【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、病院等における歩行不能な病人または寝たきり老人に適用した排泄物処理装置に関し、特に病人等が寝たままの状態で排泄した場合に、その汚物の処理および汚物で汚れた局所の洗浄を自動的に行うことができる排泄物処理装置に関する。 【0002】 【従来の技術】この種の従来技術は、例えば特開平4− 364841号公報に示したものがある。 この従来技術では、軟質絶縁材によって形成したオムツカップによって人体の腰臀部を包囲するとともに、オムツカップ内に排泄した汚物を洗浄水で洗浄し、ポンプによってオムツカップ外に排出する構造と成っていた。 そしてオムツカップには洗浄水送水ホースや、汚物吸引ホースといった各種ホースや、オムツカップ内の汚れを検出するセンサのコードを接続していた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記した従来技術の排泄物処理装置では、軟質絶縁材を採用しているものの柔軟性に限界があり、様々な体型に合わせることが困難なために腰臀部との密着性が悪い状態が発生し、オムツカップの周囲から洗浄水や汚物が漏れ出す問題があった。 またオムツカップによって股間部が擦れる問題があった。 また各種ホースやコードをオムツカップに着脱する場合、それぞれ個別に着脱しなければならず作業性が悪い欠点を有していた。 さらにオムツカップ内に洗浄水を噴出するためのノズルが1つであり、洗浄効果が悪い等の問題があった。 さらにまたオムツカップを人体から取り外してメンテナンス作業を行う際に、排泄物感知センサが誤検出すると、装置が作動して洗浄水が誤って噴出する問題があった。 この発明は、上記した課題を解決するものであり、様々な体型に合わせることが簡単であり、また各種ホースやコードを一括して着脱することができ、また洗浄効果が優れ、さらにメンテナンス作業時等において誤作動することがない排泄物処理装置を提供することを目的としたものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、先ず第1発明は、人体の腰臀部を包囲するオムツカップ本体と、オムツカップ本体に接続するとともにその内部に洗浄水を送水する洗浄水送水ホースと、オムツカップ本体に接続するとともにその内部の洗浄水及び汚物を吸引する汚物吸引ホースとを備えた排泄物処理装置において、前記オムツカップ本体が、屈曲自在なフロントカバーを具備したことを特徴とする排泄物処理装置を提供する。 【0005】また上記第1発明の実施態様として、前記フロントカバーが、蛇腹ジョイントによって屈曲自在であることを特徴とする排泄物処理装置を提供する。 【0006】また上記第1発明の別の実施態様として、 前記蛇腹ジョイント間を防水布で被覆したことを特徴とする排泄物処理装置を提供する。 【0007】また上記第1発明の別の実施態様として、 前記オムツカップ本体が、替オムツを着脱するホックを具備したことを特徴とする排泄物処理装置を提供する。 【0008】また第2発明は、人体の腰臀部を包囲するオムツカップ本体と、オムツカップ本体に接続するとともにその内部に洗浄水を送水する洗浄水送水ホースと、 オムツカップ本体に接続するとともにその内部の洗浄水及び汚物を吸引する汚物吸引ホースと、オムツカップ本体に設けた大便感知センサに電気的に接続するセンサカプラとを備えた排泄物処理装置において、前記洗浄水送水ホース、汚物吸引ホースおよびセンサカプラをホースユニットで一括支持すると共に、該ホースユニットをオムツカップ本体に対して着脱自在に構成したことを特徴とする排泄物処理装置を提供する。 【0009】また上記第2発明の実施態様として、前記ホースユニットが、オムツカップ本体に対して固定するホールドピースを具備したことを特徴とする排泄物処理装置を提供する。 【0010】また上記第2発明の別の実施態様として、 前記オムツカップ本体が、蛇腹ジイントによって屈曲自在なフロントカバーを具備したことを特徴とする排泄物処理装置を提供する。 【0011】また上記第2発明の別の実施態様として、 前記オムツカップ本体が、腰臀部の各局所に洗浄水を噴出する複数のノズルを具備したことを特徴とする排泄物処理装置を提供する。 【0012】また上記第2発明の別の実施態様として、 前記複数のノズルから噴出する洗浄水の噴出範囲を各局所の形態にあわせて各々変えたことを特徴とする排泄物処理装置を提供する。 