The method of detoxifying a harmful compound

申请号 JP2007286374 申请日 2007-11-02 公开(公告)号 JP4934569B2 公开(公告)日 2012-05-16
申请人 日本板硝子株式会社; 发明人 浩一郎 中村;
摘要
权利要求
  • メチルラジカル、及び/又はカルボキシメチルラジカルを、ヒ素、アンチモン、セレンからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有する有害化合物と接触させることにより前記有害化合物 中のヒ素、アンチモン、又はセレンをアルキル化することによって、前記有害化合物中のヒ素、アンチモン、又はセレンを無害化することを特徴とする有害化合物の無害化方法。
  • 前記ラジカルを、光照射により生じさせる請求項1記載の方法。
  • 前記ラジカルの供給源が、酢酸、メタノール、エタノール、無水酢酸、プロピオン酸、ブタン酸又は蟻酸からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1又は2項に記載の方法。
  • 前記酢酸、メタノール、エタノール、無水酢酸、プロピオン酸、ブタン酸又は蟻酸からなる群から選択される少なくとも1種を光照射することにより生じた前記メチルラジカル及び/又はカルボキシメチルラジカルを、前記有害化合物と反応させることにより、前記有害化合物を無害化する請求項1〜3項のいずれか1項に記載の方法。
  • さらに、酸化チタン、又は水酸化セリウムを作用させることにより、無害化を行う請求項1〜4項のいずれか1項に記載の方法。
  • さらに、コバルト錯体を用いて、無害化を行う請求項1〜 項のいずれか1項に記載の方法。
  • 前記アルキル化が、メチル化である 請求項1又は6項に記載の方法。
  • 前記メチル化によって、有害化合物をモノメチル化合物、ジメチル化合物又はトリメチル化合物とする請求項 記載の方法。
  • 前記モノメチル化合物が、モノメチルアルソニルアセテート、モノメチルアルソニルエタノール、モノメチルアルソニルアセテート又はモノメチルアルソン酸である請求項 記載の方法。
  • 前記ジメチル化合物が、ジメチルアルソニルエタノール(DMAE)、ジメチルアルソニルアセテート(DMAA)、ジメチルアルシン酸、又はアルセノシュガーである請求項 記載の方法。
  • 前記トリメチル化合物が、アルセノコリン、アルセノベタイン、トリメチルアルセノシュガー又はトリメチルアルシンオキシドである請求項 記載の方法。
  • 说明书全文

    本発明は、有害化合物の無害化方法、特にラジカルを利用して有害化合物を無害化する方法に関する。

    ヒ素、アンチモン、セレン等の重金属は、半導体等の工業材料として広く用いられている物質であるが、生物に有毒な物質であることから、環境中に流出することにより生物に与えられる影響が懸念されている。

    従来、これらの重金属を除去する方法として、有毒な亜砒酸等の無機ヒ素を含む廃にポリ塩化アルミニウム(PAC)等の凝集剤を添加し、該凝集剤と原水中の鉄分にヒ素を凝集、吸着し、沈殿させた後、濾過により除去する方法や、活性アルミナ、セリウム系吸着剤によりヒ素化合物等を吸着させる方法等が一般に知られている。

    一方、自然界において、海藻等の海洋生物では、無機ヒ素が蓄積され、該無機ヒ素の一部が生理反応により、ジメチル化ヒ素などの有機ヒ素化合物へ転換されることが明らかとなっている(非特許文献1:Kaise et al.、 1998、Organomet.Chem.、12 137-143)。 そして、これらの有機ヒ素化合物は、一般に、哺乳動物に対して無機ヒ素よりも低い毒性を示すことが知られている。

    Kaise et al.、 1998、 Organomet. Chem.、 12 137-143

    特開2007−209740

    しかしながら、濾過、吸着等を利用した上述の重金属を除去する方法では、依然として有害なままである無機ヒ素等の有害化合物を含んだ汚泥、及び当該有害化合物が吸着されている吸着剤を、当該有害化合物が外部に漏れないようにコンクリート等で密封するなどした上で保管するか又は埋め立てる必要があり、保管場所、埋め立て地用の広いスペースを要することから、大量処理が困難であるという問題があった。

