航空機の乗客のための酸素の機上での生成

申请号 JP2015514059 申请日 2013-05-15 公开(公告)号 JP6302897B2 公开(公告)日 2018-03-28
申请人 ビーイー・エアロスペース・インコーポレーテッド; B/E Aerospace, Inc.; 发明人 クシャーサガー、ギリシュ エス.; デゲンハート、デトレフ; シェリフ、アシュラフ エフ.;
摘要
权利要求

航空機の機上の乗員用または乗客用を含む調節された酸素の流れをもたらすためのシステムであって、 初期の段階において酸素を供給するように構成された第1の機上酸素供給器であって、加圧された酸素のシリンダと化学式の酸素発生器の組み合わせを含む前記第1の機上酸素供給器と、 後の段階において航空機の機上で酸素を生成するように構成された第2の機上酸素供給器であって、電圧を印加することによって650℃〜750℃の温度において空気の供給流から酸素を触媒作用によって分離するように構成された固体電解質酸素分離器を含む前記第2の機上酸素供給器と、 前記第1の機上酸素供給器および前記第2の機上酸素供給器を制御するように構成されるとともに、前記第1の機上酸素供給器を作動させ、続いて前記第2の機上酸素供給器を作動させ、前記第2の機上酸素供給器が30,000フィートを上回る高度における呼吸に適した圧で高度に濃縮された酸素を供給することができるとともに30,000フィート以下の高度における呼吸に適した圧力で高度に濃縮された酸素を供給することもできる動作状態に達した前記第2の機上酸素供給器からの高度に濃縮された酸素の存在を感知するときに前記第1の機上酸素供給器を停止させるように構成されたコントローラと、 を備えるシステム。前記第1の機上酸素供給器が、30,000フィートを上回る高い高度における呼吸に適した圧力の高度に濃縮された酸素を供給するように構成されている請求項1に記載のシステム。前記固体電解質酸素分離器が、セラミック材料を備えており、前記セラミック材料の内部において、酸素が空気の供給流から触媒作用によって分離される請求項1に記載のシステム。前記第1の機上酸素供給器および前記第2の機上酸素供給器に連絡した関係の呼吸マスクをさらに備え、前記呼吸マスクが、前記第1の機上酸素供給器および前記第2の機上酸素供給器の少なくとも一方から酸素を受け取るように構成されている請求項1に記載のシステム。前記第1の機上酸素供給器および前記第2の機上酸素供給器の両方に接続され、検出される呼吸パターンおよび生理的な要件にもとづいて前記呼吸マスクへの酸素の流れを調節するように構成されたパルス状酸素送出サブシステムをさらに備える請求項4に記載のシステム。前記コントローラが、30,000フィートを上回る高い高度において前記第1の機上酸素供給器からの酸素の迅速な流れを開始させるように構成されている請求項1に記載のシステム。航空機の機上の乗員用または乗客用を含む調節された酸素の流れをもたらすためのシステムであって、 初期の段階において酸素を供給するように構成された第1の機上酸素供給器であって、加圧された酸素のシリンダと化学式の酸素発生器の組み合わせを含む前記第1の機上酸素供給器と、 後の段階において供給されるべき航空機の機上の酸素を生成するように構成された第2の機上酸素供給器であって、電圧を印加することによって650℃〜750℃の温度において空気の供給流から酸素を触媒作用によって分離するように構成された固体電解質酸素分離器を含む前記第2の機上酸素供給器と、 前記第1の機上酸素供給器および前記第2の機上酸素供給器の両方に連絡した関係にあり、前記第1の機上酸素供給器および前記第2の機上酸素供給器の少なくとも一方からの酸素を乗客および乗員へと供給する呼吸マスクと、 前記第1の機上酸素供給器および前記第2の機上酸素供給器の両方に電気的に接続され、前記第1の機上酸素供給器および前記第2の機上酸素供給器を制御するように構成されるとともに、前記第1の機上酸素供給器を作動させ、続いて前記第2の機上酸素供給器を作動させ、前記第2の機上酸素供給器が30,000フィートを上回る高度における呼吸に適した圧力で高度に濃縮された酸素を供給することができるとともに30,000フィート以下の高度における呼吸に適した圧力で高度に濃縮された酸素を供給することができる動作状態に達した前記第2の機上酸素供給器からの高度に濃縮された酸素の存在を感知するときに前記第1の機上酸素供給器を停止させるように構成されたコントローラと、 を備えるシステム。航空機の機上の乗員用または乗客用を含む調節された酸素の流れをもたらすためのシステムであって、 初期の段階において酸素を供給するように構成された第1の機上酸素供給器であって、加圧された酸素のシリンダと化学式の酸素発生器の組み合わせを含む前記第1の機上酸素供給器と、 後の段階において供給されるべき航空機の機上の酸素を生成するように構成された第2の機上酸素供給器であって、電圧を印加することによって650℃〜750℃の温度において空気の供給流から酸素を触媒作用によって分離するように構成された固体電解質酸素分離器を含む前記第2の機上酸素供給器と、 前記第1の機上酸素供給器および前記第2の機上酸素供給器の両方に電気的に接続され、前記第1の機上酸素供給器および前記第2の機上酸素供給器を制御するように構成されるとともに、前記第1の機上酸素供給器を作動させ、続いて前記第2の機上酸素供給器を作動させ、前記第2の機上酸素供給器が30,000フィートを上回る高度における呼吸に適した圧力で高度に濃縮された酸素を供給することができるとともにおよび30,000フィート以下の高度における呼吸に適した圧力で高度に濃縮された酸素を供給することができる動作状態に達した前記第2の機上酸素供給器からの高度に濃縮された酸素の存在を感知するときに前記第1の機上酸素供給器を停止させるように構成されたコントローラと、 前記第1の機上酸素供給器および前記第2の機上酸素供給器の両方に接続され、前記第1の機上酸素供給器および前記第2の機上酸素供給器の両方の下流に位置するパルス状酸素送出サブシステムと、 前記パルス状酸素送出サブシステムへと前記パルス状酸素送出サブシステムの下流に接続された呼吸マスクと、 を備え、 前記パルス状酸素送出サブシステムが、乗客または乗員の検出される呼吸パターンおよび生理的な要件にもとづいて前記呼吸マスクへの酸素の流れを調節するように構成されているシステム。航空機の機上の乗員用または乗客用を含む調節された酸素の流れをもたらすための方法であって、 30,000フィートを超える高い高度において第1の機上酸素供給器からの酸素の迅速な流れを開始させるために加圧された酸素のシリンダと化学式の酸素発生器の組み合わせを含む第1のシステムを作動させるステップと、 機上酸素発生器を含む第2のシステムであって電圧を印加することによって650℃〜750℃の温度において空気の供給流から酸素を触媒作用によって分離するように構成された固体電解質酸素分離器を含む前記第2のシステムをオンにするステップと、 前記機上酸素発生器からの酸素の流れを開始させるために前記第2のシステムを作動させるステップと、 前記第2のシステムから供給される酸素を前記第1のシステムから供給される酸素と統合するステップと、 前記第2のシステムの前記機上酸素発生器が30,000フィートを上回る高度における呼吸に適するとともに30,000フィート以下の高度における呼吸にも適した圧力で高度に濃縮された酸素を供給することができる動作状態に達した前記第2のシステムからの高度に濃縮された酸素の存在を検出することにより前記第2のシステムが酸素の需要を満たすことができる場合に前記第1のシステムを停止させるステップと、 乗客または乗員の呼吸パターンを検出するステップと、 乗客または乗員の呼吸マスクへの酸素の流れを、検出される呼吸パターンおよび生理的な要件にもとづいて酸素の流量を変化させるように構成されたパルス状酸素送出サブシステムを介して前記第1のシステムまたは前記第2のシステムから前記マスクへと酸素をもたらすことによって、調節するステップと、 を含む方法。

