Light - atomic clock based on the electronic oscillator

申请号 JP2003585274 申请日 2003-04-09 公开(公告)号 JP2005522887A 公开(公告)日 2005-07-28
申请人 カリフォルニア インスティテュート オブ テクノロジー; 发明人 ルトフォラ マレキ; ナン ユー;
摘要 発振器の発振周 波数 を 原子 周波数基準に安定化する周波数同期メカニズムを有する光−電子発振器。 かかる発振器にささやき回廊モードの光共振器を用いて小型の原子時計を形成する。
权利要求
  • 光部および電気部を備える光−電気ループを有し、発振周波数で発振を生成するよう動作可能な光−電気発振器と、
    原子周波数基準を含むとともに、前記光部の光信号の少なくとも一部を受信し、相互作用するよう結合して、フィードバック信号を生成する原子基準モジュールとを備え、
    前記発振器が前記フィードバック信号に応じて前記発振周波数を前記原子周波数基準に対して安定化するよう動作可能であるようになした装置。
  • 前記発振器は、搬送波周波数でレーザ搬送波を受信し、前記レーザ搬送波を変調周波数で変調して前記電気部の電気出力に応じた変調光信号を生成する光変調器を含み、
    前記光部は前記変調光信号の少なくとも一部を受信する、
    請求項1の装置。
  • 前記光−電気ループに遅延を生成するように、前記光部が光遅延素子を含む、
    請求項2の装置。
  • 前記光遅延素子は光共振器を含む、
    請求項3の装置。
  • 前記光共振器はささやき回廊モード共振器である、
    請求項4の装置。
  • 前記原子基準モジュールは、光エネルギーにフィルタをかけるために前記光部に配置される原子セルを含む、
    請求項2の装置。
  • 前記原子基準モジュールは、
    前記原子周波数基準を提供し、前記光信号の前記一部を透過する、原子セルを有するフィードバックループと、前記原子セルの光透過をモニタ信号に変換する光検出器と、前記モニタ信号を処理することにより前記フィードバック信号を生成し、前記フィードバックを用いて前記光変調器を制御するフィードバックユニットとを備える、
    請求項2の装置。
  • 前記光変調器は、前記レーザ搬送波を内部で変調する光共振器を含み、そして 前記光共振器は、前記光−電気ループ内の光遅延を生成するよう動作可能である、
    請求項2の装置。
  • 前記光共振器はささやき回廊モード共振器である、
    請求項8の装置。
  • 前記ささやき回廊モード共振器は電気−光材料により形成される、
    請求項9の装置。
  • 前記光変調器は位相変調器である、
    請求項2の装置。
  • 前記光変調器は振幅変調器である、
    請求項2の装置。
  • 前記発振器は、前記電気部から電気信号を受信するよう結合され、前記電気信号に応じた変調周波数でレーザーゲインを変調して、レーザ周波数でレーザ搬送波に変調帯域を有する変調光信号を生成するよう動作可能なレーザを含み、
    前記光部は、前記変調光信号の少なくとも一部を受信する、
    請求項1の装置。
  • 前記原子基準モジュールは、光エネルギーにフィルタをかけるために前記光部に配置される原子セルを含む、
    請求項13の装置。
  • 前記原子基準モジュールは、前記原子周波数基準を提供し、前記光信号の前記一部を透過する、原子セルを有するフィードバックループと、前記原子セルの光透過をモニタ信号に変換する光検出器と、前記モニタ信号を処理することにより前記フィードバック信号を生成するフィードバックユニットとを備え、
    前記フィードバックユニットは、前記レーザを前記フィードバック信号で制御して前記発振周波数を安定化するよう動作可能である、
    請求項13の装置。
  • 前記原子基準モジュールは、共通のエネルギー準位を共有する2つの異なる光遷移を許容する3つの異なるエネルギー準位を含むエネルギー構造を持つ原子を有する原子セルを備え、
    前記変調光信号内の一つの変調帯域およびもう一つのすぐ隣の帯域が、それぞれ前記2つの異なる光遷移と共鳴する、
    請求項1の装置。
  • 前記原子セルが、前記原子を保持するマトリックスを形成する固体材料を含む、
    請求項16の装置。
  • 電気変調信号に応じた変調周波数で光搬送波信号を変調して、前記光搬送波信号に複数の変調帯域を生成する光変調器と、
    前記光変調器から前記光搬送波信号の第1部分を受信するために結合される光部と、前記光搬送波信号の前記第1部分に基づいて前記電気変調信号を生成するための電気部とを有し、前記電気変調信号を遅延させて前記光変調器に正のフィードバックをもたらす光−電気ループと、
    前記変調帯域間の選択された変調帯域と共鳴する原子遷移を有し、前記光搬送波信号の第2部分を受信するために結合される周波数基準モジュールであって、前記第2部分が前記原子遷移と相互作用して光モニタ信号を生成する、前記周波数基準モジュールと、
    前記光変調信号を受信し、前記光モニタ信号の情報に応じて前記光変調器を制御して、前記原子遷移と関連する原子基準周波数に前記変調周波数を同期するフィードバックモジュールとを備える装置。
  • 前記光部は光共振器を含む、
    請求項18の装置。
  • 前記光共振器は、少なくとも一つのささやき回廊モードに対応可能な構造を有する、
    請求項19の装置。
  • 前記光部はファイバ断片を含む、
    請求項18の装置。
  • 前記光電気ループは、前記光部と前記電気部との間に結合される光検出器を含み、前記第2部分を前記電気部への入力として電気信号へ変換する、
    請求項18の装置。
  • 前記周波数基準モジュールが、共通のエネルギー準位を前記原子遷移と共有する第2の異なる原子遷移を含み、前記第2の原子遷移は、前記光搬送波信号のスペクトル成分と共鳴する、
    請求項18の装置。
  • 前記スペクトル成分は、前記選択された周波数変調帯域から前記変調周波数だけ離間する、
    請求項18の装置。
  • 前記フィードバックモジュールは、
    前記光部の光エネルギーの一部を基準の光信号として結合する光スプリッタと、
    前記基準の光信号および前記光モニタ信号を2つの検出器信号に変換し、前記光変調器を制御して前記変調周波数を同期させる差信号を生成する差動検出器とを備える、
    請求項18の装置。
  • 前記フィードバックモジュールは、前記差信号を用いて前記光変調器のDCバイアスを制御するように動作する、
    請求項25の装置。
  • 光搬送波周波数で光信号を受信し、前記光搬送波周波数の搬送波帯域と、複数の変調帯域とを有する変調光信号を出力する光−電気発振器と、
