電気時計の計時機構

申请号 JP2002541459 申请日 2001-09-28 公开(公告)号 JPWO2002039197A1 公开(公告)日 2004-03-18
申请人 シチズン時計株式会社; 发明人 諸川 滋; 岩倉 良樹; 野崎 孝明; 矢野 敬和; 福田 正己; 坂本 和男;
摘要 正進回転及び逆進回転ができる1つのモータと、該モータによって駆動され、分岐機構によって分岐される複数の輪列を有し、前記モータの正進回転で一方の輪列を駆動して機械的表示を行わせ、逆進回転で他方の輪列を駆動して別の機械的表示を行わせる、電気時計の計時機構。前記計時機構は、分岐機構に加えて合流機構を有し、分岐機構によって分岐され合流機構によって合流する複数の輪列を有し、モータの正進回転で一方の輪列を駆動して機械的表示を行わせ、逆進回転で他方の輪列を駆動して別の機械的表示を行わせる。
权利要求
  • 正進回転及び逆進回転ができる1つのモータと、該モータによって駆動され、分岐機構によって分岐される複数の輪列を有し、前記モータの正進回転で分岐された一方の輪列を駆動して機械的表示を行い、逆進回転で分岐された他方の輪列を駆動して別の機械的表示を行う、電気時計の計時機構。
  • 前記輪列の数は2であり、前記モータを正進回転させて一方の輪列で秒針を駆動し、前記モータを逆進回転させて他方の輪列で分針・時針を駆動する、請求項1に記載の電気時計の計時機構。
  • 節電動作時は、前記モータを逆進回転のみさせて他方の輪列で分針・時針のみ駆動する、請求項2に記載の電気時計の計時機構。
  • 前記モータを正進回転させて一方の輪列で分針・時針を駆動し、前記モータを逆進回転させて他方の輪列でカレンダー又はアラームを駆動する、請求項2に記載の電気時計の計時機構。
  • 前記モータを正進回転させて一方の輪列で分針・時針を駆動し、前記モータを逆進回転させて他方の輪列で電池の残存容量を表示する、請求項2に記載の電気時計の計時機構。
  • 前記モータを正進回転させて一方の輪列で分針・時針を駆動し、前記モータを逆進回転させて他方の輪列で周囲の温度、湿度、一酸化炭素濃度、又は二酸化炭素濃度のいずれか1つを表示する、請求項2に記載の電気時計の計時機構。
  • 前記モータを正進回転させて一方の輪列で分針・時針を駆動し、前記モータを逆進回転させて他方の輪列で被曝量の累積値又は万歩計の累積数字を表示する、請求項2に記載の電気時計の計時機構。
  • 正進回転及び逆進回転ができる1つのモータと、分岐機構と合流機構を有し、該モータによって駆動され、該分岐機構によって分岐され該合流機構によって合流する複数の輪列を有し、前記モータの正進回転で分岐された一方の輪列を駆動して機械的表示を行い、逆進回転で分岐された他方の輪列を駆動して別の機械的表示を行う、電気時計の計時機構。
  • 前記輪列の数は2であり、前記分岐機構と合流機構の間には、前記モータの正進駆動によって駆動される一方の輪列と、前記モータの逆進駆動によって駆動される他方の輪列を有し、一方の輪列の駆動によって秒針、分針、時針を駆動し、他方の輪列の駆動によって分針、時針を駆動する、請求項8に記載の電気時計の計時機構。
  • 前記一方の輪列は高減速比輪列であり、前記他方の輪列は低減速比輪列である、請求項8に記載の電気時計の計時機構。
  • 前記合流機構の動作は分針を取り付けた減速輪列、及び時針を取り付けた減速輪列に順次伝達される、請求項8に記載の電気時計の計時機構。
  • 前記分岐機構と合流機構の間には、前記モータの正進駆動によって駆動される一方の輪列と、前記モータの逆進駆動によって駆動される他方の輪列を有し、一方の輪列の駆動によって分針、時針を駆動し、他方の輪列の駆動によってカレンダーを駆動する、請求項8に記載の電気時計の計時機構。
  • 計時単位信号発生器から出力される信号に基づき時刻を計時する電気計時器(ETK)、1つの電気機械変換器(MK)によって駆動される複数の輪列(GW1、GW2、…GWn)によって時刻を計時する機械計時器(MMK)を有し、前記電気計時器の保持時刻(Tek)と前記機械計時器の保持時刻(Tmt)を同期させる機構を有する、電気時計の計時機構。
  • 前記電気機械変換器(MK)は、正進回転及び逆進回転ができるモータを有し、前記複数の輪列(GW1、GW2、・・・GWn)は分岐機構により分岐され、前記モータの正進回転で分岐された一方の輪列が駆動され機械的表示を行い、逆進回転で分岐された他方の輪列が駆動され別の機械的表示を行う、請求項13に記載の電気時計の計時機構。
  • 前記輪列の数は2であり、前記モータを正進回転させて一方の輪列で秒針を駆動し、前記モータを逆進回転させて他方の輪列で分針・時針を駆動する、請求項14に記載の電気時計の計時機構。
  • 節電動作時は、前記モータを逆進回転のみさせて他方の輪列で分針・時針のみ駆動させる、請求項15に記載の電気時計の計時機構。
  • 前記電気時計の計時機構は、電池と環境からエネルギーを採取する手段を有し、該電池が満充電の状態であるときには、分針・時針の駆動に加えて秒針を駆動する、請求項15に記載の電気時計の計時機構。
  • 前記電気時計の計時機構は、電池と環境からエネルギーを採取する手段を有し、該電池が中充電の状態にあるときには、周囲が所定の明るさを有するときのみ、分針・時針の駆動に加えて秒針を駆動する、請求項15に記載の電気時計の計時機構。
  • 前記電気時計の計時機構は、電池と環境からエネルギーを採取する手段を有し、該電池の残存電荷量が乏しい状態であると判定されたとき、分針・時針のみを駆動し、該駆動に用いるエネルギー以外のエネルギーを電池に充電する、請求項15に記載の電気時計の計時機構。
  • 前記電気時計の計時機構は、電池と環境からエネルギーを採取する手段を有し、該電池の残存電荷量が枯渇状態であると判定されたとき、機械計時器を停止し、電気計時器のみを駆動して時刻を計時する、請求項15に記載の電気時計の計時機構。
  • 前記電気機械変換器(MK)は、正進回転及び逆進回転ができるモータを有し、前記複数の輪列(GW1、GW2、・・・GWn)は分岐機構により分岐され、合流機構によって合流され、前記モータの正進回転で分岐された一方の輪列を駆動して機械的表示を行い、逆進回転で分岐された他方の輪列を駆動して別の機械的表示を行う、請求項13に記載の電気時計の計時機構。
  • 前記輪列の数は2であり、前記分岐機構と合流機構の間には、前記モータの正進駆動によって駆動される一方の輪列と、前記モータの逆進駆動によって駆動される他方の輪列を有し、一方の輪列の駆動によって秒針、分針、時針が駆動され、他方の輪列の駆動によって分針、時針が駆動される、請求項21に記載の電気時計の計時機構。
  • 前記一方の輪列は高減速比輪列であり、前記他方の輪列は低減速比輪列である、請求項22に記載の電気時計の計時機構。
  • 前記合流機構の動作は分針を取り付けた減速輪列、及び時針を取り付けた減速輪列に順次伝達される、請求項22に記載の電気時計の計時機構。
  • 前記分岐機構と合流機構な間には、前記モータの正進駆動によって駆動される一方の輪列と、前記モータの逆進駆動によって駆動される他方の輪列を有し、一方の輪列の駆動によって分針、時針が駆動され、他方の輪列の駆動によってカレンダー又はアラームを駆動する、請求項22に記載の電気時計の計時機構。
  • 说明书全文

    技術分野本発明は、正進と逆進が可能なモータを用い、1つのモータで複数の輪列に異なる動作を行わせることができる電気時計の計時機構に関する。
    背景技術銀電池あるいはリチウム電池の如き1次電池を保有する電池式腕時計が製造販売されている。 ゼンマイを巻かずに1〜3年正確に時刻を刻む晶腕時計は、携帯の簡便さと安価な価格のために広く普及した。 しかし、国によっては時計用電池の販売場所が限定され、電池の価格及び交換手数料も高価である。 そのため、電池消耗時には電池交換ができず、時計は停止したままとなってしまう。 また、消耗電池の廃棄は貴重な金属資源の廃棄、あるいは有毒水銀の廃棄につながり、地球環境上有害である。 使用済み電池の回収は、多大なコストを要し、時計製造側、時計使用者側、ごみ処理をする自治体側にとっても解決を要する課題である。
