駆動装置、電子機器及び駆動制御プログラム

申请号 JP2014520826 申请日 2012-06-11 公开(公告)号 JP5907260B2 公开(公告)日 2016-04-26
申请人 富士通株式会社; 发明人 鎌田 裕一; 谷中 聖志; 遠藤 康浩; 矢吹 彰彦;
摘要
权利要求

タッチパネルを振動させるアクチュエータの駆動装置であって、 前記アクチュエータの共振周波数をf0としたとき、周波数f1=m/n×f0(m,nは自然数かつm≠n)を満たす正弦波から位相をπ/2ずらした余弦波をm周期含み、且つ、前記余弦波の振幅がゼロとなる前記振幅の中心点以外を終端とした駆動信号波形データが格納された記憶部と、 前記記憶部に格納された前記波形データを読み出し、前記波形データに対応する駆動信号を前記アクチュエータへ出する駆動処理部と、を有し、 m、nは、前記駆動信号の出力の停止から0.02秒以内に、前記タッチパネルの振動の加速度が0.02G以下になる値である、駆動装置。前記駆動信号は、前記振幅がピークを終端とする請求項1記載の駆動装置。前記周波数f1は、f1=m/n×f0(m,nは自然数かつm>n)を満たす請求項1又は2記載の駆動装置。タッチパネルと、 前記タッチパネルを振動させる共振周波数f0のアクチュエータと、 周波数f1=m/n×f0(m,nは自然数かつm≠n)を満たす正弦波から位相をπ/2ずらした余弦波をm周期含み、且つ、前記余弦波の振幅がゼロとなる前記振幅の中心点以外を終端とした駆動信号の波形データが格納された記憶部と、前記記憶部に格納された前記波形データを読み出し、前記波形データに対応する駆動信号を前記アクチュエータへ出力する駆動処理部と、を有し、 m、nは、前記駆動信号の出力の停止から0.02秒以内に、前記タッチパネルの振動の加速度が0.02G以下になる値である、駆動装置と、を有する電子機器。コンピュータに、 タッチパネルを振動させるアクチュエータの共振周波数をf0としたとき、周波数f1=m/n×f0(m,nは自然数かつm≠n)を満たす正弦波から位相をπ/2ずらした余弦波をm周期含み、且つ、前記余弦波の振幅がゼロとなる前記振幅の中心点以外を終端とした駆動信号の波形データが格納された記憶部から前記波形データを読み出す処理と、 前記波形データに対応する駆動信号を前記アクチュエータへ出力する処理と、を実行させ、 m、nは、前記駆動信号の出力の停止から0.02秒以内に、前記タッチパネルの振動の加速度が0.02G以下になる値である、駆動制御プログラム。

说明书全文

本発明は、アクチュエータを駆動させる駆動装置、電子機器及び駆動制御プログラムに関する。

従来から、フラットなタッチパネルを入手段とする電子機器がある。このタッチパネルは、タッチパネルに対する接触を入力操作として受け付けるものであり、操作に応じた触感を提供することは考慮されていなかった。そのため従来のタッチパネルでは、操作に応じた触感を表現するデバイスの搭載が望まれていた。

そこで近年では、例えばLRA(Linear Resonant Actuator)による振動を利用して操作に応じた触感を提供することが考えられている。また、LRAの駆動方法については、特許文献1として挙げるものや、触覚提示デバイスを制御するための専用IC(Integrated Circuit)等がある。

特表2008−521597号公報

しかしながらLRAを用いた振動では、入力を停止しても直ちに振動が停止しないため、例えばメタルドーム式のボタンを押下する操作で生じる急峻な触感等を表現することが困難である。また、特許文献1のようなLRAの入力停止後に逆位相入力を行う振動抑制手段もあるが、抑制効果が不十分であった。このため従来の技術では、操作の種類に対する適切な触感の違いを表現することが困難である。

