入浴装置及び介護ベッド

申请号 JP2018057306 申请日 2018-03-23 公开(公告)号 JP6417491B2 公开(公告)日 2018-11-07
申请人 飯田 一喜; 发明人 飯田 一喜; 飯田 祥穂; 味岡 淳二; 宮本 茂紀; 杉田 浩一;
摘要
权利要求

ベッド本体と、前記ベッド本体が支持される支持台が設けられた入浴装置であって、 前記ベッド本体は要介護者を入浴させるための貯槽を有し、 前記支持台には、前記ベッド本体の昇降により該ベッド本体から突出する複数の支柱が設けられ、 前記各支柱には、前記要介護者を乗せる懸架部材が取り付けられる取付部が設けられており、 前記入浴装置には、前記ベッド本体及び前記支柱を昇降させる昇降手段と、該支柱を前記ベッド本体の昇降と逆方向へ昇降させる伝達手段が設けられ、 前記昇降手段により、前記ベッド本体が上昇されたとき、前記貯水槽と前記取付部との距離が縮まり、前記ベッド本体が下降されたとき、前記貯水槽と前記取付部との距離が離れることを特徴とする入浴装置。前記支持台はベッド本体の長手方向の両側が支持される一方の支持台及び他方の支持台からなることを特徴とする請求項1に記載の入浴装置。前記懸架部材は、前記要介護者を吊り上げるための吊り上げ部材を構成する一対のベルト体であり、 前記ベルト体は、前記一方の支持台側の前記取付部と前記他方の支持台側の前記取付部との間に取り付けられ、 前記昇降手段により、前記ベッド本体が上昇されたときに、前記ベッド本体と前記吊り上げ部材との距離が縮まり、前記ベッド本体が下降されたとき、前記ベッド本体と前記吊り上げ部材との距離が離れることを特徴とする請求項2に記載の入浴装置。前記懸架部材は、前記要介護者を吊り上げるための少なくとも1つの吊り上げ部材に装着された一対の棒状体であり、 前記棒状体は、前記一方の支持台側の前記取付部と前記他方の支持台側の前記取付部との間に取り付けられ、 前記昇降手段により、前記ベッド本体が上昇されたとき、前記ベッド本体と前記吊り上げ部材との距離が縮まり、前記ベッド本体が下降されたとき、前記ベッド本体と前記吊り上げ部材との距離が離れることを特徴とする請求項2に記載の入浴装置。前記取付部は前記支持台における支柱に支持された梁部材を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の入浴装置。前記貯水槽の上側には、マットが着脱自在に載置される格子状の枠体が前記貯水槽の開口部を覆うように着脱自在に設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の入浴装置。前記マットが取り外された前記枠体上においては、シャワーが使用可能であることを特徴とする請求項6に記載の入浴装置。前記貯水槽の底部に開閉自在の排水口が設けられており、前記貯水槽においてはシャワーが使用可能であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の入浴装置。前記貯水槽には、腰逃げ部、腰上げ部、肘掛部、足上げ部、絞り込み部、傾斜部、凸部又はリブのうち少なくとも1つが設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の入浴装置。前記支柱は長尺に形成され、前記支柱の上部にカーテンを取り付けることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の入浴装置。前記懸架部材又は前記支柱をリハビリに用いることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の入浴装置。前記懸架部材により前記入浴装置と搬送手段との間で要介護者を移動可能とすることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の入浴装置。請求項1〜12のいずれか1項に記載の入浴装置として利用できることを特徴とする介護ベッド。

说明书全文

この発明は、入浴装置及び介護ベッドに関し、詳しくは、簡単な構造でベッドの昇降が可能であって、要介護者がベッド上で入浴やシャワーが可能である入浴装置、及び、その入浴装置として利用できる介護ベッドに関する。

従来、介護ベッドは、要介護者が就寝するベッド部分を昇降できる機能を有している。ベッド部分を昇降するようにすることで、要介護者は車椅子との間で容易に移動することができる。また、ベッドの位置を就寝中は低くすることで要介護者に安心感を与え、介護者が介護をするときは高くすることで、介護しやすくすることができるようになっている。

また、要介護者、特に高齢や身体の障害のため寝たきりとなった要介護者の介護において、排泄の処理や、入浴及びシャワーを行うことは、介護者によってなされている。要介護者を在宅介護するような場合、その介護者は要介護者の配偶者や親族など身内のものである場合が多く、近年では、要介護者と同様に高齢者が介護を行う割合が増え、また、介護者が一人である場合も増えてきている。そのため、要介護者の排泄処理や入浴等の介護は非常に重労働であり、要介護者のみならず、介護者にも精神的、肉体的な疲労やストレスを受けることが多くなっている。

なお、このような介護の実情をふまえ、国が介護保険制度を設けたり、民間による介護ヘルパーなど介護サービス業者が補助したりする場合もある。しかし、介護保険制度では適用範囲に限界があり、また、介護サービス業者に依頼する場合は多額の費用がかかる。

そのため、このような介護者を補助するために、下記特許文献1には、浴槽やトイレとして使用することができ、介護を必要とする人に好適な介護用ベッドにかかる発明が開示されている。この介護用ベッドでは、基台の周縁部に、側壁を上下方向に回動自在に設け、この側壁を含めて上記基台の上面を、防性シートで被覆し、この基台から垂れ下がる防水性シートの垂下部を、上記側壁に取り付け、この基台に、上記防水性シートの上面から基台の下方に抜ける排泄口を形成し、蓋を着脱可能に取り付けて介護用ベッドが構成されている。下記特許文献1に記載の介護用ベッドによれば、側壁を上方へ回動して固定すると、防水性シートの垂下部が側壁とともに基台の上方へ立ち上げられて堰が形成されるので、この堰に囲まれた部分に給湯を行うことで入浴が可能となり、また、上記排泄口から蓋を取り外すと、排泄等も可能であるとされており、ベッドから移動させることなく種々の介護ができるので、介護を受ける人にとっても介護者にとっても負担が少ないとされている。

また、下記特許文献2には、排泄物の排出、入浴等をベッドをそのまま使用して行うことができるようにした多用途性を備えた病臥者用のベッドの発明が開示されている。このベッドによれば、簀子状マット及び支承板の中央部には排泄物の排泄孔を穿設し、而も支承板の下面に位置する排泄物収容具の上面には洗浄水及び乾燥用温風の吹き出しを行う供給管の吹き出し口を装着したので病臥者が特に起き上がることなく寝姿のまま排泄を行い且つその後の清浄処理を行うことができることとなり、重度障害者や身体の自由が効かない重病人でもそのまま衛生的に洗浄乾燥等の処置を行うことができ、また、バスセット内に温湯の供給をおこなった後に支承板の取り外しを行えば、病人は簀子状マットに寝たままで直ちに入浴洗浄を行うことができるとされている。

特開平11−206822号公報

特公昭61−036938号公報

特開2002−291637号公報

実開平04−023431号公報

特開2000−023788号公報

特開平11−318545号公報

特開2001−169954号公報

しかし、上記特許文献1及び2に開示されているベッド等では、入浴する際、ベッド自体が水没してしまうため、防水や耐水の加工が施されていてもベッドの洗浄やメンテナンスに介護者の労が割かれ、また、維持費用も高価となる。また、ベッドは入浴中のお湯と接触するため、雑菌の繁殖のおそれもあり、抗菌加工しただけでは全ての雑菌の繁殖をなくすのは困難であり、感染病を引き起こすおそれもある。さらに、要介護者の一部分を清浄したい場合、例えば洗髪や腰周り、及び脚部の洗浄を行うためには、その部分を洗うための準備をする必要があり、要介護者及び介護者の手間と労力がかかる。また、浴槽を利用する場合と排泄の処理をするための構造が異なるので、構造が複雑となり、高価となる。さらに、操作が複雑であると介護者が使用し難く、誤操作をすると要介護者が負傷するおそれもある。

発明者は、上記のような従来技術の課題を解決するために種々検討を重ねた結果、要介護者を在宅で排泄処理や入浴等の介護をする介護者の負担を減らすため、介護ベッドのベッド部分を昇降させる構造を簡単にすると共に、要介護者が使用する介護ベッドに貯水槽を設け、この貯水槽と対応する部分のベッドを複数に分割された着脱自在なマットで覆い、介護の使用態様に合わせマットの取り外し範囲が選択できるようにすることで、排泄処理に伴う要介護者の洗浄や、洗髪、足の洗浄及び足湯等が行え、且つ、貯水槽の洗浄も行えるようになる。また、ベッドを昇降させるだけで要介護者を吊り上げたり降ろしたりする構造を採用することで、要介護者の入浴が容易になるだけでなく、マットの交換や貯水槽の洗浄が容易に行うことができるようになる。さらに、ベッドの機能を追加できるような構造とすることで、要介護者の介護の状態に応じて機能を有するベッドを提供することができる。すなわち、要介護者が現在は寝たきりの状態でなくても、介護進度が進んだ場合に寝たきりの介護にも対応できるように、例えばベッドに入浴できる機能を追加したり、また、介護者が一人であっても介護できるように、介護者を容易に吊り上げる機能を追加できることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。

すなわち、本発明の目的は、介護をする人(介護者)及び介護を受ける人(要介護者)のいずれの人にとっても介護及び要介護に掛ける或いは掛かる負担を少なくして、介護者にとっては蒲団、シートなどの交換並びに入浴、排泄処理及び槽などの清掃が簡単になる一方で、要介護者にとっては室内でもシャワー、入浴及び排便などが容易になる入浴装置を提供することにある。

また、本発明の他の目的は介護用の入浴装置に用いられる貯水槽について、入浴に使用される際には、使用する水量を抑えることができ、また、様々な体格の要介護者に適用できる貯水槽を有する入浴装置を提供することを目的とする。なお、上記特許文献3に開示された浴槽では、光熱費等を抑制した構成が記載されているが、介護用の入浴装置にそのまま適用できる構成ではない。

また、本発明の他の目的は、介護用の入浴装置に用いられる吊り上げ部材において、要介護者が使用したとき、吊り上げ部材上の要介護者の移動が容易に行え、また、床ずれを解消でき、さらに、洗浄が容易に行えて衛生的な構成とした吊り上げ部材を有する入浴装置を提供することにある。なお、上記特許文献4に開示されたハンモック吊り持ち体及び上記特許文献5に開示されたハンモック式ベッドには床ずれを抑制する構成は開示されていない。

また、さらに他の本発明の目的は、介護用の入浴装置で使用されるシャワーヘッドに液体を供給するための小型ポンプを有するシャワーユニットにおいて、液体が貯められた小型タンク内に配置された小型ポンプに及シャワーヘッドにおいてシャワーの供給のオン・オフを切り替えることができると共に、シャワーの供給をオフした際に小型ポンプの供給は停止させないで、小型タンク内で循環させる弁構造を備えたシャワーユニットを有する介護ベッドを提供することにある。なお、上記特許文献6に開示された可搬式洗浄装置及び上記特許文献7に開示された簡易シャワー装置には上述した弁構造の記載はない。

また、さらに他の本発明の目的は、当該入浴装置として利用できる介護ベッドを提供することにある。

上記課題を解決するために、本発明の第1の態様の入浴装置は、ベッド本体と、前記ベッド本体が支持される支持台が設けられた入浴装置であって、 前記ベッド本体は要介護者を入浴させるための貯水槽を有し、 前記支持台には、前記ベッド本体の昇降により該ベッド本体から突出する複数の支柱が設けられ、 前記支柱には、前記要介護者を乗せる懸架部材が取り付けられる取付部が設けられており 記入浴装置には、前記ベッド本体及び前記支柱を昇降させる昇降手段と、該支柱を前記ベッド本体の昇降と逆方向へ昇降させる伝達手段が設けられ、 前記昇降手段により、前記ベッド本体が上昇されたとき、前記貯水槽と前記取付部との距離が縮まり、前記ベッド本体が下降されたとき、前記貯水槽と前記取付部との距離が離れることを特徴とする。

また、第2の態様の入浴装置は、第1の態様の入浴装置において、前記支持台はベッド本体の長手方向の両側が支持される一方の支持台及び他方の支持台からなることを特徴とする。

また、第3の態様の入浴装置は、第2の態様の入浴装置において、前記懸架部材は、前記要介護者を吊り上げるための吊り上げ部材を構成する一対のベルト体であり、 前記ベルト体は、前記一方の支持台側の前記取付部と前記他方の支持台側の前記取付部との間に取り付けられ、 前記昇降手段により、前記ベッド本体が上昇されたときに、前記ベッド本体と前記吊り上げ部材との距離が縮まり、前記ベッド本体が下降されたとき、前記ベッド本体と前記吊り上げ部材との距離が離れることを特徴とする。

また、第4の態様の入浴装置は、第2の態様の入浴装置において、前記懸架部材は、前記要介護者を吊り上げるための少なくとも1つの吊り上げ部材に装着された一対の棒状体であり、 前記棒状体は、前記一方の支持台側の前記取付部と前記他方の支持台側の前記取付部との間に取り付けられ、 前記昇降手段により、前記ベッド本体が上昇されたとき、前記ベッド本体と前記吊り上げ部材との距離が縮まり、前記ベッド本体が下降されたとき、前記ベッド本体と前記吊り上げ部材との距離が離れることを特徴とする。

また、第5の態様の入浴装置は、第1〜第4のいずれかの態様の入浴装置において、前記取付部は前記支持台における支柱に支持された梁部材を含むことを特徴とする。

また、第6の態様の入浴装置は、第1〜5のいずれかの態様の入浴装置において、前記貯水槽の上側には、マットが着脱自在に載置される格子状の枠体が前記貯水槽の開口部を覆うように着脱自在に設けられていることを特徴とする。

また、第7の態様の入浴装置は、第6の態様の入浴装置において、前記マットが取り外された前記枠体上においては、シャワーが使用可能であることを特徴とする。

また、第8の態様の入浴装置は、第1〜第7のいずれかの態様の入浴装置において、前記貯水槽の底部に開閉自在の排水口が設けられており、前記貯水槽においてはシャワーが使用可能であることを特徴とする。

また、第9の態様の入浴装置は、第1〜第8のいずれかの態様の入浴装置において、前記貯水槽には、腰逃げ部、腰上げ部、肘掛部、足上げ部、絞り込み部、傾斜部、凸部又はリブのうち少なくとも1つが設けられていることを特徴とする。

また、第10の態様の入浴装置は、第1〜第9のいずれかの態様の入浴装置において、前記支柱は長尺に形成され、前記支柱の上部にカーテンを取り付けることを特徴とする。

また、第11の態様の入浴装置は、第1〜第10のいずれかの態様の入浴装置において、前記懸架部材又は前記支柱をリハビリに用いることを特徴とする。

また、第12の態様の入浴装置は、第1〜第11のいずれかの態様の入浴装置において、前記懸架部材により前記入浴装置と搬送手段との間で要介護者を移動可能とすることを特徴とする。

また、第13の態様の介護ベッドは、第1〜第12のいずれかの態様の入浴装置において、前記入浴装置として利用できることを特徴とする。

第1の態様の入浴装置によれば、ベッド本体の昇降と支柱の昇降とを互いに逆方向になり、ベッド本体と支柱(懸架部材)の間に大きな相対的な変移、すなわち懸架部材との間に大きな隙間が形成されるので、この隙間を利用して、懸架部材に、例えば、吊り上げ部材を吊り上げる棒状体やベルト体等を取り付けるなどして、介護をする人(介護者)及び介護を受ける人(要介護者)のいずれの人にとっても介護及び要介護に掛ける或いは掛かる負担を少なくして、介護者にとっては蒲団、シートなどの交換並びに入浴、排泄処理及び槽などの清掃が簡単になる一方で、要介護者にとっては室内でもシャワー、入浴及び排便などが容易になるなど多様な態様での使用が可能になる。そして、浴槽が上に上昇するため、作業しやすい高い位置で入浴介助ができ、介助者への腰の負担を軽減できる。なお、本入浴装置は介護施設などの浴室内または浴室の近くに設置することにより、簡易的な浴槽としても使用できる。

また、第2の態様の入浴装置によれば、支持台はベッド本体の長手方向の両側が支持される一方の支持台及び他方の支持台からなるから、支持台はベッド本体をより安定して支持すると共に、支柱の昇降をより安定してより安全に行うことが可能となる。

