Laminate of the acidic polysaccharide film

申请号 JP2009541286 申请日 2006-12-15 公开(公告)号 JP2010513055A 公开(公告)日 2010-04-30
申请人 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニーE.I.Du Pont De Nemours And Company; 发明人 エドワード・ジョージ・ハワード・ジュニア; ニコール・エム・ライナーツ; レイチェル・カーン; ロナルド・ジェイムズ・マキニー;
摘要 本発明は、連続的な酸性多糖フィルムから部分的に調製される積層体に関する。 様々な実施形態において、当該積層体は、有害な化学剤および 生物 剤に対しては一般に大いに非透過性であるが、 水 蒸気に対しては十分透過性であり、防護衣として着用した場合、着ることが保護になり、かつ快適であるので保護製品として製造するのに有用である。
权利要求
  • 積層体中に連続酸性多糖フィルムを含有させることによる、積層体またはそれから製造されるアパレルの構造もしくはアイテムを通しての、化学的または生物学的に有害な物質の透過を抑制する方法。
  • 少なくとも1つの酸性多糖部分を少なくとも50質量%の量で含有する連続フィルムと、少なくとも1つのファブリックの層とを含む選択透過性保護構造。
  • 少なくとも1つの酸性多糖部分が、ペクチン、アルギン酸、アルギン酸プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロース、キサンタン、アラビアガム、カラヤガム、オオバコ、キシラン、アラビン酸、トラガカント酸、カバ ガム、亜麻仁酸、セルロン酸、リケニン ウロン酸、ジェランガム、ラムザンガム、ウェランガム、カラゲナン、グリコサミノグリカン類と、これらのアルカリ塩、アルカリ土類塩、および(アルキル)アンモニウム塩からなる群の1つまたはそれ以上の構成員を含む、請求項2に記載の選択透過性構造。
  • 少なくとも1つの酸性多糖部分が、ヒアルロン酸、コンドロイチン−4−サルフェート、コンドロイチン−6−サルフェート、デルマタンサルフェート、ケラチンサルフェート、ヘパリン;およびこれらのアルカリ、アルカリ土類および(アルキル)アンモニウムの塩からなる群から選択される1つまたはそれ以上のグリコサミノグリカンを含む、請求項3に記載の選択透過性構造。
  • 構造が、連続酸性多糖フィルムおよび少なくとも1つのファブリックの層を含む積層体である、請求項2に記載の選択透過性構造部材。
  • 酸性多糖フィルムが、天然ポリマー、合成ポリマー、架橋剤、充填剤、難燃剤、可塑剤、強化剤、および安定剤からなる群から選択される1つ以上の構成員をさらに含み、かつここでフィルムが、質量基準で少なくとも50%の酸性多糖を含む、請求項2に記載の選択透過性構造。
  • その上に酸性多糖フィルムが溶液から注型される支持体をさらに含み、ここで支持体には、フィルムに変換される酸性多糖コーティングの所望の厚さよりも高い突起部が支持体平面上に基本的に存在しない、請求項2に記載の選択透過性構造部材。
  • 支持体が、フィルム、シート、および微孔質膜からなる群から選択される、請求項7に記載の選択透過性構造。
  • 支持体が、フィルム、シート、または微孔質膜であり、かつエラストマー、ガラス質ポリマー、および半結晶性材料からなる群から選択される少なくとも1つのポリマーを含む、請求項7に記載の選択透過性構造。
  • 少なくとも1種類のポリマーが、アイオノマー、ポリオレフィン、およびフルオロポリマーからなる群から選択される、請求項9に記載の選択透過性構造。
  • アイオノマーが、エチレン/アクリル酸コポリマーまたはエチレン/メタクリル酸コポリマー;パーフルオロ化スルホネートまたはカルボキシレートポリマー;スルホン化ポリスチレン;スルホン化エチレン−プロピレンターポリマー;スルホン化スチレン−ポリオレフィンの二元ブロックおよび三元ブロックコポリマー;スルホン化ポリエステル;スルホン化ポリアミドのアイオノマーからなる群から選択される、請求項10に記載の選択透過性構造。
  • パーフルオロ化スルホネートポリマーが、パーフルオロスルホン酸テトラフルオロエチレンコポリマーである、請求項11に記載の選択透過性構造。
  • ポリオレフィンが、ポリプロピレン;高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒添加ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、高性能ポリエチレン;エチレンとプロピレンのコポリマー;エチレンまたはプロピレンと、プロピレン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸、メタアクリル酸、および一酸化炭素から選択される少なくとも1つのモノマーとから誘導されるコポリマー;およびオレフィンと少なくとも1つのジオレフィンとのコポリマーからなる群から選択される、請求項10に記載の選択透過性構造。
  • ジオレフィンとのコポリマーが、少なくとも炭素原子6個の線状脂肪族非共役ジエン、および共役しているまたは共役していない他のジエン、例えばノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、およびブタジエンと、エチレンとの、またはプロピレンとの、またはエチレンおよび他のオレフィンとのコポリマーからなる群から選択される、請求項13に記載の選択透過性構造。
  • フルオロポリマーが、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、モノクロロトリフルオロエチレン、ジクロロジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデンおよびフッ化ビニルの、ポリマーおよびコポリマーからなる群から選択される、請求項10に記載の選択透過性構造。
  • フルオロポリマーが、フッ素化エチレン/プロピレンコポリマー、エチレンとクロロトリフルオロエチレンのコポリマー、エチレンとテトラフルオロエチレンのコポリマー、パーフルオロビニルエーテル/テトラフルオロエチレンコポリマー、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、フッ化ビニリデン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)ジポリマーおよびテトラフルオロエチレンとのターポリマー、ポリフッ化ビニリデンホモポリマー、またはアクリルポリマーのポリフッ化ビニリデンとのブレンド、ならびにポリフッ化ビニルホモポリマーからなる群から選択される、請求項15に記載の選択透過性構造。
  • 支持体が疎水性微孔質膜である、請求項9に記載の選択透過性構造。
  • 織物またはノンウーブンファブリックが、アラミド、ポリベンゾイミダゾール、ナイロンおよび綿からなる群から選択される1つまたはそれ以上の構成員を含む、請求項18に記載の選択透過性構造。
  • 水蒸気透過率が、少なくとも2g/m /24時間であり、ヒトの健康に有害な少なくとも1つの化学的または生物学的作用物質の透過率が、該化学的または生物学的作用物質によって引き起こされる傷害、病気、または死の発生を防ぐのに十分に低い、請求項2に記載の選択透過性構造。
  • 化学的または生物学的作用物質が、神経ガス、びらん性毒ガス、ルイサイト、窒素マスタード、催涙ガスおよび暴動鎮圧剤、有毒工業薬品および有毒工業材料、殺虫剤、ホスゲン、塩素、パラチオン、アクリロニトリル、ウィルス、細菌、および毒素からなる群から選択される、請求項19に記載の選択透過性構造。
  • 少なくとも1つの追加の層をさらに含む、請求項5に記載の選択透過性構造。
  • 請求項2に記載の選択透過性保護構造を組み込んだ完成品。
  • 外殻、および場合によりインナーライナーをさらに組み込み、それぞれが独立して織物、ノンウーブンファブリック、フィルム、および微孔質膜からなる群の少なくとも1つの構成員を含む、請求項22に記載の完成品。
  • 品が、アパレルのアイテム、シェルター、および保護カバーからなる群から選択される、請求項22に記載の完成品。
  • アパレルのアイテムが、つなぎ作業服、防護服、外套、ジャケット、限定使用防護服、雨具、スキーパンツ、手袋、ソックス、ブーツ、靴またはブーツのカバー、ズボン、フード、帽子、マスク、シャツ、および医療用衣服からなる群から選択される、請求項24に記載のアパレルのアイテム。
  • 医療用衣服が、医療用または外科用のガウン、手袋、スリッパ、靴またはブーツのカバー、およびヘッドカバーからなる群から選択される、請求項25に記載の医療用衣服。
  • 方法が、戦闘環境において遭遇する恐れのある化学的および生物学的作用物質に対する皮膚の曝露に対する軍人の保護、緊急事態対応状況における化学的または生物学的作用物質からの第一対応者の保護、また化学災害対応状況の間の化学的または生物学的作用物質からの浄化要員の保護を与える、請求項1に記載の方法。
  • 酸性多糖フィルムが、キトサン自体、キトサン塩、およびキトサン誘導体からなる群から選択される天然ポリマーをさらに含む、請求項6に記載の選択透過性構造。
  • (a)酸性多糖の溶液を形成する工程、
    (b)フィルムを形成するのに十分な量の酸性多糖溶液を支持体上に堆積する工程であって、支持体には、フィルムに変換される酸性多糖コーティングの所望の厚さよりも高い突起部が支持体平面上に基本的に存在しない、工程、
    (c)支持体上の堆積した酸性多糖溶液を乾燥させ、それによって酸性多糖フィルムを形成する工程、
    (d)場合により、前記酸性多糖フィルム上へ追加の層を堆積する工程、および (e)支持体と酸性多糖フィルムと少なくとも1つのファブリックの層とを含む積層体を形成する工程を含む、選択透過性積層体の製造方法。
  • (a)酸性多糖の溶液を形成する工程、
    (b)フィルムを形成するのに十分な量の溶液をワークデバイス上に堆積する工程、
    (c)ワークデバイス上の酸性多糖溶液の堆積物を乾燥させ、それによって酸性多糖フィルムを形成する工程、
    (d)場合により、酸性多糖フィルム上へ追加の層を堆積する工程、
    (e)ワークデバイスからフィルムを取り出す工程、および (f)フィルムおよび少なくとも1つのファブリックの層を含む積層体を形成する工程を含む、選択透過性積層体の製造方法。
  • 支持体が、フィルム、シート、および微孔質膜からなる群から選択される、請求項29または30に記載の方法。
  • 加熱;少なくとも1つの二価または三価の塩の溶液中に前記フィルムを浸漬する手段によるイオン架橋;共有架橋;不溶化しようとする酸性多糖のpKaよりも低いpKaを有する酸との接触;からなる群から選択される1つまたはそれ以上の方法によって連続フィルムを不溶化する工程をさらに含む、請求項29または30に記載の方法。
  • CaCl 、SrCl 、BaCl 、ZrOCl 、およびFeCl からなる群から選択される二価または三価の塩の溶液中にフィルムを浸漬する手段によるイオン架橋によって連続フィルムを不溶化する工程をさらに含む、請求項32に記載の方法。
  • 酸性多糖溶液(a)中の酸性多糖の濃度が、約0.5から約15質量%である、請求項29または30に記載の方法。
  • 酸性多糖溶液が、ドクターナイフコーティング、吹付け塗装、浸漬塗装、またはスピンコーティングを用いてワークデバイス上へ堆積されるか、あるいはリバースロールコーティング、巻ワイヤーまたはマイヤーロッドコーティング、直接およびオフセットグラビアコーティング、スロットダイ、ナイフ塗装、ホットメルト、カーテンコーティング、ロール式ナイフ塗布、押出、エアナイフコーティング、吹付け塗装、ロータリスクリーン、多層スライドコーティング、共押出、メニスカス、コンマコーティング、またはマイクログラビアコーティング法を用いて移動ウェブまたは支持体上へ塗布される、請求項29または30に記載の方法。
  • 酸性多糖の溶液が、天然ポリマー、合成ポリマー、架橋剤、充填剤、難燃剤、可塑剤、強化剤、および安定剤からなる群から選択される任意の1つまたはそれ以上の構成員をさらに含み、質量を基準にしてその得られるフィルムの少なくとも50%が酸性多糖である、請求項29または30に記載の方法。
  • 说明书全文

