Escapement system for the watch

申请号 JP2013515896 申请日 2011-06-22 公开(公告)号 JP2013529779A 公开(公告)日 2013-07-22
申请人 ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド; 发明人 シャルボン,クリスチャン; ウィンクラー,イヴ; ヴェラルド,マルコ;
摘要 本発明は脱進機システム(1)に関する。 このシステムは、円板(5)に取り付けたピンと協働することを意図したフォークに付けたアンクル(7)と、少なくとも1つのがんぎ車(23)と協働するために、爪(21)を受けることを意図したアームを備える柄部とを備える。 脱進機システムの一部分は、少なくとも部分的に非晶質な金属 合金 からできている。
【選択図】 図1
权利要求
  • 円板(5)に取り付けたピンと協働することを意図したフォーク(11)に付けたアンクル(7)と、少なくとも1つのがんぎ車(23)と協働するために、爪(21)を受けることを意図したアーム(13)を備える柄部(9)とを備える脱進機システムであって、前記脱進機システムの少なくとも1つの部分は、少なくとも部分的に非晶質な金属合金からできていることを特徴とする脱進機システム。
  • 前記アンクル(7)は、少なくとも部分的に非晶質な金属合金からできていることを特徴とする、請求項1に記載の脱進機システム。
  • 前記アンクル(7)の前記爪(21)は、少なくとも部分的に非晶質な金属合金からできていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の脱進機システム。
  • 前記アンクルの前記爪(21)および前記アンクル(7)は、全く同一の部品を形成することを特徴とする、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の脱進機システム。
  • 前記がんぎ車(23)は、少なくとも部分的に非晶質な金属合金でできていることを特徴とする、請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の脱進機システム。
  • 前記円板(5)は、少なくとも部分的に非晶質な金属合金でできていることを特徴とする、請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の脱進機システム。
  • 前記脱進機システムの少なくとも1つの部分は、この部分の慣性モーメントを減少させるために凹部(29)を備えていることを特徴とする、請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の脱進機システム。
  • 前記凹部は、抜き穴であることを特徴とする請求項7に記載の脱進機システム。
  • 前記脱進機システムの少なくとも1つの部分は、この部分の慣性モーメントを減少させるために狭くしてある領域(27)を備えていることを特徴とする、請求項1〜8のうちいずれか一項に記載の脱進機システム。
  • 前記アンクル(7)、前記がんぎ車(23)および前記円板(5)は、少なくとも部分的に非晶質な金属合金からできていることを特徴とする、請求項1〜9のうちいずれか一項に記載の脱進機システム。
  • 材料は完全に非晶質であることを特徴とする、請求項1〜10のうちいずれか一項に記載の脱進機システム。
  • 前記材料は完全に金属であることを特徴とする、請求項1〜11のうちいずれか一項に記載の脱進機システム。
  • 前記金属合金は非磁性であることを特徴とする、請求項1〜12のうちいずれか一項に記載の脱進機システム。
  • 说明书全文

    本発明は脱進機システムに関する。 この脱進機システムは、円板上に取り付けたピンと協働することを意図したフォークに付けたアンクルと、少なくとも1つのがんぎ車と協働するために爪を受けることを意図したアームを備える柄部とを備える。

    本発明の技術分野は細密な機構、より詳細には時計製造の技術分野である。

    時計は、部品、特に歯車列にエネルギーを供給するばねバレルなどのエネルギー源を備えている。 これらの歯車列は、がんぎ車を介して脱進機システムと協働する。 がんぎ車の回転は脱進機システムのアンクルによって調節し、脱進機システムのパルスは平衡ばね(spring balance)によって与える。 脱進機システムは、軸を中心に枢動するために取り付けたアンクルを備える。 このアンクルは、がんぎ車と協働するためにレバーを備え、このレバーは、円板に取り付けたピンと協働することを意図したフォークを第1の端部に付け、爪を受けることを意図したアームを第2の端部に付けてある。 作動中、アンクルは歯車列の回転を制御するために、アームの爪ががんぎ車の歯と接触するように、その軸を中心に枢動する。

