処理チャンバから腐食性の流出ガス流を排気する装置

申请号 JP2018502235 申请日 2016-06-15 公开(公告)号 JP2018523567A 公开(公告)日 2018-08-23
申请人 エドワーズ リミテッド; 发明人 ベイリー クリストファー マーク; タナ クライヴ マーカス ロイド; タッターソール ジャック レイモンド; グラハム インゴ スティーブン; チェルニアク マイケル ロジャー; ナイト ゲアリー ピーター; メニー ダレン; プライス ダンカン マイケル; ベイカー デレク マーティン; シーリー アンドリュー ジェイムズ;
摘要 ドライポンプが種々のガス混合物を半導体現場からポンプ輸送するために用いられる。本発明は、ドライポンプと除害装置との間に配置されていて除害装置への排ガス流入に先立って可溶性の腐食性物質を除去する液体リングポンプを提供し、液体リングポンプから排出された作業 流体 は、除害装置への流入に先立ってガスから分離される。 【選択図】図1
权利要求

処理チャンバから排出された腐食性流体を含むガス流を排気する装置であって、 前記処理チャンバからの腐食性流体を含む前記ガス流を排気するドライポンプ輸送装置を有し、 液体リングポンプを有し、前記液体リングポンプは、前記ドライポンプからの腐食性流体を含む前記ガス流を排気するとともに前記腐食性流体を前記液体リングポンプの使用液に溶解させることによって前記ガス流の前記腐食性流体含有量を少なくとも部分的に減少させるよう構成され、 前記液体リングポンプから排出された前記使用液と残存するガス流の混合物から前記残存ガス流を分離する分離器を有し、前記分離器から排出された前記分離された残存ガス流を処理する除害装置を有する、装置。前記分離器は、前記液体リングポンプから前記残存ガス流とともに排出された前記使用液を集める液体溜めを有し、前記液体溜めは、腐食性生成物を含む使用液を廃棄物処分ユニットに抜き出すドレンポートに連結されている、請求項1記載の装置。前記分離器は、前記分離器内の前記使用液から分離された前記残存ガス流を、前記分離器からの前記残存ガス流の排出に先立って、スクラビングする湿式スクラバを更に有する、請求項1または2記載の装置。前記湿式スクラバは、使用液を前記湿式スクラバ中に運び込む液体入口ポートおよび前記湿式スクラバからの使用液を前記液体リングポンプの液体入口まで運ぶ液体出口ポートを有する、請求項3記載の装置。前記湿式スクラバの前記使用液入口ポートは、新鮮な使用液源に連結され、前記湿式スクラバの前記液体出口ポートは、前記液体リングポンプの前記使用液入口ポートに連結され、前記液体リングポンプの使用液出口ポートが腐食性生成物を含む使用液を処分するための廃棄物処分ユニットに連結されている、請求項4記載の装置。前記液体リングポンプの上流側に設けられていて、使用液を、前記ドライポンプの前記排出部から前記液体リングポンプまで運ばれた前記ガス流と接触関係をなして落下させることができる簗区分を有する、請求項4記載の装置。前記簗区分の液体入口が前記湿式スクラバの前記液体出口に連結されており、使用液を前記簗区分内のガスとの接触のために前記湿式スクラバから運ぶことができるようになっている、請求項6記載の装置。使用中、前記液体リングポンプ内に形成された液体リングは、前記液体リングの周囲に沿って圧差を有し、前記液体リングポンプは、前記液体リングの十分に高い圧力領域のところで前記簗区分の入口に連結された液体出口を有し、使用液は、前記簗区分内でのガスとの接触のために前記液体リングポンプから前記簗に運ばれるようになっている、請求項6記載の装置。前記ドライポンプと前記除害装置との間に直列にまたは並列に配置された少なくとも2つの液体リングポンプを有する、請求項1〜8のうちいずれか一に記載の装置。前記液体リングポンプ中への使用液の流れを調整して前記液体リングポンプ内の前記使用液の温度を制御する使用液調整器を有する、請求項1〜9のうちいずれか一に記載の装置。前記調整器は、前記液体リングポンプ中への使用液の前記流れを制限して、使用中、前記使用液の温度が前記プロセスチャンバから排出された前記ガス流の成分に応じて選択された少なくとも所定の限度まで増大するようにする、請求項10記載の装置。前記調整器は、前記液体リングポンプ中への性使用液の流れを制限して、使用中、前記使用液の温度が少なくとも60℃まで増大し、その結果、前記プロセスチャンバから排出された前記ガス流中に含まれているフッ素が前記使用液との接触時に相当な量の二フッ化酸素を生じさせることがないようになっている、請求項11記載の装置。前記液体リングポンプと前記分離器との間に配置されていて前記液体リングポンプから前記分離器への火炎の通過を阻止する火炎防止器を有する、請求項1〜12のうちいずれか一に記載の装置。前記火炎防止器は、前記残存ガス流を前記液体リングポンプの下流側に運んでいるときに強制的に通過させる使用液を含むよう構成されている、請求項13記載の装置。前記火炎防止器は、前記火炎防止器を通過しているガスの泡の表面積と体積の比を増大させ、それにより前記液体リングポンプの下流側への火炎の通過を減少させる拡散器を有する、請求項14記載の装置。前記火炎防止器は、該火炎防止器内の液体レベルを検出する液体レベルセンサを有し、前記液体レベルセンサは、前記液体レベルが所定レベル以下である場合に信号を発生させるよう構成されている、請求項14または15記載の装置。新鮮な液体の源から前記火炎防止器まで液体を前記火炎防止器中に運び込むとともに加熱状態の液体または腐食性生成物を含む液体を前記火炎防止器から廃棄物処分ユニットに運び去ることによって前記火炎防止器内の液体の酸性度および/または温度を制御するよう構成された液体制御装置を有する、請求項14〜16のうちいずれか一に記載の装置。前記火炎防止器は、前記液体リングポンプ、前記分離器および/または前記液体リングポンプの上流側に設けられた水の簗のうちの1つからの液体出口から使用液を受け入れるよう構成された液体入口を有する、請求項14〜17のうちいずれか一に記載の装置。前記分離器のタンクの液体溜めと前記火炎防止器との液体流通を可能にして、液体が前記液体溜めから前記火炎防止器に流れて前記火炎防止器内の前記液体レベルが所定レベル以下に落ちるのを阻止するよう連結された平衡管を有する、請求項18記載の装置。前記ドライポンプ輸送装置は、駆動シャフトによってステータに対して回転可能に支持されたロータを含む少なくとも1つのドライポンプ輸送段を有し、前記液体リングポンプは、前記駆動シャフトによってステータ内で回転可能に支持されたロータを含む液体リングポンプ輸送段を有し、前記少なくともドライポンプ輸送段の出口は、前記液体リングポンプ輸送段の入口に連結されている、請求項1〜19のうちいずれか一に記載の装置。前記少なくとも1つのドライポンプ輸送段は、各々の駆動シャフトによってそれぞれステータ内で回転可能に支持された2つの協働するロータを含み、前記液体リングポンプは、前記駆動シャフトのうちの第1の駆動シャフトによって第1のステータ内で回転可能に支持された第1のロータを含む第1の液体リングポンプ輸送段、および前記駆動シャフトのうちの第2の駆動シャフトによって第2のステータ内で回転可能に支持された第2のロータを含む第2の液体リングポンプ輸送段を有し、前記少なくとも1つのドライポンプ輸送段は、前記液体リングポンプの入口に連結されていてガスを前記少なくとも1つのドライポンプ輸送段から前記液体リングポンプにポンプ輸送するための出口を含む、請求項20記載の装置。前記第1の液体リングポンプ輸送段は、前記少なくとも1つのドライポンプ輸送段の出口に連結された入口、および前記第2の液体リングポンプ輸送段の入口に連結されていてガスを直列に前記少なくとも1つのドライポンプ輸送段、前記第1の液体リングポンプ輸送段および前記第2の液体リングポンプ輸送段を介してポンプ輸送する出口を有する、請求項21記載の装置。前記少なくとも1つのドライポンプ輸送段の前記出口は、前記第1および前記第2の液体リングポンプ輸送段のそれぞれの入口に連結されており、その結果、ガスを前記少なくとも1つのドライポンプ輸送段から前記第1および前記第2の液体リングポンプ輸送段に並列にポンプ輸送することができるようになっている、請求項21記載の装置。前記少なくとも1つのドライポンプ輸送段および前記液体リングポンプを収容したポンプハウジングを有する、請求項20〜23のうちいずれか一に記載の装置。前記少なくとも1つのドライポンプ輸送段の出口が準大気圧除害装置の入口に連結され、前記準大気圧除害装置の出口が前記液体リングポンプの入口に連結され、その結果、ガスを最初に前記少なくとも1つのドライポンプ輸送段を介してポンプ輸送することができ、次に前記準大気圧除害装置で処理でき、次に前記液体リングポンプによってポンプ輸送することができるようになっている、請求項20〜24のうちいずれか一に記載の装置。前記装置は、選択的に排ガス流を、排ガス流が第1のステップ中に前記プロセスチャンバから排出されるときに前記液体リングポンプを通過しないで前記ドライポンプ輸送装置から除害装置の燃焼器に運ぶことができ、そして前記排ガス流を排ガス流が第2の処理ステップ中、前記プロセスチャンバから排出されているときに前記液体リングポンプを通って前記燃焼器に運ぶように構成されている、請求項1〜25のうちいずれか一に記載の装置。前記第1のステップは、堆積処理ステップであり、前記第2のステップは、プロセスチャンバ洗浄処理ステップである、請求項26記載の装置。前記堆積処理ステップ中における前記プロセスチャンバからの前記排ガス流は、シリコンまたはシランを含む、請求項27記載の装置。前記プロセスチャンバ洗浄処理ステップ中における前記プロセスチャンバからの前記排ガス流は、フッ素原子またはイオンを含む、請求項27または28記載の装置。前記ドライポンプ輸送装置の出口ならびに前記除害装置および前記液体リングポンプのそれぞれの入口に連結されていて、ガスを前記ドライポンプ輸送装置から前記除害装置または前記液体リングポンプかのいずれかに選択的に運ぶ第1の弁を有する、請求項26〜29のうちいずれか一に記載の装置。前記液体リングポンプの液体出口、前記除害装置の液体入口および酸性廃棄物処分ユニットに連結されていて、前記液体リングポンプからの使用液を前記除害装置か前記酸性廃棄物処分ユニットかのいずれかに選択的に運ぶ第2の弁を有する、請求項26〜30のうちいずれか一に記載の装置。前記除害装置の前記液体入口は、前記液体リングポンプからの使用液を、前記使用液を蒸発させるのに十分な残留熱を有する前記除害装置の排出側に位置する場所に運ぶよう配置されている、請求項31記載の装置。前記液体リングポンプは、ガスをポンプ輸送するためにステータ内の前記ロータを駆動するよう連結されかつ実質的に垂直の向きにある駆動シャフトと、実質的に下向きの方向に運ばれたガスを受け入れて前記排ガス流中の粒子が前記ポンプ中に重力の方向で運び込まれるように構成されているガス入口とを有する、請求項1〜32のうちいずれか一に記載の装置。前記液体リングポンプは、前記液体リングポンプのポンプ輸送チャンバと連通状態にあるドレンポートと、使用中、前記液体リングポンプの前記ポンプ輸送チャンバで生じた前記液体リングを潰すために前記ポンプ輸送チャンバからの使用液の流れを可能にするよう動作可能な弁とを有し、前記液体リングを潰すことにより、前記ポンプのポンプ輸送速度が減少し、それにより前記ポンプの上流側に位置するフォアライン内の圧力が増大する、請求項1〜33のうちいずれか一に記載の装置。前記弁は、前記液体リングポンプの前記ポンプ輸送チャンバを前記分離器のタンクに連結する導管内に配置されており、その結果、前記弁が開かれると、使用液が前記液体リングポンプから前記分離器中に抜け出て、その結果、前記ポンプから前記使用液と共に運ばれている腐食性ガスを処理のため前記使用液から分離することができるようになっている、請求項34記載の装置。