    本発明は、酸性多糖を含む連続フィルムから部分的に調製される積層体に関する。 様々な実施形態において、当該積層体は、有害な化学剤および生物剤に対しては一般に大いに非透過性であるが、蒸気に対しては十分透過性であり、保護衣として身につけた場合、着ることが保護になり、かつ快適であるので、保護製品として製造するのに有用である。

    毒性の化学剤または生物剤に対する個人的保護を与える構造部材の必要性の高まりが存在する。 毒性の化学薬品蒸気および液体に対して非透過性の構造部材を工夫することが知られているが、衣料として使用した場合、このような構造部材はまた、一般に着用するには暑く、重く、また着心地がよくない。

    保護服として着用される衣料によって与えられる快適さの程度は、その保護服が作られる布を透過することができる水蒸気の量がかなり影響する。 人体は、体温を調節する方法として水分を絶え間なく汗に出している。 保護布が体からの水蒸気の減損を妨げると、この蒸散冷却過程が妨げられ、人の不快につながる。 保護服が水蒸気の減損をほとんどまたはまったく許さない場合、短期間に極端な熱ストレスまたは熱中症を引き起こす恐れがある。 したがって毒性の化学薬品および液体に対する最高レベルの保護を提供することに加えて、実用的な化学的または生物学的保護服は、高い水蒸気透過度を有するべきである。 またその適切な保護構造部材は質量が軽く、かつ長期間にわたって同じ高レベルの保護を提供することが望ましい。

    同時係属中の特許文献1では、連続キトサンフィルムを含む選択透過性積層体が提供される。 これら積層体は、ヒトの健康に有害な恐れのある化学または生物物質の透過に対してバリヤーを与えるとともに、水蒸気の移動を許す。

    米国特許出願第11/593,598号明細書

    本発明は、酸性多糖の連続フィルムを包含し、かつ不透過性製品と比べて着用者の快適性の向上を可能にする個人保護用の製品に使用することができる選択透過性積層体を提供する。

    本発明の一態様は、積層体中に連続的な酸性多糖フィルムを包含させることによって、化学的または生物学的に有害な薬品が積層体、あるいはそれらから製造される衣料の構造部材または衣料品を透過するのを抑制する方法である。

    本発明の別の態様は、連続的な酸性多糖フィルムを含む保護構造部材である。 幾つかの実施形態ではこの構造部材は、少なくとも1枚の布層をさらに含む積層体である。

    本発明のさらなる態様は、連続的な酸性多糖フィルムと少なくとも1枚の布層とを含む積層体を組み込んだ完成製品である。 完成製品には、衣料品、遮蔽物、および保護カバーが含まれる。

    本発明のさらなる態様は、
    (a)酸性多糖の溶液を形成する工程、
    (b)支持体平面の上方に、変容してフィルムになるキトサンの被膜の所望の厚さよりも高い突起部が基本的に存在しない支持体上に、フィルムを形成するのに十分な量の酸性多糖溶液を堆積させる工程、
    (c)支持体上に堆積した酸性多糖溶液を乾燥させ、それによって連続的な酸性多糖フィルムを形成する工程、
    (d)任意選択的に、この酸性多糖フィルム上に追加の層を堆積させる工程、および (e)支持体と、酸性多糖フィルムと、少なくとも1枚の布層とを含む積層体を形成する工程を含む、選択透過性積層体を製造する方法である。

    本発明の別の態様は、
    (a)酸性多糖の溶液を形成する工程、
    (b)フィルムを形成するのに十分な量のこのような溶液を、作業用デバイス上に堆積させる工程、
    (c)作業用デバイス上のキトサン溶液の堆積物を乾燥させ、それによって連続的な酸性多糖フィルムを形成する工程、
    (d)任意選択的に、この酸性多糖フィルム上に追加の層を堆積させる工程、
    (e)作業用デバイスからフィルムを除去する工程、および (f)フィルムおよび少なくとも1枚の布層を含む積層体を形成する工程を含む、選択透過性積層体を製造する方法である。

    本発明のこれらおよび他の態様は、下記の説明および別添の特許請求の範囲に照らせば当業者には明らかになるはずである。

    本発明の実施形態による一つの型の選択透過性積層体の構造部材を示す概略図である。

    この開示の文脈では多数の用語が使用されることになろう。

    本明細書中で使用される用語「フィルム」は、気体、蒸気、エアロゾル、液体、および/または粒子などのそれと接触している種の移動を抑える、薄いが、個別の構造部材を意味する。 フィルムは、化学的または物理的に均質でも不均質でもよい。 フィルムは、一般には厚さ約0.25mm未満と考えられる。

    本明細書中で使用される用語「シート」または「シーティング」は、厚さが少なくとも0.25mmのフィルムを意味する。

    本明細書中で使用される用語「多糖」は、(1)イオン化可能な酸性官能基を含有する多糖、および(2)このような多糖の塩の両方を意味する。

    本明細書中で使用される用語「酸性多糖フィルム」は、少なくとも50質量%の量の少なくとも1種類の酸性多糖部分を含有するフィルムを意味する。

    本明細書中で使用される用語「無孔質」は、分子拡散によるもの以外の空気の通過を許さない材料または表面を表す。

    本明細書中で使用される用語「官能基付き連続多糖フィルム」は、少なくとも片側が無孔質表面である酸性多糖フィルムを意味する。

    本明細書中で使用される用語「透過性」は、液体または気体の通過を許すことを意味する。

    本明細書中で使用される用語「選択透過性」は、幾種類かの種の通過を許すが、他の種に対してはバリヤーとして働くことを意味する。

    本明細書中で使用される用語「積層体」は、相互に少なくとも部分的に接合される2枚以上の平行した材料層を含む材料を意味する。

    本明細書中で使用される用語「支持体」は、その上にフィルムが溶液から形成する材料を意味する。

    本明細書中で使用される用語「作業用デバイス」とは、フィルム形成にのみ使用され、後に積層体の一部にならない支持体を表す。

    本明細書中で使用される用語「可溶性」とは、特定の溶剤と混合した場合に明らかに透明な溶液を形成する材料を表す。 例えば水溶性材料は、水と混合した場合に透明な溶液を形成するが、不水溶性材料は形成しない。

    本明細書中で使用される用語「酸性多糖溶液」は、少なくとも1種類の酸性多糖部分が、その指示された溶剤に溶解することを指す。 しかしその指示された溶剤中にはまた、不溶性の材料が存在してもよい。

    本明細書中で使用される用語「可(不)溶化する」とは、材料を特定の溶剤に可(不)溶性にすることを意味する。

    本明細書中で使用される用語「架橋」とは、ポリマー鎖間に結合、すなわち架橋を作り出すことを意味する。 架橋は、イオン結合、共有結合、または水素結合であることができる。

    本明細書中で使用される用語「キトサン」には、キトサン自体、キトサン塩、およびキトサン誘導体を含めたキトサンを基材とする部分が含まれる。

    本明細書中で使用される用語「ヒトの健康に有害な」とは、皮膚接触、摂取、または呼吸作用を通して急激または長期にわたる暴露の結果としてヒトに害を引き起こすことを意味する。

    好ましい実施形態では酸性多糖フィルムおよびそれらから作られる積層体は、ある種の生物剤および/または化学剤に対して実質的に不透過性である。 これらフィルムおよび積層体は、ある種の薬品に少なくとも99%不透過性であること、それどころか100%不透過性であることが多くの場合望ましい。

    一実施形態では本発明は、連続的な酸性多糖フィルムまたは連続的な酸性多糖フィルムを包含する選択透過性積層体から製造される保護構造部材を提供する。 連続的な酸性多糖フィルムから製造される構造部材に関して本明細書中で使用される「構造部材」には、これら連続的な酸性多糖フィルムの単独層または複合層が含まれる。 酸性多糖フィルムを使用して積層体を作ることができる。 これら構造部材は、ヒトの健康に有害な化学剤または生物剤への曝露から守る衣料の製品および衣料品に使用することができる。 特定の実施形態には、連続的な酸性多糖フィルムから、または連続的な酸性多糖フィルムを包含する選択透過性積層体から製造される衣料の製品を含めた完成製品が含まれる。

    他の実施形態では本発明は、選択透過性積層体中に連続的な酸性多糖フィルムを包含させることによって、化学的または生物学的に有害な薬品が、選択透過性積層体を、またそれから製造される衣料の製品または衣料品を透過するのを抑制する方法を提供する。

    さらなる実施形態では本発明は、衣料の構造部材または衣料品中へ、酸性多糖フィルムを包含する選択透過性積層体を組み込むことによって、ヒトの健康に有害な化学剤または生物剤への曝露に対して守る構造部材を製造する方法、および衣料品を製造する方法を提供する。

    これら積層体は選択透過性であるため、本発明者等は、それらから製造される構造部材が、これら積層体を用いて衣料品を製造した場合、個人の快適さを維持するのに十分な水蒸気の透過を維持しながら、ヒトに有害な恐れのある化学剤および生物剤が積層体を通って、したがってその構造部材を通って浸透するのを抑制する保護バリヤーを可能にすることを見出した。

    本明細書中で述べる選択透過性積層体は、連続的な酸性多糖フィルムを包含する。 一実施形態では積層体は、溶液から支持体上へ堆積させた酸性多糖フィルムである。 別の実施形態では積層体は、熱接合によって層、例えばポリウレタンフィルムに接着させた酸性多糖フィルムである。 別の実施形態では連続的な酸性多糖フィルムまたは支持体上へ注型された酸性多糖フィルム、あるいは別の層に熱接合された酸性多糖フィルムを、接着剤によって1または複数層の布に接合する。 接着剤は、気体および/または液体が選択透過性積層体を通過するのを妨げないように接着剤の不連続層を得るために筋、または好ましくは点の形態であることができる。 図1は、例えば衣料の製品に使用することができる選択透過性積層体の一実施形態を例示する。 図示の実施形態では積層体は、連続的な酸性多糖フィルム(1)、この連続的な酸性多糖フィルムが接着される支持体(2)、追加の層(3、3')、インナーライナー(4)、外殻(5)、および接着剤の要素を包含する。 しかしこれら選択透過性積層体の実施形態のすべてが、図1に示す要素のすべてを包含するわけではない。

