殺菌装置

申请号 JP2015512364 申请日 2014-03-18 公开(公告)号 JPWO2014171248A1 公开(公告)日 2017-02-23
申请人 日本碍子株式会社; 发明人 雄一郎 今西; 尚博 清水; 隆太 河野;
摘要 本発明に関する殺菌装置は、パルス電源(14)からの高電圧パルスの供給に基づいて陽極と陰極間に放電を発生させる放電電極部(18)と、放電電極部(18)に 流体 を案内する流体案内部(20)と、放電電極部(18)を通過した流体を被処理物(22)に向けて出 力 するノズル(24)とを有する。この殺菌装置は、放電電極部(18)に流体を導入しながら、放電電極部(18)において放電によりプラズマを発生させ、その励起物を流体と共に被処理物(22)に当て、流体案内部(20)及びノズル(24)のうち、少なくとも1つは、流路面積が流体の流通方向に向かって徐々に小さくなる構造を有する。
权利要求

パルス電源(14)からの高電圧パルスによる放電によって発生したプラズマを利用して対象物(22)の少なくとも表面を殺菌する殺菌装置において、 陽極と陰極とを有し、前記パルス電源(14)からの前記高電圧パルスの供給に基づいて前記陽極と前記陰極間に放電を発生させる放電電極部(18)と、 前記放電電極部(18)に流体を案内する流体案内部(20)と、 前記放電電極部(18)を通過した前記流体を前記対象物(22)に向けて出するノズル(24)と、を有し、 前記放電電極部(18)に前記流体を導入しながら、前記放電電極部(18)において前記放電によりプラズマを発生させ、その励起物を前記流体と共に前記対象物(22)に当て、 前記流体案内部(20)及び前記ノズル(24)のうち、少なくとも1つは、流路面積が前記流体の流通方向に向かって徐々に小さくなる構造を有することを特徴とする殺菌装置。請求項1記載の殺菌装置において、 前記流体案内部(20)は、前記流体を前記放電電極部(18)に対して均一に供給する整流構造を有することを特徴とする殺菌装置。請求項2記載の殺菌装置において、 前記整流構造は、 流路面積が前記流体の流通方向に向かって徐々に小さくなるベルマウス構造(72)と、 前記ベルマウス構造(72)の上流側に設置された1以上の整流網(78)と、 前記ベルマウス構造(72)への流体導出方向の内寸が流体流量と正の相関関係にある流体流入ケース(76)と、を有することを特徴とする殺菌装置。請求項3記載の殺菌装置において、 前記整流網(78)の開口率が10〜45%であることを特徴とする殺菌装置。請求項3記載の殺菌装置において、 前記流体流入ケース(76)の前記ベルマウス構造(72)への流体導入方向の内寸は、流体流量10リットル/minから20リットル/minにおいて20mm〜100mmであることを特徴とする殺菌装置。請求項3記載の殺菌装置において、 前記流体案内部(20)への前記流体の供給方向が、前記放電電極部(18)への前記流体の流通方向と異なることを特徴とする殺菌装置。請求項6記載の殺菌装置において、 前記流体の供給方向と前記流体の流通方向とのなすが80°〜100°であることを特徴とする殺菌装置。請求項1記載の殺菌装置において、 前記ノズル(24)は、流路面積が前記流体の流通方向に向かって徐々に小さくなる構造を有することを特徴とする殺菌装置。請求項1記載の殺菌装置において、 前記放電電極部(18)は、前記陽極となる第1放電電極(26A)と、前記陰極となる第2放電電極(26B)とを有し、 前記第1放電電極(26A)を構成する複数の第1導体(30A)と、前記第2放電電極(26B)を構成する複数の第2導体(30B)とが、互いに離間し、且つ、前記放電電極部(18)に対する前記流体の流通方向から見たときに、前記第1導体(30A)と前記第2導体(30B)とが交差した位置関係にあることを特徴とする殺菌装置。請求項1記載の殺菌装置において、 前記放電電極部(18)は、前記陽極となる第1放電電極(26A)と、前記陰極となる第2放電電極(26B)とを有し、 前記第1放電電極(26A)を構成する複数の第1導体(30A)と、前記第2放電電極(26B)を構成する複数の第2導体(30B)とが、ねじれの位置関係にあることを特徴とする殺菌装置。請求項10記載の殺菌装置において、 前記放電電極部818)に対する前記流体の流通方向から見たときに、前記第1導体(30A)と前記第2導体(30B)とで複数の格子が形成されることを特徴とする殺菌装置。請求項10記載の殺菌装置において、 前記第1導体(30A)と前記第2導体(30B)との交差部分の配列ピッチが5〜50mmであることを特徴とする殺菌装置。請求項10記載の殺菌装置において、 前記放電電極部(18)に対する前記流体の流通方向から見たときに、前記放電電極部(18)の開口率が30〜50%であることを特徴とする殺菌装置。請求項10記載の殺菌装置において、 前記第1放電電極(26A)は、前記第1導体(30A)と、該第1導体(30A)を被覆する第1セラミック層(34A)とを有し、 前記第2放電電極(26B)は、前記第2導体(30B)と、該第2導体(30B)を被覆する第2セラミック層(34B)とを有することを特徴とする殺菌装置。請求項14記載の殺菌装置において、 前記第1セラミック層(34A)及び前記第2セラミック層(34B)の内部に50μm以上の気孔を有しないことを特徴とする殺菌装置。請求項14記載の殺菌装置において、 前記第1導体(30A)と前記第1セラミック層(34A)を、軸方向に直交する方向に切断した断面において、前記第1導体(30A)の面積をAa1、前記第1セラミック層(34A)の面積をAb1とし、 前記第2導体(30B)と前記第2セラミック層(34B)を、軸方向に直交する方向に切断した断面において、前記第2導体(30B)の面積をAa2、前記第2セラミック層(34B)の面積をAb2としたとき、 0.1 0.08 であることを特徴とする殺菌装置。請求項16記載の殺菌装置において、 前記第1導体(30A)及び前記第2導体(30B)の各直径が200〜1000μmであることを特徴とする殺菌装置。請求項1記載の殺菌装置において、 前記パルス電源(14)は、前記陽極及び前記陰極間に前記高電圧パルスを印加するパルス発生部(41)と、前記陽極及び前記陰極間に放電を発生させるように前記パルス発生部(41)を制御するパルス制御部(42)とを有し、 前記パルス発生部(41)は、直流電源部(46)の両端に直列接続されたトランス(47)及びスイッチ(54)を有し、前記パルス制御部(42)の前記スイッチ(54)に対するオン制御によって前記トランス(47)への誘導エネルギーの蓄積を行い、前記パルス制御部(42)の前記スイッチ(54)に対するオフ制御によって前記トランス(47)の二次側での前記高電圧パルスの発生を行うパルス発生回路(43)を有することを特徴とする殺菌装置。

