打撃機構付き腕時計のための音響放射膜構成

申请号 JP2015200890 申请日 2015-10-09 公开(公告)号 JP6006392B2 公开(公告)日 2016-10-12
申请人 モントレー ブレゲ・エス アー; 发明人 ポリクロニス・ナキス・カラパティス; ダヴィデ・サルチ; ユヌス・カドミリ;
摘要
权利要求

打撃機構付き腕時計ないし音楽腕時計用の音響放射膜構成(1)であって、 当該音響放射膜構成は、第2の膜(4)に重なり合うように構成する第1の膜(2)を有し、 前記第1の膜の第1の周縁部分(21)及び前記第2の膜の第2の周縁部分(41)は、腕時計ケース内に膜を保持するように意図されたものであり、 前記第1の音響放射膜(2)は、第1の周波数帯における周波数を効率的に放射するように構成されており、 前記第2の音響放射膜(4)は、前記第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯における周波数を効率的に放射するように構成されており、 前記第1の膜(2)と前記第2の膜(4)の間にスペーサーリング(3)が配置されて前記第1の膜と前記第2の膜の間に空洞が定められ、 この空洞は、前記第1の膜と前記第2の膜の2つの固有振動周波数の少なくとも1つに合わせられている ことを特徴とする音響放射膜構成(1)。前記第1の膜(2)は、2kHz〜4kHzの周波数帯において効率的に放射するように構成し、 前記第2の膜(4)は、1kHz〜2kHzの周波数帯において効率的に放射するように構成する ことを特徴とする請求項1に記載の音響放射膜構成(1)。前記第1の膜(2)は、前記第1の周縁部分(21)に接続する側壁(22)に接続された中央部分(23、26)を有するドーム状に構成している ことを特徴とする請求項1に記載の音響放射膜構成(1)。前記側壁(22)は、円筒状である ことを特徴とする請求項3に記載の音響放射膜構成(1)。前記中央部分は、底を定める基礎(23)と、及び前記基礎(23)の周部における環状部分(26)とを有し、単一部品を形成する ことを特徴とする請求項4に記載の音響放射膜構成(1)。前記基礎(23)は、円状で平坦な形状であり、 前記環状部分(26)は、テーパー状である ことを特徴とする請求項5に記載の音響放射膜構成(1)。前記中央部分(23、26)は、楕円(24)の形の第1の中空領域を少なくとも有する ことを特徴とする請求項3に記載の音響放射膜構成(1)。前記中央部分(23、26)は、異なる厚みを有する2つの楕円状の中空領域(24、25)を有する ことを特徴とする請求項7に記載の音響放射膜構成(1)。前記第2の膜(4)は、前記第2の周縁部分(41)に接続する側壁(42)に接続された中央部分(43、46)を備えたドーム状に構成する ことを特徴とする請求項1に記載の音響放射膜構成(1)。前記側壁(42)は、円筒状である ことを特徴とする請求項9に記載の音響放射膜構成(1)。前記中央部分は、底を定める基礎(43)と、及び前記基礎(43)の周部における環状部分(46)とを有し、単一部品を形成する ことを特徴とする請求項9に記載の音響放射膜構成(1)。前記基礎(43)は、円状の平坦な形状であり、 前記環状部分(46)は、テーパー状である ことを特徴とする請求項11に記載の音響放射膜構成(1)。前記第2の膜(4)の前記基礎(43)は、一又は複数の貫通部分ないし開口(45)を有する ことを特徴とする請求項9に記載の音響放射膜構成(1)。前記貫通部分ないし開口(45)は、懸架されたセクター(47)の形を定めるのに貢献し、U字形であり、そのU字形のアーム部分は、前記基礎(43)の中心の方を向いている ことを特徴とする請求項13に記載の音響放射膜構成(1)。前記第2の膜(4)の前記基礎(43)は、接続用セクター(44)によって前記中央部分の環状部分(46)に接続され、 前記接続用セクター(44)は、前記基礎(43)の材料で作られ、その厚みは、前記基礎の前記中央部分と比較して少なくとも2倍小さくなっている ことを特徴とする請求項13に記載の音響放射膜構成(1)。前記中央部分は、4つの接続用セクター(44)を有し、これらは、互いから規則的に離されており、 連続する2つのセクターの間に1つの貫通部分がある ことを特徴とする請求項15に記載の音響放射膜構成(1)。前記2つの膜の少なくとも1つは、透過性である ことを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の音響放射膜構成(1)。