    連続的な酸性多糖フィルム これらフィルムに使用される酸性多糖は、その酸性多糖が、伝統的に多糖と関連のある水酸基およびアセタール基に加えて、水中でイオン化可能な酸性官能基(例えば−COOH、−SO H)を有する点で、セルロースおよびデキストリン(デンプン)などの単純な多糖と区別される。 例には、ペクチン、アルギン酸、アルギン酸プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロース、キサンタン、アラビアガム、カラヤガム、オオバコ、キシラン、アラビン酸、トラガカント酸、ハバ(khava)ガム、亜麻仁酸、セルロン酸、リケニンウロン酸、ジェランガム、ラムザンガム、ウェランガム、カラゲナン、グリコサミノグリカン類(例えば、ヒアルロン酸、コンドロイチン−4−硫酸塩、コンドロイチン−6−硫酸塩、デルマタン硫酸塩、ケラチン硫酸塩、およびヘパリン)、ならびにこれらのアルカリ塩、アルカリ土類塩、およびアルキル(アンモニウム)塩が挙げられるが、これらには限定されない。 一般に酸性多糖は、少なくとも約3,000の分子量を有し、また約10,000,000以上もの高分子量であることもできる。

    酸性多糖の酸の形態が、アルギン酸およびカルボキシメチルセルロースの場合のように水に不溶である場合、フィルムを、その酸性多糖の可溶性の塩の形態、例えばアルカリ塩(例えばアルギン酸ナトリウム)または(アルキル)アンモニウム塩の形態から注型することができる。

    注型溶液中の酸性多糖の適切な濃度は、その溶液をどのように塗布するかに応じて、かつまた比較的高分子量の酸性多糖の場合にはより低濃度が望ましいこともあるので、その酸性多糖の分子量に応じて変わることになる。 違った塗布方法が、違った粘度の溶液でもっともよく働くが、一般には溶液は、約0.5から約15質量%の酸性多糖を含有するはずである。

    フィルムをそれから調製する溶液は、酸性多糖のほかに、これらには限定されないがガラス球、小型ガラス球(glass bubble)、クレイ(例えば、セピオライト、アタパルジャイト、およびモンモリロナイト)などを含めた無機充填剤を含むことができる。 酸性多糖フィルムの熱安定性および弾性率を増すことが望ましい場合、少量のこのような充填剤、好ましくは10質量%未満を用いることができる。

    フィルムをそれから調製する酸性多糖溶液は、強度、可撓性、乾燥時の収縮、耐炎性、および安定性などの酸性多糖フィルムの様々な特性を高めるために、天然ポリマー、合成ポリマー、架橋剤、充填剤、難燃剤、可塑剤、強化剤、および安定剤などの添加剤を含むことができる。 天然ポリマーの典型的な添加剤はキトサンである。 キトサンは、ポリ[1−4]−β−D−グルコサミンの一般に使われる名称である。 これは市販されており、またキチンから化学的に誘導され、キチンは真菌類の細胞壁、昆虫の翅鞘、また特に甲殻類からさらに誘導されるポリ[1−4]−β−N−アセチル−D−グルコサミンである。 本発明において添加剤として使用するのに適したキトサンを基材とする部分には、キトサン自体、キトサン塩、およびキトサン誘導体が挙げられる。 本発明において使用するのに適したキトサン誘導体の代表的な例にはN−およびO−カルボキシアルキルキトサンがある。

    添加剤は、酸性多糖プラス添加剤の質量を基準にして50質量%未満で存在する。

    このような添加剤は、溶液中に可溶であってもよく、また分散した不溶性材料として存在してもよい。 この溶液は、望ましい特性を高めるための添加剤として1種または複数種の水溶性ポリマー、例えば可撓性を高めるためのポリビニルアルコールを含むことができる。 キトサンまたはポリエチレンイミンなどの塩基性官能基を有するポリマーを加えて酸形態の酸性多糖と反応させ、不溶性塩を形成することができる。

    酸性多糖フィルムは、そのフィルムと一緒に積層体中に取り込まれることになる支持体上に酸性多糖溶液を直接注型することによって調製することができる。 別法では酸性多糖溶液を、平滑面などの作業用デバイス、例えばガラスまたはポリマーフィルム(例えばポリエステルフィルム)上に注型することもできる。 フィルムを作業用デバイス上に注型する場合、その後に別の工程でフィルムを乾燥させ、引き離し、次いで積層体中へ組み込む。

    溶液は、当業界で知られている様々な方法のいずれかによって支持体に塗布することができる。 実験室用試験試料などの小規模プロセスの場合、一般には溶液はドクターナイフを用いて塗布される。 不規則な表面を有する平面にコーティングするために利用できる方法には、これらに限定されないが、吹付け塗装、浸漬塗装、およびスピンコーティングが挙げられる。 工業的プロセスでは溶液は、例えば移動ウェブに、これらに限定されないがリバースロールコーティング、巻ワイヤーまたはマイヤーロッドコーティング、直接およびオフセットグラビアコーティング、スロットダイ、ナイフ塗装、ホットメルト、カーテンコーティング、ロール式ナイフ塗布、押出、エアナイフコーティング、吹付け塗装、ロータリスクリーン、多層スライドコーティング、共押出、メニスカス、コンマ(comma)コーティング、およびマイクログラビアコーティングを含めた方法を用いて塗布することができる。 これらおよび他の適切な方法については、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology)[John Wiley & Sons)、5 th edition(2004)、Volume 7、Page1〜35]中の「コーティング方法(Coating Processes)」の中でCohenおよびGutoffが記述している。 選択される方法は、塗布される溶液のレオロジー、所望の未乾燥フィルムの厚さ、移動する支持体の速さ、および全厚のパーセントとしての必要被膜精度などの幾つかの要因によって決まることになる。

    次いで塗布された溶液を、熱風オーブン、空気衝突乾燥、または放射(例えば赤外線またはマイクロ波)乾燥に曝すなどの当業界で知られている任意の適切な手段によって乾燥する(全般的にはコーエンおよびガトフの前掲引用文献を参照されたい)。 この段階での乾燥の結果、連続フィルムになる。 このようなフィルムは、乾燥されるときはまだ水溶性である可能性がある。 水溶性フィルムは良好な水蒸気の移動を与えるが、それは多くの最終用途、例えばそれから保護用衣料品が作られることになる積層体への封入に、そうでない場合なら適していたであろうほどには適していない。 水溶性注型フィルムは、少なくとも1種類の二価または三価の塩の溶液中にそのフィルムを浸漬する手段によってイオン架橋により不溶性化することができる。 好適な二価および三価の塩の例には、これらに限定されないがCaCl 、SrCl 、BaCl 、ZrOCl 、FeCl などが挙げられる。 塩溶液は、一般に水に溶かした約1質量%から約40質量%の塩である。 フィルムを不溶性にするのに必要な浸漬時間は、その特定の酸性多糖、塩溶液の濃度、および塩溶液の温度によって決まることになり、それは実験をやり直すことなく通常の当業技術者によって容易に決められる。 典型的な浸漬時間は、約1分から約2時間の範囲にある。

    フィルムはまた、共有架橋(covalent crosslinking)により、例えば酸性多糖上のCOOH基とジアミンのカルボジイミンを介する結合を用いて、または米国特許第5,676,964号明細書に開示されているように、フィルムを活性化剤(例えばヨウ化2−クロロ−1−メチルピリジニウム)で処理し、得られる中間の活性化多糖誘導体に加熱または照射を施すことによって不溶性にすることもできる。

    水不溶性の酸性多糖の場合、フィルムを酸性多糖の水溶性の塩の形態から調製し、その後そのフィルムを酸と接触させ、次いで洗浄することによって水に不溶にすることができ、これにより塩の形態から酸の形態に転換する。 酸で処理されることになるフィルムを支持体に付着させる場合、その酸の組成および濃度は支持体の性質(例えば、酸に対するその反応性)および加工条件(例えば、温度および接触時間、連続プロセス対バッチプロセス)によって影響を受けることになる。 好適な酸は、不溶化される酸性多糖のpKaよりも低いpKaを有する。 一般に酸は、塩酸またはギ酸の1質量%から10質量%水溶液である。 典型的な接触時間は、周囲温度で30秒間から3時間である。

    支持体材料 支えなしの独立の酸性多糖フィルムは保護製品中に組み込むことができるが、望むならそれを支持体に接着させることもできる。 接着剤は、支持体および意図する用途に応じて使用してもしなくてもよい。 したがって用語「接着した」には、接着、吸引、または融着などの方法による貼付けが含まれる。 図1を参照すると酸性多糖フィルム1は、フィルムと一緒に積層体中に組み込まれることになる支持体2上へ酸性多糖溶液を直接注型することによって調製することができる。 それはまた、PETのような作業面上に注型し、追加の層または層群をコーティングしてから、またはその前に作業面を除去し廃棄することもできる。 幾つかの事例では酸性多糖フィルムをその上で調製することができる支持体は、使用条件下での支持体の水蒸気に対する透過性がその特定の最終用途に適しているならば、それ自体連続したシートまたはフィルムであることができる。 例えば外衣は、テントまたは防水布よりもずっと高い水蒸気透過性を必要とするはずである。

    好適な支持体は、平滑な、すなわち支持体平面の上方には変容してフィルムになることになる酸性多糖被膜の所望の厚さよりも高い突起部が基本的に存在しない少なくとも片方の表面を有することになる。 したがって所望の酸性多糖の被膜の厚さが25ミクロンの場合は、それが100ミクロンの場合よりも、より平滑な支持体表面を必要とする。

    好適な支持体は、例えばフィルム、使用条件下の水蒸気の透過性がその特定の最終用途にとって十分なシート、微孔質膜(すなわち、典型的な孔径が直径約0.1から10マイクロメートルであるもの)、または前述のいずれかから調製される製品であることができる。 酸性多糖フィルムと接している支持体表面は、平滑かつ無孔性であることが望ましい。

    好適な支持体材料には、エラストマー、ガラス質ポリマー、および半結晶性材料を含めたポリマーフィルム類が挙げられる。 望ましい支持体特性は、可撓性、耐久性、すぐれた湿分移動、および水中での収縮または膨潤が最少または全くないことである。 好適な支持体材料の例には、これらには限定されないがアイオノマー、ポリオレフィン、およびフルオロポリマーが挙げられる。

    本明細書中で使用される用語「ポリオレフィン」は、その少なくとも1種類がオレフィンであるモノマーから誘導されるポリマーを意味する。 好適なポリオレフィンの例には、これらに限定されないが、ポリプロピレン;ポリエチレン、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒添加ポリエチレン、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、および高性能ポリエチレン(HPPE);エチレンとプロピレンのコポリマー;エチレンまたはプロピレンと、プロピレン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−ブチル、メタアクリル酸メチル、アクリル酸、メタアクリル酸、および一酸化炭素から選択される少なくとも1種類のモノマーとから誘導されるコポリマー;ジオレフィンとオレフィンのコポリマー、例えば少なくとも炭素原子6個の線状脂肪族非共役ジエン(1,4−ヘキサジエンなど)および共役しているまたは共役していない他のジエン、例えばノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、ブタジエンと、エチレンの、またはプロピレンの、またはエチレンおよび他のオレフィンのコポリマーが挙げられる。

