機械式腕時計用の高Q共振器

申请号 JP2017192455 申请日 2017-10-02 公开(公告)号 JP2018066732A 公开(公告)日 2018-04-26
申请人 ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス; 发明人 パスカル・ウィンクレ; ジャンニ・ディ ドメニコ; ジャン−リュック・エルフェ;
摘要 【課題】共振器のクオリティーファクターQを改善させ、エスケープの通常のジャーキーな運動をなくした計時器用ムーブメントを提供する。 【解決手段】エスケープ機構と共振器を有するムーブメントであって、共振器は、フレキシブルなジンバル3の作用を与えられる慣性要素2を有し、主軸Dのまわりを回転するエスケープ車セット4と連係する。エスケープ車セット4は、そのすべての 角 度 位置 において慣性要素2の相補的手段20と連続的な運動伝達を行うように連係する駆動手段40を有する。フレキシブルなジンバル3は、この相補的手段20を主軸Dの方に戻す傾向があり、主軸Dに垂直な軸のまわりに弾性戻し手段31、32を有し、弾性戻し手段31、32は、プレート1に対する慣性要素2の慣性中心Gの固定された位置のまわりの2つの回転 自由度 に慣性要素2の運動を制限する。 【選択図】図1
权利要求

機械式腕時計(1000)のための計時器用ムーブメント(500)であって、 当該ムーブメント(500)が備える駆動手段(300)のトルクが与えられる共振機構(100)及びエスケープ機構(200)がプレート(1)上に配置されており、 前記共振機構(100)は、前記プレート(1)に対して振動するように構成している慣性要素(2)を有し、 前記慣性要素(2)は、前記プレート(1)に直接又は間接的に固定された弾性戻し手段(3、31、32)の作用を与えられており、 前記慣性要素(2)は、前記エスケープ機構(200)内に設けられ主軸(D)のまわりをピボット運動するエスケープ車セット(4)と連係するように構成しており、 前記エスケープ車セット(4)は、前記慣性要素(2)のすべての位置において前記慣性要素(2)が備える相補的な連続的な駆動手段(20)と連続的な運動伝達をするように連係するように構成している駆動手段(40)を有し、 前記弾性戻し手段(3、31、32)は、前記相補的な連続的な駆動手段(20)を前記主軸(D)の方に戻す傾向があるように構成しており、 前記弾性戻し手段(3、31、32)は、前記相補的な連続的な駆動手段(20)を前記主軸(D)の方に戻す傾向があるように構成している、第1の軸(D1)のまわりの第1の弾性戻し手段(31)と、及び前記相補的な連続的な駆動手段(20)を前記主軸(D)の方に戻す傾向があるように構成している、第2の軸(D2)のまわりの第2の弾性戻し手段(32)とを有し、 前記第1の軸(D1)及び前記第2の軸(D2)は、互いに及び前記主軸(D)に垂直であり、 前記弾性戻し手段(3、31、32)は、ジンバルタイプのガイド手段を形成しており、3つの線形の自由度及び1つの回転自由度の前記慣性要素(2)の慣性中心(G)の運動を禁止して、前記慣性要素(2)が、前記第1の軸(D1)及び前記第2の軸(D2)のまわり及び前記プレート(1)に対する前記慣性中心(G)の固定された位置を形成する中心点のまわりの2つのみの回転自由度の運動をすることが可能になる ことを特徴とするムーブメント(500)。前記主軸(D)、前記第1の軸(D1)及び前記第2の軸(D2)は、共点を有する ことを特徴とする請求項1に記載のムーブメント(500)。前記第1の弾性戻し手段(31)及び前記第2の弾性戻し手段(32)は、直列に構成しており、 前記第1の弾性戻し手段(31)は、前記プレート(1)と前記中間的クロスピース(35)の間に配置されており、 前記第2の弾性戻し手段(32)は、前記中間的クロスピース(35)と前記慣性要素(2)の間に配置されており、あるいは前記第1の弾性戻し手段(31)と前記第2の弾性戻し手段(32)は、前記とは逆に配置されている ことを特徴とする請求項1に記載のムーブメント(500)。前記第1の弾性戻し手段(31)と前記第2の弾性戻し手段(32)は、回転する回転角度に比例した戻しトルクを与えるように構成している ことを特徴とする請求項1に記載のムーブメント(500)。前記慣性要素(2)は、前記主軸(D)、前記第1の軸(D1)及び前記第2の軸(D2)によって形成される基準フレームに対して、項が前記主軸(D)、前記第1の軸(D1)及び前記第2の軸(D2)の少なくとも2つに沿って等しい対角慣性行列を有する ことを特徴とする請求項1に記載のムーブメント(500)。前記慣性要素(2)は、前記主軸(D)、前記第1の軸(D1)及び前記第2の軸(D2)によって形成される基準フレームに対して、項が前記主軸(D)、前記第1の軸(D1)及び前記第2の軸(D2)の少なくとも2つに沿って等しい対角慣性行列を有し、 前記慣性要素(2)は、前記主軸(D)、前記第1の軸(D1)及び前記第2の軸(D2)によって形成される基準フレームに対して、項が前記主軸(D)及び前記第1の軸(D1)に沿って等しい対角慣性行列を有する ことを特徴とする請求項2に記載のムーブメント(500)。