAlnSi96-nO192・16H2O、0<n<27)をベースとする膜が使用される。 欧州特許第2539043号
上に記載された技術の著しく不利な点は、膜の低い透過率(1m3/m2・atm・h未満)であり、そのためこの方法は、産業ガスの処理において実際的でなく不経済である。これらの膜の低い透過率は、ゼオライト細孔の小さい直径によって決定され、この小さい直径は、一方では、膜を冷却することなく重質炭化水素の凝縮を実行することを可能にするが、他方では、膜透過率を有意に低下させる。この解決策を、炭化水素の膜分離の本請求の方法にとって最も近い先行技術(プロトタイプ)として選択した。 毛管凝縮及び流動機構によって、膜を通じたガス移動モードを維持しながら、膜透過率を有意に上昇させることは、膜をわずかに冷却して膜細孔の直径を増すことによって達成できる。 本発明は、低分子量炭化水素、特に、天然ガス及び随伴石油ガスを分離する方法を提供するという問題解決に向けられている。提案している分画方法は、膜をわずかに冷却(-50℃まで)しながら、5から250nmの直径を有する微多孔膜の細孔においてガスを選択的に毛管凝縮させることに基づいている。混合物成分の分離は、軽質蒸気分画及び重質蒸気分画の異なる凝縮圧力と、凝縮された炭化水素中の軽質分画の限定された溶解度とによって達成される。この手法は、ガスの全体積の深冷にかかるエネルギーコストを回避すること、及び膜の後ろの空間のみを冷却して分離方法を実現することを可能にする。 本発明についての技術的成果は、膜をわずかに冷却しながら、膜の微細孔におけるガスを選択的に毛管凝縮させることによって、低分子量炭化水素を分画する方法の効率及び選択性を上昇させることにある。 随伴石油ガスの低分子量炭化水素を分画する方法についての前記技術的成果は、膜及び透過物の温度、並びにまた透過側の圧力が、供給粗混合物の温度及び圧力より低く維持され、膜が、5から250nmの範囲の細孔直径を有して、均一な多孔性を有することによって、達成される。透過側の温度及び圧力は、透過側の除去された成分の飽和蒸気の平衡圧力が供給流中の成分の分圧より低くなるように選択されるのが好都合である。それによって、毛管ガス凝縮が、膜の微細孔において観察され、膜の透過率及び選択性の上昇がもたらされる。全ての膜細孔における毛管ガス凝縮、及び結果としての高いガス分離度の達成に必要な条件は、狭い細孔径分布である。ここで、細孔直径及び細孔屈曲度によって、膜透過率の値が決定される。 透過物の収集及び除去は、液体状態で好ましくは実行される。 -50から0℃の範囲の温度までの冷却では、透過側からの炭化水素の液化は、重質成分についてより有効に起こる一方、軽質成分(C1及びC2)の平衡分圧は、ほとんど変化しないことに、留意すべきである。したがって、液相は、重質炭化水素が豊富となり、平衡気相は、軽質炭化水素が豊富となる。次に、圧力駆動膜(baromembrane)プロセスにおいて、この平衡は、膜上で圧力損失をもたらすことになり、(確立された流れで)準定常(ほとんど一定の状態)条件下で、軽質成分(C1〜C2)の分圧は、わずかに異なることになり、その一方で、重質成分(C3+)の分圧の差異は、かなり顕著であり、膜を通じた重質炭化水素の輸送を確実にすることが可能になる。したがって、透過物は、重質炭化水素が豊富となり、保持物は、軽質炭化水素が豊富となる。 毛管凝縮法による炭化水素分離の方法は、膜の冷却及び細孔中で液化された成分の輸送を含み、液体状態の透過物(C3+)の収集を可能にし、輸送のための更なる操作を有意に簡素化する。それによって、透過側圧力は、透過温度及び液体混合物の成分含有量によって決定され、温度値及び使用されるガスの含有量に応じて、保持物の圧力より1から5バール低くなり得る。 したがって、微多孔膜上での毛管凝縮を使用する、ガス混合物の膜分離は、冷凍サイクル付きの膜分離ユニットを使用して実現することができる。膜を冷却するための技術から知られている、任意の手段及び方法を使用することが可能である。それによって、膜ユニット注入口へ供給される、供給流の予冷のために保持物を使用することが可能である。同時に、微多孔膜上での毛管凝縮を使用して低分子量炭化水素の混合物を分画する、提案の方法は、膜への粗混合供給物の予冷を含まず、この工程なしで実現することができる。 