また、第3の態様の入浴装置によれば、懸架部材としてのベルト体を有する吊り上げ部材が取り付けられているので、要介護者を吊り上げ部材に寝かせた状態でベッド本体を下降させることによって吊り上げることができる。このようにすることで、シャワー、入浴及び排便、並びに、ベッド本体上に敷いた枠体やマットや布団等の交換及びベッド本体上の清掃等を容易に行うことができる。

また、第4の態様の入浴装置によれば、一方の支持台及び他方の支持台のそれぞれの支柱及び梁部材の少なくともいずれか一方に懸架部材としての棒状体が渡してあり、この棒状体に吊り上げ部材が懸架されている。これにより、要介護者を吊り上げ部材に寝かせた状態でベッド本体を下降させることによって吊り上げることができるため、シャワー、入浴及び排便、並びに、ベッド本体上に敷いた枠体やマットや布団等の交換及びベッド本体上の清掃等を容易に行うことができる。

また、本発明の第5の態様の入浴装置によれば、取付け部は各支持台における支柱に支持された梁部材を含むことにより、懸架部材を容易に支持すると共に、より安全性を高めることができる。

また、本発明の第6の態様の入浴装置によれば、ベッド本体の床部に貯水槽が設けられているため、ベッド本体の開口部が形成された部分に設けられた要介護者の腰部分のマットを取り外すことで、要介護者は、枠体の隙間を通して開口部の下に設けられた貯水槽に排泄することができるようになり、移動することなく容易に排泄を行うことができるようになる。また、介護者は、貯水槽の排泄物を簡易シャワー等の水で流すことで排水口及び排水管を通して、容易に排泄物を処理することができると共に、貯水槽を清潔に洗浄することができ、要介護者の腰周りの洗浄も、要介護者の腰部のマットを外すだけで容易に行うことができるようになる。さらに、要介護者の頭部側のマットを外すことで、要介護者の洗顔及び洗髪を容易に行うことができるようになる。さらにまた、吊り上げ部材を用いた場合には、要介護者を吊り上げ部材に寝かせた状態でベッド本体を下降させることによって吊り上げ、マット及び枠体をすべて取り外し、貯水槽にお湯を貯水しておき、ベッド本体を上昇させることで、床部の開口部から、貯水槽のお湯に要介護者を容易に入れることができ、要介護者の全身の入浴を容易に行うことができるようになる。

また、第7の態様の入浴装置によれば、マットをすべて取り外し、すべての枠体を載置した状態とすることで、簡易シャワー等を用いて要介護者の全身のシャワーを行うことができるようになる。

また、第8の態様の入浴装置によれば、貯水槽にお湯を貯水した状態でも、簡易シャワー等を用いて要介護者の全身のシャワーを行うことができるため、よりシャワー及び入浴などが容易になる。また、貯水槽に溜まった排水等は、貯水槽の底部に設けられた開閉自在の排水口からは排水できるが、この際、貯水槽に設けられた排水管の先端に簡易ポンプ等を接続し、排水口を開成することで容易に行うことができ、家の改築や配管工事等を行う必要がなくなる。

また、第9の態様の入浴装置によれば、貯水槽を補強するためのリブを複数個形成することができる。さらに、使用したい構成に合わせ凸部等を設け、要介護者が使用したときの腰逃げ部、腰上げ部、肘掛部、及び足上げ部等の構造を設けることができる。また、凸部として入浴した要介護者の足元に向かうにつれて徐々に狭まるような絞り込み部を形成することもできる。さらに、要介護者が入浴した際、頭部側が傾斜するような傾斜部も形成することができる。このようにすることで要介護者が入浴した際に、少ない水容積で入浴することができるようになり、使用する水やお湯を少なくすることができるができる。そして、長く、浅く、背もたれ部が傾斜になっている形状の為、腰から足首までの下半身は湯船の中に入り、さらに背中まではお湯がかかり、その一方胸にはお湯がかからない、という暖かい半身浴が可能になり、更に溺れる心配もない。

また、第10の態様の入浴装置によれば、支柱は長尺に形成され、支柱の上部にカーテンを取り付けることができるため、シャワー時にはシャワーカーテンを設けることもできる。カーテンを天井面からかぶせることにより、防水効果に加え、保温効果や部屋の湿気防止の効果が期待できる。また、就寝時には目隠しや日差しよけのカーテンを設けることができる。また、カーテンを取り付けることにより、要介護者のプライベートの空間を確保することができるようになる。

また、第11の態様の入浴装置によれば、懸架装置、支柱、棒状体、又は、これらに設けた各種のリハビリ用の器具により、リハビリを行うこともできるようになる。例えば、上方に設けられる棒状体から要介護者がつかまり立ちを行えるようなロープを垂下させることで、このロープを利用してリハビリを行うこともできるようになる。このリハビリは要介護者の運動機能に合わせてベッド本体の昇降と連動させることもできるようになる。

また、第12の態様の入浴装置によれば、懸架部材により入浴装置と搬送手段との間で要介護者を移動することができる。例えば、本装置により要介護者の介護ベッドから車椅子への移動、また、車椅子から介護ベッドへの移動が容易に行えるようになる。

また、第13の態様の介護ベッドによれば、上記入浴装置と同様の効果を奏する介護ベッドを提供することができる。例えば、貯水槽の上側に設けられたマットを取り外し、また、格子状の枠体を取り外すことにより、介護ベッドは入浴装置として使用できる。

実施形態1にかかる介護ベッドの斜視図である。

実施形態1にかかる介護ベッドの分解図である。

図3Aは図1のIIIA‐IIIA線での断面図であり、図3Bは図3Aから続く使用状態を示す断面図である。

図4Aは図1のIVA‐IVA線での断面図であり、図4Bは図4Aから続く使用状態を示す断面図である。

図5Aは実施形態1にかかる介護ベッドの使用態様を示す斜視図であり、図5Bは図5Aに続く流れを示した斜視図である。

図6Aは実施形態1の介護ベッドの一つの使用態様の一つを示す斜視図であり、図6Bは図6Aの状態から上昇した状態を示す斜視図である。

図7Aは実施形態1の介護ベッドの他の使用態様を示す斜視図であり、図7Bは図7Aとは異なる使用態様を示した斜視図であり、図7Cは図7Aとはさらに異なる使用態様を示した斜視図であり、図7D、図7Eは枠体の他の例を示したものである。

図8A〜図8Eは要介護者を含めた使用態様を示す一部断面で示した側面図である。

図9Aは棒状体にハンモックを取り付けた状態を示す斜視図であり、図9Bはハンモックを分割した状態の斜視図であり、図9Cはハンモックの側面図であり、図9Dは他の形状のハンモックを示した上面図であり、図9Eは他の形状のハンモックを取り付ける部分を示した側面図である。

図10Aは介護ベッドのシャワーを行う使用態様を示す図5Bに続く流れを示す斜視図であり、図10Bは図10Aに続く流れを示す斜視図である。

図11Aはさらに他の形状のハンモックを示した上面図であり、図11Bは一方からみた側面図であり、図11Cは図11BのXIC部の拡大図である。

図12Aはさらに他の形状のハンモックを示した上面図であり、図12Bは一方からみた側面図であり、図12Cは図12BのXIIC部の拡大図である。

図13Aは図12Bに続く流れを示す斜視図であり、図13Bは図13Aに続く流れを示す斜視図である。

図14Aは実施形態1にかかる介護ベッドの入浴の使用態様を示す斜視図であり、図14Bは図14Aに続く流れを示す斜視図である。

図15Aはシャワーユニットを示す斜視図であり、図15Bは図15AのXVB部の通水状態を示す拡大断面図であり、図15Cは図15Bの止水状態を示す拡大断面図であり、図15Dは図15CのXVD部の拡大図である。

図16Aは要介護者が入浴した状態を示す一部断面で示した側面図であり、図16Bは図16Aの状態からハンモックを外した状態を示した図である。

図17Aは他の形状の貯水槽を示す上面図であり、図17Bは図17AのXVIIB−XVIIB線での断面図であり、図17Cは図17AのXVIIC−XVIIC線での断面図であり、図17Dは図17AのXVIID−XVIID線での断面図である。

図18Aはさらに他の形状の貯水槽を示す上面図であり、図18Bは図18AのXVIIIB−XVIIIB線での断面図である。

図19Aは図18BのXIXA−XIXA線での断面図であり、図19Bは図18BのXIXB−XIXB線での断面図であり、図19Cは図18BのXIXC−XIXC線での断面図であり、図19Dは図18BのXIXD−XIXD線での断面図であり、図19Eは図19AのXIXE部の拡大図であり、図19Fは図19Eの構成を分離した状態の断面図であり、図19Gは図18BのXIXG部の拡大図である。

図20Aはさらに他のハンモックを上昇させた状態を示した斜視図であり、図20Bは下降させた状態を示した斜視図である。

図21Aは図20に示したハンモックのベルト体の他の構成を示した斜視図であり、図21Bは図21AのXXIB部の拡大図であり、図21Cはさらに他のハンモックのベルト体を示した斜視図である。

図22Aは、他のベルト体の構成を示した図21Aに対応する図であり、図22Bは、さらに他のベルト体を示した図21Aに対応する図である。

図23Aはさらに他のハンモックを示した図であり、図23Bは図23Aに示したハンモックの使用状態を示した模式図である。

図24Aは実施形態2にかかる介護ベッドのリクライニングの使用態様の流れを示す斜視図であり、図24Bは図24Aに続く流れを示す斜視図である。

図25A〜図25Cは実施形態2にかかる介護ベッドにおけるリクライニングの使用態様の一例を示した部分拡大図である。

図26A〜図26Cは他のリクライニングの使用態様の一例を示した断面図である。

図27Aはさらに他のリクライニングの平坦な状態を示した側面図であり、図27Bはリクライニングの上昇した状態を示した側面図である。

図28Aはさらに他のリクライニングの構成を示したリクライニングがされていない状態を示した側面図であり、図28Bは上面一部を拡大した図であり、図28Cは一部を拡大した背面図である。

図29のリクライニングの構成のリクライニングがされた状態の側面図である。

図30A〜図30Cはリクライニングのカムプレートの移動溝とシャフトの移動軸との関係を示した拡大側面図である。

図31Aはさらに他のリクライニングの平坦な状態を示した側面図であり、図31Bはリクライニングの上昇した状態を示した側面図である。

リクライニングの使用態様の一例を示した図である。

図33Aはリクライニングを使用した応用例を示した斜視図であり、図33Bは図33Aの状態から使用した状態を示した斜視図である。

図34A〜図34Fは介護ベッドの安全構造を示したものである。

図35A及び図35Bは介護ベッドの安全構造としてのリクライニングカバー及び昇降用カバーを示した側面図である。

安全装置を示したブロック図である。

図37A及び図37Bは、介護ベッドの変形例を示す斜視図である。

図38A及び図38Bは、介護ベッドの変形例の他の使用態様を示した斜視図である。

介護ベッドの変形例の分解図である。

他の形状の介護ベッドの変形例を示した斜視図である。

さらに他の形状の介護ベッドの変形例を示した斜視図である。

以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための入浴装置及び介護ベッドを例示するものであって、本発明をこれに特定することを意図するものではなく、本発明は特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。

[実施形態1] 図1〜図4を参照して、実施形態1の介護ベッド10を説明する。図1及び図2に示すように、実施形態1の介護ベッド10は、要介護者が就寝するためのベッド本体22と、ベッド本体22が支持される一対の支持台11、12がベッド本体22の長手方向の両端部に配置されており、さらに、格子状の枠体33、マット36をも備えている。

この一対の支持台11、12には、図3に示すように、ベッド本体22を昇降させる昇降手段16がそれぞれ設けられている。この昇降手段16は、公知の電動アクチュエータを備えている。なお、昇降手段16は、ベッド本体22を昇降させることができるもの、例えば、ジャッキやウインチ機構等を用いることもできる。このジャッキやウインチ機構は、電動のものでも手動のものでもよく、電動のものであれば介護者は楽に昇降させることができ、手動のものであれば安価に製造することができる。さらに、電動と手動とを組み合わせたものでもよく、停電等の際、電動で行えないときは手動で行えるようにすることもできる。なお、このアクチュエータやジャッキ、ウインチ機構は公知であるので、その詳細な説明は省略する。以下、各構成について説明する。

まず、一対の支持台11、12について説明する。なお、一対の支持台11、12は、ベッド本体の長手方向の両端に配置されているが、構成は共通するので、一方の支持台11(以下、単に「支持台」という。)を代表して説明する。

支持台11は、図2及び図3に示すように、ベッド本体22の長手方向と直の幅方向と略同じ長さを有し、その内部にベッド本体22を昇降させる昇降手段16が収められる空間を有する直方体で形成されている。この直方体の矩形状の上面11aには、後述する支柱13a、13bが貫通されて上下動可能な一対の上面貫通口11a1が形成され、また、昇降手段16の上部のベッド本体22と連結された部分が移動する開口11a2が支持台11の上面の略中央部分に形成されている。

また、矩形状の上面11aの各周辺には、各側面部11b、11c、11d、11eが形成されており、この各側面部11b〜11eの上面と対向する下方側には、底面11fが設けられている。この底面11fは、部屋内の床面上に設置される部分である。そのため、底面には床面と接する部分にいくつかの脚部11f1を設けるようにしてもよい。脚部11f1を設けることで、床面に傷がつくのを抑制することができる。

また、支持台11に設けられた一対の支柱13a、13bは、それぞれ円柱体で形成されており、その上部の一対の支柱が向かい合う方向には、ベッド本体の幅方向と平行に梁部材15が一対の支柱13a、13bを渡すように設けられている。また、一対の支柱13a、13bの上端部13a1、13b1には、後述する棒状体37が取り付けられる取付部13a3、13b3(図10参照)が設けられている。この棒状体37は一方の支持台11の一方の支柱13aと他方の支持台12の一方の支柱14aのそれぞれの上端部に渡ってベッド本体の長手方向に沿って設けられる(図10参照)。また、支持台11の内側に設けられる昇降手段16についての詳細は後述する。

なお、この支柱は、介護ベッド10の使用態様にあわせ着脱ができるようにしてもよい(図38参照)。さらに、支持台11、12や支柱13a、13b、14a、14b等は抗菌処理がされていることが好ましく、抗菌処理をすることで支持台及び支柱等を清潔に保つことができ、要介護者への感染や支持台及び支柱等からの臭いを抑制することができる。

次に、図2及び図4を参照して、ベッド本体22について説明する。ベッド本体22は、人が就寝可能な大きさの所定面積及び厚さの矩形状で形成された床部23を有し、この床部23の中央部分に開口部23aが設けられている。さらに、この床部23には、上述した一対の支持台11、12に設けられた支柱13a、13b、14a、14bが貫通する床部貫通口23bが各支柱13a、13b、14a、14bに対応して設けられている。また、床部23に形成された開口部23aには、格子状の枠体33とマット36が着脱自在に設けられている。

一方、矩形状の床部23の各端辺には、下方に垂下した側面部24、25、26、27が床部23を囲むように設けられ、一方及び他方の支持台11、12を覆うように設けられている。この側面部24〜27の下方の長さは、ベッド本体22が下方にあるときは各支持台の全部ないし略半分程度が覆われ、また、上方にあるときは各支持台の上部が覆われる程度の長さとなる。この側面部24〜27は、特に、介護ベッド10の外観を良好にする効果があり、各支持台11、12や貯水槽28が覆われるようになっており、要介護者や介護者の邪魔とならないような各種装飾が施されるようにしてもよく、また、美観を有する形状としてもよい。なお、ベッド本体22は抗菌処理がされていることが好ましく、抗菌処理をすることでベッド本体を清潔に保つことができ、要介護者への感染やベッド本体からの臭いを抑制することができる。

なお、ベッド本体22と支持台11、12は別体として構成されているため、修理や交換を行うときは、ベッド本体又は支持台の各構成ごとに行うことができ、介護ベッド全体を修理、及び交換する必要が無く、製造及び修繕費用が抑えられる。また、一対の支持台は同一の構成を有するものを使用しているので、製造の費用を抑えることができる。

