Ion recovery device of euv light generator, and its method

申请号 JP2008106907 申请日 2008-04-16 公开(公告)号 JP2009260019A 公开(公告)日 2009-11-05
申请人 Gigaphoton Inc; Komatsu Ltd; ギガフォトン株式会社; 株式会社小松製作所; 发明人 UENO YOSHIFUMI; WAKABAYASHI OSAMU; ABE TAMOTSU; SUMIYA AKIRA; HOSHINO HIDEYUKI; ENDO AKIRA; SMAN GEORG;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To drastically reduce damage of a light collecting mirror by unrecoverable high-speed ions and adhesion to the light collecting mirror of low-speed ions small in an allowable quantity while reducing cost required for an EUV light generator, and to effectively collect EUV light by the light collecting mirror.
SOLUTION: Lines of magnetic force becoming parallel or nearly parallel to a laser light entering direction are generated at a point of EUV light generation or in the vicinity of the point of EUV light generation. Thereby, ions are captured by the lines of magnetic force. The captured ions are moved along the lines of magnetic force. The ions are guided to an entrance of an ion recovery means through a hole 3e formed on the light collecting mirror 3, and recovered.
COPYRIGHT: (C)2010,JPO&INPIT
权利要求
  • レーザ光が、EUV光発生点に位置するターゲットに入射されることによってターゲットがプラズマ状態にされEUV光が発生するEUV光発生装置に適用され、プラズマから放出されるイオンを回収するEUV光発生装置におけるイオン回収装置において、
    レーザ光入射方向に対向して配置され、EUV光を集光する集光ミラーであって、イオンが通過する孔が形成された集光ミラーと、
    EUV光発生点若しくはEUV光発生点近傍においてレーザ光入射方向と平行若しくは略平行となる磁力線を発生させる磁力線発生手段と、
    集光ミラーを挟んでEUV光発生点に対向する場所に配置され、イオンを回収するイオン回収手段とが備えられていることを特徴とするEUV光発生装置におけるイオン回収装置。
  • 集光ミラーには、
    レーザ光が通過する孔が形成されており、
    レーザ光は、集光ミラーの孔を通過してEUV光発生点に入射されること を特徴とする請求項1記載のEUV光発生装置におけるイオン回収装置。
  • イオン回収手段の入り口で磁力線を更に収束させ磁束密度を更に密にする磁力線発生手段が追加して設けられていることを特徴とする請求項1または2記載のEUV光発生装置におけるイオン回収装置。
  • イオン回収手段の入り口でイオンの軌道を補正して入り口に導くように、イオンに電圧を印加する電圧印加手段が設けられていることを特徴とする請求項1または2または3記載のEUV光発生装置におけるイオン回収装置。
  • イオン回収手段の入り口に向けてイオンが偏向するように、磁力線を発生させる磁力線発生手段が追加して設けられていることを特徴とする請求項1または2記載のEUV光発生装置におけるイオン回収装置。
  • イオン回収手段の入り口に向けてイオンが偏向するように、イオンに電圧を印加する電圧印加手段が設けられていることを特徴とする請求項1または2または3記載のEUV光発生装置におけるイオン回収装置。
  • 請求項1または請求項2における磁力線発生手段を集光ミラーに対して傾斜して配置させることにより、磁力線をイオン回収手段の入り口に向けて偏向させることを特徴とする請求項1または請求項2記載のEUV光発生装置におけるイオン回収装置。
  • レーザ光のレーザ集光系に電圧を印加すること を特徴とする請求項6記載のEUV光発生装置におけるイオン回収装置。
  • レーザ光の入射軸と磁場の中心軸が同軸若しくはほぼ同軸となるように、レーザ集光系と磁力線発生手段が配置されていることを特徴とする請求項1から8に記載のEUV光発生装置におけるイオン回収装置。
  • ターゲットは、回転ディスクターゲットまたは溝付きワイヤターゲットまたは窪み付きワイヤターゲットであることを特徴とする請求項1から9に記載のEUV光発生装置におけるイオン回収装置。
  • レーザ光が、EUV光発生点に位置するターゲットに入射されることによってターゲットがプラズマ状態にされEUV光が発生するEUV光発生装置に適用され、プラズマから放出されるイオンを回収するEUV光発生装置におけるイオン回収方法において、
    EUV光発生点若しくはEUV光発生点近傍においてレーザ光入射方向と平行若しくは略平行となる磁力線を発生させ、
    磁力線にイオンを捕捉させ、
    捕捉されたイオンを磁力線に沿って移動させ、
    集光ミラーに形成された孔を介して、イオン回収手段の入り口に導き、イオンを回収することを特徴とするEUV光発生装置におけるイオン回収方法。
  • 说明书全文

    本発明は、露光装置などの光源に用いられるEUV光発生装置に関し、特にEUV光発生点でプラズマ状態となったターゲットから放出されるイオンを回収するための装置または方法に関するものである。

    回路パターンを半導体ウェーハ上に光転写する光リソグラフィ技術は、LSIの集積化を図る上で重要である。 光リソグラフィに用いられる露光装置は、主に、ステッパと呼ばれる縮小投影露光方式によるものが使用されている。 すなわち照明光源により照らされた原画(レチクル)パターンの透過光を縮小投影光学系により半導体基板上の光感光性物質に投影して回路パターンを形成するというものである。 この投影像の分解能は、用いられる光源の波長で制限される。 このためパターン線幅をより微細化したいとの要求に伴って、光源の波長は紫外領域へと次第に短波長化してきている。

    近年は深紫外領域の光(DUV光)を発振するKrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)が光源として使用され、あるいは真空紫外領域の光(VUV光)を発振するF2レーザ(波長157nm)が光源として開発されている。

    現在では更なる微細加工を行うべく極端紫外領域(Extreme Ultra Violet)の光(以下EUV光)を出するEUV光源(波長13.5nm)を、光リソグラフィの光源とする試みがなされている。

    EUV光を発生させる方式に、LPP(レーザ生成プラズマ)方式がある。

    LPP方式のEUV光源では、短パルスレーザ光をターゲットに照射してターゲットをプラズマ状態に励起してEUV光を発生させこれを集光レンズで集光して外部にEUV光を出力するものである。

    図1は、露光装置の光源として用いられるLPP方式によるEUV光発生装置の構成を概念的に示している。

    真空チャンバ2の内部にはEUV光を集光する集光ミラー3が設けられている。 集光ミラー3で集光されたEUV光は、真空チャンバ2外の図示しない露光装置に伝送される。 露光装置では、EUV光を使用して半導体回路パターンが半導体ウェーハ上に形成される。

    真空チャンバ2の内部は真空ポンプ等により真空引きされており、真空状態にされている。 これはEUV光は波長が13.5nmと短く真空中でないと効率よく伝搬しないからである。

    EUV光発生源となるターゲット1は、真空チャンバ2内の所定のEUV光発生点A、つまりレーザ光の集光点に位置される。 ターゲット1の材料には、錫Sn、リチウムLi、キセノンXeなどが用いられる。

