介護ベッド

申请号 JP2011541930 申请日 2010-11-10 公开(公告)号 JPWO2011062169A1 公开(公告)日 2013-04-04
申请人 株式会社グラビティ; 发明人 小野瀬 隆; 隆 小野瀬; 近藤 英雄; 英雄 近藤;
摘要 臥床する被介護者を支承するベッド床を長手方向の左右に分割構成し、この左右ベッド床の長手方向の内側を揺動 支点 として外側が上下動するようになし、左右ベッド床の一方または両方により傾斜面が形成されるようにした介護ベッドであり、前記左右ベッド床の一部を交互に延長し、該延長部の先端が左右方向の傾動支点となるようにすることにより、被介護者の身体背面の弛緩と圧迫が交互に繰り返されてマッサージ効果が得られ、血流が促進されて褥瘡の予防とリハビリテーション機能が得られるとともに、介護者による介護作業の負担を軽減して介護能率を向上することができ、さらに、被介護者の半挫位が可能となる。
权利要求
  • 臥床する被介護者を支承するベッド床を長手方向の左右に分割構成し、この左右ベッド床の長手方向の内側を傾動支点として外側が上下動するようになし、左右ベッド床の一方または両方により傾斜面が形成されるようにした介護ベッドであり、前記左右ベッド床の一部を交互に延長し、該延長部の先端を左右方向の傾動支点となるようにしたことを特徴とする介護ベッド。
  • 前記左右ベッド床が被介護者の上体支承部と臀部支承部で構成され、前記上体支承部と臀部支承部が独立して傾斜面を形成しるようにしたことを特徴とする請求項1記載の介護ベッド。
  • 前記左右ベッド床の先端の傾動支点上に折曲部が位置するマットレスが配置されていることを特徴とする請求項2記載の介護ベッド。
  • 前記マットレスは上体に対応する部分と臀部に対応する部分が独立に配置されていることを特徴とする請求項3記載の介護ベッド。
  • 臥床する被介護者を支承するベッド床を長手方向の左右に分割構成し、この左右ベッド床の長手方向の内側を傾動支点として外側が上下動するようになし、前記左右ベッド床により傾斜面が形成されるようにした介護ベッドであり、前記左右ベッド床の内側の一部を交互に延長し、該延長部の先端を左右方向の傾動支点となるようにすると共に、該左右ベッド床の下肢側の端部を前後方向の傾動支点となるようにしたことを特徴とする介護ベッド。
  • 前記左右ベッド床が被介護者の上体支承部と臀部支承部で構成され、前記上体支承部と臀部支承部が独立して左右方向の傾斜面を形成し、且つ、上体支承部で前後方向の傾斜面が形成されるようにしたことを特徴とする請求項5記載の介護ベッド。
  • 前記左右ベッド床の先端の傾動支点上に折曲部が位置するマットレスが配置されているようにしたことを特徴とする請求項5記載または請求項6記載の介護ベッド。
  • 前記マットレスが上体に対応する部分と臀部に対応する部分が独立に配置されているようにしたことを特徴とする請求項7記載の介護ベッド。
  • 说明书全文

    本発明は、本発明は、傷病療養中の被介護者に発生する褥瘡(床ずれ)を予防すると共に、被介護者に対する介護者の介護作業の負担の軽減が可能となるようにし、リハビリテーション機能を併せ具える介護ベッドに関する。

    長期の傷病療養中の被介護者およびこの介護者に対して配慮しなければならない課題は、被介護者に発生する褥瘡の対策と、介護者の介護作業の負担の軽減に大別することができる。 褥瘡は長期に亘り同じ仰臥体勢で寝たきりになったような場合に、身体背面の一部に血行不全が生じ、これによる組織の壊死が発症原因となることが知られている。 このような褥瘡を予防するためには、例えば、2〜3時間を基本単位とする体位変換によって体圧分散を行い、褥瘡の好発部位への血行を促すようにしなければならない。
    ところが、このような褥瘡を発症するような重篤の傷病者である被介護者は、自身で体位変換を行うことができる体、気力が乏しいもので、介護者の助力を欠かすことができない。 しかしながら、基本となる時間単位で体位変換を行うことは、病院看護、家庭看護を問わず看護管理上の大きな負担となっている。 しかも、被介護者に意志力が乏しい場合は、その体位変換は介護者の体力に全て依存して行われることになり、介護作業の負担が大きなものとなっている。
    また、病床生活をしている被介護者は、介護ベッド上での更衣やシーツの交換、身体のクリーンケア、車椅子への移乗などで身体を仰臥位から側臥位へ大きく変換させなければならない状況が多々生じる。 このような場合、介護者は臥床している被介護者の身体を傾斜させ、あるいは抱き起こすなどの介護作業を行うが、このような介護作業が介護者の腰痛などの原因となり、臨床医療における大きな問題となっている。
    そこで、上記褥瘡の発症を予防する目的でベッド床を長手方向の左右に分割し、この左右のベッド床を、その中央を傾動支点として交互に傾斜させ、被介護者の体位変換を行う試みが提案されている(特許文献1参照)。 また、介護者の身体的負担を軽減する目的で、被介護者の身体を大きく傾斜させるようにした介護ベッドが提案されている(特許文献2参照)。

