防火(火炎抑制firesuppressing)材料、防火システム、及び使用方法

申请号 JP2015500659 申请日 2013-03-15 公开(公告)号 JP2015517833A 公开(公告)日 2015-06-25
申请人 メギット セイフティ システムズ,インク.Meggitt Safety Systems,Inc.; メギット セイフティ システムズ,インク.Meggitt Safety Systems,Inc.; 发明人 ダン ミシェル,マーク; ダン ミシェル,マーク; フォーブス ブラック,ジョン; フォーブス ブラック,ジョン; ミルズ,カート;
摘要 有機防火剤化合物または補完的な有機防火剤化合物と、ハロゲン元素と、有機化合物を含む防火剤混合物であって、前記有機防火剤化合物、前記ハロゲン元素、前記有機化合物が、前記混合物の沸点が前記有機防火剤化合物の沸点よりも低くなるように混合された防火剤混合物。いくつかの実施形態において、有機防火剤化合物はFK5−1−12であり、有機化合物は二 酸化 炭素である。別の実施形態において、CF3I、2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタン(R123)またはハロゲン元素などの追加的な有機化合物を混合物に補完することができる。いくつかの実施形態において、窒素などの加圧用の無機ガスも加えられる。【選択図】図2
权利要求

有機防火剤化合物と、有機化合物とを含み、前記有機防火剤化合物と前記有機化合物が、前記混合物の沸点が、前記有機防火剤の沸点よりも低くなるように混合されることを特徴とする防火剤混合物。前記有機防火剤化合物がFK5−1−12であることを特徴とする、請求項1に記載の防火剤混合物。前記有機化合物が、二酸化炭素であることを特徴とする、請求項2に記載の防火剤混合物。さらにハロゲン元素を含むことを特徴とする、請求項2に記載の防火剤混合物。さらに加圧用の無機ガスを含むことを特徴とする、請求項1に記載の防火剤混合物。前記無機ガスが窒素であることを特徴とする、請求項5に記載の防火剤混合物。前記ハロゲン元素が臭素であることを特徴とする、請求項4に記載の防火剤混合物。前記有機防火剤化合物が、0のオゾン層破壊係数と1以下の地球温暖化係数を有することを特徴とする、請求項1に記載の防火剤混合物。前記ハロゲン元素が、ヨウ素であることを特徴とする、請求項1に記載の防火剤混合物。さらに第2の有機防火剤化合物を含むことを特徴とする、請求項2に記載の防火剤混合物。前記第2の有機防火剤化合物が、CF3Iであることを特徴とする、請求項2に記載の防火剤混合物。前記有機防火剤の前記沸点より低い沸点を有する防火剤混合物を生成するために、有機防火剤と有機化合物とを混合することを含むことを特徴とする、防火剤混合物の製造方法。前記防火剤混合物を無機ガスで加圧することをさらに含むことを特徴とする、請求項12に記載の方法。前記防火剤混合物にハロゲン元素を加えることをさらに含むことを特徴とする、請求項12に記載の方法。前記有機防火剤が、FK5−1−12であることを特徴とする、請求項12に記載の方法。前記有機防火剤が、CF3Iであることを特徴とする、請求項12に記載の方法。前記有機防火剤が、2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタン(R123)であることを特徴とする、請求項12に記載の方法。前記有機化合物が、二酸化炭素であることを特徴とする、請求項12に記載の方法。前記ハロゲン元素が、臭素であることを特徴とする、請求項14に記載の方法。前記ハロゲン元素が、ヨウ素であることを特徴とする、請求項14に記載の方法。有機防火剤化合物と有機化合物との混合物を備えた貯蔵容器を含み、前記混合物は、前記有機防火剤化合物の前記沸点よりも低い沸点を有することを特徴とする防火システム。前記貯蔵容器が、無機ガスで加圧されることを特徴とする、請求項21に記載の防火システム。前記有機防火剤化合物が、FK5−1−12であることを特徴とする、請求項21に記載の防火システム。さらにハロゲン元素を含むことを特徴とする、請求項21に記載の防火システム。前記ハロゲン元素が、ヨウ素であることを特徴とする、請求項24に記載の防火システム。散布用管をさらに含み、前記管の前記機構は、前記防火システム内で最低圧を維持するために設計されていることを特徴とする、請求項21に記載の防火システム。散布用管と、複数の放出ポイントで前記散布用管と連通する放出制限機構とをさらに含み、前記放出制限機構は、前記防火システム内で最低圧力を維持するために設計されていることを特徴とする、請求項21に記載の防火システム。前記放出制限機構が、ノズルを含むことを特徴とする、請求項27に記載の防火システム。