说明书全文

本発明は、音楽腕時計ないし打撃機構付き腕時計のための音響放射膜構成に関する。この構成は、腕時計が発生する音の音響放射のために、腕時計ケース内において少なくとも2つの重なり合った膜を有する。

腕時計において、音又は音楽の一部を発生させるために打撃機構を設けることがある。これを達成するために、一般には、腕時計ケース内に、打撃機構付き腕時計のゴング又は音楽腕時計の振動プレートが配置されている。したがって、ゴング又は振動プレート細長片の振動が、腕時計の様々な外側部品に伝達される。これらの外側部品は、例えば、ケース中間部、ベゼル、クリスタル(風防)及び腕時計ケースの裏蓋である。これらの大きな外側部品は、伝達された振動の影響によって大気中に音を放射し始める。ハンマーによるゴング打撃によって、又は振動プレートの一又は複数の細長片の振動によって、音が発生すると、これらの外側部品は、発生した音を大気中に放射することができる。

一般的には、このような音楽腕時計ないし打撃機構付き腕時計において、音響効率は、外側部品の複雑な振動音響的な変換に基づいており、低い。打撃機構付き腕時計ないし音楽腕時計のユーザーによって知覚される音響レベルを改善し大きくするためには、外側部品の材料、幾何学的構成及び境界条件を考慮に入れる必要がある。また、これらの外側部品の構成は、腕時計の美的外観や操作時に受ける応にも依存している。これによって、適合可能性が制限されることがある。

打撃機構付き腕時計ないし音楽腕時計が発する音の周波数成分は、1kHz〜6kHzの周波数範囲で豊富でなければならない。従来の外側部品では、この周波数範囲において効率的な放射をすることができない。したがって、打撃機構の振動音響的な効率をさらに改善するために、腕時計ケース内には一又は複数の膜が配置されている。これらの膜は、腕時計ケースが発生させる一又は複数の音が効率的に放射されるように寸法構成を有している。発生する音の周波数は、これらの膜が共鳴するように、膜の固有振動モードに近くなければならない。

音響膜構成に関連する制約は、一般的には、不可侵性のシーリングを確実にするための機械的設計の諸規則によって、及び衝撃や大きな外圧に対する腕時計の機械的耐久性によって変わる。打撃機構付き腕時計ないし音楽腕時計の裏蓋には、通常、開口によって穴が設けられており、膜とムーブメントの残りとの間の接続が密封されていることが求められる。したがって、この条件下では、穴の開いた膜を裏蓋と機械的ムーブメントの間で使用することはできない。また、剛性のレベルが低すぎる膜では、外圧に対する十分な耐久性を確実に有することができず、ムーブメントを損傷させるおそれがある。このことは、問題である。

欧州特許出願EP1795978A2は、打撃デバイスを有する腕時計を開示している。この打撃デバイスは、2つのベル形の膜を有し、これらは、中央のサポートピンによって一方が他方の上になるように、腕時計ケースの中で同軸に保持されている。これらの2つのベルと腕時計ケースの裏蓋の間には、腕時計ケースのケース中間部と穴の開いた裏蓋の間で固定された別の薄い張られた膜も設けられている。他の膜の半径方向の張りを調整することによって、この膜の音響放射周波数を調整することができる。しかし、他の2つのベル形の膜は、打撃デバイスが発生させる音の音響レベルを改善するようには構成していない。このことは、問題である。