说明书全文

本発明は、広くには、航空機に搭乗中の乗員または乗客などに酸素の調節された流れをもたらすためのシステムおよび方法に関する。本発明は、さらに詳しくは、呼吸に適した酸素ガスが航空機の降下時などに航空機に搭乗中の乗員または乗客にとって迅速かつ間欠的に利用可能であることを保証するためのシステムおよび方法に関する。本システムの構成要素は、酸素発生器を含む。

航空機の乗客に酸素を供給するための伝統的なシステムおよび方法は、典型的には、客席の上方に位置するパッセンジャー・サービス・ユニット(PSU)において化学的に生成され、あるいは加圧された気体のシリンダから送出される気体の酸素に頼っている。後者によれば、気体の酸素を、機上の中央集中型の分配網を通じて送出することができ、あるいは複数の別々の個人用の気体のシリンダから送出することができる。

および流量調節装置を、酸素を供給するシステムに備えることもでき、酸素豊富なガスを、乗客の呼吸マスクへともたらす前に、これらの装置へともたらすことができる。流れの調節を助けるために、圧力センサを、そのような酸素供給システムの配管の吸気および呼気の気道に設けることができる。酸素を調節するための1つの公知の方法は、呼吸サイクルの呼気段階の開始を明らかにするステップと、呼吸サイクルの呼気段階のあいだ配管系へのガスの流れの送出を中断するステップと、呼吸サイクルの呼気段階の複数の制御インターバルにおいて配管系における呼気の流量および圧力を監視するステップとを含む。

現時点において、気体酸素の供給源を利用する大型の航空機の乗客用酸素システムにおいては、酸素が、典型的には、中央に配置された貯蔵容器またはシリンダのバンクから、配管網によって、一般的には各々の座席列に隣接して位置するマニホールドへと分配される。典型的には、マニホールドの個々のオリフィスを介して各々の乗客用マスクへの供給が行われる。マニホールドへの入力圧力を変えることによって、各々のマスクへの酸素の流れを変えることができる。

非常用の酸素をフェイスマスクへと供給すべき場合、典型的には、酸素の一定の流れが、フェイスマスクへと取り付けられた呼吸バッグによって受け取られる。酸素が、一般的には、平均的な呼吸速度よりも速く呼吸している平均的な1回換気量よりも大幅に大きい乗客のニーズにすら対応できるように計算される流量にて連続的に供給される。呼吸バッグおよびマスクへの酸素の連続的な流れは、典型的には客室の空気によって希釈される。

化学的な生成による酸素システムは、一般に、22分未満のより短い継続時間の飛行に適する。しかしながら、飛行経路の地勢も、酸素の需要を満たすための化学的な生成による酸素システムの適切性の判断因子である。これらの制限に加えて、化学的な生成による酸素システムは、ひとたび作動させると1回だけしか使用することができず、将来の使用に備えて交換が必要になる使い捨ての装置として設けられる。点火装置を備える複数の化学式の酸素発生器と、点火装置を順に作動させるためのシーケンサと、化学式の酸素発生器によって生成された酸素が分配される酸素マスクとを備える航空機の客室へと酸素を供給するための1つの伝統的なシステムが公知である。分配システムの一部である圧力センサが、圧力がしきい値を下回って低下するときに次の化学式の酸素発生器の点火装置を順に作動させるようにシーケンサを制御する。

より長い継続時間の飛行ならびに変化する地勢または骨の折れる地勢を免れない飛行において、気体酸素が必要とされる。気体酸素は、シリンダに蓄えられるが、シリンダは、かなりの重量の付加および燃料コストの上昇につながり、酸素供給システムの危険の可能性の原因となる。