说明书全文

本発明は、処理チャンバから腐食性の流出ガス流を排気する装置に関し、この装置は、真空ポンプ輸送装置および除害システムを有する。

処理ガスを用いて処理チャンバ102内の対象物を処理するとともにポンプ輸送装置104により処理チャンバから流出廃ガスを引き出す先行技術の処理システム100が図13に示されている。処理チャンバ102は、図13に全体として符号108で示されたガス源から1種類または2種類以上のプロセスガスを受け入れる少なくとも1つの入口106を備えている。チャンバ102内で行われる処理中、このチャンバに供給されたプロセスガスの一部分だけが消費され、したがって、プロセスチャンバ102の出口110から排出された廃ガス流は、チャンバ102に供給された未使用プロセスガスとチャンバ102内で実施されたプロセスからの副生物の混合物を含むことになる。

ポンプ輸送システム104は、少なくとも1つのドライポンプ112を含む(単一のポンプが図13に示されているが、チャンバ100内で実施されるプロセスの要件に応じて任意適当な数の使用が可能である)。各ポンプ(またはポンプ輸送段)112は、潤滑油がポンプの上流側に移動して処理チャンバを汚染することがないようにするためのドライポンプである。また、一般に、ドライポンプは、流出ガスが反応してポンプを損傷させる腐食性の生成物を生じさせるような実質的な分源を提供することはない。ドライポンプ112は、多段ドライポンプから成るのが良く、各ポンプ輸送段は、プロセスチャンバ102のポンプ輸送要件に応じて、ルーツ(Roots)型またはノーシー(Northey)型ポンプ輸送機構体、ターボ分子ポンプ、および/または分子ドラッグ機構体によって提供される場合がある。