FK5−1−12、CF3I及び2−BTPからなる群から選択される有機防火剤と、 二酸化炭素と、 加圧用ガスから実質的になり、前記有機防火剤と前記二酸化炭素は、それぞれ約1対1から約5対1の重量比を有することを特徴とする防火剤混合物。前記有機防火剤化合物がFK5−1−12であり、防火剤の二酸化炭素に対する前記重量比がそれぞれ約1対1から約4対1の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の防火剤混合物。さらにハロゲン元素から実質的になることを特徴とする、請求項1に記載の防火剤混合物。前記加圧ガスが窒素であることを特徴とする、請求項2に記載の防火剤混合物。前記ハロゲン元素が臭素であることを特徴とする、請求項3に記載の防火剤混合物。前記有機防火剤化合物が、0のオゾン層破壊係数と1以下の地球温暖化係数を有することを特徴とする、請求項1に記載の防火剤混合物。前記ハロゲン元素が、ヨウ素であることを特徴とする、請求項3に記載の防火剤混合物。前記有機防火剤化合物が、CF3Iであり、防火剤化合物の二酸化炭素に対する前記重量比がそれぞれ約3対1から約5対1の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の防火剤混合物。防火剤混合物を生成するために、FK5−1−12及びCF3Iからなる群から選択される有機防火剤と二酸化炭素とを混合することであって、前記有機防火剤と前記二酸化炭素は、それぞれ約1対1から約3対1の範囲の重量比を有し、前記防火剤混合物を約800psigから約1225psigの範囲の圧力で窒素を用いて加圧することを含むことを特徴とする、防火剤混合物の製造方法。前記防火剤混合物にハロゲン元素を加えることをさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。前記有機防火剤が、FK5−1−12であり、前記混合物が約900psigから約1225psigの間で加圧されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。前記有機防火剤が、CF3Iであり、前記混合物が約800psigから約1025psigの間で加圧されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。前記ハロゲン元素が、臭素であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。前記ハロゲン元素が、ヨウ素であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。FK5−1−12及びCF3Iからなる群から選択される有機防火剤と二酸化炭素とを有する貯蔵容器を含み、前記有機防火剤と前記二酸化炭素は、前記貯蔵容器にそれぞれ重量比約1対1から約4対1の範囲で存在し、前記混合物は、前記貯蔵容器内で加圧ガスによって約800psigから約1225psigの間で加圧されることを特徴とする防火システム。前記有機防火剤化合物が、FK5−1−12であり、前記有機防火剤と前記二酸化炭素のそれぞれは、1立方フィート当たり約15ポンドから約29ポンドの充填密度を有することを特徴とする、請求項15に記載の防火システム。さらにハロゲン元素を含むことを特徴とする、請求項15に記載の防火システム。前記ハロゲン元素が、ヨウ素であることを特徴とする、請求項17に記載の防火システム。散布用管と、複数の放出ポイントで前記散布用管と連通する放出制限機構とをさらに含み、前記放出制限機構は、前記防火システム内で約6気圧の最低圧力を維持するために設計されていることを特徴とする、請求項15に記載の防火システム。前記放出制限機構が、ノズルを含むことを特徴とする、請求項19に記載の防火システム。前記ハロゲン元素が約7重量%から約23重量%の間であることを特徴とする、請求項3に記載の防火剤混合物。前記防火剤混合物の前記標準沸点が約−26℃から約−51℃の間であることを特徴とする、請求項1に記載の防火剤混合物。前記防火剤混合物の前記標準沸点が約+9℃から約−26℃の間であることを特徴とする、請求項1に記載の防火剤混合物。前記ハロゲン元素が約7重量%から約23重量%の間であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。前記有機防火剤が同じ重量部のFK5−1−12とCF3Iの両方からなり、前記有機防火剤混合物が約800psigから約1025psigの間で加圧されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。前記有機防火剤がCF3Iであり、防火剤の二酸化炭素に対する前記重量比がそれぞれ約4対1であることを特徴とする、請求項1に記載の防火剤混合物。前記加圧ガスが窒素であることを特徴とする、請求項26に記載の防火剤混合物。前記有機防火剤がCF3Iであり、防火剤の二酸化炭素に対する前記重量比がそれぞれ約3対1であることを特徴とする、請求項1に記載の防火システム。前記加圧ガスが窒素であることを特徴とする、請求項28に記載の防火剤混合物。前記有機防火剤がFK5−1−12であり、防火剤の二酸化炭素に対する前記重量比がそれぞれ約1対1であることを特徴とする、請求項1に記載の防火剤混合物。前記加圧ガスが窒素であることを特徴とする、請求項30に記載の防火剤混合物。前記有機防火剤が2−BTPであり、防火剤の二酸化炭素に対する前記重量比がそれぞれ約1対1であることを特徴とする、請求項1に記載の防火剤混合物。前記加圧ガスが窒素であることを特徴とする、請求項32に記載の防火剤混合物。前記加圧ガスが窒素であることを特徴とする、請求項15に記載の防火剤混合物。前記有機防火剤がFK5−1−12及びCF3Iの両方からなることを特徴とする、請求項1に記載の防火剤混合物。防火剤の二酸化炭素に対する前記重量比がそれぞれ約2.3対1であることを特徴とする、請求項35に記載の防火剤混合物。前記有機防火剤が同じ重量部のFK5−1−12とCF3Iの両方を含むことを特徴とする、請求項36に記載の防火剤混合物。前記有機防火剤が、1立方フィート当たり約35ポンドから約52ポンドの充填密度を有するCF3Iであり、前記二酸化炭素が、1立方フィート当たり約13ポンドから約18ポンドの充填密度を有することを特徴とする、請求項15に記載の防火システム。前記有機防火剤が、FK5−1−12とCF3Iの両方からなることを特徴とする、請求項15に記載の防火剤混合物。CF3IとFK5−1−12のそれぞれが、1立方フィート当たり約15ポンドから約23ポンドの充填密度を有し、前記二酸化炭素が、1立方フィート当たり約13ポンドから約20ポンドの充填密度を有することを特徴とする、請求項39に記載の防火システム。前記ハロゲン元素が臭素であることを特徴とする、請求項17に記載の防火システム。前記防火剤混合物の前記標準沸点が約−24℃から約−63℃の間にあることを特徴とする、請求項1に記載の防火剤混合物。

说明书全文

[関連する出願] 本出願は、2012年3月16日に申請された米国特許出願番号第13/423,133号の一部継続出願である2012年8月24日に申請された米国特許出願番号第13/594,738号の一部継続出願であり、これらによって主張される優先権を享受する利益を主張する。

本特許文献は、防火材料、防火システム及び防火材料使用方法に関する。より具体的には、本特許文献は、防火剤の特性を変えるために、有機防火剤と別の有機化合物との混合物を生成することに関する。

航空機の飛行条件は、航空機用防火システムの設計に対して固有の問題点を提起している。例えば、航空機用防火システムは、広範囲の温度で動作しなければならない。この温度は、暑い日に航空機がタールマックにあるときの+105℃から、航空機が高高度で飛行しているときの−55℃という低温にまでわたる。

50年を超えて、ハロン1301は、航空機エンジン、補助電源装置(APU)、そして貨物防火の応用のための化学物質として選択されてきた。ハロン1301は、航空機用防火システムとして一般に選択される固有の望ましい性質を多く有している。例えば、ハロン1301は、沸点が低く蒸気圧が高いため、化学物質と空気とが混合しやすく、火災区域全体に散布しやすい。加えて、ハロン1301の−58℃という沸点と、放出(discharge)のたびごとに随時気化可能である点は、望ましい物理特性である。しかしながら、ハロン1301(ブロモトリフルオロメタン)の有するオゾン層破壊係数のため、1995年には、多くの国で、この物質の製造が行われなくなっている。

多くの現行システムにおいて、ハロン1301は、加圧用ガスとして窒素を使用した加圧瓶に保存されている。低温でシステム放出エネルギーを提供するためには、ハロン1301の自然蒸気圧を超える窒素圧が必要である。また、ハロン溶液中に溶解している窒素は、「ポップコーン」効果と類似して、低温でハロン1301の液滴の気化と分解とを改善している。

通常、航空機用防火システムは、瓶による化学物質の放出直後に、火災区域における一定の最低の薬剤濃度を実現するうえで必要な化学物質の重量に基づいて設計される。防火システムは、その応用のために、最低動作温度で適切に機能するように設計されなければならない。化学物質の気体容積と蒸気圧は、温度の低下とともに低下するため、最低動作温度は、しばしば、防火システムにとって最悪のシナリオとなる。

防火システムを設計するうえで考慮すべきもう1つの重要な点は、化学物質の散布である。火災区域全体にわたる化学物質の散布は、各放出位置において、化学物質が火災区域に入ってくる空気とどれだけ混合できるかに依存する。火災区域に散乱物があると、放出位置と火災の脅威との間の見通し輸送(line-of-sight transport)が困難になることもある。

