【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は電磁接触器またはモータ制御器に用いる接触器に関し、さらに詳細には粉末状金属から製造した接触子及び電磁石を有し、閉路時の速度が制御された電磁接触器またはモータ制御器用接触器に関する。 【0002】 【従来の技術】電磁接触器は、米国特許第3,339, 161号明細書に開示されるようによく知られている。 電磁接触器は特に、モータの始動、照明及び開閉を行うのに用いるスイッチである。 過負荷リレー装置を有するモータ始動用接触器はモータ制御器と呼ばれている。 接触器は通常、固定した磁石と可動磁石或いは接触子を含む磁気回路を有し、開位置にあるとそれらの間にギャップが形成される。 電磁コイルは命令により制御可能であって、接触器の主接点に相互接続可能な電圧源と協働して接触子を固定磁石の方へ電磁的に加速させそれにより空気ギャップを減少させる。 【0003】接触子上には一組のブリッジ接点があり、 磁気回路が付勢され接触子が移動するとこれらと協働する接点がブリッジ接点と係合するように接触器ケーシング内に固定されている。 負荷及び負荷用電圧源は固定接点と相互接続されるのが普通であり、ブリッジ接点が固定接点と接触または係合すると互いに接続された状態となる。 【0004】接触子が磁石の方へ加速されと、この接触子は2つのばね力を克服しなければならない。 第1のばね力はキックアウトばねにより与えられるが、これはコイルに印加された電力を切り離すと接触子を反対方向へ移動させて接点を係合関係から離脱させるために後で利用されるものである。 これは接点を開放する時に起こる。 【0005】もう1つのばね力は接点ばねにより与えられる。 このばねはブリッジ接点が固定接点に当接すると圧縮運動を開始するが、空気ギャップがゼロに減少すると接触子が固定磁石の方へ継続して移動するようにする。 接点ばねの力により、閉じた接点が運ぶことのできる電流の大きさが決まり、さらに接触器を繰り返し作動させる場合接点の摩耗がどの程度許容できるかが決まる。 普通、接点ばねはできるだけ強いものが望ましく、 このため接触器の電流搬送能力が増加すると共に接点の摩耗に適用する能力も増加する。 【0006】しかしながら、この接点ばねによる力は閉路時電磁石に与えられるエネルギーにより克服する必要があるため、一般的には比較的硬い接点ばねの方が弱い接点ばねと比べて大きな閉路エネルギーを必要とする。 その結果、公知の接触器では、電磁石に与えられるエネルギーの大きさは、加速状態の接触子が作用するばねの力を克服するに必要な大きさよりも大きい。 この理由は、1つには接点が係合するとき比較的硬い接点ばねの作用を克服する必要があるからである。 しかしながら、 余分のエネルギーは浪費されるエネルギーであり、望ましくない。 しかしながら、おそらくより重要なことは、 この余分のエネルギーが接触子の閉路動作終了時機械的なシステムにより吸収されることである。 この余分の機械エネルギーは普通、熱、雑音、振動、望ましくない接点の跳ね上がり及び衝撃として現われる。 従来技術の接触子及び電磁石は、衝撃時大きな接触力に耐えるように中実の機械加工した金属、或いは交流回路の場合は積層金属により形成する必要がある。 このような機械加工及び積層化はコストが高く、労働集約的であり、また仕様書通りの製品を再現する際種々の問題がある。 【0007】最近、閉路時の接触子の運動に抗する力を克服するに必要な大きさのエネルギーを与える電磁開閉装置用電気的制御システムの提供が可能なことが判明している。 かかる閉路動作が制御される装置は米国特許第4,720,763号及び4,893,102号明細書に記載されている。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、粉末状金属、さらに詳細には鉄のようなプレスし且つ焼結した粉末状磁性金属により形成されて接触子及び電磁石として用いるに適当な所定の形状にされた接触子及び/または電磁石よりなる電磁接触器を提供することにある。 【0009】粉末状金属により形成され、閉路時接触子及び電磁石に作用する力に耐えることが可能であり、またモータ制御器の電磁接触器に使用可能な接触子及び電磁石を提供することにある。 