酸素豊富化ガスの加圧シリンダまたは化学式の酸素発生器のいずれかに完全に頼ることには、いくつかの欠点が存在する。酸素豊富化ガスの加圧シリンダは、酸素供給システムにかなりの重量を追加するとともに、絶えず存在する燃焼の恐れをもたらすことによって、危険の可能性の一因となる。追加の重量は、燃料コストを増加させる。ガスの加圧シリンダからの酸素を、航空機の分配網における1つ以上の供給源から分配することができ、あるいは個別のシリンダを、各々の乗客または乗員について設けることができる。いずれの場合も、航空機の限られた空間に鑑みて、シリンダからの酸素は、典型的には航空機の照明システムの構成要素から遠くなく、危険の可能性を高めている。例えば、座席の上方の個々のシリンダまたは分配網の出口が、光源の近くである。

化学式の酸素発生器は、この危険の可能性を減らし、加圧された気体のシリンダを継続的に格納する重量を削減するが、上述のように適用に限界がある。加圧シリンダの補充および1回だけしか使用できない化学式の酸素発生器の交換の必要性が、航空機の酸素供給システムの維持コストを高めている。

したがって、酸素の生成、貯蔵、分配、または消費のいずれかに関して、そのような航空機の非常用酸素供給システムの効率を高めることは、重量の節約をもたらすことができる。反対に、航空機の非常用酸素供給システムの効率を高めることは、それに対応したサイズの縮小を行わない場合、システムの動作において大きな安全マージンをもたらすと考えられる。したがって、非常用酸素供給システムの効率を何らかの方法で高めることが、きわめて望ましいと考えられる。

航空機の客室の乗客に適切に酸素を供給するために必要な送出される追加の酸素の流量は、周囲の気圧高度に依存する。ユーザへともたらされる酸素の量を、必要とされるよりも多くの量の酸素が非効率的かつ無駄にもたらされることを回避しつつ、もたらされる量によって適切な酸素の供給が生じるように、高度の関数として好都合に変化させることができる。

加圧された気体のシリンダおよび化学式の酸素発生器など、以前から存在する酸素の発生源からの航空機の機上における酸素の供給に加えて、機上酸素発生器(OBOG)が公知である。機上酸素発生器(OBOG)の2つの種類として、分子ふるい酸素発生器(MSOG)およびセラミック酸素発生器(COG)が挙げられる。

供給気体から酸素または酸素豊富化ガスの供給ならびに残留ガスを生成する分子ふるい酸素発生(MSOG)システムが公知である。圧力スイング吸着(PSA)技術に頼る分子ふるい酸素発生器(MSOG)方式の機上酸素発生器(OBOG)装置が使用され、効率的に運転されるとき、最大95%の酸素を含む酸素豊富化ガスが生み出され、残留ガスの流れは、約9%を超える酸素を含む可能性がある。しかしながら、このシステムは、動作の初期の段階において航空機の乗客の酸素の需要を満たすための適用性が限られている。さらに、このシステムは、酸素の消費を最小化することがなく、あるいは酸素を節約することがない。

分子ふるい酸素発生(MSOG)システムに取り入れられた圧力スイング吸着(PSA)技術は、加圧されたガスが通常は固体表面へと引き付けられ、その表面に吸着するという原理にもとづく。圧力が高いほど、ガスの吸着が多くなる。圧力が高から低へと下げられ、あるいはスイングされるとき、ガスの放出または脱着が生じる。異なる気体は、異なる固体材料へと異なる程度で吸着され、あるいは引き付けられる傾向にあるため、気体混合物を、圧力スイング吸着(PSA)によって分離することができる。

したがって、圧力が下げられるとき、固体材料にあまり強くは引き付けられないガスが最初に脱着され、出口流を形成する。ガスが吸着された固体材料の床がその吸着の限度容量に達した後で、圧力がさらに下げられ、より強く引き付けられたガスも放出される。機上酸素発生器(OBOG)に当てはまるとおり、典型的にはエンジンの抽気が圧力スイング吸着(PSA)装置へと送られ、空気のチッ素成分が空気の酸素成分よりも強く固体材料の床へと吸着され、酸素豊富となった気体の出口流が生成される。これは、気腫の患者および呼吸のために酸素豊富な空気を必要とする他の者のための可搬の酸素濃縮装置において用いられるプロセスと同様である。

圧力スイング吸着(PSA)システムのための吸着剤は、選択的な吸着を示す2つ以上のガスの間の区別の能力を有さなければならない。圧力スイング吸着(PSA)システムに適した吸着剤は、通常は、例えば活性炭、シリカゲル、アルミナ、およびゼオライトなど、大きな表面積ゆえに選択されるきわめて多孔性の材料である。これらの表面に吸着されたガスは、厚さが分子1つ分にすぎず、あるいは最大でも分子数個分にすぎない層を構成することができる。1グラムにつき数百平方メートルの表面積を有する吸着剤が、ガスにて吸着剤の重量のかなりの割合を吸着することを可能にする。ゼオライトおよび炭素分子ふるいと呼ばれるある種の活性炭の分子ふるい特性が、一部のガス分子を、異なるガスについての差別的な吸着の選択性に加えて、サイズにもとづいて排除するように機能する。

第1に搭乗員によって呼吸に使用される酸素を生成し、第2に航空機の燃料タンクの不活性環境として使用されるチッ素を生成するために、分子ふるい床および/または透過膜の技術を利用する別のシステムが、公知である。しかしながら、そのようなシステムは、依然として酸素(酸素を呼吸に適した圧力で届けることができるように)およびチッ素の両方について圧縮機を設けることを必要とする。また、生み出すことができる酸素の濃度が、使用される伝統的な機上酸素発生器(OBOG)の装置技術の性質によって制限される。高温が必要であるがゆえに、酸素の全能力が利用可能となるまでに時間遅延が存在する。

他の種類の機上酸素発生器(OBOG)は、セラミック酸素発生器(COG)である。セラミック酸素発生器(COG)装置は、酸素が電圧を使用して約650℃〜750℃の高い温度で特殊なセラミック材料の内部で空気から触媒作用によって分離される固体電解質酸素分離(SEOS)技術を利用する。このプロセスは、30,000フィートを超える高い高度を含む任意の高度における呼吸に適した実質的に純粋な酸素ガス生成物を圧力において生成するが、最初に装置が必要とされる動作温度に到達しなければならないため、装置の起動時に酸素がすぐには利用できないことが欠点である。

