ハイブリッド計時器発振器

申请号 JP2017130857 申请日 2017-07-04 公开(公告)号 JP6386631B2 公开(公告)日 2018-09-05
申请人 モントレー ブレゲ・エス アー; 发明人 ブノワ・レジュレ; デルドレ・ルノアール; ダヴィデ・サルチ;
摘要
权利要求

バランス車セット(1)を有する少なくとも1つのばね仕掛けバランスアセンブリー(10)を有する計時器用発振器(100)であって、 このバランス車セット(1)自身が少なくとも1つのバランスリム(2)を有し、少なくとも1つのバランスばね(3)によって戻され、 前記バランス車セット(1)は、構造(4)に対して回転し、この回転は、第1の側では、堅固なアンカー要素(51)によって又はパラシュートばねによって前記構造(4)に固定された少なくとも1つのねじれワイヤー(5)によって、そして、前記第1の側とは反対側の第2の側では、非接触の磁気ピボットによって、行われ、 前記バランス車セット(1)は、前記バランス車セット(1)及び前記少なくとも1つのねじれワイヤー(5)が埋め込まれた少なくとも第1の極(6)を有し、 前記少なくとも1つの第1の極(60)はそれぞれ、前記ばね仕掛けバランスアセンブリー(10)の軸(D)を通り抜ける平面に対して対称であり、 前記少なくとも1つの第1の極(60)は、前記構造(4)が備える少なくとも1つの第2の極(70)と連係し、これによって、少なくとも1つの前記第1の極(60)が磁気的に懸架され、軸対称である発生磁場において、前記アンカー要素(61)の反対側の前記少なくとも1つのねじれワイヤー(5)の遠位端に、前記ねじれワイヤー(5)の軸方向の保持のために、前記少なくとも1つのねじれワイヤー(5)を軸方向に張らせる磁と、及び前記バランス車セット(1)を半径方向にセンタリングさせるための磁力をはたらかせる ことを特徴とする発振器(100)。少なくとも1つの前記第1の極(60)は、前記ばね仕掛けバランスアセンブリー(10)の前記軸(D)に対して軸対称である ことを特徴とする請求項1に記載の発振器(100)。少なくとも1つの前記第1の極(60)は、磁気的引力によって少なくとも1つの前記第2の極(70)と連係する ことを特徴とする請求項1に記載の発振器(100)。前記第1の極(60)はそれぞれ、磁気的引力によって、少なくとも1つの前記第2の極(70)と連係する ことを特徴とする請求項3に記載の発振器(100)。少なくとも1つの前記第1の極(60)は、磁気的斥力によって、少なくとも1つの前記第2の極(70)と連係する ことを特徴とする請求項1に記載の発振器(100)。前記第1の極(60)はそれぞれ、磁気的斥力によって、少なくとも1つの前記第2の極(70)と連係する ことを特徴とする請求項5に記載の発振器(100)。前記第1の極(60)の1つは、前記バランス車セット(1)とは独立の可動重量体(6)である ことを特徴とする請求項1に記載の発振器(100)。前記第2の極(70)の1つは、前記軸(D)に対して軸対称でありいずれの外部エネルギー源とも独立である極片(7)である ことを特徴とする請求項1に記載の発振器(100)。前記少なくとも1つのねじれワイヤー(5)は、前記軸(D)のまわりで規則的に分布する前記ねじれワイヤー(5)を複数グループ化している束(50)となっており、 各ねじれワイヤー(5)は、前記軸(D)を通り抜ける平面又は前記軸(D)のまわりで展開するらせんに支持されている ことを特徴とする請求項1に記載の発振器(100)。前記少なくとも1つのねじれワイヤー(5)は、少なくとも前記軸(D)に沿って延在している単一のねじれワイヤー(5)である ことを特徴とする請求項1に記載の発振器(100)。前記少なくとも1つのねじれワイヤー(5)は、実質的に前記軸(D)の方向に延在している細い部分と、及び少なくとも1つの半径方向に延在する肩部(55、56、57、58)とを有し、この肩部(55、56、57、58)は、自身を、前記バランス車セット(1)が備えるローラー(22)、及び/又は前記バランスリム(2)が備える軸方向の部分(21)、及び/又は前記バランスばね(3)の取り付けのために前記バランス車セット(1)が備えるコレット(24)、及び/又は前記可動重量体(6)に取り付けるためのものである ことを特徴とする請求項1に記載の発振器(100)。