現在のところ、ハロン1301のもつ特性と機能を有しながらも環境に優しい既知の防火及び消火化合物は存在していない。

以上のことを考慮して、本特許文献の1つの態様の目的は、防火剤混合物を提供することである。本特許文献の別の態様においては、これに関する方法とシステムが提供される。提供される方法、システム、及び混合物が、上記1つまたは複数の問題点を解決することが好ましく、または、これらの方法、システム、及び混合物は、上記1つまたは複数の問題点を少なくとも改善する。この目的のために、防火剤混合物が提供される。1つの実施形態において、防火剤混合物は、有機防火剤化合物と、ハロゲン元素と、有機化合物を含み、前記有機防火剤化合物と、前記ハロゲン元素と、前記有機化合物は、前記混合物の沸点が前記有機防火剤の沸点よりも低くなるように混合される。

いくつかの実施形態において、防火剤混合物は、FK−5−1−12、フルオロケトン、化学的には、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3として知られている防火剤化合物を含む。別の実施形態において、有機防火剤は、CF3I、トリフルオロヨードメタンである。さらに別の実施形態において、有機防火剤は、FK−5−1−12またはCF3Iとほぼ類似した化合物であってもよい。いくつかの実施形態において、その沸点がFK−5−1−12より低いハロゲンを含む分子量の大きい有機体高分子を使用することができる。防火剤混合物のさらに別の実施形態において、複数の有機防火剤化合物を使用することができる。これらの実施形態のいくつかにおいて、FK−5−1−12とCF3Iの両方を使用することができる。別の実施形態において、FK−5−1−12とCF3Iは、2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタン(R123)と組み合わせて使用することができる。

いくつかの実施形態において、ハロゲン元素は、周期表の列7Aからの任意の元素とすることができる。好ましい実施形態において、ハロゲン元素は、臭素、ヨウ素、塩素からなるグループから選択される。

防火剤混合物は、その沸点が、含有される有機防火剤化合物の沸点よりも低い異なる有機化合物を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、有機化合物は、二酸化炭素であってもよい。有機化合物は、有機防火剤に対して任意の割合で混合することができる。好ましい実施形態において、混合物は、有機化合物に対する有機防火剤の質量比が、約4対1である。いくつかの実施形態において、複数の有機化合物が、有機防火剤化合物との混合物中に含まれていてもよい。さらに別の実施形態において、多くの有機化合物が、多くの有機防火剤化合物と混合されていてもよい。

好ましい実施形態において、生成される防火剤混合物は、さらに無機ガスによって加圧することができる。いくつかの実施形態において、加圧用の無機ガスは、窒素である。別の実施形態において、加圧用の無機ガスは、アルゴン若しくはヘリウムまたはその他の不活性ガスであってもよい。

いくつかの実施形態において、防火剤混合物の成分は、それが有する特別な特徴または性質によって選択することができる。例えば、いくつかの実施形態において、混合物の成分は、オゾン層破壊係数(ODP)及び地球温暖化係数(GWP)などの環境要因に基づいて選択することもできる。このような実施形態において、混合物は、0のODPかつ1以下のGWPを有する有機防火剤混合物を含んでいてもよい。

本特許文献の別の態様において、防火剤混合物を製造する方法が提供される。この方法は、沸点を有する有機防火剤をハロゲン元素と混合して混合物を生成することと、前記混合物を、有機防火剤の前記沸点よりも低い沸点を有する有機化合物と混合して、前記有機防火剤化合物の前記沸点よりも低い沸点を有する防火剤混合物を生成することとを含む。

この方法のいくつかの実施形態において、防火剤混合物は、無機ガスで加圧することができる。いくつかの実施形態において、このガスは不活性ガスであってもよい。好ましい実施形態において、このガスは窒素である。

この方法のさらに別の実施形態において、有機防火剤は、FK−5−1−12(ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オン)または、CF3I(トリフルオロヨードメタン)である。これらの実施形態において、有機化合物は、二酸化炭素であってもよい。いくつかの実施形態において、ハロゲン元素は、臭素、ヨウ素、及び塩素からなる群から選択することができる。

本特許文献の別の態様において、本明細書に記載した防火剤混合物は、改善された散布のための防火システムにおいて使用される。この防火システムは、沸点を有する有機防火剤化合物と、前記有機防火剤の前記沸点よりも低い沸点を有する有機化合物との混合物を備えた貯蔵容器(storage container)を含む。

防火システムの好ましい実施形態において、貯蔵容器は、無機ガスによって加圧される。防火システムのいくつかの実施形態において、有機防火剤化合物は、FK−5−1−12(ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オン)または、CF3I(トリフルオロヨードメタン)または2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタン(R123)である。これらの実施形態のいくつかにおいて、有機化合物は、二酸化炭素である。

防火システムのいくつかの実施形態において、ハロゲン元素は、ヨウ素、臭素、及び塩素からなる群から選択することができる。

防火システムのいくつかの実施形態において、放出位置へ防火剤混合物を散布するために、管(tubing)を使用することができる。かかる実施形態において、防火システム内で最低圧を維持するように管の機構(geometry)を設計することができる。

別の実施形態において、防火システムは、散布用の管(distribution tubing)と、複数の放出ポイントで散布管と連通した放出機構(discharge geometries)とを含み、放出口機構(discharge exit geometry)は、防火システム内で最低圧力を維持する。これらの実施形態のいくつかにおいて、放出口機構は、防火剤混合物の流出を制限するノズルを含む。

以下でより詳細に述べるが、本明細書に記載の防火剤混合物、システム及び方法は、特に、航空機内のような低温環境において使用されるときに、既存の防火剤に対するより適した代替物を提供する。本明細書に開示する混合物、システム及び方法のさらなる態様、目的、望ましい特質、有利な点については、様々な実施形態が例示として示されている以下の発明の詳細な説明と図面において、よりよく理解されるだろう。ただし、図面は例示目的のためのみに意図されており、請求項に記載した発明を限定的に定義することを意図したものでないことが明確に理解されるべきである。

図1は、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オン(FK−5−1−12)とCO

2の混合物の蒸気圧が、そして、それゆえに沸点が、混合物中のCO

2濃度を増加することにより、どのような影響を受けるかを示す。

図2は、防火剤混合物を散布するための防火剤システムを示す。

図3は、防火剤システムにおける使用のための防火剤混合物を製造する方法を示す。

図4は、防火剤システムにおける使用のためのハロゲン元素を含む防火剤混合物を製造する方法を示す。

本特許文献は、防火剤を製造するために、化合物を有機的に混合した混合物を使用することを教示する。成分化合物(component compound)を含む化合物を有機的に混合した混合物を使用することによって、その成分それぞれの有する望ましい特徴を保持した混合物を製造することが可能である。したがって、その成分の望ましい特徴を多く有し、それゆえに、航空機に見受けられるような多様な環境下で防火に携わる際により適した防火剤を生成することができる。全ての望ましい特徴が単一の成分によって示されなければならないわけではないために、成分化合物を混合することは、より広範囲の化合物が使用できることも意味する。好ましい実施形態において、有機防火剤は、それと混合可能な化合物と混合して、有機防火剤の物性を変え、特定の応用により適した有機防火剤とすることができる。

