遺体腐敗防止方法および遺体処理車輌 |
|||||||
申请号 | JP2013169129 | 申请日 | 2013-08-16 | 公开(公告)号 | JP2015036096A | 公开(公告)日 | 2015-02-23 |
申请人 | 有限会社セレモ共済会; Ceremo Kyosaikai Kk; | 发明人 | OKAMOTO AKIRA; | ||||
摘要 | 【課題】数日以上の期間、遺体の外観を悪化させることなく、遺体内部の組織が腐敗を防止することができる遺体腐敗防止方法、および、かかる遺体腐敗防止方法を用いて現場で遺体を処理することができる遺体処理車輌を提供する。【解決手段】遺体の腐敗を防止するために使用される設備10を搭載した車輌であって、設備10が、車輌1内に遺体を搬入搬出する搬入搬出手段20と、搬入搬出手段20から遺体が供給される遺体加熱手段30と、を備えており、遺体加熱手段30は、搬入搬出手段20との間で遺体を受け渡しする受渡手段と、所定の周 波数 の電磁波によって遺体を電磁波加熱する加熱部と、を備えており、搬入搬出手段20が、遺体加熱手段30の受渡手段との間で遺体を受け渡しする搬送部と、搬入された遺体を前記遺体加熱手段に供給する前に殺菌処理する殺菌手段と、遺体加熱手段によって加熱処理された遺体を冷却する遺体冷却手段と、を備えている。【選択図】図1 | ||||||
权利要求 | 遺体の腐敗を防止するために使用される設備を搭載した車輌であって、 前記設備が、 該車輌の開口を通して、該車輌内に遺体を搬入搬出する搬入搬出手段と、 該搬入搬出手段から遺体が供給される遺体加熱手段と、を備えており、 該遺体加熱手段は、 前記搬入搬出手段との間で遺体を受け渡しする受渡手段と、 遺体を内部から電磁波加熱し、遺体内部の組織を構成するタンパク質が凝固する温度以上に組織の温度を上昇させ、組織の温度をタンパク質が凝固する温度以上で保持し得る加熱部と、を備えており、 前記搬入搬出手段が、 前記遺体加熱手段の受渡手段との間で遺体を受け渡しする搬送部と、 前記搬入された遺体を前記遺体加熱手段に供給する前に殺菌処理する殺菌手段と、 前記遺体加熱手段によって加熱処理された遺体を冷却する遺体冷却手段と、を備えていることを特徴とする遺体処理車輌。 前記搬入搬出手段が、 内部に遺体を受け入れる空間を備え、該空間に遺体を搬入搬出するための開口を有するケースと、 該ケースの開口に対して接近離間可能に設けられ、該ケースの開口に接近すると、該ケース内の空間と外部との間を遮断する蓋部と、を備えており、 前記搬入搬出手段は、 該蓋部によって前記ケース内の空間と外部との間を遮断した状態で、前記殺菌手段による遺体の殺菌、および、前記遺体冷却手段による遺体の冷却、を実施するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の遺体処理車輌。 前記殺菌手段は、 前記蓋部によって前記ケース内の空間と外部との間を遮断した状態における前記ケース内に、オゾンと霧状の水滴を供給する機能を有していることを特徴とする請求項1または2記載の遺体処理車輌。 前記遺体加熱手段によって遺体を加熱する前に、遺体の消化管内部または遺体の腹壁と消化管との間の空間内に生理食塩水を注入する生理食塩水供給手段を備えていることを特徴とする請求項1、2または3記載の遺体処理車輌。 前記搬入搬出手段と前記遺体加熱手段との間に、両者間を連通遮断するゲートを備えた遮断壁を備えており、 該車輌の内面には、電磁波遮蔽効果を有する遮蔽部材が設けられていることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の遺体処理車輌。 遺体の腐敗を防止する方法であって、 遺体の消化管内部または遺体の腹壁と消化管との間の空間内に生理食塩水を注入し、 遺体を内部から電磁波加熱することによって、遺体内部の組織を構成するタンパク質が凝固する温度以上に組織の温度を上昇させ、 組織の温度をタンパク質が凝固する温度以上で保持し、 電磁波加熱した後、遺体を冷却し、 遺体を、オゾンと霧状の水滴とが共存する気体に接触させることを特徴とする遺体腐敗防止方法。 遺体の腐敗を防止する方法であって、 遺体の消化管内部または遺体の腹壁と消化管との間の空間内に生理食塩水を注入し、 遺体を内部から電磁波加熱することによって、遺体内部の組織を構成するタンパク質が凝固する温度以上に組織の温度を上昇させ、 組織の温度をタンパク質が凝固する温度以上で保持し、 電磁波加熱した後、遺体を冷却することを特徴とする遺体腐敗防止方法。 |
||||||
说明书全文 | 本発明は、遺体腐敗防止方法および遺体処理車輌に関する。 亡くなられた方の遺体は、火葬に付されるまでの間は、外観の悪化や内臓等の腐敗による悪臭の発生や吐血を極力抑える必要がある。 亡くなられた方の遺体をそのまま放置しておくと、遺体の腐敗が進行する。 とくに、遺体内部の消化管や各種臓器等の内臓は腐敗しやすく、内臓の腐敗が進行すると、悪臭が発生するとともに、腐敗ガスの発生や腹部の筋肉や脂肪による内臓の圧迫によって、腐敗した内臓が遺体の口から排出される、いわゆる吐血が生じる可能性があるため、内臓の腐敗を防ぐことは非常に重要である。 従来から、ドライアイス等によって遺体を外部から冷却することによって内臓の腐敗を抑えていたが、近年、内臓の腐敗の進行を防ぐために、腐敗防止処置を行う技術が開発されている(例えば、特許文献1、2)。 特許文献1の技術は、鼻孔から遺体の内部に消毒液等を注入するための遺体用流体注入管に関する技術であり、かかる遺体用流体注入管を使用すれば、腐敗しやすい胃や腸等の消化管に消毒液を供給することができ、遺体表面と同様に、消化管の内部も消毒液によって消毒することができる。 