【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、フィルターに関し、特にその場で洗浄することができる装置を有するフィルターに関する。 【0002】 【従来の技術】導電性フィルターを洗浄するための方法は、GB 2 160 545 Bに開示され、この方法は付着物をその場でフィルターから取り除く。 この方法では、第1電極としてのフィルターと、対向電極とからなり、処理液を電解液とした電気化学セルが確立されている。 微細な泡の形態で、フィルターを洗浄するガス状生成物をフィルターに生じさせるように、第1電極と対向電極との間に濾過工程中間隔を置いて、電位差を加える。 例えば、 500-3000A/m 2の膜電流を1-5 秒間、1 時間に4-15回周期的に加える。 この方法は、例えばフィルターがステンレス鋼メッシュ或いは焼結ステンレス鋼のような微孔性金属膜、微孔性グラフィト膜、又はドープチタン或いはジルコニウムのような導電性セラミックの微細濾過膜及び超濾過膜である場合に適用できる。 しかし、例えば数平方メートルの大きな濾過面積が必要とされる場合に、十分に大きな電流を供給すること、電流密度がフィルター全体に渡って実質的に一様であるようにすること、及び電気エネルギーの散逸が、処理を受ける液体の過剰な温度上昇をもたらさないようにすることが相当困難である。 【0003】本発明によれば、複数の陰極モジュールを有し、各陰極モジュールが、濾過室を構成するように、 間隔を隔てた濾過材の2つの平らな導電性シートと、濾過材を支持するための濾過室内の導電性メッシュ要素と、陰極モジュールの周囲のフレームとを備え、各陰極モジュールは、導電性材料の2 つの平らな陽極シートの間に設置され、陰極モジュールと隣接した陽極シートとの間に、処理すべき液体のための流路を構成し、さらに陽極シートに対して陰極モジュールを支持する電気絶縁手段と、処理すべき液体のための、前記流路と連通する流入手段及び流出手段と、各濾過室からの濾液のための流出ダクトと、選択した前記陰極モジュールと少なくとも1 つの隣接した前記陽極シートとの間に電流を周期的に流すための給電手段とを有するフィルターを提供する。 【0004】陰極モジュールを構成する成分はステンレス鋼のものが好ましく、一方陽極シートはGB 2 247 469 A に説明されているように、使用中ほとんど腐蝕を受けないようになっている低クロムステンレス鋼(5%から15 %のクロム、好ましくは9 %クロム) のものが好ましい。 陰極モジュールは、例えば幅0.5m、高さ1.0mの長方形の形状、例えば15mmの厚さのものがよく、流路は幅2m m から5mm 、好ましくは幅3mm であるのが望ましい。 【0005】代表的には、2000A/m 2の電流を約5 秒間供給することによって、濾過材の1 つのシートを洗浄することができ、これを15分毎に繰り返し、陰極モジュールと隣接した陽極シートとの間の必要な電位差は約40V である。 必要電力を最小にするために、電流を1 回に1つの陰極モジュールだけに供給するのが好ましく、隣接した陽極シートの1 つだけに供給するのが望ましい。 電流供給装置が、例えば15分間ずっと洗浄用電流パルスを各陰極モジュールの各濾過材のシートに一回供給するようになっている。 好ましい実施例では、各陰極モジュールはそれぞれのスイッチユニット( サイリスタ) を介して母線に接続され、陽極シートは2 つの母線のうちの1 つに接続され、隣接した陽極シートは別の母線に接続され、陽極母線の1 つだけがいつでも電源に( スイッチユニットを介して) 接続されている。 【0006】今、本発明を添付図面を参照して単なる例示としてさらに説明する。 【0007】 【実施例】今図1を参照すると、フィルター10が絶縁用端プレート16の間に交互に配列された25個の陰極モジュール12と26つの陽極シート14のスタックを有する(端プレート16を1つ、陽極シート14を4つ及び陰極モジュール12を3つだけ示す)。 それらはボルト(図示せず)によって互いに締め付けられている。 隣接した陽極シート14と陰極モジュール12の表面間の幅3mmのギャップは、処理を受ける液体の流路18をなし、好ましい実施例では、流路18は鉛直平面内にあり、液体は上方に流れる。 各陽極シート14は、低クロム(9%クロム)ステンレス鋼の長方形板(1.0m X 0.62 m)であり、図3に示すように各シート14は、各端の近くに1つずつ2つの長方形開口20を構成する。 ストラット21が各開口20の向かい合った側の中間点を連結する。 一列の等間隔の円形孔22が、シートの全周で各シート14の縁の近くにあり(図3に9個だけ示す)、 1つのシート14の孔22は、次のシート14の孔の間の中間の位置にある(これらの2組の位置をそれぞれ図2にA及びBで示す)。 各シート14は、電気接続を行うのがよい、少なくとも1つの突出タブ23を有する。 図1から明らかなように、開口20はフィルター10の各端に処理を受ける液体のための、ヘッダーを構成し、 これにパイプ24が通じる。 