说明书全文

本発明は、パルス電源からの高電圧パルスによる放電によって発生したプラズマを利用して対象物の少なくとも表面を殺菌する殺菌装置に関する。

近時、プラズマ中の活性中性粒子を用いて、農作物や食品等の殺菌を行う試みがなされている(文献:IEEJ Journal,Vol.132 No.10.2012 p.702〜705「プラズマの農業応用−農産物殺菌から植物成長制御まで−」参照)。

ラジカルを生成する装置としては、上述した文献に記載された大気圧バリア放電プラズマトーチのほか、国際公開第2011/065171号パンフレット及び国際公開第2012/120928号パンフレットに記載された装置が知られている。

国際公開第2011/065171号パンフレットに記載の装置は、第1の電極、第2の電極及び第3の電極からなる電極構成体を、ガスの流路の途中に設置し、第2の電極を第1の電極より上流側に設置し、第3の電極を第1の電極より下流側に設置して構成される。そして、パルス電源の一方の極を第1の電極に接続し、パルス電源の他方の極を第2の電極及び第3の電極に接続する。さらに、第1の電極を、第1のガス通過面を横切り、且つ、第1のガス通過面の一部を占めるように設置し、第2の電極及び第3の電極を、それぞれ第2のガス通過面及び第3のガス通過面を横切り、且つ、第2のガス通過面及び第3のガス通過面の一部を占めるように設置する。これにより、第1の電極より上流側及び下流側にプラズマが発生することとなる。また、第1の電極、第2の電極及び第3の電極の各末端が、放電の始点又は終点とならず、第1の電極、第2の電極及び第3の電極の耐久性が向上する。

国際公開第2012/120928号パンフレットに記載の装置は、導電体で構成された筐体内に、流路形成物、トランス、電極構成体(陽極棒及び陰極板)、陽極側の給電経路及び陰極側の給電経路が収容されて構成される。陽極棒の延在方向と陰極板の延在方向とは非平行とされ、陽極棒及び陰極板はガス流路を横断する。陽極棒と陰極板とはガス流路の延在方向に離間して配置される。陽極棒の給電端とパルス電源の二次側巻線の正出端とを電気的に接続し、陰極板の給電端と二次側巻線の負出力端とを電気的に接続し、さらに、筐体を陰極側の給電経路に電気的に接続する。これにより、パルス電圧の波形が乱れにくくなる。

しかしながら、上述した文献並びに国際公開第2011/065171号パンフレット及び国際公開第2012/120928号パンフレットには、電極構成体に対してガスを均一に流す機構について考慮しておらず、また、電極構成体を構成する陽極及び陰極の各構成部材のパラメータの最適化も検討されていないため、電極構成体で効率よくプラズマを発生させることが困難である。そのため、従来技術では、プラズマの発生による励起物を間接的に被処理物に当てて殺菌等のプラズマ処理を行う場合に、プラズマ処理の効率化に限界が生じるという問題が内在している。

本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、放電電極部に対して流体を均一に流すことが可能で、放電電極部において効率よくプラズマを発生させることができ、プラズマの発生による励起物を間接的に被処理物に当てて殺菌処理を行う場合に、殺菌処理の効率化を図ることができる殺菌装置を提供することを目的とする。

[1] 第1の本発明に係る殺菌装置は、パルス電源からの高電圧パルスによる放電によって発生したプラズマを利用して対象物の少なくとも表面を殺菌する殺菌装置において、陽極と陰極とを有し、前記パルス電源からの前記高電圧パルスの供給に基づいて前記陽極と前記陰極間に放電を発生させる放電電極部と、前記放電電極部に流体を案内する流体案内部と、前記放電電極部を通過した前記流体を前記対象物に向けて出力するノズルと、を有し、前記放電電極部に前記流体を導入しながら、前記放電電極部において前記放電によりプラズマを発生させ、その励起物を前記流体と共に前記対象物に当て、前記流体案内部及び前記ノズルのうち、少なくとも1つは、流路面積が前記流体の流通方向に向かって徐々に小さくなる構造を有することを特徴とする。

これにより、放電電極部に対して流体を均一に流すことが可能で、放電電極部において効率よくプラズマを発生させることができ、プラズマの発生による励起物を間接的に被処理物に当てて殺菌処理を行う場合に、殺菌処理の効率化を図ることができる。

[2] 第1の本発明において、前記流体案内部は、前記流体を前記放電電極部に対して均一に供給する整流構造を有してもよい。

[3] この場合、前記整流構造は、流路面積が前記流体の流通方向に向かって徐々に小さくなるベルマウス構造と、前記ベルマウス構造の上流側に設置された1以上の整流網と、前記ベルマウス構造への流体導出方向の内寸が流体流量と正の相関関係にある流体流入ケースと、を有してもよい。