また、特許文献2の技術は、遺体の血液を、腐敗防止効果を有するエンバーミング液と置換する遺体の保存方法に関する技術であり、遺体の各組織の血管内に血液の代わりにエンバーミング液が充填されるから、エンバーミング液によって遺体の各組織の腐敗を防止することができ、長期間遺体を保存することができる。 しかるに、特許文献1の技術は、消化管の腐敗をある程度防止はできるものの、消毒液等による腐敗防止効果はせいぜい数時間程度であり、火葬に付されるまで内臓等の腐敗を防止することはできない。 しかも、消毒液等は消化管にしか供給されないため、消化管以外の臓器、例えば、肝臓や膵臓、腎臓等の臓器の消毒はできないから、かかる臓器の腐敗の進行を抑えることはできない。 特許文献2の技術によって遺体を処理すれば、数週間であっても遺体の腐敗を防止することができるが、遺体の処置に非常に時間がかかるし、コストも高くなる。 しかも、遺体を処置をしてから火葬までの時間はせいぜい3〜4日程度であるのに、数週間以上も遺体の腐敗を防ぐ処置をすることは、処置の目的に比べて、過剰な処理を行うことになり、必要とする効果に対してコストが高くなりすぎる。 また、エンバーミング液を血液と置換するには外科的手法を用いなければならないので、遺体を傷つけてしまうことになるし、医師などの専門的な技術を有するものしか処置を行うことができない。 また、特許文献1、2の技術は、処置をする人が遺体に接触して措置を行わなければならないが、遺体には、亡くなられてから付着する雑菌だけでなく、亡くなられた方が生前から保持していたウイルスなどが存在しており、遺体に接触することによって、これらの雑菌やウイルス等に処置をする人が感染する危険性あるという問題があった。 このことは、ドライアイスによって遺体を冷却する場合も同様である。 一方、上述したような特許文献1、2の技術の課題を解決した技術として、特許文献3の技術が開発されている。 この技術では、所定の周波数の電磁波によって遺体を電磁波加熱し、遺体内部の組織を構成するタンパク質が凝固する温度以上に組織の温度を上昇させ、組織の温度をタンパク質が凝固する温度以上で保持し、その後、遺体を冷却する。 この特許文献3の技術によれば、遺体を加熱することによって遺体内部の組織を構成するタンパク質を凝固させるとともに、遺体内部の組織に付着している雑菌を死滅させたり減少させたりすることができる。 すると、電磁波加熱を中止して遺体の温度が低くなっても、組織に付着している雑菌の繁殖速度を抑制することができるから、遺体内部の組織の腐敗速度を遅くすることができる。 しかるに、特許文献3の技術を利用することによって、ある程度の期間(例えば1日程度)は遺体の外観を悪化させることなく、遺体内部の組織が腐敗することを防ぐことができる。 つまり、火葬までの間であれば、遺体の損傷を抑えることができるという点では優れている。 また、特許文献3の技術によって遺体を処理するには専用の設備が必要であるが、災害時などには、遺体を設備が有る施設まで搬送することは難しい場合がある。 また、搬送中に時間がかかれば、遺体を搬送する間に遺体が損傷してしまい、設備で遺体を処理できない可能性もある。 もし、災害時などにおいて、遺体の発見現場で遺体を処理することができれば、遺体が損傷する前に遺体を処理してから搬送することもできる。 すると、遺体の損傷を抑えた状態で遺族等に遺体を引き渡すことができる可能性がある。 本発明は上記事情に鑑み、数日以上の期間、遺体の外観を悪化させることなく、遺体内部の組織が腐敗を防止することができる遺体腐敗防止方法、および、かかる遺体腐敗防止方法を用いて現場で遺体を処理することができる遺体処理車輌を提供することを目的とする。 (遺体処理車輌) 第1発明によれば、遺体を車輌の開口を通して搬入搬出手段に搬入搬出すれば、遺体を、遺体加熱手段と搬入搬出手段との間で移動させることができる。 そして、搬入搬出手段では殺菌手段による殺菌処理と、遺体冷却手段による冷却処理を行うことができ、遺体加熱手段では、遺体を電磁波加熱することによって、遺体の組織等が自己発熱し遺体を内部から加熱することができる。 すると、各処理によって、遺体の腐敗を防止することができるので、遺体の損傷を遅らせることができる。 そして、設備が車輌に搭載されているので、車輌を遺体のある現場まで移動させて、遺体を処理することができる。 したがって、遺体が損傷する前に迅速に処理することができるから、損傷の少ない遺体を遺族等に引き渡すことが可能となる。 さらに、各手段によって遺体を処理するだけであるから、特殊な技術は不要であり、車輌を遺体のある現場に移動させれば、誰でも遺体の処置を行うことができる。 本発明の遺体処理車輌は、遺体が発見された現場などのように、遺体が存在する現場で遺体を処理することができる車輌である。 具体的には、本発明の遺体処理車輌は、特別な外科的処置をすることなく、遺体表面および内臓の腐敗をも防ぐことができる防止する方法を実施できる設備を搭載している。 そして、この設備で遺体を処理することによって、ある程度の期間、例えば、数日〜1週間程度、遺体の腐敗や遺体表面の損傷を防ぐことができる。 すると、遺体を遺族等に引き渡すまでに、遺体が損傷することを防ぐことができるのである。 以下、本実施形態の遺体処理車輌1を、図面に基いて説明する。 つまり、本実施形態の遺体処理車輌1は、背面の扉1dを開けば開口1sを通して遺体を貨物室1h内の設備10に供給でき、背面の扉1dを閉じれば貨物室1h内を外部から隔離した状態で遺体を処理することができるのである。 