したがって、本発明は、広い周波数範囲にわたって音響効率を改善させ、さらに、腕時計ケースの高い外圧に対して不可侵性の密封及び耐久性を確実にするように作られた、音楽腕時計ないし打撃機構付き腕時計のための音響放射膜構成を提供することによって、前記従来技術の課題を克服することを目的とする。

このために、本発明は、独立請求項1に記載の特徴を有する音響放射膜構成に関する。

従属請求項2〜18には、音響放射膜構成の特定の実施形態が記載されている。

このような音響放射膜構成の利点の1つは、いくつかの膜、特に、重なり合った膜の幾何学的構成及び接続がそれぞれ、機械的強度及び不可侵性のシーリングを確実にし、主として1kHz〜4kHzの周波数帯の均質な音響放射を改善させて発生させるように特に最適化されるということに基づいている。

好ましいことに、少なくとも第1の膜は、例えば、2kHz〜4kHzの周波数帯の、第1の周波数帯における周波数を効率的に放射するように構成する。腕時計ケース内で固定されるこの第1の膜は、打撃機構付き腕時計ないし音楽腕時計の機械的ムーブメントを有する腕時計ケースの部分の良好なシーリングを確実にする。この音響膜は、所定の材料で作られ、平面寸法が腕時計ケース又はクリスタルの平面寸法に匹敵するような所定の全体の幅を有するように作られている。

好ましいことに、少なくとも第2の膜は、ピストンのようにふるまう中央部分を有するように形成される(スピーカーの原理に似ている)。中央部分には、開口を作ることもできる。これによって、特に1kHz〜2kHzの周波数帯などの第2の周波数帯において、振幅を確実に大きくすることが可能になる。第1の膜におけるように、この第2の音響膜は、所定の材料で作られ、第1の膜の寸法に匹敵する寸法構成を有し、所定の全体の幅を有するように作られている。第2の膜の音響応答は、この周波数範囲においては比較的均等である。

好ましいことに、第2の膜は、スペーサーリングなどによって第1の膜と重なり合っている。スペーサーリングを備えた2つの膜の組み立てのおかげで、これらの2つの膜の間には空洞が残る。この空洞は、前記2つの膜の2つの基本振動周波数の1つの100Hz以内に調整される。また、第2の膜の中央部分に作られる開口は、前記2つの膜を組み立てることによって、ヘルムホルツ共鳴器のタイプの音響空洞を設けることができる。このことによって、打撃機構付き腕時計ないし音楽腕時計の音響レベルを特定の周波数で大きくすることが可能になる。

膜構成は、2つの膜とスペーサーリングで形成することが好ましく、好ましいことに、単一部品として作ることができる。

好ましいことに、2つの膜の少なくとも1つのヤング率Eが、 E>60GPa、かつ、E<150GPaであり、密度が5,000〜18,000kg/cm3であり、アモルファス金属又は金属性ガラスで作られ、又は金又は白金、又はさらに、黄銅又はチタンで作られる。

好ましいことに、前記2つの膜は、同じヤング率対密度比を有する2つの材料で作られる。

好ましいことに、2つの膜の少なくとも1つは、弾性限界が1GPaよりも大きい。

このような膜を用いて、音の範囲の拡張を非常に低い内部減衰と組み合わせることができる。これによって、非常に良好な音響効率を得ることができる。

音楽腕時計ないし打撃機構付き腕時計のための音響放射膜構成の目的、利点及び特徴は、図示されている少なくとも1つの実施形態(これに制限されない)に基づいて与えられる以下の説明において、より明確に記載されている。

図1aは、本発明に係る音響放射膜構成の一実施形態の平面図であり、図1bは、図1aのA−Aに沿った直径における分解断面図である。

本発明に係る音響放射膜構成についての三次元的な分解斜視図である。

本発明に係る2つの膜を備えた構成と比較して、単一膜についての測定音響レベルを、打撃機構付き腕時計ないし音楽腕時計の音発生源の活性化周波数の関数として示したグラフである。