    また、魚貝類に含まれるヒ素は、無毒のアルセノベタインであることが国際的に認められており、猛毒無機ヒ素を無毒のアルセノベタインに化学的に変換できれば、無毒化を達成することが可能である。 本発明者は、ヒ素等を含有する有害化合物を効率的かつ系統的に無害化する方法として、これまで特開2007−209740などを提案してきたが、より一層の効率化が求められている。

    そこで、本発明は、上記問題点を解決すべく、ヒ素等を含む有害化合物を効率的に無害化するのに有益な有害化合物の無害化方法を提供することを目的とする。

    上記目的を達成するために、本発明者らは、ラジカルを利用した化学反応によってヒ素等を含む有害化合物をアルキル化、特に、メチル化、更に好ましくはトリメチル化することを試み、当該有害化合物のアルキル化反応の最適な条件について鋭意検討した結果、本発明を見出すに至った。

    本発明の有害化合物の無害化方法は、メチルラジカル、及び/又はカルボキシメチルラジカルを、ヒ素、アンチモン、セレンからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有する有害化合物と接触させることにより前記有害化合物中のヒ素、アンチモン、又はセレンをアルキル化することによって、前記有害化合物中のヒ素、アンチモン、又はセレンを無害化することを特徴とする。

    また、本発明の有害化合物の無害化方法の好ましい実施態様において、前記ラジカルを、光照射により生じさせることを特徴とする。

    また、本発明の有害化合物の無害化方法の好ましい実施態様において、前記ラジカルの供給源が、酢酸、メタノール、エタノール、無水酢酸、プロピオン酸、ブタン酸又は蟻酸からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする。

    また、本発明の有害化合物の無害化方法の好ましい実施態様において、前記酢酸、メタノール、エタノール、無水酢酸、プロピオン酸、ブタン酸又は蟻酸からなる群から選択される少なくとも1種を光照射することにより生じた前記メチルラジカル及び/又はカルボキシメチルラジカルを、前記有害化合物と反応させることにより、前記有害化合物を無害化することを特徴とする。

    また、本発明の有害化合物の無害化方法の好ましい実施態様において、さらに、酸化チタン、又は水酸化セリウムを作用させることにより、無害化を行うことを特徴とする。

    また、本発明の有害化合物の無害化方法の好ましい実施態様において、さらに、コバルト錯体を用いて、無害化を行うことを特徴とする。

    また、本発明の有害化合物の無害化方法の好ましい実施態様において、前記アルキル化が、メチル化であることを特徴とする。

    また、本発明の有害化合物の無害化方法の好ましい実施態様において、前記メチル化によって、有害化合物をモノメチル化合物、ジメチル化合物又はトリメチル化合物とすることを特徴とする。

    また、本発明の有害化合物の無害化方法の好ましい実施態様において、前記モノメチル化合物が、モノメチルアルソニルアセテート、モノメチルアルソニルエタノール、モノメチルアルソニルアセテート又はモノメチルアルソン酸であることを特徴とする。

    また、本発明の有害化合物の無害化方法の好ましい実施態様において、前記ジメチル化合物が、ジメチルアルソニルエタノール(DMAE)、ジメチルアルソニルアセテート(DMAA)、ジメチルアルシン酸、又はアルセノシュガーであることを特徴とする。

    また、本発明の有害化合物の無害化方法の好ましい実施態様において、前記トリメチル化合物が、アルセノコリン、アルセノベタイン、トリメチルアルセノシュガー又はトリメチルアルシンオキシドであることを特徴とする。