    実用新案登録第3071956号公報

    特開2002−143231号公報

    上記特許文献1に開示された介護ベッドは、図54(A)(B)に示すように、介護ベッドB1の中央に臥床する被介護者HBのベッド床B1a、B1bを交互に傾斜させ、被介護者HBの身体背面の血行を促そうとするものである。 しかしながら、ベッド床B1a、B1bを傾斜させても、ベッド上の被介護者HBは同図に示すように破線の位置から僅かにずれる程度のものである。 したがって、被介護者HBの身体背面は、依然、ベッド床B1a、B1bに密着したままであることから、褥瘡予防に重要な身体背面に対する除圧・減圧効果が十分に得られないことになる。
    また、かかる特許文献1による構成では、被介護者HBを抱き起こすための労力の負担を軽減することができない。 即ち、身体の側部に力Fを与えても力点P1から運動の中心となる支点P2との距離がベッド床B1a、B1bの双方が平坦な状態から殆ど変化していないことから身体の重心が移動しないことと、身体の反対側部が身体の回転に抵抗してしまうことによるものである。
    一方、特許文献2に開示された介護ベッドは、図55に示すように、介護ベッドB2の長手方向の中心を移動した幅の異なるベッド床B2a、B2bとしたものである。 したがって、ベッド床B2aを傾斜させたとき、被介護者HBの身体背面はベッド床B2aに全面が密着したままとなることから、身体背面に対する除圧、減圧効果は全く得られないことになり、褥瘡予防を期待することはできない。
    ただし、被介護者HBの重心は身体の反対側部に大きく異動すること、そして角運動の中心となる支点P2が身体の反対側部に移動することにより支点P2と力点P1との距離が長くなることから、図54に示す場合より小さい力Fで被介護者HBの体位の変換が可能となる。 しかしながら、図55の構成の介護ベッドは、一方の身体側部からの体位の変換のみ可能であることから、設置位置の制限を受けたり使い勝手の乏しいものとなる。
    また、特許文献1、2による介護ベッドにおける被介護者HBの体位の変換は、仰臥位から側臥位へのみであり、半挫位へ変換することはできない。 ところが、病床生活におけるベッド上においては仰臥位である状態が多いものの、食事や読書などのような病床における日常生活に対応できるようにするためには、上半身を斜めに起こす半挫位も重要なものとなる。
    本発明は、かかる従来の介護ベッドの問題を解決するためになされたもので、被介護者の褥瘡を予防できるようにすると共に、被介護者に対する介護者の負担の軽減が可能となるようにし、呼吸介助、拘縮や筋緊張などの緩和が可能となるリハビリテーション機能を備え、さらに、被介護者の上半身を斜めに起こす半挫位も可能となるようにした介護ベッドを提供するものであり、臨床医療に大きく貢献できることを目的とするものである。

    そこで本発明は以下に述べる各手段により上記課題を解決するようにした。 即ち、請求項1記載の発明では、臥床する被介護者を支承するベッド床を長手方向の左右に分割構成し、この左右ベッド床の長手方向の内側を傾動支点として外側が上下動するようになし、左右ベッド床の一方または両方により傾斜面が形成されるようにした介護ベッドであり、前記左右ベッド床の内側の一部を交互に延長し、該延長部の先端を左右方向の傾動支点となるようにする。
    請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の介護ベッドにおいて、前記左右ベッド床が被介護者の上体支承部と臀部支承部で構成され、前記上体支承部と臀部支承部が独立して傾斜面の形成が可能となるようにする。
    請求項3記載の発明では、上記請求項1または請求項2記載の介護ベッドにおいて、前記左右ベッド床の先端の傾動支点上に折曲部が位置するマットレスが配置されているようにする。
    請求項4記載の発明では、上記請求項3記載の介護ベッドにおいて、前記マットレスは上体に対応する部分と臀部に対応する部分が独立に配置されているようにする。
    請求項5記載の発明では、臥床する被介護者を支承するベッド床を長手方向の左右に分割構成し、この左右ベッド床の長手方向の内側を傾動支点として外側が上下動するようになし、前記左右ベッド床により傾斜面が形成されるようにした介護ベッドであり、前記左右ベッド床の内側の一部を交互に延長し、該延長部の先端を左右方向の傾動支点となるようにすると共に、該左右ベッド床の下肢側の端部を前後方向の傾動支点となるようにする。
    請求項6記載の発明では、上記請求項5記載の介護ベッドにおいて、前記左右ベッド床が被介護者の上体支承部と臀部支承部で構成され、前記上体支承部と臀部支承部が独立して左右方向の傾斜面を形成し、且つ、上体支承部で前後方向の傾斜面が形成されるようにする。
    請求項7記載の発明では、上記請求項5または請求項6記載の介護ベッドにおいて、前記左右ベッド床の先端の傾動支点上に折曲部が位置するマットレスが配置されているようにする。
    請求項8記載の発明では、上記請求項7記載の介護ベッドにおいて、前記マットレスが上体に対応する部分と臀部に対応する部分が独立に配置されているようにする。

    本発明の介護ベッドによれば、分割構成した左右ベッド床の内側の一部を交互に延長し、この延長部の先端を傾動支点として左右のベッド床が交互に傾動できるようにしたので、被介護者の身体を交互に大きく側臥位にすることができ、身体の側半身にかかる圧力が交互に軽減されて血流が促進される。 また、被介護者に違和感を与えない程度に左右のベッド床を交互に小さく傾動してベッド床の一部の身体背面への密着が交互に繰り返されるようにすると、身体背面の弛緩と圧迫が交互に繰り返されてマッサージ効果が得られ、血流が促進されて褥瘡を予防することができる。
    なお、被介護者が側臥位となったとき、ベッド床に密着していない部分に介護者の手先を差し入れ易くなると共に、僅かな力で被介護者の体位変換が可能となるので、更衣やシーツ交換、身体のクリーンケア、車椅子への移乗などの介護作業の負担が軽減されることになる。 そして、左右両方向からの側臥位が可能となることから介護作業の能率を向上することができると共に、被介護者の頭部方向を自由に選定できることになり、室内の条件に合わせた配置が可能となる。
    さらに、本発明の介護ベッドは、左右のベッド床の交互の傾動により、呼吸介助、拘縮や筋緊張などを緩和するリハビリテーション機能が得られることから、理学医療分野に広く活用することができる。 特に、左右ベッド床を被介護者の上体支承部と臀部支承部を独立に構成した場合、臀部を捻転することができるので、仰臥位のままで腰部を治療することができるなど、理学療法分野における新たな可能性を拓くことができる。
    しかも、本発明の介護ベッドによれば、上記の医療面および介護面の効果に加え、被介護者の上半身を斜めに起こす半挫位が可能となるので、食事や読書などのような病床における日常生活への対応が可能となり、1台の介護ベッドで必要十分な機能が得られることになるなど、本発明特有の効果を得ることができる。