【0010】本発明によれば、磁化可能な材料製のスラグと、磁束伝導性接触子とよりなる電磁接触器であって、前記磁束伝導性接触子は常態で前記スラグから離隔した位置にあるが、制御された当接速度で該スラグに当接可能であり、磁束伝導性接触子とスラグのうちの少なくとも一方が粉末状金属を所定の形状にプレスし焼結することによって形成されていることを特徴とする電磁接触器が提供される。 【0011】接触子及び電磁石は共に鉄、コバルト、ニッケル及びそれらの混合物よりなる群から選択された粉末状金属により製造するのが好ましい。 【0012】接触子と電磁石のセットはC、I、E字状のような所定の形状に形成されている。 これらの形状は、粉末状金属を所望の形状に一致する型に入れてプレスし、これを焼結して接触子または電磁石を所望の形状に固めることによって調製される。 【0013】また接触子及び電磁石は、その磁気的性質を向上させるため粉末状金属の他に燐の粉末を含むのが好ましい。 【0014】プレス及び焼結した接触子及び/または電磁石は電磁接触器及びまたはモータ制御器内に配置され、閉路時の速度を制御することによって電磁石及びまたは接触子が衝撃時に粉々にならないように保護される。 【0015】以下、添付図面を参照して本発明を実施例につき詳細に説明する。 【0016】 【実施例】図1は電磁石と接触子を用いた電磁接触器または制御器10の一例を示し、これはガラス/ナイロン組成物のような電気絶縁性材料により形成したハウジング12と、電気装置即ち、この接触器10が作用しそれにより制御される回路または系統との相互接続のためハウジング上に配置した電気的負荷端子14,16とよりなる。 負荷端子14,16は互いに離隔した関係にあるが、それぞれ導体20,24と内部で相互接続されており、これらの導体はハウジング12の中央領域内に延びる。 導体20,24はそれぞれ適当な固定接点22,2 6で終端している。 接点22と26とが相互接続関係になると、負荷端子14と16の間の回路が繋がり、接触器10が電流を導通させる。 【0017】別個に製造したコイル制御ボード28がハウジング12内に固定されている。 このコイル制御ボード28上にはコイルまたはソレノイド組立体30が配置され、これは電気的コイルまたはソレノイド31を含む。 コイル制御ボード28から離隔してコイル組立体3 0の一方の端部を形成するのはばね座32であり、このばね座の上にはキックアウトばね34の一方の端部が固定されている。 キックアウトばね34のもう一方の端部は、キャリア42の運動によりその底部42Aがばね3 4と接触してそのばねをばね座32へ押圧するまでベース12の一部12Aと接触関係にある。 これは図1の面の外側の面でおこる。 このキックアウトばね34は接触子40を取り囲み、ばね34と底部42Aが交わるキャリアの底部42Aと係合関係になる。 図1の面内のキャリア42の寸法はばね34の直径よりも大きい。 【0018】磁化可能な材料で形成した固定磁石またはスラグ36は、コイル組立体30のソレノイドまたはコイル31と半径方向に整列したチャンネル38内に適宜配置されている。 同じチャンネル38内には固定磁石3 6から軸方向に変位した磁気接触子または磁束伝導性部材40があり、これは固定磁石36に関しチャンネル3 8内で縦方向(軸方向)に可動である。 接触子40の一端には固定磁石36から離隔する方向に縦に延びる電気絶縁性接点キャリア42があり、これには電気伝導性接点ブリッジ44が配置されている。 接点ブリッジ44の一方の半径方向アーム上には接点46があり、この接点ブリッジ44のもう一方の半径方向アーム上には接点4 8がある。 接触器10が閉じて端子14と端子16が内部で繋がった状態では、接点46が接点22と当接し、 接点48が接点26と当接している。 一方、接点22が接点46から離隔し、接点26が接点48から離隔した状態では、端子14と16の間の内部回路は開いた状態にある。 図1はこの回路が開いた状態を示す。 【0019】アークボックス50は接点ブリッジ44及び接点22,26,46,48を包囲するように配置されており、このため端子14と16との間を流れる電流が安全に遮断できる部分的に閉じた空間が提供される。 アークボックス50の中央部には、キャリア42のクロスバー54が入る凹部52があり、このクロスバーは図1に示すように横方向(半径方向)に運動できないように拘束されているが、上述したチャンネル38の中心線38Aの縦方向(軸方向)では自由に移動または摺動可能である。 接点ブリッジ44は接点ばね56によりキャリア42に対して付勢されている。 