    本発明の有害化合物の無害化方法によれば、有害化合物を限りなく無害化することができるので、保管場所等の広いスペースを必要としないという有利な効果を奏する。 また、本発明の方法によれば、生物体そのものを生きたままで利用するものではないので、不必要な副産物を発生させないという有利な効果を奏する。 さらに、本発明によれば、簡便な操作で、有害な無機ヒ素などをより少なくすることができるという有利な効果を奏する。

    本発明の有害化合物の無害化方法は、メチルラジカル、及び/又はカルボキシメチルラジカルを、ヒ素、アンチモン、セレンからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有する有害化合物と接触させることにより、有害化合物を無害化する。 これは、メチルラジカル及び/又はカルボキシメチルラジカルが、ヒ素等のアルキル化、特にメチル化に寄与し、その結果、ヒ素等を含む有害化合物を、より無害化できることを本発明者らが見出したことによる。 無機砒素は、メチル化されると、より無害化されるが、メチルラジカル、カルボキシメチルラジカルの存在はより無害化を促進する。 本発明は、後述するように、ラジカルを接触させることにより、無機砒素から無害なアルセノベタインにまで無害化する点極めて有効である。

    前記ラジカルの発生については、特に限定されるものではない。 より簡単に、メチルラジカル、カルボキシメチルラジカルを発生させるという観点から、光照射により生じさせることが可能である。 ラジカルの供給源として、特に限定されないが、酢酸、メタノール、エタノール、無水酢酸、プロピオン酸、ブタン酸又は蟻酸からなる群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。 すなわち、本発明においては、前記酢酸、メタノール、エタノール、無水酢酸、プロピオン酸、ブタン酸又は蟻酸からなる群から選択される少なくとも1種を光照射することにより生じた前記メチルラジカル、及び/又はカルボキシメチルラジカルを、前記有害化合物と反応させることにより、前記有害化合物を無害化することができる。

    また、本発明の好ましい実施態様において、さらに、酸化チタン、又は水酸化セリウムを作用させることにより、無害化を行うことができる。 ここで、メチルラジカルとカルボキシメチルラジカルの供給源として、酸化チタンを用いた場合を一例として説明すると以下のとおりである。

    酸化チタン(TiO 2 )は、光が当ると強い酸化を示し、周囲の物質から電子を引き抜く(標準酸化還元電位は、3.0V)ことが知られている。 酸化チタン(TiO 2 )は、電子がチタン(Ti)から酸素(O)に移動して、Ti 4+ (O 2- ) 2と、イオン性の強い構造になる。 このメカニズムについて説明すると、Ti 4+ (O 2- ) 2は、価電子帯(Oの2p軌道からなる)と、伝導帯(Tiの3d軌道からなる)に別れていて、バンドギャップエネルギーに相当する380nmより短い光(紫外線)が当ると、価電子帯(O)の電子が励起して伝導帯(Ti)に上がる。 そして、電子は、エネルギー準位の低い酸素(O)の軌道にいるが、光のエネルギーを吸収して励起しチタン(Ti)の軌道に移る。 殻になった酸素の軌道は、外から電子を奪おうとするので、周囲の物質(有機物など)は電子を引き抜かれて酸化される。 このようなメカニズムにより、酸化チタンを利用して光照射することにより、メチルラジカル等を生じさせることが可能である。 反応性が高いメチルラジカル等は、無機ヒ素などの有害化合物と反応し、ヒ素等はアルキル化されてより無害なアルセノベタインなどに変えられる。 詳細なメカニズムについては不明であるが、例えば、メチルラジカル及びカルボキシメチルラジカルの供給源として酢酸を用いると、光照射下、酸化チタンの界面で上記反応が生じ、ヒ素等のアルキル化が促進されていき、ひいては、有害化合物の無害化が促進されると考えられる。