    前記変調光信号の少なくとも一部を受信しフィルタをかけて光モニタ信号を生成する原子フィルタであって、共通のエネルギー準位を共有する2つの異なる光遷移が可能な3つの異なるエネルギー準位を備えるエネルギー構造をもつ原子を有し、前記変調光信号内の一つの変調帯域およびもう一つのすぐ隣り合う帯域は、それぞれ前記2つの異なる光遷移と共鳴する、前記原子フィルタと、
    前記光モニタ信号を受信するために結合され、前記光−電気発振器を制御して、前記原子周波数基準に対する前記周波数の偏差を示す前記光モニタ信号の情報に従って前記3つの異なるエネルギー準位の原子周波数基準に対して各変調帯域の周波数を同期させるフィードバック制御装置とを備える装置。
  • 前記光−電気発振器は、
    ささやき回廊モードに対応可能とし、電気−光材料により形成される光共振器と、
    前記光共振器に結合され、制御用電場を加えて前記電気−光材料の特性を変調する電気制御部と、
    特定のささやき回廊モードの前記光共振器に前記光信号を結合するために配置され、前記特定のささやき回廊モードを、前記変調光信号を生成するために結合する光結合器と、
    前記変調光信号を受信する光ループと、
    前記光ループの光エネルギーを検出器信号に変換するために前記光ループに結合され、前記検出器信号を前記電気制御部に送るよう結合される光検出器とを備える、
    請求項27の装置。
  • 前記フィードバック制御装置は、前記光モニタ信号をバイアス制御信号に変換するとともに、前記光共振器で前記バイアス制御信号を加えて前記制御用電場のDCバイアスを制御する光検出器を備える請求項28の装置。
  • 前記光−電気発振器は、
    電気制御信号に応じて前記光信号を変調するための半導体電気吸収変調器と、
    前記半導体電気吸収変調器からの前記変調光信号を受信するための第1光導波路と、
    前記変調光信号の少なくとも一部を受信するために光で結合されるささやき回廊モード共振器と、
    前記ささやき回廊モード共振器から出力の光信号を受信するために光で結合される第2光導波路と、
    前記出力の光信号を電気信号に変換するための光検出器と、
    前記光検出器と前記半導体電気吸収変調器との間を接続して、前記電気信号の一部を前記電気制御信号として加える電気ユニットとを備える、
    請求項27の装置。
  • 変調周波数でコヒーレントレーザービームを変調して変調光ビームを生成するステップと、
    光遅延素子を介して前記変調光ビームの一部を伝送して遅延を発生するステップと、
    前記光遅延素子からの前記一部を電気信号に変換するステップと、
    電気信号を用いて前記コヒーレントレーザービームの変調を制御して前記変調周波数で発振を生成させるステップと、
    原子周波数基準からの前記変調周波数の偏差を取得するステップと、
    前記コヒーレントレーザービームの前記変調を調整して前記偏差を減少させるステップとを含む方法。
  • 更に、
    同調可能なレーザを用いて前記コヒーレントレーザービームを生成するステップと、
    前記同調可能なレーザの前記周波数を前記偏差に応じて調整して、前記同調可能なレーザを安定化するステップとを含む、
    請求項31の方法。
  • 電気変調信号に応じた変調周波数で光搬送波信号を変調して、前記光搬送波信号に複数の変調帯域を生成する光変調器と、
    前記光搬送波信号の一部を前記光変調器から受信するために結合される光部、および前記電気変調信号を前記光搬送波信号の前記一部から生成するための電気部を有し、前記光変調器に正のフィードバックをもたらすために前記電気変調信号に遅延を生成する光−電気ループと、
    電磁誘導透明を示すように、共通のエネルギー準位を共有する2つの原子遷移をもち、前記変調光信号の2つの隣り合う帯域と共鳴する原子を有し、前記光部に配置されて前記光搬送波信号の前記第1部を前記電気部に伝送する原子セルとを備える装置。
  • 更に、
    搬送波周波数で前記光搬送波信号を生成するためのレーザと、
    前記搬送波周波数の偏差を示す前記電気変調信号の一部を受信し処理するために結合され、前記レーザを制御して前記偏差を減少させるよう動作可能なレーザ周波数制御とを備える、
    請求項33の装置。
  • 前記光変調器が電気−光材料で形成され、前記正のフィードバックを受信する電極を有するささやき回廊モード共振器を含む、
    請求項33の装置。
  • 前記光変調器が、半導体電気吸収変調器を含み、
    記光−電気ループの前記光部がささやき回廊モード共振器を含む、
    請求項33の装置。
  • ささやき回廊モードに対応可能とするよう構成され、電気−光材料で形成される光共振器と、
    入力の光信号を前記光共振器のささやき回廊モードにエバネッセント結合し、前記ささやき回廊モードのエネルギーを前記光共振器に結合して、光出力信号を生成するための前記光共振器近くに置かれた光結合器と、
    電気制御信号を前記光共振器に加え、前記電気−光材料の屈折率を変化させて、変調周波数で前記光出力信号を変調するために前記光共振器上に形成される電極と、
    電磁誘導透明を示すように前記変調光出力信号と相互作用する原子を有し、前記変調光出力信号の一部を受信して、光透過を生成するために配置される原子セルと、
    前記光透過を検出器信号に変換する光検出器と、
    前記検出器信号に基づいて前記電気制御信号を生成して、前記変調周波数を前記原子の原子周波数基準に対して安定化するフィードバック制御装置とを備える装置。
  • 基板と、
    前記基板上に形成して、電気変調信号に応じて光を変調する半導体光変調器と、
    前記光変調器から変調光信号を受信するよう結合される前記基板上の第1導波路と、
    ささやき回廊モードに対応可能とし、エバネッセント結合を介して前記第1導波路に光で結合される光共振器と、
    エバネッセント結合および第2端を介して前記光共振器に光で結合される第1端を有する前記基板上の第2導波路と、
    前記第2導波路からの光出力を電気信号に受信し、変換する前記基板上の光検出器と、
    前記電気信号から電気変調信号を生成するために、前記光検出器と前記光変調器との間に結合される電気接続と、
    前記半導体光変調器の一面に配置されて前記第2の導波路の前記第2端と光キャビティを形成し、前記光キャビティ内の光パスに、前記半導体光変調器と、前記光共振器と、前記第1および前記第2の導波路とを含む反射器と、
    前記第1および第2の導波路は、前記光キャビティ内のレーザ発振に対する光ゲインを生成するために添加(ドープ)され、
    電磁誘導透過を示すように前記光キャビティ内の光と相互作用する原子を有する前記基板上にあって、前記光の少なくとも一部を受信して光透過を生成するよう配置される原子セルと、
    前記光透過を検出器信号に変換するための前記基板上の第2光検出器と、
    前記検出器信号に基づいて前記光変調器を制御して、前記光の変調周波数を前記原子の原子周波数基準に対して安定化するためのフィードバック制御装置とを備える装置。
  • 说明书全文