プロセスチャンバ102内で行われる堆積ステップまたは洗浄ステップに応じて、ドライポンプから排出される廃ガス流は、半導体デバイスの製造の際に前駆物質として用いられる1種類または2種類以上のシリコン含有またはハロゲン含有ガスを含む場合がある。かかるガスの例としては、フッ化水素、四塩化炭素、三フッ化窒素、シラン、ジシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)、シロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、すなわちOMCTS)およびオルガノシランが挙げられる。シランは、例えば、典型的には化学気相蒸着(CVD)プロセス中にポリシリコンまたは二酸化シリコン層の堆積の際にプロセスガスとして用いられる。フッ素または塩素を含むガスは、プロセスチャンバ洗浄ステップに用いられる場合が多い。

従来型装置では、流出ガスは、ドライポンプ112から燃焼器および/または湿式スクラバを含む場合のある除害装置114に運ばれる。燃焼器は、プラズマトーチまたは別の火炎を利用した装置、例えば内方燃焼式有孔バーナを有する場合があり、このバーナは、流出ガス流中のガスのうちのいくつかを分解する。湿式スクラバは、流出ガス流を通す配水塔または液体リングポンプを有する場合がある。流出ガス流の成分は、水と反応する場合がありまたは水可溶性である場合がある。処理済みのガス116は、除害装置114から排出される。

上述の先行技術のシステムと関連して多くの問題が存在し、これら問題のうちの幾つかについて以下に説明する。

水とフッ素の反応速度論的特徴は、スクラビング用液体の温度、pH、化学組成できまる。反応生成物もまた、これらの要因の影響を受ける。低温かつ高いpHの値では、相当な量のOF2が生じる場合がある。これは、極めて望ましくなく、と言うのは、OF2は、フッ素よりも毒性が高いからである。相当な量のOF2生成を生じさせないで、低温での高いフッ素スクラビング効率を達成するため、スクラビング用液体には化学物質、例えばチオ硫酸塩がドープされなければならず、これによりスクラビングシステムのコストおよび複雑さが増す。

半導体、ソーラーパネルおよびフラットパネルディスプレイの製造の際に用いられる幾つかのプロセスでは、排ガスは、除害装置の閉塞を引き起こす場合のある同伴状態の粉末および高い反応性のガスを含む。

半導体プロセス用ドライポンプはまた、ポンプ内の粒子の堆積に対処するとともに/あるいはこれをなくすよう設計されなければならない。この問題を最も生じやすい領域は、ポンプの排出部またはLV端部であり、ここでは、圧が最も高くしかもクリアランスが最も狭い。これらの問題を処理できなければ、その結果として、焼き付きまたはこう着状態、例えば狭い軸方向クリアランス内への凝縮可能な物質の取り込み、ダスト吸い込みに続く狭い軸方向クリアランス内におけるプロセス粒子の取り込み、厳密なランニングクリアランス相互間の粒子堆積、およびポンプが冷えているときのロータに対するポンプステータの熱収縮に起因して再始動ができないこと、が生じる場合がある。

これらの問題を解決するために用いられる現行の方法としては、モータ始動トルクを最大にすること、ダスト取り扱い特徴部を導入することおよびプロセスガス凝縮を抑制するために高いまたは最適化されたポンプ排出温度で作動させることが挙げられる。しかしながら、新世代のインバータ駆動式ポンプが低い始動トルクでかつ狭いクリアランスでより速く作動するので、しかもプロセスステップが多量の前駆物質ガスを使用するので、これらの手段は、効果が低いことが判明している。

ドライ真空ポンプの全ては、潜在的点火源である。ポンプ輸送チャンバ内のわざと意図した金属間接触は存在しないが、ロータのタイミングがスリップして接触を可能にする場合がある。さらに、ポンプを通過しないプロセス副生物が集まりまたは凝縮する場合があり、それにより接触が生じ、それ故にポンプ内にホットスポットが生じる。極端な場合は、ポンプが焼き付き状態となり、この焼き付きは、ありふれているが、発生はランダムである。可燃性混合物を圧送することができるポンプについて半導体部門内において要件がますます厳しくなっている。

典型的には、真空システムでは、ドライポンプをプロセスツールに連結している上流側のフォアラインは、低圧(通常、60mbar未満であるが、これは、特定のプロセスガスに依存する)を維持することによって、チャンバに向かって戻る火炎の伝搬から保護される。しかしながら、ポンプ排出ライン中およびこれに沿った火炎伝搬に関して懸念が依然として存在する。

可燃性流体を希釈するためのパージガスの追加が燃焼を軽減しまたはなくすのに効果的であると言えるが、高いパージガス流量は、ガスのコストおよび下流側の処理に対する悪影響のために半導体業界では普及していない。排ガス除害は、一般に、流出物の燃焼によって達成されている。しかしながら、燃焼は、ガス流が極めて希釈されてガス流が不燃性にされた場合には達成するのが困難である。

燃焼型除害システムもまた、上流側可燃性混合物の潜在的な点火源であり、この点火源は、常時存在するが、火炎は流れに抗して戻ることになるだろう。

液体リングポンプを作動停止させると、ポンプの上流側のフォアライン中に生じた真空度を減少させて使用液(一般的に水)がフォアライン中に引き込まれるのを阻止しなければならない。半導体および関連業界、例えばフラットパネルディスプレイおよびソーラーパネル製造における多くのポンプ用途に関し、ポンプフォアラインは、ポンプ輸送中のガスの反応性に起因して、清浄かつ乾燥状態に保たれる。これを達成することができる公知の一手法は、フォアラインを大気に対して開くことができる弁をフォアラインに用いることである。しかしながらこの構成は、フォアラインを大気中の水分で潜在的に汚染する恐れを生じさせるとともに有害プロセスガスが大気中に逃げ出る恐れを生じさせる。変形例として、清浄な乾燥状態のパージガス(例えば窒素)をフォアライン中に注入して真空を抜くことができるが、所要の窒素量が相当なものである場合があり、かくして、システムのコストが更に増大する。

以下に詳細に説明する本発明の実施形態は、先行技術と関連した問題のうちの1つまたは2つ以上を少なくとも軽減しようとするものである。

本発明は、処理チャンバから排出された腐食性流体を含むガス流を排気する装置であって、処理チャンバからの腐食性流体を含むガス流を排気するドライポンプ輸送装置と、液体リングポンプとを有し、液体リングポンプは、ドライポンプからの腐食性流体を含むガス流を排気するとともに腐食性流体を液体リングポンプの使用液に溶解させることによってガス流の腐食性流体含有量を少なくとも部分的に減少させるよう構成され、ガス流排気装置は、液体リングポンプから排出された使用液と残存するガス流の混合物から残存ガス流を分離する分離器と、分離器から排出された分離された残存ガス流を処理する除害装置とを更に有することを特徴とする装置を提供する。