従来の単一膜の場合における測定された音響レベルとシミュレーションによって得られた音響レベルとの間の比較を示すグラフである。

本発明に係る2つの膜を備えた構成の場合における測定された音響レベルとシミュレーションによって得られた音響レベルとを比較するグラフである。

以下の説明では、音楽腕時計又は打撃機構付き腕時計に装備されるように意図された音響放射膜構成の構成について主として言及する。腕時計ケース内で発生させる様々な音の振幅を大きくするために、音響放射膜が複雑な形になるように作ることができる。好ましくは、これらの膜は、特に、1kHz〜4kHzの周波数帯の第1の振動モードを増幅するように、あるいは第2の振動モードも増幅するように、寸法構成を有している。

図1a、1b及び2は、音響放射膜構成1の実施形態を示している。これは、音楽腕時計ないし打撃機構付き腕時計に装備されることができる。図1aに示すように、音響放射膜構成1は、腕時計ケースの形に応じて、全体として、長方形、多形又は好ましくは円形の上から見た形状を有することができる。

音響放射膜構成1は、第2の音響膜4と重なり合った第1の音響膜2を少なくとも有する。好ましくは、第1の膜2は、スペーサーリング3を介して第2の膜4に重なり合っており、これによって、音響空洞の形が定まる。2つの重なり合った膜2、4は、膜の周部に配置されるシーリングガスケットを介して腕時計ケースの裏蓋と中央部分の間に保持されるような寸法構成を有する。例えば、腕時計ケース内においてそれらが組み立てられる際にクランプされるように保持される。これらの膜の平面寸法は、腕時計ケース又は時計クリスタルの内側寸法に匹敵するものであることができる。

第1の膜2は、腕時計の打撃機構ないし音楽機構が発生させる音の2kHz〜4kHzの周波数帯の周波数を効率的に放射するような寸法構成を有する。好ましくは、上から見て概して円形の腕時計ケース内の組み立てにおいては、この第1の膜2は、円盤状である。第1の膜2は、例えば、ドームの基礎を定めるアクティブな中央部分23、26と、円筒状ないしわずかにテーパー状の側壁22と、及び周縁部分21とを備えるドームの形態である。

中央部分23、26の直径は、その側壁22との接続を端として、15mmよりも大きく、好ましくは、20〜40mmである。この直径は、腕時計用クリスタル(図示せず)の直径と実質的に等しくあることができる。伝統的には、周縁部分21は、少なくとも1つのシーリングガスケットによって、腕時計ケースの裏蓋の周部支持体と、ケース中間部の環状の内側リムとの間でクランプすることができる。第1の膜2全体の厚みは、1mm以下である。

第1の膜2の中央部分23、26は、好ましくは円形で平坦な底を定める基礎23と、及び基礎23の周部にある環状部分26とを有し、これらは単一部品を形成する。基礎23の直径は、環状部分26の直径よりも10〜20%小さくすることができる。環状部分26は、基礎23の軸に対して、70°〜88°の角度で、好ましくは86°のオーダーの角度で、わずかにテーパー状にすることができる。

第1の膜2は、膜の材料を貫通するような貫通部分ないし開口がないように作られる。このことによって、特に、打撃機構ないし音楽機構を備えた計時器用ムーブメントが入っている腕時計ケースの部分における密封が良好であることが確実になる。

また、基礎23において異なる厚みの中空領域24、25を設けることができる。上から見て、これらの中空領域24、25は、楕円のような点対称ではない丸い形を有する。これらの楕円24、25を用いることによって、半径が同じ円の形の領域と比較して、各楕円ごとに2倍多い数の固有振動モードを有することができる。第1の膜2のこの種の実施形態は、第1の中空領域24及び第2の中空領域25を有する基礎23を備えており、欧州特許出願EP2461219A1において図1を参照して詳細に説明されている。この欧州特許出願EP2461219A1を参照によって本明細書に組み入れる。

