Magnetic and/or electrostatic pivot

申请号 JP2011245490 申请日 2011-11-09 公开(公告)号 JP2012103249A 公开(公告)日 2012-05-31
申请人 Montres Breguet Sa; モントレー ブレゲ・エス アー; 发明人 MARECHAL SYLVAIN; SARCHI DAVIDE; KARLEN OLIVIER; TODESCHINI ARNAUD;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To make operation quality of a timepiece movement not depend upon its orientation in a space.SOLUTION: There is provided a method of determining an orientation of a timepiece component made of a magnetic/electrostatic material. On both sides of the component, two magnetic/electrostatic fields attract the component to pole pieces respectively, there is imbalance in intensity between the fields around the component to generate a difference in force to the component, and while one end is pressed against a contact surface of one pole piece, the other end is kept a certain distance away from the other pole piece. There is provided a magnetic/electrostatic pivot including such a component having two ends. The pivot includes a guide device having surfaces of the two pole pieces, which are attracted respectively by the magnetic/electrostatic fields that one end passes. Or a magnetic/electrostatic field which attracts one end is generated, magnetic/electrostatic forces applied to the two ends are different in intensity, and only one end is attracted to be brought into contact with only one pole piece surface.
权利要求
  • 時計構成要素(1)の枢動を案内するために前記時計構成要素(1)の向きを定めるための方法であって;
    前記構成要素(1)は、少なくとも部分的に透磁性もしくは静電気透過性の材料からなり、または少なくとも部分的に磁性もしくは静電性の材料からなり、第1の端部(2)と第2の端部(3)を有するものであり、
    前記第1の端部(2)と第2の端部(3)において、2つの磁場または静電場が発生され、前記磁場または静電場がそれぞれ前記構成要素(1)を極片(4;6)に引き付け、前記構成要素(1)の周りで前記磁場または静電場どうしの間に不均衡によって、前記構成要素(1)に対する力の差を発生させ、前記構成要素(1)の一方の端部(2;3)を一方の極片(4;6)の接触面(5;7)に押し付け、かつ他方の端部(3;2)を他方の極片(6;4)の接触面(7;5)からある距離に保ち、前記磁場または静電場どうしの間の前記不均衡が、前記接触面(5;7)の間の空間によって形成される空気ギャップの周りで生じることを特徴とし、
    さらに、前記磁場または静電場は互いに非対称であり、互いに強度が異なることを特徴とする、方法。
  • 前記2つの磁場または静電場は、前記第1の端部(2)と第2の端部(3)の両方の側で、ほぼ同方向であるが逆向きに発生されることを特徴とする、請求項1に記載の時計構成要素(1)の枢動を案内するために時計構成要素(1)の向きを定めるための方法。
  • 前記2つの磁場または静電場は、前記第1の端部(2)と前記第2の端部(3)の両方の側で、同方向であるが逆向きに発生されることを特徴とする、請求項1に記載の時計構成要素(1)の枢動の向きを定めるための方法。
  • 前記時計構成要素(1)は、前記磁場または静電場およびそれぞれの極片(4、6)の配置によって定義される枢動軸(D)に向きを定められること、および前記第1の端部(2)と前記第2の端部(3)の両方の側で、第1の極片(4)および第2の極片(6)上で、第1の磁場または静電場と第2の磁場または静電場が逆向きに発生され、前記磁場または静電場がそれぞれ前記枢動軸(D)の周りで回転対称性を有し、前記構成要素(1)を前記極片(4;6)に引き付ける傾向があり、前記第2の端部(2)の近くでの前記第1の磁場または静電場の密度が、前記第2の端部(3)の近くでの前記第2の磁場または静電場の密度よりも大きく、それにより前記第1の端部(2)を引き付けて前記第1の極片(4)と接触させることを特徴とし、さらに、前記極片(4;6)の空気ギャップ(E)が、前記第1の端部(2)と前記第2の端部(3)の間の中心距離(L)よりも所定の動作遊び(J)の値だけ大きいことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の時計構成要素(1)の枢動を案内するために時計構成要素(1)の向きを定めるための方法。
  • 前記時計構成要素(1)は、少なくとも部分的に透磁性もしくは静電気透過性である材料、または少なくとも部分的に磁性もしくは部分的に静電性である材料からなり、第1の端部(2)と第2の端部(3)を含む時計構成要素(1)の枢動を案内するためのデバイス(10)において、
    前記第1の端部(2)と前記第2の端部(3)の間の中心距離(L)よりも所定の動作遊び(J)の値だけ大きい空気ギャップ(E)距離において、第1の極片(4)の第1の表面(5)と第2の極片(6)の第2の表面(7)を含み、前記極片(4、6)が、前記構成要素(1)の前記第1の端部(2)か前記第2の端部(3)の一方が通す磁場または静電場によって引き付けられるようにそれぞれ構成されるか、または前記構成要素(1)の前記第1の端部(2)か前記第2の端部(3)の一方を引き付ける磁場または静電場を発生するようにそれぞれ構成され、したがって前記2つの端部(2、3)で前記構成要素(1)に及ぼされる磁気引力または静電気引力の強度が異なり、それにより前記2つの端部の一方(2;3)で前記構成要素(1)を引き付けて、前記極片(4;6)の前記表面のただ一方(5;7)に直接または間接的に接触させ、前記磁場または静電場どうしの間の前記不均衡が、前記接触面(5;7)の間の空間によって形成される空気ギャップの周りで生じることを特徴とし、
    さらに、前記磁場または静電場は互いに非対称であり、互いに強度が異なることを特徴とする、デバイス(10)。
  • 前記第1および前記第2の磁場または静電場は、前記構成要素(1)に対する重引力よりも10倍大きい引力を前記構成要素(1)に及ぼすように、前記構成要素(1)の材料の透磁率または静電気透過率が選択されるとともに、一方では場合に応じて前記第1の極片(4)と前記第2の極片(6)の磁化または帯電、および/または他方では前記構成要素(1)の磁化または帯電が決定されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の枢動案内用のデバイス(10)。
  • 少なくとも前記第1の表面(5)は、ハードコーティングを含むか、または前記第1の極片(4)と前記構成要素(1)の間に挿入された接続部片(18)の硬質面によって形成されることを特徴とする、請求項5または6に記載の枢動案内用のデバイス(10)。
  • 前記第1の表面(5)と前記第2の表面(7)の間の空気ギャップ距離(E)は、前記案内デバイス(10)および前記構成要素(1)の使用の温度範囲全体にわたって前記所定の動作遊び(J)を保証するように寸法設定されることを特徴とする、請求項5から7のいずれか一項に記載の枢動案内用のデバイス(10)。
  • 前記所定の動作遊び(J)が0.020mm以上であることを特徴とする、請求項5から8のいずれか一項に記載の枢動案内用のデバイス(10)。
  • 前記第1の極片(4)および前記第2の極片(6)がそれぞれ磁性材料または透磁性材料からなり、前記構成要素(1)が磁性材料でない場合には前記極片(4、6)が磁性材料であり、前記第1の極片(4)と前記第2の極片(6)が枢動軸(D)を一緒に定義し、前記構成要素(1)が前記第1の極片(4)と第2の極片(6)の間に挿入されるときに、前記第1の端部(2)と第2の端部(3)を結ぶ前記構成要素(1)の長手方向軸(D1)が前記枢動軸(D)に位置合わせされることを特徴とする、請求項5から9のいずれか一項に記載の構成要素(1)の枢動を案内するためのデバイス(10)。