前記駆動手段(40)には、前記相補的な連続的な駆動手段(20)が備えるフィンガー(21)と連係する、前記主軸(D)を中心とする実質的に半径方向の溝(41)がある ことを特徴とする請求項1に記載のムーブメント(500)。前記第1の弾性戻し手段(31)及び/又は前記第2の弾性戻し手段(32)は、ピボット軸がない回転式のフレキシブルなガイド手段によって形成されている ことを特徴とする請求項1に記載のムーブメント(500)。前記第1の弾性戻し手段(31)及び/又は前記第2の弾性戻し手段(32)は、共同で、モノリシックな構成要素を形成している ことを特徴とする請求項1に記載のムーブメント(500)。前記第1の弾性戻し手段(31)及び/又は前記第2の弾性戻し手段(32)は、2つの細長材を備えた回転式のフレキシブルなガイド手段を有し、 これらの細長材は、同じレベルにて交差しているか、又は2つの近接した平行なレベルに位置しておりこれらのレベルに平行な平面上への射影において交差している ことを特徴とする請求項1に記載のムーブメント(500)。2つの細長材を備えた回転式のフレキシブルな支持構造において、前記2つの細長材の実際又は射影上の交差点は、前記細長材の長さにおける0.12〜0.14倍の位置に位置しており、前記2つの細長材どうしは、60〜80°の角度を形成する ことを特徴とする請求項1に記載のムーブメント(500)。前記第1の弾性戻し手段(31)及び/又は前記第2の弾性戻し手段(32)は、ヘッドトゥテール構成のRCCピボットタイプの回転式のフレキシブルなガイド手段を有する ことを特徴とする請求項1に記載のムーブメント(500)。前記第1の弾性戻し手段(31)及び/又は前記第2の弾性戻し手段(32)は、関連している自由度における前記フレキシブルなジンバルのスチフネスを増加させるように二重構成となっている ことを特徴とする請求項1に記載のムーブメント(500)。前記第1の弾性戻し手段(31)及び/又は前記第2の弾性戻し手段(32)は、フレキシブルな細長材を備えた回転式のフレキシブルなガイド手段を有し、前記細長材は、エリンバーで作られている ことを特徴とする請求項1に記載のムーブメント(500)。前記第1の弾性戻し手段(31)及び/又は前記第2の弾性戻し手段(32)は、フレキシブルな細長材を備えた回転式のフレキシブルなガイド手段を有し、前記細長材は、温度変化の影響を補償するように酸化ケイ素で作られている ことを特徴とする請求項1に記載のムーブメント(500)。前記第1の弾性戻し手段(31)及び/又は前記第2の弾性戻し手段(32)は、2つの細長材を備えた回転式のフレキシブルなガイド手段を有し、前記2つの細長材は、2つの近接している平行なレベルにありこれらのレベルに平行な平面上への射影において交差しており、前記細長材はそれぞれ、その細長材とその取り付け手段を有する1つのモノリシックなモジュール(38)に属し、2つの細長材を備えたフレキシブルな支持構造は、背中合わせで組み立てられた2つの前記モジュール(38)を有する ことを特徴とする請求項1に記載のムーブメント(500)。第1の慣性(l1)及び前記第1の軸(D1)のまわりの第1の回転における前記支持構造の第1の弾性定数(k1)の関数である第1の振動周期(T1)は、第2の慣性(I2)及び前記第2の軸(D2)のまわりの第2の回転における前記支持構造の第2の弾性定数(k2)の関数である第2の振動周期(T2)と等しい ことを特徴とする請求項1に記載のムーブメント(500)。前記第1の弾性戻し手段(31)及び/又は前記第2の弾性戻し手段(32)は、同一の特徴を有する ことを特徴とする請求項1に記載のムーブメント(500)。前記第1の軸(D1)及び前記第2の軸(D2)によって定められる平面は、平衡時において、前記プレート(1)の平面に垂直であり、前記主軸(D)は、前記プレート(1)の平面と平行である ことを特徴とする請求項1に記載のムーブメント(500)。前記第1の軸(D1)及び前記第2の軸(D2)によって定められる平面は、平衡時において、前記プレート(1)の平面と平行であり、前記主軸(D)は、前記プレート(1)の平面に垂直である ことを特徴とする請求項1に記載のムーブメント(500)。前記駆動手段(40)には、ローラー(45)をガイドするように構成している穴(42)があり、このローラー(45)は、前記相補的な連続的な駆動手段(20)を形成する前記慣性要素(2)に設けられた環状軌道(250)上で転がるように構成している ことを特徴とする請求項1に記載のムーブメント(500)。前記第1の弾性戻し手段(31)及び/又は前記第2の弾性戻し手段(32)は、交差する細長材を備えた回転式のフレキシブルなガイド手段を有し、機械的な止めによる衝撃を受けた際の損傷から保護される ことを特徴とする請求項1に記載のムーブメント(500)。前記慣性要素(2)は、慣性と非平衡を調整する慣性ブロックを有する ことを特徴とする請求項1に記載のムーブメント(500)。請求項1に記載のムーブメント(500)を有する ことを特徴とする機械式腕時計(1000)。