好ましい実施形態において、単一の有機防火剤化合物は単一の有機化合物と混合できるが、別の実施形態において、複数の有機防火剤を混合物の成分に含めることができ、または、複数の有機化合物を混合物の成分に含めることができる。例えば、いくつかの実施形態において、複数の有機防火剤化合物は、単一の有機化合物と混合することができる。別の実施形態において、単一の有機防火剤化合物は、多くの有機化合物と混合することができる。さらに別の実施形態において、多くの有機防火剤化合物は、多くの有機化合物と結合することができる。

本明細書に記載の実施形態は、有機化合物の組合せからなるが、いくつかの実施形態において、追加的な化学元素を防火剤化合物と混合してもよい。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの化学元素を防火剤化合物と混合することができる。防火剤化合物と混合した化学元素を含んだ実施形態において、好ましい化学元素はハロゲン元素である。

本明細書に記載するように、「有機化合物」は、その有機化合物が防火剤として適切と考えられるか否かに関わらず、炭素を含む任意の成分を幅広く指すために使用される。好ましい実施形態において、有機化合物は防火特性を有する。

本明細書に記載するように、「ハロゲン元素」は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)を含む周期表の列7Aにある元素を指す。

様々な実施形態において、様々な異なる特徴を改善するために、成分化合物を混合することができる。例えば、いくつかの実施形態において、有機防火剤は、結果生成する混合物の沸点を下げるために、より低い沸点を有する有機化合物と混合することができる。別の実施形態において、その他の特徴を改善すなわち変化させることができる。好ましい実施形態において、混合物の成分は、結果生成する混合物が防火有効性と飛行中の重量効率性においてより優れた特徴を示すように選択される。

混合するための成分化合物を選択する際に、各成分の特徴は、特定の特徴を有する結果生成混合物を実現するように選択することができる。新しい防火剤の実施形態において考えられる1つの特徴は、オゾン層破壊係数(ODP)である。好ましい実施形態において、混合物を含む成分化合物は、ハロン1301のODPよりも低いODPを有するか、または、少なくとも、結果生成する混合物が、ハロン1301のODPよりも低いODPを有するように選択される。より好ましい実施形態において、混合物を含む成分化合物は、ハロン1301のODPの半分以下のODPを有するか、または、結果生成する混合物がハロン1301のODPの半分以下のODPを有する。さらに好ましい実施形態において、成分化合物は、ODPが僅かであるかODPが0、ODPが1以下のものが選択されるか、または、結果生成する混合物が1以下のODPを有するように選択される。さらに、より好ましい実施形態において、ODPが0である成分化合物が使用され、その結果生成する混合物もODPが0となる。

考えられる別の特徴は、地球温暖化係数(GWP)である。地球温暖化係数(GWP)は、大気中の温室効果ガスとして作用する化合物の気候に与える可能性がある影響に関して相対的な尺度を提供する指標である。化合物のGWPは、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)に定義されるように、一定の時間内(積分期間(ITH))に1kgのCO2による温暖化に対する1kgの化合物の放出による放射強制力の積算値(integrated radiative forcing)として計算される。

Fは、化合物の単位質量当たりの放射強制力(その化合物の赤外線吸収による、大気中の放射量の変化)、Cは、化合物の大気中濃度、ζは化合物の大気寿命、tは時間、xは対象となる化合物である。

一般に認められたITHは、短期間効果(20年)と長期間効果(500年以上)の妥協点を示した100年である。大気中の有機化合物xの濃度は、擬1次反応速度(pseudo first order kinetics)(指数関数的減衰)に従うものと推定される。同じ時間間隔にわたるCO2の濃度は、大気からのCO2の交換と除去に関する、より複雑なモデル(バーン炭素循環モデル(the Bern carbon cycle model))を包含している。

GWPの計算において、化合物の物理的/環境的特徴によって影響を受けるのは、放射強制力と大気寿命の2つの独立変数のみである。ハイドロフルオロカーボン(HFC)とパーフルオロカーボン(PFC)は、自然大気では大部分が透明である「ウィンドウ(window)」にて、赤外線(IR)エネルギーを8〜12μm吸収する。大気ウィンドウ内におけるIRエネルギーの吸収は、全てのフッ化物において特徴的である。図1に示すように、PFCとHFCの放射強制力の値は、公称値で8μm(1250cm−1)というフッ素‐炭素結合の特定のIR吸収値により、原則的に、フッ素‐炭素結合の数に対して線形的に増大する。このIR吸収値は、その比較的長い大気寿命と相俟って、高いGWPを有するHFC、PFC温室ガスを創り出す。全てのフッ化化合物は、この波長においてIRを吸収するため、低GWPの代替物を創るうえで最も効果的な手法は、より短い大気寿命の化合物を開発することである。

好ましい実施形態において、混合物を含む成分化合物は、ハロン1301より低いGWPを有し、これにより、結果生成する化合物は、ハロン1301より低いGWPを有する。より好ましい実施形態において、混合物を含む成分化合物は、ハロン1301のGWPの半分以下のGWPを有し、これにより、ハロン1301のGWPの半分以下のGWPを有する混合物ができる。さらに好ましい実施形態において、GWPが1の成分化合物が使用され、これにより、GWPが1の混合物ができる。

成分化合物の考えられるその他の特徴は、成分の防火性能、人間に対する毒性、保護のために使用されている区域の破壊性能、及びその他任意の重要な防火性能、難燃性能、または消火性能を含むが、これらに限定されない。

環境に優しい有機防火化合物は多く存在する。例えば、FK−5−1−12(ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オン)、C6F12Oの液体は、3M(登録商標)が製造する環境に優しい(ODPが0の)防火剤である。有機防火剤は、FK−5−1−12(ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−オン)、CF3I、FK−5−1−12及びCF3Iに類似したまたはこれらに由来の化合物、その沸点がFK−5−1−12、HFC−125,2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタン(R123)より低い沸点を有するハロゲンを含む分子量の大きい有機体高分子及び防火剤、難燃剤、または消火剤として使用することができるその他の有機物を含むが、これらに限定されない。異なる実施形態において、有機防火剤は、ハロゲン化されていてもハロゲン化されていなくてもよい。

いくつかの実施形態において、成分は、それ単体でも、良好な防火剤としての性能を有するように選択することができる。しかしながら、別の実施形態において、防火剤としては知られていないが、混合物の有効性を高めるその他何らかの望ましい性能を有する成分を使用することもできる。さらに別の実施形態において、それ単体では、防火剤ではないが、混合すると防火特性を有する混合物が生成される成分化合物を使用することもできる。

FK−5−1−12(ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−オン)は、ファーストジェネレーション・ハロカーボン・クリーン・エイジェント(first generation halocarbon clean agent)と比べて分子量がより大きな物質である。この生成物は、88.1kJ/kgの蒸発熱と低い蒸気圧を有する。室温では液体だが、常温では、冠系(total flooding system)において放出直後に気化する。