  • 前記第1の極片(4)または前記第2の端部(2)が、前記第1の表面(5)の近くで、前記枢動軸(D)に沿って第1の磁場を発生させ、前記第1の磁場が、前記第1の端部(2)に近付くように前記第1の極片(4)を移動させる傾向があり、前記第2の極片(6)または前記第2の端部(3)によって前記第2の表面(7)の近くで発生される前記枢動軸(D)に沿った第2の磁場よりも密度が高く、前記第2の磁場が、前記第2の端部(3)に近付くように前記第2の極片(6)を移動させる傾向があり、それにより前記第1の端部(2)が、前記第1の表面(5)と接触して保持され、前記構成要素(1)の前記長手方向軸(D1)が前記枢動軸(D)と一致し、したがって前記第2の端部(3)が前記第2の表面(7)からある距離に留まることを特徴とする、請求項10に記載の構成要素(1)の枢動を案内するためのデバイス(10)。
  • 前記第1の表面(5)および前記第2の表面(7)の近くでの磁場密度が100000A/m以上であることを特徴とする、請求項5から11のいずれか一項に記載の枢動案内用のデバイス(10)。
  • 前記第1の接触面(5)および前記第2の接触面(7)の近くで前記枢動軸(D)に対して半径方向の成分をもつ磁場の作用を阻止するように構成された遮蔽手段(20)を含むことを特徴とする、請求項5から12のいずれか一項に記載の枢動案内用のデバイス(10)。
  • 前記遮蔽手段(20)が少なくとも1つの管状部品(21、22)を含み、前記管状部品(21、22)が、前記枢動軸(D)に中心を合わされ、前記第1の極片(4)および前記第2の極片(6)と、前記構成要素(1)の少なくとも前記第2の端部(3)とを取り囲むことを特徴とする。 請求項13に記載の枢動案内用のデバイス(10)。
  • 前記第1の極片(4)と前記第2の極片(6)の間に磁場ループ手段を含むことを特徴とする。 請求項5から14のいずれか一項に記載の枢動案内用のデバイス(10)。
  • 前記第1の端部(2)および第2の端部(3)で、少なくとも部分的に導電性の材料または少なくとも部分的に帯電された材料からなる時計構成要素(1)を保護するための請求項5から9のいずれか一項に記載の枢動案内用のデバイス(10)であって、
    前記第1の端部(2)と第2の端部(3)の両方の側で、前記第1の端部(2)と前記第2の端部(3)の間の中心距離よりも所定の動作遊び(J)の値だけ大きい空気ギャップ距離において、第1の極片(4)の第1の表面(5)と第2の極片(6)の第2の表面(7)を含み、前記極片(4;6)が、前記構成要素(1)の前記第1の端部(2)か第2の端部(3)の一方が通す静電場によって引き付けられるようにそれぞれ構成されるか、または前記構成要素(1)の前記第1の端部(2)か第2の端部(3)の一方を引き付ける静電場をそれぞれ発生するように構成され、したがって前記2つの端部(2;3)で前記構成要素(1)に及ぼされる静電引力の強度が異なり、それにより前記2つの端部の一方(2、3)で前記構成要素(1)を引き付けて、前記極片(4)の前記表面のただ一方(5;7)に直接または間接的に接触させ、前記静電場どうしの間の前記不均衡が、前記接触面(5;7)の間の空間によって形成される空気ギャップの周りで生じることを特徴とし、
    さらに、前記静電場が互いに非対称であり、互いに強度が異なることを特徴とする。 デバイス(10)。
  • 時計構成要素(1)を含む磁気または静電気ピボット(100)であって、時計構成要素(1)が、少なくとも部分的に透磁性もしくは静電気透過性である材料、または少なくとも部分的に磁性もしくは部分的に静電性である材料からなり、第1の端部(2)と第2の端部(3)を含む前記時計構成要素(1)の磁気または静電気ピボット(100)において、
    前記第1の端部(2)と前記第2の端部(3)の間の中心距離(L)よりも所定の動作遊び(J)の値だけ大きい空気ギャップ(E)距離において、第1の極片(4)の第1の表面(5)と第2の極片(6)の第2の表面(7)を含み、前記極片(4;6)が、前記構成要素(1)の前記第1の端部(2)か前記第2の端部(3)の一方が通す磁場または静電場によって引き付けられるようにそれぞれ構成されるか、または前記構成要素(1)の前記第1の端部(2)か前記第2の端部(3)の一方を引き付ける磁場または静電場を発生するようにそれぞれ構成され、したがって前記2つの端部(2、3)で前記構成要素(1)に及ぼされる磁気引力または静電気引力の強度が異なり、それにより前記2つの端部の一方(2;3)で前記構成要素(1)を引き付けて、前記極片(4;6)の前記表面のただ一方(5;7)に直接または間接的に接触させ、前記磁場または静電場どうしの間の前記不均衡が、前記接触面(5;7)の間の空間によって形成される空気ギャップの周りで生じることを特徴とし、
    さらに、前記磁場または静電場が互いに非対称であり、互いに強度が異なることを特徴とする、磁気または静電気ピボット(100)。
  • 請求項5から16のいずれか一項に記載の枢動案内用のデバイス(10)を1つ含むこと、および前記構成要素(1)が、少なくとも透磁性もしくは静電気透過性の材料、または少なくとも磁性もしくは静電性の材料からなる実質的にシャフト状の部分を含み、前記シャフト状の部分が、長手方向軸(D1)を定義する前記第1の端部(2)と第2の端部(3)の間に延びること、および前記案内デバイス(10)が、前記構成要素(1)を前記空気ギャップ内に挿入するためのアクセス手段を含むか、または前記案内デバイス(10)を複数の部品に分解することができ、前記部品が、部品どうしを協働させるための手段および/または部品をブリッジ(31)および/またはプレート(30)と協働させるための手段を含み、それにより、前記第1の表面(5)および前記第1の極片(4)を含む第1の部品に前記構成要素(1)が前記第1の端部(2)で当接するように前記構成要素(1)を取り付けることができ、その後、前記第2の表面(7)および前記第2の極片(6)を含む第2の部品を組み立てることを特徴とする、請求項17に記載のピボット(100)。
  • 前記構成要素(1)が、前記長手方向軸(D1)の周りで回転するスピンドル形状の部分(8)を有し、前記スピンドル形状の部分(8)の断面が、前記構成要素(1)の重心から前記第2の端部(3)に向かって縮小して、前記第2の表面(7)の近くでの磁場または静電場勾配を改良し、前記第2の端部(3)の中心を前記枢動軸(D)に容易に合わせられるようにすることを特徴とする、請求項17または18に記載のピボット(100)。
  • 最大枢動速度となるように前記長手方向軸(D1)の周りで動的に平衡を取られる構成要素(1)を含むことを特徴とする、請求項17から19のいずれか一項に記載のピボット(20)。
  • 前記構成要素(1)の前記第1の端部(2)が、前記第1の表面(5)との制限された接触面を有して構成され、前記制限された接触面が球状または円錐状であることを特徴とする、請求項17から20のいずれか一項に記載のピボット(100)。
  • 前記第1の表面(5)が、前記第1の端部(2)と協働するように構成された受取り表面を含み、前記受取り表面が中空であり、局部的に球状または円錐状であることを特徴とする、請求項17から21のいずれか一項に記載のピボット(100)。
  • 前記構成要素(1)がテンプまたはスプラングテンプであり、前記枢動軸(D)が前記長手方向軸(D1)と一致することを特徴とする、請求項17から22のいずれか一項に記載のピボット(100)。
  • 少なくとも前記テンプの輪縁とアームが、磁気的に不活性の材料、またはシリコン、または透磁率が非常に低い材料、および/またはMEMSもしくはLIGA技術を使用して形成された材料、または少なくとも部分的に非晶質の材料からなること、および前記テンプが、主慣性軸を通過する磁性材料または透磁性材料もしくは静電気透過性材料からなるアーバーを含み、または2つの半アーバーを含み、前記半アーバーが、テンプの両側で同軸上に位置合わせされ、透磁性材料または静電気透過性材料からなることを特徴とする、請求項23に記載のピボット(100)。
  • 透磁性材料または静電気透過性材料からなる実質的にシャフト状の部分を含む前記構成要素(1)を1つ含むこと、および前記第1の極片(4)および前記第2の極片(6)がそれぞれ磁性材料または静電性材料からなることを特徴とする、請求項17から24のいずれか一項に記載のピボット(100)。
  • 透磁性材料または静電気透過性材料からなる実質的にシャフト状の部分を含む前記構成要素(1)を1つ含むこと、および前記第1の極片(4)および前記第2の極片(6)がそれぞれ磁性材料または静電性材料からなることを特徴とする、請求項17から24のいずれか一項に記載のピボット(100)。
  • 磁性材料または静電性材料からなる実質的にシャフト状の部分を含む前記構成要素(1)を1つ含むこと、および前記第1の極片(4)および前記第2の極片(6)がそれぞれ透磁性材料または静電気透過性材料からなることを特徴とする請求項17から24のいずれか一項に記載のピボット(100)。
  • 請求項5から16のいずれか一項に記載の枢動案内用のデバイス(10)を少なくとも1つ含み、および/または請求項17から27のいずれか一項に記載のピボット(100)を少なくとも1つ含む、時計ムーブメント(1000)。
  • 請求項28に記載の時計ムーブメント(1000)を少なくとも1つ含み、および/または請求項5から16のいずれか一項に記載の枢動案内用のデバイス(10)を少なくとも1つ含み、および/または請求項17から27のいずれか一項に記載のピボット(100)を少なくとも1つ含む、時計。
  • 说明书全文

