How to modulate the laser-accelerated protons for radiation therapy |
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申请号 | JP2006542842 | 申请日 | 2004-12-02 | 公开(公告)号 | JP2007531556A | 公开(公告)日 | 2007-11-08 |
申请人 | フォックス・チェイス・キャンサー・センターFox Chase Cancer Center; | 发明人 | フォーカル、ユージーン、エス.; マ、チャン−ミン; | ||||
摘要 | 【解決手段】 標的領域へのレーザー 加速 陽子放射線量を最適化する方法が開示されている。 開示されている方法には、複数の変調連続エネルギー陽子ビームレットを提供する工程と、標的領域に前記複数の変調ビームレットを照射する工程とが含まれる。 【選択図】 図1e |
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权利要求 | 処方線量の高エネルギー連続エネルギー(polyenergetic)陽イオンを標的体積に提供するために陽イオンビームシーケンスを生成する方法であって、 a)複数のビーム角度と、処方計画と、線量拘束値とを提供する工程と、 b)ビームスキャンシーケンスに基づいて計画最適化工程を提供する工程と、 c)前記ビームスキャンシーケンスを前記ビーム角度、処方計画、および線量拘束値に適用して、計画最適化結果を生成するものである、前記適用する工程と、 d)前記計画最適化結果を前記処方計画と比較する工程と、 e)前記計画最適化結果が許容範囲内になるまで、前記ビームスキャンシーケンスを変調し工程b)、c)、およびd)を反復する工程と を有する方法。 請求項1記載の方法において、前記ビームスキャンシーケンスは、ビームレット(bemlet)の横方向スキャン、ビームレットの深度方向スキャン、ビームレットの3Dスキャン、またはこれらの任意の組み合わせを有するものである。 処方線量の高エネルギー連続エネルギー陽イオンを標的体積に提供する方法であって、 a)複数のビーム角度と、処方計画と、線量拘束値とを提供する工程と、 b)ビームスキャンシーケンスに基づいて計画最適化工程を提供する工程と、 c)前記ビームスキャンシーケンスを前記ビーム角度、処方計画、および線量拘束値に適用して、計画最適化結果を生成するものである、前記適用する工程と、 d)前記計画最適化結果を前記処方計画と比較する工程と、 e)前記計画最適化結果が許容範囲内になるまで、前記ビームスキャンシーケンスを変調し工程b)、c)、およびd)を反復する工程と、 f)前記計画最適化結果に従って複数のビームレットで標的体積を照射する工程と を有する方法。 請求項3記載の方法において、前記ビームスキャンシーケンスは、ビームレットの横方向スキャン、ビームレットの深度方向スキャン、ビームレットの3Dスキャン、またはこれらの任意の組み合わせを有するものである。 陽子放射線量を標的領域に提供する方法であって、 複数の変調連続エネルギー陽子ビームレットを提供する工程と、 前記標的領域に前記複数の変調連続エネルギー陽子ビームレットを照射する工程と を有する方法。 請求項5記載の方法において、前記変調連続エネルギービームレットの各々は、ビームレットエネルギー分布、ビームレット強度、ビームレット方向、ビームレット面積、またはビームレット形状のうち少なくとも1つに従って、個別に変調される。 請求項5記載の方法において、前記複数の変調連続エネルギービームレットの少なくとも一部は、3次元で変調されるものである。 請求項5記載の方法において、前記複数の変調連続エネルギービームレットの少なくとも一部は、強度について変調されるものである。 請求項5記載の方法において、前記複数の変調連続エネルギービームレットの少なくとも一部は、エネルギー分布について変調されるものである。 請求項5記載の方法において、前記複数の変調連続エネルギービームレットの少なくとも一部は、標的領域をその深度方向に照射するよう、変調されるものである。 請求項5記載の方法において、前記複数の変調連続エネルギービームレットは、前記標的領域の外部の器官への照射を最小化するよう線量を最適化するため、変調されるものである。 請求項5記載の方法において、前記複数の変調連続エネルギービームレットは、前記標的領域の外部の照射面積を最小化するよう線量を最適化するため、変調されるものである。 請求項5記載の方法において、前記複数の変調連続エネルギービームレットは、前記標的領域への処方線量を最大化するため、変調されるものである。 請求項5記載の方法において、前記複数の変調連続エネルギービームレットは、重要構造への照射を最小化し前記標的領域への処方線量を最大化するよう線量を最適化するため、変調されるものである。 請求項5記載の方法において、前記複数の変調連続エネルギー陽子ビームレットは、 複数の高エネルギー連続エネルギー陽子を有するレーザー加速高エネルギー連続エネルギーイオンビームを形成する工程であって、前記複数の高エネルギー連続エネルギー陽子はエネルギーレベル分布を有するものである、前記形成する工程と、 コリメーション装置を使って、前記レーザー加速イオンビームをコリメート(平行に)する工程と、 前記高エネルギー連続エネルギー陽子を、当該高エネルギー連続エネルギー陽子のエネルギーレベルに従い、第1の磁場を使って空間的に分離させる工程と、 開口部を使って、空間的に分離された高エネルギー連続エネルギー陽子を変調する工程と、 第2の磁場を使って、変調された高エネルギー連続エネルギー陽子を再結合する工程と により提供されるものである。 請求項5記載の方法において、前記変調連続エネルギー陽子ビームレットの各々は、エネルギーおよび強度について、個別に変調されるものである。 請求項5記載の方法において、前記照射は、前記連続エネルギービームレットに対し長手方向および横方向の双方に、標的領域への望ましい処方線量を生じさせるものである。 陽イオン放射線量を標的領域に提供する方法であって、 複数の変調連続エネルギー陽イオンビームレットを提供する工程と、 前記標的領域に前記複数の変調連続エネルギー陽イオンビームレットを照射する工程と を有する方法。 請求項18記載の方法において、前記変調連続エネルギービームレットの各々は、ビームレットエネルギー分布、ビームレット強度、ビームレット方向、ビームレット面積、またはビームレット形状のうち少なくとも1つに従って、個別に変調されるものである。 陽子放射線量を標的領域に提供する方法であって、 複数の変調連続エネルギー陽子ビームレットを提供する工程であって、当該変調連続エネルギービームレットの各々が、ビームレットエネルギー分布、ビームレット強度、ビームレット方向、ビームレット面積、またはビームレット形状のうち少なくとも1つに従って個別に変調される、工程と、 前記標的領域に前記複数の変調連続エネルギー陽子ビームレットを照射する工程であって、当該複数の変調連続エネルギー陽子ビームレットは、前記標的領域への陽子放射線量を最大化し前記標的領域の外部の領域への陽子放射線量を最小化するものである、前記照射する工程と を有する方法。 処方線量を患者体内の標的領域に提供する方法であって、 a)複数の連続エネルギー陽子ビームレットを提供する工程と、 b)前記連続エネルギー陽子ビームレットを変調する工程であって、当該変調により、前記ビームレットに対し長手方向および横方向の双方に、前記処方線量に従って、前記標的領域に対し許容範囲内の線量分布を生じさせるものである、前記変調する工程と を有する方法。 請求項21記載の方法において、前記変調する工程は、3次元で実施されるものである。 請求項21記載の方法において、前記連続エネルギー陽子ビームレットの強度は変調されるものである。 請求項21記載の方法において、前記連続エネルギー陽子ビームレットのエネルギーは変調されるものである。 請求項21記載の方法において、前記連続エネルギー陽子ビームレットは、前記標的を深度方向に照射するよう変調されるものである。 請求項21記載の方法において、前記変調する工程は、前記標的の外部の器官への照射を最小化するよう線量を最適化する工程を有するものである。 請求項21記載の方法において、前記変調する工程は、重要構造への照射を最小化するよう線量を最適化する工程を有するものである。 請求項21記載の方法において、前記変調する工程は、前記標的に対し処方された物理的または生物学的等価線量に基づいて線量分布を最適化する工程を有するものである。 請求項21記載の方法において、前記変調する工程(は、重要構造への照射を最小化し、前記標的に対し処方された物理的または生物学的等価線量に基づいて前記線量分布を最適化するよう線量を最適化する工程を有するものである。 請求項21記載の方法において、前記連続エネルギー陽子ビームレットは、 複数の高エネルギー連続エネルギー陽子を有するレーザー加速高エネルギー連続エネルギーイオンビームを形成する工程であって、前記複数の高エネルギー連続エネルギー陽子はエネルギーレベル分布を有するものである、前記形成する工程と、 コリメーション装置を使って、前記レーザー加速(イオンビームをコリメートする工程と、 前記高エネルギー陽子を、当該高エネルギー陽子のエネルギーレベルに従い、第1の磁場を使って空間的に分離させる工程と、 開口部を使って、空間的に分離された高エネルギー連続エネルギー陽子を変調する工程と、 第2の磁場を使って、変調された高エネルギー連続エネルギー陽子を再結合する工程と により提供されるものである。 請求項21記載の方法において、前記連続エネルギー陽子ビームレットのエネルギーおよび強度は、変調されるものである。 陽イオン放射線量を提供する方法であって、 a)複数の連続エネルギー陽イオンビームレットを提供する工程と、 b)前記連続エネルギー陽イオンビームレットを変調する工程であって、当該変調により、前記ビームレットに対し長手方向および横方向双方に、標的に対する処方線量に基づいて、望ましい線量分布を生じさせるものである、前記変調する工程と を有する方法。 強度変調陽子線治療を患者体内の標的領域に提供する方法であって、 複数の高エネルギー陽イオンビームレットを提供する工程と、 前記高エネルギー陽イオンビームレットのうち少なくとも1つを患者に対し深度方向に変調して、深度変調ビームレットを提供するものである、前記患者に対し深度方向に変調する工程と、 深度方向に変調した前記ビームレットのうち少なくとも1つを患者に対し横方向に変調して、横方向変調ビームレットを提供するものである、前記患者に対し横方向に変調する工程と、 患者の前記標的領域に前記横方向変調ビームレットのうち少なくとも1つを照射する工程と を有する方法。 請求項33記載の方法において、前記複数の高エネルギー陽イオンビームレットは、高エネルギー連続エネルギー陽イオンを有するものである。 請求項34記載の方法において、前記複数の高エネルギー陽イオンビームレットは、高エネルギー連続エネルギー陽子を有するものである。 請求項33記載の方法において、前記複数の高エネルギー陽イオンビームレットは、高エネルギー単一エネルギー陽イオンを有するものである。 請求項36記載の方法において、前記複数の高エネルギー陽イオンビームレットは、高エネルギー単一エネルギー陽子を有するものである。 請求項18記載の方法において、前記連続エネルギー陽子ビームレットは、 複数の高エネルギー連続エネルギー陽イオンを有するレーザー加速高エネルギー連続エネルギーイオンビームを形成する工程であって、前記複数の高エネルギー連続エネルギー陽イオンはエネルギーレベル分布を有するとして特徴付けられる、工程と、 コリメーション装置を使って、前記レーザー加速イオンビームをコリメートする工程と、 前記高エネルギー連続エネルギー陽イオンを、当該高エネルギー連続エネルギー陽イオンのエネルギーレベルに従い、第1の磁場を使って空間的に分離させる工程と、 開口部を使って、空間的に分離された高エネルギー連続エネルギー陽イオンを変調する工程と、 第2の磁場を使って、変調された高エネルギー連続エネルギー陽イオンを再結合する工程と により提供されるものである。 請求項21記載の方法において、前記連続エネルギー陽子ビームレットは、 複数の高エネルギー連続エネルギー陽子を有するレーザー加速高エネルギー連続エネルギーイオンビームを形成する工程であって、前記複数の高エネルギー連続エネルギー陽子はエネルギーレベル分布を有するものである、前記形成する工程と、 コリメーション装置を使って、前記レーザー加速イオンビームをコリメートする工程と、 前記高エネルギー連続エネルギー陽子を、当該高エネルギー連続エネルギー陽子のエネルギーレベルに従い、第1の磁場を使って空間的に分離させる工程と、 開口部を使って、空間的に分離された高エネルギー連続エネルギー陽子を変調する工程と、 第2の磁場を使って、変調された高エネルギー連続エネルギー陽子を再結合する工程と により提供されるものである。 |