そこで開示の技術は、操作に応じた触感を提供することが可能な駆動装置、電子機器及び駆動制御プログラムを提供することを目的とする。

開示の一態様の駆動装置は、タッチパネルを振動させるアクチュエータの駆動装置であって、前記アクチュエータの共振周波数をf0としたとき、周波数f1=m/n×f0(m,nは自然数かつm≠n)を満たす正弦波から位相をπ/2ずらした余弦波をm周期含み、且つ、前記余弦波の振幅がゼロとなる前記振幅の中心点以外を終端とした駆動信号波形データが格納された記憶部と、前記記憶部に格納された前記波形データを読み出し、前記波形データに対応する駆動信号を前記アクチュエータへ出力する駆動処理部と、を有し、m、nは、前記駆動信号の出力の停止から0.02秒以内に、前記タッチパネルの振動の加速度が0.02G以下になる値である。

開示の技術によれば、操作に応じた触感を提供することができる。

本実施例の概要を説明する図である。

人の加速度器官の感度を示す図である。

本実施例の電子機器を説明する図である。

LRAの例を示す図である。

本実施例の駆動装置を説明する図である。

本実施例の駆動装置によるLRAの駆動を説明するフローチャートである。

LRAの模式図の例を示す図である。

LRAに印加される入力波形の例を示す図である。

LRAの変位を示す図である。

LRAの振動の速度及び振動の加速度の例を示す図である。

LRAの固有振動数の正弦波を駆動信号としたときのLRAの振動の加速度を示す図である。

LRAの固有振動数の正弦波による駆動信号停止後にLRAに発生する振動の逆位相の電圧を振動抑制信号として印加したときのLRAの振動の加速度を示す図である。

特定の条件を満たさない信号を駆動信号としたときのLRAの振動の加速度を示す図である。

特定の条件を満たす信号を駆動信号としたときのLRAの振動の加速度を示す図である。

タッチパネルの共振周波数による振動の励起を説明する図である。

LRAの共振周波数の電圧を駆動信号としたときのタッチパネルの振動の加速度を示す図である。

高周波振動を励起する箇所をずらした例を示す図である。

本実施例のLRAの駆動信号の例を示す図である。

本実施例のLRAに対する入力波形を示す図である。

本実施例のLRAの変位を説明する図である。

本実施例のLRAの振動の速度及び振動の加速度の例を示す図である。

LRAが筐体に設けられた電子機器の例を示す図である。

以下に図1を参照して本実施例の概要について説明する。図1は、本実施例の概要を説明する図である。

図1(A)は、人間の指に加速度計1を取り付けてボタン2を押下した際に生じる振動の加速度の波形11を示す図である。図1(B)は、人間の指に加速度計1を取り付けて、LRA(Linear Resonant Actuator)が取り付けられたタッチパネル3をタッチした際に生じる振動の加速度の波形12を示す図である。図1の例では、ボタン2は例えばメタルドーム式のボタンである。またボタン2とタッチパネル3は、電子機器に設けられたものである。

波形11で示される振動は、1〜数周期で急速に減衰する。これに対して波形12で示される振動は、駆動信号の供給を停止後もLRAの固有振動数による自由振動が減衰するまで続く。

ところで、人間の指は、振動周波数200Hzにおいて振動の加速度が0.02G以下になると振動を感知できなくなる。振動周波数とは、1秒間の振動数である。振動の加速度とは、単位時間当たりの振動の速度変化量を示すものである。図2は、人の加速度器官の感度を示す図である。尚人間の加速度を感知する器官は、パチニ小体である。パチニ小体は、主に皮膚に見られる主要な4種類の機械受容体のうちの1つである。

すなわち波形11では、指は0.01sec以内に振動の加速度が0.02G以下とるため振動を感知しなくなる。これに対して波形12では、振動の加速度が0.02G以下になるまで0.1secが必要であり、指は0.1sec経過するまで振動を感知し続ける。したがって波形11で示される振動と、波形12で示される振動とでは、人間が感知する触感として全く異なるものとなる。

そこで本実施例では、LRAの振動のパターンを工夫することで、ボタン2を押下した際のクリック感を表現する。

以下に図3を参照して本実施例の電子機器について説明する。図3は、本実施例の電子機器を説明する図である。

本実施例の電子機器は、例えば表示機能と入力機能とを有するタッチパネルを入力手段として有する機器であれば良い。例えば本実施例の電子機器は、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、携帯情報端末等であっても良い。