    図1は、本発明の実施例1の介護ベッドの概要を示す図である。
    図2は、本発明の実施例2の介護ベッドの概要を示す図である。
    図3は、本発明の実施例3の介護ベッドの概要を示す図である。
    図4は、本発明の実施例4の介護ベッドの概要を示す図である。
    図5は、本発明の実施例5の介護ベッドの概要を示す図である。
    図6は、実施例1による介護ベッドの要部の構成を示す図である。
    図7は、実施例1による介護ベッドの駆動機構を説明する図である。
    図8は、実施例1による介護ベッドの要部の組立上体を示す図である。
    図9は、実施例1による介護ベッドの要部の動作態様を説明する図である。
    図10は、実施例1による介護ベッドの要部の動作態様を説明する図である。
    図11は、実施例1による介護ベッドの要部の動作態様を説明する図である。
    図12は、実施例1による介護ベッドの要部の動作態様を説明する図である。
    図13は、実施例1による介護ベッドの作用を説明する模式図である。
    図14は、実施例1による介護ベッドの作用を説明する模式図である。
    図15は、実施例1による介護ベッドの作用を説明する模式図である。
    図16は、実施例1による介護ベッドの作用を説明する模式図である。
    図17は、実施例1による介護ベッドの作用を説明する模式図である。
    図18は、実施例1による介護ベッドの作用を説明する模式図である。
    図19は、実施例1による介護ベッドの効果を説明する模式図である。
    図20は、実施例1による介護ベッドの効果を説明する模式図である。
    図21は、実施例2による介護ベッドの要部の構成を示す図である。
    図22は、実施例2による介護ベッドの駆動機構を説明する図である。
    図23は、実施例2による介護ベッドの要部の組立状態を示す図である。
    図24は、実施例2による介護ベッドの動作態様を説明する図である。
    図25は、実施例2による介護ベッドの動作態様を説明する図である。
    図26は、実施例2による介護ベッドの動作態様を説明する図である。
    図27は、実施例2による介護ベッドの動作態様を説明する図である。
    図28は、実施例2による介護ベッドの効果を説明する模式図である。
    図29は、実施例2による介護ベッドの効果を説明する模式図である。
    図30は、実施例1の左右ベッド床の別構成の例を示す図である。
    図31は、実施例2の左右ベッド床の別構成の例を示す図である。
    図32は、実施例4による介護ベッドの要部の構成を示す図である。
    図33は、実施例4による介護ベッドの駆動機構の構成を説明する図である。
    図34は、実施例4による介護ベッドの駆動機構の構成を説明する図である。
    図35は、実施例4による介護ベッドの作用を説明する図である。
    図36は、実施例4による介護ベッドの作用を説明する図である。
    図37は、実施例4による介護ベッドの作用を説明する模式図である。
    図38は、実施例4による介護ベッドの作用を説明する模式図である。
    図39は、実施例4による介護ベッドの効果を説明する模式図である。
    図40は、実施例4による介護ベッドの効果を説明する模式図である。
    図41は、実施例4による介護ベッドの作用を説明する模式図である。
    図42は、実施例4による介護ベッドの作用を説明する模式図である。
    図43は、実施例4による介護ベッドの動作態様を説明する図である。
    図44は、実施例4による介護ベッドの動作態様を説明する図である。
    図45は、実施例5による介護ベッドの要部の構成を示す図である。
    図46は、実施例5による介護ベッドの駆動機構の構成を説明する図である。
    図47は、実施例5におけるマットレスの構成を示す図である。
    図48は、実施例5による介護ベッドの作用を説明する図である。
    図49は、実施例5による介護ベッドの作用を説明する図である。
    図50は、実施例5による介護ベッドの効果を説明する模式図である。
    図51は、実施例5による介護ベッドの効果を説明する模式図である。
    図52は、実施例5による介護ベッドの動作態様を説明する図である。
    図53は、実施例5による介護ベッドの動作態様を説明する図である。
    図54は、従来の介護ベッドの例を説明する模式図である。
    図55は、従来の介護ベッドの例を説明する模式図である。

    1・・・・・・・介護ベッド 2・・・・・・・ベッドフレーム 3・・・・・・・頭部ベッド床 4・・・・・・・脚部ベッド床 5・・・・・・・左右ベッド床 51・・・・・・左側ベッド床 52・・・・・・右側ベッド床 6、7・・・・・スピンドルホルダー 8、9・・・・・スピンドル 10、11・・・軸受 12、13・・・補強部材 14、15・・・ソケット 16、17・・・ギヤボックス 18、19・・・電動モータ 20・・・・・・頭部マットレス 21・・・・・・上体マットレス 22・・・・・・脚部マットレス 30・・・・・・臀部ベッド床 31・・・・・・左傾動片 32・・・・・・右傾動片 33、34・・・スピンドルホルダー 35、36・・・補強片 37、38・・・ソケット 39、40・・・ギヤボック� � 41、42・・・電動モータ 43・・・・・・臀部マットレス 60・・・・・・左右ベッド床 61・・・・・・左側ベッド床 62・・・・・・右側ベッド床 63・・・・・・全身マットレス 70・・・・・・傾動フレーム 71・・・・・・スピンドルブロック 72・・・・・・アングルホルダー 73・・・・・・スピンドル 74・・・・・・枢支ローラー 75・・・・・・電動アクチュエータ 76・・・・・・電動アクチュエータ 77・・・・・・電動アクチュエータ 78・・・・・・パイプシャフト 79・・・・・・パイプシャフト 80・・・・・・押圧ローラー 81・・・・・・揺動ローラー 82・・・・・・押圧ローラー 83・・・・・・揺動アーム 84・・・・・・クランクアーム 85・・・・・・クランクアーム � ��6・・・・・・ビームシャフト 87・・・・・・揺動レバー 88・・・・・・クランクアーム 89・・・・・・押圧ローラー 90・・・・・・脚部マットレス 91・・・・・・上体マットレス 92・・・・・・臀部ベッド床 93・・・・・・電動アクチュエータ 94・・・・・・電動アクチュエータ 95・・・・・・パイプシャフト 96・・・・・・パイプシャフト 97・・・・・・押圧ローラー 98・・・・・・揺動アーム 99・・・・・・押圧ローラー 100・・・・・揺動アーム 101・・・・・クランクアーム 102・・・・・クランクアーム 103・・・・・臀部マットレス

    以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳細に説明する。 本発明では、左右ベッド床の上体と臀部に対応する部分を一体化して上体と臀部を同時に傾動する図1に示す構成を実施例1とし、上体と臀部に対応する左右ベッド床を独立に駆動できるようにした図2に示す構成を実施例2とし、また、被介護者の全身を同時に傾動できるようにした図3に示す構成を実施例3として説明する。 さらに、左右ベッド床の上体と臀部に対応する部分を一体化し、上体と臀部を同時に傾動して左右方向に傾斜すると共に、前後方向にも傾動して半挫位が可能となるようにした図4に示す構成を実施例4とし、上体と臀部に対応する左右ベッド床を独立に傾動して左右方向に傾斜すると共に、上体に対応する左右ベッド床を傾動して半挫位が可能となるようにした図5に示す構成を実施例5として説明する。

