骨付き食肉のX線画像撮影装置及び方法、並びに、該装置を備える骨付き食肉の脱骨システム

申请号 JP2014504778 申请日 2013-02-28 公开(公告)号 JPWO2013136994A1 公开(公告)日 2015-08-03
申请人 株式会社前川製作所; 发明人 輝 谷口; 輝 谷口; 浩之 桜山; 浩之 桜山; 後藤 修; 修 後藤; 大 徳本; 大 徳本; 広章 村並; 広章 村並;
摘要 家畜 屠体の腕部位又はもも部位からなる骨付き食肉のX線画像を、該骨付き食肉が吊り下げられた状態で撮影する骨付き食肉のX線画像撮像装置であって、骨付き食肉に向けてX線を照射するX線源123と、X線画像の撮像時に骨付き食肉を覆う遮蔽箱124と、遮蔽箱124の中に設置され、骨付き食肉を透過したX線を検出するセンサ125と、骨付き食肉とX線源123の間に配置され、骨付き食肉に照射されるX線の強度分布を調整するフィルタ126と、を有する。
权利要求

家畜屠体の腕部位又はもも部位からなる骨付き食肉のX線画像を、該骨付き食肉が吊り下げられた状態で撮影する骨付き食肉のX線画像撮像装置であって、 前記骨付き食肉に向けてX線を照射するX線源と、 前記X線画像の撮像時に前記骨付き食肉を覆う遮蔽箱と、 前記遮蔽箱の中に設置され、前記骨付き食肉を透過したX線を検出するセンサと、 前記骨付き食肉と前記X線源の間に配置され、前記骨付き食肉に照射されるX線の強度分布を調整するフィルタと、 を備えることを特徴とする骨付き食肉のX線画像撮影装置。前記骨付き食肉は、無限軌道を周回するクランプに吊り下げられており、 前記X線画像の撮影のために、前記骨付き食肉の左右に応じた回転方向にて前記骨付き食肉が鉛直軸の周りで回転するように、前記クランプを回転させる回転機構を更に備える ことを特徴とする請求項1に記載の骨付き食肉のX線画像撮影装置。前記回転機構は、前記骨付き食肉の胴体との切断面に対するX線の入射度が、30°超45°未満になるように前記クランプを回転させる、 ことを特徴とする請求項2に記載の骨付き食肉のX線画像撮影装置。前記無限軌道に沿う方向及び交差する方向にて、前記クランプの移動と同期して前記遮蔽箱を移動させる遮蔽箱移動機構を更に有する ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の骨付き食肉のX線画像撮影装置。請求項1乃至4の何れか一項に記載のX線画像の撮影装置によって撮影されたX線画像に基づいて、前記骨付き食肉に対し筋入れを行う筋入れ装置を備える、 ことを特徴とする骨付き食肉の脱骨システム。家畜屠体の腕部位又はもも部位からなる骨付き食肉のX線画像を、該骨付き食肉が吊り下げられた状態で撮影する骨付き食肉のX線画像撮像方法であって、 X線源から骨付き食肉に向けてX線を照射する工程と、 前記骨付き食肉を透過したX線を検出するセンサが設置された遮蔽箱を用いて、前記骨付き食肉を覆う工程と、 前記骨付き食肉と前記X線源の間に、前記骨付き食肉に照射されるX線の強度分布を調整するフィルタを配置する工程と を備えることを特徴とする骨付き食肉のX線画像の撮影方法。

说明书全文

本発明は、家畜屠体の腕部位又はもも部位からなる骨付き食肉のX線画像撮影装置及び方法、並びに、該装置を備える骨付き食肉の脱骨システムに関する。

豚、及び羊などの家畜の屠体は食肉として供される。家畜屠体の腕部位又はもも部位からなる骨付き食肉(以下「ワーク」という。)の脱骨方法は、大きく分けて、前処理工程、筋入れ工程、及び、肉分離工程を有する。前処理工程では寛骨等が除去される。筋入れ工程では、ワークが腕部位の場合には前腕骨及び上腕骨等に沿って、もも部位の場合には下腿骨及び大腿骨等に沿って、ワークに対し切込みが入れられる。肉分離工程では、ワークの骨から肉が引き剥がされる。

本発明者等は筋入れ工程及び肉分離工程を自動的に行う脱骨システムを提案している。 例えば、特許文献1が開示する脱骨システムには、前処理工程で人手によって前腕骨の筋入れが行われたワークが供給される。供給されたワークは、例えば人手によってクランプに吊り下げられ、筋入れ工程を行うロボットアームまで送られる。 ロボットアームには、カッタツールが取り付けられ、カッタツールは、ロボットアームによって所定の軌跡にて筋入れを実行する。筋入れの軌跡は、予めワークの長さを光電センサを用いて測定しておき、この測定結果に基づいて決定される。なお、この筋入れ工程の際、ワークは、クランプによって吊り下げられながら、ワーク押さえ機構によって押さえられる。

また、この脱骨システムの肉分離工程では、ワークが、カッタを当てられた状態で回転させられながら引き上げられ、これにより、ワークから前腕骨及び上腕骨が除去される。ワークの引き上げ量も、ワークの長さの測定結果に基づいて決定される。

この後、ワークから肩甲骨が除去される。具体的には、前腕骨及び腕骨が除去されたワークはベルトコンベヤに移された後、V字ガイドによって所定位置で静止させられる。それから、ワークに対し、肩甲骨に沿って筋入れが行われる。筋入れの後、ワークは再びベルトコンベヤで搬送される。ワークが所定の搬送位置に到達するとベルトコンベヤが停止され、そして、ワークの肩甲骨がチャックカッタとU字カッタによってチャックされて除去される。

一方、特許文献2は肉組織の加工装置を開示している。この加工装置は、X線照射手段を用いて、骨付き食肉における筋、及び骨等の位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて筋、腱及び骨等を切断する。具体的には、載置台に配置された骨付き食肉に対し、垂直方向にてX線が照射される。

特開2008−99574号公開公報

特開平6−324006号公開公報

特許文献2に記載されている加工装置では、載置台に配置された骨付き食肉に垂直方向にてX線が照射される。このように画一的な配置で撮影されたX線画像を用いた場合、骨付き食肉における骨の位置や骨の形状に関する正確な情報を得ることは困難である。不正確な情報に基づいて筋入れを行った場合、カッタの軌跡が骨から離れて骨に肉が残り、歩留まりが低下したり、あるいは、カッタが骨に切り込んでカッタに過負荷が掛かる。 特に、ワークが高速で移動している状態で筋入れを行う場合、歩留まりの低下やカッタへの過負荷が顕著になる。このため、ワークの移動速度を低下させなければならず、結果として、脱骨システムの処理能が低下してしまう。

本発明は、上述した事情に鑑みてなされ、その目的の一つは、家畜屠体の腕部位又はもも部位からなる骨付き食肉の鮮明なX線画像を撮影する、骨付き食肉のX線画像撮影装置及び方法、並びに、該装置を備える骨付き食肉の脱骨システムを提供することである。

上述した課題を達成するために、本発明の一態様によれば、家畜屠体の腕部位又はもも部位からなる骨付き食肉のX線画像を、該骨付き食肉が吊り下げられた状態で撮影する骨付き食肉のX線画像撮像装置であって、前記骨付き食肉に向けてX線を照射するX線源と、前記X線画像の撮像時に前記骨付き食肉を覆う遮蔽箱と、前記遮蔽箱の中に設置され、前記骨付き食肉を透過したX線を検出するセンサと、前記骨付き食肉と前記X線源の間に配置され、前記骨付き食肉に照射されるX線の強度分布を調整するフィルタと、を備えることを特徴とする骨付き食肉のX線画像撮影装置が提供される。

この骨付き食肉のX線画像撮影装置によれば、骨付き食肉に照射されるX線の強度分布がフィルタによって調整されるので、鮮明なX線画像が得られる。従って、このX線画像に基づいて筋入れを実行する場合、筋入れの軌跡を骨の輪郭に正確に合わせることができ、歩留まりが向上するとともに、カッタに過負荷がかかることが防止される。

好ましくは、前記骨付き食肉は、無限軌道を周回するクランプに吊り下げられており、骨付き食肉のX線画像撮影装置は、前記X線画像の撮影のために、前記骨付き食肉の左右に応じた回転方向にて前記骨付き食肉が鉛直軸の周りで回転するように、前記クランプを回転させる回転機構を更に備える。

この構成によれば、骨付き食肉の左右に応じた回転方向にて骨付き食肉を鉛直軸の周りで回転させることで、筋入れの軌跡の決定に適したX線画像が得られる。従って、このX線画像に基づいて筋入れを実行する場合、歩留まりが更に向上するとともに、カッタに過負荷がかかることが更に防止される。

好ましくは、前記回転機構は、前記骨付き食肉の胴体との切断面に対するX線の入射度が30°超45°未満になるように前記クランプを回転させる。 この構成によれば、骨付き食肉の胴体との切断面に対するX線の入射角度が、30°超45°未満になるように前記クランプを回転させることで、確実に、筋入れの軌跡の決定に適したX線画像が得られる。

好ましくは、骨付き食肉のX線画像撮影装置は、前記無限軌道に沿う方向及び交差する方向にて、前記クランプの移動と同期して前記遮蔽箱を移動させる遮蔽箱移動機構を更に備える。 この構成によれば、クランプを移動させながら、X線画像を撮影することができる。従って、この骨付き食肉のX線画像撮影装置を脱骨システムに適用した場合、脱骨システムの処理能力を低下させることなく、X線画像を撮影することができる。

上述した課題を達成するために、本発明の一態様によれば、上記の何れかの骨付き食肉のX線画像撮影装置によって撮影されたX線画像に基づいて、前記骨付き食肉に対し筋入れを行う筋入れ装置を備える、ことを特徴とする骨付き食肉の脱骨システムが提供される。 この構成によれば、鮮明なX線画像に基づいて筋入れを行うので、骨に残る肉を減らして歩留まりを高めることができる。また、カッタが骨に切り込むことを防止することができ、カッタに過負荷が掛かることが防止される。

上述した課題を達成するために、本発明の一態様によれば、家畜屠体の腕部位又はもも部位からなる骨付き食肉のX線画像を、該骨付き食肉が吊り下げられた状態で撮影する骨付き食肉のX線画像撮像方法であって、X線源から骨付き食肉に向けてX線を照射する工程と、前記骨付き食肉を透過したX線を検出するセンサが設置された遮蔽箱を用いて、前記骨付き食肉を覆う工程と、前記骨付き食肉と前記X線源の間に、前記骨付き食肉に照射されるX線の強度分布を調整するフィルタを配置する工程とを備えることを特徴とする骨付き食肉のX線画像撮影方法が提供される。