[4] さらに、前記整流網の開口率が10〜45%であってもよい。

[5] また、前記流体流入ケースの前記ベルマウス構造への流体導入方向の内寸は、流体流量10リットル/minから20リットル/minにおいて20mm〜100mmであってもよい。

[6] 前記流体案内部への前記流体の供給方向が、前記放電電極部への前記流体の流通方向と異なってもよい。

[7] この場合、前記流体の供給方向と前記流体の流通方向とのなすが80°〜100°であってもよい。

[8] 第1の本発明において、前記ノズルは、流路面積が前記流体の流通方向に向かって徐々に小さくなる構造を有してもよい。

[9] 第1の本発明において、前記放電電極部は、前記陽極となる第1放電電極と、前記陰極となる第2放電電極とを有し、前記第1放電電極を構成する複数の第1導体と、前記第2放電電極を構成する複数の第2導体とが、互いに離間し、且つ、前記放電電極部に対する前記流体の流通方向から見たときに、前記第1導体と前記第2導体とが交差した位置関係にあってもよい。

[10] 第1の本発明において、前記放電電極部は、前記陽極となる第1放電電極と、前記陰極となる第2放電電極とを有し、前記第1放電電極を構成する複数の第1導体と、前記第2放電電極を構成する複数の第2導体とが、ねじれの位置関係にあってもよい。

[11] 前記放電電極部に対する前記流体の流通方向から見たときに、前記第1導体と前記第2導体とで複数の格子が形成されてもよい。

[12] 前記第1導体と前記第2導体との交差部分の配列ピッチが5〜50mmであってもよい。

[13] また、前記放電電極部に対する前記流体の流通方向から見たときに、前記放電電極部の開口率が30〜50%であってもよい。

[14] 前記第1放電電極は、前記第1導体と、該第1導体を被覆する第1セラミック層とを有し、前記第2放電電極は、前記第2導体と、該第2導体を被覆する第2セラミック層とを有してもよい。

[15] 前記第1セラミック層及び前記第2セラミック層の内部に50μm以上の気孔を有しないことが好ましい。

[16] 前記第1導体と前記第1セラミック層を、軸方向に直交する方向に切断した断面において、前記第1導体の面積をAa1、前記第1セラミック層の面積をAb1とし、前記第2導体と前記第2セラミック層を、軸方向に直交する方向に切断した断面において、前記第2導体の面積をAa2、前記第2セラミック層の面積をAb2としたとき、 0.1

0.08

であることが好ましい。

[17] この場合、前記第1導体及び前記第2導体の各直径が200〜1000μmであることが好ましい。

[18] 第1の本発明において、前記パルス電源は、前記陽極及び前記陰極間に前記高電圧パルスを印加するパルス発生部と、前記陽極及び前記陰極間に放電を発生させるように前記パルス発生部を制御するパルス制御部とを有し、前記パルス発生部は、直流電源部の両端に直列接続されたトランス及びスイッチを有し、前記パルス制御部の前記スイッチに対するオン制御によって前記トランスへの誘導エネルギーの蓄積を行い、前記パルス制御部の前記スイッチに対するオフ制御によって前記トランスの二次側での前記高電圧パルスの発生を行うパルス発生回路を有してもよい。

[19] 第2の本発明に係るプラズマ処理装置は、パルス電源からの高電圧パルスによる放電によって発生したプラズマを利用して対象物の少なくとも表面を処理するプラズマ処理装置において、陽極と陰極とを有し、前記パルス電源からの前記高電圧パルスの供給に基づいて前記陽極と前記陰極間に放電を発生させる放電電極部と、前記放電電極部に流体を案内する流体案内部と、前記放電電極部を通過した前記流体を前記対象物に向けて出力するノズルと、を有し、前記放電電極部に前記流体を導入しながら、前記放電電極部において前記放電によりプラズマを発生させ、その励起物を前記流体と共に前記対象物に当て、前記流体案内部及び前記ノズルのうち、少なくとも1つは、流路面積が前記流体の流通方向に向かって徐々に小さくなる構造を有することを特徴とする。

これにより、放電電極部に対して流体を均一に流すことが可能で、放電電極部において効率よくプラズマを発生させることができ、プラズマの発生による励起物を間接的に被処理物に当てて、少なくとも被処理物の表面処理を行う場合に、表面処理の効率化を図ることができる。もちろん、上述した殺菌装置やその他の装置に適用させることができ、汎用性に富む。

以上説明したように、本発明に係る殺菌装置によれば、放電電極部に対して流体を均一に流すことが可能で、放電電極部において効率よくプラズマを発生させることができ、プラズマの発生による励起物を間接的に被処理物に当てて殺菌処理を行う場合に、殺菌処理の効率化を図ることができる。

本実施の形態に係る殺菌装置を示す構成図である。

殺菌装置に設置される放電電極部の構成と、第1放電電極と第2放電電極間でプラズマが発生している状態を示す斜視図である。

放電電極部の第1放電電極及び第2放電電極の構成の一例を示す正面図である。

図4Aは図3におけるIVA−IVA線上の断面図であり、図4Bは図3におけるIVB−IVB線上の断面図である。

パルス電源の構成を示す回路図である。

殺菌装置の構成を示す分解斜視図である。

放電電極部の第1放電電極及び第2放電電極の構成の第1変形例を示す正面図である。

放電電極部の第1放電電極及び第2放電電極の構成の第2変形例を示す正面図である。

放電電極部の第1放電電極及び第2放電電極の構成の第3変形例を示す正面図である。

図10Aは窒素の発光領域(N

2発光領域)が100%の場合の撮影画像を示し、図10BはN

2発光領域が50%の場合の撮影画像を示す。

第1セラミック層中に径が50μmの気孔が存在している状態を示す非破壊観察画像(X線CTによる)である。

以下、本発明に係る殺菌装置の実施の形態例を図1〜図11を参照しながら説明する。なお、本明細書において数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。