本発明の他の好ましいかつ/あるいはオプションとしての観点は、添付の特許請求の範囲に記載されている。

本発明を良好に理解することができるようにするため、例示として与えられているに過ぎない本発明の幾つかの実施形態について添付の図面を参照して以下において説明する。

プロセスチャンバを排気するシステムを概略的に示す図である。

公知の液体リングポンプの半径方向断面図である。

本発明の腐食性流出ガス流を排気する装置を概略的に示す図である。

本発明の腐食性流出ガス流を排気する別の装置を概略的に示す図である。

本発明の簗装置を示す図である。

本発明の可燃性流出ガス流をポンプ輸送する装置を概略的に示す図である。

本発明の火炎防止器(フレームアレスタ)用の拡散器(ディフューザ)を示す図である。

本発明の火炎防止器用の別の拡散器を示す図である。

本発明の可燃性流出ガス流をポンプ輸送する別の装置を概略的に示す図である。

本発明の組み合わせ型ドライ・液体リングポンプを示す図である。

本発明の別の組み合わせ型ドライ・液体リングポンプを示す図である。

本発明の可燃性流出ガス流を選択的にポンプ輸送する別の装置を概略的に示す図である。

流出ガス流をポンプ輸送する先行技術の装置を概略的に示す図である。

本発明に従って液体リングポンプを迅速に作動停止させて使用液のかかる吸い戻しを阻止する別の装置を概略的に示す図である。

図1を参照すると、処理ガスを用いて処理チャンバ12内の対象物を処理するシステム10および処理チャンバから排出された流出ガス流を引き出すポンプ輸送装置14が示されている。処理チャンバ12は、図1に全体が符号18で示されたガス源から1種類または2種類以上のプロセスガスを受け入れる少なくとも1つの入口16を備えている。プロセスチャンバ12は、半導体またはフラットパネルディスプレイデバイスの処理を行うチャンバであるのが良い。

チャンバ12内で行われる処理中、このチャンバに供給されたプロセスガスの一部分だけが消費され、したがって、プロセスチャンバ12の出口20から排出された廃ガス流は、チャンバ12に供給されたプロセスガスとチャンバ12内で実施されたプロセスからの副生物の混合物を含むことになる。

ポンプ輸送システム14は、少なくとも1つのドライポンプ22を含む(1つが図1に示されているが、チャンバ10内で実施されるプロセスの要件に応じて任意適当な数のドライポンプおよびこれらドライポンプの組み合わせが提供できる)。各ポンプまたはポンプ輸送段22は、潤滑油が処理チャンバに移動することがなくそしてこれを汚染することがないようにするために乾式である。ドライポンプ22は、多段ドライポンプ輸送システムから成るのが良く、この場合、各ポンプ輸送段は、チャンバ12内で実施されるプロセスのポンプ輸送要件に応じて、ルーツ(Roots)型またはノーシー(Northey)型ポンプ輸送機構体、ターボ分子ポンプ、および/または分子ドラッグ機構体のうちの少なくとも1つによって提供されるのが良い。

本発明の構成例では、ポンプ22、例えば多段ドライポンプは、廃ガス流をプロセスチャンバ12から引き出してこのガス流をその排出部24から液体リングポンプ26に排出するよう構成されている。この構成では、ドライポンプ22は、流出ガス流を代表的には50mbarから500mbarまでの範囲の準大気圧で排気する。したがって、ドライポンプ22の動力要件は、通常の使用と比較して軽減され、と言うのは、ガス流を大気圧で排出する必要がないからである。ドライポンプの低真空段は、代表的には、高い真空度の段と比較して大きな動力を消費し、したがって、ポンプ輸送装置14は、液体リングバッキングポンプ26を有し、この液体リングバッキングポンプ26は、ドライポンプ22の排出部24に連結されていて廃ガス流を液体リングバッキングポンプ26に運ぶ第1の入口28を有する。初期点検時には、別のポンプ(液体リングバッキングポンプ26)の追加により、準大気圧で排出を行うドライポンプ22と関連した動力減少という利点が帳消しにされるということが考えられるが、本発明の構成例では、バッキングポンプは、多数の別の利点をもたらす。

本発明の構成例では、バッキングポンプは、従来型ドライポンプ22と除害装置との間に介在して設けられた液体リングポンプである。液体リングポンプ26は、除害装置中への流入に先立って流出ガス流を事前調整するとともに更に大気圧へのガス流の圧縮を可能にする。

しかしながら、それほど多量の水分を含んでいないドライポンプとは異なり、液体リングポンプは、流出ガスと相互作用する液体リングを使用中に形成する使用液、代表的には水を収容している。したがって、液体リングポンプは、ポンプの使用液中の流出ガスの反応または可溶性によって生じる腐食性生成物に対して耐性のある1種類または2種類以上の材料で構成されている。例えば、流出ガスがフッ素を含み、使用液が水である場合、腐食性生成物は、フッ化水素酸を含む。適当な液体リングポンプが本出願人の同時係属中の特許出願GB1512897.8号明細書に示されている。

上述したように、液体リングポンプは、除害装置の信頼性および性能を高める事前調整ステップを提供する。この点に関し、ポンプは、ガス流から相当な量の粉末および他の粒子を除去し、それにより除害装置の閉塞頻度を減少させる。加うるに、流出ガスは、液体リングポンプの使用液と反応する場合がありまたはこの使用液中に溶解可能であり、それにより除害装置に対する負荷を減少させる。また、注目されるべきこととして、液体リングポンプを、電力要件をそれほど増加させないでドライポンプ22の下流側に配置するのが良い。

プロセスチャンバ10内で行われる堆積ステップまたは洗浄ステップに応じて、液体リングポンプ26に流入する廃ガス流は、半導体デバイスの製造の際の前駆物質として用いられる1種類または2種類以上のシリコン含有またはハロゲン含有ガスを含み得る。かかるガスの例としては、フッ化水素、四塩化炭素、トリフルオロメタン、シラン、ジシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)、シロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、すなわちOMCTS)およびオルガノシランが挙げられる。シランは、例えば、典型的には化学気相蒸着(CVD)プロセス中にポリシリコンまたは二酸化シリコン層の堆積の際にプロセスガスとして用いられる。洗浄ステップで用いられるフッ素または塩素を含むガスはまた、フッ素分子または塩素分子を伴っている場合がある。

液体リングポンプ26の排気部30は、分離器(セパレータ)34の入口32に連結されている。分離器34は、液体リングポンプ26からガス流と一緒に排出された使用液を分離し、これについては以下に詳細に説明する。分離器は、腐食性生成物を含む使用液を処分のために抜くことができるドレン36、および除害装置40に連結されていてガス流を通過させることができる排出部38を有する。