この骨付き食肉のX線画像撮影装置によれば、骨付き食肉に照射されるX線の強度分布がフィルタによって調整されるので、鮮明なX線画像が得られる。従って、このX線画像に基づいて筋入れを実行する場合、筋入れの軌跡を骨の輪郭に正確に合わせることができ、歩留まりが向上するとともに、カッタに過負荷がかかることが防止される。

本発明によれば、家畜屠体の腕部位又はもも部位からなる骨付き食肉の鮮明なX線画像を撮影する、骨付き食肉のX線画像撮影装置及び方法、並びに、該装置を備える骨付き食肉の脱骨システムが提供される。

本発明の一実施形態の骨付き食肉の脱骨システムの全体構成を概略的に示す図である。

図1の脱骨システムが実行する脱骨方法の処理手順を示すフローチャートである。

豚の腕部位及びもも部位を説明するための図である。

図2中の前処理工程を説明するための図である。

図2中の前処理工程を説明するための図である。

図2中の前処理工程後のワークの大きさを説明するための図である。

吊下ステーションの一部とともに左右判別ステーションの構成を概略的に示す平面図である。

左右判別ステーションの構成を概略的に示す平面図である。

光電センサの配置を説明するための側面図である。

移動規制バーの先端周辺を概略的に示す斜視図である。

クランプアームの動作を説明するための図である。

(a)は左右判別時のワークの姿勢を説明するための図であり、(b)は引っ掛け部材を突き刺すときのワークの姿勢を説明するための図である。

ロボットアームを概略的に示す側面図である。

引っ掛けユニットを概略的に示す側面図である。

引っ掛けユニットの概略的な断面図である。

引っ掛け部材の回転駆動機構を説明するための図である。

(a)は、ワークに突き刺すときの引っ掛け部材の配置を示し、(b)は、ワークを外すときの引っ掛け部材の配置を示している。

(a)及び(b)は、引っ掛け部材の先端側を異なる方向からみた斜視図である。

ワークに引っ掛け部材を突き刺すときのワークと引っ掛け部材の配置を説明するための図である。

吊下ステーションの一部を概略的に示す平面図である。

吊下ステーションの一部を概略的に示す側面図である。

吊下ステーションの一部を概略的に示す正面図である。

吊下ステーションの一部を概略的に示す正面図である。

吊下ステーションの一部をワークとともに概略的に示す図である。

吊下ステーションにおいてワークが搬送される様子を概略的に示す側面図である。

脱骨システムが実行する脱骨方法を説明するための図である。

ワークを搬送するためのクランプ装置を概略的に示す半断面図である。

図27のクランプ装置を概略的に示す上面図である。

図27のXXIX−XXIX線に沿う断面図である。

(a)は、クランプに吊り下げられた直後の左ワークWとクランプを概略的に示す平面図であり、(b)は、クランプに吊り下げられた直後の右ワークWとクランプを概略的に示す平面図である。

第1クランプ回転装置の動作を説明するための図である。

第1クランプ回転装置の動作を説明するための図である。

第2クランプ回転装置の動作を説明するための図である。

第2クランプ回転装置の動作を説明するための図である。

第3〜第5クランプ回転装置の動作を説明するための図である。

第3クランプ回転装置の動作を説明するための図である。

第4クランプ回転装置の動作を説明するための図である。

第5クランプ回転装置の動作を説明するための図である。

第5クランプ回転装置の動作を説明するための図である。

X線撮影ステーションの構成を説明するための図である。

X線撮影ステーションの構成を説明するための図である。

(a)はフィルタの側面図であり、(b)はフィルタの正面図である。

遮蔽箱の駆動機構の構成を説明するための図である。

遮蔽箱の移動を説明するための図である。

X線画像に基づいて座標を求めるべきワーク中の目標位置A〜Lを示す図である。

第2前腕筋入れ工程を行う丸刃カッタ装置を概略的に示す図である。

第1筋入れステーションのカッタツールを概略的に示す斜視図である。

(a)はカッタツールの平面図であり、(b)はカッタツールの断面図である。

第1筋入れステーションのサポート装置を概略的に示す正面図であり、(a)は作動状態を示し、(b)は待機状態を示す。

サポート装置の一部を概略的に示す側面図である。

サポート装置の一部を概略的に示す平面図である。

ワークとともに作動状態のサポート装置を概略的に示す正面図である。

肩甲骨除去ステーションを概略的に示す側面図である。

ワークとともに、上側支持部材、下側支持部材、ボトムホルダ、及び、ガイド板を概略的に示す正面図であり、ボトムホルダの移動を説明するための図である。

(a)はボトムホルダの上面図及び正面図であり、(b)は上側支持部材の上面図、正面図及び側面図である。

ガイド板の上面図及び正面図である。

ボトムホルダの昇降を説明するための図である。

ワイパのスイングを説明するための図である。

(a)はチャックユニットを概略的に示す側面図であり、(b)は、チャックユニットの把持部材及びロック部材を概略的に示す平面図である。

把持部材及びロック部材が肩甲骨を把持した状態を説明するための図である。

第3前腕骨筋入れステーション及びワーク排出ステーションを概略的に示す側面図である。

下側支持部材及び押さえ部材を示す平面図である。

(a)は掛替分離ステーションの上流側を概略的に示す平面図であり、(b)は、掛替分離ステーションのガイドバー、ガイド板及び固定刃物を概略的に示す側面図である。

ワークとともに掛替分離ステーションの上流側を概略的に示す正面図である。

掛替分離ステーションの下流側を概略的に示す平面図である。

掛替分離ステーションの下流側を概略的に示す正面図である。

掛替分離ステーションの下流側を概略的に示す平面図である。

掛替分離ステーションにおけるワークからの前腕骨の分離を説明するための図である。

向き調整バーの動作を説明するための図である。

(a)は最終分離ステーションを概略的に示す平面図であり、(b)は、最終分離ステーションを概略的に示す側面図である。

最終分離ステーション中の分離装置を概略的に示す正面図である。

エアシリンダとともにミートセパレータを示す平面図である。

本発明の他の実施形態に係る掛替分離ステーションの押下装置を概略的に示す平面図である。

図73の押下装置を概略的に示す側面図である。

ワークとともに図73の押下装置を概略的に示す正面図である。

掛替分離ステーションの下流側を概略的に示す平面図である。

他の実施形態の脱骨システムが実行する脱骨方法を説明するための図である。

上腕骨の肘頭窩を説明するための概略的な図である。

掛替分離工程における作業手順を概略的に示すフローチャートである。

以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。

〔脱骨システムの全体構成〕 図1は本発明の一実施形態の骨付き食肉の脱骨システム(以下、脱骨システムともいう)の概略的な構成を示している。 脱骨システムは、前処理ステーションST1、左右判定ステーションST2、吊下ステーションST3、X線撮影ステーションST4、第1筋入れステーションST5、第2筋入れステーションST6、肩甲骨除去ステーションST7、前腕骨筋入れステーションST8、ワーク排出ステーションST9、掛替分離ステーションST10、最終分離ステーションST11、及び、骨排出ステーションST12を有する。

また、脱骨システムは、ワークWを吊り下げた状態で搬送する複数のクランプ10を有し、各クランプ10は無限軌道11を周回する。具体的には、クランプ10はチェーンに連結され、チェーンが無限軌道11に沿うように、スプロケット13,14によって回転させられる。なお図示しないけれども、無限軌道11に沿って複数のベルトコンベヤが配置され、分離された肉と骨が別々に脱骨システムの外に搬送される。

吊下ステーションST3、X線撮影ステーションST4、第1筋入れステーションST5、第2筋入れステーションST6、肩甲骨除去ステーションST7、前腕骨筋入れステーションST8、ワーク排出ステーションST9、掛替分離ステーションST10、最終分離ステーションST11、及び、骨排出ステーションST12は、無限軌道11に沿ってこの順序で設けられている。

また、クランプ10を所定角度にて回転させるために、第1クランプ回転装置16、第2クランプ回転装置17、第3クランプ回転装置18、及び、第4クランプ回転装置19、第5クランプ回転装置20が、無限軌道11に沿ってこの順序で設けられている。 第1クランプ回転装置16は、吊下ステーションST3とX線撮影ステーションST4の間に位置し、第2クランプ回転装置17は、肩甲骨除去ステーションST7と前腕骨筋入れステーションST8の間に位置する。

第3クランプ回転装置18は、前腕骨筋入れステーションST8とワーク排出ステーションST9の間に位置し、第4クランプ回転装置19は、ワーク排出ステーションST9と掛替分離ステーションST10の間に位置する。そして、第5クランプ回転装置20は、最終分離ステーションST11と骨排出ステーションST12の間に位置する。

また、脱骨システムは、全体の動作を制御する制御装置21を有する。制御装置21は、例えば、中央演算処理装置、メモリ、外部記憶装置、入力装置及び出力装置からなるコンピュータによって構成される。制御装置21は、好ましくは、前処理ステーションSTを除く全てのステーションST2〜ST12、及び、第1〜第5クランプ回転装置16,17,18,19,20に接続されている。 更に、脱骨システムは、X線撮影ステーションST4と第1筋入れステーションS5の間に位置して、無限軌道に沿って設けられた丸刃カッタ装置22を有する。

〔脱骨方法〕 図2は、脱骨システムが実行する骨付き食肉の脱骨方法の処理手順を概略的に示すフローチャートである。 脱骨方法は、前処理工程S10、左右判別工程S12、吊下工程S14、第1前腕骨筋入れ工程S16、第1クランプ回転工程S18、X線撮影工程S20、第2前腕骨筋入れ工程S22、第1筋入れ工程S24,第2筋入れ工程S26、肩甲骨除去工程S27、第2クランプ回転工程S28、第3前腕骨筋入れ工程S30、エラー発生判定工程S32、第3クランプ回転工程S34、ワーク排出工程S36、第4クランプ回転工程S38、掛替分離工程S40、最終分離工程S42、第5クランプ回転工程S44、及び、骨排出工程S46を有する。

