Extreme ultraviolet light source device

申请号 JP2008329570 申请日 2008-12-25 公开(公告)号 JP2010153563A 公开(公告)日 2010-07-08
申请人 Ushio Inc; ウシオ電機株式会社; 发明人 YOKOYAMA TAKUMA;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide an EUV (extreme ultraviolet) light source device capable of assuring the output of practically sufficient extreme ultraviolet light. SOLUTION: An energy beam irradiator 11 irradiates the surface of a raw material M on a discharge electrode 2b with a first laser beam to form a depression on the surface of the raw material M. A control part 6 turns on a switch SW to charge a capacitor C2 of a pulse power supplying part 3, thus increasing the voltage between the discharge electrodes 2a, 2b. Then, the energy beam irradiator 11 irradiates the depression with a second laser beam to gasify the raw material M. When the gasified raw material arrives at the discharge electrode 2a, the discharge is started between the discharge electrodes 2a, 2b to heat plasma, and an EUV light with a wavelength of 13.5 nm is emitted from the high temperature plasma. As the depression is irradiated with the laser beam, the spatial dispersion of the plasma can be rendered small and the output of the EUV light can be rendered high. COPYRIGHT: (C)2010,JPO&INPIT
权利要求
  • 互いに離間して配置される一対の放電電極と、
    前記放電電極にパルス電力を供給するパルス電力供給手段と、
    極端紫外光を放射させるための原料を前記放電電極上に供給する原料供給手段と、
    前記電極上の原料にエネルギービームを照射して当該原料を気化するエネルギービーム照射手段と、
    放電電極上に供給された原料に凹所を形成する手段と、
    制御部とを備える極端紫外光光源装置であって、
    上記制御部は、上記パルス電力供給手段により、放電電極にパルス電力を供給することにより電極間電圧が立ちあがる前であって、かつ、前記エネルギービーム照射手段により電極上の原料にエネルギービームを照射する前に、上記凹所を形成する手段により、放電電極上に供給された原料に凹所を形成することを特徴とする極端紫外光光源装置。
  • 上記凹所を形成する手段は、エネルギービームを照射して前記原料の表面に凹所を形成するものであり、上記原料を気化するエネルギービーム照射手段が、上記凹所を形成するためのエネルギービーム照射手段を兼ねているとする請求項1記載の極端紫外光光源装置。
  • 前記原料供給手段は、前記原料の融液を充填した容器を備え、
    前記各放電電極が、回転しながら前記容器内に充填された原料融液を通過することを特徴とする請求項1または請求項2記載の極端紫外光光源装置。
  • 说明书全文

    本発明は、極端紫外光(以下、単にEUV光ともいう)を放射させる極端紫外光光源装置(以下、単に、EUV光源装置ともいう)に関する。 特に、次世代の半導体集積回路の露光用光源として期待される極端紫外光光源装置に関する。

    半導体集積画路の微細化および高集積化が進むにつれて、その製造用の露光装置には解像度の向上が要求されている。 解像度を向上させるには、短波長の光を放射する露光用光源を使用することが一般的である。 短波長の光を放射する露光用光源としては、エキシマレーザ装置が使用されているが、それに代わる次世代の露光用光源として、特に波長13.5nmの極端紫外光を放射する極端紫外光光源装置の開発が進められている。
    極端紫外光を発生させる方法の一つとして、極端紫外光放射源を含む放電ガスを加熱・励起することにより高密度高温プラズマを発生させ、このプラズマから放射させる極端紫外光を取出す方法がある。
    このような方法を採用する極端紫外光光源装置は、高密度高温プラズマの生成方式により、LPP(Laser Produced Plasma)方式と、DPP(Discharge Produced Plasma)方式とに大別される。

    LPP方式の極端紫外光光源装置は、極端紫外光放射を含む原料からなるターゲットに対してレーザー光を放射して、レーザアブレーションによって高密度高温プラズマを生成し、そこから放射される極端紫外光を利用するものである。
    DPP方式の極端紫外光光源装置は、極端紫外光放射源を含む放電ガスが供給された電極間に、高電圧を印加することで放電により高密度高温プラズマを生成し、そこから放射される極端紫外光を利用するものである。 このようなDPP方式の極端紫外光光源装置は、LPP方式の極端紫外光光源装置に比して、光源装置を小型化することができ、さらに、光源システムの消費電が小さいという利点があることから、実用化が期待されている。

    上記した高密度高温プラズマを発生させる原料としては、10価前後のXe(キセノン)イオンが知られているが、より強い極端紫外光を放射させるための原料として、Li(リチウム)イオン、Sn(スズ)イオンが注目されている。
    例えば、Snは、高密度高温プラズマの発生に必要な電気入力と波長13.5nmの極端紫外光の放射強度との比で与えられる極端紫外光変換効率がXeよりも数倍大きいことから、大出力の極端紫外光を得るための放射源として期待されている。 例えば、特許文献1に示されるように、極端紫外光放射源として、例えばSnH 4 (スタナン)ガスを使用した極端紫外光光源装置の開発が進められている。
    近年では、上記のDPP方式において、放電が発生する電極表面に供給された固体もしくは液体のSnやLiに対してレーザビーム等のエネルギービームを照射することにより気化し、その後、放電によって高温プラズマを生成する方法が非特許文献1に開示されている。

    図13は、非特許文献1に示すEUV光源装置を簡易的に説明するための図である。
    EUV光源装置は、一対の円板状の放電電極2a,2bが収容される放電部1aと、ホイルトラップ4と集光反射鏡5とが収容されるEUV集光部1bと、ガス排気ユニット1cとを備えるチャンバ1を備えている。
    放電部1aには、一対の円盤状の放電電極2a、2bが配置されている。
    一対の円盤状の電極2a,2bは、絶縁材2cを挟んで同図の紙面において上下に配置されている。
    紙面の下方に位置する放電電極2bには、モータ2dの回転軸2eが取付けられている。 放電電極2a、2bは、摺動子2g、2bを介してパルス電力供給部3に接続されている。
    放電電極2bの周辺部には溝部21bが設けられ、この溝部に、高温プラズマを発生させるための固体の原料M(LiまたはSn)が配置されている。 原料Mは、原料供給手段7から上記溝部21bに供給される。