    現在、脱進機の効率は比較的低い。 実際、脱進機システムが作動すると摩擦が生じ、衝撃、および、がんぎ車および特にアンクルを形成する材料内のエネルギーの散逸を受ける。 1つの使用材料は、たとえば、15Pまたは20AP鋼である。 これらの材料は、結晶質の材料である。 結晶質の金属でできた構成部品の1つの欠点は、高応が負荷されたときの機械的強度の低さである。 実際、各材料はヤング率Eによって特徴づけられるが、ヤング率は弾性係数(一般にGPaで表わす)と呼ぶこともあり、変形に対する抵抗力を特徴づけるものである。 各材料はまた弾性限度σ e (一般にGPaで表わす)で特徴づけられ、この弾性限度はこれを超えると材料が塑性変形することを示す。 したがって、弾性限度のヤング率に対する比率σ e /Eを各々に対して確定することによって、所与の寸法に関して、材料を比較することが可能である。 そして、前記比率は各材料の弾性変形を表わすことになる。 それで、この比率が高ければ高いほど、材料の弾性変形の限界は高くなる。 通常は、Cu−Beなどの合金に対して、ヤング率Eは130GPaに等しく、弾性限度σ eは1GPaに等しい。 このとき、σ e /E比率は0.007のオーダー、すなわち、低比率である。 結晶質の金属または合金でできた部品は、従って、弾性変形に対する能力には限界がある。

    加えて、脱進機の効率は、衝撃中のエネルギー反発要因(energy restitution factor)と関連がある。 ここで、これらの衝撃とは、がんぎ車のアンクルの爪の間の衝撃および円板のピンとフォーク入口との間の衝撃である。

    アンクルあるいはがんぎ車の変位中に蓄積される運動エネルギーは、慣性モーメントに依存する。 慣性モーメントは、質量と回転半径、したがって、寸法の関数である。

    弾性的に蓄えられ得る最大エネルギーは、一方の弾性限度σ eの二乗と、他方のヤング率Eとの間の比であるとして計算されるので、結晶質の金属の低い弾性限度はエネルギー蓄積能力が低レベルであるという結果になる。 15Pまたは20AP鋼は高密度であり、それゆえ、アンクルおよびがんぎ車は高い質量を有する。 慣性モーメントはそれゆえ大きく、かつ、アンクルとがんぎ車の変位中の蓄積される運動エネルギーはしたがって大きい。

    しかしながら、結晶質の金属は大量のエネルギーを蓄積することができないので、エネルギー損失は、がんぎ車の解放/かみ合い(lifts/teeth)の衝撃中および円板のピンとフォーク入口との間の衝撃中に発生する。

    結果的に、ばねバレルによって供給されたエネルギーの少なからぬ部分は、時計の作動中に失われ、したがって、そのエネルギー蓄積は減少する。

    そのうえ、時計製造では伝統的に焼き入れ焼き戻し炭素、硫黄および鉛鋼(良好な被削性および大変良好な機械的特性を有するが、しかし磁性である)を使用する。 非磁性代替物は珍しく、かつ、一般に機械加工がより難しく、機械的特性が劣っている。

    特に非晶質金属からできている時計のための精密な歯車列は、特許文献1からさらに知られている。 この文献はかみ合いによって互いに協働する歯車列に関する。 これが意味するところは、互いに協働している2つの歯車列の場合、各歯車列の歯は、もう一方の歯車列の歯の間のスペースに入るということである。 したがって、歯を押し、そして摺動させ、歯車列を回転させるプロセスがある。 この摺動プロセスは、硬くて強固であり、大変に滑らかな表面を有し効率上の損失および早すぎる摩耗の原因となる摩擦を防止する材料を有することを含んでいる。

    がんぎ車は古典的な歯車列とは異なる。 その理由は、がんぎ車は歯車列と同じ原理では作動しないからである。 実際、このようながんぎ車は、バレルばねによって駆動され、そして、その回転は、脱進機システムによって制御される。 脱進機システムでは、平衡ばねにより、アンクルおよび爪は前記がんぎ車の回転を連続的に解放および停止させる。 したがって、解放およびパルス・フェーズの後、がんぎ車の歯はアンクルの爪の係止面に強くもたれかかるようになる。 各パルスで繰り返されるこれらの激しい衝撃は、歯車列と比べて、がんぎ車に大いに異なる応力を生じさせる。