    本発明は、時計構成要素の枢動を案内するために時計構成要素の向きを定めるための方法であって、時計構成要素が、少なくとも部分的に透磁性の材料もしくは少なくとも部分的に磁性の材料、および/または少なくとも部分的に導電性の材料もしくは少なくとも部分的に帯電された材料からなり、また前記構成要素が、前記構成要素の第1の端部と第2の端部の間でチャンバ内に枢動可能に取り付けられる方法に関する。

    また、本発明は、第1の端部および第2の端部で、少なくとも部分的に透磁性の材料もしくは少なくとも部分的に磁性の材料、および/または少なくとも部分的に導電性の材料もしくは少なくとも部分的に帯電された材料からなる時計構成要素の枢動を案内するためのデバイスに関する。

    また、本発明は、第1の端部および第2の端部で、少なくとも部分的に透磁性の材料もしくは少なくとも部分的に磁性の材料からなる、または第1の端部および第2の端部で少なくとも部分的に導電性の材料もしくは少なくとも部分的に帯電された材料からなる時計構成要素を含む磁気および/または静電気ピボットに関する。

    また、本発明は、このタイプの枢動案内用のデバイスを少なくとも1つ含み、および/またはこのタイプの磁気および/または静電気ピボットを少なくとも1つ含む時計ムーブメントに関する。

    さらに、本発明は、このタイプの時計ムーブメントを少なくとも1つ含み、および/またはこのタイプの枢動案内用のデバイスを少なくとも1つ含み、および/またはこのタイプの磁気および/または静電気ピボットを少なくとも1つ含む時計に関する。

    本発明は、マイクロメカニクス、特に時計学の分野に関する。 本発明は時計学の分野に特に良く適している。

    マイクロメカニクス、特に時計学の技法では、従来、機械的な摩擦に基づいて構成要素の軸またはアーバーを位置決めする方法が使用されている。

    腕時計ムーブメントまたは振動体に組み込まれる枢動構成要素への特定の用途で生じる問題は、構成要素の効率および/または品質因子が、前記構成要素が組み込まれる腕時計の姿勢によって強く左右されることである。 特に、効率および/または品質因子は、腕時計が垂直姿勢であるときにかなり低い。 この問題を克服するために提案されている解決策は、垂直姿勢での効率および/または品質因子を高めるというよりは、平姿勢での効率および/または品質因子を低下させるものであることが多い。

    したがって、解決すべき問題は以下のとおりである。

    −腕時計のすべての姿勢で効率および/または品質因子を一様にすること。

    −すべての姿勢で効率および/または品質因子を高めること。

    SIEMENS AGによる特許文献1が公知であり、この特許は、内側管状磁石と一体のピンが外側管状磁石内に挿入されることによって形成される可動構成要素を開示する。 外側管状磁石は、2つの磁石に同軸のカートリッジ(cartouche)内部で移動することができ、一端で支持面に突き当たり、他端でブシュによって保持されたばねに突き当たる。 また、この可動構成要素は、ブシュと一体のスピンドル上で軸方向に案内される。 可動構成要素は、各軸方向端部に、内部磁石によって形成される脆弱なセラミックコアのための保護スリーブを含む。 枢動を案内するための手段は、内側管状磁石と外側管状磁石の協働により形成される。 しかし、第1の磁極片に可動構成要素を保持するとき、この可動構成要素と内側管状磁石の接続は、フランジと2つのスリーブの一方とを間に挟んでいるので、これはいわゆる支持とは同等でない。 したがって、この特許の可動構成要素は、内部磁石によって形成される第1の磁極片に対して自由ではなく、外部磁石によって形成される第2の磁極片に対してのみ自由である。

    VLADIMIR JAGMANNの特許文献2は、磁化可能な材料からなる可動構成要素を開示し、この可動構成要素は、重引に垂直な方向で磁場を発生する2つの磁極片の間の空気ギャップ内に配置され、空気ギャップよりも短く、磁極片のただ一方に当接し、他方の磁極片の近くではやや浮いた状態である。 可動構成要素の枢動軸は、2つの極片の極によって定義される軸と一致する。

    同様に、KERN & CO AGの特許文献3は、2つの磁石の間の磁場内で摩擦なしで同様に枢動する可動構成要素を開示する。 2つの磁石は、硬質材料からなる凸形放射状端部を有する。 これらの放射状端部の一方に突き当たる可動構成要素の表面も凸形であり放射状である。

    JUNHANS GEB AGの特許文献4は、回転するテンプを備えるレギュレータを開示し、振動部材の重量の作用を低減するために静磁場を使用する。

    また、Friedrich Mauthe GmbHの特許文献5は、ピボットに対する負荷を軽減するための磁石デバイスを開示する。

    ROULEMENTS A BILLES MINIATURESの特許文献6は、ガルバノメータなど測定装置用の垂直軸を有する磁気軸受を開示する。

    CLAVELOUX NOELの特許文献7は、複数の電極で構成されるジャイロスコープ回転子用の静電懸架機構を開示する。

    ドイツ特許第1211460号

    ドイツ特許出願公開19854063A1号

    ドイツ特許第1220224B号

    フランス特許出願公開第1115966A号

    ドイツ特許第1734590号

    英国特許出願公開第739979A号

    米国特許出願公開第3496780A号

    本発明は、時計構成要素の向きを定めるための方法、より具体的には、構成要素を枢動軸に位置合わせし、通常の機械的な案内デバイスに比べて摩擦を大幅に減少できるようにし、それにより従来よりも時計ムーブメントの動作品質が空間内での向きに左右されないようにする方法を考案することによって、従来技術の問題を克服することを提案する。

    これを実現するために、本発明は、効率および/または品質因子が姿勢に左右されないようにした時計構成要素用の磁気ピボットを形成するような、構成要素の枢動を案内するためのデバイスを実現する。

    したがって、本発明は、時計構成要素の枢動を案内するために時計構成要素の向きを定めるための方法であって、構成要素は、少なくとも部分的に透磁性の材料もしくは少なくとも部分的に磁性の材料、および/または少なくとも部分的に導電性の材料もしくは少なくとも部分的に帯電された材料からなり、前記構成要素は、前記構成要素の第1の端部と第2の端部の間でチャンバ内に枢動可能に取り付けられる方法に関し、前記第1の端部と第2の端部の両方の側で、2つの磁場または静電場が発生し、磁場または静電場がそれぞれ前記構成要素を極片に引き付ける傾向があり、前記構成要素の周りで前記磁場または静電場どうしの間に不均衡が生じて、それによって、前記構成要素に対する力の差を生み出して、前記構成要素の一方の端部を一方の極片の接触面に押し付け、かつ他方の端部を他方の極片の接触面からある距離で保ち、前記第1の端部と前記第2の端部で前記磁場または静電場の強度が異なることを特徴とし、さらに、前記第1の極片および前記第2の極片は、前記構成要素から独立しており、それぞれ前記チャンバの周辺またはその近くに位置され、それぞれ、少なくとも部分的に磁性の材料もしくは透磁性の材料、および/または少なくとも部分的に帯電された材料もしくは少なくとも部分的に導電性の材料からなることを特徴とし、さらに、前記構成要素が、前記極片の間で前記チャンバ内に自由に取り付けられて、前記極片のただ一方の近くで支持面に当接することを特徴とする。

    したがって、本発明はまた、時計構成要素の枢動を案内するためのデバイスであって、時計構成要素は、少なくとも部分的に透磁性の材料もしくは少なくとも部分的に磁性の材料、および/または少なくとも部分的に導電性の材料もしくは少なくとも部分的に帯電された材料からなり、前記構成要素は、前記構成要素の第1の端部と第2の端部の間でチャンバ内に枢動可能に取り付けられるデバイスに関し、前記第1の端部と前記第2の端部の間の中心距離よりも所定の動作遊びの値だけ大きい空気ギャップ距離において、第1の極片の第1の表面と第2の極片の第2の表面を含み、前記極片は、前記構成要素の前記第1の端部か前記第2の端部の一方が通す磁場または静電場によって引き付けられるようにそれぞれ構成されるか、または前記構成要素の前記第1の端部か前記第2の端部の一方を引き付ける磁場または静電場を発生するようにそれぞれ構成され、したがって2つの端部で前記構成要素に及ぼされる磁気引力または静電気引力の強度が異なり、それにより前記2つの端部の一方で前記構成要素を引き付けて、前記極片の前記表面のただ一方に直接または間接的に接触させ、前記第1の端部および前記第2の端部で前記磁場または静電場の強度が異なることを特徴とする。

    また、本発明は、少なくとも部分的に透磁性の材料もしくは少なくとも部分的に磁性の材料、および/または少なくとも部分的に導電性の材料もしくは少なくとも部分的に帯電された材料からなる時計構成要素を含む磁気または静電気ピボットであって、前記構成要素が、前記構成要素の第1の端部と第2の端部の間でチャンバ内に枢動可能に取り付けられる磁気または静電気ピボットに関し、前記時計構成要素の枢動を案内するためのデバイスを含み、デバイスは、前記第1の端部と前記第2の端部の間の中心距離よりも所定の動作遊びの値だけ大きい空気ギャップ距離において、第1の極片の第1の表面と第2の極片の第2の表面を含み、前記極片が、前記構成要素の前記第1の端部か前記第2の端部の一方が通す磁場または静電場によって引き付けられるようにそれぞれ構成されるか、または前記構成要素の前記第1の端部か前記第2の端部の一方を引き付ける磁場または静電場を発生するようにそれぞれ構成され、したがって2つの端部で前記構成要素に及ぼされる磁気引力または静電気引力の強度が異なり、それにより前記2つの端部の一方で前記構成要素を引き付けて、前記極片の前記表面のただ一方に直接または間接的に接触させ、前記第1の端部および前記第2の端部で前記磁場または静電場の強度が異なることを特徴とする。

    また、本発明は、このタイプの枢動案内用のデバイスを少なくとも1つ含み、および/またはこのタイプの磁気および/または静電気ピボットを少なくとも1つ含む時計ムーブメントに関する。

    さらに、本発明は、このタイプの時計ムーブメントを少なくとも1つ含み、および/またはこのタイプの枢動案内用のデバイスを少なくとも1つ含み、および/またはこのタイプの磁気および/または静電気ピボットを少なくとも1つ含む時計に関する。

