浸漬装置

申请号 JP2016526077 申请日 2014-10-24 公开(公告)号 JP2017505148A 公开(公告)日 2017-02-16
申请人 ビーエスエヌ メディカル ゲーエムベーハーBsn Medical Gmbh; ビーエスエヌ メディカル ゲーエムベーハーBsn Medical Gmbh; 发明人 サスチェック,クリストフ,ヴィー;
摘要 本発明は、一 酸化 窒素生成ユニットおよび対象物を浸漬するために設けられたボリュームユニットを含む浸漬装置に関し、また、本発明は、疾患、特に慢性創傷、および糖尿病や血管疾患に関連する血流障害を処置するための前記装置の使用に関する。【選択図】図3
权利要求

a.キャリア媒体の役割をする溶媒中に溶解された一酸化窒素ドナー(NOD)から物理化学的刺激による開裂を介してNOが生成される一酸化窒素(NO)生成ユニットと、 b.対象物、特に躯幹の一部、四肢の一部または全身を浸漬するためのボリュームユニットであって、前記NO生成ユニットに連結され、前記キャリア媒体の役割をすると共に前記NO生成ユニットで生成されたNOで富化された浸漬媒体を保持することができるボリュームユニットと、 を具備する浸漬装置。前記NO生成ユニットは、前記ボリュームユニットと連通すると共にキャリア媒体を収納するボリュームチャンバーを備え、前記キャリア媒体を、循環機器またはポンプ圧送機器により、前記NO生成ユニットのボリュームチャンバーを通って送り、また、前記ボリュームユニットへ戻すことができることを特徴とする、請求項1に記載の浸漬装置。前記NO生成ユニットのボリュームチャンバーおよび前記ボリュームユニットは、共有壁中に配置された2つの開口部を介して、または2本の配管を介して相互に連結されることを特徴とする、請求項2に記載の浸漬装置。前記NO生成ユニットのボリュームチャンバーおよび前記ボリュームユニットは、前記キャリア媒体のための閉回路を形成することを特徴とする、請求項2または3に記載の浸漬装置。前記キャリア媒体は、有機または無機の液状、粘稠状からゲル状までのキャリア媒体であってよく、好ましくは溶液であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の浸漬装置。前記ボリュームチャンバーの内容物は、好ましくは電磁放射線源から放出される照射である物理的または化学的刺激に暴露されることを特徴とする、請求項2〜5のいずれか1項に記載の浸漬装置。前記電磁放射線源は、適切な蛍光色素で被覆されたグロー放電ランプまたはガス放電ランプ(低圧放電または高圧放電)、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、およびレーザーを含む群から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の浸漬装置。前記一酸化窒素ドナー(NOD)は、有機硝酸塩、無機硝酸塩、亜硝酸塩、硫黄−ニトロソ化合物、窒素−ニトロソ化合物、または酸素−ニトロソ化合物、NO−金属化合物およびNO−キレート化物質を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の浸漬装置。前記ボリュームユニットの所定量の媒体中にある前記NOドナーを、開裂のために、前記NO生成ユニットの循環機器またはポンプ圧送機器により添加することができるか、あるいは、置換可能な充填容器を、前記NO生成ユニットまたは前記ボリュームユニットに挿入することができ、前記充填容器は、前記NO生成ユニット中でNOを放出することができるNOドナーおよびその他の物質を収納することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の浸漬装置。前記キャリア媒体は、不活性ガス、好ましくは窒素、ヘリウムまたはアルゴンで富化されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の浸漬装置。健康に有害である可能性のあるガスを除去する役割をする置換可能なフィルター処理手段を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の浸漬装置。前記溶媒および前記浸漬媒体の少なくとも一方は、好ましくは等張性緩衝液である緩衝水溶液であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の浸漬装置。前記水性溶媒および前記水性浸漬媒体の少なくとも一方は、下記の組成であることを特徴とする、請求項12に記載の浸漬装置: a.pH6.0〜7.4のリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)、 b.1mM〜100mMのNOD、および c.2mM〜200mMの抗酸化剤。前記溶媒および前記浸漬媒体の少なくとも一方は、抗炎症剤、例えば、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)またはコルチコイド、免疫抑制剤、抗生物質、抗凝固剤、抗血栓剤、抗ウイルス薬、抗真菌剤、局所審美剤および鎮痛剤を含む群から選択される1種または複数種の薬理学的活性物質をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の浸漬装置。置換可能な充填容器を前記NO生成ユニットのボリュームチャンバーおよび前記ボリュームユニットの少なくとも一方に挿入することができ、前記充填容器は、NOD、緩衝物質、抗酸化剤および任意選択の溶媒を含む粉末状、ゲル状または液状の組成物を含むことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の浸漬装置。前記置換可能な充填容器は、カートリッジであることを特徴とする、請求項15に記載の浸漬装置。躯幹の一部、四肢の一部または全身を対象物として浸漬することによる疾患の処置に使用するための、請求項1〜16のいずれか1項に記載の浸漬装置。前記処置は、下記を含む群から選択されることを特徴とする、請求項17に記載の浸漬装置: a.外用によるヒトおよび動物の組織の代謝の刺激; b.外科的創傷または事故関連創傷の処置; c.慢性創傷、非治癒性創傷または不十分な治癒創傷の処置; d.細菌感染創傷および真菌感染創傷の少なくとも一方の処置; e.炎症性疾患、免疫学的に調節された疾患または自己免疫疾患の範囲の皮膚科学的疾患の処置; f.糖尿病性足部病変および糖尿病性創傷の処置; g.神経障害性疼痛の処置; h.静脈瘤の処置; i.組織の局所表在性疾患ならびに深部虚血疾患および血小板疾患の処置; j.皮膚の急性および慢性炎症の処置; k.皮膚アレルギーの処置; l.皮膚の寄生虫感染の処置; m.アトピー性皮膚炎、特に神経皮膚炎、皮膚筋炎および尋常性天疱瘡の処置; n.慢性糖尿病性神経障害性潰瘍、下腿潰瘍、褥瘡創傷といった創傷欠陥の処置; o.全身性疾患、例えば、高血圧(筋緊張亢進)および関連する血流学疾患の治療のための身体の広い領域の処置; p.(皮膚)移植の患者の処置; q.下肢(足または脚)の糖尿病性疼痛の処置、ならびに r.不十分な灌流による皮弁形成手術の処置。糖尿病患者の下肢の慢性創傷の処置に使用されることを特徴とする、請求項17に記載の浸漬装置。前記処置は、数秒〜長時間継続することができることを特徴とする、請求項17〜19のいずれか1項に記載の浸漬装置。前記処置は、全身、躯幹の一部または四肢の一部を前記浸漬媒体中に5〜30分間、好ましくは7.5〜20分間、特に好ましくは10〜15分間浸漬することを含むことを特徴とする、請求項20に記載の浸漬装置。1つの処置のためのパッケージユニットを含み、当該パッケージユニットは、NOD、緩衝物質、抗酸化剤および任意選択の溶媒を含む粉末状、ゲル状または液状の組成物を含むことを特徴とする、請求項1〜21のいずれか1項に記載の浸漬装置で使用するためのキット。前記パッケージユニットは、置換可能な充填容器であることを特徴とする、請求項22に記載のキット。前記置換可能な充填容器は、カートリッジであることを特徴とする、請求項23に記載のキット。UV照射源を有する一酸化窒素(NO)生成ユニットと、 対象物、特に躯幹の一部、四肢の一部または全身の浸漬のためのボリュームチャンバーであって、前記キャリア媒体としての役割をする溶媒を保持することができ、前記UV照射源からのUV照射による開裂によって一酸化窒素ドナー(NOD)からNOが生成され、前記浸漬媒体としての役割をする前記溶媒が前記NOで富化されているボリュームチャンバーと、 を具備する浸漬装置。前記キャリア媒体は、有機または無機の液状、粘稠状からゲル状までのキャリア媒体であってよく、好ましくは水溶液であることを特徴とする、請求項25に記載の浸漬装置。前記UV照射源は、適切な蛍光色素で被覆されたグロー放電ランプまたはガス放電ランプ(低圧放電または高圧放電)、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、およびレーザーを含む群から選択されることを特徴とする、請求項25または26に記載の浸漬装置。前記一酸化窒素ドナー(NOD)は、有機硝酸塩、無機硝酸塩、亜硝酸塩、硫黄−ニトロソ化合物、窒素−ニトロソ化合物、または酸素−ニトロソ化合物、NO−金属化合物およびNO−キレート化物質を含む群から選択されることを特徴とする、請求項25〜27のいずれか1項に記載の浸漬装置。置換可能な充填容器を前記NO生成ユニットのボリュームチャンバーに挿入することができ、前記充填容器は、前記NO生成ユニット中でNOを放出することができるNOドナーおよびその他の物質を収納することを特徴とする、請求項25〜28のいずれか1項に記載の浸漬装置。前記キャリア媒体は、不活性ガス、好ましくは窒素、ヘリウムまたはアルゴンで富化されることを特徴とする、請求項25〜29のいずれか1項に記載の浸漬装置。健康に有害である可能性のあるガスを除去する役割をする置換可能なフィルター処理手段を含むことを特徴とする、請求項25〜30のいずれか1項に記載の浸漬装置。前記溶媒は、好ましくは等張性緩衝液である緩衝水溶液であることを特徴とする、請求項25〜31のいずれか1項に記載の浸漬装置。前記緩衝水溶液は、下記の組成であることを特徴とする、請求項32に記載の浸漬装置: a.pH6.0〜7.4のリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)、 b.1mM〜100mMのNOD、および c.2mM〜200mMの抗酸化剤。前記溶媒は、抗炎症剤、例えば、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)またはコルチコイド、免疫抑制剤、抗生物質、抗凝固剤、抗血栓剤、抗ウイルス薬、抗真菌剤、局所審美剤および鎮痛剤を含む群から選択される1種または複数種の薬理学的活性物質をさらに含むことを特徴とする、請求項25〜33のいずれか1項に記載の浸漬装置。置換可能な充填容器を前記NO生成ユニットのボリュームチャンバーに挿入することができ、前記充填容器は、NOD、緩衝物質、抗酸化剤および任意選択の溶媒を含む粉末状、ゲル状または液状の組成物を含むことを特徴とする、請求項25〜34のいずれか1項に記載の浸漬装置。前記置換可能な充填容器は、カートリッジであることを特徴とする、請求項35に記載の浸漬装置。躯幹の一部、四肢の一部または全身を対象物として浸漬することによる疾患の処置に使用するための、請求項25〜36のいずれか1項に記載の浸漬装置。前記処置は、下記を含む群から選択されることを特徴とする、請求項37に記載の浸漬装置: a.外用によるヒトおよび動物の組織の代謝の刺激; b.外科的創傷または事故関連創傷の処置; c.慢性創傷、非治癒性創傷または不十分な治癒創傷の処置; d.細菌感染創傷および真菌感染創傷の少なくとも一方の処置; e.炎症性疾患、免疫学的に調節された疾患または自己免疫疾患の範囲の皮膚科学的疾患の処置; f.糖尿病性足部病変および糖尿病性創傷の処置; g.神経障害性疼痛の処置; h.静脈瘤の処置; i.組織の局所表在性疾患ならびに深部虚血疾患および血小板疾患の処置; j.皮膚の急性および慢性炎症の処置; k.皮膚アレルギーの処置; l.皮膚の寄生虫感染の処置; m.アトピー性皮膚炎、特に神経皮膚炎、皮膚筋炎および尋常性天疱瘡の処置; n.慢性糖尿病性神経障害性潰瘍、下腿潰瘍、褥瘡創傷といった創傷欠陥の処置; o.全身性疾患、例えば、高血圧(筋緊張亢進)および関連する血流力学疾患の治療のための身体の広い領域の処置; p.(皮膚)移植の患者の処置; q.下肢(足または脚)の糖尿病性疼痛の処置、ならびに r.不十分な灌流による皮弁形成手術の処置。糖尿病患者の下肢の慢性創傷の処置に使用されることを特徴とする、請求項38に記載の浸漬装置。前記処置は、数秒〜長時間継続することができることを特徴とする、請求項37〜39に記載の浸漬装置。前記処置は、全身、躯幹の一部または四肢の一部を前記キャリア媒体中に5〜30分間、好ましくは7.5〜20分間、特に好ましくは10〜15分間浸漬することを含むことを特徴とする、請求項40に記載の浸漬装置。1つの処置のためのパッケージユニットを含み、当該パッケージユニットは、NOD、緩衝物質、抗酸化剤および任意選択の溶媒を含む粉末状、ゲル状または液状の組成物を含むことを特徴とする、請求項25〜41のいずれか1項に記載の浸漬装置で使用するためのキット。前記パッケージユニットは、置換可能な充填容器であることを特徴とする、請求項42に記載のキット。前記置換可能な充填容器は、カートリッジであることを特徴とする、請求項43に記載のキット。a.UV照射源およびNOD含有キャリア媒体を保持するボリュームチャンバーを有する一酸化窒素(NO)生成ユニットであって、前記キャリア媒体がUV照射によるNOで富化されることが可能なように構成されるNO生成ユニットと、 b.対象物を浸漬するためのボリュームユニットであって、NOで富化され、前記NO生成ユニットから送られてきた前記キャリア媒体を保持することができるボリュームユニットと、 を具備する浸漬装置。前記ボリュームユニットは、上端に向かって開いている容器であることを特徴とする、請求項45に記載の浸漬装置。前記NO生成ユニットは、堅く密閉可能であることを特徴とする、請求項45または46に記載の浸漬装置。前記キャリア媒体は、共有壁に配置された、前記NO生成ユニットと前記ボリュームユニットを連結する2つの開口部、または2本の配管を介して移送されることを特徴とする、請求項45〜47のいずれか1項に記載の浸漬装置。前記キャリア媒体を、循環機器またはポンプ圧送機器によって、前記NO生成ユニットのボリュームチャンバーを通って送り、また、前記ボリュームユニットへ戻すことができることを特徴とする、請求項45〜48のいずれか1項に記載の浸漬装置。前記NO生成ユニットのボリュームチャンバーおよび前記ボリュームユニットは、前記キャリア媒体のための閉回路を形成することを特徴とする、請求項45〜49のいずれか1項に記載の浸漬装置。前記キャリア媒体は、有機または無機の液状、粘稠状からゲル状までのキャリア媒体であってよく、好ましくは水溶液であることを特徴とする、請求項45〜50のいずれか1項に記載の浸漬装置。前記UV照射源は、適切な蛍光色素で被覆されたグロー放電ランプまたはガス放電ランプ(低圧放電または高圧放電)、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、およびレーザーを含む群から選択されることを特徴とする、請求項45〜51のいずれか1項に記載の浸漬装置。前記一酸化窒素ドナー(NOD)は、有機硝酸塩、無機硝酸塩、亜硝酸塩、硫黄−ニトロソ化合物、窒素−ニトロソ化合物、または酸素−ニトロソ化合物、NO−金属化合物およびNO−キレート化物質を含む群から選択されることを特徴とする、請求項45〜52のいずれか1項に記載の浸漬装置。置換可能な充填容器を前記NO生成ユニットまたは前記ボリュームユニットに挿入することができ、前記充填容器は、前記NO生成ユニット中でNOを放出することができるNOドナーおよびその他の物質を収納することを特徴とする、請求項45〜53のいずれか1項に記載の浸漬装置。前記キャリア媒体は、不活性ガス、好ましくは窒素、ヘリウムまたはアルゴンで富化されることを特徴とする、請求項45〜54のいずれか1項に記載の浸漬装置。健康に有害である可能性のあるガスを除去する役割をする置換可能なフィルター処理手段を含むことを特徴とする、請求項45〜55のいずれか1項に記載の浸漬装置。前記キャリアは、好ましくは等張性緩衝液である緩衝水溶液であることを特徴とする、請求項45〜56のいずれか1項に記載の浸漬装置。前記水性キャリア媒体は、下記の組成であることを特徴とする、請求項45〜57のいずれか1項に記載の浸漬装置: a.pH6.0〜7.4のリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)、 b.1mM〜100mMのNOD、および c.2mM〜200mMの抗酸化剤。前記キャリア媒体は、抗炎症剤、例えば、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)またはコルチコイド、免疫抑制剤、抗生物質、抗凝固剤、抗血栓剤、抗ウイルス薬、抗真菌剤、局所審美剤および鎮痛剤を含む群から選択される1種または複数種の薬理学的活性物質をさらに含むことを特徴とする、請求項45〜58のいずれか1項に記載の浸漬装置。置換可能な充填容器を前記NO生成ユニットのボリュームチャンバーおよび前記ボリュームユニットの少なくとも一方に挿入することができ、前記充填容器は、NOD、緩衝物質、抗酸化剤および任意選択の溶媒を含む粉末状、ゲル状または液状の組成物を含むことを特徴とする、請求項45〜59のいずれか1項に記載の浸漬装置。前記置換可能な充填容器は、カートリッジであることを特徴とする、請求項60に記載の浸漬装置。躯幹の一部、四肢の一部または全身を対象物として前記キャリア媒体に浸漬することによる疾患の処置に使用するための、請求項45〜61のいずれか1項に記載の浸漬装置。前記処置は、下記を含む群から選択されることを特徴とする、請求項62に記載の浸漬装置: a.外用によるヒトおよび動物の組織の代謝の刺激; b.外科的創傷または事故関連創傷の処置; c.慢性創傷、非治癒性創傷または不十分な治癒創傷の処置; d.細菌感染創傷および真菌感染創傷の少なくとも一方の処置; e.炎症性疾患、免疫学的に調節された疾患または自己免疫疾患の範囲の皮膚科学的疾患の処置; f.糖尿病性足部病変および糖尿病性創傷の処置; g.神経障害性疼痛の処置; h.静脈瘤の処置; i.組織の局所表在性疾患ならびに深部虚血疾患および血小板疾患の処置; j.皮膚の急性および慢性炎症の処置; k.皮膚アレルギーの処置; l.皮膚の寄生虫感染の処置; m.アトピー性皮膚炎、特に神経皮膚炎、皮膚筋炎および尋常性天疱瘡の処置; n.慢性糖尿病性神経障害性潰瘍、下腿潰瘍、褥瘡創傷といった創傷欠陥の処置; o.全身性疾患、例えば、高血圧(筋緊張亢進)および関連する血流力学疾患の治療のための身体の広い領域の処置; p.(皮膚)移植の患者の処置; q.下肢(足または脚)の糖尿病性疼痛の処置、ならびに r.不十分な灌流による皮弁形成手術の処置。糖尿病患者の下肢の慢性創傷の処置に使用されることを特徴とする、請求項62に記載の浸漬装置。前記処置は、数秒〜長時間継続することができることを特徴とする、請求項62〜64に記載の浸漬装置。前記処置は、全身、躯幹の一部または四肢の一部を前記キャリア媒体中に5〜30分間、好ましくは7.5〜20分間、特に好ましくは10〜15分間浸漬することを含むことを特徴とする、請求項65に記載の浸漬装置。1つの処置のためのパッケージユニットを含み、当該パッケージユニットが、NOD、緩衝物質、抗酸化剤および任意選択の溶媒を含む粉末状、ゲル状または液状の組成物を含むことを特徴とする、請求項45〜66のいずれか1項に記載の浸漬装置で使用するためのキット。前記パッケージユニットは、置換可能な充填容器であることを特徴とする、請求項67に記載のキット。前記置換可能な充填容器は、カートリッジであることを特徴とする、請求項68に記載のキット。患者の処置方法であって、 a.請求項1〜16、25〜36または45〜61に記載の浸漬装置を用いて、NOで富化されたキャリア媒体を生成するステップと、 b.前記患者の躯幹の一部、四肢の一部または全身を前記浸漬装置のキャリア媒体中に浸漬するステップと、 を含む方法。前記処置は、下記を含む群から選択されることを特徴とする、請求項70に記載の方法: a.外用によるヒトおよび動物の組織の代謝の刺激; b.外科的創傷または事故関連創傷の処置; c.慢性創傷、非治癒性創傷または不十分な治癒創傷の処置; d.細菌感染創傷および真菌感染創傷の少なくとも一方の処置; e.炎症性疾患、免疫学的に調節された疾患または自己免疫疾患の範囲の皮膚科学的疾患の処置; f.糖尿病性足部病変および糖尿病性創傷の処置; g.神経障害性疼痛の処置; h.静脈瘤の処置; i.組織の局所表在性疾患ならびに深部虚血疾患および血小板疾患の処置; j.皮膚の急性および慢性炎症の処置; k.皮膚アレルギーの処置; l.皮膚の寄生虫感染の処置; m.アトピー性皮膚炎、特に神経皮膚炎、皮膚筋炎および尋常性天疱瘡の処置; n.慢性糖尿病性神経障害性潰瘍、下腿潰瘍、褥瘡創傷といった創傷欠陥の処置; o.全身性疾患、例えば、高血圧(筋緊張亢進)および関連する血流力学疾患の治療のための身体の広い領域の処置; p.(皮膚)移植の患者の処置; q.下肢(足または脚)の糖尿病性疼痛の処置、ならびに r.不十分な灌流による皮弁形成手術の処置。糖尿病患者の下肢の慢性創傷の処置に使用されることを特徴とする、請求項70に記載の方法。前記処置は、数秒〜長時間継続することができることを特徴とする、請求項70〜72に記載の方法。前記処置は、全身、躯幹の一部または四肢の一部を前記キャリア媒体中に5〜30分間、好ましくは7.5〜20分間、特に好ましくは10〜15分間浸漬することを含むことを特徴とする、請求項73に記載の方法。