    それゆえ、このようながんぎ車は、これらの繰り返される衝撃の間、いかなる塑性変形をも防ぐために高い弾性限度を有する材料からできていなければならない。 そのうえ、がんぎ車の歯がアンクルのパルス面に位置するパルス・フェーズの間、がんぎ車は最大エネルギー量をアンクルに伝達し、その結果アンクルはその最大エネルギー量を平衡に戻すことができる。 したがって、重要なことは、がんぎ車のために使用する材料は、損失を小さく抑え、そして、それゆえ、システムの効率を増大するために、可能な限り高いエネルギー反発要因を有することである。

    したがって、より効率の高いがんぎ車を構成しようと追求する当業者が、古典的な歯車列に関する文献を使用することは推奨されないことが理解されよう。 古典的な歯車列は、所望の特性ががんぎ車に望まれる特性と異なる材料を使用するからである。

    欧州特許第1696153号明細書

    本発明の目的は、形成するのがより容易な、より高効率な脱進機システムの提供を提案することによって、先行技術の欠点を克服することである。

    このことから、本発明は、脱進機システムの少なくとも1つの部分が少なくとも部分的に非晶質な金属合金からできていることを特徴とする、上述の脱進機システムに関する。

    本発明の第1の利点は、脱進機システムが、現在の脱進機に比べより良好なエネルギー反発要因を有するようにできることである。 実際、非晶質金属は、変形中、これらの非晶質材料を形成している原子が、結晶質材料でそうであるように特定な構造に従って配列されないことで特徴づけられる。 それゆえ、結晶質金属のヤング率Eおよび非晶質金属のヤング率Eが実質的に同一であっても、それらの弾性限度σ eは異なっている。 非晶質金属は、このように、結晶質金属のσ eCに比べて2〜3倍という高い弾性限度σ eAによって区別される。 弾性限度σ eは増加させると、σ e /E比率は大きくなり、その結果、応力限度(これを超えると、材料はその初期形状に戻らない)が増加し、とりわけ、蓄積かつ弾性的に回復され得る最大エネルギーは増加する。

    本発明のもう1つの利点は、成形が大変に容易にでき、複雑な形状の部品をより高い精度で作成できることである。 実際、非晶質金属は、各合金に特定な所定の温度範囲[Tg−Tx]で、一定の時間、非晶質を維持しながら軟化する特定の特性を有している(ここで、Tx:結晶化温度、およびTg:ガラス転移温度)。 このように、比較的低い圧応力(pressure stress)で、および非常に低温度で部品を成形することができ、機械加工および引抜加工作業に比べて簡単なプロセスを用いることが可能になる。 鋳造によって成形する場合、このような材料を使用することによって、加えて、細密な形状を高精度で再製作することができる。 その理由は、合金の粘性が温度範囲[Tg−Tx]で温度の関数として著しく減少し、合金はしたがってネガティブ(negative)の隅々までフィットするからである。 ネガティブは、所要の構成部品の輪郭の形を補うような空洞内の輪郭を有する、型を意味すると理解される。 そして、これによって、精密な方法で複雑な設計を形にすることが容易になる。