貯水槽28は、ベッド本体22の内側に設けられ、床部23の開口部23aと対応して上方が開口した箱状体で形成されている。この貯水槽28の開口した部分には、開口の外側に向かって突出した板状の支持固定部29が外周に沿って設けられている。この支持固定部29が床部23の下部23cに支持固定される。また、ベッド本体22の長手方向の対向する側面部24、25からは、貯水槽28の下部を支えるように、支持板体30が各側面部24、25に渡って設けられており、貯水槽28の荷重を支えることができるようになっている(図4A参照)。なお、貯水槽28は、ベッド本体の内側に着脱自在に設けるようにしてもよい(図39参照)。その場合、ベッド本体の床部を取り外し、貯水槽の着脱を行うようにする。このようにすることで、貯水槽が損傷した場合や、他の機能が設けられた貯水槽と取り替えたり、さらに、後付で貯水槽を取り付けたりすることもできるようになる。

また、貯水槽28には、開閉自在の栓部材31aが設けられた排水口31が設けられており、貯水槽28に水やお湯等の液体を溜めるときには栓部材31aを閉め、排水を行うときには栓部材31aを開けることができるようになっている(図19G参照)。また、この排水口31には、排水管32が接続されており、この排水管32は、排水タンクに接続し排水を行うことができるようになっている。なお、排水管32は、家屋内の排水が可能な下水管等に直接接続するようにしてもよい。さらに、貯水槽28は、要介護者が入浴した際、頭部側が傾斜するような傾斜部28a(図2参照)が形成されている。また、給水の場合も、排水と同じ容量、例えば5リットル〜30リットル程度の給水用のタンクを設置することにより、この給水タンクに小型ポンプを設け、この小型ポンプを介して、シャワーなどの給水ができる。このように給水タンクを用いることで、給水管等の配管作業が不要となる。

また、介護ベッド10がトイレとして使用される場合もあるため、貯水槽28は、排泄物の洗浄も行うことができるようにするため、汚れ難く、また、汚れても洗浄しやすいようなコーティングを施してもよい。さらにまた、貯水槽28は、ベッド本体22の内側に支持固定されると共に、要介護者が入浴も行うようにするため、貯水した水の重さと要介護者の体重に耐えることが可能であり、且つ、軽量である材質、例えば、合成樹脂材や金属製、例えばステンレスで形成されることが好ましい。合成樹脂材であれば、汚染防止目的のコーティングも行いやすくなり、また、ステンレスであれば、高い強度の貯水槽を得ることができる。さらに、これらを波目状に形成することでより強度を上げることができる。また、貯水槽は抗菌処理がされていることが好ましく、抗菌処理をすることで貯水槽を清潔に保つことができ、要介護者への感染や貯水槽からの臭いを抑制することができる。

次に、図2に示すように、格子状の枠体(以下、単に「枠体」とも言う。)33は、ベッド本体22の床部23に形成された開口部23aを覆うと共に、貯水槽28を覆うように、枠体33の外周に設けられた係止部34よってベッド本体22に係止されるように構成されている。この枠体33は、複数に分割されており、例えば、実施形態1では、要介護者の上半身部の枠体33a、腰部の枠体33b及び下肢部の枠体33cの3つの部分に分割されている。このように、枠体が分割されていることで、介護者が枠体を扱いやすくなる。

この枠体33は、介護ベッド10の使用態様によって、水等の液体に曝されることが多くなるので、要介護者の体重を支えることができ、且つ、錆や腐食に強く、また、着脱が容易に行えるように軽量な材質のもの、例えば、強化プラスチック等の合成樹脂材、ステンレス材やアルミニウム合金等で形成することが好ましい。また、枠体33の格子部分35は、要介護者がこの枠体33の格子部分35に直接乗っても嵌り込まない幅で形成することが好ましい。このとき、腰部に設けられた枠体33bでは、この部分から排泄の処理が行えるようにするため、格子に開口部33b'を設けてもよく、また、腰部に当る部分の形状を排泄のしやすい形状、例えば、弁座の形状(不図示)に形成するようにしてもよい。このようにすることで、排泄時に排泄物が枠体に付着するおそれを抑制し、また、排泄を安心して行うことができるようになる。

また、マット36は、図2に示すように、要介護者が就寝する部分であり、格子状の枠体33の上側を覆うように着脱自在に載置されて設けられている。このマット36は、上述した格子状の枠体33と同様に複数に分割されて設けられ、例えば、実施形態1では、要介護者の上半身部のマット36a、腰部のマット33b及び下肢部のマット33cの3つに分割されている。このように、マットを分割することで、介護者がマットを扱いやすくなる。なお、マットを分割する数は3個に限られず、例えば、上半身部を2つに分割し4個としてもよく、また、それ以上でもよい。

次に、実施形態1の介護ベッドの使用態様について説明する。図5に示す実施形態1の介護ベッド10は、要介護者が就寝する際の状態を示している。すなわち、各支持台11、12上に設けられたベッド本体22では、床部23の開口部23aのすべてを枠体33及びマット36で覆った状態である。このとき、図5A及び図5Bに示すように、昇降手段16を操作し、ベッド本体22の高さを変えることで、介護者が要介護者を介護しやすい高さにすることができるようになる。例えば、要介護者の就寝時や車椅子と介護ベッドと間の移動時にはベッド本体22の高さを低くするとよい。また、要介護者が就寝しているときは、図6に示すようにベッド本体に転落防止用の柵39を設けるようにする。なお、一対の支持台11、12の内部に設けられた昇降手段の使用態様については後述する。

また、ベッド本体22に設けられたマット36は分割されているので、要介護者の好みに合わせて素材や感触の異なるマットを分割された単位で交換することもできる。例えば、反発係数の異なるもの、通気性の良好なもの、防水性を有するもの、及び疾病を有する部位に応じたもの等を選択することができる。また、マット36が分割されていることで、洗濯・乾燥が容易に行うことができる。このようにすることで、要介護者の寝心地だけでなく、介護者の介護のしやすさにも良好な影響を与えることができる。なお、マット36は抗菌処理がされていることが好ましく、抗菌処理をすることでマットを清潔に保つことができ、要介護者への感染やマットからの臭いを抑制することができる。

また、介護ベッド10の他の使用形態として、図7A及び図8Aに示す介護ベッド10では、要介護者Hの腰部に配置されたマット36bのみを取り外し、腰部の部分の格子状の枠体33bが現れるようにしたものである。このようにすることにより、腰部の枠体33bの下の貯水槽28に水等の液体を流すことができるようになる。そして、このような使用形態とすることで、要介護者は排泄を行うことができるようになる。排泄後は、簡易ポンプ等を用いて水やお湯等によって貯水槽28を洗浄することができる。また、要介護者のおむつの取り換えを行うこともでき、汚れている場合は要介護者の腰部の洗浄を行うことができる。さらに、水に流せる紙おむつを使用することにより、紙おむつに付着した汚物処理などが容易に行え、より介護者の負担を軽くすることができる。

要介護者にとって腰部の洗浄が容易に行えるようになることは、肉体的な衛生面だけでなく、精神的な衛生面にとっても効果的であり、さらに、床ずれを抑制することもできる。また、要介護者の腰部の洗浄を容易に行えるので洗浄の回数を増やしても介護者及び要介護者の負担が軽くなり、その結果、不快な臭いを軽減することができるようになる。また、介護者にとっても、容易に洗浄が行えるようになるので介護を行い易くなる。さらに、要介護者が排泄を気軽に行え、腰部の洗浄が容易に行えるようになることで、要介護者の紙おむつの使用量を減らすことができるようになる。

また、マット36が分割されているため、マット36の取り外しも要介護者の身体の一部を持ち上げ、マット36を引き抜くだけで行うことができるので、介護者の負担を減らすことができるようになる。なお、格子は抗菌処理がされていることが好ましく、抗菌処理をすることで格子を清潔に保つことができ、要介護者への感染や格子からの臭いを抑制することができる。

ここで、貯水槽28の排水について図4Bを参照して説明すると、貯水槽28には、上述したように排水口31が設けられており、この排水口31は開閉が行えるように構成されている。そして、排水口31には排水管32が接続され、ベッド本体22の内側に配管され、その端部はベッド本体22の外側に向けられている。この排水管32の端部には、排水をするための、例えば、排水タンク等が設けられている。そして、貯水槽28にたまった排水は、ベッド本体が上方に配置されていることで重力による自然落下により排水口31及び排水管32を通り排水タンクT等に溜められる。その後、排水タンクT等を家庭のトイレ等から下水に流される。このとき排水管32はやや傾斜を有するようにすることで、排水を円滑に行うことができる。なお、排水タンク等に一時ためることなく、排水管32を直接下水につなぐこともできる。また、簡易ポンプを用いることもできるが、この場合は、簡易ポンプのメンテナンス、例えばポンプのつまりなどに気を配る必要がある。さらに、排水口、排水管および排水タンクは抗菌処理がされていることが好ましく、抗菌処理をすることで貯水槽を清潔に保つことができ、要介護者への感染や貯水槽からの臭いを抑制することができる。

また、マット36は、腰部以外にも、上半身部のマット36aを取り外すことで洗髪を行うことができるようになり(図7B及び図8B参照)、下肢部のマット36cを取り外すことで足の洗浄を行うことができるようになる(図7C及び図8C参照)。また、下肢部のマット36cと枠体33c(図2参照)を取り外し、貯水槽28にお湯を張ることで、足湯を行うことができるようになる。さらに、図8Dに示すように、腰部と下肢部のマットを取り除き、枠体上に着座させ、足湯を行うこともでき、また、図8Eに示すように、全てのマットを取り除くこともできる。なお、全てのマットを取り除く使用態様の一例は後述する。なお、枠体としては実施形態で使用する格子状の枠体の他に、図7Dに示すように枠内に梁材を対角線上に形成した枠体33'や、図7Eに示すように中央に方形状又は矩形状の梁材を設けた枠体33"を用いてもよい。

次に、介護ベッド10の使用態様として、介護ベッド10に吊り上げ部材としてのハンモック38を取り付けて、ベッド本体22の床部23上に載置されたマット36や布団及びシーツ等(不図示)の交換の仕方について説明する。まず、要介護者が就寝しているベッド本体22を図5Aに示した低い状態から、昇降手段16を用いて図5Bに示すように上方に配置させ、要介護者の下に吊り上げ部材としてのハンモック38を配置させる。そして、図9A及び図10Aに示すように、一対の棒状体37を、各支持台11、12に設けられた支柱の上端部13a1、13b1、14a1、14b1に、一方の支持台11の支柱13a、13bと他方の支持台12の支柱14a、14bとを渡すようにベッド本体22の長手方向と平行に取り付ける。この取り付けは、支柱の上端部に取付部13a3、13b3、14a3、14b3、例えば、突起状の係止突起を設け、棒状体にこの係止突起が係合される係止溝を設け、これらの係止突起及び係止溝を嵌め合わせることで行うことができる。

また、吊り上げ部材としてのハンモック38は、要介護者を吊り上げるため、要介護者の身長を超える程度の長さで形成されている。また、要介護者を吊り上げることができるような耐性のある材質、例えばナイロンやグラスファイバー等で編み込んだものを用いることができる。なお、このハンモック38は、図9Bに示すように複数に分割されており、複数のハンモック381〜383を棒状体37に取り付けられたとき、一枚のハンモックとして使用できるように構成されている。

そして、このハンモック38を上述した棒状体37に取り付けた後、棒状体37を各支柱13a、13b、14a、14bに取り付ける。このとき、ハンモック38の棒状体37への取り付けは、ハンモック38の長手方向の端を棒状体が貫通できるような輪38aを作り、この輪38aの中に棒状体37を貫通させて取り付ける(図9C参照)。ここでハンモック38に形成する輪38aは、ハンモックと同じ材質で要介護者の体重を支えることができるように頑丈に作られるが、輪38aの内部は中空なので輪に荷重をかけると平たくすることができる。

なお、ハンモック38の棒状体37への取り付けは、棒状体を各支柱に取り付けてから行うこともできるが、その際は、要介護者が落下することを抑制するために棒状体に取り付ける部分は特に頑丈にし、例えば、金属製のフック等を用いることもできる。さらに、棒状体37もハンモック38に吊り上げられた要介護者の体重を支えるための強度を要し、また、介護者が着脱可能なように軽量であるもの、例えば、金属材や合成樹脂材で長尺のパイプ状に形成されたものや、硬い木材等で形成することができる。なお、棒状体37の支柱13a、13b、14a、14bの取付部13a3、13b3、14a3、14b3が設けられた上端部13a1、13b1、14a1、14b1において、長手方向にたわむような構造あるいは弾性を有する構造にすることにより、ハンモックで吊り上げた際の要介護者の重さによる機構への負荷を、棒状体37がしなり、アーチ状になることによって吸収することができるようになる。

また、ハンモックは図9Bに示すように分割して取り付けることもできるので、例えば、腰部の洗浄をするときには、ハンモックを腰部のところに取り付け、腰部だけを吊り上げたり、足洗浄の時には下肢部のところに取り付けて使用するように部分的な使用も可能である。さらに、ハンモック及び棒状体は抗菌処理がされていることが好ましく、抗菌処理をすることでハンモック及び棒状体を清潔に保つことができ、要介護者への感染やハンモック及び棒状体からの臭いを抑制することができる。また、支柱の上端に取り付ける棒状体をベッド本体の短手方向と平行にすることで、ハンモックを長手方向に懸架することも可能である(図示省略)。このようにすることで、長手方向の棒状態と、その棒状態に取り付けられたハンモックのベルト体が介護者の介護作業の妨げになることが抑制され、より安定した介護作業を得ることができる。

なお、棒状体には、ハンモック以外にもカーテンを吊り下げることもできる。このカーテンを設けることができるようにすることで、シャワー時にはシャワーカーテンを設けることもでき、また、就寝時には目隠しや日差しよけのカーテンを設けることができる。

次に、図10Aに示すように、要介護者を乗せたハンモック38を棒状体37にそれぞれ取り付け、この棒状体37を各支柱13a、13b、14a、14bに取り付ける。このとき、ハンモック38はまだ張っていない状態であるので、棒状体37の取り付けを容易に行うことができる。さらに、ベッド本体22を上方に配置させることで、各支柱13a、13b、14a、14bの上端部13a1、13b1、14a1、14b1とベッド本体22の床部23とが相対的に近接するようになるので、棒状体37を持上げる距離が短くなり、棒状体37の取付けを容易に行うことができる。

その後、図10Bに示すように、ベッド本体22を昇降手段16を用いて下降させる。このようにすると、ベッド本体22の下降に応じて、各支持台11、12の支柱13a、13b、14a、14bが上昇することとなり、支柱13a、13b、14a、14bの上昇と共に、棒状体37も相対的に上昇し、ハンモック38が張られる状態となる。そして、ハンモック38が張られた状態となると、ハンモック38上の要介護者が吊り上げられた状態となる。このとき、各支柱13a、13b、14a、14bの間に梁部材15が設けてあるので、支柱が要介護者の体重により曲がってしまうことを抑制することができる。

そのため、実施形態1の介護ベッドの吊り上げ部材及び昇降手段を用いることで、マット上から要介護者を容易に吊り上げることができるようになり、マットやマット上に敷いているシーツ等の交換を容易に行うことができ、ベッドを清潔に保つことができるようになる。

ここで、図3A及び図3Bを参照して、ベッド本体22の昇降について説明する。実施形態1の介護ベッド10には、一対の支持台11、12のそれぞれに昇降手段16が設けられ、この昇降手段16によってベッド本体22を昇降させることができる。その際、実施形態1の介護ベッド10では、一対の支持台11、12のそれぞれには支柱13a、13b、14a、14bが設けられており、ベッド本体22の昇降によりベッド本体22から突出する支柱13a、13b、14a、14bの長さが変動するようになっている。このベッド本体22及び支柱13a、13b、14a、14bと昇降手段16の構成は、同様に一方の支持台11を代表して説明すると、支持台11の内側に昇降手段16としての上下動可能な一台のアクチュエータ16が支持台11の中央の位置に設けられている。

このアクチュエータ16の動作部17の上端はベッド本体22の床部23と結合されており、アクチュエータ16の動作部17の上下動にあわせベッド本体22が上下動するようになっている。また、ベッド本体22には、ベッド本体22の床部23から下方に向かって延設部材18が延設されている。一方、支持台11の内側には、伝達手段19が設けられており、この伝達手段19は、支持台11に固定された固定部材20とこの固定部材20の中央部分201が軸支されて回転可能に取り付けられた回動部材21とで構成されている。また、支持台11には、支持台11の上面11aの上面貫通口11a1とベッド本体22の床部23の床部貫通口23bをそれぞれ貫通して支柱13a、13bが設けられている。