    周囲環境からエネルギーを採集して貯蔵し時刻保持動作をする時計は、上記問題を解決する有な方法の1つである。 しかし、小型2次電池の場合、満充電状態でも時計は数個月の動作寿命しかない。 従って、1年以上の動作寿命を実現するためには、大きな電池を用いて分厚い腕時計とするか、消費電力を低くするため秒針なしの時計にする必要がある。 従って、低消費電力の電気時計の機構を実現することは、1次電池採用の電気時計においても、2次電池採用の電気時計においても、重要な要請事項である。
    節電動作のために、指針表示を停止して電気計数回路でのみ時刻保持を行い、その後に充電された状態で時刻表示の指針を駆動する方式を採用した時計が発売されているが、充分な充電がなされるまでの間は不正確な時刻表示を行うことになり、常時正確な時刻を表示するというユーザの要求には応えられなかった。
    秒針を駆動する輪列と、時針・分針・カレンダー等を駆動する輪列の複数の輪列を備え、貯蔵エネルギーが不足した場合は秒針駆動輪列のみ停止させる機構も考えられる。 しかし、2つのモータを用いるため大型化し、重量増となる。 それによりコスト増となって高価な時計となってしまう。 従って、小型薄型で安価な実用時計の機構に適用することは困難であった。
    従って、本発明は、2モータ複数輪列で実現する機構を、1つのモータで実現することである。 1モータ複数輪列とすることで、体積増、重量増、コスト増を避けることができ、かつ充電量に応じた節電動作を行うことができる。
    発明の開示本発明の電気時計の計時機構によれば、正進回転及び逆進回転できる1つのモータと、モータによって駆動され、分岐機構によって分岐される複数の輪列を有し、モータの正進回転で一方の輪列を駆動して機械的表示を行わせ、逆進回転で他方の輪列を駆動して別の機械的表示を行わせる。
    また、前記計時機構の発展形の機構によれば、分岐機構に加えて合流機構を有し、分岐機構によって分岐された合流機構によって合流する複数の輪列を有し、モータの正進回転で一方の輪列を駆動して機械的表示を行わせ、逆進回転で他方の輪列を駆動して別の機械的表示を行わせる。
    発明の詳細な説明〔実施例1〕
    図1は、本発明による分岐機構を有する複数輪列構成の概要を示した図である。 図1において、102は電気機械変換器であるモータの駆動回路機構である。 106はモータの駆動コイルである。 108はモータのヨークである。 110は回転するロータであり、強力な磁石で作られている。 112はロータ軸に同軸で形成されたカナ歯車である。 116はカナ歯車112に噛み合う歯車であり、114は歯車116に同軸で固定されているカナ歯車である。 120はカナ歯車114に噛み合う秒針歯車であり、秒針118の軸に固定されている。 ロータ110が1秒毎に180度廻るとき、秒針歯車120は6度同方向に廻る。 126は秒歯車120に噛み合う歯車であり、この歯車は同軸の歯車128とは滑り噛み合い機構(図2参照)を介して結合されている。 通常の秒針駆動の場合、歯車120が右廻りに廻るが、これに噛み合う歯車126は左廻りに回転する。 しかし、歯車128はラチェット機構のために滑って動かない。 一方、秒針が左に廻る時は、歯車128は滑らずに右廻りに回転し、これに噛み合う歯車124を介して分針130が固定された分針歯車122を右廻りに回転させる。 なお、時針は分針歯車により駆動される。
    図2は、上記ラチェット滑り機構を示した図である。 図2において、214は地板の一部を示し、歯車126の軸216にリング状の歯車128が挿入されている。 歯車126は秒針歯車120に連結され、歯車128は分針歯車122に歯車124を介して連結されている。 リング状歯車128は押さえバネ212により歯車126に押しつけられており、歯車128と126は、一方向に回転するときは噛み合って回転し、逆方向に回転するときには滑りによって連結が解除される。 歯車128と126の押圧連結噛み合い部分は、図2に示す如く、三形状スロープを有する歯形が形成されている。 分針歯車122が軽い摩擦力で止まっているとすると、モータのロータ110が正進回転し、秒針歯車120が正進回転動作したとき分針歯車122は動かず、モータのロータ110が逆転回転し、秒針歯車120が逆進回転動作したときのみ分針歯車122が駆動される。
    上記のように、秒針歯車120と、これに噛み合う歯車126、及び歯車126とラチエット機構を介して連結されている歯車128とで輪列の分岐機構が構成されている。 そして、輪列の分岐はモータの回転方向を切り替えることによって行われる。 モータの回転方向は、図3−図5を参照して以下に記載するように、駆動電圧波形によって切り替えることができる。
    図3は時計に用いられているパルスモータの駆動電圧波形の例を示す。 図3において、横軸は時間、縦軸はモータ駆動電圧である。 図3(a)は正進駆動の波形を示す。 正進駆動では正極パルスと負極パルスが交互にモータのコイルに印加される。 駆動パルスの時間幅は1msec〜3msecである。 電圧の大きさは1.5V〜3Vである。
    図3(b)は逆進駆動の波形を示す。 逆進駆動の原理は、パルスモータにおいて、電圧印加により駆動開始時の安定点が不安定平衡点に変わり、正逆いずれかの安定角度位置に向かって回転する性質を利用している。 モータは初期設定によって正逆いずれの方向にでも回転する。 従って、通常のパルスモータに、正常に正進駆動するのに十分でない短時間のパルスを印加すると、ロータが少し正進方向に回るが、回転力不足のために逆戻りする。 その逆戻りの途中に駆動パルスを印加すると、モータは反対方向の安定位置に向かって回転する。 このような原理を用いて通常の時計用パルスモータを正逆運転することは、複雑時計では日常的に実施されている。
    図3(a)に示す通常の駆動パルスp1〜p4を印加すると、各パルスに対応してモータが各々1秒分回転する。 一方、図3(b)の波形を印加すると、pp1パルスで予備駆動され、pf1パルスで逆方向に1秒分回転する。 パルス対pp1−pf1〜pp3−pf3の駆動により3秒分逆向きに回転する。
    図4は、節電のために従来考えられていた2つのモータと2つの輪列を備えた時計のシステムを駆動する場合の従来の駆動波形を示しており、通常の動作時と節電動作時の駆動波形を比較して示したものである。
    図4(a)は秒針駆動モータに印加される通常動作の駆動波形であり、図4(b)は分針駆動モータに印加される駆動波形である。 図4(c)は秒針駆動モータに印加される節電動作時の駆動波形であり、図4(d)は分針駆動モータの節電動作時に印加される駆動波形である。
    節電動作時に秒針駆動は停止するが、分針・時針駆動は停止しない。 従って通常動作時は主に秒針駆動で大部分の電力が消費される。
    図5は、本発明による1モータ2輪列の時計機構において、モータの駆動回路が出力する駆動波形を、通常動作時と節電動作時とを比較して示す。 図5(a)は通常動作時の駆動波形を示し、駆動パルスps1、ps2、・・・で秒針を駆動しつつ、60秒に1回の割合で逆進パルスpm2を挿入して分針を駆動する。 また、パルスpm2による分針駆動時に生じる秒針の逆進駆動を補正するため、補正用の正進駆動パルスpcを逆進駆動パルスpm2の直後に挿入し、見かけ上秒針が狂わないようにする。 図5(b)は節電駆動時の駆動波形を示し、分針駆動のための逆進駆動のみを行う。 この時秒針は60秒に一回「ぴくつく」以外は停止している。
    このように、通常動作時にはモータの正進回転で秒針を駆動すると共に、モータの逆進回転を挿入して分針・時針を駆動させ、節電動作時にはモータを正逆回転させて秒針を移動せず、分針・時針のみ駆動させることができる。
    図2に示する如き、一方向回転のみ許す滑り回転機構の導入により、1つのモータを用いて、正進回転で一つの輪列を動作させて機械的表示を行わせ、逆進回転では別の輪列を動作させて別の機械的表示を行うことができる。 即ち、正進と逆進が可能なモータにより駆動される2つの輪列機構に、正進と逆進とで異なった動作をさせることによって、時計機構を多様に駆動させることができる。 なお、図2の実施例ではラチエットを用いているが、一方向回転機構であれば他の構成を用いてもよい。