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说明书全文 | 関連出願の相互参照 この特許出願は、2003年12月2日付け出願済み米国仮特許出願第60/526,436号(言及によりその全体を本明細書に組み込むものとする)および2004年6月2日付け出願済み国際特許出願第PCT/US2004/017081号(言及によりその全体を本明細書に組み込むものとする)に基づく利益を主張するものである。 政府の権利 本明細書に開示する発明に至った研究作業の全体または一部は、米国立衛生研究所(NIH)からの連邦資金により援助されたものである。 米国政府は、NIH契約番号CA78331の下、本発明について一定の権利を保有しうる。 本発明は、イオン放射線治療に使用する高エネルギー陽イオンの処方および変調に有用な方法に関する。 特に、本発明は、陽子放射線治療に使用する高(エネルギー)陽子の処方および変調に有用な方法に関する。 また、本発明は、治療用の放射線量を提供するための治療最適化方法にも関する。 放射線治療の目的の1つは、周囲の健常組織への線量を最小限に抑えつつ、放射線の処方線量を標的体積に付与することである。 これを達成できる度合いは、ビームの線量測定特性および送達方法を含め多数の要因に依存する。 陽子線を使用すると、ブラッグピーク効果の結果、治療標的に対し優れた線量原体性を提供できる可能性がもたらされ、また正常組織を温存できる可能性ももたらされる(Wilson,R.R.、"Radiological uses of fast protons"(高速陽子の放射線医学的用途)、Radiology、1946、487〜495)。 光子は高い入射線量と深さに伴う緩慢な減弱とを呈するが、陽子はビーム侵入の関数として非常に鋭いエネルギー付与ピークを有する。 その結果、3次元(three−dimensional:3D)計画標的体積(planning target volume:PTV)内またはそれに非常に近接した位置に入射陽子エネルギーのより大きな割合が付与されるようにでき、これにより放射線に起因する周囲正常組織の傷害を回避することができる。 鋭いブラッグピークにより特徴付けられる線量測定上の優位性にもかかわらず、陽子線治療の使用は光子治療に遅れをとっている。 例えば、陽子加速器の運用体制(加速器保守、エネルギー消費、およびテクニカルサポートにかかる総運用費)は、電子・X線医療加速器に比べ少なくとも10倍は高価である。 現在、陽子線治療施設にはサイクロトロンおよびシンクロトロンが利用されている(Jongen,A.A.、Proton therapy system for MGH湯s NPTC:equipment description and progress report(MGHのNPTC用陽子線治療システム:機器に関する説明および進捗状況報告)、Cyclotrons and their Applications、J.C.Cornell監修(New Jersey:World Scientific)、1996、pp.606〜609。Cole,F.T.、箔Accelerator Considerations in the Design of a Proton Therapy Facility"(陽子線治療設備の設計における加速器の注意事項)、Particle Acceleration Corp.Rep.、1991)。これらの施設における臨床例の数はやや限定されているものの、治療記録によると、特に非常に局部的な放射線耐性の病変部に関して肯定的な結果が示されている(Fuss,M.ら、"Proton radiation therapy (PRT) for pediatric optic pathway gliomas:Comparison with 3D planned conventional photons and a standard photon technique"(小児視覚経路神経膠腫用の陽子放射線療法(PRT):3次元計画された従来の光子技術および標準的光子技術との比較)、Int.J.Radiation Oncology Biol.Phys.、1999、1117〜1126。Slater,J.ら、"Conformal proton therapy for prostate carcinoma"(前立腺癌腫用の原体陽子線治療)、Int.J.Radiation Oncology Biol.Phys.、1998、299〜304。Shipley,W.ら、"Advanced prostate cancer:the results of a randomized comparative trial of high dose irradiation boosting with conformal protons compared with conventional dose irradiation using photons alone"(進行性前立腺癌:光子のみを使った従来線量照射と比較した高線量原体陽子線照射の無作為比較試験の結果)、Int. J. Radiation Oncology Biol. Phys. 、1995、3〜12。 Kjellberg,R. N. 、"Stereotactic Bragg Peak Proton Radiosurgery for Cerebral Arteriovenous Malformations"(脳動静脈奇形用の定位ブラッグピーク陽子線放射線外科処置)、Ann Clin. Res. Supp. 47、1986、17〜25)。 しかしながら、陽子線治療の可用性は、大幅に改善する必要がある。 柔軟性と費用効果の高い小型陽子線治療システムを利用できるようにすれば、この優れたモダリティの普及を実現して癌の管理に重要な進歩をもたらせるであろう。 陽子線治療は、長い間、精確な原体放射線治療をもたらす道を開いてきており、従来の光子技術と比べて線量の局所化を改善してきたことが多くの比較研究により示されてきている(Archambeau,J.O.ら、1992、"Role of proton beam irradiation in treatment of pediatric CNS malignancies"(小児CNS悪性腫瘍の治療における陽子線照射の役割)、Int.J.Radiation Oncology Biol.Phys.、287〜94。Slater,J.D.ら、"The potential for proton beam therapy in locally advanced carcinoma of the cervix"(頸部の局所進行癌における陽子線治療の可能性)、Int.J.Radiation Oncology Biol.Phys.、1992、343〜47。Slater,J.M.ら、"Carcinoma of the tonsillar region:potential for use of proton beam therapy"(へんとう部の癌:陽子線治療使用の可能性)、Int.J.Radiation Oncology Biol.Phys.、1992、311〜19。Tatsuzaki,H.ら、"Comparative treatment planning:proton vs x−ray beams against glioblastoma multiform"(比較治療計画:多形性膠芽腫に対する陽子線およびX線)、Int.J.Radiation Oncology Biol.Phys.、1991 265〜73、"Tatsuzaki 1991a"。Tatsuzaki,H.ら、"3−d comparative study of proton vs.x−ray radiation therapy for rectal cancer"(直腸癌に対する陽子線治療およびX線治療の3D比較研究)、Int.J.Radiation Oncology Biol.Phys.、1991、369〜74、"Tatsuzaki 1991b"。Lee,M.ら、"A comparison of proton and megavoltage x−ray treatment planning for prostate cancer"(前立腺癌に対する陽子および超高圧X線による治療計画の比較)、Radiother. Oncol. 、1994、239〜53。 Miralbell,R. ら、"Potential reduction of the incidence of radiation−induced second cancers by using proton beams in the treatment of pediatric tumors"(小児腫瘍の治療における陽子線使用による放射線に誘発された第2の癌発生の潜在的軽減)、Int. J. Rad. Onc. Biol. Phys. 、2002、824〜829)。 近年、X線の計画および輸送方法は顕著に改善されてきており、従来の陽子線技術(陽子場の均一平面状フルエンスとの重ね合わせ)とX線法のギャップは格段に埋まりつつある。 研究の主な方向は、強度変調治療のための個々のビームレットの最適化および(各ビームレットに対する)最適強度分布の計算へ向けられている。 Lomax,A. J. ら("A treatment planning inter−comparison of proton and intensity modulated photon radiotherapy"(陽子および強度変調光子放射線治療の治療計画相互比較)、Radiother.Oncol.、1999、257〜71、"Lomax 1999a")は、標準的光子計画と、強度変調光子計画と、陽子計画とを異なる病変部に適用して互いに比較研究を実施し、大多数のケースで、陽子の有利な物理特性に起因する危険がある全器官について、平均線量およびV(50の標的線量で照射した構造の体積)の双方が低減された点で、陽子計画(2〜3フィールド構成)の方が優位であったことを発見した。 他方、ある腺房細胞癌の例では、標的体積が比較的大きく(350cc)、部分的に脳幹を覆っていた。 このケースの結果では、強度変調(intensity modulated:IM)光子計画の方が、すべての線量レベルにおいて脳幹がより温存されることが示された。 この特定のケースにおける、従来の陽子に対するIM光子の優位性は、両モダリティの線量測定特性の差異から来るものではないようであった。 その代わり、この優位性は、この研究の陽子計画で採用された順方向治療計画法に対する逆方向治療計画法の優位性に関係しているようであった。 この逆方向治療計画技術の陽子線治療への導入は、光子線モダリティに比べてやや遅れをとっている。 これは明らかに、従来の陽子加速器におけるビーム送達法の初期設計の制約によるものであった。 3次元スポットスキャニング技術の到来により、従来の陽子加速器への強度変調の導入が実現されてきている。 近年の臨床研究による発見(Lomax,A.J.、"Potential role of intensity−modulated photons and protons in the treatment of the breast and regional nodes"(乳房節および局所節の治療における強度変調光子および強度変調陽子の潜在的役割)、Int.J.Rad.Oncol.Biol.Phys.、2003、785〜792、"Lomaxら2003a"。Lomax,A.J.ら、"Intensity modulation in radiotherapy:photons versus protons in the paranasal sinus"(放射線治療における強度変調:副鼻腔での光子および陽子)、Radiother.Oncol.、2003、11〜18、"Lomaxら2003b")は、最適化方法を陽子線治療に使用すると、IM光子と比べ、標的内での線量分布および重要構造の温存がさらに改善されることを示唆している。 従来の光子線への強度変調適用とは、光子線の伝播方向に垂直な平面内において強度が変調されることを意味している。 これは、光子の深部線量分布が加速器のヘッドからの光子のエネルギースペクトルにより事前設定されており制御できないことを示唆している。 光子と異なり、陽子線に関する深部線量分布は、標的の深さ次元に沿ってSOBPを与えるような態様で変調可能である。 これは従来の陽子線付与方法において使用され、その場合、レンジシフタは、初期単一エネルギーの陽子線を、SOBPを生じるよう変調するため実施される(Moyers,M.、"Proton therapy"(陽子線治療)、The Modern Technology of Radiation Oncology、J Van Dyk監修、Medical Physics Publishing、Madison、1999)。 従来の陽子線付与システムでは、ブラッグピーク強度の変調は、任意の単一場の深部線量分布が平坦になるよう行われ、複数場計画の場合は、均一な単一場線量分布を単純に加重加算して計算される(Lomax.A.J.ら、"3D treatment planning for conformal proton therapy by spot scanning "(スポットスキャニングによる原体陽子線治療の3D治療計画)、Proc.19th L H Gray Conference、Faulkner,K.ら監修、(London:BIR publishing)、1999、pp.67〜71、"Lomax 1999b")。 これは、標的内で均一な線量分布をもたらすと同時に正常組織または重要構造への線量を低減するような態様で各々不均一ないくつかの場が使用される光子の強度変調とは異なる。 1999年、Lomaxは2.5D強度変調法を定義した(Lomax,A.、"Intensity modulation methods for proton radiotherapy"(陽子線治療のための強度変調法)、Phys.Med.Biol.、1999、185〜205、"Lomax 1999c")。 