除害装置40は、燃焼装置および/または湿式スクラバを有するのが良い。燃焼装置は、流出ガス流の望ましくない成分を分解するための火炎またはプラズマトーチを含むのが良い。湿式スクラバは、充填塔水スクラバ、すなわち、充填材料が詰め込まれ、スクラビング用液体によって洗浄され、流出ガス流を通過させるコラムを有する装置を含むのが良い。流出ガス流は、スクラビング用液体と反応しまたはこのスクラビング用液体に溶ける。

図2を参照すると、廃ガス流は、入口28を通って液体リングポンプ26(本明細書ではLRP26という)に流入する。第2の入口44がLRP26内に液体リング48を形成するために液体源から使用液を運ぶ。この実施形態では、使用液は、水であり、ただし、任意他の水溶液を用いることができ、ただし、これがポンプ輸送中の流出ガスと反応性がありまたはかかる流出ガスのための適当な溶媒であることを条件とする。

液体リングポンプ26は、環状ハウジング56内に回転可能に取り付けられたロータ54を有し、ロータ軸線58は、ハウジング56の中心軸線60に対して偏心している。ロータ54は、これから半径方向外方に延びかつロータ54の周りに等間隔を置いて配置されたブレード(回転翼)62を有する(等間隔に配置されていないブレードを備えた液体リングポンプもまた知られている)。ロータ54の回転時、ブレード62は、使用液と関わり合い、そしてこれをハウジング56内に環状リング48の状態に形成する。

このことは、LRP26の入口側において、隣り合うロータブレード62相互間に配置された圧縮領域内に存在するガスがロータハブから遠ざかって半径方向外方に動いており、他方、ポンプの出口側では、ガスがロータハブに向かって半径方向内方に動いていることを意味している。この結果、ポンプを通っているガスにピストン型のポンプ輸送作用が生じる。

第1の入口28を通って液体リングポンプ26に流入している流出ガス流は、隣り合うブレード62相互間の空間63中に引き込まれる。ガス流は、ピストン型ポンプ輸送作用によって圧縮されて排出部30を通って排出される。LRP26から排出されたガス流は、主として、処理済みガスを含むが、液体リング48からの幾分かの使用液を更に含む。使用液は、ガス流の処理によって生じた腐食性生成物で汚染された状態になり、経時的に、この液体は、ガスの処理についての有効性が低くなりまたは腐食性が高すぎるようになる場合がある。したがって、LRP26内の使用液を定期的に除去したり補充したりする必要がある。使用液の補充量は、多くの要因、例えば使用液との流出ガス流の反応性または可溶性および使用液の所望の温度で決まる。使用にあたり、LRP26内の使用液の温度は、経時的に増大し、したがって使用液の所望の温度は、新鮮な低温液体がポンプに導入される量を制御することによって制御されるのが良い。ドレンポート96を経てポンプから抜き出される液体は、次に、腐食性生成物を除去するために処理され、そして再使用されるのが良くまたは単に処分されても良い。

図3は、図2の液体リングポンプ26および分離器34の一構成例をより詳細に示しており、この構成例は、例えばフッ素を含む流出ガス流を事前調整するために使用できる。この実施例では、流出ガス流は、当初、入口28を通って液体リングポンプ26に流入し、入口28のところで、この流出ガス流は、LRP26内のリング48内の高温使用液に接触して反応し、それによりフッ化水素酸を生じる。残りのガス流および今やフッ化水素酸を含む使用液の一部分は、ポンプ排出部30から分離器タンク34中に放出され、分離器タンク34内において、使用液62は、タンクの底部に落下してドレン38を通って抜き出される。ガス/液体流中のガス64は、湿式スクラバ66中へ上方に運ばれる。使用液の高温に起因して、分離器34に流れている結果として生じたフッ化水素酸溶液は、相当な蒸気圧力を有し、その結果、分離されたガス流は、相当な濃度のHFを含む。湿式スクラバ66には清浄なプロセス水68が供給され、このプロセス水は、ガス流からの残存HFの大部分を冷却するとともにスクラビングしそして比較的酸のないガス流が除害装置40まで運搬可能に分離器34を出る。濃酸廃棄物62を分離器から適当な貯蔵部または処理流にポンプ輸送するのが良い。湿式スクラバの通過に続き、液体68は、出口70を通ってLRP26に運ばれ、このLRP26において、液体68は、液体リング48を生じさせるよう用いられる。研磨流体中における同一の液体および次の液体リングポンプの使用により、水消費量が減少し、しかもLRP26内の流出ガス流の処理の有効性は、それほど低下しない。また、この点に関し、図2に示されているように、フォームゾーン130がポンプ中に作られ、このフォームゾーンは、流出ガス流との反応に利用できる液体の表面積を増大させる。

図4は、図3に示されている構成例の改造例を示している。図3では、2つの液体リングポンプ26,26′は、流出ガスをドライポンプからポンプ輸送し、それによりガス流の処理効率を高めるとともに更にオプションとして有効圧縮比を増大させることができるよう互いに連結されている。同一の参照符号は、図3に示された同一の特徴について与えられている。図示のような流出ガス流は、入口28を通って第1の液体リングポンプ26に運ばれ、この第1の液体リングポンプ26において、流出ガス流は、ポンプ内の使用液によって処理される。ガスと液体は、第1のポンプの出口30を通って排出されて第2の液体リングポンプ26′の入口に運ばれ、この第2の液体リングポンプ26′において、これは、再びそのポンプ内の使用液によって処理される。ガスおよび液体は、第2のポンプの出口30′を通って分離器34に排出される。新鮮な液体68が湿式スクラバ66中に通され、そして出口70を通って排出される。排出された出口液体は、流出ガス流の処理のために第1および第2の液体リングポンプ26,26′の入口44,44′まで運ばれる。変形構成例では、新鮮な使用液が液体リングポンプ26,26′のうちの一方または両方の入口44,44′を通って導入されても良い。図示のように、2つの液体リングポンプ26,26′は、直列に配置されているが、変形構成例では、これらは、ドライポンプ22からの流出ガス流を処理するために並列に配置されても良い。

図3または図4に示された構成例のいずれの別の改造例では、図5の簗(せき、weir)区分72がドライポンプ22と図3に示されている液体リングポンプ26または図4に示されている第1の液体リングポンプ26との間に介在して配置されている。同一の参照符号が図3および図4に示された同一の特徴について与えられている。簗区分72には分離器34の出口70から高温使用液74が供給される。入口パイプの内側の高温使用液74の落下壁またはカーテンは、流出ガス流が使用液と混合するための著しく長い接触領域をもたらし、かくして液体リングポンプスクラバの効率を向上させる。加うるに、水簗(water weir)は、粒子をガス流から除去することができ、かくしてLRP26の入口が閉塞するのを阻止しまたはその恐れを減少させることができる。