    なお、本発明において正進回転及び逆進回転は、特定の回転方向を指すものではなく、単に一方の回転方向と該回転方向に対して反対の回転方向を指すものである。 後述の実施例においても同様である。
    図2の機構において、通常状態では秒針、分針,時針を動作させ、節電動作時には秒針を止め、分針、時針のみを動作させるようにすることができる。 こののように、節電動作させることにより、平均電力消費量を10分の1に低減することができる。 逆に、環境採集エネルギーで動作する低電力動作の時計において、通常動作時には秒針を止め、分針・時針を動作させ、採取エネルギーを十分有する場合に、分針・時針に加えて秒針を動かすようにすることができる。
    また、正進回転により駆動される輪列で時針・分針を駆動して時刻表示を行い、逆進回転により駆動される輪列で日付け表示板を駆動してカレンダーを駆動することができる。 また、正進回転により駆動される輪列で時針・分針を駆動して時刻表示を行い、逆進回転により駆動される輪列で設定された時刻にアラーム駆動することができる。 上記機構を用いた表示の例として、カレンダーやアラームの他に、電池の残存容量、周囲の温度、湿度、周囲の危険な一酸化炭素濃度、二酸化炭素濃度、及び加速度など、時計で表示することが期待される情報を表示することができる。 この場合は、それぞれセンサを設け、センサからの情報の基づいて輪列を駆動し、これらの情報を表示する。
    上記実施例1の計時機構では、モータの逆回転のみで駆動される時針・分針輪列と、モータの正逆の両回転によって動作し、正進回転によって駆動される秒針輪列を備えている。 実施例1では輪列の数を2とした。 しかし、2以上の複数の輪列を設け、モータによってこれら複数の輪列を駆動することができる。
    例えば、異なる減速比aとbを有する歯車AとBを上記秒針輪列に連結し、歯車Aに指針Ha、歯車Bに指針Hbを設けた場合を考える。 秒針は60秒分正進(即ち、360度回転)すると元の位置に戻る。 一方、指針Haはこの間に{360/a}度回転し、指針Hbはこの間に{360/b}度回転する。 しかし、分針・時針の輪列は影響を受けない。 秒針を{60・R}秒分正進させると、指針Haは{360・R/a}度進み、指針Hbは{360・R/b}度進む。 指針HaとHbの正進角度が360度を超えると見かけ上元の位置に戻ることを利用すると、R、及びaとbの値を選択することによって、指針HaとHbの位置を別々に設定することができる。 それによって、秒針輪列を駆動し、秒針による秒表示に加え、指針HaとHbを用いて他の情報を表示することができる。 同様に、分針・時針輪列にも異なる減速比を有する複数の歯車を設け、他の情報を表示することができる。
    上記構成を後述する実施例2の構成にも適用することができる。
    図6は、図1及び図2に示した2輪列を含む、本発明による計時機構の実施例をブロック図で示したものである。 図6に示した時計システムの構成において、通常時は秒針、分針、時針を動作させ(通常駆動モード)、電力不足時は秒針を止め、分針、時針のみを動作させる(節電駆動モード)ことができる。 また、通常時は分針,時針のみを動作させ、電力が豊富な時は秒針,分針、時針を動作させることができる。
    なお、図示されていないが、図6に示された時計システムは、電源として2次電池等の電池の他に、光発電素子、熱発電素子、加速度発電素子等、周囲の環境からエネルギーを採取する素子を備え、採取されたエネルギーを時計システムの駆動に用い、あるいは電池に充電する。
    図6において、302は水晶発振器を含む時間基準信号発生器(以下、「Q−OSC」と記す。)である。 Q−OSCは、例えばC/MOS増幅回路の出力で水晶振動子とコンデンサからなる水晶共振回路を駆動し、増幅回路の入力端子に該水晶共振回路の一端を接続し、高増幅率の正帰還回路を構成して水晶振動子を発振させる公知の水晶発振回路で構成される。 高安定の水晶振動子を用いるため固有振動数は安定しており、発振信号周波数は安定している。 Q−OSCの発振周期は、時間を計る刻みの基準に用いられる。 最も数多く製造されている32768Hz(=2の15乗Hz)の水晶振動子を用いると、発振周期は{1/32768}秒≒32μsecであり、これを時計の時間基準に用いる。 4MHzの水晶振動子を用いる場合、周期が250nsecとなり、時間基準は250ナノ秒となる。 304は分周回路を有し、Q−OSCが出力する時間基準信号から時計の刻みとなる基準の計時単位時間を生成する計時単位信号発生器(以下、「f−div」と記す。)である。 f−divとして、例えば、入力信号パルスを計数し、最大計数値{N−1}に至ると桁上げの信号を出力し、再び0から計数を行う計数回路を用いる。 その結果、計数回路出力の周波数は入力信号周波数の1/Nになり、周期はN倍される。 水晶発振回路が32768Hz、即ち2の15乗Hzの時間基準信号を、15段従属接続のフリップフロップ計数回路で分周すると1Hzが得られ、得られた正確な1秒を時計の計時の計時単位信号として用いる。 4MHzの水晶振動子の場合は、4000000の計数回路を用いる。 通常の時計の秒針はこの1Hzに同期し、1秒毎に駆動モータが間欠駆動される。 306は計数回路で前記計時単位時間信号を計数することにより、時計の時刻を計時する電気計時器(以下、「ETK」と記す。)である。 328は電気機械変換器314(以下、「MT」と記す。)と減速輪列316、320(以下、それぞれ「GW1」、「GW2」と記す。)を含む機械計時器328(以下、「MMK」と記す)である。 MTは、図1のコイル106、ヨーク108、ロータ110、カナ歯車112を有する。 電気機械変換器MTが備えるモータは、駆動回路326(以下、「DRV」と記す。)から供給される電気エネルギーを回転の機械エネルギーに変換する。 通常はステップモータが用いられるが、圧電体の電歪効果を利用した圧電モータを用いてもよい。 モータの駆動を指令する信号が与えられると、駆動回路DRVはMTが備えるモータを駆動するに適した波形の駆動パルス電圧を低い出力インピーダンスで出力する。 モータの回転方向の切り替えはDRVによって行われる。 また、モータの正進と逆進の駆動の切り替えは、先に述べたように、駆動回路から異なった波形を出力することによって行うことができる。 310は機械計時器MMKと並列運転される電気計数回路を有する電気式機械時刻保持計時器(以下、「MTK」と記す。)である。 ETKとMTKは、共に電気計数回路を有し、特に初期計数値設定機能付きの計数回路を有している。 計時単位信号発生器f−divに含まれる「分周用の計数回路」と、ETKおよびMTKに含まれる「計時用の計数回路」との相違点は、後者が計数回路にリセットもしくはセット機能あるいは初期値設定機能を備え、外部操作手段により計数の初期値の設定が可能であるのに対し、前者は初期計数値の設定を行わないことである。 MTKと同期運転されるMMKは、図6に示すように電気機械変換器MTと減速輪列GW1とGW2を含み、破線で囲まれたブロック328として示されている。 図1の歯車116とカナ歯車114は、MTから計時機構までの伝達路で、図3のMTとGW1を結ぶ線に相当する。 GW1は図1の歯車120に相当し、GW2は歯車126,128,124,122に相当する。 また、秒針SEKと分針MHは、図1の118と130にそれぞれ相当する。 MTKは、常にMMKと並列運転されていて、MMKの保持時刻と同期している。 MMKの保持する機械計時時刻を読み取る必要のある場合、代わりにMTKの時刻を読み取ってMMKの時刻と見なすことができる。 このような構成とする理由は、機械計時時刻を正確に電気的に読み取ることが必ずしも容易でないためである。 GW1は秒針の輪列を示し、秒針318(以下、「SEK」と記す。)を駆動する。 GW2は分・時の輪列を示し、分針・時針324(以下、「MH」と記す。)を駆動して時刻を表示する。 322は時刻設定のための外部操作部材(以下、「SET」と記す。)であり、時刻の入力や調整、あるいは電気計時機構と機械計時機構の時刻の同期をとる場合に用いる。