本実施例の電子機器100は、筐体110、タッチパネル120、両面テープ130、LRA140、基板150を有する。

本実施例の電子機器100では、両面テープ130により、タッチパネル120が筐体110に固定されている。LRA140は、タッチパネル120の筐体側の面に取り付けられている。LRA140は、予め設計された共振周波数を持つ振動系とアクチュエータとが組み合わされたもので、主に共振周波数で駆動して振動を発生させる振動デバイスであり、駆動波形の振幅により振動量が変化する。尚本実施例ではLRA140を振動デバイスとしたが、共振器と加振用のアクチュエータを備えた構造であればLRAに限らない。

基板150は、筐体110内部に配置されている。基板150には、LRA140の駆動を制御するために駆動装置やLRA140に駆動信号を出力するドライバIC等が実装されている。

本実施例の電子機器100は、タッチパネル120にユーザの指が接触すると、この接触を感知して基板150に実装された駆動装置によりLRA140を駆動し、LRA140の振動をタッチパネル120に伝播させる。

尚本実施例の電子機器100は、タッチパネル120を入力操作部とする機器であればよいため、例えばATM(Automatic Teller Machine)のように特定の場所に設置されて利用される機器であってもよい。

以下に図4を参照してLRA140について説明する。図4は、LRAの例を示す図である。図4(A)はボイスコイルを用いたLRAの例を示す図であり、図4(B)は圧電素子を用いたLRAの例を示す図である。

図4(A)に示すLRA30は、ばね31、磁石32、コイル33を有する。LRA30は、ばね31のばね定数をkとし、磁石32の質量をmとすると、固有振動数f0が以下の式1で示される。

図4(B)に示すLRA40は、重り41、梁42、圧電素子43を有する。LRA40は、重り41の質量をmとし、梁42のヤング率をEとし、梁42の断面2次モーメントをIとし、Lを梁42の長手方向の長さとすると、固有振動数f0が以下の式2で示される。

本実施例のLRA140は、ボイスコイルを用いたLRA30を適用しても良いし、圧電素子43を用いたLRA40を適用しても良い。

次に図5を参照して本実施例の電子機器100の有する基板150に実装された駆動装置について説明する。図5は、本実施例の駆動装置を説明する図である。

本実施例の駆動装置200は、CPU(Central Processing Unit)210と、メモリ220とを有する。CPU210は、メモリ220に格納された駆動制御プログラム230を読み出して実行することで、後述するLRA140の駆動処理を行う。メモリ220には、LRA140の駆動を制御する駆動制御プログラム230が格納される記憶領域と、波形データ240が格納される記憶領域と、触感を提供するAPI(Application Programming Interface)250が格納される記憶領域とが設けられている。

駆動制御プログラム230は、CPU210にLRA140の駆動制御を実行させる。波形データ240は、LRA140により生じる振動によりクリック感を表現するために予め生成された駆動信号の波形を表すデータである。波形データ240の詳細は後述する。API250は、駆動制御プログラム230により起動され、触感を提供するための各種処理を行う。API250は、図5ではAPI250はメモリ220に格納されるものとしたが、基板150に実装された他のメモリに格納されていても良い。

図6は、本実施例の駆動装置によるLRA140の駆動を説明するフローチャートである。

本実施例の駆動装置200は、タッチパネル120に対する接触を検出すると(ステップS601)、API250を起動させる(ステップS602)。具体的には駆動装置200は、例えばタッチパネル120上に表示されたボタンに対する接触があった場合等にAPI250を起動しても良い。

API250は、メモリ220に格納された波形データ240を読み出し、波形データ240に対応した駆動指令をドライバIC260へ出力する(ステップS603)。ドライバIC260は、駆動指令を受けて波形データ240をD/A(Digital to Analog)変換し(ステップS604)、アンプ等により増幅する(ステップS605)。ドライバIC260は、増幅した信号をLRA140に対して出力する(ステップS606)。

以下に本実施例の波形データ240について説明する。本実施例では、2つの方法を用いてLRA140の振動のパターンを変化させて、クリック感を表現する。

まず第1の方法について説明する。第1の方法は、駆動信号の供給停止後も続くLRA140の固有振動数による自由振動を抑制する方法である。以下の本実施例の説明では、駆動信号の供給停止後も続くLRA140の固有振動数による自由振動を残留振動と呼ぶ。