以下、各工程について、用いられる装置の構成とともに説明する。 〔前処理工程/前処理ステーション〕 前処理工程S10では、図3に概略的に示す豚の腕部位からなる骨付き食肉(以下、ワークともいい、符号Wを付す)に対し、人手によって前処理が施される。図2の脱骨方法において、人手によって行われるのは、前処理工程S10のみである。 脱骨システムは、腕部位が左腕であるか右腕であるかに関係なく、脱骨を行うことができる。なお、脱骨システムは、腕部位の脱骨に適しているが、もも部位にも適用可能であり、牛や羊の腕部位やもも部位にも適用可能である。

前処理工程S10では、図4中の線L1に沿って、豚足部分が切り落とされる。 また、前処理工程S10では、図5(a)及び(b)に示すようにばら肉w1がめくられる。なお、図5のワークWは右腕(右ワーク)であり、骨としては、前腕骨b1、上腕骨b2及び肩甲骨b3を含んでいる。

次に、図5(c)及び(d)に示すように、肩甲骨b1の上側肉w2が剥がされる。そして、図5(e)中に線L2で示すように、肩甲骨b3に沿って筋入れが行われるとともに、線L3で示すように肩甲骨b3と上腕骨b2との関節に筋入れが行われ、前処理工程S10が終了する。 なお、前処理工程S10において、図5(f)に示すように、ばら肉w1を切り落としてしてもよい。 図6は、前処理工程S10後のワークWを示しており、脱骨システムで脱骨されるワークWの長さは、例えば400mm〜600mmである。

〔左右判別工程/左右判別ステーション〕 図7〜12は、左右判別ステーションST2の構成を説明するための図である。なお図7〜12には、吊下ステーションST3の構成も部分的に含んでいる。 左右判別ステーションST2は、例えば2列のベルトコンベヤ24,24有する。前処理されたワークWは、作業者によってベルトコンベヤ24,24の上流端に配置され、下流端まで運ばれる。ここで、作業者は、ワークWの胴体との切断面が上を向き、且つ、手首側をベルトコンベヤ24の下流に向けて、ワークWをベルトコンベヤ24に配置する。

ベルトコンベヤ24の下流端には、ワークWの移動を規制する機構として、一対の移動規制バー25a,25bが設けられている。移動規制バー25a,25bは、図示しないエアシリンダによって開閉可能であり、左右判別工程S12の実行中は閉じられている。

閉状態の移動規制バー25a,25bは、平面でみて略V字形状をなし、ベルトコンベヤ24の搬送方向にて下流に向かうほど、移動規制バー25a,25b同士の間隔が狭くなる。ただし、V字の頂角部では、移動規制バー25a,25bは相互に離隔して隙間を形成している。ワークWは、この隙間に手首側の先端部が進入した状態で、移動を規制される。

そして、左右判別ステーションSTは、移動が規制されたワークWの姿勢に基づいて、ワークWが右腕(右ワーク)であるか左腕(左ワーク)であるかを判定する左右判別機構を有する。具体的には、左右判別機構は、1対の光電センサ27a,27bと、反射板28によって構成されている。

光電センサ27a,27bは、ベルトコンベヤ24の上方に、ベルトコンベヤ24の幅方向に並んで配置されている。そして、光電センサ27a,27bは、反射板28に向けて光をそれぞれ出射したときに、反射板28からの反射光を受光可能に配置されている。ただし、ワークWの姿勢に応じて、ワークWの先端部が光路を遮ると、光電センサ27a,27bのうち一方は、反射光を受光することができない。従って、制御装置21は、光電センサ27a,27bによる反射光の受光状態に基づいて、ワークWの左右を判別することができる。

反射板28は可動ステージ29上に設けられている。可動ステージ29は、エアシリンダ30によって、ベルトコンベヤ24,24の下流端に対し、ベルトコンベヤ24の搬送方向にて接離可能である。

可動ステージ29上には、ワークWの先端を、移動規制バー25a,25bの隙間の中央に固定するクランプアーム32a,32bが設けられている。クランプアーム32a,32bは、ベルトコンベヤ24の幅方向にて、ワークWの先端に対し接離可能である。

具体的には、可動ステージ29上には相互に離間して2本のレール33,33が設けられ、レール33,33にはスライダ34,34が搭載されている。スライダ34は、レール33の長手方向にスライド可能であり、スライダ34,34にクランプアーム32a,32bが固定されている。スライダ34,34は、リンク機構を介してエアシリンダ35に連結されている。従って、エアシリンダ35を制御することで、クランプアーム32a,32bをワークWの先端に対し接離させることができる。 なお、クランプアーム32a,32bの先端には、ワークWの先端に対し凹むように折れ曲がった当接板部36a,36bが設けられており、当接板部36a,36bによって挟まれることで、ワークWの先端が確実に固定される。

また、ベルトコンベヤ24の上方には、ワーク押さえ部材37が設けられている。ワーク押さえ部材37は、リニアアクチュエータ38によって、移動が規制された状態のワークWに対し接離可能である。ワーク押さえ部材37は、ワークWをベルトコンベヤ24に対し斜めに押し付け、これによりワークWを移動規制バー25a,25bに向けて押し付ける。クランプアーム32a,32bは、ワーク押さえ部材37によって押さえられた状態のワークWの先端を固定する。

〔吊下工程・第1前腕骨筋入れ工程/吊下ステーション〕 図13〜図25は、吊下ステーションST3の構成を示している。吊下ステーションSTは、左右判別ステーションST2からクランプ10まで、平置き状態から吊り下げ状態までの姿勢変化を伴いながら、ワークWを搬送する搬送装置である。そして搬送の間に、吊下ステーションST3は、前腕骨b1に対し筋入れを行う。

そのために、吊下ステーションST3は、所定の動作を実行可能なロボットアーム40を有する。ロボットアーム40は、例えば6軸の多関節ロボットであり、ロボットアーム40の先端には、アタッチメントとして、引っ掛けユニット42が取り付けられている。 なお、アタッチメントは異なるが、第1筋入れステーションST5、第2筋入れステーションST6、肩甲骨除去ステーションST7、及び、前腕骨筋入れステーションST8も、それぞれロボットアーム40を有する。

引っ掛けユニット42は、2つの引っ掛け部材43a,43bを有する。ロボットアーム40は、移動規制バー25a,25b、クランプアーム32a,32b、及び、ワーク押さえ部材37によって拘束された状態のワークWの先端部に引っ掛け部材43a,43bを突き刺す。つまり、移動規制バー25a,25b、クランプアーム32a,32b、及び、ワーク押さえ部材37は、吊下ステーションST3の一部を構成している。

より詳しくは、引っ掛け部材43a,43bは、帯状の本体部45a,45b、本体部45a,45bの一端に設けられた刃状の尖端46a,46b、及び、尖端46a,46bに連なるように本体部45a,45bの一側に設けられた返り47a,47bをそれぞれ有する。 そして、引っ掛けユニット42は、引っ掛け部材43a,43bの支持機構を有する。支持機構は、引っ掛け部材43a,43bを、弾性的に可変な間隔を存して互いに平行に支持するとともに、引っ掛け部材43a,43bの各々が本体部45a,45bの軸線に沿う回転軸の周りにて回転可能に支持する。 また、引っ掛けユニット42は、引っ掛け部材43a,43bを回転軸の周りにて回転させる回転駆動機構を有する。なお、回転軸は、回転に伴い、返り47a,47bが設けられた本体部45a,45bの一側が相互に接離するように設定される。

具体的には、引っ掛けユニット42は、メインフレーム49を有し、メインフレーム49に対し、例えばリニアガイドを介して2つの可動ステージ50a,50bが相互に接離可能に取り付けられている。メインフレーム49には、可動ステージ50a,50bを挟むように2つのブラケット51a,51bが取り付けられ、ブラケット51a,51bと可動ステージ50a,50bの間には、圧縮コイルばね52a,52bが設けられている。従って、可動ステージ50a,50bには、相互に接近するように弾性力が作用している。

可動ステージ50a,50bにはマウントブロック53a,53bが固定され、マウントブロック53a,53bは、軸受けを介して回転部材54a,54bを回転可能に支持している。マウントブロック53a,53bから突出した回転部材54a,54bの一端には、駆動アーム55a,55bが連結され、駆動アーム55a,55bは、連結プレート56の長孔にピン結合されている。そして、連結プレート56は、メインフレーム49に対して固定されたエアシリンダ57に連結されている。

一方、マウントブロック53a,53bから突出した回転部材54a,54bの他端には、必要に応じてスペーサ58a,58bを介して、引っ掛け部材43a,43bが固定されている。 引っ掛けユニット42では、エアシリンダ57を伸縮させると、駆動アーム55a,55bが回転し、これにより回転部材54a,54bとともに引っ掛け部材43a,43bが回転させられる。つまり、エアシリンダ57は、引っ掛け部材43a,43bを回転させるためのアクチュエータを構成しており、駆動アーム55a,55b及び連結プレート56は、アクチュエータと回転部材54a,54bを連結するリンクを構成している。

また、引っ掛けユニット42は、ワークWを移動させている間におけるワークWの揺れを規制する揺れ規制機構を更に有する。具体的には、引っ掛けユニット42は、メインフレーム49に連結された、L字形状の断面を有する揺れ防止板59を有する。

ロボットアーム40は、平置き状態のワークWの先端部に対し、先端部内の前腕骨b1を挟むように引っ掛け部材43a,43bの尖端46a,46bを突き刺す。この際、回転駆動機構は、返り46a,46bが設けられている本体部45a,45bの一側同士の間隔が、他側同士の間隔よりも狭くなるように、引っ掛け部材43a,43bを回転させる。

また、ロボットアーム40は、返り47a,47bを設けた本体部45a,45bの一側が、ワークWの肘側に配置され且つ本体部45a,45bの他側が手首側に配置されるように、引っ掛け部材43a,43bの尖端46a,46bをワークWの先端部に突き刺す。

そして、ロボットアーム40は、引っ掛け部材43a,43bを突き刺した状態でワークWをガイドレール60の入口まで移動させる。ガイドレール60は、吊り下げられた状態のワークWを搬送するための溝を規定するガイド部材である。

ガイドレール60の入口近傍には、ワークWを引っ掛けユニット42からガイドレール60に受け渡すための2本のプッシュロッド61が配置されている。プッシュロッド61は、ガイドレール60の溝と直交する平方向に延びている。プッシュロッド61は、エアシリンダ62によって、自身の長手方向に移動可能であり、また、図示しない駆動機構によって、ガイドレール60の溝と平行な方向に移動可能である。