    レーザ発振器としてのドライバレーザ装置4では、レーザ光Lがパルス発振されて、レーザ光Lが出射される。 レーザには、Nd:YAGレーザ、CO2レーザなどが用いられる。

    レーザ光Lはレーザ集光系を介して、EUV光発生点Aに集光される。 レーザ光Lは、ターゲット1がEUV光発生点Aに位置するタイミングでターゲット1に照射される。 ターゲット1にレーザ光Lが照射されることによってターゲット1がプラズマ状態に励起されEUV光が発生する。

    発生したEUV光はプラズマを中心に全方位に発散する。 集光ミラー3は、プラズマを取り囲むように配置されている。 全方位に発散するEUV光は、集光ミラー3により集光され、集光したEUV光を反射する。 集光ミラー3は、所望する波長13.5nmを選択的に反射する。 集光ミラー3で反射されたEUV光(出力EUV光)は、露光装置に伝播される。

    プラズマからは中性粒子や様々な速度を持つイオンが放出される。

    さて、近年、EUV光の出力の著しい増大が要求されるようになっている。 これに伴いドライバレーザ装置4に高出力のレーザを使用して、高出力で安定したEUV光の出力を長時間維持することが要求されるようになってきている。

    しかしながら、プラズマから放出される中性粒子やイオンは、EUV光発生装置の耐久性上、あるいは光出力の効率上、望ましくない。

    すなわち、集光ミラー3は、プラズマ近傍に設置されているため、プラズマから放出される中性粒子や低速イオンが、集光ミラー3の反射面に付着して集光ミラー3の反射率を低下させる。

    一方、プラズマから放出される高速イオンは、集光ミラー3の反射面に形成されている多層膜を損傷させる。 これは「スパッタリング」と呼ばれる。

    中性粒子は、特許文献1にみられるように最小質量ターゲットや、ダブルパルス照射などの手法により完全電離プラズマを生成することにより、その発生を抑制することが可能である。

    しかし、プラズマが生成される限り、イオンの発生は避けられない。 そのために、イオンに対する対策が必要不可欠となっている。

    上述のごとく低速イオンは、集光ミラー3に付着し集光ミラー3の反射率を低下させるが、集光ミラー3に付着したイオンは、原理的には、特許文献2にみられるように、反応性ガス等によってクリーニングを施すことで除去することができる。 そして、クリーニング後は、集光ミラー3の反射率が回復し継続して使用することができる。

    しかしながら、近年、露光用のEUV光発生装置に対して、集光ミラー3の反射率が10%が低下するまでの期間を1年間以内にせよとの要求がある。 この要求を満たすためには、集光ミラー3の反射面における金属膜の付着量(厚さ)の許容値は、ターゲット1が錫Snの場合では約0.75nmと非常に僅かな値である。 このため、高いクリーニング率、高いクリーニング速度が必要となる。

    一方、高速イオンは、集光ミラー3の表面を上述のごとくスパッタリングし、集光ミラー3の反射膜を損傷させ集光ミラー3の反射率を低下させる。 集光ミラー3が損傷して集光ミラー3の反射率が低下すると、集光ミラー3の交換が必要となる。 ここで、EUV光発生装置で集光ミラー3の反射膜を再生させる技術がある。 しかし、例えば0.2nm(rms)程度の高い表面平坦性をもって高精度に成膜を行う成膜装置を付加しなければならず、高コストを招く要因となる。 また集光ミラー3の反射膜の損傷には分布があるため、反射膜を再生し均一な反射率分布を得ることは実質不可能である。 よって、集光ミラー3の反射膜を数百層堆積させ、集光ミラー3を交換するまでの寿命を稼ぐのが一般的であった。

    また、高速イオンのダメージ密度を低減する方法として、集光ミラー3とEUV光発生点Aとの間の距離を離すという方法がある。 しかし、この方法をとると、集光ミラー3でEUV光を捕集できる捕集立体が小さくなり、露光に利用できるEUV出力が低下してしまうという問題が発生するおそれがある。

    そこで、この問題を解決するために、例えば直径φ500mm以上の径の大きな集光ミラー3を用いることが考えられる。 しかし、このような径の大きな集光ミラー3を製作しようとすると、表面粗さ、形状精度を保ちつつ数百層に及ぶ反射膜を生成すること自体が困難となる。 また、仮にそのような集光ミラー3を製作できたにしても、製造工程、時間が繁雑かつ多大なものとなり、非常に高価になってしまうという問題が発生するおそれがある。

    ところで、EUV光の放射強度分布は、レーザ光入射方向に依存する。 すなわち、レーザ光入射方向に対向する方向に比較的強いEUV光が放射される。 そこで、集光ミラー3にレーザ光が入射される孔を設け、この孔を介してレーザ光をターゲット1に向けて入射させることで、そのレーザ光入射方向に対向する場所に存在する集光ミラー3にてEUV光を効率的に捕集する装置構成が提案されてきている。 なお、本明細書において、「レーザ光入射方向」とは、EUV光発生点Aにレーザ光が入射される際のレーザ光の方向の意味で使用する。

    さらに、最近になって、上述のEUV光の放射強度分布のみならず、プラズマから放射されるイオンの量および強度分布についても、レーザ光入射方向に依存することが判明した。 すなわち、図2に示すように、レーザ光入射方向に対向する方向では、イオンの放射量および強度が強くなる。 したがって、図2に破線で示すごとく、そのレーザ光入射方向に対向する場所に集光ミラー3を配置した場合には、集光ミラー3は激しい損傷を受け、著しく寿命が短くなるという問題が発生するおそれがある。

    そこで、この問題を解決するために、特許文献3では、図3に示すように、プラズマから放出されるイオンに対して、レーザ光入射方向とは垂直な方向に磁力線が発生するように磁石によって磁場をかけ、プラズマから放出されるイオンが集光ミラー3に到達しないように上述の垂直方向に偏向させて、集光ミラー3へのイオンの付着やスパッタリングを防止しようとしている。

    国際公開第2002/46839号パンフレット(第1頁)

    US2006/0091109A1

    特開2005−197456号公報

    しかし、上記特許文献3記載の発明では、〜10keVに達する高速イオンを集光ミラー3に到達しないように偏向させる必要があり、そのためには数Tにおよぶ強力な磁場が必要となる。 よって磁場をかけるための電磁石が高コストなものとなり、EUV光発生装置のコストを増大させる要因となる。

    本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、EUV光発生装置にかかるコストを低減しつつ、回復不能な高速イオンによる集光ミラー3の損傷および許容量の少ない低速イオンの集光ミラー3への付着を飛躍的に低減させ、更に、集光ミラー3でEUV光の捕集を効率的に行えるようにすることを解決課題とするものである。

    第1発明は、
    レーザ光が、EUV光発生点に位置するターゲットに入射されることによってターゲットがプラズマ状態にされEUV光が発生するEUV光発生装置に適用され、プラズマから放出されるイオンを回収するEUV光発生装置におけるイオン回収装置において、
    レーザ光入射方向に対向して配置され、EUV光を集光する集光ミラーであって、イオンが通過する孔が形成された集光ミラーと、
    EUV光発生点若しくはEUV光発生点近傍においてレーザ光入射方向と平行若しくは略平行となる磁力線を発生させる磁力線発生手段と、
    集光ミラーを挟んでEUV光発生点に対向する場所に配置され、イオンを回収するイオン回収手段とが備えられていることを特徴とする。