a.UV照射源(6)およびNOD含有水溶液を保持するボリュームチャンバー(3)を有する一酸化窒素(NO)生成ユニット(1)であり、前記水溶液がUV照射によるNOで富化されるように構成されているNO生成ユニット(1)と、 b.対象物を浸漬するためのボリュームユニット(2)であり、NOで富化されたと共に前記NO生成ユニット(1)から送られてきた前記水溶液を保持可能なボリュームユニット(2)と、を具備し、 前記ボリュームユニット(2)は、上端に向かって開いている容器であり、前記NO生成ユニット(1)は、堅く密閉可能である、浸漬装置であって、 前記水溶液は、共有壁中に配置された、前記NO生成ユニットと前記ボリュームユニットとを連結する2つの開口部を介して、または2つの配管を介して送られ、前記水溶液は、前記ボリュームチャンバー(3)および前記ボリュームユニット(2)が前記水溶液の閉回路を形成するように、循環機器またはポンプ圧送機器によって前記NO生成ユニット(1)のボリュームチャンバー(3)を通して送られ、また、前記ボリュームユニット(2)に戻されることが可能であり、 前記浸漬装置は、加熱または冷却によって、選択された温度に設定することを可能とする温度制御ユニットを備え、 前記UV照射源(6)は、適切な蛍光色素で被覆されたグロー放電ランプまたはガス放電ランプ(低圧放電または高圧放電)、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、およびレーザーを含む群から選択される、 ことを特徴とする浸漬装置。置換可能な充填容器を、前記NO生成ユニット(1)のボリュームチャンバー(3)および前記ボリュームユニット(2)の少なくとも一方に挿入することができ、前記充填容器は、NOD、緩衝物質、抗酸化剤および任意選択の溶媒を含む粉末状、ゲル状または液状の組成物を収納する、 ことを特徴とする請求項1に記載の浸漬装置。前記置換可能な充填容器は、カートリッジである、 ことを特徴とする請求項1または2に記載の浸漬装置。躯幹の一部、四肢の一部または全身を前記キャリア媒体に浸漬することによる疾患の処置に使用するための、請求項1〜3のいずれか1項に記載の浸漬装置。前記NO生成ユニット(1)は、前記処置の期間中、NO含量が増加または減少するように稼働される、 ことを特徴とする請求項4に記載の浸漬装置。前記処置は、下記を含む群から選択されることを特徴とする請求項4または5に記載の浸漬装置: a.外用によるヒトおよび動物の組織の代謝の刺激; b.外科的創傷または事故関連創傷の処置; c.慢性創傷、非治癒性創傷または不十分な治癒創傷の処置; d.細菌感染創傷および真菌感染創傷の少なくとも一方の処置; e.炎症性疾患、免疫学的に調節された疾患または自己免疫疾患の範囲の皮膚科学的疾患の処置; f.糖尿病性足部病変および糖尿病性創傷の処置; g.神経障害性疼痛の処置; h.静脈瘤の処置; i.組織の局所表在性疾患ならびに深部虚血疾患および血小板疾患の処置; j.皮膚の急性および慢性炎症の処置; k.皮膚アレルギーの処置; l.皮膚の寄生虫感染の処置; m.アトピー性皮膚炎、特に神経皮膚炎、皮膚筋炎および尋常性天疱瘡の処置; n.慢性糖尿病性神経障害性潰瘍、下肢無痛潰瘍、褥瘡創傷といった創傷欠陥の処置; o.全身性疾患、例えば、高血圧(筋緊張亢進)および関連する血流力学疾患の治療のための身体の広い領域の処置; p.(皮膚)移植の患者の処置; q.下肢(足または脚)の糖尿病性疼痛の処置、ならびに r.不十分な灌流による皮弁形成手術の処置。糖尿病患者の下肢の慢性創傷の処置に使用される、 ことを特徴とする請求項4または5に記載の浸漬装置。前記処置は、数秒〜長時間継続することができる、 ことを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の浸漬装置。前記処置は、全身、躯幹の一部または四肢の一部を前記キャリア媒体中に5〜30分間、好ましくは7.5〜20分間、特に好ましくは10〜15分間浸漬することを含む、 ことを特徴とする請求項8に記載の浸漬装置。

说明书全文

本発明は、一酸化窒素生成ユニットおよび対象物を浸漬するために設けられたボリュームユニットを含む浸漬装置に関し、また、疾患、特に慢性創傷、および糖尿病や血管疾患に関連する血流障害を処置するための前記装置の使用に関する。

血流障害およびその結果としての慢性創傷の処置は、日々の診療において不適切なまま残されている。これらの慢性的な軽い病気は、医学上の深刻な問題であるだけでなく、経済的な問題でもある。例えば、ドイツだけでも、約240万人の糖尿病患者が血流障害および/または不適切な創傷治癒に悩まされていると推定されている。このことにより罹患した人々の生活の質が阻害され、彼らは避けることが可能な疼痛に耐えている。年間の処置コストは、30億ユーロと推定されている。この集団が年を取るに伴い、将来さらに多くの人々がこのような不十分な創傷の治癒を経験することになる。実際、推計によると、2025年までに、これらの数字は2倍になることが指摘されている。

現在の治療手法は、主として、組織灌流の適度に有効な薬理学的支援ならびに慢性創傷の治癒のための創傷被覆方式の形での不十分な支援に基づいている。

重要で効果のあるヒト皮膚に対する生理学的な原則は、NO合成酵素ファミリー由来の酵素による一酸化窒素の酵素産生であり、この酵素は全てのタイプの細胞により合成することができる[1]。NO合成酵素の基質はアミノ酸のL−アルギニンである。現在では、構成的に発現している2つのNO合成酵素のアイソフォームと、誘導可能な1つのNO合成酵素のアイソフォームとの間で区別がなされている。構成的に発現しているNO合成酵素には、主として神経に限局しているNO合成酵素(nNOS)および主として内皮に限局しているNO合成酵素(eNOS)が含まれるが、eNOSは皮膚線維芽細胞および筋皮弁においても発現している。一方、誘導可能なアイソフォームのiNOSは、炎症促進性の刺激によってのみ誘導され、構成的アイソフォームとは対照的に、局所的に高濃度のNOを長期間(数日間)にわたり産生することができる。

以下では、亜酸化窒素、一酸化窒素、一酸化窒素ラジカル、NOおよびNO・という用語を同じ分子に対する同義語として用いる。

NOは、亜硝酸塩またはニトロソチオールからも非酵素的に放出され得る。NOの非酵素的生成は、酸性および還元条件下で発生する。このプロセスでは、NOは、例えば、亜硝酸塩から放出される。本反応は、胃ならびに皮膚の酸性環境において生理学的に重要である。また、UVA光が、NOの生理特性を有する物質を亜硝酸塩から放出可能であることも知られている[2]。実際に、光分解様式によりNOが亜硝酸塩から形成されることが示されている[3;4]。

皮膚の炎症プロセスおよび種々の細胞系の相互作用において、NOは、特に、皮膚細胞の増殖と分化を調節し、したがって、例えば、創傷治癒も調節する[5]。皮膚の創傷治癒プロセスにおいて多くの遺伝子がNO調節を主に受けていると確認されており[6;7]、したがって、iNOS欠損マウスにおける創傷治癒は著しく遅延したプロセスであることが明らかになっている[8]。NOによる転写制御下にあるその他の遺伝子は、保護活性のあるストレス防御遺伝子、例えば、熱ショックタンパク質、シャペロンまたはヘムオキシゲナーゼ−1である。その他のNO調節遺伝子は、炎症反応を逆調節または局所損傷を修復する働きをする(これは特にマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)のファミリーの多くのメンバーを含む)。NOは、MMPの遺伝子発現に、およびそれらの生理的な阻害剤、マトリックスプロテイナーゼ(TIMP)の組織阻害剤にも影響を与えることができ、しかも、NOはニトロソ化によりそれらの活性を調節することができ、したがって、MMPによる大きなコラーゲンの分解を抑えることができる[9]。加えて、NOは、例えば、VEGFなどの成長因子の発現および活性にも影響を与える[37;38]。したがって、NOドナーは、例えば、コラーゲン合成と共に、創傷治癒における重要な要素である血管新生を刺激することが可能であり[39]、それによって、ケラチノサイトやマクロファージ中のNOは血管新生因子VEGFの合成を誘導することができる[5;40]。