FK−5−1−12は、C6−フルオロケトンと呼ばれる3M(登録商標)の有する特許である化学構造に基づくものであり、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンとしても知られており、全米防火協会(NFPA)2001と国際標準化機構(ISO)14520の洗浄剤規格において指定された方法による米国暖房冷凍空調学会(ASHRAE)による命名は、FK−5−1−12である。化学的には、これは、系統名が1,1,1,2,2,4,5,5,5−ナノフルオロ−4−(トリフルオロメチル)−3−ペンタノンであり、構造式が、CF3CF2C(=O)CF(CF3)2のフッ素化ケトンであり、完全にフッ素化されたエチルイソプロピルケトンのアナログである。

オゾン層に対してハロンよりも害の少ない別の知られた防火剤は、ヨウ化トリフルオロメチルとも呼ばれるトリフルオロヨードメタンである。トリフルオロヨードメタンは、化学式CF3Iを有するハロメタンである。トリフルオロヨードメタンは、炭素、フッ素、及びヨウ素原子を含む。ヨウ素は、塩素と比べて、成層圏オゾン層を破壊するのに数100倍効率的であるが、実験では、水の影響下でC−I間の脆弱な結合が簡単に壊れる(電子求引性のフッ素原子による)ため、トリフルオロヨードメタンは、ハロン1301のオゾン層破壊係数(0.008〜0.01)の1000分の1未満のオゾン層破壊係数を有することを示してきた。その大気寿命は、1ヶ月未満であり、ハロン1301の大気寿命の1%未満である。

FK−5−1−12及びCF3I単体の有する問題は、標準沸点が比較的高いことである。物質の沸点とは、液体の蒸気圧とその液体の周囲の蒸気圧が等しくなる温度である。

真空中の液体は、その液体が海面蒸気圧下にあるときよりも低い沸点を有する。高圧下の液体は、その液体が海面蒸気圧下にあるときよりも高い沸点を有する。言い換えれば、液体の沸点は、周囲の蒸気圧によって変化する。一定の圧力の下では、異なる液体は異なる温度で沸騰する。

液体の標準沸点(蒸気沸点(atmospheric boiling point)または蒸気圧沸点(atmospheric pressure boiling point)とも呼ばれる)は、液体の蒸気圧が、定義づけされた海面蒸気圧1気圧と等しくなる特別の場合である。この温度では、液体の蒸気圧は、蒸気圧を克服するのに充分となり、蒸気泡が液体容積内で形成される。標準沸点は現在(1982年現在)国際純正・応用化学連合(IUPAC)により、1バールの圧力下で沸騰する温度として定義づけされている。

FK−5−1−12(標準沸点49℃)やCF3I(標準沸点−23℃)など、高い沸点を有する化学物質は、各沸騰温度より低い温度では、すぐに気化することはない。その結果、高度にある航空機に見受けられるような低温において、化学物質の散布は、機械処理またはシアー運動量(sheer momentum)による噴霧化に頼らなければならない。これにより、FK−5−1−12やCF3Iは、それ自体のみで使用されるとき、ハロンの理想的代替物にはならなくなる。しかしながら、本特許文献の実施形態においては、これらの化学物質は、混合可能な化合物と混合してその沸点を変えることができるため、低温環境下で防火剤としての効率を高めることができる。

いくつかの実施形態において、FK−5−1−12またはCF3Iは、より低い沸点を有する別の有機化合物と混合して、有機防火剤の沸点を下げることができる。混合物の結果は、有機化合物であり、互いに混和性を有しているために、有機防火剤の沸点と、有機防火剤と混合した有機化合物の沸点の間にある沸点を示す液相である。

混合物の沸点は、混合物中の様々な成分の蒸気圧の関数である。一般的な傾向として、気温における液体の蒸気圧は、沸点が下がるほど上昇する。ラウールの法則は、液体混合物の蒸気圧の近似値を示す。ラウールの法則は、単相の混合物の活性(圧力または逸散性)は、成分の蒸気圧のモル分率で重み付けした和に等しいと述べている。

pは、混合物の蒸気圧、iは、混合物の成分の1つ、xは、液体混合物中のその成分のモル分率である。項pixiは、混合物中の成分iの分圧である。ラウールの法則は、非電解質(非荷電性物質)のみに適用可能であり、分子間引力の弱い(ロンドン分散力など)無極性分子に対して最も適している。

上記の式で示したものより高い蒸気圧を有するシステムは、正の偏差を有すると言われる。このような偏差は、分子が、純正液体であるよりも液相においてより小さな強度で「保持される」と考えられるように、純粋成分におけるよりも弱い分子間引力を示唆している。1つの例は、約95%のエタノールと水からなる共沸混合物である。共沸混合物の蒸気圧は、ラウールの法則で予測されるものよりも高いため、いずれかの純粋成分の沸点より低い温度で沸騰する。

予測よりも低い蒸気圧を有する負の偏差を有するシステムもある。このような偏差は、純粋成分よりも混合物の成分の間で分子間引力がより強いことの証拠である。したがって、分子は、第2の分子が存在しているとき液体中により強力に「保持される」。1つの例は、いずれかの純粋成分の沸点より高温で沸騰するトリクロロメタン(クロロホルム)と2−プロパノン(アセトン)との混合物である。

好ましい実施形態において、有機防火剤化合物の沸点より低い沸点を有する防火剤混合物を創るため、有機防火剤化合物は、より低い沸点を有する第2の有機化合物と混合される。さらに好ましい実施形態において、防火剤混合物は、小さいODPからゼロのODPと低いGWPとを有する。より低い沸点は、混合物の自由な蒸発特性を改善する。

好ましい実施形態において、混合物の沸点は、有機防火剤化合物それ自体の沸点より1〜40℃低い。より好ましい実施形態において、混合物の沸点は、有機防火剤化合物それ自体の沸点より40〜75℃低い。さらに、より好ましい実施形態において、混合物の沸点は、有機防火剤化合物それ自体の沸点より75〜100℃低い。

有機防火剤の様々な異なる特徴を変化させるために、各種有機化合物は、有機防火剤と混合することができる。使用することができる有機化合物は、CO2及びその他の望ましい特徴を示す有機化合物を含むが、これらに限定されない。

1つの実施形態において、FK−5−1−12は、二酸化炭素(CO2)と混合される。標準大気圧におけるCO2の沸点は、−78.5℃である。沸点が49℃であるNovec1230と混合されると、追加されたCO2が混合物全体の沸点を下げる。

低い沸点を有することに加えて、CO2は防火剤としても使用することができ、環境にも優しい。しかしながら、防火剤であるために充分な分量のCO2は、それ自体では、人間に対して毒性を有する。CO2がFK−5−1−12と混合されると、結果生成する混合物は、その両方の成分よりも有利な性質を示す。すなわち、人間の周囲で安全に使用されるより低い沸点を有した環境に優しい防火剤である。より低い沸点により、自由に気化するという混合物の特徴が改善され、低温で空気中によりよく分散され、防火が望まれる区域を満たしやすくする。