なお、本実施形態の遺体処理車輌1の内面、すくなくとも貨物室1hの内面には、電磁波遮蔽効果を有する遮蔽部材が設けられている。 これは、後述する遺体加熱手段30から放出される電磁波が外部に漏れることを防ぐためである。 かかる遮蔽部材を設けているので、本実施形態の遺体処理車輌1は、どのような場所でも遺体を処理することが可能となる。 なお、遮蔽部材には、例えば、ステンレス板等を使用できるが、電磁波を遮蔽できる効果を有するものであればよく、とくに限定されない。 また、図4では、本実施形態の遺体処理車輌1は、その扉として観音開きに開く形式(一対の扉1d,1dを有する形式)のものを例示しているが、扉の構造はとくに限定されない。 例えば、車体に片持ち支持され水平に揺動して開く一枚の扉としてもよいし、上方に揺動するハッチ状の扉としてもよい。 さらに、図4には、本実施形態の遺体処理車輌1として、貨物室1hの側面にも扉1tを有している場合を記載しているが、貨物室1hの側面には扉を有していなくてもよい。 しかし、貨物室1hの側面に扉を設ければ、貨物室1h内の設備のメンテナンス性がよくなるという利点が得られる。 そして、貨物室1hの側面の扉から、運転席drに出入りするような構造としてもよい。 つまり、運転席drと貨物室1hとの間には、設備10から放出される電磁波が運転席drに届かないように遮蔽する遮蔽壁1wを設けている(図1参照)。 かかる遮蔽壁1wに運転席drと貨物室1hとの間を連通する扉を設けておけば、貨物室1hの側面の扉と遮蔽壁1wの扉を通して、運転手や作業員が運転席drに出入りすることができる。 すると、運転席drの側面に扉を設けなくても良くなるので、車体の構造を簡素化できる。 そして、遮蔽壁1wの扉を通して、運転席drから貨物室1hに入れるので、貨物室1h内での作業を行いやすくなる。 (設備10の説明) 以下、貨物室1hに搭載されている設備10について説明する。 図1および図2に示すように、設備10は、搬入搬出手段20と、遺体加熱手段30と、を備えている。 搬入搬出手段20と遺体加熱手段30は、この順番で、開口1sから運転席drに向かって並ぶように設けられている。 遺体加熱手段30は、遺体の腐敗を防止するために、遺体を内部から電磁波加熱し得る加熱部32によって加熱処理するものである。 この遺体加熱手段30には、遺体が載せられるトレーTを搬送するための搬送手段(つまり特許請求の範囲にいう受渡手段)であるコンベア31が設けられている。 また、搬入搬出手段20は、搬入された遺体を殺菌処理する殺菌手段と、遺体加熱手段30で加熱処理された遺体を冷却する遺体冷却手段と、を備えたものである。 この搬入搬出手段20には、遺体が載せられるトレーTを搬送するための搬送部(つまり特許請求の範囲にいう搬入部)であるコンベア21が設けられている(図2参照)。 このコンベア21は、遺体加熱手段30のコンベア31とほぼ同じ高さとなるように設けられている。 (遮断壁20w,30wの説明) なお、図1および図2に示す例では、板状のゲート20g,30gをシリンダ機構で昇降させて開口hを開閉する構造となっているが、開口hを開閉する構造はとくに限定されず、公知の種々の機構を採用することができる。 また、図1および図2の遮断壁20w,30wは、搬入搬出手段20と外部の間や搬入搬出手段20と遺体加熱手段30との間を完全に分離することはできない構造となっている。 しかし、図1および図2の遮断壁20w,30wでも、搬入搬出手段20と外部の間や搬入搬出手段20と遺体加熱手段30との間をある程度分離できる。 したがって、遺体加熱手段30から発せられる電磁波や搬入搬出手段20で使用するオゾン等が他の領域に漏れることをある程度防止できる。 もちろん、遮断壁20w,30wとして、搬入搬出手段20と外部との間や、搬入搬出手段20と遺体加熱手段30との間を完全に分離できるものを使用してもよい。 また、遮断壁20wには貨物室1hを完全に分離する分離壁を設ける一方、遮断壁30wには、図1および図2に示すようなもの(搬入搬出手段20と外部の間を完全に分離できないもの)を設けてもよい。 そして、各手段での処理および各手段間での遺体の移動を自動化できるのであれば、遺体を搬入した後扉1dを閉めれば、設備10を外部から遮断した状態で遺体の処理ができるので、この場合には遮断壁20w,30wは設けなくてもよい。 つまり、遺体を搬入すると全ての処理が終了するまで扉1dを開ける必要がないのであれば、遮断壁20w,30wは設けなくてもよい。 (設備10における遺体処理の説明) 殺菌処理が終了すると、遮断壁30wのゲート30gが開かれる。 すると、搬入搬出手段20のコンベア21が作動され、遺体はトレーTとともに搬送され、遮断壁30wの開口hを通って、遺体加熱手段30に供給される。 このとき、遺体加熱手段30のコンベア31も作動しており、トレーTはスムースにコンベア31上に移動される。 トレーTがコンベア31上に移動されると、遮断壁30wのゲート30gが閉じられ、遺体加熱手段30の加熱部32による遺体の加熱処理が行われて、加熱による遺体内部の腐敗防止処理が行われる。 腐敗防止処理が終了すると、遮断壁30wのゲート30gが開かれる。 すると、遺体加熱手段30のコンベア31が作動され、遺体はトレーTとともに搬送され、遮断壁30wの開口hを通って、搬入搬出手段20に供給される。 このとき、搬入搬出手段20のコンベア21も作動しており、トレーTはスムースにコンベア21上に移動される。 トレーTがコンベア21上に移動されると、遮断壁30wのゲート30gが閉じられ、搬入搬出手段20の遺体冷却手段による遺体の冷却処理が行われる。 