第1の方法では、後述する特定の条件を満たす駆動信号をLRA140に供給したときにLRA140の振動が1〜数周期で停止することに着目した。第1の方法では、特定の条件を満たす駆動信号をLRA140に印加して残留振動を停止させることで、1〜数周期で急速に減衰する振動を発生させ、クリック感を表現する。

特定の条件を満たす駆動信号は、LRA140の固有振動数をf0としたとき、f1=m/n×f0(m,nは自然数かつm≠n)となる周波数f1の信号でLRA140をm回加振する信号である。

図7は、LRA140の模式図の例を示す図であり、図8は、LRA140に印加される入力波形の例を示す図である。

LRA140の固有振動数f0を175Hzとし、m=2,n=1としたとき、駆動信号Fの周波数f1=2/1×175=350Hzの正弦波となる。駆動信号Fの周波数をf1としたときの駆動信号Fは、図8に示す波形である。図8の例では、駆動信号F=0.01sin2πf1tとなる。

駆動信号FがLRA140に印加されると、LRA140はLRA140の固有振動数(共振周波数)f0の振動が生じる。すなわちLRA140には、周波数f1の駆動信号FとLRA140の固有振動数f0の正弦波とが合成された合成波が生じ、LRA140はこの合成波に応じて変位する。

図9は、LRA140の変位を示す図である。図9(A)は、変位を説明する第一の図であり、図9(B)は変位を説明する第二の図である。

図9(A)において、点線で示される波形はLRA140に駆動信号Fが印加されたときにLRA140に生じる振動変位の強制振動成分y1を示し、実線で示される波形は自由振動成分y2を示す。駆動信号FがLRA140に印加されたときのLRA140の応答変位y3は、y1とy2との合成波となる。

図9(B)は、応答変位y3の例を示す図である。応答変位y3は、駆動信号Fが0となるタイミングTにおいて0となることがわかる。

応答変位y3が0となるタイミングTにおいて、LRA140の振動の速度、振動の加速度はともに0になるため、LRA140の振動は停止する。

図10は、LRA140の振動の速度及び振動の加速度の例を示す図である。図10(A)は応答変位y3の波形を示す図であり、図10(B)は応答変位y3の微分である速度の波形y3′の波形を示す図であり、図10(C)は応答変位y3の2回微分である加速度の波形y3″の波形を示す図である。

図10からわかるように、速度の波形y3′と加速度の波形y3″とは、応答変位y3が0となるタイミングで0となる。すなわちLRA140の振動がタイミングTで停止する。

このとき加速度の波形y3″は、0.01sec以内に2周期で停止する。したがって図10の例では、振動の加速度が0.01sec以内に0.02G以下となり、ボタン2を押下した際のクリック感を表現することができる。

以下に図11乃至図14を参照して、上述する第1の方法の効果を説明する。図11は、LRA140の固有振動数の正弦波を駆動信号としたときのLRA140の振動の加速度を示す図である。

図11(A)は、LRA140の共振周波数f0=175Hzの正弦波の駆動信号を示す。図11(B)は、図11(A)の正弦波を駆動信号としてシミュレーションした際のLRA140の振動の加速度を示す。図11(C)は、共振周波数f0=175HzのLRA140を搭載した実機において図11(A)の駆動信号をLRA140に印加した際のタッチパネル120の振動の加速度を示す。尚タッチパネル120の振動の加速度は、タッチパネル120の中央に加速度計を配置して検出したものである。

図11(B),(C)からわかるように、共振周波数f0の正弦波を駆動信号とした場合、残留振動が0.1sec以上に亘り現れる。

尚図11(C)において駆動信号が印加されるLRA140は、共振周波数f0=175Hz、重りの重さを1.5g、重りを支持するばね定数を1813.5N/mのものとした。

図12は、LRA140に発生する振動の逆位相の電圧を印加したときのLRA140の振動の加速度を示す図である。図12(A)は、LRA140の共振周波数f0=175Hzの正弦波の駆動信号を示す。図12(B)は、LRA140を搭載した実機において図12(A)の正弦波を駆動信号とし、且つ駆動信号の供給停止後にLRA140に発生する振動の逆位相の電圧を印加したときのタッチパネル120の振動の加速度を示す。