    上記のEUV光源装置においては、放電電極2bの溝部21bに配置された高温プラズマ用の原料に対し、エネルギービーム源11とエネルギービーム源制御部12とを備えるエネルギービーム照射機10から、入射窓1eを介してレーザービーム等のエネルギービームが照射され、固体の原料が放電電極2aと2bとの間で気化する。
    この状態で、放電電極2aと2bの間にパルス電力供給部3からパルス電力が供給され、放電電極2aのエッジ部分と放電電極2bのエッジ部分との間で放電が発生し、EUV光が放射される。
    放射されたEUV光は、ホイルトラップ4を介してEUV集光部1bに入射し、集光反射鏡5によって、EUV光源装置の集光点Pに集められ、EUV光取出部1dから出射する。

    特開2004−279246号公報

    「リソグラフィ用EUV(極端紫外)光源研究の現状と将来展望」J. Plasma Fusion Res. 2003年3月, Vol. 79. No. 3, P219−260

    上述したEUV光源装置においては、半導体基板に対して所望の線幅のパターンを形成することのできる程度に十分な極端紫外光の出力を得ることができない、という実用化の面で課題を有している。
    極端紫外光の出力を十分に得ることのできない理由は、定かではないが、例えば以下のように予想される。
    従来のEUV光源装置においては、エネルギービームが照射されることによって気化した原料は、自由膨張することになる。 原料が自由膨張すると、原料が気化したことにより生成するガスの密度が低く、かつ、空間分布が広いことにより、一対の電極間に生成されるプラズマが大きくなる傾向にある。
    そして、電極間に生成されるプラズマの空間的な広がりが大きいと、プラズマに流れる電流密度が低くなってプラズマが高温状態になることが阻害され、電離が阻害されてプラズマのイオン密度も低くなる。 さらに、空間的な広がりが大きくなることでプラズマによる自己吸収が増大する。
    このように、気化した原料が自由膨張することで、空間的な広がりが大きいプラズマが生成すると、プラズマから放出される極端紫外光の出力が低下する要因となり得る。

    以上のように従来のEUV光源装置は十分な極端紫外光出力を得ることができないといった問題を有していた。
    本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、本発明は、実用的に十分な極端紫外光の出力を確保することのできるEUV光源装置を提供することを目的とする。

    電極上の原料にエネルギービームを照射して当該原料を気化させ、電極間に高電圧を印加することで放電により高密度高温プラズマを生成し、そこから放射される極端紫外光を放射させる極端紫外光光源装置において、本発明においては、原料に上記エネルギービームを照射して気化させる前に、電極上の原料のエネルギービーム照射面に凹所を形成しておく。
    上記凹所に対してエネルギービームを照射することで、原料が気化するときに、原料の自由膨張が凹所の内壁面によって規制され指向性が高まる。 そのため、原料が気化することで生成するガスの密度が高いものとなると共に、狭い空間分布となるので、一対の放電電極間に生成するプラズマの空間的な広がりを従来のEUV光源装置よりも小さいものとすることができる。
    このように、プラズマの空間的な広がりを小さくすることにより、プラズマに流れる電流の密度を大きくすることができ、プラズマを容易に高温状態にすることができ、プラズマのイオン密度が大きいものとなるとともに、プラズマの広がりを抑えることで、プラズマによる自己吸収が低減する。 このため、従来のEUV光源装置に比べEUV光の出力を高いものとすることができる。
    上記凹所は、上記原料を気化させるためのエネルギービームを照射する前に、例えば上記電極上の原料に、上記エネルギービームとは独立にエネルギービームを照射して形成したり、棒状部材を原料に当接させることで形成することができる。
    以上に基づき、本発明においては、次のようにして前記課題を解決する。
    (1)互いに離間して配置される一対の放電電極と、前記放電電極にパルス電力を供給するパルス電力供給手段と、極端紫外光を放射させるための原料を前記放電電極上に供給する原料供給手段と、前記電極上の原料にエネルギービームを照射して当該原料を気化するエネルギービーム照射手段と、放電電極上に供給された原料に凹所を形成する手段と、制御部とを備える極端紫外光光源装置において、放電電極にパルス電力を供給することにより電極間電圧が立ちあがる前であって、かつ、前記エネルギービーム照射手段により電極上の原料にエネルギービームを照射する前に、上記凹所を形成する手段により、放電電極上に供給された原料に凹所を形成する。
    (2)上記(1)において、上記原料を気化するエネルギービーム照射手段が上記凹所を形成するためのエネルギービーム照射手段を兼ねており、エネルギービームを照射して前記原料の表面に凹所を形成する。
    (3)上記(1)(2)において、原料供給手段が前記原料の融液を充填した容器を備え、前記各放電電極が、回転しながら前記容器内に充填された原料融液を通過することで、原料を高密度高温プラズマを生成する箇所に供給する。

    本発明においては、以下の効果を得ることができる。
    (1)電極間電圧が立ちあがる前であって、エネルギービーム照射手段により電極上の原料にエネルギービームを照射して原料を気化する前に、電極上の原料に凹所を形成し、当該凹所に対して、エネルギービームが照射しているので、一対の放電電極間に生成するプラズマの空間的な広がりを従来のEUV光源装置よりも小さいものとすることができる。 このため、従来のEUV光源装置に比べEUV光の出力を高いものとすることができるものと期待される。
    (2)電極上の原料に対して凹所を形成し、該凹所にエネルギービームを照射して原料を気化させているので、原料を電極外に配置し、当該原料にエネルギービームを照射して気化した原料を電極まで到達させる場合と比べ、気化した原料の広がりを小さくすることができる。 このため、原料を電極外に配置した場合に比べ、EUV光の出力を高いものとすることができる。
    (3)原料を気化するエネルギービーム照射手段と、凹所を形成するためのエネルギービーム照射手段を兼用することで、装置構成を簡単化することができる。