機上酸素発生器(OBOG)装置によって生成される呼吸用の酸素は、典型的には、膜を通る必要な循環ゆえに、すぐには利用することができない。セラミック酸素発生器(COG)装置は、典型的には、呼吸に適した圧力においてより純粋またはより高度に濃縮された酸素豊富ガスをもたらす能力にもとづいて、分子ふるい酸素発生器(MSOG)装置よりも優れているが、セラミック酸素発生器(COG)装置からの酸素も、そのような装置からの酸素の発生に必要な高い温度の要件ゆえに、すぐには利用することができない。

非常の状況が航空機の機上において生じるときに、呼吸に適した濃度、温度、および圧力で迅速に利用することができる酸素が必要である。30,000フィートを上回る高い高度においては、99%以上の純度の酸素が必要とされる。30,000フィート以下のより低い高度においては、90〜95%の酸素である酸素ガスが、好適であると考えられる。非常の状況として、急激な客室の減圧、急な降下、などを挙げることができる。

セラミック酸素発生器(COG)装置を酸素を短時間でもたらす他の供給源と統合することによって、降下時または非常の状況の発生時に、短時間での呼吸用の酸素ガスの入手性を犠牲にすることなく、固体電解質酸素分離(SEOS)技術を取り入れるセラミック酸素発生器(COG)装置の利点を活用するシステムを提供することが、望ましいと考えられる。理想的には、セラミック酸素発生器(COG)装置などの機上酸素発生器(OBOG)装置を短時間の酸素の供給と統合するそのようなシステムは、酸素の節約および酸素の使用の効率の最大化も可能にすると考えられる。

短期間の必要性は、非常の状況の発生時または航空機の初期の降下の態様において出現する。より長期の必要性は、航空機の後の高度維持の態様において存在する。さらに、加圧された気体のシリンダまたは化学式の酸素発生器への依存を減らすことによって酸素の使用の効率を最大にするためのシステムおよび方法を提供することも望ましいと考えられる。加圧シリンダおよび化学式の酸素発生器に依存する航空機の維持コストを下げるために、そのようなかさばるシリンダおよび1回だけしか使用できない使い捨ての発生器の使用を、機上酸素発生器(OBOG)装置からの酸素豊富化ガスが利用可能となるまでの非常および降下の状況のために残しておくシステムについて、ニーズが存在する。

さらに、酸素が安全のために許されるマージンを伴って必要に応じてもたらされるようにフィードバック機構を利用して酸素を乗客または乗員のマスクへと間欠的にもたらすことによって利用可能となるまたは生成される酸素を節約することが、望ましいと考えられる。本発明は、これらのニーズおよび他のニーズを満たす。

要約すると、一般論として、本発明は、呼吸に適した酸素豊富ガスを迅速かつ間欠的に供給するためのシステムおよび方法を提供する。本発明の一態様によれば、システムが、非常および初期の降下ならびに高度の保持の両方の態様などにおいて、航空機の乗員および乗客の必要性を満たすように設計される。

いくつかの態様のうちの第1の態様によれば、本発明は、航空機の機上の乗員または乗客などに調節された酸素の流れをもたらすためのシステムであって、初期の段階において酸素を供給するように構成された第1の機上酸素供給器と、後の段階において航空機の機上で酸素を生成するように構成された第2の機上酸素供給器と、前記第1の機上酸素供給器および前記第2の機上酸素供給器を制御するように構成されたコントローラとを備えるシステムを提供する。前記第1の機上酸素供給器は、加圧された酸素のシリンダおよび/または化学式の酸素発生器を備えることができる。前記第1の機上酸素供給器は、30,000フィートを上回る高い高度における呼吸に適した圧力の高度に濃縮された酸素を供給するように構成される。前記第2の機上酸素供給器は、電圧を印加することによって650℃〜750℃の温度において空気の供給流から酸素を触媒作用によって分離するように構成された固体電解質酸素分離器を備える。前記固体電解質酸素分離器は、セラミック材料を備え、前記セラミック材料の内部において、酸素が空気の供給流から触媒作用によって分離される。

本システムは、前記第1の機上酸素供給器および前記第2の機上酸素供給器に連絡した関係の呼吸マスクをさらに備えることができ、前記呼吸マスクが、前記第1の機上酸素供給器および前記第2の機上酸素供給器の少なくとも一方から酸素を受け取るように構成される。本システムは、前記第1の機上酸素供給器および前記第2の機上酸素供給器の両方に接続され、検出される呼吸パターンおよび生理的な要件にもとづいて前記呼吸マスクへの酸素の流れを調節するように構成されたパルス状酸素送出サブシステムをさらに備えることができる。前記コントローラは、30,000フィートを上回る高い高度において前記第1の機上酸素供給器からの酸素の迅速な流れを開始させるように構成される。

第2の態様によれば、本発明は、航空機の機上の乗員または乗客などに調節された酸素の流れをもたらすためのシステムであって、初期の段階において酸素を供給するように構成された第1の機上酸素供給器と、後の段階において供給されるべき航空機の機上の酸素を生成するように構成された第2の機上酸素供給器と、前記第1の機上酸素供給器および前記第2の機上酸素供給器の両方に連絡した関係にあり、前記第1の機上酸素供給器および前記第2の機上酸素供給器の少なくとも一方からの酸素を乗客および乗員へと供給する呼吸マスクと、前記第1の機上酸素供給器および前記第2の機上酸素供給器の両方に電気的に接続され、前記第1の機上酸素供給器および前記第2の機上酸素供給器を制御するように構成されたコントローラとを備えるシステムを提供する。

