発火クエンチシステム、装置および方法

申请号 JP2016083436 申请日 2016-04-19 公开(公告)号 JP2017023694A 公开(公告)日 2017-02-02
申请人 ザ・ボーイング・カンパニー; The Boeing Company; 发明人 ジェイソン・スコット・ダマゾ; エディー・クォン; アーサー・シー・デイ; ジョン・ルブレックト・ローウェル;
摘要 【課題】発火リスク構造に関連する発火源により引き起こされる発火事象をクエンチすることが可能なシステムを提供する。 【解決手段】発火クエンチシステムは、支持構造から可燃性環境内へ延びる発火リスク構造を含み、また発火リスク構造を実質的に覆う多孔質発火クエンチカバーを含む。発火クエンチカバーは、発火リスク構造に関連する発火源により引き起こされる発火事象をクエンチするよう構成されている。発火クエンチカバーは概して多孔質体を含む。多孔質体は一または複数の多孔質要素を含んでいてもよい。本開示に係る方法は、発火リスク構造に関連する発火事象に起因する、たとえば 燃料 タンク内の燃料蒸気などのバルク燃焼を防止するよう発火リスク構造を覆うように多孔質発火クエンチカバーを設置するステップを含む。 【選択図】図1
权利要求

発火リスク構造(140)に関連する発火源により引き起こされる可燃性環境(160)における発火事象をクエンチするよう構成された発火クエンチカバー(110)であって、 二つ以上の多孔質要素(130)を含む多孔質体(120)を備えており、 前記発火クエンチカバーは、前記発火リスク構造を覆うように構成され、前記発火リスク構造は可燃性環境における発火事象を生じ得る潜在的発火源に関連しており、 前記多孔質体は、前記発火事象をクエンチするようサイズ決定された流路(126)を画定する 発火クエンチカバー。前記二つ以上の多孔質要素(130)のうち少なくとも一つの流路方向(132)は、前記二つ以上の多孔質要素のうち少なくとも別の一つの流路方向とは異なる、請求項1に記載の発火クエンチカバー(110)。各多孔質要素(130)は網状格子、網状発泡体および開口セル発泡体からなる群からそれぞれ独立に選択される、請求項1または2に記載の発火クエンチカバー(110)。前記多孔質体(120)は最大0.5グラム/立方センチメートル(g/cc)の質量密度を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の発火クエンチカバー(110)。前記多孔質体(120)は、前記可燃性環境(160)の消炎距離より小さな平均有効流路径を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の発火クエンチカバー(110)。前記多孔質体(120)は、前記発火源に関連する所定サイズより大きな高温粒子が直線軌道に沿って前記多孔質体を通過するのを防止するよう構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の発火クエンチカバー(110)。発火リスク構造に関連する発火源による可燃性環境(160)におけるバルク燃焼を防止する発火クエンチシステム(100)であって、 前記可燃性環境と接触している支持構造(150)と、 前記支持構造から前記可燃性環境内へ延びる前記発火リスク構造(140)と、 請求項1から6のいずれか一項に記載の多孔質発火クエンチカバー(110)であって、前記多孔質発火クエンチカバーは、前記発火リスク構造を実質的に覆い、前記支持構造に連結されており、前記発火リスク構造に関連する前記発火源により引き起こされる前記可燃性環境における発火事象をクエンチするよう構成されている、多孔質発火クエンチカバー(110)と を備える、発火クエンチシステム。前記多孔質発火クエンチカバー(110)は、前記可燃性環境(160)と接触している前記発火リスク構造(140)の一部を実質的に封入している、請求項7に記載の発火クエンチシステム(100)。前記多孔質体(120)は、前記発火リスク構造(140)を受けるように構成されているキャビティ(116)を画定する、請求項7または8に記載の発火クエンチシステム(100)。前記多孔質発火クエンチカバー(110)は、前記発火リスク構造(140)に螺着されるか、留め金固定されるか、機械的に連動するうちの少なくとも1つである、請求項7から9のいずれか一項に記載の発火クエンチシステム(100)。前記発火リスク構造(140)は前記支持構造(150)から突出する導電性固定具であり、前記支持構造は非導電性であり複合材料を含む、請求項7から10のいずれか一項に記載の発火クエンチシステム(100)。

说明书全文

本開示は、発火をクエンチするためのシステム、装置および方法に関する。

様々な状況において、制御不能な作動または環境条件下で燃料混合物が発火するなど潜在的な危険性を有する条件下で装置を作動させる必要がある。例として、航空宇宙飛行体を含む車両は一般的に燃料を用いて作動するが、この燃料は保管中または使用中、安全な状態で維持する必要がある。車両が事故、電気的不具合、落雷または静電放電など制御不能な事象に晒された場合も、発火危険は最小限に抑えられるべきである。この他、発火危険を考慮する必要のある用途には、燃料輸送、燃料保管、採鉱作業、化学処理、金属製作、発電所の建設および作動、ならびに大鋸屑、金属、細粉および穀粒などの可燃性粒子を伴う作業が含まれる。

航空宇宙産業において、航空機の落雷被害は、蒸気燃料混合物を発火させるのに十分な電気アークまたは加熱をもたらし得るため懸案事項である。電光は殆どの場合、損害をもたらすことなく航空機を通過するが、複合材料を組み込んだ最近の航空機設計は、落雷のエネルギーを分流および/または放散する金属の含有量が以前より少ない。

発火危険に晒される装置の設計は一般的に、発火の可能性の低減、発火危険の阻止、および/または発火危険への耐性を必要とする。固定具などの導電性構造は、燃料タンクの内部など潜在的な可燃性環境の内部において合成構造部品を接合および/または支持してもよい。これらの導電性構造は、たとえば落雷に起因する電気磁気効果(たとえば電気アーク、静電放電、加熱および/または高温粒子放出)の中心になり得る。

従来、合成燃料タンクにおける金属固定具は、封止材および/または封止キャップにより燃料容積から隔離されている。封止材および/または封止キャップは、燃料容積から金属固定具を物理的および/または電気的に分離し発火危険を阻止するよう構成されている。しかしながら電気磁気効果は、封止に損害を与え得る熱および圧の一時的な変化を生じ得る。また封止は、たとえば日常の太陽熱加熱および/または大気中での作動に起因する温度サイクルに晒され得る。温度サイクルは、電気磁気効果および/または発火事象からの損害に対する脆弱性の上昇につながり得る。

発火クエンチシステムは、支持構造から可燃性環境内へ延びる発火リスク構造を含み、また発火リスク構造を実質的に覆う多孔質発火クエンチカバーを含む。発火クエンチカバーは、発火リスク構造に関連する発火源により引き起こされる発火事象をクエンチするよう構成されている。発火クエンチカバーは概して多孔質体を含む。多孔質体は一または複数の多孔質要素を含んでいても良い。本開示に係る方法は、発火リスク構造に関連する発火事象に起因する、たとえば燃料タンク内の燃料蒸気などのバルク燃焼を防止するよう、発火リスク構造を覆うように多孔質発火クエンチカバーを設置するステップを含む。

発火クエンチシステムの部分側面図である。

多孔質体の一例の部分図である。

多成分多孔質体の一例の部分図である。

本開示に係る発火クエンチシステム製造方法の概略図である。

本開示に係る発火クエンチカバー製造方法の概略図である。

図1〜図5は発火をクエンチするためのシステム、装置および方法の例を提供する。図面においては概して、或る実施形態に含まれる可能性の高い要素は実線で描かれている一方、任意または代替である要素は点線で描かれている。しかしながら実線で描かれている要素は本開示のすべての実施形態に必須であるわけではなく、実線で示されている要素を本開示の範囲から逸脱することなく特定の実施形態において省略してもよい。同様の、または少なくとも実質的に同様の目的に適う要素には、複数の図において一貫した数字を付してある。各図における同様の数字、および対応する要素は、各図を参照して本明細書中に詳細に説明しなくてもよい。同様に、各図においてすべての要素を示さなくてもよい、またはこれに符号を付さなくてもよいが、すべての要素に関連する参照符号を一貫して使用してもよい。一または複数の図を参照して説明される要素、部品および/または特徴は、本開示の範囲から逸脱することなくいずれかの図に含まれてもよい、および/または使用されてもよい。

図1は、発火クエンチカバー110を含む発火クエンチシステム100の概略図である。発火クエンチカバー110(発火防止装置とも称される)は、支持構造150から延びる、および/または突出する発火リスク構造140を覆う。発火リスク構造140は、潜在的発火源、たとえば固定具にアークを生成し得る電気磁気効果に潜在的に晒される固定具に関連する構造である。