    この脱進機システムの好都合な実施形態は、従属請求項の主題である。

    第1の好都合な実施形態において、アンクルは、少なくとも部分的に非晶質な金属合金からできている。

    第1の好都合な実施形態の変形において、たとえば、フォークなどのアンクルの部分だけは、少なくとも部分的に非晶質な金属合金からできている。

    第2の好都合な実施形態において、アンクルの爪は、少なくとも部分的に非晶質な金属合金からできている。

    第3の好都合な実施形態において、アンクルの爪およびアンクルは、全く同一の部品からできている。

    もう1つの好都合な実施形態において、がんぎ車は、少なくとも部分的に非晶質な金属合金でできている。

    もう1つの好都合な実施形態において、円板は、少なくとも部分的に非晶質な金属合金でできている。

    もう1つの好都合な実施形態において、脱進機システムの少なくとも1つの部分は、この部分の慣性モーメントを減少させるために凹部を備えている。

    もう1つの好都合な実施形態において、凹部は抜き穴である。

    もう1つの好都合な実施形態において、脱進機システムの少なくとも1つの部分は、この部分の慣性モーメントを減少させるために狭くした領域を備えている。

    もう1つの好都合な実施形態において、前記アンクル、前記がんぎ車、および前記円板は、少なくとも部分的に非晶質な金属合金からできている。

    もう1つの好都合な実施形態において、材料は完全に非晶質である。

    もう1つの好都合な実施形態において、材料は完全に金属である。

    もう1つの好都合な実施形態において、前記金属合金は非磁性である。

    本発明による脱進機システムの目的、利点および特徴は、単に非限定的な実施例として与えられ、添付の図面により示されている、本発明の少なくとも1つの実施形態についての以降の詳細な説明から明らかになるであろう。

    本発明による時計のための脱進機システムを概略的に示している。

    本発明による時計のための脱進機システムを概略的に示している。

    図1および図2は、共振器3、すなわち平衡ばねを有する脱進機システム1を示す。 普通、共振器3は平衡軸に取り付けた円板5の助けを借りて脱進機システム1と協働する。 脱進機システム1は、射出による主要面(図1で見ることが可能)によって形成されるスイス・アンクル7を備える。 スイス・アンクル7は、フォーク11およびアーム13につながっているレバー9によって主に形成してある。 フォーク11は、互いに向き合う2つの部15を備え、角部15の下方では、ガード・ピン17が、平衡軸の前記円板5および前記円板5の下部に取り付けたピンとそれぞれ協働するために取り付けてある。

    2つのアーム13の間で、レバー9はロッド19を受ける。 ロッド19は、ブリッジとムーブメントのボトム・プレートの間でアンクルを回転可能に取り付けることを意図したものである。 最後に、歯25によってがんぎ車23と接触するようになることを意図した爪21を各アーム13に付ける。 例として、爪は人造ルビーから形成し得る。 もちろん、本発明は時計製造における同軸タイプの脱進機のために使用することも可能である。

    本発明によれば、脱進機システム1、すなわち円板5やアンクル7やがんぎ車23の少なくとも1つの部分は、好ましくは、少なくとも部分的に非晶質な金属合金からできている。 この金属合金は、金、プラチナ、パラジウム、レニウム、ルテニウム、ロジウム、銀、イリジウムまたはオスミウムなど貴金属元素を含むことができる。 少なくとも部分的に非晶質な金属合金は、材料が少なくとも部分的に非晶質の形で凝固することが可能であることを意味していると理解される。

    特定の構成において、脱進機システム1の全ての部分が、少なくとも部分的に非晶質な金属合金からできているということは当然理解される。 しかしながら、これらの部分は、別の異なる非晶質材料から作り得る。 そのうえ、金属合金または金属は完全に非晶質であり得る。

    さらに考えられ得るのは、フォーク11などのアンクル7の一部分のみが、たとえば、少なくとも部分的に非晶質な金属合金からできていることである。

    そのうえ、考えられ得るのは、この少なくとも部分的に非晶質な金属合金が非磁性であり、その結果、前記脱進機システム1が外部の磁気干渉に影響されないことである。

    非晶質な金属合金の利点は、変形中、これらの非晶質材料を形成している原子が、結晶質材料でそうであるように特定な構造に従って配列されないことから生じる。 それゆえ、たとえ結晶質金属のヤング率Eおよび非晶質金属のヤング率Eが実質的に同一であっても、それらの弾性限度σ eは異なっている。 非晶質金属は、このように、結晶質金属のσe Cに比べて高い弾性限度σe Aによって、つまり、基本的には2倍に等しい値によって区別される。 このように、より高い弾性限度σ eの意味するところは、非晶質な金属合金または非晶質金属でできている部品は、結晶質金属でできている同じ部品に比べてより高い応力下で塑性的に変形するということである。