    なお、図6に示したブロック図では、輪列の数は2となっている(GW1、GW2)。 しかし、先に述べたように、2以上の複数の輪列(GW1、GW2、・・・GWn)を設けることもできる。
    本構成において、時刻計時動作は、まず電気計時器ETKで行われ、更にこれと並行して機械計時器MMKでも行われる。 図6の構成において、秒針の輪列GW1は、分・時針の輪列GW2に接続されていない。 従って、秒針を任意の位置に停止し、又は緊急駆動しても、分・時の計時機構に誤差は生じない。 そのため、通常は秒針を用いて、制御回路機構312に保存されている情報を表示することができる。
    例えば、使用者が電源電池の電圧(例えば、1.5V)を表示させたい場合、押しボタンを押す。 そのとき秒針が7秒の位置にあるとすると、まず(60−7)秒、即ち、53秒だけ早送りされて秒針は0秒の位置まで駆動される。 次に、電源電圧の値が電圧1.5Vであることを表示するため、0秒の位置にある秒針が駆動される。 しかし、視認し易くするため1.5を10倍して15とし、秒針は15秒だけ早送りされて15秒の位置で停止し、電源電圧の値を秒針の位置で表示する。 押しボタンの押圧を止めると、秒針は(60−15)秒、即ち、45秒だけ早送りされて0秒の位置まで駆動される。 その後、さらに電気計時器ETKが保持している正確な時刻の位置にくるまで秒針が早送りされる。
    このような手順で、秒針を用いて任意の数値を表示することができる。 また、いつでも正しい秒位置に復帰させることができる。 電源電荷蓄積量が乏しくなった場合は、秒針が0秒位置に来たときに駆動を停止し、モータを間欠逆進駆動して{分・時}の輪列GW2のみを継続的して駆動する。 また、電源電力が回復した時、又は使用者が秒表示を指示した時は、電気計時器ETKの0秒位置に同期した通常の秒、分、時駆動に復帰させることにより、平均消費電力を通常の秒駆動に対して10分の1にすることができる。
    電気計時器ETKで計時され保持されている時刻(保持時刻)をTek、機械計時器MMKで計時され保持されている時刻(保持時刻)をTmt、及び機械計時器MMKと同期運転されている電気式機械時刻保持計時器MTKに電気的に保持されている時刻をTmtkとすると、
    Tmt=Tmtk
    が常に成立しているものとして取扱うことができる。 これら時刻間を同期化するためには種々の手法を採用できるが、最も製造上の負荷が少ない手法は、秒針が正分位置(=0秒)に来た時に竜頭を1段引いて時計を止め、電気計時器ETKの秒計数回路をリセットして秒レベルの同期化を行う。 竜頭とは別に秒リセットボタンを備えた時計では、竜頭を1段引いた位置で秒リセットボタン押して電気計数回路の秒桁を0秒に同期させ、次に竜頭を2段引いた位置で10秒以上秒リセットボタン押し、電気計時器ETKの時・分時刻を0に設定することができる。
    308はデータ比較回路であって、ETKが保持している電気計時時刻Tekと、MTKが保持している機械計時時刻Tmtkとを比較する。 Tmt=Tmtkとなるようにしておけば、通常時は比較器308の出力から電気計時時刻Tekと機械計時時刻Tmtの関係が判る。 大小判定回路を併設しておくと、節電のために機械計時時刻Tmtを停止させた後で、電気計時時刻Tekを基準として機械計時時刻を正確に復元出来る。 電気計時器ETKの時刻保持に要する電流は1nA以下であり、2次電池が消耗した状態でも、水晶発振回路で発振動作が維持できれば、ほとんど電力消費なしに時刻を維持することができる。 精密に設計を行えば、水晶発振回路の消費電力を数nWに抑えることができるので、電気計時器ETKは無停止と考えることができる。
    312は実施例1における本発明の計時機構を制御する制御部であって、上記の各計数回路の値、電池電圧、及び周囲環境データに対応して、通常動作又は節電動作を選択切替し、時計の時刻保持を安定かつ正確に制御する。 また、機械計時時刻と電気計時時刻を同期させ、さらに変換機の誤動作累積値の補正を行う。
    本発明による正回転及び逆回転による動作の相違を利用した節電時計の節電動作の説明を行う。 まず、時刻計時の電力は、最も安全性の高い2次電池で優先的に供給する。 本発明によれば、消費電力は従来の腕時計の平均電力の10分の1に減少できるため、従来電力が不足と考えられていたスーパーキャパシタを蓄電素子として利用した環境エネルギー採取時計にも利用できる。 小さなリチウム2次電池とスーパーキャパシタを並列使用すると、急に時計が停止するようなことが生じない時計機構を実現できる。 スーパーキャパシタでは、残存容量と出力電圧が比例する利点がある。
    以下、電池の充電状態に応じた本発明による動作を説明する。 この動作は後述する実施例2の構成にも適用できる。
    A)満充電状態の動作:満充電状態であるから、光発電素子、熱発電素子、及び加速度発電素子が周囲環境から採取したエネルギーは全て無駄に捨てられる。 従って、このような状況では秒針駆動を行い、捨てられるエネルギーを有効活用する。
    B)中充電状態:周囲が所定の明るさである場合のみ秒針を駆動し、それ以外の場合は秒針を駆動しない。 時計装着者が時刻を見るのは時計文字盤を読み取る明るさがある時であり、所定の明るさとはこのような明るさに相当する。 この場合は他の表示の駆動に加えて秒針を駆動し、正確な秒表示を行う。 しかし、時計が腕の袖の下に隠れると秒針は停止する。 周囲環境が非常に明るいか否かは、センサとしての光発電素子が判断する。 非常に明るいと判断すると、
    Tmt→ Tmtk
    となるように電気式機械時刻保持計時器MTKと機械計時器MMKの秒針を早送りして同期させ、その後秒針の駆動を持続する。
    C)2次電池残存電荷量が乏しい時の動作:モータ駆動用電力が乏しい状態であると判定された場合(2次電池電圧が所定値以下に低下した時)には、秒針を停止させ、採取エネルギーのうち、分針・時針駆動以外に用いるエネルギーは全て2次電池に充電される。
    D)2次電池枯渇時の動作:電池が枯渇状態であると判断されたとき、例えば残存電荷量が0に近いときには、機械計時器を停止し(時針・分針も停止)、水晶発振器を含む電気計時器のみ駆動して時刻を保持する。
    以上説明した如く、本発明の構成によれば、秒針を見る必要のない場合には、秒針の駆動を停止して多くの電力を消費する機械系の駆動に用いられる動的エネルギーを節約できる。 これにより、太陽電池充電式水晶時計や、熱発電腕時計の消費電力を10分の1にできる。 現状の水晶腕時計では、電池電圧が1.2V〜3Vであり、水晶振動子発振回路の消費電流が20〜30nAであり、2次電池充電容量が数mAhであり、秒針駆動電流が平均で0.5μAである。 従って、従来満充電で1個月〜2個月しか連続動作出来なかった時計が、光に当てることもなく1年〜2年の連続動作ができるようになる。 これによって、ユーザは時計がエネルギー不足で時計が停止する心配が無くなり、表示時刻の信頼性が著しく高まる。
    分針・時針以外の駆動でカレンダーを送る場合は力を要するので、比較的大きな減速の輪列が必要になる。 しかし、秒針表示と異なり、ぴくつき動作が見えなくなるので都合が良い。 アラーム駆動以外にも、頻度の少ない情報表示では、常時リフレッシュした表示の必要がなくなるので、美しい機械式時計の表示を保ったまま時刻以外の各種情報を表示でき、利用価値が高まる。 累積情報の表示の例として、腕時計内部に放射能センサを備えて置くと、ゆっくりとした被曝量の累積値の増加の様子が時計上に表示されるので、使用者に常時注意を促すことができる。 日常的な運動量の管理をするため、万歩計の累積数字をアナログ的に指針で表示することができる。 血圧センサあるいは血糖値センサを組み合わせて、日常管理すべき健康情報を選択的に常時表示させることもできる。