フッ素は、一般に用いられている処理ガスである。典型的には、フッ素の湿式スクラビングは、比較的高い温度で行われるべきであり、その理由は、二フッ化酸素(OF2)が比較的低い湿式スクラビング温度(例えば、ほぼ室温)で生じることがあるからである。二フッ化酸素は、フッ素よりも遙かに毒性が高い。したがって、フッ素のための湿式スクラバ内で用いられる液体は、好ましくは60℃超まで加熱されてOF2を上回るフッ化水素酸(HF)の生成を促進すべきである。従来、湿式スクラバは、高流量の水を用いて酸性化再循環液を加熱する必要性をなくし、かくしてかなり多い廃棄物量を生じさせる(そしてOF2の濃度を低くする)か、高価な化学物質計量供給システムを利用するかのいずれかを行っていた。

本発明の構成例では、液体リングポンプ26がガス流の圧縮に起因して使用中に熱を発生させ、それにより使用液を加熱する。ポンプの輸送効率は、使用液の蒸気圧力によって定められ、そして蒸気圧は、使用液の温度が上昇するにつれて増大するので、代表的には、液体リングポンプ内では、比較的多量の新鮮で低温の使用液をポンプ中に供給して蒸気圧を比較的低く維持することが望ましい。本発明の構成例では、液体リングポンプがフッ素をスクラビングするために用いられる場合、ポンプ中に供給される使用液の量は、使用液の温度をその通常の動作温度を超えて増大させるよう意図的に制限される。この温度の増大は、入口のところの入口圧力の増大に起因して望ましくないように見えるが、このシステム内の液体リングポンプは、主として、ガスをスクラビングするために用いられ、しかもポンプ輸送のための使用度は小さい。したがって、使用液の加熱に起因するポンプ効率の減少よりもポンプのスクラビング能力の向上の方が重要である。加うるに、LRP26の入口のところでの水簗の存在は、局所入口圧力を部分的に減少させる。

図1に示されるとともに上述したように、液体リングポンプ輸送機構体26は、分離器34への排出を行い、分離器34は、LRP26を出た残りのガス流から使用液を分離する。次に、ガスは、除害装置または構造体40に運ばれる。上述したように、分離器34は、液体リングポンプ輸送機構体によってスクラビングされたガスを引き続きウェットスクラビングし続けるウェットスクラビング機能を更に備えるのが良い。

可燃性ガスをプロセスチャンバからポンプ輸送する際、例えばロータが位置合わせ不良によって互いに接触した場合に、金属間接触により生じる火花によってガスがドライポンプ輸送機構体22内で点火される場合がある。ドライポンプ22の上流側の低い圧力に起因して、火炎は、上流側に移動または伝搬する傾向はなく、これとは異なり、点火点の下流側に移動する。下流側の液体リングポンプが火炎を消火すると考えることができるが、火炎は、液体リングポンプを通過してその下流側に流れ続ける場合があることが判明した。一方、液体リングポンプ輸送機構体は、火炎を含むガス流をポンプ輸送することができるが、分離器34は、そうすることができずに点火する場合があり、そして多量の損傷を引き起こす場合がある。分離器34が設けられていない場合、そして代わりに湿式スクラバだけが液体リングの下流側に配置されている場合、同様な問題が生じる場合があり、と言うのは、湿式スクラバも、一般に、火炎を含むガス流であってもこれを取り扱うことができないからである。

図6に概略的に示されているように、水圧式火炎防止器(フレームアレスタ)またはフレームトラップ190が火炎の通過を阻止するために液体リングポンプ輸送機構体22の下流側に設けられている。火炎防止器の入口192が液体リングポンプ26の出口30に連結され、火炎防止器の出口194が分離器の入口32に連結されている。火炎防止器190は図示のように、全体として、水196または他の適当な液体を含むU字形通路で形成されている。ガス流は、入口192を通って運ばれ、ガス流中に火炎があれば、この火炎は液体196を通過することによって消火される。かくして、出口194を通って排出されたガスには実質的に火炎がない。火炎防止器190を通過したガス流の作用により、入口192と出口194との間に液体レベルの図示の差が生じる。

火炎防止器190の使用中、液体196は、ガス流との接触によって加熱状態になるであろう。加うるに、液体196は、腐食性溶液、例えば酸性溶液を生じさせるガス流の成分と反応することができまたはこれを溶解させることができる。したがって、液体196の状態を管理して最適動作性能を達成することが必要である。この点に関し、液体196を通るガス経路は、滞留時間(ガス流が液体196と接触状態にある時間)が火炎を消火するのに十分な程度にガス流を冷却するほど十分であるようなものである。湿式スクラバ内に入っているガス混合物の点火を回避し、かくして潜在的な爆発を阻止するために火炎が湿式スクラバの主チャンバに入る前に火炎を消火することが重要である。これが達成されるようにする上で考慮することが必要な動作パラメータの幾つかは、火炎防止器経路長、滞留時間および火炎防止器内で生じるガスの泡のサイズである。

火炎防止器を通って移動するガスの泡サイズを制御するための拡散器(ディフューザ、diffuser)が図7および図8に示されているように用いられるのが良い。図7では、火炎防止器は、液体196のための容器206と、入口192を通って火炎防止器に流入するガス流から小さい泡208を発生させる拡散器210を有する。小さい泡は、大きな表面積と体積の比を有し、したがって、火炎防止器を通って流れる多量のガスが液体196と接触し、それにより火炎が湿式スクラバ/分離器まで下流側に運ばれる恐れが低くなる。

図8では、火炎防止器190は、液体196のための全体としてU字形のパイプ212、および入口192を通って火炎防止器に流入するガス流から小さい泡208を発生させる拡散器214を有する。

さらに、液体196の温度は、火炎防止器から排出されたガス流が依然として、火炎防止器の下流側の分離器または湿式スクラバの動作要件を達成するのに十分な温度状態にあるような温度であるべきである。この場合、最適温度は、火炎を消火するのに足るほど低く、しかも分離器/湿式スクラバの可溶性要件を満たすのに足るほど高い温度であろう。動作温度範囲(窓)は、標的とされる各前駆物質またはプロセス副生物について決定される必要がある。

火炎防止器190内の液体196の状態は、火炎防止器と液体連通状態にある液体制御装置または液体管理システム198によって制御されるのが良い。液体196は、例えば酸性含有量を減少させるとともに/あるいは温度を制御することによって液体制御装置で再調整されて、火炎防止器に再循環により戻されるのが良い。液体196は、廃棄物処分ユニットに排出されるのが良く、そして新鮮な液体が液体源から供給される。

液体制御装置198は、更に、液体リングポンプ輸送機構体26および/または分離器34および/または下流側の湿式スクラバ(図示せず)と液体連通状態にあるのが良い。これらユニットの各々からの液体は、互いに隔離されるのが良く、あるいは、変形例として、一ユニットからの液体は、他のユニットのうちの1つまたは2つ以上と共通であっても良い。例えば、分離器からの液体は、最初に分離器に移され、次に火炎防止器に移され、次に液体リングポンプに移されるのが有利な場合がある。ユニットの各々内の液体の温度は、熱交換器によって制御されるのが良い。