Brahmeらが説明している完全な3D付与方法("Optimization of proton and heavy ion therapy using an adaptive inversion algorithm"(適応逆アルゴリズムを使った陽子および重イオン治療の最適化)、Radiother.Oncol.1989、189〜197)、また、より最近ではCarlssonら("Monte Carlo and analytical calculation of proton pencil beams for computerized treatment plan optimization"(コンピュータ制御の治療計画最適化のための陽子ペンシルビームのモンテカルロおよび解析計算)、Phys.Med.Biol.、1997、1033〜53)が、個々の幅狭ビームのブラッグピークを3次元で強度変調することにより、ブラッグピークにおける線量の3D局所化を有効に活用している。 レーザー加速は1979年、電子用に初めて提案され(Tajima,T.ら、"Laser electron accelerator"(レーザー電子加速器)、Phys.Rev Lett.、1979、267〜270)、チャープパルス増幅器(chirped pulse amplification:CPA)が考案された後(Strickland,D.ら、"Compression of amplified chirped optical pulses"(増幅したチャープ光パルスの圧縮)、Opt.Comm.、1985、219〜221)、1990年代からレーザー電子加速が急速に発展し、Ti:サファイアなど便利な高フルエンスの固体レーザー材料が発見・開発されてきた。 数MeVをはるかに超えるエネルギーレベル(58MeV)で生成された陽子を観測した最初の実験は、ローレンスリバモア国立研究所(Lawrence Livermore National Laboratory:LLNL)のペタワットレーザー(Petawatt Laser)で行われた(Key,M.H.ら、"Studies of the Relativistic Electron Source and related Phenomena in Petawatt Laser Matter Interactions"(ペタワットレーザーと物質の相互作用における相対論的電子源および関連現象の研究)、First International Conference on Inertial Fusion Sciences and Applications、1999。Snavely,R.A.ら、"Intense high energy proton beams from Petawatt Laser irradiation of solids"(ペタワットレーザーでの固体照射から得られる強い高エネルギー陽子線)、Phys.Rev.Lett.、2000、2945〜2948)。 それまでは、最高1MeVまたは2MeVのエネルギーレベルの陽子を観測する実験がいくつか行われていた(Maksimchuk,A.ら、"Forward Ion acceleration in thin films driven by a high intensity laser"(高輝度レーザー駆動による薄膜内での前方向イオン加速)、Phys.Rev.Lett.、2000、4108〜4111)。 英国ラザフォード‐アップルトン研究所(Rutherford−Appleton Laboratory)における別の実験では、最高30MeVの陽子エネルギーのものが最近報告されている(Clark,E.L.ら、"Energetic heavy ion and proton generation from ultraintense laser−plasma interactions with solids"(超高強度レーザープラズマの固体との相互作用による、高エネルギーの重イオンおよび陽子の生成)、Phys.Rev.Lett.、2000、1654〜1657)。 陽子加速の機序は詳細に研究されている。 レーザー生成プラズマにおけるイオン加速が高温電子に関することは、知られてから久しい(Gitomer,S.J.ら、"Fast ions and hot electrons in the laser−plasma interaction"(レーザーとプラズマの相互作用における高速イオンおよび高温電子)、Phys Fluids、1986、2679〜2686)。 レーザーパルスは、水素を多く含む高密度材料(プラスチック、金属箔表面上の水蒸気)と相互作用してこれをイオン化(電離)したのち、生成されたプラズマと相互作用する(自由電子および自由イオンの回収)。 イオン加速の原因となる、一般に認められている効果は、レーザーにより箔内部で駆動された高エネルギー電子によるプラズマ内での電荷分離である(Maksimchukら、2000。Yu,W.ら、"Electron acceleration by a short relativistic laser pulse at the front of solid targets"(固体標的前面における短い相対論的レーザーパルスによる電子加速)、Phys.Rev.Lett.、2000、85、570-573)、および/または自然発生した磁場の結果生じる誘導電場(Sentoku,Y.、"Bursts of Superreflected Laser Light from Inhomogeneous Plasmas due to the Generation of Relativistic Solitary Waves"(相対論的孤立波の生成により不均一プラズマから超反射されたレーザー光のバースト)、Phys.Rev.Lett.、3434〜3437)であるが、〜1022W/cm2の極度に高強度のレーザーの場合はレーザーとイオンの直接的な相互作用が検討されてきている(Bulanov,S.V.らの"Generation of Collimated Beams of Relativistic Ions in Laser−Plasma Interactions"(レーザーとプラズマの相互作用におけるコリメートした相対論的イオンビームの生成)、JETP Letters、2000、407〜411)。 数値シミュレーションを使って(Fourkal,E.ら、"Particle in cell simulation of laser−accelerated proton beams for radiation therapy"(放射線治療用レーザー加速陽子線のPICシミュレーション)、Med.Phys.、2002、2788〜98)、効果的な陽子加速につながるレーザー/箔パラメータ範囲が調べられた。 それにより、電子密度がn e =5×10 22 cm −3で、レーザーパルスが強度I=10 21 W/cm 2 、長さL=50フェムト秒の場合、薄膜(厚さ0.5〜1ミクロン)は、エネルギー200MeVおよびそれ以上の陽子を生成できる効果的な陽子加速を受けやすいことがわかった。 それまでの実験調査では、箔の厚さは数十ミクロン、場合により数百ミクロン、レーザーパルス長は数百フェムト秒で、より低い陽子エネルギーを生じていた。 薄箔(厚さ1マイクロメートル未満)を超短高強度レーザーで照射することによる陽子エネルギーの最大化は、現在開発中の分野である。 陽子のレーザー加速シミュレーションは、Fourkalら(2002)において報告されている。 これまでは、加速された陽子のエネルギースペクトルが広いため、事前に陽子エネルギーを選択しないでレーザー加速陽子を治療に使用することは非常に困難であると示されている。 エネルギー選択を実施すれば、いわゆる拡大ブラッグピーク(Spread Out Braggs Peak:SOBP)により均一な線量分布を提供することが可能になるはずである。 必要なエネルギースペクトルおよび強度を伴った陽子を生成できるこの粒子選択システムは、Fourkalら(2003)により研究されてきている。 本明細書にて提供する本発明は、にて説明されている小型かつ柔軟で費用効果の高いレーザー加速陽子線治療システムとの併用が可能である。 Fourkalら(2002)、Fourkal,E. ら("Particle selection for laser−accelerated proton therapy feasibility study"(レーザー加速陽子線治療のための粒子選択の実現可能性調査)、Med.Phys.、2003、1660〜70)、Ma,C. −Mら("Laser Accelerated proton beams for radiation therapy"(放射線治療のためのレーザー加速陽子線)、Med.Phys.、2001、1236)これらのシステムは、次のいくつかの技術開発に基づいている。 その技術とは、(1)高エネルギー陽子のレーザー加速、(2)粒子(およびエネルギー)選択およびビームコリメーションのための小型システム設計である。 上記に関連するシステムと装置と方法とは、2004年6月2日付け出願済み国際特許出願第PCT/US2004/017081号、"High Energy Polyenergetic Ion Selection Systems,Ion Beam Therapy Systems,and Ion Beam Treatment Centers"(高エネルギー連続エネルギーイオン選択システムと、イオン線治療システムと、イオン線治療施設)(言及によりその全体を本明細書に組み込むものとする)に開示されている。 例えば、前記第PCT/US2004/017081号出願の図17(およびそれを本明細書に再現した図1a)は、レーザー加速連続エネルギー陽イオン線治療システムを図示したもので、その詳細は前記出願に記載されている。 同様に、前記第PCT/US2004/017081号出願の図41(およびそれを本明細書に再現した図1b)は、レーザー加速高エネルギー連続エネルギー陽イオン治療システムの断面図を示したもので、その詳細は前記出願に記載されている。 このようなシステムは、連続エネルギー陽子の小さいビームレットを生成する方法をもたらし、そのビームレットは標的領域(腫瘍、病変その他疾患のある部位など)の照射に使用できる。 治療戦略も説明されており、例えば、前記第PCT/US2004/017081号出願の図43(およびそれを本明細書に再現した図1c)は、高エネルギー連続エネルギー陽イオンを使った患者治療方法のフローチャートを示したもので、その詳細は前記出願に記載されている。 開示されている前記治療戦略は、治療に適した複数の高エネルギー連続エネルギー陽イオンビームの線量分布を標的領域の照射用に決定する工程と、治療に適した複数の高エネルギー連続エネルギー陽イオンビーム(すなわちビームレット)を前記標的領域に付与する工程とを含む。 線量分布を決定する工程は前記第PCT/US2004/017081号出願で提供されているが、これは、標的領域への照射を最大化しつつ周囲の重要な器官と組織と構造とへの照射を最小化するビームレット治療計画を最適化する上で、さらに改善の必要がある。 これに応じ、本発明の一態様は、標的領域への連続エネルギー陽子照射を最大化しつつ周囲の重要な器官と組織と構造とへの照射を最小化する連続エネルギー陽子ビームレット治療計画を最適化する方法を提供するものである。 本発明は、標的領域への連続エネルギー陽子照射を最大化しつつ周囲の重要な器官と組織と構造とへの照射を最小化する連続エネルギー陽子ビームレット治療計画を最適化する方法およびシステムを提供するものである。 また、本発明は、処方線量の高エネルギー連続エネルギー陽イオンを標的体積に提供するため陽イオンビームシーケンスを生成する方法であって、 本発明は、さらに、処方線量の高エネルギー連続エネルギー陽イオンを標的体積に提供する方法であって、 本発明は、また、連続エネルギー陽子放射線量を標的領域に提供する方法であって、複数の変調連続エネルギー陽子ビームレットを提供する工程であって、当該ビームレットの各々が、ビームレットエネルギー分布、ビームレット強度、ビームレット方向、ビームレット面積、またはビームレット形状のうち少なくとも1つに従って個別に変調されるものである、前記提供する工程と、前記標的に前記複数の変調連続エネルギー陽子ビームレットを照射する工程であって、当該複数の変調連続エネルギー陽子ビームレットは、前記標的への陽子放射線量を最大化し当該標的の外部の領域への陽子放射線量を最小化するものである、前記照射する工程とを有する方法も提供する。 本発明は、さらに、レーザー加速陽子の組み合わせおよび変調を放射線治療用途に最適化する方法も提供する。 陽子線量測定特性の2つの特徴である、標的深度方向の制御性と、有効ブラッグピーク後の放射線量の急減とを、ビームレット最適化技術と合わせると、計画標的体積(planning target volume:PTV)内で原体に高度に適合した線量分布がもたらされ、これにより疾患位置に関係なく健常組織の温存が最大限に高められる。 また、本発明は、陽イオン放射線量を標的領域に提供する方法であって、複数の変調連続エネルギー陽イオンビームレットを提供する工程と、前記標的領域に前記複数の変調連続エネルギー陽イオンビームレットを照射する工程とを有する方法も提供する。 さらに、本発明は、陽イオン放射線量を標的領域に提供する方法であって、複数の変調連続エネルギー陽イオンビームレットを提供する工程と、前記標的領域に前記複数の変調連続エネルギー陽イオンビームレットを照射する工程とを有する方法も提供する。 またさらに、本発明は、陽子放射線量を標的領域に提供する方法であって、複数の変調連続エネルギー陽子ビームレットを提供する工程であって、当該ビームレットの各々が、ビームレットエネルギー分布、ビームレット強度、ビームレット方向、ビームレット面積、またはビームレット形状のうち少なくとも1つに従って個別に変調されるものである、前記提供する工程と、前記標的領域に前記複数の変調連続エネルギー陽子ビームレットを照射する工程であって、当該複数の変調連続エネルギー陽子ビームレットが、前記標的領域への陽子放射線量を最大化し当該標的領域の外部の領域への陽子放射線量を最小化するものである、前記照射する工程とを有する方法も提供する。 