    光照射の条件については、常法に従い特に限定されるものではない。 アルキル化を促進させるという観点から、光強度としては、0.1〜1000mW/cm 2 、より好ましくは、1〜1000mW/cm 2である。 エネルギーとしては、1mJ〜100J、好ましくは、100mJ〜100Jである。 照射する光の波長としては、紫外線、可視光線、近赤外線、赤外線、遠赤外線等が用いられる。 好ましくは、ラジカルの供給源である酢酸、メタノール、エタノール、蟻酸等の有機化合物の共有結合が切断される波長を中心波長とする波長帯域の光であり、185nm±100nm、更に好ましくは、185nm±50nm、あるいは、255nm±100nm、更に好ましくは、255nm±50nmである。 また、触媒として酸化チタンを用いる場合は、酸化チタンの酸化還元電位(3eV)に相当する波長である380nm以下を中心波長とする波長域が好ましく、380nm±100nm、更に好ましくは380nm±50nmである。 コバルト錯体を用いる場合には、好ましくは、コバルト錯体による吸収帯の吸収極大波長(λmax)を中心として、λmax±500nm、より好ましくは、λmax±250nm、更に好ましくは、λmax±100nmの波長の光を照射することで、アルキル化反応を効率よく進行させることができる。

    また、温度条件についても特に限定されるものではなく、室温でも反応を進行させることができる。 アルキル化促進という観点から、反応温度は20〜250℃、より好ましくは、50〜150℃である。

    ここで、本明細書において、「有害化合物」とは、環境中に流出し、生物に暴露された際に、何らかの悪影響を生物に与える恐れがある化合物を意味する。

    前記有害化合物のうちヒ素を含有する有害化合物としては、亜ヒ酸、五酸化ヒ素、三塩化ヒ素、五塩化ヒ素、硫化ヒ素化合物、シアノヒ素化合物、クロロヒ素化合物、及びその他のヒ素無機塩類等やフェニルヒ素化合物が挙げられる。 これらのヒ素は、例えばLD 50 (mg/kg)(マウスにおける50%致死量)が20以下であり、一般に生物に対して有毒な値である。

    また、アンチモンを含有する有害化合物としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン等が挙げられる。

    さらに、セレンを含有する有害化合物としては、二酸化セレン、三酸化セレン等が挙げられる。

    また、本発明の有害化合物の無害化方法の好ましい実施態様において、前記ヒ素、アンチモン、又はセレンをアルキル化することにより無害化することを特徴とする。 ここで、上記ヒ素、アンチモン、又はセレンに付加するアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。 無毒化をより効率的に達成するという観点から、アルキル基として、メチル基が好ましい。

    好ましい実施態様において、さらに、コバルト錯体を用いて、無害化を行うことができる。 コバルト錯体としては、特に限定されないが、コバルト−炭素結合を有する有機金属錯体などを挙げることができる。 例えば、メチルコバラミン(メチル化ビタミンB12、正式名称:Coα−[α−5、6−ジメチルベンズ−1H−イミダゾール−1−イル−Coβ−メチルコバミド]、シアノコバラミンなどのビタミンB12、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート、コバルトカルボニル(二コバルトオクタカルボニル)、コバルト(II)1、1、1、5、5、5-ヘキサフルオロアセチルアセトナート、コバルト(II)メゾ−テトラフェニルポルフィン、ヘキサフルオロりん酸ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)コバルト、N、N'−ビス(サリチリデン)エチレンジアミンコバルト(II)、ビス(2、2、6、6-テトラメチル-3、5-ヘプタンジオナト)コバルト(II)、(クロロフタロシアニナト)コバルト(II)、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)コバルト(I)、酢酸コバルト(II)のメチル錯体、安息香酸コバルト(II)、シアン化コバルト(II)、シクロヘキサン酪酸コバルト(II)、2-エチルヘキサン酸コバルト(II)、meso−テトラメトキシフェニルポルフィリンコバルト(II)、ナフテン酸コバルト、フタロシアニンコバルト(II)、メチルコバルト(III)プロトポルフィリンIX、ステアリン酸コバルト、スルファミン酸コバルト(II)、(1R、2R)-(-)-1、2-シクロヘキサンジアミノ-N、N'−ビス(3、5−ジ-t-ブチルサリチリデン)コバルト(II)、(1S、2S)-(+)-1、2-シクロヘキサンジアミノ-N、N'−ビス(3、5−ジ-t-ブチルサリチリデン)コバルト(II)、シクロペンタジエニルビス(トリフェニルホスフィン)コバルト(I)、シクロペンタジエニルコバルトジカルボニル、ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)コバルト(II)、(テトラアミノクロロフタロシアニナト)コバルト(II)、(テトラ−t−ブチルフタロシアニナト)コバルト(II)から選ばれた少なくとも1種の化合物のメチル錯体、または、前記コバルト化合物とハロゲン化アルキル、特にハロゲン化メチルを共存させて形成するコバルト−メチル錯体、からなる群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。