    本発明の他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下の詳細な説明を読めばより明瞭になろう。

    本発明による構成要素を案内するためのデバイスの概略部分正面図である。

    本発明による磁気ピボットに組み込むための構成要素を示す図1と同様の図である。

    図1のデバイスを含む本発明による磁気ピボットと、安定協働位置での図2の構成要素とを示す図1と同様の図である。

    構成要素に作用する力の系を表す、本発明による磁気ピボットを示す図1と同様の図である。

    不安定になっている姿勢で示した、構成要素に作用する力の系を示す図4と同様の図である。

    第1の実施形態での本発明による構成要素を案内するためのデバイスを含む本発明による磁気ピボットを示す、枢動軸に沿った長手方向断面図である。

    別の実施形態による磁気ピボットの図6と同様の概略図である。

    特に図6または図7の実施形態による、本発明による磁気ピボットを組み込んだムーブメントを含む時計の概略部分斜視図である。

    本発明による構成要素案内デバイスに挿入される、テンプによって形成される構成要素を示す図である。

    構成要素に作用する力の割合の概略図である。

    図10の長手方向軸に沿った横座標の関数としての、生じる磁力線密度の増加を示すグラフである。

    本発明による構成要素案内デバイスの一変形形態の概略正面図である。

    制振デバイスを設けられた本発明によるデバイスの代替実施形態の枢動軸に沿った概略長手方向断面図である。

    図13の変形形態の制振要素の概略部分斜視図である。

    本発明は、時計構成要素1の枢動を案内するために時計構成要素1の向きを定めるための方法、より具体的には、前記構成要素を枢動軸Dに位置合わせするための特別な方法を提供する。

    本発明の目的は、従来のピボットの代わりとなる機構を提供し、通常の機械的な案内デバイスに比べて摩擦を大幅に減少させ、それにより従来よりも時計ムーブメントの動作品質が空間内での姿勢に左右されないようにすることである。

    この方法を実施するために、本発明はさらに、効率および/または品質因子が姿勢に左右されないようにする時計構成要素用の磁気および/または静電気ピボットを形成するように、構成要素の枢動を案内するためのデバイスに関する。

    本明細書で以下に記載するいくつかの特定の特徴により、とりわけ、重力に比べてはるかに強い磁力および/または静電力の好ましい使用により、本発明は、マイクロメカニクスの分野、より詳細には時計学の分野において特別な用途がある。 本発明は、時計学の分野のために開発され、当然のことながら、本発明の適用分野は時計として説明してある。 時計構成要素は小さいので非常に低重量であり、腕時計などの寸法に適合させて、重力の引力またはトルクよりも少なくとも10倍大きい力および/または引力トルクを前記構成要素に対して発生させることができる磁場および/または静電場を発生させることができる。 したがって、本明細書では、この好ましい時計学での用途について本発明を説明する。 本発明は、磁石およびエレクトレットの現況技術においてすぐに使用することができ、特別な改変なしで所要の磁場または静電場強度で所要の寸法で実現することができる。

    本発明は、従来技術に比べて摩擦を減らすことによって、かつ主慣性軸(本明細書では以後、便宜上「長手方向軸」と呼ぶ)を理論上の枢動軸に永久的に位置合わせすることによって、構成要素の枢動状況を改良することを提案する。 当然、不均衡である、すなわち主慣性軸とは異なる軸の周りで枢動する構成要素に本発明を適用することもできるが、本発明は、構成要素の主慣性軸が枢動軸と一致する好ましい場合に、利点が最大限に活かされる。

    したがって、限定はしないが、構成要素としては、テンプ、スプラングテンプアセンブリ、ガンギ車、爪石、ギアホイール、ラチェット、クリック、レバー、筒部(barrel)、自動巻回転子、日付表示盤または月表示盤(date or moon phase disc)、ハンマ、ハートカム、コラムホイール、または通常枢動することができる任意の他の構成要素がありえる。

    本発明は、磁力および/または静電力を使用した構成要素用の軸−ピボットシステムを構成する。

    本明細書で以下に述べる説明において、「透磁性」材料は、相対透過率が100〜10000の材料であり、例えば鋼(例えば天真用としては相対透過率が100に近く、または電気回路で一般に使用される鋼では4000に近い)や、相対透過率が8000〜10000に達する他の合金である。

    「磁性材料」は、例えば極片の場合、残留磁場が0.1〜1.5Teslaになるように磁化することができる材料であり、例えば、磁気エネルギー密度Emが512kJ/m 3に近く、残留磁場が0.5〜1.3Teslaになる「ネオジム鉄ホウ素」である。 このタイプの磁性材料と、それに向かい合う、透過率が100〜10000の範囲内で10000に近い高い値である透磁性の構成要素とが磁化対として組み合わされる場合には、残留磁場範囲内の下側範囲に向かってより低いレベルの残留磁場を使用することができる。

    「常磁性」材料は、相対透過率が1.001〜100の材料であり、例えば、磁性材料とそれに向かい合う透磁性の構成要素との間、または2つの磁性材料の間に挿入される接続部片、例えば構成要素と磁極片の間の接続部片用の材料である。

    「反磁性」材料は、相対透磁率が1未満の材料である。

    最後に「軟磁性」材料は、「非磁性」材料とは異なり、高い透磁率を有するが磁気飽和度の高い材料であり、特にシールドに用いられる。 なぜなら、シールドは、永久的な磁性を有する必要はないが、外部の磁場を低減させるようにできるだけよく磁場を通さなければならないからである。 また、これらの構成要素は、外部磁場から磁気システムを保護することもできる。 これらの材料は、好ましくは、相対透磁率が50〜200になり、かつ飽和磁場が500A/mよりも大きくなるように選択される。

    「非磁性」材料は、相対磁性透過率が1よりごくわずかに大きく、1.001未満である材料と定義され、代表としてはシリコン、ダイヤモンド、パラジウム、および同様の材料である。 これらの材料は通常、MEMS技術またはLIGA法によって作製することができる。

    以下の説明では、「導電性」材料は、その抵抗が周囲温度(T=20℃)で1μΩm未満の材料である。 例えば、銀、金、およびアルミニウムが優れた導体である。 以下の説明では、「絶縁」材料は、周囲温度での抵抗が10000MΩmよりも高く、誘電剛性率が10kV/mmよりも大きい材料である。 例えばガラス質またはプラスチック材料が一般的に良好な絶縁体である。

    時計のすべての姿勢で高い効率および品質因子を保証できるように、重引力の影響を最小にしなければならない。 典型的な時計寸法の場合、市販の微小磁石を使用して、重力よりも大きく、かつ動作中に構成要素に対して作用するトルクよりも大きい磁力/静電力を発生させることができる。 磁力および/または静電力によって制御されるシステムは、重力に対する感度、したがって腕時計の姿勢の変化に対する感度が従来の機械的なシステムより低い。

    磁力を用いた場合について本発明をより詳細に説明する。 以下の説明は、静電力を用いた場合、さらには磁力と静電力を組み合わせて、または混在させて用いた場合にも同様に当てはまる。 特に、軸D上で枢動する構成要素1は、この軸Dの方向で第1の端部2と第2の端部3の間に延びている。 この第1の端部2と第2の端部3には異なる処理を施すことができ、例えば、第1の端部2に複数の磁力をかけることができ、第2の端部3に複数の静電力をかけることができ、または逆にすることもできる。 同じ端部に、累加的に複数の磁力と複数の静電力をかけることもできる。

    図10に示される第1の構成は、構成要素の枢動に極片を使用するものであり、極片は、好ましくは1つまたは複数の微小磁石または帯電された物質で形成され、例えば構成要素内に設けられた軟磁性材料または導電性材料からなるアーバーを磁化または帯電するように調節され、したがって軸受と構成要素のアーバーの間で磁気または静電気引力を発生させる。

    本明細書で述べる好ましい時計学の用途では、磁気源の力を使用する形態の場合、本発明で使用する極片を形成するために永久磁石を用いることが推奨されるが、他の適用例、とりわけ静的な適用例では、電磁石を使用することもできることは明らかである。 以下の説明で使用するとき、用語「磁石」は一般に、磁化された極片を表す。

    構成要素1の前記第1の端部2と第2の端部3の両方の側で、一方では、第1の端部2の枢動を案内するための手段、または本発明によれば好ましくは構成要素1とは別個の第1の極片4に当接して保持されるように第1の端部2を引き付けるための手段があり、他方では、構成要素1とは別個の第2の極片6の近くに、第2の端部3の枢動を案内するための手段、または好ましくは前記第2の端部3を第2の極片6に引き付けるための手段がある。

    構成要素1は、少なくとも第1の端部2および第2の端部3の近くで、好ましくは透磁性材料および/または導電性材料からなる。 本発明の特定の実施形態では、この材料も磁化および/または帯電される。

    構成要素1は、チャンバ1A内で移動することができる。 「極片」は、少なくともチャンバ1Aの近くで、透磁性材料および/または導電性材料からなる、または本発明の特定の好ましい実施形態では磁化および/または帯電された材料からなる物質を意味する。 極片4または6は構成要素1の一部ではなく、したがってチャンバ1Aの周辺または近くに位置される。

