元素を変換するための装置及び方法

申请号 JP2015517456 申请日 2013-06-14 公开(公告)号 JP2015519586A 公开(公告)日 2015-07-09
申请人 デント インターナショナル リサーチ,インコーポレイテッド; デント インターナショナル リサーチ,インコーポレイテッド; 发明人 デント,ウィリアム,ヴァーデン,ジュニア.;
摘要 元素を変換するための装置及び方法の例が開示される。装置は、中性子出 力 を伴う中性子を放出するように構成された中性子放出器と、該中性子出力の平均エネルギーを低減することにより減速された中性子出力を生成するように構成された中性子減速材と、該減速された中性子出力に晒された場合には中性子を吸収するように構成されたターゲットであって、該ターゲットによる中性子の該吸収が変換された元素を生成するターゲットと、所望の該元素を抽出するように構成された抽出器とを含み得る。方法は、中性子出力を生成する工程と、減速された中性子出力を生成するように中性子減速材を用いて前記中性子出力の平均エネルギーを低減する工程と、変換された元素を生成するように該減速された中性子出力からの中性子を吸収する工程と、所望の元素を抽出する工程とを備え得る。いくつかの例では、該ターゲットはモリブデン98を含んでおり、該所望の元素はテクネチウム99mを含んでいる。【選択図】図1
权利要求

中性子出を伴う中性子を放出するように構成された中性子放出器と、 前記中性子出力の平均エネルギーを低減することにより減速された中性子出力を生成するように構成された中性子減速材と、 前記減速された中性子出力に晒された場合には中性子を吸収するように構成されたターゲットであって、該ターゲットによる中性子の該吸収が変換された元素を生成するターゲットと、 所望の元素を抽出するように構成された抽出器と を備えている、元素を変換するための装置。前記中性子放出器が中性子発生器を備えている、請求項1に記載の装置。前記中性子出力が、約1×1010〜約1×1015中性子毎秒の速度で生成される中性子を備えている、請求項1に記載の装置。前記中性子出力の平均エネルギーが約2.4MeV〜約14MeVである、請求項1に記載の装置。前記中性子減速材が、鉛、ビスマス、タングステン、トリウム、ウラン、劣化ウラン、、重水、ベリリウム、炭素、ポリエチレンまたはそれらの組み合わせを備えている、請求項1に記載の装置。前記中性子減速材の厚さは、前記ターゲットの中性子捕獲断面積が第1の閾値を上回る水準まで前記中性子出力のエネルギーを低減するのに十分である、請求項1に記載の装置前記ターゲットが、カルシウム、炭素、クロム、コバルト、エルビウム、フッ素、ガリウム、三重水素、インジウム、ヨウ素、鉄、クリプトン、モリブデン、窒素、酸素、リン、ルビジウム、サマリウム、セレン、ナトリウム、ストロンチウム、テクネチウム、タリウム、キセノンまたはイットリウムの少なくとも1つを備えている、請求項1に記載の装置。前記ターゲットの厚さは、該ターゲットの中性子捕獲断面積が第2の閾値を上回る水準まで前記減速された中性子出力のエネルギーを低減するのに十分であって、前記第2の閾値が前記第1の閾値を上回っており、前記第2の閾値が、好ましくは、前記ターゲットの前記中性子捕獲断面積のピーク付近である、請求項1に記載の装置。前記抽出器が、クロマトグラフィーシステム、真空濾過システム、遠心分離システム、真空蒸着システム、重力濾過システムまたはそれらの組み合わせを備えている、請求項1に記載の装置。前記変換された元素が、自然に崩壊して所望の元素を生成する、請求項1に記載の装置。前記ターゲットがモリブデン98を備えており、前記変換された元素がモリブデン99を備えており、前記所望の元素がテクネチウム99mを備えている、請求項1に記載の装置。中性子出力を伴う中性子を放出するように構成された中性子発生器と、 直径D1を有し、前記中性子出力の平均エネルギーを低減することにより減速された中性子出力を生成するように構成された中性子減速材と、 直径D2を有し、前記減速された中性子出力に晒された場合には中性子を吸収するように構成されたモリブデン含有材料を備えた1つ以上の区画であって、該モリブデン含有材料による中性子の該吸収がモリブデン98からモリブデン99を生成する該1つ以上の区画と、 前記1つ以上の区画からテクネチウム99mを抽出するように構成された抽出器と を備えている、モリブデン98からテクネチウム99mを生成する装置。前記中性子出力が、約1×1010〜約1×1015中性子毎秒の速度で生成される中性子を備えている、請求項12に記載の装置。前記中性子出力の平均エネルギーが約2.4MeV〜約14MeVである、請求項12に記載の装置。前記中性子減速材が、前記中性子発生器を実質的に囲んでいる、請求項12に記載の装置。前記中性子減速材が、鉛、ビスマス、タングステン、トリウム、ウラン、劣化ウラン、水、重水、ベリリウム、炭素、ポリエチレンまたはそれらの組み合わせを備えている、請求項12に記載の装置。前記直径D1は、前記減速された中性子出力のエネルギーが約1keV〜約100keVの範囲内にあるように選択される、請求項12に記載の装置。前記モリブデン含有材料が、酸化モリブデンまたは粉末状モリブデンである、請求項12に記載の装置。前記直径D2は、前記減速された中性子出力のエネルギーが約100eV〜約1000eVの範囲内にあるように選択される、請求項12に記載の装置。前記装置が、1つ以上の区画の少なくとも一部を通して溶出されるように構成された溶離液を備えており、該溶離液が水または生理食塩水を備えている、請求項12に記載の装置。前記抽出器が、クロマトグラフィーシステム、真空濾過システム、遠心分離システム、真空蒸着システム、重力濾過システムまたはそれらの組み合わせを備えている、請求項12に記載の装置。中性子出力を生成する工程と、 減速された中性子出力を生成するように、中性子減速材を用いて前記中性子出力の平均エネルギーを低減する工程と、 変換された元素を生成するように、前記減速された中性子出力からの中性子を吸収する工程と、 所望の元素を抽出する工程とを備えている、ターゲットを変換する方法。前記方法が、該中性子出力において中性子を増倍させる工程をさらに備えている、請求項12に記載の方法。前記方法が、所望の元素を生成するように、該変換された元素を自然崩壊させる工程をさらに備えている、請求項12に記載の方法。前記中性子減速材の厚さは、前記ターゲットの中性子捕獲断面積が第1の閾値を上回る水準まで前記中性子出力のエネルギーを低減するのに十分である、請求項12に記載の方法。前記ターゲットの厚さは、該ターゲットの中性子捕獲断面積が第2の閾値を上回る水準まで前記減速された中性子出力のエネルギーを低減するのに十分であって、前記第2の閾値が前記第1の閾値を上回っており、前記第2の閾値が、好ましくは、前記ターゲットの前記中性子捕獲断面積のピーク付近である、請求項12に記載の方法。

说明书全文

関連技術の相互参照 本願は、2012年6月15日に出願された米国特許出願第61/660,463号“VESSEL FOR TRANSMUTATION OF ELEMENTS”及び2013年5月16日に出願された米国特許出願第61/824,216号“VESSEL FOR TRANSMUTATION OF ELEMENTS”についての米国特許法第119条(e)に基づく利益を主張するものであり、前記各出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。