    本発明の有害化合物の無害化方法においては、前記メチル化によって、有害化合物をモノメチル化合物、ジメチル化合物又はトリメチル化合物とすることが、より安全で毒性が低いという観点から好ましい。 前記モノメチル化合物としては、例えば、モノメチルアルソニルアセテート、モノメチルアルソニルエタノール、モノメチルアルソニルアセテート又はモノメチルアルソン酸を挙げることができる。 また、前記ジメチル化合物としては、例えば、ジメチルアルソニルエタノール(DMAE)、ジメチルアルソニルアセテート(DMAA)、ジメチルアルシン酸、又はアルセノシュガーを挙げることができる。 前記トリメチル化合物としては、例えば、アルセノコリン、アルセノベタイン、トリメチルアルセノシュガー又はトリメチルアルシンオキシドを挙げることができる。

    以下、本発明の実施例を説明するが、下記の実施例は、本発明の範囲を何ら限定するものではない。

    実施例1(無機ヒ素の無害化)
    0.5mLの1ppmの三酸化ヒ素標準液(以下、iAs(III)と表す),7.7mLの超純水(18MΩ/cm)及び1.8mLの酢酸(特級、以下、AAと略称する)を混合した(溶液A)。 触媒として、酸化チタン、水酸化セリウム、重金属吸着剤(日本板硝子社、アドセラ、以下、ADと略称する)を準備した。 酸化チタンについては、TiO 2 (A)(ACROS社製、アナタース型)とTiO 2 (RA91)(キシダ化学製、ルチル型90%+アナタース型10%)を準備した。 水酸化セリウムについては、水酸化第二セリウム(純正化学社製)を準備した。 2mg(1.5mmol)のメチルコバラミンを1mLの超純水に溶かし、更にこれを超純水で100倍に希釈した(溶液B)。 1.5mgのシアノコバラミンを1mLの超純水に溶かし、更にこれを超純水で100倍に希釈した(溶液C)。 1.5mgのヒドロキソコバラミンを1mLの超純水に溶かし、更にこれを超純水で100倍に希釈した(溶液D)。 これらの溶液と触媒を表1に示すように混合して反応溶液を調整し、サンプル管へ導入した。 表1は、反応溶液の調整及び使用光源を示す。

    条件:〔As〕=0.17nmoL/mL、〔Co〕=0.15nmoL/mL、〔AA〕=3mmoL/mL

    サンプル管の上部から、直接、紫外線ランプ(UV−A:365nm、LIGHTNINGCURE LC5、HAMAMATSU社製)にて室温で所定時間(30分間、1時間、2時間)紫外線を照射した。 また、短波長紫外線(UV−C、波長:253.7nm、184.9nm、SEN社製、ランプハウス:SUV110GS-36:高出力低圧水銀ランプ)についても、同様に行った。 紫外線照射または照射せずに所定時間経過した後の反応溶液を100μL採取し、超純水で2倍に希釈してHPLC−ICP−MS法で、ヒ素化合物を分離定量した。 結果を表2及び表3に示す。 表2は、紫外線照射後の反応生成物を示す。 表3は、紫外線照射後の反応生成物を示す。