    発明の詳細な説明

    本願は、2002年4月9日出願の米国仮出願第60/371,055号の特典を請求し、その全開示を引用して本願の一部として本明細書に組み込む。

    発明の起源
    本明細書に記載するシステムおよび手法はNASAとの契約下での作業を実施する中で得られたものであり、契約者が権利の留保を選択したことから、Public Law 96−517(35USC202)の各条項の制約を受ける。

    発明の背景
    本願は、光−電子発振器およびその応用に関する。

    デジタル形式またはアナログ形式いずれの情報も電気発振信号を用いて搬送できる。 振幅変調、位相変調および他の変調手法のしかるべき変調により情報を電気信号に組み込むことができる。 電気信号中の情報は、様々な方法、例えば電気搬送波を人工的に変調するか、または搬送波と相互作用する媒体に電気搬送波を載せることにより創り出せる。 このような信号は、空間または導電ケーブルもしくは電線を介して送信される。

    よく知られているように、光波を搬送波として用いて、光変調によりデジタル形式またはアナログ形式のいずれであっても情報を搬送できる。 このような光変調は、例えば、しかるべき光変調器を用いて、光搬送波の位相と振幅の一方または両方を変調することにより行える。 信号送信および光領域の処理は、電磁干渉のイミュニティ、搬送波あたりの広い信号帯域幅、そして光波長分割多重(WDM)手法などの特定の局面では、電気の領域を超える利点を有する。

    特定の装置およびシステムは、電気−光「ハイブリッド」構成となるように設計され、その設計では、光信号および電気信号の両方を用いてそれぞれの性能の利点、利便性、実用的特徴を探求する。 重要な点は、光−電子発振器(OEO)を電子的および光学的構成要素を用いて形成し、例えば、マイクロ波のスペクトル範囲から無線周波数(RF)のスペクトル範囲までの周波数範囲で発振信号を生成する点である。 OEOの例の幾つかについては、例えば米国特許第5,723,856号、第5,777,778号、第5,929,430号および第5,917,179号を参照されたい。

    かかるOEOは、電気的に制御可能な光変調器を含むとともに、光検出器のような光−電気変換素子により相互接続された光部と電気部とを備えた少なくとも一つのアクティブな光−電子フィードバックループを含むのが普通である。 光−電子フィードバックループは変調器から光変調出を受信し、それを電気信号に変換して変調器を制御する。 ループは所望の遅延を生成し、同位相の電気信号を変調器に送り、アクティブな光−電子ループおよび他の付加的フィードバックループの全ループゲインが全損失を超える時、光変調および電気発振の両方を生成し、これを維持する。 生成した発振信号は周波数同調が可能であり、他のRF発振器およびマイクロ波発振器が発生する信号に比較して、狭いスペクトル線幅と低位相ノイズを持つ。 例えば、GHzおよび数10GHzオーダーの周波数帯など、高いRFスペクトル範囲では、他の発振器に比較してOEOは特に有利である。

    発明の概要
    本願の手法および装置は、OEOの発振周波数の長期安定性および正確さが様々な用途で望まれているという認識に一部基づいている。 従って、他にも特徴があるが、信頼できる周波数基準に対して、またはその周波数で、OEOの発振周波数を安定化させて、著しく安定な信号を提供するメカニズムを本願が開示する。 更に、高い精度または正確さでOEOの発振周波数の絶対的な値を決定できる。 信頼できる周波数基準は、例えば、原子の2つのエネルギー準位により定義される基準周波数でもよい。 従って、かかるOEOは、原子基準周波数と結合して安定化し、原子時計として動作できる。

    例示の一実施形態では、本願に基づく装置が、互いに結合した光−電子発振器、および原子基準モジュールを含んでもよい。 光−電子発振器は、発振周波数で発振を生成するよう動作可能な光部と電気部をもつ光−電子ループを含んでもよい。 原子基準モジュールは、少なくとも光部の光信号部分を受信し、相互作用するように結合されて、フィードバック信号を生成するようにしてもよい。 光−電子発振器はこのフィードバック信号に応じて、原子基準モジュールの原子周波数基準に対して発振周波数を安定化するよう動作可能である。

    例示の別の実施形態では、本願に基づく装置は、光変調器、光−電子ループ、周波数基準モジュール、およびフィードバックモジュールを含んでもよい。 光変調器は、電気変調信号に応じた変調周波数で光搬送波信号を変調して、光搬送波信号に変調帯域を生成させるよう動作可能である。 光−電子ループは、光搬送波信号の第1部分を受信するよう結合された光部、および光搬送波信号の第1部分に基づいて電気変調信号を生成する電気部を有する。 光−電子ループは、光変調器へ正のフィードバックがもたらされるように電気変調信号を遅延させる。 周波数基準モジュールは、変調帯域中の選択変調帯域と共鳴する原子遷移を持ち、光搬送波信号の第2部分を受信するよう結合する。 第2部分は原子遷移と相互作用して、光モニタ信号を生成する。 フィードバックモジュールは光モニタ信号を受信し、光モニタ信号の情報に応じて光変調器を制御して、変調周波数を原子遷移に同期させるよう動作可能である。

    本願はまた、光−電子発振器を動作させたり、制御させたりする様々な方法を開示する。 例えば一方法では、コヒーレントレーザービームを変調周波数で変調して変調光ビームを生成する。 次に、遅延を生じさせるために光遅延素子を介して変調光ビームの一部を伝送する。 光遅延素子からのその光信号の一部は電気信号に変換される。 続いて、この電気信号を用いてコヒーレントレーザービームの変調を制御して変調周波数で発振させる。 次に、原子周波数基準からの変調周波数の偏差が得られる。 そして、コヒーレントレーザービームの変調を調整することにより偏差を小さくする。

    本願の装置および手法のこれら実施形態および他の実施形態を以下で更に詳細に説明する。

    詳細な説明
    図1は、OEO、およびOEOの発振周波数を原子遷移に同期させる制御メカニズムを有する装置100の一実施形態を示す。 図示の実施例では、OEOは、レーザ101により生成された搬送波周波数(ν 0 )で光ビーム102を受信し、電気制御光変調器110を用いてレーザービーム102を変調周波数(ν mod )で変調する。 光変調器110は、そのポート112に印加される電気変調信号128に応じて動作し、また、そのポート111でDCバイアス信号152を受信するように構成してもよい。 このバイアスは、変調器110の動作点をシフトすることにより変調周波数を変える。 変調器110が動作すると、変調により発生した多数のスペクトル成分を含む変調光信号114が生成される。

    光変調器110は、光信号の振幅を周期的に変化させる振幅変調器、または、光信号の位相を周期的に変化させる位相変調器であってもよい。 図2Aを参照すると、振幅変調は、上変調側波帯(+1)および下変調側波帯(−1)を生成し、ともに搬送波周波数(ν 0 )から同じ量だけ、つまり変調周波数(ν mod )分だけ偏移する。 しかし、位相変調では、変調信号114に二つを超える側波帯が現れる。 図2Bに、位相変調信号114のスペクトル成分を図示する。 直に隣り合う両帯域は、変調周波数(ν mod )だけ離間する。