    図1は、本発明の実施例1の介護ベッド1の外観を示す図であり、同図に示すように枠組みされたベッドフレーム2内の被介護者の頭部に対応する位置に頭部ベッド床3が固定され、脚部に対応する位置に脚部ベッド床4が固定されている。 そして、前記頭部ベッド床3と脚部ベッド床4との間に、被介護者の上体と臀部に対応する左右ベッド床5が配置される。
    前記左右ベッド床5は、図6に示すように左側ベッド床51と右側ベッド床52の内側の一部を交互に延長した櫛歯状の傾動片51a、52aを組み合わせたものである。 そして、この傾動片51a、52aの先端には図7に示すようにスピンドルホルダー6、7が固定されており、このスピンドルホルダー6、7に挿通されたスピンドル8、9の両端部が軸受10、11に保持され、さらにこの軸受10、11がベッドフレーム2に固定されているため、傾動片51a、52aの先端部は回転可能に定位置で保たれる。
    一方、左側ベッド床51と右側ベッド床52の外側の長手方向の裏面には補強部材12、13が固定されており、この補強部材12、13の中央部にボールジョイントのソケット14、15が固定されている。 そして、このソケット14、15内にはギヤボックス16、17の出力軸16a、17aの先端のボールが収容されている。 したがって、電動モータ18、19の出力軸18a、19aによりギヤボックス16、17が駆動され、その出力軸16a、17aが上下動した場合においても、左側ベッド床51と右側ベッド床52に対する角度変化に対応することができる。
    つぎに、以上のように構成された頭部ベッド床3、脚部ベッド床4、そして左右ベッド床5上にマットレスを張設する必要がある。 図1、図8において頭部ベッド床3上に張設する頭部マットレス20および脚部ベッド床4上に張設する脚部マットレス22は、例えば、発泡ウレタンフォームを袋状布材に収容した平坦状のものとなる。 一方、左右ベッド床5上に張設する上体マットレス21は、左側ベッド床51、右側ベッド床52の傾動片51a、52aの先端の傾動支点上が折曲部となるようにスリット21a、21bが形成され、3分割された状態のピース・マットレス21A、21B、21Cは表面の布材で相互に接続され、一体化されている。
    なお、前記ピース・マットレス21A、21B、21Cの相互の接続は、伸縮性を具えたテープ状の素材を接続部分に縫着するようにしてもよい。 また、ピース・マットレス21A、21B、21Cの裏面に、例えば、面ファスナーなどの止着具を配設して面接合するようにしておくことにより、ピース・マットレス21A、21B、21Cの位置ずれを防止することができる。
    本発明の実施例1の介護ベッド1の要部は以上のように構成されていることから、電動モータ18、19を駆動することにより、ギヤボックス16、17の出力軸16a、17aが昇降し、傾動片51a、52aの先端を支点として左側ベッド床51、右側ベッド床52を傾動させることができる。 図9は、ギヤボックス16の出力軸16aが上昇し、左側ベッド床51が傾動した状態を示すもので、かかる状態では図10に示すようにピース・マットレス21Cは定位置にあるが、スリット21bで屈曲したピース・マットレス21Aとピース・マットレス21Bは傾斜状態となる。 したがって、ベッド上の被介護者HBは図13に示すように身体右側を下にする側臥位となる。
    一方、図11に示すごとくギヤボックス17の出力軸17aを上昇し、右側ベッド床52を傾動すると、図12に示すようにピース・マットレス21Bは定位置にあるが、スリット21aで屈曲したピース・マットレス21Aとピース・マットレス21Cは傾斜状態となる。 したがって、ベッド上の被介護者HBは図14に示すように身体左側を下にする側臥位となる。
    上記のようにして被介護者HBの身体が側臥位になると、被介護者HBは左側ベッド床51の傾動片51aまたは右側ベッド床52の傾動片52aで支承される状態となる。 したがって、傾動片51aと傾動片52aの各側部には空間が形成される状態となることから、この空間部分においては被介護者HBの身体背面への圧迫は緩和されることになる。
    したがって、図19、図20に斜線で示す部位は被介護者HBの身体背面とマットレスが密着状態とならないことから、介護者は手先を差し込み易くなる。 そして、被介護者HBの身体が左傾または右傾の側臥位になることから、力点P1に与える僅かな力Fで被介護者HBの体位変換が支点P2を中心にして可能となり、介護作業の能率を向上することができる。
    また、図13、図14に示すような側臥位になると、被介護者HBの身体荷重が低位となった身体左右の一方に偏ることから、高位の身体背面に対する圧迫が緩和されることになり、身体側部の鬱血状態が緩和され血流を促すことができる。 したがって、図13、図14に示す側臥位を交互に繰り返すことにより、褥瘡の治療効果が得られる。 なお、被介護者HBによっては側臥位になったとき、その傾斜状態に不安感を抱く畏れがあるが、この場合、側臥位を形成していない他方の傾動床を図15、図16に示すように、僅かに傾斜させることにより、被介護者HBの不安感を取り除くことができる。
    このように実施例1による本発明の介護ベッド1によれば、被介護者HBはベッド上の中央に臥床したままの状態で、左傾または右傾の側臥位が可能となるので、被介護者HBの両側方からの介護作業が可能となる。 また、両側方からの介護が可能となることにより、ベッド配置の方向が限定されず、室内の条件に対応することができる融通性を具えることになる。
    以上の説明では被介護者HBの側臥位の傾斜角を大きくし、介護作業の能率向上、褥瘡の治療効果を中心に説明したが、側臥位の傾斜角を小さくして左傾および右傾を交互に繰り返すことにより、被介護者HBに違和感を与えることなくリハビリテーションを行うことができる。
    即ち、図17に示すように、左側ベッド床51を僅かに傾斜させたのみで、図19に示すように被介護者HBの身体背面は傾動片51aで支承され、同図の斜線で示す部分の傾動片52aに対応する身体背面は圧迫から解放される状態となる。 一方、図18に示すように、右側ベッド床52を僅かに傾斜させると、図20に示すように被介護者HBの身体背面は傾動片52aで支承され、同図斜線で示す部分の傾動片51aに対応する身体背面は圧迫から解放される状態となる。
    このように左側ベッド床51、右側ベッド床52を交互に僅かに傾斜させるだけで身体背面の弛緩と圧迫が交互に繰り返されるので、被介護者HBに違和感を与えずにマッサージ効果が得られ、身体背面の血行が促されて褥瘡治療が可能となる。 また、前記傾斜角を適度に設定することにより、呼吸介助、拘縮や筋緊張を緩和するリハビリテーション機能を得ることができる。