    時計が環境から採取するエネルギーとして、光、加速度、温度差、手動ゼンマイ巻き上げを用いることができる。 加速度に関しては並進加速度と回転加速度がある。 加速度は腕時計内部に設けた錘を介して電磁発電あるいは圧電発電し、蓄電することができる。 手動ゼンマイ巻き上げのエネルギーは、電磁あるいは圧電発電機を介して蓄電素子に蓄積することができる。 光エネルギーは、可視光に対して数段直列接続のシリコンソーラーセルあるいは硫化カドミウムソーラセルにより約6Vの電圧で効率よく電気エネルギーに変換することができる。 数千段の多段ペルチェ素子により、温度差0.5℃で0.5〜2V程度の電圧が得られる。 蓄電素子ではスーパーキャパシタあるいはリチウム2次電池が信頼性の高い蓄電素子として利用できる。 スーパーキャパシタは充電電荷に比例した端子電圧を示すので、蓄電電力が端子電圧の形で正確に推定できる。 リチウム2次電池はスーパーキャパシタより1桁多い体積容量の電力を蓄積ができるが、蓄積電力量と端子電圧は線形の関係にない。 しかし、2次電池端子電圧がおよその電力消耗状態を示すので、電圧から電源残存電力を推定し、節電モードに移行することができる。 例えば、2V以上の場合、電力が豊富な状態と判定できるので、秒針駆動モードにする。 1.1V以下では秒針駆動を停止する。 1V以下では電気計時器のみ駆動し、分針、時針の駆動も停止するスリープモードに移行する。 充電電力が充分になった場合には機械時刻保持計時器の時刻表示に復帰させることができる。
    〔実施例2〕
    図7は本発明による時計輪列の伝達経路を示すブロック図であり、本発明による分岐及び合流機構の概要を示したものである。 図7の構成の特徴は、時計の機械輪列の秒・分・時・日の伝達経路において、輪列の分岐機構と合流機構を設けたことである。 本発明において、輪列は異なる減速比を有する2つの伝達経路を有し、これを随時切替えることにより、時刻保持のための輪列の動作を複数の方法で制御することができる。 例えば、秒針・分針・時針を駆動する「通常駆動モード」と、分針・時針のみを駆動する「節電駆動モード」を設ける。 通常駆動モードと節電駆動モードを切替えるためには、モータの回転方向を切り替えることにより行う。 モータ回転方向は、図3−図5を参照して説明したように駆動電圧波形によって切替えることができる。 これにより、輪列伝達経路を自在に切り替えることができる。
    図7に示した輪列伝達経路は、以下の2つの経路を有している。 1つは、通常の伝達経路(通常駆動モード)であり、
    {モータ回転子}→減速→秒針歯車→分針歯車→時針歯車…
    の順に回転角情報が輪列により伝達される。 もう1つは、短縮された伝達経路(節電駆動モード)であり、
    {モータ回転子}→減速→分針歯車→時針歯車…
    の順に回転角情報が輪列により伝達される。
    実施例2の場合は、分岐機構に加えて合流機構が設けられている。 合流機構を設けることにより、通常動作時にはモータの正進駆動によって秒針が駆動され、さらに秒針駆動によって分針・時針も駆動されて時刻保持がなされるので、モータの逆進駆動によって分針を駆動する必要がない。 従って、秒針が「ぴくつき」動作をすることがない。 一方、節電動作時には、モータの逆進駆動により分針・時針のみが駆動される。
    実施例1で示したような、合流機構を設けていない計時機構の場合、通常動作時においては、秒針を一定の頻度、例えば60秒に1回の頻度で一瞬の逆進動作をさせる必要がある。 そのため、秒針が逆進動作のたびに「ぴくつき」動作をする。 一方、節電動作時には、モータの逆進駆動によって分針・時針が駆動され、秒針は正進駆動されないが、一定の頻度の「ぴくつき」動作を行う。
    図7の時計輪列の伝達機構について、さらに詳細に説明する。 モータのロータAの回転は輪列減速部Bで減速され、秒針Hsを取り付けた輪列分岐部Cに伝達される。 伝達された回転は輪列分岐部Cで、モータが正進する場合に駆動される高減速比輪列Ghと、逆進する場合に駆動される低減速比輪列Glに分岐される。 分岐された回転はその後、輪列合流部Dで合流し、分針Hmを取りつけた分減速輪列Eに伝達され、更に時針を取りつけた時減速輪列Fに伝達される。
    また図7の構成では、秒針Hsが輪列分岐部Cに直接結合されているので、分岐後に高減速比輪列Ghを有する伝達経路を経る動作の場合に秒針は駆動され、さらに分針Hm、時針Hhが駆動される。 一方、分岐後に低減速比輪列Glを有する伝達経路を経る動作の場合に秒針は駆動されず、分針Hm、時針Hhのみが駆動される。 このとき、秒針は輪列分岐部Cに直接結合されているので、正進と逆進を組み合わせた「ぴくつき」動作を行う。 しかし、輪列分岐部Cではなく、高減速比輪列Ghの途中の歯車の軸に秒針を結合すれば、低減速比経路輪列Glを経る動作の場合に秒針は「ぴくつき」動作を行わない。
    また、本構成をカレンダー駆動に適用し、秒針の代わりに分針・時針を設け、分針・時針の代わりにカレンダーの日付表示板を設けた機構でカレンダーを駆動させることができる。 その場合、正進駆動時は時針から減速してカレンダーを駆動し、逆進駆動時はカレンダーを直接駆動することができる。 この機構により、小の月のカレンダー修正を逆進早送りで高速に行うことができ、節電効果が得られると共にカレンダー修正のための時間を短縮することができる。 電気計時器で年・月・日情報を保持し、機械表示カレンダーを制御する場合に本発明の機構で日付表示板を駆動すると、大小の月に応じてカレンダーの月末修正を必要としない時計を容易に実現できる。
    図8は、図7のブロック図で示した時計輪列の伝達経路を輪列によって具体的に示した図である。
    図8において、10は電気機械変換器であるモータの駆動回路機構であり、モータのロータ410とロータカナ歯車411を有している。 ロータカナ歯車411はロータ410に結合された歯車である。 50は駆動回路機構10の回転を減速伝達する五番車であり、五番歯車450と、五番カナ歯車451を有している。 450はロータカナ歯車411の回転を受ける歯車である。 40は五番歯車50の回転を減速して伝達し、秒針を取り付けて秒表示を行う四番車であり、四番歯車440と、四番カナ歯車441と、逆転四番カナ歯車442を有し、輪列分岐部を構成している。 図9に輪列分岐部の構成が具体的に示されている。
    30は四番車40の回転を減速して伝達する三番車であり、三番歯車430、三番カナ歯車431、逆転三番カナ歯車432から成り、輪列合流部を構成している。 図10に輪列合流部の構成が具体的に示されている。 20は三番車30の回転を減速伝達し、分針を取り付けて分表示を行う分車であり、分歯車420を有している。 図示していないが、分車20の回転を、日の裏車、筒車に順次伝えて減速し、時針を駆動させる。 この構成は通常の時計構造と同じである。 また、60は駆動回路機構10が逆回転した時に回転を伝達するバイパス車であり、バイパス歯車460は逆転四番カナ歯車442、及び逆転三番カナ歯車432と噛合っている。 以上の様に本実施例では、四番車40から直接三番車30に回転が伝達される経路と、バイパス車60を経由して三番車30に回転が伝達される経路に分岐され、三番車30でその経路が合流される輪列構造を有している。 輪列経路は後に詳述するように駆動回路機構10の回転方向により切替えが行われる。
    図9は輪列分岐部の構成を示している。 図9に示した輪列分岐部で、駆動回路機構10によりモータの回転方向を切り替え、四番車40によって回転伝達を分岐している。 図9において五番カナ歯車451と噛合う四番歯車440および、三番歯車430と噛合う四番カナ歯車441は回転軸443に固定されている。 また逆転四番カナ歯車442の中心穴に回転軸443がスリップ可能に挿入されている。 また、四番カナ歯車441と逆転四番カナ歯車442はそれぞれ鋸歯状のラチエット部444を有し、逆転四番カナ歯車442はバネレバー445で軽く上から押えられている。 駆動回路機構10が正回転した時、すなわち4番歯車440が図9の矢印方向に回転した時、ラチエット部444の噛合いが外れて逆転四番カナ歯車442は回転しない。 また駆動回路機構10が逆転した時はラチエット部444が噛合って逆転四番カナ歯車442は回転し、バイパス車60のバイパス歯車460に回転を伝達する。 また四番カナ歯車441は駆動回路機構10が正逆どちらに回転しても、その回転を三番歯車430に伝達する。