さらに、外因性NOドナーを使った実験では、NOは線維芽細胞中のコラーゲン合成を顕著に増加させることが示された[10;11]。新規コラーゲンの合成の重要な生理的な誘導因子は、形質転換増殖因子−β(TGF−β)であり、これとは対照的に、インターロイキン−1(IL−1)、IL−6、TNF−αならびに活性酸素種(ROS)は新規コラーゲンの合成を大きく低減させるかまたは抑制することができる[12;13]。その他のラジカルと反応するその能およびその結果としてのそれらラジカルを除去する能力のために、NOは保護作用も有することができる[14]。例えば、NOは、ヒドロキシルラジカルによるDNA損傷に対し、ならびにH2O2により誘導された細胞死に対して保護することができ、さらに、NOは、ラジカル誘導脂質過酸化を終わらせるための、ビタミンEより大きな能力も有する[15;16]。

さらに、多くのその他のNOの保護的性質が報告されている。このように、NOは、低酸素誘導損傷に対し保護するといわれており、肝細胞保護作用および神経保護作用を生じ、さらに、エフェクターカスパーゼを不活化することによりアポトーシスに対し保護することもできる[17]。加えて、低濃度ですでに、NOは、2つの重要なGSH合成酵素、すなわち、γ−グルタミル−システインシンテターゼ(γ−GCS)およびγ−グルタミルトランスペプチダーゼの発現の増加を誘導するため、抗酸化保護の重要な成分、例えば、グルタチオン代謝(GSH)を調節することができる[18]。

一旦形成されてしまえば、NOは血管壁ならびに血管腔中に容易に拡散し、例えば、血小板接着および血小板凝集、血管ローリングならびに好中性顆粒球および単球の血管外移動の調節に関与し、内皮透過性の調節にも関与する[20]。また、NOは、血圧の調節における重要な酵素である可溶性グアニル酸シクラーゼを活性化することにより、血管壁中の平滑筋細胞を弛緩させる。したがって、内皮に形成されたNOは、血管の機能ならびに血管構造を維持するために極めて重要であり、したがって、血流力学パラメータ、特に血圧、さらには組織虚血状態に本質的な影響を与える[21;22]。

NO合成速度が低下した場合には、動物モデルでは新規血管の形成および創傷治癒に遅れが見られ、さらには、低下したケラチノサイトの増殖速度に起因して、皮膚創傷の再上皮化が大幅に傷害された。血管弛緩の伝達物質として、NOは創傷領域の血流速度を高め、その結果、より多くの酸素および栄養素の供給、さらには、組織の細胞浸潤の改善がもたらされる[5]。

皮膚創傷治癒の初期段階の間のNOドナーによる創傷の局所的処置により、ラットの著しく加速された創傷閉鎖および再上皮化[23]ならびに糖尿病性バックグラウンドのマウスの創傷治癒の改善がもたらされる[24]。NO含有空気プラズマへの創傷の毎日の暴露により、ラットモデルの敗血性ならびに無菌の創傷治癒が著しく改善された[25]。NOの創傷治癒の好ましい効果が今まで数多く示されているにもかかわらず、ヒトではただ1件の実証されたパイロット調査、すなわち、NOガス治療により足の静脈性下腿潰瘍(これは数年間の治療に抵抗性であった)の完全な治癒に繋がった55歳の患者に関する調査があるに過ぎない[26]。活性酸素種の分解により、外因性投与NOは虚血または再灌流により引き起こされた損傷を減少させることができ、皮膚組織の微小循環を大幅に改善することができる。これらの性質は、軟組織被覆における遊離皮弁形成術のエッジゾーンの再生において特別な役割を果たす[26]。

NOバランスに関連する現在の治療手法では、主としてNO誘導cGMP依存性シグナルカスケードに対する取り組みが試みられている。生物体中のNOの有効性に直接影響を与えることを目的とした治療手法は、有機亜硝酸塩および硝酸塩の使用に限定される[27]。診療では、これまで、NOガスは、種々の急性機能不全の処置での吸入療法として採用されてきたに過ぎず、その結果として、実験調査もまた、吸入されたNOの全身的な効果を実証してきた[28]。NOの37℃での拡散係数は、酸素または一酸化炭素より約1.4高く、これに基づくと、組織中で到達可能な拡散経路は500μmと計算された[29]。

Ghaffariらは、顕著な抗菌作用、およびそれによる細菌感染創傷および熱傷ならびに非治癒性創傷の処置における外因性NOガスの適合性を実証し[31;32]、それにより、イン・ヴィトロで用いられたNO濃度は、ヒト線維芽細胞、ケラチノサイトまたは内皮細胞に対し何ら毒作用を呈さない[33]ことを実証することができた。

要約すると、一酸化窒素(NO)は生理的に重要な生理活性の分子であることが実証された。非常に急速に始まる血管に対する拡張作用により、NOは、臓器への血液の供給にとって極めて重要である。さらに、NOはまた、その他の生理的なプロセスにおいて重要なメッセンジャー物質としての役割も果たす。例えば、ラジカル捕捉剤として、NOは低酸素誘導損傷に対して保護し、抗酸化保護の重要な成分を調節する。特に、皮膚の炎症プロセスの場合には、種々の細胞系との相互作用において、例えば、NOは皮膚細胞の増殖および分化を調節し、その結果、創傷治癒を促進する。

それに対応して、動物モデルでは、NO合成速度の低下は、新血管形成および創傷治癒の遅延に関連していることが明らかになっている。

NOに関連するこれらの洞察に基づいて、血流障害または慢性創傷の治療のためにガス状NOを使用する手法が既に存在する。現在まで、治療目的に使用されるNO含有ガスは、病院または別の治療機関において、必要な安全対策の観点からその貯蔵と取り扱いの要求が厳しいために、ガスボンベ(工業ガス)で供給されてきた。このことは特に可搬性の装置にいえることである。さらに、医療用途に使われる貯蔵ガスの品質は、厳格な要件に適合する必要があり、このことが製造と貯蔵の面から生ずる要求をさらに増やすことになる。わずかなガスの混入物であっても、好ましくない、有毒性が想定される副産物の形成に繋がる。したがって、欧州の薬物および保健当局は、使われる一酸化窒素の純度に関する厳格な要件を定めた。医療用途のための「技術的な」NOガスの使用とは別に、一酸化窒素のプラズマ化学製造法が存在する。これらの方法は、その後の、時には非常に要求が厳しい、精製手順が必要であり、当該治療目的用のNOの最適濃度にすることは困難である。

Oplaender et al.,2010(Nitric Oxide Biology & Chemistry,23:275−283)は、亜硝酸塩溶液の制御されたUVA光分解による高純度NOガス混合物の連続形成の方法を記載している。図2で、この文献は、亜硝酸塩溶液のUVA照射により、装置の出口(「>CLD」で示される)で得られるNO含有ガス混合物を生成する2つの装置を示している。これらのユニットは浸漬装置としては構成されていない。

国際公開第WO2002/074223号は、足マッサージ装置に関し、取り外し可能な容器130を開示しており、この装置は、水殺菌を目的として上端に取り付けたUVランプ225を備えている。しかし、この特許は、水容器と足浴ユニットとの間の何らの連結も提供していない。国際公開第WO2002/074223号の別の欠点は、水溶液を水容器から足浴へ送り、再度戻して、2つの区画の間で閉回路を形成することができる循環またはポンプ圧送機器を備えていないことである。

国際公開第WO2003/003989A1号は、創傷を治癒するための、および感染予防のための装置を開示しており、この特許では、足100を挿入することができ、それにより、UVランプ14が、ハウジング中に置かれた光で活性化可能な材料を刺激する役割をして、特に、NOを形成するハウジング12を開示している。ファン50により、NO含有ガス混合物をハウジング内で循環させることができる。国際公開第WO2003/003989A1号では、NO生成ユニットと浸漬装置との間に仕切りはなく、後者は水溶液をキャリア媒体として受けるのにも適さない。さらに、国際公開第WO2003/003989A1号では、身体の一部を温度制御された方式で処置することができない。

米国特許出願公開第2013/096490号は、創傷治癒用のシステムを開示し、段落[0031]で、処置される身体の一部を受けるチャンバー810を有する処置容器800を含む足浴を開示している。チャンバーは内側にLEDを備えたカバーにより閉鎖することができる([0011]を参照されたい)。NOドナーの光分解時には、照射を提供する目的のこれらのLEDは処置容器中で直接NOを生成し、その結果、使用者をガス状NOへの暴露の危険性にさらすことになるであろう。

このように、未だに、血流障害および慢性創傷を処置するための新規方法に対するニーズが存在する。

この背景状況下で、本発明の目的は、血流障害および慢性創傷を処置するための、上述の欠点の少なくとも1つに対して改善が行われる新規治療手法を提案することである。

本発明では、この目的は、下記を含む浸漬装置を提供することにより達成される:

a.キャリア媒体の役割をする溶媒中に溶解された一酸化窒素ドナー(NOD)から物理化学的刺激による開裂を介してNOが生成される一酸化窒素(NO)生成ユニット、および b.対象物、特に躯幹の一部、四肢の一部または全身を浸漬するためのボリュームユニットであって、前記NO生成ユニットに連結され、前記キャリア媒体の役割をすると共に前記NO生成ユニットで生成されたNOで富化された浸漬媒体を保持することができるボリュームユニット。

本発明に係る浸漬装置は、現状技術で既知の治療手法に比べて、いくつかの明白な利点を併せ持っている。

NO生成ユニットと、対象物を浸漬することができるボリュームユニットとの分離は、安全性を高めることと密接に関連し合っている。例えば、健康に対し好ましくないかまたは有害の可能性のある一酸化窒素ドナーは、NO生成ユニット中に選択的に保持され、浸漬される対象物と接触することはなく、NOのみがNO生成ユニットとボリュームユニットとの間の連結部を経由して移送される。

したがって、好ましくはUV照射により動作する、本発明に係る有利な光化学的NO生成方法では、UV源は容易に遮蔽され、使用者を有害なUV照射への暴露に対し保護することができる。

さらに、この分離はまた、ボリュームユニットに移されるNO含有キャリア媒体の含量と純度の制御および調節を可能とし、極端な場合には、2つのユニット間の連結部を完全に遮断する(例えば、安全弁により)ことができる。

通常、NOの短い半減期がその治療上の使用を妨害する。本発明に係る装置のために、短い半減期にもかかわらず、合成後の連続的なNO供給により、一定のNOレベルを維持することができる。

この調節および制御の能力は、まさに治療分野において明白な利点である。理由は、この能力により所定の患者に適応させた処置が可能となるからである。

モジュール構造もまた、NOD補充容器(例えば、カートリッジの形態の)の使用を可能とし、これにより、NOの再現可能なおよび信頼性の高い生成を確保することができる。

サイズ、形および材料の観点でのボリュームユニットの単純な改造により、機器および器具などの製品への作用から、身体の一部または全身の浸漬を伴うヒトおよび動物の生体の治療処置までに及ぶ多様なNO依存性浸漬用途に手段を提供することを可能とする。

NO生成ユニットは本発明に係る浸漬装置の構成部品であるため、通常ならガスボンベを必要とするNOの外部供給部を省くことができる。

これにより、可搬性システムとしての利用が可能となり、まさに治療分野において、診療所や医院外での使用を可能とし、その結果、特に慢性疾患の場合に、よりコスト効率の高い処置およびより高い服薬遵守に繋がる。

本発明に係る浸漬装置は、単純な設計で、市販の部品で作られており、そのため、製造のための経済性に優れるのみでなく、使用が容易でもあり、また、間違いを生ずることは少ない。

まとめると、本発明に係る浸漬装置は、患者に適合させた、安価な、信頼性の高い安全なNO含有混合物を作製することができるNOベース療法である。

第2の態様では、本発明は、下記を含む浸漬装置を提案する:

UV照射源を有する一酸化窒素(NO)生成ユニット、ならびに対象物、特に躯幹の一部、四肢の一部または全身の浸漬のためのボリュームチャンバーであって、キャリア媒体としての役割をする溶媒を保持することができ、UV照射源からのUV照射による開裂によって一酸化窒素ドナー(NOD)からNOが生成され、浸漬媒体としての役割をする溶媒がNOで富化されているボリュームチャンバー。

第3の態様では、本発明は、下記のユニットを含む浸漬装置、特に、下記のユニットから構成される浸漬装置を提案する:

a.UV照射源およびNOD含有キャリア媒体を保持するボリュームチャンバーを有する一酸化窒素(NO)生成ユニットであって、キャリア媒体がUV照射によるNOで富化されることが可能となるように構成されるNO生成ユニット、および

b.対象物を浸漬するためのボリュームユニットであって、NOで富化され、NO生成ユニットから送られてきたキャリア媒体を保持することができるボリュームユニット。

一実施形態では、本発明に係る浸漬装置のボリュームユニットは、上端に向かって開いている容器である。その結果、ボリュームユニットはキャリア媒体の役割をする浸漬媒体で容易に満たすことができ、浸漬される対象物は上方からボリュームユニット中に、したがって浸漬媒体中に浸漬される。

好ましい実施形態では、浸漬装置のNO生成ユニットは堅く密閉することができる。このようにして、NO生成に関与するユニットからの全てのNOは環境中へ漏れ出ることができないが、その代わり、キャリア媒体中に選択的に送られ、それにより、(治療の)浸漬用途に全面的に利用可能である。この構成は、使用者が必要以上にNOへ暴露されないので、治療用途において特に有利である。

本発明の一実施形態では、NO生成ユニットの溶媒は、ボリュームユニットの浸漬媒体と同じである。このようにして、NOで富化された溶媒はNO生成ユニットからボリュームユニットに送られ、好ましくはそこからNO生成ユニットに再度戻されることにより、この溶媒用の閉回路が実現する。その結果、「使用済み」浸漬媒体は、NO生成ユニット中で循環および更新されたNO富化により、「再生」することができる。

本発明の代替的実施形態では、NO生成ユニットの溶媒は、ボリュームユニットの浸漬媒体と同じではない。これらの2つの区画は相互に連結されているので、この場合には、NO透過性である分離手段(例えば、膜または隔膜)の必要性がある。このようにして、両媒体の組成は、最も適切なように所定の適用目的、換言すれば、NO生成ユニット中のNO生成用の溶媒およびボリュームユニット中の身体の浸漬用の浸漬媒体、に適合させることができる。従って、浴液の一成分とした場合には皮膚に対して刺激性であるまたは健康に有害でさえある可能性のある一酸化窒素生成ドナーを用いることができる。他方では、浸漬媒体には、NO生成ユニット中でのUV照射下NOの分解を防ぐ、またはNOの生成を低下させるもしくは抑制するのを防ぐ物質または物質混合物を含めることができる。