異なる実施形態において、有機防火剤と有機化合物は、異なる分量で混合することができる。これらの分量は、防火剤混合物が使用されるように設計された特定の応用に基づいて決定することができる。例えば、−60℃まで下げることで有効だとする要請は、環境に対する要請の徹底度合いがさほど強くない場合、より多くのCO2を有機防火剤に加えることを要請するかもしれない。

図1は、混合物の蒸気圧が、混合物中の各成分のモル分率によってどのように変化するかを示す。上記説明したように、沸点は通常、蒸気圧に対して反比例関係を示す。実線は、混合物中のFK−5−1−12とCO2の分圧を示す。破線は、混合物の蒸気圧を示す。図1にみられるように、CO2のモル分率が増加するにつれて、蒸気圧は純粋FK−5−1−12から純粋CO2へと移行する。図1は、混合物の蒸気圧が、混合物中のCO2濃度を増加することにより、どのような影響を受けるか、そして、その結果沸点が下がることを示す。図1では、実施例としてFK−5−1−12とCO2を使用しているが、図1において、ラウールの法則に関して上記説明した有機防火剤と有機化合物のその他の混合物に対しても同様に使用可能である。

上記説明したように、混合物は成分の両方の有利な特性を含んでいることが理想的である。したがって、いくつかの実施形態において、混合物の沸点を下げるためにより多くのCO2を使用することができ、また、別の実施形態において、有機防火剤のより多くの特性を保持するためにより少ないCO2を使用することができる。殆どの混合物に見受けられるように、有機化合物が有機防火剤と実際に混合しなくなる飽和点がある。例えば、ある一定量でCO2はFK5−1−12と完全に混ざり合わなくなる。この飽和点は、温度とともに変化し、より多くの有機化合物は、より高温で有機防火剤と混合することができる。好ましい実施形態において、約4ポンドのFK−5−1−12が、CO21ポンドごとに、つまり、約4対1の質量比で使用される。別の実施形態において、その他の比率を使用することもできる。

質量比4対1で混合すると、結果生成した混合物は、約−34℃の沸点を有する。これは、単体のFK−5−1−12が示す沸点である49℃よりも遥かに低い。2つの物理的作用物質の防火剤としての有効性を併せると、作用物質間で相乗効果が生まれ、CO2濃度が28%未満で、かつ低温でFK−5−1−12の噴霧化が改良された防火剤を実現することができる。

防火剤混合物の別の実施形態において、CF3Iは、CO2と混合することができる。FK−5−1−12同様、CF3Iは、CO2と、結果生成される混合物において希望する特徴によって異なる比率で混合することができる。好ましい実施形態において、CF3Iは、CO2と質量比5対1で混合する。しかしながら、別の実施形態において、4対1など、その他の比率を使用することもできる。

防火剤混合物にCO2を加える追加的な利点とは、防火後の可燃性(post-suppression flammability)閾値を制御することにあるかもしれない。いくつかの実施形態において、CO2は、この閾値を高くするために追加することができる。CO2の使用は、可燃性ハロカーボンの放出後の可燃性(post-discharge flammability)を制御するうえで効果的手段となり得る。追加的なCO2は、CF3I、2−BTPまたはその他の防火剤化合物を使用する際に、防火後の可燃性の問題を回避することができる。CO2を含む防火剤のいくつかの実施形態において、可燃性閾値の大幅な上昇が後続する漸近的効果(asymptotic effect)は、再燃の虞を回避するために使用することができる。低温における散布の一助としてCO2の量を追加することで防火に必要な体積濃度より上に閾値を上げるために、少量のCO2を使用することができる。

防火剤混合物の別の実施形態において、FK5−1−12とCF3Iは、CO2などの有機化合物と混合することができる。そのような実施形態のいくつかにおいて、有機化合物に対する有機防火剤の合計比率は、4対1とすることができる。そのような実施形態の別のいくつかにおいて、比率は約5対1とすることもできる。さらに別の実施形態において、比率はより低くてもよい。

下記の表1及び表2は、2つの有機防火剤化合物と1つの有機化合物を含む混合物の実施例の形態のモル分率と質量分率を掲載している。2つの別個の瓶の容積内に貯蔵ざれた各成分の容積も掲載されている。表1に示した実施例において、有機化合物に対する有機防火剤化合物の質量分率は、1に対して約2.3である。表1及び表2に示した実施例において、2つの有機防火剤化合物の質量分率は、ほぼ等分されている。しかしながら、別の実施形態において、どちらかの有機防火剤化合物が多めまたは少なめに使用されてもよい。

さらに別の実施形態において、表3に示すように、少なくとも1つの化学元素は、これを有機化合物と混合する前に防火剤化合物と混合することができる。有機防火剤化合物と追加的な化学元素を含む好ましい実施形態において、化学元素はハロゲン元素である。より好ましくは、ハロゲン元素は、ヨウ素、臭素及び塩素からなる族から選択される。ハロゲン元素を使用する実施形態では、ハロゲン元素は、その応用と、使用を意図した環境に応じて、組成物の4〜32モル%を含むことができる。1つの実施例として、等価原子量126.9モル%の単一原子分子を有するヨウ素がハロゲン元素として使用される場合、ハロゲン元素は、混合物全体の4〜32モル%を含むことができる。表3は、ヨウ素がハロゲン元素として使用される1つの実施例を示している。

ハロゲン化学元素は、液相キャリア(liquid phase carrier)を必要とし、有機防火化合物は、2つが混合されると、ハロゲン元素の液相キャリアとしての役割を果たす。ハロゲン元素中、塩素、臭素及びヨウ素は、燃焼酸化活動(火事)が起きている領域における熱によって酸素と化学的に結合するため、防火において最も化学的にアクティブ(active)である。

上記説明したように、防火剤システムは、火災区域における一定の最低の化学物質濃度を達成するうえで必要な化学物質の重量に基づいて設計される。航空機など多くの応用のためには、システムは、軽ければ軽いほどよい。有機防火剤化合物にハロゲン元素を少量加えることで、必要な有機防火剤化合物の分量と全体重量が減少する。ハロゲン元素は、有機防火剤化合物が示す主として物理的な抑制効果に対して化学的な防火行動を増大させる。化学的及び物理的防火剤の混合は、防火剤総重量の全体的な削減を実現する。

ハロゲン元素を含む防火剤混合物の好ましい実施形態において、FK−5−1−12は、まず、ハロゲン元素と混合され、その後、より低い沸点を有する有機化合物と混合される。より好ましい実施形態において、FK−5−1−12は、臭素またはヨウ素と混合され、その後、CO2と混合される。混合物に加えられるハロゲンの量は、最終混合物の全重量の5〜30%とすることができる。好ましい実施形態において、混合物に加えられるハロゲンの量は、最終混合物の全重量の7〜23%とすることができる。より好ましい実施形態において、混合物に加えられるハロゲンの量は、最終混合物の全重量の12.4〜15.1%とすることができる。