図12の例では、図11に比べて残留振動は小さくなるが、振動の加速度が人の感知下限の0.02G以下になるまでに0.05sec以上かかる。

図13は、特定の条件を満たさない信号を駆動信号としたときのLRA140の振動の加速度を示す図である。

図13(A)は、特定の条件を満たさない周波数300Hzの正弦波の駆動信号を示す。図13(B)は、図13(A)の正弦波を駆動信号としてシミュレーションした際のLRA140の振動の加速度を示す。図13(C)は、共振周波数f0=175HzのLRA140を搭載した実機において図13(A)の駆動信号を印加した際のタッチパネル120の変位の加速度を示す。

図13の例では、図(B),(C)からわかるように、特定の条件を満たさない周波数の正弦波を駆動信号とした場合、残留振動が0.04sec以上に亘り現れる。

図14は、特定の条件を満たす信号を駆動信号としたときのLRA140の振動の加速度を示す図である。

図14(A)は、特定の条件を満たす周波数350Hzの正弦波の駆動信号を示す。図14(B)は、図14(A)の正弦波を駆動信号としてシミュレーションした際のLRA140の振動の加速度を示す。図14(C)は、共振周波数f0=175HzのLRA140を搭載した実機において図14(A)の駆動信号を印加した際のタッチパネル120の変位の加速度を示す。

図14の例では、図14(B),(C)からわかるように、0.02sec以降は残留振動の加速度が感知下限の0.02G以下となり、振動の波形は短時間の波形となる。

以上から、LRA140による振動の波形は、LRA140の共振周波数をf0としたとき、f1=m/n×f0(m,nは自然数かつm≠n)となる周波数f1の信号でLRA140をm回加振する信号を駆動信号とすれば、残留振動をなくすことができる。またLRA140を搭載した実機におけるタッチパネル120の振動の加速度の波形は1〜数周期で急速に減衰する短時間の波形となり、クリック感を表現することができる。

尚固有振動数f0は、LRA140を電子機器100に組み込んだ後のLRA140の固有振動数としても良い。また周波数f1は、m/n×f0に対して誤差が1%以下となるように設定することが好ましい。このように周波数f1を設定すれば、駆動信号の印加を停止した後に残留振動が生じたとしても、振動の加速度は人の感知下限である0.02G以下となり人に感知されないため、クリック感を損ねることがない。

次に、LRAの振動のパターンを変化させてクリック感を表現する第2の方法について説明する。

第2の方法では、筐体110に固定されたタッチパネル120自体も高周波で振動する振動体であることに着目する。第2の方法では、LRA140の駆動信号を、振幅がピークの時点でLRA140に対する加振を停止させる信号とし、タッチパネル120自体の高周波の振動を励起することで、1〜数周期で急速に減衰する振動を発生させてクリック感を表現する。

図15は、タッチパネルの共振周波数による振動の励起を説明する図である。図15(A)は、LRA140に印加される駆動信号の正弦波形を示し、図15(B)はLRA140の振動の加速度の波形を示す。図15の例では、駆動信号は電圧である。また図15の例では、LRA140の共振周波数を225Hzとし、タッチパネル120の共振周波数を1kHzとした。すなわちLRA140の振動は低周波振動であり、タッチパネル120の振動は高周波振動と言える。尚タッチパネル120の共振周波数は、タッチパネル120の4辺が筐体110に固定された状態における共振周波数である。

図15に示す例において、LRA140を共振周波数225Hzで低周波振動させた場合、タッチパネル120の高周波振動は励起されない。この状態においてLRA140の振動を調和振動から外し、急激な力をタッチパネル120に印加することで、タッチパネル120の共振周波数である1kHzの振動を励起する。

図15の例では、図15(A)に示すように、振幅がピークとなった点P1でLRA140に対する加振を停止させる信号を駆動信号とした。図15(A)に示す駆動信号の振幅は、LRA140に対する加振が停止した直後に0となる。図15の例では、駆動信号の振幅をピークから0にすることで、LRA140の振動を調和振動から外す。

また図15の例では、駆動信号によるLRA140の駆動時間を7/4周期とし、振幅がピークとなる点P1が駆動信号の終端となるようにした。尚駆動信号の終端とは、LRA140に対する加振を停止する点である。