说明书全文

本発明は、機械式腕時計のための計時器用ムーブメントに関し、当該ムーブメントが備える駆動手段のトルクが与えられる共振機構及びエスケープ機構がメインプレート上に配置されており、前記共振機構は、前記プレートに対して振動するように構成している慣性要素を有し、前記慣性要素は、前記プレートに直接又は間接的に固定された弾性戻し手段の作用を与えられており、前記慣性要素は、前記エスケープ機構内に設けられ主軸のまわりをピボット運動するエスケープ車セットと連係するように構成している。

本発明は、さらに、前記のようなムーブメントを少なくとも1つ有する機械式腕時計に関する。

本発明は、機械式腕時計のタイムベースを形成する共振機構の分野に関する。

最近の機械式腕時計は、腕時計のタイムベースを形成するばね仕掛けバランスタイプの共振器と、及び一般的にはスイス式のレバーエスケープであるエスケープ機構とを有している。エスケープ機構は、 − 共振器の往復運動を維持することと、 − このような往復運動をカウントすること の2つの主要な機能を実行する。

エスケープは、堅牢性が高く、衝撃に耐え、ムーブメントのジャミング(オーバーバンキング)を防ぐ必要がある。

機械式共振器は、少なくとも1つの慣性要素及び1つの弾性戻し要素を組み合わせている。ばね仕掛けバランスにおいて、バランスばねは、バランスによって形成される慣性要素のための弾性戻し要素としてはたらく。

バランスは、滑らかなルビーで支持されて回転するピボットによって回転ガイドされる。このことによって、摩擦が発生し、したがって、エネルギー損失及び動作への悪影響を発生させる。これらは、なくしたいものである。このような損失は、クオリティーファクターQによって特徴づけられる。このクオリティーファクターQを最大限にすることが目標とされている。

スイス式のレバーエスケープのエネルギー効率は低い(約30%)。このように効率が低いことは、エスケープがジャーキーな運動をすること、「ドロップ(工作誤差に対処するためのバンキングへのラン)」があること、そして、いくつかの部品が互いに擦り合う斜面を介して自身の運動を伝達することに起因している。