    図1に戻って、OEOは、光検出器124のような光−電気変換素子により相互接続された光部と電気部を備える少なくとも一つのアクティブな光−電子フィードバックループを含んでもよい。 光スプリッタ115を用いて、変調信号114を、光−電子フィードバックループのための信号117と、OEOを安定化するための原子遷移をもたらす周波数基準モジュールのための信号116とに分割してもよい。 スプリッタ115を用いて装置100の光出力を生成してもよい。

    光−電子フィードバックループの光部を用いて、ファイバループまたは光共振器などの光遅延素子120を持たせることにより、変調信号128に信号遅延を生成する。 光−電子フィードバックループの全遅延量は、OEO発振モードのモード間隔を決める。 加えて、長い遅延は、OEOモード線幅および位相ノイズを減少させる。 従って、長い光遅延を達成するのが望ましい。 光共振器を遅延素子120として用いる場合は、光共振器の高いQファクタが長いエネルギー蓄積時間をもたらして、狭い線幅および低位相ノイズの発振を生ずる。 他の光遅延素子とは異なり、光遅延素子としての光共振器は、モード整合条件が必要である。 第1に、レーザ101のレーザ搬送波周波数は、ゲインが十分あるように共振器の伝送ピーク内になければならない。 この用途では、レーザ101が安定化されているので、共振器をアクティブに制御して、この条件を維持するようにその長さを調整してもよい。 第2に、光共振器のモード間隔は、光−電子フィードバックループの一つのモード間隔、または多数のモード間隔に等しい。 更に、OEOの発振周波数は、光共振器の一つのモード間隔または多数のモード間隔に等しい。

    遅延素子120用の光共振器は、幾つかの構成で実施でき、例えば、ファブリ−ペロ共振器、ファイバリング共振器、球の赤道部からささやき回廊モードまでを含むマイクロ共振器(例えば、ディスクまたはリングキャビティ)、および軸対称の非球キャビティを含む。 非球共振器は、偏球の回転楕円面マイクロキャビティ、または、楕円短軸に沿う対称軸廻りに楕円を回転させることにより形成されるマイクロトーラスなどのように、球を変形して非球形状に形成して、意図的に偏心を大きくしてもよい。 ささやき回廊モードキャビティのための光結合はエバネッセント結合により達成できる。 テーパ付きのファイバ先端、マイクロプリズム、フォトニックバンドギャップ材料により形成された結合器、または他のしかるべき光結合器を用いることができる。

    光−電子ループの電気部は、単一OEOモードを選択して発振するように、増幅器125および帯域通過フィルタ126を含んでもよい。 信号結合器は、電気部に加算して電気出力を生成してもよい。 光検出器124の出力は、この電気部により処理され、光変調器110への所望の変調信号128を生成する。 特に、ループは、所望の遅延を生成して変調器へ同相の電気信号を送り、アクティブな光−電気ループの全ループゲインが全損失を超える時、光変調および電気発振をともに生成して、これを維持する。 異なるループ遅延をもつ二つ以上の光−電子フィードバックループを実装して、OEOに追加の同調能力および柔軟性を持たせてもよい。

    重要な点は、装置100は周波数基準モジュールを実装して、位相同期ループを形成し、OEO発振周波数を原子遷移に対して動的に安定化することである。 光−電子フィードバックループと同様に、本モジュールもフィードバック制御に基づいて動作する。 しかし、光−電子フィードバックループと違って、本フィードバックループは、位相同期ループであり、どのような発振も避けるよう設計され、発振しているOEOモードのドリフトまたはジッタを原子遷移に対して補正するように動作する。

    装置100の周波数基準モジュールは、所望の原子遷移をもつ原子を含む原子セル130を含む。 光信号116はセル130に送られ、透過光132は、OEOループの周波数変化を監視するための光モニタ信号として用いられる。 セル130は、原子遷移と共鳴する光エネルギーを透過させる狭帯域通過フィルタなので、原子光フィルタとしても部分的に動作する。 セル130は周波数基準としても動作する。 なぜなら、光モニタ信号132は、原子の2つのエネルギー準位間の不変の間隔に対応する周波数に基づく所望発振周波数からの、OEO発振周波数の偏差についての情報を含むからである。 原子セル130がOEOループの外側にある図1の構成の場合は、光モニタ信号132のこの情報は、以下に説明する差信号法により読み出す必要がある。

    セル130に加えて、周波数基準モジュールはさらに、OEOループの光部の光信号と、光モニタ信号132とを比較してOEO発振周波数の周波数偏差を取得する差検出器を含む。 この差検出器は、2つの光検出器141と142、および2つの検出器出力を減算する電気要素150を含む。 要素150は、例えば、信号混合器または差動増幅器でもよい。 光スプリッタ123をOEOループの光部に配置して、検出器141へ変調光信号の一部を分岐してもよい。 検出器141および142からの信号の差は、光変調器110のDCバイアスを制御するために用いる差信号152となる。 位相同期ループ回路を実装して、信号152に応答してDCバイアスに実質的な制御を実行してもよい。

    差検出器に対する代替の実施形態として、光スプリッタ123および光検出器141を除いてもよい。 信号152を生成する2つの入力信号のうちの一つとして要素150に送る必要がある場合は、代わりに、検出器124からの出力の一部を分岐し、増幅してもよい。 この実施形態の一例を図5に示す。

    原子セル130の原子は、量子干渉効果「電磁誘導透過」を生成することができる3エネルギー準位をもつよう選定する。 図3は、適当な原子の3エネルギー準位310、320、330の一例を図示する。 エネルギー準位310および320は、基底状態の超微細準位などの2つの下位エネルギー準位であり、エネルギー準位330は、準位310および320双方に共通する、つまり双方に共有される上位励起状態準位である。 光伝送331および332は、基底状態310および320の双方から励起状態330へのそれぞれの双極子遷移を経れば可能である。 ただし、光遷移は2つの基底状態310および320間では起きない。 ここで仮定しているのは、2つの下位状態310および320間の非放射緩和速度が小さく、励起状態330から基底状態310および320に至る崩壊定数と比較して実用的には無視できるということである。 2つの光遷移331および332間の周波数差は、例えば、RF、マイクロ波、またはミリメートルスペクトル範囲の電気領域の所望変調周波数(ν mod )に一致する。 図3の例示の原子構造において、この所望変調周波数は、2つの下位状態310および320間の間隙312である。 このような原子の例は、2つの超微細基底状態間のおよそ9.2GHzの間隙をもつセシウムや、2つの超微細基底状態間のおよそ6.8GHzの間隙をもつルビジウムなどのアルカリ原子を含む。 異なるエネルギー準位構造を有する異なる原子を、異なるOEOに対して選択して、異なる変調周波数で動作させることができる。