【0013】また上記第2発明の別の実施態様として、 前記大便感知センサが、照度センサを備えたことを特徴とする排泄物処理装置を提供する。 【0014】 【第1実施例】この発明に係る第1実施例を、図1〜図9に基づき説明する。 図8に示すオムツカップ1は、オムツカップ本体101、腰板116、替オムツ121およびオムツカバー122から成るものであり、次に順を追って説明する。 【0015】まずオムツカップ本体101について説明する。 図1は人体の腰臀部を包囲するオムツカップ本体101を示した図面である。 該オムツカップ本体101 は、蛇腹ジョイント102を採用することによって屈曲自在に構成したフロントカバー103を備えている。 そして蛇腹ジョイント102間は防水布112で被覆しており、蛇腹ジョイント102の屈曲性能を確保しつつ洗浄水等の漏れを防止している。 【0016】またオムツカップ本体101は、ホック1 01a、陰部洗浄用ノズル108a、肛門洗浄用ノズル108b、カップ洗浄用ノズル108c、大便感知センサ109、温風吹出し口110、補助吸引口111および小便感知センサ114を備えている。 【0017】上記ホック101aは、図5に示すごとき構造の替オムツ121を着脱するためのものであり、複数個を列設している。 また陰部洗浄用ノズル108aおよび肛門洗浄用ノズル108bは、オムツカップ1を装着した病人等の陰部および肛門をそれぞれ個別に洗浄するための専用のノズルであり、陰部洗浄用ノズル108 aの噴出範囲θ1は肛門洗浄用ノズル108bの噴出範囲θ2に比べて広角に設定している。 またカップ洗浄用ノズル108cは、病人等が排泄した汚物を洗い流すためのノズルであり、大便感知センサ109側に向けて開口した温風吹出し口110の近くに設けている。 また大便感知センサ109および小便感知センサ114は、病人等が排泄した汚物を検出するためのセンサでありカップ洗浄用ノズル108cの近くに設けている。 大便感知センサ109は、近接センサおよび照度センサで構成している。 ちなみに照度センサは、オムツカップ本体10 1を人体から外したとき、当該装置の作動を停止して誤作動を防止するために設けたセンサであり、Cds素子等を使用する。 また補助吸引口111は、病人等の上体側に流れた洗浄液等を吸引するための吸引口であり、カップ洗浄用ノズル108cの近くでかつ大便感知センサ109の位置とは反対側の位置に設けている。 【0018】更にオムツカップ本体101は、オムツカップ本体101の内部の洗浄水及び汚物を吸引するための汚物吸引ホース104と、オムツカップ本体101の内部に洗浄水を送水するための洗浄水送水ホース105 と、オムツカップ本体101の内部に温風を送り込む温風送風ホース106と、大便感知センサ109及び小便感知センサ114からの電気信号を導出するためのセンサカプラ107とを用いて図2に示すごとく外部機器に接続している。 【0019】すなわち、汚物吸引ホース104は汚物タンク3およびバキュームホース7を経由してバキュームモータハウジング2に接続し、洗浄水送水ホース105 は洗浄水噴射調整バルブ11bおよび送水ポンプ5を経由して温水タンク4に接続し、温風送風ホース106はバキュームモータハウジング2に接続し、センサカプラ107はセンサシグナルライン8を経由してシーケンサ12に接続している。 尚、バキュームモータハウジング2は、フィルタボックス6、排気管9およびモータ冷却用吸気管10を備えている。 また汚物吸引ホース104 と洗浄水送水ホース105とは水抜きバルブ11aによって連結するとともに、温水タンク4には排水弁13を接続している。 【0020】次に腰板116について説明する。 腰板1 16は、メンテナンスを容易にすべく上記オムツカップ本体101に対して着脱自在に成っており、図3に示すごとく3層構造のウレタンペフ116aと、オムツカップ本体101を差込むためのカップ本体差込みスペース116bと、ウレタンペフ116a内に挟み込んだクッション116cと、前記オムツカップ本体101に設けた補助吸引口111に対応して設けた長孔117と、替オムツセットボタン118と、カップ本体固定用ホック119とを備えている。 図4は、該腰板116をオムツカップ本体101に装着した状態を示したものである。 【0021】次に替オムツ121について説明する。 替オムツ121は、図5に示すごとく横漏れ防止用フリル121aと、カップ側ホック101aに対応して設けたオムツ側ホック121bと、オムツカバー122が有するマヂックテープ122aに対応して設けたマヂックテープ121cと、腰板116を差し込むための袋121 dとを備えている。 