    つぎに、本発明の図2に示す実施例2の介護ベッド1について以下に説明する。 実施例1に示した介護ベッド1は被介護者HBの上体と臀部を同時に支承して傾斜させ、側臥位となるようにしたものであるが、実施例2の介護ベッド1においては、上体と臀部を各別に支承し、上体または臀部の斜位が各別に可能となるようにし、被介護者HBに対するリハビリテーション機能を向上するようにした。
    即ち、実施例2においては、図21に示すように被介護者HBの上体に対応する部分に左右ベッド床5を配設すると共に、これに列設する状態で臀部ベッド床30を配設する。 この臀部ベッド床30は、被介護者HBの臀部の狭い範囲に対応するようにしてあるので、同実施例では、左傾動片31および右傾動片32の2枚の組み合わせで構成され、左右傾動片31、32が平行に交差した状態となっている。
    また、臀部ベッド床30は左右ベッド床5とは独立に傾動できるようにするため、図22に示すように左右傾動片31、32の先端にスピンドルホルダー33、34が固定されており、このスピンドルホルダー33、34にスピンドル8,9が挿通されている。 そして、左右傾動片31、32の外側の端部裏面には補強部材35、36が固定されており、この補強部材の35、36の中央部にボールジョイントのソケット37、38が固定されている。
    前記ソケット37、38内にはギヤボックス39、40の出力軸39a、40aの先端のボールが収容されている。 したがって、電動モータ41、42の出力軸41a、42aによりギヤボックス39、40が駆動され、その出力軸39a、40aが上下動した場合においても、左右傾動片31、32に対する角度変化に対応することができる。
    以上のように左右ベッド床5と臀部ベッド床30を独立して構成した場合は、左右ベッド床5上のマットレスと臀部ベッド床30上のマットレスが相互に干渉しないようにしなければならない。 そこで、図23に示すように臀部ベッド床30に対しては、同図に示すように臀部のみに対応する臀部マットレス43を張設する。 この臀部マットレス43は、上体マットレス21と同様に左右傾動片31、32の先端の傾動支点上が折曲部となるようにスリット43a、43bが形成され、3分割された状態のピース・マットレス43A、43B、43Cが表面の布材で連結され、一体化されている。
    本発明の実施例2の介護ベッド1の要部は以上のように構成されていることから、電動モータ41、42を駆動することにより、ギヤボックス39、40の出力軸39a、40aが昇降し、左右傾動片31、32の先端を支点とし、この左右傾動片31、32を傾動させることができる。 図24は、ギヤボックス39の出力軸39aが上昇し、左傾動片31が傾動した状態を示すもので、かかる状態では図25に示すようにピース・マットレス43Cは定位置にあるが、スリット43bで屈曲したピース・マットレス43Aとピース・マットレス43Bは傾斜状態となる。 したがって、ベッド上の被介護者HBは上体が仰 臥位のままで臀部が右方向に捻転されることになる。 このとき臀部は図28に示すように左傾動片31により押し上げられていることから、同図の斜線で示す部位の臀部は圧迫から解放されて弛緩状態となる。
    一方、図26に示すこどくギヤボックス40の出力軸40aを上昇し、右傾動片32を傾動すると、図25に示すようにピース・マットレス43Bは定位置にあるが、スリット43aで屈曲したピース・マットレス43aとピース・マットレス43Cは傾斜状態となる。 したがって、ベッド上の被介護者HBは上体が仰臥位のままで臀部が左方向に捻転されることになる。 このとき臀部は図29に示すように右傾動片32により押し上げられることから、同図の斜線で示す部位の臀部は圧迫から解放されて弛緩状態となる。 このように左右傾動板31、32の傾動を交互に繰り返すことにより、臀部への圧迫と弛緩が繰り返され、マッサージ効果が得られることになる。
    このように実施例2による介護ベッド1による場合は、被介護者HBの臀部の加療が可能となることから、臀部に好発する褥瘡を集中的に治療することが可能となる。 また、臀部を捻転する作用から腰部の拘縮の緩和などのリハビリテーション機能が得られる。 さらに、実施例2による介護ベッド1によれば、左右ベッド床5と臀部ベッド床30を独立に傾動させることができるので、左右ベッド床5と臀部ベッド床30を相対する逆方向へ傾動させることができ、被介護者HBの症状に合わせた多彩なリハビリテーションが可能となる。 なお、左右ベッド床5と臀部ベッド床30を同時に同方向へ傾動させることにより、実施例1と同様の機能を得ることができる。
    以上に説明した本発明の介護ベッド1の実施例1、2においては、左右ベッド床5および臀部ベッド床30の主体部を板状体で構成した例に基づいて説明したが、図30、図31に示すように高い剛性の軽金属などのフレーム材を採用してもよく、材質ならびに構造は限定されるものではない。 また、左右ベッド床5および臀部ベッド床30の傾動はプログラム制御により自由に設定することが可能であり、上述の実施例に示した態様に限定されることはない。