    −第1の実施形態では、例えば図7、図9、および図13に示されるように、極片は、構成要素1用の支持面またはストップ面を含む接続部片によってチャンバ1Aから離されている。 したがって、図7で、第1の極片4は、このタイプの第1の支持面5を含む接続部片18によって構成要素1から離され、第2の極片6は、このタイプの第2のストップ面7を含む接続部片19によって構成要素1から離されている。 この変形形態では、極片は構成要素1と直には接触していないが、特定の場合に応じて、磁気および/または静電気引力または斥力によって相互作用する。 軸方向Dでの構成要素1の一方の軸方向端部が磁化または帯電され、最も近い極片と協働する。 この極片は、磁力または静電力の作用下で透磁性または導電性である。 あるいは逆に、軸方向Dでの構成要素1の一方の軸方向端部が透磁性または導電性であり、磁化または帯電された最も近い極片と協働する。

    −図6に示される別の実施形態では、この極片は、チャンバ1Aの側面の1つを成す表面を含むことがあり、そこに、構成要素1の第1の端部2および第2の端部3が近付く、または接触することができる。 構成要素1が枢動軸Dの周りで枢動する可動構成要素であるとき、極片のこの表面は前記軸Dの延長線上に位置されることが好ましい。 上述の場合と同様に磁気および/または静電気相互作用が生じるが、接続部片はない。 したがって、構成要素1は極片の一方と直に接触する。

    −他の実施形態は、構成要素1の各端部で別々の変形形態である。 すなわち、一方の側では直接的な接触であり、他方の側では間接的な斥力または引力を用いる。

    本明細書では、構成要素1に複数の引力をかける好ましい場合について、本発明をより具体的に示す。 当然、同様に複数の異なる斥力をかけることも考えることができ、軸Dの周りに環状に分布された極片によって構成要素1を軸D上に保つ。 しかし、この変形形態は、構成要素1を完全に浮いた状態にすることができるという利点があるものの、構成要素1の周りで環状にかなりの環状体積を占めるという欠点がある。 さらに、本発明によって提供されるように一方の端部で構成要素1を支持することによって軸Dに対する構成要素1の完璧な軸方向位置決めを行うことは、完全に浮いている状態ではできない。

    第1の極片4および第2の極片6は、構成要素1とは別個であり、それぞれチャンバ1Aの周辺またはその近くに位置され、それぞれ、少なくとも部分的に磁性の材料もしくは少なくとも部分的に透磁性の材料、および/または少なくとも部分的に帯電された材料もしくは少なくとも部分的に導電性の材料からなる。 構成要素1は、極片4と極片6の間でチャンバ1A内に拘束されずに取り付けられて、これらの極片4、6のただ一方の近くで支持面に当接する。

    図10は、引力が磁気源によるものである形態での構成要素1、例えばテンプの一実施形態の2次元での軸対称の概略図である。 磁化可能な材料または磁性材料からなる構成要素の第1の端部2と第2の端部3によって定義される長手方向軸が2つの磁極片、特に永久磁石M AおよびM Bの間にあり、永久磁石の磁気分極は方向zに向いている。 この方向zは、構成要素の長手方向軸を位置合わせしなければならない構成要素の理論上の枢動軸である。 本明細書では以後、「構成要素のアーバー」とは、第1の端部2と第2の端部3の間に延びる構成要素1のシャフト状の部分を意味する。 構成要素1のアーバーは、磁石によって直接支持することができ、または磁石と構成要素のアーバーの間に挿入された2つの宝石によって、または磁石の表面処理によって支持することができる。 特定の実施形態の図7に示されるように、構成要素1のアーバーは、第1の極片4に取り付けられた接続部片18に突き当たることがある。 第2の極片6もこのタイプの接続部片19を含むことができる。 これらの接続部片は、磁場が通過できるようにしなければならない。 それらの役割は、支持面を形成する接続部片に関しては本質的にトライボロジーに関わるものであり、また衝撃時に極片を保護することもそれらの役割である。 図3、図4、および図6は、第1の極片4によって構成要素1を直に支持する様子、および一時的に支持できる可能性を示す。 また、例えば組立て中または衝撃時には、第2の極片6によって直に支持することもある。 磁石のサイズおよび/または磁気エネルギー、および構成要素のアーバーの長さは、アーバーと2つの磁石の一方M Bとの引力F mを最大にするように最適化される。

    本発明によれば、引力F mは重力F gよりもはるかに大きく、好ましくは少なくとも10:1の比であり、アーバーは、時計または腕時計のすべての姿勢で2つの磁石のただ一方に安定した状態で当接する。 図には、F gがF mと逆である場合について、構成要素の重心に加わる2つの力を示してある。

    アーバーが方向zからずれるとき、磁気的な逆トルクがアーバーに作用する。 アーバーの向きを方向zで安定させるために、磁気的な逆トルクが、重力によって発生されるトルクよりも大きくなり、かつ構成要素に加わるトルクよりも大きくなるように、幾何形状が最適化される。

    磁化されたアーバーに作用する磁力は、その磁化M axe (r,z)、および2つの磁石によって発生される磁場Hの勾配に比例する。

    ここで、アーバーの体積V

    axeにわたって積分を行う。

    この関係は、図10の場合にはアーバーと2つの磁石の一方M Bの間の引力を最大にするように、磁石のサイズおよび/または磁気エネルギーおよび構成要素のアーバーの幾何形状を最適にする。 その結果、アーバーは、すべての姿勢で2つの磁石のただ一方に当接する。

    この引力は、重力、および構成要素に加わる最大の力よりも大きいので、この構成は安定である。

    有利には、本発明は、衝撃後にアーバーが適正な平衡位置に確実に戻るようにするので、有利には本発明に組み入れることができる従来の耐衝撃策の効率を改良する。 従来の機械的なピボットデバイスは適正な平衡位置への戻りを保証できない。 上側磁石の役割は、アーバーの向きを安定させることである。 アーバーに作用する磁気トルクは、以下のように与えられる。

    アーバーが磁力線に沿って向きを定められる場合にのみ、したがって方向zに向けられる場合にのみ、磁気トルクがゼロである。 アーバーの向きが乱されてゼロzから逸れた場合、逆トルクC mがアーバーを平衡位置に合わせ直す。

    図11は、構成要素(この場合は腕時計テンプのアーバー)での磁力線密度を実パラメータに関して示す。 生じる磁力はF m =10mNであり、磁石M Bに向いており、したがって重力よりも1桁大きく、環境から構成要素に加わる最大トルクよりも大きいトルクを発生する。

    本発明は、磁場を構成要素アーバーの内部にほぼ閉じ込めるという利点があり、磁力線は方向zにほぼ平行である。 実パラメータに関して生じた磁力線密度が図11に示される。 M Bの方向での力に相当する正の成分がより大きいので、テンプに作用する正味の力はM Bに向いている。

    アーバーに作用する力は、支持面でのアーバーの姿勢の影響をわずかしか受けず、磁場は極片(とりわけ磁石)の表面の中心でほぼ均質であるので、アーバーは、摩擦を受けずにz軸の周りで自由に回転する。 したがって、機械的な摩擦を用いる場合と同様に、構成要素の振動によって発生されるエネルギーの散逸が大幅に減少される。 したがって、すべての姿勢で効率および/または品質因子を高めることができる。

    1つの代替構成では、構成要素のアーバー自体が永久磁石でよく、磁化可能な材料からなる極片によって取り囲まれるか、またはそれ自体磁化される。 これにより、生じる磁力およびトルクを最大にし、さらに重力の影響を最小にする。

    1つの代替構成では、構成要素のアーバーおよび/または盤を反磁性材料、例えば熱分解黒鉛から形成することができ、ピボットを複数の交番する磁石によって構成することができ、反磁性により構成要素を浮かせて位置決めできるようにする。

    本発明の特徴から、いくつかの利点が得られる。

    −構成要素の効率および/または品質因子は、時計のすべての姿勢で同一であり、5%未満のばらつきである。

    −効率および/または品質因子は、すべての姿勢で、従来のピボットの使用よりも高まる。

    −構成要素、特にテンプが振動する場合、その振動の振幅がすべての姿勢で高まり、同一である。

    −摩擦およびエネルギー散逸が最小になり、トルクのばらつきも最小になる。

    −他の解決策に比べて構成要素の数が減る。

    −方法が、その性質からして耐衝撃性である。

    −システムを他の磁気要素に組み込むことができる。

    −単純なものか複雑なものかによらず、あらゆるタイプの時計もしくは腕時計、特に機械式時計もしくは腕時計、または任意のポータブル科学的装置もしくは同様のデバイスに本発明を容易に組み込むことができる。

    不整列の磁石を備える本発明の一変形形態が場合によっては興味深い形態となることがあり、特に、外乱トルクの影響を無視でき、また構成要素の形状または姿勢の観点から不整列の構成を比較的簡単に実現できる構成要素に関しては興味深いものとなりえる。

