【発明の詳細な説明】 【０００１】 本発明は患者用支持装置、特に限定するものではないが病院用ベッド、患者用手押し車（ｔｒｏｌｌｙ）、物理療法用寝椅子などに関する。 【０００２】 マットレス用支持部が配置されていてそれにより三つ、四つまたはそれ以上の一緒にヒンジ止めされた部品を具備するプロファイリング式ベッドまたは手押し車が公知であり、その結果、個々の部品の角度を調節することによって患者の姿勢および／または看護のためにこれら部品を最適に位置決めできる。 同様に、看護または特定の医療的／物理療法的処置のためにマットレス支持部を高さおよび傾斜状態に関して調節することができる。 そのようなベッドの実施例は、欧州特許第０４８８５５２号明細書および同第０４９８１１１号明細書に開示されており、これらは、高さおよび傾斜状態を変更して患者用支持面を形成できるような関節部を提供するための動力供給されたアクチュエータを使用することを開示している。 【０００３】 しかしながら、アクチュエータ構成要素の位置が原因となって、患者を移動、
監視または処置用装置のために、これらベッドまたは手押し車は床上隙間を備えた床上高さまでマットレスを極めて低い位置に提供できない。 ベッドまたは手押し車は、マットレス支持用プラットフォームの頂部までの４００ｍｍである最小高さを有している。 本発明の目的は、この最小高さを３００ｍｍよりも小さくすることである。 これは患者を導入／退出または搬送するのに理想的な高さである。 【０００４】 さらに、アクチュエータはベッドまたは手押し車のベースフレーム周りの多数の場所に位置決めされているので、関連する動力部および制御用ケーブルは不便であって、ベッドまたは手押し車の使用時に患者および看護婦または看護人に対して危険を与える可能性がある。 動力部および制御用ケーブルは、洗浄時に水の進入という危険を伴う可能性がある特別のプラグまたはソケット接続部を必要とする。 【０００５】 従って、本発明は、患者用支持装置において、上方フレームを支持するベースフレームを具備し、この上方フレームはマットレス等を支持するためのプラットフォームを有しており、さらに、前記上方フレームの高さと傾斜状態とを変更するための少なくとも一つの動力供給された上方フレーム用アクチュエータと、前記プラットフォームの形状を調節するための少なくとも一つの動力供給された任意のプラットフォーム用アクチュエータとを具備する患者用支持装置において、
前記患者用支持装置を最低高さまで移動させるために前記アクチュエータが前記上方フレームの中心に取り付けられていて前記上方フレーム内にほぼ横たわって配置されている患者用支持装置を提供する。 上方フレームの中心に取り付けられたアクチュエータの高さ、傾斜状態および形状によって、上方フレームの一つの領域内に全てが配置されているアクチュエータと関連づけられた動力ケーブルとを備えた小型の装置にすることができる。 アクチュエータはベースフレーム上またはベースフレームと上方フレームとの間でなくて上方フレーム内に配置されているので、床上高さに対して極めて低いマットレスの場合には最低位置において上方フレームをベースフレームにほぼ接触させられる。 同時に、患者を移動、監視または処置する装置にアクセスするために、要求される床上隙間を維持することもできる。 【０００６】 好ましい実施態様においては、患者用支持装置は支持アームを具備しており、
前記ベースフレームが、前記ベースフレームと前記上方フレームとに相互連結している少なくとも一対の支持アームによって前記上方フレームを支持しており、
前記支持アームのそれぞれが前記ベースフレームの各端部に回動可能に連結されていて前記上方フレームの両端部に向かって延びていて前記上方フレームを最低位置に位置決めするために前記上方フレームに連結しており、前記最低位置は、
前記支持アームを変更させる程度によって前記支持アームが上昇される位置に対して前記支持アームが完全に折り畳まれている位置であり、前記支持アームは少なくとも一つの動力供給されたアクチュエータによって駆動され、前記アクチュエータは前記支持アームを前記上方フレームに連結する連結点を有する前記上方フレームの中心部に取り付けられていて前記上方フレーム内に横たわって配置されている。 前記動力供給されたアクチュエータを使用することなしに、前記支持アームを折り畳んで、ベッドまたは手押し車の重量を受ける最低位置までベッドを位置決めできるのが好ましい。 これにより、動力供給部または電源が破損しているときに、機械的に緊急動作させるためにベッドを心肺機能蘇生（ＣＰＲ）用位置にすることができる。 【０００７】 前記アクチュエータが前記上方フレーム内の同一平面に取り付けられていて、