    図3は、本発明の実施例3の介護ベッド1の外観を示す図であり、被介護者HBの全身を同時に傾動できるようにし、介護作業の能率を向上できるようにすると共に、ベッド長手のいずれの方向にも被介護者HBが臥床できるようにしたものである。
    このため、実施例3においては、ベッドフレーム2内に構成する左右ベッド床60は頭部から脚部にかけて連続した構成のものとなる。 したがって、左右ベッド床60は方向性を具えなくなり、被介護者HBの臥床方向で左右方向が決定されるのであるが、理解を容易にするため、符号61を左側ベッド床とし、符号62を右側ベッド床として説明する。
    実施例3においても、左右ベッド床60は左側ベッド床61と右側ベッド床62の内側の一部を交互に延長した櫛歯状の傾動片61a、62aを組み合わせて構成している。 そして、前記傾動片61a、62aは長手方向の全長に亘り一体化されているので、同時に傾動することになる。 なお、本実施例における駆動機構は、図7に示す構成で対応可能である。
    実施例3による左右ベッド床60は以上のように構成されていることから、この左右ベッド床60上に張設する全身マットレス63は、実施例1、2とは異なる形態となる。 即ち、図3に示すように、全身マットレス63は左側ベッド床61、右側ベッド床62の傾動片61a、62aの先端の傾動支点上が折曲部となるようにスリット63a、63bが形成され、各々が左右ベッド床60の長手方向の長さに対応する3分割された状態のピース・マットレス63A、63B、63Cからなる。 このピース・マットレス63A、63B、63Cは、実施例1、2と同様に表面の布材で相互に接続され、スリット63a、63bの部分で折曲が可能となるようにしている。
    本発明の実施例3の介護ベッド1の要部は以上のように構成されていることから、図7に示す駆動機構を採用している場合、電動モータ18、19を駆動することにより、ギヤボックス16、17の出力軸16a、17aが上昇し、傾動片61a、62aの先端を支点として左側ベッド床61、右側ベッド床62を傾動させることができる。
    このようにして、左側ベッド床61または右側ベッド床62を傾動させると、ピース・マットレス63A、63Bまたはピース・マットレス63A、63Cが傾斜上体となることから、ベッド上の被介護者HBの全身が側臥位となり、頭部、身体、脚部への介護作業を同時に行うことが可能となる。