前記肩部(55、56、57、58)はそれぞれ、実質的に平坦であり、 前記バランスばね(3)の取り付けのために、前記バランスリム(2)に設けられた溝(25、26、27)に、及び/又は前記バランス車セット(1)が備えるコレット(24)に、及び/又は可動重量体(6)に、挿入されるように構成している ことを特徴とする請求項11に記載の発振器(100)。前記少なくとも1つのねじれワイヤー(5)は、少なくとも前記軸(D)に沿って延在している単一のねじれワイヤー(5)であり、 前記単一のねじれワイヤー(5)は、前記肩部(55、56、57、58)のすべてをグループ化している単一の半径方向の肩部を有する ことを特徴とする請求項11に記載の発振器(100)。前記少なくとも1つのねじれワイヤー(5)は、少なくとも前記軸(D)に沿って延在している単一のねじれワイヤー(5)であり、 前記単一のねじれワイヤー(5)は、自身を前記ローラー(22)及び前記バランスリム(2)の前記軸方向の部分(21)に取り付けるために、前記半径方向に延在する肩部(55、56、57、58)のうちの前記肩部(55、56)を2つグループ化している第1の肩部の対と、及び自身を前記コレット(24)及び前記可動重量体(6)に取り付けるために、前記肩部(57、58)の2つをグループ化している第2の肩部の対とを有する ことを特徴とする請求項11に記載の発振器(100)。前記少なくとも1つのねじれワイヤー(5)は、少なくとも前記軸(D)に沿って延在している単一のねじれワイヤー(5)であり、 前記単一のねじれワイヤー(5)は、前記半径方向に延在する肩部(55、56、57、58)のうちの単一の第1の肩部と、及び前記第1の肩部とは異なる他の半径方向に延在する肩部(55、56、57、58)のうちの肩部の対又は三つ組の肩部とを有する ことを特徴とする請求項11に記載の発振器(100)。前記少なくとも1つのねじれワイヤー(5)は、少なくとも前記軸(D)に沿って延在している単一のねじれワイヤー(5)であり、 前記単一のねじれワイヤー(5)は、前記半径方向に延在する肩部(55、56、57、58)のうちの第1の肩部の対と、及び前記第1の肩部の対とは異なる他の半径方向に延在する肩部(55、56、57、58)のうちの2つの別個の肩部とを有する ことを特徴とする請求項11に記載の発振器(100)。前記少なくとも1つのねじれワイヤー(5)は、自身を前記構造(4)が備えるメインプレート(41)においてセットするために端アンカー要素(51)を有し、実質的に前記メインプレート(41)に垂直に延在しており前記メインプレート(41)から突き出ている ことを特徴とする請求項1に記載の発振器(100)。当該発振器(100)が備えるすべてのねじれワイヤー(5)の組のねじれスチフネスは、当該発振器(100)が備える最も堅固でないバランスばね(3)のねじれスチフネスの1/10以下である ことを特徴とする請求項1に記載の発振器(100)。前記ねじれワイヤー(5)はそれぞれ、矩形断面が5μm×10μm以下である単結晶ケイ素で作られており、7mN以上の強度の磁気的張力を与えられる ことを特徴とする請求項1に記載の発振器(100)。前記可動重量体(6)は、前記軸(D)に沿った円錐状であり頂点が前記極片(7)の側に向いている円錐形部分(61)を有する ことを特徴とする請求項1に記載の発振器(100)。停止状態において、前記円錐形部分(61)の頂点と前記極片(7)の間に前記軸(D)に沿って、5〜40μmの値の遊び(J)が延在している ことを特徴とする請求項1に記載の発振器(100)。前記極片(7)は、前記構造(4)が備えるブリッジ(43)内に収容されたカボション(8)にパラシュートばね(82)によって懸架されたセッティング(81)内に収容され、 前記カボション(8)は、衝撃があったときの前記可動重量体(6)のための半径方向の止めを形成しているパイプ(84)を有する ことを特徴とする請求項1に記載の発振器(100)。請求項1に記載の発振器(100)を少なくとも1つ有する ことを特徴とする計時器用ムーブメント(200)。請求項1に記載の発振器(100)を少なくとも1つ有する ことを特徴とする腕時計(300)。