    脱進機システム1の損失は、駆動フェーズ中のアンクル7の爪21とがんぎ車23の歯25との間、および円板5のピンとフォークの入口との間の摩擦、ならびに、ドロップ・フェーズ(drop phase)中のアンクル7の爪21とがんぎ車23の歯の間の衝撃と関連がある。

    ドロップ・フェーズ中の、がんぎ車23の歯25とアンクル7の爪21との間の衝撃に関連のある損失は、運動エネルギーに依存する。 脱進機システム1の作動中に蓄積される運動エネルギーは慣性モーメントに依存する。 この慣性モーメントは、質量と回転半径の関数である。 がんぎ車の場合、このがんぎ車23の直径または質量が大きくなればなるほど、前記がんぎ車23の慣性モーメントは増加することになる。 この慣性モーメントの増加によって前記がんぎ車23の運動エネルギーが増加する。 それゆえ、ドロップ・フェーズ中にがんぎ車23の歯25とアンクル7の爪21との間に衝撃が発生したとき、蓄積された運動エネルギーは伝達されることなく消失する。 このように、がんぎ車23の運動エネルギーを減少させることは、これらの損失を減らすための解決策である。 それゆえ、前記がんぎ車23の質量または直径を減少させると、慣性モーメント、それゆえ、前記がんぎ車23の運動エネルギーが減少する。

    それゆえ、このような部品を製造するために使用される材料の重要な特性は、特定の強度を最大化させることであり、この特定の強度とは密度に対する弾性限度の比率によって定義される。 結晶質合金の場合、最大比強度は200〜250MPa*cm 3 /gのオーダーである。 対照的に、非晶質合金の比強度は300〜400MPa*cm 3 /gのオーダーである。

    このように、所与の部品形状および所与の必要な機械的強度のために、同じ基準を満たす結晶質合金の密度より低い密度を有する非晶質合金を使用することが可能である。 結果的に、システムの慣性モーメントは減少させられ、そしてその作動は改良されることになる。

    もう1つの解決策は、材料を、好ましくは、慣性モーメントを最も大きく左右する領域、すなわち、部品の回転軸から最も遠い部分において取り除くことによって部品の質量を減少させることより成る。 たとえば、凹部29(抜き穴かどうかにかかわらず)を形成する、および/または部品の厚さ27を局部的に減少させることが可能である。 結晶質合金に比べて高い機械的強度を有する非晶質合金を、材料の減少を補うために選択する。 非晶質合金の好都合な比強度が与えられるので、非晶質合金の密度は結晶質合金に比べて等しいかまたはわずかに小さく選択でき、結果的にシステム1の慣性モーメントを減少させることになる。

    第3の可能性は、アンクル7やがんぎ車23や円板5などの脱進機システム1の要素の寸法を減ずることである。 現行の寸法に用いられる結晶質合金より高い機械的強度を有する非晶質合金を選ぶことによって、寸法および質量のこの減少は、脱進機システム1の機械的強度にいかなる減少も生じさせない。 しかしながら、非晶質合金の比強度が結晶質合金に比較して高いので、選択された非晶質合金の密度は、標準部品に用いられる結晶質合金に比べて等しいかまたは小さくなり、結果的に慣性モーメントはシステム1の所要スペースと同様に減じられ得るであろう。

    非晶質金属または金属合金でできた脱進機システム1の部分の質量を減らすことが好んで選択される。 これにより、結晶質材料でできた脱進機システム1のためと同じ所要スペースを保持することが可能となり、それゆえ、応力に対してより良好な抵抗を有しながら標準寸法を保持することが可能となる。

    非晶質金属でできているこのような脱進機システムを形成するために、成形に非晶質金属の特性を利用するのは好都合なことである。 実際、非晶質金属では成形が大変に容易にでき、複雑な形状の部品をより高い精度で作成できる。 これは、非晶質金属の特定な特性に起因する。 非晶質金属は、各合金に特有な、所定の温度範囲[Tg−Tx]で、一定の時間に渡って非晶質を維持しながら軟化し得る(たとえば、合金 Zr 41.24 Ti 13.75 Cu 12.5 Ni 10 Be 22.5に対して,Tg=350°CおよびTx=460°C)。 このように、適度な温度で比較的に低応力で部品を成形することができ、したがって熱間成形などの簡単なプロセスを用いることができる。 加えて、このような材料を使用すれば、細密な形状を高精度で再製作することができる。 その理由は、合金の粘性が、温度範囲[Tg−Tx]で温度の関数として著しく減少し、そして、合金はしたがってネガティブの隅々までフィットするからである。 たとえば、プラチナ・ベースの材料の場合、成形は、温度Tgで10 12 Pa. sの粘度ではなくて、1MPaの力で10 3 Pa. sに達する粘度で約300℃で生じる。 型の使用には、三次元で高精度の部品を創出する利点があり、切断加工やプレス打ち抜き加工では不可能である。