発火クエンチシステム100は可燃性環境160を含んでいてもよい。追加的または代替的に、発火クエンチシステム100および/またはその部品は可燃性環境160との接触および/または共同利用を目的として(たとえば可燃性環境160に対して化学的耐性を有する、および/または可燃性環境160と化学的に反応しない)構成されていてもよい。可燃性環境160は可燃性であり、可燃性の物質および/または混合物を含む。例として、可燃性環境160は燃料(たとえば素、ガス状、液状および/もしくはエアロゾル化炭化水素、ならびに/または大鋸屑などの浮遊微粒子など)と、酸化剤(たとえば酸素、フッ素および/または一酸化二窒素)と、燃料/酸化剤混合物の可燃限界の範囲内にある濃度を有する任意の非反応性希釈剤(たとえば窒素、アルゴンおよび/またはヘリウム)とを含んでいてもよい。別の例として、可燃性環境160は、分解爆発に耐える気体(たとえばアセチレン、一酸化二窒素)を含んでいてもよい。燃料のさらなる具体例には、自動車燃料、ディーゼル燃料、航空燃料および/またはジェット燃料などのモータ燃料が含まれる。可燃性環境160は気体、蒸気、エアロゾルおよび/または粉末を含んでいてもよい。

発火クエンチカバー110は近位カバー面112および遠位カバー面114を有する。近位カバー面112は、発火リスク構造140および支持構造150に面するよう構成されている。近位カバー面112は、発火クエンチカバー110の内面と称されてもよい。遠位カバー面114は近位カバー面112とは反対側にある。遠位カバー面114は、可燃性環境160のバルク162の方に面し、発火リスク構造140および支持構造150から概して離れた方に面するよう構成されている。遠位カバー面114は、発火クエンチカバー110の外面と称されてもよい。

発火クエンチカバー110は多孔質であり、可燃性環境160が発火クエンチカバー110内部に広がり、発火クエンチカバー110を透過して、発火リスク構造140に接触することを可能にする。発火クエンチカバー110は多孔質体120を含んでおり、また本質的に多孔質体120で構成されていてもよい。多孔質体120は、可燃性環境160が多孔質体120内部に広がり、多孔質体120を透過することを可能にするよう構成されている。可燃性環境160のバルク162は、可燃性環境160のうち、発火クエンチカバー110の内部になく、近位カバー面112と発火リスク構造140および/または支持構造150との間の発火クエンチカバー110により封入されていない部分である。近位カバー面112と発火リスク構造140および/または支持構造150との間の容積は、発火クエンチカバー110の封入容積164である。可燃性環境160にアクセス可能な発火クエンチカバー110内部の容積(たとえば近位カバー面112と遠位カバー面114との間の容積)は、発火クエンチカバー110の内部容積166(細孔容積とも称される)である。封入容積164および内部容積166は、可燃性環境160のバルク162の容積より実質的に小さい。

発火クエンチカバー110は、(たとえば電気磁気効果に起因して)発火リスク構造140に基づく発火源が可燃性環境160のバルク162を発火させるのを防止するよう構成されている。すなわち、発火クエンチカバー110により制限される発火源は、可燃性環境160のバルク162において実質的および/または不所望な燃焼(たとえば爆発燃焼)を起こすことを妨げられている。発火源の例には、電気アーク、高温面、高温粒子放出、ならびに/または(内部摩擦および/もしくは摩擦帯電に起因する)静電放電が含まれる。

発火クエンチカバー110がない場合、可燃性環境160内部の発火源は発火核(発火源により加えられたエネルギーにより引き起こされる少量の燃焼)を生成し得る。典型的には、ただし必須ではないが、発火源は、気体が本質的に動いていない時間尺度にわたって高圧かつ高温であるエネルギー性気体の領域を生成し得る(すなわち発火源からのエネルギー付与は本質的に瞬間的なものになる)。このエネルギー付与に起因して、エネルギー性気体はエネルギー付与の影響を受けなかった周囲の気体内へ膨張することになる。エネルギー性気体の急激な膨張は、音波または超音波であり得る圧力波を生じる。圧力波が十分なエネルギーを有している場合、燃焼反応物質のダイレクトイグニッション(たとえば爆燃)を引き起こし得る。

発火クエンチカバー110は概して、関連する圧力波に起因するダイレクトイグニッションリスクを引き起こさない発火源からの発火をクエンチするよう構成されている。例として、発火クエンチカバー110により軽減されるべき典型的な発火源が加えるのは、1J(ジュール)より小さい、または0.1Jより小さい(かつ、典型的には1μJ(マイクロジュール)より大きい、または10μJより大きい)。このような低エネルギー発火源は、約100kPa(キロパスカル)より小さな圧力振幅を有する弱い衝撃波および/または圧力波を発生させ得る。さらに発火クエンチカバー110は、たとえば発火クエンチカバー110の全域におけるガス圧の均一化を可能にするのに十分な多孔性を有することにより、発火クエンチカバー110により封入されている発火源により発生する(もしあれば)圧力波に耐えるべく構成されていてもよい。発火クエンチカバー110は圧力波を阻害および/または放散するよう構成されていてもよく、また圧力波が実質的に阻害されないで通過するのを可能にするよう構成されていてもよい。

発火クエンチカバー110がない場合、発火核は、ダイレクトイグニッションリスクである高温気体および/または高温粒子を生成することになる。これらの反応生成物は、すべての利用可能な燃焼反応物質を消費することになる自己燃焼反応(確立された火炎前面、たとえば爆燃波または爆轟波)を推進し得る。火炎前面の伝播を制限するために、確立された火炎前面の進路に火炎防止装置を設置してもよい。例として、確立された火炎前面が燃料充填管内を伝播するのを防止するために、燃料充填管内に火炎防止装置を設置してもよい。火炎防止装置は一般的に充填管、注ぎ口および/または導管などの移動流路内に組み込まれるため、実質的に阻害されない気体および液体の流れを可能にするよう構成されている。

発火クエンチカバー110は、発火源に起因する発火核の形成を防止するように、および/または発火核から生じる新生火炎前面の伝播を防止するよう構成されている。すなわち、発火クエンチカバー110は封入容積164の内部における可燃性環境160の発火を防止するよう構成されていてもよく、また発火クエンチカバー110の内部および/または近傍(たとえば封入容積164および/または内部容積166の内部)における発火をクエンチ、および/または消火するよう構成されていてもよい。このように、発火源が封入容積164内部の発火核をクエンチしない場合、発火核により生成された新生火炎前面は発火クエンチカバー110の中および/または付近を通過しない。新生火炎前面は、可燃性環境160のバルク162と接触して自己燃焼反応を確立できる前にクエンチされる。発火核、関連する新生火炎前面、および封入容積164内部の関連する圧力波を、合わせて発火事象と称してもよい。発火クエンチカバー110は、発火リスク構造140に関連する発火源により引き起こされる(発火させられる)発火事象の一または複数の態様を防止、軽減および/または抑制するよう構成されている。

発火クエンチカバー110は発火クエンチカバー110の内部および/または近傍における燃焼(発火事象)をクエンチ、消火および/または抑制するよう構成されているため、発火クエンチカバー110は爆燃波のような確立された火炎前面をクエンチする必要はない。燃焼領域が小さいうちにさらなる燃焼を防止することにより、確立された火炎前面を停止させるための必要条件と比較して、熱および/または圧力に耐えるための必要条件も緩和される。同様に、確立された火炎前面の進路における遠い位置ではなく燃焼源において燃焼を停止させる場合、可燃性環境160の潜在的燃焼容積が小さくなる。

発火クエンチカバー110は、発火源および/または発火核に関連する熱エネルギーを放散することにより、内部における発火核の形成、伝播および/または成熟を防止するよう構成されていてもよい。発火核は、反応から生じる熱エネルギーが隣接する燃焼反応物を十分に加熱したとき(すなわち放出エネルギーがエネルギー損失より大きくなったとき)に自己燃焼反応(たとえば爆燃波)に成熟し得る。発火クエンチカバー110は熱エネルギーを放散するよう構成されていてもよく、そうでなければこの熱エネルギーは燃焼反応を持続させ得る。例として多孔質体120は、多孔質体120の内部における可燃性環境160と多孔質体120との熱接触によって燃焼が多孔質体120の中を伝播するのを防止するのに十分な大きさの表面積対細孔容積比を有していてもよい。