【0008】各陰極モジュール12は、濾過材26(ステンレス鋼48メッシュ支持対によって裏打ちされた焼結ステンレス鋼マイクロファイバーのO.5mm 層) の2つの長方形(0.5m X 0.65m)シートを有し、これらのシートは、その周囲がU 字形断面のステンレス鋼フレーム28に溶接され、溶接ステンレス鋼ワイヤグリッド30(ギャップ5mm で直径3mmの金網の4つの層からなるのが好ましい) によって間隔を隔て、グリッド30はその縁がすべてフレーム28に溶接されている。 シート26及びフレーム28は、一緒になって濾液の集まるチャンバを構成する。 【0009】図2を参照すると、各陰極モジュール12 は外形寸法1.0m X 0.62 m、厚さ20mmの電気絶縁材料の長方形フレーム32によって取り囲まれ、かつ支持される。 陽極シート14は、フレーム32の間に挟まれ、 フレーム32の溝34に位置するシールによって密封され、陽極シート14の周囲の孔22を貫通してフレーム32の対応する凹部(凹部はフレーム32の両側で、図2のA及びBを付した位置である)の中へ延びるピン3 6(図1に示す)によって位置決めされる。 【0010】管38が、フレーム32を貫通して、陰極モジュール12の濾過室と連通する。 陰極モジュール1 2は、各側に6本ずつ12本の電極ロッド40によって支持され、(2本だけを示す)、電極モジュール40はフレーム32にシールされ、かつモジュール12のフレーム28に溶接されている。 陰極モジュール12からの全ての電極ロッド40は、フレーム32の外側で母線(図示せず)によって接続されている。 【0011】かくして操作中、処理すべき液体はパイプ24を通ってフィルター10の底のヘッダーに供給され、流路18の中を上方に流れてフィルター10の頂部のヘッダーへ流れ、フィルター10の頂部のパイプ24 から流出する。 代表的には、液体は約2atm の圧力である。 濾液は濾過材26の中を通って濾過室の中へ流入し、約1atm の圧力で管38から流出する。 濾過材26 に付着したあらゆる付着物を取り除くために、電流を各陰極モジュール12に供給する。 【0012】今図4を参照すれば、フィルター10の電気回路が概略的に示されている。 1000A の電流及び約40 V の電圧を供給することができる電源50が、陰極母線52に接続され、スイッチ54を介して2つの陽極母線56のうちの1つに接続される。 フィルター10の1 つおきの陽極シート14は、陽極母線56の1つに接続され、他の陽極シート14は他の陽極母線56に接続される。 各陰極モジュール12は、それぞれのスイッチ58 を介して陰極母線52に接続される。 スイッチ54及び58はすべてサイリスタであるのが望ましい。 コントローラ60が制御信号を発生して、スイッチ54及び58 の全ての操作を制御する。 電流が各陰極モジュール12 に周期的に、例えば1000A で5 秒間供給され、各陰極モジュール12は、各側で1 回、15分毎に2 回処理される。 液体の加熱を最小にするために、スタック内で間隔を隔てた陰極モジュール12に電流を逐次供給する。 【0013】濾過材26は、代表的には1ミクロンから40ミクロンの範囲の幅の穴を構成する、代表的には直径1ミクロンから10ミクロンの間、例えば6ミクロンのファイバーからなる。 処理すべき液体の導電率及び濾過すべき粒子の大きさ並びに性質が、どんなタイプの濾過材26が最も適するかを決定することがわかる。 そのように処理すべき液体にとって、濾過材26は十分であるが他の液体にとって、プリコートを付着させてより細かい表面孔構造を作るのが有利である。 プリコートはカーボン粒子のような導電性粒子からなるのがよい。 【図面の簡単な説明】 【図1】一部切除したフィルターの断面図である。 【図2】陰極モジュール12の一部を立面で示す、異なる縮尺の図1の線II-II における図である。 【図3】陽極シート14を立面で示す、異なる縮尺の図1の線III -IIIにおける図である。 【図4】図1のフィルターの概略的な電気回路を示す。 【符号の説明】 12 陰極モジュール 14 陽極シート 18 流路 24 流出入手段 26 導電性シート 32 電気絶縁手段 38 流出ダクト 50 給電手段 54 給電手段 58 給電手段 60 給電手段 フロントページの続き (72)発明者 アンドリュー デレク ターナー イギリス国 オックスフォードシャー オ ーエックス11 0アールエイ ディドコッ ト ハーウェル 329 ユナイテッド キ ングドム アトミック エナヂイ オーソ リティ パテンツ ブランチ内 (72)発明者 スタンリー デレク デーラム イギリス国 オックスフォードシャー オ ーエックス11 0アールエイ ディドコッ ト ハーウェル 329 ユナイテッド キ ングドム アトミック エナヂイ オーソ リティ パテンツ ブランチ内 (72)発明者 ピーター コリン ラヴグローヴ イギリス国 オックスフォードシャー オ ーエックス11 0アールエイ ディドコッ ト ハーウェル 329 ユナイテッド キ ングドム アトミック エナヂイ オーソ リティ パテンツ ブランチ内 |