    支持体材料として適した他のポリマーはアイオノマーである。 本明細書中で使用される用語「アイオノマー」は、無機塩の基がポリマー鎖に結合したポリマーを指す(H.F.MarkおよびJ.I.Kroschwitz共編、Encyclopedia of Polymer Science and Technology,2nd ed.,Vol.8,pp.393〜396)。 2種類の典型的なアイオノマー構造を下記に示す。

    通常m対nの比が10から100程度である場合、一般に反復単位の約1から9%だけがイオン基を含有する。 イオンMは、一般にはリチウム、ナトリウム、リチウム、または亜鉛のような金属イオンであるが、他の陽イオン、例えばアンモニウムであることもできる。 一般にはまずポリマーの酸の形態を作り、次いで所望の金属イオンを含有する塩基で所望の度合まで中和する。 部分的に中和されたポリ(エチレン−co−メタアクリル酸)および部分的に中和されたポリ(エチレン−co−アクリル酸)はアイオノマーの例であり、スルホン化ポリスチレンとスルホン化スチレン−ポリオレフィンの二元ブロックおよび三元ブロックコポリマーも同様である。 市販されているアイオノマーの幾つかの例は、E. I. du Pont de Nemours & Co. ,Inc. (Wilmington,Delaware)から入手できるSurlyn(登録商標)熱可塑性樹脂、同様にデュポンから入手できるNafion(登録商標)ペルフルオロスルホン酸テトラフルオロエチレンコポリマー、日本の旭硝子株式会社により開発されたFlemion(登録商標)ペルフルオロカルボキシラートアイオノマー、およびExxonから入手できるスルホン化エチレン−プロピレンターポリマーである。 低レベルのスルホン化コモノマーと重合させて織物の可染性を高めたポリエステルおよびポリアミド(例えば、米国特許第5,559,205号、第5,607,765号、および第3,389,549号明細書参照)、および逆浸透膜および他の選択的分離膜に使用されるものなどのスルホン化芳香族ポリアミド(例えば、米国特許第3,567,632号および第4,595,708号明細書参照)もまた、本発明にとって好適な支持体である。

    支持体材料として好適なフルオロポリマーには、これらに限定されないがなかでもトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、モノクロロトリフルオロエチレン、ジクロロジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニルのポリマーおよびコポリマーから調製されるものが挙げられる。 例えばフルオロポリマーは、なかでもフッ化エチレン/プロピレンコポリマー(一般にFEP樹脂として知られる);エチレンとクロロトリフルオロエチレンのコポリマー、エチレンとテトラフルオロエチレンのコポリマー、ペルフルオロビニルエーテル/テトラフルオロエチレンコポリマー(「PFA」)、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、フッ化ビニリデン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)ジポリマー(dipolymer)およびテトラフルオロエチレンとのターポリマー;ポリフッ化ビニリデンホモポリマー(PVDF)またはポリフッ化ビニリデンとアクリルポリマーのブレンド;あるいはポリフッ化ビニルホモポリマー(PVF)であることができる。

    微孔質の疎水性表面上への注型が望ましい場合、湿潤性を高めるために界面活性剤(例えば、フッ素系界面活性剤)が必要なこともあり、また必要でないこともある。 好適な微孔質の疎水性支持体の例には、これらに限定されないが、微孔質ポリプロピレン膜(例えば、Celgard LLC,Charlotte,North Carolina,USAから入手できるCelgard(登録商標) 2500および3400フィルム)、微孔質ポリエチレン膜(例えば、Porex Corporation,Fairburn,Georgia,USAから入手できるPorex Lateral Flow Membrane)、および微孔質または発泡PTFE膜(例えば、Porex Corporation,Fairburn,Georgia,USAから入手できる微孔質のMupor TM PM9P膜、Yeu Ming Tai Chemical Industrial Co.,LTD,Taiwan,Republic of Chinaから入手できる発泡PTFE Porous Film)が挙げられる。

    追加の層 本明細書中で述べる保護用積層体は、連続的な酸性多糖フィルムおよび少なくとも1枚の布の層を含む。 適宜、追加の層(例えば、第二布層または微孔質膜)を、(a)その性能を低下させる恐れのある環境から酸性多糖フィルムを守る複合構造部材を作り出す目的、および/または(b)この酸性多糖フィルムと少なくとも1枚の布層だけで得られるものに追加した特徴を有する積層体、したがって場合によってはその複合構造部材を作り出す目的、および/または(c)最終構造部材の性能を向上させる目的で積層体中に使用することができる。 例えば追加のフィルムまたは微孔質膜を、コーティング、熱ラミネーション、および当業界で知られている他の手段によって図1(3、3')に示したような酸性多糖フィルムの外側表面に、また支持体が存在する場合はその外側表面に貼り付けて、粉塵および液体、または物理的損傷から酸性多糖フィルムおよび支持体を保護することができる。 1層または複数層の防弾布を用いて発射体の衝撃を吸収し、傷害から着用者を守ることができる。

    多くの最終用途、特に衣料では連続的な酸性多糖フィルム(および存在する場合はその関連する支持体)が、環境に曝される外側の材料(「外殻」、図1中の5)および/またはインナーライナー4を含む構造部材に組み込まれる。

    外側および内側の材料は、それぞれを耐久性、防弾性、および耐摩耗または引裂性などの機能的理由で、また衣料に快適な感触およびファッション性のある外観を与えるように選択することができる。 また着色および模様のある材料を外側の層として用いて軍事用途において迷彩の特性を導入することもできる。 外殻およびインナーライナー材料は、一般には布または微孔質膜である。

    布は、織布でも不織布(例えば、スパンボンド/メルトブローン法によって、またはZ.−M.Huang等の論文、Composites Science and Technology(2003),63,2223〜2253)に記載のエレクトロスピニングによって作られる不織シート構造物)でもよい。 布は、念頭にある特定の最終用途に適した任意の合成または天然繊維から調製することができる。 好ましい布は、アラミド、ナイロン、ポリエステル、綿、およびこれらのいずれかを含む混紡、例えばこれらに限定されないがナイロンと綿の繊維の混紡(「NYCO」)から調製することができる。 本明細書中で使用される用語「ナイロン」は、アラミド以外のポリアミド類を指す。 アラミドは、そのアミド(‐‐CONH‐‐)結合の少なくとも85%が2個の芳香環に直接結合している芳香族ポリアミドである。 アラミド類を含む(好ましくは40%までの)難燃性繊維をアラミドと混紡して布の熱的性能および快適さを与えることができる。 好適なアラミドは、アラミドのジアミンを10%だけ他のジアミンに代えるか、またはアラミドの二酸クロリドを10%だけ他の二酸クロリドに代えたコポリマーの形態であることができる。 本発明において使用される布にはp−アラミドが好ましいはずであり、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)(PPD−T)がその好ましいp−アラミドである。 m−アラミドもまた、本発明において使用することができ、ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)(MPD−I)がその好ましいm−アラミドである。 p−アラミドおよびm−アラミドの繊維および糸が、本発明において使用するのに特に適しており、商標Kevlar(登録商標)およびNomex(登録商標)(E.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,Delaware,USA)、ならびにTeijinconex(登録商標)、Twaron(登録商標)、およびTechnora(登録商標)(日本国大阪の帝人株式会社)でそれぞれ販売されているもの、および他により供給される同等の製品である。 一般にはアラミド繊維は外殻に使用されるはずであり、インナーライナーは、おそらくポリエステル、ナイロン、綿、またはこれらの混紡などの布を包含するはずであるが、耐炎性を改良するためにm−アラミドをなおその上にインナーライナーの一部として利用することもできる。

    フィルムおよび微孔質膜は、念頭にある特定の最終用途に適した任意の合成または天然の材料から調製することができる。 インナーライナーまたは外殻の構成要素として使用することができるフィルムおよび微孔質膜の例には、これらに限定されないが発泡ポリ(テトラフルオロエチレン)膜、例えば商標GORE−TEX(登録商標)(W.L.Gore & Associates,Inc.,Newark,Delaware,USA)で販売されているものや、疎水性ポリウレタン微孔質膜(例えば、S.Brzezinski等の論文、Fiberes & Textiles in Eastern Europe,January/December 2005,13(6),53〜58参照)や、例えば3M(St.Paul,Minnesota,USA)またはCelgard LLC(Charlotte,NC,USA)から入手できる微孔質(ポリ)プロピレンや、熱可塑性ポリウレタンの薄膜、例えばOmniflex(Greenfield,Massachusetts,USA)により商標Transport(登録商標) Brand Filmで販売されているものや、Arkema(Paris,France)によるPebax(登録商標)ポリエーテルブロックアミドや、E. I. du Pont de Nemours and Company(Wilmington,Delaware,USA)から入手できるポリエステルフィルムであるduPont TM Active Layerが挙げられる。

    製造 本明細書中で述べた選択透過性積層体は、当業界で知られている縫製、縫合、ステープリング、または接着操作、例えば熱による圧締のいずれかを用いて組み立てることができる。

    図1を参照すると、組み立てられる層には、酸性多糖フィルム1および少なくとも1枚の他の層が含まれる。 例えば、酸性多糖フィルムを作業用デバイス上に注型する場合、次いでそのフィルムは乾燥され、支えなしの独立のフィルムとして引き離される。 他の層は、作業用デバイスからの剥離の前または後のいずれかで加えることができる。 次いでポリウレタン系接着剤などの接着材を用いて別の層(例えば、支持体、キャッピングフィルム、外殻、インナーライナー)に貼り付けることができる。 接着剤は、その透湿性が積層体の意図する最終用途に適しているならば連続層として存在することも、あるいは接着剤の点の列として存在することも、または線または曲線などの複数の代替模様であることもできる。 接着剤は、吹付けまたはグラビアロールコーティングを含めた様々な方法で塗布することができる。

    本発明の積層体から構造部材または他の製品、例えば衣料品を製造するために積層体を(追加の)織布間に挟むことができる。 フィルム構造部材と布の間の接合は、例えば接着剤の点またはフィルムによる連続的または半連続的なものであることができる。 別法では接合は、例えば縁部の縫合せ、しばしば「ハングライナー(hung liner)」と呼ばれる配置による不連続なものであることもできる。 不連続接合の他の手段には、Velcro(登録商標)ストリップまたはジッパーの使用が含まれる。