本実施の形態に係る殺菌装置10は、図1に示すプラズマ処理装置12を殺菌装置10に適用したものである。このプラズマ処理装置12は、高電圧パルスを発生するパルス電源14と、パルス電源14からの高電圧パルスの印加によってプラズマを発生するリアクタ16とを有する。

リアクタ16は、陽極と陰極とを有し、且つ、パルス電源14からの高電圧パルスの供給に基づいて陽極と陰極間に放電を発生させる放電電極部18と、放電電極部18に流体を案内する流体案内部20と、放電電極部18を通過した流体を被処理物22に向けて出力するノズル24とを有する。

そして、このプラズマ処理装置12は、放電電極部18に流体を導入しながら、放電電極部18において放電によりプラズマを発生させ、その励起物を流体と共に被処理物22に当てて、該被処理物22の少なくとも表面を処理する。従って、このプラズマ処理装置12を殺菌処理に適用して殺菌装置10とすることで、被処理物22の殺菌を行うことができる。流体案内部20及びノズル24のうち、少なくとも1つは、流路面積が流体の流通方向に向かって徐々に小さくなる構造を有する。「励起物」は、ラジカル(化学活性種)、励起種(分子が、高速な電子の衝突により、形態は変わらず内部のエネルギー状態が変化(励起状態)したもの)、イオン、発光種、さらに励起物が流体分子と反応して生成した分子(例えばオゾン)等を指す。

放電電極部18は、図2に示すように、陽極となる第1放電電極26Aと、陰極となる第2放電電極26Bと、これら第1放電電極26A及び第2放電電極26Bを所定の位置関係で保持するケース28(図1、図6参照)とを有する。

図3に示すように、第1放電電極26Aは、第1方向(x方向)に延び、且つ、第1方向と直交する第2方向(y方向)に配列した棒状の複数の第1導体30Aと、複数の第1導体30Aをつなぐ第1共通導体32Aと、少なくとも第1導体30Aを被覆する第1セラミック層34Aとを有する。第1導体30Aと該第1導体30Aを被覆する第1セラミック層34Aの部分を第1電極部36Aと記す。

第2放電電極26Bは、第2方向(y方向)に延び、且つ、第1方向(x方向)に配列した棒状の複数の第2導体30Bと、複数の第2導体30Bをつなぐ第2共通導体32Bと、少なくとも第2導体30Bを被覆する第2セラミック層34Bとを有する。第2導体30Bと該第2導体30Bを被覆する第2セラミック層34Bの部分を第2電極部36Bと記す。

第1導体30A及び第2導体30Bとしては、銅、鉄、タングステン、ステンレス、白金等を用いることができる。第1セラミック層34A及び第2セラミック層34Bとしては、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア等を用いることができる。

図4A及び図4Bに示すように、第1導体30A及び第2導体30Bの各直径d1及びd2は200〜1000μmである。また、第1導体30Aを被覆する第1セラミック層34A及び第2導体30Bを被覆する第2セラミック層34Bは共に、内部に50μm以上の気孔を有しない。なお、パーセンテージで表されるくらいに気孔率が大きいとセラミックスにかかる電圧でたちまち絶縁破壊するおそれがある。全体で1個でも50μmの閉気孔があるだけで、該閉気孔の部分から絶縁破壊し、アークプラズマとなりセラミックスが溶解するおそれがある。理想的には閉気孔は存在せず、材料中に分散する閉気孔の径が全て10μm未満であることが望ましい。

第1電極部36Aを軸方向に直交する方向に切断した断面において、第1導体30Aの面積をAa1、第1セラミック層34Aの面積をAb1とし、第2電極部36Bを軸方向に直交する方向に切断した断面において、第2導体30Bの面積をAa2、第2セラミック層34Bの面積をAb2としたとき、 0.1

0.08

である。

第1セラミック層34A及び第2セラミック層34Bが厚いと電界強度が低下し、電子に与えるエネルギーが下がり、ラジカルの発生が少なくなる。これは、第1導体30Aと第2導体30B間の誘電体が増えることに相当するため、見かけ上、容量成分が増加し、急峻な電圧上昇率(dV/dt)を得難くなる。そこで、上述した範囲であることが望ましい。

第1導体30A及び第2導体30Bの各直径d1及びd2は電界強度に影響を与える。特に、高電圧がかかる陽極(第1導体30A)は直径d1が小さいほどその表面の電界強度は高くなる。従って、第1導体30A及び第2導体30Bは細い方が好ましいが、強度及び形状を保つためには限界がある。そこで、第1導体30Aの直径d1は、0.2〜0.5mm、第1セラミック層34Aの厚みt1は0.25〜0.65mmが好ましい。また、第2導体30Bの直径d2は、0.5〜1.0mm、第2セラミック層34Bの厚みt2は0.25〜1.25mmが好ましい。

ケース28は、中央に流体が流通する例えば円形の貫通孔が設けられ、外周部の内部には、第1共通導体32A(図3参照)とパルス電源14からの正極側配線40A(図1参照)との接続部分と、第2共通導体32B(図3参照)とパルス電源14からの負極側配線40B(図1参照)との接続部分とが収容されている。

そして、第1放電電極26Aと第2放電電極26Bをケース28内に取り付けた際に、複数の第1電極部36Aと複数の第2電極部36Bとが互いに対向し、且つ、放電電極部18に対する流体の流通方向から見たときに、第1電極部36Aと第2電極部36B(図3参照)とが交差した位置関係(ねじれの位置関係)で保持される。すなわち、第1導体30Aと第2導体30Bとが交差した位置関係(ねじれの位置関係)で保持される。このとき、第1電極部36Aと第2電極部36Bとが交差した部分がケース28の貫通孔を通じて露出した状態となる。