ETA Manufacture Horlogere Suisseによる欧州特許出願EP2908189は、2つの計時器用発振器をギヤ列と同期させる機構を開示している。その計時器調整機構は、プレートに対して少なくとも回転運動を行うように動くようにマウントされギヤ列を介して駆動トルクを受けるように構成しているエスケープ車と、及び第1の弾性戻し手段によってプレートに接続された第1の剛構造を有する第1の発振器とを有する。この調整機構は、第2の剛構造を有する第2の発振器を有する。この第2の剛構造は、第2の弾性戻し手段によって第1の剛構造に接続され、エスケープ車に設けられる相補的なガイド手段と連係するように構成しているガイド手段を有しており、第1の発振器及び第2の発振器をギヤ列と同期させている。

ETA Manufacture Horlogere Suisseによる欧州特許出願EP3054358は、構造と、及び別個のいくつかの主共振器とを有する計時器用発振器について記載している。これらの主共振器は、時間的かつ幾何学的に位相ずれしており、それぞれが、弾性戻し手段によって前記構造の方に戻る錘を有する。この計時器用発振器は、車列を動かす駆動手段を有する主共振器どうしの相互作用のための連結手段を有しており、この車列は、伝達手段とつながっている制御手段を駆動しガイドするように構成している駆動及びガイド手段を有する。この伝達手段はそれぞれ、制御手段から離れた位置にて主共振器の錘につながっている。また、主共振器及び前記車列は、主共振器の任意の2つの連結軸及び制御手段の連結軸が共面にならないように構成している。

本発明は、特定の等時性の計時器用共振機構とエスケープ機構を組み合わせている計時器用ムーブメントであって、これらの計時器用共振機構とエスケープ機構が、特に、伝統的なピボットに伴って発生する摩擦をなくすことによって、共振器のクオリティーファクターQを改善させ、エスケープの通常のジャーキーな運動をなくすことによって、エスケープの効率を向上させるように互いに対して構成しているものを改善することを提案するものである。

このような目的を達成するために、本発明によって、弾性戻し要素が支持メンバーを形成するような共振器であって、機構アーキテクチャによって、共振器とエスケープ車の間のジャーキーな運動がない連続的な相互作用を可能にするものを提案する。これを達成するために、共振器が少なくとも第2の自由度を有するようにすることが必要であり、第2の自由度は、第1の自由度とは位相がずれている。これによって、共振器は、重や平行移動する衝撃の影響を受けず、回転する2つの自由度が選択され、その軸が慣性要素の重心を通り抜ける。

したがって、本発明は、機械式腕時計のための計時器用ムーブメントに関し、当該ムーブメントが備える駆動手段のトルクを与えられた共振機構及びエスケープ機構がプレート上に配置されており、前記共振機構は、前記プレートに対して振動するように構成している慣性要素を有し、前記慣性要素は、前記プレートに直接又は間接的に固定された弾性戻し手段の作用を与えられており、前記慣性要素は、前記エスケープ機構内に設けられ主軸のまわりをピボット運動するエスケープ車セットと連係するように構成しており、前記エスケープ車セットは、前記慣性要素のすべての度位置において前記慣性要素が備える相補的な連続的な駆動手段と連続的な運動伝達をするように連係するように構成している駆動手段を有し、前記弾性戻し手段は、前記相補的な連続的な駆動手段を前記主軸の方に戻す傾向があるように構成しており、前記弾性戻し手段は、前記相補的な連続的な駆動手段を前記主軸の方に戻す傾向があるように構成している、第1の軸のまわりの第1の弾性戻し手段と、及び前記相補的な連続的な駆動手段を前記主軸の方に戻す傾向があるように構成している、第2の軸のまわりの第2の弾性戻し手段とを有し、前記第1の軸及び前記第2の軸は、互いに及び前記主軸に垂直であり、前記弾性戻し手段は、ジンバルタイプのガイド手段を形成しており、3つの線形の自由度及び1つの回転自由度の前記慣性要素の慣性中心の運動をいずれも防いで、前記慣性要素が、前記第1の軸及び前記第2の軸のまわり及び前記プレートに対する前記慣性中心の固定された位置を形成する中心点のまわりの2つのみの回転自由度の運動をすることが可能になる。