    図3のこの原子では、基底状態310の電子は、遷移331と共鳴するフォトンを吸収でき、基底状態310から励起状態330に励起される。 同様に、基底状態320の電子は、遷移332と共鳴するフォトンを吸収することにより励起状態330に励起される。 一旦、励起状態330へ励起されると、電子はフォトンを放出することにより、いずれかの基底状態310および320に崩壊する。 光学場が一つだけ存在する場合、すなわち、2つの光遷移のいずれかと共鳴している例えば遷移331の場合、すべての電子は、光遷移331の一つの基底状態310から、光遷移331にない別の基底状態320へ最終的に転位する。 従って、原子セル130は、遷移331と共鳴しているビームに対して透明になる。

    第2光学場が遷移332へ同時に加えられ、かつ、第1光学場とコヒーレントである場合、2つの基底状態310および320は、もはや互いに孤立しない。 事実、加えられた2つの光学場が正確に2つの光遷移331および332と共鳴している場合、ラマン共鳴状態のもとでは、量子力学的なコヒーレント集団トラッピングが発生し、その状態では2つの基底状態310および320が量子力学的に互いに干渉して、位相がずれた重畳状態を形成し、共通の励起状態330から切り離される。 この条件のもとでは、重畳状態と励起状態330との間の双極子モーメントは存在できないので、2つの基底状態310および320のいずれかの電子を、励起状態330に光励起できる。 その結果、原子セル130は、遷移331および332とそれぞれ共鳴する2つの光学場に対して透明になる。 2つの光学場のいずれかの同調が、対応する共鳴から離れた場合、基底状態310および320の原子は、再び光を吸収するようになる。

    この電磁誘導透過は、同時に加えられた2つの光学場のいずれかの同調が外れた周波数に対して、非常に狭い透過スペクトルのピークを持っている。 この狭い透過ピークは、セル130を通って透過する光モニタ信号132内に存在する。 一実施形態では、上記の差検出器を伴う差検出は、光−電子ループの光信号を基準として、2つの光学場の光周波数の偏差の方向と量を決定する。 電磁誘導透過のための2重共鳴状態が起きるように、レーザ101を適切な搬送波周波数(ν 0 )で安定化していると仮定しているので、共鳴状態からのどのような偏差も、OEOループ内の偏移または変動が原因で生じる。 差検出器が示すこの偏差を補正するために、光変調器110のDCバイアスをしかるべく調整して実時間で偏差を補正する。 このフィードバック動作は、OEOの発振周波数を、2つの光遷移331および332との間の周波数間隔312で同期させる。 この周波数間隔は、図3に示す特殊なエネルギー構造における2つの基底状態310および320間のエネルギー間隔である。 この状況で装置100は原子時計として動作する。

    図2Aを参照する。 光変調器110が振幅を変調した場合、レーザ101は、遷移331または332のいずれの共鳴に同調してもよいが、上下の側波帯は他方の遷移と共鳴する。 変調光信号114の2つの隣り合うどの帯域を用いてもよいが、通常は、搬送波帯域と、別の強い側波帯を用いるのが実用的である。

    原子セル130には他の原子エネルギー構造をもつ原子を用いてもよい。 2つの下位状態が一つの共通励起状態を共有する図3の3準位エネルギー構造は、λ構成と呼ばれる。 代替として、V構成の共通基底状態を共有する2つの励起状態をもつ原子を用いてもよい。 更に、ラダー構成の連続3エネルギー準位を用いてもよく、その場合、中間のエネルギー準位は、対応する下位状態としての最下位エネルギー準位をもつ第1光遷移の励起状態であると同時に、対応する励起状態としての最上位準位をもつ第2光遷移のための下位状態でもある。 セル130の原子は、気相でもよく、さもなければ、充分狭い原子遷移が獲得できるように、原子を物理的に保持するマトリックスを提供する適切な固体材料に組み込んでもよい。 気相原子セル130を用いる代表的な実施形態は、セル内に十分な原子密度が得られるように、温度を上昇させた真空セル130に原子を密封する。

    図4は別の実施形態を示し、ここで原子セル130は、OEO400のループの光部に狭帯域光フィルタとして挿入される。 本設計の動作原理は、差検出およびそのフィードバックループが削除されていることを除けば、図1の装置100の場合と同様である。 OEOループ内の原子セル130は、光信号に直にフィルタをかけるよう動作して、2重共鳴ラマン条件を満たす光信号だけを透過させる。 それ以外の光信号は原子セル130により除去される。 従って、レーザ搬送波周波数は固定されていると仮定しているので、OEOループは十分なループゲインを提供するだけで、電磁誘導透過のために2つの光遷移の周波数差と等しい発振周波数で信号を増幅し、これを維持できる。

    従って、図4の原子周波数基準への周波数同期は、図1で実装された外部差検出なしでもOEOループ内に組み込まれる。 この状況で図4のOEOは自己発振原子時計である。 本設計では、装置の構造が著しく簡素化され、ループ損失を超える全ループゲインを維持するのに十分なセル130の光透過がある狭い範囲でOEOの発振周波数が変動またはドリフトする場合、図1の装置100と同じ安定化動作を達成できる。 OEOの周波数変動が、発振を維持できる原子セル130の透過スペクトル範囲を超える場合、OEOを調整して発振および原子基準への自動周波数同期を再確立する必要がある。 これと比較すると、図1の装置100は、OEOループの外部に差検出に基づく位相同期ループを持っているので、かかる大きな周波数変動を自動的に補正できる。

    上記の装置では、レーザ101は所望のレーザ搬送波周波数(ν 0 )で安定化されていると仮定している。 レーザ101の周波数が変化した場合、OEOの電磁誘導透過のための2重共鳴ラマン条件が破られることもあり、従って、上記OEOの原子周波数基準への同期も失敗する。 本願の別の局面は、同一の原子周波数基準を用いてレーザ101を同期する動的なレーザ安定化メカニズムを提供することにあり、複数のレーザーパラメータを調整することによりそのレーザ周波数を同調可能とする。 図5および図6は、図1および図4それぞれの設計に基づくOEOのための2つの実施形態を図示する。

    図5のOEOは、光検出器142の出力部で電気信号スプリッタを用いて、信号510を生成する。 光周波数同期ユニット520は、この信号510を受信し、処理して、所望の搬送波周波数からのレーザ搬送波周波数の偏差を表す誤差信号を生成する。 フィードバック制御信号522をユニット520による誤差信号に基づいて生成して、レーザ101のレーザ周波数を調整する。 種々の方法でレーザ101の調整を行い、具体的なレーザ構成によって決まるレーザ周波数を同調できる。 例えば、単純なダイオードレーザでは、駆動電流、ダイオード温度、またはその両方を制御信号522に応じて調整して、レーザ周波数を同調させる。

    図6のレーザ同期メカニズムは、フィードバック信号510が、OEOループの検出器124の出力から分岐していることを除き同じである。 その意図は、その他のレーザ安定化方法を用いてもレーザ101を制御できるということである。 例えば、レーザ制御に、原子セル130の原子が提供する原子周波数基準とは無関係の周波数基準を用いてもよい。