技術分野 本開示は、概して元素を変換するための装置及び方法に関し、特に、モリブデン98の変換によりテクネチウム99mを生成するための装置及び方法に関する。

テクネチウム99m(Tc−99m)は、核医学における主の同位体であり、広く画像診断に使用される。Tc−99mは、典型的には、疾患の検出や、器官の構造及び機能の研究に使用される。テクネチウム99mは、半減期6時間の準安定なテクネチウム99の核異性体(Tc−99)であり、それが崩壊してテクネチウム99となる際に140keVのガンマ線光子を放出する。ガンマ線は、医療用イメージングに使用され得る。米国におけるTc−99mの供給は、一般には、反応器内の高濃縮ウラン(HEU)に放射線照射し、該HEUターゲットから核分裂生成物モリブデン99(Mo−99)を抽出し、Mo−99が66時間の半減期で自然にベータ崩壊する際に生成されるTc−99mを回収することによって提供される。

元素を変換するための装置及び方法が提供される。

いくつかの実施形態では、モリブデン98からテクネチウム99mを生成する装置は、中性子出力を伴う中性子を放出するように構成された中性子発生器と、直径D1を有し、該中性子出力の平均エネルギーを低減することにより減速された中性子出力を生成するように構成された中性子減速材と、直径D2を有し、該減速された中性子出力に晒された場合には中性子を吸収するように構成されたモリブデン含有材料を備えた1つ以上の区画であって、該モリブデン含有材料による中性子の該吸収がモリブデン98からモリブデン99を生成する該1つ以上の区画と、該1つ以上の区画からテクネチウム99mを抽出するように構成された抽出器とを備える。

いくつかの変形例では、元素を変換するための装置は、中性子出力を伴う中性子を放出するように構成された中性子放出器と、該中性子出力の平均エネルギーを低減することにより減速された中性子出力を生成するように構成された中性子減速材と、該減速された中性子出力に晒された場合には中性子を吸収するように構成されたターゲットであって、該ターゲットによる中性子の該吸収が変換された元素を生成するターゲットと、所望の元素を抽出するように構成された抽出器とを備える。

ターゲットを変換する方法もまた提供される。いくつかの実施形態では、ターゲットを変換する方法は、中性子出力を生成する工程と、減速された中性子出力を生成するように中性子減速材を用いて該中性子出力の平均エネルギーを低減する工程と、変換された元素を生成するように該減速された中性子出力からの中性子を吸収する工程と、所望の元素を抽出する工程とを備える。

本開示における前述の及び他の特徴は、添付の図面と併せた以下の説明及び添付の特許請求の範囲により、さらに十分に明らかとなる。

図1は、元素を変換するための装置の例の断面図である。

図2は、元素を変換するための装置の別の例の上面図である。

図3は、元素を変換するための装置の別の例の上面図である。

図4Aは、元素を変換するための装置の別の例の上面図である。

図4Bは、元素を変換するための装置の別の例の側断面図である。

図5は、元素を変換する方法の例を示すフローチャートである。

図6は、中性子のMo−98との反応を示す、中性子エネルギー(単位eV、1eV=1.6×10

-19J)の関数としての断面積のグラフである(単位バーン、1バーン=10

-28m

2)。長い点線は弾性散乱を示し、短い点線は非弾性散乱を示し、一点鎖線は捕獲を示し、実線は総断面積を示す。

図7は、種々のテクネチウム発生器における時間の関数としてのTc−99mの活性(単位mCi、1Ci=3.7×10

10Bq(壊変毎秒))の例のグラフである。

図8は、種々の実装において10%及び20%効率で生成され得る中性子発生器の出力の関数としてのMo−99の量の例のグラフである。グラフには、医療用イメージング調剤法の目標範囲の例が示される。

文脈において他に指定されない限り、種々の図面における同様の参照番号及び名称は、同様の要素を示す。

概要 本開示は、中性子吸収の核変換プロセス及び新しい核種の形成により核同位体または元素を生成するための装置及び方法の例について説明する。元素が中性子を吸収して異なる元素または同位体に変換するプロセスにより同位体または元素を生成する物理的原理は、よく理解されている。いくつかの実施形態では、開示の装置及び方法は、医療、工業、研究または核物質を必要とする他の分野において適用するための十分な量の同位体または元素を提供する。

以下の多くの例では、Mo−99を形成するための中性子の吸収によるモリブデン98(Mo−98)の変換を説明する。しかしながら、本明細書に記載される装置及び方法は、この反応に限定されず、中性子変換反応の広い範囲への適用性を有する。Mo−99は、以下の中性子反応により、Mo−98から生成され得る。

Mo−99はベータ崩壊により崩壊して、医療診断のイメージングに最も広く使用される放射性トレーサー同位体であるTc−99mを生成する。Tc−99mは準安定であり、ガンマ線の放出により崩壊(半減期約6時間)してTc−99となる。該ガンマ線のエネルギーは140keV(1eV=1.6×10-19J)であり、医療用イメージングに非常に有用である。

Mo−99の半減期は約66時間であることから、それを貯蔵しておき必要に応じてTc−99mを生成するよう使用され得ないため、それを補充する必要がある。本明細書で説明される装置及び方法は、有利にはMo−99を生成するために使用可能であり、医療診断イメージングのような所望の用途のためにTc−99m崩壊生成物を収集し得る。

中性子変換のための装置の例 開示の装置の一実施形態を図1に示す。装置100は任意の形状であってもよく、該形状には、限定されないが、円筒形、球形、正方形または長方形が含まれる。該装置は、装置の内部領域へのアクセスを可能にする区画に組み込まれていてもよい。いくつかの実施形態では、装置100は、中性子出力を伴う中性子を放出するように構成された中性子放出器と、該中性子出力の平均エネルギーを低減することにより減速された中性子出力を生成するように構成された中性子減速材と、該減速された中性子出力に晒された場合には中性子を吸収するように構成されたターゲットであって、該ターゲットによる中性子の該吸収が変換された元素を生成するターゲットと、所望の元素を抽出するように構成された抽出器とを備えていてもよい。装置100は、アルミニウム、鋼、ベリリウム、または、材料を保持可能な任意の他の材料であって変換対象の該元素材料をその内部に保持する材料で作製されたハウジング105を備える。

いくつかの実施形態では、中性子放出器は、中性子発生器110を含んでいてもよい。該中性子発生器は、種々の位置に配され得る。例えば、中性子発生器は、上記装置の外側に配置され、該装置内に中性子を注入するように構成されてもよい。このような実施形態では、中性子発生器は、所望の変換を実行するために十分な中性子が生成されるように、該装置に隣接して、または該装置に十分近接した範囲内に配置されてもよい。このような外部構成は、中性子(例えば、該装置内に注入され得る中性子ビーム)の異方性分布を生成する中性子発生器において使用する場合に有利であり得る。他の実施形態では、複数の中性子発生器が使用され得る。

いくつかの変形例では、上記中性子発生器は、上記装置自身の範囲内の任意の場所に位置してもよく、例えば、該装置の上部に、該装置の下部に、または該装置の左部または右部に向かって位置してもよい。いくつかの実施形態では、中性子発生器110は、図1に示すように、該装置の中央領域に位置する。

上記中性子発生器は、例えば、重素(D)及び/または三重水素(T)の核を重水素及び/または三重水素を包含するターゲットに向けて加速することにより、中性子を生成する。中性子は、陽子をホウ素(例えば、10B)に向けて加速する他の方法、または中性子を生成する他の手段により生成されてもよい。該中性子発生器は、種々の実装において、約1×1010〜1×1015中性子毎秒の範囲の速度で中性子を連続的にまたはパルスで生成し得る。該中性子発生器は任意の形状であってもよく、該形状には、限定されないが、円筒形、球形、正方形、長方形、または、いくつかの実施形態では、大まかな寸法が、幅約20〜約60センチメートル、高さ約20〜約60センチメートル、奥行き約20〜約60センチメートルである任意の形状が含まれる。