第3の態様によれば、本発明は、航空機の機上の乗員または乗客などに調節された酸素の流れをもたらすためのシステムであって、初期の段階において酸素を供給するように構成された第1の機上酸素供給器と、後の段階において供給されるべき航空機の機上の酸素を生成するように構成された第2の機上酸素供給器と、前記第1の機上酸素供給器および前記第2の機上酸素供給器の両方に電気的に接続され、前記第1の機上酸素供給器および前記第2の機上酸素供給器を制御するように構成されたコントローラと、前記第1の機上酸素供給器および前記第2の機上酸素供給器の両方に接続され、前記第1の機上酸素供給器および前記第2の機上酸素供給器の両方の下流に位置するパルス状酸素送出サブシステムと、前記パルス状酸素送出サブシステムへと前記パルス状酸素送出サブシステムの下流に接続された呼吸マスクとを備えており、前記パルス状酸素送出サブシステムが、乗客または乗員の検出される呼吸パターンおよび生理的な要件にもとづいて前記呼吸マスクへの酸素の流れを調節するように構成されているシステムを提供する。

第4の態様によれば、本発明は、航空機の機上の乗員または乗客などに調節された酸素の流れをもたらすための方法であって、30,000フィートを超える高い高度において第1の機上酸素供給器からの酸素の迅速な流れを開始させるために第1のシステムを作動させるステップと、機上酸素発生器を含む第2のシステムをオンにするステップと、前記機上酸素発生器からの酸素の流れを開始させるために前記第2のシステムを作動させるステップと、前記第2のシステムから供給される酸素を前記第1のシステムから供給される酸素と統合するステップと、前記第2のシステムが酸素の需要を満たすことができる場合に前記第1のシステムを停止させるステップと、乗客または乗員の呼吸パターンを検出するステップと、乗客または乗員の呼吸マスクへの酸素の流れを、検出される呼吸パターンおよび生理的な要件にもとづいて酸素の流量を変化させるように構成されたパルス状酸素送出器を介して前記第1のシステムまたは前記第2のシステムから前記マスクへと酸素をもたらすことによって調節するステップとを含む方法を提供する。本方法によれば、前記第1の機上酸素供給器は、加圧された酸素のシリンダおよび/または化学式の酸素発生器を備えることができる。前記第2のシステムの前記機上酸素発生器は、30,000フィートを上回る高い高度における呼吸に適し、30,000フィート以下の高度における呼吸にも適した圧力で、高度に濃縮された酸素を供給するように構成される。

本システムは、酸素発生器の重量、体積、および潜在的な燃焼の恐れを最小にするように設計される。本システムは、さらに、種々の供給源からの酸素の供給およびシステムの種々の構成要素の相互作用を選択的に制御することによって酸素の使用を節約するように設計される。

加圧された酸素豊富なガスのシリンダまたは化学式の酸素発生器を、非常の状況の発生時または初期の航空機の降下の態様において呼吸に適した圧力で酸素ガスを速やかに供給するために使用することができる。

本発明のいくつかの態様のうちの1つによれば、本システムは、伝統的な加圧シリンダまたは化学式の酸素発生器とともに、より軽量な機上酸素発生器(OBOG)装置をシステムの一部として酸素を供給するために備える。シリンダに蓄えられるべき酸素の量または化学式の酸素発生器によって生成されるべき酸素の量を、非常の状況または降下の開始から機上酸素発生器(OBOG)装置からの酸素の第2の供給が利用可能になるまでの時間期間をまかなうために必要な酸素の量へと減らすことができる。

本発明のシステムは、地上での加圧シリンダへの気体酸素の補充の必要性を低減または皆無にし、さらには1回だけしか使用することができない化学式の酸素発生器の交換の必要性を低減または皆無にすることによって、維持のコストを下げるように設計されている。本発明のシステムは、これらの目的を、機上酸素発生器(OBOG)装置から生成される余分な高純度の酸素ガスを将来の使用のために蓄えることによって達成することができる。乗客または乗員の当面の呼吸の必要性を満たすために必要な分を超える余分な高度に酸素豊富なガスを、加圧シリンダまたは他の非常時の供給用の備蓄へと送ることができる。

本発明のシステムは、乗客または乗員の呼吸マスクを通じての吸入を検出し、吸入の検出時にマスクへの酸素の流れを開始または再開する。呼吸マスクへと供給を行うパルス状酸素送出サブシステムが、乗客および乗員の既知または検出される生理的な要件にもとづき、航空機の降下プロファイルによって決定付けられるとおりにマスクへの酸素の流量を調節するように設計される。

上述の構成要素に加えて、本発明は、短時間での呼吸のための適切に濃縮された酸素の供給の維持、非常用の酸素供給源の補充、燃焼の速度に合わせた燃料タンク内の空間を満たすための充分な不活性ガスの流れの供給、などを含む望ましい効果を生み出すために、追加の機上酸素発生器(OBOG)または機上不活性ガス発生器(OBIGG)装置を任意の並び、組み合わせ、または配置にて取り入れることも可能である。

本発明の他の特徴および利点が、以下の詳細な説明を本発明の原理を一例として示している添付の図面と併せて検討することによって、明らかになるであろう。

本発明の一態様による共通のコントローラによる伝統的および現代的な酸素供給システムの統合を説明する概略図である。

本発明の第2の態様による共通のコントローラによる伝統的および現代的な酸素供給システムの統合を説明する概略図である。

本発明の第3の態様による共通のコントローラによる伝統的および現代的な酸素供給システムの統合を説明する概略図である。

本発明の一態様による航空機の機上において酸素の調節された流れをもたらすための方法を説明するフロー図である。

本発明は、酸素の生成、供給、および適切な備蓄の維持のためのシステムおよび方法を提供する。本発明の1つの好ましい用途は、30,000フィートを上回る高い高度、降下時、30,000フィート以下の高度の保持、変化する地勢を越える飛行経路、および任意の継続時間の飛行などにおいて、航空機の機上の乗客および乗員のために酸素を供給することにある。本発明は、ビジネスジェット機および民間航空機の両方における乗客および乗員への酸素の供給において、いくつかの利点を提供する。