    (1)第1の実施形態 図1は、本発明の第1の実施形態のEUV光源装置の概略構成を示す図である。
    EUV光源装置は、放電電極を収容する放電部1aと、ホイルトラップ4と集光反射鏡5とを収容するEUV集光部1bとに区画され、EUV光を露光装置に向けて出射するためのEUV取出部1dを有するチャンバ1を備える。
    チャンバ1には、放電部1a、EUV集光部1bを排気して、チャンバ1内を真空状態にするためのガス排気ユニット1cが設けられている。
    一対の円板状の放電電極2a、2bは、絶縁部材2cを挟んで対向するよう配置され、各々の中心が同軸上に配置されている。
    鉛直方向下方の放電電極2bは、モータ2dの回転軸2eが取付けられている。 回転軸2eは、放電電極2aの中心と放電電極2bの中心とが回転軸2eの同軸上に位置している。 回転軸2eは、メカニカルシール2fを介してチャンバ1内に導入される。
    メカニカルシール2fは、チャンバ1内の減圧雰囲気を維持しつつ、回転軸2eの回転を許容する。

    放電電極2bの下方側には、例えばカーボンブラシ等で構成される摺動子2gおよび2hが設けられている。
    摺動子2gは、放電電極2bに設けられた貫通孔を介して放電電極2aと電気的に接続される。 摺動子2hは、放電電極2bと電気的に接続されている。
    パルス電力供給部3は、摺動子2g、2hを介して、それぞれ放電電極2a、2bにパルス電力を供給する。
    円板状の放電電極2a,2bの周辺部は、エッジ形状に形成されている。
    放電電極2bは、円環状の溝部21bが回転軸2eに直交する平面の端部近傍に形成され、放電電極2bの近傍には、高温プラズマ生成用の原料Mを供給するための原料供給手段7が設けられる。
    原料供給手段7から供給される高温プラズマ生成用の液体または固体の原料Mが当該溝部21bの内部に配置される。 原料Mは、例えば、スズ(Sn)、リチウム(Li)である。
    鉛直方向上方の放電電極2aの直径は、鉛直方向下方の放電電極2bの直径に比べて小さくなっている。 これによりエネルギービームを原料Mに対して上方から照射し易い。

    パルス電力供給部3は、放電電極2a、2b間に電力を供給する。 これにより、両電極のエッジ部分間には放電が発生する。
    放電電極2a,2bは、タングステン、モリブデン、タンタルなどの高融点金属からなるので、放電電極2a,2bの周辺部が放電により高温となっても溶融することがない。 絶縁部材2cは、窒化珪素、窒化アルミニウム、ダイヤモンド等からなり、放電電極2aと2bの間の絶縁が確保される。
    チャンバ1には、原料Mに対してレーザービーム等のエネルギービームを照射して、原料Mを気化するためのエネルギービーム放射機10が設けられている。
    エネルギービーム照射機10は、原料Mに対してエネルギービームLB2を照射するエネルギービーム源101と、エネルギービーム源101の動作を制御するエネルギービーム源制御部102とを備える。 エネルギービーム源101から照射されたエネルギービームLB2は、集光レンズ103によって集光され、窓部1eを透過して原料Mに対して照射される。

    また、チャンバ1には、原料Mの表面に凹所を形成するために、エネルギービーム照射機10と独立にエネルギービームLB1を照射する凹所形成用エネルギ一ビーム照射機11が設けられている。
    凹所形成用エネルギービーム照射機11は、原料Mに対してエネルギービームLB1を照射するエネルギービーム源111と、エネルギービーム源111の動作を制御するエネルギービーム源制御部112とを備える。 エネルギービーム源111から照射されたエネルギービームLB1は、集光レンズ113によって集光され、窓部1fを透過して原料Mに対して照射される。
    なお、凹所形成用エネルギービーム照射機11によるエネルギービームLB1の照射は、エネルギービーム放射機10によるエネルギービームLB2の照射に先立って行われ、エネルギービームLB1により形成された凹所にエネルギービームLB2が照射される。 放電電極2a,2bは同図の矢印方向に回転しているので、エネルギービームLB1の照射位置は、エネルギービーム放射機10によるエネルギービームLB2の照射位置より手前側であり、形成された凹所は放電電極2a,2bの回転によりエネルギービームLB2の照射位置に移送される。
    なお、エネルギービームLB1の照射からエネルギービームLB2の照射までの時間に対して、放電電極2a,2bの回転速度は遅いので、実際には、エネルギービームLB1の照射位置とエネルギービームLB2の照射位置は大きく変わらない。 図1では、エネルギービームLB1の照射位置とエネルギービームLB2の照射位置を、誇張して離して示している。

    エネルギービーム源101および111としては、例えば、炭酸ガスレーザ源や、YAGレーザ等の固体レーザ源、ArFレーザ、KrFレーザ等のエキシマレーザ源を用いることができる。 また、エネルギービーム源101および111として、レーザ源ではなく、イオンビーム、電子ビームを使用することもできる。 なお、以下では、エネルギービームがレーザービームであるとして説明する。