    用途 連続的な酸性多糖フィルム自体だけでなくこの積層体も選択透過性であり、ヒトの健康に有害な物質の透過率が傷害、病気、または死の発生を防ぐように十分に低いままで、少なくとも2kg/m /24時間の水蒸気透過率(Moisture Vapor Transport Rate)(「MVTR」)を有する。 必要とされる特定の透過率は、その特定の有害な物質によって必然的に決まり、例えばNFPA 1994、2006改定版は、マスタードについては1時間累積透過量<4.0μg/cm を、またソーマンについては<1.25μg/cm を必要とし、この両方の要求基準をこれら積層体およびそれらが包含する切れ目にない酸性多糖フィルムは満たす。 したがって、これら積層体および切れ目にない酸性多糖フィルム自体は、保護衣料の製品を含めた、特に毒性の化学剤および/または生物剤に曝されることによって引き起こされる傷害または創傷から着用者または使用者を保護することを意図する衣類、外衣、あるいは他の用品用の様々な生産製品の製造用に、または様々な生産製品における構成要素として使用することができる。 これら毒性の化学剤および/または生物剤には、これらに限定されないが、場合により戦闘環境および材料で使用される薬品と、「毒性の産業化学薬品」(TIC)または「毒性産業用材料」(TIM)として特定された材料とが含まれる。 例えば、参照により本明細書中に援用される、National Institute of Justice,U. S. Department of Justice発行(2001年10月)の緊急事態第一応答者に対する化学的および生物学的汚染除去装置の選択のための手引(Guide for the Selection of Chemical and Biological Decontamination Equipment for Emergency First Responders)、NIJ Guide 103−00,Volume 1を参照されたい。 TICの若干の例は、ホスゲン、塩素、アンモニア、パラチオン、およびアクリロニトリルである。 特定の物質に対するその積層体または積層体中の層の透過率は、これらに限定されないがASTM F739−91「連続的接触条件下での液体または気体の透過に対する保護衣料材料の抵抗性の標準試験法(Standard Test Method for Resistance of Protective Clothing Materials to Permeation by Liquids or Gases Under Conditions of Continuous Contact)」に記載のものを含めた様々な方法によって求めることができる。

    一実施形態では当該衣料品は、戦闘環境において遭遇する恐れのある化学剤および生物剤に対する皮膚の曝露に対して戦闘要員を保護するのに役立つ。 このような薬品の例には、これらに限定されないがサリン(「GB」、O−イソプロピル=メチルホスホノフルオリダート)、ソーマン(「GD」、O−ピナコリル=メチルホスホノフルオリダート)、タブン(「GA」、O−エチル=N,N−ジメチルホスホルアミドシアニダート)、およびVX(O−エチル=S−2−ジイソプロピルアミノエチル=メチルホスホノチオラート)などの神経ガスや、イオウマスタード(例えば、ビス(2−クロロエチル)スルフィドおよびビス(2−クロロエチルチオ)メタンなどの糜爛性毒ガスや、2−クロロビニルジクロロアルシンなどのルイサイトや、ビス−(2−クロロエチル)エチルアミン(「HN1」)などの窒素マスタードや、ブロモベンジルシアニド(「CA」)およびフェニルアシルクロリド(「CN」)などの催涙ガスおよび暴動鎮圧剤や、ウィルス(例えば、脳炎ウィルス、エボラウィルス)、細菌(例えば、リケッチア・リケッチィ(Rickettsia rickettsii)、バチルス・アンシラシス(Bacillus anthracis)、クロストリジウム・ボツリヌス(Clostridium botulinum))などのヒト病原体や、毒素(例えば、リシン毒素、コレラ毒素)が挙げられる。ヒト病原体は、ヒトに疾患を引き起こす微生物である。

    さらなる実施形態では当該衣料品は、緊急事態対応状況において遭遇する恐れのある既知または未知の化学剤および生物剤から第一応答要員(first responder)を保護するのに役立つ。 さらに別の実施形態ではその用品は、化学災害対応状況の間に化学剤および生物剤から清掃要員を保護することを意図する。 上記で列記したものに加えて危険物質の例には、ある種の殺虫剤、具体的には有機リン酸系殺虫剤が挙げられる。

    このような衣料、外衣、または他の用品には、これらに限定されないが、作業服、防護服、外套、ジャケット、用途が限定される防護外衣、雨具、スキーパンツ、手袋、ソックス、ブーツ、靴またはブーツのカバー、ズボン、フード、帽子、マスク、およびシャツが挙げられる。

    別の実施形態ではこれら積層体を用いて、化学および/または生物兵器剤から保護するための防水布などの保護カバー、またはテントなどの集団避難所を作ることができる。

    さらにこれら積層体は、毒性化学剤および/または生物剤に対する防御として様々な医用用途において使用することができる。 一実施形態ではこれら積層体を用いて医用または外科用のガウン、手袋、スリッパ、靴またはブーツのカバー、およびヘッドカバーなどの健康管理従業員用衣料品を組み立てることができる。

    本発明の特定の実施形態を下記の実施例において例示する。 これらの実施例が準拠する本発明の実施形態は単に例示的なものに過ぎず、別添の特許請求の範囲を限定するものではない。

    実施例において使用される略語の意味は下記のとおりである。 すなわち、「min」は分を意味し、「h」は時間を意味し、「kg」はキログラムを意味し、「g」はグラムを意味し、「mg」はミリグラムを意味し、「μg」はマイクログラムを意味し、「oz」はオンスを意味し、「yd」はヤードを意味し、「mol」はモルを意味し、「mmol」はミリモルを意味し、「m」はメートルを意味し、「cm」はセンチメートルを意味し、「mm」はミリメートルを意味し、「μm」はマイクロメートルを意味し、「mL」はミリリットルを意味し、「μL」はマイクロリットルを意味し、「質量%」は質量パーセントを意味し、「M 」は質量平均分子量を意味し、「Pa」はパスカルを意味し、「mPa」はミリパスカルを意味し、「cP」はセンチポアズを意味し、また「ePTFE」は発泡ポリ(テトラフルオロエチレン)を意味する。 別段の指定がない限り、使用される水は蒸留水または脱イオン水である。

    材料 すべての材料は、受け入れたままの状態で使用した。 アルギン酸ナトリウム塩(「アルギン酸ナトリウム」)、褐藻類由来のアルギン酸、およびカルボキシメチルセルロースナトリウム(平均M =700,000、セルロース1モル当たりカルボキシメチル0.9モル)は、Aldrich Chemical Company(Milwaukee,Wisconsin,USA)から購入した。 アルギン酸プロピレングリコール(PGA)は、商標Protonal(登録商標)で、FMC BioPolymer(Philadelphia,Pennsylvania,USA)から得た。 製造業者によればProtonal(登録商標)GP 7530は、プロピレングリコールとの反応によって80%エステル化されたアルギン酸バイオポリマーからなり、それは1%水溶液においてpH3.8および粘度135mPa・sを有する。 カラゲナン類もまた、商標Gelcarin(登録商標)で、FMC BioPolymerから得た。 製造業者によればGelcarin(登録商標) GP 359およびGelcarin(登録商標)GP 379は両方ともイオタ−カラゲナンであるが、GP 379はGP 359よりも弾性がある。 Gelcarin(登録商標) GP 812は、カッパ−カラゲナンである。 キトサンは、商標ChitoClear(登録商標)で、Primex Ingredients ASA(Norway)から得た。 製造業者によればPrimex ChitoClear(登録商標) TM−656は、ブルックフィールド粘度26cP(0.026Pa・s、1%酢酸水溶液に溶かした1%キトサン)を有する。

    ポリエステル不織布支持体Sontara(登録商標) 8004、同様に酸性形態のNafion(登録商標)ペルフルオロスルホン酸/ポリテトラフルオロエチレンコポリマーの実験用(商業目的でない)厚さ0.75ミル(19ミクロン)フィルムを、E. I. du Pont de Nemours and Company(Wilmington,Delaware,USA)から得た。 厚さ25ミクロンの微孔質ポリプロピレン膜(多孔度55%、孔径0.209×0.054ミクロン)であるCelgard(登録商標) 2500、および湿潤剤をコーティングした厚さ25ミクロンの微孔質ポリプロピレン膜(多孔度37%、孔径0.117×0.042ミクロン)であるCelgard(登録商標) 3400は、Celgard LLC(Charlotte,North Carolina,USA)から得た。 厚さ2ミル(51ミクロン)の微孔質PTFE膜(多孔度30%、孔径1ミクロン)であるMupor TM PM9P、および厚さ10ミル(0.25mm)の微孔質ポリエチレン膜(孔径6〜10ミクロン)であるPorex Lateral Flow Membraneは、Porex Corporation(Fairburn,Georgia,USA)から得た。 厚さ0.7ミル(18ミクロン)の発泡PTFE多孔性フィルム、形式2101は、Yeu Ming Tai Chemical Industrial Co. ,LTD(Taiwan, Republic of China)から得た。

    方法標準ガラス板の調製 すべてのフィルムは、使用前に表面を水と洗浄剤、アルコール、強塩基、および強酸で厳しく清浄にしたPyrex(登録商標)ガラス板上に注型された。 これら実施例については下記の清浄手順を用いたが、他の一貫清浄プロトコルが適している場合もある。 Pyrex(登録商標)ガラス板のガラスを、Micro−90実験室ガラス製品清浄剤で洗浄し、水ですすぎ、紙タオルで拭いて乾かした。 次いでこの板をイソプロパノールで清浄にし、拭いて乾かした。 次に10質量%NaOH水溶液を板上にコーティングし、5分間放置し、蒸留水で洗い流し、その板を拭いて乾かした。 最後に濃硝酸を板上にコーティングし、1分間放置し、蒸留水で洗い流した。 この板は、蒸留水による最後のすすぎおよび軟質の紙タオルによる乾燥の後、注型の準備が整ったと判断された。

    水蒸気透過率(MVTR)
    MVTRは、MVTR測定の逆カップ法[ASTM E 96手順BW、布の水蒸気透過の標準試験法(Standard Test Methods for Water Vapor Transmission of Fabrics)(ASTM 1999)]から導かれる方法により測定した。 各試験については頂部に開口部を有する容器に水を充填し、次いでその開口部を最初に発泡PTFEフィルム(「ePTFE」)の水蒸気透過性(液体不透過性)の層、次いでMVTRが測定される試料、最後にNomex(登録商標)織布被覆層[5.6オンス/平方ヤード(0.19kg/m )、耐久性撥水仕上げ処理]で覆った。 これら3層を定位置にシールし、逆にして30分間コンディショニングし、0.001gの桁まで秤量し、次いで逆にしたままで乾燥した窒素流と接触させた。 指定した時間の後、試料を再秤量し、MVTRを下記の式により計算した(kg/m /24時間)。
    MVTR=1/[(1/MVTR obs. )−(1/MVTR mb )]
    式中、MVTR obs. は観察された実験のMVTRであり、またMVTR mbはePTFE防湿層のMVTRである(別々に測定した)。 記録された値は、4個の反復試料から得られた結果の平均値である。