冷却処理が終了すると、遮断壁20wのゲート20gが開かれ、コンベア21が作動される。 すると、開口1sおよび遮断壁20wの開口hを通して、遺体がトレーTとともに外部に向けて搬送され、遺体の処理が終了する。 上記のごとく、本実施形態の遺体処理車輌1によれば、遺体を開口1sを通して搬入搬出手段20に搬入搬出すれば、遺体を、搬入搬出手段20と遺体加熱手段30との間で移動させることができる。 そして、搬入搬出手段20では殺菌手段による殺菌処理と、遺体冷却手段による冷却処理を行うことができ、遺体加熱手段30では、加熱部32による遺体の電磁波加熱を行うことができる。 すると、各処理によって、遺体の腐敗を防止することができるので、遺体の損傷を遅らせることができる。 また、設備10が遺体処理車輌1の貨物室1hに搭載されているので、遺体のある現場まで遺体処理車輌1を移動させて、遺体を処理することができる。 したがって、遺体が損傷する前に迅速に処理することができるから、損傷の少ない遺体を遺族等に引き渡すことが可能となる。 さらに、遺体を、各手段によって処理するだけであるから、特殊な技術は不要であり、遺体処理車輌1を遺体のある現場に移動させれば、誰でも遺体の処置を行うことができる。 また、搬入搬出手段20のコンベア21の作動や遺体加熱手段30のコンベア31の作動、遮断壁20w,30wのゲート20g,30gの開閉等を制御すれば、搬入搬出手段20と遺体加熱手段30との間で、遺体を載せたトレーTの移動を自動化できる。 すると、搬入搬出手段20や遺体加熱手段30における遺体の処理を、トレーTの移動(つまりコンベアやゲートの開閉)に合わせて、自動で行うようにしておけば、遺体の処理を自動化できる。 なお、搬送手段はコンベアに限られず、トレーTとともに遺体を移動させることができるものであれば、とくに限定はない。 つぎに、各処理手段を詳細に説明する。 (遺体加熱手段30) 図1に示すように、コンベア31における一対の無端ベルト間には、加熱部32の電極部33が設けられている。 この電極部33は、電極プレート33aと、電極プレート33aを昇降させる昇降部33bとを備えている。 昇降部33bは、例えば、その軸方向が図1の上下方向を向くように配設されたシリンダ等であるが、電極プレート33aを昇降させることができるものであれば、とくに限定されない。 一方、図1に示すように、電極部33の上方かつコンベア31よりも上方には、加熱部32の電極部34が設けられている。 この電極部34は、電極34aと、電極34aを昇降させる電極移動手段34bとを備えている。 電極移動手段34bは、例えば、電極34aを支持する支持部材と、この支持部材を昇降させるシリンダ等で構成することができるが、電極34aを昇降させることができるものであれば、とくに限定されない。 そして、電極34の電極34aと、電極部33の電極プレート33aは、高周波数電力を発生させることができる図示しない高周波発生装置に接続されている。 かかる構造であるので、遺体を載せたトレーTをコンベア21上に配置し、かつ、トレーTの貫通孔Thが電極部33の上方に配置し、この状態で、昇降部33bおよび電極移動手段34bによって電極34の電極34aと電極部33の電極プレート33aとを接近させれば、両者間に遺体を挟むことができる。 その状態において高周波発生装置で発生した高周波数電力を両電極間に印加すれば、遺体の組織に高周波(1MHz〜100MHz)の電磁波を印加することができる。 すると、この電磁波によって遺体の組織が電磁波加熱され、遺体の組織等が自己発熱するから、内臓等の遺体内部の組織の温度を上昇させることができる。 例えば、13.56MHzの電磁波を1000〜2000Wの出力で30分間以上印加して電磁波加熱すれば、遺体内部の組織を60度以上の温度にすることができる。 そして、その状態を5分間以上、好適には5〜20分間保持すれば、つまり、遺体内部の温度を60℃以上で5〜20分間保持すれば、遺体内部の組織を構成するタンパク質を凝固させることができる。 しかも、遺体内部の組織が、生体内に比べて高温である60度の温度で5〜20分間加熱された状態となるので、遺体内部の組織に付着している雑菌を死滅させたり減少させたりすることができる。 すると、電磁波加熱を中止して遺体内部の温度が低くなっても、組織に付着している雑菌の繁殖速度を抑制することができ、遺体内部の組織の腐敗速度を遅くすることができる。 このとき、遺体内部以外の組織、つまり、遺体表面の組織の温度も上昇するが、遺体の表面は外気(貨物室1h内の空気)および両電極に接触しており、外気等によって冷却された状態となっている。 よって、遺体表面の温度を遺体内部に比べて低くすることができ、遺体表面の組織を構成するタンパク質が凝固すること、言い換えれば、遺体表面が変色したり焦げたりして損傷することを防ぎつつ、遺体内部の組織を構成するタンパク質のみ凝固させることができる。 とくに、電磁波の周波数が1〜100MHzの高周波でありかつ出力が1000〜2000W程度である電磁波加熱を30〜60分間程度すれば、より確実に遺体表面が変色したり焦げたりして損傷することを防ぐことができる。 とくに、電極34の電極34aにおいて遺体表面と接触する部分に、循環冷却水が通すことができる公知のパッドを設けると、遺体表面が変色を防ぐことができる。 なお、パッドは、電極34aとは別に設けてもよい。 この場合でも、パッドを、電極34aに設けられたパッドと同様に、ウレタンシート等の耐水性を有する素材によって袋状に形成し、その内部に1〜3%程度の塩水等のように伝導性の有する液体が循環冷却水として供給されるように構成すれば、同様の効果を得ることができる。 