そして、回動部材21の両端部が、延設部材18の下部の第2支点181と支柱13a、13bの下部の第1支点13a2、13b2とそれぞれ回動可能に連結されている。なお、この延設部材18、伝達手段19及び支柱13a、13bはアクチュエータ16を中心として対称に一対ずつ設けられている。このようにすることで、アクチュエータ16が上下動するとアクチュエータの動作部17の動きにあわせ、ベッド本体22も上下動し、このベッド本体22の上下動は、床部23からの延設部材18に伝わり、延設部材18が上下動することで、固定部材20に軸支された回動部材21が軸支された部分を中心に回動し、この回動した動きを支柱13a、13bに伝えることになる。

そのため、ベッド本体22が上昇すると支柱13a、13bは下降し、逆に、ベッド本体22が下降すると支柱13a、13bは上昇することとなる。このように伝達手段19を設けると、ベッド本体22の昇降と支柱13a、13bの昇降が互いに逆方向となるので、アクチュエータ16の少ない動作距離で、ベッド本体22と支柱13a、13bの間に大きな相対的な変位を得ることができるようになる。

そして、この昇降手段16は一方の支持台11と他方の支持台12の両方に備えられているので、ベッド本体22を平行に昇降させることができる。また、支柱13a、13b、14a、14bの昇降も平行に行うことができるので、支柱13a、13b、14a、14bの上端部13a1、13b1、14a1、14b1の取付部13a3、13b3、14a3、14b3に取り付けられた棒状体37も平行に昇降することができ、棒状体37に取り付けたハンモック38に乗せた要介護者も安定して安全に昇降させることができる。このとき、一方の支持台11の昇降手段16と他方の支持台12の昇降手段16の動作が連動するようにすると、ベッド本体を傾斜させずに昇降移動させることができ、要介護者への安心感を与えると共により安全性を高めることができる。また、ベッド本体22の内側と書く支持台11、12との間、例えば隙間gの部分にガイドレール(図示省略)を設けることもできる。ガイドレールを設けることでベッド本体の昇降時の揺れを抑制することができるようになる。なお、ベッド本体は、浴槽の厚さの高さまで下げられるため、ベッド本体を低い位置まで下げることができる。また、浴槽の厚さを薄く設計することにより、ベッド本体の床部をより低くすることができるので、要介護者が落下等による負傷を抑えることもできる。

なお、支柱は、一本の長尺な部材を設けてもよく、また、2本に分割できるようにしてもよい。例えば、ベッド本体から現れる部分と支持台の内部で駆動する部分とを着脱自在に分け、ベッド本体から現れる部分を必要に応じて着脱するようにしてもよい。このようにすることで、支柱を使用しない態様の場合、ベッド本体を昇降させると支柱も動くため介護者にとって邪魔となる場合がある。そこで、ベッド本体から現れる部分を取り外しておけるようにすることで、介護者は介護がしやすくなる。この着脱は螺合によるものにすることが好ましい。また、支柱に梁部材を渡すと支柱を回すことができなくなり、安易に取り外すことができなくなるので使用の際の安全性を高めることもできる。また、後付で支柱の取り付けができるようにすることで容易に他の機能の追加をすることができるようになる。

なお、実施形態1の介護ベッド10では、ベッド本体と支柱の昇降に際し、ベッド本体の昇降と支柱の昇降を連動させる伝達手段を設けた場合を説明したが、これに限らず伝達手段を設けないように構成することもできる。すなわち、アクチュエータの動作によりベッド本体が上下動するのは共通するが、支持台の上面に支柱を固定して配置することで、ベッド本体は上下動するが、支柱は上下動しないようになる。そのため、支柱の上端部の位置は変わらないので、ベッド本体が上昇したときはベッド本体の床部と支柱の上端部の位置は近づくようになり、一方、ベッド本体が下降する場合は、ベッド本体の床部と支柱の上端部の位置は遠ざかるようになり、ベッド本体の床部と支柱の上端部の相対的な変位を得ることができるようになる。このようにすることで、要介護者が乗ったハンモックを高く上げる必要がなくなるため、要介護者に恐怖感を与えることを抑制することができる。

さらに、伝達手段を設けない場合、支柱を伝達手段に接続する必要がなくなるため、支柱を支持台の側面や、あるいは、ベッド本体から離した位置に設けることもできるようになる。そのため、ベッド本体の床部に貫通口を形成する必要がなくなり、製造工程を簡単にすることができるようになる。また、一方の支柱は床部を貫通させ、他方の支柱は、ベッド本体から離した位置に配置するような、様々なレイアウトとすることもでき、要介護者の介護の態様に合わせた介護ベッドを提供することができるようになる。

なお、伝達手段を設けない場合は、アクチュエータの動作部の上下動の距離をより大きくとる必要があるが、構造が簡単になるので製造費用を抑えることができる。また、アクチュエータは支持台の中央部に設けるだけではなく、両側に2つ設けることもできる。このようにすることで、より安定した昇降が可能となり、また、アクチュエータが1つの場合と比べ、小型のものを採用することもできるので、支持台をコンパクトにすることもできる。なお、アクチュエータを2つ設けた場合は、これらの昇降を連動するようにするとよい。

なお、ハンモックの他の形状としては、図9Dに示すように、ハンモック38'は一対の薄い板状体42とこの薄い板状体42を連結するベルト体43と要介護者が乗るネット部44とで構成されたものがある。この薄い板状体42には棒状体37に取り付けるための複数の係止穴42aが形成されている。また、この一対の板状体42にはベルト体43が装着される装着穴43aが形成されており、この装着穴にベルト体43を通して装着する。このとき、一方のベルト体43の装着穴は2列に並んで形成することで、ベルト体43の長さ調節ができるようになる。なお、ベルト体43の長さ調節は、公知の機能を有するようにしてもよい。そして、このベルト体43にネット部44が取り付けられている。このときにネット部44は、伸縮する柔らかい網状にすることで、要介護者が吊り上げられたとき要介護者に網がくい込むことを抑制することができる。そして、このハンモック38'の棒状体37への取り付けは、図9Eに示すように、あらかじめ棒状体37に鉤状の部材45を所定の間隔で取り付けておき、ハンモック38'の板状体42に形成された係止穴42aに鉤状の部材45を引っ掛けることで行う。このハンモック38'では、ハンモックを要介護者の下に敷くときには、ハンモックの端に設けられた薄い板状体を要介護者の下をくぐらすようにすることで容易にハンモックを敷くことができる。なお、図9Dに示すハンモックは分割された一つを示したものである。

さらに、ハンモックは、棒状体への取り付け構造を、一方側を輪とし他方側を薄い板状体としたり、また、一方側を薄い板状体とし他方側をフックとするように、組み合わせて使用するようにしてもよい。このようにすることで、一方側を常に取り付けておける輪とし、他方を着脱が自由な薄い板状体やフックとするように、介護者の使用態様に合わせて変更することができるようになる(図示省略)。

さらに、他のハンモックの構成について図11A〜図11Cを参照して説明する。上記のハンモック38の吊り上げには棒状体37を各支持台11、12の各支柱13a、13b、14a、14bの上端部13a1、13b1、14a1、14b1の取付部13a3、13b3、14a3、14b3に取り付け、支持台を昇降させることでハンモック38の吊り上げ及び吊り下げを行っていたが、このハンモックでは、棒状体を用いずにハンモックを構成するベルト体を取付部13a3、13b3、14a3、14b3に取り付けることで行うことができる構成となっている。図11Aに示したハンモック138は要介護者の身長を超える程度の長さで形成されており、要介護者を吊り上げることができるような耐性のある材質、例えばナイロンやグラスファイバー等で編み込んだものを用いることができる。なお、ハンモックの長手方向の両端はベルト体138aが設けられている。

そして、ハンモック138の要介護者が乗る側には、一対のスライド部材50が長手方向に沿った両側に一本ずつ取り付けられている。このスライド部材50は、ハンモック138上に取り付けられる固定シート部50aと、この固定シート部50aの上側に設けられる固定シート部50aより長尺に形成されたスライドシート部50bとで構成されている。これらの材質は、例えばナイロンタフタ等で形成することができる。そして、このスライド部材50は、固定シート部50aの長手方向に沿った端部とスライドシート部50bの長手方向に沿った端部とが合わされて取り付けられている。そのため、固定シート部50aを張った状態としたときスライドシート部50bは弛んだ状態となっている。

次に、このスライド部材50のハンモック138への取付けについて説明する。まず、ハンモック138の長手方向に沿った両側に設けられたベルト体138a上と、長手方向のハンモック138の長手方向の中心線138bよりもベルト体138a側に位置する一対の軸線138c上に接続部材、例えば、着脱自在な第1テープ体51がそれぞれ取り付けられる。また、スライド部材50には、このハンモック138の両側のベルト体138a及び軸線138c上に取り付けられた第1テープ体51と対応する位置の固定シート部50a側に着脱自在な第2テープ体52が取り付けられている。そして、ハンモック138と固定シート部50aは、第1テープ体51と第2テープ体52を合わせることで着脱自在に取り付けられる(図11B、図11C参照)。

このとき、スライド部材50の固定シート部50aはハンモック138上に張った状態で取り付けられる。そして、固定シート部50a上にスライドシート部50bを両端を合わせるようにして取り付ける。この取り付けは上述したような着脱自在なテープ体を用いてもよく、また、糸で縫い付けてもよい。なお、スライドシート部50bの大きさは、ハンモック138にスライド部材50が取り付けられたとき、このスライドシート部50bの弛んだ部分によりハンモック138の中央部分138eが覆われるような大きさであり、ハンモック138の網目138dが覆われるようになる。

スライド部材50の取り付け位置及び大きさをこのようにすることで、スライド部材50の固定シート部50aはハンモック138上で張った状態で固定され、固定シート部50aの上側のスライドシート部50bは固定シート部50aの第1及び第2テープ体51、52により固定された部分からはみ出た部分が横方向にスライドすることができるようになる。そのため、ハンモック138に要介護者を乗せる際、要介護者がスライド部材50のスライドシート部50b上に載ることで、スライドシート部50bを固定シート部50a上をスライドさせることで要介護者をハンモック138の所定の位置まで移動させることが容易となる。また、スライドシート部50bの移動をさせることで、要介護者をハンモック138上で適宜移動させることで床ずれによる痛みやこすれを抑制することができるようになる。また、ハンモックは網目状に形成されているので、そのままでは要介護者が網目138dに体重がかかることで身体に網目138dがくい込むため痛みを伴うが、スライド部材50を設けることで、網目138dに直接触れることが抑制され、痛みやこすれを抑制することができる。

また、スライド部材50はハンモック138の両側に取り付けられ、スライドシート部50bをスライドさせることで中央部分138eに網目138dが現れるようになるので、後述する入浴やシャワー時の水抜きを行うことができるようになる。また、ハンモック138とスライド部材50の取付けが着脱自在なテープ体を用いて行うことで着脱が容易に行われ、洗浄や交換を容易に行うことができるようになる。

なお、図11Aに示すハンモックでは、ベルト体の外側にいわゆる53が設けられたおり、この耳53を用いて、搬送したり棒状体に取り付けたりすることができる。そのため、耳53は複数個設けるようにしてもよい。また、スライド部材は、固定シート部とスライドシート部で構成した場合を説明したが、これに限らず、一枚のシート体を筒状に形成し、ハンモック上に下側が固定され上側がスライドするように取り付けることで同様の効果を得ることができる。

さらに、スライド部材を固定シート部とスライドシート部とで構成したが、固定シート部を用いずに、スライドシート部を直接ハンモックに取り付けるようにしてもよい。

次に、他の構成のハンモックについて説明する。この構成のハンモックは図12A〜図12Cに示すように、ハンモック238の要介護者が乗る側に第1シート体54a及び第2シート体54bからなる2重シート体54を設け、この2重シート体54が複数に分割されて取り付けられている場合を説明する。この2重シート体54は、ハンモック238の上側に取り付けられた第1シート体54aとこの第1シート体54aの上側に取り付けられる第2シート体54bで構成されており、第2シート体54bは第1シート体54aに対してハンモック238の幅方向が大きくなるように形成されている。そして、第1シート体54aの両端とハンモック238の両端とを合わせて取り付けられることで第1シート体54aは張った状態で取り付けられる。また、大きく形成された第2シート体54bは、その両端をハンモック238の両端にあわせるようにして取り付けられることで、第2シート体54bは弛んだ状態で取り付けられる。そして、この2重シート体54が複数に分割されてハンモックに取り付けられている。このとき、各2重シート体54はハンモックに対して長手方向のそれぞれの端部が一部重なるような重なり部55が設けられており、ハンモック238の網目が露出しないようになっている。なお、ハンモック238と第1シート体54a及び第2シート体54bの長手方向の両端にはベルト体238aが設けられている。

このように大きさの異なるシート体を重ねた2重シート体54を設けることで、第2シート体54bは第1シート体54a上を大きさの異なる分だけスライドして移動させることができる。そのため、ハンモック238に要介護者を乗せるとき、要介護者がハンモック238の端に乗った場合でも要介護者を直接動かすことなく、第2シート体54bをスライド移動させることで要介護者を容易にハンモック238の所定の位置に移動させることができるようになる。また、第2シート体54bをスライドさせることで、要介護者をハンモック238上で適宜移動させたときの床ずれによる痛みやこすれを抑制することができるようになる。

また、ハンモック238は網目状に形成されているので、そのままでは要介護者が網目238dに体重がかかることで身体に網目238dがくい込むため痛みを伴うが、2重シート体54を設けることで、網目238dに直接触れることが抑制され、痛みやこすれを抑制することができる。このとき、2重シート体54は複数に分割されて設けられているが、これらの端部が重なった重なり部55が設けられているので要介護者に網目238dが触れることを抑制することができる。また、複数に分割された2重シート体54に重なり部55が設けられることで、2重シート体54上での後述するシャワー等を使用したときに水抜きを行うことができる。

また、図12A〜図12Cに示すハンモック238では、ベルト体238aの外側にいわゆる耳53が設けられたおり、この耳53を用いて、搬送したり棒状体に取り付けたりすることができる。そのため、耳53は複数個設けるようにしてもよい。なお、上記では、要介護者のスライドによる移送を2重シート体を用いる場合を説明したが、これに限らず、ハンモック上にスライド可能な第2シート体を直接設けるようにしてもよい。

さらに、上記で説明したハンモックの網目部分を取り除き、ベルト体とスライド部材又は2重シート体のみで吊り上げ部材を構成してもよい。このようにすることで網目がなくなるため、さらに軽量で柔らかい質感とすることができ、要介護者に心地よい使用感を与えることができるようになる。なお、この場合でも、スライド部材はスライドシート部のみで使用してもよく、2重シート体は2重シート体を構成する第2シート体のみで使用してもよい。

なお、ハンモックを代表として説明した各吊り上げ部材は、実施形態1の介護ベッドに用いられるほか、他の用途、例えば、ハンモック単体で使用することもでき、また通常のベッドや担架等に用いることもできる。

次に、実施形態1の介護ベッド10の使用態様として、要介護者へのシャワーを使用した場合について説明する。まず、上述したように、図10Bに示した状態とする。その後、図13Aに示すように、ベッド本体22上のマット36を取り外す。この取り外しは昇降手段及びハンモックを用いることで容易に行うことができるようになる。

マット36をすべて取り外した後、図13Bに示すように、再びベッド本体22を昇降手段16を用いて上昇させる。このベッド本体22の上昇に伴い、各支持台11、12の支柱13a、13b、14a、14bが相対的に下降し、棒状体37及びハンモック38も下降し、要介護者がベッド本体22の格子状の枠体33上に載置されることとなる。そして、給水タンクや小型ポンプ等を利用したシャワーを用いて、要介護者はシャワーを浴びることができるようになり、要介護者の浴びたシャワーの排水はベッド本体22の内側に設けられた貯水槽28に枠体33を通って入り、この貯水槽28から排水することができる。この排水状態は上述したのと同様である。なお、シャワーは、要介護者を枠体の上に寝かせた状態でハンモックを外して行うこともできる(図8E参照)。このとき、ハンモックは複数に分割されているので、要介護者を枠体上に寝かせた状態でも介護者が容易に取り外すことができる。