    メチルホスホン酸ジメチル(「DMMP」)の透過 DMMPは、化学兵器戦争G−クラス神経ガス用の比較的毒性のない類似物として使用した。 下記の実施例のDMMPの透過は次のように行った。 すなわち、それぞれの測定について、頂部に開口部を有する容器に、GC内標準として0.100%プロピレングリコールを含有する測定された量の水を充填した。 開口部を、試料フィルムおよびNomex(登録商標)織布被覆層[5.6オンス/平方ヤード(0.19kg/m )、耐久性撥水仕上げ処理]で覆った。 これらの層を定位置にシールし、布表面を一滴(2μL)のDMMP(2.3mg)で処理した。 窒素でパージした箱の中にこの容器を17時間置き、次いで水中のDMMP濃度をGC分析により測定した。 結果は、17時間後に水中で測定されたDMMPを単位μgで記録する。 これらは5個の反復試料の平均値である。 DMMPは、Aldrich Chemical Companyから得て、受け入れたままの状態で使用した。

    実施例1
    この実施例は、保護用アルギン酸ナトリウムフィルムの調製、不溶化、およびイオン架橋を例示する。

    フードブレンダーカップを、そのブレンダーのモーター上に置いた沸騰水浴中で予熱し、80℃に予熱した蒸留水95gを充填した。 アルギン酸ナトリウム粉末5gを加え、その混合物を固形物が溶解するまで高速で攪拌した(2〜5分間)。 次いでこの粘性のある淡琥珀色に着色した溶液を、Whatman 514濾紙(孔径20〜25ミクロン)に通して加圧濾過した。 この溶液を室温に一晩放置して泡を除去してからフィルムを注型した。 この注型溶液はアルギン酸ナトリウムが5質量%であり、pH6.85を有した。

    この溶液を50ミル(1.27mm)、4インチ平方(10cm平方)のドクターナイフを用いてPyrex(登録商標)ガラス板上に注型し、室温で一晩乾燥することによって2枚の4インチ×8インチ(10cm×20cm)フィルムを調製した。 フィルムを、鋭利なかみそりの刃で縁部を引き上げることによってガラス板から持ち上げた。 次いで各フィルムを等しいサイズの3枚の片に切断して1A〜1Fのラベルを貼った6枚の4インチ×2.6インチ(10cm×6.6cm)フィルムを得た。

    フィルム1Aはそれ以上処理せず、水溶性のまま残した。 フィルム1Bおよび1Cは、塩酸(1B)またはギ酸(1C)の10%水溶液中に1.5時間浸漬することによって不溶化した。 酸処理が、アルギン酸の水溶性ナトリウム塩を水不溶性アルギン酸ポリマーに換えると思われる。 フィルム1D〜1Fは、二価金属塩、すなわち塩化カルシウム(CaCl 、1D)、塩化バリウム(BaCl 、1E)、または塩化ジルコニル(ZrOCl 、1F)の10質量%水溶液中に1.5時間浸漬することによって不溶化し、イオン架橋させた。 処理浴中に浸漬した後、フィルム1B〜1Fを、乾燥中の巻き上がりおよび収縮を防止するために、隅が重みで下がった状態でガラス板上に平らに横たえ、室温で一晩乾燥させた。 処理したフィルム1B〜1Fは、もはや水に可溶でなくなった。

    フィルム1A〜1FのMVTRとDMMPの透過とを、Nomex(登録商標)被覆層を用いて測定した。 結果を表1に示す。

    実施例2
    この実施例は、1)注型用アルギン酸ナトリウム溶液のより簡単な調製方法を例示し、また2)アルギン酸塩フィルムが薄いほど、DMMPに対するすぐれたバリヤーのままで、より良好な透湿性を可能にすることを示す。

    アルギン酸ナトリウム5gおよび蒸留水95gを、すべての固形物が溶解するまで室温で一晩中攪拌した。 得られた5質量%アルギン酸ナトリウム溶液は、粘性だが泡を含まず、色が淡琥珀色であった。

    フィルム2は、この溶液を40ミル(1.02mm)ドクターナイフを用いてPyrex(登録商標)ガラス板上に注型し、室温で一晩乾燥することによって調製した。 フィルムを、鋭利なかみそりの刃で縁部を引き上げることによってガラス板から持ち上げた。 この離れたフィルムを、塩化バリウム(BaCl )の10質量%水溶液中に5分間浸漬することによって不溶化し、イオン架橋させた。 このフィルムを、乾燥中の巻き上がりおよび収縮を防止するために、隅が重みで下がった状態でガラス板上に平らに横たえ、室温で一晩乾燥させた。 処理後のフィルムは、厚さ0.8ミル(20μm)であり、水に可溶でなかった。

    Nomex(登録商標)被覆層を用いたフィルム2の測定値は、MVTR=28.1kg/m /24時間、およびDMMPの透過=17時間で0μg(5個の値0、0、0、0、0の平均)であった。 フィルム2は、フィルム1E(表1)よりも厚さが1/3薄く、かつMVTRがより高いが、耐DMMPは同様にすぐれていた。

    実施例3
    この実施例は、保護フィルムを、アルギン酸のナトリウム塩の代わりにアルギン酸自体から出発して調製することができることを実証する。 このアルギン酸バイオポリマーは、塩基の添加により水中に溶解する。

    アルギン酸6.1g(COOH 34.9ミリモル)を、激しく攪拌した水94.2gに室温で加える。 固形物の大部分は溶解せず、溶液のpHは2.45であった。 テトラメチルエチレンジアミン(Aldrich Chemical Company,Milwaukee,Wisconsin,USAの「TMEDA」を受け入れたままの状態で使用した)を、すべてのアルギン酸が溶解するまで0.2mL分ずつ加えた。 合計2mL(1.54g、13.3ミリモル)のTMEDAの添加後、pH=4.23の粘性のある淡黄色の溶液を得た。 この溶液を10分間混合して泡を逃がした。 この注型溶液は、アルギン酸が6.0質量%であった。

    フィルム3は、この溶液を30ミル(0.76mm)ドクターナイフを用いてPyrex(登録商標)ガラス板上に注型し、窒素を満たしたオーブン中で150℃で30分間乾燥することによって調製した。 この乾燥フィルムは厚さ1.2ミル(30ミクロン)であり、これを鋭利なかみそりの刃で縁部を引き上げることによってガラス板から持ち上げた。 このフィルムはそれ以上処理せず、水に可溶なまま残した。

    Nomex(登録商標)被覆層を用いたフィルム3の測定値は、MVTR=27.4kg/m /24時間、およびDMMPの透過=17時間で4μg(5個の値0、0、0、0、18の平均)であった。

    実施例4
    この実施例は、保護フィルムを、アルギン酸またはアルギン酸のナトリウム塩の代わりにアルギン酸プロピレングリコール(PGA)から出発して調製することができることを実証する。 Protonal(登録商標) Ester GP 7530(FMC BioPolymer,PA,USA))は、プロピレングリコールとの反応によって80%エステル化したアルギン酸バイオポリマー(すなわちカルボン酸基の80%がプロピレングリコールエステル官能基によって置き換えられる)からなる。 このPGAエステルは、塩基の添加により水に溶解する。

    ブレンダーフードカップに蒸留水200gを充填する。 Protonal(登録商標) Ester GP 7530の灰色がかった白色粉末13gを、ペレット形態の固体水酸化ナトリウム(NaOH)約0.2gと一緒に加えた。 混合物を、すべての固形物が溶解するまで高速で2分間ブレンドし、溶液のpHを測定した。 溶液のpHが5.9に達するまでNaOH分のさらなる添加と、各添加後の2分間のブレンドが続いた。 得られた溶液は、PGAが6.1質量%であり、室温で一晩放置の後に実質上泡が含まれていなかった。 PGA/NaOH溶液の粘度はpHと共に変わり、pH<6.5の溶液はフィルム注型に適した粘度を有するが、pH=6.5〜7.0の溶液は低い粘度を示し、ドクターナイフを用いて引き込んでフィルムにするには十分な粘性でないことに留意されたい。

    この溶液を50ミル(1.27mm)ドクターナイフを用いてPyrex(登録商標)ガラス板上に注型し、室温で一晩乾燥することによって4インチ×8インチ(10cm×20cm)フィルムを調製した。 フィルムを、鋭利なかみそりの刃で縁部を引き上げることによってガラス板から持ち上げ、次いで等しいサイズの3枚の片に切断して4A〜4Cのラベルを貼った3枚の4インチ×2.6インチ(10cm×6.6cm)フィルムを得た。

    フィルム4Aはそれ以上処理せず、水溶性のまま残した。 フィルム4Bおよび4Cの遊離(エステル化されない)カルボキシル基を、それぞれ塩化バリウム(BaCl )および塩化ジルコニル(ZrOCl )の10質量%水溶液中に1.5時間浸漬することによってイオン架橋させた。 フィルム4Bおよび4Cは、これらの処理後、水に可溶でなかった。

    Nomex(登録商標)被覆層を用いて4A〜4CのMVTRとDMMPのフィルム透過とを測定した。 結果を表2に示す。

    比較例A
    この比較例は、連続フィルムを生成しないような微孔質の布の処理が、DMMP透過値によって示される満足な保護特性を材料に与えないことを示す。

    ポリエステル不織布支持体のSontara(登録商標) 8004(E.I.du Pont de Nemours and Company)を、Pyrex(登録商標)ガラス板の表面に平らにテープで貼り付けた。 実施例2で調製した5質量%アルギン酸ナトリウム溶液を、この固定化した布支持体上に40ミル(1.02mm)ドクターナイフを用いて注型した。 注型溶液は支持体を濡らし、布を通って浸透し、布の下面とその下方のガラス板の両方に接着したフィルムを作った。 室温で一晩乾燥させた後、そのフィルム/支持体複合体を、鋭利なかみそりの刃で縁部を引き上げることによってガラス板から持ち上げた。 この支持されたフィルムを、塩化バリウム(BaCl )の10質量%水溶液中に5分間浸漬することによって不溶化し、イオン架橋させた。 次いで水で洗浄して過剰のBaCl を除去し、乾燥中の巻き上がりおよび収縮を防止するために隅が重みで下がった状態でガラス板上に平らに横たえ、室温で一晩乾燥させた。 フィルムは支持体に接着し、その複合体を水に浸漬した場合に溶解しなかった。

    Nomex(登録商標)被覆層を用いた比較フィルムAの測定値は、MVTR=26.1kg/m /24時間、およびDMMPの透過=17時間で262μg(5個の値278、229、241、289、273の平均)であった。 比較フィルムAの走査型電子顕微鏡法(SEM)の顕微鏡写真は、アルギン酸ナトリウムポリマーが多孔性のSontara(登録商標)支持体上に連続フィルムを形成しなかったことを確認した。 その代わりに亀裂、孔、および間隙(大きさ10から数100ミクロン)がフィルム中に観察された。