多孔質体120および/または発火クエンチカバー110は、可燃性環境160の比熱容量より大きな、典型的には遥かに大きな比熱容量を有していてもよい。例として多孔質体120および/またはその部品は、可燃性環境160の容積比熱容量の少なくとも10倍、少なくとも100倍、または少なくとも1,000倍である容積比熱容量を有していてもよい。多孔質体120および/または発火クエンチカバー110は、対応する多孔質体120および/または発火クエンチカバー110の外部寸法により定義される容積の内部における可燃性環境160の総熱容量より大きな、典型的には遥かに大きな総熱容量を有していてもよい。例として多孔質体120および/またはその部品は、多孔質体120の外部寸法により定義される容積の内部における可燃性環境160の総熱容量の少なくとも3倍、少なくとも10倍、または少なくとも30倍である総熱容量を有していてもよい。発火クエンチカバー110の多孔質体120は、可燃性環境160の熱伝導率より大きな、典型的には遥かに大きな熱伝導率を有していてもよい。例として多孔質体120および/またはその部品は、可燃性環境160の熱伝導率の少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも100倍、または少なくとも1,000倍である熱伝導率を有していてもよい。具体的な比較として、空気および可燃性気体は約1kJ/(m3・K)(キロジュール/立方メートルケルビン)の容積比熱容量および約0.03W/(m・K)(ワット/メートルケルビン)の熱伝導率を有する一方、発火クエンチカバー110の材料例に対する比較値は(アルミニウムに対し)2,400kJ/(m3・K)および170W/(m・K)、ならびに(「ナイロン6/6ポリマー」としても販売されているポリアミド6/6に対し)2,000kJ/(m3・K)および0.25W/(m・K)である。

発火クエンチカバー110は、発火リスク構造140から放射される高温粒子が発火クエンチカバー110および/または多孔質体120の中を移動するのを防止することにより、可燃性環境160の発火を防止するよう構成されていてもよい。本明細書中に使用される際、用語「高温粒子」は、可燃性環境160の発火を引き起こすのに十分な熱エネルギーおよび/またはサイズを有した発火リスク構造140において、発火リスク構造140から放出される、および/または発火源に起因して放出される粒子を指す。多孔質体120および/または発火クエンチカバー110は、所定サイズより大きな粒子が多孔質体120の構造要素に衝突せずに直線軌道に沿って多孔質体120の中を完全に通過することがなく熱エネルギーおよび/または運動エネルギーの少なくとも一部を失うように構成されていてもよい。例として本明細書中にさらに説明されるように、多孔質体120は、所定サイズより大きな粒子が妨害されずに移動することが可能になる近位カバー面112と遠位カバー面114とを繋ぐ直線開口流路を持たない一または複数の発泡体および/または格子から構成されていてよい。。

或る一連の環境条件下での可燃性物質は、可燃性物質における火炎前面が伝播し得る管の最小径として定義される消炎距離によって特徴付けられてよい。多孔質体120は、新生火炎前面が発火クエンチカバー110を通過するのを防止するようサイズ設定された、および/または配置された細孔122および/または流路126(図2の例に最もよく表されている)を含む。たとえば本明細書中にさらに詳述されるように、多孔質体120の特徴的な細孔サイズおよび/または特徴的な流路サイズは、発火リスク構造140において(たとえば封入容積164の内部で)発生する発火核および/または新生火炎前面が遠位カバー面114に到達し得る前に内部容積166の内部でクエンチされるように可燃性環境160の消炎距離または関連パラメータより小さくしてもよい。

多孔質体120は一または複数の多孔質要素130を含んでおり、また本質的に一または複数の多孔質要素130から構成されていてもよい。図2の例示内部図に詳細が示されているように、多孔質体120および多孔質要素130はそれぞれ、共にメッシュ、網状体、格子、マトリクスおよび/または発泡体構造を形成する複数の細孔122(セルとも称される)および複数のストラット124(トラスおよび/またはリガメントとも称される)を含む。ストラット124は、細孔122に隣接、および/またはこれを画定する構造要素である。ストラットの例には、格子構造の針状構造要素、発泡体のセル面、および発泡体のセル縁部を含む。多孔質体120および/または多孔質要素130の構造は秩序を有していても、無秩序でも、または秩序および/もしくは無秩序の領域を含んでいてもよい。したがって、多孔質体120の細孔122および/またはストラット124は秩序を有している、無秩序である、規則的である、不規則である、パターン化されている、繰り返しである、ランダムである、および/またはカオス的であると表現されてもよい。図2の左側内部図は、比較的無秩序な細孔122およびストラット124ネットワークの一例を、不規則パターン状の細孔122およびストラット124の分布と共に示す。図2の右側内部図は、比較的秩序正しい細孔122およびストラット124ネットワークの一例を、比較的一定のサイズおよび間隔を有した細孔122およびストラット124と共に示す。

(多孔質体120および多孔質要素130の)細孔122は概して相互に接続され、多孔質体120の中を気体および/または液体が流れるのを可能にする流路126(チャネルとも呼ばれる)を形成する。したがって、多孔質体120および多孔質要素130は気体透過性および/または液体透過性であると説明されてもよい。多孔質体120は、流れ抵抗が発火源に関連する圧力波に耐えるのに十分なほど低い限り、気体流れおよび/または液体流れ(液体燃料の流れなど)に対する有意な流れ抵抗を有するよう構成されていてもよい。あるいは、多孔質体120は多孔質体120を通過する気体流れに対する比較的低い抵抗を有するよう構成されていてもよく、あるいは気体は多孔質体120の中を実質的に自由に流れてもよく、このとき圧力波は実質的に妨害されないことになる。多孔質体120および/または多孔質要素130は網目状格子、網目状発泡体、および開口セル発泡体を含んでいてもよい、および/またはこれらであってもよい。

多孔質体120および/または多孔質要素130は、それぞれの細孔122のサイズ(細孔122の容積、面積および/もしくは有効径など)、それぞれのストラット124のサイズ(ストラット124の容積、断面積および/もしくは長さなど)、ならびに/または流路126の特性(流路126の平均有効径、間隔、密度および/もしくは平均方向)を特徴としていてもよい。多孔質構造(多孔質体120または多孔質要素130)内部の細孔122および/またはストラット124は略等しいサイズ(たとえばすべての細孔122は実質的に同じサイズ)であってもよく、またサイズの分布を有していてもよい。たとえば多孔質体120および/または多孔質要素130は最小細孔サイズ、最大細孔サイズ、平均(すなわち平均値)細孔サイズ、細孔サイズの標準偏差、細孔サイズの分布、および/またはその他の適したメトリックを特徴としていてもよい。別の例として、多孔質体120および/または多孔質要素130は、流路126の最小、最大および/または平均サイズ特性(たとえば各流路126の有効径)を特徴としていてもよい。概して多孔質体120の流路126および/または細孔122の有効径は、可燃性環境160の消炎距離より小さく、また発火事象に関連する圧力波が多孔質体120の中を流れる、および/または多孔質体120の内部で放散するのを可能にするサイズに設定されている。本明細書中に使用される際、個別の多孔質要素130における流路126の最大有効径および/または細孔122の最大有効径は、可燃性環境160の消炎距離より長くてもよい。多孔質体120および/または多孔質要素130の内部において、細孔122の平均有効径、および/または流路126の平均有効径は、少なくとも0.1mm(ミリメートル)、少なくとも0.2mm、少なくとも0.5mm、少なくとも1mm、少なくとも2mm、少なくとも3mm、最大10mm、最大3mm、最大1mm、最大0.3mm、および/または最大0.1mmであってもよい。ストラット124は、それぞれの細孔122および/または流路126の平均有効径の最大75%、最大50%、最大25%、最大10%、および/または最大5%である平均径を有していてもよい。

発火クエンチカバー110および/または多孔質体120は、それぞれの発火クエンチカバー110または多孔質体120を形成する材料の質量密度より小さい、典型的には遥かに小さい質量密度を有していてもよい。発火クエンチカバー110および/または多孔質体120の質量密度は、それぞれの構造の外部容積(構造の外部寸法により定義される容積)により分割されるそれぞれの構造の質量である。それぞれの構造の外部容積は、構造の封入ボイドおよび開口細孔容積を含む。例として、発火クエンチカバー110の外部容積は近位カバー面112および遠位カバー面114により画定される容積であり内部容積166を含むが、任意のキャビティ116(本明細書中にさらに説明されるように)の容積は含まない。発火クエンチカバー110および/または多孔質体120は、最大2g/cc(グラム/立方センチメートル)、最大1g/cc、最大0.5g/cc、最大0.2g/cc、最大0.1g/cc、最大0.05g/cc、最大0.02g/cc、または最大0.01g/ccである質量密度を有していてもよい。