このように、要介護者が格子状の枠体33上でシャワーを浴びた際には、排水は貯水槽28に流れるため、排水が要介護者に付着することを抑制することができる。すなわち、貯水槽28内でシャワーを浴びると、浴びたシャワーの排水は貯水層内に溜まるため、要介護者に付着するおそれがあり、衛生的に好ましくない。特に、汚物の洗浄を行う場合は排水の付着を避けることが好ましいが、この実施形態1の介護ベッド10では容易に行うことができるようになる。

要介護者のシャワーが終了した後、再びベッド本体22を下降させ、ハンモック38を相対的に上昇させることで要介護者を吊り上げる。この状態で、ベッド本体22の枠体33の上にマット36を載置させ、ベッド本体22を上昇させることでマット36上に要介護者を乗せることができる。マット36上に要介護者を乗せた後、ハンモック38を回収する。この回収は、要介護者の下を通して行うが、上述したようにハンモックは分割されているので、要介護者は回収する部分を持上げたり、マット36の柔軟性を利用したりすることで容易に行える。以上でシャワーの使用態様が終了する。

なお、シャワー後に要介護者の身体についた水分をふき取るのは、任意の時期でよく、ハンモックで吊り上げられたときでもよく、マットに乗せられたときでもよい。また、貯水槽28や枠体33の水分をふき取るのも、同様の時期に行うことができる。なお、貯水槽等の大規模な洗浄は、要介護者が介護ベッド10から離れたときに行うことが好ましい。

なお、このシャワーは、室内で使用されるため蛇口等の給水場から離れている場合には、給水タンクが用いられる。そして、シャワーを使用する時は、例えば5リットル〜30リットル程度の給水タンクを設置し、この給水タンクに小型ポンプを設け、この小型ポンプを介して、シャワーを行うことができる。このように給水タンクを用いることで、給水管等の配管作業が不要となる。

なお、介護ベッドで使用されるシャワーの例としては、例えば、図15Aに示すようなシャワーユニット74がある。このシャワーユニット74は、一方にシャワーヘッド75と、他方に小型ポンプ76とが備られ、シャワーヘッド75と小型ポンプ76とが一本のシャワーホース77で繋がれた構成を有している。また、シャワーヘッド75には、手元でシャワー供給の開閉が可能なバルブ等で構成された開閉スイッチ75aが備えられている。なお、シャワーヘッド75に備えられた開閉スイッチ75aは、シャワーヘッド75のシャワーの開閉を行うものであり、小型ポンプ76のオン・オフを行うものではない。また、小型ポンプ76は供給タンク78内のお湯等の液体83がシャワーホース77を介してシャワーヘッド75に供給可能なものである。

なお、小型ポンプ76には、この小型ポンプ76のコントロールする信号配線や電源を供給する電線等の配線79が接続されている。また、小型ポンプ76とシャワーホース77との間の接続部には図15Bに示すようなシャワーホース結合部材80が設けられている。このシャワーホース結合部材80は、一方にシャワーホース77が接続される第1接続部81と、他方に小型ポンプ76と接続される第2接続部82を有する弾性材料で形成された筒状体で構成されている。また、第1接続部81内でシャワーホース結合部材80と結合されるシャワーホース77の端部には突起77aが形成されており、第2接続部82内でシャワーホース結合部材80と結像される小型ポンプ76から伸びるパイプの端部には突起76aが形成されている。

そして、シャワーを使用するときは、小型ポンプ76を作動させ、シャワーヘッド75の開閉スイッチ75aを開状態とすることで、液体がシャワーホース結合部材80及びシャワーホース77を通り、シャワーヘッド75から放水される。一方、シャワーを止めるときは、シャワーヘッド75の手元にある開閉スイッチ75aを閉状態にすることで、シャワーヘッド75からの放水を止めることができる。このとき、小型ポンプ76の駆動は止まらないため、液体は供給され続けるようになるが、シャワーホース結合部材80の第1接続部81及び第2接続部82に形成されたシャワーホース77の突起77a部分と小型ポンプ76の突起76a部分において、弾性材料で形成されたシャワーホース結合部材80が、小型ポンプ76から供給される液体の圧力により一部分が広がり、外部へと通じる隙間81a、82aから液体が漏れ出すようになる(図15C、図15D参照)。

このような構成とすることで、小型ポンプ76の可動を止めることなくシャワーを止めたとしてもシャワーヘッド75及び小型ポンプ76が高圧状態となることを抑制することができる。そして、小型ポンプを常に可動させておくことができるので、シャワーを必要なときに使用することができる。なお、シャワーホース結合部材は小型タンク内に配置されるようになるので、漏れ出した液体は小型タンク内で循環されるようになる。

次に、要介護者を入浴させる際の実施形態1の介護ベッド10の使用態様を説明する。実施形態1の介護ベッド10での入浴では、上述した吊り上げ部材としてのハンモック38を使用した場合を説明する。この使用の仕方は上記のシャワーの使用態様と同様である。すなわち、図5及び図10を参照して上述したように、まず、ベッド本体22を上昇させ、ベッド本体22のマット36上に寝かせた要介護者の下にハンモック38を通し、このハンモック38を棒状体37に取り付けて、この棒状体37を各支持台11、12の各支柱13a、13b、14a、14bの上端部13a1、13b1、14a1、14b1の取付部13a3、13b3、14a3、14b3に取り付ける。そして、ベッド本体22を下降させることで、要介護者をハンモック38により吊り上げる。この作業は上記と同様である。

その後、図14Aに示すように、ベッド本体22に載置されたマット36と格子状の枠体33のすべて取り外し、ベッド本体22の開口部23aから貯水槽28が現れるようにする。このとき、マット36及び枠体33は、分割されているので、容易に取り外すことができ、枠体33も軽量に形成されているので、介護者により容易に取り外すことができる。このとき、マットの下側にシートを貼ることで、浴槽からの湯気上がりを抑制することもできる。

次に、貯水槽28の内側の表面を覆うようにシート部材、例えば耐水性のシート40を敷く(図14B参照)。このとき、貯水槽28にフック等の取付部材(不図示)を設け、この取付部材にシートを取り付けるようにすることもできる。この貯水槽28は上述したように排泄の処理にも用いられるので、貯水槽28を清浄にしていたとしても入浴する要介護者の精神的な負担となる場合もあるため、シート等を設けることでこのような負担を軽くすることができる。貯水槽28にシート40が敷かれたら、その中にお湯を入れる。このお湯は、簡易ポンプ等で汲みいれてもいいし、家庭のお風呂から運んできてもよい。

なお、シート部材は、シート状のものに限らず、様々な形状を設けたものでもよい。例えば、貯水槽に形成されるような構造(肘掛等)をシート部材に形成することで、貯水槽自体に凹凸を形成する必要がなくなるので貯水槽の製造費用を抑え、且つ、貯水槽の洗浄をしやすくなる。また、シート部材は、着脱が容易であるので、交換が容易となり、また、要介護者の状態に合わせてシート部材の形状を選択することができるようになる。さらに、シート部材は抗菌処理をしていることが好ましく、抗菌処理をすることでシート部材を清潔に保つことができ、要介護者への感染やシート部材からの臭いを抑制することができる。

貯水槽28内の水位が一定以上になったら、ベッド本体22を上昇させる。この上昇により、ベッド本体22の貯水槽28が上昇し、且つ、ハンモック38に乗った要介護者が下降し、要介護者が貯水槽28内のお湯に入ることができる。このとき、要介護者はハンモック38に乗ったままであるが、水深が深ければ問題なく入浴することができる(図16A参照)。なお、入浴中にはハンモックを外してもよい(図16B)。入浴中の要介護者は水の浮力により浮かんだ状態となるので、ハンモックを容易に外すことができ、また、取り付けることも容易にできる。

入浴が終了したら、再びベッド本体22を下降させハンモック38を上昇させる。そして、貯水槽28に敷いたシート40の一部をずらしたり折り曲げたりすることで、シート40内のお湯を貯水槽28内に流し、貯水槽28の排水口31から排水を行う。この排水は上述したのと同様である。

その後、ベッド本体22の開口部23aを枠体33で塞ぎ、枠体33上にマット36を載置する。そして、ベッド本体22を上昇させ、ハンモック38を下降させて要介護者をマット36上に乗せる。以下の作業は上記と同様である。このようにすることで、要介護者を容易に入浴させることができる。

また、実施形態1の貯水槽28は、単に箱状のもので説明しているが、これに限らず、貯水槽を変形させてもよく、例えば、図17A〜図17Dには、貯水槽28'を補強するためのリブ28bが複数個形成されたものである。さらに、使用したい構成に合わせ凸部等を設け要介護者が使用したときの、腰逃げ部、腰上げ部、肘掛部、及び足上げ部等の構造を設けるようにしてもよい。また、図17Aに示すように、凸部として入浴した要介護者の足元に向かうにつれて徐々に狭まるような絞り込み部28cを形成することもできる。このようにすることで要介護者が入浴した際に、少ない水容積で入浴することができるようになり、使用する水やお湯を少なくすることができる。

また、実施形態1の貯水槽は、例えば、図18及び図19に示すような構成とすることもできる。図18及び図19に示す貯水槽28"は、ベッド本体22の内側に着脱自在に設けられ、床部23の開口部23aと対応して上方が開口した箱状体の貯水槽本体28a"を有している。この貯水槽本体28a"には、要介護者が貯水槽28"を浴槽として使用するため寝た状態で収められたとき、要介護者の頭部が載置される頭部配置部28b"と、要介護者の背中部が載置される背もたれ部28c"と、要介護者の腰部が載置される腰部配置部28d"と、脚部が載置される脚部配置部28e"とがそれぞれの所定の深さ及び形状により形成されている。そして、腰部配置部28d"を略中心として、一方側に所定の角度で傾斜して設けられた背もたれ部28c"と、この背もたれ部28c"と繋がった頭部配置部28b"が設けられている。また、腰部配置部28d"の他方側には脚部配置部28e"が設けられている。このとき、頭部配置部28b"が最も高い位置にあり、腰部配置部28d"が最も低い位置になるようにされている。また、貯水槽本体28a"の四方には、ベッド本体22に着脱自在に取り付けるための鉤状の爪部28f"が形成されている。そして、ベッド本体22にはこの爪部28f"を引っかけ、貯水槽28"が取り付けられるための突起部221"(図19F参照)が形成されている。このような構成とすることで、貯水槽の着脱が容易となる。

また、貯水槽本体28a"の上面の長手方向に形成された爪部28f"の内側には、段差28g"が形成されており、この段差28g"に枠体33を載せることができるようになっている。このようにすることで、枠体33の置き場所をベッド本体22に形成する必要がなくなる。また、この段差28g"の下側をベッド本体22により支えるようにすることで、貯水槽28"及び枠体33の強度を高めることができるようになる。なお、この段差28g"が形成されることでこの部分からお湯等が溢れることを抑制することができる。

頭部配置部28b"は、貯水槽28"を浴槽と使用したときに、要介護者の頭部が載置される部分となり、入浴時に頭部を支え、また、洗髪等が行えることができる面積を有している。また、頭部配置部28b"で洗髪等に使用したお湯等が溜まらないように貯水槽本体28a"の中央部分に向かってわずかに傾斜して形成されている。

背もたれ部28c"は、要介護者の背中部分を支えることができるような傾斜を有して形成されている。この傾斜は、要介護者が貯水槽28"を浴槽として使用した場合に、貯水槽本体28a"に貯水されたお湯等が、頭部配置部には入らない、もしくは、要介護者の耳の位置よりも下となる位置になると共に、要介護者の頭部より下の身体部分がお湯等に浸ることができるような角度となっている。

なお、頭部配置部28b"と背もたれ部28c"との間の中央部分には、要介護者の首部が収まるような形状の首部配置部28h"が設けられている。この首部配置部28h"は、貯水槽本体28a"と一体に形成されてもよく、また、別の部材で形成するようにしてもよい。

腰部配置部28d"は、要介護者の腰部が載置される部分となるため、貯水槽本体28a"の中で最も低い位置に設けられている。そのため、この腰部配置部28d"には、排水口31"が設けられている。また、腰部配置部28d"と脚部配置部28e"との間には脚部配置部28e"が高くなるように段28d1"が形成されている。そのため、要介護者が入浴の際、この段28d1"に要介護者の腰部を引っかけることにより滑り止めとすることができるようになり、要介護者が貯水内に浸水してしまうことを抑制することができる。

脚部配置部28e"は、要介護者の脚部が置かれる部分となり比較的長く形成されている。また、脚部配置部28e"は腰部配置部28d"に向かって緩やかに傾斜して形成されている。なお、この脚部配置部28e"には、要介護者のつま先が載置される部分に向かうにつれて狭まるような絞り込み部28e1"が形成されている。この絞り込み部28e1"は貯水槽本体28a"の所定の高さまで形成されている。このように絞り込み部28e1"が設けられていることで使用する水量を減らし節水を図ることができる。なお、頂部28e2"の高さと頭部配置部28b"の高さを略同じ高さとなるように形成することで絞り込み部28e1"の頂部28e2"を基準とし、供給する水量をこの頂部28e2"を越えないようにすることで、要介護者の頭部にお湯等が浸ってしまうことを抑制することができる。

また、絞り込み部28e1"が形成されることにより、入浴に使用するお湯等の量が抑えられ節水の効果が得られると共に、貯水槽28"にかかるお湯等の重さが抑えられるので、貯水槽28"の破損を抑制することができる。さらに、貯水槽28"にかかる重さが抑えられることで、貯水槽28"を形成する材料費を抑えることができる、貯水槽28"を安価に製造することができるようになる。なお、貯水槽は上記の形態を有するシート状の材料で形成してもよい。このようにすることで、より安価な貯水槽を提供でき、また、貯水槽の交換が容易となる。この場合、シート状の貯水槽では十分な強度が得られないので、貯水槽の下方に、支持板体30(図4参照)のような構造を設けるようにすると好ましい。

また、貯水槽28"は様々な体型の要介護者が使用するため、多くの体型に対応するように形成することが好ましい。そのため、貯水槽28"は、腰部配置部28d"を基準として、脚部配置部28e"を長尺に形成することで、身長の高い要介護者にも対応することができる。また、背もたれ部28c"を短く形成するようにすることで、背の低い要介護者に対応することができる。このとき、要介護者の身長の違いにより要介護者の首の位置が異なり、首部配置部28h"を形成する位置も異なるが、別部材で形成した首部配置部28h"を所定の位置に配置したり、タオル等を用いたりすることで対応することができる。なお、この背もたれ部28c"をなだらかに形成することで身長の高い低いに関わらず身体全体をお湯等に浸すことができるようになる。

また、介護ベッド10は要介護者及び介護者の使用態様、例えば要介護者の車椅子からの移動や介護者の介護全般を考慮すると、介護ベッドの高さは低いほうが好ましい。さらに、実施形態1の介護ベッド10は昇降することができるので、その最も降ろした状態を低くすることがより好ましい。

そのため、ベッド本体22をより薄く形成することが必要となり、ベッド本体22に設けられる貯水槽28"も薄く形成する必要があるが、上述した貯水槽28"によれば、貯水槽28"を薄く形成しても要介護者が入浴した状態であっても十分にお湯等に浸ることができるようになる。なお、貯水槽の高さをより低くすることで、要介護者の入浴を半身浴に特化させることもでき、心臓に負担のかかる全身入浴が困難な要介護者に対して用いることもできる。このとき、半身浴用の貯水槽とすることで、貯水槽をさらに薄く形成することができるので、より介護ベッドの高さを低く形成することができるようになる。

また、排水口31"に接続された排水管32"も図19Gに示すように斜めに取り付けたり、排水管をL字状に形成したりすることで、ベッド本体22をより低い状態に配置することができるようになる。

なお、この貯水槽28"は介護ベッドに用いる以外にも、簡易浴槽として使用することができる。例えば、金属パイプ等で箱状の枠を作り、この箱状の内側の貯水槽を取付ける。この取付けは、貯水槽本体の爪部を箱状の枠の上辺端部に取り付けることで行うことができ、簡単に簡易浴槽とすることができるようになる。なお、この簡易浴槽は、キャンプ等のアウトドアで使用できるほかに、被災地等の仮設住宅等にも使用することができる。