いくつかの実施形態では、上記装置の内側の中央領域の大きさは、該装置の中央領域に位置する中性子発生器の大きさにより決定されてもよい。該中性子発生器に取り付ける高電圧入力ケーブル及び水冷管を収容するために、追加の体積が含まれていてもよい。

上記中性子発生器は、重元素(例えば、ウランなど)の分裂から中性子を生成しない、または核分裂の連鎖反応を維持可能な中性子を生成しない非分裂性デバイスであってもよい。したがって、いくつかの実施形態では、該中性子発生器は核分裂炉ではない。いくつかの実施形態では、該中性子発生器は、中性子管であり得る。本明細書で説明する実施形態のいずれかに使用可能な中性子発生器の別の例は、米国特許第6,907,097号に開示されている円筒状中性子発生器であり、その全体が参照により本明細書中に組み込まれる。本明細書で説明する実施形態のいずれかに使用可能な中性子発生器の別の例は、米国特許第7,639,770号に開示されている円筒状中性子発生器であり、その全体が参照により本明細書中に組み込まれる。本明細書に記載される装置及び方法の実施形態に使用可能な中性子発生器の他の例は、Adelphi Technology社(カリフォルニア州レッドウッドシティー)製の中性子発生器を含む。

種々の実施形態では、上記中性子発生器によって生成される中性子の毎秒の数は、1×1011、2×1011、3×1011、5×1011、8×1011、1×1012、1×1013、1×1014、1×1015またはそれ以上を超えてもよい。いくつかの実施形態では、中性子の毎秒の数は、1×1011〜1×1015の範囲であってもよい。該中性子発生器により放出される中性子のエネルギーは、数MeV(例えば、D−D発生器のための2.4MeV)であってもよく、最大で(例えば、D−T発生器のための)約14MeVであってもよい。

いくつかの実施形態では、上記中性子発生器は、中性子減速材120により囲まれていてもよい。いくつかの変形例では、中性子減速材120は、図1に示すように、該中性子発生器をすぐ近くに取り囲んでいる。該中性子減速材は、中性子出力の平均エネルギーを低減することにより減速された中性子出力を生成するように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、中性子減速材120は、(n,2n)、(n,3n)、(n,分裂)等を含む核反応により記述される核反応によって上記装置内の中性子の数を増加させるための中性子増倍材として機能してもよい。いくつかの実施形態では、該中性子減速材は、効率的に中性子を増倍及び減速するように、中性子発生器を実質的に包囲していてもよい。いくつかの実施形態では、該中性子減速材は、鉛、ビスマス、タングステン、トリウム、ウラン、または中性子が衝突した際に中性子を生成する任意の他の材料であってもよい。該中性子減速材は、劣化ウランであってもよい。いくつかの実施形態では、中性子減速材は、水、重水、ベリリウム、炭素(例えばグラファイト、密度=2.267g/cm3)、ポリエチレン(密度=0.92g/cm3)、またはそれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、該中性子減速材は任意であり、他の実施形態では使用されなくてもよい。

上記中性子減速材の厚さは様々であってもよい。いくつかの実施形態では、該中性子減速材の厚さは、中性子出力のエネルギーを、ターゲットの中性子捕獲断面積が第1の閾値を上回る水準まで低減するのに十分であってもよい。いくつかの実施形態では、該中性子減速材は、それが中性子出力のエネルギーを、該断面積がピーク断面積の約1〜約10%以上の第1の閾値を上回る所まで低減し得るのに十分な厚さを有している(図6に示される例を参照)。

いくつかの実施形態では、上記中性子減速材の厚さは約1cm未満であってもよい。いくつかの実施形態では、該中性子減速材の厚さは約15cmであってもよい。いくつかの実施形態では、該中性子減速材の厚さは、約0.1cm〜約40cm、約1cm〜約20cm、約1cm〜約15cmまたは約5cm〜約10cmの範囲であってもよい。

上記装置はまた、上記減速された中性子出力に晒された場合には中性子を吸収するように構成されたターゲット130を含み得る。該ターゲットによる中性子の該吸収により、変換された元素が生成される。いくつかの実施形態では、中性子減速材120は、図1に示すように、ターゲット130に囲まれていてもよい。ターゲット130は、変換対象の元素を、原子形態及び/または分子形態で含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、ターゲット130はまた、変換対象の元素に中性子が効率的に吸収されるエネルギー準位まで高エネルギー中性子を減速させるように機能し得る元素を含んでいてもよい。該ターゲットは、カルシウム、炭素、クロム、コバルト、エルビウム、フッ素、ガリウム、三重水素、インジウム、ヨウ素、鉄、クリプトン、モリブデン、窒素、酸素、リン、ルビジウム、サマリウム、セレン、ナトリウム、ストロンチウム、テクネチウム、タリウム、キセノン、イットリウムまたは中性子変換により元素または同位体を生成可能な任意の他の元素のうち少なくとも1つを含むことができる。該ターゲットはまた、中性子照射により以下の元素を生成する元素のうち少なくとも1つを含んでいてもよい:カルシウム、炭素、クロム、コバルト、エルビウム、フッ素、ガリウム、三重水素、インジウム、ヨウ素、鉄、クリプトン、モリブデン、窒素、酸素、リン、ルビジウム、サマリウム、セレン、ナトリウム、ストロンチウム、テクネチウム、タリウム、キセノンまたはイットリウム。

いくつかの実施形態では、上記ターゲットの厚さは、上記減速された中性子出力のエネルギーを、該ターゲットの中性子捕獲断面積が第2の閾値を上回る水準まで低減するのに十分であってもよい。ここで、該第2の閾値は、上記第1の閾値よりも高い。いくつかの実施形態では、該第2の閾値は、該ターゲットの中性子捕獲断面積のピーク付近であってもよい(例えば、約300〜約500eV。図6に示す例を参照)。

いくつかの実施形態では、上記装置はまた、追加の減速材材料を備えていてもよい。該追加の減速材は、上記中性子を減速し得る及び/または上記装置からの変換された元素の抽出を補助し得る任意の元素または化合物であってもよい。該追加の減速材は、炭素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、二酸化モリブデン、三酸化モリブデンまたはそれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、該追加の減速材は、モリブデン金属、二酸化モリブデン、三酸化モリブデン、酸化アルミニウム、炭素、ベリリウム、重水、水、他の金属酸化物またはそれらの組み合わせによる粉末形態であってもよい。いくつかの実施形態では、該装置は、酸化アルミニウムの粒子の外側に被覆され得るモリブデン金属を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、三酸化モリブデンは、特定の溶出液中において可溶性であり得るため、使用されない。

いくつかの実施形態では、上記追加の減速材は、上記中性子減速材(または、中性子減速材を使用しない場合には、上記中性子発生器)の周囲の上記装置の容積を、部分的に満たしていてもよく(例えば、50容積%未満)、または、十分に満たしていてもよい(例えば、50容積%より大きい)。いくつかの実施形態では、該追加の減速材は、上記ターゲットとの混合物を形成することができる。このような実施形態では、中性子減速材120は、実質的に該混合物により囲まれていてもよい。

いくつかの実施形態では、上記ターゲット自身、該ターゲットと上記追加の減速材との上記混合物、または該追加の減速材材料自身の厚さは、約100cm未満であってもよい。いくつかの実施形態では、上記ターゲット自身、該ターゲットと上記追加の減速材との上記混合物、または該追加の減速材材料自身の厚さの範囲は、約1cm〜約150cm、約20cm〜約130cmまたは約50cm〜約100cmであってもよい。