放電電極部18に対する流体の流通方向から見たときに、図3に示すように、第1電極部36A(第1導体30A)と第2電極部36B(第2導体30B)とで複数の格子が形成される。この場合、第1電極部36A(第1導体30A)と第2電極部36B(第2導体30B)との交差部分の配列ピッチが5〜50mmである。また、放電電極部18に対する流体の流通方向から見たときに、放電電極部18の開口率は30〜50%である。

陰極である第2電極部36Bの配列ピッチPbは、例えば1〜10mm程度に小さくてもよいが、陽極である第1電極部36Aの配列ピッチPaは、第2電極部36Bとの離間距離dc(間隙:図4A及び図4B参照)と正の相関をとるように設定することが好ましい。すなわち、第2電極部36Bとの離間距離dcが大きくなるに従って第1電極部36Aの配列ピッチPaを広げる。例えば離間距離dcが5mmのとき、第1電極部36Aの配列ピッチPaを5mm以上に設定し、離間距離dcが40mmのとき、第1電極部36Aの配列ピッチPaを30mm以上に設定し、離間距離dcが100mmのとき、第1電極部36Aの配列ピッチPaを50mm以上に設定する。但し、第1電極部36Aの配列ピッチPaが離れすぎると、放電領域が少なくなるため、第1電極部36Aの配列ピッチPaは、離間距離dcの50〜100%にすることが望ましい。

本来、放電電極部18の開口率が30%よりも小さくても、流体分子にとっては十分に広く、ほとんど影響を受けない。しかし、ラジカルの発生効率に最も影響するのが陽極表面の電界強度と電圧上昇速度(dV/dt)である。上述したように、陽極である第1電極部36Aの配列ピッチPaを、離間距離dcに応じて広げるのは、電界強度を高く維持するためである。

そして、パルス電源14の正極が第1放電電極26A(陽極)に接続され、パルス電源14の負極が第2放電電極26B(陰極)に接続される。これにより、第1放電電極26Aから第2放電電極26Bに向かう電界が第1電極部36Aと第2電極部36Bとの間隙に印加される。その結果、第2電極部36Bのうち、第1電極部36Aと対向する面の近傍にイオンシース層(イオンがたくさん集まった状態)が形成され、第1電極部36Aと第2電極部36Bとの間隙にプラズマが発生する。図2に第1放電電極26Aの第1電極部36Aと第2放電電極26Bの第2電極部36B間でプラズマが発生している状態を示す。

ここで、パルス電源14の構成について図5を参照しながら説明する。

パルス電源14は、図5に示すように、陽極及び陰極間に高電圧パルスを印加するパルス発生部41と、陽極と陰極間に放電を発生させるようにパルス発生部41を制御するパルス制御部42とを有する。

パルス発生部41は、例えば下記構成を有するパルス発生回路43を有する。すなわち、このパルス発生回路43は、直流を供給する直流電源44と直流電源44からの直流の供給を安定させるキャパシタ45とを有する直流電源部46と、誘導エネルギーを蓄積するトランス47と、トランス47の一次巻線48への直流の供給経路50と、供給経路50を開閉するMOSFET(酸化金属半導体電界効果トランジスタ)52及びSIサイリスタ54と、SIサイリスタ54のゲートへのバイアス付与経路56と、SIサイリスタ54のゲートへ電流が流入することを抑制し、SIサイリスタ54のゲートから電流が流出することを許容するダイオード58と、トランス47の二次巻線60からのパルス電圧の出力経路62とを有する。一方、パルス制御部42は、MOSFET52を駆動する駆動回路64を有する。

SIサイリスタ54及びMOSFET52は、ターンオンしたときに供給経路50を閉じ、ターンオフしたときに供給経路50を開くように、供給経路50に直列に挿入される。一次巻線48の一端66aは、直流電源44の正極及びキャパシタ45の一端に接続され、SIサイリスタ54のアノードは一次巻線48の他端66bに接続され、SIサイリスタ54のカソードはMOSFET52のドレインに接続され、MOSFET52のソースは直流電源44の負極及びキャパシタ45の他端に接続される。SIサイリスタ54のゲートは、バイアス付与経路56によりダイオード58を経由して一次巻線48の一端66aに接続される。ダイオード58のカソードは、一次巻線48の一端66aに接続され、ダイオード58のアノードは、SIサイリスタ54のゲートに接続される。ダイオード58により、SIサイリスタ54が電圧駆動により正バイアスされ、電流駆動により負バイアスされる。トランス47に代えて単一の巻線を備えるインダクタを使用し、インダクタから直接的にパルス電圧を出力してもよい。

そして、駆動回路64からMOSFET52へのオン信号の入力が始まり、MOSFET52がターンオンすると、SIサイリスタ54のゲートが正バイアスされ、SIサイリスタ54もターンオンする。これにより、供給経路50が閉じられる。供給経路50が閉じられると、一次巻線48への直流の供給が始まり、トランス47への誘導エネルギーの蓄積が始まる。

駆動回路64からMOSFET52へのオン信号の入力が終わり、MOSFET52がターンオフすると、一次巻線48に発生した誘導起電力により、SIサイリスタ54のゲートが負バイアスされ、SIサイリスタ54も高速にターンオフする。これにより、供給経路50が高速に開かれる。供給経路50が高速に開かれると、相互誘導により二次巻線60に誘導起電力が発生し、二次巻線60から正極68と負極70との間に立ち上がり時の電圧Vの時間上昇率dV/dtが著しく大きいパルス電圧が出力される。

パルス電圧のパルス幅は、概ね、半値全幅(FWHM)で10〜1000nsであることが望ましく、立ち上がり時の電圧Vの時間上昇率dV/dtは、概ね、30〜3000kV/μsであることが望ましく、単位時間当たりの繰り返し数は、概ね、100pps〜数100kppsであることが望ましい。望ましい範囲について、「概ね」と述べているのは、リアクタ16の構造、材質、流体の圧力、流体の流量によっては、望ましい範囲が上述の範囲よりも広くなる場合もあり得るからである。