また、ハンモックの吊り上げ及び吊り下げについて、図20A及び図20Bを参照して他の構成について説明する。なお、図17A及び図20Bでは一方の支持台側を代表して図示するが、他方の支持台側にも同様の構成を有している。また、図17A及び図20Bではベッド本体22にヘッドボード22aが設けてある。そのため、他方の支持台側のベッド本体にフットボードを設けるようにしてもよい。

ハンモック338は、図20Aに示すように、ハンモック338の長手方向に沿った両端部にハンモック338の長さより長尺のベルト体338aが設けられている。そして、このベルト体338aは支持台11の各支柱13a、13bに亘って取り付けられた梁部材15の上側を介し、ベッド本体22の床部23の床部取付部221にベルト体338aの端部338a1が取り付けられている。なお、この端部338a1には取り付け用の金具等が設けられている。さらに、ベルト体338aには、ベルト体338aの長さの調節が可能な構造、例えばバックル等を設けることもできる。

このようにすることで、ハンモック338吊り上げる場合、ベッド本体22を下降させることでベッド本体22に取り付けられたハンモック338のベルト体338aの端部338a1が下降し、それに合わせ、支持台11に設けられた支柱13a、13bが上昇することで、この支柱13a、13bに取り付けられた梁部材15も上昇する。そして、梁部材15を介して配設さているベルト体338aは、ベルト体338aの端部338a1が下降し、この端部338a1とハンモック338との間の梁部材15を介している部分のベルト体338aが上昇するようになる。そのため、ハンモック338はベッド本体22の下降距離に対して略2倍の距離を上昇させることができるようになる。また、ハンモック338を吊り下げる場合についても同様の工程となる。すなわち、ベッド本体22が上昇するに伴い、支柱13a、13bに取り付けられた梁部材15が下降することで、ベッド本体22に取り付けたベルト体338aの端部が上昇し、梁部材15を介していた部分のベルト体338aが下降することで、ハンモック338の吊り下げを行うことができる(図20B参照)。

なお、この構成のハンモックの吊り上げ等については、支持台の昇降に連動して支柱が昇降する場合に限らず、支持台の昇降に支柱が連動しない場合にも適用することができる。その場合は、ハンモックの吊り上げ等の移動距離は支持台の昇降距離と略同じとなるが、構造をシンプルにすることができるので、介護ベッドを安価に提供することができるようになる。なお、図20では、ベッド本体にヘッドボードが設けられた場合を図示しているが、これに限らず、図5等に示すようにヘッドボードのないものにも適用することもできる。

一方、ハンモック338にベルト体338aを設ける場合、このベルト体338aが長くなるため、ハンモック338の着脱の作業等においてベルト体338aの端部が振り回され要介護者や介護者にあたると怪我をするおそれがあり、また、物等に当たると破損するおそれがある。なお、ベルト体338aの端部はベッド本体22と確実に取り付ける必要があり、強度を得るために金属等で形成されることになり怪我や破損のおそれは顕著となる。そのため、ハンモックに設けられているベルト体をできるだけ短くすることが好ましい。

そこで、図21Aに示したハンモック438では、ハンモック438に設けられる吊り上げベルト体としてのベルト体438aを短くし、このベルト体438aと接続されベッド本体22の床部取付部221に取り付けられる取付けベルト体としてのベルト体56を有する構成とされている。このハンモック438のベルト体438aと別体のベルト体56との接続は、ベルト体438aの端部に設けられた第1結合部57とベルト体56のベッド本体22の床部取付部221に取り付けられる側の端部56aとは反対側の端部に取り付けられた第2結合部58とを結合させることで行われる(図21B参照)。なお、これらの第1結合部57と第2結合部58とは金属等で形成されている。このようにすることで、ハンモック438に設けられたベルト体438aを短くすることができるので、ハンモック438の着脱等の際にベルト体438aの端部の第1結合部57が振り回されても狭い範囲であるので要介護者等に当たることが抑制され安全性を高めることができるようになる。

また、第1結合部57と第2結合部58をワンタッチで着脱可能なものとすることで第1及び第2結合部57、58の着脱も容易となる。なお、この第1結合部57及び第2結合部58は市販されているものを用いることができる。

また、ハンモックに設けられたベルト体の安全性をより向上させる構成について図21Cを参照して説明する。この構成ではハンモック538に吊り上げベルト体としてのベルト体538aが設けられているがその端部には金属製の結合部は設けられておらず、ベルト体538aの端部が一周され環状に形成された環状部59が形成されている。また、ハンモック538とは別部材で形成された取付けベルト体としてのベルト体60が設けられている。このベルト体60は、一端及び他端にそれぞれを結合するための着脱自在の金属製の接続部60a、60bがそれぞれ設けられており、これらの接続部60a、60bが接続されてループ状となるようにして用いられる。なお、ベルト体60には、この使用するベルト体60の長さを調節するための構造を設けることもできる。この調節は、接続部60a、60bで行うようにしてもよく、また、ベルト体60に、バックル等を設けるようにしてもよい。

ハンモック538の取り付け方は、まず、各接続部60a、60bが接続されていない状態の帯状のベルト体60を、ハンモック538のベルト体538aの環状部59内を挿通させると共に、梁部材15が内側に配置されるようにループ状にし、ベルト体60のそれぞれの接続部60a、60bを接続させることで取り付けが終了する。このときベルト体60は梁部材15に設けられた取付部151に取り付けるようにすることもできる。そして、ハンモック538の吊り上げに際しては、ベッド本体22が下降し、支柱13aに取り付けられた梁部材15が上昇することでハンモック538がベルト体60に引っ張られ、ハンモック538が吊り上げられる。なお、図21Cでは支柱13bは省略するが、同様の工程で行われる。このようにすることで、ハンモック538のベルト体538aに金属製の部材が設けられていないので、より安全性を高めることができる。

また、図20A及び図20Bでは、ハンモック338のベルト体338aの端部338a1を床部22に形成された床部取付部221に取り付けた場合を示したが、これに限らず、図22Aに示すように、梁部材15に設けられた取付部151に取り付けるようにしてもよい。このようにすることで、床部22に床部取付部221を設けるよりも構造が簡単となる。また、梁部材15の取付部151に不具合が生じた場合でも、介護ベッドの使用を継続しつつ、梁部材の交換のみを行うことができる。

さらに、図22Bに示すように、梁部材15の取付部151へのベルト体の取り付けにおいて、図21Aに示したように、ハンモック438のベルト体56'とベルト体438aに分割し、ベルト体56'の端部56a'を梁部材15の取付部151に取り付けるようにすることもできる。このとき、ハンモック438の第1結合部57とベルト体56'の第2結合部58は、図21Bに示した構成と同様に、第1結合部57と第2結合部58をワンタッチで着脱可能なものとすることで第1及び第2結合部57、58の着脱も容易となる。

また、図23Aに示すようなハンモック138'を用いることもできる。図23Aに示したハンモック138'は、上記のハンモック138'の長さの略半分程度の長さに要介護者Hが乗る網目138d'及びスライド部材50'が設けられており、両端のベルト体138a'は上記と同じ長さとなっている。ハンモック138'をこのような構成とすることで、要介護者を吊り上げる際、図23Bに示すように座った状態で行うことができるようになり、寝た状態で吊り上げられる場合に比べ、要介護者への不安感を抑制することができる。図23Aでは、図11Aで説明した吊り上げ部材の構造を用いて示したがこれに限らず、他の構成の吊り上げ部材を略半分にした構成としてもよい。

また、上記では、吊り上げ部材としてハンモックを用いた場合を説明したが、これに限らず、マット上に敷いたシーツを吊り上げ部材とすることもできる。その場合、シーツの長手方向の両端部に上記のハンモックに用いられたようなベルト体を設け、支柱やベッド本体等と接続できるような構造とするようにする。これらの構成は上記のハンモックに用いたベルト体と共通する。このようにすることで、要介護者が使用しているシーツを用いて吊り上げを行うことができるので、上記のようにハンモック要介護者の下に設ける作業を省くことができる。なお、シーツは、吊り上げられたときの要介護者の重さを支えることができるような材質や構造を有している必要がある。

[実施形態2] 次に図24を参照して実施形態2の介護ベッド10Aについて説明する。実施形態2の介護ベッド10Aは、要介護者が食事や読書等を行いやすいように、上半身部分をリクライニングさせることができるようにしたものである。介護ベッド10のリクライニングを行う場合、一方の支持台11に設けられたそれぞれの支柱13a、13bの上端部13a1、13b1の取付部13a3、13b3と格子状の枠体33の支柱側の端部331とを接続部材41、例えば、ワイヤーやロープ、板状体等で接続して行われる。なお、実施形態1の介護ベッド10と共通する構成には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。

各支柱13a、13bの上端部13a1、13b1には、上述したように取付部13a3、13b3が設けられており、棒状体37が取り付け可能なようになっている。そのため、接続部材41の一端41aに各支柱13a、13bの上端部13a1、13b1の取付部13a3、13b3の突起に取付け可能な、例えば、突起に引っ掛けることができる輪を設けることで、接続が容易に行うことができ、また、外れ難くすることができる。

一方、枠体の端部331には、接続部材41の他端と接続可能な構造、例えば、垂下した突起、もしくは、貫通口等を設け、この部分に接続部材41の他端41b接続させる。接続部材41の他端の構造として、例えば、垂下した突起が貫通する輪を設けたり、貫通口と接続可能なフック等を設けたりすることができる(図24BのA部参照)。

以下、図24を参照してリクライニングの使用方法について説明する。まず、図24Aに示すように、ベッド本体22を昇降手段16によって上方に配置させ、各支柱13a、13bの上端部13a1、13b1の取付部13a3、13b3と枠体33の端部331とを接続部材41とで接続させる。このとき、ベッド本体22を上方に配置させることで各支柱13a、13bの上端部13a1、13b1とベッド本体22の枠体33とが近接するので、接続部材41を取り付けやすくなる。

次に、ベッド本体22を下方に移動させる。このとき、各支柱13a、13bは上方へと移動するので、この各支柱13a、13bの上端部13a1、13b1に接続された接続部材41は上方へと移動する。そして、この上昇に伴い、接続部材41も上方へと移動するので、接続部材41の他端41bと接続された枠体の端部331も上方に移動することとなり、枠体33は接続部材41が接続されている側が上方となるように傾斜するようになる。一方、枠体33の他方はベッド本体22に設けられており、下方へと移動することとなるので、昇降手段16の移動距離に比べて、この枠体33の傾斜はより大きくすることができる。また、枠体33上に載置されたマット36は、この枠体33の傾斜に沿って曲げられる(図24B参照)。

以上で、介護ベッド10Aのリクライニングが完了する。なお、リクライニング時は、要介護者をベッド本体22上に寝かせたままでもできるし、他の場所に移動させ、リクライニング後に再びベッド本体上に戻してもよい。

ここで、リクライニングによる枠体33の構成の一例について図25を参照して説明する。なお、説明に必要のない構造の図示は省略する。この例では例えば、上半身部分の枠体33aをリクライニングするために一部が屈曲するように構成させる。この部分は、要介護者が上半身を持ち上げるのに適度な部分で屈曲させることができる。このとき、接続部材41と枠体33とが接続された状態で、リクライニングを行うと、接続部材41の長さが足りなくなる。接続部材41は要介護者の上半身をのせるので長さが変更する弾性部材等で形成することができない。そのため、枠体33aの端部331の接続部材41の他端41bとの接続する部分が可変する構成を有するようにしている。すなわち、図25Aに示すように、この接続部材41と枠体33aは、リクライニングしていない状態のときが最も短い状態であり、リクライニングを行い傾斜し始めると支柱13a、13bの上端部13a1、13b1の取付部13a3、13b3と枠体33aの端部331との距離が離れていくので、足りない長さを補う必要がでてくる。このとき、図25Bに示すように、接続部材41の他端41bを枠体33aの端部331から内側に接続するようにし、この接続部分を可動させることで、長さを可変させることができるようになる。そして、図25Cに示すようにリクライニングが可能となる。なお、リクライニングの角度の調整は接続部材の長さを変更することで行うことができる。このように、接続部材を設けるだけでリクライニングを行うことができるなるため、安価にリクライニングの機能を追加した介護ベッドを提供することができる。

また、他のリクライニングの例としては、図26A及び図26Bに示すように支柱13aに取り付けられた接続部材としてのワイヤーで枠体の反対側の端部46(以下、他端部という。)を引っ張り、枠体33aを傾斜させ持上げる構成を有している。このリクライニングを行う場合のベッド本体22にはヘッドボード22aが設けられており、支柱13aは支柱の駆動する部分を残しベッド本体から現れる部分を取り外した状態でおこなわれる。すなわち、支柱の駆動部の上端部47と枠体の他端部46が長尺のワイヤーで接続されその間に複数の滑車が設けられている。具体的には、支柱の駆動部の上端部47と滑車PAとの間にワイヤーWA、滑車PAと滑車PBとの間にワイヤーWB、滑車PBと滑車PCの間にワイヤーWC、滑車PCと滑車PDとの間にワイヤーWD、滑車PDと他端部46との間にワイヤーWEが配置されている。そして、昇降手段により支柱の駆動部の上端部47が上昇すると、それにつれてワイヤーWAが引っ張られ、それに伴いワイヤーWB〜ワイヤーWEもそれぞれ引っ張られ、最後にワイヤーWEに接続された他端部46が引っ張られることで、枠体に設けられた支点を中心に枠体が傾斜し、リクライニングを行うことができる。このとき、ワイヤーWA〜ワイヤーWE間に設けられた滑車PA〜滑車PDにより、各ワイヤーの移動が円滑に行われる。このような構成とすることで、リクライニングの際に、ベッド本体から現れる部分の支柱が取り外されているため、介護者の動きを妨げるおそれがなくなり、効率よく介護を行うことができる。さらに、要介護者が支柱等により、怪我等をするおそれも少なくなる。また、支柱等がなくなるため、デザインの自由度が増し、デザインのしやすさが向上する。

また、ワイヤーWDを分割可能とし、この分割した部分で着脱ができるようにすることで、格子状の枠体33aのベッド本体からの取り外しが容易に行うことができるようになる。

また、図26Cに示すようにリクライニングを行わない場合は、ヘッドボード22aに備えられ滑車PAが設けられているレバーLを動かすことで、支柱の駆動部の上端部47と滑車PBとの間のワイヤーWA、WBの張りを緩めることで、昇降手段を可動させても、リクライニングを行わないようにすることができる。

また、さらに他のリクライニングの方法について図27A及び図27Bを参照して説明する。このリクライニングの方法では、リクライニング用のアクチュエータ63を有する一対のリクライニング機構62がベッド本体22内に備えられている。なお、ここで用いるアクチュエータは、支持台内の昇降手段に用いられているアクチュエータとは連動していないものである。また、このリクライニング機構はベッド本体内の両側に一つずつ対向して設けられているが、同様の構成であるので、代表して一方側のみを説明する。

このリクライニング機構62は、駆動手段64により出し入れされる棒状の作動杭65を有するアクチュエータ63と、このアクチュエータ63の作動杭65と回動自在に接続された駆動板66と、この駆動板66と一体に形成されベッド本体22の枠体33aを下方から押し上げるリクライニング部材67とで構成されている。

駆動板66は、鋭角の略三角形状の板体で形成されており、鋭角部分66aがベッド本体22の長手方向の側面24と回動自在に固定されている。また、リクライニング部材67は、駆動板66の底辺部分66bと一体に形成されており、駆動板66が固定された点を中心とし、駆動板66の側辺を半径とした円弧の一部となる形状の棒状部材で形成されている。そして、リクライニング部材67の駆動板66とは反対側の端部は、回転可能な滑車体68が設けられ枠体33aの両端の下側に配置されている。なお、枠体33aは一部で屈曲できるような構成とされており、さらに、枠体33aの両端の下側には、滑車体68が回転移動しながら案内されるガイドレール69が設けられている。

また、アクチュエータ63は駆動手段64側の端部がベッド本体22の短手方向の一方の側面27の内側に設けられた固定部70に回動可能に取り付けられて固定されている。また、アクチュエータ63の作動杭65はその先端が駆動板66の作動杭65と遠い側辺66cに回動可能に固定されている。

なお、このリクライニング機構62では、図27Aに示すようにリクライニングがされていない状態、すなわち、ベッド本体22が平坦な状態のとき、アクチュエータ63の作動杭65は突出した状態となっている。また、滑車体68と枠体33aとは一定の距離を置いて配置されている。