    中心波長(254nm)の光強度:12mW/cm

    2 (UV-C)

    表中、As(V)は5価の無機ヒ素、As(III)は3価の無機ヒ素、MMAはモノメチルアルソン酸、DMAはジメチルアルシン酸、ABはアルセノベタイン(トリメチルアルソニウム酢酸)、TMAOはトリメチルアルシンオキシドを表し、転換率は以下の式で計算した。

    転換率(%)=反応後のヒ素化合物の濃度の合計/反応前のヒ素化合物の濃度の合計×100

    酸化チタン存在下では、三酸化ヒ素がメチル化され、無毒のトリメチルヒ素(AB,TMAO)が生成した(番号2,4,6,8)。 コバルト錯体であるビタミンB 12誘導体(メチルコバラミン,シアノコバラミン,ヒドロキソコバラミン)存在下でも酸化チタン存在下、TMAOとABが生成した。 メチルコバラミンの場合には、酸化チタンが存在しない場合についても、TMAOとABが生成した(番号3)。 また、表中の未知化合物(UN8 9,UN14、UN15)は、ヒ素にメチル基とカルボキシメチル基が結合した化合物であり、モノメチルモノカルボキシメチルヒ素、ジメチルアルシノイル酢酸、モノメチルアルシノイル二酢酸、ジメチルアルソニウム二酢酸であると推定される。

    これらの結果、短波長(UV−C)の紫外線を照射した場合、触媒(酸化チタン)不在下でも、無毒のトリメチルヒ素(AB,TMAO)が生成した(番号17)。 水酸化セリウムを触媒として用いた場合は、紫外線(UV−A)を照射したときにモノメチルヒ素(MMA)が生成した(番号14)。 ADを触媒として用いた場合も、紫外線(UV−A)を照射したときにモノメチルヒ素(MMA)が生成した(番号16)。

    実施例2(アンチモンの無害化)
    次に、ヒ素の代わりに、アンチモンについても調べた。 具体的には、実施例1で用いた溶液AのiAs(III)の代わりに、無機アンチモン(iSb(IV))を用いたものを溶液Eとし、表4に示す条件にて反応を行った。 なお、番号18は表2の番号2−2と同じ条件であり、番号19は表3の番号17−2と同じ条件である。 反応前後のHPLC−ICP−MSクロマトグラムを図1、図2に示す。

    図1は、無機アンチモンのメチル化反応のHPLC-ICP-MSクロマトグラムを示す(A:反応前、B:反応後)〔メチル源:AA、光源:UV−A、光触媒:TiO 2 (RA91)〕。 縦軸:強度(cps)、横軸:時間(秒)。

    図2は、無機アンチモンのメチル化反応のHPLC-ICP-MSクロマトグラム(反応後)(メチル源:AA、光源:UV−C、光触媒:なし)を示す。 縦軸:強度(cps)、横軸:時間(秒)。 図1のAは反応前、図1のBは番号18の反応後のクロマトグラムであり、図2は番号19の反応後のクロマトグラムである。 反応前は、iSbのみのピークであったが、実験18、19どちらも、反応後にメチル化アンチモンが生成した。

    実施例3(セレンの無害化)
    次に、ヒ素、アンチモンの代わりに、セレンについても調べた。 具体的には、実施例1で用いた溶液AのiAs(III)の代わりに、無機セレン(iSe)を用いたものを溶液Fとし、表5に示す条件にて反応を行った。 反応前後のHPLC−ICP−MSクロマトグラムを図3に示す。

    図3は、無機セレンのメチル化反応のHPLC-ICP-MSクロマトグラム(A:反応前、B:反応後)〔メチル源:AA、光源:UV−C、光触媒:TiO 2 (RA91)〕を示す。 縦軸:強度(cps)、横軸:時間(秒)。