浸漬装置の一実施形態では、NO生成ユニットは、ボリュームユニットと連通したボリュームチャンバーを備え、ボリュームチャンバーがキャリア媒体を収納し、循環機器またはポンプ圧送機器により、キャリア媒体をNO生成ユニットのボリュームチャンバーを通って送り、また、ボリュームユニットへ戻すことができる。

本発明の一実施形態では、NO生成ユニットのボリュームチャンバーおよびボリュームユニットは、共有壁中に配置された1つまたは複数の開口部を介して、または1本または複数の配管を介して相互に連結される。すなわち、キャリア媒体は開口部(単一または複数)または配管(単一または複数)を通して、NO生成ユニットからボリュームユニットへ運ばれ、その後再度戻される。

本発明で記述される配管は、本発明に係る液状の、粘稠状またはゲル状キャリア媒体を運ぶために用いられる任意の手段であってよい。このような配管の例は、都合よくポンプ圧送機器に一体化されたパイプ、ホースまたは溝である。

好ましくは、NO生成ユニットのボリュームチャンバーおよびボリュームユニットは、共有壁中に配置された2つの開口部を介して、あるいは2本の配管を介して相互に連結される。

実際には、NO生成ユニットのボリュームチャンバーおよびボリュームユニットは、キャリア媒体用の閉回路を形成し、それにより、ボリュームユニットの「使用済み」キャリア媒体はNO生成ユニットに戻された後で、もう1度NOで富化することができ、ボリュームユニット中への戻り輸送により、所望の濃度のNOを復帰させることができる。この閉回路は上記2つの開口部または2本の配管により実現するのが最も容易である。

本発明では、溶媒ならびに浸漬媒体はキャリア媒体と見なすことができる。

一実施形態では、キャリア媒体は有機または無機の液状、粘稠状からゲル状までのキャリア媒体である。

好ましい実施形態では、このキャリア媒体は、水溶液であり、特に好ましくは、緩衝水溶液である。

NO生成ユニットの溶媒は、ガス状、液状またはゲル状キャリア媒体が1種または複数種のNOドナー(NOD)を含むことを特徴とする。

好ましい方法では、溶媒はまた、1種または複数種の次の物質も含む:触媒、洗剤、緩衝物質、発色団、NODを安定させる物質、例えば、ジメチルスルホキシドまたはエタノール、NOの半減期を延ばす物質、例えば、米国特許出願公開第2003/0039697号に記載の物質、NOD安定剤、抗酸化剤、染料、pH指示薬、ケア用品、香料、薬理学的活性物質。

特に好ましい実施形態では、キャリア媒体、換言すれば、溶媒および/または浸漬媒体は、多重酸化窒素酸化物、酸素ラジカルアニオン、ヒドロキシルラジカル、または「水和電子」を分解するかまたは中和する系を含む。

特定の実施形態では、高酸化窒素酸化物、酸素ラジカルアニオン、ヒドロキシルラジカルまたは「水和電子」を分解するかまたは中和する系は、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、ビタミンE、ビタミンEの誘導体、チオール、ラジカル捕捉剤、および酸素種または窒素種を分解する酵素からなる群から選択される。

緩衝液が溶媒の役割をする場合、pH値は、3.0〜10が好都合で、好ましくは5.5〜7.4、および特に好ましくは6.0〜7.0である。

溶媒は、好ましくは、等張性食塩水、特に好ましくは等張性緩衝食塩水である。

水性の溶媒は、下記の組成であるのが特に好ましい: ・溶液を6.0〜7.4のpHの溶液に設定する緩衝塩 ・50mM〜250mMのNOD ・50mM〜250mMの抗酸化剤

特定の方法では、溶媒は下記の組成である: ・pH6.0〜7.4のリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS) ・100mMのNOD ・150mMの抗酸化剤

好ましくは、PBSは下記の組成の溶液である: ・8g/lのNaCl ・0.2g/lのKCl ・1.424g/lのNa2HPO4 ・0.2g/lのKH2PO4

代替的実施形態では、下記の組成の酢酸塩緩衝生理食塩水が使用される: ・8g/lのNaCl ・0.2g/lのKCl ・最終濃度50mM〜250mMの酢酸および酢酸ナトリウムの混合物

上述の実施形態はまた、溶媒が浸漬媒体と同じである特別な場合にも採用される。

好ましくは、浸漬媒体は、1種または複数種の次の物質を含む:触媒、洗剤、緩衝物質、発色団、NODを安定させる物質、例えば、ジメチルスルホキシドまたはエタノール、NOの半減期を延ばす物質、例えば、米国特許出願公開第2003/0039697号に記載の物質、NOD安定剤、抗酸化剤、染料、pH指示薬、ケア用品、香料、薬理学的活性物質。

NOの半減期を延ばす物質の例は、例えば、米国特許出願公開第2003/0039697号で開示されている。この特許出願の開示に対する参照が本明細書において行われ、この開示はその全体が本出願に組み込まれる。

当業者の一般的な技術的専門知識に基づいて、彼/彼女は想定される用途に留意して適切な物質または物質の混合物を選択することになろう。これに関して、彼/彼女は、本発明が浴装置として使用される場合には、生理学的に適合性のあるおよび/または皮膚科学的に適合性のある安全な物質および物質の混合物が採用されるという事実を考慮に入れることになろう。

好ましくは、浸漬媒体は緩衝水溶液の形態である。

緩衝液が浸漬媒体として使われる場合、pH値は、3.0〜10が好都合で、好ましくは5.5〜7.4、および特に好ましくは6.0〜7.0である。

浸漬媒体は、好ましくは、等張性生理食塩水、特に好ましくは等張性緩衝生理食塩水である。

浸漬媒体は、下記の組成であるのが特に好ましい: ・溶液を5.0〜8.0のpHの溶液に設定する緩衝塩 ・100mM〜250mMのNOD ・100mM〜250mMの抗酸化剤

特に好ましい方法では、水性の浸漬媒体は、下記の組成である: ・溶液を6.0〜7.4のpHの溶液に設定する緩衝塩 ・50mM〜250mMのNOD ・50mM〜250mMの抗酸化剤

特定の方法では、浸漬媒体は下記の組成である: ・pH6.0〜7.4のリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS) ・100mMのNOD ・150mMの抗酸化剤

好ましくは、PBSは下記の組成の溶液である: ・8g/lのNaCl ・0.2g/lのKCl ・1.424g/lのNa2HPO4 ・0.2g/lのKH2PO4

代替的実施形態では、下記の組成の酢酸塩緩衝食塩水が使用される: ・8g/lのNaCl ・0.2g/lのKCl ・最終濃度50mM〜250mMの酢酸および酢酸ナトリウムの混合物

本発明の一実施形態では、浸漬媒体は1種または複数種の薬理学的に活性な物質を含む。これらの物質はNOの薬理効果を支援する、あるいは、NOとは独立に、所定の疾患に対する処置に関連する作用を有する。

本発明の一実施形態では、浸漬媒体は次の1種または複数種の薬理学的に活性な物質を含む:抗炎症剤、例えば、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)またはコルチコイド、免疫抑制剤、抗生物質、抗凝固剤、抗血栓剤、抗ウイルス薬、抗真菌剤、局所審美剤および鎮痛剤。

しかし、組み合わされた処置において、これらの追加の薬理学的に活性な物質はまた、浸漬媒体の成分であるのみでなく、浴手順の前後で使用することも可能である。

本発明の一実施形態では、浸漬装置は発泡性浴を形成する。これは、ガスを吹き込むことにより、または、例えば、炭酸塩などのガス形成物質の溶液を酸性化してCO2ガスの放出を誘導する化学反応により実現することができる。

本発明の別の実施形態では、浸漬装置は、環境中へのNOの放出を減らす、または完全に防ぐ手段を備える。これは、例えば、ボリュームユニットを覆い、浸漬される身体の一部のための切り欠きを有するフードまたはカバーフィルムの形態の物理的分離であってよい。別の方法として、これは、浸漬媒体から放出されたNOを取り除いた後に浸漬媒体中、または溶媒中に供給する排出システム、あるいはNOを分解するまたは濾別する排出システムであってもよい。

好ましい実施形態では、NO生成ユニットは、本質的に閉鎖系、すなわち、環境に関して密閉されており、ボリュームユニットとのみ連通しているシステムである。これにより、NO生成ユニット中で生成されたNOは、(好ましくは選択的に)ボリュームユニットへ移され、環境中に逃げることはありえないことが保証される。

別の実施形態では、NO生成ユニットはNOセンサーに接続され、測定されたNO値をフィードバックすることにより生成されるNOの量を適宜調節することができる。

NOを定量化するための測定装置の役割をするこのNOセンサーは、NO生成ユニット中に、ボリュームユニット中に、あるいは、浸漬装置の外側に設置することができる。特定の実施形態では、限界NO値を超過する場合はいつでも、NOセンサーに接続された制御ユニットが、NO生成ユニットのNOの生成を完全に停止することを確実にする。

本発明の一実施形態では、NO生成ユニットは、処置の期間中、浸漬媒体中のNOの含有量が一定に保持されるように稼働される。

本発明の代替的実施形態では、NO生成ユニットは、処置の期間中、NOの含有量が増加または減少するように稼働される。

本発明の別の実施形態では、浸漬装置は、対象物、機器または器具を処理するために用いられる。NOがこれらの対象物に対して有する作用により、それらを洗浄または消毒し、微生物負荷を減らしまたはバイオフィルムを減少させるかまたは除去することができる。

好ましい実施形態では、浸漬装置を使って医療器具もしくは手術器具が洗浄または消毒される。

本発明の一実施形態では、NOはプラズマ化学法により生成される。医療用途のための「技術的な」NOガスの使用とは別に、一酸化窒素のプラズマ化学製造法が存在する。国際特許出願第WO95/07610号、米国特許第5,396,882号およびドイツ特許出願第DE198 23 748号は、NOのプラズマ化学製造法を開示している公報であり、NOが、窒素(N2)および酸素(O2)含有処理ガス中におけるグロー放電、スパーク放電またはアーク放電の作用により製造される。記載のタイプのガス放電が極めて低温で行われる(グロー放電の場合に観察されるような)場合、ガス混合物中のNO生産の効率が低くなる。さらに、これらの条件下では、吸入目的としては好ましくないNO2ラジカル(NO2・)が主に生成される。吸入用ガスからNO2ラジカルを除去するためには、複雑な吸収体の技術を採用することが必要となる。吸収体の欠点は、特に、吸収体材料を頻繁に取り替えるかまたは再生する必要があるということである。スパーク放電またはアーク放電は、両方ともグロー放電より高いエネルギーを有し、相対的に顕著なガスの加熱を引き起こし、それに比例して効率的なNO生産をもたらす。しかし、電極、特にスパークの接触点に加えられる高い熱負荷は、不都合なほどに大きな電極侵食、すなわち、電極材料の進行性崩壊を起こす。一方では、この電極の侵食に起因して、電極が摩耗する傾向があるので、この方法は保守の負荷が高くなる。他方では、患者がガス中に微細に分散した腐食電極材料に暴露されることを防ぐ必要がある。これにより、労働集約的なガスの精製を余儀なくされる。

NOはまた、適度に不安定なNO誘導体(NOドナー)の電解および熱分解を利用した開裂により生成することもできる。

NOはまた、光分解により製造することもできる。この方法では、例えば、亜硝酸塩(例えば、亜硝酸ナトリウム)を含む溶液中に存在する亜硝酸イオン(NO2)が電磁放射線(例えば、320nm〜440nmの波長のUVA照射)により開裂され(光分解)、その結果としてNOが生成される。還元条件下または不活性ガス雰囲気(例えば、窒素)中では、電磁放射線により誘発された亜硝酸塩の分解が異なるチャネルを介して発生し、そのうちのいくつかは類似であるが、熱力学的に異なる重み付けがなされる。チャネル1(反応1〜5)では、UVA照射(354nm〜366nmが最適である)が亜硝酸塩を開裂させて一酸化窒素ラジカル(NO・)および酸素ラジカルアニオン(O・)(式1)を形成すると考えることができる。後者の生成物はその後、水溶液中で反応性ヒドロキシルラジカル(OH・)(式2)の生成を開始する。ヒドロキシルラジカルは亜硝酸塩と反応して、窒素ジオキシドラジカル(NO2・)(式3)を形成する。その後、これは一酸化窒素とさらに反応して、三酸化二窒素(N2O3)(式4)を形成し得る。 NO2+hν → N・+O・ (1) O・+H2O → OH・+OH (2) NO2+OH・ → NO2・+OH (3) NO2・+NO・ → N2O3 (4) N2O3+H2O → 2NO2+2H+ (5)

チャネル2(式6〜10)では、ヒドロキシルラジカルは、言及した条件下では何の役割もしないが、「水和」電子(eaq)ならびに二酸化窒素ラジカルが形成されると考えられる(式6)。過剰な亜硝酸塩の存在下では、電子は亜硝酸塩に移され、得られた亜硝酸アニオン(式7)が水中で還元されてNOラジカルを生成する(式8)。式(9)と(10)における次の反応は、式(4)と(5)の反応に対応する。このプロセスでは、チャネル1のチャネル2に対する重み付けは約40:60の比になる。 NO2+hν → NO2・+eaq (6) eaq+NO2 → NO2 (7) NO2+H2O → NO・+2OH (8) NO・+NO2・ → N2O3 (9) N2O3+H2O → 2NO2+2H+ (10)

反応1〜10から分かるように、亜硝酸塩の光分解は反応性および細胞傷害性化学種の同時生成が起こる。さらに、式(4)〜(9)の反応から、NO2ラジカル(NO2・)が、式(1)で形成されたNOと逆反応をするということも認めることができる。

一酸化窒素の生成の間にNO2ラジカルまたは酸素種を分解もしくは中和する少なくとも1つの系の使用により、上記の光誘発性亜硝酸塩分解の反応性中間体生成物(NO2・、O・、OH・、eaq)の形成が抑制される、あるいはそれらの中間生成物が除去されるが、一酸化窒素の生成の低下はないということが明らかになっている(欧州特許出願第EP1903003A1号)。したがって、自由に利用可能なNOの収率およびガスの純度が高められる。

NOの放出の増加ならびに高純度は、例えば、下記の反応(11)〜(17)にしたがった反応誘起による反応性中間体生成物の除去に由来する。 N2O3+RS → NO2+RSNO (11) RSNO+hν → NO・+RS・ (12) NO2・+RS → NO2+RS・ (13) NO・+RS → RSNO (14) BA+OH・ → BA−OH (15) VitC+NO2・ → NO2+VitC・ (16) Trol+NO2・ → NO2+Trol・ (17)

(略語: RS=チオール;RSNO=S−ニトロソチオール;RS・=チオールラジカル;BA=安息香酸;VitC=ビタミンC、アスコルビン酸塩、アスコルビン酸;VitC・=VitCのラジカル;Trol=トロロクス;Trol・=トロロクスのラジカル)