そして、リクライニングを行う場合、図27Bに示すようにアクチュエータ63の駆動手段64を駆動し、作動杭65を引き入れることで駆動板66をアクチュエータ63側に引き寄せる。このとき、駆動板66は駆動板66の鋭角部分66aが固定されているため、この部分を中心として回動される。そして、この駆動板66の回動に伴い、駆動板66の底辺部分66bと一体に形成されている円弧状のリクライニング部材67が円弧に沿って回動する。このリクライニング部材67の円弧に沿った回動により、リクライニング部材67の端部に設けられた滑車体68が枠体33aの両端の下側と当接し、その後、さらにリクライニング部材67が回動することで、枠体33aの下側を滑車体68がガイドレール69に沿って回転しながら移動し、枠体33aが押し上げられるようになる。そして、このリクライニング部材67が枠体33aを押し上げることによりリクライニングが行われる

このような構成とすることで、リクライニング機構をベッド本体内側の貯水槽を除いたわずかなスペースに設けることができるようになる。また、滑車体を用いることでリクライニングを円滑に行うことができ、要介護者の安定したリクライニングを行うことができる。

また、さらに他のリクライニングの構成について図28〜図30を参照して説明する。このリクライニングの方法では、リクライニング用のアクチュエータ85を有するリクライニング機構84がベッド本体22内に備えられている。なお、ここで用いるアクチュエータは、支持台内の昇降手段に用いられているアクチュエータとは連動していないものである。また、ここで説明するリクライニング機構はベッド本体内の両側に一つずつ対向して設けられているものであるが、これらは同様の構成であるので代表して一方側のみを説明する。

図28A〜図28C及び図29に示すように、このリクライニングの構成は、駆動手段86により出し入れされる棒状の作動杭87を有するアクチュエータ85と、この作動杭87の端部87aと回動自在に連結された板状体のリンクビーム88と、このリンクビーム88の作動杭87と連結された側と反対側の端部88aが回動自在に連結された枠体33aに取り付けられた固定部材89と、作動杭87の端部87aとリンクビーム88と共に回動自在に連結されたリンクプレート90と、リンクプレート90の作動杭87と連結された側と反対側の端部90aと連結された第1頂点部分91b、第2頂点部分91c及び第3頂点部分91dを有する略三角形状の板状体のカムプレート91と、このカムプレート91に形成された移動溝91aに連結されてカムプレート91の回動に伴い移動可能なシャフト92と、このシャフト92の移動に伴いリクライニングする枠体33aとを有している。なお、枠体33aには一部が屈曲し上下動可能なアーム部材93が設けられている。

以下各構成について説明する。まず、固定部材89はリクライニングされるアーム部材93が設けられた枠体33aの下方側に取り付けられる固定部89aと、この固定部が延設される矩形状の側面部89bと、この側面部89bの短辺側を直角状に屈曲させた屈曲部89cと、この屈曲部89cからさらに直角状に屈曲させた一対の第1取付部89d及び第2取付部89eとで構成されている。この側面部89bはベッド本体22の内側に向かって突出させて形成されている。この固定部材89の側面部89bのベッド本体22の内側の部分には、支持台11と隣接する位置まで延設されたコ字状のベース部材94が取り付けられている。そして、このベース部材94の支持台11側にはアクチュエータ85が固定されている。

そして、アクチュエータ85の作動杭87の端部87aに連結されたリンクビーム88は、一方が作動杭87と回動自在に連結されており、他方が固定部材89の支持台11と離れた側の第1取付部89dに回動自在に取り付けられている。このリンクビーム88は、作動杭87の端部87aを移動が行えるように支持する部材となる。また、アクチュエータ85の作動杭87の端部87aに連結されたリンクプレート90は、一方が作動杭87と回動自在に連結されており、他方がカムプレート91と回動自在に連結されている。このリンクプレート90は、出し入れされる作動杭87の移動をカムプレート91に伝える部材となる。カムプレート91は略三角形状に形成されており、固定部材89の支持台11と近接する側の第2取付部89eに回動自在に取り付けられている。リンクプレート90はカムプレート91の1つの第2頂点部分91cと連結されている。

また、カムプレート91にはリンクプレート90が連結された第2頂点部分91cの他の2つの第1、第3頂点部分91b、91dが結ばれるように円弧状の移動溝91aが形成されている。なお、第2取付部89eへのカムプレート91の取り付け位置は、カムプレート91の頂点部分のうち、枠体33aに近接する位置に形成された第1頂点部分91bの移動溝91aから支持台11側に向かった位置で取り付けられており、カムプレート91の回動の支点となるカム支点91eとなっている。そして、このカム支点91eを軸としてカムプレート91が回動するようになっている。また、このカムプレート91には、枠体33aに設けられたアーム部材93をリクライニングさせる棒状体のシャフト92が取り付けられている。

このシャフト92の一端側には、カムプレート91の移動溝91aが形成された頂点部分のうち、支持台11に近接する第3頂点部分91dの移動溝91a内に、この移動溝91a内を移動可能な移動軸92aが設けられている。そして。移動軸92aはカムプレート91の可動により、この移動軸92aが移動溝91a内を移動することができるようになっている。また、シャフト92の他端側にはアーム部材93を押し上げるためのローラー92bが設けられている。また、シャフト92は、固定部材89の突出した部分のベース部材94が取り付けられた側とは反対側に取り付けられたガイド部材95内に形成されたガイド孔に挿通されて設けられている。

次に、このリクライニングの動作について説明する。まず、リクライニングがされていない場合は、アクチュエータ85の作動杭87が突出され図28Aに示すような状態となっている。すなわち、アクチュエータ85の作動杭87の突出により作動杭87の端部87aに結合されたリンクプレート90は、カムプレート91の一端が引っ張られることでカム支点91eを軸にカムプレート91が回動し、カムプレート91に形成された移動溝91a内を移動するシャフト92の移動軸92aを最も低い位置に配置させるようになっている。そのため、シャフト92自体も下げられアーム部材93を押し上げるローラー92bも低い位置となり、リクライニングがされない状態となる。

そして、リクライニングを行う場合は、図29に示すようにアクチュエータ85の駆動手段86を駆動させ作動杭87を引き入れる。この作動杭87の引き入れにより、リンクプレート90がカムプレート91の一端を押圧することで、カムプレート91のカム支点91eを軸にカムプレート91が回動する。そして、このカムプレート91の回動により、カムプレート91に形成された移動溝91aも移動し、この移動溝91a内に支持されたシャフト92の移動軸92aが移動溝91aに沿って移動することになる。この移動軸92aの移動によりガイド部材95内のガイド孔に沿ってシャフト92自体も上方へ移動し、シャフト92の他端側に設けられたローラー92bによりアーム部材93が押し上げられるようになり、リクライニングが行われるようになる。

このとき、ローラー92bが回転することによりアーム部材93の上昇を円滑に行うことができるようになる。また、このローラー92bの移動を正確に行うためにアーム部材93の下側にこのローラー92bをガイドするレールを設けてもよい。また、シャフト92は固定部材89に取り付けられたガイド部材95内のガイド孔に沿って移動するので、シャフト92は直線状に移動することができるのでリクライニングを安定して行うことができる。

また、このときのカムプレート91の移動溝91aとシャフト92の移動軸92aとの関係を図30A〜図30Cを参照して説明する。リクライニングがされていない状態では、図30Aに示すようにシャフト92の移動軸92aは、最も低い位置(第3頂点部分91d)に配置されるようになっている。そして、リクライニングが行われ、図30Bに示すようにカムプレート91がカム支点91eを軸として所定角度θ1、例えば30°回動させたときには、カムプレート91が移動するにしたがって、移動軸92aは円弧状に形成された移動溝91a内を移動し徐々に移動軸92aが最初の位置から斜め上方(距離L1)へと移動されるようになる。その後、作動杭87の引き入れが終了しカムプレート91の回動が所定角度θ2、例えば60°回動させて止まったとき(図30C参照)、移動軸92aは移動溝91aの他の第1頂点部分91bまで移動し移動軸92aが最初の位置から距離L2(L1<L2)に亘り斜め上方へ移動し最も高い位置に配設されるようになる。このとき、枠体33aに設けられたアーム部材93のリクライニングも最も傾斜した状態となる(図29参照)。

このような構成とすることで、リクライニング機構84は枠体33aに取り付けた固定部材89を基準とされているので、この固定部材89を取り付けることでリクライニング機構84を容易に取り付けることができると共に、わずかなスペースでも取り付けることができるようになる。それに加え、このリクライニング機構84はオプションとして介護ベッドに取り付けることができるようになる。

また、上記ではベッド本体の両側に一対のアクチュエータを有するリクライニング機構を用いた場合を説明したが、これに限らず、アクチュエータを除くリクライニング機構をベッド本体の両側に設け、アクチュエータのみをベッド本体の中央部分に1つだけ取り付ける構成とし、この1つのアクチュエータの動作により、ベッド本体の両側に設けたリクライニング機構を作動させるような構成としてもよい。このようにすることで、同じアクチュエータの動作で両側のリクライニング機構を作動させるので、両側のリクライニングを均等に行うことができ、要介護者に安心感を与えることができる。

また、さらに他のリクライニング方法を使用した介護ベッド10Aについて説明する。なお、この説明では、一方の支持台11側を代表して説明するが、他方の支持台12側にも同様の構成がされている。また、必要な構成以外の貯水槽等の図示も省略する。この方法は、図31Aに示すように、支持台11に設けられた各支柱13a'を長尺に形成し、その支柱13a'の上端部13a1'の取付部13a3'に棒状体37を渡した構成となっている。なお、図31Aでは、支柱13b'は省略されているが、支柱13a'と同様の工程が行われる。そして、この棒状体37に設けられた第1連結部61aとリクライニングが行われる要介護者の頭部側の枠体33aに設けられた第2連結部61bとがワイヤーやロープ、金属製の棒状体等の連結部材61により連結されている。また、リクライニングがされる枠体33aは一部から屈曲できるような構成とされている。なお、このときの支柱13a'の上端部13a1'の高さは、床から1.5m〜2.5m程度となるようにされている。

そして、リクライニングを行う場合は、図31Bに示すように要介護者がマット36上に寝ている状態でベッド本体22を上昇させ、ベッド本体22と棒状体37の位置が近接した位置とする。このとき、棒状体37の第1連結部61aと枠体33aの第2連結部61bとを連結部材61で連結させる。その後、ベッド本体22を下降させ、棒状体37との距離が離れると共に、棒状体37に連結された連結部材61により枠体33aが引っ張られることでリクライニングが行われる。なお、ベッド本体22が下降すると同時に棒状体37が接続された支柱13a'は上昇するので、ベッド本体22の昇降距離が短い場合でも、リクライニングを行うことが可能となる。また、リクライニングの構成が棒状体37と枠体33aを連結部材61で連結するだけの簡単なものであるので、安定した動作でリクライニングを行うことができるようになる、さらに、簡単な構成であるため製造コストを抑えることができ、安価な介護ベッドを提供することができる。また、各棒状体37の間には強度を保つための梁を設けるようにしてもよい。

なお、連結部材61をワイヤーやロープの紐状体とし、棒状体37の第1連結部61aにウインチ等の巻き取り装置を設け、この巻き取り装置を可動させることでベッド本体の昇降を行わずにリクライニングを行うことができるようになる。この巻き取り装置を用いた構成は、各支柱を長尺に形成し、この支柱に棒状体を渡すことで可能となる。そして、この巻き取り装置を用いたリクライニングの構成は、単独で設けることもできるし、ベッド本体の昇降によるリクライニングと併用することもできる。このようにすることで各々を別々に使用してリクライニングを行うこともでき、また、ベッド本体の昇降によるリクライニングの補助として使用することもできる。

また、図32に示すように、介護ベッド10Aは、要介護者の下肢部のマット36c及び枠体33c(図2参照)を外した状態でリクライニングを行うことで、要介護者は、脚を貯水槽28側へ下ろした状態、すなわち、椅子に座るような状態で座ることができるようになる。従来では、リクライニングを行った状態では、要介護者は脚をベッド上に伸ばした状態となるため、例えば、食事のとき非常に食べ難い状態となってしまう。また、脚を曲げて、いわゆる胡坐をかくことはできるが、脚が不自由な要介護者は胡坐をかくことは困難となり、また、長時間、胡坐をかくと脚がしびれるおそれがある。一方、図32に示したような、椅子に座るような状態が可能となることにより食事がとりやすくなると共に、長時間、座っていることが可能となる。そのため、実施形態2の介護ベッドによれば、リクライニングが行えるようにマット及び枠体の着脱と組み合わせることにより、椅子に座るような座り方をベッド上で行うことができるようになる。なお、図32では、図31に示したリクライニングの方法を用いた場合を示したがこれに限らず、上述した他のリクライニングの方法を用いることもできる。

なお、上記リクライニングの方法においては、リクライニングを行うために枠体33a(図27参照)もしくは枠体33aに設けられたアーム部材93(図29参照)を押し上げるリクライニング部材67及びシャフト92はリクライニングを行う部分の枠体33aを取り外したとき、ベッド本体22の上面側の床部23から突出することとなる。この突出をそのままにすると要介護者や介護者がぶつかったり、引っ掛かったりして危険となるおそれがあるため、図33A及び図33Bに示すような取り外した枠体とは別の部材であって、突出するシャフト等を覆うための枠状部材96を設けることができる。以下、シャフトを用いた場合を例にして説明する。

この枠状部材96は、複数本の梁が貯水槽28(28'、28")の周囲を囲むような「コ」字状に形成され、突出するシャフト92の上方に配置されている。そして、この枠状部材96は一部が屈曲できる構造となっており、シャフト92の出し入れにより梁が押圧されてリクライニングが可能な構成となっている。また、この枠状部材96がリクライニングされることで、枠状部材96の上側に載置した枠体等のリクライニングを行うことができるようになる。このようにすることで、シャフトの突出を抑制することができる。また、シャフトが突出するための穴も塞ぐことができるので見た目をよくすることができる。

さらに、この枠状部材96に図33A及び図33Bに示すような網97を設けることもできる。枠状部材96に網97を設けることで、要介護者を入浴させた状態でリクライニングを行うことができるようになり、枠状部材96を有効に活用することができ、要介護者が容易に身体を起すことができると共に、介護者の負担を抑制することができる。なお、この網97の上には、上述したスライド部材50(図11参照)や、2重シート体54(図12参照)等を設けることもできる。

なお、本発明の介護ベッドには、要介護者及び介護者の安全を考慮した構成となっている。以下、図34を参照して介護ベッドに備えられている安全構造の一例について説明する。安全構造としてベッド本体が下降したとき、支持台11が設けられた側のベッド本体22の側面24、25、27(側面26は不図示)の下側に爪先等が入らないように、支持台11の側面からベッド本体22の側面までの間の隙間G1が所定の長さ以内となるように形成されている。具体的には、図34A〜図34Dに示すように、支持台11の側面からベッド本体22の側面24、25、27までの長さの隙間G1が、例えば20mm以内となるように形成されている。

また、ベッド本体22が下降したとき、ベッド本体22の側面24、25、27の下側で脚の爪先等が挟まれるおそれがあるため、介護ベッドを設置した床面からベッド本体22の側面24、25、27との間に一定の隙間G2が形成されている。具体的には、図34A〜図34Dに示すように、ベッド本体22が下降した状態において、床面からベッド本体22の側面24、25、27の下側までの隙間G2の高さが、例えば30mm以上となるように形成されている。このように隙間が形成されていることで、介護者及び要介護者が脚の指や甲を挟まれて怪我をすることを抑制することができる。

また、支持台11がない部分のベッド本体22の側面24の下側では、爪先が侵入したとき遮る部分がないため、爪先が奥まで入ってしまい爪先だけでなく脚の甲まで挟んでしまうおそれがある。そのため、図34Cに示すように、支持台11のない部分のベッド本体22の側面24ではベッド本体22が下降した状態においてベッド本体の側面24の下側と床面との間に所定の高さ、例えば80mm以上の隙間G3が形成されようになっている。