说明书全文

本発明は、バランス車セットを有する少なくとも1つのばね仕掛けバランスアセンブリーを有する計時器用発振器に関する。このバランス車セット自身が、少なくとも1つのバランスリムを有し、少なくとも1つのバランスばねによって戻される。

本発明は、さらに、前記のような発振器を有するムーブメントに関する。

本発明は、さらに、前記のような発振器を有する腕時計に関する。

本発明は、機械式計時器用発振器の分野に関する。

機械式腕時計の伝統的な発振器は、ばね仕掛けバランスである。このタイプの解決策には、以下のようないくつかの利点がある。 − クロノメトリーが非常に正確である。これは、バランスばねの有効長、自由度が1つの場合(仮想的な中心のまわりのコレットの回転)以外のすべての自由度においてスチフネスが高いこと、及びバランス(このバランスにすべての慣性が集中する)の平衡を調整できることに起因している。 − 外部の阻害に対する安定性が高い。これは、バランスの慣性が比較的高いことに起因している。 − いくつかのエスケープシステムによってシステムを維持することができる。 − 熱変動を比較的よく打ち消すことができる。 − 非常に低い周波数(2〜10Hz)でもQが比較的高く、したがって、エネルギー消費が低く、パワーリザーブに余裕がある。 − 大きな振幅で動作することができる。

しかし、ばね仕掛けバランスには、以下のような望ましくない特徴もある。 − バランススタッフの回転、摩擦及び遊びによって、腕時計の異なる位置の間でクロノメトリーの差が発生してしまう。 − 回転しているときの回転によって、Qとクロノメトリーが部品の摩擦系に依存するようになり、このことによって、時間にわたって振幅とレートが変動するリスクが発生してしまう。 − 回転を最適化するために完璧な潤滑が必要であり、このことによって、時間にわたって又は温度や湿度が変動するにしたがって、変動しうる制御できないパラメーターが導入されてしまう。 − 発振周波数が10Hzよりも高いような高値になると発振を維持することが難しくなってしまう。このことは、このような高性能発振器のパワーリザーブにとって有害である。

2012年に、MONTRES BREGUETが、前記の望まない特徴のいくつかを克服することができる磁気ピボットという革新的な手法を導入した。この手法によって、腕時計の姿勢に起因するクロノメーター的な違いをなくし、Qを改善させ、したがって、パワーリザーブを改善させることができる。

しかし、この革新技術によって摩擦系の影響を弱めることができるが、摩擦系の影響は依然としてあり、依然として摩擦系の品質にクロノメトリーが部分的に依存している。

ばね仕掛けバランスの望まない特徴に対する第2の解決策がBLANCPAINによって提案されている。すなわち、バランススタッフとバランスばねの代わりにねじれワイヤーを備えた発振器が提案されている。この革新技術によって、摩擦系に関連する問題をなくすことができるが、ばねと比較したワイヤーのクロノメーター的な品質に関する原理上の課題が発生している。すなわち、ワイヤーには、いくつかの変形モード、曲げモードがあり、歳差運動を行い、これらのモードをなくすためには、セッティングに与えられる機械的張を導入することが必要である。これは、制御することが難しく、時間にわたって又は温度変動に応じて変わりうる。

本発明は、前記の2つの革新技術の望まない特徴をなくしつつ、磁気ピボットの利点及びねじれ発振器の利点を維持することを目的とする。これは、腕時計のレートを定める発振器要素としてばね仕掛けバランスシステムを依然として用いるハイブリッド機械的/磁気的システムを提案することによって達成する。

このために、本発明は、請求項1に記載の計時器用発振器に関する。

本発明は、さらに、前記のような発振器を少なくとも1つ有するムーブメントに関する。

本発明は、さらに、前記のような発振器を少なくとも1つ有する腕時計に関する。

添付図面を参照しながら下記の詳細な説明を読むことで、本発明の他の特徴及び利点を理解することができるであろう。

ばね仕掛けバランスアセンブリーを有する本発明に係るハイブリッド発振器の第1の変種を示している、バランスの回転軸を通り抜ける平面で切断された概略斜視図である。前記バランスは、ねじれワイヤーによっても戻され、ねじれワイヤーは、第1の下側端では、メインプレートに堅固に固定されており、他方の上側端では、自由にされており、磁気的引力によって、バランス−コックに固定された磁石と連係する重量体を担持しており、これによって、ワイヤーの張りを確実にし、その理論的な軸におけるバランスを維持する。

図1の発振器についての同じ平面に沿った断面図である。

コレットへのワイヤーの取り付けを示している平面図である。

リムへのワイヤーの取り付けを示している平面図である。

単一のローラーへのワイヤーの取り付けを示している平面図である。

バランス車セットを引きつける傾向がある軸方向の磁極片を示している側面図であり、側方の磁極片は、バランス車セットを斥ける傾向があり、これによって、バランス車セットをその軸に対して適切に維持する。