【0022】次にオムツカバー122について説明する。 オムツカバー122は、図6に示すごとくマヂックテープ122a,122b,122cと、ファスナー1 22dと、ホースユニット通し穴122eとを備えている。 そしてオムツカバー122と替オムツ121とは、 上記マヂックテープ122aが替オムツ121側のマヂックテープ121cに絡み着くことで接着される。 またオムツカバー122自体は、マヂックテープ122b, 122cが該オムツカバー122のフレンチパイル製の布地に絡み着くことで人体に固定される。 尚ファスナー122dは、オムツカップ本体101にホースユニット123を接続していてもファスナー122dを開けてオムツカバー122のみを取り外せるように設けたものである。 【0023】以上説明したオムツカップ本体101、腰板116、替オムツ121およびオムツカバー122 は、図7に示すごとくまずオムツカップ本体101に腰板116を取り付け、次に替オムツ121の袋121d に腰板116を差し込むとともに替オムツ121とオムツカップ本体101をホック121b,101aで留め、次に替オムツ121とオムツカバー122をマヂックテープ121c,122aで留める。 かくして図8に示すごときオムツカップ1が完成する。 【0024】上記オムツカップ1にはホースユニット1 23を接続する。 該ホースユニット123は、オムツカップ1と外部機器とを接続するものであり、図9に示すごとく汚物吸引ホース104、洗浄水送水ホース10 5、温風送風ホース106およびセンサカプラ107を一括支持している。 該ホースユニット123は、オムツカップ本体101に対して着脱自在であり、ホールドピース124をオムツカップ本体101側の止め金具12 6に固定している。 尚125はホースカバーである。 【0025】 【第2実施例】図10はこの発明の第2実施例を示したものである。 この第2実施例は、前記した第1実施例と基本的に同じであり、第1実施例に於けるフロントカバー103を女性用サポータ113に取り替えたものである。 この女性用サポータ113は、例えば大きさの異なった大、中、小サイズのものを体格に合わせて選択し、 オムツカップ本体101に接続する。 【0026】 【発明の効果】この発明は、上記した構成及び作用を有するので次に列挙する効果を奏する。 すなわち、オムツカップ本体が、蛇腹ジョイントを採用することによって屈曲自在に構成したフロントカバーを具備するので、様々な体型に合わせることが簡単であり、またオムツカップによって股間部が擦れる問題が発生しない。 また洗浄水送水ホース、汚物吸引ホースおよびセンサカプラをホースユニットで一括支持すると共に、該ホースユニットをオムツカップ本体に対して着脱自在に構成したので、 各種ホースやコードをオムツカップに着脱する場合に作業性が良い。 さらにオムツカップ本体が、腰臀部の各局所に洗浄水を噴出する複数のノズルを具備し、この複数のノズルから噴出する洗浄水の噴出範囲を各局所の形態にあわせて各々変えたので、洗浄効果が優れている。 さらにまた大便感知センサに設けた照度センサが所定の明るさを検出すると、装置の作動を停止するよう構成したので、オムツカップを人体から取り外してメンテナンス作業を行う際に装置が作動して洗浄水が誤って噴出する問題が発生しない。 【図面の簡単な説明】 【図1】この発明の第1実施例に係るオムツカップ本体を示した側面図である。 【図2】図1に示すオムツカップ本体を外部装置に接続した状態を示したブロック図である。 【図3】この発明の第1実施例に係る腰板を示した図面であり、(a)は平面図を、(b)は(a)に示す矢視A−A線方向の断面図をそれぞれ示している。 【図4】図1に示すオムツカップ本体と図3に示す腰板を組み合わせた状態を示した平面図である。 【図5】この発明の第1実施例に係る替オムツを示した平面図である。 【図6】この発明の第1実施例に係るオムツカバーを示した平面図である。 【図7】図1、3、5および6に示すオムツカップ本体、腰板、替オムツおよびオムツカバーを組み合わせた状態を示した斜視図である。 【図8】図7に示すものの完成状態を示した斜視図である。 【図9】この発明の第1実施例に係るホースユニットを示した側面図である。 【図10】この発明の第2実施例に係るオムツカップ本体を示した側面図である。 【符号の説明】 1 オムツカップ 101 オムツカップ本体 116 腰板 121 替オムツ 122 オムツカバー 123 ホースユニット |