そして、電極34aとは別にパッドを設けた場合には、電極34aの大きさに係わらず、パッドの大きさを自由に決定できる。 例えば、パッドを、腹部を覆うことができる程度とすることもできるし、遺体の全身を覆うことができるような大きさとすることもできる。 そして、パッドを設けた場合、遺体表面の冷却とともに、パッドが設けられている部分に電磁波を印加できるので、電極34aの大きさよりも広い領域に電磁波を供給できるし、パッドの設けられている部分で遺体に印加する電磁波を均一に近い状態とすることができる。 また、パッドは、遺体の上面だけに配置してもよいが、遺体を挟むように配置する方が好ましい。 遺体を挟むように配置すれば、パッドに挟まれた部分では、遺体に印加される電磁波の状態のバラツキを抑えることができる。 例えば、電極部33の電極プレート33aに代えて、電極34aと同等の構造を有する電極部を設ければ、パッドによって遺体を挟むようにすることができる。 さらになお、加熱中において、遺体の表面を冷却する方法は上記のごときパッドを設ける方法に限られず、遺体の腹部に5℃程度の冷風を吹付けて冷却する方法や、電極内に冷却水を流すことができる冷却水通路を設け、電極による遺体冷却効果を高める方法等の方法を採用してもよい。 さらになお、電極34aや外気だけでも遺体表面を十分に冷却できるのであれば、パッド等の遺体表面を冷却する手段は設けなくてもよい。 また、電極34aおよび電極プレート33aよって遺体を挟む場合、つまり、1MHz〜100MHzの電磁波によって遺体を電磁波加熱する場合には、電極34aおよび電極プレート33aをいずれも遺体に直接接触させる必要がある。 このため、上述したように、遺体を載せるトレーTとして、遺体の腹部が位置する部分に下方の電極プレート33aが通過できる貫通孔Thが形成されたものを使用する。 しかし、トレーTの中央部、つまり、遺体の腹部が位置する部分のみを導電性素材とし、トレーTの他の部分を絶縁体によって形成すれば、トレーT自体を電極として使用することも可能である。 この場合には、トレーTが所定の位置に配置されたときに、トレーTにおける導電性素材によって形成された部分と高周波発生装置が接続されるように構成しておけば、トレーTと上方の電極34aとの間に電磁波を発生させることができる。 しかも、遺体の腹部が位置する部分のみを導電性素材としているから、遺体の腹部以外の部分に電磁波が供給されることを防ぐことができ、腹部のみを効果的に加熱することができる。 また、電極プレート33aを移動させる昇降部33bを設けなくてもよいので、遺体加熱手段30の構造を簡単にすることができ、設備全体の構造を簡単かつコンパクトにすることができる。 なお、加熱部32として、300〜3,000MHzのマイクロ波(例えば、915MHzのマイクロ波など)により遺体を電磁波加熱するものを採用してもよい。 この場合には、電極に代えて、マイクロ波を所定の方向に照射できるアプリケータを設ければよい。 すると、アプリケータを遺体に密着させる必要がないので、アプリケータを移動させる移動手段が不要であり、遺体加熱手段30の構造を簡単にすることができる。 上記のごとく、遺体加熱手段30は、電極34,33によって遺体を挟んで電磁波を印加する、または、アプリケータによって遺体にマイクロ波を照射するだけで遺体の電磁波加熱、つまり、遺体内部の腐敗防止処理を行うことができるから、特殊な技術は不要であり、誰でも遺体の処置を行うことができる。 また、遺体加熱手段30は、加熱処理する際に、遺体と電極部34を覆うようなフードを設けてもよい。 この場合、フードを電磁波を遮蔽する素材によって形成しておけば、電磁波が外部に漏れることをより確実に防ぐことができる。 なお、フードの構造はとくに限定されず、公知の開閉式フードを採用することができる。 つぎに、搬入搬出手段20について説明する。 図1および図3に示すように、搬入搬出手段20は、上方に開口を有するケース22と、ケース22の上方に配置され、ケース22の開口に対して上下方向から接近離間可能に設けられた蓋部25とを備えている。 (ケース22) このケース22の内部、つまり、底板24の上面には、トレーTを搬送するコンベア21が設けられている。 このコンベア21は、トレーTを搬送する方向がケース22の軸方向(図1および図2では左右方向)と平行になるように設けられている。 そして、ケース22は、底板24と一対の側壁23,23は有しているが、その軸方向の両端には壁が設けられていない。 つまり、ケース22は、軸方向の両端が開口した、断面略U字状の樋のような形状に形成されているのである。 ケース22がかかる形状を有しているので、遺体を載せたトレーTを搬入搬出手段20に搬入する際に、ケース22の壁が邪魔にならない。 したがって、トレーTをケース22内のコンベア21上に載せたり、ケース22内のコンベア21上から取り出したりする作業を楽に行うことができる。 なお、ケース22の底板24には排水口24hが形成されており、排水口24hに向かって傾斜が形成されているが、その理由は後述する。 (蓋部25) 図1および図3に示すように、蓋部25は、下方に開口を有し、内部に中空な空間を有する箱型に形成されたものである。 具体的には、ケース22は、天板26と、前後端に設けられた一対の遮断板27,27と、天板28の側端に設けられた一対の側壁28,28と、を備えている。 なお、隣接する遮断板27と側壁28は、その側端同士が連結されている。 