更に、膜温度までの供給流の直接冷却の必要性がなく、透過物の冷却及び凝縮だけのために冷凍サイクルを使用するので、従来使用されてきた低温分離法と比較して、炭化水素混合物の分離のエネルギー効率を有意に上昇させることができる。 冷却のために使用される熱は、保持物へ及び/又は空気蒸発器で環境へ放出できる。 高性能の膜での毛管凝縮を使用して混合物を有効に分離するために、5から250nmの範囲に制御された細孔直径膜と、細孔の小さいサイズ分散(25%未満)とを兼ね備えた、膜の貫通多孔性が必要とされる。Kelvin方程式にしたがった広い細孔径分布の場合、液相による細孔の封鎖は、小さい直径の細孔においてのみ観察されることになり、その一方で、全ての混合物成分の輸送は、より大きい直径の細孔を通じて実行されることになる。この効果は、ガス分離の効率を有意に減少させることになる。 細孔直径(5から250nm)及び狭い細孔径分布(25%未満の分散)を有する所要の微細構造を有する微多孔膜は、2つの主要な分類の材料、陽極酸化アルミニウム膜及びトラック膜(飛跡膜:track membrane)によって代表される。 陽極酸化アルミニウム膜は、高電圧でのアルミニウム陽極酸化法によって形成される。高熱安定性及び機械的安定性と相まって、陽極酸化アルミニウムの独特の多孔質構造(制御された直径のまっすぐな細孔)によって、この材料は、毛管凝縮原理にしたがって操作する、ガス膜の形成のための実用的に理想的な対象になる。膜を得るために、アルミニウム板の陽極酸化を、溶解している電解質(0.3M H2SO4、0.3M H2C2O4、0.1M H3PO4)において、10から250Vの電圧で実行し、酸化皮膜の形成をもたらし、酸化皮膜の厚さは、陽極酸化する間に通った電荷密度によって決定されるが、その一方で、細孔直径は、陽極酸化電圧によって決定される。それによって、陽極酸化過程の間の電圧の変化は、非対称の膜を形成するために、細孔直径を制御して変化させることを可能にする。ここにおいて、表面から同じ深さの全ての細孔は、同じ直径を有し、したがって、階層的な多孔質構造を形成することになる。次に、バリアー金属層の除去が、酸溶液中での化学エッチングによって実行される。したがって、この方法は、細孔直径範囲5から250nm以内の所要の細孔構造を有し、貫通多孔性を有する透過性の膜を得ることを可能にする。 多孔質構造の所要の特徴を有する、二番目に広く使用されている膜タイプは、ポリエチレンテレフタレート又はポリカーボネートをベースとする、トラックエッチドポリマー膜である。これらの膜もまた、均一なトラックエッチング速度に起因して、狭い細孔径分布を有し、したがって、これらの膜は、記載された方法における毛管凝縮を使用して、低分子量炭化水素の混合物を分画するために使用できる。 上の特徴は、本発明の必須の特徴であり、組合せで実現される場合、所要の技術的効果の達成にとって十分である。 前記方法は、凝縮された成分に関する膜透過率(n-ブタンに関しては500m3/(m2・atm・h)超)、及び成分分離の選択性(n-C4H10/CH4分離係数は、随伴石油ガス組成物を有する混合物について60超である)を有意に上昇させることを可能にするが、その一方で、膜モジュールに供給されるガス流の深冷を省略すること、及び透過側での膜のわずかな冷却下(-50℃まで)で、ガス分離を実行することもまた、可能にする。この方法を使用することによって、天然ガス及び随伴石油ガスの有効な乾燥が、小さい膜表面積を使用しながら可能になる。本発明は、産業的に適用可能であり、産業条件下で実現できる。 微多孔膜の細孔における毛管凝縮を使用する、随伴石油ガスの低級炭化水素の分離原理を、図1に図示する。 本発明の本質を、以下の図によって説明する。 微多孔膜の細孔における毛管凝縮を使用して、炭化水素の混合物を分画する、一般的なスキームの概要を示す図である。 膜の表面の顕微鏡写真及び細孔径分布を示す図である。(a)6nmの選択層の細孔直径を有する、陽極酸化アルミニウムから作製された非対称の無機微多孔膜(実施例1)。 膜の表面の顕微鏡写真及び細孔径分布を示す図である。(b)43nmの細孔直径を有する、陽極酸化アルミニウムから作製された無機微多孔膜(実施例2及び実施例3)。 膜の表面の顕微鏡写真及び細孔径分布を示す図である。