本発明は、また、処方線量を患者体内の標的領域に提供する方法であって、複数の連続エネルギー陽子ビームレットを提供する工程と、前記連続エネルギー陽子ビームレットを変調する工程であって、当該変調により、前記ビームレットに対し長手方向および横方向の双方に、前記処方線量に従って、前記標的領域に対し許容範囲内の線量分布を生じさせる、工程とを有する方法も提供する。 本発明は、さらに、陽イオン放射線量を提供する方法およびシステムであって、複数の連続エネルギー陽イオンビームレットを提供する工程と、前記連続エネルギー陽イオンビームレットを変調する工程であって、当該変調により、前記ビームレットに対し長手方向および横方向双方に、標的に対する処方線量に基づいて、望ましい線量分布を生じさせる、工程とを有する方法およびシステムも提供する。 本発明は、強度変調陽子線治療を患者体内の標的領域に提供する方法も提供する。 これらの方法には、複数の高エネルギー陽イオンビームレットを提供する工程と、深度変調ビームレットを提供するため、前記高エネルギー陽イオンビームレットのうち少なくとも1つを、患者に対し深度方向に変調する工程と、横方向変調ビームレットを提供するため、深度方向に変調した前記ビームレットのうち少なくとも1つを、患者に対し横方向に変調する工程と、患者の前記標的領域に前記横方向変調ビームレットのうち少なくとも1つを照射する工程とが含まれる。 前記方法は、例示的な疾患部位として前立腺病変部に適用される。 その結果は、レーザー加速強度変調陽子線治療(laser−accelerated intensity modulated proton therapy:IMPT)を、いかに最適に利用できるかを示している。 本明細書で説明する方法は、他のいかなるタイプの疾患部位にも容易に適用可能である。 本発明の他の態様は、本明細書に提供した発明の詳細な説明を考慮することにより、当業者に明確に理解される。 本明細書では、以下の略称および頭字語が使用される。 CORVUS NOMOSからの光子IMRT用治療最適化システム CPA チャープパルス増幅器(chirped pulse amplification) 本明細書における用語「陽イオン」は、正味の正電荷を有する原子および原子核を指す。 本明細書における用語「連続エネルギー」は、2つ以上のエネルギーレベルを有するとして特徴付けられる物質の状態を指す。 本明細書における用語「高エネルギー」は、1MeVを超えるエネルギーレベルを有するとして特徴付けられる物質の状態を指す。 本明細書における用語「ビームレット」は、空間的に分離された、またはエネルギー的に分離された、あるいは空間的およびエネルギー的に分離された、高エネルギー連続エネルギー陽イオンビームの一部を指す。 本明細書における用語「複数」は、1より大きいことを指す。 用語「一次コリメータ」、「一次コリメーション装置」、「初期コリメータ」および「初期コリメーション装置」は、本明細書では同義的に使われる。 本明細書における動詞「変調する」は、制御された態様で、何らかのものの特性を変更する、あるいは変化させることを指す。 本明細書における形容詞(用語)「変調(された)」(modulated)は、制御された態様で、何らかのものにおいて特性が変更された、あるいは変化させられたことを指す。 用語「エネルギー変調システム」および「開口部」は、言及されている開口部が、空間的に分離された高エネルギー連続エネルギー陽イオンビームを変調できることが明らかな場合、同義的に使われる。 用語「レーザー標的」および「標的」は、典型的に異なるものを指す。 用語「レーザー標的」は、典型的に、高エネルギー連続エネルギー陽イオンを生成するため高強度レーザーパルスに露出された標的材料を指す。 用語「標的」単独の場合は、患者体内で陽イオン照射の標的とされた組織を指す用語「標的領域」と同義的である。 本明細書における用語「標的体積」(targeted volume)と「標的体積」(target volume)と「標的領域」(target region)と「標的領域」(targeted region)とは、互いに同義的である。 本明細書における用語「ビームレットに対し長手方向」とは、陽子または陽イオンの入射方向に沿っていることを意味する。 本明細書における用語「ビームレットに対し横方向」とは、陽子または陽イオンの入射方向に対し横方向であることを意味する。 本明細書における用語「ボクセル」は、体積要素を指す。 本明細書における用語「(複数の)変調陽子ビームレット」は、個々のビームレットが異なるエネルギースペクトルおよび強度、または加重を有しうることを意味する。 本明細書における用語「標的に対する処方線量」は、治療に必要であるとして放射線腫瘍医により処方された、標的領域の標的体積に対する物理的または生物学的等価線量(すなわち、光子および軽イオンのRBEの差異を考慮したもの)を意味する。 本明細書における用語「等線量」は、線量値が等しい点同士をつないだ情報の表示を指す。 本明細書における用語「フィールド」および「ポート」は、ガントリー角度およびカウチ角度を組み合わせることにより決定される入射ビーム方向に対応する。 フィールドは、「ビームレット」または「開口部」と呼ばれるサブフィールドへとさらに分割される。 本明細書に開示するすべての範囲は、包括的で組み合わせ自在である。 本発明の特定の実施形態では、標的領域に照射するための陽子放射線の物理的(または生物学に等価な)線量が決定される。 放射線治療は、通常、特定の線量(すなわち、望ましい処方線量)を使用して局所的な制御を達成する局所的な治療モードである。 適切な所望の処方線量は不均一でありうるが、典型的には均一である。 本明細書における均一な線量(均一な処方線量)は、通常であれば腫瘍再発に至る標的体積内の腫瘍細胞が、当該均一な線量による治療には耐えられず存続できないことを前提とする。 標的体積の一部で線量がより高い場合(ホットスポット)、通常、腫瘍細胞が2回殺されないため局所制御は改善されない。 標的体積の一部で線量がより低い場合は(コールドスポット)、一部の腫瘍細胞が存続し、腫瘍再発につながる可能性がある。 また、標的領域に高線量が与えられると、付近の重要な構造または器官に付与される線量も通常高まる。 この点で、本発明の方法の特定の態様では、標的領域に均一な(最適に望ましい処方)線量を付与するため必要な陽子ビームレットの最適な選択肢が決定される。 これに応じ、決定された陽子ビームレットの選択肢は、不均一な線量に典型的に付随するホットスポットおよびコールドスポット双方の存在を可能な限り最小化することが好ましい。 特定の実施形態では、望ましい線量分布は、画像誘導治療などの放射線治療技術の発展に伴い不均一な線量になることもありうる。 この実施形態では、腫瘍の異なる部分を異なる線量で治療するため、不均一な処方線量が使用される場合もありうる。 線量の選択は、例えば、腫瘍細胞密度と生物学的・生化学的環境とに応じて異なる。 本発明の全体的な治療最適化システムおよび方法のフローチャートを、図1dに示した。 このフローチャートには、ビームレットパラメータのセットの決定、例えば「計画最適化」は、標的体積に対する処方線量分布および関連する重要構造に関する線量拘束値と、最適化前の個々のビームレット/開口部に関する「線量計算」と、最終治療計画の事後最適化と、さらに利用可能なビームレットエネルギー分布の選択である「エネルギー選択」と、ビームスキャンシーケンスとの入力に基づいて生成されることが示されている。 決定されたビームレットパラメータのセット(「計画」)は、本明細書でさらに説明するとおり、最適化された処方線量を標的体積に提供するため、記録され、確認され、また適切な陽子放射線付与システムに送信される。 本発明の全体的な治療最適化システムおよび方法のフローチャートは、図1eにも示している。 ここでは、前記計画最適化の方法に複数のビームレットのビーム角度選択が提供されている。 このビーム角度選択は、手動で、またはビーム配向最適化工程を介して提供できる。 この計画最適化方法は前記ビームスキャンシーケンスの選択に基づいており、前記ビームスキャンシーケンスには、ビームレットの横方向スキャン、深度方向スキャン、または3Dスキャンを含めることができる。 横方向スキャンビームレットシーケンスは、典型的に標的体積のビーム方向像断面を包含する照射野全体を、正方形など規則的な形状の断面を伴う小型ビームレットへと分割する。 各ビームレットは、有限サイズのペンシルビームを画成する。 標的体積内で陽子入射方向に沿って望ましいSOBPをもたらすため、レイトレーシング(光線追跡)アルゴリズムを使って各ビームレットのエネルギースペクトル(すなわち、エネルギー分布)が決定される。 標的体積は、横方向スキャンの態様で、一度に1ビームレットずつ全体的に照射される。 横方向スキャンは、ガントリー、患者、またはその双方の組み合わせを移動させることにより実施できる。 深度方向スキャンビームレットシーケンスでは、典型的に標的体積内部の特定の深度間隔ごとに1フィールド(1開口部)を使用し、開口部形状は、その深度における前記ビーム方向像の標的体積断面に基づいて決定される。 必要に応じて標的線量原体性および均一性を改善するには、各深度間隔に複数の開口部を使用しうる。 各開口部のエネルギースペクトルは、対応する深度間隔に均一な線量を提供するため、レイトレーシングアルゴリズムを使って決定される。 3Dスキャンビームレットシーケンスは、典型的に標的体積を複数のボクセルで分割するものであり、前記複数のボクセルは、有限サイズのペンシルビームのブラッグピークを使って個別に照射(カバー)される。 各ビームレットは、正方形など規則的な断面形状および面積を有する。 各ビームレットのエネルギーは、そのブラッグピークの位置を確実にして標的体積の望ましいボクセルをマップまたはカバーするため、レイトレーシングアルゴリズムを使って決定される。 以下さらに説明するとおり、前記計画最適化の結果を前記処方線量分布と比較するには目的関数を使用する。 前記目的関数は、標的への処方線量と、要求された重要構造線量拘束値とに基づいた治療計画の数学的評価である。 その計画が許容範囲内である場合は、最適化された処方線量を標的体積に提供するため、選択されたビームレットシーケンスにつき決定されたビームレットパラメータのセット(「計画」)が記録され、確認され、また適切な陽子放射線付与システムに送信される。 その計画が許容範囲内でない場合は、許容範囲内の計画が得られるまで、ビームレット加重が変更される(選択されたビームスキャンシーケンスのタイプに基づいてビームレット強度が適宜変調されるなど)。 以下に挙げる例は横方向スキャンに基づいたものであり、この横方向スキャンでは、各ビームレットごとにSOBPをもたらすようエネルギーが最適化されたのち、横方向スキャンが実行されるとともに各ビームレットの強度が変更されて、標的体積への3D線量原体性が達成される。 深度方向スキャン技術では、不規則な形状の開口部を使うことができ、適切なエネルギーを使って選択された特定の深度における標的体積(または複数の不規則形状の開口部)のビーム方向像断面がカバーされる。 標的体積は、標的体積内のさまざまな深度に到達する複数の可変形状ビームレットを使った照射が可能である。 これらの可変形状ビームレットは、多葉コリメータなど、適切なビームコリメーションシステムを使って提供される。 前記ビームレットは、適切なエネルギー選択システムを使って陽子のエネルギーを変更することで、さまざまな深度に到達することができる。 この深度方向スキャン技術は、レーザー陽子および従来の陽子の双方に使用できる。 この深度方向スキャン技術は、ボーラス、レンジモジュレータ、またはその双方と併用しうる。 本発明の種々の態様において、前記最適化方法は、通常、レーザー加速陽子を使用するが、単一エネルギー陽子(従来のシンクロトロン源およびサイクロトロン源で生成されるものなど)も使用できる。 レーザー加速陽子は、通常、粒子選択/ビームコリメーション装置におけるビームレット/コリメータサイズに応じ、小さいエネルギーの広がりを有する。 このため、本発明の特定の実施形態では、この最適化方法は、レーザー加速陽子およびシンクロトロン陽子双方の治療計画工程に使用できる。 これらの実施形態では、異なる入射方向と形状とサイズとエネルギースペクトルと加重とを伴う陽子のビームレットを付与する能力のある、ハードウェア/ソフトウェア一体型システムが使用される。 本発明では、通常、このような陽子のビームレット提供にレーザー加速陽子を使用する。 これらの各ビームレットは、通常、まず均一な深部線量分布をもたらすようエネルギースペクトルが最適化され、次に全体的な線量均一性および標的領域への原体性をもたらすよう各ビームレットの強度が最適化される。 各ビームレットのエネルギースペクトルおよび強度は、一般にビームレットごとに異なり、これらの特性は、一般に患者ごとに異なる。 さらに同じ患者であっても、標的領域または重要構造の線量要件および最適化パラメータが異なれば、上記特性は異なりうる。 このため、これらのビームレットに結果として得られる特性は、通常、治療部位ごと、線量要件の異なる患者ごと、最適化のパラメータまたは目的ごとに異なる。 特定の実施形態では、例えば、言及により本明細書に組み込む任意の連続エネルギー高エネルギー陽イオン選択システムを使用することにより、連続エネルギー陽子ビームレットのエネルギーを変調できる。 通常、連続エネルギー陽子ビームレットのエネルギーは、標的領域への照射を深度方向に制御するため変調される。 レーザー強度を変調すると、典型的にレーザー標的から放射される陽子のエネルギースペクトルが変調される。 