この蓋部25の幅、つまり、一対の側壁28,28の外面間の距離は、ケース22における一対の側壁23,23の内面間の距離よりも短くなっている。 また、蓋部25における一対の遮断板27,27の内面間の長さは、ケース22の長さよりも短いが、ケース22の内部に設けられているコンベア21の長さよりも長くなるように設けられている。 しかも、蓋部25は、昇降装置25Lによって下降したときに、一対の遮断板27,27および一対の側壁28,28がケース22の内に入るように形成されている。 具体的には、一対の側壁28,28は、蓋部25が下降すると、その先端がケース22における一対の側壁23,23の内側に入り、一対の側壁23,23とコンベア21の隙間に入るように形成されている(図3(B)参照)。 言い換えれば、一対の側壁28,28は、蓋部25が下降すると、その先端が、コンベア21上にトレーTが載せたときにトレーTの側方よりも下方に位置する程度に形成されている。 また、一対の遮断板27,27は、蓋部25が下降すると、その先端がケース22におけるコンベア21の位置に配置されるように形成されている。 言い換えれば、一対の遮断板27,27も、蓋部25が下降すると、その先端が、コンベア21上にトレーTが載せたときにトレーTの側方よりも下方に位置する程度に形成されている(図3(B)参照)。 つまり、蓋部25は、昇降装置25Lによって下降したときに、一対の遮断板27,27および一対の側壁28,28によってコンベア21上のトレーTに載せられている遺体を囲むことができるように形成されている。 言い換えれば、蓋部25は、トレーTと蓋部25によって形成される空間内に、トレーTに載せられている遺体をほぼ密閉した状態で収容することができるように形成されているのである。 したがって、搬入搬出手段20は、ケース22の軸方向の両端には壁が設けられていないので、蓋部25を上昇させておけば、トレーTをケース22内のコンベア21上に載せたり、ケース22内のコンベア21上から取り出したりする作業を楽に行うことができる。 (殺菌手段) 殺菌手段は、紫外線によって空間内の酸素をオゾンに転化するだけでなく、オゾンを直接空間内に供給して、遺体をオゾンによって殺菌してもよい。 この場合、口等から遺体内部にまでオゾンが侵入すれば、そのオゾンによって遺体内部の殺菌を行うことも可能である。 また、オゾンが遺体の毛穴等から遺体の組織等に侵入すれば、遺体表面に雑菌が再付着することを防ぐことができ、遺体表面の腐敗等による損傷を遅らせることができる。 なお、空間内にオゾンを供給する方法は特に限定はなく、例えば、オゾン発生装置を車載しておき、このオゾン発生装置で生成されたオゾンを配管などによってノズル26sに供給するようにしてもよい。 また、空間内にオゾンを供給するときに、オゾンとともに霧状になった水滴が存在するような状態となっていることが好ましい。 かかる状態となっていれば、遺体表面には、オゾンとともに水滴も付着する。 すると、遺体表面では、オゾンと水滴とが反応してオゾン水の状態となり、このオゾン水によって遺体表面にオゾン水の膜が形成される。 かかるオゾン水の膜が形成されれば、遺体表面の殺菌効果が高くなるとともに、雑菌などが遺体表面付着することを比較的長期間(例えば数日〜1、2週間程度)防止することができる。 すると、雑菌などによる遺体表面の損傷を比較的長期間防止することができるので、遺体の外観の損傷を比較的長期間防止することができる。 なお、オゾンと霧状になった水滴が存在するような状態とする方法はとくに限定されない。 例えば、空間内にノズル26sからオゾンを供給した状態で、霧状の水滴ができるように、別のノズル26sなどから空間内に対して水を吹き出すことによって、オゾンと霧状になった水滴が存在するような状態とすることができる。 逆に、ノズル26sなどから空間内に対して水を吹き出して霧状の水滴を形成した後、オゾンをノズル26sによって空間内に供給してもよい。 もちろん、オゾンを空間内に供給すると同時に、空間内に対して水を吹き出して霧状の水滴を形成してもよい。 さらになお、殺菌に使用する物質はオゾンに限られず、アルコールやオゾン水や二酸化塩素水、次亜鉛粗餐ソーダ水等の殺菌作用を有する物質であればよく、とくに限定はない。 ここで、空間内に供給したオゾンや水などの処理が問題となるが、ケース22の底板24には排水口24hが形成されており、排水口24hに向かって傾斜が形成されているので、殺菌に使用した液体は、排水口24hに集めて回収することができる。 すると、回収した液体を再度使用できるので、車輌1に搭載する液体の量を少なくできるという利点も得られる。 (冷却手段) 例えば、空間内に、ノズル26sから冷媒、例えば、アルコールや液体窒素等の冷却用の液体、または、窒素ガス、フロン等の冷却用の気体を供給することによって、遺体を冷却することができる。 この冷媒によって所定の時間遺体を冷却すれば、内臓の温度が、例えば20度以下となるまで冷却することができるから、内臓が雑菌が繁殖しやすい温度帯(20〜40度程度)となっている時間を短くすることができる。 よって、遺体内部の全ての組織が完全に凝固していない場合であっても、凝固していない組織の腐敗速度も遅くすることができる。 しかも、遺体の口などから冷媒が遺体内部にも侵入すれば、遺体内部を確実に冷却できる。 とくに、極低温の冷媒である液体窒素や液体二酸化炭素等を使用した場合には、非常に短時間で遺体を冷却できる。 すると、雑菌が繁殖しやすい温度帯となっている時間を非常に短くすることができるので、凝固していない組織の腐敗速度をより一層遅くすることができる。 