    パルス電力供給手段であるパルス電力供給部3は、コンデンサと磁気スイッチとからなる磁気パルス圧縮回路部を介して、放電電極2aおよび放電電極2bの間にパルス幅の短いパルス電力を印加する。
    図1にパルス電力発生器の構成例を示す。 図1のパルス電力発生器は、可飽和リアクトルからなる2個の磁気スイッチSR2、SR3を用いた2段の磁気パルス圧縮回路を有する。 コンデンサC1、第1の磁気スイッチSR2、コンデンサC2、第2の磁気スイッチSR3により2段の磁気パルス圧縮回路を構成している。
    磁気スイッチSR1は、IGBT等の半導体スイッチング素子である固体スイッチSWでのスイッチングロスの低減用のものであり磁気アシストとも呼ばれる。

    図1に従って回路の構成と動作を以下に説明する。 まず、充電器CHの充電電圧が所定の値に調整され、主コンデンサC0が充電器CHにより充電される。 このとき、IGBT等の固体スイッチSWはoffになっている。
    主コンデンサC0の充電が完了し、固体スイッチSWがonとなったとき、固体スイッチSW両端にかかる電圧は主に磁気スイッチSR1の両端にかかる。
    磁気スイッチSR1の両端にかかる主コンデンサC0の充電電圧V0の時間積分値が磁気スイッチSR1の特性で決まる限界値に達すると、磁気スイッチSR1が飽和して磁気スイッチが入り、主コンデンサC0、磁気スイッチSR1、昇圧トランスTr1の1次側、固体スイッチSWのループに電流が流れる。 同時に、昇圧トランスTr1の2次側、コンデンサC1のループに電流が流れ、主コンデンサC0に蓄えられた電荷が移行してコンデンサC1に充電される。

    この後、コンデンサC1における電圧V1の時間積分値が磁気スイッチSR2の特性で決まる限界値に達すると、磁気スイッチSR2が飽和して磁気スイッチが入り、コンデンサC1、磁気スイッチSR2、コンデンサC2のループに電流が流れ、コンデンサC1に蓄えられた電荷が移行してコンデンサC2が充電される。
    さらにこの後、コンデンサC2における電圧V2の時間積分値が磁気スイッチSR3の特性で決まる限界値に達すると、磁気スイッチSR3が飽和して磁気スイッチが入り、放電電極2aと放電電極2bとの間に高電圧パルスが印加される。
    ここで、磁気スイッチSR2、SR3及びコンデンサC1、C2で構成される各段の容量移行型回路のインダクタンスを後段に行くにつれて小さくなるように設定することにより、各段を流れる電流パルスのパルス幅が順次狭くなるようなパルス圧縮動作が行われ、放電電極2aと放電電極2bとの間において短パルスの強い放電を実現することが可能となり、プラズマへの入力パワーも大きくなる。

    ホイルトラップ4は、隔壁4aによってチャンバ1のEUV集光部1bに固定される。 ホイルトラップ4は、放電電極を構成する物質および高温プラズマ発生用の原料Mを主にして発生するデブリが集光反射鏡5に向けて飛散することを抑制する。
    ホイルトラップ4は、放射状に伸びる複数の薄板により仕切られる複数の狭い空間が形成されている。
    EUV集光部1bに配置された集光反射鏡5は、高温プラズマから放射された波長13.5mmのEUV光を反射するための光反射面5aが形成されている。
    集光反射鏡5は、互いに接触することなく入れ子状に配置された複数の光反射面5aにより構成されている。
    各光反射面5aは、Ni(ニッケル)などからなる平滑面を有する基体材料の反射面倒に、Ru(ルテニウム)、Mo(モリブデン)、Rh(ロジウム)などの金属を緻密にコーティングすることにより、0〜25°の射入射度の極端紫外光を良好に反射するように形成されている。
    各光反射面5aは、高温プラズマから放射されたEUV光を、集光点Pに集めるように構成される。

    制御部6は、エネルギービーム照射機10および11から照射されるレーザービームの照射タイミング、並びに、パルス電力供給部3から放電電極2a,2bへのパルス電力の供給タイミングに関し、以下のように、エネルギービーム照射機10,11とパルス電力供給部3とを制御する。
    すなわち、放電電極2a,2bにパルス電力を供給することにより電極間電圧が立ちあがる前であって、かつ、前記エネルギービーム照射機10により電極上の原料にエネルギービームを照射する前に、エネルギービーム照射機11からレーザービームを照射し、放電電極上に供給された原料に凹所を形成する。

    図2は、図1の極端紫外光光源装置の部分説明図である。 図3は、エネルギービーム(レーザービーム)の照射タイミング、パルス電力の供給タイミング、およびEUV光の発生を示したタイムチャートであり、(a)は第1のレーザビームLB1の照射タイミング、(b)はスイッチSWをオンとするタイミング、(c)はコンデンサC2の電圧、(d)は第2のレーザビームLB2の照射タイミング、(e)は電極間に流れる放電電流、(f)はEUV光の放射タイミングである。
    図1の極端紫外光光源装置は、レーザービームの照射によって原料の表面に凹所が形成されることを特徴とし、具体的には制御部6により、以下の手順1〜3を実行する。
    <手順1>
    制御部6は、時刻T1において、エネルギービーム源制御部112に信号を送り、図2(a)に示すように、エネルギービーム源111から第1のレーザービームLB1を放電電極2b上に供給された原料Mの表面に照射させる(図3(a))。 原料Mの表面には、図2(b)のように、第1のレーザービームが照射されて、凹所MAが形成される。

    <手順2>
    制御部6は、図3のように、時刻T2においてスイッチSW(IGBT)をONする(図3(b))。 時刻T2は、時刻T1から所定時間が経過した後である。
    スイッチSWがONになると、磁気スイッチSR1〜SR3に基づく遅れ時間後、放電電極2a,2b間の電圧が立ち上がり、時間△td後に、コンデンサC2の電圧が閾値Vpに到達する(図3(c))。
    閾値Vpは、放電が発生したときに流れる放電電流の値が閾値Ip以上となる場合の電圧値である。 閾値Ipは、所望のEUV光強度を放射する高温プラズマを作るために必要とされる放電電流値の下限値である。