    用いた処理は、非晶質予備成形物(amorphous preform)の熱間成形である。 この予備成形物は、炉の中で非晶質合金を形成することを意図する金属元素を溶解させることによって得られる。 一旦これらの要素を溶解させたら、半製品の形で鋳造し、その後、少なくとも部分的に非晶質状態を保持するために急速に冷却する。 一旦予備成形物が作られると、最終的な部品を得るために熱間成形を行う。 この熱間成形は、完全なまたは部分的な非晶質構造を保持するために、ガラス転移温度Tgと結晶化温度Txとの間の温度範囲で、決められた時間の間のプレス成形で実行する。 これは非晶質金属の弾性特性を保持する目的で行う。

    一般的に、合金Zr 41.2 Ti 13.8 Cu 12.5 Ni 10 Be 22.5のために、そして、440°Cの温度については、プレス時間は、約120秒を超えてはならない。 このように、熱間成形によって、少なくとも部分的に非晶質の予備的成形物の初期状態を保持することが可能となる。 それゆえ、脱進機システムの要素の最終成形のための別の異なるステップは以下の通りである:
    a) 脱進機システム1の要素のネガティブ形を有する型を選択された温度まで加熱する。
    b) 熱間型の間に非晶質金属予備成形物を挿入する。
    c) 非晶質金属予備成形物に型の形状を複製するために型に閉じ力を加える。
    d) 選択された最大時間の間待つ。
    e) 型を開ける。
    f) 脱進機システムの要素を、材料が少なくとも部分的に非晶質状態を保持するように、Tg以下まで急速に冷却する。 そして、
    g) 脱進機システム1の要素を型から取り除く。

    成形の容易さ、得られる部品の精密さ、および大変好ましい再製作性の特徴は、厚さおよび凹部を可変的に得るのに大変に有用である。 この成形の容易さはまた、複雑な部品、たとえばピンを有する脱進機システム1の円板5などを簡単に成形するのを可能にする。

    そのうえ、複雑な部品を簡単に成形することができるので、具体的には複雑な設計が行えることになる。 このことは、がんぎ車とアンクルとの間の協働を改良するために、がんぎ車の歯の成形およびアンクルの成形にとっても興味深いところである。

    当業者にとって自明な、様々な変更および/または改良および/または組み合わせが、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の枠組みから逸脱することなく、上記の発明の種々の実施形態に対して適用され得ることが理解されるであろう。

    もちろん、脱進機システムの要素は、鋳造によって、または、射出によって形成され得ることは理解されよう。 このプロセスは、金属元素を溶解させることによって得られる合金を、最終部品の形状を有する型の中で鋳造することから成る。 一旦型が満たされると、合金の結晶化を防止し、したがって、非晶質または部分的に非晶質の金属でできているシステム1を得るためにTgより低い温度まで急速に冷却する。

    もちろん、アンクル7の爪21は、非晶質金属または合金からできていることがさらに考えられ得る。 これらの爪21は、前記アンクル付きの1つの部品としてのみ作る、または、アンクル7の製作後に成形することができる。 そして、爪21およびアンクル7は、互いに異なる非晶質金属または合金からできていると考え得る。

    1 脱進システム、システム 3 共振器 5 円板 7 スイス・アンクル、アンクル 9 レバー、柄部 11 フォーク 13 アーム 15 角部 17 ガード・ピン 19 ロッド 21 爪 23 がんぎ車 25 歯 27 厚さ、狭くしてある領域 29 凹部

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