    ラチエット部444の鋸歯状の歯型勾配は、上下のカナ歯車の相対的位置誤差を少なくするためには急峻な方が良いが、摩擦エネルギー損失の観点からいえば、勾配を低くして頂上の凸部は丸く鈍化させておく方が損失が少なくなる。 また、本実施例では伝達切替機構を鋸歯状のラチエット構造としたが、一方の回転のみ伝達する機能があれば他の構造でも良い。
    図10は、輪列合流部の構成を示している。 駆動回路機構の正転と逆転によって分岐された回転を、3番車30によって合流している。 図10において430は四番カナ歯車441と噛合う三番歯車であり、回転軸435に固定されている。 三番カナ歯車431及び逆転三番カナ歯車432の中心穴は回転軸435にスリップ可能に挿入されている。 また、三番歯車430と三番カナ歯車431の間には第一ラチエット部433を、三番カナ歯車431と逆転三番カナ歯車432の間には第二ラチエット部434が設けられ、それぞれ鋸歯状の歯型を有している。 逆転三番カナ歯車432及び三番カナ歯車431は、バネレバー436で軽く上から押えられている。 駆動回路機構10が正回転した時、即ち、三番車430が図10の矢印方向に回転した時、第一ラチエット部433は噛合い、三番カナ歯車431が回転し、分歯車420に回転を伝達する。 この時、第二ラチエット部434は噛合いが外れ、逆転三番カナ歯車432は回転しない。 一方、駆動回路機構10が逆転した時、第一ラチエット部433は噛合いが外れ、三番カナ歯車431は回転を伝達しない。 しかし、逆転時はバイパス歯車460から回転が伝達され、逆転三番カナ歯車432が回転し、第二ラチエット部434も噛合って三番カナ歯車431を回転する。 またこの時、第一ラチエット部433は噛合いが外れるため、三番歯車430は回転しない。 つまり、駆動回路機構10が正転する時、三番歯車430から三番カナ歯車431に回転が伝わり、逆転する時はバイパス歯車460から逆転三番カナ歯車432を経由して三番カナ歯車431に回転が伝達される。 そしてどちらの回転時も一方のラチエット部のみ噛合い、他方のラチエット部は噛合いが外れるので、その回転が前段の輪列に逆方向に伝達することはない。
    次に、図8、図9、及び図10を参照して本発明の実施例の動作説明する。 各歯車およびカナ歯車の歯数はそれぞれ以下の通りである。 しかし、以下の歯数は一例であって、これらに限定されるものではない。
    ロータカナ歯車411は16、五番歯車50は80、五番カナ歯車451は16、四番歯車440は96、四番カナ歯車441は12、逆転四番カナ歯車442は12、三番歯車430は120、三番カナ歯車431は6、逆転三番カナ歯車432は6、分歯車420は36、バイパス歯車460は60とする。
    駆動回路機構10の磁石は2極であり、一回の駆動でモータのロータ410は180度回転する。 五番車50は、ロータカナ歯車411と五番歯車450の歯数比(16:80)で1/5に減速され、一回の駆動で36度回転する。 四番車40は五番カナ歯車451と四番歯車440の歯数比(16:96)で1/6に減速され、一回の駆動で6度回転する。 即ち、1秒の分だけ駆動される。
    ロータ410が正転する時は、四番カナ歯車441から三番歯車430に回転が伝達するので、その歯数比によって三番車30は四番車40に対して1/10(12/120=1/10)に減速される。 分車20は三番カナ歯車431と分歯車420の歯数比によって1/6(6/36=1/6)に減速され、四番車40に対しては1/60に減速される。 従って、60回の駆動により、分車20は6度、即ち、1分の分だけ駆動される。 この時四番カナ歯車441と逆転四番カナ歯車442のラチエット部444は噛み合いが外れ、バイパス車60に回転は伝わらない。 また、ラチエット部444の噛合いが外れる時は、駆動側の歯と従動側の歯の間に徐々に隙が出来て1ピッチ分ずれた時に同じ位相になるため、ラチエット部の歯間に隙がある状態で回転方向を変えて回転を伝達しようとしても隙が詰まるまで回転は伝わらない。 よって正転と逆転の切替タイミングを考慮する必要がある。 そこでラチエット部444の歯数を、四番車40の1回の駆動回転角度と等しくなる60に設定すれば、1回の駆動で丁度1ピッチの噛合いがずれ、ラチエット部444のバックラッシの影響を抑えることができる。
    一方、モータのロータ410が逆転する時は、逆転四番カナ歯車442からバイパス歯車460に回転が伝達され、またバイパス歯車460からは逆転三番カナ歯車432に回転が伝達される。 バイパス歯車460は逆転四番カナ歯車442から逆転三番カナ歯車432に回転を伝えるだけなので、その歯数は伝達する輪列の速度に影響を与えない。 三番車30は逆転四番カナ歯車442と逆転三番カナ歯車432の歯数比により、四番車40に対して2倍(12/6=2)に増速され、1回の駆動で12度回転する。 分車20は正転時と同様に三番カナ歯車431と分歯車420の歯数比(6:36)で1/6に減速されるので、1回の駆動で2度回転する。 従って、3回の駆動により6度、即ち、1分の分だけ駆動される。 この時駆動回路機構10の回転方向は逆向きであるが、バイパス車60を介して回転が伝わるので、分車20の回転方向は駆動回路機構10が正転駆動する時と同じ方向となる。 つまり、分針を1分の分だけ駆動させるためには、正転時は60回回転駆動させる必要があるが、逆転時は3回回転駆動させればよい。 また三番車30は逆転時に12度回転するので、第一ラチエット部433の歯数を30に設定すればクラッチ歯の位相はずれず、バックラッシの影響を抑えることができる。 一方、正転時に噛合いが外れる第二ラチエット部434は、1回の駆動による回転角が0.6度と非常に小さいため、歯数による位相合せを行い、正逆転の切替時にクラッチ部のバックラッシ分を考慮して駆動パルスを発生させて調整することが好ましい。 また、分針に衝撃などの回転力が伝わった時に、分車20側から回転が逆伝達しないように、クラッチ部やその他の輪列部に逆伝達防止歯等による逆伝達防止機構を用いることもできる。
    以上のような構成を用いると、例えば通常動作時は秒針を動作させ、エネルギーが減少し、又は、充電式時計でエネルギーの供給が無い場合、動作の頻度を減少させてエネルギーを節約することができる。 即ち、通常動作時はロータ410を正転駆動すれば、四番車40に取り付けられた秒針は1秒毎に駆動され、分車20も三番車30を経由して減速駆動される。 また、ロータ410を逆転駆動させると、前記のように3回の逆転駆動で分針は1分駆動される。 従って、1分間に3回逆転駆動し、さらに3回正転駆動させると分針は1分だけ正進する。 一方、秒針は3回正逆転する、即ち、「ぴくつき」動作するが正進しない。 つまり正逆合計6回の駆動で正確な時間を保ったまま分針を駆動させることができるので、モータ駆動のためのネルギーを節約することができる。
    またこの構成によれば、通常動作時の場合、分針は60回の駆動で1分駆動されるため、非常にスムーズな動きとなる。 また節電動作時は、分針は正逆合計6回の駆動で1分まとめて駆動され、秒針は3回正逆転駆動するが正進しない。 太陽電池により充電される時計の場合、光が当たらない時に節電駆動されるようにすれば、暗闇で針の動きが見えないので、秒針や分針が特異な動きをしても何ら問題になる事は無い。
    なお、図7の説明で述べたように、秒針を輪列Ghの途中の歯車の軸に結合すれば、「ぴくつき」動作は行われない。
    図11は、図7、図8、図9、図10に示した輪列を含むの本発明の計時機構をブロック図で示したものである。 図11の構成は、輪列がGW1とGW2に分岐した後、線1で示すように合流している点で、図6に示した構成と異なる。
    なお、512は実施例2における本発明の計時機構を制御する制御器であり、上記各計数回路の値、電池電圧、及び周囲環境データに対応し、通常動作又は節電動作を選択切替し、時計の時刻保持を安定かつ正確に制御する。 また、機械計時時刻と電気計時時刻を同期させ、更に変換器の誤動作累積値の補正行う。