もちろん、この欧州特許出願EP2461219A1で説明されているように、基礎23において異なる厚みの突起部(図示せず)を設けることもできる。これらの突起部は、第1の膜2が多くの固有振動モードを有するように、楕円形であることができる。

第2の膜4は、腕時計の打撃機構ないし音楽機構によって発生する音の1kHz〜2kHzの周波数帯の周波数を効率的に放射するような寸法構成を有する。第1の膜2と同様に、上から見て、第2の膜4は、円盤状であり、その形及び寸法は、上で説明した第1の膜の形及び寸法と同様であることができる。第2の膜4は、ドームの基礎を定めるアクティブな中央部分43、46を有するようなドーム状に構成することができる。第2の膜4は、さらに、中央部分に接続された円筒状又はわずかにテーパー状の側壁42と、及び第2の膜4が腕時計ケース内で第1の膜2と重なり合うように組み立てるための周縁部分41とを有する。

第2の膜4のアクティブな中央部分は、基礎43で形成される。この基礎43は、環状部分46に接続してこれと単一部品を形成する。第1の膜2と同様に、第2の膜4の基礎43は、好ましくは円形で平坦な基礎を定める。基礎43の直径は、環状部分46の外径よりも10〜20%小さいようにすることができる。環状部分46は、第1の膜2の環状部分26の角度と同一角度でわずかにテーパー状にすることができる。

中央部分、特に、第2の膜4の基礎43に、穴の開いた一又は複数の部分又は開口45が作られる。これらの貫通部分ないし開口45は、基礎43に部分的に接続される懸架される面又はセクター(扇形領域)47を定めるようなU字形であることができる。U字形の開口のアームは、基礎43の中心の方に向いている。U字形の貫通部分の基礎はそれぞれ、基礎43と同心の仮想的な円に配置される。したがって、第2の膜の基礎43は、一又は複数の接続用セクター44によって環状部分46に接続される。これらの接続用セクター44は、基礎43の材料で作られ、膜の振動を大きくするために、基礎の残りよりも厚みを小さく作られる。

図2に示す実施形態において、中央部分は、互いから規則的に離されるように配置された4つの接続用セクター44を有することができる。このようにして、懸架されたセクター47も互いから規則的に離されて配置されている。中央部分43の中心から決まる各セクター44の角度は、各開口45の基礎によって描かれる角度と同じにすることができる。この条件下で、各セクター44及び各開口45は、45°の角度を有する。しかし、各セクターの角度は、さらに、各開口の角度とは異なっていてもよく、その数は4とは異なっていてもよい。

各セクター44の厚みは、50〜100μmとなるように選ぶことができ、基礎43の残りの厚みは、100μmより大きく1mm未満であることができる。したがって、第2の膜4の中央部分は、ピストンの形態であることができる。これは、スピーカーの原理に似ており、1kHz〜2kHzの周波数帯において特に音響放射を改善させる。

2つの音響放射膜2及び4は、同じ材料で作られた単一部品で形成することができる。この材料は、金属であることができる。この材料は、アモルファス金属又は金属性ガラスであることができる。また、選択される材料は、金又は白金であることができ、あるいは黄銅、チタン、アルミニウムであることもでき、例えば、同様な密度、ヤング率及び弾性限界を有することができる。

また、はんだ付け、ろう付け、押し出し又はコーティングによって2つの異なる材質を組み合わせることによって、各膜を設計することを思い描くこともできる。第1の膜2は、第2の膜4とは異なる材質で作ることができるが、任意の温度で良好な音響放射を得るために、選択される材料どうしの温度依存性は近くなければならない。

上で記載したように、膜構成1は、さらに、第1の膜2と第2の膜4の間に組み立て時に配置されるスペーサーリング3を有する。このリングは、第1の膜及び/又は第2の膜と同じ材料で作ることができる。また、膜構成1を単一部品で作ることもできる。