いくつかの実施形態では、開示の上記装置は、所望の元素を抽出するように構成された抽出器180を含む。いくつかの変形例では、該抽出器は、クロマトグラフィーシステム、真空濾過システム、遠心分離システム、真空蒸着システム、重力濾過システムまたはそれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、該抽出器は、例えば、ポンプ、貯蔵器、制御システム、フィルター、遠心分離器等を含んでいてもよい。該抽出器は、上記中性子発生器が動作している間または動作していない間に動作していてもよい。いくつかの実施形態では、該抽出器は様々な位置に配置されてもよく、例えば、該装置の頂部、該装置の底部またはそれらの組み合わせに配置されていてもよい。

上記抽出器はまた、溶離液を含んでもよい。いくつかの実施形態では、該溶離液は、水、生理食塩水または所望の元素を抽出可能な他の溶媒であってもよい。該溶離液は、滅菌されていてもよい。いくつかの実施形態では、該溶離液は、貯蔵器内に収容されてもよい。いくつかの実施形態では、該貯蔵器は、上記装置内に配置されていてもよく、該装置の外部に配置されていてもよい。

いくつかの実施形態では、上記溶離液は、任意の位置において上記装置に入るように構成されることが可能であり、該位置は、例えば、該装置の頂部、該装置の底部または該装置の側部を通る位置であり得る。該溶離液は、重力下で該装置を通って流れてもよく、または圧力下でポンプ輸送されてもよい。他の実施形態では、該溶離液が装置を通って流れることを補助するため、追加的にまたは代替として吸引が適用されてもよい。いくつかの実施形態では、該溶離液は、任意の位置において上記装置を出るように構成されることが可能であり、該位置は、例えば、該装置の頂部、該装置の底部または該装置の側部を通る位置であり得る。いくつかの実施形態では、該溶離液は、異なる位置において該装置を出入りするように構成されることが可能である。いくつかの実施形態では、該溶離液が実質的に同じ位置において該装置を出入りするように構成されることが可能であり、該位置は、例えば、互いに隣接する入口及び出口を有する位置であり得る。

図1は、抽出器180及び上記溶離液の非限定的な例を示し、該溶離液は、入口150から上記装置の頂部に入り、多岐管140により装置100の頂部に拡散される。該溶離液は、該装置の頂部の一部に拡散されてもよく、装置の頂部の大部分に拡散されてもよく、または該装置の頂部全体に拡散されてもよい。該装置の頂部の大部分または該装置の頂部全体に該溶離液を拡散することは、該溶離液が該装置の容積のほぼ全体に通過することを確実なものとする助けとなり得る。該溶離液の流れは、図1の矢印190によって示すように、該装置を通って下降してもよい。いくつかの実施形態では、該抽出器は、所望の元素の効率または収率を向上させ得る。

図1に示すように、上記溶離液は、出口170を通って上記装置100から出てもよい。いくつかの実施形態では、該装置から出る該溶離液は、所望の元素を含んでいてもよい。

いくつかの実施形態では、上記所望の元素は、真空蒸発、クロマトグラフィーまたは沈降等によって抽出及び/または濃縮されてもよい。いくつかの実施形態では、該所望の元素は、図1に示すように、フィルター160を含む抽出器により抽出及び/または濃縮されてもよい。上記装置の実施形態に使用可能なフィルターの例としては、EMD Millipore社(マサチューセッツ州ビレリカ)より入手可能であり得る。

上記所望の元素を抽出した後、上記溶離液の一部または全部は、上記装置を介して再循環させられることができ、これにより、効率を改善し、該溶離液の無駄を低減し得る。例えば、ポンプシステム(図1に図示しない)は、再利用のために、該装置の頂部に該溶離液(例えば、溶離液)の一部または全部をポンプ輸送して戻すように使用され得る。

上記装置はまた、該装置内の材料によって吸収されない中性子から該装置の近くの人を保護するために、中性子吸収材料(例えば、遮蔽材)によって囲まれていてもよい。

いくつかの実施形態では、上記装置の一部または全部は、(例えば、摂氏100度以上に)加熱されてもよく、これにより、上記溶離液の滅菌を補助し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の細菌監視装置が、該溶離液(及び/または溶出液)が汚染されているかどうかを検出するために用いられ得る。

上記中性子発生器、中性子減速材、ターゲット、放射線安全遮蔽材、ハウジング、高電圧入力、水冷却管並びに他の補助装置及び付属品を含む上記装置の全体の大きさは、円筒形状の場合には、直径約1〜約2メートルかつ高さ約1.5〜約2.5メートルであってもよい。球形の場合には、該装置は、直径約1〜約2.5メートルであってもよい。

上記装置の別の実施形態を図2に示す。図2は、該装置の中心を通る平面を通して採択された装置210の上面図を表す。この実施形態では、ターゲット130(例えば、粉末状のモリブデンまたはモリブデン酸化物)は、個々の管210内に含まれ得る。中性子減速材120は、例えば、カーボン、ポリエチレン、ベリリウム、重水、水または他のこのような中性子減速材として、該管の間の空隙を充填する。該中性子減速材は、上記中性子を、上記ターゲットにより効率的に捕獲され得る上記エネルギーまで減速するよう機能し得る。

管210は、金属含有材料215から作製されてもよく、該金属含有材料215は、限定されないが、アルミニウム、鋼、ベリリウム、または、材料を保持可能な任意の他の材料であってその中で変換対象の該元素材料を保持する材料を含んでいてもよい。該管はまた、円形、正方形、長方形等のような任意の形状であってもよい。いくつかの実施形態では、該管は、それぞれ同一の形状を有していてもよく、異なる形状を有していてもよい。いくつかの実施形態では、該管は、直径約1cm〜約20cmの範囲であってもよく、上記装置と実質的にほぼ同じ長さであってもよい。該管は、それぞれ異なる直径を有していてもよく、異なる長さを有していてもよい。該管の数は、効率的に中性子を捕捉するため、管の大きさ及び位置に依存し得る。例えば、該管の数は、10未満〜100以上の範囲であってもよい。該管は、水、重水、ベリリウム、炭素、ポリエチレンまたはこれらの組み合わせのような中性子減速材により囲まれ得る。

上記装置全体を実質的に一度に溶出する(例えば、図1に示す実施形態について上述したように)のではなく、個々の管がそれぞれ別々に溶出されてもよい。これにより、一度に溶出する所望の元素(例えば、Tc−99m)を少量とすることができる。所望の場合には、いくつかの管または全ての管を同時に溶出してもよい。該装置における管の数、それらの位置、それらの形状及びそれらの配向は、図2に示されるものと異なっていてもよい。例えば、上記溶離液は、該管の一部または全部を通過させてもよく、上記中性子発生器を囲んでいる中性子減速材を通過させなくてもよい。いくつかの場合には、該中性子発生器からの中性子の実質的に全てが該装置の壁に到達する前に該中性子減速材及び/または上記ターゲットによって吸収されるのに十分な数の該管が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、溶出プロセス(例えば、該溶離液が該装置を通って溶出し得るプロセス)は、該中性子発生器が動作している間または動作していない間に行われ得る。該中性子発生器が該溶離プロセス中に動作したままの場合、残りの該管は、活性化処理を増大させ続けてもよい(例えば、追加の変換された元素が生成される)。

装置300の別の実施形態を図3に示す。図3は、該装置の中心を通る平面を通して採択された該装置の上面図を表す。いくつかの実施形態では、中性子発生器110は、中央領域にあり、中性子減速材120(限定されないが、炭素、ポリエチレン、ベリリウム、重水、水または他の中性子減速材を含む)により囲まれてもいてもよい。該中性子は、中性子発生器110から、減速材材料120を通って、(酸化モリブデンまたは粉末状モリブデンのような)ターゲット130へと通じる。ターゲット130は、単一の領域であってもよいし、区画310に仕切られていてもよい。該区画の数は、変換及び溶出される元素の所望の量に応じ、10未満〜100以上の範囲とされ得る。該装置における該区画の数、それらの位置、それらの形状、及びそれらの配向は、図3に示されるものと異なっていてもよい。セクション310は、金属含有材料315により仕切られていてもよく、該金属含有材料315は、限定されないが、アルミニウム、鋼、ベリリウム、または、材料を保持可能な任意の他の材料であってその中で変換対象の該元素材料を保持する材料を含んでいてもよい。