    〔実施例3〕
    次に、同期化機構の本発明による実施例について説明する。 以下に説明する同期化機構は、前述した実施例1及び実施例2における電気計時器ETKの電気計時時刻と機械計時器MMKの機械計時時刻を同期させるために用いることができる。
    電気計時器ETKの電気計時時刻と機械計時器MMKの機械計時時刻を同期させるには種々の手法を用いることができる。 最も製造上の負荷が少ないものは、秒針が正分位置(=0秒)に来た時に竜頭を1段引いて時計を止め、電気計時器ETKと電気式機械時刻保持計時器MTKの両者をリセットして0とし、TetとTmtを秒レベルで同期させる。 以後、時計が停止しない限りETKに誤動作と同期外れが生じないならば、同期を維持することができる。 竜頭の他に秒リセットボタンを備えた時計では、竜頭を1段引いた位置で秒リセットボタン押し、ETKの秒の桁を0秒に同期させ、竜頭を2段引いた位置で10秒以上秒リセットボタン押し、ETKの時・分時刻を0に設定することにより同期させることができる。
    一方、間欠動作により機械計時時刻を電気計時時刻に自動的に同期させる機構、即ち、自動同期化機構を設けることができる。
    自動同期化機構を用いた簡単な手法は、図12、図13に示すように、分針歯車やカレンダー歯車の特定位置に電気接点を設け、機械系を早送りあるいは後進させ、機械接点の位置を電気計時時刻に同期させる。 このとき、ETKによる電気計時時刻とMMKによる機械計時時刻に差異があれば、機械系が狂いを生じたと判断し、機械刑事時刻を補正する。 上記手法では、機械系の接点に基づいて保持時刻の差を検出しているので、接点を有する機構に適用できる。 後で説明する図12に示した位置検出機構は検出可能な時間が長いので、時計機構を利用して一定のインタバルで短時間の位置検出を行うことができる。 その結果、検出位相検波出力の符号が変化した場合、この符号の変化した検出位置が判明するので、この近傍の時間帯で更に検出回路の作動頻度を高め、順次検出時間範囲を絞り込み、機械計時時刻と電気計時時刻の同期化を正確に行うことができる。 同期化機構の動作時間幅は例えば10μ秒で済むので、1秒に1回の検出であれば、消費電力は平均して動作時の電力の1万分の1で済む。 動作電流を1μAとすれば、0.1nAに過ぎない。 カレンダー機構の同期検出や、機械計時器の同期化に要する電力は、さらに大幅に頻度を下げることができるので電力問題は生じない。
    図12は機械計時時刻と電気計時時刻を同期化するための機構の実施例を示した図である。 図12で602は導電性の輪列歯車、604は歯車に形成されたコード穴、606はバネ性を持った電極板、608は検出用電極板、610は輪列に電位を与える電極板、612は抵抗、614は差動増幅器である。 輪列歯車602が回転している時、バネ電極606が穴604上に位置していないときは、ばね電極606は導電性輪列歯車602に接触している。 そして、電極610により輪列歯車に与えられている第一の基準電位φ1と同等波形又は直流電位がバネ606に加えられている。 電極608には、第一の基準電位φ1とは異なる第二の基準電位φ2が加えられている。
    例えば、電圧波形がそれぞれ、
    φ1=Sin(wt)
    φ2=Cos(wt)
    (tは時間、wは定数)
    で表現される位相の異なる正弦波信号を、水晶発振器の信号から生成して電極610及び608に入力する。 そして、導電性の時刻保持に用いている歯車の穴604を介して検出電極606で穴位置と検出電極の相対的な位置関係を検出する。 電極606と、電極608または610との接触の有無を電圧によって検出することもできる。 また、電極606、608、610を絶縁膜で被覆し、交流ブリッジの原理により上記の歯車の穴の位置の相対的位置関係を検出することもできる。 前者の構成は電圧検出感度が高く、検出回路の設計が容易になるが、電極の接触面の酸化や摩耗による接点不良が生じることがある。 後者の交流ブリッジ構成は絶縁膜を介し、又は非接触にして空気薄層を介して電気力線の変化を観測するので、接点不良問題を生じることがなく信頼性が高い。 しかし、検出回路を設計する際は、感度不足を補う必要がある。 増幅回路614の出力信号により電気計数回路をリセット(計数値=0にする)して、電気計時器ETKと機械計時器MMKの計時時刻を同期化することができる。 穴604の真ん中にバネ電極606が落ち込むと電極608に接触し、電極606の電位がφ1からφ2になり、これを差動増幅器614で検出する。
    作動増幅器614の出力は、図6の制御器312または図11の制御器512に出力される。 そして、これらの制御器からETKまたはMTKに制御信号が出力されて同期化が行われる。
    基準電位φ1が+1V、φ2が0Vである直流検出回路にすると、検出回路は検出電極606の電位変化を検出すれば良い。 一方、φ1とφ2を交流信号にすると、位相、周波数、又は振幅の変化を読み取ることにより、電極606が穴604の位置に来たことが判る。 電極608は歯車602と電気的に絶縁されている。 通常の時計の場合、歯車602は電気的遮蔽板として機能する。 φ1とφ2及び増幅器614は、常時動作状態にしておく必要はなく、位置検出を必要とする場合のみ動作させれば良い。 これにより節電を図ることができる。 また、時計の針の位置と歯車の位置を機械的に同期させることは、輪列組み立て時に行うことができる。 検出電極606で検出した信号をφdetとすると、φdetの変化を検出するには、種々の手法を用いることができる。 最も合理的な手法は位相を検波する手法である。 これは、φ1とφ2とで位相を異なる同一周波数の一定の信号とし、公知の位相検波回路により、φdetとφ1又はφ2との位相差を検出し、周波数低域フィルタにより位相差を低周波数電位の形で抽出する。 この場合の利点は、輪列のガタツキや外部侵入の電気的雑音を大きく抑圧除去できることである。 FM放送の音質がAM放送に優る原理である。 また、接点検出機構の機械的問題による不良や接点雑音、あるいは電極表面の酸化皮膜の影響なども抑圧出来る。
    図13は光検出式の同期化機構の概要を示した図である。 図13に示した機構は、図12のバネ電極606の位置に発光ダイオード、電極608の位置に受光素子を配置したものである。 図13において、702は発光ダイオード、704は電源、706及び710は抵抗、708は受光素子、712は光遮蔽板で、図12の輪列歯車602に相当する。 714は時計の電気回路で、間欠的に短時間だけ発光ダイオード702を発光させる。 図13で発光ダイオード702は間欠的に光パルスを送信し、遮蔽板712の穴が光路を遮らない場合は受光素子708が光を検知し、遮蔽板712が遮蔽した場合、ダイオード702の発光に対して受光素子708が反応せず、穴の位置と受光素子との相対位置関係が判る。 図13に示す光学式同期化機構は、図12に示す電圧検出式同期化機構と比較して、発光素子702と遮蔽板712の穴と光検出素子である受光素子708とが接触しない構造を容易に採用できる。 レーザダイオードは光の収束性が良好で発散せず、発光エネルギーの大半が穴を通して光検出素子708に届くので、光検出回路の設計も容易である。 抵抗710を流れる電流は受光時に増加するので、光検出素子708と抵抗710の接続点の電位は歯車である遮蔽板712の穴が光路を遮らない位置に来た時に高くなる。 この電圧値が図6の制御器312または図11の制御器512に出力される。 そして、これらの制御器からETKまたはMTKに制御信号が出力されて同期化が行われる。
    機械計時器を構成する輪列歯車の穴が特定位置に来たとき、出力電圧が高くなり、電気計時器をリセットする事ができるので、電気計時器で計時され保持されている時刻(保持時刻)と機械計時器で計時され保持されている時刻(保持時刻)を自動的に同期化することができる。
    【図面の簡単な説明】
    図1は、本発明による実施例1の分岐機構を有する複数輪列構成の概要を示した図である。
    図2は、図1のラチエット滑り機構を示した図である。
    図3は、時計に用いられているパルスモータの駆動電圧波形の例を示した図である。