    <手順3>
    スイッチSWをONにしてから、コンデンサC2の電圧が立ち上がるまでの時間を△tdとすると、制御部6は、図3に示すように、コンデンサC2の電圧が閾値Vpに到達した時点以降の時点T3(T3≧T2+△td)において、エネルギービーム源制御部102に信号を送り、エネルギービーム源101から第2のレーザービームを照射させる。 これにより、図2(c)に示すように、手順1で原料Mの表面に形成された凹所MAに第2のレーザービームLB2が照射され、原料Mが気化される(図3(d))。
    手順3で気化した原料は、原料M表面の法線方向を中心として3次元方向に広がって、原料Mが設けられた放電電極2bに対向する放電電極2aに到達する。 第2のレーザビームを照射してから、気化した原料が放電電極2aに到達するまでの時間を△tiとすると、時点T4(T3+△ti)で、放電電極2a,2bの周縁のエッジ部分間で放電が開始される。 これにより、放電電極2a,2b間にプラズマが生成されるとともに、当該プラズマが放電電極2a,2b間に流れる放電電流によって加熱される(図3(e))。
    プラズマがパルス状の放電電流により加熱されて高温になると、この高温プラズマから波長13.5nmのEUV光が放射される(図3(f))。
    なお、上記では、手順2でスイッチSW(IGBT)をONにした後に、手順3でエネルギービーム源101から第2のレーザービームを照射しているが、例えば、パルス電力供給部3の遅れが小さいため前記△tdが小さく、また、電極間距離が大きいため気化した原料が放電電極2aに到達するまでの時間△tiが大きく、△td<△tiの場合、上記手順2と手順3の順序を逆にしてもよい。

    本発明のEUV光源装置は、原料Mの表面に形成された凹所に第2のレーザービームを照射して原料を気化させているため、EUV光の強度を向上させることができる。
    しかも、電極間電圧が立ちあがる前であって、かつ、前記エネルギービーム照射手段により電極上の原料にエネルギービームを照射する前に、上記凹所を形成する手段により、放電電極上に供給された原料に凹所を形成しているので、凹所を形成するときに気化した原料によって放電電極2a,2b間に放電が開始する惧れが無い。
    言い換えると、放電電極2a,2bにパルス電力を供給した後に、凹所を形成するために第1のレーザビームを原料に照射すると、凹所を形成するときに気化した原料Mによって放電電極2aと2bの間で放電を開始してしまう場合があり、適切なタイミングで放電が開始させることができない。 このような不具合を生じさせないために上記のように実行することが重要である。

    なお、図1および図2の実施形態では、原料Mの表面に凹所MAを形成するための凹所形成用エネルギービーム照射機と、原料Mに形成された凹所MAにエネルギービームを照射して原料Mを気化させるための原料気化用のエネルギービーム照射機との双方を備えている。
    しかし、本発明では、必ずしも独立した2以上のエネルギービーム照射機を使用することは必須ではなく、例えば、エネルギービーム照射機10のみを使用して上記の手順1および手順3を実行してもよい。
    図4に、1つのエネルギービーム照射機を備える極端紫外光光源装置の構成例を示す。 図4に示したものは、エネルギービーム照射機10のみが設けられ、エネルギービーム照射機11が省略されている以外、前記図1に示したものと同様の構成を有し、エネルギービーム照射機10の使い方を除き、その動作も図1に示したものと同様である。
    図4においては、前記手順1で、エネルギービーム照射機10から第1のレーザービームを原料Mの表面に照射して凹所を形成して、前記したように手順2を行い、ついで、手順3で、コンデンサC2の電圧が閾値Vpに到達した時点以降の時点T3において、エネルギービーム源10から第2のレーザービームを、原料Mの表面に形成された凹所に照射して原料Mを気化させる。
    気化した原料は、放電電極2bに対向する放電電極2aに到達し、放電電極2a,2bの周縁のエッジ部分間で放電が開始されプラズマが生成されるとともに、EUV光が発生する。

    (2)第2の実施形態 図5は、本発明のEUV光源装置の第2の実施形態の概略構成を示す上面図、図6は、本発明のEUV光源装置の第2の実施形態の概略構成を示す正面図である。
    同図に示すEUV光源装置は、放電容器であるチャンバ51を有する。 チャンバ51は、隔壁54aにより、一対の放電電極52a、52bが収容される放電空間51aと、集光反射鏡55が収容されるEUV集光空間51bとに区画され、EUV光を露光装置に向けて出射するためのEUV取出部51dを備えている。 チャンバ51には、チャンバ51内を真空状態にするためのガス排気ユニット51cが設けられている。
    放電空間51aには、各々独立に回転する一対の放電電極52a,52bが互いに離間して配置されている。 放電電極52a,52bは、原料Mを加熱して励起するための加熱励起手段である。
    EUV集光空間51bには、一対の放電電極間に形成される高温プラズマから出射されるEUV光を集光するための集光反射鏡55が配置されている。

    放電電極52a,52bは、例えば、モリブデン、タングステン、タンタル等の高融点金属で構成され、互いに離間した状態で対向して配置されている。 放電電極52a,52bのうち一方が接地側電極であり、他方が高電圧側電極である。
    放電電極52a,52bは、各放電電極表面を含む仮想平面が交差するように各放電電極を配置することが好ましい。 このように放電電極52a,52bを配置すれば、両電極52a,52bの周縁部のエッジ部分間距離が最短になる部分(放電領域)において多くの放電が発生するので、放電位置が安定する。
    なお、放電電極52a,52bは、集光反射鏡55に近付くに従って次第に接近するように配置されることが好ましい。 このように配置した場合は、一対の放電電極52a,52b間の放電領域と集光反射鏡55との距離が近くなるため、極端紫外光を効率良く集光させることができる。