発火クエンチカバー110および/または多孔質体120は空隙率を特徴としていてもよい。発火クエンチカバー110および/または多孔質体120の空隙率は、それぞれの構造の外部容積により分割される細孔122の開口総容積(たとえば内部容積166)である。それぞれの構造の空隙率は、細孔122の体積分率、および/またはストラット124もしくはその他の構造要素により占有されていない体積分率として表されてもよい。発火クエンチカバー110および/または多孔質体120の空隙率は少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、および少なくとも98%であってもよい。

多孔質要素130および/または多孔質体120のストラット124は、一または複数の中空ストラット128を含んでいてもよい。中空ストラット128は中空であってもよく、開口または閉口のボイドを含んでいてもよい(たとえば一または複数の中空ストラット128は中空管であってもよい)。一または複数のストラット124の内部ボイドは相互に接続されていてもよい。大多数の、またはすべてのストラット124は中空ストラット128であってもよい。中空ストラット128は、多孔質体120および/または多孔質要素130の重量を軽減しながら、中実ストラットを組み込んだ類似の多孔質構造に比べてそれぞれの構造の構造的完全性を維持するようなサイズに設定されていてもよい。中空ストラット128は、発火事象に関連する圧力波に関連し得る力など、所定の閾値より大きな力に応じて破損するよう構成されていてもよい。中空ストラット128はハロアルカンなどの火炎抑制物質または不活性気体を含有していてもよい。このような実施形態において、発火リスク構造140に関連する発火事象の結果として生じる中空ストラット128の破損は火炎抑制物質を放出し、発火核および対応する新生火炎前面の伝播を軽減する、および/または発火事象を完全にクエンチするよう機能し得る。

図3の例に示されるように、多孔質体120は、二つ、三つまたは四つ以上の多孔質要素130を含む多成分構造(たとえば多層構造)であってもよい。各多孔質要素130はそれぞれ単独で流路方向132、平均流路サイズ、平均細孔サイズ、平均流路間隔、および/または流路密度を有していてもよい。例として一つの多孔質要素130は、同一の多孔質体120の内部における別の多孔質要素130の対応する特性と異なる一または複数の特性を有していてもよい。追加的または代替的に、多孔質体120は一または複数の多孔質要素130と、発火事象に関連する圧力波に応じて弾性変形するよう構成された可撓性外側層とを含んでいてもよい。可撓性外側層は多孔質であってよく、多孔質でなくてもよい。

流路方向132は、多孔質要素130を通る流路126の平均的な方向、および/または多孔質要素130の反対側の位置にある両面(たとえば発火クエンチカバー110の近位カバー面112および遠位カバー面114に対応する多孔質要素の近位面および遠位面)間の平均的な方向により定義されてもよい。図3の例において、各多孔質要素130は、細孔122およびストラット124の規則的な配列によりそれぞれ定義される異なる流路方向132を有する(たとえば各多孔質要素130はストラット124の正則格子である)。

各多孔質要素130の流路方向132、平均流路サイズ、平均細孔サイズ、平均流路間隔および/もしくは流路密度を選択する、および/もしくは配置することにより、ならびに/または多孔質要素130の相対的な整列を選択する、および/もしくは配置することにより、多孔質体120は、可燃性環境160の消炎距離または関連パラメータなどの所定閾値より小さな最大(および/もしくは平均)流路サイズ、細孔サイズ、ならびに/または流路間隔を有するよう構成されていてもよい。同様に多孔質体120は、可燃性環境160の消炎距離に関連するパラメータのような所定閾値より大きな最小および/または平均流路密度を有するよう構成されていてもよい。多孔質体120は可燃性環境160内部の発火をクエンチするよう構成されているが、個々の多孔質要素130は、可燃性環境160内部の発火をクエンチするには不十分な特性を有していてもよい。

多孔質体120における各多孔質要素130の流路方向132、平均流路サイズ、平均細孔サイズ、平均流路間隔および/または流路密度は、所定サイズより大きな高温粒子の通過を防止するよう選択されてもよい、および/または配置されてもよい。例として多孔質体120の多孔質要素130は、多孔質体120を通る直線流路126の数および/またはサイズが任意の多孔質要素130を通る直線流路126の数および/またはサイズに比べて減少するように整列(回転および/または並進移動)してもよい。例として図3の例に示されるように、正則格子を特徴とする二つの、そうでなければ同一である多孔質要素130を、各多孔質要素130が特有の流路方向132(および/または格子方向)を有するように多孔質体120に接合してもよい。各多孔質要素130は個々に、それぞれの多孔質要素130を通る直線流路126を有する。しかしながら相異なる流路方向132における多孔質要素130の組み合わせは、多孔質体120全体を通る直線流路126を一つも生じない。

概して図1に戻り、多孔質体120および/または一もしくは複数の多孔質要素130は絶縁材料を含んでいてもよく、および/またはこれから構成されていてもよく、絶縁材料は可燃性環境160のバルク162から発火リスク構造140を電気的に絶縁するよう機能してもよい。追加的または代替的に、多孔質体120および/または一もしくは複数の多孔質要素130は導電性材料を含んでいてもよく、および/またはこれから構成されていてもよく、導電性材料は発火リスク構造140を絶縁する電磁シールドとして機能してもよい。多孔質体120が絶縁性である多孔質要素130と同様に導電性である多孔質要素130を含む場合、正味の構造は導電性または絶縁性であることを特徴としていてもよく、および/または正味の電気インピーダンスを特徴としていてもよい。

発火クエンチカバー110および/または多孔質体120は、それぞれの構造の外面(たとえば遠位カバー面114)におけるコロナ放電を防止するよう構成された正味の形状を有していてもよい。たとえば発火クエンチカバー110および/または多孔質体120の外面は半球状であってもよい。追加的または代替的に、電界を集中させ電磁気の放出につながり得る尖った先端または縁部を外面が画定しないように、外面に対して研磨またはスムージングを施してもよい。

多孔質体120および多孔質要素130はそれぞれ独立にポリマー(たとえばポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、エチレンビニルアセテート(EVA)および/もしくはポリスルホン)、複合材料(たとえば炭素繊維強化ポリマー(CFRP)および/もしくは繊維ガラス)、セラミック、ガラス、非金属、ならびに/または金属(たとえばアルミニウム、スチールおよび/もしくはチタン)を含んでいてもよく、および/またはそれから本質的に構成されていてよい。

発火クエンチカバー110は発火リスク構造140を覆う、および/もしくは封入するサイズに設定されてもよく、ならびに/または発火リスク構造140の上もしくは近くに設置されてもよい。たとえば発火クエンチカバー110は、可燃性環境160と接触している発火リスク構造140の少なくとも一部を実質的に封入するよう構成されていてもよい。すなわち発火クエンチカバー110は、発火クエンチカバー110が発火リスク構造140上に設置されたときに発火リスク構造140が支持構造150および/または発火クエンチカバー110のうち一方または両方により実質的に囲まれるように構成されていてもよい。追加的または代替的に発火クエンチカバー110は、複数の発火リスク構造140を覆う、および/または封入するサイズに設定されてもよい。例として発火クエンチカバー110は、一連の発火リスク構造140を覆い得る多孔質のストリップまたはシートの形態であってもよい。

発火クエンチシステム100に組み立てられたとき、発火クエンチカバー110および発火リスク構造140は、発火クエンチカバー110が発火リスク構造140を覆った、および/または封入した状態で配置される。発火クエンチカバー110は発火リスク構造140に最も近い位置にあるが、発火リスク構造140に接触しているとは限らない。近位カバー面112が発火リスク構造140に接触していない場合、近位カバー面112と発火リスク構造140との距離は概して可燃性環境160の消炎距離より圧倒的に大きいわけではない。例として近位カバー面112と発火リスク構造140との間の最大距離は、可燃性環境160の消炎距離の100倍より少なく、30倍より少なく、10倍より少なく、3倍より少なく、または1倍より少なくてもよい。近位カバー面112と発火リスク構造140との間の最大距離は最大100mm、最大30mm、最大10mm、最大3mm、または最大1mmであってもよい。