    図4に示す実施例4の介護ベッドは、左右ベッド床の上体と臀部に対応する部分を一体化して上体と臀部を同時に傾動して左右方向に傾斜すると共に、前後方向にも傾動して半挫位が可能となるようにしたもので、同図に示すように枠組みされたベッドフレーム2内に傾動フレーム70が配設され、さらに、この傾動フレーム70内に被介護者HBの上体と臀部に対応する左右ベッド床5が収容されている。 被介護者HBの脚部に対応する位置には前記傾動フレーム70に連設される状態で脚部ベッド床4がベッドフレーム2に固定されている。
    前記左右ベッド床5は、図32に示すように左側ベッド51と右側ベッド床52の内側の一部を交互に延長した櫛歯状の傾動片51a、52aを組み合わせたものであり、前記傾動片51a、52aの先端の裏面には、同図に示すようにスピンドルブロック71が固定されている。 なお、前記左右ベッド床5を構成するための素材は、例えば、板状体あるいは金属素材によるメッシュをフレームに張設したものなど広く採用することができ、材質、構造は限定されるものではない。
    前記傾動フレーム70は図32に示すように、方形に枠組みされ、フランジ70aが下辺から内方に張り出すように形成されており、このフランジ70a間に縦ビーム70cが架設されている。 この縦ビーム70cの前記傾動片51a、52aの先端のスピンドルブロック71に対応する位置にはアングルホルダー72が固定されており、左右ベッド床51、52を傾動フレーム70に収容したとき、前記スピンドルブロック71がアングルホルダー72に嵌合し、スピンドル73により回動可能に支持することにより、傾動片51a、52aの左右方向への傾動支点となるようにしている。
    このようにして、左右ベッド床5を収容した傾動フレーム70は、その脚部側の端部に設けた枢支ローラー74を図33に示すベッドフレーム2に形成したローラーホルダー2bに回動可能に係合させてベッドフレーム2上に配置する。 このとき、傾動フレーム70はその頭部側および両側部がベッドフレーム2のフランジ2a上に載置状態となる。 したがって、ベッドフレーム2は枢支ローラー74を傾動支点とし、左右ベッド床5を収容した状態で前後方向の傾斜が可能となる。
    つぎに、前記左右ベッド床5の左右方向および前後方向への傾動に関する駆動機構について以下に説明する。 図34は実施例4の介護ベッド1における駆動機構の理解が容易となるように透視状態で示した斜視図であり、右側ベッド床52を傾斜するための動力源となる電動アクチュエータ75、左側ベッド床51を傾動するための電動アクチュエータ76、傾動フレーム70を前後方向に傾動するための電動アクチュエータ77を備える。
    前記左右ベッド床5の背面には、両端部が回動可能にベッドフレーム2に固定された一対のパイプシャフト78、79が配設される。 前記パイプシャフト78には、右側ベッド床52の傾動片52aに対応する位置に、先端に押圧ローラー16を備えた揺動アーム81a基端が固定される。 一方、前記パイプシャフト79には、左側ベッド床51の傾動片51aに対応する位置に、先端に押圧ローラー82を備えた揺動アーム83の基端が固定される。
    前記パイプシャフト78の中央部には、クランクアーム84の基端が固定され、その先端が電動アクチュエータ75のロッド75aの先端に接続されている。 一方、パイプシャフト79の中央部には、クランクアーム85の基端が固定され、その先端が電動アクチュエータ76のロッド76aに接続されている。 なお、電動アクチュエータ75、76の本体は、上下方向の遊動が可能となるようにしてベッドフレーム2に取り付ける。
    左右ベッド床5の駆動機構は以上のように構成されていることから、電動アクチュエータ75を作動することにより、そのロッド75aが前進してパイプシャフト78を回転し、これに伴って揺動アーム81が揺動して先端の押圧ローラー80が右側ベッド床52の傾動片52aを押し上げる。 一方、電動アクチュエータ76を作動することにより、そのロッド76aが前進してパイプシャフト79を回転し、これに伴って揺動アーム83が揺動して先端の押圧ローラー82が左側ベッド床51の傾動片51aを押し上げることになる。
    つぎに、左右ベッド床5の前後方向への傾動に関する駆動機構は、両端部がベッドフレーム2に固定されているビームシャフト86に懸架された揺動レバー87を揺動するようにしている。 この揺動レバー87は、その中心部にクランクアーム88の基端が固定され、その先端に電動アクチュエータ77のロッド77aの先端が接続されている。 なお、この電動アクチュエータ77の本体は、上下方向の遊動が可能となるようにしてベッドフレーム2に取り付ける。 このように構成されていることから、電動アクチュエータ77を作動することにより、そのロッド77aが前進して揺動レバー87を揺動する。 これにより、この揺動レバー87の両端から延設されたレバーアーム87aの押圧ローラー89が上昇し、傾動フレーム70を押し上げて左右ベッド床5の傾斜状態が得られる。
    以上のように構成された実施例4の介護ベッド1には、脚部ベッド床4、左右ベッド床5の各々に対しマットレスを配置する必要がある。 図4において脚部ベッド床4に配置する脚部マットレス90は、発泡ウレタンフォームなどのクッション材料を袋状布材に収容した平坦状のものとなる。 これに対し、左右ベッド床5上に配置する上体マットレス91は、左側ベッド床51、右側ベッド床52の傾動片51a、52aの先端の傾動支点上が折曲部となるようにスリット91a、91bが形成され、発泡ウレタンフォームなどのクッション材料を袋状布材に収容し、3分割された状態のピース・マットレス91A、91B、91Cおよび脚部マットレス90は一枚のカバーシートCSに縫着され分離しないようにしている。
    なお、前記ピース・マットレス91A、91B、91Cの相互の接続は、伸縮性を具えたテープ状の素材を接続部に縫着するようにしてもよい。 また、脚部マットレス90および上体マットレス91のピース・マットレス91A、91B、91Cを面ファスナーなどの止着具で脚部ベッド床4および左右ベッド床5へ面接合しておくことにより、位置ずれを防止することができる。
    本発明の実施例4の介護ベッド1は以上のように構成されており、その動作態様を以下に説明する。 なお、介護ベッド1を動作した場合のピース・マットレス91A、91B、91Cの態様の変化の理解が容易となるようにするため、以下でその説明に援用する図面では、カバーシートCSを除去した状態で示している。 電動アクチュエータ11を作動すると、図35に示すように押圧ローラー80の上昇に伴って右側ベッド床52を傾動させることができる。 この状態では、同図に示すようにピース・マットレス91Bは定位置にあるが、スリット91aで屈曲したピース・マットレス91A、91Cは傾斜状態となる。 したがって、ベッド上の被介護者HBは図37に示すように身体左側を下にする側臥位となる。
    一方、電動アクチュエータ76を作動すると、図36に示すように押圧ローラー82の上昇に伴って左側ベッド床51を傾動させることができる。 この状態では、同図に示すようにピース・マットレス91Cは定位置にあるが、スリット91bで屈曲したピース・マットレス91A、91Bは傾斜状態となる。 したがって、ベッド上の被介護者HBは図38に示すように身体右側を下にする側臥位となる。
    上記のようにして被介護者HBの身体が側臥位になると、被介護者HBは左側ベッド床51の傾動片51aまたは右側ベッド床52の傾動片52aで支承される状態となる。 即ち、図39、図40において斜線で示す部位は、被介護者HBの身体背面とマットレスが密着状態にならず、傾動片51aと傾動片52aの各側部には空間が形成される状態となることから、この空間部分においては被介護者HBの身体背面への圧迫は緩和されることになる。 また、この空間部分に被介護者HBの体圧が及ばないことになるので、介護者は手先を差し込み易くなり、そして、被介護者HBの身体が左傾または右傾の側臥位になることから、力点P1に与える僅かな力Fで被介護者HBの体位変換が支点P2を中心として可能となり、介護作業の能率を向上することができる。
    なお、図37、図38に示すような側臥位に体位変換するだけで、被介護者HBの身体荷重が低位となった身体左右の一方に偏ることから、高位の身体背面に対する圧迫が緩和されることになり、身体側部の鬱血状態が緩和され血流を促すことができる。 また、図37、図38に示す側臥位を交互に繰り返すことにより、身体背面に対する弛緩と圧迫が交互に繰り返されるので、褥瘡の治療効果が得られる。
    このように実施例4による本発明の介護ベッド1によれば、被介護者HBはベッド上の中央に臥床したままの状態で左傾または右傾の側臥位が可能となるので、被介護者HBの左右両方向からの介護作業が可能となり、また、ベッド配置の方向が限定されず室内の条件に対応することができる融通性を具えることになる。
    以上の説明では被介護者HBの側臥位の傾斜角を大きくし、介護作業の能率向上、褥瘡の治療効果を中心に説明したが、側臥位の傾斜角を小さくして左傾または右傾を交互に繰り返すことにより、被介護者HBに違和感を与えることなくリハビリテーションを行うことができる。
    即ち、図41に示すように、右側ベッド床52を僅かに傾斜させたのみで被介護者HBの身体背面は傾動片52aにより支承され、図39の斜線で示す部分の傾動片51aに対応する身体背面は圧迫から解放される状態となる。 一方、図42に示すように、右側ベッド床51を僅かに傾斜させると、被介護者HBの身体背面は傾動片51aで支承され、図40の斜線で示す部分の傾動片52aに対応する身体背面は圧迫から解放される状態となる。
    このように左側ベッド床51、右側ベッド床52を交互に僅かに傾斜させるだけで身体背面の弛緩と圧迫が交互に繰り返されるので、被介助者HBに違和感を与えずにマッサージ効果が得られ、身体背面の血行が促されて褥瘡治療が可能となる。 また、前記傾斜角を適度に設定することにより、呼吸介助、拘縮や筋緊張を緩和するリハビリテーション機能を得ることができる。
    さらに本発明の実施例4の介護ベッド1によれば、上述したように被介護者HBの半挫位が可能となるので、食事や読書などの日常生活への対応が可能となる。 図43、図44は電動アクチュエータ77を作動し、傾動フレーム70を押し上げて前後方向の傾斜状態を形成する過程を模式的に示したもので、図43は平の定位置にある左右ベッド床5上に被介護者HBが臥床している状態を示す。 かかる状態でアクチュエータ77が作動し、そのロッド77aが前進するとビームシャフト86を支点にして揺動レバー87が揺動を開始する。 これにより、押圧ローラー89が傾動フレーム70を押し上げ、図44に示すごとく被介助者HBの半挫位が得られる。