なお、プッシュロッド61によって、引っ掛け部材43a,43bからワークWが外される際に、回転駆動機構は、本体部45の一側同士の間隔が他側同士の間隔に近付くように、好ましくは一致するように、引っ掛け部材43a,43bを回転させる。そしてこの際、ロボットアーム40は、本体部45の一側、即ち返り47a,47bが下側に位置するように、引っ掛けユニット42を配置する。

ガイドレール60,60は、ガイド板63a,63bに連結されており、ガイド板63a,63bも、ワークWを吊り下げた状態で搬送する溝を規定している。そして、ガイド板63a,63bに隣接して、同期板65a,65bが設けられている。同期板65a,65bも、ワークWを吊り下げた状態で搬送する溝を規定している。

同期板65a,65bは、図示しない駆動機構によって、無限軌道11を周回するクランプ10と同期して、無限軌道11に沿って移動可能である。そして、ガイド板63bにはエアシリンダ66が固定され、エアシリンダ66は、プッシャ68を介して、同期板65a,65bに吊り下げられたワークWをクランプ10に押し込む。

そして、吊下ステーションST3は、ガイドレール60の入口から同期板65a,65bまでワークWを運ぶためのフォーク70を有する。フォーク70は、図示しない駆動機構によって、溝に対して挿抜可能であるとともに、溝に沿って移動可能である。1つのワークWは、フォーク70の第1の爪によって搬送されてから、第2の爪によって搬送される。

更に、ガイドレール60,60には、溝の両側から上方に突出する三角形状の上流側固定刃物72,72が固定され、ガイド板63a,63bには、溝の両側から下方に突出する三角形状の下流側固定刃物74,74が固定されている。

従って、ワークWが溝に沿って搬送されている間に、上流側固定刃物72,72及び下流側固定刃物74,74によって、ワークWの先端部、即ち前腕骨周辺の肉に対して筋入れが行われる。この際、上流側固定刃物72,72では、刃先の高さが、搬送方向に進むにつれて徐々に高くなっており、ワークWの自重を利用して筋入れが行われる。そして、下流側固定刃物74,74は、上流側固定刃物72,72によって入れられた切れ込みに連なるように、筋入れを行う。

つまり、上流側固定刃物72及び下流側固定刃物74が、第1前腕骨筋入れ工程S16を実行する。この結果として、図26(a)に示したように、前腕骨b1の手首側が露出させられ、露出した前腕骨の手首側がクランプ10によって把持される。

〔第1〜第5クランプ回転工程/第1〜第5クランプ回転装置〕 図27〜29は、クランプ10を含むクランプ装置76の概略的な構成を示し、図30は、クランプ10に吊り下げられたワークWを概略的に示している。また、図31〜図39は、第1〜第5クランプ回転装置16,17,18,19,20を概略的に示している。

クランプ装置76は、クランプ10から鉛直方向に延びるシャフト83を有し、シャフト83は、台車部84のボスを相対回転可能に貫通している。台車部84は、無限軌道11に沿って延びるチェーン85に連結されており、チェーン85の回転に伴い無限軌道11に沿って延びるレール上を走行する。

シャフト83の上端には第1の円盤86が固定され、第1の円盤86には、カムフォロアとしてのローラ87が90°間隔にて4つ取り付けられている。また、シャフト83には、第1の円盤86の下方に、第2の円盤88が取り付けられている。第2の円盤88の外周部には、所定の位置に、半円形状の切り欠き部89が形成されている。

一方、台車部84には、第2の円盤88の近傍に、回転可能なレバー90が取り付けられている。レバー90には、係合ピン91が取り付けられ、係合ピン91が切り欠き部89に嵌合すると、シャフト83の回転が規制される。

レバー90の一端は、引っ張りコイルばね92によって引っ張られており、この引っ張り力によって、係合ピン91と切り欠き部89の係合状態が維持される。また、レバー90の他端には、係合ピン91と切り欠き部89の係合状態を解除するためのカムフォロアとしてのローラ93が取り付けられている。

図30は、ワークWがクランプ10に吊り下げられた直後の状態を概略的に示している。吊り下げ直後、ワークWは、ワークWの左右にかかわらずに、胴体との切断面が無限軌道11に沿うように配置されている。

吊り下げ直後のクランプ10の回転角を0°としたときに、切り欠き部89は、クランプ10の回転角を0°、+35°、−35°、+145°及び+180°のうち何れか一つに固定できるように設けられている。なお、+は、クランプ10の走行方向に向かって右側への回転であり、−は左側への回転である。

第1〜第5クランプ回転装置16,17,18,19,20は、係合ピン91と切り欠き部89の係合を解除するためのカム面95,96,97,98,99を有する。ローラ93がカム面95,96,97,98,99に当接している間、引っ張りコイルばね92の引っ張り力に抗してレバー90が回転させられて、係合ピン91と切り欠き部89の係合が解除される。

そして、第1クランプ回転装置16は、係合が解除されている間に、シャフト83を回転させるためのカム面100a,100bを有する。カム面100aは、ローラ87と当接することによって、シャフト83を左側に35°回転させ、カム面100bは、ローラ87と当接することによって、シャフト83を右側に35°回転させる。

なお、カム面100a,100bは、エアシリンダ101a,101bにリンク機構を介して連結されており、制御装置21は、エアシリンダ101a,101bを制御することによって、カム面100a,100bを作動位置と待機位置の間で往復させることができる。 つまり、左右判別工程S12の判別結果に応じて、ワークWが右腕であれば右側に回転させ、ワークWが左腕であれば左側に回転させることができる。

第2クランプ回転装置17は、係合が解除されている間に、シャフト83を2度回転させるためのカム面103a,103b,104a,104bを有する。カム面103a,104a及びカム面103b,104bは、それぞれ、ローラ87と順次当接することによって、シャフト83の回転角を180°にする。

なお、カム面103a,103b,104a,104bも、リンク機構を介してエアシリンダ105a,105bに連結されており、制御装置21は、エアシリンダ105a,105bを制御することによって、カム面103a,103b,104a,104bを作動位置と待機位置の間で往復させることができる。

第3クランプ回転装置18は、エラー発生判定工程S32において、何らかのエラーが発生したと判定された場合にのみ、シャフト83を180°回転させるカム面107,108を有する。つまり、カム面107,108は、シャフト83の回転角を0°に設定することができる。カム面107,108もリンク機構を介してエアシリンダ109に連結されており、制御装置21は、エアシリンダ109を制御することによって、カム面107,108を作動位置と待機位置の間で往復させることができる。

第4クランプ回転装置18は、エラーが発生していなかった場合に、シャフト83を回転させる、カム面110a,111a,112a,110bを有する。カム面110a,111a,112a,110bもリンク機構を介してエアシリンダ113a,113bに連結されており、制御装置21は、エアシリンダ113a,113bを制御することによって、カム面110a,111a,112a,110bを作動位置と待機位置の間で往復させることができる。制御装置21は、カム面110a,111a,112a,110bを用いてシャフト83を回転させることによって、シャフト83の回転角を、ワークWが左腕であれば−35°に、右腕であれば+35°に設定する。

第5クランプ回転装置20は、エラーが発生していなかった場合に、シャフト83を回転させる、カム面115a,116a,115bを有する。カム面115a,116a,115bもリンク機構を介してエアシリンダ117a,117bに連結されており、制御装置21は、エアシリンダ117a,117bを制御することによって、カム面115a,116a,115bを作動位置と待機位置の間で往復させることができる。制御装置21は、カム面115a,116a,115bを用いてシャフト83を回転させることによって、シャフト83の回転角を0°に設定する。

なお、係合ピン91と切り欠き部89の係合を解除するためのカム面97,98,99もリンク機構を介してエアシリンダ118,119,120に連結されており、制御装置21は、必要に応じてエアシリンダ118,119,120を制御して係合を解除する。 〔X線撮影工程/X線撮影ステーション〕 図40〜図45は、X線撮影ステーションST4の構成を概略的に示している。X線撮影ステーションST4は、X線照射装置122を有し、X線照射装置122は、X線源123を有する。また、X線撮影ステーションST4は、X線画像の撮影対象であるワークWを収容する遮蔽箱124を有し、遮蔽箱124の中に、X線検出器としてのラインセンサ125が設置されている。つまりX線撮影ステーションST4は、骨付き食肉のX線画像撮影装置である。

X線源123とラインセンサ125は、無限軌道11と直交する水平方向にて相互に離隔している。従って、ワークWの胴体との切断面に対して、おおよそ35°の入射角度θにて、吊り下げられたワークWにX線が照射される。 なお、ワークWの回転角、即ちクランプ10の回転角は、左腕であれば左側に35°、右腕であれば右側に35°であるのが最も好ましいが、30°超45°未満であればよい。

また、X線照射装置122は、X線源123の近傍に置かれたX線フィルタ126を更に有する。X線フィルタ126は、X線の一部を吸収して、ワークWに照射されるX線に適当な強度分布を付与する。

具体的には、X線フィルタ126は、中央が凹んだ凹レンズ形状を有する。そして、鉛直方向にて、X線フィルタ126の最も薄い部分の位置が、X線源123の位置及びワークWの最も肉厚な部分の位置に合わせられている。

なお、遮蔽箱124は、モータ128によって、無限軌道11に対し直交する水平方向にて接離可能であり、また、モータ129によって、無限軌道11に沿う方向にて移動可能である。制御装置21は、モータ128,129を制御することによって、ワークWの搬送を止めることなく、ワークWを遮蔽箱124内に配置することができる。従って、ワークWの搬送を止めることなく、ワークWのX線画像を撮影することができる。

X線撮影ステーションST4にてワークWのX線画像が撮影されると、制御装置21は、X線画像を画像解析し、図45及び図26(b)に示すように、筋入れに必要な複数の目標位置A〜Lの座標を決定する。なお、前腕骨b1は、橈骨b11及び尺骨b12からなる。

〔第2前腕骨筋入れ工程/丸刃カッタ装置〕 図46は、丸刃カッタ装置22の構成を概略的に示している。丸刃カッタ装置22は、エアシリンダ130に連結されており、ワークWに対して弾性的に当接可能である。丸刃カッタ装置22は、第2前腕骨筋入れ工程S22として、前腕骨b1の裏側に筋入れを行う。