上方フレーム内においてアクチュエータが占める深さ／堆積を最小限にすることができるのが好ましい。 前記アクチュエータの全てが、あらゆる回動運動を伴うこと無しに、前記上方フレームに対して平行な長手方向に動作するよう配置されていて、結果的にアクチュエータに対する曲げモーメントを伴わない構造にできて、従ってアクチュエータの摩耗および剥離を少なくできる。 【０００８】 前記アクチュエータの全てが単一のハウジング内に配置されており、前記ハウジングも前記アクチュエータを構造的に支持するのが好ましい。 前記ハウジングが前記上方フレームの横断方向幅の中心に配置されていて前記上方フレーム内にほぼ全体が位置しているのがさらに好ましい。 上方フレーム内の単一のハウジング内におけるアクチュエータの高さ、傾斜状態および形状によって、マットレスを床上高さに対して極めて低くでき、単一のハウジングは、通常の病院用ベッドまたは手押し車の複数の部品とは対称的に、
清掃時における水または使用時における体液の進入を妨げるのに封止作用を必要とする単なる囲み部である。 さらに、全てのアクチュエータ用の構造的ケーシングを提供して個々のアクチュエータ用ケーシングの必要性を排除するハウジングによって、全ての構成要素の数を最小限にして、結果的に製造費用を少なくできる。 【０００９】 前記ハウジングが前記プラットフォームのシート区分のほぼ下方に位置していて、前記上方フレームに対する構造剛性を高めるために前記プラットフォームのシート区分に任意に一体的にされうるのが好ましい。 前記アクチュエータが、前記ハウジング内に配置される制御手段によっても制御されているのが好ましい。 前記ハウジングが、患者の物理的データまたは特性、例えば身長および体重を記録する記録手段と、前記ベッドの脚側端部または側方端部に設置された看護婦および／または患者用インターフェースモジュールを備えた通信手段とを有する。 【００１０】 好ましい実施態様においては、前記アクチュエータにロードセルを取り付け、
このロードセルは、患者が前記プラットフォーム上に横たわっているときにこのプラットフォームに加えられた負荷を表示できて、前記ハウジング内の制御手段によって患者の体重を変換できる。 前記ハウジングは床上の前記プラットフォームの周囲を照明する照明手段を有していて、くらがりで前記患者支持装置を導入または退出するときに患者の視野を良好にするのが好ましい。 そのような照明手段を患者または看護婦が制御できるのが有利である。 【００１１】 前記プラットフォームに設けられている圧力解放式マットレスおよび／または前記ベッド上に横たわる患者の処置のために圧縮ガーメント（ｃｏｍｐｒｅｓｓ
ｉｏｎ ｇａｒｍｅｎｔ）に圧縮空気を供給するために、前記ハウジングが空気ポンプまたは空気ポンプ取付手段を有することができるのが好ましい。 ハウジング内のアクチュエータおよび構成要素を点検して改良するために、ユニットとしてのハウジングを解放可能な固定具によって上方フレームに固定してハウジングを上方フレームから取り外すことができる。 【００１２】 本発明は、実施例としてのみの添付図面を参照することによってさらに詳細に説明されるであろう。 図１を参照すると、ベースフレーム１０は、中心ベース部材１２によって接合された二つのベース端部側キャスティング１１から構成されている。 ベース端部側キャスティング１１は回転区分または突出部である。 四つの相互リンク式キャスタ４が、ベース端部側キャスティング１１および中心ベース部材１２内に隠された機構部と共にベース端部側キャスティング１１に挿入されている。 図２に示されるように、追従用の第五のキャスタを中心ベース部材１２に任意に取り付けても良い。 【００１３】 二つの半径アーム１５は二つのベース端部側キャスティング１１回りに回動される。 これら半径アーム１５は中心ベース部材１２の両側に位置していて反対方向を向いている。 クロスチューブ１６が各半径アーム１５の頂端部に位置しており、二つのローラホロワー１７がこれらクロスチューブ１６の両側においてこのクロスチューブ１６に取り付けられている。 【００１４】 図２に省略して示されているように、半径アーム１５はローラ式ホロワー１７
によって上方フレーム２０を支持しており、クロスチューブ１６の両側に位置するこれらローラ式ホロワー１７は上方フレーム２０の両側部の線形チャネル１８