より典型的には、連続エネルギー陽子ビームレットのエネルギーを変調するには、高エネルギー連続エネルギー陽イオン選択装置が使用される。 前記ビームレットは、種々の異なる方法で変調できる。 その1つに、高エネルギー連続エネルギー陽イオン選択装置を使用するという方法がある。 陽子の小型ビーム(ビームレットなど)のブラッグピークが、3D標的体積に「色を塗る」ため使う「絵筆」のようなものであると考えた場合、ビーム入射方向に標的体積をカバーするには陽子エネルギーを変更し(深度方向スキャンなど)、特定の1平面(深度など)で標的体積をカバーするにはビームを横方向にスキャンする。 3D体積をカバーするには、1つのビームレットから(位置および方向などの)異なるビームレットへと深度方向スキャンを実施する。 あるいは、まず(深度方向の)1平面について横方向スキャンを実施したのち、陽子エネルギーを変更して次の深度に「色を塗る」、すなわち次の深度を照射することもできる。 ボーラスをこの技術と組み合わせて使用すると、線量の原体性を改善することができる。 いかなる数の陽子線も種々の方向で変調でき、かつ種々のエネルギーおよび強度の陽子線も変調できる。 本明細書における用語「いくつかの陽子線を3次元で変調」するとは、異なるエネルギースペクトルと強度と入射方向とを伴う陽子ビームレットを制御および付与して原体に適合した均一な陽子線量を3D標的体積内で生成することを意味する。 通常、(入射方向に対応した)陽子フィールド(照射野)が一度に1つずつ変調される。 上述したように、3D体積をカバーするには、1つのビームレットから(位置または方向の)異なるビームレットへと深度方向スキャンを実施する。 あるいは、まず(深度方向の)1平面について横方向スキャンを実施したのち、多葉コリメータでコリメートした規則的な形状のビームレットまたは不規則な形状の開口部を使って、および/またはボーラスを使って、陽子エネルギーを変更し次の深度に「色を塗る」、すなわち次の深度を照射することもできる。 特定の実施形態では、1より多い陽子源を使って複数のビームレットを提供することができる。 複数源を使用するとビームレット付与時間を短縮でき、これにより放射線治療にかかる時間も短縮できる。 それぞれの追加源は、通常、異なるエネルギースペクトルと、強度と、入射方向とを伴ったビームレットを付与する能力のある、一体化されたレーザー標的と、粒子選択と、ビームコリメーションと、線量監視システムとを具備する。 適切な連続エネルギー陽子線(ビームレットなど)は、通常、ある範囲の強度を有する。 陽子線の強度は、通常、他のビームに対するビームの加重であり、この加重は、そのビームのフルエンス、または水中ファントム内の線量に関係しうる(監視チャンバーをフルエンスまたは線量の監視に使用する場合は、その監視チャンバーの測定値に関係しうる)。 オープンビームの加重には、通常、値1が割り当てられ、強度変調フィールドは、通常、0〜1の可変強度を伴ったビームレットを有する。 各ビームレットの強度は、1若しくはそれ以上の種々の利用可能な方法を使って適切に変調される。 単一エネルギー陽子線の強度は、通常、ビームの付与に使用されるモニタ単位(monitor units:MU)の合計に比例する。 所与の線量率について、ビームの強度は、典型的にそのビームを付与するためのビームオン時間(beam−on time)に比例する。 線量率は、所与のビームオン時間用のビーム強度を変更するため制御することもできる。 レーザー加速により生成された連続エネルギー陽子は、より好適な陽子源であるが、その場合、各レーザーパルスは特定のフルエンスまたは線量になり、ビーム強度はパルスの数に比例するのが典型的である。 本発明の特定の実施形態は、連続エネルギー高エネルギー陽子源から所定のエネルギースペクトルを選択し、レーザー加速陽子の入射方向に沿って標的体積内に均一な線量を付与する能力を有する。 エネルギー変調は、陽子線内に組織状の材料(ボーラスまたはモジュレータと呼ばれる)を追加してブラッグピークを皮膚表面へ向かってシフトさせることにより達成できる。 異なる深度にブラッグピークを伴った異なるエネルギーの陽子線も、高エネルギー連続エネルギー陽イオン線選択装置のレーザー陽子を使うと適切に提供できる。 レーザー加速陽子の深度方向スキャンおよび横方向スキャンは、どちらも通常、陽子ビームレットを変調して最適線量を標的領域に提供するため実施される。 特定の実施形態では、陽子ビームレットのエネルギーおよび強度双方が、最適化工程中に変調される。 この最適化工程中、個々のビームレットの加重は典型的にさまざまであり、目的関数は、通常、最適化中のビームレットに関する加重の最適セットを提供する最小値が得られるまで評価される。 これらのビームレット加重は、ビームを付与するため深度方向スキャンまたは横方向スキャンを利用するかどうかに基づいて最適化される。 本発明の特定の実施形態において、連続エネルギー陽子照射の最適線量は、通常、特定の標的領域について決定される。 治療計画の質は、目的関数を使って判断されるのが通常であり、この目的関数は、治療計画および処方計画の間の線量差分に基づいた治療計画の数学的評価、すなわち目的関数=f(D−D p )でありうる。 この計画最適化工程では、通常、目的関数が最小化され、処方計画に最も近い治療計画が導出される。 このため特定の実施形態では、この方法により、標的領域への線量が最大化されるとともに周囲の重要構造への照射が最小化されるようビームレットが変調されるが、これが目的関数の最適化により通常行われることである。 他の実施形態において、この変調工程は、重要構造への照射を最小化するための線量最適化を有する。 異なる腫瘍(治療標的)を治療する際は、異なる臨床プロトコルに従った異なる陽子線量スキームが通常採用される。 連続エネルギー高エネルギー陽子を使った全体的な線量については、通常、従来の(すなわちシンクロトロン単一エネルギー)陽子線について知られている同じまたは同様な線量スキームを使用できる。 同様に、本発明の方法に係る、周囲の器官(重要構造)が典型的に耐えうるしきい値(最大)放射線も、通常、その周囲の器官のタイプに応じて異なる。 例えば、異なる器官についてのしきい値、許容範囲、または線量は、詳しく文書化されており、レーザー加速連続エネルギー陽子および従来の単一エネルギー陽子に適用される。 これに応じ、特定の実施形態において、前記変調工程は、標的領域外部の器官への照射を最小化するよう線量を最適化する工程を有する。 この最適化方法を実行するには、各種ソフトウェアパッケージが適切に利用できる。 適切なソフトウェアパッケージでは、通常、特定の腫瘍の治療に最適なビーム方向が選択される。 適切なソフトウェアでは、通常、個々のビームレットのエネルギースペクトルと、最適なビームレット加重(強度)との双方が決定される。 適切なソフトウェアは、通常、これらのビームレットのシーケンス、例えば、横方向および深度方向のスキャンシーケンスを提供することができる。 適宜、特定の実施形態において、前記変調工程は、前記標的に処方線量をもたらすよう線量分布を最適化する工程を含む。 他の実施形態では、この変調工程には、重要構造への照射を最小化し前記標的に処方線量をもたらすよう線量分布を最適化するため線量を最適化する工程が含まれる。 適切な連続エネルギー陽子ビームレットは、複数の高エネルギー連続エネルギー陽子を含むレーザー加速高エネルギー連続エネルギーイオンビームを形成することにより提供できる。 適切なレーザーは、1993年8月10日付けでMourouらに交付された米国特許第5,235,606号(言及により本明細書に組み込むものとする)に説明されている。 Tajimaにより2001年1月8日付け出願済みの米国特許出願第09/757,150号、米国特許出願公開番号第2002/0090194 A1号、公開日2002年7月11日、"Laser Driven Ion Accelerator"(レーザー駆動イオン加速器)では、高強度レーザーを使って加速器内でイオンを加速するシステムおよび方法を開示している(言及によりその詳細の全体を本明細書に組み込むものとする)。 レーザー加速陽子は、典型的にエネルギーレベルの分布を有するとして特徴付けられる。 このレーザー加速陽子線は、通常、コリメーション装置を使ってコリメートされ、そのエネルギーレベルに応じて第1の磁場を使い空間的に分離される。 空間的に分離された高エネルギー連続エネルギー陽子は、次に開口部を使って変調され、第2の磁場を使って連続エネルギービームレットへと再結合される。 上記に関連した、高エネルギー連続エネルギー陽イオンビームを空間的に分離するためのシステムと装置と方法とは、2004年6月2日付け出願済み国際特許出願第PCT/US2004/017081号、High Energy Polyenergetic Ion Selection Systems,Ion Beam Therapy Systems,and Ion Beam Treatment Centers灯(高エネルギー連続エネルギーイオン選択システムと、イオン線治療システムと、イオン線治療施設)(言及によりその全体を本明細書に組み込むものとする)に開示されている。 適切な陽子放射線量は、通常、物理的または生物学的に等価な線量(または線量分布)として患者に提供され、その線量(線量分布)は、放射線外科タイプの治療に利用可能な1回または少数回の治療のための線量でありうる。 適切な陽子放射線量は、20〜40回など多分割された照射からなる治療コース用に患者に提供でき、腫瘍および病変の放射線治療に利用できる。 通常、放射線外科または放射線治療に適した陽子放射線量(またはその分割線量)の提供に必要な時間は、使用する総線量と、設定および固定用装置と、ビーム付与技術と、検証法とに応じて数分間または数時間である。 連続エネルギーレーザー加速陽子は、選択され、レーザー加速陽子の入射方向に沿って標的体積内に均一線量で付与される。 通常は、患者体内の異なる深度にブラッグピークを配置するため、連続エネルギー陽イオン線選択システムを使って異なるエネルギーを伴う連続エネルギー陽子線が選択される。 陽子ビーム内に組織状の材料(ボーラスまたはモジュレータと呼ばれる)を含めることによっても、必要に応じて皮膚表面方向へブラッグピークをシフトさせることができる。 本発明に係る陽子放射線量を提供する際は、レーザーで提供されるいかなる数の陽子ビームレットを変調してもよい。 ビームレットは、同時に、順次、オーバーラップして、あるいはこれらを任意に組み合わせて変調できる。 患者固有の線量分布は、通常、例えば異なるカウチ角度およびガントリー角度を使って、複数の入射方向で陽子を付与することによりもたらされる。 異なるカウチ角度およびガントリー角度により、ビームレット方向が変調される。 これらの角度は、カウチ、ガントリー、またはその双方を回転することにより変更できる。 患者が横たわっている平面に垂直なガントリー回転平面は、同一平面上にあると言われる。 非同一平面上のフィールド配置も、処方放射線量の最適化を改善するため使用できる。 各入射方向はフィールド(照射野)またはポートと呼ばれ、ビームレットまたは開口部とも呼ばれるサブフィールドに分割される。 これらのサブフィールドの断面は任意の形状および面積を有してよく、通常、面積が数平方ミリメートル(mm 2 )から最高数平方センチメートル(cm 2 )範囲の規則的な正方形または長方形である。 規則的形状の断面も、不規則形状の断面も、使用できる。 線量原体性は、通常、使用するビームレットまたは開口部の数に伴い向上する。 付与の複雑度および/または付与時間も、通常、使用するビームレットまたは開口部の数に伴い向上する。 それぞれの治療計画と、ビームレット/開口部サイズと、標的体積/形状とに応じ、ビームレットまたは開口部の総数は、通常、数個(約2〜約5)から数千(約2,000〜4,000)まで異なり、高い可能性で数十(約20〜約40)から数百(約200〜約400)となる。 各サブフィールド(ビームレットまたは開口部)の方向(角度)は、通常、入射ビーム方向の初期選択中に決定される。 各ビームレット/開口部内の陽子は、通常、他のビームレット/開口部と組み合わせた場合に均一で原体に適合した線量分布を標的領域にもたらすよう、望ましいエネルギースペクトルを有する。 各ビームレット/開口部の強度(または加重)は、通常、均一で原体に適合した線量分布をもたらすため、適宜調整(変調)される。 これらの各ビームレットは、典型的に少なくとも1次元について変調され、より典型的には少なくとも2次元について変調され、さらに典型的には3次元について変調される。 ビームレットの変調は、通常、そのビームレットを提供する適切なガントリーを回転および位置決めして実施される。 特定の実施形態では、連続エネルギー陽子ビームレットの強度も変調される。 陽子線の強度は、レーザーパルスごとの総陽子フルエンスを変更するか、異なる数のパルスを使うか、またはその双方を組み合わせるかにより変調できる。 レーザーパルスごとの総陽子フルエンスは、例えばレーザー標的に到達するレーザー強度を変調する、他のレーザーパラメータを変更する、レーザー標的の構成を変更する、または標的特性を変更することにより制御できる。 特定の実施形態では、患者体内の標的領域は、望ましい処方線量の陽子放射線で照射される。 これら複数の連続エネルギー陽子ビームレットでは、複数の変調連続エネルギー陽子ビームレットが提供され、標的領域が照射される。 陽子ビームレットの変調は、通常、標的領域への線量を最大化しつつ周囲の組織への放射線を最小化するため、上記のように実施される。 異なる別の実施形態では、3次元強度変調陽子線治療が患者体内の標的領域に提供される。 