    第2発明は、第1発明において、
    集光ミラーには、
    レーザ光が通過する孔が形成されており、
    レーザ光は、集光ミラーの孔を通過してEUV光発生点に入射されること を特徴とする。

    第3発明は、第1発明または第2発明において、
    イオン回収手段の入り口で磁力線を更に収束させ磁束密度を更に密にする磁力線発生手段が追加して設けられていることを特徴とする。

    第4発明は、第1発明または第2発明または第3発明において、
    イオン回収手段の入り口でイオンの軌道を補正して入り口に導くように、イオンに電圧を印加する電圧印加手段が設けられていることを特徴とする。

    第5発明は、第1発明または第2発明において、
    イオン回収手段の入り口に向けてイオンが偏向するように、磁力線を発生させる磁力線発生手段が追加して設けられていることを特徴とする。

    第6発明は、第1発明または第2発明または第3発明において、
    イオン回収手段の入り口に向けてイオンが偏向するように、イオンに電圧を印加する電圧印加手段が設けられていることを特徴とする。

    第7発明は、第1発明または第2発明において、第1発明または第2発明における磁力線発生手段を集光ミラーに対して傾斜して配置させることにより、磁力線をイオン回収手段の入り口に向けて偏向させることを特徴とする。

    第8発明は、第1発明から第7発明において、
    レーザ光の入射軸と磁場の中心軸が同軸若しくはほぼ同軸となるように、レーザ集光系と磁力線発生手段が配置されていることを特徴とする。

    第9発明は、第6発明において、
    レーザ光のレーザ集光系に電圧を印加すること を特徴とする。

    第10発明は、第1発明から第9発明において、
    ターゲットは、回転ディスクターゲットまたは溝付きワイヤターゲットまたは窪み付きワイヤターゲットであることを特徴とする。

    第11発明は、
    レーザ光が、EUV光発生点に位置するターゲットに入射されることによってターゲットがプラズマ状態にされEUV光が発生するEUV光発生装置に適用され、プラズマから放出されるイオンを回収するEUV光発生装置におけるイオン回収方法において、
    EUV光発生点若しくはEUV光発生点近傍においてレーザ光入射方向と平行若しくは略平行となる磁力線を発生させ、
    磁力線にイオンを捕捉させ、
    捕捉されたイオンを磁力線に沿って移動させ、
    集光ミラーに形成された孔を介して、イオン回収手段の入り口に導き、イオンを回収することを特徴とする。

    第1発明では、図4に示すように、集光ミラー3は、レーザ光入射方向に対向して配置されており、EUV光を集光する。 集光ミラー3には、イオンが通過する孔3eが形成されている。

    磁力線発生手段40は、EUV光発生点A若しくはEUV光発生点A近傍においてレーザ光入射方向と平行若しくは略平行となる磁力線を発生させる(図5)。

    イオン回収手段30は、集光ミラー3を挟んでEUV光発生点Aに対向する場所に配置されている。 イオン回収手段30は、イオンを回収する。

    第1発明によれば、図5に示すように、EUV光発生点A若しくはEUV光発生点A近傍においてレーザ光入射方向と平行若しくは略平行となる磁力線が発生する。 これによりイオンは、磁力線に捕捉される。 捕捉されたイオンは、磁力線に沿って移動される。 そして、集光ミラー3に形成された孔3eを介して、イオン回収手段30の入り口30Aに導かれる。 こうしてイオンが回収される。

    第1発明によれば、磁力発生手段(磁石40)を小さくでき、EUV光発生装置にかかるコストを低減させることができる。 また、回復不能な高速イオンによる集光ミラー3の損傷および許容量の少ない低速イオンの集光ミラー3への付着を飛躍的に低減させることができる。 更に、集光ミラー3でEUV光の捕集を効率的に行うことができる。

    第2発明では、図4(b)、(c)に示すように、集光ミラー3に、レーザ光Lが通過するレーザ通過孔3dが形成され、レーザ光Lは、集光ミラー3の孔3dを通過してEUV光発生点Aに入射される。

    第3発明では、図7に示すように、イオン回収手段30の入り口30Aで磁力線を更に収束させ磁束密度を更に密にする磁力発生手段(補助磁石45あるいは補助鉄心46)が追加して設けられる。

    第4発明では、図9に示すように、イオン回収手段30の入り口30Aでイオンの軌道を補正して入り口30Aに導くように、イオンに電圧を印加する電圧印加手段50(直流又はパルス電源51、電極52)が設けられる。

    第5発明では、図10に示すように、イオン回収手段30の入り口30Aに向けてイオンが偏向するように、磁力線を発生させる磁力線発生手段(偏向用の磁石47、49あるいは偏向用の鉄心48)が追加して設けられる。

    第6発明では、図11に示すように、イオン回収手段30の入り口30Aに向けてイオンが偏向するように、イオンに電圧を印加する電圧印加手段55(直流又はパルス電源56、電極57)が設けられる。

    第7発明では、図13に示すように、磁力線発生手段(磁石40)を集光ミラー3に対して傾斜して配置させることにより、磁力線がイオン回収手段30の入り口30Aに向けて偏向される。

    第8発明では、図14に示すように、レーザ光のレーザ集光系8(集光ミラー8A)に電圧を印加することで、レーザ集光系8(集光ミラー8A)が、第6発明と同様に偏向用の電極として機能し、イオンがイオン回収手段30の入り口30Aに向けて偏向する。

    第9発明では、図10、図11、図12、図13、図14に示すように、レーザ光の入射軸と磁場の中心軸が同軸若しくはほぼ同軸となるように、レーザ集光系8と磁力線発生手段(磁石40)が配置される。

    第10発明では、図15に示すように、ターゲット1は、回転ディスクターゲット1Bまたは溝付きワイヤターゲット1Cまたは窪み付きワイヤターゲット1Dで構成される。

    第11発明は、第1発明の装置の発明に対応する方法の発明であり、図5に示すごとく、
    1) EUV光発生点A若しくはEUV光発生点A近傍においてレーザ光入射方向と平行若しくは略平行となる磁力線が発生する。

    2) イオンは、磁力線に捕捉される。
    3) 捕捉されたイオンは、磁力線に沿って移動する。

    4) イオンは、集光ミラー3に形成された孔3eを介して、イオン回収手段30の入り口30Aに導かれ、イオンが回収される。

    以下、図面を参照して本発明に係るEUV光発生装置におけるイオン回収装置およびその方法の実施の形態について説明する。

    (第1実施例)
    図4は、第1実施例の装置構成を示している。 図4(a)は、装置の全体構成図で、図4(b)、図4(c)は、集光ミラー3の反射面3Aを示す図である。