分離器34が一体型湿式スクラバを備えていない場合、図3に特に示されているように、火炎防止器190は、分離器の下流側に配置されるのが良く、その理由は、分離器は、(湿式スクラバとは異なり)火炎を含むガス流に対して耐性があるよう構成されることができるからである。

水圧式火炎防止器190は、液体リングポンプの一体部分として、湿式スクラバ/吐き出し分離器の一体部分として、組み合わせ型液体リングポンプ・湿式スクラバの一体部分として、またはシステム内の別個のコンポーネントとして装置中に組み込まれても良い。

火炎防止器内にはその所要の機能を実行するために十分な量の液体が保持されるべきである。液体の量は、蒸発の効果および潜在的にチャンバポンプダウン中にトラップから噴出されるという結果に起因してまたは高いガス流量の任意他の場合に起因して経時的に減少することが見込まれる場合がある。チャンバポンプダウンの影響は、ポンプ輸送システムの排出部を、ガス流が火炎防止器を選択的にバイパスすることができるようにするバイパスライン(図示せず)に切り替えることによって軽減できるが、かかる構成は、バイパスラインが選択されている間に火炎が潜在的に作られ得るので望ましくはない場合がある。

火炎防止器中の液体196の量は、パイプの質量の測定および機械式または光学式測定によってモニタされるのが良い。液体196の所定のレベルは、火炎防止器内で設定されるのが良く、システムは、この所定レベル以下では、追加の液体を火炎防止器に運ぶよう構成される。

図9に示された構成例では、火炎防止器は、平衡管200によって湿式スクラバ/分離器34に連結されている。平衡管の配置場所は、使用中、これが湿式スクラバ/分離器内の液体の最小動作レベル以下であるように設定される。分離器34内の液体溜め(液体サンプ、sump)204は、戻りまたは還流ライン202によって液体リングポンプ26に連結されている。このように、LRP26からの液体の一定のブリードが火炎防止器190を通り、分離器34の液体溜めを通って循環してLRP26に戻る。LRP26に戻った液体は、分離器34の液体溜め内で冷却されるとともに希釈される。

図10は、本発明の別の実施形態としてのポンプ輸送構成例を示している。図10では、多段ドライポンプの低真空排出段は、液体リング段で置き換えられている。本発明の図示の構成例では、ポンプ76は、ルーツ(および/またはノーシー(クロウ))型ポンプ輸送段78および液体リングポンプ段80を有する。本明細書で用いられる高真空ポンプ輸送段という用語は、1つまたは複数の低真空液体リングポンプ輸送段よりも高い真空状態にある段を有している。

高真空ポンプ段78では、2つのロータがそれぞれの駆動シャフト82,84によって回転可能に支持され、駆動シャフト82,84は、軸受86によって支持された状態で歯車組立体90を介してモータ88によって駆動される。ヘッドプレート92がポンプ輸送段の各軸方向端部のところに設けられている。

ルーツ型ポンプ輸送段の各々では、2つのロータ94,96がそれぞれの駆動シャフト82,84によって回転可能に支持され、これら2つのロータは、ガスを段の入口から出口までポンプ輸送するためにポンプ輸送チャンバ98内で互いに協働する。図示のように、2つの液体リングポンプ輸送段160,162が設けられ、これら液体リングポンプ輸送段は、互いに直列に連結されても良くまたは互いに並列に連結されても良い。液体リングポンプ輸送段80は、それぞれの駆動シャフト82,84によって回転可能に支持されたロータ164,166を含む。ロータ164,166は、ガスを各段の入口から出口にポンプ輸送するためにそれぞれのポンプ輸送段168,170内で回転する。この点に関し、駆動シャフト82,84が少なくとも1つの高真空段および液体リングポンプ輸送段のうちの1つに共通であることが注目されよう。

他の構成例では、単一の液体リングポンプ輸送段が高真空ポンプ輸送段の下流側に設けられるのが良い。変形例として、液体リングポンプ輸送段の2つ以上のグループ80が互いに並列に設けられても良くまたは互いに直列に設けられても良い。

使用にあたり、図10に矢印で示すように、ガスが入口172を通ってポンプに流入し、そして高真空段1〜4を通過する。次にガスは、直列の液体リング段に入り、最初に、液体リング段160中に入り、次に液体リング段162中に入る。ガスは、代表的にはほぼ大気圧の状態でポンプ出口174を通ってポンプから排出される。

本発明の構成例は、同伴粒子を含むガス流をポンプ輸送するのに特に適している。先行技術のポンプでは、粒子の収集によって引き起こされる問題を特に生じがちであるのは、1つまたは複数の低真空段である。本発明では、下流側の液体リングポンプ輸送段80は、封止流体として使用液、例えば水を用い、このことは、ポンプ表面が清浄にフラッシングされ、狭い半径方向クリアランスが必要とされないことを意味している。それ故、大径粒子がこの段を自由に通過することができる。これにより、ポンプの排出段がこれら形式の汚染物を取り扱う能力が大幅に向上する。

一実施例では、1つまたは複数の液体リングポンプ輸送段が大気圧への排出を行い、かかる液体リングポンプ輸送段は、液体リング段の入口のところで約100mbarの持続可能な動作圧力を達成することができる。

液体リングポンプ輸送段の使用液は、ガス流中の凝縮液、粒子または他の堆積物をスクラビングする。この使用液は、次に、再循環されるとともに処理/管理され、その目的は、その有効性を維持することにあり、それにより、ある特定のプロセスに関する下流側のガス流除害装置の要件をなくすことができる。

乾式機構体と湿式機構体との間の圧力境界が約100mbar(ゼロ流量)で起こる場合があり、これは、幾つかの準大気圧除害装置にとって好都合である。図11に示されている構成例は、図10に示されている真空ポンプと構成がほぼ同一の真空ポンプを示しており、同一の特徴は、同一の参照符号で示されている。

図11では、中間出口および入口ポート176,178が高真空ポンプ段78(ルーツおよび/またはクロウ段)と液体リングポンプ輸送段80との間に設けられている。出口ポート176は、下流側の高真空ポンプ輸送段78を準大気圧除害装置184に連結し、中間入口ポート178は、準大気圧除害装置を液体リングポンプ輸送段80に連結している。このように、ポンプから排出されたガスの更なる除害を可能にする要件を減少させまたは除く準大気圧除害のために、約100mbarの入口圧力が使用可能である。例えば、燃焼型またはプラズマ型除害装置内のペルフルオロアルカンの分解は、装置184内で達成できる。次に、除害装置184から排出された水素、フッ素、または他のハロゲン化副生物を液体リングポンプ段80内の使用液との接触によってガス流から除去することができる。

加うるに、図11では、駆動シャフト180,182は、片持ちされた状態で軸受86によって回転可能に支持されている。単一の液体リングポンプ輸送段80が駆動シャフト182によって駆動される。