(c)130nmの細孔直径を有する陽極酸化アルミニウムから作製された無機微多孔膜(実施例4)。 膜の表面の顕微鏡写真及び細孔径分布を示す図である。(d)230nmの細孔直径を有する陽極酸化アルミニウムから作製された無機微多孔膜(実施例5)。 膜の表面の顕微鏡写真及び細孔径分布を示す図である。(e)110nmの細孔直径を有するWhatman社製Nucleporeトラックポリカーボネート膜(実施例6) 膜ホルダーの温度10℃及び供給ガスの温度25℃での、陽極酸化アルミニウムから作製された非対称の無機微多孔膜における透過率とHe及びi-C 4H 10についての膜の平均圧力の関係を示す図である。
本発明は、特定の実施例によって説明されるが、しかし、これらの実施例は、唯一可能なものではなく、本発明の範囲を限定しない。 (実施例1から5) 陽極酸化アルミニウムから作製された無機微多孔膜上での試験炭化水素混合物の分離 無機微多孔膜上での毛管凝縮の手法を使用して、低分子量炭化水素を分画する方法を例証するために、陽極酸化アルミニウム膜を、厚さ100ミクロン及び5から250nmの細孔直径で形成した。 小さい直径細孔及び(十分な機械的強度を実現するために必要とされる)有意な厚さを有する膜の低い透過率の観点から、細孔直径6nmを有する膜(実施例1)を、(層厚:Dpore=120nmで90ミクロン、Dpore=40nmで7ミクロン、Dpore=6nmで3ミクロンを有する)選択層を有する、層状の非対称の膜として形成した。膜を、電圧の段階的削減によって、0.3Mシュウ酸溶液中での陽極酸化によって形成した。細孔直径120nmを有する層を電圧120Vで、直径40nmを有する層を40Vで、直径6nmを有する層を10Vまでの電圧で、形成した。 細孔直径43及び130nmを有する陽極酸化アルミニウム膜(実施例2、実施例3及び実施例4)を、それぞれに対応して、40V及び120Vの電圧で0.3Mシュウ酸溶液中での陽極酸化によって作製した。膜厚の制御を、電圧40Vについて0.451(μm/cm2)/Cから電圧120Vについて0.55(μm/cm2)/Cの酸化効率を想定して、陽極酸化の間に通った電荷についての電荷密度によって実行した。 細孔直径230nmを有する陽極酸化アルミニウム膜(実施例5)を、電圧190Vで0.3Mリン酸溶液中での陽極酸化によって作製した。膜厚の制御を、0.45(μm/cm2)/Cの酸化効率を想定して、陽極酸化の間に通った電荷についての電荷密度によって実行した。 全ての膜のための金属バリアー層の除去は、細孔開口の瞬間を電気化学的に検出しながら、酸溶液中での化学エッチングによって実行した。この手法は、バリアー層除去の再現性を実現する。膜表面の顕微鏡写真及び細孔径分布を、図2A〜Dに示す。膜の細孔直径及び細孔径分布についてのデータは、Table1(表1A及び表1B)にもまた、概要を示す。 陽極酸化アルミニウムの無機微多孔膜上での毛管凝縮を使用する、低分子量炭化水素の分画を、冷却された膜ホルダーを備えた膜モジュールにおいて実行した。また、低温での透過セクションの自動調温制御を、実行した。 凝縮ガスに関する膜透過率を測定するために、純粋なブタンを使用する、非対称の無機微多孔膜の透過率の測定を、実行した(図3)。得られた従属関係(プロット)は、膜細孔中の凝縮圧力に近づく際に、500m3/(m2・atm・h)超の膜透過率の有意な上昇を反映している。したがって、膜チャネルにおけるガスの毛管凝縮は、膜透過率の有意な上昇を導き、産業適用での膜効率の有意な上昇を可能にする。 ガス混合物を使用する方法を試験するために、以下の含有量の試験混合物を、随伴石油ガスの含有量をシュミレーションして、作製した。CH4 67.0vol.%、C2H6 7.1vol.%、C3H8 10.1vol.%、i-C4H10 2.6vol.%、n-C4H10 5.2vol.%、i-C5H12 1.4vol.%、n-C5H12 1.4vol.%、C6H14 3.9vol.%、N2 1.6vol.%。供給ガス混合物及び保持物のガス混合物の含有量を、Perkin Elmer社製Clarus 600ガスクロマトグラフを使用するガスクロマトグラフィーによって測定した。 種々の細孔直径を有する膜での実験を、実行した。