    図5、6に示すEUV光源装置の放電電極52a,52bは、円板形状を有し、制御部56によって互いに独立して回転するよう制御される。 放電電極52a,52bを放電時に回転させることにより、両電極間に発生する高温プラズマの位置はパルス毎に変化するので、放電電極52a,52bが受ける熱的負荷が小さくなる。 そのため、放電電極52a,52bの使用寿命を長くすることができる。
    放電電極52a,52bは、モータ52dの回転軸52eが各々の略中心部分に取付けられている。 各回転軸52eは、メカニカルシール52fを介してチャンバ51の内部に導入されている。 メカニカルシール52fは、チャンバ51内の減圧雰囲気を維持しつつ、回転軸52eの回転を許容する。

    図5および図6に示すホイルトラップ54と集光反射鏡55は、それぞれ第1の実施形態のEUV光源装置のホイルトラップ4と集光反射鏡5と同じ構成である。 ホイルトラップ54は、隔壁54aによってチャンバ51のEUV集光部51bに固定される。 集光反射鏡55は、互いに接触することなく入れ子状に配置された複数の光反射面55aにより構成される。
    図5、6に示すEUV光源装置は、原料Mの融液が充填されたコンテナ57a、57bを備える。 原料Mは、導電性物質の融液で構成され、例えばスズの融液である。 放電電極52a,52bは、それぞれコンテナ57a,57bに充填された原料Mの融液中を通過するように配置される。 つまり、放電電極52a,52bは、放電時に回転してそれぞれコンテナ57a,57bに充填された原料Mに浸されることにより、その表面に原料Mが塗布される。 なお、図示は省略しているが、コンテナ57a,57bは、原料Mを溶融した状態に維持するための温度調節手段が設けられている。

    また、コンテナ57a,57bは、パルス電力供給部53に電気的に接続されている。 コンテナ57a,57bは、電力導入部58a,58bを介してパルス電力供給部53に電気的に接続される。 電力導入部58a,58bは、絶縁性を備えてチャンバ51内の減圧雰囲気を維持する。 パルス電力供給部53は、それぞれコンテナ57a,57b内に充填された原料Mの融液を介して放電電極52a,52bにパルス電力を印加する。

    図5および図6のEUV光源装置は、高温のプラズマを発生させる原料Mと放電領域の所定の地点とにレーザビームを照射するエネルギービーム照射機60を備える。 エネルギービーム照射機60は、エネルギービーム源601と、エネルギービーム源601の動作を制御するエネルギービーム源制御部602とで構成される。
    エネルギービーム源601から照射されたレーザビームは、集光レンズ603によって集光され、窓部51eを透過して放電電極52aの周縁部に対して照射される。 原料Mは、レーザービームによって放電電極52aと52bとの間において気化する。
    また、チャンバ51には、原料Mの表面に凹所を形成するために、エネルギービーム照射機60と独立にエネルギービームを照射する凹所形成用エネルギービーム照射機61が設けられている。
    凹所形成用エネルギービーム照射機61は、原料Mに対してエネルギービームを照射するエネルギービーム源611と、エネルギービーム源611の動作を制御するエネルギービーム源制御部612とを備える。 エネルギービーム源611から照射されたレーザビームは、集光レンズ613によって集光され、窓部51fを透過して原料Mに対して照射される。

    レーザビームを放出するエネルギービーム源601,611としては、例えば、炭酸ガスレーザ源や、YAGレーザ等の固体レーザ源、ArFレーザ、KrFレーザ等のエキシマレーザ源である。 また、エネルギービーム源601,611として、レーザ源ではなく、イオンビーム、電子ビームを使用することもできる。
    パルス電力供給部53は、図1の極端紫外光光源装置のものと同様に、可飽和リアクトルからなる2個の磁気スイッチSR2、SR3を用いた2段の磁気パルス圧縮回路を有する。 コンデンサC1、第1の磁気スイッチSR2、コンデンサC2、第2の磁気スイッチSR3により2段の磁気パルス圧縮回路を構成している。
    制御部56は、エネルギービーム照射機60および61から照射されるレーザービームの照射タイミング、並びに、パルス電力供給部53から放電電極52a,52bへのパルス電力の供給タイミングに関し、前記した手順1ないし3が以下の順番どおりに実行されるように、エネルギービーム照射機60,61とパルス電力供給部53とを制御する。
    すなわち、前記したように、電極間電圧が立ちあがる前であって、かつ、前記エネルギービーム照射機60により電極上の原料にエネルギービームを照射する前に、エネルギービーム照射機61からレーザービームを照射し、放電電極上に供給された原料に凹所を形成する。

    図7は、図5および図6のEUV光源装置の部分説明図を示す。 図7を用いて、上記の手順1ないし3について具体的に説明する。
    放電電極52aの周縁部には、放電電極52aがコンテナ57a中に充填された原料Mの融液を通過することにより原料Mが付着する。 放電電極52aの周縁部に付着した原料Mは、固体状態になっている。
    <手順1>
    図7に示すように、エネルギービーム源611から放出される第1のレーザービームが、放電電極52aの周縁部に付着した原料Mのエネルギービーム照射面に対して照射される。 第1のレーザービームが照射された原料Mのエネルギービーム照射面には、凹所MAが形成される。
    <手順2>
    前述した図3のタイムチャートの(b)に示すようにパルス電力供給部3のスイッチSWをONする。
    <手順3>
    前述した図3のタイムチャートの(c)(d)に示すようにコンデンサC2の電圧が閾値Vpを超えた後に、エネルギービーム源601から放出される第2のレーザービームを原料Mの凹所MAに照射する。
    手順3で気化した原料は、前記したように放電電極52aに対向する放電電極52bに到達し、放電電極52a,52bの周縁のエッジ部分間で放電が開始し、プラズマが加熱されて高温になり、この高温プラズマから波長13.5nmのEUV光が放射される。