    一般的な構成要素では、本発明が、湾曲したアーバーの使用を可能にするという利点をさらに有することも考慮しなければならない。 そのような場合、2つの磁極片(とりわけ磁石)が異なる方向を向かなければならない。

    2つの磁極片(とりわけ磁石)の磁力線が位置合わせされていないとき、システムが、十分に安定な平衡位置を探す。 2つの方向がそれほど異ならない場合、構成要素の長手方向軸は、定まらずに動き続けており、不安定な位置から別の不安定な位置に進む。 しかし、芯がずれていると、構成要素に加わる磁力、特に逆トルクが減少することになる。 したがって、安定性は、磁力線が位置合わせされている好ましい場合に比べると低い。 構成要素が振動体の一部を成すときには、芯がずれないようにすべきである。 なぜなら、芯がずれていると、動作を乱す影響を与える半径方向磁気トルクが生じるからである。

    構成要素の組成および磁気的特性に応じて、本発明による磁気ピボットの様々な変形形態を想定することができる。 アーバーが均質な材料からなっていると、磁力線を簡単に閉じることができる。 合金の密度、断面積、または濃度を変えることによって長手方向でわずかな不均質性を引き起こすことで、故意に力の非対称性を大きくし、それにより2つの面の一方での引力を高めることもできる。 常磁性材料では非常に弱い力しか発生できないので、少なくとも第1および第2の端部での構成要素の材料は強磁性体であることが好ましい。

    また、前記端部が永久的に磁化されている場合には、第1および第2の端部にある磁性領域の間に非磁性領域、すなわち透磁性が非常に低い領域を挿入することもできる。 この構成は、十分に大きな力およびトルクを発生する。

    図1〜図14に、本発明の実施形態を示す。

    本発明は、時計構成要素1の枢動を案内するために時計構成要素1の向きを定めるための方法であって、時計構成要素1は、少なくとも部分的に透磁性の材料もしくは少なくとも部分的に磁性の材料、および/または少なくとも部分的に導電性の材料もしくは少なくとも部分的に帯電された材料からなり、また前記構成要素が、前記構成要素1の第1の端部2と第2の端部3の間でチャンバ1A内に枢動可能に取り付けられる方法に関する。

    本発明によれば、前記第1の端部2と第2の端部3の両方の側で2つの磁場または静電場が発生され、これらの磁場または静電場はそれぞれ、構成要素1を極片4、6に引き付ける傾向があり、構成要素1の周りで磁場または静電場どうしの間で不均衡が生じて、構成要素1に対する力の差を生み出して、2つの端部の一方2、3を一方の極片4、6の接触面5、7に押し付け、前記端部の他方3、2を他方の極片6、4に設けられた接触面7、5からある距離に保つ。 磁場または静電場どうしの間のこの不均衡は、チャンバ1Aを局部的に画定するこれらの接触面5と接触面7の間の空間によって形成される空気ギャップの周辺で発生する。

    これらの磁場または静電場は、互いに非対称であり、互いに強度が異なる。

    本発明は、極片4および6、または構成要素1自体、または極片4、6と構成要素1の両方において磁場または静電場を発生させることによって実現することができる。

    本発明によれば、磁場または静電場が極片4および6で発生されるとき、構成要素1が空気ギャップ内にあるかどうかに関わらず磁場または静電場どうしの間の不均衡が生じる。 すなわち、場は、互いに非対称であり、互いに強度が異なる。 さらに、本発明によれば、構成要素に対する力の差を生み出す不均衡は、空気ギャップ内での前記構成要素の姿勢には左右されず、極片4および6で発生される非対称な場にのみ左右される。

    磁場または静電場が構成要素1自体で発生されるとき、それらの磁場または静電場はまた、構成要素1の端部2および3で強度が異なる。

    磁場または静電場が極片4および6と構成要素1の両方で発生されるとき、それらは、極片4および6と構成要素1の端部2および3とで生じる磁場または静電場が共に非対称になるようにサイズ設定される。

    第1の好ましい変形形態では、第1の端部2と第2の端部3の両方の側で、2つの磁場がほぼ同じ方向および向きで発生する。 この第1の変形形態は、特に、第1の端部2から第2の端部3まで導電性であり磁化可能であるアーバーを備える構成要素に関して当てはまり、これは、磁場密度が枢動軸Dの周りに最も良く集中する方法である。

    別の変形形態では、第1の端部2と第2の端部3の両方の側で、2つの磁場が、ほぼ同じ方向であるが逆向きに発生する。 この変形形態は、第1の端部2と第2の端部3の間で電気および/または磁気不連続性であるときに当てはまり、これは例えば、透磁率が非常に低い構成要素が、端部2、3にある2つの透磁性または磁性の半アーバーを含むだけである場合である。 当然、この場合にも、第1の変形形態の磁場の構成を適用できる。 実現することができる別の変形形態では、構成要素1が一部片であり、特定の製造法によって、例えば表面処理によって不連続性が実現される。

    構成要素がテンプまたは振動体部材である場合の特定の好ましい実施形態では、同じ方向の2つの磁場が、第1の端部2と第2の端部3の各側で発生する。

    図面に示す本発明による変形形態では、時計構成要素1は、2つの磁場およびそれらの当該の極片4、6の配置によって定義される枢動軸Dに向きを定められる。 第1の極片4および第2の極片6に接する第1の端部2および第2の端部3の各側に、逆向きの第1の磁場と第2の磁場が発生し、これらの磁場はそれぞれ、枢動軸Dの周りで回転対称性を有し、構成要素1を極片4、6に向けて引き付ける傾向がある。 第1の端部2の近くでの第1の磁場の密度が第2の端部3の近くでの第2の磁場の密度よりも大きくなるように選択され、それにより、第1の端部2を引き付けて第1の極片4に接触させる。 極片4、6の間の空気ギャップEは、第1の端部2と第2の端部3の間の中心距離Lよりも所定の動作遊びJの値だけ大きくなるように画定される。

    また、本発明は、特に、時計構成要素1の枢動を案内するためのこの向き付け方法を実施するのに適した、時計構成要素1の枢動を案内するためのデバイス10に関する。 この構成要素1は、少なくとも部分的に透磁性の材料もしくは少なくとも部分的に磁性の材料、および/または少なくとも部分的に導電性の材料もしくは少なくとも部分的に帯電された材料から形成しなければならず、前記構成要素は、前記構成要素1の第1の端部2と第2の端部3の間でチャンバ1A内に枢動可能に取り付けられる。

    案内デバイス10は、第1の端部2と第2の端部3の両方の側で、一方では、前記第1の端部2を第1の極片4に当接して保持されるように第1の端部2を引き付けるための手段を含み、他方では、第2の極片6の近くで前記第2の端部3を前記第2の極片6に引き付けるための手段を含む。

    本発明によれば、このとき、この案内デバイス10は、第1の端部2と第2の端部3の両方の側で、第1の端部2と第2の端部3の間の中心距離Lよりも所定の動作遊びJの値だけ大きい空気ギャップ距離Eにおいて、第1の極片4の第1の表面と第2の極片6の第2の表面を含む。

    構成要素1とは別個のこれらの極片4および6は、構成要素1の第1の端部2か第2の端部3の一方が通す磁場または静電場によって引き付けられるようにそれぞれ構成されるか、または好ましい態様としては、構成要素1の第1の端部2か第2の端部3の一方を引き付ける磁場または静電場を発生するようにそれぞれ構成される。

    これらの磁場または静電場は、第1の端部2と第2の端部3で互いに強度が異なり、したがって2つの端部2および3で構成要素1に及ぼされる磁力または静電力の強度が異なり、それにより2つの端部2および3のただ一方で構成要素1を引き付け、極片4および6の表面のただ一方に直接または間接的に接触させる。

    1つの特定の変形形態では、第1の極片4および第2の極片6はそれぞれ、2つのストップ部材の間でチャンバ内で可動である。

    1つの特定の変形形態では、一方では第1の端部2を引き付けるための手段、他方では第2の端部3を引き付けるための手段が、ストップ部材の間で軸方向Dに沿って移動することができる。

    本発明によれば、デバイス10は、第1の端部2と第2の端部3の間での中心距離Lよりも所定の動作遊びJの値だけ大きい空気ギャップ距離Eにおいて、第1の極片4の第1の表面5と第2の極片6の第2の表面7を含む。

    これらの磁極片4、6は、構成要素1の第1の端部2か第2の端部3の一方が通す磁場または静電場によって引き付けられるようにそれぞれ構成されるか、または構成要素1の第1の端部2か第2の端部3の一方を引き付ける磁場または静電場を発生するようにそれぞれ構成され、したがって2つの端部2、3で構成要素1に及ぼされる磁気引力または静電気引力の強度が異なり、それにより2つの端部2、3の一方で構成要素1を引き付けて、極片4、6の表面5、7のただ一方のみを直接または間接的に接触させる。