本発明は、さらに、前記のようなムーブメントを少なくとも1つ有する機械式腕時計に関する。

添付図面を参照しながら下記の詳細な説明を読むことで、本発明の他の特徴及び利点を理解することができるであろう。

弾性戻し手段とは別個のガイド手段を有する変形態様において、フレキシブルなジンバルを備えた共振器と、及び連続的な維持機構とを有する本発明に係るムーブメントの部分的な概略斜視図である。

下の説明において等時性の数学的計算に用いられる理論的な基準フレームにおけるオイラーの角度の部分的な概略斜視図である。

回転するモノリシックな連接式の構造又はフレキシブルなガイド手段についての部分的な概略斜視図である。これは、本発明に係る共振器において、一方では、プレートと中間的クロスピースの間、そして、他方では、この中間的クロスピースと慣性要素の間にて、交差する細長材を介しての弾性接続の形態(これに限定されない)で作られている。

回転式のフレキシブルな支持構造の概略平面図である。これには、特に、射影上にて交差する細長材を介して2つの固体の間の弾性接続があり、細長材の交差軸の角度と位置の特定の構成によって、優れた等時性を確実にすることができる。

背中合わせでマウントされた2つの同一のプレートを並置することによって射影上で交差する細長材を用いた支持構造についての実施形態の概略斜視図である。

弾性戻し手段と組み合わさっておりフレキシブルなジンバルを備えた共振器を有するガイド手段を有する変形態様における本発明に係るムーブメントの概略斜視図である。

図6のガイド手段が備えるフレキシブルなジンバルが上に配置されるプレートの斜視図である。

図6のガイド手段が備える回転式のフレキシブルなガイド手段の斜視図である。このフレキシブルなガイド手段には、特に、図3におけるような弾性接続かある。

図6のガイド手段が備える慣性要素の斜視図であり、エスケープ車セットを形成する横車の溝と連係するフィンガーを有する。

図6のガイド手段が備えるエスケープ車セットの斜視図であり、これは、図9のフィンガーと連係しており、傾斜した歯列を介してバレル(図示せず)のトルクを与えられるギヤ列の端と連係する。

弾性戻し手段と組み合わさったガイド手段を有する本発明の別の変形態様によるムーブメントの組み立てられた形態の概略斜視図である。回転式のフレキシブルなガイド手段、特に、図3による弾性接続によって、プレートが、上側環状軌道を有する実質的に交差した形態の慣性要素を担持しており、この上側環状軌道上で、エスケープ車セットのノッチ内に収容されたローラーが転がり、これは、プレートのハウジング内かつ棒体(図示せず)によってピボット運動し、このローラーは、慣性要素に偏心スラスト力を与え、慣性要素に歳差回転運動をさせる。

図11のムーブメントの分解された形態の概略斜視図である。

前記のようなムーブメントを有する腕時計を示しているブロック図である。

図13に示すように、本発明は、プレート1にマウントされ共振器100を有するムーブメント500を備える機械式腕時計1000に関し、この共振器100は、フレキシブルなジンバル及び連続的なパワー維持機構200を備え、これには、駆動手段300のトルクが与えられる。

図1に示すフレキシブルなジンバルについては、下にて詳細に説明する。これには、第2及び第3の回転をフレキシブルに維持しつつ、3つの平行移動及び1つの第1の回転の運動に共振器100の慣性要素2及びプレート1をロックする機能がある。

フレキシブルな回転の回転軸どうしは、垂直であり、共振器100の慣性要素2の重心Gを通り抜ける。

ここで、本発明を単一の慣性要素2を用いて説明するが、これに限定されない。

当該機構を示している図は、主軸D、第1の軸D1及び第2の軸D2を有する。

図2は、オイラーの角の伝統的な定義を示している。通常のオイラーの方向は、以下の規則にしたがって物理的な軸に対応する。 D=e2 D1=e3 D2=n

本発明によると、フレキシブルなジンバルは、 − 特に、回転軸D1=e3を定めるピボットのない、少なくとも第1の回転式のフレキシブルな支持構造であって、一方の側にてプレート1にセットされ、他方の側にてクロスピースと呼ばれる中間的構成要素35に接続されるものと、 − 特に、ピボットのない、少なくとも第2の回転式のフレキシブルな支持構造であって、ノードのラインとも呼ばれる回転軸nを定め、一方の側にてクロスピース35に接続され、他方の側にて共振器100の慣性要素2に接続しているものと を有する。