軸のまわりにて規則的に分布している複数の素ワイヤーを有する束の形態のねじれワイヤーを示している概略平面図である。

本発明に係るハイブリッド発振器の第2の変種を図2と同様な形態で示している。重量体は、磁気的斥力によって、コックに固定された磁石と連係しており、これによって、ワイヤーの張りを確実にして、バランスをその理論的な軸に対して維持する。

前記のような発振器を備えたムーブメントを有する腕時計を示しているブロック図である。

本発明は、磁気ピボットとねじれ発振器の2つの革新技術の望まない特徴をなくしつつ、磁気ピボットとねじれ発振器の利点を組み合わせて発揮させることを目的とする。これは、腕時計のレートを定める発振器要素として依然としてばね仕掛けバランスシステムを用いるハイブリッド機械的/磁気的システムを提案することによって達成する。

したがって、本発明は、少なくとも1つのばね仕掛けバランスアセンブリー10を有する計時器用発振器100に関する。このばね仕掛けバランスアセンブリー10は、伝統的な形態でバランス車セット1を有し、このバランス車セット1自身は、少なくとも1つのバランスリム2を有し、少なくとも1つのバランスばね3によって戻される。

本発明によると、バランス車セット1は、第1の側では、堅固なアンカー要素51によって又は構造4へのパラシュートばねを介して第1の端において固定された少なくとも1つのねじれワイヤー5によって、そして、第1の側とは反対側の第2の側では、非接触の磁気ピボットによって、構造4に対して回転する。

図1及び2は、堅固なアンカー要素51の場合について示している。図示していない変種において、この第1の端は、パラシュートばねに固定されており、このパラシュートばね自身が構造4に固定されており、結果的に、第1の端には、パラシュートのスチフネスによって制限される1つの軸方向の自由度がある。

この非接触の磁気ピボットは、アンカー要素51においてセットされる第1の端とは反対側のねじれワイヤー5の第2の遠位端に、好ましくは、ばね仕掛けバランスアセンブリー10の軸Dの方向の、磁気的張力を与えるように構成している。このために、バランス車セット1は、少なくとも第1の極60を有し、これは、バランス車セット1及び前記少なくとも1つのねじれワイヤー5とともに埋め込まれている。少なくとも1つの第1の極60のそれぞれは、軸Dを通り抜ける平面に対して対称であり、あるいは、さらに、軸Dに対して対称である。この少なくとも1つの第1の極60は、その磁気的懸架のために、また、少なくとも1つのねじれワイヤー5の張りのために、軸Dに対して軸対称である結果として生じる磁場において、構造4が備える少なくとも第2の極70、71、72、特に、図面においてはバランスコック43、と連係している。このようにして、この結果として生じる軸方向の磁力によって、埋め込まれた極60の半径方向の再センタリング、ねじれワイヤー5の軸の再アライメント、及びバランス車セット1の半径方向のセンタリングが可能となる。

実際に、第2の極70、71、72は、バランスばね3を除くばね仕掛けバランスアセンブリー10に、特に、前記少なくとも1つの第1の極60に、作用して、自身を軸Dの方向に再センタリングする。このように、バランス車セット1の再センタリングが、ねじれワイヤー5の軸方向の再センタリング以外によってももたらされる。

このようにして、軸対称である発生磁場は、前記少なくとも1つのねじれワイヤー5の軸方向に張ってねじれワイヤー5を軸方向に保持するための磁力と、バランス車セット1の半径方向のセンタリングのための磁力との両方を発生させる。

以下、慣例にしたがって、ねじれワイヤー5とバランス車セット1に関係するものはすべて、「第1」のものとし、ねじれワイヤー5の遠位端側にある構造4と関係するものはすべて、「第2」のものとする。

なお、「相互作用」とは、第1の極60と第2の極70、71、72の間の磁気的相互作用のことであることがわかる。これは、引力又は斥力のものであり、 − 引力によって、第1の磁石と第2の磁石、第1の磁石と第2の磁化部分、又は第1の磁化部分と第2の磁石の間の連係が可能になり、 − 斥力は、第1の永久磁石と第2の永久磁石、第1の磁石と第2の反磁性部品、又は第1の反磁性部品と第2の磁石によってのみ達成することができる。

このように、選択した構成に依存して、極は、永久磁石、反磁性部分、又は強磁性部分によって構成することができる。以下において用いる用語「極片」は、永久磁石のみに関係するのではない。なお、永久磁石は好ましい実施形態である。

本発明は、バランス上に少なくとも1つの永久磁石を有する変種を含むいくつかの変種において達成可能である。このバランス上に少なくとも1つの永久磁石を有する変種は特に有利であるが、これに制限されない。