これらの方法では、複数の高エネルギー陽イオンビームレットが提供され、深度変調ビームレットを提供するため、前記高エネルギー陽イオンビームレットのうち少なくとも1つが患者に対し深度方向に変調され、横方向変調ビームレットを提供するため、深度方向に変調した前記ビームレットのうち少なくとも1つが患者に対し横方向に変調され、患者の前記標的領域に前記横方向変調ビームレットのうち少なくとも1つが照射される。 これらの方法は、任意タイプの陽イオン、例えば陽子、重陽子、または炭素で実施できる。 これらの方法は、例えば、従来のシンクロトロン源およびサイクロトロン源で提供される単一エネルギービームや、レーザー加速陽イオン源で提供される連続エネルギー陽イオンなど、任意タイプの陽イオンエネルギー分布で実施できる。 従来の単一エネルギー陽子設備は、ビームスキャン能力を提供するよう治療ヘッドを修正することにより、IMPT実施用に修正できる。 従来の単一エネルギー源を使ったIMPTでは、標的体積の各ボクセルにわたりブラッグピークがスキャンされる3D技術が提供される。 各ボクセルにわたるブラッグピークのスキャンは、患者を1方向(水平方向など)に移動させ、陽子線を第2の方向(垂直方向など)にスキャンし、さらに陽子エネルギーを変更してブラッグピークを第3の方向(深度方向など)に変調することにより達成される。 従来の単一エネルギー陽子は、例えば回転ガントリーを使って双方の横方向(水平方向、垂直方向)にスキャンすることができる。 高エネルギー連続エネルギー陽イオンの3Dスキャン、例えばレーザー加速源などが、本明細書に開示するように使用されることが好ましい。 横方向スキャンは、主にレーザー加速陽子で実施でき、深度方向スキャン法は、レーザー加速陽子および従来の陽子の双方を使って実施できる。 この場合、本発明の深度方向スキャン技術は、従来の陽子を使ったIMPTの提供を可能にする。 本発明は、従来の外部ビーム放射線治療/放射線外科を使って現在治療されている全タイプの疾患の治療に使用できる。 例としては、数箇所の治療部位、腫瘍、またはその双方などがある。 また悪性腫瘍(癌)や良性腫瘍など、あらゆる種類の腫瘍を治療しうる。 本発明の方法は、例えば重陽子または炭素イオンといった、陽子より重い高エネルギー連続エネルギー陽イオンにも拡張できる。 このため、特定の実施形態において、陽イオン放射線量を提供する方法は、複数の連続エネルギー陽イオンビームレットを提供する工程と、前記連続エネルギー陽イオンビームレットを変調する工程であって、当該変調により、前記ビームレットに対し長手方向および横方向双方に、標的への望ましい線量分布(治療計画または計画要件に応じて物理的または生物学的等価線量でありうる)を生じさせる、工程とを有する。 この変調により、ビームレットに対し長手方向および横方向双方に、標的領域への望ましい処方線量が生じる。 陽子は陽イオンの1タイプであるため、レーザープラズマにより加速される他の陽イオンも、陽子より重いため粒子選択およびビームコリメーション装置においてより強い磁場が必要なことを除いては、典型的に陽子と同様な特性を有する。 このため、陽子以外の高エネルギー連続エネルギー陽イオンに関する治療線量分布の計画および最適化では、通常、本明細書で説明したものと同じまたは同様な方法が使用される。 通常、陽子以外の連続エネルギー陽イオンは、レーザー加速用に選択した陽イオンを提供する種々レーザー標的のいずれか1つを使って提供される。 重い原子に伴う重量と、恐らくある種の毒性効果を除けば、本明細書で説明している、陽子を最適化および提供する方法は、他の陽イオンにも適用可能である。 実施例 以下で説明する例は、前立腺腫瘍に対する連続エネルギー陽子ビームレットの均一な処方線量を提供するための2.5D変調/最適化を表したものである。 これらの例では、まず各ビームレットにつきSOBPをもたらすようエネルギーが変調され、線量原体性(すなわち均一な処方線量)をもたらすよう各変調済みビームレットの強度が最適化される。 エネルギー変調計算。 高出力レーザーと固体高密度箔との相互作用を決定するには、細胞中の粒子(particle in cell:PIC)(Birdsallら、1985、"Plasma Physics via Computer Simulation"(コンピュータシミュレーションによるプラズマ物理学)、McGraw−Hill Book Company、Singapore)シミュレーションコードを、前述のとおり(Fourkal et al.,2002)使用できる。 この問題の次元と、非線形効果および動力学的効果の重要性とにより、レーザープラズマ相互作用を詳しく記述する際の解析方法は通常困難になる。 この場合、PICシミュレーションは有効なツールであり、レーザープラズマ相互作用の複雑な問題の解明に役立つ。 薄箔から放出される陽子は、高強度レーザーによる電荷分離で誘導された静電場により主に前方へ加速される(Bychenkov,Y.V.ら、"Electron Acceleration by a short Relativistic Laser Pulse at the Front of Solid Targets"(固体標的前面での相対論的短レーザーパルスによる電子加速)、Phys.Rev.Lett.、2000、570〜573。Fourkalら、2002)。 陽子は、通常、数十のプラズマ周波数サイクルにわたり相対論的エネルギーにまで加速され、レーザーパルスの長さおよび強度とプラズマ膜の厚さとを含むいくつかの因子に依存する最大値に到達する。 その後期力学はPICシミュレーションにより記述されるが、これにより陽子が(エネルギーおよび角度の)定常(時間依存しない)分布に達し、電子との編成構造で移動することが示されている。 これにより陽子放出が低く保たれ、通常であれば著しく高い放出値をもたらす陽子空間電荷が遮蔽される。 陽子の角度分布は、エネルギーに依存する広がりを呈する。 一般傾向としては、加速された陽子のエネルギーが大きいほど、より多くの陽子が前方へ放出される。 箔から放出される加速陽子のエネルギースペクトルは、準熱的分布に類似しており、陽子を加速する空間的に不均一な静電場構造から生じる。 このスペクトルを使って計算される深部線量分布は、高い入射線量と長い裾野とを示すため、レーザー加速陽子を放射線治療に使うことは一見不可能に見える。 しかし粒子選択システムを使うと、加速陽子のエネルギースペクトルが再成形され陽子線治療に必要なSOBPが得られるため、上記の欠点を解決することができる。 適切な粒子選択システムは、2004年6月2日付け出願済み国際特許出願第PCT/US2004/017081号、"High Energy Polyenergetic Ion Selection Systems,Ion Beam Therapy Systems,and Ion Beam Treatment Centers"(高エネルギー連続エネルギーイオン選択システムと、イオン線治療システムと、イオン線治療施設)(言及によりその全体を本明細書に組み込むものとする)にも説明されている。 これに開示された適切なシステムは、磁場を使い陽子をそのエネルギーおよび角度分布に従って空間的に分離する粒子選択装置である。 適切な陽子空間分布では、エネルギーが低い粒子ほど中心軸から離れる方向へ偏向され、陽子エネルギーの増加とともに空間的偏向が減少するようになる。 このような分離がもたらされた後は、通常、開口部を使って、必要なエネルギースペクトルを伴う陽子を選択する。 加速陽子は(所与のエネルギー範囲について)比較的広い角度分布を有するため、典型的に、前記磁場の通過後、異なるエネルギーのものが空間的に混在する(低エネルギー陽子が高エネルギー粒子領域内に混入し、その逆も起こる)。 この効果を制限するには、初期コリメーション装置を導入し、これにより陽子を望ましい角度分布へとコリメートする。 この特徴の結果、通常、陽子の空間的混合は常に存在し(初期コリメータ開口部が小さいほど広がりは狭くなる)、与えられた任意の空間位置について(いかに小さい領域であっても)陽子エネルギー分布(E)は典型的に単色ではなくなり、その特徴的エネルギーの両側に広がりを有することになる。 全体的な分布としては、特徴的なエネルギーが低い陽子ほど、特徴的なエネルギーが高い陽子より広がりが著しく小さい。 典型的に、高エネルギーの陽子は、低エネルギーの粒子と比べて磁場内で偏向されない。 エネルギーの広がり効果が存在することにより、エネルギー変調計算に必要な深部線量曲線は修正される。 その結果、有効ブラッグピーク後の深部線量曲線のフォールオフ(曲線の落ち方)は、理想的な単一エネルギー陽子の場合と比べ、より緩やかになる。 これにより、エネルギー変調計算は、所与のポータルの各ビームレットについて修正を余儀なくされる。 エネルギー変調計算には次の手順が実施される(Fourkal,E.ら、"Particle selection for laser−accelerated proton therapy feasibility study"(レーザー加速陽子線治療のための粒子選択に関する実現可能性調査)、Med.Phys.、2003、1660〜70)。 1. 関心のあるポータルを所与の断面積のサブ領域(1×1cm 2など)へと分割する。 レイトレーシングプログラムを使い、所与のビームレットに属する陽子が標的を通過するかチェックする。 通過する場合は、座標(x,y)と、患者のCTデータから導出される密度不均一性を考慮し計算される標的の厚さ(Z軸)とが記録される。 2. 標的の幾何学的サイズ(深度方向の)により、それをカバーするため必要な陽子エネルギー範囲が決定する。 所与のエネルギー範囲に対する深部線量分布を使うと、個々の連続エネルギービームレットの加重が計算できる。 その際、その標的の遠位縁部で有効ブラッグピークを付与するエネルギー分布を伴ったビームレットの加重を1に設定するものと仮定する。 3. 前記加重がわかった時点で、連続エネルギー陽子ビームレットのエネルギー分布N i (E)で加重W i (E)を畳み込むことにより、標的の深度次元に沿って(所与のビームレットについて)一定な物理的または生物学的等価線量をもたらす陽子エネルギー分布N(E)が次のように計算される。 ここで、指数iは、(深さ方向に)関心領域をカバーするのに必要な連続エネルギー陽子ビームレットのエネルギーである。 4. 計画に使用するすべてのポータルの座標(x i ,y i )の各ビームレットについて上記工程を繰り返す。 各ビームレットのSOBPエネルギースペクトルが計算されたら、それを所与の患者構造に対するモンテカルロ線量計算に使う。 陽子のエネルギー変調処方では、式(1)で定義されたエネルギー分布に対応する表面と立体角とにわたり、入射粒子差分エネルギーフルエンスを積分する計算が行われる。 各加重の絶対値は、当該選択システムにおける実際のエネルギー変調工程に付随した物理的な方法と相関する。 実際の変調は、前記加重と相関する幾何学的形状を有した開口部を使うことにより、あるいは、陽子がそのエネルギーレベルに応じて広がる領域内でY軸に沿って移動自在なスリットを使うことにより達成でき、所与の位置での所要時間は、通常、所与のエネルギーに対する加重の値に比例する。 式(1)に基づく各連続エネルギービームレットのエネルギー分布について加重を畳み込むと、所与の標的深度次元およびビームレットサイズについて、SOBPを付与する変調後の実際のエネルギー分布が得られる。 このエネルギー分布は、単一エネルギー陽子線を使って計算されたもの(前記加重自体が実際のエネルギー分布を表す)とは異なる。 これは、典型的に加速陽子の初期角度分布の直接的な結果である、前記加重に付随したエネルギーを超えるエネルギーの粒子が存在するためである。 図(1f)は、特徴的エネルギーが160MeVでエネルギーの広がりがFWHMで14MeVの陽子に関するエネルギー分布を示しており、これは、初期開口部開孔0.6度について提案された選択システムを使って計算されたものである。 この分布では、「余計な粒子」が存在するため、有効ブラッグピーク後の線量曲線の落ち方がより鈍くなり、また、ブラッグピークの実際の高さも低くなる。 このため、式(1)の陽子SOBPに必要な加重計算には若干の変調が導入される。 換言すると、前記提案された選択システムの生成した連続エネルギー陽子を使って計算した加重は、単一エネルギー粒子を使って計算した加重とは異なる。 モンテカルロ計算。 モンテカルロ技術は、陽子線および光子線の双方により患者体内に付与される線量の直接計算および逆計算の双方に使われてきている。 15MVの光子線により付与される線量計算にはMCDOSE(Ma,C.−Mら、"A Monte Carlo dose calculation tool for radiotherapy treatment planning"(放射線治療計画のためのモンテカルロ線量計算ツール)、Phys.Med.Biol.、2002、1671〜89)モンテカルロコードが使用された。 陽子線に関する患者体内の線量分布の計算には、高速で堅牢性の高いシミュレーションアルゴリズムが使用されるが(Li,J−Sら、"Monte Carlo Based Superposition Dose Calculation for Proton Beam Radiotherapy"(陽子線治療のためのモンテカルロベースの重ね合わせ線量計算)、Med.Phys.、2001、1250)、これは、GEANT3モンテカルロシミュレーションツールに基づいたものである(Brun,R.、1994、"GEANT3−Detector description and simulation tool Reference Manual"(GEANT3検出器の説明およびシミュレーションツールリファレンスマニュアル))。 