本発明によると、これらの回転式のフレキシブルなガイド手段のそれぞれがフレキシブルであることによって、戻しトルクが、当該回転の回転角度に比例するようになる。

本発明によると、慣性要素2には、方向e2の成分と方向e3の成分が実質的に同じであるような慣性行列がある。

これらの2つの特徴によって、慣性要素2の軌道にかかわらず、システムの等時性を得ることができる。

実際に、これらの特徴によって、カーシブ体の大文字Lによって表されることが多い一般ラグランジュ関数が単純化される。これは、ここでは、「Lag」によって表現され、以下のように、運動エネルギーEc=T(速さを伴う合計のもの)とシステムのポテンシャルエネルギーEp=V(位置を伴う合計のもの)の間の差と等しい。すなわち、 Lag(θ、φ、ψ)=T(θ、φ、ψ)−V(θ、φ、ψ) ここで、

である。

本発明において、回転の1つをロックすることは、図示した変形態様において、恒久的に、φ=0であることを意味している。これは、ラグランジュ関数の表現を単純化する。すなわち、

Si I2=I3=I23、そして、

を得る。これは、θとψに応じた2つの等時性の発振器のラグランジュ関数に対応する。

このように、本発明によって、可能な最良の等時性を得ることができる。

また、特定の実施形態において、角度θ及びψの振動の間の振動数を同じにすることができる。

具体的には、2つの回転における発振の周期は、実質的に同一である。すなわち、

である。

図1は、慣性要素2に設けられたフィンガー21と、エスケープ車セット4に設けられた溝41との連係を示している。このエスケープ車セット4は、典型的には、エスケープ車に相当するものであり、連続的なパワー維持機構200に設けられる。なお、このようなエスケープ車セット4がないと、自由状態におけるフィンガー21の平衡点は主軸D上になることがわかるであろう。上記の式は、定常状態において、エスケープ車セット4のピボット軸のまわりのこのフィンガー21の円形軌道を確実にする。

このフレキシブルなジンバルの原理を適用することによって、本発明は、特に、機械式腕時計1000のための計時器用ムーブメント500に関する。

このムーブメント500は、プレート1上に配置された、共振機構100と、及びムーブメント500が備える駆動手段300のトルクを与えられるエスケープ機構200とを有する。

共振機構100は、プレート1に対して振動するように構成している少なくとも1つの慣性要素2を有する。この慣性要素2は、プレート1に直接又は間接的に固定されている弾性戻し手段3、31及び32に作用される。また、この慣性要素2は、エスケープ機構200に備えられ主軸Dを中心にピボット運動をするエスケープ車セット4と連係するように構成している。

本発明によると、エスケープ車セット4は、駆動手段40を有し、これは、慣性要素2のすべての角度位置において慣性要素2が備える相補的な連続的な手段20と、連続的な運動の伝達を行うように連係する。

また、弾性戻し手段3、31、32は、相補的な連続的な駆動手段20を主軸Dの方に戻す傾向があるように構成している。

この弾性戻し手段3、31、32は、相補的な連続的な駆動手段20を主軸Dの方に戻す傾向があるように構成している第1の軸D1のまわりの第1の弾性戻し手段31と、及び相補的な連続的な駆動手段20を主軸Dの方に戻す傾向があるように構成している第2の軸D2のまわりの第2の弾性戻し手段32とを有する。

第1の軸D1と第2の軸D2は、互いに垂直であり、主軸Dに垂直である。

また、弾性戻し手段3、31、32は、ジンバルタイプのガイド手段を形成しており、3つの線形な自由度及び1つの回転自由度の慣性要素2の慣性中心Gの運動を禁止して、2つのみの回転自由度しか慣性要素2の運動を許容しないようにするように構成している。この回転は、第1の軸D1及び第2の軸D2、そして、プレート1に対して慣性中心Gの固定された位置を形成する中心点のまわりのものである。