と協動する。 各クロスチューブ１６はリニアアクチュエータ３０、３１に連結されており、これらリニアアクチュエータは後述するように適切な動力源および中心制御用ハウジング３６に接続されている。 延伸または収縮時にリニアアクチュエータ３０、３１はローラ式ホロワー１７によって各クロスチューブ１６を線形チャネル１８に沿って押し引きする。 半径アーム１５の頂端部に連結しているクロスチューブ１６が引かれると同時に、上方フレーム２０が設定高さまで上昇する。 同様な反対動作によって、上方フレーム２０を最低位置まで反対方向に移動させ、この最低位置において上方フレームはベースフレーム上に略休止しており、アクチュエータおよび半径アームはこれら二つのベースフレーム内に可能な限り正確に配置される。 このようにして、上方フレームを最低高さまで移動させられる。 【００１５】 半径アームの頂端部が反対方向に駆動されて、次いで上方フレーム２０が傾斜する。 傾斜の程度および傾斜方向は、ベッドまたは手押し車用制御装置の一部としてのマイクロプロセッサによって制御される二つのリニアアクチュエータ３０
、３１の運動に応じて定まる。 安定化リンク２１が半径アーム１５のうちの一つの中心部を上方フレーム２０の固定点に連結させ、その結果、機構部に要求されないあらゆる運動を排除することができる。 【００１６】 図３および図４を参照すると、アクチュエータ３２が、上方フレーム２０上の回動摺動ジョイント７１によって水平方向の力を背もたれ区分４１に分与している。 リンク用アーム４４は上方フレーム２０と背もたれ区分４１とに回動可能に連結されている。 アクチュエータ３２がピボット７１を水平方向に押すと、背もたれ区分４１は、リンク用アーム４４の影響によって上昇させられる。 背もたれ区分４１が上昇すると、結果的に背もたれ区分４１はベッドまたは手押し車の頭部側端部に向かって後退もする。 アクチュエータ３３は水平方向の力を回動摺動ジョイント７２によって腿区分４２に分与する。 リンク用アーム４５は上方フレーム２０と腿区分４２とに回動可能に連結されている。 アクチュエータ３３がピボット７２を押すと、腿区分４２はリンク用アーム４５の影響によって上昇させられる。 腿区分４２が上昇すると、結果的に腿区分４２はベッドまたは手押し車の脚端部に向かって後退もする。 【００１７】 ベッドまたは手押し車のフクラハギ区分４３は、一端においてピボット７３によって腿区分４２に連結されていて、他端においてアクチュエータ８０によって支持されている。 このアクチュエータ８０はピボット７４によってフクラハギ区分４３に連結されていてピボット７５によって上方フレーム２０に連結されている。 腿区分４２が上昇すると、フクラハギ区分４３もピボット７３における直接的リンク作用によって上昇する。 水平方向に対するフクラハギ区分の傾斜状態は、フクラハギ上昇用アクチュエータ８０のストローク長さによって支配されている。 【００１８】 図３はベッドまたは手押し車用の制御装置３５を示しており、この制御装置３
５は、上方フレーム２０のほぼ中心に設置されている制御用ハウジング３６に収容されていて、このハウジングに直接的に取り付けられているかまたはハウジングに一体的にされている。 制御用ハウジング３６をキャスティングまたは成形物として構成してもよい。
上方フレーム２０の高さを調節してプラットフォーム区分４１、４２、４３をそれぞれ形成するために制御用ハウジング３６は全てのリニアアクチュエータ３０
、３１および３２、３３を収容することもできる。 好ましい実施態様においては、図５ａおよび図５ｂに示されるように、制御用ハウジング３６は、一緒に接合して全てのアクチュエータとこれらの制御部とのためにハウジングを形成する二つのキャスティングまたは成形物５０、５１から構成する。 二つの半型部分の間の全てのジョイントを封止して水分の進入を妨げる。 全ての力を上方フレーム２
０によって連結部まで伝達するために、制御用ハウジング３６は追加の構造的補強部と協動することができる。 【００１９】 四つのアクチュエータ３１、３２、３３、３４をこのハウジング内に取り付けて同一平面に配置する。 アクチュエータはあらゆる回動運動を伴うことなく正確に線形運動するよう取り付けられているので、全てのアクチュエータを制御用ハウジング３６に固定して取り付けることができる。 各アクチュエータは、親ネジおよびナット組立体を含むネジ式チューブ組立体６１から構成されていて、このネジ式チューブ組立体６１は減速ギアユニット６３を介してモータ６２によって駆動される。 全ての軸線方向負荷は、制御用ハウジングのモールディングに剛固に取り付けられたスラスト軸受６４によって与えられる。 【００２０】 アクチュエータのストロークの位置的フィードバックは、ギアまたはベルトを介してアクチュエータ用親ネジに結合されているポテンショメータ６５によって測定される。 あるいは、位置的フィードバックを通常の他の手段、例えばパルスエンコーダによって行うこともできる。 自由回転作用を容易にするよう動作する巻き付けバネ式クラッチ６６にアクチュエータを取り付けても良い。 これにより、緊急処置、例えば心肺機能蘇生（Ｃ