表4は、別の防火剤混合物の実施形態を示す。表4において、混合物は、同じ重量部のFK−5−1−12と二酸化炭素の物理的混合物である。表4に開示した混合物は、窒素によって防火システム内で加圧することができる。

図4に開示する混合物を使用すると、別個の成分としてのFK−5−1−12と二酸化炭素の好ましい最大充填密度(maximum fill density)は、1立方フィート当たり29ポンドである。充填密度は、立方フィート単位で成分の重量を瓶の容量で除すことによって計算される。

好ましい実施形態において、両方併せた成分の最大充填密度の合計は、1立方フィート当たり58ポンドである。最小充填密度(minimum fill density)は、各々1立方フィート当たり15ポンドであり、最小充填密度の合計は、1立方フィート当たり30ポンドである。別の実施形態において、その他の充填密度も可能である。

好ましい実施形態において、防火剤混合物がひとたび瓶に入れられると、瓶を加圧するために無機ガスがさらに使用される。表4からの防火剤混合物を使用した好ましい実施形態において、その応用と、パイプのアーキテクチャに応じて、900〜1225psigの間で加圧するために窒素を使用することができる。

表4の混合物を使用する際、下記の方法を使用して瓶を詰め替えることができる。瓶充填の順序:1.)瓶を洗浄し、乾燥させる;2.)瓶を空にし、26水銀柱インチ以上、脱気する;3.)瓶の真空源を使用してNovec1230を+0.15、−0ポンドの特定重量まで充填する;4.)ポンプを使用して瓶にCO2を+0.15、−0.00ポンドの特定重量まで充填する;5.)瓶を窒素で加圧して、21℃の基準温度下で、その応用と散布システム設計に基づいて呼び圧力(nominal pressure)900、1000、1100、1200psigで加圧する。21℃以外の瓶の温度における窒素充填圧力は、充填時の瓶の温度に基づいている。加圧の許容値(pressurization tolerance)は、+25、−0psigである。

表5は、防火剤混合物の別の実施形態を示す。表5では、混合物は、CF3Iが75重量%、二酸化炭素が25重量%の物理的混合物である。表5に開示した混合物は、窒素によって防火システム内で加圧することができる。

図5に開示する混合物を使用すると、CF3Iの好ましい最大充填密度は、1立方フィート当たり52ポンドである。二酸化炭素の好ましい最大充填密度は、1立方フィート当たり18ポンドである。

好ましい実施形態において、両方の成分の最大充填密度の合計は、1立方フィート当たり70ポンドである。最小充填密度は、CF3Iでは1立方フィート当たり35ポンド、CO2では1立方フィート当たり13ポンドであり、最小充填密度の合計は、1立方フィート当たり48ポンドである。別の実施形態において、その他の充填密度も可能である。好ましい実施形態において、表5の防火剤混合物がひとたび瓶に入れられると、その応用とパイプのアーキテクチャに応じて800〜1025psigの間で加圧するために窒素などの無機ガスを使用することができる。

好ましい実施形態において、21℃で圧力800、900または1000psiで瓶を加圧するために窒素が使用されるべきである点以外は、瓶を表4の実施形態で満たすために使用したのと同じ手順を、瓶を表5の実施形態で満たすために使用することができる。

表6は、防火剤混合物の別の実施形態を示す。表5では、混合物は、CF3Iが35重量%、FK−5−1−12が35重量%、二酸化炭素が30重量%の物理的混合物である。表6に開示した混合物は、窒素によって防火システム内で加圧することができる。

図6に開示する混合物を使用すると、CF3IとFK−5−1−12の好ましい最大充填密度は、1立方フィート当たり23ポンドである。二酸化炭素の好ましい最大充填密度は、1立方フィート当たり20ポンドである。

好ましい実施形態において、両方の成分の最大充填密度の合計は、1立方フィート当たり66ポンドである。最小充填密度は、CF3IとFK−5−1−12では1立方フィート当たり15ポンド、CO2では1立方フィート当たり13ポンドであり、最小充填密度の合計は、1立方フィート当たり43ポンドである。別の実施形態において、その他の充填密度も可能である。好ましい実施形態において、表6の防火剤混合物がひとたび瓶に入れられると、その応用とパイプのアーキテクチャに応じて800〜1025psigの間で加圧するために窒素などの無機ガスを使用することができる。

好ましい実施形態において、瓶を表5の実施形態で充填するために使用したのと同じ手順を、瓶を表6の実施形態で充填するために使用することができる。好ましい実施形態において、成分を下記の順序で瓶内に配置することができる。即ち、FK−5−1−12、CF3I、そしてCO2である。別の実施形態において、CF3IとFK−5−1−12の順序は逆にすることができる。

有機防火剤と有機化合物を配する防火システムは、防火剤混合物の有効性をさらに高めるために調整することができる。防火剤混合物の有効性をさらに高めるためにシステムを調整する1つの例は、圧力下で混合物を維持することである。好ましい実施形態において、システムは、混合物がシステムから放出されるまで、約5気圧の圧力下で混合物を維持する。別の実施形態において、システムは、その他の圧力範囲で混合物を加圧してもよい。例えば、別の実施形態において、混合物の臨界量が放出されるまで、散布システム全体の混合物に対して、5〜7気圧の圧力を維持することができる。さらに別の実施形態において、システムは、散布システム全体の混合物に対して、5〜40気圧の圧力を維持することができる。

正圧下で混合物を維持することは、放出位置への最低の質量流量を維持するうえだけでなく、圧力が一定の閾値を下回ると、混合物中で使用されるある化合物が低温にて凝固する傾向を持ち得るために、有利となることがある。混合物中の化合物または混合物の一部が凝固すると、散布システムに詰まりが生じることがある。形成した固形物が散布システムに詰まりを生じない場合は、固体の状態で放出されることがあるため、傷みやすい設備は損傷されるかもしれない。例えば、CO2は、5.4気圧の圧力で、−56.4℃で発生する三重点を有する。物質の三重点とは、その物質の三相(固相、液相、気相)が共存する熱力学的平衡状態での温度及び圧力である。したがって、CO2は、充分な圧力で維持されないと、低温ではシステム内で凝固することがある。

正圧下で混合物を維持するために、多くの技術を用いることができる。例えば、防火システムは、加圧容器に混合物を貯蔵することができる。加圧用の無機ガスで、さらに容器に圧力を加えてもよい。好ましい実施形態において、加圧用の無機ガスは不活性である。より好ましい実施形態において、加圧用の無機ガスは窒素である。さらに別の実施形態において、加圧ガスは、アルゴンまたはヘリウムであってもよい。低温での放出速度は、低温でのハロン1301同様、窒素またはその他の適切な加圧ガスを加えることによって調整することができる。