    図1および図4〜6のOEOの光変調器110を、様々な構成で実施することができる。 広く用いられる電気−光材料を用いるマッハツェンダー変調器は、確かに変調器110として使えるが、このような従来の変調器は概してかさ張り、しかも電力効率がよくない。 本願の以下のセクションでは、小型または超小型OEOの実施例を幾つか説明する。 これら実施例は、ささやき回廊モード(WGM)に対応可能なマイクロキャビティを用いて、携帯電話通話システム、宇宙船通信およびナビゲーション、およびGPS受信器を含む多様な用途に適したエネルギー効率が高くて小型の原子時計を提供する。

    図7は、光強度変調器および電気フィルタとして電気−光材料で形成したマイクロWGMキャビティ710をOEOループ内で用いるOEO700の一実施例を示す。 更に、WGMキャビティ710は、クオリティファクタQが高いことからOEOループ内の光遅延素子としても用いられるので、別途光遅延素子を設けなくても単純な光ループ120を用いて光フィードバックを提供することができる。 図示のように、基板701を設けてOEO700のマイクロキャビティ710および他の構成部品を支持する。 レーザ101は、基板701に一体化しても、図示のようにOEOの他の部分とは別体にしてもよい。 キャビティ710の形状は、ひとつまたはそれ以上のWGモードに対応可能とするよう設計するが、マイクロ球であっても、ディスクあるいはリングのような赤道を含む部分球で形成したキャビティであっても、非球マイクロキャビティであってもよい。

    電気制御部712をキャビティ710上に形成して、光の振幅を変調するために電気−光材料の屈折率を変調するWGモードが存在する領域に制御用電界を加える。 電気制御部712は、キャビティ710上に二つ以上の電極を含むのが一般的である。 一実施形態では、これら電極がRFまたはマイクロ波共振器を形成してRFまたはマイクロ波信号を与え、光を変調する所望の光WGモードとともに共伝搬させる。 このRFまたはマイクロ波共振器はそれ自体で電気信号フィルタとしても動作して、OEOループ内の電気信号にフィルタをかける。 従って、図1に示すようなフィルタ126を別に設ける必要はない。 DCバイアス電極711をキャビティ710上に形成して変調器のDCバイアスを制御してもよい。

    OEO700は、レーザ101からの入力光をキャビティ710にエバネッセント光で結合するとともに、キャビティからWGモードの光を抽出して光出力、OEOループへの光フィードバック、および原子セル130への光モニタ信号を生成するための光結合器720を含む。 このエバネッセント結合器の例としてマイクロプリズムを示す。 2つのエバネッセント結合器を用いてもよいのは言うまでもなく、一つは入力用、もう一つは出力用である。 光スプリッタ115を用いて、ファイバループのような光ループおよび原子セル130の双方へ、キャビティ710による変調光信号出力を分岐する。 加えて、スプリッタ115はOEO用の光出力を生成してもよい。 上に説明した幾つかの他のOEOと同様に、光検出器124を光遅延120に接続して光信号117を電気検出器信号に変換し、その検出器信号を必要に応じて増幅した後、キャビティ710内の光変調を制御するために電気制御部712へ送る。 光検出器142は、セル130を通って透過した光モニタ信号132を、光変調のDCバイアスを制御するために用いる信号152へ変換する。 原子セル130に基づいても、あるいは基づかなくてもよいが、レーザ安定化メカニズムをレーザ101の安定化のために含めてもよい。

    WGキャビティ710の上記光変調器は、光共振器の光共振条件を制御して共振器内の光を変調できるという考えに基づいている。 対応可能な共振器モードの光波は共振器内を循環する。 循環する光波の位相遅延はN2π(N=1、2、3、…)であり、光共振器は、共振状態で動作し、光エネルギーは、最小損失を伴って共振器内に蓄積される。 この共振条件にある共振器から光エネルギーを取り出して結合すると、共振器の出力は最大化する。 しかし、共振器内を再循環する波の位相遅延がN2πではない場合、共振器内に蓄積された光エネルギーの量は減少し、それが結合出力となる。 光キャビティ内の位相遅延を変調できれば、光共振器からの出力の変調が達成できる。 キャビティ内の再循環波の位相遅延の変調は、共振条件のための位相遅延の値と、非共振条件のための別の値との間を切り換えることと等価である。 実施形態では、位相遅延の最初の値(すなわち、共振と同調しない値)を、位相遅延の変化が出力エネルギーの最大変化を生み出す値でバイアスしてもよい。

    図8Aは、ニオブ酸リチウム等の任意の電気−光材料で形成されたWGMキャビティ810に基づくこの形式の光変調器の一般的な設計を示す。 電気−光変調を介して共振器の屈折率を変化させることにより、光フィードバックの位相遅延(すなわち、光キャビティ共振の位置)を変化させる。 外部電気信号を用いて、ささやき回廊モード条件、および出力結合を変化させるために共振器内の光位相を変調する。 この光変調器は、ミリボルトレンジの低い動作電圧で動作でき、数10ギガヘルツ以上の高い変調速度と、すべてを納めたパッケージの小型化を達成するために用いることができる。 図示のように、光入力結合器および光出力結合器として、2つの光結合器821および822をそれぞれ共振器810の近くに配置する。 レーザ101からの入力光ビームを結合器821によりささやき回廊モードで内部循環する光波812として共振器810へ結合する。 エバネッセント結合では、球の表面のエバネッセントフィールドは球の外側で指数的に減衰する。 共振器内に一旦結合されると、光はキャビティ表面で内部全反射を受ける。 光パスの実効長はこの循環により増加する。 光結合器822は、共振器810内を循環する光エネルギーの一部を結合し、同様にエバネッセント結合を介して、出力ビーム114を生成する。 代替として、光結合器821を用いて図7に示すような出力114を生成してもよい。

    電気結合器830を共振器810の近傍に配置して、電気−光効果に起因して誘電体定数の変化を引き起こす電気の波を結合する。 電子駆動回路840を実装して、かかる電気の波を電気結合器830に供給する。 OEOループ内の検出器124からの制御信号128を回路840に送って電気の波を変調することができる。 次いで、この変調は、共振器810の光出力114内の変調に伝達される。

    高いQファクタをもつ共振器810は幾つかの利点を有する。 例えば、WGモードの光信号の繰り返し循環は、電気−光変調のための実効相互作用長を増加させる。 共振器810も、光エネルギーまたは電気エネルギーのいずれかに対するエネルギー蓄積時間の増加に影響を与えるので、スペクトル線幅および位相ノイズが減少する。 また、モード整合条件は、光変調器を信号フィルタとしても動作させるので、モード整合条件を欠く他の信号を排除することにより、特定の入力光ビームだけを共振器810により結合して変調出力を生成する。