また、本発明の介護ベッドは、ベッド本体22の昇降に対して反対の方向に、支柱13a、13b(支柱14a、14b側は不図示)及び梁部材15が昇降する構造となっている。そのため、ベッド本体22が上昇した状態では、梁部材15は下降し梁部材15とベッド本体22の床部23との隙間が最も狭くなる。このとき、梁部材15とベッド本体22との間に頭部が挟まれると要介護者が怪我をしたりするおそれがある。そこで、図34E及び図34Fに示すようにベッド本体22が上昇し、梁部材15が下降したときの梁部材15とベッド本体22の床部23との間には所定の幅、例えば30cm以上の隙間G4が形成されている。このようにすることで、ベッド本体のか下降時に頭部が挟まれることを抑制することができる。なお、図34E及び図34Fでは、ベッド本体の上面から梁部材までの距離を隙間G4としているが、ベッド本体にヘッドボードが設けられた場合はヘッドボードの上面から梁部材までの距離が隙間G4となる。

また、本発明の介護ベッドでは、リクライニングが行えるように構成されている。このようなリクライニングが行われることにより枠体やマットが上昇し、枠体の下部に空間ができることになる。そして、この空間に要介護者や介護者の身体の一部や、介護ベッドに備えられたシーツや布団等の備品、あるいは他の物品等が入り込むことで、要介護者や介護者が怪我をしたり介護ベッドが故障したりするおそれがある。特にリクライニングの可動時に危険がある。

そのため、図35Aに示すように、リクライニングが行われる際に、リクライニングされる枠体33a等とベッド本体22との間にリクライニングカバー98を設けることができる。このリクライニングカバー98は所定の大きさで形成された例えば布やビニール等を蛇腹構造とすることで、リクライニングの上下動に対応することができるようになる。このようにすることで、リクライニングの際に枠体33a等とベッド本体22との間に要介護者等の身体の一部や他の物品等が入り込むことを抑制することができる。なお、図35Aでは、リクライニングカバー98はベッド本体22の側面側に設けた場合を示しているが、ベッド本体の長手方向側のリクライニングで上下動する側にも設けるようにしてもよい。また、リクライニングの方法は図35Aに示した方法に限られず、上述した他のリクライニングの方法にも同様のリクライニングカバーを設けるようにすることで適用することができる。

また、このような挟み込みは、ベッド本体22が下降する際にも発生するおそれがある。そのため、図35A及び図35Bに示すように、ベッド本体22の側面24(側面25は不図示)の下側から床面にかけて昇降用カバー99を設けることができる。この昇降用カバー99は所定の大きさで形成された例えば布やビニール等を蛇腹構造とすることで、ベッド本体22の昇降に合わせて長さが調整できるようになっている。このようにすることで、ベッド本体22が上昇したときにベッド本体の下側に要介護者等の身体の一部や、他の物品等が入り込むことを抑制することができる。

また、上述した介護ベッドでは、複数のアクチュエータが用いられてベッド本体の昇降やリクライニングが行われている。そのため、これらのアクチュエータを制御することで介護ベッドを安全に使用するようにする必要がある。そこで、介護ベッドにはこれらのアクチュエータの動作の制御する制御部Coが設けられている。以下、図36に示すブロック図を参照して介護ベッドの安全装置について説明する。

介護ベッドに備えられた各アクチュエータは、基本的に介護者が手元にあるコントローラの各種スイッチ、例えば、昇降用スイッチSW1、リクライニングスイッチSW2等を押すことで操作を行うものである。なお、図36では昇降用アクチュエータ(図3に示すアクチュエータ16)をAC1とし、リクライニング用アクチュエータ(図27に示すアクチュエータ63又は図29に示すアクチュエータ85等)をAC2としている。このとき、各アクチュエータAC1、AC2の動作は、制御部Coによりコントローラの各種スイッチSW1、SW2が押されている間のみ作動するように制御され、スイッチが押されなくなったら直ちにアクチュエータAC1、AC2の動作が止まるように制御されている。すなわち、自動では動かず、さらに惰性でも動かないようにされている。

また、ベッド本体22の昇降用のアクチュエータAC1とリクライニングのアクチュエータAC2とは一緒に作動しないように制御されている。すなわち、コントローラの昇降用のスイッチSW1とリクライニングのスイッチSW2とを同時に押した場合は、どちらのアクチュエータAC1、AC2も作動しないように制御されている。このようにすることで、危険な動作を抑制することができる。

また、ベッド本体の昇降及びリクライニングの安全性を高めるため、停電やコンセントからプラグが外れたりして元電源がOFFになった際、ベッド本体の昇降及びリクライニングの状態が保持されるような機構となっている。この保持する機構としては、ウォームギア等のギアブレーキの機構や油圧及び空圧シリンダー等の機構を設けることができる。このようにすることで、各アクチュエータの作動が停止してもベッド本体の昇降及びリクライニングの状態を保持することができるので、元電源からの電気の供給が停止してもベッド本体やリクライニングの急な動作を抑制できるので安全性を高めることができる。なお、これらの機構は、支持台内の昇降手段としてのアクチュエータ及びそれに繋がる伝達手段並びにリクライニング機構に組み込んでもよく、また、別の機構として取り付けてもよい。

さらに、アクチュエータAC1、AC2の動作は介護ベッドに設けられた各種センサーSEと連動されている。たとえば、介護ベッドを浴槽として使用するとき、枠体33を外した状態でリクライニングのアクチュエータAC2が作動すると、リクライニング部材67(図27参照)やシャフト92(図29参照)が突出してしまい危険であるので、枠体を外した状態では、リクライニングで使用するアクチュエータAC2の動作が行えないようになっている。この場合、枠体の下部やベッド本体の床部に枠体の有無を感じ取るセンサーやスイッチ等を設けることができる。

また、リクライニングが下がっている状態でないと枠体が外せない構成とすることもできる。この場合、ベッド本体と枠体とが爪や鍵等のロック機構をそれぞれ有しており、リクライニングが下がった状態か否かをセンサーSEが検知し、このロック機構の開閉を行うような構造を設けることができる。また、ロック機構を設けるほか、リクライニングが下にない状態で枠体を外そうとしたとき、ブザー等が鳴るような報知機構を設けるようにし、介護者に知らせる構成とすることもできる。

また、他の安全装置としては、各アクチュエータAC1、AC2の作動中にアクチュエータの動作に対して必要以上の負荷がかかったとセンサーSEが感知した場合、アクチュエータAC1、AC2の動作が止まるように制御されている。さらに、コントローラのスイッチSW1、SW2を押しても、ベッド本体の昇降距離や、リクライニングの移動距離が変化しない場合は、各アクチュエータAC1、AC2を止めるように制御されている。このようにすることで要介護者や介護者が負傷することを抑制し、また、介護ベッドの故障を抑制することができる。

また、リクライニング及びベッド本体の下降時に挟み込みを抑制するために、挟み込みがあったと感知したときに各アクチュエータの動作を止めるような制御がされている。例えば、リクライニングの下降時に枠体とベッド本体との間に挟み込みが感知されたときリクライニング用のアクチュエータAC2を停止するように制御されている。この挟み込みを感知するものは、枠体のベッド本体と当接される側、もしくはベッド本体の枠体と当接される側の少なくとも一方に各種のセンサーSEを複数配置したり、プッシュスイッチやリーフスイッチ等の各種スイッチSW3を複数個設置したりすることができる。

同様に、ベッド本体の下降時の挟み込みを感知したとき、アクチュエータAC1を停止することもできる。この場合、ベッド本体の側面の下側に上記と同様の各種センサーSEやスイッチ類SW3を設けることで挟み込みを感知することができるようになる。

図37及び図38は、介護ベッドの他の変形例を示すものである。図37の介護ベッド10Bは、ベッド本体22にヘッドボード22a及びフットボード22bが設けられており、それらが高級な素材、例えば、革材で覆われている。図37Aはベッド本体22が下にある状態で、図37Bはベッド本体22を上げた状態を示している。また、図38Aは、支柱13a、13b、14a、14bのベッド本体から現れる部分を取り外した状態を示したもので、図38Aはベッド本体22が下にある状態で、図38Bはベッド本体22を上げた状態を示している。この場合も、ベッド本体は、革材で覆われている。さらに、図39では、この介護ベッド10Bの分解図を示している。この図では、貯水槽を覆う2種類の蓋体48a、48bが示されている。一つの蓋体48aは板状のもので、複数に分割されている。もう一つの蓋体48bは、リクライニング機能を有しており、こちらも複数に分割されている。

また、介護ベッド10Bの外観は、革製以外にも、木製、金属製、合成樹脂性のいずれか、又は革製を含めたこれらを組み合わせて形成することができる。このようにすることで、見た目に温もりがあり、高級感を与えることができるので、屋内のインテリアとして違和感なく設置することができ、要介護者及び介護者にゆとりを与えることができる。なお、木材としては、檜や杉等を用いることができ、耐水性を向上させるために樹脂を含浸又は塗布したものも用いることができる。また、革材などによる表面処理を行うこともできる。更に、合成樹脂材に木目などの加工をするような汎用的な加工をすることもできる。

また、介護ベッド10Bの他の構成としては、図40に示すように、各支持台11、12(図40ではベッド本体22に覆われているので点線で示してある。)に設けられた各支柱13a"、13b"、14a"、14b"を長尺に形成し、その支柱13a"、13b"、14a"、14b"の上端部13a1"、13b1"、14a1"、14b1"の取付部(図示省略)に棒状体37を渡した構成を備えている。このときの支柱13a"、13b"、14a"、14b"の上端部13a1"、13b1"、14a1"、14b1"の高さは床から1.5m〜2.5m程度となるようにされている。なお、各棒状体37の間には強度を保つための梁71が梁部材15と平行に設けられている。このような構成とすることで、長尺の支柱13a"、13b"、14a"、14b"の間に空間73が設けられるため、この空間73にテレビや鏡、棚等の機能を追加することができるようになり、要介護者に文化的な日常生活を提供することができるようになる。

さらに、支柱や棒状体には各種のリハビリ用の器具を設けることもできるようになる。例えば、上方に設けられる棒状体から要介護者がつかまり立ちを行えるようなロープを垂下させることで、このロープを利用してリハビリを行うこともできるようになる。このリハビリは要介護者の運動機能に合わせてベッド本体の昇降と連動させることもできるようになる。また、支柱や棒状体に要介護者を車椅子へ移動させるための装置、例えば要介護者を持上げることができるリフト装置等も取り付けることができるようになる。このような装置を取り付けることにより要介護者の介護ベッドから車椅子への移動、また、車椅子から介護ベッドへの移動が容易に行えるようになる。

さらにまた、支柱13a"、13b"、14a"、14b"と棒状体37の接続部分72は曲線状に加工することで、安全性が高められると共に、美観を得ることができる。さらに、長尺とした支柱13a"、13b"、14a"、14b"、棒状体37及び梁71並びに梁部材15については、その一部もしくはすべてを皮材やキルティングで巻いたり、クロムメッキ等で加工したりすることでより高い安全性や美観を得ることができる。

また、支柱13a"、13b"、14a"、14b"を長尺として棒状体37を高位置に配置することで、図41に示すように、棒状体37にカーテン100等を取り付けるようにすることができるようになり、要介護者のプライベートの空間を確保することができるようになる。

さらに、長尺の支柱を利用し、または、昇降手段によるベッド本体の昇降が支柱と連動しないような構成とした場合には、長尺の支柱及び棒状体と天井との間に耐震用の部材、例えば、伸縮自在であって所定の長さで固定ができる棒状の部材を設けることにより地震等の災害時に揺れを防止する等の耐震対策も可能である。

なお、上述した使用態様において、吊り上げ部材を用いたりリクライニングを使用したりしない場合であって、特にベッド本体の昇降を必要としない使用態様を要介護者が希望する場合においては、介護ベッドに昇降手段を備えていなくてもよい。特に、介護レベルが低い要介護者においては、特別な機能を備える必要がなく、昇降手段を備えないようにすれば低い予算で介護ベッドを導入することができるようになる。また、介護レベルの低い要介護者にとっては、排泄や入浴は可能な限り、トイレや浴槽を使用するほうが好ましい。また、上述したように、支持台とベッド本体は、それぞれが独立しているので、昇降手段が必要となったら、支持台部分のみを取り替えることができる。

なお、介護ベッドは住居や介護施設等の室内に置かれるため、大きいままであると室内に運び込むことが困難となる。そのため、介護ベッドの各構成部品を室内で簡単に組み立てが行えるような構成とされている。

また、本発明の介護ベッドは一般的にベッドとして使用される状態から、上述したような要介護者の介護の状況に応じた多くの機能を追加することができるものであり、また、各構成の変更や追加を容易に行うことができるものである。

10、10A、10B:介護ベッド 11:支持台 11a:上面 11a1:上面貫通口 11a2:開口 11b、11c、11d、11e:側面部 11f:底面 11f1:脚部 12:支持台 13a、13b、13a'、13a":支柱 13a1、13b1、13a1'、13a1":上端部 13a2、13b2:第1支点 13a3、13b3、13a3':取付部 14a、14b:支柱 14a1、14b1:上端部 14a3、14b3:取付部 15:梁部材 151:取付部 16:昇降手段(アクチュエータ) 17:動作部 18:延設部材 181:第2支点 19:伝達手段 20:固定部材 201:中央部分 21:回動部材 22:ベッド本体 221:床部取付部 221":突起部 22a:ヘッドボード 22b:フットボード 23:床部 23a:開口部 23b:床部貫通口 23c:下部 24、25、26、27:側面部 28:貯水槽 28a:傾斜部 28b:リブ 28c:絞り込み部 28":貯水槽 28a":貯水槽本体 28b":頭部配置部 28c":背もたれ部 28d":腰部配置部 28d1":段 28e":脚部配置部 28e1":絞り込み部 28e2":頂部 28f":爪部 28g":段差 28h":首部配置部 29:支持固定部 30:支持板体 31:排水口 31a:栓部材 31":排水口 32:排水管 32":排水管 33(33a、33b、33c)、33'、33":枠体 331:端部 33b':開口部 34:係止部 35:格子部分 36(36a、36b、36c):マット 37:棒状体(懸架部材) 38、138、138'、238、338、438、538:ハンモック(吊り上げ部材) 38a:輪 39:柵 40:シート 41:接続部材(懸架部材) 41a:一端 41b:他端 42:板状体 42a:係止穴 43:ベルト体 43a:装着穴 44:ネット部 45:鉤状の部材 46:反対側の端部(他端部) 47:上端部 48a、48b:蓋体 50、50':スライド部材 50a:固定シート部 50b:スライドシート部 51:第1テープ体 52:第2テープ体 53:耳 54:2重シート体 54a:第1シート体 54b:第2シート体 55:重なり部 56:ベルト体(懸架部材) 56a:端部 57:第1結合部 58:第2結合部 59:環状部 60:ベルト体(懸架部材) 60a:接続部 61:連結部材 61a:第1連結部 61b:第2連結部 62:リクライニング機構 63:アクチュエータ 64:駆動手段 65:作動杭 66:駆動板 66a:鋭角部分 66b:底辺部分 66c:側辺 67:リクライニング部材 68:滑車体 69:ガイドレール 70:固定部 71:梁 72:接続部分 73:空間 74:シャワーユニット 75:シャワーヘッド 75a:開閉スイッチ 76:小型ポンプ 76a:突起 77:シャワーホース 77a:突起 78:供給タンク 79:配線 80:シャワーホース結合部材 81:第1接続部 81a:隙間 82:第2接続部 83:液体 84:リクライニング機構 85:アクチュエータ 86:駆動手段 87:作動杭 87a:端部 88:リンクビーム 88a:端部 89:固定部材 89a:固定部 89b:側面部 89c:屈曲部 89d:第1取付部 89e:第2取付部 90:リンクプレート 90a:端部 91:カムプレート 91a:移動溝 91b、91c、91d:第1〜第3頂点部分 91e:カム支点 92:シャフト 92a:移動軸 92b:ローラー 93:アーム部材 94:ベース部材 95:ガイド部材 96:枠状部材 97:網 98:リクライニングカバー 99:昇降用カバー 100:カーテン 138a、138a'、238a、338a、438a、538a:ベルト体(懸架部材) 138b:中心線 138c:軸線 138d、138d'、238d:網目 138e:中央部分 338a1:端部 AC1、AC2:アクチュエータ Co:制御部 g、G1、G2、G3、G4:隙間 H:要介護者 L:レバー SE:センサー SW1:昇降用スイッチ SW2:リクライニングスイッチ SW3:スイッチ類 T:排水タンク L1、L2:距離 PA、PB、PC、PD:滑車 WA、WB、WC、WD、WE:ワイヤー θ1、θ2:所定角度

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