接点ばね56は接点22−46及び26−48が当接した後もキャリア42 がスラグ36の方へ引き続き移動できるように圧縮した状態にある。 接点ばね56をさらに圧縮すると閉じた接点42−46及び26−48にかかる圧力が増加し、これにより負荷端子14と16との間の内部回路の電流搬送能力が増加すると共に接点がかなり摩耗した後でも接点が当接位置にくるような自動調整能力が得られる。 磁石36と接触子40の間の縦方向の領域は空気ギャップ58を含む。 コイル31が電気的に付勢されるとこのギャップ内に磁束が発生する。 【0020】本発明の接触子及び電磁石は、図1において常態の離隔関係で示されている。 【0021】本発明の好ましい実施例では、接触子40 或いは磁石36もしくはその両方が所定の形状にプレスされ焼結された粉末状金属により形成されている。 かかる接触子及び電磁石は、米国特許第4,720,763 号及び4,893,102号明細書に例示的に開示されるように接触子40が電磁石36に対して制御された当接速度で当接する電磁接触器または制御器10に使用される。 【0022】接触子及び電磁石は鉄、コバルト、ニッケル及びそれらの混合物のような粉末状磁性金属で製造するのが好ましい。 これらの粉末状金属だけでなく、燐の粉末を粉末状金属の約0.8重量%添加することにより、プレスし焼結した接触子及び/または電磁石の磁気的性質を向上させることができる。 他に使用可能な添加物としては炭素、銅、モリブデン及びマンガンがある。 【0023】図2乃至5は、本発明の教示にしたがって電磁石36及び接触子40をプレスする幾つかの形状を概略的に示す。 図2に示した形状では、接触子40が矢印の方向において固定電磁石36に関し移動可能である。 しかしながら、接触子40と電磁石36の両方を可動にしてもよい。 【0024】図2には、それぞれC字状である電磁石と接触子のセットを概略的に示す。 図3では、接触子40 がI字状であり、電磁石36がC字状である。 また図4 では、電磁石36と接触子40が共にE字状である。 さらに、図5では、電磁石36がE字状、接触子40がI 字状である。 【0025】図2乃至図5に示したもの以外の形状も接触子及び/または電磁石の製造に用いることが可能である。 【0026】接触子及び電磁石は単軸及び/またはアイソスタティックプレスを含む受入れ可能なプレス及び焼結法を用いて製造することができる。 接触子及び/または電磁石は、所望の粉末状金属の混合物を好ましい形状を持つ型に流し込み、粉末状金属を約1050乃至13 10℃の温度、約20乃至60TSI(平方インチ当たりのトン数)または2812乃至8435kg/cm 2 の圧力でプレスすることにより製造する。 プレスし焼結した電磁石または接触子は約6乃至7.5g/cm 3の圧粉密度を有する。 焼結時間は状況により異なるが、長くすればするほど最終製品のサイズが減少する。 焼結時間を5乃至60分にするのが適当であることが判明している。 【0027】使用可能な粉末状磁性材料にはHoega naes Corporation,Riverto n,N. J. ,U. S. A. によりANCORSTEE L 80Pの商標名で製造されているものが含まれる。 この混合物は約99.05%(重量)の鉄、0.8% (重量)の燐、約0.15%(重量)の炭素よりなる。 接触子及び電磁石は閉路時の速度が制御された既存の電磁接触器またはモータ制御器に使用することが可能である。 この閉路時の動作速度は、プレスされ焼結された接触子及び/または電磁石が閉路時衝撃で粉々にならないようにするため毎秒76.2cm(30インチ)を越えないようにするのが好ましい。 【図面の簡単な説明】 【図1】図1は、本発明の接触子及び電磁石を用いる電磁接触器の破断立面図である。 【図2】図2は、接触子及び/または電磁石が形成される形状の一例を示す。 【図3】図3は、接触子及び/または電磁石が形成される形状の一例を示す。 【図4】図4は、接触子及び/または電磁石が形成される形状の一例を示す。 【図5】図5は、接触子及び/または電磁石が形成される形状の一例を示す。 【符号の説明】 10 電磁接触器 12 ハウジング 14,16 負荷端子 20,24 導体 22,26 固定接点 28 コイル制御ボード 30 ソレノイド組立体 32 ばね座 34 キックアウトばね 36 固定磁石 40 接触子 50 アークボックス 52 凹部 54 クロスバー 56 接点ばね |