〔第1及び第2筋入れ工程/第1及び第2筋入れステーション〕 図47〜図52は、第1筋入れステーションST5の構成を概略的に示している。なお、第2筋入れステーションST6の構成については、第1筋入れステーションST5の構成と同一であるので説明を省略する。

第1筋入れステーションST5は、ロボットアーム40に取り付けられるアタッチメントとして、カッタツール132を有する。カッタツール132のカッタ133は、揺動軸134によって揺動可能に支持されている。揺動軸134は、カッタ133の切断方向にて、カッタ133よりも前方に位置している。 揺動軸134は、自身と直交する方向にてスライド可能であるが、揺動軸134の両側には、揺動軸134を中立位置に向けて付勢する圧縮コイルばね135が設けられている。従って、カッタ133は、揺動可能であるととともに、切断方向と交差する方向に弾性的にスライド可能である。

また、第1筋入れステーションST5は、ワークWを弾性的に支持するサポート装置136を有する。サポート装置136は、モータ137によって無限軌道11に沿って移動可能であり、エアシリンダ138によって、無限軌道11に対し直交する水平方向にて進退可能である。従って、サポート装置136は、搬送されているワークWと同期して移動可能であり、ロボットアーム40は、カッタツール132を用いて、搬送されているワークWに対し筋入れを行うことができる。

より詳しくは、サポート装置136はセンタープレート140を有し、センタープレート140は、エアシリンダ141によって、弾性的に支持されている。従って、ワークWの大小がエアーの圧力によって吸収され、ワークWの大小にかかわらずワークWが適切に支持される。 また、センタープレート140は、ロボットアーム40が目標位置A〜Lに基づいて筋入れを行っている間、無限軌道11と直交する方向にて、ワークWの背面を弾性的に支持する。カッタ133の軌跡は、目標位置A〜Lに基づいて正確に決定されるが、目標位置A〜Lは、無限軌道11と直交する方向(奥行き方向)での誤差を含んでいる。センタープレート140が、奥行き方向にてワークWを弾性的に支持することで、カッタ133が行き過ぎても、骨に突き刺さることが防止される。

また、サポート装置136は、センタープレート140の両側に配置され一対のサイドプレート142を有する。そして、サイドプレート142には、ワークWの下側を挟んで支持する一対のスイングアーム143が取り付けられている。スイングアーム143がワークWを挟むことによって、ロボットアーム40が筋入れを行っている間、ワークWの搬送方向でのワークWの揺れが防止される。

特に、ワークWの下側には肩甲骨b3があるので、スイングアーム143がワークWの肩甲骨b3周辺を挟むことによって、ワークWの揺れが確実に防止される。この際、無限軌道11に沿う方向でのスイングアーム143の位置は、ワークWの左右に応じて適当な位置に合わせることができる。

また、スイングアーム143は、略L字形状の断面形状を有し、ワークWのロボットアーム40側も押さえることができる。従って、スイングアーム143は、センタープレート140と協働して、無限軌道11と交差する方向でのワークWの揺れも防止する。 なお、スイングアーム143は、リンク機構を介して、エアシリンダ145に連結されており、エアシリンダ145を制御することによって、スイングアーム143を作動位置と待機位置の間で往復させることができる。

かくして、第1筋入れステーションST5が第1筋入れ工程S24を実行することにより、図26(c)に線L3で示すように筋入れが行われる。 また、第2筋入れステーションST6が第2筋入れ工程S26を実行することにより、図26(d)に線L4で示すように筋入れが行われる。

〔肩甲骨除去工程/肩甲骨除去ステーション〕 図53〜図60は、肩甲骨除去ステーションST7の概略的な構成を示している。肩甲骨除去ステーションST7は骨付き食肉の肩甲骨除去装置である。 肩甲骨除去ステーションST7は、無限軌道11に沿って移動可能なステージ150を有し、ステージ150は、ステージ150に固定された無端ベルト152と、無端ベルト152を回転させるモータ154によって駆動される。制御装置21は、モータ154を制御して、クランプ10と同期してステージ150を移動させる。

ステージ150上には、エアシリンダ156が固定され、エアシリンダ156の先端には、上側支持部材158が固定されている。上側支持部材158は、無限軌道11と直交する水平方向にて、ワークWの肩甲骨b3の直上の部位に当接し、弾性的にワークWを支持する。また、ステージ上150には、上側支持部材158よりも下方に下側支持部材160が設けられている。下側支持部材160は、無限軌道11と直交する水平方向にて、ワークWの肩甲骨b3の上端近傍の部位に当接し、弾性的にワークWを支持する。

更に、ステージ上150には、無限軌道11と直交する水平方向にて移動可能な水平可動ステージ162が設けられ、水平可動ステージ162は、エアシリンダ164によって移動可能である。水平可動ステージ162上には、鉛直方向にて移動可能な昇降ステージ166が設けられ、昇降ステージ166は、リンク機構を介してエアシリンダ168に連結されている。従って、エアシリンダ168を制御することによって、昇降ステージ166を上下動させることができる。

そして、昇降ステージ166上には、無限軌道11と平行な水平方向に移動可能にボトムホルダ170が設けられている。ボトムホルダ170はエアシリンダ172に連結され、エアシリンダ172を制御することによって、ボトムホルダ170を移動させることができる。制御装置21は、ワークWの左右に応じてエアシリンダ172を制御し、ワークWの左右に応じて最適な位置にボトムホルダ170を配置する。

ボトムホルダ170は、V字形状の底板174と、ロボットアーム40側の底板174の側縁174に取り付けられた横板176とからなる。ボトムホルダ170は、ワークWの下方から、ワークWの下側を収容するように上昇させられ、そして、ワークWの下側を収容してから、上側支持部材158に向けて移動させられる。この際、ワークWの下側は横板176によって押される。これにより、ワークWは、肩甲骨3bの上端近傍で曲げられ、肩甲骨b3の上端がロボットアーム40に向けて突出する。

なお、上側支持部材158は、無限軌道11に平行な方向にて中央部が、無限軌道11から離れるように凹んでおり、且つ、上側支持部材158の下側半分は、下方に向かうほど無限軌道11から離れるように傾斜している。この下側半分の傾斜は、ワークWが肩甲骨3bの上端近傍で曲げられるのを補助する。

また、肩甲骨除去ステーションST7は、無限軌道11に沿って水平方向に移動可能なブラケット178を有し、ブラケット178には無端ベルト180が固定されている。無端ベルト180はモータ182によって回転させられ、これにより、ブラケット178は無限軌道11に沿って移動可能である。制御装置21は、モータ182を制御することによって、クランプ10に同期してブラケット178を移動させる。

ブラケット178には、ガイド板184が取り付けられ、ガイド板184は、無限軌道11と水平方向にて、上側支持部材158とは反対側からワークWに当接する。 またブラケット178には、ワイパ186がスイング可能に取り付けられている。ワイパ186は、リンク機構を介してエアシリンダ188に連結され、エアシリンダ188を制御することで、ワイパ186をスイングさせることができる。制御装置21は、肩甲骨除去工程S27において、最初にワイパ186をスイングさせ、ばら肉w1を肩甲骨b3の上から払いのける。

一方、肩甲骨除去ステーションST7は、ロボットアーム40のアタッチメントとして、チャックユニット190を有する。チャックユニット190は、ロボットアーム40に取り付けられるベース部材192を有し、ベース部材192の先端に把持部材194が取り付けられている。把持部材194は、ベース部材192に固定される2つの縦板部196と、縦板部196の先端に連なる横板部198とからなり、U字の平面形状を有する。縦板部196の先端側の一側縁及び横板部198の一側縁は刃物としてそれぞれ形成されている。

また、チャックユニット190は、ベース部材192に固定されるエアシリンダ200を有し、エアシリンダ180の先端には、ロック部材202が取り付けられている。ロック部材202は、横板部198に向けて進退可能であり、制御装置21は、エアシリンダ200を制御することによって、横板部198とロック部材202の間にて肩甲骨b3の端部を把持させる。なお、ロック部材202の先端には、すべり防止のために、複数のスリットが形成されている。 チャックユニット190によれば、把持部194に刃物が形成されているので、肩甲骨b3を確実に把持して、図26(e)に示すように除去することができる。

〔第3前腕骨筋入れ工程/前腕骨筋入れステーション〕 図61及び図62は、前腕骨筋入れステーションST8及びワーク排出ステーションST9を概略的に示している。 前腕骨筋入れステーションST8は、無限軌道11に沿う水平方向に移動可能なフレーム204を有し、フレーム204は無端ベルト205に固定されている。無端ベルト205は、モータ206によって回転させられ、これによりフレーム204が移動させられる。制御装置21は、モータ206を制御することによって、クランプ10の移動に同期して、フレーム204を移動させる。

そして、フレーム204にはエアシリンダ207が固定されている。エアシリンダ207の先端には、ブラケットが固定され、ブラケットには、下側支持部材208が固定されている。またブラケットには、エアシリンダ210が固定され、エアシリンダ210の先端には、上側支持部材212が固定されている。エアシリンダ207,210の伸縮方向は、無限軌道11に垂直な水平方向である。

また、フレーム204には、エアシリンダ214が傾動可能に取り付けられ、エアシリンダ214は、リンク機構を介して、押さえ部材216に連結されている。エアシリンダ214によって、押さえ部材216は、無限軌道11と直交する略水平方向に移動可能である。下側支持部材208及び押さえ部材216は、協働して、無限軌道11と直交する水平方向にてワークWを挟んで支持する。

一方、前腕骨筋入れステーションST8は、第1筋入れステーションST5及び第2筋入れステーションST6と同様に、ロボットアーム40のアタッチメントとしてカッタツール132を有する。 前腕骨筋入れステーションST8のロボットアーム40は、第3前腕骨筋入れ工程S30として、カッタツール132を用いてワークWに対し筋入れを行う。即ちロボットアーム40は、図26(f)に線L5で示すように、ワークWにおける前腕骨b1周辺に筋入れを行う。この際、前腕骨b1は、上側支持部材212によって弾性的に支持される。

〔エラー発生判定工程〕 制御装置21には、種々のセンサから運転に関する情報が入力されている。制御装置21は、入力された情報に基づいて、脱骨システムにおけるエラーの発生を判定する。