区画310の半径方向の厚さは、各区画の内部における材料の量及び濃度に応じて、約1センチメートル〜約20センチメートルの範囲であってもよい。各区画の半径方向の厚さを決定するために使用され得る1つの要素としては、中性子が中性子減速材から出て該区画を通過する際に、該中性子を変換対象の上記ターゲット内に効率的に吸収させることが可能となるような厚さであることが挙げられる。

例えば、モリブデン98等のような元素に対する中性子吸収断面積は、約30ミリバーンの中性子吸収断面積における約800keVの中性子エネルギーから始まって、顕著に増加し始める。図6は、中性子のMo−98との反応を示す、中性子エネルギー(単位eV、1eV=1.6×10-19J)の関数としての断面積のグラフである(単位バーン、1バーン=10-28m2)。長い点線は弾性散乱を示し、短い点線は非弾性散乱を示し、一点鎖線は捕獲を示し、実線は総断面積を示す。モリブデンの捕獲ピークは、約400eVである。いくつかの実装形態では、上記中性子発生器と変換対象の材料を包含する区画との間における上記中性子減速材の厚さは、約800keVの該エネルギー準位の中性子を減速するために必要な厚さにより決定されてもよい。使用される減速材の種類に応じて、該厚さは約2センチメートル〜40センチメートル超の範囲とされ得る。該吸収断面積は、約500eVでの中性子エネルギーにおいて約6バーンのピークまで上昇し続けている。約320eVの中性子エネルギーにおいて、該吸収断面積は10ミリバーン未満にまで急激に低下する。この時点で、該中性子はもはや効率的に捕獲することができなくてもよく、変換対象の物質はもはや必要とされなくてもよい。この点は、該吸収区画の半径の末端を示す。該ターゲットの種類及び濃度に応じて、該区画の厚さは、約2センチメートル〜約40センチメートルの範囲とされ得る。

上記領域もしくは個々の区画のそれぞれ、またはそれらの組み合わせは、上記溶離液を該区画のそれぞれに通過させることにより、必要に応じて溶出されてもよい。例えば、該溶離液は、該区画の一部または全てを通過させてもよいし、上記中性子発生器110を囲んでいる上記中性子減速材120を通過させなくてもよい。いくつかの場合には、該中性子発生器からの中性子の実質的に全てが該装置の壁に到達する前に該中性子減速材及び/または該区画内の材料によって吸収されるのに十分な数の該区画が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、中性子減速材の直径D1(該中性子発生源と変換対象の元素を含む区画との間)は、変換対象の元素が十分に高い断面積(例えば、ピーク断面積の約1%〜約10%を超える断面積)を有する値まで該区画における中性子のエネルギーが減速されるように、選択されてもよい。該区画の直径D2(中性子減速材120とハウジング105との間)は、該区画内の中性子が、断面積のピーク付近のエネルギーまで減速されるように、選択されてもよい。例えば、モリブデン98ターゲットに対して、該減速材の厚さは、中性子エネルギーが約1keV〜約100keV(例えば、30〜40keV)の範囲になるように選択されてもよく、該区画の厚さは、100〜1000eV(例えば、200〜600eV)のエネルギーにまで中性子を減速するのに十分であり得る。このような目的を達成するために該減速材及びターゲットの特性を選択することにより、該変換装置の効率及び/または収率を向上させ得る。

上記装置の別の実施形態を、図4A及び4Bに示す。図4Aは、装置400の上面図であり、図4Bは、装置400の側面図である。本実施形態では、装置400は、約0.75〜約2メートルの直径を備えた略球形状である。中性子発生器110は、区画410により囲まれた中央領域内に位置していてもよい。区画410は、上記ターゲット(例えば、粉末状モリブデンまたはモリブデン酸化物)と中性子減速材との混合物430を含み得る。いくつかの実施形態では、該ターゲット及び中性子減速材は、ターゲット(例えば、Mo−98)及び中性子減速材として機能する二酸化モリブデンのように、同じであってもよい。区画410は、金属含有材料415内に収容されていてもよく、該金属含有材料415は、限定されないが、アルミニウム、鋼、ベリリウム、または、材料を保持可能な任意の他の材料であってその中で変換対象の該元素材料を保持する材料を含んでいてもよい。該区画の数は、2〜多数の範囲であってもよく、例えば、6、8、10、20、50またはそれ以上であってもよい。該中性子発生器により生成される中性子は、二酸化モリブデン内に伝播して減速される。追加の中性子増倍材または減速材材料は、図4A及び4Bに示す実施形態では利用されていないが、そのような増倍材及び減速材材料は、他の実装において使用され得る。

図4Bに示すように、装置400は、各区画410の頂部に取り付けられた多岐管140を有する。この多岐管は、1つまたは複数の所望の元素を抽出するため、各区画410に溶離液を提供する。該溶離液は、入口150を通して装置400に入ってもよく、装置400を通して抽出器180へと流下してもよい。非限定的な例として、変換対象の元素がモリブデン98である場合には、生成される元素はモリブデン99である。約66時間にて、モリブデン99の半分が崩壊してテクネチウム99となる。該溶離液が生理食塩水である場合には、該生理食塩水溶液が該テクネチウムと反応することにより過テクネチウム酸ナトリウムを形成し、その後、該装置から(例えば、図4Bに示すように、該装置の底部から)溶出されてもよい。該溶離液は、出口170を通して装置400から出てもよい。いくつかの実施形態では、該溶離液は、1つまたは複数の所望の元素を含んでいてもよい。

上記装置からの過テクネチウム酸ナトリウムを効率的に除去するために、所定量の溶離液が利用され得る。上記溶液中の過テクネチウム酸ナトリウムの濃度を増加させるため、透析濾過フィルターのようなフィルター160が装置400の抽出器180内に配置されてもよい。該装置が十分に溶出された後、フィルター160を逆洗浄することにより、過テクネチウム酸ナトリウムを除去してより濃縮された溶液を生成し得る。該溶液中の過テクネチウム酸ナトリウムを濃縮する追加の方法は、真空及び熱蒸発を含む。いくつかの実施形態では、過テクネチウム酸ナトリウムを濃縮する複数の方法が併用されてもよい。

モリブデン98により吸収された中性子は、所望のモリブデン99を生成するのに有用であり得る。酸素(または他の元素)とモリブデンの他の同位体とにより吸収された中性子は、Mo−99を生成せず、損失係数を構成し得るため、モリブデン99生成の全体的な効率を低下させ得る。しかしながら、特定の理論に拘束されるものではないが、酸素16における中性子の吸収断面積はモリブデン98の中性子吸収断面積に比べて低いため、酸素はモリブデン98と比較して中性子のごく一部を吸収する。

上述のように、アルミニウムは、ハウジングとして、または開示の上記装置内の個々の区画または管に使用されてもよい。該ハウジングまたは個々の区画または管に使用される金属含有材料は、上記中性子減速材及び上記ターゲットと同様の方式により中性子を吸収してもよく、該ハウジングまたは金属含有材料は、比較的低い中性子吸収断面積を有し得る。例として、アルミニウム27(Al−27)に対して、1MeVの領域において数百eVまで低下する捕獲断面積は、1×10-3バーンの範囲であり、これはモリブデン98に対する断面積より十分に低い。したがって、Al−27は、ハウジングとして、または個々の区画または管に使用される金属含有材料として使用され得る。