    図8Bは、図8Aの設計に基づく変調器ハウジング880内の別の光変調器を示す。 光ファイバ851および854を用いて、入出力光ビーム102、114をそれぞれ導く。 傾斜屈折率レンズ等のマイクロレンズ852および853を用いて、ファイバに出入りする光ビームを結合する。 2個のプリズム821および822は、エバネッセント光結合器として動作して、ささやき回廊モード共振器810とのエバネッセント結合を提供する。 電気モードに対応可能とするために、単独で共振器810を用いる代わりに、RFマイクロストリップライン電極860を共振器810と組み合わせて電気モードに対応可能とするRF共振器を形成する。 マイクロストリップラインで形成した入力のRF結合器861を実装して、電気エネルギーをRF共振器に入力する。 回路基板870を用いて、マイクロストリップラインと、変調器用の他のRF回路素子とを支持する。 この変調器は、RF出力を生成するために第2のRF結合器862(基板870上のマイクロストリップラインで形成してもよい)も含む。 この信号は、変調器の動作のための監視として、または処理追加や他の構成要素を駆動するための電気出力として用いることができる。

    図9は、半導体基板901上に製作した全構成要素を集積したOEO900の例を図示する。 図1の遅延120と等価な光遅延素子としてマイクロWGMキャビティ940を用いる。 集積装置OEO900は、半導体レーザービーム101、半導体電気吸収変調器920、第1導波路930、第2導波路950、および光検出器960も含む。 この集積化設計において、検出器960は図1の検出器124と等価である。 例えば導電パスのような電気接続970も基板に形成して、検出器960を変調器920に電気接続する。 マイクロ共振器940を高いQをもつエネルギー蓄積器素子として用いて、低位相ノイズおよび微少サイズを達成する。 RFフィルタ126を接続970に配置して、シングルモード発振を確保する。 かかるフィルタがない場合は、変調器920と検出器960間の挟帯域インピーダンス整合により達成できる。

    導波路930および950はそれぞれ結合領域932および952を持ち、マイクロ共振器940内の異なる二ヶ所で所望のエバネッセント光結合を提供する。 第1導波路930は、変調器920に結合された一端を有して変調光出力を受信し、他端はOEO900の光出力を提供する。 第2導波路950はマイクロ共振器940からの光エネルギーを結合し、検出器960にエネルギーを供給する。

    完全に閉じた光−電気ループは変調器920、第1導波路930、マイクロ共振器940、第2導波路950、検出器960、および電気接続970により形成される。 閉ループの位相遅延は、検出器960から変調器920へのフィードバック信号が正になるように設定する。 更に、光−電気発振を維持するために全開ループのゲインを、全損失を超えるようにする。 共振器940と全ループとの間の適切なモード整合条件も必要である。 レーザ搬送波周波数は共振器940の透過ピークに合わせて発振を維持しなければならないので、マイクロ共振器940のキャビティ長を動的に調整してこの条件を維持することが望ましい。 これは、キャビティ制御回路の共振器940からの光出力の一部を用いてこの条件からの偏差を検出し、例えば圧電変換器などにより、共振器940に機械的圧力を加えて偏差を低下させることにより達成できる。

    検出器960と変調器920間に電気信号増幅器125を接続するのが一般的である。 しかし、このような高出力要素は、OEO900のような高度に集積されたオンチップ設計では好ましくない。 例えば、増幅器の高出力はその高い熱放散による問題を引き起こす。 また、増幅器はノイズや歪みを招くこともあるし、チップ上の他の電子部品の動作に干渉することすらある。

    OEO900の特徴の一つは明らかに、電気吸収変調器920と光検出器960間のインピーダンスを、高いインピーダンス値に整合させることにより、接続970にあるような信号増幅器を取り除くことにある。 所望の整合インピーダンスは、変調器920へ伝送した増幅前の光電圧が変調器920を適切に駆動できる程十分高い値である。 例えば、あるシステムでは、この整合インピーダンスは約1kΩまたは数kΩである。 信号増幅器を使わないで、電気接続970を用いて光検出器960と変調器920とを直接接続し、その高いインピーダンスを保つ。 このような直接電気接続970は、2つの装置920と960間の最大エネルギー伝送を確実なものにする。 例えば、1000Ωで整合した一対の検出器および変調器は、50Ωで整合した同一対の20倍の電圧ゲインを有することになる。

    図10は、小型原子時計の実施に好適な別の集積結合化OEOを示す。 このOEOは半導体基板1001上に形成され、Qの高いマイクロWGMキャビティ1002に結合される2つの導波路1010および1020を含む。 導波路1010および1020は、度を成す端部1016および1026をそれぞれ有し、エバネッセント結合によりマイクロキャビティ1002に結合する。 導波路1010の他端は、電気絶縁層1011、電気吸収変調器部1012、および高反射器1014を含む。 この高反射器1014は、変調器1012内で衝突するパルスを生成するよう動作し、その結果モード同期能力を強化する。 導波路1020の他端は研磨面1024であり、光検出器1022から間隙1021だけ離間している。 この面1024は部分ミラーとして働き、一部の光を導波路1020に反射して戻し、残りの光を光検出器1022に透過させて光出力および電気信号を生成する。 電気接続1030は変調器1012と光検出器1022間を結合して電気出力を生成し、信号を送り、そして電気信号を送って変調器1012を制御する。

    重要な点は、2つの結合したフィードバックループが、装置1000に形成されることである。 光ループは、ファブリ−ペロ共振器構成内にあり、高反射器1014と、変調器1012、導波路1010、マイクロキャビティ1002および導波路1020を通って、導波路1020の表面1024との間に形成される。 間隙1021、検出器1022および電気接続1030は、上記光ループに結合されるもう一つの光−電気ループを形成する。

    本実施形態では、上記光ループはレーザを形成して、本願で説明する他のOEOの別のレーザ101を置き換える。 導波路1010および1020は光学的にアクティブであり、内部にイオンが添加されて増幅媒体としても機能するので、光ループが駆動電流により活性化されるとレーザとして動作する。 この電流は、電気源に接続される適切な電気接点から注入される。 レーザーゲインは、光検出器1022からの電気信号に応じて変調器1012により電気変調される。 2個の導波路1010および1020を、光検出器1022と変調器1012が互いに近くなるように、基板1001上で互いに隣り合うように平行に配置してもよい。 この編成によって、光検出器1022と変調器1012間のワイヤーボンディングまたは他の接続手段の接続が容易になる。

    光検出器1022は、電気吸収変調器1012と構造的に同一であってもよいが、バイアスを特別に加えて光検出器として動作させる。 従って、光検出器1022および変調器1012は、例えば数kΩオーダーの同一インピーダンスを有するので、基本的にインピーダンス整合がとれている。 変調器のスイッチング電圧を典型的な2Vとし、変調器1012と光検出器1022のインピーダンスを1kΩとすると、検出器の応答が0.5A/Wの場合、RF発振を維持するのに必要な光パワーは約1.28mWと推定される。 この光パワーは、半導体レーザで容易に得られる。 従って、インピーダンス整合されていれば、RF増幅器は、図9の集積装置OEO900の場合のように、電気接続1030内になくてもよい。