酸素の適切な備蓄の維持を、生成された余分な酸素を非常用備蓄の補充を通じて将来の使用のために蓄えることによって、達成することができる。システムから供給される酸素を乗客および乗員が必要とする酸素によりぴったりと一致させることによる利用可能な酸素の保存も、適切な備蓄の維持を助ける。

したがって、あくまでも例示の目的で提示され、本発明を限定しようとするものではない図1〜3に示されるとおり、本発明は、航空機において必要に応じて迅速かつ間欠的に酸素の調節された流れを供給するためのシステムを提供する。図1を参照すると、第1の現時点における好ましい実施形態においては、航空機において必要に応じて迅速かつ間欠的に酸素の調節された流れを供給するためのシステム100が、配線104を介して加圧シリンダ110に電子的に連絡したコントローラまたは制御システム102を備える。コントローラは、さらに配線105を介してパルス状酸素送出サブシステム122に電子的に連絡している。さらに、コントローラは、配線108を介して機上酸素発生器114に電子的に連絡している。加圧された酸素のシリンダは、供給配管116を介してパルス状酸素送出サブシステムに連通している。機上酸素発生器も、供給配管120を介してパルス状酸素送出サブシステムに連通している。次いで、パルス状酸素送出サブシステムは、乗客および乗員のために設けることができる1つ以上の呼吸マスク132、134、136、および138に、低圧配管124、126、128、および130を介して連通している。随意により、コントローラおよび/またはパルス状酸素送出サブシステムに電子的に連絡した1つ以上のセンサ140または検出器を、さらに後述されるように空気の圧力および/または流れを検出し、空気の圧力および/または流れを表す対応するセンサ信号をコントローラへと伝えるために、呼吸マスク、パルス状酸素送出サブシステム、酸素の供給源、あるいは酸素を供給する供給配管または低圧配管のいずれかに設けることができる。

図1、2、および3に関して、さまざまな種類のセンサまたは検出器を、酸素の供給源、供給配管、パルス状酸素送出サブシステム、および呼吸マスクの各々に設けることができる。本明細書において使用されるとき、参照番号140は、これらの場所のうちのいずれかにおける任意の種類のセンサまたは検出器を広く一般的に指し、必ずしも種々の場所の各々において同じである必要はない。例えば、参照番号140によって表されるセンサまたは検出器は、圧力、流量、温度、体積、気体混合物を構成している気体の濃度、酸素の使用の速度、などを測定するためのセンサまたは検出器であってよい。

図2を参照すると、第2の現時点における好ましい実施形態においては、航空機において必要に応じて迅速かつ間欠的に酸素の調節された流れを供給するためのシステム200が、配線106を介して化学式の酸素発生器112に電子的に連絡したコントローラまたは制御システム102を備える。コントローラは、さらに配線105を介してパルス状酸素送出サブシステム122に電子的に連絡している。さらに、コントローラは、配線108を介して機上酸素発生器114に電子的に連絡している。化学式の酸素発生器は、供給配管118を介してパルス状酸素送出サブシステムに連通している。機上酸素発生器も、供給配管120を介してパルス状酸素送出サブシステムに連通している。次いで、パルス状酸素送出サブシステムは、乗客および乗員のために設けることができる1つ以上の呼吸マスク132、134、136、および138に、低圧配管124、126、128、および130を介して連通している。随意により、コントローラおよび/またはパルス状酸素送出サブシステムに電子的に連絡した1つ以上のセンサ140または検出器を、さらに後述されるように空気の圧力および/または流れを検出し、空気の圧力および/または流れを表す対応するセンサ信号をコントローラへと伝えるために、呼吸マスク、パルス状酸素送出サブシステム、酸素の供給源、あるいは酸素を供給する供給配管または低圧配管のいずれかに設けることができる。

図3を参照すると、第3の現時点における好ましい実施形態においては、航空機において必要に応じて迅速かつ間欠的に酸素の調節された流れを供給するためのシステム300が、配線104を介して加圧シリンダ110に電子的に連絡し、配線106を介して化学式の酸素発生器112にも電子的に連絡したコントローラまたは制御システム102を備える。コントローラは、さらに配線105を介してパルス状酸素送出サブシステム122に電子的に連絡している。さらに、コントローラは、配線108を介して機上酸素発生器114に電子的に連絡している。加圧された酸素のシリンダは、供給配管116を介してパルス状酸素送出サブシステムに連通しており、化学式の酸素発生器は、供給配管118を介してパルス状酸素送出サブシステムに連通している。機上酸素発生器も、供給配管120を介してパルス状酸素送出サブシステムに連通している。次いで、パルス状酸素送出サブシステムは、乗客および乗員のために設けることができる1つ以上の呼吸マスク132、134、136、および138に、低圧配管124、126、128、および130を介して連通している。随意により、コントローラおよび/またはパルス状酸素送出サブシステムに電子的に連絡した1つ以上のセンサ140または検出器を、さらに後述されるように空気の圧力および/または流れを検出し、空気の圧力および/または流れを表す対応するセンサ信号をコントローラへと伝えるために、呼吸マスク、パルス状酸素送出サブシステム、酸素の供給源、あるいは酸素を供給する供給配管または低圧配管のいずれかに設けることができる。

化学式の酸素発生器112は、随意により、1つ以上の付随の点火装置またはシーケンサあるいは化学式酸素発生器起動装置を備えることができる。

機上酸素発生器(OBOG)114は、固体電解質酸素分離(SEOS)技術を取り入れるセラミック酸素発生器(COG)装置を備えることができる。

少なくとも1つの機上酸素発生器(OBOG)は、好ましくはセラミック酸素発生器(COG)の形式の機上酸素発生器である。セラミック酸素発生器(COG)の形式の装置は、呼吸に適した圧力の高度に濃縮された酸素ガス(実質的に100%のO2)を生成することによって、空間の占有および重量の付加につながる圧縮機の必要性を軽減し、あるいは皆無にするという利点をもたらす。