上記装置内における1つの中性子損失機構は、モリブデン98以外のモリブデンの同位体による中性子吸収であってもよい。元素の同位体が中性子を吸収する速度は、元素の同位体の組成比にエネルギーの関数としての中性子吸収断面積を乗じたものに比例する。モリブデン同位体の百分率と2つの選択された中性子吸収断面積との例の表を、表1に示す。第1の列は、モリブデン同位体を表す。第2及び第3の列は、10keV及び1keVにおける各同位体のおおよその中性子吸収断面積(単位バーン)を列挙する。第4の列は、自然発生モリブデンの各同位体のおおよその同位体百分率を列挙する。第5の列は、選択されたエネルギー準位における各元素の中性子の重み付けされた(weighted)部分吸収率である。第6の列は、各同位体の中性子の吸収百分率である。表1から理解されるように、この例では、所望の変換対象の元素であり得るモリブデン98同位体は、モリブデンにより吸収される中性子全体の約27.7%を吸収する。したがって、モリブデンにより吸収される中性子の約72.3%は、所望の同位体以外の同位体により吸収される。この損失機構は、この損失を埋め合わせるために、及び変換された元素(例えば、モリブデン99)の所望の量を生成するために、上記中性子発生器の出力を増加させることによって補うことができる。

本開示は、図1〜4Bに示した例から理解されるように、変換された元素を生成するための上記装置について多数の構成が記載されている。該装置の外形は、球形、円筒形、立方体または他の任意の可能な形状であり得る。上記中性子発生器は、重水素−重水素、重水素−三重水素、重水素−ホウ素または他の可能な核反応を使用して中性子を生成し得る。これらの反応の各々は、種々のエネルギーの中性子を生成し得る。該中性子発生器は、該中性子発生器を少なくとも部分的に取り囲む中性子増倍材を有していてもよく、該中性子増倍材は、分裂または(n,2n)反応による高エネルギーの中性子増倍を活用するのに十分な厚さを備える。また、該装置は、炭素、鉛、水、重水、ベリリウム、ポリエチレンまたは他の減速材材料のような追加の減速材を含み得る。これらの異なる中性子エネルギー出力及び減速材/増倍材材料の全ては、中性子が変換対象の元素に吸収される速度に影響を与え得ると共に、該発生器からの特定の距離での変換対象の元素により吸収される中性子の総量に影響を与え得る。

種々の中性子発生器からの種々の減速材を通した変換対象の元素への中性子輸送をモデル化するため、モンテカルロ放射線輸送コンピュータコードMCNPX(ニューメキシコ州ロスアラモスのロスアラモス国立研究所から入手可能)を使用した。重水素−重水素核反応(約2.45MeVの中性子を生成する)を利用した中性子発生器から二酸化モリブデン(モリブデン98が変換対象の元素である場合)への中性子輸送の例を、表2に示す。この特定の例のために使用される中性子粒子の数は、1×108中性子である。該変換装置の幾何学的構成は、図4A及び4Bに示されるものである。中性子発生器のキャビティの半径は15センチメートルで、該装置の二酸化モリブデン部分の外径は56センチメートルである。追加の減速材材料または中性子増倍材料は、この例には利用されなかった。

表2の第1の列は、中性子のエネルギービンである。第2の列は、特定のエネルギービンにおける二酸化モリブデンの外径での中性子の割合を列挙する。該外径において吸収及び減速されない分画は、約2.5375×10-5である。第3の列は、特定のエネルギービンに存在する中性子の確率の統計的分散を列挙する。この構成例では、上記中性子発生器を出る2.45MeVの中性子の約91%が、モリブデンにより吸収されることをMCNPXコードが計算した。上記装置のアルミニウム構造及び酸素は、ごくわずかな量の中性子を吸収した。この例においてモリブデン98によって吸収された中性子の数は、該中性子発生器の全出力の91%において27.7%となる。したがって、この例示の例において、該発生器によって生成された中性子の合計の約25%が、モリブデン98によって吸収される。

上記装置のいくつかの実装では、二酸化モリブデンの外径から漏れようとする中性子は、中性子吸収材料の厚み(例えば、遮蔽材)により吸収され得る。該中性子吸収材料の厚さとしては、例えば、ホウ素、ホウ酸化ポリエチレン、カドミウム、リチウムまたは他の中性子吸収材の厚みが挙げられる。

元素の変換のための方法の例 いくつかの開示の実施形態は、元素を変換する方法に関する。図5は、元素を変換する方法の例のフローチャートである。いくつかの実施形態では、方法500は、中性子出力を生成する操作510と、中性子減速材により該中性子出力の平均エネルギーを低減することにより減速された中性子出力を生成する操作530と、該減速された中性子出力からの中性子を吸収することにより変換された元素を生成する操作540と、所望の元素を抽出する操作560とを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、該方法は、該中性子出力内の中性子を増倍させる操作520を含む。操作520は任意であってもよい。いくつかの変形例では、該方法は、該変換された元素を自然崩壊させて所望の元素を生成する操作550を含み得る。操作550は任意であってもよい。いくつかの実施形態では、開示の方法は、本明細書に記載の上記装置を実施されてもよい。

いくつかの実施形態では、中性子出力を生成する操作510は、開示の上記装置において説明したように、中性子発生器を動作させることを備えていてもよい。該中性子発生器は、高エネルギー中性子を生成するように動作させられてもよい。いくつかの実施形態では、該中性子発生器は、生成対象の所望の元素の所望の量を生成させるため、所定の期間にわたって動作させられてもよい。いくつかの実施形態では、該中性子発生器は、中性子増倍材に衝突する中性子を生成してもよく、それにより中性子の総量を増加させてもよい。例えば、中性子は、上記中性子減速材を囲んでいる劣化ウランの核(中性子増倍材として作用する)に衝突し、より多くの中性子を生成してもよい。特定の理論に拘束されるものではないが、分裂によりまたは(n,2n)または(n,3n)反応を通じて追加の中性子を生成できない該中性子発生器により生成された高エネルギー中性子は、該中性子減速材内を通過する前に、該劣化ウラン内での弾性散乱を通じて減速させられてもよい。

上記中性子発生器によって生成される中性子は、当業者にとって既知の任意の方法により生成されてもよい。例えば、該中性子は、約50キロボルト〜約250キロボルトの範囲の高電圧により、重水素のような軽元素の核を、重水素、三重水素またはホウ素10のような元素または同位体の核へと加速させることにより生成され得る。重水素−三重水素反応は、約14MeVのエネルギーを伴う高エネルギー中性子を生成する。これらの中性子は、劣化ウラン238の分裂に十分なエネルギーを有しており、そのため全ての入射中性子に対してより多くの中性子を生成する。重水素−三重水素反応断面積は他の断面よりも大きいため、該加速器への所与のエネルギー入力の量に対してより多くの中性子を生成する。該重水素−三重水素反応を利用するさらなる利点は、これら14MeVの中性子がウラン238の核と衝突する場合に追加の分裂中性子が生成することであり得る。

この高い反応断面積及び分裂中性子の生成を利用するために、このような装置では放射性三重水素及び重金属ウランの両方が利用され得るが、それらは環境問題を起こし得る。該装置及び方法において三重水素及びウランの使用を避ける(または低減する)ために(例えば、「グリーン」環境に優しい装置及び方法を提供するために)、他の反応が利用されてもよく、該他の反応としては、例えば、中性子もしくは約2.45MeVを生成する重水素−重水素反応、または約2MeV〜8MeVのエネルギーを伴う中性子を生成する重水素−ホウ素反応が挙げられる。