なお、冷媒として、アルコール等の殺菌作用を有する物質を使用すれば、遺体を冷媒と接触させることによって、遺体の冷却と同時に遺体表面の殺菌も行うことができる。 また、遺体内部に冷媒が侵入する場合には、遺体の冷却と同時に遺体内部の殺菌も行うことができる。 なお、アルコールを冷媒とする場合には、アルコールを遺体に噴霧すれば、アルコールの気化熱によって遺体を冷却することができる。 ここで、空間内に供給した冷媒の処理が問題となるが、上述した殺菌手段の場合と同様に、液体は、排水口24hから回収することができるし、蓋部25に排気口を設けて、真空ポンプ等によって空間内の気体を吸引すれば、冷媒を回収することができる。 (生理食塩水供給手段について) なお、遺体の消化管内部または遺体の腹壁と消化管との間の空間内に生理食塩水を注入する方法はとくに限定されない。 例えば、穿孔針等の中空な管状部材によって形成された注入部と、この注入部内に生理食塩水を供給できる生理食塩水供給部と、注入部を遺体に突き刺す注入部移動手段とを備えたものを、生理食塩水供給手段としてよい。 かかる生理食塩水供給手段では、注入部を遺体に突き刺して、その先端部を消化管内部や遺体の腹壁と消化管との間の空間内に配置することができる。 すると、その状態で生理食塩水供給部によって生理食塩水を注入部に供給すれば、生理食塩水を注入部内を通して先端部が配置された場所に供給することができる。 なお、消化管内部に生理食塩水を供給するのであれば、単に、口にチューブ等を配置して、このチューブ等に生理食塩水を供給すれば、消化管内部に生理食塩水を供給することができる。 また、生理食塩水供給手段は、搬入搬出手段20に設けてもよいし、遺体加熱手段30に設けてもよい。 しかし、搬入搬出手段20に生理食塩水供給手段を設ければ、遺体加熱手段30が設けられている空間に作業者が滞在する時間を短くできるので、好ましい。 (内部殺菌手段) すると、消化管内の残留物や、消化管等の腹空内の臓器を殺菌することができるので、遺体内部の組織の腐敗をより一層遅らせることができる。 しかも、注入部を突き刺して処理剤を供給するから、口等からでは処理剤を供給できない遺体の腹壁と消化管との間の空間内にも処理剤を供給できるから、遺体内部の殺菌効果をより一層高めることができる。 なお、内部殺菌手段によって処理剤を注入する作業は、どのタイミングで行ってもよいが、遺体を加熱処理した後で処理剤を注入すれば、加熱処理後に残っている遺体内部の雑菌の増殖を抑えることができる。 また、遺体の内部への処理剤の供給は人手によって行ってもよく、この場合には、遺体の体型によらず、確実に処理剤を所望の場所に注入することができる。 この内部殺菌手段も、生理食塩水供給手段と同様に、搬入搬出手段20に設けてもよいし、遺体加熱手段30に設けてもよい。 しかし、搬入搬出手段20に内部殺菌手段を設ければ、遺体加熱手段30が設けられている空間に作業者が滞在する時間を短くできるので、好ましい。 以下では、本発明の遺体腐敗防止方法の効果を検証するために、以下の実験を行った。 実験は、以下の(1)〜(4)の比較実験を行った。 なお、MC−06処理は、以下の条件で行った。 参考までに、ヒト遺体にMC−06処理を行う場合において、電磁波加熱の基礎的条件を示す。 (1)比較実験1 図5〜図10上段に結果を示す。 肉眼的には、MC−06群では熱が加わったための変化が見られ、特に肝臓は固定された状態であった。 腸管ガスの発生も抑えられていた。 全体的に見れば、表皮剥離や腐敗汁の発生、肝臓以外の諸臓器の軟化・融解など一般的な死後変化は死後経過時間とともにMC−06群の方が対照群より進行した。 なお、MC−06群では電磁波発信器が接していた皮膚部分に褐色調の変化と脆弱性が生じ、横隔膜や腸管の破裂、肺の臓側胸膜の気胞が見られた個体があった。 この現象は全実験を通じてみられた。 ブタ(体重20〜30kg)に対して電磁波の出力がやや高かったためにこれらの変化が生じたものと考えられた。 (2)比較実験2 図10下段〜図15に結果を示す。 また、死後1週間を超えれば表皮剥離や組織の軟化も見られたが、冷却対照群に比べてればMC−06冷却群の死後変化の程度は比較的軽度に抑えられていた。 これは、ドライアイスでの冷却により、熱による組織融解が抑えられたためと考えられる。 なお、MC−06冷却群でも皮膚の変色や脆弱性、横隔膜や腸管の破裂、肺の臓側胸膜の気胞が見られた個体があったが、前述の通りの理由からであると考えられる。 (3)比較実験3 図16〜図21に結果を示す。 なお、比較実験1,2と同様に皮膚の変色や脆弱性、横隔膜や腸管の破裂、肺の臓側胸膜の気胞が見られた個体があった。 (比較実験1〜3のまとめ) 更にはMC−06処理前に腹腔内に1リットルの生理食塩水を加えたものの方が、熱が均一に加わるようになるためか、保存状態は更に良好であった。 但し、高周波電極パッドの接触部分の皮膚の変色と脆弱化(熱によると推定される)、横隔膜や腸管の破裂、肺の臓側胸膜の気胞形成は、MC−06処理を行った場合にある程度共通して観察された。 人とブタでは条件が異なるので、今回のMC−06の設定がブタにとっては強すぎた可能性が十分考えられる。 (腸内細菌への影響) 結果を図24に示す。 (薬物分析への影響) 結果を図25に示す。 なお、図25のヒストグラムでは、各臓器について、それぞれ左から、MC0日後、MC2日後、MC7日後、対象0日後、対象2日後、対象7日後のデータが該当する。 全てに薬剤に同じ事が言えるとは限らないが、これらの結果を見ると特定の傾向は見られず、特にMC-06処理がペントバルビツールの濃度変化に影響を及ぼしているとは考えられない。 (DNA分析への影響) 図26に示すように、二つのローカス共に、生食注入群では死後1週間以上しても検出が可能であったが、生食否注入群ではS0005では死後2日後に、SW911も死後4日後には検出できなかった。 これにより、肉眼・病理組織学的変化に加えて、DNAの変化としても腹腔内に生理食塩水が注入されることにより、遺体の保存状態が向上することが示された。 オゾンガスには殺菌作用は、水道水の洗浄・殺菌、野菜の洗浄、魚の養殖池の殺菌など様々な場面に応用されている。 従来の薬品を使用した殺菌では、環境への影響を考慮する必要がある場合があるが、オゾンであれば分解装置を用いることで容易に無毒化することが可能であり、自然に対しても優しい消毒法と言える。 加えてオゾンには消臭効果もあるといわれている。 MC−06処理ではオゾンガスと紫外線とを用いて外表殺菌を行うが、この処理により消臭効果が得られるのであれば、遺体の中には強烈な腐敗臭を持った遺体もあることからMC−06処理の副次的メリットと言えよう。 (実験方法) なお、オゾン暴露前には精製水を噴霧して湿潤させ(オゾン水を使用した状態を想定)、オゾンガス濃度50〜70ppmで15分間暴露を暴露1回とし、暴露を3回行って、1回ごとに遺体の臭気を測定した。 臭気の測定にはポータブル型ニオイセンサmini XP-329m (高感度酸化スズ系熱線型燃結半導体センサ式:新コスモス電機)を使用した。 なお、XP-329mによる臭気測定では、清浄空気の臭気を0とした相対値で臭気の濃度(強さ)が数値として示される。 (結果) 死後経過時間が長ければ長いほど腐敗臭等の異臭が生じ、そのような遺体を扱う場合の障害の1つとなっている。 今回の結果はオゾン暴露による強力な消臭効果を示しており、暴露回数を増やせばより強い消臭効果が得られることも示された。 MC−06処理では遺体外表の殺菌のために紫外線とオゾンガスを用いているが(オゾン暴露と同時に紫外線照射も行われる)、それに加えて消臭作用も得られることになり、遺体を扱う前にMC−06処理によるオゾン暴露を行う事で、安全かつ容易な遺体の取り扱いが可能となると期待される。 現実的には遺体の消臭ができれば良いという場合もある。 その場合には、取り扱いの難しいオゾンガスを使用するよりも、オゾンの溶け込んでいるオゾン水で遺体を洗い流すことにより、オゾンによる消臭・殺菌作用が期待され、より平易で安全な遺体の取り扱いが可能となるとであろう。 しかし一方で、毒物中毒の中には独特の臭気を有するものがあり、その臭気が死因の手がかりとなる場合も希にある。 オゾンの消臭作用で死因の診断上必要な臭気までも消し去ってしまう可能性があることには十分注意をしなければならない。 加えて、オゾンには強い酸化作用がある。 検視・検案台や解剖台、器具の素材については腐食に耐えるものを使用する必要があろう。 また密閉されたMC-06処理システムを使用するのであれば問題はないが、開放空間で高濃度のオゾン水を用いることには、危険を伴うことも忘れてはならない。 (高濃度食塩水による加熱処理が腐敗に与える影響) 精製水、10%食塩水、20食塩水、30%食塩水の入ったビニール袋に豚肉(約5cm×5cm×1cm)およびブタ腸管(約5〜10cm)をいれ、50℃で30分間加熱し、そのまま、或いは液体から出した状態で袋に入れて放置し、死後変化の状態を肉眼的に観察した。 図22および図23に示すように、20%または30%食塩水で加熱したものについては、保存状態が良く、特に食塩水中でそのまま保存した場合には29日後(約4週間)後であっても、溶解することがなかった。 なお、食塩水中で放置した腸管についてはその表面を滅菌スワブで拭って細菌培養検査を行ったが、20%と30%では約1週間経過した後であっても少量のブドウ球菌(CNS)が検出されたのみで、30%においては29日後であってもその状態が継続していた。 これらのことは、腹腔内に注入する食塩水濃度を20〜30%のような高濃度液を使用することにより、更に保存状態が良くなる可能性を示唆しているものである。 (実施例のまとめ) また、MC-06処理前に腹腔内への生理食塩水時注入処理を行う事で、その保存状態は更に向上し、その際に20〜30%の高濃度食塩水を用いることで更なる長期間の保存の可能性が示唆された。 なお、横隔膜や腸管の破裂、肺の臓側胸膜の気胞形成が見られることがあり、MC−06処理によってこの様なアーティファクトが加わる可能性が考えられる。 基本的には今回の条件がブタにとっては強すぎたためと考えるが、人であっても生じうるものと考えざるを得ない。 しかし、MC−06処理前にCT撮影等を行って遺体にはそのような変化がもともとないことを記録しておけば、生前の損傷との混乱を避けることが可能であろう。 また、MC−06処理により遺体外表にオゾンガスを吹き付けたり紫外線を照射することから、体表に残っている種々の微物や法医学的資料が破壊される可能性も、事前に十分な資料採取を行う事でクリアできるものであろう。 加えて、オゾン水を利用して腐敗臭等を消臭する利用法があることも示されたことから、オゾンの殺菌作用と併せて考えれば、解剖前や検視・検案時にオゾン水で遺体を処理することにより安全で容易な死体の取り扱いができる可能性が示唆された。 しかしオゾンによる腐食の問題や生体への健康被害の問題もあるので、更に若干の検討が必要であろう。 本発明の遺体処理車輌は、災害地などの現場で遺体を処理して腐敗を防止するための設備として適している。 1 遺体処理車輌 1s 開口 10 設備 20 搬入搬出手段 20w 遮断壁 20g ゲート 22 ケース 25 蓋部 30 遺体加熱手段 30w 遮断壁 30g ゲート T トレー h 開口 |