    図7に示すように、エネルギービーム源601から照射される第2のレーザービームが到達する原料Mのエリアは、エネルギービーム源611から照射される第1のレーザービームが到達する原料Mのエリアから離れている。 これは、放電電極52aが所定の速度で円周方向に回転することに伴って放電電極52aの周縁部に付着した原料Mに形成された凹所MAも円周方向に移動するので、エネルギービーム源611から放出されるレーザービームが、放電電極52aに塗布された原料Mに形成された凹所MAに照射されるようにするためである。
    なお、第1のレーザービームの照射から、第2のレーザービームの照射までの時間に対して、放電電極52a,52bの回転速度は遅いので、実際には、第1のレーザービームの照射位置と第2のレーザービームの照射位置は大きく変わらず、図7では、第1、第2のレーザービームLB1,LB2の照射位置を誇張して離して示している。

    上記の図5ないし図7の極端紫外光光源装置は、原料Mの表面に凹所MAを形成するために、エネルギービーム照射機60と独立にエネルギービームを照射する凹所形成用エネルギービーム照射機61を備える。
    しかし、前記したように、本発明の極端紫外光光源装置は、必ずしも2つのエネルギービーム照射機を備える必要はない。 例えば、エネルギービーム照射機60のみによって、原料Mの表面に凹所MAを形成する手順(上記の手順1)と、凹所MAにエネルギービームを照射する手順(上記の手順3)とを実行するようにしても良い。

    図8は、図5および図6のEUV光源装置に係る凹所形成手段の他の例について鋭明するための部分説明図を示す。
    図8に示すEUV光源装置は、放電電極52aが回転駆動され、コンテナ57aに充填された原料Mの融液中を通過して、放電電極52aの周縁部に原料Mが固体状態で付着する。
    凹所形成手段85は、所定の手段により固定された金属製の棒状部材よりなり、放電電極52aの周縁部に付着した原料Mに当接する先端が鋭利に形成された尖頭部86を有している。 凹所形成手段85は、図5に示した制御部56によって、放電電極52aの接線方向に対し直交する方向に進退するように制御される。 すなわち、凹所形成手段85は、尖頭部86が放電電極52aの周縁部に付着した原料Mに当接する動作と、尖頭部86が放電電極52aの周縁部に付着した原料Mから退避する動作とを交互に繰り返す。

    図8のEUV光源装置は、図5,6の極端紫外光光源装置が備える制御部56により、具体的には次のようにして前述の手順1ないし3が実行される。
    <手順1>
    制御部56は、凹所形成手段85を駆動して尖頭部86を回転状態の放電電極52aに接近させ、尖頭部86を放電電極52aの周縁部に付着した原料Mの表面に当接させる。 原料Mの表面には、放電電極52aの円周方向に互いに離間する複数の穴状の凹所MAが形成される。
    <手順2>
    前述した図3のタイムチャートの(b)に示すようにパルス電力供給部3のスイッチSWをONする。
    <手順3>
    制御部56は、前述した図3のタイムチャートの(c)(d)に示すようにコンデンサC2の電圧が閾値Vpを超えた後に、エネルギービーム源制御部602に信号を送りエネルギービーム源601を駆動して第2のレーザービームを原料Mの凹所MAに照射する。 手順3で気化した原料は、前記したように放電電極52aに対向する放電電極52bに到達し、放電電極52a,52bの周縁のエッジ部分間で放電が開始し、プラズマが加熱されて高温になり、この高温プラズマから波長13.5nmのEUV光が放射される。

    図9は、図5および図6のEUV光源装置に係る凹所形成手段の他の例について説明するための部分説明図を示す。
    図9のEUV光源装置は、放電電極52aが制御部56により回転駆動され、コンテナ57aに充填された原料Mの融液中を通過して、放電電極52aの周縁部に原料Mが固体状態で付着する。
    凹所形成手段95は、図9に示すように、所定の手段により固定された金属製の棒状部材よりなるもので、放電電極52aの周縁部に付着した原料Mに当接する尖頭部96を有する。

    図9のEUV光源装置は、図5、6の極端紫外光光源装置が備える制御部56により、具体的には次のようにして前述の手順1ないし3が実行される。
    <手順1>
    制御部56は、凹所形成手段95を駆動して尖頭部96を回転状態の放電電極52aに接近させ、尖頭部96を放電電極52aの周縁部に付着した原料Mに当接させる。 原料Mの表面には、放電電極52aの周方向に伸びる溝状の凹所MAが形成される。
    <手順2>
    前述した図3のタイムチャートの(b)に示すようにパルス電力供給部3のスイッチSWをONする。
    <手順3>
    制御部56は、前述した図3のタイムチャートの(c)(d)に示すようにコンデンサC2の電圧が閾値Vpを超えた後に、エネルギービーム源制御部602に信号を送りエネルギービーム源601を駆動して第2のレーザービームを原料Mの凹所MAに照射する。 手順3で気化した原料は、前記したように放電電極52aに対向する放電電極52bに到達し、放電電極52a,52bの周縁のエッジ部分間で放電が開始し、プラズマが加熱されて高温になり、この高温プラズマから波長13.5nmのEUV光が放射される。

    図10は、図5および図6のEUV光源装置に係る凹所形成手段の他の例について説明するための部分説明図を示す。 なお、図10(b)は、放電電極52a断面図を示す。
    図10のEUV光源装置は、放電電極52aの周縁部の全周にわたって溝部521aが形成されているとともに、放電電極52aの溝部521aに沿って付着した原料Mに当接する尖頭部106を有した凹所形成手段105を備える。 凹所形成手段105は、円周方向に回転する放電電極52aに対して不動状態とされる。
    図10のEUV光源装置は、図5,6の極端紫外光光源装置が備える制御部56により、具体的には次のようにして前述の手順1ないし3が実行される。
    <手順1>
    制御部56は、凹所形成手段105を駆動して尖頭部106を回転状態の放電電極52aに接近させ、尖頭部106を放電電極52aの溝部521aに沿って付着した原料Mに当接させる。 原料Mの表面には、放電電極52aの周方向に伸びる帯状の凹所MAが形成される。