高度にある航空機に見受けられる低温において、防火剤は、混合物であってもよいが、単相(気体のみ)ではなく、二相(液体及び蒸気)防火剤とすることができる。不活性ガスで加圧することは、二相防火剤混合物の適切な排出のために低温エネルギーを提供するうえでも有利であるかもしれない。

図2は、防火剤混合物を散布するための防火剤システム200を示す。防火剤システム200は、防火剤混合物を貯蔵するための容器202を備える。容器202は、防火剤混合物を保持するように設計された任意の種類の容器とすることができる。好ましい実施形態において、容器202は、加圧下の防火剤混合物を保持するように設計される。

容器202は、散布用管206、208、210、212と選択的に連通する。防火剤システム200が動作しているとき、容器202は、防火剤混合物を管206、208、210、212へと解放する。管206、208、210、212は、管、パイプまたは液体または気体を散布するために設計されたその他の任意の構造とすることができる。混合物は、この管を通って押し出され、放出位置204にて防火剤システム200から放出される。

管/パイプは、プラスチック、ゴム、金属、塩化ポリビニル(PVC)またはその他の適した材料にて製造することができる。好ましい実施形態において、管の材料は、散布する防火剤混合物に対して不活性であるように選択されるべきである。

防火剤システム200のいくつかの実施形態において、システム200は、背圧を維持することで、散布中、混合物に対する最低圧力を維持しながら、放出位置204に至るまで混合物を運び切る。1つの実施形態において、各散布位置204における放出機構は、一定の閾値より上の正の背圧を維持するように設計される。このような実施形態において、散布位置204における機構は、流出を制限して、実質的に全ての混合物が各放出位置204から出て行くまで、システム200における圧力を維持する。いくつかの実施形態において、放出位置204において機構を制御し、システム全体の最低圧力を維持するために、バルブやノズルを使用することができる。

システム200の別の実施形態において、放出位置204における放出口機構は、圧力を調整しなくてもよく、機構または散布システム自体の物理的設計によって圧力を調整することができる。このような実施形態の1つにおいて、管またはパイプ206、208、210及び212は、システム200全体における最低圧力を維持するために設計することができる。例えば、適切な方向変換(direction changes)量と、より小さな管を増やしたシステムを設計することによって、システム全体における最低圧力を変わらず維持しつつ、混合物を防火区域全体に散布することができる。これは、放出位置204における感圧バルブまたはノズルを使用することなく全て達成できる。

図2に示すように、容器202のすぐ下流にある管206は、直径Dを有する。図2に示す実施形態において、連続した下流ブランチ(downstream branch)それぞれにおける管の直径は、より小さいものとなっている、即ち、D1はDより小さく、D2はD1より小さく、D3はD2より小さい。連続した下流の直径D1〜D3とともに、直径Dは、最低圧力を維持するために必要な最低圧力に基づいて選択されるべきである。全体的な管の設計におけるブランチの数は、最低圧力を維持するうえで有用となるように使用することができる。強制的に素早く方向変換(forced rapid changes)すると、ブランチからの上流圧力を維持するうえで有用となるかもしれない。

放出地点で感圧バルブまたはノズルを必要としないシステムを設計することは、安全上の理由から重要なだけでなく、修復性能(retrofitting capabilities)の点からも重要な場合がある。現行のシステムの多くはこのような放出機構を使用していないため、最低圧力を維持するための散布用の管やパイプの機構を使用することは有利であるかもしれない。

その他のシステムにおいて、放出位置204における放出口機構と管機構の両方は、システム200が動作中にわたって最低圧力を維持するうえで有用となるよう、設計することができる。散布システム200の好ましい実施形態において、管の直径とノズル口の直径は、濃度の集中を達成し、燃焼を抑制し、バルブが臨界的な低圧である約6気圧に達するまでにシステム200から液相を放出するうえで充分なライン圧力を維持するために選択される。

いくつかの実施形態において、加圧ガスを収容するため、追加の選択的な容器214を使用することができる。容器214は、防火剤混合物が容器202から放出されると加圧ガスが容器202を満たし、容器202内の圧力が実質的に低下することを防ぐように、容器202と選択的に連通する。このことは、システム200全体を通して最低圧力を維持するうえでも有用である。いくつかの実施形態において、選択的な容器214は使用しなくてもよい。

上記で説明したように、FK−5−1−12のように高い標準沸点を有する有機防火剤と、二酸化炭素のように低い標準沸点を有する有機化合物は、それが一定の割合になると、高圧の下で、低温にて放出する際に、化合物として望ましい物性になる。この化合物では、単体で別々に使用したときよりも防火性が遥かに改善される。許容できる質量流量を提供する低温で瓶の圧力を増大させるために、窒素、アルゴンまたはヘリウムを補完してもよい。これらの不活性ガスの追加は、こうした低温での放出中のCO2成分の三重点挙動(triple point behavior)を防ぐこともできる。

図3は、防火システム100における使用のための防火剤混合物を製造する方法を示す。図3のステップ102に示すように、有機防火剤は、有機防火剤の特徴を変性させるために、有機化合物と混合される。図3に示す実施形態において、有機防火剤の沸点を変えるための方法が使用される。ひとたび有機防火剤と有機化合物との混合が完了すると、ステップ104において、混合物を無機ガスで加圧することができる。最大飽和点またはこれに近いところで有機化合物を加える場合は特に、無機ガスが導入されるまでに防火剤化合物と有機化合物との混合が必ず完了していることが重要である。

図4は、防火システム100における使用のためのハロゲン元素を含む防火剤混合物を製造する方法を示す。図4に示すように、まず、容器は、ステップ402において、空にされる。ひとたび容器が空になると、ステップ404において、有機防火剤化合物を加えることができる。容器に有機防火剤化合物を加えた後、ステップ406において、ハロゲン元素を混合し、有機防火剤化合物に溶解させることができる。次に、より低い沸点などの望ましい性質を有する有機化合物を有機防火剤化合物とハロゲン元素との混合物に混合することができる。最後に、加圧ガスを加えて、容器に追加的な圧力を加えることができる。

図4の方法は、放出用に設計された容器内で防火材料を混合する方法を記載しているが、防火剤混合物の成分は、この放出容器内で直接混合されることが好ましい。しかしながら、別の実施形態において、ステップ404、406及び408とそれらの任意のサブセットは、放出チャンバ(discharge chamber)外で混合されてもよい。ひとたび混合されると、混合物は放出チャンバに加えられ、その後ステップ410で加圧される。

以上、好ましい構成と具体的な実施例を参照して本発明の実施形態を記載してきたが、以下で請求する本発明の精神と範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された防火材料、システム及び防火材料を使用する方法の多くの変形や翻案が可能であることは、当業者によってすぐに理解されるであろう。したがって、この記載は、例示目的のみであって以下の特許請求の範囲の実施形態の範囲を限定するものではないことが明確に理解されるべきである。

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