パルス電源14のより詳細な動作原理は、例えば飯田克二、佐久間健:「SIサイリスタによる極短パルス発生回路(IES回路)」、SIデバイスシンポジウム講演論文集(2002)に記載されている。

一方、流体案内部20は、図1及び図6に示すように、流体を放電電極部18に対して均一に供給する整流構造を有する。整流構造は、ベルマウス部72と、整流網部74と、流体流入ケース76とを有する。

ベルマウス部72は、放電電極部18の上流側に設置され、流路面積が流体の流通方向に向かって徐々に小さくなるベルマウス構造を有する。

整流網部74は、ベルマウス部72の上流側に設置され、1以上の整流網78と、整流網78を両側(上流側及び下流側)から押さえる押さえ枠80とを有する。整流網78の開口率は10〜45%が望ましいが、ベルマウス部72の開口面積によっては、それよりも開口率が低くてもよい。その理由は、整流網部74は流体流入ケース76に入ってくるさまざまな速度ベクトルを有する流体を均一にベルマウス部72に送り込む役割を果たす。メッシュ数が大きく、開口率が低い方が望ましい。但し、ベルマウス部72の開口径が例えば30mmと大きな場合は、市販されているメッシュであれば、どれほど開口率が低くても問題はない。後述する導管82の内径が例えば6mmであれば、ベルマウス部72の開口径が30mmであれば、ベルマウス部72の開口面積は、導管82の開口面積の25倍になる。従って、開口率4%としても圧損は生じない。

流体流入ケース76は、整流網部74の上流側に設置され、ベルマウス部72への流体導出方向の内寸Daが、流体流量と正の相関関係を有する。内寸Daは、流体流量が10〜20リットル/minの範囲において、20mm〜100mmである。

流体流入ケース76への流体の供給方向は、ベルマウス部72への流体導出方向と異なる。すなわち、流体流入ケース76への流体の供給は、流体流入ケース76の1つの面に設けられた導管82を通じて行われ、流体の供給方向mと流体導出方向nとのなす角は80°〜100°である。図6の例では、流体流入ケース76の複数の面のうち、ベルマウス部72への流体導出方向nと平行な面(例えば上面)に導管82が設けられ、流体の供給方向mと流体導出方向nとのなす角は略90°である。

ノズル24は、流路面積が流体の流通方向に向かって徐々に小さくなるベルマウス構造を有する第1ノズル24Aを用いてもよいし、角筒状の第2ノズル24Bを用いてもよい。第1ノズル24Aを用いることで、放電電極部18にて生成された励起物を含む流体を均一に被処理物22(図1参照)に当てることができる。

このように、本実施の形態に係るプラズマ処理装置12は、陽極と陰極とを有し、パルス電源14からの高電圧パルスの供給に基づいて陽極と陰極間に放電を発生させる放電電極部18と、放電電極部18に流体を案内する流体案内部20と、放電電極部18での放電によって流体内に発生した少なくとも励起種を被処理物22に噴射するノズル24と、を有し、流体案内部20及びノズル24のうち、少なくとも1つは、流路面積が流体の流通方向に向かって徐々に小さくなる構造を有するようにしたので、放電電極部18に対して流体を均一に流すことが可能で、放電電極部18において効率よくプラズマを発生させることができる。従って、プラズマの発生による励起物を間接的に被処理物22に当てて殺菌処理を行う場合に、殺菌処理の効率化を図ることができる。

ところで、第1放電電極26A及び第2放電電極26Bを作製する場合は、ゲルキャスト法を用いることが好ましい。ゲルキャスト法では、金型内に、第1導体30Aをセットし、セラミック粉末、分散媒、及びゲル化剤を含むスラリーを注型した後に、このスラリーを温度条件や架橋剤の添加等によりゲル化させることにより固化し、成形して、その後、焼成することで、第1放電電極26Aを作製する。第2放電電極26Bも同様の方法により、作製することができる。このゲルキャスト法によれば、スラリーの低粘度状態を介して第1導体30Aと混合させるため、混合後に空隙が残存しにくい。そのため、成形後に、焼成を行って第1放電電極26Aを作製しても、第1セラミック層34Aは緻密な状態が保たれる。第2セラミック層34Bにおいても同様である。

上述の例では、第1電極部36A及び第2電極部36Bをそれぞれくし歯状にした例を示したが、その他、図7の第1変形例に示すように、それぞれ格子状にし、第1導体30A及び第2導体30Bを共に格子状に形成してもよい。この場合、放電電極部18に対する流体の流通方向から見たときに、第1電極部36A(第1導体30A)と第2電極部36B(第2導体30B)とが交差した状態、すなわち、第1電極部36Aの開口に第2電極部36Bの交差部が位置する状態に設置する。

また、図8の第2変形例に示すように、第1電極部36A及び第2電極部36Bをそれぞれ格子状とし、第1電極部36A内の第1導体30Aと第2電極部36B内の第2導体30Bとをそれぞれくし歯状にしてもよい。

すなわち、第1電極部36Aの第1セラミック層34Aを格子状に構成し、第1セラミック層34A内の第1導体30Aを例えばx方向に延ばし、且つ、y方向に配列する。第2電極部36Bの第2セラミック層34Bを格子状に構成し、第2セラミック層34B内の第2導体30Bを例えばy方向に延ばし、且つ、x方向に配列する。

この場合、第1導体30A及び第2導体30Bを共に格子状にした場合と比して、電界強度の低下を抑制することができる。

上述した第2変形例において、第1セラミック層34Aのうち、第1導体30Aが内層されていない第1部分84A(y方向に延び、且つ、x方向に配列された部分)は、第1導体30Aと第1セラミック層34Aとからなる第1電極部36A間の強度を維持できる程度でよい。同様に、第2セラミック層34Bのうち、第2導体30Bが内層されていない第2部分84B(x方向に延び、且つ、y方向に配列された部分)は、第2導体30Bと第2セラミック層34Bとからなる第2電極部36B間の強度を維持できる程度でよい。