一酸化窒素の形成の間のこれらのおよびその他の等価物系の存在のために、この方法(欧州特許出願第EP1903003A1号)は、一酸化窒素の高収率の原因となると同時に、好ましくない(高)酸化窒素酸化物、特にNO2・のみならずヒドロキシルラジカルおよび反応性水和電子の形成が効率的に防止される、あるいはこれらの物質が形成された後で除去される、あるいはそれらは、溶液中に残り、気相に移ることができない程度の少量でしか生成され得ない。したがって、これらの物質は、例えば、吸入ガスの吸入に起因する病理学的に関連する損傷を全く引き起こすことがない。

活性窒素種または窒素酸化物種(ROSまたはRNS)を分解または中和する物質(抗酸化剤)は、活性窒素酸化物種(例えば、二酸化窒素ラジカル)または活性酸素種を分解または中和する系として使用されるのが好ましい。同様に、これらが、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、ビタミンEとその誘導体、チオール、その他の抗酸化剤、ラジカル捕捉剤またはROSおよびRNSを分解する酵素であるのが好ましい。

当業者は、彼/彼女が当該キャリア媒体および機序に応じてNO生成のために選択すると思われる多くの抗酸化剤に精通している。

有機溶媒を使って供給することができる適切な親油性キャリア媒体の例は、トコフェロール、トコトリエノール、トコモノエノール、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)およびブチルヒドロキシトルエン(BHT)などの抗酸化剤である。

親水性のキャリア媒体として特に適切なのは(この場合、水溶液が特に好ましいが)、有機亜硫酸化合物、例えば、グルタチオン、システインもしくはチオ乳酸、または同様に有機酸、例えば、アスコルビン酸、α−リポ酸、ヒドロキシケイ皮酸、例えば、p−クマル酸、フェルラ酸、シナピン酸もしくはコーヒー酸、あるいは、ヒドロキシ安息香酸、例えば、没食子酸、プロトカテク酸、シリンガ酸もしくはバニリン酸である。

その他の好ましい抗酸化剤には、ポリフェノール化合物、例えば、アントシアニン、フラボノイドおよびフィトエストロゲンが含まれる。

さらに、上記光誘発性亜硝酸塩分解の反応性中間体生成物(NO2・、O・、OH・、eaq)の結合または除去は、中性のpH領域でも行うことができ、それにより、最大純度レベルのNOの最大放出が亜硝酸塩から得ることができることが明らかになっている。

酸性条件(pH<7.0)は水溶液中での「自然発生的」な亜硝酸塩分解をもたらす。式18〜20にしたがって、水溶液中の亜硝酸アニオン(NO2)は、その共役酸、すなわち、亜硝酸(HNO2)と平衡状態にある。HNO2は、次に、三酸化二窒素(N2O3)と平衡状態にあり、N2O3は自然に分解してNO・とNO2・を形成する。 NO2+H+ ⇔ HNO2 (18) 2HNO2 ⇔ N2O3+H2O (19) N2O3 ⇔ NO・+NO2・ (20)

したがって、記載された方法(欧州特許出願第EP1903003A1号)の一実施形態では、UVA誘導一酸化窒素の生成は、0〜12、特に1〜10、特に好ましくは1.5〜6、特に2〜6およびさらに特に2.5〜4のpHの範囲で起こる。

溶媒および/または浸漬媒体中のNO含量は、10μM〜5mM、好ましくは50μM〜2mM、および特に好ましくは100μM〜200μMである。

用いられる亜硝酸塩または抗酸化剤の濃度のみならず、亜硝酸塩の分解に繋がる、採用される物理的な代償不全刺激の大きさに応じて、引用した方法(欧州特許出願第EP1903003A1号)により高濃度の一酸化窒素を得ることができる。

溶液では、生成される一酸化窒素の量は、用いられる一酸化窒素を放出する薬剤の濃度および薬剤から一酸化窒素の放出の原因となる物理的および/または化学的誘導により制御することができる。

これに関連して、「物理的および/または化学的誘導」という表現は、電磁放射線の強度のみでなく、反応溶液が受ける暴露の期間も意味し、それは、一般に、一酸化窒素それ自体の形成ならびに一酸化窒素の濃度に影響する反応パラメータを意味する。一般的に言って、これらのパラメータには、反応溶液のpH値、反応溶液の酸化還元状態、反応溶液の温度、照射にさらされる表面積、一酸化窒素を放出する薬剤に対する誘導量の作用期間、電磁放射線源と反応溶液との間の距離、電磁放射線源のスペクトル、反応溶液の吸収、伝達および反射特性、最適なNO放出に必要な「典型的な」物理化学的条件外であっても、それにもかかわらず、触媒によりまたは適切な受容体特性により、NO生成物質からNO放出を可能とする生物学的もしくは化学的触媒またはメディエーターの濃度、が含まれる。特に、この表現は、例えば、UVAスペクトル外の電磁放射線を使って、適切なNO形成薬剤からNOの放出を可能にすると思われる発色団およびその他の物質を意味する。

このように、例えば、誘導量が一定に保持される場合、一酸化窒素を放出する種々の濃度の物質(単一または複数)の使用により、種々の量の一酸化窒素の放出が可能となる。

さらに、一酸化窒素を放出する物質(単一または複数)が一定濃度の場合、関係する誘導量のパラメータ設定を変えることにより、一酸化窒素の放出を変えることができる。したがって、誘導量が一定に保持される場合、高濃度のNO放出物質の使用により、大量のNOの放出が可能となり、また、その逆も言える。一酸化窒素を放出する物質が一定濃度の場合、関係する誘導量のパラメータ設定を変えることにより、一酸化窒素の生成を変えることができる。これに関して、パラメータの設定は、NO生成の調節の代わりに、または同時に行うことができる。特に、いくつかの設定パラメータを基準にして、NO生成の同時調節により、NO生成の観点ならびに好ましくない副産物の観点から都合よく方法を最適化することができる。

一酸化窒素の放出のために、ならびに本発明に係る方法において用いられる物質は、電磁放射線の効果により一酸化窒素を放出することが可能な限りにおいて、基本的には何の制約も受けない。例えば、その物質は、下記からなる群の中から選択することができる:

(a)電磁放射線の効果により一酸化窒素を生成する純粋な物質または物質の混合物;

(b)(a)で言及した物質または物質の混合物に加えて、自然にまたは物理的もしくは化学的影響により一酸化窒素を生成するために、光受容体、光増幅器、遷移金属、特に銅イオン、酵素または触媒、からなる群から選択される補助的な物質を同様に含む物質の混合物;および

(c)(a)で言及した物質、および、該当する場合には、(b)で言及した補助的な物質を用いた前述の化学反応の後でのみ、電磁放射線に暴露されると、自然にまたは物理的もしくは化学的影響により一酸化窒素を生成する物質または物質の混合物。

さらに、(a)で記載した物質は、温度変化により、および/または湿度の変化により、および/またはそれらの溶液のpHの変化により、および/または酸化還元状態の変化により、追加で一酸化窒素を放出することができる。

本発明の好ましい実施形態では、一酸化窒素ドナー(NOD)は、有機硝酸塩、無機硝酸塩、亜硝酸塩、硫黄−ニトロソ化合物、窒素−ニトロソ化合物、または酸素−ニトロソ化合物、NO−金属化合物およびNOキレート化物質を含む群から選択される。

一酸化窒素ドナーは、現状技術において既知であり、当業者によく知られている。NODの例には、ジアゼニウムジオレート(例えば、米国特許第7,105,502号;同7,122,529号;同6,673,338号)、trans[RuCl([15]aneN4)NO]+2、ニトロシルリガンド、6−ニトロベンゾ[a]ピロール、S−ニトロソグルタチオン、S−ニトロソチオール、ニトロアニリン誘導体(米国特許出願公開第2013/0224083号を参照されたい)、2−メチル−2−ニトロソプロパン、イミダゾイル誘導体、ヒドロキシルニトロソアミン、ヒドロキシルアミンおよびヒドロキシ尿素が挙げられる。

本発明の一実施形態では、浸漬媒体および/または溶媒は詰替え容器が利用される。この場合、その容器を浸漬装置に取り付けることにより、すぐに使えるように配合された媒体を用いることができ、生産プロセス中に決定された配合のために、治療に最適な配合が得られることが保証される。

別の実施形態では、浸漬媒体および/または溶媒の成分は、好ましくは予め分割された形態(いわゆるパッケージユニット)で、媒体に追加される。本発明に係るNO生成は、通常の水道水を使っても可能であるので、使用者は水道水を使うことができ、それを、例えば、緩衝物質、塩類、NODおよび抗酸化剤を含む成分と混合することにより、すぐに使える溶媒または浸漬媒体を生成することができる。

予め分割された形態は、固形で成分を含むことが好ましい。例えば、それらは、粉剤、粉末状物質、顆粒、錠剤、フィルムタブ、糖衣錠、ソフトゲルカプセル剤、ハードゲルカプセル剤、トローチ剤、カプレット、発泡性錠剤または丸薬として存在することができ、それにより、それぞれのパッケージユニットは都合よく1つの特定の処置に十分な量を含む。

好ましい実施形態では、成分は発泡性錠剤として存在する。この形態では、それらは極めて素早く溶解し、また、媒体を適切な−好ましくは不活性の−ガス(例えば、CO2)で富化する。さらに、この形態の投与は、浴用途の分野の使用者によく知られており、その結果、高レベルの服薬遵守に繋がる。

別の方法として、成分は液体または半固形で存在することができる。半固形としては、例えば、懸濁剤、乳剤、ペースト剤、クリーム剤、軟膏、ゲルまたはローションが挙げられる。パッケージユニットの形態の予め行われる分割は、例えば、アンプル、ボトル、ポーチまたはチューブにパッケージングすることにより実現することができる。

別の好ましい実施形態では、パッケージユニットは、浸漬装置中で誤りのない使用を可能とするように構成される。例えば、形は、特定の向きで浸漬装置のみに取り付けることができるカートリッジの形であるのが好ましい。さらに、このカートリッジは、浸漬装置に正しくロックされた後でのみ所望の方式で成分を放出する遮断機構を備えることができる。この場合、好都合にも、浸漬装置はカートリッジのなんらかの不正確な向き、またはロッキングを検知するセンサーを備えて、使用者にそれを示すことができる。

別の態様では、本発明は1つの処置のためのパッケージユニットを含み、このパッケージユニットが、NOD、緩衝物質、抗酸化剤および任意選択の溶媒を含む粉末状、ゲル状または液状組成物を含むキットを提案する。

NOは水性の亜硝酸塩またはS−ニトロソチオール溶液から放出することができる。これに関して、実用的な理由のために、NO源として亜硝酸ナトリウムまたはS−ニトロソチオールの水溶液の使用が好ましい。水溶液は、0.001mM〜10,000mM、特に0.2mM〜6000mM、特に好ましくは0.3mM〜5000mM、特に0.4mM〜2000mM、さらに特に0.5mM〜1500mMの量のNOドナー濃度を有することができる。

別の実施形態では、浸漬媒体および/または溶媒の役割をする水溶液は、1μM〜5000mM、好ましくは100μM〜2000mM、特に好ましくは500μM〜500mMおよびさらに特に1mM〜150mMのNOドナー濃度を有する。

NO生成初期基質からの照射のタイプは当業者にはよく知られている。感光性のNO誘導体を分解し、一酸化窒素を形成することが可能な任意の電磁放射線を用いることができる。例えば、本発明の範囲内で、一酸化窒素は、例えば、320nm〜440nmの波長のUVA照射を使って光開裂により生成することができる。しかし、そのままで、または化学的、物理的もしくは生物学的方法と併せて、その他の補助的な物質により誘導もしくは促進もしくは触媒されるNO生成ドナー(NO誘導体)の直接的光開裂を誘導する任意のその他の波長の電磁放射線を用いることも同様に可能である。

一酸化窒素の生成は、不活性ガスで飽和した溶液中でも行うことができる。このような不活性ガス(窒素(N2)、ヘリウム(H2)、アルゴン、など)で飽和した溶液では、その中に溶解するNOは、かなり長い使用寿命を有し、また、溶液中に高濃度で残存することもできる。NOの水溶液中への最大溶解度は、約2mMであると通常想定される。これに関して、培地または注入媒体または注入緩衝液、血清、血液、ゲル、およびガスを吸収することができるその他の全ての物質は、同様に水溶液と見なすことができる。

感光性のNOドナーの光分解により生成された一酸化窒素は、例えば、吸入目的に使用することができる。その他の特定の適用領域は、外用による組織代謝の刺激、有機ならびに無機表面の構造改質、滅菌または細胞傷害性の形成である。光分解によりに生成された一酸化窒素を使用して、ガスを創傷に適用し、特に慢性の、非治癒性の、細菌が感染している可能性のある創傷を治癒することができる。一酸化窒素が飽和液体中で生成されている場合には、高血圧の処置のために、全身に用いることもできる。最後に、一酸化窒素は、一酸化窒素でニトロソ化され、再度、自然にNOを放出するキャリア中で生成することもできる。一酸化窒素はまた、NOに結合する多様な物質(例えば、NOドナー)の製造のために用いることもできる。

医療用途向けの、溶液中に貯蔵されているまたは溶液中に導入されたガスの品質は、厳しい要求に適合する必要がある。わずかなガスの混入物であっても、好ましくない、有毒性が想定される副産物の形成に繋がる。一酸化窒素を含むガスボンベの長期貯蔵中、ならびにプラズマ技術を使った一酸化窒素の製造およびさらにはこれらのラジカルの除去中におけるこれらの副産物の形成は、技術上のみならず財政上の大きな欠点となる。一酸化窒素を含む溶液の製造のための光分解法の利点は、NO含有ガスの製造法が単純であること、製造されるNOガス混合物が特に高純度であること、維持管理コストが低いことおよび貯蔵コストが不要であること、NO製造の取り扱いならびに純度制御が非常に単純であること、さらには製造されるNOガスの量に対する製造コストが比較にならないほど好ましい比率であることである。

[本発明に係る装置] 外用のために、NOは、ガスまたはNO含有プラズマの形態で、ならびに自然にまたは誘発により分解するNOドナーの形態で使用することができる。本発明は、溶媒中、例えば、浴溶液中に溶解される一酸化窒素ドナーを、物理化学的刺激を使って開裂させて、溶媒、例えば、浴溶液を生成された一酸化窒素で富化し、それにより、装置および浴溶液を使ってヒトおよび動物の医薬療法を強化し、ならびに種々の媒体をNOで富化することができる医用浴装置に関する。

本発明の一実施形態では、浸漬装置は疾患の処置に用いられる。これに関して、躯幹の一部、身体の一部または全身をNO含有浸漬媒体中に浸漬するのが好ましい。

したがって、本発明に係る浸漬装置を使って、慢性または急性の疾患を処置するのみでなく、このような疾患を予測して防ぐこともできる。特に指示がない限り、「治療」または「処置」という用語は、ここで問題にしている疾患を回復させる、治癒するまたは予防することを目的とする全ての手段を包含する。