この結果、図15(B)に示すように、点P1において周波数が1kHzの高周波振動が励起され、1〜数周期で急速に減衰する振動を発生させる。さらに図15の例では、点P1で高周波振動を励起することで、低周波振動の加速度の最大値と高周波振動の加速度の最大値とをタイミングを合わせて重畳し、短時間でより強度の大きい急峻なピークを発生させることができる。このように第2の方法では、振動の加速度の短時間の急峻なピークを発生させることで、鋭い触感を提供することができ、クリック感を表現できる。

以下に図16を参照して上述する第2の方法の効果を説明する。図16は、LRA140の共振周波数の電圧を駆動信号としたときのタッチパネルの振動の加速度を示す図である。図16の例では、LRA140の駆動時間を短くしてクリック感の表現を試みた際のタッチパネル120の振動の加速度を示している。

しかしながらタッチパネル120の振動は、LRA140の駆動時間を短くしても、振動量を増幅させるための立ち上がりの時間と、増幅された振動の加速度が0.02G以下に減衰するまでの時間が必要となり、振動が数周期に亘って続く。図16の例では、立ち上がりから減衰までに25msec程度の時間がかかり、振動が約4周期に亘り続いていることがわかる。したがってクリック感のような鋭い触感を提供することが困難である。

これに対して図15(B)では、周波数1kHzの振動が急激に立ち上がっており、その振動も2周期程度で減滅していることがわかる。

よって第2の方法では、振動の加速度の短時間の急峻なピークを発生させてクリック感を表現することができる。

尚図15の例では、駆動信号の終端である点P1で高周波振動が励起され、高周波振動の加速度が3/4周期でピークを迎える。一方、低周波振動の加速度は点P1から1/4周期でピークを迎える。よって高周波振動の加速度がピークを迎えるタイミングは、低周波振動の加速度がピークを迎えるタイミングから僅かにずれることになる。

第2の方法では、このタイミングのずれを無くすために、高周波振動を励起する箇所を点P1からずらしても良い。図17は、高周波振動を励起する箇所をずらした例を示す図である。図17(A)は、LRA140に印加される駆動信号の正弦波形を示し、図17(B)はLRA140の振動の加速度の波形を示す。

図17(A)において、駆動信号は、振幅のピークからわずかにずれた点P2を終端としている。図17(B)では、駆動信号の終端P2を振幅のピークからずらしたため、重畳される高周波振動の加速度の振幅が最大値より小さくなり、高周波振動の加速度と低周波振動の加速度とが重畳された状態における高周波振動の加速度のピークは図15(B)に示す値よりも小さくなるが、図15の例と同等の効果を得ることができる。

本実施例の駆動装置200では、第1の方法と第2の方法とを用いて生成したLRA140の駆動信号の波形を波形データ240としてメモリ220に保持している。

以下に本実施例の駆動信号について説明する。本実施例では、第1の方法で説明した特定の条件を満たし、且つ第2の方法で説明したように振幅がピークとなる点を終端とする信号を駆動信号とした。

図18は、本実施例のLRA140の駆動信号の例を示す図である。図18(A)は、本実施例の駆動信号Gの波形であり、図18(B)は本実施例の駆動信号GがLRA140に印加された際のタッチパネル120の振動の加速度を示す図である。

本実施例の駆動信号Gは、周波数f1=m/n×f0(m,nは自然数かつm≠n)となる周波数f1の信号で且つLRA140をm回加振する信号である。図18の例では、m=3,n=2とした。また本実施例の駆動信号Gは、さらに振幅が最大値となる点P3を終端とする。

本実施例では、駆動信号Gをm周期の信号であり且つ振幅のピークが終端となる信号とするために、駆動信号Gを正弦波波形からπ/2位相をずらした余弦波とした。本実施例では駆動信号Gを余弦波とすることで、駆動信号Gを特定の条件を満たし且つ終端が振幅のピークとなる信号とすることができる。

尚本実施例の電子機器100では、タッチパネル120にLRA140が取り付けられているため、タッチパネル120の共振周波数をタッチパネル120の4辺が筐体110に固定された状態における共振周波数とした。タッチパネル120の共振周波数は、例えばLRA140が筐体110内部に配置される場合には、タッチパネル120が筐体110に組み込まれた状態におけるタッチパネル120の共振周波数となる。

本実施例の駆動装置200の波形データ240は、例えば駆動信号Gの波形を表すデータである。具体的には例えば波形データ240は、駆動信号Gの周波数f1、振幅、位相、周期(mの値)等を含む。また本実施例の波形データ240は、駆動信号Gの波形を表す式を含んでも良い。