ＰＲ）処置のために、アクチュエータを後方に駆動させて、ベッドまたは手押し車の背もたれを上昇位置から水平方向位置まで迅速に解放させることができる。
アクチュエータは巻き付けバネ式ブレーキ６７を有していて、通常動作において後方に駆動するのを妨げている。 【００２１】 主要動力部は、要求される制御電圧を生じさせるために、変換器６９に通じているソケット６８によって接続されている。 ハウジング内の制御盤７０は四つのアクチュエータを制御する。 患者用手動制御部が二つのソケット７１、７２に接続されている。 看護婦用制御部を追加のソケット７３に接続してもよい。 ベッドまたは手押し車の機能部を緊急動作させるためにバッテリ７５を含んでもよく、これらバッテリはハウジング３６内の封止済みコンパートメント内に収容される。 電池用コンパートメントに外部用開口部を設けて気体が充満するのを妨げても良い。 【００２２】 制御用ハウジング３６は制御装置の他の要素、例えばセンサ、ロードセル、ベッドまたは手押し車を制御するための特別のソフトウェア、およびベッドまたは手押し車周りの床部を照らす照明部をさらに収容することもできる。 他の装置、例えばエアマットレスを操作するポンプまたは患者が使用する膨張可能なガーメント（ｉｎｆｌａｔａｂｌｅ ｇａｒｍｅｎｔｓ）を、中心制御用ハウジング３６に直接的に連結してもよい。 【００２３】 好ましい駆動方法は電子機械式であるが、流体圧式シリンダをポンプユニットによって供給されたアクチュエータとして使用することもでき、アクチュエータとポンプとの全てを制御用ハウジング３６内に配置することもできる。 駆動部の他の実施態様は、制御用ハウジング３６内の中心に全てが配置されるモータによって駆動される打込みネジ（ｄｒｉｖｅ ｓｃｒｅｗ）を具備することができる。 【図面の簡単な説明】 【図１】 本発明に基づくベッド用ベースフレームの平面図である。 【図２】 上方フレームを支持する図１のベッド用ベースフレームを備えたベッドの側面図である。 【図３】 制御用ハウジングとアクチュエータとを示している、図２の上方フレームの平面図である。 【図４】 プラットフォームを支持する上方フレームを備えたベッドの側面図である。 【図５ａ】 好ましい実施態様の制御用ハウジングとアクチュエータとを示す平面図である。 【図５ｂ】 好ましい実施態様の制御用ハウジングとアクチュエータとを示す側面図である。 【図６】 図５ａおよび図５ｂに示される制御用ハウジングとアクチュエータとの平面図である。 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ，ＭＬ， ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，Ｋ Ｅ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＬ，ＳＺ，ＴＺ，ＵＧ，ＺＷ )，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ，ＲＵ， ＴＪ，ＴＭ)，ＡＥ，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ， ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，Ｃ Ｕ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＤ ，ＧＥ，ＧＨ，ＧＭ，ＨＲ，ＨＵ，ＩＤ，ＩＬ，ＩＮ， ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＣ，Ｌ Ｋ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ， ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＳＬ，ＴＪ，Ｔ Ｍ，ＴＲ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＳ，ＵＺ，ＶＮ，ＹＵ ，ＺＡ，ＺＷ Ｆターム(参考） 4C040 BB03 DD01 EE05 4C341 MM05 MN16 MP02 MQ02 MR03 MR06 【要約の続き】 |