    上記小型WGMキャビティ装置では、原子セル130を光パスに挿入して、図4および図6に示すような小型自己発振原子時計を形成してもよい。 一実施例として、図11に、図6の設計に基づく集積自己発振原子時計1100を更に例示する。 図7のWGMキャビティ変調器を用いてOEOループ内の光変調および光遅延をともに実行する。 レーザ101からのレーザービーム102は、WGMキャビティ710に結合される前に、レンズ110によりコリメートされる。 回路1120は、OEOループの電気部とレーザ周波数制御回路520の両方を含む。

    代替として、図1および図5に図示するように、OEOを原子周波数基準に同期するための別の位相同期ループ内で原子セル130を用いてもよい。

    集積化した小型のOEOベース原子時計の上記実施例で装置集積化の別の方法を説明する。 例えば、一方法は、光遅延素子120または光変調110に超小型デバイスを用いる等、小型部品を用いて、OEO全体の物理的サイズを小型化する。 図7、8A、8B、9、10および11のOEO装置は、この方法の実施例を表わしており、WGMマイクロ共振器または集積半導体電気吸収変調器のいずれかを用いて、従来のかさ張る変調器を置き換える。 また、WGMマイクロ共振器を用いて、かさ張る光遅延素子を使わずにOEOループ内の所望の光遅延が得られるようにする。

    別の方法では、OEO内の単一ユニットに光変調器110および光遅延素子120を集積して、装置全体を超小型化する。 図7、8A、8Bおよび11は、この方法の実施例を表す。 図8Aでは、共振器810のQ値が高いので、変調された光出力114を、OEOループ内の別の光遅延素子を通さずに光検出器124に送ってもよい。 更に、図12はこの方法によるOEOベースの原子時計を示す。 重要なことは、特別な光変調器1210を用いて、光変調および光遅延をともに提供するということである。 OEOループは、変調器1210および検出器124により形成される。 この変調器1210は、例えば、図7、8A、8Bおよび11のWGM共振器変調器を実装してもよい。 レーザ101を安定化するための光レーザ周波数フィードバックループも図12に示す。 検出器142からの一入力、および変調器1210と混合器との間に接続された位相同期ループからの別の入力を受信するための信号混合器を図示する。 他の実施例に示すように、混合器150への第2入力は、OEOループの検出器124の出力から取り込んでもよい。 更に、光周波数同期回路420からの出力は、信号152と組み合わせて変調器1210を制御してもよい。

    図10は、OEOベース原子時計集積化の更に別の方法を示唆しており、OEOおよび光変調器に光パワーを与えるレーザ光源を単一ユニットとして集積してもよい。 図10のOEO1000では、電気吸収変調器1012は、反射器1014および1024で形成されたレーザ共振器内にある。 従って別の光変調器は必要ない。 レーザおよび光変調器のこの組み合わせは、ダイオードレーザやダイオードベースレーザ等の変調レーザ内に実装してもよく、そこではレーザ駆動電流を直接変調して、レーザの内部ゲインを変化させて、変調光出力を生成してもよい。

    図13Aおよび図13Bは、OEOベース原子時計の2例を示し、単一の直接変調レーザ1310を用いて、レーザ搬送波を生成するとともに、レーザ搬送波の変調を提供する。 図13AのOEO1301は、原子セルを伴う外部周波数同期ループを有する。 図13BのOEO1302は自己発振OEOである。 両装置1301および1302のレーザ1310は同調可能レーザであり、直接変調が可能である。 光遅延素子120は、WGMマイクロキャビティにより実装してもよい。 図13Aでは、2つの別々のフィードバックループが用いられる。 すなわち、一つは光遅延素子120を有するOEOループであり、もう一つは、変調レーザ出力114の変調周波数を、原子セル130の所望の原子周波数基準に同期するための位相同期ループである。 位相同期制御およびOEOループフィードバック信号128を組み合わせてレーザ101の変調を制御してもよい。 更に、別の位相同期ループを用いて、レーザ1310のレーザ搬送波周波数を安定化してもよい。 図13Bで、原子セル130はOEOループの光部にあるので、レーザ1310の搬送波周波数が安定化されていれば、OEOループのフィードバック信号128は、原子セル130が提供する原子周波数基準にOEOを同期させる。 検出器124の出力から分岐された信号510に基づく追加の位相同期ループを用いて、例えば、レーザのキャビティ長を制御することにより、レーザ1310のレーザ搬送波周波数を安定化してもよい。

    上記方法の組み合わせあるいは改変に基づく他の集積構成が可能であるのは明白である。 要約すると、OEOベース原子時計の幾つかの実施形態だけを開示した。 しかし、言うまでもなく改変や改良をすることができる。

    図1は、OEOを原子周波数基準に同期させるための位相同期ループに基づく光−電子発振器原子時計の一実施形態を示す。

    図2Aは、変調光信号の例示のスペクトル成分を図示する。

    図2Bは、変調光信号の例示のスペクトル成分を図示する。

    図3は、原子周波数基準を提供する、原子時計の原子についての一例としての3準位原子エネルギー構造を示す。

    図4は、自己発振OEOベースの原子時計の一実施例を示す。

    図5は、同一の原子周波数基準に基づくレーザ安定化モジュールを有するOEOベースの2つの原子時計を示す。

    図6は、同一の原子周波数基準に基づくレーザ安定化モジュールを有するOEOベースの2つの原子時計を示す。

    図7は、様々な「ささやき回廊モード」マイクロキャビティ、およびOEOベースの小型原子時計用の設計を示す。

    図8Aは、様々な「ささやき回廊モード」マイクロキャビティ、およびOEOベースの小型原子時計用の設計を示す。

    図8Bは、様々な「ささやき回廊モード」マイクロキャビティ、およびOEOベースの小型原子時計用の設計を示す。

    図9は、様々な「ささやき回廊モード」マイクロキャビティ、およびOEOベースの小型原子時計用の設計を示す。

    図10は、様々な「ささやき回廊モード」マイクロキャビティ、およびOEOベースの小型原子時計用の設計を示す。

    図11は、様々な「ささやき回廊モード」マイクロキャビティ、およびOEOベースの小型原子時計用の設計を示す。

    図12は、様々な「ささやき回廊モード」マイクロキャビティ、およびOEOベースの小型原子時計用の設計を示す。

    図13Aは、様々な「ささやき回廊モード」マイクロキャビティ、およびOEOベースの小型原子時計用の設計を示す。

    図13Bは、様々な「ささやき回廊モード」マイクロキャビティ、およびOEOベースの小型原子時計用の設計を示す。

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