実験の間、膜モジュールに、圧力P1(6〜7バール)及び温度T1=50℃下で、ガス混合物を供給した。膜モジュールに供給する前にガスが凝縮するのを回避するために、高温の供給ガス混合物を、使用した。膜及び透過セクションを、所要の温度まで冷却した。透過側圧力P2を、(P1及びT1=25℃で透過セクションに導入された)ガス混合物を冷却した際に保てるようになる、平衡圧力に等しく、又は平衡圧力より1から3バール低く維持した。注入ガス流を、最大流量で透過物へのC1及びC2成分の放出を最小化するように、制御した。実験の全パラメータの概要を、Table1(表1A及び表1B)に示す。Table1(表1A及び表1B)はまた、混合物の膜分画後の保持物の含有量の概要も示す。成分に関する平均含有量及び分離係数を、供給混合物及び保持物の流量、並びに組成物から計算した。 実施された実験にしたがって、5から250nmの範囲の細孔直径を有する膜チャネルにおけるガスの毛管凝縮は、膜の効率の有意な上昇及び重質炭化水素の効率的な分離を導く。概要を示した条件について達成された最大分離係数は、細孔直径43nmを有する膜、並びに膜ホルダー及び透過セクションの温度-46.5℃について、α(C3H8/CH4)=39.7、α(i-C4H10/CH4)=61.6、α(n-C4H10/CH4)=63.5、α(i-C5H12/CH4)=69.5、α(n-C5H12/CH4)=70.6、α(C6H14/CH4)=71.4であった。軽質成分(C1及びC2)の最小ステージカット(透過流量/供給流量)は、供給流量340m3/(m2・atm・h)超及び透過流量79.2m3/(m2・atm・h)までで、2.5%未満であり、したがって、方法の可能な実用的適用性を実現した。実験圧力での炭化水素に関する、測定された保持物の露点温度は、-38℃未満であり、計算値は、-45.9℃であった。実施例1から実施例5についての炭化水素に関する露点温度の計算値の概要もまた、Table1(表1A及び表1B)に示す。 その他の膜及び方法条件について得られた結果もまた、実施例3において概要を示した結果には劣るが、混合物の成分についての高い分離効率を例証する。それによって、膜細孔直径の増大は、膜を通じた最大透過流量の増加及びまた軽質成分のステージカットの上昇をもたらす。保持組成物が、実験条件を変化させた場合(実施例1から実施例4を参照)、わずかに変化し、それによって、一定の組成物の混合物を生成するために、この方法を使用することを可能にすることもまた、留意されるべきである。更に、種々の温度に冷却された膜の逐次使用による、種々の沸点及び平衡部分体積を有する分画の逐次分離が、可能である(実施例2、実施例3)。 (実施例6) トラックポリエチレンテレフタレート膜を使用する、試験炭化水素混合物の分離 市販の試料である細孔直径100nmのWhatman社製Nucleporeポリカーボネート膜を、この実施例において、膜材料として使用した。膜表面の顕微鏡写真を図2Eに示す。走査電子顕微鏡によって測定された細孔直径は、110±27nmであった(Table1(表1A及び表1B))。トラック膜上での毛管凝縮を使用する、低分子量炭化水素の分画についての実験を、実施例1から実施例5に記載された実験と同様に、実行した。実験のパラメータの概要をTable1(表1A及び表1B)に示す。 概説された条件について達成された最大分離係数は、α(C3H8/CH4)=3.5、α(i-C4H10/CH4)=4.4、α(n-C4H10/CH4)=4.1、α(i-C5H12/CH4)=5.6、α(n-C5H12/CH4)=6.8、α(C6H14/CH4)=7.8であった。軽質成分(C1及びC2)のステージカットは、230m3/(m2・atm・h)の供給流量で約14%であった。この場合の軽質成分の比較的高いステージカットは、細孔の不均一性に関連していて、トラックの結合の結果生じる、膜中の2倍の大きさの細孔の存在に起因している。軽質成分の高いステージカットにもかかわらず、市販で入手しやすいことと相まって、毛管凝縮モードにおける膜の高い透過率は、この方法における実用的適用性を決定づけている。 したがって、得られたデータによれば、本請求の方法は、微多孔膜上での毛管凝縮を使用して、天然ガス及び随伴石油ガスを含む炭化水素混合物を効率的に分離することを可能にする。
|