    図3のAは反応前、図3のBは番号20の反応後のクロマトグラムである。 反応前は、iSeのみのピークであったが、反応後メチル化セレンが生成した。

    実施例4(各種メチル源を用いた無害化)
    次に、各種メチル源について調べた。 実施例1で用いた溶液Aについて、メチル源として、酢酸(AA)の代わりに、蟻酸(以下、FAと略称する)、メタノール(以下、MeOHと略称する)、アセトン(以下、Actと略称する)、蟻酸と酢酸をモル比3:1で混合したもの(以下、3FA/AAと略称する)を用いた。 表6は、反応原料と反応条件を示す。

    表6に示すように、触媒(酸化チタン)を用いず、光源はUV−Cを用いた。 反応後の溶液を100μL採取し、超純水で2倍に希釈してHPLC−ICP−MS法で、ヒ素化合物を分離定量した。 結果を表7に示す。 表7は、諸種のメチル源を用いた場合の反応生成物を示す。

    表中、As(V)は5価の無機ヒ素、As(III)は3価の無機ヒ素、MMAはモノメチルアルソン酸、DMAはジメチルアルシン酸、ABはアルセノベタイン(トリメチルアルソニウム酢酸)、TMAOはトリメチルアルシンオキシドを表し、転換率は以下の式で計算した。

    転換率(%)=反応後のヒ素化合物の濃度の合計/反応前のヒ素化合物の濃度の合計×100

    これらの結果、各種メチル源を用いた場合も、メチル化生成物である、MMA、DMA、UN7.8、UN8~9、UN15~16、UN28が生成した。

    実施例5(フェニルヒ素化合物の無害化)
    無機ヒ素の代わりに、フェニルヒ素化合物である、ジフェニルアルシン酸(DPA)、フェニルアルソン酸(PA)、3−ニトロ−4−ヒドロキシフェニルヒ酸(NHPA)を反応溶液中のヒ素化合物として用いた。 これらのヒ素化合物を含む反応溶液について、表8に示す条件にて反応を行った。 表8は、フェニルヒ素化合物を出発原料として用いた場合の反応原料、反応条件を示す。

    反応後の溶液を100μL採取し、超純水で2倍に希釈してHPLC−ICP−MS法で、ヒ素化合物を分離定量した。 結果を表9に示す。 表9は、フェニルヒ素化合物を出発原料として用いた場合の反応生成物を示す。

    表中、As(V)は5価の無機ヒ素、As(III)は3価の無機ヒ素、MMAはモノメチルアルソン酸、DMAはジメチルアルシン酸、ABはアルセノベタイン(トリメチルアルソニウム酢酸)、TMAOはトリメチルアルシンオキシドを表し、転換率は以下の式で計算した。

    転換率(%)=反応後のヒ素化合物の濃度の合計/反応前のヒ素化合物の濃度の合計×100

    以上の結果、化学兵器に用いられるヒ素化合物誘導体であるDPA,PAと、農薬として用いられているNHPAから、無毒のトリメチルヒ素(TMAO、AB)が生成された。

    ヒ素などの有害化合物は、本発明の方法によって、より無害な化合物に変換され、無害化合物は、極めて安定でかつ安全であるので、広く産業廃棄物の処理等の分野、汚泥、土壌の環境保護の分野において極めて有効である。

    図1は、無機アンチモンのメチル化反応のHPLC-ICP-MSクロマトグラム(A:反応前、B:反応後)〔メチル源:AA、光源:UV−A、光触媒:TiO

    2 (RA91)〕を示す。 縦軸:強度(cps)、横軸:時間(秒)。

    図2は、無機アンチモンのメチル化反応のHPLC-ICP-MSクロマトグラム(反応後)(メチル源:AA、光源:UV−C、光触媒:なし)を示す。 縦軸:強度(cps)、横軸:時間(秒)。

    図3は、無機セレンのメチル化反応のHPLC-ICP-MSクロマトグラム(A:反応前、B:反応後)〔メチル源:AA、光源:UV−C、光触媒:TiO

    2 (RA91)〕を示す。 縦軸:強度(cps)、横軸:時間(秒)。

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