    図4に示すEUV光発生装置は、図1に示す装置と同様に、EUV光発生点Aに位置するターゲット1をプラズマ状態にしてEUV光を発生させて、外部に出力する装置である。

    このEUV光発生装置は、図示しない露光装置の光源として用いられるLPP方式によるEUV光発生装置である。

    すなわち、EUV光発生装置の真空チャンバ(図示せず)の内部にはEUV光を集光する集光ミラー3が設けられている。 集光ミラー3で集光されたEUV光は、図1に示す装置と同様に真空チャンバ外の露光装置に伝送される。 なお、露光装置では、EUV光を使用して半導体回路パターンが半導体ウェーハ上に形成される。

    真空チャンバの内部は、真空ポンプ等により真空引きされており、真空状態にされている。 真空チャンバ内の気体は、図示しない排気装置によって外部に排気される。 EUV光が発生する空間を真空状態にしているのは、EUV光は波長が13.5nmと短く真空中でないと効率よく伝搬しないからである。

    EUV光発生源となるターゲット1は、ドロップレット(液滴)1Aとなって、真空チャンバ内の所定のEUV光発生点A、つまりレーザ光Lの集光点に供給される。 ターゲット射出装置6は、ドロップレット1AをEUV光発生点Aに向けて射出し、真下に滴下する。

    ドロップレット1Aは、液体金属または金属溶液または金属化合物溶液若しくは、金属粒子または金属化合物粒子を含んだコロイド溶液である。

    ドロップレット1A中のターゲット1が金属で構成されている場合には、金属の主成分を、たとえば錫SnまたはリチウムLiとすることができる。

    また、ドロップレット1A中のターゲット1が金属化合物で構成されている場合には、金属化合物の主成分を、たとえば酸化錫SnO2とすることができる。

    ドロップレット1Aの溶媒の主成分は、たとえば分散性を有する液体または有機溶媒またはまたは液体窒素または液体キセノンとすることができる。 有機溶媒としては、たとえばメタノールまたはエタノールまたはアセトンまたはこれらの混合溶液とすることができる。

    以下では、錫Snの金属粒子1Cまたは酸化錫SnO2の金属化合物粒子を含むコロイド溶液となっているドロップレット1Aを想定して説明する。

    レーザ発振器としてのドライバレーザ装置4では、レーザ光Lがパルス発振されて、レーザ光Lが出射される。 レーザは、CO2レーザである。 なお、他のレーザ、たとえばNd:YAGレーザを使用する実施も可能である。

    レーザ光Lは、集光レンズ等で構成されたレーザ集光系8を介して、EUV光発生点Aに集光される。 レーザ光Lは、ドロップレット1A中のターゲット1がEUV光発生点Aに位置するタイミングでターゲット1に照射される。 ターゲット1にレーザ光Lが照射されることによってターゲット1がプラズマ状態に励起されEUV光が発生する。 すなわち、金属粒子または金属化合物粒子の凝集体または金属粒子または金属化合物粒子が分散された一定の空間をターゲット1として、ターゲット1がプラズマ状態にされる。

    発生したEUV光5はプラズマを中心に全方位に発散する。 ただし、前述のとおり、EUV光の放射強度分布は、レーザ光入射方向に依存し、レーザ光入射方向に対向する方向に比較的強いEUV光が放射される。

    集光ミラー3は、プラズマを取り囲むように配置されている。 集光ミラー3は、レーザ光入射方向に対向して配置されている。 このため全方位には発散するが、レーザ光入射方向に対向する方向に比較的強く放射されるEUV光は、集光ミラー3により効率的に捕集され、集光したEUV光を反射する。 集光ミラー3は、所望する波長13.5nmを選択的に反射する。 集光ミラー3には、13.5nm付近に高い反射率を持つコーティング(たとえばMo/Si膜)が施されている。 集光ミラー3で反射されたEUV光(出力EUV光)は、図示しない露光装置に伝播される。

    プラズマからはイオンが放出される。 図2で前述したとおり、プラズマから放射されるイオンの量および強度分布についても、レーザ光入射方向に依存し、レーザ光入射方向に対向する方向では、イオンの放射量および強度が強くなる。

    集光ミラー3を挟んでEUV光発生点Aに対向する場所には、イオン回収装置30が配置されている。 イオン回収装置30は、入り口30Aからイオンを導入する。 イオン回収装置30は、たとえばフィルタや真空ポンプ等により構成されており、イオンをトラップしたり真空引きして外部に排出したりするなどして、イオンを回収する。

    以下、この第1実施例の装置に特徴的な構成について説明する。

    集光ミラー3は、レーザ光入射方向に対向して配置されている。 集光ミラー3は、その反射面3Aが、EUV光発生点Aに対向し、集光ミラー3の中心軸3cが、ターゲット射出装置6によるドロップレット1A射出方向(図中真下方向)と垂直となるように配置されている。 以下では、各構成要素の配置構成を説明するときに、適宜「集光ミラー3の中心軸3c」を基準として説明する。

    集光ミラー3には、図4(b)、(c)に示すように、レーザ光Lが通過するレーザ通過孔3dが形成されている。 ドライバレーザ装置4、レーザ集光系8は、レーザ光Lがレーザ通過孔3dを通過するように配置されている。 レーザ光Lは、集光ミラー3の中心軸3cに対して所定の角度をなして図中下から上に向かい、EUV光発生点Aに入射される。

    また、集光ミラー3には、同図4(b)、(c)に示すように、イオンが通過するイオン捕集孔3eが形成されている。 イオン捕集孔3eは、上記レーザ通過孔3dよりも上方に形成されている。 イオン捕集孔3eは、その中心が、集光ミラー3の中心軸3cと一致するように形成されている。

    図4(b)に示すように、イオン捕集孔3eは、レーザ通過孔3dとは別に独立して形成してもよく、図4(c)に示すように、イオン捕集孔3eを、レーザ通過孔3dと連通させ、孔3d、3eが全体として長孔形状となるように一体に形成してもよい。

    なお、本実施例では、集光ミラー3に、レーザ通過孔3dを設け、レーザ光Lが集光ミラー3を通過してEUV光発生点Aに照射されることを前提として説明しているが、後述するごとくレーザ光入射方向がEUV発生点Aまたはその近傍において磁力線と平行または略平行にさえなっていればよく、ドライバレーザ装置4、レーザ集光系8の配置によっては、必ずしもレーザ光Lが集光ミラー3を通過するには及ばない。

    イオン回収装置30は、ターゲット射出装置6によるドロップレット1A射出方向とは垂直な方向、つまり集光ミラー3の中心軸3cの方向に配置されている。

    集光ミラー3の外周には、磁力線発生手段としての磁石40が配置されている。

    磁石40は、EUV光発生点A若しくはEUV光発生点A近傍においてレーザ光入射方向と平行若しくは略平行となる磁力線を発生させる。

    図5は、磁石40によって発生した磁力線と、プラズマから放出されるイオンの挙動との関係を説明する図である。

    以下、上述した第1実施例の装置構成による作用効果について説明する。

    第1実施例の装置構成によれば、ターゲット射出装置6によって、ドロップレット1AがEUV光発生点Aに向けて射出、滴下される。

    一方、ドライバレーザ装置4からレーザ光Lが出射され、レーザ集光系8を介して、集光ミラー3に向かい、レーザ通過孔3dを通過し、EUV光発生点Aに入射される。 レーザ光Lは、ドロップレット1A中のターゲット1がEUV光発生点Aに位置するタイミングでターゲット1に照射される。 ターゲット1にレーザ光Lが照射されることによってターゲット1がプラズマ状態に励起されEUV光が発生する。