リング3は、好ましいことに、各膜の外径と同じ径とすることができる。このことは、腕時計ケース内の膜構成1において、各膜2、4の周縁部分21、41及びスペーサーリング3が適切に整列しているような組み立てを促進する。腕時計ケース内における膜構成1の組み立ての後に、2つの膜2、4の中央部分23、43は、互いに接しておらず、腕時計の他の部品とも接していない。これによって、自由に振動することができる。

第1の膜2、スペーサーリング3及び第2の膜4がマウントされると、これらの2つの膜の間に空洞が設けられる。この空洞を、これらの2つの膜の2つの固有振動周波数のうちの1つに調整することができる。さらに、第2の膜4の中央部分に作られる開口45と、及び約1mmであることができるスペーサーリングの厚みとは、前記2つの膜の組み立てがヘルムホルツ共鳴のタイプの音響空洞を与えるような寸法構成を有することができる。このような場合、このシステムは、膜と空洞の間に振動音響的な結合を与える。これによって、打撃機構付き腕時計ないし音楽腕時計の音響レベルを特定の周波数で大きくすることが可能になる。

また、膜2、4の周縁部分21、41の部分は、ムーブメントに又はケース中間部の内側リムにて休止するように構成することができる。このような場合、周縁部分21、41は、一方が他方の上になるのではなく、嵌り合う。膜の周部で形成される部分は、音発生源と膜の間の振動伝達を改善するような所定の幾何学的構成を有することができる。

また、第2の膜4は、図1a、1b及び2を参照して説明した形態とは異なるように構成することができる。第1の膜2及び第2の膜4は、貫通した部分及び/又は透過性の部分がないように作ることもできる。各膜の中心から外側に向かって、一方又は他方の膜の中央部分の厚みが変わっているようにすることができる。

例えば、図3は、腕時計の振動発生器によって与えられた活性化周波数の関数として測定される音響レベルを示している。例えば、これは、打撃機構の振動板細長片の第1の固有モード周波数である。腕時計ケース内にマウントされた従来の幾何学的に最適化された膜の利用と、本発明の2つの膜の構成の利用との間の比較が示されている。

試験結果によって、打撃機構の音響放射を改善するための少なくとも2つの膜を備えた構成の実用性が証明されている。この膜構成を使用して得られた音響レベルは、当該周波数帯の全体にわたって大きくなっており、より低い周波数では1つの周波数を除いてさらに大きくなっている。このことは、結合した膜−空洞システムの反共振と一致している。反共振の存在は、部品間の振動音響的な結合を実証するものである。

例えば、図4及び5は、発生した音の周波数範囲における音響レベルの測定と、シミュレーションからの結果との間の比較を示している。図4は、単一膜の場合を示しており、図5は、本発明の膜構成の場合を示している。

膜構成の機能及び特性をデジタルシミュレーションすることができるので、この構成の理論的な寸法構成を得ることができ、その特性はその組み立てには依存しない。このことは、他の外側部品と異なる。デジタルモデルが発展することによって想定が容易になる。また、ムーブメントに対しての膜の支持、第2の膜の貫通部分の寸法、及び2つの膜の幾何学的構成のようなパラメーターを最適化することができる。

上記説明から、当業者であれば、請求の範囲によって定められる本発明の範囲から逸脱せずに、打撃機構付き腕時計ないし音楽腕時計のための膜構成のいくつかの変種を思い描くことができる。様々な寸法の貫通部分を、例えば、膜の中心からの外側に向かっての、第2の膜における異なる位置に、設けることができる。2つよりも多くの重なり合って組み立てられた膜を設けることもできる。

1 音響放射膜構成 2 第1の膜 3 スペーサーリング 4 第2の膜 21 第1の周縁部分 22 側壁 23 基礎 24 楕円 26 環状部分 41 第2の周縁部分 42 側壁 43 基礎 44 接続用セクター 45 貫通部分ないし開口 46 環状部分 47 懸架されたセクター 23、26 中央部分 24、25 中空領域 43、46 中央部分

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