〔ワーク排出工程/ワーク排出ステーション〕 制御装置21は、エラーが発生したと判定すると、脱骨システムからワークWを排出する。そのためにワーク排出ステーションST9は、フレーム204に固定されたエアシリンダ220と、エアシリンダ220の先端に取り付けられた突き出し部材222を有する。制御装置21は、エラーが発生したと判定すると、エアシリンダ220をクランプ10と同期して移動させ、そして、突き出し部材222をクランプ10に向けて突出させる。これにより、突き出し部材222によってワークWの先端部がクランプ10から押し出され、ワークWがクランプ10から外れる。

〔掛替分離工程/掛替分離ステーション〕 図63〜図69は、掛替分離ステーションST10の構成を概略的に示している。掛替分離ステーションST10は、無限軌道11に沿って延び、ワークWの前腕骨b1を挟むガイドバー230a,230bを有する。ガイドバー230a,230bの下方には、ガイド板232a,232bが設けられ、ガイド板232a,232bは、ワークWの肘関節付近を挟む。

鉛直方向でのガイド板232a,232bの位置は、ガイド板232a,232bの入口近傍では、ガイドバー230a,230bの位置と略同じであるが、無限軌道11に沿って下流にいくほど、徐々に下がっている。このため、ワークWが下流に進むにつれて、ガイド板232a,232bによって、前腕骨b1周辺の肉が下方に押し下げられる。 なお、ガイドバー230b及びガイド板232bは、エアシリンダ234に連結されており、エアシリンダ234によって、ガイドバー230a,230b及びガイド板232a,232bがワークWを挟む力が調整される。

そして、掛替分離ステーションST10は、ガイドバー230a,230b及びガイド板232a,232bの出口付近に、弾性的に位置決めされた固定刃物236a,236bを有する。固定刃物236a,236bは、前腕骨b1付近に残っている筋を切る。

また、掛替分離ステーションST10は、ガイド板232a,232bに連なり、ワークWの上腕骨b2の上端を挟む昇降板238a,238bを有する。昇降板238a,238bの近傍には、丸刃カッタ装置240a,240bが配置され、丸刃カッタ装置240a,240bは、前腕骨b1と上腕骨b2の関節の筋を切断する。丸刃カッタ装置240a,240bは、上下動可能であり、制御装置21は、X線画像から求めた目標位置Aの座標に基づいて、丸刃カッタ装置240a,240bに筋を切断させる。 なお、丸刃カッタ装置240a,240bは、エアシリンダの242a,242bの働きによって弾性的に関節に当接する。

丸刃カッタ装置240a,240bによって筋が切断された後、昇降板238a,238bは、制御装置21が図示しない駆動機構を制御することによって、固定刃物236a,236b及び丸刃カッタ装置240a,240bとともに下方に移動させられる。このとき、クランプ10の高さは変わらないため、図26(g)に示したように、前腕骨b1と上腕骨b2が分離される。分離後、クランプ10には前腕骨b1のみが吊り下げられる。この時点で、ワークWから前腕骨b1が除去されたことになり、ワークWは、昇降板238a,238bに吊り下げられた上腕骨b2と、上腕骨b2に付着した肉からなる。

なお、昇降板238b、固定刃物236b及び丸刃カッタ装置240bは、エアシリンダ244に連結されており、エアシリンダ244によって、昇降板238a,238bが上腕骨b2を挟む力が調整される。 また、掛替分離ステーションST10は、昇降板238a,238bが下降する際に、上腕骨b2が上流側に戻るのを規制するストッパ246を有する。更に、掛替分離ステーションST10は、昇降板238a,238bが下降する際に、上腕骨b2が下流側に進むのを規制する開閉扉248を有する。

一方、掛替分離ステーションST10は、昇降板238a,238bが下降する際に、ワークWの向きを強制的に揃える向き調整バー250を有する。向き調整バー250は、エアシリンダ252に連結され、制御装置21がエアシリンダ252を制御することで、向き調整バー250をスイングさせる。

そして、掛替分離ステーションST10は、昇降板238a,238bが下降した後に、最終分離ステーションST11に向けてワークWを送る旋回アーム254を有する。開閉扉248及び旋回アーム254は、リンク機構を介してエアシリンダ256に連結されている。制御装置21がエアシリンダ256を制御することで、開閉扉248が開かれると同時に旋回アーム254が回転し、ワークWが最終分離ステーションST11に送られる。

〔最終分離工程/最終分離ステーション〕 図70〜図72は、最終分離ステーションST11の構成を概略的に示している。 最終分離ステーションST11は、上腕骨b2を挟む搬送板260a,260bを有する。搬送板260a,260bは、下降した位置の昇降板238a,238bに連なるように配置され、旋回アーム254によって、昇降板238a,238bから搬送板260a,260bにワークWが移される。

最終分離工程S42は、上腕骨b2に付着している肉を引き剥がす肉分離工程と、肉分離工程の後に、上腕骨b2に付着している肉を切り落とす切断工程とからなる。 肉分離工程を行う分離装置は、骨押さえ部材262a,262b、肉押さえ部材263a,264a,263b,264b、及び、ミートセパレータ266a,266bからなる。骨押さえ部材262a、肉押さえ部材263a,264a、及び、セパレータ266aは、ワークWが左腕のときに使用され、骨押さえ部材262b、肉押さえ部材263b,264b、及び、セパレータ266bは、ワークWが右腕のときに使用される。

骨押さえ部材262a,262bは、リンク機構を介してエアシリンダ268a,268bに連結され、制御装置21がエアシリンダ268a,268bを制御することで、骨押さえ部材262a,262bは作動位置と待機位置の間を往復可能である。同様に、肉押さえ部材263a,264a,263b,264bは、エアシリンダ270a,270bにリンク機構を介して連結され、制御装置21がエアシリンダ270a,270bを制御することで、肉押さえ部材263a,264a,263b,264bは、作動位置と待機位置の間を往復可能である。骨押さえ部材262a,262b及び肉押さえ部材263a,264a,263b,264bは、作動位置にあるとき、搬送板260a,260b間の溝の軸線方向と直交するように配置される。

更に、ミートセパレータ266a,266bもエアシリンダ272a,270bに連結され、制御装置21がエアシリンダ272a,272bを制御することで、ミートセパレータ266a,266bは、搬送板260a,260b間の溝を覆う作動位置と、溝から離れた待機位置の間を往復可能である。

また、ミートセパレータ266a,266bは図示しないアクチュエータによって鉛直方向に移動可能である。ミートセパレータ266a,266bは、骨押さえ部材262a,262b及び肉押さえ部材263a,264a,263b,264b側に切り欠き部274a,274bを有し、切り欠き部274a,274bが、骨押さえ部材262a,262b及び肉押さえ部材263a,264a,263b,264bと協働してワークWを挟む。この際、骨押さえ部材262a,262b及び肉押さえ部材263a,264a,263b,264bはエアシリンダ270a,270b,272a,272bに連結されているので、エアの圧力でワークWの大小を吸収することができる。

制御装置21は、骨押さえ部材262a,262b及び肉押さえ部材263a,264a,263b,264bが、上腕骨b2及び肉を押さえている状態で、ミートセパレータ266a,266bを下方に向けて移動させ、この際、切り欠き部274a,274bの縁で上腕骨b2から肉が剥がされる。図26(h)は、肉分離工程によって肉が剥がされたワークWを示している。 なお、切り欠き部274a,274bの縁は、円弧とL字を組み合わせた形状を有する。この切り欠き部274a,274bの縁の形状によれば、ミートセパレータ266a,266bを下方に移動させるときに、縁が骨の表面に沿って移動し、肉を綺麗に剥がすことができる。

切断工程を行う切断装置は、2つの丸刃カッタ装置280a,280bからなる。制御装置21は、X線画像から上腕骨2bの長さを求め、求められた上腕骨2bの長さに応じて、図示しないアクチュエータを制御し、丸刃カッタ装置280a,280bの高さを調整する。 また、丸刃カッタ装置280a,280bは、リンク機構を介してエアシリンダ282a,282bに連結されており、肉を切断する際、上腕骨2bに弾性的に当接する。このため、丸刃カッタ装置280a,280bは、上腕骨2bに食い込むことが防止されている。

切断工程によって、図26(i)に示すように肉が切り離されると、肉は、図示しないベルトコンベヤによって脱骨システムから送り出される。一方、肉が切り離された上腕骨b2は、図26(j)に示すように、搬送板260a,260bから外され、脱骨システムから排出される。

ここで、搬送板260a,260bにおけるワークWの搬送機構について説明する。搬送板260a,260bに移されたワークWは、まず、エアシリンダに連結されたロッド284によって所定距離押される。 そして、搬送板260a,260b間の溝上には、溝に沿って往復動する第1のスライド部材286及び第2のスライド部材288が設けられ、第1のスライド部材286及び第2のスライド部材288は、それぞれエアシリンダによって駆動される。

第1のスライド部材286及び第2のスライド部材288の下側には、当接板290がヒンジ結合されている。当接板290は、第1のスライド部材286及び第2のスライド部材288から垂れ下がっており、この状態から一方向にのみ傾動可能に構成されている。具体的には、当接板290は、上流に向かって移動しているときのみ傾動可能に構成され、このとき、ワークWを押すことはない。一方、当接板290は、下流に向かって移動しているときには傾動が規制され、ワークWを押すことができる。

かくしてワークWは、当接板290によって切断装置まで搬送され、その後、上腕骨2bが当接板290によって搬送される。搬送板260a,260b間の溝は下流側にて広げられており、上腕骨2bは、図26(j)に示すように下流側で溝から外れ、脱骨システムから排出される。

一方、掛替分離工程S40でワークWから除去された前腕骨b1は、そのままクランプ10によって骨排出ステーションST12まで搬送される。そして、前腕骨b1は、骨排出ステーションST12にてクランプ10から外され、脱骨システムから排出される。 骨排出ステーションST12は、図示しないけれども、ワーク排出ステーションST9と同様の構成を有する。すなわち、骨排出ステーションST12は、クランプ10と同期して移動可能なエアシリンダと、エアシリンダの先端に取り付けられた突き出し部材とを有する。

上述した一実施形態の構成によれば、ワークWの先端部に引っ掛け部材43a,43bを突き刺すと、返り47a,47bが先端部の骨と係合して先端部からの引っ掛け部材43a,43bの抜けが防止される。従って、ロボットアーム40は、引っ掛け部材43a,43bを突き刺したワークWを、落下させることなく、ガイドレール60まで移動させることができる。そして、ガイドレール60にワークWを移動させる際には、回転駆動機構が引っ掛け部材43a,43bを回転させて、返り47a,47bと骨の係合を解除するので、ワークWの移動が円滑に行われる。