    EUV光は、レーザ光入射方向に対向する方向に比較的強く放射される。 このためEUV光は、レーザ光入射方向に対向して配置されている集光ミラー3により効率的に捕集されることになる。 集光ミラー3は、集光したEUV光を反射する。 集光ミラー3で反射されたEUV光(出力EUV光)は、図示しない露光装置に伝播される。

    プラズマからはイオンが放出される。 図2に示したとおり、プラズマから放射されるイオンの量および強度分布についても、レーザ光入射方向に依存し、レーザ光入射方向に対向する方向では、イオンの放射量および強度が強くなる。

    ここで、イオンは、磁石40によって発生した磁場の中を運動している。 周知のごとく、荷電粒子であるイオンに磁場がかかると、イオンにはローレンツ力が作用し、所定のラーマ半径をもって磁力線の周りを旋回しながら磁力線に沿って進行する。 このようにイオンは磁力線に捕捉され、磁力線に沿って移動する。

    磁石40は、EUV光発生点A若しくはEUV光発生点A近傍においてレーザ光入射方向と平行若しくは略平行となる磁力線を発生させる。 このため、磁力線の方向は、イオンの初期運動方向とほぼ一致することになる。 すなわち、図5に示すように、ほぼ大多数の高速イオンは、発生初期の運動方向が磁力線と平行な成分が多く、磁力線と垂直な成分が少ない状態で、プラズマから放出される。 よって、ラーマ半径は小さくなり、小さい範囲に高速イオンが収束される。 高速イオンの収束範囲が小さくなるため、高速イオンは、集光ミラー3のイオン捕集孔3eを確実に通過する。 またイオン捕集孔3eを小さく形成することができる。 集光ミラー3のイオン捕集孔3eを通過した高速イオンは、更に磁力線に沿って進行し、イオン回収装置30の入り口30Aに導かれて、回収される。 高速イオンの収束範囲が小さく、そのためにイオン回収装置30の入り口30Aを小さくできるなど、イオン回収装置30を簡易に構成することができる。 例えば、直径数十μmのSnドロップレットターゲットにレーザ強度〜109W/cm2のCO2レーザを照射し、中心磁場〜2Tで高速イオンを捕集する場合、プラズマ生成点Aから100mmの場所で高速イオンを、大体、直径十数mmの範囲に収束することができる。 よって、集光ミラー3のイオン捕集孔3e、イオン回収装置30の入り口30Aは、この直径十数mmの高速イオン収束範囲に応じた大きさ(径)とすることができる。

    以上のように本実施例によれば、高いEUV光捕集(集光)効率でありながら、集光ミラー3の損傷原因となる高速イオンを効果的に収束させ、集光ミラー3に衝突させることなく回収することができる。 このことは、磁石40によって磁場をかけなかった場合と比較すれば明らかである。 仮に磁石40によって磁場をかけなかった場合には、図2に示すごとく一般的にターゲット1から発生する高速イオンは、レーザ光入射方向に対向する方向に多く発生するものの、時間の経過につれて全方位に拡散していく。 よって、高速イオンは集光ミラー3の反射面3Aの全面に放射されてしまい、集光ミラー3の寿命は著しく低下してしまう。 これに対して本実施例では、図5に示すごとく、磁石40により、EUV光発生点A若しくはその近傍の場所に磁場を発生させ、その場所でレーザ光入射方向と平行若しくは略平行な磁力線を発生させているため、拡散しようとする高速イオンを偏向させて狭い範囲に収束させることができる。 このため集光ミラー3の反射面3Aのうちの狭い範囲、つまりイオン捕集孔3e程度に高速イオンを収束することができ、高速イオンを集光ミラー3に衝突させることなく集光ミラー3の後方へ通過させて、回収することができる。

    本実施例によって、プラズマから放出される高速イオンの大部分を回収することができるが、イオン発生時の強度分布の周辺部の少数のイオンや各種不安定性によりイオン捕集孔3eの周辺部が低確率であるが、イオンによって衝突を受けるおそれがある。 そこで、図4(c)に示すように、集光ミラー3のイオン捕集孔3eの周辺部を、部分交換が可能な部分交換ミラー3Bで構成してもよい。 これにより集光ミラー3のうち部分交換ミラー3Bの部分が先に寿命に達したときに、部分交換ミラー3Bのみを交換することが可能となる。 この結果、集光ミラー3全体を交換するよりも、メンテナンスコストを低減させることができる。

    また、本実施例によれば、磁石40を低コストで構成することができ、EUV光発生装置全体のコストを低減させることができる。 このことは、図3で前述した従来技術と比較すれば明らかである。

    図3に示す装置は、集光ミラー3の上下に磁石140、140を配してミラー磁場を形成し、高速イオンをミラー磁場の上下方向に排出させるというものである。

    図3に示す装置は、本実施例装置と異なり、磁力線は、レーザ光入射方向と垂直に発生する。

    図6は、磁力線とイオンの運動エネルギーとの関係を説明する図である。

    図6(a)は、本第1実施例を説明する図で、イオンの運動方向が磁力線の方向にほぼ平行となっている状態を示している。 図6(b)は、図3に示す従来技術を説明する図で、イオンの運動方向が磁力線の方向にほぼ垂直となっている状態を示している。

    例えば、本第1実施例の装置と、図3の従来装置とが、ターゲット1、レーザ照射の条件において同等と仮定すると、高速イオンの運動エネルギーEは、図6(a)、(b)において同等となる。 高速イオンの運動エネルギーEのうち、レーザ光入射方向に平行な成分をEx、レーザ光入射方向に垂直な成分をEzとする。

    本実施例(図6(a))では、磁力線の方向Bと高速イオンの運動エネルギーEが略平行であるのに、従来技術(図6(b))では、磁力線の方向Bと高速イオンの運動エネルギーEがほぼ直交する。 よって、本第1実施例装置では、高速イオンの運動ベクトルのうち、高速イオンを排出させ回収したい方向のベクトルExは元々大きいので、高速イオンを排出させ回収しやすくなる。 また、ローレンツ力を作用させて偏向させるべきベクトルはEzであり、元々ベクトルが小さいのでラーマ半径を小さくできそれに必要な磁束密度も小さくて済む。 これに対して従来装置では、高速イオンを排出させて回収したい方向のベクトルはEzであり、その大きさは小さく、高速イオンを排出させ回収し難い。 さらに集光ミラー3への衝突を防止するために偏向させるべきベクトルはExであり、その大きさは大きいので、より大きな磁束密度が必要となる。 よって、従来装置では、より強力な電磁石が必要となり、装置のコストが増大する。 これに対して本第1実施例装置では、従来装置に比べて小さな磁束密度で十分な排出、回収効果を達成することができるため、電磁石(磁石40)は比較的小さなものでよく、装置のコストを低減させることができるという利点がある。