磁気的相互作用の寸法構成は、ねじれワイヤー5を適切に張り、通常の加速に耐えるために十分な力をねじれワイヤー5の遠位端に与えるために、存在する磁場が空間における全姿勢において十分に大きいように計算される。

この張力Fの方向がばね仕掛けバランスアセンブリー10の軸方向Dの向きであるが、例えば、図6に見られるように、当然、この張力Fの方向は、軸方向の場、半径方向の場又は傾斜している場の結果として生じることがある。

特定の実装において、ねじれワイヤー5は、BLANCPAIN SAによるスイス特許出願CH01571/12に記載されているような純粋なねじれではたらくワイヤーである。

変種の1つにおいて、前記少なくとも1つのねじれワイヤー5は、ともに1つのねじれワイヤーを形成している複数の素ワイヤーによって構成しているネットワークである。これらの素ワイヤーのそれぞれは、純粋なねじれではたらくワイヤー、又は曲げモードではたらくワイヤー、又はより正確には、ねじれモードと曲げモードが組み合わさってはたらくワイヤーであることができる。ねじれワイヤー5の構成は、非常に多様な形態であることができるが、ねじれワイヤーの張りを軸方向Dにおいて確実にすることができることが重要である。

具体的には、少なくとも1つの第1の極60は、ばね仕掛けバランスアセンブリー10の軸Dに対して軸対称である。また、具体的には、第1の極60はそれぞれ、軸Dに対して軸対称である。

図1及び2に示す第1の変種において、少なくとも1つの第1の極60は、磁気的引力によって、少なくとも1つの第2の極70と連係している。特に、第1の極60はそれぞれ、磁気的引力によって、少なくとも1つの第2の極70と連係している。

図8に示す第2の変種において、少なくとも1つの第1の極60は、磁気的斥力によって、少なくとも1つの第2の極70と連係している。好ましくは軸方向の、ワイヤーの少なくとも1つのテンション接続と、好ましくは軸対称の、磁気的に斥ける傾斜接続又は半径方向の接続との組み合わせが可能である。図8は、可動重量体6を有する第1のワイヤ端極60が極片を越えており、ワイヤーが張ることが可能になる方向にて磁気的斥力を得ている一実施形態(これに限定されない)を示している。この変種は、ムーブメント全体の厚みの点で有利である。具体的には、第1の極60はそれぞれ、磁気的斥力によって、少なくとも1つの第2の極70と連係している。

具体的には、少なくとも1つの第1の極60は、バランス車セット1とは独立でありバランス車セット1から離れている可動重量体6、特に、永久磁石、である。

具体的には、少なくとも1つの第2の極70は、極片7である。具体的には、この極片7は、軸Dに対して軸対称であり、いずれの外部エネルギー源にも依存しない。

図面には、この極片7の近傍に、第1の極60の移動距離を制限するように構成している非磁性のスペーサー75を示している。

本発明によると、このバランス車セット1は、第1の側では、少なくとも1つのねじれワイヤー5によって構造4に対して回転し、そして、第1の側とは反対側の第2の側では、非接触の磁気ピボットによって回転する。この非接触の回転を達成するために、バランス車セット1は、軸Dを含む平面に対して対称、特に、軸Dに対して軸対称な、少なくとも1つの可動重量体6を有する。具体的には、前記のような可動重量体6の少なくとも1つは、その磁気的懸架のために、構造4が備える少なくとも1つの極片7と連係している。これは、図1及び2においては引力、又は図8においては斥力がはたらくように連係している。

図6は、軸方向の極片70がバランス車セット1を引きつけ、側方の極片がバランス車セット1を斥ける傾向があり、これによって、バランス車セット1をその軸の位置に適切に保持するような特定の変種を示している。この逆の構成も可能である。

図7に示す変種において、前記少なくとも1つのねじれワイヤー5は、軸Dのまわりに規則的に分布している複数のねじれワイヤー5を含む束50であり、各ねじれワイヤー5は、例えば、軸Dを通り抜ける平面に、又は軸Dを通り抜ける平面と平行な平面に、又はワイヤーどうしが編まれる場合にて軸Dのまわりに展開するらせんによって、支持される。

時計の大きさの小さい規模で、編まれたワイヤーを製造することができる。より詳細には、ケイ素、窒化又は炭化ケイ素、NiP(ニッケル−リン)又は金属性ガラスを用いて製造することができる。編まれたワイヤーは、光導波路として存在し、ワイヤーの断面の寸法は、発振器タイプの用途に必要な断面のオーダーである。