半導体デバイスおよびソーラーデバイスの製造に用いられるプロセスは、典型的には、基板材料上に所要の特徴部を生じさせる多数の堆積およびエッチングステップから成る。堆積ステップに用いられるツールは、一般に、堆積(例えば、CVDによる)に用いられるプロセスチャンバに「クリーンガス」、例えばF2、NF3、SF6を充填し、プラズマを点火させてフッ素原子およびイオンを発生させる、定期的洗浄フェーズを有する。堆積物のチャンバ表面を洗浄するのは、これらフッ素原子およびイオンである。堆積のために用いられる化学物質、多くの場合シランまたはシリコン含有化合物は、一般に、これらが混合時に自然着火しまたは爆発することが多いので、上述の「クリーンガス」と両立しない。この非両立性のために、ツール排出流中のこれら化学物質の混合を阻止するために安全手段が用いられ、これら化学物質を除去するのに用いられる除害技術は、堆積物とクリーンガスの両方を分解することができることが必要である。

図12に示されている装置では、この装置は、排出ガス流を第1のプロセスステップ(これは、エッチングステップであるのが良い)中に液体リングポンプ輸送機構体を通過しないで除害装置の燃焼器に選択的に運ぶことができ、排出ガス流が第2のプロセスステップ(これは、洗浄ステップであるのが良い)中に液体リングポンプを通って燃焼器まで運ばれるように構成されている。詳細に説明すると、処理チャンバ12は、ドライポンプ22によってポンプ輸送され、出口24を通ってガスを排出する。出口24は、3方弁222に連結されており、この3方弁において、ガス流は、堆積ステップ中、シランまたはシリコン含有化合物を燃焼させるために燃焼器40に向けられるか、洗浄ステップ中、フッ素含有ガスをスクラビングするためにLRP26に向けられるかのいずれかが行われる。

堆積ステップ中、燃焼器40は、廃ガスを燃やすことによって流出ガス流を処理する。処理済みのガス流は、次に、燃焼器を出て一般的な工場/製造施設ダクト224に入る。堆積ステップ相互間でLRP26を連続的に始動させたり停止させたりすることが効率的ではない。したがって、上述の堆積ステップ中、LRPには依然として、連続清浄水流226が供給され、この水流は、3方弁228を経て燃焼器40に流入する。好ましくは、除害装置40の液体入口は、使用液を液体リングポンプ26から除害装置40の排出側に運び、除害装置から排出されたガス流は、使用液を蒸発させるのに十分な残留熱を有し、かくして除害装置40から排出されたガスから熱を奪う。

洗浄ステップ中、チャンバ12からの流出ガス流は、3方弁222によってLRP26に差し向けられ、ここで、流出ガス流は、清浄な水によってスクラビングされるとともに処理される。次に、酸性廃棄物流は、3方弁228によって収納容器230内に差し向けられる。

図示のように、洗浄ステップ除害プロセス中にLRP26から排出されたガスは、施設ダクト224に運ばれる。変形例として、LRP26から排出されたガスは、処分に先立って燃焼を必要とする場合がある。したがって、LRP26は、洗浄用ガスを除去/処理した後、プロセスツールからの流出ガスを除害するために燃焼器と直列に連結されるのが良い。

図12では、別個の湿式スクラバユニット(LRP26)および燃焼器40がそれぞれ清浄なガスと堆積ガスを除害するよう用いられる。たった1つの除害ユニットが用いられてプロセスチャンバからの清浄なガスと堆積ガスの両方を除害する場合、液体廃棄物量は、上述したような別個の最適化された除害システムで達成できる量よりも著しく多い。かくして、本発明の燃焼型装置は、腐食性物質による攻撃を受けにくい。本発明の湿式スクラバシステムは、高い燃焼温度を発生させず、またはこれに耐えることが必要とされず、かくして、耐腐食性ポリマーおよび他の材料で容易に製作され、かくして、それにより、極めて高い濃度の酸を発生させることができる。

液体廃棄物量の減少を促進するため、燃焼器排出物からの残留熱は、清浄なガスが流れていないときに湿式スクラバから廃水流を蒸発させる。このように、清浄な水ではなく酸だけが酸ドレンまたは収容施設にポンプ輸送され、したがって、収容または処理を必要とする液体の量は少ない。

液体リングポンプ26は、流出腐食性ガス流の処理を念頭に置いて最適化されている。この点に関し、図1〜図9および図12の液体リングポンプ26はまた、シャフトが全体として垂直方向に延びる状態で垂直の向きに設置されるようになっているのが良い。注目されるように、従来型液体リングポンプは、伝統的に、水平に取り付けられている。ポンプを垂直に取り付けることにより、ポンプ入口28が回転軸線と垂直線の両方に平行になることができる。かくして、粒子含有ガス流は、ポンプ輸送チャンバ90中への妨げられない経路を有し、閉塞の恐れが最小限に抑えられる。閉塞の別の恐れは、例えば、図5の簗構造体について説明したように、入口経路をフラッシングするために圧力下で液体リングから直接移される使用液が供給される特別に設計された入口システムの使用によって減少する。液体リングポンプの垂直取り付けはまた、そのフットプリントを著しく減少させる。

図2に関して装置の別の改造例が図14に示されている。LRP26は、ガス入口および出口ポート28,30ならびに液体入口および出口ポート44,96を有している。LRP26は、ポンプ輸送チャンバ56と液体連通状態にあるドレンポート300を更に有し、その結果、使用液をポンプから抜き出すことができ、それにより制御弁230が開かれると液体リング48を潰すことができる(図2参照)。ガスをシステム内に保持するため、ドレンポート300は、液体をガス/液体分離器34中に抜き出す。

液体リングポンプ26の計画された作動停止中、液体リングドレンポート300が開かれ、約5〜15秒後(使用液が抜け出て液体リングをつぶすのに必要な時間に応じて)、ポンプモータ(図示せず)への電力が止められる。使用液がポンプから抜け出るとともに液体リングリングがつぶれるとき、液体リングポンプのポンプ輸送速度は、着実に低下し、それにより入口28の上流側のフォアライン中の真空を減少させる。したがって、液体リングポンプ26のポンプモータが作動停止されると、ポンプからの使用液は、フォアラインと今や高い圧力のポンプ輸送チャンバ56との圧力差に起因してフォアラインに沿って吸い戻されることがない。

ドレンポート300および液体をポンプ26から分離器34に運ぶ導管のコンダクタンスは、液体がポンプから十分に迅速に抜け出てフォアライン中の真空を比較的迅速に破ることができ、そしてポンプを作動停止させることができるよう選択される。上述したように、コンダクタンスは、好ましくは、モータへの電力が弁230を開いた後、約5〜15秒で切断することができるよう選択される。

図14に示されている構成例は、使用液をポンプから迅速に抜き出し、それにより使用液中に存在する腐食性生成物によるポンプの潜在的な腐食を減少させるという追加の利点を有する。

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