    第1実施例の装置構成を適宜変形した実施も可能である。 以下、各変形例について説明する。 第2実施例以下では、第1実施例と共通する構成部分については説明を省略し、異なる部分、追加した部分について説明する。

    (第2実施例)
    図7は、第2実施例の装置構成を示している。

    第2実施例では、イオン回収装置30の入り口30Aで磁力線を更に収束させ磁束密度を更に密にする磁力発生手段としての補助磁石45あるいは補助鉄心46が追加して設けられる。

    図7(a)に示す装置は、上述の第1実施例の装置に、補助磁石45を追加したものである。

    補助磁石45は、イオン回収装置30の入り口30Aを囲み、入り口30A付近の小さな空間に磁場が作用するように配置される。 補助磁石45によって、イオン回収装置30の入り口30Aで磁力線が更に収束され磁束密度が更に密になる。 補助磁石45は、磁束密度を主たる磁石40と同等以上にしても磁石の大きさとしては小さく済む。

    このように補助磁石4によって磁力線を更に収束させるようにしたので、イオン回収装置30で高速イオンを捕集する効率が高まるとともに、イオン回収装置30を更に小型化することができる。 また磁力線の収束性を高めているので、集光ミラー3のイオン捕集孔3eの孔径を小さくてすることができ、集光ミラー3におけるEUV光捕集面積が広くなる。

    図7(a)の構成と同様の作用効果を得るために図7(b)のように構成してもよい。

    図7(b)は、上述の第1実施例の装置構成に、補助鉄心45を追加したものである。

    補助鉄心46は、イオン回収装置30の入り口30Aを囲み、入り口30A付近の小さな空間に磁場が作用するように配置される。 補助鉄心46によって、イオン回収装置30の入り口30Aで磁力線が更に収束され磁束密度が更に密になる。 補助磁石45の代わりに補助鉄心46を用いると、補助磁石45を用いた場合よりも簡単な構成で、補助磁石45を用いた場合と同等の作用効果が得られる。

    (第3実施例)
    図8は、第3実施例の装置構成を示している。

    図8に示す装置は、上述の第1実施例の装置における磁石40の配置箇所を変更したものである。

    第1実施例の装置では、集光ミラー3の外周に、磁石40が配置されているが、第3実施例の装置では、磁石40は、集光ミラー3を挟んでEUV光発生点Aに対向する場所に配置される。 磁石40は、イオン回収装置30の入り口30Aを囲むように設けられる。

    図8(a)の装置では、磁石40を第1実施例の装置の磁石40よりも小型化している。 ただし、磁石40には、レーザ光Lを通過させるための孔40aを形成する必要がある。

    磁石40は、イオン回収装置30の入り口30Aを囲むように設けられているため、第1実施例の装置の磁石40と同等の磁束密度を維持したまま小型化することができる。 上述のごとくレーザ通過孔40aを形成する必要があるが、それを考慮しても磁石のコストを低減できる。 また、磁石40の小型化により装置全体を小型にすることができる。

    図8(b)の装置では、図8(a)に示す磁石40よりも、磁石40を更に小型化している。 たとえば小型の永久磁石が用いられる。

    すなわち、レーザ照射方法やターゲット1の種類によっては、高速イオンの強度分布の指向性が非常に強くなる場合がある。 このような場合としては、後述するようにターゲット1として、ドロップレットターゲットの代わりに、溝や窪みが形成された固体ターゲット、つまり溝付きワイヤターゲット、窪み付きワイヤターゲットを使用した場合である。 高速イオンの強度分布はドロップターゲットの場合でも元々指向性が強いが、固体ターゲットの溝や窪みに向けてレーザ光Lを照射すると、高速イオンの強度分布の指向性が非常に強くなる。 よって、高速イオンの強度分布の指向性が強い分だけ、同等のイオン回収効率を得るために必要な磁力線の収束作用は弱くてもよく、小型の永久磁石で対処できる場合がある。 図8(b)の装置は、磁石40として小型の永久磁石を使用することができるので、装置が更に簡単で装置全体を小型化することができる。

    (第4実施例)
    図9は、第4実施例の装置構成を示している。

    第4実施例では、イオン回収装置30の入り口30Aでイオンの軌道を補正して入り口30Aに導くように、イオンに電圧を印加する電圧印加手段50が追加して設けられる。

    図9に示す装置では、上述の第1実施例の装置に、直流又はパルス電源51と、電極52とで構成される電圧印加手段50を追加したものである。

    電極52は、イオン回収装置30の入り口30A付近に設けられている。 電極52には、直流又はパルス電源51が電気的に接続されている。

    第1実施例の装置では、磁力線の形状によってはイオン回収装置30付近で磁力線が発散方向になることがある。

    そこで、直流又はパルス電源51によって直流またはパルスの電圧を電極52に印加する、印加電圧が直流の場合には、電圧の極性はイオンと同極性にするとよい。 これにより電場の反発作用により荷電粒子であるイオンは軌道が補正され、回収装置30の入り口30Aに導かれる。

    印加電圧がパルスの場合には、電極52に電圧を印加するタイミングによって極性を変えてもよい。 つまり磁力線が発散傾向になる領域をイオンが通過するタイミングでイオンと異極性の電圧を印加する。 またイオンがイオン回収装置30の入り口30A付近を通過するタイミングでイオンと同極性の電圧を印加する。 これにより荷電粒子であるイオンは軌道が補正され、イオン回収装置30の入り口30Aに導かれる。

    以上のように本実施例によれば、磁場によって収束された高速イオンが電場によってその軌道が補正されてイオン回収装置30の入り口30Aに導かれるため、イオン回収装置30のイオン捕集効率が高まる。

    (第5実施例)
    図10は、第5実施例の装置構成を示している。

    第5実施例では、イオン回収装置30の入り口30Aに向けてイオンが偏向するように、磁力線を発生させる磁力線発生手段47、48、49が設けられる。 またレーザ光Lの入射軸と磁場の中心軸が同軸若しくはほぼ同軸となるように、レーザ集光系8と磁石40が配置される。

    図10(a)に示す装置では、上述の第1実施例の装置に、偏向用の磁石47が追加して設けられる。

    第1実施例装置では、レーザ光軸は、集光ミラー中心軸3cに対して所定の角度をなしていた。 しかし、第5実施例装置では、レーザ光入射軸が集光ミラー中心軸3cと同軸かほぼ同軸となるように、ドライバレーザ装置4、レーザ集光系8が配置される。 一方、磁石40は、磁場の中心軸が集光ミラー中心軸3cと同軸若しくはほぼ同軸となるように配置される。 これによりレーザ光Lの入射軸が磁場中心軸と一致するかほぼ一致する。 偏向用の磁石47は、高速イオンがレーザ集光系8に衝突することを回避するために、高速イオンを偏向して回収するために設けられている。 これに応じてイオン回収手段30もレーザ光入射軸に対して偏向して配置されている。