図1〜6、8に示す変種において、前記少なくとも1つのねじれワイヤー5は、少なくとも軸Dに沿って延在している単一のねじれワイヤー5である。すなわち、軸Dに沿った少なくとも1つのメインの細いまっすぐな部分を有する。ねじれワイヤー5は、ねじれてはたらく唯一のものであり、場合によって、以下において「肩部」55、56、57、58と呼ぶ一又は複数の半径方向に延在しているウィングを有する。この肩部55、56、57、58は、ねじれトルクを与えられるワイヤーのまっすぐな領域よりも脆弱ではなく、そして、ねじれワイヤー5を損傷せずに、バランス車セット1が備える様々な部品をねじれワイヤー5に直接取り付けることを可能にするように構成している。

このようにして、特定の変種において、前記少なくとも1つのねじれワイヤー5は、実質的に軸Dの方向に延在している細い部分と、及び少なくとも1つの半径方向に延在する肩部55、56、57、58とを有し、この肩部55、56、57、58は、前記ねじれワイヤー5を、バランス車セット1が備えるローラー22に、及び/又はバランスリム2が備える軸方向の部分21に、及び/又はバランスばね3を取り付けるための、バランス車セット1が備えるコレット24に、及び/又可動重量体6に、取り付けるためのものである。

具体的には、肩部55、56、57、58はそれぞれ、実質的に平坦であり、バランスリム2に形成された溝25、26、27、28へ、及び/又はバランスばね3を取り付けるための、バランス車セット1が備えるコレット24へ、及び/又は可動重量体6へと挿入されるように構成している。

特定の変種(図示せず)において、前記少なくとも1つのねじれワイヤー5は、少なくとも軸Dに沿って延在している単一のねじれワイヤー5であり、この単一のねじれワイヤー5は、肩部55、56、57、58をすべてグループ化している単一の半径方向の肩部を有する。

特定の変種(図示せず)において、前記少なくとも1つのねじれワイヤー5は、少なくとも軸Dに沿って延在している単一のねじれワイヤー5であり、この単一のねじれワイヤーは、ローラー22及びバランスリム2の軸方向の部分21への取り付けのための、半径方向に延在する肩部55、56、57、58のうちの2つの肩部55、56がグループ化した第1の肩部の対と、及びコレット24及び可動重量体6への取り付けのための、2つの肩部57、58がグループ化した第2の肩部の対とを有する。

特定の変種(図示せず)において、前記少なくとも1つのねじれワイヤー5は、少なくとも軸Dに沿って延在している単一のねじれワイヤー5であり、半径方向に延在する肩部55、56、57、58のうちの単一の第1の肩部と、及びこの第1の肩部とは異なる他の半径方向に延在する肩部55、56、57、58のうちの肩部の対又は三つ組の肩部とを有する。

別の特定の変種(図示せず)において、前記少なくとも1つのねじれワイヤー5は、少なくとも軸Dに沿って延在している単一のねじれワイヤー5であり、半径方向に延在する肩部55、56、57、58のうちの第1の肩部の対と、及びこの第1の肩部の対とは異なる他の半径方向に延在する肩部55、56、57、58のうちの2つの別個の肩部とを有する。

図面に示した特定の変種において、前記少なくとも1つのねじれワイヤー5は、構造4が備えるメインプレート41におけるねじれワイヤー5のセッティングのための端アンカー要素51を有し、プレート41から突き出るようにプレート41に実質的に垂直に延在している。

このように、本発明は、2つの異なる戻し手段を有するために、ハイブリッド発振器を構成している。すなわち、バランスばね3(又はバランスばね3)とねじれワイヤー5(又はねじれワイヤー5)の異なる戻し手段を有し、これらの効果が組み合わさって発揮される。

このようなハイブリッド発振器の周波数は、

の関係によって、バランスばね3のスチフネスkspiralとねじれ時のワイヤー5のスチフネスkfilの組み合わせによって与えられる。

本発明は、ワイヤー5のスチフネスがバランスばね3のスチフネスよりもはるかに低い場合、特に、

の場合に有利である。なぜなら、この場合において、ワイヤーの製造又は位置合わせにおける不正確性によって、1日当たり約1〜10秒の値に抑えられるレートのエラーを発生させうる。このエラーは、リム、調整ねじ、弾性細長材、偏心クリック又は他の手段からの材料の削摩のような、ばね仕掛けバランスを調整するための通常のシステムによって容易に訂正することができるエラーである。