構造上、GEANTシステムのツールを使った患者体内の計算は極端に時間がかかり、3次元線量分布を妥当な時間内で計算することは実質的に不可能である。 この欠点を克服するため、これと同じアルゴリズムはMCDOSEコードに導入され、患者CTデータから構築された3D直線状ファントムでの、事前生成されたモンテカルロ陽子軌跡の重ね合わせによる線量付与計算に使用されている。 GEANT3モンテカルロコードを使って水ファントム中の初期運動エネルギー250MeVの単一エネルギー陽子がシミュレーションされた。 各ステップごとの位置と角度とエネルギーとの変化と、このステップ中のエネルギー付与とが、一次陽子および全二次粒子について記録された。 特定の患者構造について線量を計算する際は、通常、各ステップでのエネルギー付与を一定に保ちながら、事前生成された粒子軌跡が局所物質の密度および停止力に基づいて調整されたステップ長と併用される。 前記軌跡は入射陽子の方向に基づいて回転され、散乱角度は、ファントム材料が水でない場合に調整される。 このアルゴリズムは、GEANT3と比べ、均一なファントム構造について約13倍高速で、不均一なファントム構造については1000倍高速である。 図(2)は、GEANT3シミュレーションコードおよび重ね合わせ軌跡反復法の双方を使って計算された、80、150、250MeVの陽子線に関する均一な水ファントムでの深部線量分布を示したものである。 双方の計算方法の間で良好な一致(〜1)が見られる。 最適化計算。 強度行列の計算には、最も急激な降下法に基づいた最適化手順(Jiang,S.B.ら、"Development of a compensator based intensity modulated radiation therapy system"(補償器ベースの強度変調放射線治療システムの開発)、PhD論文、1998、Medical College of Ohio、Toledo、OH)が使われた。 この手法は、Spirou,S. V. ら("A gradient inverse planning algorithm with dose−volume constraints"(線量体積拘束値を伴う勾配逆方向治療計画アルゴリズム)、Med.Phys.、1998、321〜333)により提案された重心からの類推に基づいたものである。 このアプローチでは、目的関数は、標的体積と健常組織とに関する目的関数の和で、標的体積および重要構造内でそれぞれコールドスポットおよびホットスポットを低減するため、標的線量の均一性拘束値と、重要構造の線量の体積/最大線量拘束値も含む。 これにより、最小化すべき目的関数の合計は、次のように定義される。 ここで、p 0 (tgt)は標的体積への処方線量、xは各ビームレットの加重を表す成分を伴う加重ベクトル、d iは標的の点iに与えられる線量、N 0 (tgt)は標的に割り当てられた線量点の総数w hlthは健常組織用の目的関数に割り当てられた重要度加重、N hlthは健常組織に割り当てられた線量点の総数である。 式(2)の第3項は、標的体積の線量均一性拘束値を表している。 標的の目的関数(第1項)には、線量不足および線量過多が同様に扱われることについて難点がある。 標的体積内でコールドスポットは局所障害の原因となることからホットスポットより重要であるという臨床的な所見および注意事項を、この項は反映しないためである。 標的体積内でコールドスポットおよびホットスポットを許容範囲内のレベルに制限するには、「標的体積の…パーセントを超える体積がp 1 (tgt)未満の線量を受け取ってはならない」および「標的体積の…パーセントを超える体積がp 2 (tgt)を超える線量を受け取ってはならない」と解釈される線量均一性拘束値の下限および上限を適用する。 パラメータξ iは、制約違反があった場合1と定義され、そうでない場合は0と定義されるフラグ、w k (tgt) (k=1,2)は、各拘束値に割り当てられた重要度加重である。 式(2)の第4項は、重要構造の線量体積拘束値を表している。 その構造は、標的体積の線量体積拘束値と同様である。 各種拘束値を伴う最適化問題は、目的関数(2)の制約なし最小化問題になる。 制約関数に加えられるr係数は、通常、反復が進むに連れ増加される。 この最小化手順は、若干、既知の質量空間分布を伴った系の重心計算を連想させるが、これは、目標関数式(2)が、その導関数がゼロに等しい場合に最小化されることからくるものである。 新しい系の重心は、1回の反復後、ビームレット加重により表される。 ここで、総「質量」は次のようになる。 また、aは、線量付与行列(ビームレットjから点iに与えられる線量)を表す。 重心法のアルゴリズムは、次のとおりである。 1. xおよびrの初期値と、収束許容誤差εとを入力する。 2. 総質量M(x (k) ,r)を計算する。 3. 目的関数の勾配を計算する。 4. x (k+1)を計算する。 5. |(F obj (x (k+1) )−F obj (x (k) ))/F obj (x (k+1) )|<εの場合、停止する。 それ以外の場合はr→10×rとし、ステップ2に戻る。 全体的な最適化工程は、次の3段階に分離できる。 1. 事前最適化。 この段階では、初期単一ビームレット加重分布(各加重は1に等しい)について、患者構造での3次元線量計算からなる最適化アルゴリズム用にデータを入力する。 患者の解剖学的情報(標的、重要構造)は、CTデータから得られたファントムファイルに格納され、次にこのファントムファイルがモンテカルロシミュレーションで使用されて、線量付与行列が計算される。 これは、複数のビーム、ビームのマージンおよび配向、ビームレットの数などを含め、ビームの幾何学的情報が定義される段階である。 また、SOBPに必要な(各ビームレットについての)陽子エネルギースペクトルが、式(1)を使って事前計算される段階でもある。 2. 最適化。 この段階では、各ビームレットの最適加重(強度プロファイル)計算用の入力として、前記線量付与行列と標的線量拘束値および種々の拘束値とが併せて使用される。 3. 事後最適化。 この段階では、最適化されたビームレット加重分布を最終的な線量計算で使うことにより、等線量表示および線量体積ヒストグラムを使って計画が評価される。 結果。 強度変調治療におけるレーザー加速陽子の潜在的な用途について、異なる2つの前立腺ケースを研究した。 基本データは、80スライスCT検査からなるものであった(スライスごとの画像行列512×512、ピクセルサイズ0.95mm、スライス間隔3mm)。 標的体積(target volume:CTV)および近傍の4つの重要構造を定義した(直腸、膀胱、左右大腿骨頭)。 次に、モンテカルロ計算用にCTデータセットをファントムデータファイルに変換した(スライスごとの画像行列128×128、ピクセルサイズ3.8mm、スライス間隔3mm)。 CTVとしては、計画標的体積(planning target volume:PTV)に5mmの安全マージンを付けたものを使った。 第1の計画は、強度変調陽子線治療および強度変調光子線治療の比較研究を表すものである。 どちらのモダリティでも、同じ7フィールド配置および同じ最適化パラメータを使用した。 最適化手順における、PTVの処方線量と、重要構造の線量/体積要件と、関心のある全体積に割り当てられた相対重要度とを表(1)に示す。 各ビームモダリティおよび関心体積について計算された線量体積ヒストグラム(dose−volume histograms:DVH)を使って計画の解析を実行した。 表(1)では、標的の線量/体積拘束値は次のように定義されている。 「標的体積の5%を超える体積が72Gy未満の線量を受け取ってはならず、標的体積の10%を超える体積が76Gyを超える線量を受け取ってはならない。」すべての標的拘束値は、重要度加重が1.0である。 重要構造拘束値は、次のように定義されている。 「直腸/膀胱の90/50/10%を超える体積がそれぞれ10/20/30Gyを超える線量を受け取ってはならない。」直腸への線量過多から生じる深刻な合併症を防ぐため、直腸にはより大きな重要度加重を割り当てた。 第2の計画は、一方は2フィールド(並行し対向し合った配置)および3フィールドIMPT(並行し対向し合ったフィールドおよび前部フィールド)を、他方は7フィールド光子IMRTを、第2の前立腺ケースに適用した比較研究を表している。 計算に使用した最適化パラメータは、表(2)のとおりである。 この研究の目的は、少数のフィールドで各計画の線量測定特性を調べ(レーザー加速陽子の物理特性を使って計算)、レーザー加速陽子用に配置するフィールドの数が少なくとも、標的内で優れた線量分布を生成し、また周囲の健常組織を有意に温存できることを示すことである。 これにより、制限された数のポートで臨床的に許容範囲内の計画を生成する可能性が示されて、標的および重要構造に関する線量測定要件を満たしながら治療時間を大幅に短縮できるようになる。 少数フィールドの場合、本質的に所与のフィールド配置で単純に一部の重要構造を回避でき(例えば前立腺ケースにおける並行し対向し合ったビーム配置では、直腸および膀胱を回避できるが、大腿骨頭は貫通する)、そのため重要構造に付与される線量を最小限に抑えて重要構造の温存につなげることができるが、他方、少数フィールドの光子を使った強度変調放射線治療の場合は、標的線量の均一性が若干損なわれる。 換言すると、望ましい処方標的線量分布および望ましい健常組織温存の双方を達成するには、光子IMRTではむしろ多数(6若しくはそれ以上)のフィールドを使用する必要があるが、IMPTでは少数のフィールドを使っても優れた線量分布をもたらすことができる。 標的の深度次元に沿って(幾何学的にも線量測定的にも)精確な線量原体性を可能にする陽子のエネルギー変調は、達成が極度に困難である。 標的カバー率、重要構造線量、および正常組織積分線量。 図(3)および(4)は、本明細書で考慮している双方のケースについて等線量分布を示したものである。 これらの図では、陽子線モダリティで正常組織線量負荷の増加が明らかに見られるが、これは陽子線モダリティでの標的体積に対する優れた線量構造である。 図(5)〜図(7)には、PTVと、直腸と、膀胱と、双方の大腿骨頭との比較DVHを示している。 これらの計画の線量体積ヒストグラムは、どちらも95%のPTV体積が74Gy(処方線量)を受け取ったとして正規化済みである。 陽子の2フィールド配置および3フィールド配置(ケース2)では、 で定義される4.5%の線量不均一性でほぼ同一の標的線量カバー率が示されている。 同時に7フィールド光子IMRT(ケース2)は、9%の線量不均一性を呈している。 7フィールドの陽子および光子の例(ケース1)は、それぞれ9.5%および14.5%の線量不均一性を呈している。 直腸と、膀胱と、双方の大腿骨頭との比較DVHでは、(調べたフィールド配置すべてについて)陽子モダリティを使った場合に、中間線量レベルでこれらの器官に対する優れた温存性が示されている。 ただし、約45Gy線量レベルではIM光子曲線がIMPTと交差し、高線量レベルではIMPTおよびIMRT双方の温存効果にはほとんど差異がないことが示されている。 この線量分布の特異性は、通常、重要構造領域にまで及ぶというPTVの定義に起因している(次項の説明を参照)。 計画2の重要構造DVHでは、陽子モダリティで、フィールド配置として直腸/膀胱領域が欠けた幾何学構成を基にした3フィールド技術を使った場合、小型であるが選択的なビーム配置(前立腺に対し並行し対向し合った配置)を使った15Gy線量レベルへの膀胱/直腸照射で、ほぼ50/30%の体積低下が示されている。 ケース2の大腿骨頭DVHでは、前記の並行し対向し合った配置と比べ、3フィールド技術により上記構造について若干優れた温存性が示されている。 放射線治療において、正常組織(標的構造および重要構造以外の組織)および重要構造への平均(積分)線量は、正常組織に合併症が起こる確率と、二次悪性腫瘍が誘発される確率とに関係することから重要な問題である。 正常組織への線量を軽減するには、先端水準の最適化技術と比べても、粒子モダリティ(陽子、その他重イオン)を光子より優れた深部線量特性で使用することが依然として唯一の方法である(Lomax、1999c)。 表(3)〜(5)は、双方のIM粒子モダリティについて、非標的正常組織および重要構造への平均線量を示したものである。 正常組織も重要構造も、平均線量は光子線より高くなっている。 レーザー加速IMPTおよび単一エネルギー陽子を使ったIMPTの「理想的」ケースの比較。 レーザー加速IMPTと、単一エネルギー陽子を使ったIMPTの理想的なケースとの比較研究には、上記説明した7フィールド配置(ケース1)を使用した。 最適化手順における、PTVの処方線量と、重要構造の線量/体積要件と、関心のある全体積に割り当てられた相対重要度とは、陽子−光子7フィールド比較研究で使用したものと同じであり、これらは表(1)に示している。 図(8)〜図(10)は、PTVと、直腸と、膀胱と、双方の大腿骨頭との比較等線量線分布およびDVHを示したものである。 これまでのケース同様、DVHは、95%のPTVが74Gyを受けるよう正規化している。 図(8)では、単一エネルギー陽子の理想的ケースの等線量線分布の方が、レーザー加速陽子に基づいたIMPTより若干高い線量勾配(線同士の間隔が狭い)を呈していることが示されている。 同時に、どちらのIMPTモダリティでも単一エネルギーの場合は12%の線量不均一性で、レーザー加速IMPTの場合は14.5%の線量不均一性で、ほぼ同一のPTV線量カバー率が得られた。 重要構造の全DVHでは、単一エネルギーケースの方がわずかに優れた線量分布を呈しており、これは前記の等線量線パターンと一貫している。 