NOドナーを開裂させるための上述の物理的刺激は、pH値、電流、熱または電磁放射線であってよく、換言すれば、pH的に不安定な、電気的に不安定な、熱的に不安定なまたは光に不安定なNOドナーを、pH依存性、電解性、熱分解性または光分解性方式で開裂させることができ、また同時にNOを放出することができる刺激であってよい。

NOの限定された溶解挙動に起因して、生理学的には適切であるが、ヒトの健康に有害となる可能性のある値より遥かに低い適切な溶液中NO濃度でNOを生成することが可能である。さらに、人体の表面のNOを含む溶液との直接接触により、例えば、NO含有ガス混合物または自然に分解するNOドナーを使った場合より、非常に高い正確さのNO処置が行える。さらに、関係するNOドナーの負荷のレベルに応じて、装置が、素人から専門家までの異なる最終使用者により使用され得るという事実は、その他のNOベースの治療法に比べて、本発明に係る装置の不可欠な利点となる。

本発明に係る装置は、溶媒または媒体、例えば、浴溶液を保持できる一定容積の容器(以下、「ボリュームユニット」と記す)を備え、さらに、装置はまた、溶媒中で一酸化窒素を生成し、それにより、ボリュームユニットの溶媒をNOで富化することができる別の技術的ユニット(以下、「一酸化窒素生成ユニット」と記す)を備える。

しかし、また、NO生成ユニットがボリュームユニットの溶媒中で直接にNOを生成しないで、異なる溶液中で生成し、その後にボリュームユニットの溶媒と所望の希釈度で混合することも可能である。別の方法として、NO生成ユニット中で生成されたNO含有ガス混合物またはガスボンベから得たNO含有ガス混合物をボリュームユニットの溶媒中に導入し、ボリュームユニットの溶媒、例えば、浴溶液をNOで富化することができる。

治療目的で身体の一部をNOで富化されたこのような浴溶液中に浸漬し、液で潤すことができる。これらはヒトおよび動物の躯幹または四肢の一部であってよい。想定される用途に応じて、ボリュームユニットは0.001リットル〜1000リットルおよびそれ以上の範囲の容積を有することができるので、躯幹および四肢の小さい部分を処置することができ、また、全身を浸漬することもでき、このような処置を数秒〜長時間継続することができる。

本発明の好ましい一実施形態では、処置される身体または身体の一部は、浸漬媒体中に、5〜30分間、好ましくは7.5〜20分間、特に好ましくは10〜15分間浸漬される。

好ましい方法では、このような浴は毎日数回用いられ、1日2〜3回使用されるのが好ましい。

処置の持続期間を管理するために、所定の一定の時間後、または適宜プログラム可能な時間後に、NOの生成スイッチをオフにする時間制御ユニットを設けるのが好ましい。

さらに、浸漬媒体に染料を含めて、所定の時間後にその染料の色が変化することにより、使用者が処置の終わりを知ることができるようにしてもよい。

さらに、浸漬装置に灌流を測定する装置を備えて、治療の転帰を基準にして、処置の持続期間および/または強度の優れた管理を可能としてもよい。当業者であれば、灌流を測定する多くの装置をよく知っている。この例には、国際公開第WO97/46853号で開示の血管タコメーターまたはマイクロセンサーがある。このセンサーは、指示薬容器に形成された開口部に配置された指示薬透過性インサートを備え、このインサートが容器の透過性壁部を形成する。

その他の血管関連測定パラメータ、例えば、皮膚の赤化または皮膚温度は、皮膚の灌流に対する代用パラメータの役割を果たすことができ、これらのパラメータのための適切な測定方法および機器は、現状技術において既知である。

NO生成ユニットは、一酸化窒素ドナーの、pH誘導電解、熱分解または他の任意の物理的に誘導された開裂により、好ましくは、光開裂により、例えば、浴溶液を富化するための一酸化窒素を生成する。これに関して、NO生成ユニットは、全体装置の一体化部品であってよく、また、ボリュームユニットに恒久的に連結されてもよい。あるいは、NO生成ユニットはまた、ボリュームユニットに取り付けられていない、独立した外部ユニットであってもよい。

しかし、NO生成ユニットの不可欠な特徴は、それが同様にそれ自体の容積を有し、ボリュームユニットの容積と連結され、化学的NOドナーからNOを生成するために、NO生成ユニットの容積を、想定できる全ての内容物と一緒に、適切な物理的刺激にさらすことができるということである。しかし、別の選択肢としては、NO生成ユニットは、外部から供給されるNOを含むガス混合物を生成して、NO富化溶液、例えば、浴溶液を形成するために用いることもできる。

以下では、例として、本発明に係る装置の特定の実施形態と共に、化学的NOドナーの開裂に関連する物理的刺激として、電磁放射線について考察する。

電磁放射線は、一酸化窒素生成ユニットの内側および/または外側に取り付けることができる光源を使って放出することができる。一酸化窒素を放出する反応物質を含むNO生成ユニットの内容物を通る光の流れが、物質の誘導分解または一酸化窒素の誘導放出の観点から、最大であることが重要である。この場合の電磁放射線源は、適切な蛍光色素で被覆されたグロー放電またはガス放電ランプ(低圧放電源または高圧放電源)、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、レーザーまたは任意のその他の関係する化学的ドナーまたは基質からNOを生成することができる電磁放射線源であってよい。

浴溶液中に溶解した感光性のNOドナーの最適開裂を得るために、NO生成ユニットの容積に照射する光源は、100nm〜2000nmの波長の電磁放射線、あるいは、そのままで、または化学的、物理的または生物学的方法と併せて、一酸化窒素ドナーの開裂を誘導して一酸化窒素を放出させることができる任意の他の波長の電磁放射線を放出することができる。

この理由のために、NO生成ユニットは、好ましくは、一酸化窒素の最適放出に必要な電磁放射線源のエネルギー特性に影響を与えない材料、あるいは、その特性のために、最初に一酸化窒素の光誘発性放出に必要な光特性を形成もしくは最適化する材料、またはpH依存性NO生成の場合には、pH誘導亜硝酸塩分解を促進もしくは最適化する材料から作製されるべきである。

本発明では、NO生成ユニットは、一酸化窒素ドナー(NOD)を含むキャリア媒体を保持するボリュームチャンバー、加えて、少なくとも1種のNODからNOを生成するための装置を含む。

これは、ボリュームチャンバーに酸を添加する装置であってよく、この場合には、NOはpH誘導方式で生成される。

好ましい実施形態では、NO生成ユニットは、UV照射源を備え、UV照射は光分解によりNOをキャリア媒体中で直接生成する。これには、キャリア媒体が密閉された区画中に存在し、加えて、NO生成を制御下で、再現可能な方式で生じさせることができるという利点が必要である。

NOの生成のために、NO生成ユニット中のキャリア媒体は、平坦な容器中で照射源により照射されるのが好ましい。

例えば、1mm〜20mm、好ましくは2.5mm〜10mm、特に好ましくは、5mm〜7.8mmの層厚を有する容器が光開裂に適する。適切な寸法の層厚がUV照射の最適利用によりNOの高収率に繋がることが示されている。

容器用の材料はUV照射に対し透過性であるのが好都合である。彼/彼女の知識を基準にして、当業者は、キャリア媒体を保持する容器用の好適な材料を選択することができる。UVA範囲(315nm〜380nm)におけるUV照射の場合には、通常のソーダ石灰ガラスを使用することができ、290nmまでのより高エネルギー照射の場合には、ボロシリケートガラスを用いることができ、また、290nm未満のUV照射の場合には、石英ガラスが好適である。

紫外線透過性プラスチック、例えば、ポリメチルペンテン(PMP)、改質ポリメチルメタクリレート(PMMA)および改質ポリビニルブチラール(Trosivol UV+(登録商標))を容器の材料として使用することができる。

好ましい方法では、容器は、その照射源に向いた表面が、決められた一定の距離になるような形状にされる。管状の照射源の場合には、容器は、電子管が中心に配置される中空円筒などのそれに対応する形状にされる。この場合には、キャリア媒体は都合よく円筒の一端で供給され、UV照射源を通過して円筒の全長に沿って流れ(次第にNOで富化されるプロセス)、その後、ボリュームユニット中に入るために他端から円筒を出ていく。

別の方法として、容器はまた、一定の内径を有するスパイラル状の形状をしたチューブであってよく、この場合、管状UV源はスパイラルの中心に配置される。この配置は、NO濃度が徐々に上昇するのを可能とし、NO収率を、照射強度を一定に保持している間に、スパイラル中の流速により調節することができる。

代替的実施形態では、平坦照射源(例えば、LEDパネルによる)の場合には、容器はフラットボックス状の形状にされる。このフラットボックスは、好ましくは、反対側に設置されたキャリア媒体用の入口と出口を有し、内部にもキャリア媒体の流れを調節することが可能な仕切板を適切な方式で設けることができる。

別の実施形態では、容器は放射線源から離れて向かいあう側にUV反射コーティングを備える。このようにして、このプロセスにおいて反射UV光がキャリア媒体を再度通過して、光分解によりNOを生成するという点から、放射線収率をさらに高めることができる。当業者であれば、適切なUV反射層、例えば、アルミニウムまたは誘電体層などをよく知っている。代替的実施形態では、UV反射コーティングは、容器それ自体には適用されないが、その代わりに、例えば、NO生成ユニットの内壁に、別途適用される。

一実施形態では、光分解NO生成は、最大で30分の時間、好ましくは10〜15分、特に好ましくは10分未満以内に治療に必要なNO濃度を蓄積するために、予備的段階として、処置の前に行われる。

ボリュームユニット中に保持される浴溶液をNOで富化するために、ボリュームユニットの浴溶液をNO生成ユニットの容積中を通過させた後、NO生成ユニットの光源により放出された電磁放射線に暴露し、次に、主容積を有する装置のボリュームユニット中へ再度送り込む。ボリュームユニットとNO生成ユニットとの間で発生するこの含量の動きは、ポンプ圧送機器により実行されるので、循環機器はNO生成ユニットまたはボリュームユニットの一体化部分であってよく、あるいは、装置の外部部分として完全に機能してもよい。

当業者は、現状技術によるポンプ圧送または循環機器に精通しており、キャリア媒体の粘度、必須のポンプ出力、ボリュームユニットの容積およびNO生成ユニットの容積などの関連するパラメータに基づいて適切な装置を選択することができる。

次記は、ポンプ圧送機器の例である:蠕動ポンプ、ダイヤフラムポンプ、ピストンポンプ、磁気結合ポンプおよびインペラーポンプ。

浸漬装置は、適宜、温度制御ユニットを備える。これにより、加熱および/または冷却により選択温度を設定することが可能となる。温度は、NO収率および生成NOの溶解度を決定する1つのパラメータである。さらに、このようにして、治療処置に最適な浴適用のための浴温度を設定することができる。この温度は、使用者にとって快適な、23℃〜28℃、あるいは、5℃〜15℃であってよい。これらの温度により、皮膚の灌流が高められる。

温度制御ユニットは当業者に既知であり、彼/彼女は、液体の量および加熱と冷却速度などの関連するパラメータを基準にして適切なユニットを選択することができる。

好ましい実施形態では、照射源はキャリア媒体を加熱するので、温度制御ユニットは、特に(UV)照射源と一緒に必要となる。媒体の過熱を阻止するために、長期または強い照射の場合には、冷却を行う必要がある。

別の実施形態では、電磁放射線源は、NO生成のためのみでなく、温度制御ユニットの熱源としても用いられる。

本発明に係る装置の中心的要素として、NO生成ユニットは、開放系であるか、あるいは堅く密閉されている。NO生成ユニットは、全体装置に物理的に連結されているか、あるいは、NO生成ユニットが使用される少し前に全体装置中に置くだけで済むように、全体装置に緩く連結されて、容易に交換することができる。

本発明に係る装置のNO生成ユニットの別の特徴は、置換可能なまたは交換可能な所定容積を有する充填容器(例えば、置換容器、インサート、カートリッジ、パッド、など−以下、「充填容器」と記す)をNO生成ユニットに挿入し、これらの容器が、好ましくは化学的に安定なまたは安定化された、潜在的NO貯蔵物質、したがって潜在的NO放出物質(例えば、有機または無機硝酸塩、亜硝酸塩、S−ニトロソ化合物、N−ニトロソ化合物またはO−ニトロソ化合物、NOキレート化物質)を、NO生成ユニット中で、そのままで、または純粋形態もしくは種々の溶媒に溶解されて、触媒または非触媒反応、物理的開始反応および/または化学的および/または酵素反応でNOを放出することができる種々の組み合わせで、放出することができ、それにより、その後、前記NOを、上記ポンプ圧送機器によりあるいは循環機器なしで、直接的または間接的にボリュームユニットの所定量の浴溶液に供給することができる。

好ましい方法では、NO生成ユニットおよび/またはボリュームユニット中に配置することができる置換可能な充填容器は、カートリッジであってよい。適宜、このカートリッジはNOD、緩衝物質、抗酸化剤および任意選択の溶媒を含む粉末状、ゲル状または液状組成物を含む。

このような置換可能なまたは交換可能な充填容器の使用の利点は、それらを異なる組み合わせおよび濃度の反応性薬剤で満たすことにより、このような充填容器を備えたNO生成ユニットが、長さと濃度の点で、様々な特徴的ならびに用途特異的および処置特異的なNO放出パターンを浴溶液中で生成することが可能となるということである。したがって、特異的に充填され、NO生成ユニットに挿入された充填容器の選択により、それを最終使用者の技術的能力および確実度のレベルに適応させる観点から、浴溶液中におけるNO放出パターンまたは濃度パターンの適用の最適化を可能とする。充填容器の充填に関しては、NOドナー(例えば、亜硝酸塩またはS−ニトロソチオール)の量は、当該物質が浴溶液に溶解された後で、好ましくは0.001mM〜10,000mM、特に0.01mM〜6000mM、特に好ましくは0.1mM〜5000mM、特に0.4mM〜2000mM、さらに特に0.5mM〜1500mMの最終濃度を得ることができるように選択される。

本発明に係る装置のNO生成ユニット中のNOの生成は、いくつかの設定パラメータの操作により調節されるのが好ましい。このような設定パラメータには、用いられるNO放出剤の濃度、薬剤からのNOの放出の原因となる電磁放射線の強度および追加の物理的および/または化学的誘導量の特性が挙げられる。さらに、下記のパラメータを、潜在的NO生成物質に対するNO放出の可能な誘導量として、個別にまたは異なる組み合わせで変更して用いることができる:

−pH値、 −酸化還元状態(還元または酸化物質の存在)、 −温度、 −電流および/または電圧、 −周囲の圧力、 −電磁放射線の強度および浴溶液がNO生成ユニットにさらされている暴露期間、 −照射に暴露されている表面、 −NO放出剤への誘導量の作用期間、 −NO生成ユニットを通る浴溶液の流速、 −電磁放射線源と反応溶液との間の距離、 −電磁放射線源のスペクトル、 −浴溶液の吸収、伝達および反射特性、あるいは、 −最適NO放出に必要な「典型的な」物理化学的条件外であっても、触媒によりまたは適切な受容体特性により(例えば、UVAスペクトル外の電磁放射線であっても、NO形成薬剤からNOの放出を可能にできる発色団およびその他の物質によって)NO生成物質からの放出を可能とする、生物学的または化学的触媒またはメディエーターの濃度。