具体的には、主軸D、第1の軸D1及び第2の軸D2は、共点を有する。

図に示す好ましい実施形態において、第1の弾性戻し手段31及び第2の弾性戻し手段32は、直列に構成しており、第1の弾性戻し手段31は、プレート1と中間的クロスピース35の間に配置されており、第2の弾性戻し手段32は、中間的クロスピース35と慣性要素2の間に配置される。なお、これらは逆の構成でもよい。

特定の実施形態において、第1の弾性戻し手段31と、第2の弾性戻し手段32は、それらが回転する回転角度に比例する戻しトルクを、それらの回転トラベルの少なくとも一部に対して与えるように構成している。具体的には、この比例は、それらの角度的トラベル全体にわたって適用される。必要ならば、角度的制限手段は、これらの弾性戻し手段のフレキシブル性が、これらが与える戻しトルクがこれらが回転する回転角度に比例する範囲に、制限されるように構成している。

共振器の最適な等時性を得るために、慣性要素2は、主軸D、第1の軸D1及び第2の軸D2によって形成される基準フレームに対して、項が主軸D、第1の軸D1及び第2の軸D2の少なくとも2つに沿って等しいような対角慣性行列を有する。

具体的には、図1、3、6及び12に示すように、第1の弾性戻し手段31及び第2の弾性戻し手段32は、直列に構成しており、第1の弾性戻し手段31は、プレート1と中間的クロスピース35の間に配置され、第2の弾性戻し手段32は、中間的クロスピース35と慣性要素2の間に配置され、慣性要素2は、主軸D、第1の軸D1及び第2の軸D2によって形成される基準フレームに対して、項が主軸Dと第1の軸D1に沿って等しいような対角慣性行列を有する。

図1及び6の変形態様において、駆動手段40には、主軸Dを中心とする実質的に半径方向の溝41があり、この溝41は、相補的な連続的な駆動手段20に設けられたフィンガー21と連係する。この場合に、連続的な維持機構は、溝41がある車4によって回転駆動される慣性要素2と一体化されたこのフィンガー21を有し、この溝41は、傾斜した歯列を介して、ギヤ列の端にて別の車49と連係し、このようにして、駆動手段300、特に、少なくとも1つのバレル、のトルクを与えられる。ここで、車4は、2つのフレキシブルな回転の回転軸によって定められる平面に垂直な軸のまわりを回転する。

好ましいことに、図面に示すように、第1の弾性戻し手段31及び/又は第2の弾性戻し手段32は、ピボット軸がないフレキシブルなガイド手段を回転させることによって形成される。

本発明の特定の実装において、第1の弾性戻し手段31及び第2の弾性戻し手段32は、共同で、モノリシックな構成要素を形成する。

図面に示した本発明の特定の実施形態において、第1の弾性戻し手段31及び/又は第2の弾性戻し手段32は、2つの細長材を備えた回転式のフレキシブルなガイド手段を有する。これらの2つの細長材は、同じレベルにて交差しているか、又は2つの近接した平行なレベルにありこれらのレベルに平行な平面上への射影において交差している。

この2つの細長材を備えたフレキシブルな支持構造の変形態様において、図4に示すように、これらの2つの細長材の実際の交差又は射影上の交差の点は、好ましいことに、これらの長さの0.12〜0.14倍の位置に位置している点に位置しており、これらの細長材どうしは、60〜80°の角度を形成する。

別の変形態様において、第1の弾性戻し手段31及び/又は第2の弾性戻し手段32は、ヘッドトゥテール(head-to-tail)構成のRCCピボットを備える回転式のフレキシブルなガイド手段を有する。

さらなる別の変形態様において、第1の弾性戻し手段31及び/又は第2の弾性戻し手段32は、二重構成にされ、あるいは一般的な用語を用いると、多重化された構成にされる。これによって、関連している自由度におけるフレキシブルなジンバルのスチフネスを増加させる。

特定の変形態様において、第1の弾性戻し手段31及び/又は第2の弾性戻し手段32は、エリンバーで作られたフレキシブルな細長材を備えた回転式のフレキシブルなガイド手段を有する。