発火クエンチカバー110は発火リスク構造140および/または支持構造150と連結されていてもよい。たとえば発火クエンチカバー110は接着剤により発火リスク構造140および/または支持構造150に固定されてもよい。追加的または代替的に発火クエンチカバー110は発火リスク構造140の少なくとも一部に螺着する、留め金固定する、および/または機械的に連動させるべく構成されていてもよい。たとえば発火クエンチカバー110の少なくとも一部は発火リスク構造140の少なくとも一部とモノリシックに構成されていてもよい。一例として、発火リスク構造140は、ボルトと、ボルトに螺着するよう構成されたナットとの組立体であってもよい。ボルトに対するナットの螺着が発火クエンチカバー110の発火リスク構造140に対する作動可能な連結に役立つように、ナットは発火クエンチカバー110と一体形成されてもよい。

発火クエンチカバー110は、たとえば発火クエンチカバー110の近位カバー面112により画定されるキャビティ116を用いて発火リスク構造140を受ける、および/またはこれと噛み合うべく構成されていてもよい。キャビティ116はリセス、凹所および/または窪みと称されてもよい。キャビティ116が存在する場合、キャビティ116は発火リスク構造140の一部を受ける、および/またはこれと噛み合うべく構成されてもよく、サイズ設定されてもよく、および/または形状設定されてもよい。キャビティ116は、発火クエンチカバー110が発火リスク構造140に設置されるときに可燃性環境160に暴露される発火リスク構造140の実質的な部分を取り囲むべく構成されていてもよいキャビティ容積を規定してよい。発火クエンチカバー110の封入容積164は任意のキャビティ容積を含む。

発火クエンチシステム100に組み立てられたとき、発火クエンチカバー110および/または多孔質体120は発火リスク構造140および/または支持構造150と直接的に接触してもよい。例として、キャビティ116および/または近位カバー面112の少なくとも一部は発火リスク構造140および/または支持構造150と接触してもよい。追加的または代替的に多孔質体120の少なくとも一部は発火リスク構造140および/または支持構造150から離隔していてもよい。近位カバー面112が支持構造150から離隔している場合、近位カバー面112および支持構造150は両者の間にギャップ118を画定してもよい。ギャップ118には少なくとも部分的にスペーサ、接着剤および/または固定具が充填されてもよく、またギャップ118は一または複数の非充填領域を含んでいてもよい。非充填領域が存在する場合、非充填領域は、新生火炎前面および/または高温粒子が発火クエンチカバー110の周囲に伝播し可燃性環境160のバルク162を潜在的に発火させるのを防止するようサイズ設定される、および/または配置される。例として、ギャップ118の非充填領域は可燃性環境160の消炎距離または関連パラメータより小さくてもよい。

発火リスク構造140は、可燃性環境160が存在するときに発火リスク構造140の少なくとも一部が可燃性環境160に接触するように支持構造150と連結されてもよく、これから延びてもよく、および/またはこれから突出してもよい。図1に示されるように、発火リスク構造140は支持構造150(点線で描かれている)を完全に通過して延びてもよく、支持構造150の内部に端部を有していてもよく、または支持構造150を貫通することなく支持構造150により支持されてもよい、および/もしくはこれと連結されていてもよい(実線で描かれている)。

発火リスク構造140は支持構造150同士、および/または支持構造と他の構造とを接合および/または連結してもよい。発火リスク構造140は支持構造150を支持してもよく、および/またはこれにより支持されてもよい。発火リスク構造140の例には、固定具、連結器、立体継手、構造縁部、センサ、ワイヤ、管、導管および/または封入容器が含まれる。発火リスク構造140は電気伝導体を含んでよく、本質的に電気伝導体から構成されてよく、および/または電気伝導体であってもよい。発火リスク構造140は導電性(たとえば金属製)であってもよく、本質的に金属から構成されていてもよい。追加的または代替的に、発火リスク構造140は不良導体および/または絶縁体(非導電体)を含んでいてもよく、および/またはこれであってもよい。

発火リスク構造140は支持構造150と絶縁されていてもよく、または電気的に接続されていてもよい。支持構造150は概して非金属製であり、また発火リスク構造140より低い導電性を有していてもよい。支持構造150は絶縁体(非導電性)および/または不良導体を含んでいてもよく、および/またはこれであってもよい。支持構造150はポリマー(たとえばポリウレタン)、複合材料(たとえば炭素繊維強化ポリマー(CFRP)および/もしくは繊維ガラス)、ならびに/または建材(たとえば木材、石材、乾式壁)を含んでいてもよく、および/またはこれから構成されていてもよい。

発火クエンチシステム100の具体例として、発火クエンチシステム100は、複合材翼航空機における翼燃料タンクなどの燃料タンクの少なくとも一部であってもよい。発火リスク構造140は燃料容積に曝露されており(たとえば燃料タンクの内部まで延びている)燃料容積に接触する一または複数の支持構造150内に埋め込まれている、および/またはこれを連結している固定具であってもよい。支持構造150は、燃料タンク内部の少なくとも一部を画定する、および/または燃料タンクの内部に存在する炭素繊維複合パネル、仕切り、ストリンガ等であってもよい。発火クエンチカバー110は発火リスク構造140を覆い、また発火リスク構造140と並置されている。発火クエンチカバー110は多孔質であり、燃料蒸気が発火リスク構造140と接触するのを可能にする。発火リスク構造140(固定具)に関連する発火源は、発火リスク構造140における発火事象を発達させ引き起こし得る。例として、たとえば落雷または燃料移動の摩擦に起因して、電荷および/または電圧が、放電またはその他の潜在的な発火源を引き起こすのに十分な程度まで発火リスク構造140において発達し得る。発火事象には、発火クエンチカバー110の封入容積164内部における発火核、新生火炎前面および/または圧力波が含まれる。発火核は発火クエンチカバー110によりクエンチされる、新生火炎前面は発火クエンチカバー110を横切る際にクエンチされる、ならびに/または圧力波は発火クエンチカバー110により放散および/もしくは妨害され得る。

発火事象の即時効果を軽減することに加え、発火クエンチカバー110は従来のキャップ封止体より軽くてもよく、また従来のキャップ封止体より大きな燃料容積を可能にしてもよい。特に航空機翼燃料タンクは、発火クエンチカバー110により保護され得る数百の固定具を含み得る。個別のカバーにおける僅かな重量削減は、航空機に対する大きな正味重量削減に達し得る。従来のキャップ封止体は多孔質ではなく各固定具周辺の容積から燃料を閉め出す。発火クエンチカバー110は多孔質であり、発火クエンチカバー110の封入容積164および/または内部容積166を燃料が実質的に満たすのを可能にしてもよい。各発火クエンチカバー110に関連する僅かな燃料容積の増加は、航空機の動作効率および燃料総容積に著しく影響し得る。さらに発火クエンチカバー110の弾力性(概して被害を受けずに発火源および/または発火事象に耐える)は、従来のキャップ封止体を組み込んだ翼燃料タンクに比べて翼燃料タンクの保守および/または点検の総数、頻度および/または複雑性を低減し得る。

航空機翼燃料タンクの例は発火クエンチカバー110の使用による幾つかの潜在的な利点を説明するために詳述されたものであるが、発火クエンチカバー110はその他の例および/または発火クエンチシステム100の内部で利用されてもよい、および/またはこれに組み込まれてもよい。例として発火クエンチカバー110は、燃料輸送、燃料保管、採鉱作業、化学処理、金属製作、発電所の建設および作動、ならびに浮遊粉塵、大鋸屑、小塊炭、金属、細粉および/または穀粒などの可燃性粒子を伴う作業を含む、発火危険を考慮する必要のある他の用途に役立ち得る。

発火クエンチカバー110およびその部品は、広範な温度に耐える、および/またはこれにおいて作動するよう構成されていてもよい。したがって発火クエンチカバー110は高温、低温および/または温度サイクルに暴露される、および/またはこれにおいて作動するときにその構造的完全性およびその発火クエンチ能力を維持し得る。温度限界および/または範囲の例には、80℃より低い、60℃より低い、40℃より低い、20℃より低い、0℃より低い、−80℃より高い、−60℃より高い、−40℃より高い、−20℃より高い、および/または0℃より高い温度が含まれる。例として、航空機は40℃を超え(たとえばターマック舗装滑走路上にある間)、かつ60℃より低い(たとえば高所にある場合)温度を経験し得る。

図4は発火クエンチシステム(たとえば発火クエンチシステム100)の製造、製作、形成および/または組立の方法400を模式的に表現する。方法400は、発火リスク構造(たとえば発火リスク構造140)に関連する発火源に起因する可燃性環境(たとえば可燃性環境160)のバルク燃焼を防止する方法であってもよい。方法400は、燃料タンクの内部における発火リスク構造に関連する発火事象から燃料タンクを保護する方法であってもよい。