この構成では、ワークWの先端部に引っ掛け部材43a,43bの尖端46a,46bを突き刺す際に、本体部45a,45bの一側同士の間隔、すなわち返り47a,47b同士の間隔が、本体部45a,45bの他側同士の間隔よりも狭くなっている。このため、引っ掛け部材43a,43bの尖端46a,46bを突き刺した後に、返り47a,47bが骨と確実に係合する。一方、返り47a,47bの間隔が狭くても、返り47a,47bが骨に当たると引っ掛け部材43a,43b同士の間隔が弾性的に一時的に広がるので、引っ掛け部材43a,43bの尖端46a,46bを円滑に突き刺すことができる。

この構成では、回転駆動機構が、本体部45a,45bの一側同士の間隔が他側同士の間隔に近付くように引っ掛け部材43a,43bを回転させることで、返り47a,47b同士の間隔が広げられる。この結果、返り47a,47bと骨の係合が確実に解除され、引っ掛け部材43a,43bからワークWを円滑に外すことができる。

この構成では、揺れ規制機構によってワークWの揺れが規制されるので、揺れによって引っ掛け部材43a,43bからワークWが外れることが防止される。

この構成では、ガイドレール60の溝に沿ってワークWを移動させている間に、上流側固定刃物72及び下流側固定刃物74によって、前腕骨b1の筋入れが行われる。このため、手作業による前処理を減らして自動化率を高めることができる。 特に、上流側固定刃物72が前腕骨b1の手首側に筋入れを行ってから、下流側固定刃物74が前腕骨b1の肘側に筋入れを行うことで、前腕骨b1から綺麗に肉が剥がれる。

この構成によれば、人手による前処理を施したワークWをベルトコンベヤ24の上流端に置くだけで、ワークWをクランプ10まで自動的に搬送することができる。このため、脱骨システムの処理能力を高くすることができ、例えば、600本/時間の処理能力を達成することができる。

この構成によれば、ベルトコンベヤ24上のワークWの姿勢に基づいて左右を判別することで、簡単な構成で、確実に左右を判別することができる。

また、上述した一実施形態の構成によれば、ワークWに照射されるX線の強度分布がフィルタによって調整されるので、鮮明なX線画像が得られる。従って、このX線画像に基づいて筋入れを実行する場合、筋入れの軌跡を骨の輪郭に正確に合わせることができ、歩留まりが向上するとともに、カッタ133に過負荷がかかることが防止される。

この構成によれば、ワークWの左右に応じた回転方向にてワークWを鉛直軸の周りで回転させることで、筋入れの軌跡の決定に適したX線画像が得られる。従って、このX線画像に基づいて筋入れを実行する場合、歩留まりが更に向上するとともに、カッタ133に過負荷がかかることが更に防止される。

この構成によれば、ワークWの胴体との切断面に対するX線の入射角度が、30°超45°未満になるようにクランプ10を回転させることで、確実に、筋入れの軌跡の決定に適したX線画像が得られる。

この構成によれば、クランプ10を移動させながら、X線画像を撮影することができる。従って、脱骨システムの処理能力を低下させることなく、X線画像を撮影することができる。

また、上述した一実施形態の構成によれば、吊り下げられた状態のワークWから肩甲骨b3を除去することができる。

この構成によれば、モータ154は、クランプ10の移動と同期してボトムホルダ170及び上側支持部材158を移動させる移動機構を構成しており、クランプ10の移動に伴い搬送されるワークWから肩甲骨b3を除去することができる。従って、この骨付き食肉の肩甲骨除去装置を適用した骨付き食肉の脱骨システムでは、処理能力を低下させることなく、肩甲骨b3を除去することができる。

この構成では、エアシリンダ172が、ワークWの左右に応じて、クランプ10の移動方向でのボトムホルダ170の位置を調整する左右別位置調整機構を構成している。この構成によれば、ワークWの左右に応じて、ワークWが適切に曲げられ、肩甲骨b3の端部が露出させられる。この結果、チャックユニット190が、肩甲骨b3を確実にチャックして除去することができる。

この構成では、ボトムホルダ170は、V字形状に折り曲げられた底板174と、無限軌道11に沿う底板174の一側縁に宛がわれた側板176とを有する。この構成によれば、簡単な構成にて、ワークWが適切に曲げられ、肩甲骨b3の端部が露出させられる。この結果、チャックユニット190が、肩甲骨b3を確実にチャックして除去することができる。

この構成によれば、ワイパ186がばら肉w1を払いのけることで、肩甲骨b3の端部が露出させられる。この結果、チャックユニット190が、肩甲骨b3を確実にチャックして除去することができる。

この構成によれば、把持部材194に刃物が設けられており、把持部材194が肩甲骨b3の端部周辺に筋入れを行うことができる。この結果、チャックユニット190が、肩甲骨b3を確実にチャックして除去することができる。

本発明は上述した一実施形態に限定されることはなく、一実施形態に変形を加えた形態も含む。 例えば、 図73〜図76は、掛替分離工程S40を行うための掛替分離ステーションST10の他の構成を概略的に示している。掛替分離ステーションST10は、無限軌道11に沿ってそれぞれ配置された押下装置300及び肘頭用筋入れ装置400を有する。 押下装置300は、無限軌道11の両側に配置される1対の押下部材301a,301bを有する。押下部材301a,301bは、ワークWの搬送方向、即ちクランプ10の移動方向に沿って前後に往復動可能であり、クランプ10の移動方向と直交する左右方向に沿って左右に往復動可能であり、そして、クランプ10の移動方向と直交する上下方向に沿って上下に往復動可能である。

具体的には、押下装置300は、無限起動11を挟んで対向配置される一対の押下ユニット302a,302bを有する。各々の押下ユニット302a,302bは支柱303を有し、支柱303には、上下方向に沿って延在する直線ガイド304が固定されている。直線ガイド304には、上下方向に沿って摺動可能にスライダ306が取り付けられ、スライダ306には可動壁308が固定されている。従って、可動壁308の上下方向での移動が、スライダ306及び直線ガイド304によって案内される。

一方、支柱303には、ブラケット310を介して、エアシリンダ312のシリンダ部314が固定されている。そして、エアシリンダ312のロッド部316の先端が、可動壁308に連結されている。従って、制御装置21は、アクチュエータとしてのエアシリンダ312を制御することによって、可動壁308を上下に移動させることができる。

可動壁308には、ブラケット318が固定され、ブラケット318には、左右方向に沿って延在する直線ガイド320が取り付けられている。直線ガイド320には、左右方向に沿って摺動可能にスライダ322が取り付けられている。 スライダ322には、可動ステージ324が固定され、可動ステージ324の左右方向での移動が、スライダ322及び直線ガイド320によって案内される。

一方、ブラケット318には、エアシリンダ326のシリンダ部328が固定されている。そして、エアシリンダ326のロッド部330の先端が、可動ステージ324に連結されている。従って、制御装置21は、アクチュエータとしてのエアシリンダ326を制御することによって、可動ステージ324を左右に移動させることができる。

可動ステージ324には、無限軌道11に沿って、換言すればクランプ10の移動方向に沿って延在する直線ガイド332が取り付けられている。直線ガイド332には、クランプ10の移動方向に沿って摺動可能にスライダ334が取り付けられている。 スライダ334には、可動ステージ336が固定され、クランプ10の移動方向での可動ステージ336の移動が、スライダ334及び直線ガイド332によって案内される。

一方、可動ステージ324には、クランプ10の移動方向にて両側に端壁338が固定され、端壁338の間に、可動ステージ336が配置されている。そして、端壁338の間には、クランプ10の移動方向に沿って延びるロッド340が設けられ、ロッド340は、可動ステージ324を貫通している。

端壁338と可動ステージ336との間には、ばね座342,344を介して、圧縮コイルばね346,348が配置され、ロッド340が、ばね座342,344及び圧縮コイルばね346,348を貫通している。従って、弾性部材としての圧縮コイルばね346,348の付勢力を受けながら、可動ステージ336は、クランプ10の移動方向に沿って移動可能である。

押下部材301a,301bは、無限軌道11を挟んで対向する可動ステージ336に固定されている。押下部材301a,301bは、相互に略平行であって且つ無限軌道11に沿って延在する側縁350と、側縁350よりも無限軌道11に向かって突出する突出部352とを有する。突出部352は、クランプ10の移動方向にて、側縁350よりも下流に位置している。このため、押下部材301a,301bは、略L字の板形状をそれぞれ有している。制御装置21は、エアシリンダ326を制御することによって、押下部材301a,301bを、図63に二点鎖線で示したように、突出部352が相互に当接する第1作動位置に配置することができる。

押下部材301a,301bは、第1作動位置にあるとき、上下方向にてクランプ10の僅かに下に位置し、前腕骨b1の上端部近傍を、隙間を存して挟むように構成されている。換言すれば、押下部材301a,301bの側縁350は、第1作動位置にあるとき、前腕骨b1の上端部近傍を挟むための溝354を形成する。また、押下部材301a,301bの突出部352は、作動位置にあるとき、前腕骨b1の上端部近傍と係合する係合部356を形成する。

押下部材301a,301bが、前腕骨b1の上端部近傍を挟んでいるとき、制御装置21は、エアシリンダ312を制御して、可動壁308を下方に移動させ、図65に二点鎖線で示したように、第2作動位置に配置することができる。第2作動位置は、上下方向にて、前腕骨b1と上腕骨b2の関節(肘関節)の僅かに下に位置している。従って、押下部材301a,301bは、図77(g)に示したように、第1作動位置から第2作動位置に移動する間に、前腕骨b1周辺の肉を、肘関節が露出するまで押し下げることができる(押下工程)。

そして、肉を押し下げた後、制御装置21は、エアシリンダ326を制御することによって、押下部材301a,301bを相互に離間する非作動位置に配置することができるとともに、エアシリンダ312を制御することによって、可動壁308を上方に移動させることができる。押下部材301a,301bが非作動位置に配置されると、クランプ10に吊り下げられたワークWが、押下部材301a,301bの突出部352間を通過することができる。

なお、押下部材301a,301bは、第1作動位置に配置されると、クランプ10によって搬送されているワークWによって突出部352が押されて、クランプ10の移動方向にて下流に向けて移動する。押下部材301a,301bは、この移動の間に第2作動位置に移動することにより、前腕骨b1周辺の肉を押下することができる。そして、押下部材301a,301bは、非作動位置に配置されると、圧縮コイルばね348の付勢力によって、クランプ10の移動方向にて上流に向けて移動し、元の位置に復帰することができる。