いくつかの実施形態では、中性子減速材により上記中性子出力の平均エネルギーを低減することにより減速された中性子出力を生成する操作530は、開示の上記装置において説明したような中性子減速材を用いてもよい。該減速された中性子出力のエネルギーは、該中性子出力の元のエネルギーよりも少ないエネルギー〜約100eV未満の範囲とし得る。該減速された中性子出力は、次に中性子増倍材または中性子減速材を通って上記ターゲットを包含する該装置の容積内へと出ていく中性子を備えていてもよく、それは、該中性子出力を減速可能または上記所望の元素の抽出を補助可能な追加の減速材材料をさらに包含していてもよい。

いくつかの実施形態では、上記減速された中性子出力からの中性子を吸収することにより変換された元素を生成する操作540は、該減速された中性子出力からの中性子を吸収する上記ターゲットの核であってもよい。

いくつかの実施形態では、上記所望の元素の上記所望の量が形成されると、該所望の元素は装置から抽出されてもよい。いくつかの実施形態では、該所望の元素は、開示の上記装置において説明したような抽出器を用いて抽出される。いくつかの実施形態では、所望の元素を抽出する操作560は、上記ターゲットを通過させて溶液を溶出することにより所望の元素を抽出することを含んでいてもよい。該ターゲットを通過させて溶液を溶出することにより所望の元素を抽出することは、溶離液を該装置内に導入し、酸化アルミニウムのような抽出を補助し得る材料を含み得る該装置に溶離液を通過させることを備えていてもよい。該溶離液は、該所望の元素を保持してもよく、該装置から出てもよい。該溶出物は、フィルター、真空蒸着システム、クロマトグラフィー、沈降手段等に送られてもよい。

図7は、種々のテクネチウム発生器における時間の関数としてのTc−99m及びMo−99の活性(単位mCi、1Ci=3.7×1010Bq(壊変毎秒))の例のグラフである。「発生器の溶出」と表記された実線は、テクネチウム発生器における時間の関数としての24時間毎に溶出されるTc−99mの例を示す。全体的な活性は、Mo−99の崩壊に起因して時間と共に減少する(「発生器の溶出」線上におけるMo−99と記された直線により示される)。これに対し、本明細書に開示された上記装置及び方法は、破線で示すように、Tc−99mの活性を実質的に一定の水準で提供し得る。この例では、該中性子発生器はMo−99が崩壊する速度とほぼ同じ速度で追加のMo−99を生成し得るため、該活性はほぼ一定であり得る。

本明細書に記載の上記装置及び方法の種々の実施形態は、24時間の間に約1〜約10キュリーの範囲の同位体材料または24時間の間に約5〜7キュリーの範囲の同位体材料を生成するために使用され得る。図8は、種々の実装において10%及び20%効率で生成され得る中性子発生器の出力の関数としてのMo−99の量の例のグラフである。グラフには、医療用イメージング調剤法の目標範囲の例が示される。この例示的かつ非限定的な例では、該効率が20%である場合には、約8000億〜約1兆中性子毎秒の範囲の中性子出力が、医療用イメージング調剤法に応じるのにMo−99において十分な活性を提供し得る。該効率が約10%である場合には、該調剤法に応じるにはより大きな中性子出力が該中性子発生器から必要とされ得る(例えば、約9000億〜約1.1兆中性子毎秒の出力)。

実施例1 以下の実施例は、任意の開示の上記装置及び方法を用いて実行され得る。

上記装置内に位置する高出力中性子発生器は、中性子増倍材及び中性子減速材としての劣化ウランの厚みに囲まれている。該中性子増倍及び該中性子減速材に囲まれた該装置の主な容積は、粉末形態の二酸化モリブデン及び酸化アルミニウムにより充填される。次に、上記中性子発生器が操作され、高エネルギー中性子を生成する。これらの中性子、中性子増倍材及び中性子減速材に囲まれた劣化ウランの核と衝突し、より多くの中性子を生成する。分裂によりまたは(n,2n)または(n,3n)反応を通じて追加の中性子を生成できない該中性子発生器により生成された高エネルギー中性子は、追加の該中性子減速材内を通過する前に、該劣化ウラン内での弾性散乱を通じて減速させられる。減速されたまたは分裂した中性子スペクトルは、続いて、追加の該中性子減速材内に進む。該中性子は、二酸化モリブデン及び酸化アルミニウムによりさらに減速させられる。該中性子がより低いエネルギーにまで減速させられると、該中性子は、モリブデン、アルミニウム及び酸素の原子核に吸収される。中性子がモリブデン98同位体により吸収されると、モリブデン99同位体が生成される。モリブデン99同位体は、崩壊してテクネチウム99mとなる。過テクネチウム酸ナトリウムを形成させるため、生理食塩水が装置を通って溶出させられる。水溶性の該過テクネチウム酸ナトリウムは、装置から溶出し、残りの溶離液の大部分から分離するためにフィルターにより収集されてもよい。フィルターが使用されない場合、該過テクネチウム酸ナトリウムは、蒸発、沈降、または他の手段により、水の大部分から分離される。

本明細書中に記載の上記装置及び方法の種々の実施形態は、24時間の間に約1〜約10キュリーの範囲のTc−99mまたは24時間の間に約5〜7キュリーの範囲のTc−99mを生成するために使用され得る。

追加の実施例及び実施形態 本明細書で開示されるいくつかの実施形態では、モリブデン98からテクネチウム99mを生成するための装置に関する。このような実施形態では、該装置は、中性子出力を伴う中性子を放出するように構成された中性子発生器と、直径D1を有し、該中性子出力の平均エネルギーを低減することにより減速された中性子出力を生成するように構成された中性子減速材と、直径D2を有し、該減速された中性子出力に晒された場合には中性子を吸収するように構成されたモリブデン含有材料を備えた1つ以上の区画であって、該モリブデン含有材料による中性子の該吸収がモリブデン98からモリブデン99を生成する該1つ以上の区画と、該1つ以上の区画からテクネチウム99mを抽出するように構成された抽出器とを備える。

いくつかの実施形態では、上記中性子出力は、約1×1010〜約1×1015中性子毎秒の速度で生成される中性子を備えていてもよい。いくつかの変形例では、該中性子出力の平均エネルギーは、約2.4MeV〜約14MeVであってもよい。いくつかの実施形態では、上記中性子減速材は、上記中性子発生器を実質的に囲んでいてもよい。さらに他の実施形態では、該中性子減速材は、鉛、ビスマス、タングステン、トリウム、ウラン、劣化ウラン、水、重水、ベリリウム、炭素、ポリエチレンまたはそれらの組み合わせであってもよい。

いくつかの実施形態では、上記直径D1は、上記減速された中性子出力のエネルギーが約1keV〜約100keVの範囲内にあるように選択されてもよい。さらに他の実施形態では、上記モリブデン含有材料は、酸化モリブデンまたは粉末状モリブデンであってもよい。いくつかの変形例では、上記直径D2は、該減速された中性子出力のエネルギーが約100eV〜約1000eVの範囲内にあるように選択されてもよい。

いくつかの実施形態では、上記抽出器は、クロマトグラフィーシステム、真空濾過システム、遠心分離システム、真空蒸着システム、重力濾過システムまたはそれらの組み合わせであってもよい。いくつかの変形例では、上記装置は、1つ以上の区画の少なくとも一部を通して溶出されるように構成された溶離液を含んでいてもよく、該溶離液は、水または生理食塩水を備える。