方法400には、可燃性環境に暴露されるべく構成された発火リスク構造の一部を覆うように多孔質発火クエンチカバー(たとえば発火クエンチカバー110)を設置するステップ410が含まれる。設置ステップ410には、多孔質発火クエンチカバーを用いて発火リスク構造の一部を少なくとも部分的に封入するステップが含まれていてもよい。方法400は、燃料タンクにおける固定具を覆うように発火クエンチカバーを設置する方法であってもよい。

発火リスク構造は支持構造(たとえば支持構造150)と連結されていてもよく、および/またはこれから延びていてもよい。設置ステップ410には、多孔質発火クエンチカバーを発火リスク構造および/または支持構造に直接的に固定および/または連結するステップが含まれていてもよい。例として設置ステップ410には、多孔質クエンチカバーを発火リスク構造および/または支持構造に(たとえば接着剤を用いて)結合および/または接着するステップが含まれていてもよい。さらに設置ステップ410には、発火クエンチカバーを発火リスク構造および/または支持構造に螺着する、留め金固定する、および/または機械的に連動させる工程が含まれていてもよい。設置ステップ410には、多孔質発火クエンチカバーを発火リスク構造および/または支持構造と直接的に接触させて連結するステップが含まれていてもよい。設置ステップ410には、多孔質発火クエンチカバーが発火リスク構造および支持構造のうち少なくとも一方から離隔するように多孔質発火クエンチカバーを連結するステップが含まれていてもよい。設置ステップ410には、多孔質発火クエンチカバーを連結して、多孔質発火クエンチカバーと、発火リスク構造および支持構造のうち少なくとも一方との間にギャップを形成するステップが含まれていてもよい。

多孔質発火クエンチカバーを設置するステップ410には、発火クエンチカバーを発火リスク構造の少なくとも一部と一体形成する、一体化する、および/または組み立てるステップが含まれていてもよい。例として、発火リスク構造がボルトおよびナットを含む場合、設置ステップ410には、発火クエンチカバーをナットと一体化しナットをボルトと組み立てるステップが含まれていてもよい。

多孔質発火クエンチカバーを設置するステップ410には、発火リスク構造を覆うカバーを修理、交換、および/または組み込むステップが含まれていてもよい。例として設置ステップ410には、発火リスク構造から既存のカバーを取り外し、多孔質発火クエンチカバーを受ける、および/またはこれと噛み合う発火リスク構造を準備し、準備された発火リスク構造上に発火クエンチカバーを設置するステップが含まれていてもよい。

方法400には、発火リスク構造を支持構造(たとえば支持構造150)の上および/または中に設置するステップ420が含まれていてもよい。設置ステップ420には、(たとえば燃料タンク内部において)可燃性環境を少なくとも部分的に封入するよう構成された容積内に発火リスク構造を設置するステップが含まれていてもよい。さらに設置ステップ420には、発火リスク構造の少なくとも一部(たとえば可燃性環境に曝露されるべく構成された発火リスク構造の一部)を前記容積に暴露するステップが含まれていてもよい。

方法400には、発火リスク構造において生じた発火事象が多孔質発火クエンチカバーの中を伝播し可燃性環境のバルクを発火させるのを防止するのに適した多孔質発火クエンチカバーを選択する(たとえば発火クエンチカバー110を選択、構成、適用、および/または製作する)ステップ430が含まれていてもよい。

方法400には、発火リスク構造と、発火リスク構造を覆うように設置された多孔質発火クエンチカバーとを可燃性環境に曝露するステップ440が含まれていてもよい。例として曝露ステップ440には、発火リスク構造および多孔質発火クエンチカバーを含む燃料タンクを少なくとも部分的に燃料で満たすステップが含まれていてもよい。

図5は、多孔質発火クエンチカバー(たとえば発火クエンチカバー110)の多孔質体(たとえば多孔質体120)を製造する、作成する、形成する、および/または組み立てる方法500を模式的に表現する。

方法500には、第1多孔質要素(たとえば多孔質要素130)を選択するステップ510と、第2多孔質要素(たとえば多孔質要素130)を選択するステップ520と、第1多孔質要素および第2多孔質要素を整列させて多孔質要素の整列群を形成するステップ530と、多孔質要素の整列群を接合して発火クエンチカバーの多孔質体の少なくとも一部を形成するステップ540とが含まれている。第1多孔質要素および第2多孔質要素はそれぞれの多孔質要素を通るそれぞれ複数の流路(たとえば流路126)を有する。第1複数流路および第2複数流路はそれぞれの平均有効径と、それぞれの流路方向(たとえば流路方向132)とを有する。

第1多孔質要素および第2多孔質要素を整列させるステップ530には、第1多孔質要素の流路方向を第2多孔質要素の流路方向とは異なる向きにするステップが含まれている。整列ステップ530には、第1多孔質要素および/または第2多孔質要素を位置決めして多孔質体の中に流路(たとえば流路126)を形成するステップが含まれていてもよい。第1多孔質要素および第2多孔質要素は、特性、たとえば材料、外部寸法、外部形状、流路サイズ、細孔サイズ、(たとえば外部形状に対する)流路方向、流路間隔および/または流路密度のうち一または複数が実質的に同じであってもよい。追加的または代替的に第1多孔質要素および第2多孔質要素は、一または複数の別個の、および/または相異なる特性を有していてもよい。整列ステップ530には、第1複数流路および第2複数流路、ならびに/または第1多孔質要素および第2多孔質要素の特性を位置ずれさせる、および/またはずれて整列させるべく第1多孔質要素および/または第2多孔質要素を位置決めするステップが含まれていてもよい。整列ステップ530には、1mm、0.3mm、0.1mm、0.03mmまたは0.01mmなどの所定閾値より大きな有効径を有した多孔質要素(および/または多孔質体における)の整列群を通る直線流路を無くするよう第1多孔質要素および第2多孔質要素を(たとえば相対回転および/または並進移動により)位置決めするステップが含まれていてもよい。

多孔質要素の整列群を接合するステップ540には、第1多孔質要素と第2多孔質要素とを接着、結合、溶接、焼結、固定、および/または連結するステップが含まれていてもよい。

本開示に係る発明の主題の例は、以下に列挙する段落において説明される。

A1. 発火リスク構造に関連する発火源により引き起こされる可燃性環境における発火事象をクエンチするよう構成された発火クエンチカバーであって、 多孔質体を備えており、 前記発火クエンチカバーは、発火リスク構造を覆うべく構成されて、前記発火リスク構造は可燃性環境における発火事象を生じ得る潜在的発火源に関連しており、 前記多孔質体は、前記発火事象をクエンチするようサイズ決定された流路を画定する 発火クエンチカバー。

A2. 前記多孔質体は、前記発火リスク構造を受けるべく構成され、サイズ設定され、および/または形状が決められたキャビティを画定する、段落A1に記載の発火クエンチカバー。

A3. 前記発火源は電気アーク、高温面、高温粒子放出および静電放電のうち少なくとも一つである、段落A1またはA2に記載の発火クエンチカバー。

A4. 前記発火源は、前記発火リスク構造における電荷および/または熱の蓄積に関連している、段落A1〜A3のいずれか一つに記載の発火クエンチカバー。

A5. 前記発火事象に関連する圧力波を放散および/または妨害するよう構成されている、段落A1〜A4のいずれか一つに記載の発火クエンチカバー。

A6. 前記発火事象に関連する圧力波が前記多孔質体の中を進むのを可能にするよう構成されている、段落A1〜A5のいずれか一つに記載の発火クエンチカバー。

A7. 前記発火リスク構造は導電性の構造体である、段落A1〜A6のいずれか一つに記載の発火クエンチカバー。

A8. 前記発火リスク構造は、固定具、連結器、継手、縁部、センサ、ワイヤ、管、導管および封入容器のうち少なくとも一つである、段落A1〜A7のいずれか一つに記載の発火クエンチカバー。

A9. 前記発火リスク構造は、前記可燃性環境との接触に耐えるべく構成されている、段落A1〜A8のいずれか一つに記載の発火クエンチカバー。

A10. 前記発火リスク構造は前記可燃性環境に対して化学的耐性を有している、段落A1〜A9のいずれか一つに記載の発火クエンチカバー。

A11. 燃料タンク、任意に航空機の翼燃料タンクに設置されるべく構成されている、段落A1〜A10のいずれか一つに記載の発火クエンチカバー。

A12. 80℃より低い、60℃より低い、40℃より低い、20℃より低い、0℃より低い、−80℃より高い、−60℃より高い、−40℃より高い、−20℃より高い、および/または0℃より高い温度に耐えるべく構成されている、段落A1〜A11のいずれか一つに記載の発火クエンチカバー。