    第1の端部2と第2の端部3の近くに及ぼされる磁場または静電場は、互いに強度が異なり、非対称である。

    本発明によれば、第1の極片4および第2の極片6がそれぞれ、磁性材料もしくは透磁性材料からなり、または帯電された材料もしくは導電性材料からなり、構成要素1が磁性材料もしくは帯電された材料でない場合には極片4、6が磁性材料もしくは帯電された材料である。 第1の極片4と第2の極片6が一緒に枢動軸Dを定義し、構成要素1が第1の極片4と第2の極片6の間に挿入されるときに、第1の端部2と第2の端部3を結ぶ構成要素1の長手方向軸D1がその枢動軸Dに位置合わせされる。

    本発明によれば、第1の極片4または第1の端部2は、第1の表面5の近くで枢動軸Dに沿って第1の磁場または静電場を発生し、この第1の磁場または静電場は、第1の極片4を第1の端部2に近付くように移動させる傾向があり、第2の極片6または第2の端部3が第2の表面7の近くで発生する枢動軸Dに沿った第2の磁場または静電場よりも密度が高い。 第2の磁場または静電場は、第2の極片6を第2の端部3に近付くように移動させる傾向があり、それにより第1の端部2が第1の表面5に接触して保たれ、構成要素1の長手方向軸D1が枢動軸Dと一致し、このとき第2の端部3は第2の表面7からある距離に留まる。

    一方、第1の表面5と第2の表面7の間の空気ギャップ距離Eは、案内デバイス10および構成要素1の使用温度範囲全体にわたって所定の動作遊びJを保証するように寸法設定される。 この遊びは、厳密に正のものであり、クランプまたは摩擦ばめは除外する。 所定の動作遊びJは、0.020mm以上であることが好ましい。

    好ましくは、第1の磁場および第2の磁場が構成要素1に引力を及ぼし、この引力が構成要素1での重引力よりも少なくとも30%大きく、好ましくは構成要素1での重引力よりも5〜10倍大きく、時計が動いているときに最良の挙動を実現できるように、構成要素1の材料の透磁率が選択されるとともに、一方では場合に応じて第1の極片4および第2の極片6の磁化、および/または他方では構成要素1の磁化が固定される。

    同様に、好ましくは第1の磁場および第2の磁場が構成要素1に引力トルクを及ぼし、このトルクが、すべての姿勢で構成要素1に対する重引力トルクよりも10倍以上大きくなるように、構成要素1の材料の透磁率が選択されるとともに、一方では場合に応じて第1の磁極片4および第2の磁極片6の磁化、および/または他方では構成要素1の磁化が固定される。

    第1の表面5および第2の表面7の近くの磁場密度は100000A/m以上であることが好ましい。

    デバイス10が、軟磁性材料からなる遮蔽手段20を含むと有利であり、遮蔽手段20は、第1の接触面5および第2の接触面7の近くで枢動軸Dに対して半径方向の成分をもつ磁場の作用を阻止するように構成される。

    例えば、図6、図7、および図8に示されるように、この遮蔽手段20は、少なくとも1つの管状部品21、22を含み、これらは枢動軸Dに中心を合わされ、第1の極片4および第2の極片6と構成要素1の少なくとも第2の端部3とを取り囲む。

    静電気変形形態では、同様に、第1の磁場および第2の磁場が構成要素1に引力を及ぼし、この引力が構成要素1での重引力よりも少なくとも30%大きく、好ましくは構成要素1での重引力よりも5〜10倍大きく、時計が動いているときに最良の挙動を実現できるように、構成要素1の材料が選択されるとともに、一方では場合に応じて第1の極片4および第2の極片6の帯電、および/または他方では構成要素1の帯電が固定される。

    図3、図4、および図6は、第1の磁性極片4の表面5で構成要素1を直接支持する様子を示す。 図7は、接続部片18に属する表面5に構成要素1の第1の端部2が当接している間接的な支持を示す。 接続部片18自体は、第1の極片4上またはそのすぐ近くに当接しており、それにより、構成要素1と極片4の間に及ぼされる(場合に応じて)引力磁場または引力静電場の作用を低減させない。 同様に、接続部片18、19が使用される場合、一方では構成要素1の第1の端部2と極片4の間に及ぼされる(場合に応じて)引力磁場または引力静電場、他方では構成要素1の第2の端部3と第2の極片6の間に及ぼされる引力磁場または引力静電場の作用を低減させないように、極片4および6の表面5、7の表面処理、これらの接続部片の材料またはこれらの処理、処理方法、およびサイズ設定、特に厚さを選択すべきである。

    少なくとも第1の表面5がハードコーティングを含むか、または第1の極片4と構成要素1の間に挿入される接続部片18の硬質面によって形成されることが好ましい。 同様の接続部片19を第2の極片6と構成要素1の間に挿入することができる。

    デバイス10が、例えば外部クランプによって、第1の極片4と第2の極片6の間に磁場または静電場ループ手段を含むとさらに有利である。 磁気変形形態を示す図12は、強磁性材料からなる第1のアーム41と磁気的に一体の第1の極片4と、強磁性材料からなる第2のアーム42と磁気的に一体の第2の極片6とを示し、第2のアーム42が、磁気源40(磁石または同様の要素でよい)の一方の極に押し付けられ、第1のアーム41が、前記磁気源40の他方の極に押し付けられる。 ここで、磁気源40と、方向Dで構成要素1と極片4および6が協働する領域との間に、遮断手段20が挿入される。 この構成は、考慮されるあらゆる場合に適用することができる。 すなわち、透磁性の構成要素1と磁極片4および6の場合、磁性の構成要素1と透磁性の極片4および6の場合、ならびに磁性の構成要素1と磁極片4および6の場合である。 ここでは横方向で示してあるが、特に時計ムーブメントまたは時計で利用可能な体積に従って空間内で任意の他の構成を取ることができるこの磁場伝導機構は、この領域から離れた位置を通る磁場を枢動方向Dに伝えることができるようにする。 磁気的であるか静電気的であるかに関係なく、磁場源をはるかに大きい寸法にすることができるという利点がある。

    別の実施形態では、極片4、6と構成要素1の引力が静電気的なものである。 磁気引力に関して本明細書で述べた設計がここでも有効である。 しかし、重力よりも大きく、かつ構成要素1が協働する機構によって発生されるトルクよりもはるかに大きい静電力およびトルクを得るのに十分な静電荷を保証することはより難しい。

    別の実施形態では、極片4、6と構成要素1の引力が静電気的なものである。 ここでは、透磁率の概念の代わりに相対誘電率または誘電率の概念が用いられ、磁場の概念の代わりに静電場の概念が用いられる。 案内デバイス10の設計は全く同じであり、構成要素1と極片4および6の間で設定される永久静電場に応じてサイズ設定される。

    この形態では、案内デバイス10は、第1の端部2および第2の端部3で、少なくとも部分的に導電性の材料、または少なくとも部分的に帯電された材料からなる時計構成要素1を保護することに関わる。 本発明によれば、この案内デバイス10は、前記第1の端部2と第2の端部3の両方の側で、第1の端部2と第2の端部3の間の中心距離よりも所定の動作遊びJの値だけ大きい空気ギャップ距離において、第1の極片4の第1の表面5および第2の極片6の第2の表面7を含み、極片4、6は、構成要素1の第1の端部2か第2の端部3の一方が通す静電場によって引き付けられるようにそれぞれ構成されるか、または構成要素1の第1の端部2か第2の端部3の一方を引き付ける静電場を発生するようにそれぞれ構成され、したがって2つの端部2、3で構成要素1に及ぼされる静電引力の強度が異なり、それにより2つの端部の一方で構成要素1を引き付け、極片4、6の表面5、7のただ一方に直接または間接的に接触させる。 静電場は、第1の端部2と第2の端部3で強度が異なる。

    特定の実現形態によれば、第1の極片4および第2の極片6は、それぞれ2つのストップ部材41、42、または43、44の間で、チャンバ内でそれぞれ移動することができる。

    要約すると、静電力およびトルクに依拠するこの実施形態では、極片4および6が十分なエネルギーで帯電および荷電される場合には、構成要素1に導電性材料を使用することができ、または構成要素1が帯電および荷電される場合には、極片4および6に導電性材料を使用することができる。 この導電性材料は、永久的に荷電された部品による誘導によって分極される。 導体ではなく絶縁体、半導体、または誘電体を使用して、同様の変形形態が得られる。 このとき、分極は誘電体の表面に限定され、材料が導電性であるときよりも発生する引力および引力トルクは低いが、それでも腕時計での使用は可能である。

    また、別の実施形態では、静電力および静電トルクと磁力および磁気トルクの作用を組み合わせることもできる。

    さらに、本発明は、少なくとも部分的に透磁性の材料もしくは少なくとも部分的に磁性の材料、および/または少なくとも部分的に導電性の材料もしくは少なくとも部分的に帯電された材料からなるこのタイプの時計構成要素1を含む磁気または静電気ピボット100に関し、前記構成要素は、前記構成要素1の第1の端部2と第2の端部3の間でチャンバ1A内に枢動可能に取り付けられる。