図4を参照すると、本発明の実施形態による方法400の各ステップが示されている。航空機の機上の乗員または乗客などのために酸素の調節された流れを供給するための方法は、30,000フィートを上回る高い高度において第1の機上酸素供給器からの酸素の迅速な流れを開始させるために第1のシステムを作動させるステップ402を含む。次いで、機上酸素発生器を含む第2のシステムが、404においてオンにされる。第2のシステムは、機上酸素発生器からの酸素の流れを開始させるために406において作動させられる。次いで、408において、第2のシステムから供給される酸素が、第1のシステムから供給される酸素と統合される。第1のシステムは、410に示されているとおり、第2のシステムが酸素の需要を満たすことができるときに停止させられる。412において、乗客または乗員の呼吸パターンが検出される。414において、呼吸マスクへの酸素の流れが、例えば検出された呼吸パターンおよび生理的な要件にもとづいて酸素の流量を変化させるように構成されたパルス状酸素サブシステムを介して第1のシステムまたは第2のシステムからマスクへと酸素をもたらすことによって調節される。

例えば非常の状況の発生の直後などの初期の段階において、酸素がきわめて豊富なガスの流れが、第1の機上酸素供給器からもたらされる。初期の段階は、典型的には、航空機が30,000フィートを超える高度にあるときに存在する。後の段階において、酸素が第2の機上酸素供給器から供給される。第2の機上酸素供給器は、航空機の機上で酸素豊富なガスを生成する機上酸素発生器を備える。後の段階は、典型的には、航空機が初期の降下を終え、待機高度に達した後に存在する。

空気の供給流から酸素を分離するためのセラミック膜は、酸素をイオン化して分離するために、特殊なセラミック材料の内面の触媒特性に依存する。航空機への適用時に、セラミック酸素発生器(COG)の形式の機上酸素発生器(OBOG)装置のための空気の供給流は、典型的にはエンジンの抽気である。しかしながら、セラミック酸素発生器(COG)の形式の機上酸素発生器(OBOG)装置のための供給ガスは、他の供給源から由来してもよい。例えば、供給ガスは、セラミック酸素発生器(COG)または分子ふるい酸素発生器(MSOG)などの上流に位置する他の機上酸素発生器(OBOG)装置の生成物の流れから由来することができる。

高い表面温度における酸素のイオン化プロセスが、生物学的な成分または有毒な化学成分の存在の可能性のない実質的に100%の純粋な酸素であるセラミック膜システムからの生成ガスの生成の一因である。セラミックの動作温度は、約700℃であり、膜にわたる電位差は1ボルト程度である。セラミック膜酸素発生器は、イオン輸送膜(ITM)技術の1つの好ましい部分集団である。

セラミック酸素発生器(COG)装置によって生成される高濃度の酸素ガスが、30,000フィートを上回る高い高度での呼吸に適する一方で、分子ふるい酸素発生器(MSOG)装置を含む他の形式の機上酸素発生器(OBOG)装置によって生成されるより控え目な濃度の酸素ガスは、より高い高度での呼吸には適さず、より低い高度における呼吸に適する前に加圧のための圧縮機を必要とする。セラミック酸素発生器(COG)装置からの高濃度の酸素ガスを、そのようなガスの生成に必要な高い温度の要件の達成を待った後で、任意の高度における呼吸に直接使用することができる。

航空機の機上のセラミック酸素発生器(COG)装置を待機させておくことができることは、加圧されたガスのシリンダおよび化学式の酸素発生器への依存を減らす。セラミック酸素発生器(COG)の形式の機上酸素発生器(OBOG)装置が利用可能である場合、より小さい加圧ガスのシリンダを備えればよい。さらに、セラミック酸素発生器(COG)装置によって生成される余分な酸素を、空気中でのより小さい加圧シリンダの補充に使用することで、地上での加圧気体のシリンダの補充または交換からの維持コストを下げることができる。

本発明は、このセラミック酸素発生器(COG)装置および既存の固体電解質酸素分離(SEOS)技術を、酸素をより迅速に供給することができる他の構成要素を備えるシステムに構成要素として取り入れ、構成要素間の酸素の供給を管理することによって、セラミック酸素発生器(COG)および固体電解質酸素分離(SEOS)装置において直面される遅延の欠点を克服する。例えば、きわめて酸素豊富なガス(おおむね99%以上の酸素)の加圧シリンダまたは化学式の酸素発生器が、非常の状況の発生時におおむね最初の5〜10分間にわたって酸素を供給することができる。最初の5〜10分間の後で、航空機は30,000フィート以下へと降下している可能性が高く、この時点において、より低い高度での呼吸に適したより控え目な濃縮の酸素ガス(90〜95%)を供給するために、分子ふるい酸素発生器(MSOG)の方式の機上酸素発生器(OBOG)に頼ることができる。あるいは、最初の5〜10分間の後で、航空機が酸素の供給源を分子ふるい酸素発生器(MSOG)へと切り替えるには充分に降下していない場合、そのときまでに、セラミック酸素発生器(COG)の形式の機上酸素発生器(OBOG)装置が、必要な温度の要件に到達し、充分にサイクルされ、すぐに利用できる状態になると思われる。

コントローラを、1つ以上の個別の呼吸マスクへと供給を行うパルス状酸素送出サブシステムの1つ以上のパルス状酸素供給器(図示されていない)への種々の供給源からの酸素の供給を協調させるために使用することができる。コントローラは、どの品質の酸素が必要とされるのかを高度にもとづいて判断でき、どの酸素供給源が利用できるかを判断できる。コントローラは、適切な備蓄を維持しつつ乗客および乗員の需要を満たすために必要なとおりに酸素の供給を管理する。