本明細書で開示されるいくつかの実施形態は、元素を変換するための装置に関する。そのような実施形態では、該装置は、中性子出力を伴う中性子を放出するように構成された中性子放出器と、該中性子出力の平均エネルギーを低減することにより減速された中性子出力を生成するように構成された中性子減速材と、該減速された中性子出力に晒された場合には中性子を吸収するように構成されたターゲットであって、該ターゲットによる中性子の該吸収が変換された元素を生成するターゲットと、所望の元素を抽出するように構成された抽出器とを備える。いくつかの実施形態では、該中性子放出器は、中性子発生器を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、上記中性子出力は、約1×1010〜約1×1015中性子毎秒の速度で生成される中性子を備えていてもよい。他の変形例では、該中性子出力の平均エネルギーは、約2.4MeV〜約14MeVであってもよい。該中性子減速材は、鉛、ビスマス、タングステン、トリウム、ウラン、劣化ウラン、水、重水、ベリリウム、炭素、ポリエチレンまたはそれらの組み合わせを備えていてもよい。

いくつかの実施形態では、上記中性子減速材の厚さは、上記ターゲットの中性子捕獲断面積が第1の閾値を上回る水準まで上記中性子出力のエネルギーを低減するのに十分であってもよい。該ターゲットは、カルシウム、炭素、クロム、コバルト、エルビウム、フッ素、ガリウム、三重水素、インジウム、ヨウ素、鉄、クリプトン、モリブデン、窒素、酸素、リン、ルビジウム、サマリウム、セレン、ナトリウム、ストロンチウム、テクネチウム、タリウム、キセノンまたはイットリウムの少なくとも1つを備えていてもよい。

いくつかの変形例では、上記ターゲットの厚さは、該ターゲットの中性子捕獲断面積が第2の閾値を上回る水準まで上記減速された中性子出力のエネルギーを低減するのに十分であってもよい。ここで、該第2の閾値は、上記第1の閾値を上回っており、該第2の閾値は、好ましくは、該ターゲットの該中性子捕獲断面積のピーク付近である。

上記装置は、抽出器を備えていてもよい。このような実施形態では、該抽出器は、クロマトグラフィーシステム、真空濾過システム、遠心分離システム、真空蒸着システム、重力濾過システムまたはそれらの組み合わせを備えていてもよい。

いくつかの実施形態では、上記変換された元素は、自然に崩壊して所望の元素を生成してもよい。いくつかの実施形態では、上記ターゲットはモリブデン98を備えていてもよく、該変換された元素はモリブデン99を備えていてもよく、該所望の元素はテクネチウム99mを備えていてもよい。

本明細書で開示されるいくつかの実施形態は、ターゲットを変換する方法に関する。いくつかの実施形態では、該方法は、中性子出力を生成する工程と、減速された中性子出力を生成するように中性子減速材を用いて該中性子出力の平均エネルギーを低減する工程と、変換された元素を生成するように該減速された中性子出力からの中性子を吸収する工程と、所望の元素を抽出する工程とを備える。いくつかの実施形態では、方法は、該中性子出力において中性子を増倍させる工程を備えていてもよい。さらに他の実施形態では、該方法はまた、所望の元素を生成するように該変換された元素を自然崩壊させる工程を備えていてもよい。

いくつかの実施形態では、上記中性子減速材の厚さは、上記ターゲットの中性子捕獲断面積が第1の閾値を上回る水準まで上記中性子出力のエネルギーを低減するのに十分であってもよい。いくつかの実施形態では、該ターゲットの厚さは、該ターゲットの該中性子捕獲断面積が第2の閾値を上回る水準まで上記減速された中性子出力のエネルギーを低減するのに十分であってもよい。ここで、該第2の閾値は、上記第1の閾値を上回っており、該第2の閾値は、好ましくは、該ターゲットの該中性子捕獲断面積のピーク付近である。

結論 本明細書の所定の実施例は、Tc−99mを生成するためのMo−99の生成の文脈において説明してきたが、本明細書に記載される装置及び方法は、他の元素または同位体の中性子変換についても実施され得る。例えば、該装置及び方法は、カルシウム、炭素、クロム、コバルト、エルビウム、フッ素、ガリウム、三重水素、インジウム、ヨウ素、鉄、クリプトン、モリブデン、窒素、酸素、リン、ルビジウム、サマリウム、セレン、ナトリウム、ストロンチウム、テクネチウム、タリウム、キセノン、イットリウム、または中性子変換による元素または同位体を生成可能な任意の他の元素のような変換される元素または同位体について使用され得る。

種々の数値例、表、グラフ及びデータが本明細書に提示されている。これらの数値例、表、グラフ及びデータは、所定の実施形態の例を示すことについて意図されるが、開示の装置及び方法の範囲を限定することについては意図されない。

上述の種々の特徴、装置及びプロセスは、互いに独立して使用されてもよく、または種々の方法により組み合わせられてもよい。全ての可能な組み合わせ及び部分的組み合わせは、本開示の範囲内に属することについて意図される。加えて、特定の方法またはプロセスのブロックはいくつかの実装形態では省略されてもよい。本明細書に記載の方法及びプロセスはまた、任意の特定の配列または順序に限定されず、それに関連するブロックまたは操作は、適切である他の配列または順序により行われ得る。例えば、記載のブロックまたは操作は、明確に開示されている以外の順序において実行してもよく、または、複数のブロックまたは操作は、単一のブロックまたは操作に組み合わせられてもよい。ブロックまたは操作の例は、連続的に、並列的に、または他の方法により実行されてもよい。開示の実施形態の例に対して、ブロックまたは操作が付加、削除または再配置されてもよい。本明細書に記載のシステム及び構成要素の例は、記載とは異なって構成されていてもよい。例えば、開示の実施形態の例に対して、要素が付加、削除及び再配置されてもよい。

本明細書中で使用される条件付きの語法、なかでも「し得る(can、could)」「してもよい(might、may)」「例えば(e.g.)」等は、特に別段の記載のない限り、または使用される文脈内において理解される限り、通常は、所定の特徴、要素及び/またはステップについて、所定の実施形態には含まれるが、他の実施形態には含まれない旨を伝えることについて意図される。したがって、このような条件付き語法は、特徴、要素及び/またはステップが1つ以上の実施形態に全て必要であることを示すことについて意図されるものではなく、または、1つ以上の実施形態が、これらの特徴、要素及び/またはステップが含まれているか、または任意の特定の実施形態において実行されるものであるかについて、著者の考えまたは示唆の有無を決定する論理を必ず含む旨を示すことについて意図されるものではない。用語「備える(comprising)」「含む(including)」「有する(having)」等は同義語であり、包括的に、制限されない様式で使用され、追加の要素、特徴、行為、操作などを除外しない。また、用語「または(or)」は、包括的な意味で使用され(かつ排他的な意味で使用され)、例えば、要素のリストを接続する場合における用語「または(or)」は、リスト内の要素の1つ、いくつか、または全てであることを意味する。

「X、Y及びZの少なくとも1つ」という表現のような接続的語法は、特に別段の記載のない限り、項目や用語等がX、YまたはZのいずれかでもよいことを伝えるために通常使用される文脈として理解される。したがって、そのような接続的語法は、所定の実施形態が、Xの少なくとも1つと、Yの少なくとも1つと、Zの少なくとも1つとをそれぞれ必要とすることを通常は意図しない。

いくつかの実施形態の例について説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであって、本明細書中に開示の発明の範囲を限定するものではない。したがって、前述の説明においては、いずれの特定の機能、特徴、ステップ、モジュールまたはブロックが必要または必須である旨を示すことは何ら意図されていない。実際に、本明細書に説明される新規な方法及びシステムは、他の様々な形態において具体化され得る。さらに、本明細書に記載される方法及びシステムの形態において、種々の省略、置換及び変更が、本明細書に開示される発明の趣旨から逸脱することなく行われ得る。添付の特許請求の範囲及びその均等物は、本明細書に開示される発明の特定の範囲及び趣旨内に属するそのような形態または改変を包含することについて意図される。

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