    <手順2>
    前述した図3のタイムチャートの(b)に示すようにパルス電力供給部3のスイッチSWをONする。
    <手順3>
    制御部56は、前述した図3のタイムチャートの(c)(d)に従い、コンデンサC2の電圧が閾値Vpを超えた後に、エネルギービーム源制御部602に信号を送りエネルギービーム源601を駆動して第2のレーザービームを原料Mの凹所MAに照射する。
    手順3で気化した原料は、前記したように放電電極52aに対向する放電電極52bに到達し、放電電極52a,52bの周縁のエッジ部分間で放電が開始し、プラズマが加熱されて高温になり、この高温プラズマから波長13.5nmのEUV光が放射される。
    なお、上記第2の実施形態においても、前述したように、例えば、パルス電力供給部3の遅れが小さいため前記△tdが小さく、また、電極間距離が大きいため気化した原料が放電電極2aに到達するまでの時間△ti大きく、△td<△tiの場合、上記手順2と手順3の順序を逆にしてもよい。

    以上の本発明のEUV光源装置の第1の実施形態および第2の実施形態においては、原料のエネルギービーム照射面に凹所が形成されており、当該凹所に対してエネルギービームが照射されるため、従来のEUV光源装置に比べEUV光の出力を高いものとすることができる。 その理由は、次のように考えられる。 以下、図11、図12を参照して説明する。
    図11は、原料のエネルギービーム照射面に凹所が形成されていない場合(同図a)と、凹所が形成されている場合(同図b)の、初期放電プラズマの生成状態の違いを説明する図である。
    図11(a)に示すように、原料のエネルギービーム照射面に凹所が形成されていない場合には、レーザビームを原料Mに照射したとき、初期放電プラズマは広がってしまい、生成するプラズマの密度が低くなる。 このため、放電によりプラズマが加熱されても、EUV光の発生に寄与するプラズマの量は少なくなり、弱いEUV光しか得られないものと考えられる。

    これに対し、図11(b)に示すように、原料のエネルギービーム照射面に凹所が形成されている場合には、エネルギービームが照射されて原料が気化するときに、原料の自由膨張が凹所の内壁面によって規制されるので、横方向の広がりが低減し、指向性が高まる。 そのため、原料が気化することで生成するガスの密度が高いものとなると共に、狭い空間分布となるので、一対の放電電極間に生成するプラズマの空間的な広がりを従来のEUV光源装置よりも小さいものとすることができる。
    このように、放電電極間に生成したプラズマの空間的な広がりを小さくすることにより、プラズマに流れる電流の密度を大きくすることができるので、プラズマを容易に高温状態にすることができ、電離が促進されてプラズマのイオン密度が大きいものとなる。 さらに、プラズマの広がりを抑えることで、プラズマによる自己吸収が低減する。 よって、EUV光の出力を従来のEUV光源装置よりも高いものとすることができる。
    また、図12は凹所が無い場合と、凹所がある場合におけるレーザアブレーションプラズマの可視光像を示す図である。
    凹所が無い場合には、同図(a)に示すようにプラズマは空間的に広がるが、凹所を設けることにより、同図(b)に示すようにプラズマの広がりを小さくすることができ、プラズマに流れる電流の密度を大きくすることができる。

    本発明の第1の実施形態のEUV光源装置の概略構成を示す図である。

    図1の極端紫外光光源装置の部分説明図である。

    エネルギービームの照射タイミング、パルス電力の供給タイミング、およびEUV光の発生を示したタイムチャートである。

    1つのエネルギービーム照射機を備えたEUV光源装置の構成例を示す図である。

    本発明のEUV光源装置の第2の実施形態の概略構成を示す図(上面図)である。

    本発明のEUV光源装置の第2の実施形態の概略構成を示す図(正面図)である。

    図5および図6のEUV光源装置の部分説明図である。

    図5および図6のEUV光源装置に係る凹所形成手段の他の例を示す図(1)である。

    図5および図6のEUV光源装置に係る凹所形成手段の他の例を示す図(2)である。

    図5および図6のEUV光源装置に係る凹所形成手段の他の例を示す図(3)である。

    凹所が形成されていない場合と、凹所が形成されている場合の、初期放電プラズマの生成状態の違いを説明する図である。

    凹所が無い場合と、凹所がある場合におけるレーザアブレーションプラズマの可視光像を示す図である。

    EUV光源装置を簡易的に説明するための図である。

    符号の説明

    1、51 チャンバ 1a 放電部 1b EUV集光部 1c、51c ガス排気ユニット 1d、51d EUV取出部 2a、2b、52a、52b 放電電極 2c 絶縁部材 2d、52d モータ 2e、52e 回転軸 2f、52f メカニカルシール 2g,2h 摺動子 21b 溝部 3、53 パルス電力供給部 4、54 ホイルトラップ 5、55 集光反射鏡 51a 放電空間 51b 集光空間 57a、57b コンテナ 58a、58b 電力導入部 6、56 制御部 60、61 エネルギービーム照射機 7 原料供給手段 85、95、105 凹所形成手段 10、11 エネルギービーム照射機 101、111 エネルギービーム源 601、611 エネルギービーム源 102、112 エネルギービーム源制御部 602、612 エネルギービーム源制御部 SR2、SR3 磁気スイッチ C1、C2 コンデンサ SR1 磁気スイッチ(磁気アシスト)
    CH 充電器 C0 主コンデンサ SW 固体スイッチ Tr1 昇圧トランス M 原料

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