例えば、30,000フィートを上回る高い高度において生じる非常の状況において、セラミック酸素発生器(COG)装置が非常の状態の発生までオンにされていないがゆえに、セラミック酸素発生器(COG)装置からの酸素が迅速には利用できない場合、コントローラは、加圧シリンダまたは化学式の酸素発生器に酸素を速やかに供給するように指示することができる。セラミック酸素発生器(COG)装置が650℃〜750℃の動作温度およびサイクリングを達成すると、コントローラは、セラミック酸素発生器(COG)装置から利用することができる高度に濃縮された酸素の存在を検出し、これを加圧シリンダまたは化学式の酸素発生器からの供給の流れにしみ込ませ、ひとたびセラミック酸素発生器(COG)の形式の機上酸素発生器(OBOG)装置が需要を適切に満たすことができるようになると、加圧シリンダまたは化学式の酸素発生器からの供給を停止させることができる。

本システムによって航空機において必要に応じて迅速かつ間欠的に酸素の調節された流れをもたらすことができる1つの方法は、呼吸サイクルの呼気段階において乗客または乗員の呼吸マスクへの酸素の流れを規制し、吸気段階において呼吸マスクへの酸素の流れを再開するなどによって酸素を節約することができるパルス状酸素送出サブシステムによる。

例えば、乗客または乗員の呼吸サイクルの吸気段階または呼気段階を検出し、次いでこの情報をコントローラへと通信するために、1つ以上のセンサを各々の呼吸マスクに連通させて設けることができる。次いで、コントローラが、乗客および乗員の需要を満たしつつ酸素の供給をより良好に管理するために、必要に応じて酸素の流れを節約し、減少させ、停止させ、増加させ、あるいは再開するように、パルス状酸素送出サブシステムおよび酸素の供給源に相応の指示を行う。

他の構成要素を、種々の実施形態に取り入れることができるが、必須ではない。例えば、それら他の構成要素は、主機室減圧リレー、1つ以上の追加のリレー、各々の酸素供給源と酸素供給源から各々の呼吸マスクへの各々の供給配管との間の電気動作のオン/オフ入口バルブ、1つ以上の圧力トランスデューサ、などであってよい。

システムの他の構成要素として、酸素発生器(とくには、高温のセラミック酸素発生器(COG)装置)からの濃縮された酸素ガスが生理学的な好みまたは要件に適合した適切な温度で乗客または乗員の呼吸マスクへと供給されることを保証するための例えば供給配管における冷却または加熱装置を挙げることができる。例えば供給配管における冷却または加熱装置を、不活性ガスが適切な温度で燃料タンクへともたらされることを保証するために設けることも可能である。

さらに、パルス状酸素送出サブシステムは、個々の呼吸マスクへと酸素の流れを間欠的にもたらすための1つ以上のパルス状酸素供給器(図示されていない)を含むことができる。呼吸マスクの各々が、呼吸バッグを備えることができる。

別の実施形態においては、制御システムの一部として、コントローラに加えて、各々の酸素供給源に、利用可能な体積および酸素の濃度を割り出すための1つ以上のセンサ140または検出器を設けることができる。コントローラに連絡した関係の別のセンサまたは検出器(図示されていない)が、高度を読み取ることができる。追加のセンサ140および検出器を、酸素の使用の速度などの他の変数を監視するために、個々の呼吸マスク、パルス状酸素送出サブシステム、もしくは呼吸マスクまたはパルス状酸素送出サブシステムへの配管あるいは呼吸マスクまたはパルス状酸素送出サブシステムからの配管のいずれかに設けることができる。

さらに他の実施形態においては、コントローラが、各々の酸素供給源および主機室減圧リレー(図示されていない)に電気的に連絡することができる。より具体的には、コントローラが、各々の酸素供給源と各々の呼吸マスクとの間、各々の酸素供給源とマスクに酸素を供給するパルス状酸素送出サブシステムとの間、またはパルス状酸素送出サブシステムと各々のマスクとの間の電気動作のオン/オフ入口電磁弁(図示されていない)に連絡することができる。

さらなる実施形態においては、セラミック酸素発生器(COG)の形式の機上酸素発生器(OBOG)装置が、酸素の濃度がより高い入力流においてより良好に機能できることに鑑みて、セラミック酸素発生器(COG)装置の上流に別の機上酸素発生器(OBOG)装置を有することがきわめて好都合かもしれない。この上流の機上酸素発生器(OBOG)は、セラミック酸素発生器(COG)装置へと送られる供給流の酸素濃度を、例えばエンジンの抽気などの他の空気の供給の流れの酸素濃度を超えて高めるように機能すると考えられる。

一実施形態によれば、本発明は、航空機の乗客のために酸素の調節された流れを供給するための方法を提供する。本方法によれば、第1のシステムが、第1の機上酸素供給器から30,000フィートを超える高い高度において酸素の初期の流れを開始するために作動させられる。第1の機上酸素供給器は、加圧された酸素のシリンダ、化学式の酸素発生器、または加圧された酸素のシリンダと化学式の酸素発生器との組み合わせであってよい。さらに、第2のシステムが、第2の機上酸素供給器から後続の酸素の流れを開始させるために作動させられる。第2の機上酸素供給器は、第1の機上酸素発生器である。第1の機上酸素発生器は、99%以上の酸素濃度を有する第1の気体の流れを供給するように構成される。本方法は、第2のシステムから供給される酸素を第1のシステムから供給される酸素と一体化させるステップと、第2のシステムが酸素供給の要求を満たすことができるときに第1のシステムを停止させるステップとをさらに含む。また、本方法は、乗客の呼吸パターンを検出するステップと、乗客の呼吸マスクへの酸素の流れを調節するステップとを含む。酸素の流れを、検出される呼吸パターンおよび生理的な要件にもとづいて酸素の流量を変化させるように構成されたパルス状酸素送出サブシステムを介して第1のシステムまたは第2のシステムからマスクへと酸素をもたらすことによって調節することができる。

本発明は、上述の実施形態に限られない。当然ながら、種々の変更および改良が、本発明の技術的範囲および技術的思想から離れることなく可能である。さらなる利点および改良に、当業者であれば容易に想到できるであろう。したがって、種々の改良を、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって定められるとおりの全体的な発明概念の技術的思想および技術的範囲から外れることなく、行うことが可能である。

QQ群二维码
意见反馈