    偏向用の磁石47は、集光ミラー3を挟んでEUV光発生点Aに対向する位置に設けられる。 偏向用の磁石47は、集光ミラー3とイオン回収装置30の間に設けられる。 偏向用の磁石47の中心軸は、集光ミラー3の中心軸3cに対してオフセットされている。

    磁石47は、主たる磁石40よりも小型である。 磁石47は、レーザ光軸を囲むように配置される。

    高速イオンは、集光ミラー3を通過した後、小型の偏向用磁石47によって偏向され、イオン回収装置30の入り口30Aに導かれる。

    本実施例によれば、レーザ光入射軸が集光ミラー3の集光軸(ミラー中心軸3c)と一致するかほぼ一致するため、アライメントが容易である。 またイオンは、集光ミラー3を通過した後で偏向され、集光ミラー3通過時にはレーザ光入射軸と同軸上かほぼ同軸上にあるため、集光ミラー3のイオン捕集孔3eとレーザ通過孔3dを共通にすることができる。 これにより集光ミラー3の集光面積(反射面面積)を増加させることができる。

    図10(b)に示す装置では、図10(a)に示す偏向用の磁石47の代わりに偏向用の鉄心48が設けられる。 鉄心48の配置は、図10(a)に示す装置の磁石47の配置と同様であり、図10(a)の装置と同様の作用効果が得られる。 また磁石の代わりに鉄心を使用しているので、構成が簡単で低コストになるという効果が得られる。

    図10(c)に示す装置では、図10(a)に示す磁石47と同様の小型の磁石49が設けられる。 ただし、磁石49は、レーザ光軸外に配置される。 図10(c)に示す装置によれば、図10(a)の装置と同様の作用効果が得られる。 また、レーザ光路が磁場から遠ざけられるため磁場から漏洩してくる僅かな高速イオンがレーザ集光系8に衝突しにくくなるという効果が得られる。

    (第6実施例)
    図11は、第6実施例の装置構成を示している。

    第6実施例では、イオン回収装置30の入り口30Aに向けてイオンが偏向するように、イオンに電圧を印加する電圧印加手段55が設けられる。 また上記第5実施例と同様に、レーザ光Lの入射軸と磁場の中心軸が同軸若しくはほぼ同軸となるように、レーザ集光系8と磁石40が配置される。

    図11に示す装置では、上述の第1実施例の装置に、偏向用の電圧印加手段55が追加して設けられる。

    図11に示す装置は、上述の第1実施例の装置に、直流又はパルス電源56と、電極57とで構成される電圧印加手段55を追加したものである。

    イオン回収装置30は、上述した第5実施例の装置と同様にレーザ光入射軸に対して偏向して配置されている。

    電極57は、集光ミラー3とイオン回収装置30の間に設けられている。 電極57には、直流又はパルス電源56が電気的に接続されている。

    図11(a)の装置では、直流又はパルス電源56から電極57にイオンと異極性の電圧が印加される。 イオンがプラス極性の荷電粒子であれば、マイナス極性の電圧が印加される。 高速イオンは、集光ミラー3を通過した後、電極57から発生した電場によって電極57に引き付けられるように偏向され、イオン回収装置30の入り口30Aに導かれる。

    本実施例によれば、レーザ光入射軸が集光ミラー3の集光軸(ミラー中心軸3c)と一致するかほぼ一致するため、アライメントを調整することが容易となる。 またイオンは、集光ミラー3を通過した後で偏向され、集光ミラー3通過時にはレーザ光入射軸と同軸上かほぼ同軸上にあるため、集光ミラー3のイオン捕集孔3eとレーザ通過孔3dを共通にすることができる。 これにより集光ミラー3の集光面積を増加させることができる。 電極57は、磁石に比べて形状が自由に選べるため、設計自由度が増し部品点数を削減することができる。

    図11(b)の装置では、直流又はパルス電源56から電極57にイオンと同極性の電圧が印加される。 イオンがプラス極性の荷電粒子であれば、プラス極性の電圧が印加される。 高速イオンは、集光ミラー3を通過した後、電極57から発生した電場によって電極57から遠ざかるように偏向され、イオン回収装置30の入り口30Aに導かれる。 本実施例によれば、図11(a)の装置と同様の効果が得られる。

    図11(c)の装置では、図11(a)に示す電極57、図11(b)に示す電極57が設けられ、それぞれに図11(a)の装置と同様にイオンと異極性の電圧、図11(b)の装置と同様にイオンと同極性の電圧が印加される。

    直流又はパルス電源56から各電極57、57にイオンと異極性の電圧、同極性の電圧がそれぞれ印加される。 高速イオンは、集光ミラー3を通過した後、電極57、57それぞれに引き付けられ、遠ざかるように偏向され、イオン回収装置30の入り口30Aに導かれる。 本実施例によれば、図11(a)、(b)の装置と同様の効果が得られる。

    直流又はパルス電源56から電極57に印加される電圧は、直流でもパルスでもかまわない。 ただし、パルスを印加する場合は、直流を印加する場合に比べて電源56のコストが上昇するもののイオンが電極57に衝突することを防止できるという利点がある。

    (第7実施例)
    図12は、第7実施例の装置構成を示している。

    第7実施例は、第5実施例と第6実施例を組み合わせたものである。

    第7実施例では、第5実施例と同様に、イオン回収装置30の入り口30Aに向けてイオンが偏向するように、磁力線を発生させる磁力線発生手段47が設けられる。 たとえば図10(a)に示す装置と同様に、偏向用の磁石47が設けられる。
    また、第6実施例と同様にイオン回収装置30の入り口30Aに向けてイオンが偏向するように、イオンに電圧を印加する電圧印加手段55が設けられる。 たとえば図11(b)に示す装置と同様に、直流又はパルス電源56から電極57にイオンと同極性の電圧が印加される。

    また第5実施例、第6実施例と同様に、レーザ光Lの入射軸と磁場の中心軸が同軸若しくはほぼ同軸となるように、レーザ集光系8と磁石40が配置される。

    本第7実施例の装置によれば、高速イオンは、集光ミラー3を通過した後、電極57から発生した電場によって電極57から遠ざかるように偏向される。 さらにイオンは、小型の偏向用磁石47によって偏向され、イオン回収装置30の入り口30Aに導かれる。

    本第7実施例によれば、第5実施例、第6実施例と同様の効果が得られる。 さらに高速イオンを非常に強力に偏向させることができるため、レーザ集光系8に高速イオンが衝突することによるダメージを低減させることができる。

    (第8実施例)
    図13は、第8実施例の装置構成を示している。

    上述の第5実施例、第6実施例、第7実施例では、磁場または/および電場を用いてイオンを偏向させるようにしている。 しかし、第1実施例装置の磁石40そのものを集光ミラー3に対して傾斜して配置させることにより、磁力線をイオン回収装置30の入り口30Aに向けて偏向させてもよい。