    磁気または静電気ピボット100は、時計構成要素1の枢動を案内するためのデバイス10を含み、デバイス10は、第1の端部2と第2の端部3の間の中心距離Lよりも所定の動作遊びJの値だけ大きい空気ギャップ距離Eで、第1の極片4の第1の表面5および第2の極片6の第2の表面7を含む。 これらの極片4、6は、構成要素1の第1の端部2か第2の端部3の一方によって放出される磁場または静電場によって引き付けられるようにそれぞれ構成されるか、または構成要素1の第1の端部2か第2の端部3の一方を引き付ける磁場または静電場を発生するようにそれぞれ構成される。 これらの磁場または静電場は、互いに強度が異なり、したがって2つの端部2および3で構成要素1に及ぼされる磁力または静電力の強度が異なり、それにより2つの端部2および3のただ一方で構成要素1を引き付け、極片4および6の表面のただ一方に直接または間接的に接触させる。

    好ましくは、この磁気ピボット100は、本明細書で上述した変形形態の1つで説明した案内デバイス10を含む。 磁気ピボット100は、さらに構成要素1を含み、構成要素1は、少なくとも透磁性材料もしくは静電気透過性材料、または少なくとも磁性材料もしくは静電性材料からなる実質的にシャフト状の部分を備え、この部分は、一緒に長手方向軸D1を定義する第1の端部2と第2の端部3の間に延びる。 案内デバイス10は、空気ギャップ内に構成要素1を挿入するためのアクセス手段を含む。 あるいは、案内デバイス10は、いくつかの部品に分解することができ、部品は、部品どうしを協働させるための手段および/または部品をブリッジ31および/またはプレート30と協働させるための手段を含み、それにより、第1の表面5および第1の極片4を含む第1の部品に構成要素1が第1の端部2で当接するように構成要素1を組み立てることができ、その後、第2の表面7および第2の極片6を含む第2の部品を組み立てる。

    図8および図9に示される特に有利な態様では、構成要素1はスピンドル形状の部分8を含み、この部分8は、長手方向軸D1の周りで回転し、その断面は構成要素1の重心から第2の端部3に向かって縮小して、第2の表面7の近くでの磁場勾配を改良し、第2の端部3の中心を枢動軸Dに容易に合わせられるようにする。

    磁気ピボット100が、振動体に属する構成要素1を含むとき、最大枢動速度となるように長手方向軸D1の周りで構成要素1の動的な平衡を取ることが有利である。

    好ましくは、構成要素1の第1の端部2は、第1の表面5と限定的に接触する表面を有するように構成され、その限定的な接触面は、局部的に球状または円錐状である。

    第1の表面5が、第1の端部2と協働するように構成された受取り表面を含むと有利である。 受取り表面は中空であり、局部的に球状または円錐状である。

    好ましい振動体の用途では、構成要素1はテンプであり、その枢動軸Dが長手方向軸D1と一致する。

    構成要素1のシャフト状部分が、強磁性材料もしくは磁化された材料からなる場合、または構成要素1の長手方向軸D1の方向にこのタイプの材料からなる領域を含む場合、本発明で最大の効率を得られるように、構成要素1の残りの部分は、非磁性または磁気的に不活性の材料、例えばシリコン、または相対透磁率が1.0001未満の材料、特にMEMSもしくはLIGAもしくは同様の技術で形成された材料、さらには少なくとも部分的に非晶質の材料からなると有利である。 特定的にテンプの場合には、少なくとも輪縁およびアームがこのタイプの材料から形成されることが好ましく、それと関連するひげぜんまいも同様にこのタイプの材料から形成されることが好ましい。 したがって、振動体と枢動案内用のデバイス10の相互干渉はない。 構成要素の端部2および3の近くのすべての可動構成要素がこのタイプの非磁性材料で形成されることが有利である。

    一部片のシリコン製スプラングテンプを使用する実施形態であって、主慣性軸を通る磁性アーバーもしくは透磁性材料からなるアーバーを含む、またはテンプの両側で同軸上に位置合わせされた磁性材料もしくは透磁性材料からなる2つの半アーバーを含む実施形態が特に有利である。

    磁気ピボット100は、3つの構成を取ることができる。

    −透磁性材料からなる実質的にシャフト状の部分を含む構成要素1を含み、第1の極片4および第2の極片6がそれぞれ磁性材料からなる。

    −磁性材料からなる実質的にシャフト状の部分を備える構成要素1を含み、第1の極片4および第2の極片6がそれぞれ透磁性材料からなる。

    −磁性材料からなる実質的にシャフト状の部分を備える構成要素1を含み、第1の極片4および第2の極片6がそれぞれ磁性材料からなる。

    当然、構成要素1の2つの端部で異なる性質(すなわち一端で磁性、他端で静電性)の領域を有する構成を作製することもできる。

    図13および図14は、コンパクト性に優れ、全体的に薄く、厚みのないムーブメントまたは時計に使用できるので、有利な実施形態を示す。

    本明細書では磁気ピボットとして説明するピボット100は、制振アセンブリを含む。

    支持面18Aは、宝石18に形成された研磨された凹形の球状区域である。 宝石は永久磁石4に押し付けられ、永久磁石4は、好ましくは1Teslaよりも高い残留磁場を発生する。 磁石4に対して宝石18とは反対側に、研磨された凸形状のサポート宝石43が配置される。 宝石18、磁石4、およびサポート宝石43は、例えばベリリウム銅からなる台枠40に一緒に挿入される。 好ましくは、宝石19およびサポート宝石46は、締付けもしくは結合によって、または1Nよりも大きい保持力(hold)を保証する保持手段によって台枠40内に取り付けられる。 この台枠40はブロック41内で自由に摺動し、ブロック41は、構成要素1(ここではではスプラングテンプアセンブリ)の第1の端部2を通すための開口34を有する。 このブロック41は、開口34の近くで、特に軸Dの周りで回転するショルダによって形成される半径方向耐衝撃性部材または半径方向衝撃吸収体32を含む。

    アセンブリは、構成要素1の第1の端部2が移動して凸形ドーム18Aに突き当たるように、かつサポート宝石43の凸形区域が他端にあるように組み立てられる。 この外部ブロック41は、構成要素1に対する衝撃時にストップ部材として働く。

    好ましくは、構成要素またはテンプ1の第1の端部2は湾曲しており、この湾曲は、ただ1つのブリッジとの接触を保証するために、宝石18の凹形キャロット(concave calotte)の湾曲よりも小さい。 宝石18の凹形湾曲部18Aは、磁極片6と構成要素1の第1の端部2との間の空気ギャップ距離を狭め、またオイル用のリザーバを形成する。

    同様のアセンブリが構成要素1の第2の端部3に配置される。 支持面19Aは、宝石19に形成された研磨された凹形の球状区域である。 宝石は永久磁石6に押し付けられ、永久磁石6は、好ましくは1Teslaよりも高い残留磁場を発生する。 磁石4に対して宝石19とは反対側に、研磨された凸形状のサポート宝石46が配置される。 宝石19、磁石6、およびサポート宝石46は、例えばベリリウム銅からなる台枠44に一緒に挿入される。 この台枠44はブロック45内で自由に摺動し、ブロック45は、構成要素1の第2の端部3を通すための開口35を有する。 ブロック45は、開口35の近くで、特に軸Dの周りで回転するショルダによって形成される半径方向耐衝撃性部材または半径方向衝撃吸収体33を含む。 アセンブリは、構成要素1の第2の端部3が移動して凸形ドーム19Aに突き当たるように、かつサポート宝石46の凸形区域が他端にあるように組み立てられる。 図4は、弾性耐衝撃アーム50によって形成される衝撃吸収体によって制振される第2の端部3にあるこの端部アセンブリを示す。 図5に示されるこの弾性アーム50は、プレート30またはブリッジ31に固定される。 弾性アーム50は自由端を有し、自由端は、少なくとも1つの接触面を介して、この好ましい例では三形状に構成された3つの接触領域51、52、53を介してサポート宝石46の凸形キャロットに突き当たる。 したがって、力は完全に分散され、第2の極片6に対するキャリアアセンブリの軸方向保持が保証される。 このタイプの弾性耐衝撃アームは、好ましくは0.5N程度のプレストレスをかけた状態で取り付けられる。

    同じアセンブリを、構成要素1の第1の端部2の近くで、サポート宝石43に突き当たるように対称的に位置決めすることができることが明らかである。

    磁石4および6は、好ましくはNd−Fe−B永久磁石であり、例えばVacuumschmelze GmbHによるVacodym(登録商標)である。

    また、本発明は、このタイプの枢動案内用のデバイス10を少なくとも1つ含み、および/またはこのタイプの磁気および/または静電気ピボット100を少なくとも1つ含む時計ムーブメント1000に関する。

    また、本発明は、このタイプの時計ムーブメント1000を少なくとも1つ含み、および/またはこのタイプの枢動案内用のデバイス10を少なくとも1つ含み、および/またはこのタイプの磁気または静電気ピボット100を少なくとも1つ含む時計に関する。

    1 時計構成要素 1A チャンバ 2 第1の端部 3 第2の端部 4 極片 5 接触面 6 極片 7 接触面 10 時計構成要素1の枢動を案内するためのデバイス 100 ピボット 1000 時計ムーブメント D 枢動軸 E 空気ギャップ J 動作遊び

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