A13. 前記可燃性環境に対して多孔性である、化学的耐性を有している、および/または化学的に反応しない、段落A1〜A12のいずれか一つに記載の発火クエンチカバー。

A14. 前記可燃性環境は燃料および酸化剤のうち一または複数を含み、任意に前記燃料は水素、気体炭化水素、エアロゾル化炭化水素、液体炭化水素および浮遊粒子のうち少なくとも一つを含む、段落A1〜A13のいずれか一つに記載の発火クエンチカバー。

A15. 前記可燃性環境は気体、エアロゾルおよび蒸気のうち少なくとも一つを含む、段落A1〜A14のいずれか一つに記載の発火クエンチカバー。

A16. 前記多孔質体は、少なくとも二つの多孔質要素を含む多成分および/または多層の多孔質体であり、任意に前記少なくとも二つの多孔質要素のうち少なくとも一つの流路方向は前記少なくとも二つの多孔質要素のうち少なくとも別の一つの流路方向とは異なる、段落A1〜A15のいずれか一つに記載の発火クエンチカバー。

A17. 前記多孔質体は一または複数(任意に二つまたは複数)の多孔質要素を含む、および任意に一または複数(任意に二つまたは複数)の多孔質要素であり、任意に各多孔質要素は網目状格子、網目状発泡体および開口セル発泡体からなる群からそれぞれ独立に選択される、段落A1〜A16のいずれか一つに記載の発火クエンチカバー。

A18. 前記多孔質体および/または含まれるいずれかの多孔質要素は、最大2g/cc、最大1g/cc、最大0.5g/cc、最大0.2g/cc、最大0.1g/cc、最大0.05g/cc、最大0.02g/cc、または最大0.01g/ccの重量密度を有している、段落A1〜A17のいずれか一つに記載の発火クエンチカバー。

A19. 前記多孔質体および/または含まれる少なくとも一つの多孔質要素、任意に各多孔質要素は、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の空隙率を有している、段落A1〜A18のいずれか一つに記載の発火クエンチカバー。

A20. 前記多孔質体および/または含まれる少なくとも一つの多孔質要素、任意に各多孔質要素は、前記可燃性環境の消炎距離以下の平均有効細孔径および/または平均有効流路径を有している、段落A1〜A19のいずれか一つに記載の発火クエンチカバー。

A21. 前記多孔質体および/または含まれる少なくとも一つの多孔質要素、任意に各多孔質要素は、少なくとも0.1mm、少なくとも0.2mm、少なくとも0.5mm、少なくとも1mm、少なくとも2mm、少なくとも3mm、最大10mm、最大3mm、最大1mm、最大0.3mm、および/または最大0.1mmの平均有効細孔径および/または平均有効流路径を有している、段落A1〜A20のいずれか一つに記載の発火クエンチカバー。

A22. 前記多孔質体および/または含まれる少なくとも一つの多孔質要素、任意に各多孔質要素は、網目状格子を画定するストラットを含み、任意に一または複数のストラット、任意にすべてのストラットは、中空ストラットおよび/または中空管である、段落A1〜A21のいずれか一つに記載の発火クエンチカバー。

A22.1. 前記ストラットは、平均有効細孔径および/または平均有効流路径の最大75%、最大50%、最大25%、最大10%、および/または最大5%である直径を有している、段落A22に記載の発火クエンチカバー。

A22.2. 前記中空ストラットおよび/または前記中空管は火炎抑制物質、任意にハロアルカンを含有する、段落A22またはA22.1に記載の発火クエンチカバー。

A23. 前記多孔質体および/または含まれる少なくとも一つの多孔質要素、任意に各多孔質要素は、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、エチレンビニルアセテート、ポリスルホン、複合材料、炭素繊維強化ポリマー、繊維ガラス、セラミック、ガラス、非金属、金属、アルミニウム、スチールおよびチタンのうち一または複数を含む、および/またはこれから本質的になる、段落A1〜A22.2のいずれか一つに記載の発火クエンチカバー。

A24. 前記多孔質体および/または含まれる少なくとも一つの多孔質要素、任意に各多孔質要素は、導電性または絶縁性である、段落A1〜A23のいずれか一つに記載の発火クエンチカバー。

A25. 前記多孔質体および/または含まれる少なくとも一つの多孔質要素、任意に各多孔質要素は、前記可燃性環境の容積比熱容量の少なくとも10倍、少なくとも100倍、または少なくとも1,000倍である容積比熱容量を有している、段落A1〜A24のいずれか一つに記載の発火クエンチカバー。

A26. 前記多孔質体および/または含まれる少なくとも一つの多孔質要素、任意に各多孔質要素は、前記多孔質体により画定される容積の内部における前記可燃性環境の総熱容量の少なくとも3倍、少なくとも10倍、または少なくとも30倍である総熱容量を有している、段落A1〜A25のいずれか一つに記載の発火クエンチカバー。

A27. 前記多孔質体および/または含まれる少なくとも一つの多孔質要素、任意に各多孔質要素は、前記可燃性環境の熱伝導率の少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも100倍、または少なくとも1,000倍である熱伝導率を有している、段落A1〜A26のいずれか一つに記載の発火クエンチカバー。

A28. 前記多孔質体および/または含まれる少なくとも一つの多孔質要素、任意に各多孔質要素は、発火源に関連する所定サイズより大きな高温粒子が前記多孔質体を通過するのを防止するよう構成されている、段落A1〜A27のいずれか一つに記載の発火クエンチカバー。

A29. 前記多孔質体は、前記発火クエンチカバーの外面におけるコロナ放出を回避するよう構成されている、段落A1〜A28のいずれか一つに記載の発火クエンチカバー。

B1. 発火リスク構造に関連する発火源による可燃性環境におけるバルク燃焼を防止する発火クエンチシステムであって、 可燃性環境と接触している支持構造と、 前記支持構造から前記可燃性環境内へ延びる、および/または突出する発火リスク構造と、 前記発火リスク構造を実質的に覆い、前記支持構造に連結されている多孔質発火クエンチカバーであって、前記多孔質発火クエンチカバーは、前記発火リスク構造に関連する発火源により引き起こされる前記可燃性環境における発火事象をクエンチするよう構成されている、多孔質発火クエンチカバーと を備える、発火クエンチシステム。

B2. 前記多孔質発火クエンチカバーは段落A1〜A29のいずれか一つに記載の発火クエンチカバーである、段落B1に記載の発火クエンチシステム。

B3. 前記多孔質発火クエンチカバーは前記発火リスク構造と並置されている、段落B1またはB2に記載の発火クエンチシステム。

B4. 前記多孔質発火クエンチカバーは、前記可燃性環境と接触している前記発火リスク構造の少なくとも一部を実質的に封入している、段落B1〜B3のいずれか一つに記載の発火クエンチシステム。

B5. 前記発火リスク構造は前記支持構造に連結されている、段落B1〜B4のいずれか一つに記載の発火クエンチシステム。

B6. 前記多孔質発火クエンチカバーは前記支持構造に直接的に連結されている、段落B1〜B5のいずれか一つに記載の発火クエンチシステム。

B7. 前記多孔質発火クエンチカバーは、任意に接着剤を用いて、前記支持構造に固定されている、段落B1〜B6のいずれか一つに記載の発火クエンチシステム。

B8. 前記多孔質発火クエンチカバーは、任意に前記可燃性環境の消炎距離より小さな距離だけ、前記支持構造から離隔している、段落B1〜B7のいずれか一つに記載の発火クエンチシステム。

B9. 前記多孔質発火クエンチカバーは前記発火リスク構造に連結されている、段落B1〜B8のいずれか一つに記載の発火クエンチシステム。

B10. 前記多孔質発火クエンチカバーは前記発火リスク構造に螺着されている、留め金固定されている、および/または機械的に連動している、段落B1〜B9のいずれか一つに記載の発火クエンチシステム。