    図4は、2つのモータと2つの輪列を有した時計のシステムを駆動する場合の、通常動作時と節電動作時の駆動波形を比較して示した図である。
    図5は、本発明による1モータ2輪列の時計システムにおいて、通常動作時と節電動作時の駆動波形を比較して示した図である。
    図6は、本発明による実施例1の計時機構の概要をブロック図で示したものである。
    図7は、本発明による実施例2の分岐機構と合流機構を有する複数の輪列の伝達経路を示すブロック図である。
    図8は、図7で示した輪列の伝達経路を輪列によって具体的に示した図である。
    図9は、モータの正転と逆転によって回路伝達を分岐する部分の歯車の斜視図である。
    図10は、モータの正転と逆転によって分岐された回転を合流する部分の歯車の斜視図である。
    図11は、本発明による実施例2の計時機構の概要をブロック図で示したものである。
    図12は、機械計時時刻と電気計時時刻を同期化するための機構の実施例を示した図である。
    図13は、機械計時時刻と電気計時時刻を同期化するための機構の別の実施例を示した図である。

    【0002】
    の電気時計においても、重要な要請事項である。
    節電動作のために、指針表示を停止して電気計数回路でのみ時刻保持を行い、その後に充電された状態で時刻表示の指針を駆動する方式を採用した時計が発売されているが、充分な充電がなされるまでの間は不正確な時刻表示を行うことになり、常時正確な時刻を表示するというユーザの要求には応えられなかった。
    秒針を駆動する輪列と、時針・分針・カレンダー等を駆動する輪列の複数の輪列を備え、貯蔵エネルギーが不足した場合は秒針駆動輪列のみ停止させる機構も考えられる。 しかし、2つのモータを用いるため大型化し、重量増となる。 それによりコスト増となって高価な時計となってしまう。 従って、小型薄型で安価な実用時計の機構に適用することは困難であった。
    従って、本発明は、2モータ複数輪列で実現する機構を、1つのモータで実現することである。 1モータ複数輪列とすることで、体積増、重量増、コスト増を避けることができ、かつ充電量に応じた節電動作を行うことができる。
    発明の開示本発明の電気時計の計時機構によれば、正進回転及び逆進回転ができる1つのモータと、分岐機構と合流機構を有し、該分岐機構と合流機構の間には、前記モータによって駆動され、該分岐機構によって分岐され該合流機構によって合流する2つの輪列を有し、一方の輪列は、前記モータの正進駆動によって駆動され、他方の輪列は前記モータの逆進駆動によって駆動され、前記一方の輪列の駆動によって秒針・分針・時針による時刻表示を行い、前記他方の輪列の駆動によって秒針による時刻表示を行うことなく分針・時針による時刻表示のみを行う。

    【0003】
    図面の簡単な説明図1は、本発明による実施例1の分岐機構を有する複数輪列構成の概要を示した図である。
    図2は、図1のラチエット滑り機構を示した図である。
    図3は、時計に用いられているパルスモータの駆動電圧波形の例を示した図である。
    図4は、2つのモータと2つの輪列を有した時計のシステムを駆動する場合の、通常動作時と節電動作時の駆動波形を比較して示した図である。
    図5は、本発明による1モータ2輪列の時計システムにおいて、通常動作時と節電動作時の駆動波形を比較して示した図である。
    図6は、本発明による実施例1の計時機構の概要をブロック図で示したものである。
    図7は、本発明による実施例2の分岐機構と合流機構を有する複数の輪列の伝達経路を示すブロック図である。
    図8は、図7で示した輪列の伝達経路を輪列によって具体的に示した図である。
    図9は、モータの正転と逆転によって回路伝達を分岐する部分の歯車の斜視図である。
    図10は、モータの正転と逆転によって分岐された回転を合流する部分の歯車の斜視図である。
    図11は、本発明による実施例2の計時機構の概要をブロック図で示したものである。
    図12は、機械計時時刻と電気計時時刻を同期化するための機構の実施例を示した図である。
    図13は、機械計時時刻と電気計時時刻を同期化するための機構

    【0020】
    歯車430、三番カナ歯車431、逆転三番カナ歯車432から成り、輪列合流部を構成している。 図10に輪列合流部の構成が具体的に示されている。 20は三番車30の回転を減速伝達し、分針を取り付けて分表示を行う分車であり、分歯車420を有している。 図示していないが、分車20の回転を、日の裏車、筒車に順次伝えて減速し、時針を駆動させる。 この構成は通常の時計構造と同じである。 また、60は駆動回路機構10が逆回転した時に回転を伝達するバイパス車であり、バイパス歯車460は逆転四番カナ歯車442、及び逆転三番カナ歯車432と噛合っている。 以上の様に本実施例では、四番車40から直接三番車30に回転が伝達される経路と、バイパス車60を経由して三番車30に回転が伝達される経路に分岐され、三番車30でその経路が合流される輪列構造を有している。 輪列経路は後に詳述するように駆動回路機構10の回転方向により切替えが行われる。
    図9は輪列分岐部の構成を示している。 図9に示した輪列分岐部で、駆動回路機構10によりモータの回転方向を切り替え、四番車40によって回転伝達を分岐している。 図9において五番カナ歯車451と噛合う四番歯車440および、三番歯車430と噛合う四番カナ歯車441は回転軸443に固定されている。 また逆転四番カナ歯車442の中心穴に回転軸443がスリップ可能に挿入されている。 また、四番カナ歯車441と逆転四番カナ歯車442はそれぞれ鋸歯状のラチエット部444を有し、逆転四番カナ歯車442はバネレバー445で軽く上から押えられている。 駆動回路機構10が正回転した時、すなわち4番歯車440が図9の矢印方向に回転した時、ラチエット部444の噛合いが外れて逆転四番カナ歯車442は回転しない。 また駆動回路機構10が逆転した時はラチエット部444が噛合って逆転四番カナ歯車442は回転し、バイ

    【0021】
    パス車60のバイパス歯車460に回転を伝達する。 また四番カナ歯車441は駆動回路機構10が正逆どちらに回転しても、その回転を三番歯車430に伝達する。
    ラチエット部444の鋸歯状の歯型勾配は、上下のカナ歯車の相対的位置誤差を少なくするためには急峻な方が良いが、摩擦エネルギー損失の観点からいえば、勾配を低くして頂上の凸部は丸く鈍化させておく方が損失が少なくなる。 また、本実施例では伝達切替機構を鋸歯状のラチエット構造としたが、一方の回転のみ伝達する機能があれば他の構造でも良い。
    図10は、輪列合流部の構成を示している。 駆動回路機構の正転と逆転によって分岐された回転を、3番車30によって合流している。 図10において430は四番カナ歯車441と噛合う三番歯車であり、回転軸435に固定されている。 三番カナ歯車431及び逆転三番カナ歯車432の中心穴は回転軸435にスリップ可能に挿入されている。 また、三番歯車430と三番カナ歯車431の間には第一ラチエット部433を、三番カナ歯車431と逆転三番カナ歯車432の間には第二ラチエット部434が設けられ、それぞれ鋸歯状の歯型を有している。 逆転三番カナ歯車432及び三番カナ歯車431は、バネレバー436で軽く上から押えられている。 駆動回路機構10が正回転した時、即ち、三番車430が図10の矢印方向に回転した時、第一ラチエット部433は噛合い、三番カナ歯車431が回転し、分歯車420に回転を伝達する。 この時、第二ラチエット部434は噛合いが外れ、逆転三番カナ歯車432は回転しない。 一方、駆動回路機構10が逆転した時、第一ラチエット部433は噛合いが外れ、三番カナ歯車431は回転を伝達しない。 しかし、逆転時はバイパス歯車460から回転が伝達され、逆転三番カナ歯車432が回転し、第二ラチエット部434も噛合

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