後者の点については、特に、例えば、Cu2+などの遷移金属イオンの存在下では、亜硝酸塩水溶液は純粋な亜硝酸塩溶液の場合より相当長い波長の光を吸収することができ、したがって、亜硝酸塩イオンは、400nm〜450nmの波長の光にもおよび450nm以上の波長の光にも開裂されて、NOを放出する可能性があるということが指摘されるべきである。このことは、NOと残存する分子との間の相対的に弱い結合エネルギーのために、S−ニトロソ化およびN−ニトロソ化された化学物質も同様に、400nm以上の電磁放射線により光開裂され、NOを放出することにも当てはまる。

しかし、別の方法として、本発明に係る装置は、特徴的機能を有するNO生成ユニットが完全に不要になり、NOを生成するために必要な物理的/化学的装置、例えば、上記特性を有する光源が、ボリュームユニットの一体化部分となり、その結果として、NOを含む浴溶液がボリュームユニット中で直接生成され、NO生成ユニットの照射容積を通る循環が全く必要なくなるように構築することができる。従って、例えば、光分解のために提供された照射源は、一酸化窒素を放出する反応物質と共にボリュームユニットを通る照射の流れが、想定される用途に対して、誘導物質分解または一酸化窒素の放出に向けて最大または最適となるようにボリュームユニットの内側および/または外側に取り付けることができる。ボリュームユニットは、感光性のNO誘導体を直接に浴溶液に加えることにより、あるいは、ボリュームユニットに連結された充填容器からそれらを放出することにより、それらNO誘導体で満たされる。

ここでもまた、ボリュームユニットに連結された照射源は、好ましくは100nm〜2000nmの範囲の波長を有する電磁放射線、またはそのままで、または化学的、物理的もしくは生物学的方法の支援を得て、一酸化窒素ドナーの開裂を誘導し、一酸化窒素の放出を誘導することができるいずれか他の波長の電磁放射線を放出する。

ボリュームユニットは、一酸化窒素の最適放出に必要な電磁放射線源のエネルギー特性に影響を与えない材料、または、その特性のために、最初の段階で一酸化窒素の光誘発性放出に必要な光特性を形成もしくは最適化する材料、またはpH依存性NO生成の場合には、pH誘導亜硝酸塩分解を促進もしくは最適化する材料から作製される。ボリュームユニットに、異なる組み合わせおよび濃度の薬剤で満たすことができる置換可能なまたは交換可能な充填容器を取り付けることにより、ボリュームユニットは、長さおよび濃度の観点から様々な特徴的ならびに用途特異的および処置特異的な、浴溶液中でのNO放出パターンを生成することができる。したがって、ボリュームユニットに挿入可能な特異的に充填された置換可能なまたは交換可能な充填容器により、浴溶液中でのNO放出パターンを最終使用者の技術的能力および確実度のレベルに最適化または適応可能となる。

実用的な理由のために、ボリュームユニットにおいて亜硝酸塩源由来の水溶液の使用が好ましく、その亜硝酸塩の濃度は、好ましくは0.001mM〜10,000mM、特に0.01mM〜6000mM、特に好ましくは0.1mM〜5000mM、特に0.4mM〜2000mM、さらに特に0.5mM〜1500mMの範囲である。

代替的実施形態では、ボリュームユニットの水溶液中の亜硝酸塩源は、100μM〜5000mM、特に好ましくは500μM〜100mM、特に1mM〜10mMの範囲の濃度である。

さらに、実用的な理由のために、ニトロソ化合物(R−NO)の化学ファミリー由来の個々の物質あるいは、物質の混合物を含む水溶液の使用が、同様に好ましい場合があり、その濃度は、好ましくは、0.001mM〜10,000mM、特に0.01mM〜6000mM、特に好ましくは0.1mM〜5000mM、特に0.4mM〜2000mM、さらに特に0.5mM〜1500mMの範囲である。

代替的実施形態では、ボリュームユニットの水溶液中のニトロソ化合物(R−NO)の化学ファミリー由来の物質あるいは、物質の混合物は、好ましくは、100μM〜5000mM、特に好ましくは500μM〜2000mM、特に10mM〜500mMの範囲の濃度である。

浴溶液中に溶解されるNOガスの所望のまたは必須のレベルの濃度に応じて、および特定のNO含量が浴溶液中で保持される所望のまたは必須の持続期間に応じて、特定の量のNO生成固相物質または亜硝酸塩を含むもしくはその他の上記のNO生成物質を含む溶液をボリュームユニット中で所望のまたは想定される濃度で使用して光分解的にNO生成を誘導することができる。

ボリュームユニット中のNOの生成は、技術的、化学的および物理的設定パラメータの操作により調節することができるのが好ましい。このような設定パラメータには、用いられるNO放出剤の濃度、薬剤からのNOの放出の原因となる電磁放射線の強度および追加の物理的および/または化学的誘導量の特性が挙げられる。これに関して、パラメータは、潜在的NO生成物質からのNO放出の誘導量として、例えば、浴溶液のpH値、浴溶液の酸化還元状態(還元または酸化剤物質の存在)、浴溶液の温度、周辺圧力、電磁放射線の強度と浴溶液がさらされている暴露期間、照射にさらされる表面積、一酸化窒素放出剤に対する誘導量の作用期間、ボリュームユニット中の浴溶液の流速、電磁放射線源と反応溶液との間の距離、電磁放射線源のスペクトル、吸収、浴溶液の伝達および反射特性、最適なNO放出に必要な「典型的な」物理化学的条件外であっても、それにもかかわらず、触媒によりまたは適切な受容体特性(例えば、UVAスペクトル外の電磁放射線であっても、関係するNO形成薬剤からNOの放出を可能にできる発色団およびその他の物質によって)により、NO生成物質からNO放出を可能とする生物学的触媒もしくは化学的触媒またはメディエーターの濃度、を個別にあるいは、異なる組み合わせで変更および使用することができる。

本発明に係る装置に対する上記の操作された量に関しては、一定に保持されている誘導量の場合には、種々の濃度の一酸化窒素を放出する物質を使って、様々な量の一酸化窒素を溶液中に生成および溶解可能であろう。他方では、一酸化窒素を放出する物質が一定濃度の場合には、浴溶液での一酸化窒素の放出は、関係する誘導量の設定パラメータを変えることにより、変化させることができる。

NOは、溶液からから周囲空気中に逃げ出すようになるまでに、約2mMの濃度まで水溶液中に溶解することができることが知られている。浴水溶液中のNOの溶液濃度を高めるおよび/または使用寿命を延ばすために、ならびにそれらの使用前にまたは使用中に浴溶液中のNOの溶解度挙動を向上させるために、浴溶液を、例えば、窒素(N2)、ヘリウム(He)またはアルゴン(Ar)などの不活性ガスで飽和することができる。このために、本発明に係る装置はさらに一体化装置または外部装置を備えることができ、その装置により、必要に応じ不活性ガスを浴溶液に送ることができ、また、不活性ガスを混合し、それで富化および/または飽和することができる。

したがって、本発明の一実施形態では、キャリア媒体は不活性ガスで富化され、好ましくは窒素、ヘリウムまたはアルゴンで富化される。

好ましい実施形態では、キャリア媒体のNO濃度は、NOの最大溶解度の関数である。このことは、すべてのNOは、溶解したNOとして存在し、NOは、例えば、気泡の形で放出されていないことを意味する。放出されたNOガスによる環境の無用の混入物とは別に、ガス状NOをキャリア媒体中に溶解して戻すことは困難であることも明らかになっている。

NOの水性媒体中への最大溶解度は、温度、pH値および他の構成成分に依存して、0.2mM〜5mMである。

現在のところ、本発明に係る装置中のNOのキャリアとして使われる溶媒は、必ずしも水溶液である必要はなく、むしろ、任意のその他のNOを貯蔵、吸収、溶解および最終的に再度放出することができる任意の有機または無機の液状、粘稠状からゲル状の範囲のキャリア媒体であってよい。

外用による組織の代謝の刺激時にNOが果たす生理的な役割のため、本明細書で記載の本発明に係る装置を使って生成されたNOを含む溶液、例えば、浴溶液を、外科的創傷または事故関連創傷、慢性創傷、非治癒性創傷または不十分な治癒創傷、および/または細菌感染創傷の処置のために、ならびに炎症性疾患、免疫学的に調節された疾患または自己免疫疾患の範囲の皮膚科学的疾患の処置のために、皮膚科学の分野で用いることができる。適用の可能な領域の例は:

・ヒトおよび動物の外用による組織の代謝の刺激、 ・糖尿病性足部病変および糖尿病性創傷の処置、 ・糖尿病およびその他の疾病の場合の神経障害性疼痛の処置、 ・静脈瘤の処置、 ・組織の局所表在性疾患ならびに深部虚血疾患および血小板疾患の処置、 ・皮膚の急性および慢性炎症、 ・皮膚アレルギー、 ・皮膚の寄生虫感染、 ・アトピー性皮膚炎、特に神経皮膚炎、 ・皮膚筋炎、 ・尋常性天疱瘡および/またはその他の局所および全身性感染および/または急性および慢性炎症状態、 ・創傷欠陥、例えば、慢性糖尿病性神経障害性潰瘍、 ・下腿潰瘍、 ・褥瘡創傷、 ・二次癒合による感染創傷治癒、 ・一次癒合による無刺激創傷治癒、特に切除裂傷または擦過創、 ・(皮膚)移植、 ・下肢(足または脚)の糖尿病性疼痛の処置、ならびに ・灌流不十分な皮弁形成手術の処置。

別の態様では、本発明は次のステップを含む患者の処置方法を提案する:

a)本発明に係る浸漬装置を使ってNOで富化されたキャリア媒体を生成すること;および b)患者の躯幹の一部、四肢の一部または全身を浸漬装置のキャリア媒体中に浸漬すること。

この方法の好ましい実施形態では、処置は下記を含む群から選択された:

・外用によるヒトおよび動物の組織の代謝の刺激; ・外科的創傷または事故関連創傷の処置; ・慢性創傷、非治癒性創傷または不十分な治癒創傷の処置; ・細菌感染創傷および/または真菌感染創傷の処置; ・炎症性疾患、免疫学的に調節された疾患または自己免疫疾患の範囲の皮膚科学的疾患の処置; ・糖尿病性足部病変および糖尿病性創傷の処置; ・神経障害性疼痛の処置; ・静脈瘤の処置; ・組織の局所表在性疾患ならびに深部虚血疾患および血小板疾患の処置; ・皮膚の急性および慢性炎症の処置; ・皮膚アレルギーの処置; ・皮膚の寄生虫感染の処置; ・アトピー性皮膚炎、特に神経皮膚炎、皮膚筋炎および尋常性天疱瘡の処置; ・慢性糖尿病性神経障害性潰瘍、下腿潰瘍、褥瘡創傷といった創傷欠陥の処置; ・全身性疾患、例えば、高血圧(筋緊張亢進)および関連する血流力学疾患の治療のための身体の広い領域の処置; ・(皮膚)移植の患者の処置; ・下肢(足または脚)の糖尿病性疼痛の処置、ならびに ・灌流不十分な皮弁形成手術の処置。

好ましい実施形態では、方法は糖尿病患者の下肢の慢性創傷の処置のために採用される。

好都合にも、本発明に係る方法は、全身、躯幹の一部または四肢の一部を浸漬することを含む処置を、どこででも、数秒から長時間続けることができることを特徴とする。

好ましい方法では、方法は、処置により、全身、躯幹の一部または四肢の一部をキャリア媒体中に5〜30分間、好ましくは7.5〜20分間、特に好ましくは10〜15分間浸漬することを含む。

特に好ましい実施形態では、本発明に係る浸漬装置は、ここでは特に糖尿病患者における下肢の慢性創傷を処置するために使用される。これに関して、予防の形としての処置は、慢性創傷の発生のリスクならびに医療切断術の数を低減することができる。これは神経障害性下肢痛の減少および創傷環境の改善と密接な関係があり、患者の著しく改善された生活の質に繋がる。さらに、創傷治療に必要な時間の短縮は、処置コストの大きな低下を期待することができることを意味する。

本発明の一実施形態では、浸漬装置は不十分な治癒の創傷の治療に用いられる。動脈灌流障害および/または静脈逆流疾患は、下肢の創傷の発生ならびに慢性化の主要原因である。NO誘導動脈血管拡張は、罹患組織の灌流を改善し、NOの抗血栓性作用により、血液の静脈逆流を大きく促進または容易にする。これらの2つの血流力学パラメータのNO依存性改善は、創傷の発生のリスクを大きく減らす、またはそれらの治癒を大きく加速する局所ならびに全身的な効果の明白な治療関連態様ということになる。従って、浸漬装置によりキャリア媒体(浸漬媒体)を介して、治療される全身に、四肢の一部に、または躯幹の一部に送られるNOは、治癒が困難な創傷の治療に成功裏に用いることができる。

特定の実施形態では、本発明に係る浸漬装置は下肢、すなわち、足および/または脚の糖尿病性疼痛の処置に使用される。糖尿病性疼痛は糖尿病の間に高頻度で発生する。糖尿病性足部痛または下肢痛は、血液中の長期の高濃度のグルコースに由来し、これは糖尿病で観察される神経および血管損傷の根底にある原因である。NOに関連する動脈血管拡張は、罹患組織の灌流を改善し、疼痛の軽減のために、疼痛に作用して消散させるのに役立つ。したがって、キャリア媒体(浸漬媒体)と共に、外部から足および/または脚に送られるNOは、糖尿病性足部痛または下肢痛の治療にうまく利用することができる。

本発明の特定の実施形態では、本発明に係る浸漬装置は、(皮膚)移植の患者の処置に、ここでは特に不十分な灌流による皮弁形成術の処置に用いられる。2つの上記血流力学パラメータ、すなわち、動脈灌流および静脈逆流は、皮弁形成術の治療の成功のために不可欠なパラメータとなる。皮弁形成術という表現は、同じ個体の(不必要な)部位からのグラフト皮膚および/または組織の新しい所望の部位への形成術における技術を意味する。通常、これらの純粋な皮弁(皮膚を有するまたは有さない任意の組織であるが)は、椎弓根と共に(換言すれば、それの関係する血液供給血管および神経と共に)、ならびに、独立して(すなわち、新しい部位の血液源に血管を連結して)移植することができる。この場合、移植組織の機能的な許容は、動脈血液供給ならびに静脈排出の調節のみに依存している。NO誘導動脈血管拡張により、灌流が改善され、その結果として、皮弁形成術に不可欠な供給が改善され、同時に、NOの抗血栓性効果により、血液の静脈排出または逆流が促進され、容易になる。したがって、外部から使用されるNO調製物は、皮弁形成術に基づく治療選択肢の成功を確実にするまたは促進することができる。