肘頭用筋入れ装置400は、クランプ10の移動方向にて、押下装置300の下流に配置されている。肘頭用筋入れ装置400は、クランプ10に吊り下げられたワークWの肘頭周辺の肉を切断するための装置であり、無限軌道11に沿って配置される2つの肘頭用カッタ装置402a,402bを有する。 肘頭用カッタ装置402a,402bは、肘頭用カッタとして、好ましくは丸刃404a,404bを有する。肘頭用カッタ装置402a,402bは、アーム406によって水平面内で揺動可能に支持され、アクチュエータとしてのエアシリンダ408を制御することによって、ワークWに当接する作動位置と、ワークWから離間した非作動位置との間を移動可能である。

また、肘頭用カッタ装置402a,402bは、上下動可能であり、制御装置21は、X線画像から求めた目標位置E(図45参照)の座標に基づいて、丸刃404a,404bの上下方向位置を、肘頭周辺に合わせることができる。 従って、制御装置21は、肘頭用カッタ装置402a,402bの位置を制御して、丸刃404a,404bを、クランプ10に吊り下げられたワークWの肘頭周辺に対し当接させることにより、図77(h)に示したように肘頭周辺の肉を切断することができる(肘頭筋入れ工程)。 なお、丸刃404a,404bは、エアシリンダ408の働きによって弾性的に肉に当接することができる。

本実施形態では、ワークWに対し、丸刃404a,404bを、クランプ10の移動方向にて後側から当接させることにより、肘頭周辺の肉を切断することができる。なお、クランプ10は、ワークWの肘頭がクランプ10の移動方向にて後側に配置されるように、第4クランプ回転装置19によって回転させられている。

また、好ましくは、肘頭用カッタ装置402a,402bは電動カッタからなり、丸刃404a,404bは、回転しながらワークWに当接することによって、肘頭周辺の肉を確実に切断することができる。好ましくは、クランプ10の移動方向にて左側に位置する丸刃404aは、上から見て反時計回り(CCW)にて回転させられ、右側に位置する丸刃404bは、上から見て時計回り(CW)にて回転させられる。

上述した一実施形態によれば、無限軌道11に沿って移動可能なクランプ10であって、骨付き食肉の前腕骨b1の先端部を把持することにより、骨付き食肉を吊下げるためのクランプ10と、無限軌道11に沿って配置され、クランプ10によって吊り下げられた骨付き食肉の前腕骨b1周辺の肉を切断するための前腕骨用筋入れ装置と、無限軌道11に沿って配置され、クランプ10によって吊り下げられた骨付き食肉の肘頭周辺の肉を切断するための肘頭用筋入れ装置400と、無限軌道11に沿って配置され、クランプ10によって吊り下げられた骨付き食肉を、当該骨付き食肉の前腕骨b1と上腕骨b2とを分離するように引っ張るための昇降板138a,138bと、を備え、前腕骨用筋入れ装置は、無限軌道11に沿って配置されたロボットアーム40と、ロボットアーム40に取り付けられたカッタツール(前腕用カッタ)132とを有し、肘頭用筋入れ装置400は、無限軌道11の両側に配置された1対の肘頭用カッタを有することを特徴とする骨付き食肉の脱骨システムが提供される。

上記骨付き食肉の脱骨システムによれば、前腕骨用筋入れ装置のカッタツール132によって前腕骨b1周辺の肉が切断されるとともに、肘頭用筋入れ装置400の1対の肘頭用カッタによって肘頭周辺の肉が切断される。このように前腕骨用筋入れ装置及び肘頭用筋入れ装置400を用いることによって、自動化率を高めることができる。

一方、上記骨付き食肉の脱骨システムによれば、1対の肘頭用カッタによって肘頭周辺の肉を切断した後に、前腕骨b1と上腕骨b2とを分離することができる。この場合、ロボットアーム40に取り付けられたカッタツール132で肘頭周辺の肉を切断した場合に比べて、上腕骨b2の肘頭窩周辺に付着する肉が減り、歩留まりが向上する。

ここで、図78は、上腕骨b2を概略的に示す斜視図であり、肘頭窩Fは、図78中にハッチングを付した領域である。骨付き食肉がクランプWに吊り下げられている状態では、肘頭窩Fは前腕骨b1の肘頭によって覆われるため、肘頭窩Fと肘頭の隙間に存在する肉をカッタツール132によって直接切断することはできない。 そこで、本発明者らが種々検討したところ、肘頭用筋入れ装置400によって肘頭周辺の肉を切断してから、前腕骨b1と上腕骨b2とを分離すると、肘頭窩Fから肉を引き剥がすことができ、歩留まりが向上することが判明した。

また、1対の肘頭用カッタが、1対の丸刃404a,404bからなる場合、簡単な構成にて、確実に肘頭周辺の肉を切断することができる。

また、上述した一実施形態の骨付き食肉の脱骨システムは、骨付き食肉の肘頭の位置を測定するための肘頭位置測定装置としてX線撮影ステーションST4を備え、肘頭位置測定装置の測定の結果に応じて、肘頭用筋入れ装置400が動作するように構成されている。 この構成によれば、肘頭位置測定装置の測定結果に応じて肘頭用筋入れ装置400が動作することで、歩留まりがより一層向上する。

また、掛替分離ステーションST10は、上腕骨b2の上端部を挟んだ状態で上下動可能な挟持部として、昇降板238a,238bを有するので、簡単な構成にて、前腕骨b1と上腕骨b2とを分離することができる。そして、この構成を利用して前腕骨b1と上腕骨b2とを分離した後に、上腕骨b2の上端部を把持しながら上腕骨b2から肉を切り離せば、前腕骨b1と上腕骨b2との関節の脱臼を防止するための補助クランプが必要なく、簡単な構成にて、上腕骨b2から肉を分離することができる。

また、上述した一実施形態の骨付き食肉の脱骨システムは、無限軌道11に沿って設けられた押下装置300を備え、押下装置300は、クランプ10の移動方向にて昇降板138a,138bに対し上流に配置され、骨付き食肉の上腕骨b2の上端部が露出するように、前腕骨b1の周辺の肉を押し下げるように構成されている。 この構成によれば、押下装置300によって上腕骨b2の上端部が露出するので、昇降板138a,138bが確実に上腕骨b2の上端部を把持することができる。

また、上述した一実施形態の骨付き食肉の脱骨システムは、無限軌道11に沿って設けられ、クランプ10を回転させる第4クランプ回転装置19を備え、第4クランプ回転装置19は、クランプ10の移動方向にて肘頭用筋入れ装置400に対し上流に位置し、骨付き食肉の肘頭がクランプ10の移動方向にて後側に配置されるように構成され、1対の肘頭用カッタは、骨付き食肉に対し、クランプ10の移動方向にて後側から肘頭周辺の肉に近付いて当接するように構成されている。 この構成によれば、無限軌道11に沿ったクランプ10の移動を妨げることなく、クランプ10に吊り下げられた骨付き食肉の肘頭周辺の肉を確実に切断することができる。

また、上述した一実施形態の骨付き食肉の脱骨システムは、骨付き食肉の左右を判定するための左右判定ステーション(左右判定装置)ST2を備え、左右判定ステーションST4の判定結果に応じて、第4クランプ回転装置19が動作するように構成されている。 この構成によれば、左右の骨付き食肉を混合してクランプ10に吊り下げても、左右判定ステーションST4及び第4クランプ回転装置19によって、骨付き食肉の肘頭がクランプ10の移動方向にて後側に配置される。このため、左右両方の骨付き食肉の脱骨を良好な歩留まりで行うことができる。

ここで、図79は、掛替分離ステーションST10において行われる掛替分離工程S40の手順を概略的に示すフローチャートである。上述した本発明の一実施形態によれば、図2及び図78を参照すると、無限軌道11に沿って移動可能なクランプ10によって、骨付き食肉の前腕骨b1の先端部を把持し、骨付き食肉を吊り下げる吊下工程S14と、無限軌道11に沿って配置され、ロボットアーム40とロボットアーム40に取り付けられたカッタツール(前腕用カッタ)132とを有する前腕骨用筋入れ装置によって、クランプ10によって吊り下げられた骨付き食肉の前腕骨b1周辺の肉を切断する前腕筋入れ工程S16,S22,S30と、無限軌道11の両側に配置された1対の肘頭用カッタを有する肘頭用筋入れ装置400によって、クランプ10によって吊り下げられた骨付き食肉の肘頭周辺の肉を切断する肘頭筋入れ工程S100と、無限軌道11に沿って配置され、クランプ10によって吊り下げられた骨付き食肉を、当該骨付き食肉の前腕骨b1と上腕骨b2とを分離するように引っ張るための昇降板138a,138bによって、前腕骨b1と上腕骨b2とを分離する前腕骨分離工程S106と、を備えることを特徴とする骨付き食肉の脱骨方法が提供される。

上記骨付き食肉の脱骨方法によれば、前腕骨用筋入れ装置のカッタツール132によって前腕骨b1周辺の肉が切断されるとともに、肘頭用筋入れ装置400の1対の肘頭用カッタによって肘頭周辺の肉が切断される。このように前腕骨用筋入れ装置及び肘頭用筋入れ装置400を用いることによって、自動化率を高めることができる。 一方、上記骨付き食肉の脱骨方法によれば、1対の肘頭用カッタによって肘頭周辺の肉を切断した後に、前腕骨b1と上腕骨b2とを分離することができる。この場合、ロボットアーム40に取り付けられたカッタツール132で肘頭周辺の肉を切断した場合に比べて、上腕骨b2の肘頭窩F周辺に付着する肉が減り、歩留まりが向上する。

また、上述した一実施形態の骨付き食肉の脱骨方法によれば、押下装置300によって前腕骨周辺の肉を押し下げる押下工程S100を有することによって、昇降板138a,138bが、上腕骨b2の上端部を確実に挟むことができる。

更に、上述した一実施形態の骨付き食肉の脱骨方法によれば、丸刃カッタ装置240a,240bによって肘関節周辺の腱を切断する肘関節筋入れ工程S104を有することによって、前腕骨分離工程S106にて、前腕骨b1と上腕骨b2とを円滑に分離することができる。

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