従って、図9の第3変形例に示すように、第1セラミック層34Aのうち、第1導体30Aが内層されていない第1部分84Aを間引きし、同様に、第2セラミック層34Bのうち、第2導体30Bが内層されていない第2部分84Bを間引きしてもよい。図9の例では上述の第1部分84A及び第2部分84Bをそれぞれ1本ずつ間引きした場合を示す。もちろん、第1電極部36A間の強度及び第2電極部36B間の強度を維持できる程度であれば、2本ずつ〜数本ずつ間引きしてもよい。

[第1実施例] 実施例1〜6、参考例1及び2について、整流網部74の開口率の違いによる放電電極部18での窒素の発光領域の変化を確認した。

<測定条件> 流体(窒素N2)の供給流量、プラズマ処理装置12の寸法は以下の通りである。 流体(窒素N2)の供給流量:10リットル/min プラズマ処理装置12の寸法(図6参照): 導管82の内径:6mm 流体流入ケース76の流体導出方向の内寸Da:100mm 整流網78の枚数:2枚 ベルマウス部72: 軸方向の長さLa:104〜124mm 整流網部74側の開口の一辺の長さLb:217mm ノズル24側の開口の一辺の長さLc:61mm パルス電源14: パルス波形:DBD(誘電体バリア放電)タイプ パルス周波数:2kpps ピーク電圧値:16kV ピーク電流値:3A

<発光領域の確認> 発光領域の確認は、ノズル24に向かってCCDカメラを設置し、露出する放電電極部18での放電の発生状態を撮像した。撮像した画像のうち、第1電極部36Aと第2電極部36Bが交差している部分全域に対する窒素の発光領域(N2発光領域と記す)の割合をパーセンテージで求めた。比較のために、図10Aに、N2発光領域100%の状態を示し、図10Bに、N2発光領域50%の状態を示す。

(実施例1〜6) 実施例1、2、3、4、5、6は、整流網部74の開口率をそれぞれ16%、21%、23%、28%、37%、41%とした。

(参考例1及び2) 参考例1、2は、整流網部74の開口率をそれぞれ5%、52%とした。

<評価> 評価結果を下記表1に示す。

表1から、参考例1及び2のN2発光領域は50%であったが、実施例1〜6は、いずれもN2発光領域が70%以上であり、良好であった。特に、実施例1〜3は、N2発光領域は100%であった。このことから、整流網部74の開口率が小さいほど、流体の整流性が向上し、放電電極部18全域にわたって放電が安定に行われていることがわかる。但し、参考例1のように、極端に開口率が小さくなると、流体の整流性が悪くなり、放電が不安定になる。従って、整流網部74の開口率の好ましい範囲として、16%〜41%が好ましく、さらに好ましくは16%〜23%であることがわかる。

[第2実施例] 実施例11〜15、参考例11〜13について、流体流入ケース76の流体導出方向の内寸Daの違いによる放電電極部18での窒素の発光領域の変化を確認した。

測定条件及び発光領域の確認は、上述した第1実施例と同じであるが、整流網部74の開口率を23%とした。

(実施例11〜13) 実施例11、12、13は、流体流入ケース76の流体導出方向の内寸Daをそれぞれ30mm、60mm、100mmとし、流体流量をそれぞれ10(リットル/min)とした。

(実施例14、15) 実施例14、15は、流体流入ケース76の流体導出方向の内寸Daをそれぞれ60mm、100mmとし、流体流量をそれぞれ20(リットル/min)とした。

(参考例11、12、13) 参考例11、12、13は、流体流入ケース76の流体導出方向の内寸Daをそれぞれ10mm、10mm、30mmとし、流体流量をそれぞれ10(リットル/min)、20(リットル/min)、20(リットル/min)とした。

<評価> 評価結果を下記表2に示す。

表2から、参考例12のN2発光領域は30%、参考例11及び13のN2発光領域は50%であったが、実施例11〜15は、いずれもN2発光領域が100%であり、良好であった。このことから、流体流入ケース76の流体導出方向の内寸Daは大きい方が流体の整流性が良好になり、流量が大きいと内寸Daも大きくする必要があることがわかる。従って、流量毎に流体流入ケース76の流体導出方向の内寸Daの下限値が存在し、10リットル/minでは30mm、20リットル/minでは60mmが下限値である。

[第3実施例] 実施例21〜28、参考例21〜24について、放電電極部18を構成する陽極(第1電極部36A)の配列ピッチPaの違いによる放電電極部18での窒素の発光領域の変化を確認した。

測定条件及び発光領域の確認は、上述した第1実施例と同じであるが、整流網部74の開口率を23%とした。

(実施例21〜23) 実施例21、22、23は、陽極の配列ピッチPaをそれぞれ3mm、6mm、10mmとし、陽極と陰極間の距離dcをそれぞれ5mmとした。

(実施例24〜26) 実施例24、25、26は、陽極の配列ピッチPaをそれぞれ30mm、40mm、50mmとし、陽極と陰極間の距離dcをそれぞれ40mmとした。

(実施例27、28) 実施例27、28は、陽極の配列ピッチPaをそれぞれ50mm、80mmとし、陽極と陰極間の距離dcをそれぞれ100mmとした。

(参考例21〜24) 参考例21、22、23、24は、陽極の配列ピッチPaをそれぞれ2mm、20mm、40mm、100mmとし、陽極と陰極間の距離dcをそれぞれ5mm、40mm、100mm、100mmとした。