用語ワイヤーの「ねじれ」は、ワイヤーのスチフネス寄与を意味しているが、実際上は、バランスばねのスチフネスと比較して、最小のスチフネスが求められる。

図7は、「複合」ワイヤーを有する好ましい変種を示しており、これにおいて、特に、細長材5A、5B、5C、5Dの形態である、いくつかの単純なワイヤーがともに「ねじれ」ワイヤーを形成しているが、各細長材は変形しており、特に、曲げ/ねじれによって変形している。この細長材は、特に、矩形断面の細長材であり(これに制限されない)、さらに具体的には、ばね仕掛けバランスの回転軸Dに対してわずかに偏心して固定された細長材である(これに制限されない)。この種のシステムは、衝撃に強く、最小のねじれスチフネスを与える。このようにして、ワイヤー5のスチフネスkfilは、これらの単純なワイヤーの結果として生じるスチフネスである。

したがって、特定の好ましい変種において、発振器100が備えるすべてのねじれワイヤー5の組のねじれスチフネスは、発振器100が備える最も堅固でないバランスばね3のねじれスチフネスの1/10以下である。

特定の変種、特に、図1及び2に示した変種において、ねじれワイヤー5はそれぞれ、矩形断面が5μm×10μm以下の単結晶ケイ素で作られ、7m・N以上の強度の磁気的張力を与えられる。

特定の変種において、この張力は、9m・Nの上限値に制限される。これは、一般的な使用のために作られた腕時計には適しており、磁性部品、そして結果的には、ムーブメント全体を、不必要に大きくすることを回避することができる。

航空工学や宇宙工学のような非常に特別な用途、特に、大きな加速度が発生する用途において、前記のようなねじれワイヤー5はそれぞれ、15nM以上の強度の磁気的張力を与えられる。好ましいことに、そして図1、2及び8に示すように、可動重量体6は、軸Dに沿った円錐形部分61を有しており、その頂点が極片7の側を指すように向いている。可動重量体6は、極片7と連係する。実際に、図面には1つのみの可動重量体6と1つのみの極片7を示しているが、軸方向の一連のいくつかの可動重量体6及び/又はいくつかの極片7を作ることができる。

設計の変種の1つでは、極6も極7も軸対称とはしないが、軸D上にて妨害トルクを発生させない。これは、例えば、前記少なくとも1つの極6又は7が軸Dに対して偏心しており、かつ、極7又は6が前記少なくとも1つの極6又は7と相互作用するリングである場合である。しかし、これら2つの極がクロノメトリーに有害なトルクを発生させずに非対称であるような設計を開発するのは難しい。このように、具体的には、2つの極の少なくとも一方は、軸対称である。

特定の特徴によると、休んでいるときに、円錐形部分61の頂点と止めを形成している端壁との間に軸Dに沿って、5〜40μmの値の遊びJが延在している。この壁は、すなわち、極片7の1つの面、又は好ましくは図1及び2における非磁性のスペーサー75、又は図8における構造4の要素である。

具体的には、極片7は、セッティング81内に収容され、このセッティング81は、パラシュートばね82によって、構造4が備える棒体43の内部に収容されるカボション8に懸架される。このカボション8は、衝撃を受けたときに可動重量体6のための半径方向の止めを形成するパイプ84を有する。

本発明は、さらに、前記のような発振器100を少なくとも1つ有する計時器用ムーブメント200に関する。

本発明は、さらに、前記のような発振器100を少なくとも1つ有する腕時計300に関する。

短く書くと、本発明は、さらに、伝統的なばね仕掛けバランスを、ねじれワイヤーと組み合わせるハイブリッド発振器に関する。このねじれワイヤーもバランスを戻す。 − 前記のBLANCPAINによる従来技術におけるように、ねじれワイヤーはその両端ではなくその一端においてのみ固定される。 − バランスばねは残る。全体のスチフネスは、ねじれ変形しているワイヤーのスチフネスよりも10〜100倍であるような、バランスばねのスチフネスに大きく依存している。 − 少なくとも1つの磁性重量体(磁石又は強磁性部品)は、ワイヤーの自由端(取り付け箇所の反対側)の近くに位置しており、この磁性重量体は、特定の実施形態(これに限定されない)において、メインプレート又はバランスコックにマウントされたパラシュートばねに確実に固定されている。 − リム、バランスばね(コレットを介して)及び小ローラは、ワイヤーに固定され、ワイヤーには、これらの部品を支持するという機能がある一又は複数の肩部がある。 − したがって、少なくとも軸対称、好ましくは、円筒状の対称性を有する磁性重量体(磁石又は強磁性部品)が回転時にワイヤーの自由端に固定されるように位置し、ワイヤーは、この目的のための肩部を有する。このように、この重量体は、メインプレート又はバランスコックに固定された他方の磁性重量体の反対側にある。2つの重量体が磁石である場合、この2つの磁石は極性化され、第1の変種においては互いに引き合い、又は第2の変種においては互いを斥ける。