本実施例の駆動装置200は、図6のステップS603において、API250により、駆動信号Gを示す波形データ240を読み出し、波形データ240に対応した駆動指令をドライバIC260へ出力する。ドライバIC260は、波形データ240をD/A変換して増幅し、LRA140に出力する。

本実施例の駆動装置200において、LRA140に駆動信号Gが印加された場合について説明する。

図19は、本実施例のLRA140に対する入力波形を示す図である。図19に示す波形は、駆動信号GをLRA140に印加することにより、LRA140に加えられる力を示している。

本実施例において、LRA140の固有振動数f0を225Hzとし、m=3,n=2としたとき、駆動信号Gの周波数f1は、f1=3/2×225=337.5Hzとなる。図19に示す波形は、駆動信号Gの周波数をf1としたときの正弦波Fの位相をπ/2ずらした余弦波G1である。正弦波Fは、F=0.01sin2πf1tで得られる。

余弦波G1がLRA140に印加されると、LRA140はLRA140の固有振動数f0(すなわち共振周波数)の振動が生じる。すなわちLRA140には、周波数f1の余弦波G1とLRA140の固有振動数f0の余弦波とが合成された合成波が生じ、LRA140はこの合成波に応じて変位する。

図20は、本実施例のLRA140の変位を説明する図である。図20(A)は、変位を説明する第一の図であり、図20(B)は変位を説明する第二の図である。

図20(A)において、点線で示される波形はLRA140に余弦波G1が印加されたときにLRA140に生じる振動変位の強制振動成分y11を示し、実線で示される波形は自由振動成分y12を示す。余弦波G1がLRA140に印加されたときのLRA140の応答変位y13は、強制振動成分y11と自由振動成分y12との合成波となる。

図20(B)は、応答変位y13の一例を示す図である。応答変位y13は、余弦波G1が0となるタイミングT1において0となることがわかる。

応答変位y13が0となるタイミングT1において、LRA140の振動の速度も0になるため、LRA140の振動は停止する。

図21は、本実施例のLRA140の振動の速度及び振動の加速度の例を示す図である。図21(A)は応答変位y13を示す図であり、図21(B)は応答変位y13の微分である速度の波形y13′の波形を示す図であり、図21(C)は応答変位y13の2回微分である加速度の波形y13″の波形を示す図である。

図21からわかるように、速度の波形y13′と加速度の波形y13″とは、応答変位y13が0となるタイミングT1で0となる。すなわちLRA140の振動がタイミングT1で停止する。

このとき加速度の波形y13″は、0.01sec以内に3周期で停止する。したがって本実施例では、0.01sec以内に振動の加速度が0.02G以下となり、メタルドーム式のボタン2を押下した際のクリック感を表現することができる。

尚本実施例では、余弦波G1の振幅がピークとなる点で加振を停止させるものとしたが、これに限定されない。本実施例において駆動信号の終端は、例えばタッチパネル120の振動の加速度を示す波形に、クリック感を表現する急峻なピークを生成できる点であれば良い。本実施例において駆動信号の終端は、振幅の中心点である0以外であれば良く、駆動信号の終端は振幅のピークに近い点であるほど良い。

また本実施例の電子機器100では、LRA140がタッチパネル120の筐体側の面に取り付けられるものとしたが、これに限定されない。LRA140は、例えば筐体110内部に配置された基板150の近傍に配置されても良い。

図22は、LRA140が筐体に設けられた電子機器の例を示す図である。図22に示す電子機器100Aでは、LRA140が筐体110内部に設けられた基板150の近傍に配置されている。

本実施例は、電子機器100Aに対しても適用することができる。また電子機器100Aに本実施例を適用した場合、本実施例の電子機器100と同様にメタルドーム式のボタン2を押下した際のクリック感を表現することができる。

以上、実施の形態の駆動装置、電子機器及び駆動制御プログラムについて詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。

100、100A 電子機器 110 筐体 120 タッチパネル 130 両面テープ 140 LRA 200 駆動装置 210 CPU 220 メモリ 230 駆動制御プログラム 240 波形データ 250 API 260 ドライバIC

QQ群二维码
意见反馈