<評価> 評価結果を下記表3に示す。

表3から、参考例21、22、24のN2発光領域は50%、参考例23のN2発光領域は30%であったが、実施例21〜28は、いずれもN2発光領域が80%以上であり、良好であった。特に、実施例21、22、24、25、27は、N2発光領域は100%であった。また、実験結果から、陽極と陰極間の距離dcが広くなるほど陽極の配列ピッチPaも広くしないと中央部の放電が弱くなることがわかった。一方、陽極の配列ピッチPaが広すぎてもプラズマにコールドスポット領域ができ、効率が低下することがわかった。従って、陽極の配列ピッチPaは陽極と陰極間の距離dcの50%〜100%にすることが望ましい。

[第4実施例] 実施例31〜36、参考例31及び32について、放電電極部18を構成する第1セラミック層34Aの気孔寸法の違いによる放電電極部18の耐久時間を確認した。気孔はX線CT(コンピュータ断層撮影)による非破壊観察画像で確認した。耐久時間は、実験の開始時点から絶縁破壊が生じるまでの時間である。図11に、第1セラミック層34A中に径が50μmの気孔が存在している状態を示す。この図11は、X線CTによる非破壊観察画像である。

(実施例31〜36) 実施例31、32、33、34、35、36は、第1セラミック層34Aに存在する気孔の寸法が30μm、30μm、20μm、15μm、15μm、10μmである。

(参考例31、32) 参考例31、32は、第1セラミック層34Aに存在する気孔の寸法が50μm、70μmである。

<評価> 評価結果を下記表4に示す。

表4から、気孔の寸法が小さくなるほど耐久時間が長くなる傾向があることがわかる。また、実験結果から、気孔は大きいものが1個でもあると絶縁破壊はそこから起こり、数値上の気孔率が0%であっても破損することがわかった。セラミック層の厚みが200μmの場合、φ40μmの気孔があると、実質の材料厚みが20%も低下したことに相当する。従って、気孔の大きさを極力小さくすることが重要となり、第1セラミック層34A及び第2セラミック層34Bの内部に50μm以上の気孔を有しないことが望ましいことがわかる。

[第5実施例] 実施例41〜46、参考例41及び42について、放電電極部18を構成する第1導体30Aと第1セラミック層34Aの断面積比(第1導体30Aの断面積Aa1/第1セラミック層34Aの断面積Ab1)の違いによるプラズマ発光強度の変化を確認した。プラズマ発光強度は電極近傍におけるN2分子からの発光(337.1nm)強度を発光分光計(OES)により測定した。

(実施例41〜46) 実施例41、42、43、44、45、46は、それぞれ断面積比(Aa1/Ab1)が0.15、0.3、0.5、0.7、0.8、0.9である。

(参考例41及び42) 参考例41、42は、それぞれ断面積比(Aa1/Ab1)が0.05、1.5である。

<評価> 評価結果を下記表5に示す。

表5から、参考例41のプラズマ発光強度は0.1であったが、実施例41〜46は、いずれもプラズマ発光強度が0.5以上であり、良好であった。特に、実施例44、45、46はプラズマ発光強度が0.9、0.9、1.0であった。一方、参考例42は、プラズマ発光強度が1.0であったが破損していた。このことから、第1セラミック層34Aの断面積が小さいほど第1導体30Aの表面にかかる電圧は高くなり、プラズマ発光強度が大きくなることがわかる。しかし、第1セラミック層34Aを薄くしすぎると、絶縁破壊が起こりやすくなり、小さな気孔でも大きな電界集中を招き破損しやすくなる。従って、断面積比(Aa1/Ab1)は、0.1

[第6実施例] 上述した第5実施例と同様に、実施例51〜56、参考例51及び52について、放電電極部18を構成する第2導体30Bと第2セラミック層34Bの断面積比(第2導体30Bの断面積Aa2/第2セラミック層34Bの断面積Ab2)の違いによるプラズマ発光強度の変化を確認した。

(実施例51〜56) 実施例51、52、53、54、55、56は、それぞれ断面積比(Aa2/Ab2)が0.1、0.5、1.0、1.3、1.5、1.8である。

(参考例51及び52) 参考例51、52は、それぞれ断面積比(Aa2/Ab2)が0.05、2.5である。

<評価> 評価結果を下記表6に示す。

表6から、参考例51のプラズマ発光強度は0.3であったが、実施例51〜56は、いずれもプラズマ発光強度が0.6以上であり、良好であった。特に、実施例53、54、55、56はプラズマ発光強度が0.9、0.9、0.9、1.0であった。一方、参考例52は、プラズマ発光強度が1.0であったが破損していた。このことから、上述した第5実施例と同様に、第2セラミック層34Bの断面積が小さいほど第2導体30Bの表面にかかる電圧は高くなり、プラズマ発光強度が大きくなることがわかる。しかし、第2セラミック層34Bを薄くしすぎると、絶縁破壊が起こりやすくなり、小さな気孔でも大きな電界集中を招き破損しやすくなる。従って、断面積比(Aa2/Ab2)は、0.08

[第7実施例] 実施例61〜66、参考例61及び62について、放電電極部18を構成する第1導体30A(陽極導体)の直径の違いによるプラズマ発光強度の変化を確認した。

(実施例61〜66) 実施例61、62、63、64、65、66は、第1導体30Aの直径d1がそれぞれ200μm、300μm、500μm、800μm、900μm、1000μmである。

(参考例61及び62) 参考例61、62は、第1導体30Aの直径d1がそれぞれ100μm、1200μmである。

<評価> 評価結果を下記表7に示す。

表7から、第1導体30Aの直径d1は小さいほど高い電界強度がかかり、高エネルギー電子の割合が増え、プラズマからの活性種発生数が増大することがわかる。反面、線材が切れ易くなりプラズマ処理装置の信頼性が低下する。参考例61は、プラズマ発光強度が1.0であったが、信頼性の点で不安がある。従って、第1導体30Aの直径d1は、200〜1000μmが好ましく、さらに好ましくは300〜500μmである。

なお、本発明に係る殺菌装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。

QQ群二维码
意见反馈