B11. 前記多孔質発火クエンチカバーは、任意に接着剤を用いて、前記発火リスク構造に固定されている、段落B1〜B10のいずれか一つに記載の発火クエンチシステム。

B12. 前記多孔質発火クエンチカバーは前記発火リスク構造の少なくとも一部と一体形成されている、段落B1〜B11のいずれか一つに記載の発火クエンチシステム。

B13. 前記多孔質発火クエンチカバーは前記発火リスク構造から離隔している、段落B1〜B12のいずれか一つに記載の発火クエンチシステム。

C1. 発火リスク構造に関連する発火源による可燃性環境のバルク燃焼を防止する方法であって、 発火リスク構造を覆うように多孔質発火クエンチカバーを設置するステップを備えており、 前記多孔質発火クエンチカバーを設置するステップは、前記発火リスク構造を少なくとも部分的に封入するステップを含んでおり、 前記多孔質発火クエンチカバーは、前記発火リスク構造に関連する発火源による引き起こされる発火事象をクエンチするよう構成されている 方法。

C2. 前記多孔質発火クエンチカバーは段落A1〜A29のいずれか一つに記載の発火クエンチカバーであり、任意に前記発火クエンチカバーを選択するステップを備えている、段落C1に記載の方法。

C3. 前記可燃性環境を少なくとも部分的に封入するよう構成された容積に前記発火リスク構造を設置するステップをさらに備えており、任意に前記発火リスク構造を設置するステップは前記発火リスク構造を前記容積に暴露するステップを含む、段落C1またはC2に記載の方法。

C4. 前記多孔質発火クエンチカバーを設置するステップは、前記多孔質発火クエンチカバーを前記発火リスク構造に、任意に直接的に、固定および/または連結するステップのうち少なくとも一つ含む、段落C1〜C3のいずれか一つに記載の方法。

C4.1. 前記多孔質発火クエンチカバーを設置するステップは、任意に接着剤を用いて、前記多孔質発火クエンチカバーを前記発火リスク構造に接着するステップを含む、段落C4に記載の方法。

C5. 前記多孔質発火クエンチカバーを設置するステップは、前記発火リスク構造が延びる、および/または突出する支持構造に前記多孔質発火クエンチカバーを、任意に直接的に、固定および/または連結するステップのうち少なくとも一つを含む、段落C1〜C4.1のいずれか一つに記載の方法。

C5.1. 前記多孔質発火クエンチカバーを設置するステップは、任意に接着剤を用いて、前記多孔質発火クエンチカバーを前記支持構造に接着するステップを含む、段落C5に記載の方法。

C6. 前記多孔質発火クエンチカバーを設置するステップは、燃料タンク、任意に航空機燃料タンクに前記多孔質発火クエンチカバーを設置するステップを含む、段落C1〜C5.1のいずれか一つに記載の方法。

C7. 前記多孔質発火クエンチカバーを設置するステップは、前記発火リスク構造から既存のカバーを取り外し、前記多孔質発火クエンチカバーを受ける前記リスク構造を準備し、前記発火リスク構造の上に前記発火クエンチカバーを設置することにより前記発火リスク構造が前記発火クエンチカバーを含むように組み込むステップを含む、段落C1〜C6のいずれか一つに記載の方法。

C8. 前記発火リスク構造と、該発火リスク構造を覆うように設置された前記多孔質発火クエンチカバーとを前記可燃性環境に曝露するステップをさらに備える、段落C1〜C7のいずれか一つに記載の方法。

C9. 前記可燃性環境は段落A1〜A29のいずれか一つに記載の可燃性環境である、段落C1〜C8のいずれか一つに記載の方法。

C10. 前記多孔質発火クエンチカバーを設置するステップは、可燃性環境に曝露されるべく構成された前記発火リスク構造の一部を覆うように前記多孔質発火クエンチカバーを設置するステップを含む、段落C1〜C9のいずれか一つに記載の方法。

D1. 発火クエンチカバーの多孔質体を組み立てる方法であって、 第1平均有効径および第1流路方向を有する第1複数流路が中を通る第1多孔質要素を選択するステップと、 第2平均有効径および第2流路方向を有する第2複数流路が中を通る第2多孔質要素を選択するステップと、 前記第1流路方向を前記第2流路方向とは異なる方向に向けるステップを含む、前記第1多孔質要素および前記第2多孔質要素を整列させて多孔質要素の整列群を形成するステップと、 多孔質要素の前記整列群を接合して発火クエンチカバーの多孔質体を形成するステップと を備える方法。

D2. 前記多孔質体は段落A1〜A29のいずれか一つに記載の多孔質体である、段落D1に記載の方法。

D3. 前記発火クエンチカバーは段落A1〜A29のいずれか一つに記載の発火クエンチカバーである、段落D1またはD2に記載の方法。

D4. 前記第1平均有効径および前記第2平均有効径は略等しい、段落D1〜D3のいずれか一つに記載の方法。

D5. 前記整列ステップは、1mm、0.3mm、0.1mm、0.03mmまたは0.01mmなどの所定閾値より大きな有効径を有する多孔質要素の前記整列群を通る直線流路を無くするよう前記第1多孔質要素および前記第2多孔質要素を位置決めするステップを含む、段落D1〜D4のいずれか一つに記載の方法。

本明細書中に使用される際、用語「適用される」および「構成される」は、要素、部品またはその他の対象物が或る機能を行うべく設計および/または意図されていることを意味する。このように用語「適用される」および「構成される」の使用は、或る要素、部品またはその他の対象物が単に或る機能を行う「能力がある」ことを意味するものと解釈されるべきではなく、要素、部品および/またはその他の対象物が機能を行う目的で特に選択され、創出され、実施され、利用され、プログラミングされ、および/または設計されることを意味するものと解釈されるべきである。また、特定の機能を行うべく適用されていると詳述される要素、部品および/または詳述対象物はその機能を行うべく構成されているものとして追加的または代替的に説明されていてもよく、逆もまた同様であることも本開示の範囲に含まれる。同様に、特定の機能を行うべく構成されているものとして詳述されている対象物はその機能を行うべく作動するものとして追加的または代替的に説明されてもよい。さらに本明細書中に使用される際、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかにそうでないことが示されない限り、複数形も含むと意図されてもよい。

開示される様々なシステムおよび装置の要素、ならびに本明細書中に開示される方法のステップは、本開示に係るすべてのシステム、装置および方法に必要とされるものではなく、本開示は、本明細書中に開示される様々な要素およびステップの、すべての新規かつ非自明な組み合わせおよび部分的組み合わせを含む。また、本明細書中に開示される様々な要素およびステップのうちのいずれか、または様々な要素および/もしくはステップのいずれかの組み合わせは、開示されているシステム、装置または方法全体とは別の、かつこれとは離れている独立した発明の主題を定義し得る。したがってこのような発明の主題は本明細書中に明白に開示される特定のシステム、装置および方法に関連する必要はなく、このような発明の主題は本発明書中に明白に開示されていないシステムおよび/または方法における有用性を見出し得る。

本明細書中に使用される際、語句「例として」、語句「一例として」および/または単に用語「例」は、本開示に係る一または複数の構成要素、特徴、細部、構造、実施形態および/または方法を参照して使用される場合、説明される構成要素、特徴、細部、構造、実施形態および/または方法が、本開示に係る構成要素、特徴、細部、構造、実施形態および/または方法の例示的かつ非排他的な例であることを伝えると意図される。このように、説明される構成要素、特徴、細部、構造、実施形態および/または方法は限定的、必須、または排他的/網羅的であると意図されるものではなく、構造的および/または機能的に同様および/または同等の構成要素、特徴、細部、構造、実施形態および/または方法を含む他の構成要素、特徴、細部、構造、実施形態および/または方法も本開示の範囲に含まれる。

本明細書中に使用される際、複数の実体のリストを参照した語句「少なくとも一つ」および「一または複数」は、実体のリストにおけるいずれかの一または複数の実体を意味するものであり、実体のリストに特に挙げられるすべての各実体のうち少なくとも一つに限定されるものではない。例として「AおよびBのうち少なくとも一つ」(または同等に「AまたはBのうち少なくとも一つ」、または同等に「Aおよび/またはBのうち少なくとも一つ」)は、A単独、B単独、またはAおよびBの組み合わせを指し得る。

100 発火クエンチシステム 110 発火クエンチカバー 112 近位カバー面 114 遠位カバー面 116 キャビティ 118 ギャップ 120 多孔質体 122 細孔 124 複数ストラット 126 流路 128 中空ストラット 130 多孔質要素 132 流路方向 140 発火リスク構造 150 支持構造 160 可燃性環境 162 バルク 164 封入容積 166 内部容積 400 方法 410 設置ステップ 420 設置ステップ 430 選択ステップ 440 曝露ステップ 500 方法 510 選択ステップ 520 選択ステップ 530 整列ステップ 540 接続ステップ

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