さらに、身体のより広い領域を処置することにより、全身性疾患、例えば、高血圧(筋緊張亢進)および関連する血流力学疾患に対処することも可能になり得る。

さらに、本発明に係る装置はまた、全身に使用して、例えば、高血圧を処置することができるNO飽和液体を生成するために用いることもできる。また、NOを再度自然に放出するニトロソ化キャリアの生成のために、例えば、アトピーの皮膚科学的治療の範囲内で使用することができ、異なるNO結合物質(例えば、NOドナー)の生成のために使用することもできる。

したがって、キャリア、結合媒体または輸送媒体などの液体、ゲルまたは固相物質は、本発明に係る装置で、NOのために採用することができる。NOガスで飽和した液体、例えば、緩衝液、溶液、培地、血清または血液をキャリア媒体として使用する、それらを局所的に、例えば、治療において用いる、またはそれらを全身的に循環系に送ることが想定される、あるいは、ゲルなどのNOを飽和した粘稠なキャリア媒体を局所的に使用して創傷を処置することが想定される。

処置の目的に対しては、処置される領域または対象物は、適切な処置時間、浴溶液中に浸漬され、この時間は、数秒〜長時間の間で変わってよい。浴溶液の混合を改善するために、本発明に係る装置は、一体化して装置に組み込まれるまたは外部に設置される循環機器を備えることができる。この場合には、浸漬手順は、上端に向かって開いているボリュームユニットを使って行われ、また、別の方法として、上部開口部はガスケットまたはカバーで密封されてもよいが、しかしこの場合でも、対象物をシール部分を通して挿入することができる必要がある。

周囲空気NOまたはその酸化的反応生成物による周囲空気の汚染を減らす、避けるまたは防止することを目的として、上端に向かって開いている変形型のボリュームユニットは、浴溶液上の連続的で軽微なエアフローを生成し、前記エアフローが連続的に吸引されて、活性炭フィルターを通過して、または反応性ガス種を中和または除去可能ないくつかの他の手段を通過させる装置を備えることができる。この考えを基準にして、上端に向かって封止されている変形型のボリュームユニットは、浴溶液上のガスを連続的に吸引し、さらに、それを活性炭フィルターを通して送る、またはそれをいくつかの他の手段を通して外部に送る適切な装置を備えることができる。このようにして、活性窒素酸化物種の連続的な不活性化を確実に行うことが可能となる。この目的のために用意される活性炭フィルターまたは他のこの種の技術的装置は、ボリュームユニットの置換可能なまたは交換可能なユニットであってよい。本発明に係る装置の安全な使用を確保するために、装置は、電子制御の用途特異的プログラム選択システムを備えている。これには、装置の安全のためのスイッチオフ、ならびにNO、NO2、温度および安全性ならびに遠隔制御用の適切なセンサーならびに外部制御およびドキュメンテーションユニットまたはアプリケーションへの接続機能が含まれる。安全性管理手段はまた、置換可能なまたは交換可能な特異的に充填された充填容器、ならびに循環機器またはフィルター処理手段の電子制御の用途特異的および使用者特異的モニタリングを備える。

一特定態様では、本発明は、下記の実施形態を提案する:

実施形態1:物理的刺激により誘導された化学的一酸化窒素ドナー(以下、「NOドナー」と記す)の開裂により、対象物の浸漬に適する媒体(浸漬媒体)が一酸化窒素(NO)で富化され、その後、それを医療目的ならびに技術目的に使うことができることを特徴とする、対象物を浸漬するための装置。

実施形態2:任意の所望の容量の浸漬媒体を保持することができ、ボリュームユニットの浸漬媒体をNOで富化する役割をするNO生成ユニットに連結されているボリュームユニットを具備することを特徴とする、実施形態1に記載の装置。

実施形態3:NO生成ユニットが、さらに、任意の所望の容積含有率を保持して、ボリュームユニットの容積と連通し、それにより、ボリュームユニットの内容物(これは、水溶液が好ましいが、任意の有機または無機の液状、粘稠状からゲル状もしくは固相の、NOドナーまたはNOを溶解、結合、貯蔵ならびに放出可能なキャリア媒体であってもよい)が循環機器またはポンプ圧送機器によりNO生成ユニットのボリュームチャンバーを通して送られ、その後、所定容積を有する装置のボリュームユニットに戻すことができることを特徴とする、実施形態1および2に記載の装置。

実施形態4:NO生成ユニットの容積内容物を、電解および/または熱分解および/または電磁的および/またはいくつかのその他の物理的または化学的刺激、しかし好ましくは電磁放射線源により放出された照射に暴露することができ、この場合、照射源は、適切な蛍光色素で被覆されたグロー放電またはガス放電ランプ(低圧放電または高圧放電)、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、レーザー、またはそのままで、または非触媒方式で、または例えば、Cu2+イオンなどの遷移金属のイオンによる触媒反応にしたがって、化学的または物理的方法の支援を得て、NOドナーの開裂およびその結果として関係する化学的前駆物質または基質からNOの放出を誘導できる任意のその他の電磁放射線源であってよいことを特徴とする、実施形態1〜3に記載の装置。

実施形態5:NO産生に必要で、ボリュームユニットの所定量の媒体中にあるNOドナー(例えば、有機または無機の硝酸塩、亜硝酸塩、硫黄−ニトロソ化合物、窒素−ニトロソ化合物または酸素−ニトロソ化合物、NO−金属化合物、NO−キレート化物質、など)を、開裂のために、NO生成ユニットの循環機器またはポンプ圧送機器により添加することができ、または、この代替方法として、置換可能なまたは交換可能なカートリッジもしくは充填容器(以下、「置換可能な充填容器」と記す)をNO生成ユニットに挿入することができ、前記充填容器は任意の所望の濃度のNOドナーおよびその他の物質ならびにNO生成ユニット中でNOを放出することができる組み合わせを含み、その後、NOがガスの形態でまたは溶解された形態で所定量の浸漬媒体を含むボリュームユニット中に導入することができ、その結果として、置換可能な充填容器またはNO生成ユニットの特異的充填により、NO放出パターンを浸漬媒体中で生成することができ、このパターンは、それらの長さおよび濃度の観点から、様々であり、特徴的で、用途特異的ならびに処置特異的であることを特徴とする、実施形態1〜4に記載の装置。

実施形態6:使用の前またはその間に、生成されたNOに対する溶媒の溶解挙動を改善するために、さらには、溶媒に溶解したNOの使用寿命を延ばすために、溶解したNOを含むキャリア媒体を、追加の補助ユニットを使って、NOに対し反応性ではない不活性ガス、例えば、窒素(N2)、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)などで飽和することができることを特徴とする、実施形態1〜5に記載の装置。

実施形態7:装置が、下記を含む独立の電子的に調節された安全管理システムを有することを特徴とする、実施形態1〜6に記載の装置:1)電子制御用途特異的プログラム選択ならびに安全のためのスイッチオフ、2)NO生成は関連する技術的、化学的および物理的設定パラメータを操作してセンサーを使って温度、圧力、NO濃度、二酸化窒素(NO2)濃度、さらにはその他の安全性関連パラメータを検出することにより安全に調節することができる、3)特異的に充填された充填容器ならびに任意選択の置換可能な循環機器およびポンプ圧送機器の用途特異的および使用者特異的ならびに電子制御による検出および利用許諾、および4)装置に一体化され、健康に有害な可能性のあるガスを除去する役割をする置換可能なフィルター処理手段の電子制御による検出および利用許諾。

実施形態8:装置が遠隔制御される機能、ならびに外部制御およびドキュメンテーションユニットまたはアプリケーションに接続される機能を有することを特徴とする、実施形態1〜7に記載の装置。

実施形態9:例えば、糖尿病性足部病変および糖尿病性創傷、糖尿病患者の神経障害性疼痛、さらには、静脈瘤から、局所表在性疾患ならびに深部虚血疾患および組織の血小板疾患、皮膚の急性および慢性炎症、皮膚アレルギー、皮膚の寄生虫感染、アトピー性皮膚炎、特に神経皮膚炎、皮膚筋炎、尋常性天疱瘡および/またはその他の局所的および全身性感染および/または急性および慢性炎症状態、(皮膚)移植、慢性糖尿病性神経障害性潰瘍、下腿潰瘍、褥瘡創傷といった創傷欠陥、二次癒合による感染創傷治癒、一次癒合による無刺激創傷治癒、特に、例えば、切除裂傷または擦過創までの範囲の疾患、の処置における、外科的創傷または事故関連創傷、慢性創傷、非治癒性創傷または不十分な創傷治癒および/または細菌もしくは真菌感染創傷の処置のために、ならびに炎症性疾患、免疫学的に調節された疾患または自己免疫疾患の範囲の皮膚科学的疾患の処置のために、ならびに全身性疾患、例えば、高血圧(筋緊張亢進)および関連する血流力学疾患における身体のより大きな領域の処置のためにも、皮膚科学および手術の当分野におけるヒトまたは動物の外部使用により、組織の代謝を刺激するために用いることができ、これらの場合に、このような処置が個別に数秒〜長時間継続することができることを特徴とする、実施形態1〜8に記載の装置。

[1.本発明の装置によるNOの生成] NO生成ユニットには、水道水、緩衝塩(8g/l NaCl+0.2g/l KCl+1.424g/l Na2HPO4+0.2g/l KH2PO4、pH=7.0)、1.45mMのNaNO2および10mMのアスコルビン酸ナトリウムを含めた。

亜硝酸塩を含むこの溶液のUV照射により、約150μMのNOを含む溶液を得た。この溶液を基準にして、生成したNOの安定性および酸化生成物の生成を分析した。さらに、足浴としての使用に沿って、灌流および紅斑形成に関して効果を試験した。

[1.1 安定性試験] この溶液を最初に安定性試験に供した。すなわち、20分間にわたりNOの含量がどのように変化するかを確かめた。2分毎に、10mLの一定分量の浴溶液をピペットによりフラスコ(容量175mL)に採取し、既に40mlのPBS溶液(pH7.4)を充填してあるフラスコにヘリウムガスを流した(100ml/分)。全手順中、フラスコから漏れ出たヘリウムガス混合物を直接NO分析ユニット(Eco Physics of Duernten、Switzerland製の化学発光検出器−CLD822Sr)に送った。この装置は、NO量を検出し、ガス混合物中のppm(百万分の一)含量で記録した(これに関しては、Oplaender et al.,2010(Nitric Oxide Biology & Chemistry,23:275−283)も参照されたい)。測定結果を図1Aに示す。NO含量は、約10%だけ低下したが、これは統計的に有意ではなく、20分間にわたり実質上一定であった。

[1.2 酸化生成物の生成] 上記の溶液を使って、上記のNO検出と並行して、NOの最も重要な酸化生成物として、上記測定を行っている間に、二酸化窒素ラジカルの量を検出した。この測定では、わずか10分後に1.5ppm以下の非常に低い濃度のNO2が発生し、その後20分間これらの濃度上昇は無視できる程度に過ぎなかった。しかし、測定されたNO2値は、初期値より有意に高い値ではなかった(図1B参照)。

[1.3 足浴としての使用] ボランティア試験対象の片側の足を上記溶液(27℃)中に浸漬した。この溶液は、一定量のNOを含んでおり、この足浴中に合計10分間浸漬した。足浴の間、浸漬した足をわずかに動かすことにより、溶液を注意深く攪拌した。この10分間の暴露時間の間、さらには、その後の15分間にわたり、1mm〜2mmおよび6mm〜8mmの組織深さの位置の皮膚灌流に関して、足を分析した。また、紅斑の形成に関しても、足を検査した。

[1.3.1 皮膚の灌流] NO足浴中の10分間暴露後、両皮膚深さで、灌流の大きな増加が観察され(図2Aおよび2B)、その後、10〜15分の時間をかけて対照値のレベルまで戻った。また、一時的紅斑の形成に基づいて、増加した皮膚灌流を目視で観察することも可能であった(図3参照)。

本発明を、下記で図面に基づいて詳細に説明するが、この図は本発明を限定するものではない。

図1Aは、実施例1によるNOを含む緩衝水溶液の20分間にわたる安定性測定の結果を示す。値は元のNO含量に対するパーセンテージ(%)として示す。図1Bは、実施例1による20分間の測定でのNO含有緩衝水溶液中の酸化生成物NO

2

の分析結果を示す。NO

2

は、100万分率(ppm)で示す。

足をNO含有足浴中に浸漬して10分間の暴露期間およびそのまま続けて15分間の皮膚灌流の測定結果を示す(実施例1参照)。灌流の相対比は、組織深さ1mm〜2mm(A)および6mm〜8mm(B)の位置について、任意単位(AU)で示す。これに関して、足は、NO含有緩衝液中(白色正方形)で、または対照としての対応する緩衝液中(黒菱形)で、液により潤し、灌流は、フラットプローブおよびO2C−ドップラー分光学的検出システム(LEA−Medizintechnik GmbH,Giessen,Germany)を使って、示した時間に非侵襲的に検出した。

NOを含む足浴中への10分間の足の暴露後の(一時的)紅斑形成に基づく、皮膚灌流の増加の確認の図を示す。写真は、より大きく増加した灌流により、足の浸漬された領域が非常に赤くなっていることを明確に示している。

NO生成ユニット(1)およびボリュームユニット(2)を備えた浸漬装置の断面の略図を示す。(1)と(2)は、2本の連結パイプにより相互に連結している(5)。上端に向かって開いているボリュームユニットは、対象物を浸漬するための浸漬媒体(4)を含む。NO生成ユニットは、UV照射源(6)により照射されるキャリア媒体(3)を含むボリュームチャンバーを含む。

NO生成ユニット(1)およびボリュームユニット(2)を備えた浸漬装置の断面の略図を示す。NO生成ユニットは、ボリュームユニットに直接取り付け、これら2つの区画は、2つの開口部(5)を介して連結している。上端に向かって開いているボリュームユニットは、対象物を浸漬するための浸漬媒体(4)を含む。NO生成ユニットは、UV照射源(6)により照射されるキャリア媒体(3)を含むボリュームチャンバーを含む。

NO生成ユニット(1)およびボリュームユニット(2)を備えた浸漬装置の断面の略図を示す。NO生成ユニットおよびボリュームユニットは、円形容器の内側に配置し、NO生成ユニットは外部部分としてボリュームユニットから分離している。ここで、NO生成ユニットは、2つの開口部(5)を介してボリュームユニットに連結している。ボリュームユニットは、円形容器の内側領域として、浸漬媒体(4)が充填され、それにより、対象物を浸漬することができる。NO生成ユニットのボリュームチャンバー中に含まれているキャリア媒体(3)は、外側に配置された曲面のUV照射源(6)により照射される。

[参考文献]

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