    つぎに、本発明の実施例5の介護ベッド1について以下に説明する。 実施例4に示した介護ベッド1は被介護者HBの上体と臀部を同時に支持して傾斜させ、側臥位および半挫位のいずれも可能となるようにしたものであるが、実施例5の介護ベッド1においては、上体と臀部を各別に支承し、上体または臀部の傾斜が各別に可能となるようにすると共に、半挫位も可能となるようにしたものである。
    即ち、実施例5の介護ベッド1においては、図5、図45、図46に示すように、被介護者HBの胴部より上の上体に対応させた大きさの左右ベッド床5を傾動フレーム70に配設すると共に、これに列設する状態で臀部ベッド床92を配設する。 この臀部ベッド床92は、被介助者HBの臀部の狭い範囲に対応するようにしてあるので、同実施例では、左傾動片92aおよび右傾動片92bの2枚の組み合わせで構成され、左右傾動片92a、92bが平行に交差した状態となっている。
    このように、臀部ベッド床92は独立した構成とするため、傾動フレーム70に収容される左右ベッド床5の長手方向の長さは、臀部に相当する長さだけ短いものとなる。 なお、かかる実施例5の構成においても、左右ベッド床5を前後方向および左右方向に傾動するための電動アクチュエータ75、76、77を用いた駆動機構の構成は実施例4と同様であるので、その説明を省略する。
    前記臀部ベッド床92は左右ベッド床5とは独立に左右方向へ傾動できるようにするため、図46に示すように右傾動片92bを傾動するための動力源となる電動アクチュエータ93、および左傾動片92aを傾動するための電動アクチュエータ94を備える。 そして、臀部ベッド床92の背面には、パイプシャフト78、79とは独立に回転するパイプシャフト95、96を配設する。 前記パイプシャフト95には右傾動片92bに対応する位置に、先端に押圧ローラー97を備えた揺動アーム98の基端が固定される。 一方、前記パイプシャフト96には左傾動片92aに対応する位置に、先端に押圧ローラー99を備えた揺動アーム100の基端が固定される。
    前記パイプシャフト95には、図52に示すようにクランクアーム101の基端が固定され、その先端が電動アクチュエータ93のロッド93aの先端に接続されている。 一方、パイプシャフト96には、クランクアーム102の基端が固定され、その先端が電動アクチュエータ94のロッド94aの先端に接続されている。 なお、電動アクチュエータ93、94の本体は、上下方向の遊動が可能となるようにしてベッドフレーム2に取り付ける。
    臀部ベッド床92は以上のように構成されていることから、電動アクチュエータ93を作動することにより、そのロッド93aが前進してパイプシャフト95を回転し、これに伴って揺動アーム98が揺動して先端の押圧ローラー97が右傾動片92bを押し上げる。 一方、電動アクチュエータ94を作動することにより、そのロッド94aが前進してパイプシャフト96を回転し、これに伴って揺動アーム100が揺動して先端の押圧ローラー99が左傾動片92aを押し上げる。
    ところで、以上のように左右ベッド床5と臀部ベッド床92を独立に構成した場合は、左右ベッド床5上のマットレスと臀部ベッド床92上のマットレスが相互に干渉しないようにするのが望ましい。 そこで、図5に示すように臀部ベッド床92に対しては、同図に示すように臀部のみに対応する臀部マットレス103を張設する。 この臀部マットレス103は、上体マットレス91と同様に左右傾動片92a、92bの先端の傾動支点上が折曲部となるようにスリット103a、103bが形成され、3分割された状態のピース・マットレス103A、103B、103Cが表面のカバーシートCSで連結されているが、図47に示すように各ピース・マットレス間にスリットCSsを形成しておくことにより左右傾動片92a、92bの傾動を円滑にすることができる。
    本発明の実施例5の介護ベッド1は以上のように構成されていることから、電動アクチュエータ93、94を作動することにより、左右傾動片92a、92bを傾動させることができる。 図48は、電動アクチュエータ93を作動して右傾動片92bを傾動させた状態を示すもので、かかる状態では同図に示すようにピース・マットレス103Bは定位置にあるが、スリット103aで屈曲したピース・マットレス103Aとピース・マットレス103Cは傾斜状態となる。 したがって、ベッド上の被介護者HBは状態が仰臥位のままで臀部のみが左方向に捻転されることになる。 このとき臀部は図50に示すように右傾動片92bにより押し上げられることから、同図の斜線で示す左傾動片92aに対応する部位の臀部は圧迫から解放され弛緩状態となる。
    一方、図49に示すごとく電動アクチュエータ94を作動して左傾動片92aを傾動すると、同図に示すようにピース・マットレス103Cは定位置にあるが、スリット103bで屈曲したピース・マットレス103Aとピース・マットレス103Bは傾斜状態となる。 したがって、部都度上の被介護者HBは状態が仰臥位のままで臀部のみが右方向に捻転されることになる。 このとき臀部は図51に示すように左傾同片92aにより押し上げられることから、同図の斜線で示す右傾動片92bに対応する部位の臀部は圧迫から解放され弛緩状態となる。 このように左右傾動片92a、92bの傾動を交互に繰り返すことにより、臀部への圧迫と弛緩が繰り返され、マッサージ効果が得られる。
    このように実施例5による介護ベッド1によれば、被介護者HBの臀部のみの加療が可能となることから、臀部に好発する褥瘡を集中的に治療することが可能となる。 また、臀部を捻転する作用から腰部の拘縮の緩和などのリハビリテーション機能が得られる。 さらに、実施例5による介護ベッド1によれば、左右ベッド床5と臀部ベッド床92を独立に傾動させることができるので、左右ベッド床5と臀部ベッド床92を相対する逆方向へ傾動させることができ、被介護者HBの症状に合わせた多彩なリハビリテーションが可能となる。
    また、実施例5による介護ベッド1によっても被介護者HBの半挫位が可能となる。 図52、図53は電動アクチュエータ77が作動し、傾動フレーム70を押し上げて前後方向の傾斜状態を形成する過程を模式的に示したもので、図52は水平の定位置にある左右ベッド床5上に被介護者HBが臥床している状態を示す。 かかる状態において電動アクチュエータ77が作動し、そのロッド77aが前進すると、ビームシャフト86を支点にして揺動レバー87が揺動を開始する。 これにより、押圧ローラー89が傾動フレーム70を押し上げ、図53に示すごとく被介護者HBの半挫位が得られる。
    以上詳細に説明したように、本発明による介護ベッド1台で被介護者の褥瘡の予防、治療が可能となると共に、介護者の介護作業の負担が軽減されることになる。 また、呼吸介助、拘縮や筋緊張などの緩和が可能となり、リハビリテーション機能も得られ、駆動機構の作動制御を治療種別あるいは被介護者の症状に応じてプログラム設定することが可能となることから、臨床医療分野における広範な活用を実現することができる。 さらに、本発明によれば半挫位の形成も可能となることから、食事や読書などのような病床における日常生活への対応が可能となり、高い機能性を得ることができる。

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