別の特定の変形態様において、第1の弾性戻し手段31及び/又は第2の弾性戻し手段32は、温度変化の影響を補償するように酸化ケイ素で作られているフレキシブルな細長材を備えた回転式のフレキシブルなガイド手段を有する。

別の変形態様において、図5に示すように、第1の弾性戻し手段31及び/又は第2の弾性戻し手段32は、2つの細長材を備えた回転式のフレキシブルなガイド手段を有しており、これらの細長材は、2つの近接した平行なレベルに位置しておりこれらのレベルに平行な平面上への射影において交差しており、前記細長材のそれぞれは、その細長材及びその取り付け手段を有しているモノリシックなモジュール38に属しており、2つの細長材によるフレキシブルな支持構造は、背中合わせで組み立てられた2つの前記モジュール38を有する。

特定の変形態様において、第1の弾性戻し手段31及び/又は第2の弾性戻し手段32は、第1の慣性l1及び第1の軸D1のまわりの第1の回転における支持構造の第1の弾性定数k1の関数である第1の振動周期T1が、第2の慣性l2及び第2の軸D2のまわりの第2の回転における支持構造の第2の弾性定数k2の関数である第2の振動周期T2と等しいように計算される。

具体的には、第1の弾性戻し手段31及び第2の弾性戻し手段32の特徴は同じである。

特定の変形態様において、図6に示すように、第1の軸D1及び第2の軸D2によって定められる平面は、平衡時において、プレート1の平面に垂直であり、主軸D2は、プレートDの平面と平行である。

別の変形態様において、図11に示すように、第1の軸D1及び第2の軸D2によって定められる平面は、平衡時において、プレート1の平面と平行であり、主軸Dは、プレートDの平面に垂直である。

図11に示す変形態様では、駆動手段40には、ローラー45をガイドするように構成している穴42がある。このローラー45は、慣性要素2に設けられた環状トラック250上で回転するように構成しており、環状トラック250は、相補的な連続的な駆動手段20を形成する。このように、ローラー45は、慣性要素に偏心力を与え、トルクは、フレキシブルなジンバル3と組み合わさって、トルクに起因して平坦な面上でスピンするコイン又はプレート、又はジャイロスコープ又はスピンする上部のような歳差運動の運動を慣性要素2に与える。このとき、連続的な維持機構は、環状トラック250を担持しており慣性要素2と一体化されているリングによって形成される。これによって、駆動手段300、特に、少なくとも1つのバレル、のトルクを与えられるローラー45を用いて車4によって歳差運動を行うように駆動される。車4は、2つのフレキシブルな回転の回転軸によって定められる平面に垂直な軸のまわりを回転する。

なお、この点に関して、上記のクロスピースと同様に中間的なリングがバランスばねによって内側及び外側のリングのそれぞれに接続されるような3つのリングを備えたジャイロスコープは、本発明に係る共振器を形成することができる。

特定の実施形態において、第1の弾性戻し手段31及び/又は第2の弾性戻し手段32は、交差する細長材を備えた回転式のフレキシブルなガイド手段を有し、機械的な止めによる衝撃を受けた際に損傷しないように保護する。

特定の実施形態において、慣性要素2は、慣性と非平衡を調整する慣性ブロックを有する。

本発明は、さらに、前記のようなムーブメント500を1つ有する計時器、特に、機械式腕時計1000、に関する。

短く書くと、本発明には、以下のような特定の利点がある。すなわち、 − 慣性要素の軌道にかかわらず、共振器の等時性を得ることができる。 − 回転式のフレキシブルなガイド手段に置き換えることによって、共振ピボットの摩擦をなくして、クオリティーファクターQを増加させることができる。 − 連続性を維持させることによってエスケープのジャーキーな運動をなくして、エスケープの効率を向上させることができる。

1 プレート 2 慣性要素 3、31、32 弾性戻し手段 4 エスケープ車セット 20 相補的な連続的な駆動手段 21 フィンガー 35 中間的クロスピース 38 モジュール 40 駆動手段 41 溝 42 穴 45 ローラー 100 共振機構 200 エスケープ機構 250 環状軌道 300 駆動手段 500 ムーブメント 1000 腕時計 D 主軸 D1 第1の軸 D2 第2の軸 G 慣性中心

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