結果の考察。 以上、IM陽子(レーザー加速)モダリティおよびIM光子モダリティの治療計画比較結果と、レーザー加速IMPTおよび単一エネルギー陽子を使った理想的IMPTケースの比較結果とを示してきた。 これらの結果は、強度変調放射線治療に関するレーザー加速陽子の実用性を示している。 これらの結果は、本明細書に開示する方法の線量測定的優位性に関する定量的な情報ももたらしている。 どちらの陽子モダリティの比較研究も、レーザー加速器ベースの技術の線量測定特性を従来の陽子加速方法を使用する技術の線量測定特性に関係付ける上で、付加的な役割を果たしている。 PTVおよび危険性の高い器官について等線量線分布およびDVHを比較すると、IMPTの理想的ケースの重要構造でわずかに優れた線量分布が見られる。 単一エネルギー陽子に基づく強度変調治療は、考えうる最良の線量分布をもたらす最良のシナリオに相当する。 レーザー加速器ベースのIMPT計画が、単一エネルギー陽子を使った場合に匹敵する線量分布を生成するという事実は、実際極めて意外なことである。 前記陽子−光子ケーススタディからは、IM陽子計画がIM光子技術より優れた標的領域カバー率をもたらすことが算定される。 また表3〜5に見られるように、陽子線モダリティでは、重要構造および正常組織への平均線量が著しく削減された。 中間線量レベル(D≦45Gy)にまで照射される重要構造の体積は、陽子モダリティの方が著しく低かった。 ただし、45Gy線量レベルでは、IM光子またはIM陽子で照射された重要構造体積間で、差はほとんど見られなかった。 順方向および逆方向の陽子治療計画の双方における重要構造平均線量の低下は、陽子の物理的優位性に起因するが、どちらの研究にも異なる方法(逆方向および順方向)が適用されてきている。 一部の重要構造では、線量を処方許容範囲レベルに適合させて合併症の危険性を低下させることが重要である。 しかし同時に、中間線量の削減と比較した高線量からの保護の重要性は、すべての重要構造により示される体積効果に応じて異なる。 連続(直列)した器官の場合は、通常、高線量レベルで照射される体積を削減することの重要性が、平均線量レベルでの照射体積低減の重要性を上回る。 他方、並列器官(肺など)では、通常、高線量で照射される体積を低減するより、むしろ並列器官構造への平均線量を低減する(または中間線量レベルで照射される体積を低減する)ことがより重要になる。 体積効果の問題に関する混乱を顕著にする重要な例としては、直腸の場合がある。 一般に、直腸は直列器官と考えられているが(Burman,C.ら、"Fitting of normal tissue data to an analytical function"(正常組織データの解析関数へのフィッティング)、Int.J.Radiat.Oncol.Biol.Phys.、1991、123〜136。Emami,B.ら、"Tolerance of normal tissue to therapeutic irradiation"(治療照射に対する正常組織の許容範囲)、Int.J.Radiat.Oncol.Biol.Phys.、1991、109〜122)、最近の研究では、肺と応答が同様な並列器官であることが示唆されている(Nahum,A.、"The potential of normal−tissue radiobiology for the physics of conformal therapy"(原体治療の物理学に関する正常組織放射線医学の可能性)、Tissue effects in radiotherapy:physics meets biology、Betchworth UK、1997)。 したがって、重要構造の体積効果に関する正確な知識なくして、重要構造DVHの相対重要度を判断することは困難である。 この不確実性のため、すべての重要構造において中間線量も高線量も低下させることが望ましくなる。 本明細書に示すように、これは、IM光子を使用するより陽子線の最適化技術を使用した方がよりよく達成できる。 上記のとおり、本発明の一態様では、前記選択システムから放出されるレーザー加速陽子の物理特性を利用して計算された放射線治療計画の線量測定特性を提供する。 計算された計画の線量測定特性は、通常、粒子線固有の物理特性(エネルギースペクトル、角度分布など)の関数となり、この関数は臨床的に許容範囲内のビームを生成する方法に依存する(従来の陽子線ではスポットスキャンおよび受動散乱など)。 粒子選択システムから放出されるレーザー加速陽子は、典型的に多少エネルギーの広がりを有し、これによりブラッグピークを超えた後の線量のフォールオフ(曲線の落ち方)がより緩くなってしまう。 特定の作用理論に制限されるわけではないが、これにより、この特定の加速および選択方法のパラメータに関する最終的なファントム内線量分布に若干の変調が導入されると考えられる。 以上で考慮したどちらのケースでも、陽子線について優れた標的線量カバー率と、重要構造の温存性とが得られた。 第1のケーススタディにおける標的カバー率からは、多数フィールド(7フィールド配置)の陽子線の方が、同じフィールド配置の光子より、やや優れた線量均一性がもたらされることが明らかになった。 7フィールド配置の計算では、患者が横たわる平面に垂直であるガントリー回転の平面内で90度と45度と0度と315度と295度と260度と215度との角度が使用された。 ケーススタディ2の結果からは、2陽子フィールド配置の線量均一性により、より少数のフィールドが優れた標的カバー率につながることが示されている。 これは、IM技術に対する従来の理解とは直感的に若干相容れないものがある。 IM技術において、優れた標的カバー率は、より多数のフィールドを使用することでもたらされるからである。 特定の作用理論に制限されずにこれを理解するため、レーザー加速陽子に適用される3次元強度変調の意味を以下さらに解明する。 陽子線治療は、初期陽子エネルギースペクトルを変調してSOBPを達成する可能性から生まれた放射線治療の強度変調形態と見なすことができる。 従来の陽子線治療において、レンジシフタはSOBPを得るため使用される。 レーザー加速陽子を使用できる高エネルギー連続エネルギー陽イオン選択システムでは、磁場を使って初期陽子エネルギースペクトルを再構築することにより同じ作用をもたらす。 3次元強度変調の処方において、所与のポートはより小さい領域(ビームレット)へとさらに分割される。 異なるビームレットに属する陽子は、種々の標的領域厚さを伴った標的領域の異なる部分を通過するため、SOBPをもたらすには異なるエネルギースペクトルが必要になる。 すなわち、この粒子選択システムでは、対応する標的領域の厚さに相関して異なるエネルギースペクトルを伴ったビームレットを生成することになる。 これらのスペクトルを使って計算される深部線量分布は、エネルギー分布および個々のビームレットのSOBPの高さ間で相関を呈する。 標的領域の遠位部が深いほど、SOBPの絶対値は小さくなる。 これは通常、陽子が高エネルギーであるほど個々のブラッグピークの絶対的な高さが低くなることに起因する(図(2)を参照)。 その例として、図(11a)では、図(11b)に示した陽子エネルギースペクトルを使ってこれらに対応するよう計算された異なる拡大ブラッグピークを示している。 これらのエネルギー分布(元来、PICシミュレーションに提供された初期条件を伴った磁場内陽子に対する運動方程式の解から得られた)は、IM計算で個々のビームレットについて計算されたものであり、上記提案された選択システムに固有の内部のエネルギーの広がりを反映している。 各SOBPの絶対高さは異なっており、最終的に標的領域内部において望ましくない線量分布につながる。 重要構造が不在であれば、前記最適化手順により、標的領域内で高度に望ましい処方線量に至るビームレット加重分布を容易に見つけることができる(最適化された加重分布では、各ビームレットのSOBPの高さが同じになる)。 表(6)は、望ましい処方線量を提供するエネルギースペクトルであって、図(11(b))に示したエネルギースペクトルを伴うビームレットの加重分布を示したものである。 これらの加重は、各SOBPを標的領域で最深部に位置した部分のカバー率に対応したSOBPで単純に正規化することにより得られる。 重要構造が存在する場合は、通常(その重要構造内の線量を制限するため)最終的なビームレット加重分布に若干の変調が導入されて、標的領域の線量がより不均一になる。 特定の作用理論に制限されるわけではないが、これが、ケーススタディ2においては2〜3陽子フィールド配置の方がより優れた標的線量カバー率をもたらす原因であるように考えられる。 第2の前立腺ケースのこの2フィールド配置(並行し対向し合った)では、直腸および膀胱が温存されるが、左右大腿骨頭には直接(ビームが)入射してしまう。 このフィールド配置の結果、直腸および膀胱に入射するビームレットの数は少ないため、当該最適化手順におけるこれらの重要構造および標的領域の拘束値条件を満たすことは比較的たやすい。 図7からは、並行し対向し合ったビーム配置(ケーススタディ2)が双方の大腿骨頭に比較的高線量を付与することを見て取れる。 フォックスチェイス癌センター(Fox Chase Cancer Center、米国ペンシルバニア州フィラデルフィア)で適用されている、これらの構造への許容範囲線量は、それらの体積の10%を超える体積が50Gyを超える線量を受け取ってはならない(標的処方74Gy、処方体系2Gy/分割線量について)というものである。 ケース2の大腿骨頭DVHからは、左大腿骨頭のわずか0.28%と、右大腿骨頭の1.4%とが、50Gyを超える線量を受け取ったことが示されており、これは十分許容範囲内のレベルである。 これらの結果から、強度変調陽子は、少数のフィールドで優れた放射線治療計画を提供でき、また提供するはずであるという1つの結論に至る。 許容できる計画を生成するために必要なフィールドの厳密な数は、標的体積とその形状および(重要構造との相対)位置とに依存するが、照射野について賢明な角度選択(重要構造の幾何学的回避により決定)を行えば決定が可能である。 陽子線治療に関する(陽子線伝搬の垂直な方向での)強度最適化の実施技術も、「インテリジェント」なポートセットを使って提供でき、その陽子線で、時間のかかる最適化手順に頼ることなく、非常に優れた線量分布を付与することができる。 各ビームレットの加重はSOBPの絶対高さを使うと計算でき、これにより標的領域内で非常に望ましい処方線量が得られ、かつ(賢明なポート角度選択により)重要構造内の線量を最小限に抑えることもできる。 双方のケースに関する腸の問題は、高線量で照射される重要構造の体積である。 図(6)から、陽子および光子の強度変調計画について、45Gy以上の線量で照射される直腸および膀胱の体積はほぼ同じである。 特定の作用理論に制限されるわけではないが、この類似性の理由は、標的領域の後部または前部に隣接した直腸または膀胱の一部とPTVがオーバーラップすることによると考えられる。 どちらのケースで使用した最適化条件でも、PTVへの線量原体性に最高の優先度を置くことが必要であったため、PTVとオーバーラップした膀胱/直腸部分が処方線量を受け取り、これは粒子モダリティに依存しないと考えられる。 これは、重要構造のDVHおよび標的領域のDVHの相関につながる。 傾向として、高線量で照射される重要構造の体積を低下させると、標的領域の一部への線量が低下し、標的線量分布がより不均一になる。 他方、標的領域における高度に均一な線量(すなわち、高度に望ましい処方線量)は、重要構造への線量を増加させるという犠牲を払って達成される。 この特徴は、重要構造および標的体積がオーバーラップする限り、典型的に存在する。 表(3)に示したように、陽子線では、光子と比べて正常組織への積分線量が大幅に軽減される(平均でほぼ3分の1に削減)。 大きな体積に低線量が付与されることの臨床的な重要性は依然として調べる必要があるが、正常組織への線量を低下させることが著しい役割を果たす場合もある(小児の場合、再発治療、化学療法または手術と放射線治療を同時適用する場合)。 本発明は、レーザー加速陽子放射線、特に強度変調放射線治療用のレーザー加速陽子の治療線量を提供する方法をもたらすものである。 PCT/US2004/017081ですでに説明されている粒子選択システムは、本明細書で説明する最適化技術と併用できる臨床的に意義のある陽子線を生成して優れた放射線治療治療をもたらす能力がある。 2つの前立腺ケースに関する線量分布の計算には、モンテカルロベースの治療計画ソフトウェアを、最も急激な降下法に基づいた最適化アルゴリズムと併せて使用した。 レーザー加速陽子を使用すると、強度変調光子治療と比べ、標的線量均一性を大幅に改善でき、かつ重要構造への平均線量および中間線量を削減できるであろうことが明らかになった。 陽子および光子の強度変調技術では、PTVに囲まれた重要構造体積に同様な線量が付与された。 また、レーザー加速陽子を使った強度変調治療の場合は、少数(治療ごとに2〜3)のフィールドで臨床的に許容範囲内の計画が生成可能である。 得られた結果からは、癌管理を著しく改善する優れた臨床放射線治療治療をもたらすため、本明細書で説明する方法を使ってレーザー加速陽子を変調できることが示されている。 当業者の技能範囲を持ってすれば、本開示の有益性により、これらの方法を種々の腫瘍および病変に対し拡張することは十分可能である。 以上の課題を解決するための手段および以下の詳細な説明は、添付の図面を参照することで、さらに明確に理解される。 本発明を例示するため本発明の例示的な実施形態を図面に示すが、本発明は開示されている具体的な方法および手段に限定されるものではない。 当該図面は、以下のとおりである。 |