様々な変種を思い描くことができる。 − 2つの磁性重量体は、磁石/磁石、又は磁石/強磁性体、又は強磁性体/磁石であることができる。 − 第3及び第4の磁性重量体をそれぞれ、メカニカルセッティングに近いワイヤーに、そして、セッティングにおいてワイヤーに対向しているコック又はメインプレート上にて、固定することができる。そして、これらの重量体には、ワイヤーの半径方向の安定性を増す機能がある。 − ワイヤーは磁気的に分極可能であることができ又は非磁性であることができる。 − ワイヤーは、その機械的抵抗を増加させるために、いくつかの微細構造の細長材によって形成されることができる。 − ワイヤーの機械的な自由端とリムの近傍に、側方止めメンバーを導入して、大きな衝撃があったときの機械的抵抗を確実にすることができる。

図1及び2は、磁気的に引き合う第1の変種を示している。ワイヤー5は、アンカー要素51における構造4のメインプレート41においてセットされる。磁石7は、バランスコック43のパラシュートばね82に固定される。ワイヤー5においては、細長材/ワイヤーの拡大部分を形成する4つの肩部55、56、57、58が、特に接合又は同様な手段によって、ローラー22、バランス2のリム21、バランスばね3を備えたコレット24、及びここでは円筒対称な円錐形の強磁性部品6の取り付けを可能にする機能を有する。図3〜5に、これらの取り付けの詳細を示した。バランスコックの磁石7を担持する部品8には、大きな衝撃があったときに側方止めメンバーとしてはたらくパイプ84がある。

図8は、磁気的に斥ける第2の変種を示しており、磁石7の位置をずらしてプレート41の近くに動かしており、可動重量体6は磁石7を越えた位置に収容されている。

5μm×10μmの矩形断面の長さ2mmの単結晶ケイ素ワイヤーは、慣性J=2.5mg・cm2であるバランスにつながれた場合、10Hzの発振を可能にする典型的なバランスばね(例、BREGUET 7400 calibre)のスチフネスの1/100のねじれスチフネスを有する。

一端において固定され、15mNの磁気的張力を与えられ、100°のねじれを与えられた前記の寸法を備えたワイヤーは、2〜3のファクターの分、最大応力限界よりも小さい(バランスばねのように)、400MPの機械的な応力を発生させる。

ワイヤーへの4つの部品の取り付けに単一の肩部を用いる変種は、伝統的なシステムに最も近い。各部品が、ワイヤーのねじれ時に同じ度回転する。

システムを維持する最も好ましい変種は、2つの異なる肩部を用い、バランスばね/リム/強磁性体部品のアセンブリーが第1の肩部(この肩部はワイヤーの自由端に近い)上で固定されており、小ローラが第2の肩部(ワイヤーの取り付け位置に、より近い)上に固定されているものである。この構成において、小ローラの回転角度は、バランスばね/リム/強磁性体部品のアセンブリーの回転角度よりも小さく、したがって、小ローラの最大の回転速度は、同じ周波数及び振幅を有する伝統的なバランスの回転速度よりも小さい。すなわち、この新規な特徴によって、システムの維持を効率的にすることができる。なぜなら、エスケープ機構が、小ローラへと、したがって、発振器へと、エネルギーを容易に移すことができるからである。

ここでは、磁気的懸架を行うものに基づいて本発明を開示している。しかし、本発明は、当然、静電タイプの懸架を行うもの、又は磁気/静電気を組み合わせるものをも実装することができる。

本発明には、以下のような顕著な利点がある。 − 発振時にピボットにおいて摩擦がない。 − 腕時計の位置に対するクロノメトリーの依存性が低い。 − クロノメーターの調整、温度補償及び維持のために標準的な技術を使用する。 − 腕時計に適している。 − 海軍用クロノメーターに適している。 − 固定的な使用に適している。

1 バランス車セット 2 バランスリム 3 バランスばね 4 構造 5 ねじれワイヤー 6 可動重量体 7 極片 8 カボション 10 ばね仕掛けバランスアセンブリー 21 軸方向の部分 22 ローラー 24 コレット 25、26、27 溝 41 メインプレート 43 ブリッジ 50 束 51 アンカー要素 55、56、57、58 肩部 60 第1の極 61 円錐形部分 70 第2の極 81 セッティング 82 パラシュートばね 84 パイプ 100 発振器 200 ムーブメント 300 腕時計 D 軸 J 遊び

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