    すなわち、図13に示すように、磁石40を集光ミラー3に対して傾斜して配置させる傾斜して配置させる。 ただし、磁石40は、レーザ集光系8との関係では、レーザ光Lの入射軸と磁場の中心軸が同軸若しくはほぼ同軸となるように配置される。

    本第8実施例の装置によれば、磁力線はイオン回収装置30の入り口30Aに向けて偏向される。 よって高速イオンは、集光ミラー3を通過した後、偏向した磁力線に沿ってイオン回収装置30の入り口30Aに導かれる。 本第8実施例装置によれば、レーザ集光系8に対するイオンの衝突は多少あるものの構成が非常に簡単であるという利点が得られる。

    (第9実施例)
    図14は、第9実施例の装置構成を示している。

    レーザ集光系8が集光ミラー8Aで構成されている場合であって、集光ミラー8Aの母材を銅などの金属で構成する場合には、集光ミラー8Aを、上述した第6実施例、第7実施例における電極57と同機能の偏向用電極として機能させることができる。

    すなわち、第9実施例では、イオン回収装置30の入り口30Aに向けてイオンが偏向するように、イオンに電圧を印加する電圧印加手段58が設けられる。 また上記第5実施例、第6実施例、第7実施例、第8実施例と同様に、レーザ光Lの入射軸と磁場の中心軸が同軸若しくはほぼ同軸となるように、レーザ集光系8と磁石40が配置される。

    電圧印加手段58は、直流又はパルス電源56と、電極として機能する集光ミラー8Aとで構成される。 集光ミラー8Aは、レーザ集光系8の構成要素である。

    イオン回収装置30は、上述した第5実施例、第6実施例、第7実施例、第8実施例の装置と同様にレーザ光入射軸に対して偏向して配置されている。

    集光ミラー8Aは、集光ミラー3とイオン回収装置30の間に設けられている。 集光ミラー8Aには、直流又はパルス電源56が電気的に接続されている。

    図14の装置では、直流又はパルス電源56から集光ミラー8Aにイオンと同極性の電圧が印加される。 イオンがプラス極性の荷電粒子であれば、プラス極性の電圧が印加される。 高速イオンは、集光ミラー3を通過した後、集光ミラー8Aから発生した電場によって集光ミラー8Aから遠ざかるように偏向され、イオン回収装置30の入り口30Aに導かれる。

    本第9実施例によれば、高速イオンは、集光ミラー8Aから遠ざかるように偏向されるため、集光ミラー8Aにイオンが衝突することを抑制できる。 また、レーザ光入射軸と磁場中心軸と集光ミラー3の中心軸3cが一致するため、簡単な構成で、アライメントを容易に調整することができる。

    (第10実施例)
    上述した各実施例では、ターゲット1としてドロップレットターゲットを想定して説明した。

    しかし、ターゲット1をドロップレット1A以外の態様で構成することができる。

    図15(a)は、ターゲット1を回転ディスクターゲット1Bで構成した場合を示している。 回転ディスクターゲット1Bは、回転円盤の表面1eに錫Sn等のターゲット材料を塗布するなどして積層することで構成される。

    回転ディスクターゲット1Bを、回転させながら、その回転面1eにレーザ光Lを照射させて、EUV光を発生させる。

    回転ディスクターゲット1Bにレーザ光Lを照射した場合には、ドロップレット1Aにレーザ光Lを照射した場合に比較して、高速イオンの強度分布は、その指向性が強まる。 つまり高速イオンの収束がより容易なものとなり、高速イオンを捕集、回収する効率が更に高まる。

    図15(b)は、ターゲット1を溝付きワイヤターゲット1Cで構成した場合を示している。 溝付きワイヤターゲット1Cは、溝1fが長手方向に沿って形成されたワイヤの少なくとも溝1fの部分に錫Sn等のターゲット材料を塗布するなどして積層することで構成される。

    溝付きワイヤターゲット1Cをその長手方向に送りながら、溝1fにレーザ光Lを照射させて、EUV光を発生させる。

    溝付きワイヤターゲット1Cにレーザ光Lを照射した場合には、回転ディスクターゲット1Bにレーザ光Lを照射した場合に比較して、高速イオンの強度分布は、更にその指向性が強まる。 また、レーザエネルギーからEUV光エネルギーへの変換効率も更に向上する。 なお、回転円盤に溝を形成してターゲット1を構成した場合でも同様の効果が得られる。

    図15(c)は、ターゲット1を窪み付きワイヤターゲット1Dで構成した場合を示している。 窪み付きワイヤターゲット1Dは、窪み1gが長手方向に沿って間欠的に形成されたワイヤの少なくとも窪み1gの部分に錫Sn等のターゲット材料を塗布するなどして積層することで構成される。

    窪み付きワイヤターゲット1Dにレーザ光Lを照射した場合には、溝付きワイヤターゲット1Cにレーザ光Lを照射した場合に比較して、高速イオンの強度分布は、更にその指向性が強まる。 また、レーザエネルギーからEUV光エネルギーへの変換効率も更に向上する。

    図1は、従来技術を説明するために用いた図で、露光装置の光源として用いられるLPP方式によるEUV光発生装置の構成を概念的に示した図である。

    図2は、レーザ光入射方向に対向する方向で、イオンの放射量および強度が強くなることを説明する図である。

    図3は、従来技術を説明するために用いた図で、プラズマから放出されるイオンに対して、レーザ光入射方向とは垂直な方向に磁力線が発生するように磁場をかけるための構成を示した図である。

    図4は、第1実施例の装置構成を示した図で、図4(a)は、装置の全体構成図で、図4(b)、図4(c)は、集光ミラーの反射面を示す図である。

    図5は、磁石によって発生した磁力線と、プラズマから放出されるイオンの挙動との関係を説明する図である。

    図6は、磁力線とイオンの運動エネルギーとの関係を説明する図で、図6(a)は、本第1実施例を説明する図で、図6(b)は、図3に示す従来技術を説明する図である。

    図7(a)、(b)は、第2実施例の装置構成を示した図である。

    図8(a)、(b)は、第3実施例の装置構成を示した図である。

    図9は、第4実施例の装置構成を示した図である。

    図10(a)、(b)、(c)は、第5実施例の装置構成を示した図である。

    図11(a)、(b)、(c)は、第6実施例の装置構成を示した図である。

    図12は、第7実施例の装置構成を示した図である。

    図13は、第8実施例の装置構成を示した図である。

    図14は、第9実施例の装置構成を示した図である。

    図15(a)、(b)、(c)は、第10実施例を説明する図で、ドロップレットターゲットとは異なる態様のターゲットを例示した図である。

    符号の説明

    3 集光ミラー、3d レーザ通過孔、3e イオン捕集孔、40 磁力線発生手段(磁石)、30 イオン回収装置、45 補助磁石、46 補助鉄心、50 電圧印加手段、51、直流又はパルス電源、52 電極、47 偏向用の磁石、48 偏向用の鉄心、55電圧印加手段、56 直流又はパルス電源、57 電極、8 レーザ集光系、8A 集光ミラー、1 ターゲット、1B 回転ディスクターゲット、1C 溝付きワイヤターゲット、1D 窪み付きワイヤターゲット

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