    実施例5
    この実施例は、連続的な保護フィルムを微孔質または無孔質の通気性支持体上で調製できることを実証する。

    5質量%アルギン酸ナトリウム注型溶液を、実施例2の場合と同様に調製した。 フィルム5A〜5Eは、この溶液を、Pyrex(登録商標)ガラス板の表面に平らにテープで貼り付けた微孔質または無孔質支持体上に40ミル(1.01mm)ドクターナイフを用いて注型することによって調製した。 使用した支持体は、コーティングなしの厚さ25ミクロンの微孔質ポリプロピレンであるCelgard(登録商標) 2500(5A)、界面活性剤をコーティングして湿潤を向上した厚さ25ミクロンの微孔質ポリプロピレンであるCelgard(登録商標) 3400(5B)、6〜10ミクロンの細孔を有する厚さ10ミルの微孔質ポリエチレン膜であるPorex Lateral Flow Membrane(5C)、および厚さ0.75ミルのNafion(登録商標)フィルム(5D)であった。 すべての場合、アルギン酸ナトリウム注型溶液は、比較例Aの場合のように支持体の細孔を完全に貫通するのではなく、微孔質ポリマー支持体の上に実質上留まった。

    この支持されたフィルム複合体を室温で一晩乾燥させ、次いでガラス板から剥がした。 この支持されたフィルムを、塩化バリウム(BaCl )の10質量%水溶液中に5分間浸漬することによって不溶化し、イオン架橋させた。 最後にこの複合体を、乾燥中の巻き上がりおよび収縮を防止するために隅が重みで下がった状態でガラス板上に平らに横たえ、室温で一晩乾燥させた。 BaCl 処理後、フィルムは支持体に接着し、その複合体を水に浸漬した場合に溶解または層間剥離しなかった。

    Nomex(登録商標)被覆層を用いて5A〜5DのMVTRとDMMPのフィルム透過とを測定した。 結果を表3に示す。

    実施例6
    この実施例は、連続的な保護フィルムを、フッ素系界面活性剤を含有させて支持体表面の湿潤を向上させた注型溶液を用いて、微孔質または無孔質の支持体上で調製することができることを示す。

    5質量%アルギン酸ナトリウム注型溶液を実施例2の場合と同様に調製し、この溶液にZonyl(登録商標) FSAフルオロ界面活性剤(E.I.du Pont de Nemours and Company,Wimington,DE,USA)0.2g(0.2質量%)を加えた。 この界面活性剤は注型溶液と完全には混和できないが、ミクロエマルションを形成するように見えた。 このエマルションを注型の前に2相に分離させ、その水性相を用いてフィルムを注型した。

    フィルム6A〜6Dは、この溶液を、Pyrex(登録商標)ガラス板の表面に平らにテープで貼り付けた微孔質または無孔質支持体上に40ミル(1.01mm)ドクターナイフを用いて注型することによって調製した。 使用した支持体は、コーティングなしの厚さ25ミクロンの微孔質ポリプロピレンであるCelgard(登録商標) 2500(6A)、厚さ0.75ミル(19ミクロン)のNafion(登録商標)フィルム(6B)、厚さ2ミル(51ミクロン)のMupor TM PM9P PTFE膜(6C)、および厚さ0.7ミル(18ミクロン)のePTFEフィルム(6D)であった。 後半の2種類の支持体(Mupor TMおよびePTFE)は、フッ素系界面活性剤を欠いた実施例5の注型溶液では湿潤しなかったが、実施例6の界面活性剤含有注型溶液ではよく湿潤した。 すべての場合、アルギン酸ナトリウム注型溶液は、比較例Aの場合のようにポリマー支持体を完全に貫通するのではなく、支持体の上に実質上留まった。

    この支持されたフィルム複合体を室温で一晩乾燥させ、次いでガラス板から剥がした。 この支持されたフィルムを、塩化バリウム(BaCl )の10質量%水溶液中に5分間浸漬することによって不溶化し、イオン架橋させた。 最後にこの複合体を、乾燥中の巻き上がりおよび収縮を防止するために隅が重みで下がった状態でガラス板上に平らに横たえ、室温で一晩乾燥させた。 BaCl 処理後、フィルムは支持体に接着し、その複合体を水に浸漬した場合に溶解または層間剥離しなかった。

    Nomex(登録商標)被覆層を用いて6A〜6DのMVTRとDMMPのフィルム透過とを測定した。 結果を表4に示す。

    フィルムはまた、界面活性剤をコーティングして湿潤を向上した厚さ25ミクロンの微孔質ポリプロピレンであるCelgard(登録商標) 3400(6E)、および6〜10ミクロンの細孔を有する微孔質ポリエチレン膜であるPorex Lateral Flow Membrane(6F)上にも注型した。 両方の場合、支持体の湿潤が不十分なせいで粒状の不均質なフィルムが形成された。 フィルム6Eについては測定されたMVTRがきわめて高く、DMMPの透過も同様であり、不連続な、したがって非保護フィルムの形成を示した。 6Fの場合、MVTRがフィルム中の相異なる箇所で変動し、またDMMPの透過が高かった。

    実施例7
    この実施例は、保護フィルムを、アルギン酸ナトリウムとギ酸キトサン高分子電解質の混合物を含む注型溶液から調製することができることを例示する。 一晩150℃まで加熱したフィルムは、たとえ酸、二価金属塩、または他の不溶化剤を加えなくても水に不溶であった。

    5質量%アルギン酸ナトリウム注型溶液を、実施例2の場合と同様に調製した。 ギ酸塩としてのキトサンの5質量%溶液を、米国特許出願第11/593,598号明細書の記載に従って次のように調製した。

    フードブレンダーカップを、そのブレンダーのモーター上に置いた沸騰水浴中で予熱し、熱水564gおよびキトサン(Primex ChitoClear(登録商標) TM−656)(−NH 0.22モル)36gを充填した。 強く攪拌しながら純度98%のギ酸(Aldrich Chemical Company,Milwaukee,Wisconsin,USA)11.5g(0.25モル)を加えた。 直ぐに粘度が増した。 攪拌3分後、得られた粘性のある塊りをPyrex(登録商標)ガラス瓶に注ぎ、沸騰水浴中で1時間加熱した。 その後、これをきめの粗い濾紙に通して加圧濾過した。 この溶液を室温に3日間放置した結果、泡が取り除かれた。

    アルギン酸塩−キトサン注型溶液を作るために、フードブレンダーカップを5質量%アルギン酸ナトリウム溶液100gおよび上記5質量%キトサン溶液100gで充填した。 この溶液を周囲温度で高速で10分間ブレンドした。 得られた混合溶液は、2種類のポリマーの相分離および/または少量の沈殿物のせいで、非常に粘性でかつ幾分不均一であった。 この注型溶液は、アルギン酸ナトリウムが2.5質量%およびギ酸キトサンが2.5質量%であった。

    この溶液を40ミル(1.01mm)ドクターナイフを用いてPyrex(登録商標)ガラス板上に注型し、室温で一晩乾燥することによって4インチ×8インチ(10cm×20cm)フィルムを調製した。 フィルムを、鋭利なかみそりの刃で縁部を引き上げることによってガラス板から持ち上げ、次いで7A〜7Cのラベルを貼った3枚の4インチ×2.6インチ(10cm×6.6cm)片に切断した。

    フィルム7Aはそれ以上処理せず、水溶性のまま残した。 フィルム7Bのアルギン酸ナトリウム成分を、塩酸バリウム(BaCl )の10質量%水溶液中に一晩浸漬することによってイオン架橋し、処理されたフィルムを水に不溶にした。 フィルム7Cは、窒素雰囲気下において150℃で一晩加熱することによって不溶化した。 加熱処理は、フィルム7Cを淡いミルキーブラウン色から暗い琥珀色に変えた。 アルギン酸塩ポリマーのカルボキシル基とキトサンポリマーのアミン基の間の反応が150℃で起こって、ポリマー分子間の共有アミド結合を形成することができる。

    フィルム7A〜7CのMVTRとDMMPの透過とを、Nomex(登録商標)被覆層を用いて測定した。 結果を表5に示す。

    実施例8
    保護用カラゲナンフィルムの調製、不溶化、およびイオン架橋を例示する。

    ガラス広口瓶中で蒸留水50gを75℃に加熱した。 イオタ−カラゲナンの灰色がかった白色粉末である2.5gのGelcarin(登録商標) GP 359を加え、その混合物を固形物が溶解するまで攪拌した(16時間)。 得られた粘性のある琥珀色の溶液は、カラゲナンが4.8質量%であり、pH8.49であった。 この溶液を室温まで冷却した場合、熱可逆性透明ゲルを形成し、これは80℃に再加熱すると再溶解した。 この溶液を室温で貯蔵し、注型する直前に、窒素を満たしたオーブン中で80℃に加熱した。 Gelcarin(登録商標) GP 379イオタ−カラゲナン(4.8質量%、pH8.43)の溶液およびGelcarin(登録商標) GP 812カッパ−カラゲナン(4.8質量%、pH8.24)の溶液を、同じ方法で調製した。

    これらカラゲナン溶液と、その上にフィルムを注型するPyrex(登録商標)ガラス板およびフィルムを注型するために用いるドクターナイフとを、窒素を満たしたオーブン中に7時間放置することによって使用に先立って80℃まで加熱した。 予熱した50ミル(1.27mm)ドクターナイフを用いて予熱したPyrex(登録商標)ガラス板上へ高温溶液を注型することによって、各カラゲナン溶液から4インチ×8インチ(10cm×20cm)フィルムを調製した。 次いでこれらフィルムを室温で一晩乾燥させた。 フィルムを、乾燥中の巻き上がりおよび収縮を防止するために、隅が重みで下がった状態でガラス板上に平らに横たえ、室温で一晩乾燥させ、各フィルムを等しいサイズの2枚の片に切断して8A〜8Fのラベルを貼った6枚の4インチ×4インチ(10cm×10cm)フィルムを得た。

    フィルム8A(GP 359イオタ−カラゲナン)、8C(GP 379イオタ−カラゲナン)、および8E(GP 812カッパ−カラゲナン)はそれ以上処理せず、水溶性のまま残した。 フィルム8B(GP 359イオタ−カラゲナン)、8D(GP 379イオタ−カラゲナン)、および8F(GP 812カッパ−カラゲナン)は、塩化ジルコニル(ZrOCl )の40質量%水溶液中に1.5時間浸漬することによって不溶化した。 ZrOCl 浴中に浸漬した後、フィルム8B、8D、および8Fを、乾燥中の巻き上がりおよび収縮を防止するために、隅が重みで下がった状態でガラス板上に平らに横たえ、室温で一晩乾燥させた。 処理された8B、8D、および8Fは、もはや水溶性でなかった。

    フィルム8A〜8FのMVTRとDMMPの透過とを、Nomex(登録商標)被覆層を用いて測定した。 結果を表6に示す。 ZrOCl で処理されなかったカラゲナンフィルム(8A、8C、および8E)はDMMPに対して不十分なバリヤーであり、したがって保護用途には有用でないことが分かった。 一方、ZrOCl で処理されたフィルム(8B、8D、および8F)はDMMPの透過に対するすぐれたバリヤーであることが分かった。

    実施例9
    この実施例は、保護用カルボキシメチルセルロースフィルムの調製および不溶化を例示する。

    粘性のある4質量%注型溶液を、カルボキシメチルセルロースナトリウム(平均M =700,000、Aldrich Chemical Company,Milwaukee,Wisconsin,USA)4gを水96gと急速混合することによって調製した。 混合物を瓶に入れ、ゲル粒子を含まない溶液が得られるまで一晩中ロールミル上で転がした。 この溶液を濾過し、泡がなくなるまで放置した。

    4インチ×8インチ(10cm×20cmフィルムを、予熱した30ミル(0.76mm)ドクターナイフを用いてPyrex(登録商標)ガラス板上へカルボキシメチルセルロースナトリウム溶液を注型することによって調製した。このフィルムを、100℃に加熱したプレスプラテン(プレスを開いた状態)上で空気中で4〜8分間乾燥させた。次いでフィルムの半分を、鋭利なかみそりの刃で縁部を引き上げることによってガラス板から持ち上げ、ガラスから剥いだ。この9Aのラベルを貼ったフィルムはそれ以上処理せず、水溶性のまま残した。

    フィルムの他の半分はガラス板上に残し、9Bのラベルを貼った。 まだ板上に支持されたままで、フィルム9Bを5%塩酸(HCl)室温水溶液中に10分間浸漬した。 弱ゲル(weak gel)がフィルムから形成され、これはたぶん酸処理が、カルボキシメチルセルロースの水溶性ナトリウム塩を、水に不溶のカルボン酸含有ポリマーに転換したためであろう。 フィルム9Bを、水で洗液のpHが中性になるまで洗浄して過剰のHClおよびNaCl塩を除去した。 このフィルムを、100℃に加熱したプレスプラテン(プレスを開いた状態)上で空気中で4〜8分間乾燥させ、次いで鋭利なかみそりの刃で縁部を引き上げることによってガラス板から持ち上げた。 得られた透明な無色のフィルム9Bは水溶性でなかった。

    フィルム9Aおよび9BのMVTRとDMMPの透過とを、Nomex(登録商標)被覆層を用いて測定した。 結果を表7に示す。

    実施例10
    この実施例は、保護用ペクチンフィルムの調製および不溶化を例示する。

    ペクチン7gを蒸留水200gに加えることによってペクチンの3.4質量%溶液を調製した。 この溶液を室温で3日間激しく攪拌した。 次いでこの濁った淡いオレンジ色の溶液を一晩室温で放置して泡を除去した。

    この溶液を50ミル(1.27mm)、4インチ平方(10cm平方)のドクターナイフを用いてPyrex(登録商標)ガラス板上に注型し、室温で一晩乾燥することによって4インチ×8インチ(10cm×20cm)フィルムを調製した。 この厚さ1ミル(25ミクロン)の乾燥フィルムを、鋭利なかみそりの刃で縁部を引き上げることによってガラス板から剥がした。 次いでフィルムを等しいサイズの2枚の片に切断して10Aおよび10Bのラベルを貼った2枚の4インチ×4インチフィルム(10cm×10cm)を得た。

    フィルム10Aはそれ以上処理せず、水溶性のまま残した。 フィルム10Bは、塩化ジルコニル(ZrOCl )の40質量%水溶液中に5分間浸漬することによって不溶化し、イオン架橋させた。 処理浴中に浸漬した後、フィルム10Bを、乾燥中の巻き上がりおよび収縮を最少限にするために、隅が重みで下がった状態でタオル上に平らに横たえ、室温で一晩乾燥させた。 フィルム10Bは、もはや水に可溶ではなくなった。

    フィルム10Aおよび10BのMVTRとDMMPの透過とを、Nomex(登録商標)被覆層を用いて測定した。 結果を表8に示す。

    実施例11
    この実施例は、ペクチンフィルムの保護能が、ペクチンのエステル化の度合いには影響をされないことを例示する。

    3種類のペクチンフィルム(11A、11B、および11C)を次のように調製した。
    フィルム11A―30%エステル化したペクチン2.8gを、激しく攪拌した水77.2gに室温で加えて、3.5質量%エステル化されたペクチン溶液を得た。 溶液は濁った淡いオレンジ色になった。 この30質量%エステル化されたペクチン溶液を50ミル(1.27mm)ナイフを用いてPyrex(登録商標)ガラス板上に注型することによって4インチ×8インチ(10cm×20cm)フィルムを調製した。 このフィルムを室温で一晩乾燥させた。 次いでこのフィルムを、鋭利なかみそりの刃で縁部を引き上げることによってガラス板から持ち上げ、ガラスから剥がした。 このフィルムはそれ以上処理せず、水溶性のまま残した。

    フィルム11B―60%エステル化したペクチン4gを、激しく攪拌した水76gに室温で加えて、5.0質量%エステル化されたペクチン溶液を得た。 溶液は濁った淡いオレンジ色になった。 フィルムを、フィルム11Aについて述べた調製法と同じように調製した。

    フィルム11C―90%エステル化したペクチン5gを、激しく攪拌した水72gに室温で加えて、6.5質量%エステル化されたペクチン溶液を得た。 この溶液は、フィルム11Aおよび11B用に調製した溶液よりも低粘性かつ不透明であるように見えた。 したがって5mLのこの注型溶液に10質量%水酸化ナトリウム水溶液150μLを加えた。 急速に溶液は、透明かつわずかに粘性になった。 この溶液を50ミル(1.27mm)ドクターナイフを用いてPyrex(登録商標)ガラス板上に注型することによってフィルムを調製した。 このフィルムを室温で一晩乾燥させた。 次いでこのフィルムを、鋭利なかみそりの刃で縁部を引き上げることによってガラス板から持ち上げ、ガラスから剥がした。 このフィルムはそれ以上処理せず、水溶性のまま残した。

    フィルム11A、11B、および11CのMVTRとDMMPの透過とを、Nomex(登録商標)被覆層を用いて測定した。 結果を表9に示す。

    実施例12
    この実施例は、水の影響を受けない保護フィルムを、ペクチンとキトサンの混合物から調製することができることを例示する。

    キトサン(Primex ChitoClear(登録商標) TM−656)2gを、激しく攪拌した塩酸(0.1N)200g中に溶解した。 ペクチン2gを、激しく攪拌した水50g中に溶解した。 この2つの溶液を一緒にして激しく1時間攪拌した。 溶液を、水56gが蒸発するまで85℃で10時間加熱して、1.0質量%キトサンと1.0質量%ペクチンを含有する最終注型溶液を得た。 この溶液を一晩放置して泡を除去した。

    この溶液を50ミル(1.27mm)ドクターナイフを用いてPyrex(登録商標)ガラス板上に注型することによってフィルム12を調製した。 この厚さ0.7ミル(18μm)フィルムを室温で一晩乾燥させた。 次いでこのフィルムを、鋭利なかみそりの刃で縁部を引き上げることによってガラス板から持ち上げ、ガラスから剥がした。 このフィルムはそれ以上処理しなかった。 フィルムは、水中に72時間浸漬したのち溶解しなかったが、柔らかくかつ弱くなった。 Nomex(登録商標)被覆層を用いたフィルム12の測定値は、MVTR=42.7kg/m /24時間、およびDMMPの透過=17時間で0μg(5個の値0、0、0、0、0の平均)であった。

    実施例13
    この実施例は、ペクチンフィルムの保護特性に及ぼす様々な添加剤の効果を例示する。

    フィルム13A―水に溶かした3.5%ペクチン溶液50gに、激しく攪拌しながら50%水性グリオキシル酸0.19mLを加えた。 この溶液を50ミル(1.27mm)、4インチ平方(10cm平方)のドクターナイフを用いてPyrex(登録商標)ガラス板上に注型し、室温で一晩乾燥することによってフィルムを調製した。 この厚さ1ミル(25ミクロン)の乾燥フィルムを、鋭利なかみそりの刃で縁部を引き上げることによってガラス板から剥がした。 このフィルムを40%水性塩化ジルコニル中に15分間沈め、水ですすぎ、乾燥させた。

    フィルム13B―水に溶かした3.5%ペクチン溶液30gに、激しく攪拌しながらポリエチレンイミン(PEI)0.01gを加えた。 この溶液を50ミル(1.27mm)、4インチ平方のドクターナイフを用いてPyrex(登録商標)ガラス板上に注型し、室温で一晩乾燥することによってフィルムを調製した。 フィルムを150℃で2分間加熱する。 この厚さ1ミル(25ミクロン)の乾燥フィルムを、鋭利なかみそりの刃で縁部を引き上げることによってガラス板から剥がした。 このフィルムを40%水性塩化ジルコニル中に15分間沈め、水ですすぎ、乾燥させた。

    フィルム13C―グルコース0.35gおよびペクチン7.2gを、激しく攪拌しながら水113g中に溶解した。 この溶液を一晩放置して泡を除去した。 フィルムを、フィルム13Aについて述べたのと同じように注型した。 このフィルムを40%水性塩化ジルコニル中に5分間沈め、水ですすぎ、乾燥させた。

    フィルム13D―水に溶かした3.5%ペクチン溶液30gに、激しく攪拌しながら80%水性塩化テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスフィン(TK)難燃剤10μLを加えた。 フィルムを、フィルム13Aについて述べたのと同じように注型した。 このフィルムを40%水性塩化ジルコニル中に15分間沈め、水ですすぎ、乾燥させた。

    フィルム13A〜Dに対するMVTRおよびDMMPの測定を、Nomex(登録商標)被覆層を用いて行った。

    実施例14
    BaCl を用いてイオン架橋させる厚さ1ミル(25μm)のアルギン酸塩フィルムを、実施例2の場合と同様に調製する。 これを、ナイロン−綿混紡布、ドットマトリックス模様のポリウレタン溶融接着剤、および厚さ9μmポリウレタンフィルムからなる予成形積層体のポリウレタン側に熱により積層する。 得られる積層体のMVTRは満足なものであり、検出可能なDMMP透過は17時間後に観察されない。

    実施例15
    2種類の積層構造部材15Aおよび15Bを次のように調製する。
    15A―Nomex(登録商標)のパジャマチェック柄の布を、ポリウレタン接着剤の点(被覆率25%)でモノリシック構造ポリウレタン(PU)フィルム(厚さ5〜10μm)に接着する。

    15B―ニット生地を、ポリウレタン接着剤の点(被覆率25%)でポリウレタン(PU)フィルム(厚さ5〜10μm)に接着する。

    BaCl を用いてイオン架橋させる厚さ1ミル(25μm)のアルギン酸塩フィルムを、実施例2の場合と同様に調製する。 このフィルムを積層構造部材15Aおよび15Bとの間で、いずれの場合もPUフィルムがアルギン酸塩フィルムに面した状態で熱により積層する。 次いで積層体15Aが上を向いた状態のこれらの試料に、ポリベンゾイミダゾール(「PBI」)リップストップ/パラ−アラミド繊維の混織(商標GeminiでSouthern Mills,Inc.から入手できる)の外殻を上張りする。

    得られた構造部材から切り取った試料は、すべてNFPA 1994、2006改定版の要求基準、イオウマスタード[S(CH CH Cl) ]に対する1時間累積透過量<4.0μg/cm 、およびソーマン神経ガスに対する<1.25μg/cm に合格する。 各試料のMVTRは、少なくとも2kg/m /24時間である。

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