光制御素子

申请号 JP2008553113 申请日 2008-01-10 公开(公告)号 JPWO2008084830A1 公开(公告)日 2010-05-06
申请人 日本電気株式会社; 发明人 徳島 正敏; 正敏 徳島;
摘要 フォトニック結晶の線欠陥導波路を用いた光遅延器において、長い光遅延時間と少ない群速度分散を両立し、超高速 信号 を処理する場合の 波形 ゆがみを回避する。円柱の直径の大きさが異なり、逆符号の群速度分散を有する2つの線欠陥導波路5および11を、一方の線欠陥導波路5から他方の線欠陥導波路11へと段階的に円柱の直径の大きさを変化させた線欠陥導波路8を介して接続することにより、光遅延効果を保ちつつ群速度分散を補償する。
权利要求
  • 2次元ブラベ格子の格子点のそれぞれに有限の高さの誘電体柱を備えたフォトニック結晶中に設けられた線欠陥導波路を含む光制御素子であって、
    第1の線欠陥導波路と、
    前記第1の線欠陥導波路とは異なる太さの誘電体柱を備えた第2の線欠陥導波路と、
    前記第1の線欠陥導波路と前記第2の線欠陥導波路の間に、誘電体柱の太さが前記第1の線欠陥導波路の誘電体柱の太さから前記第2の線欠陥導波路の誘電体柱の太さへと導波方向について段階的に変化するように構成された第3の線欠陥導波路と、
    を備えたことを特徴とする光制御素子。
  • 誘電体柱の太さが導波方向について段階的に変化するように構成された線欠陥導波路を、前記第1ないし3の線欠陥導波路を備えた光制御素子の導波方向の一端ないし両端にさらに備えたことを特徴とする、請求項1に記載の光制御素子。
  • 前記第3の線欠陥導波路の導波方向の長さが、格子の周期の5周期分以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の光制御素子。
  • 前記第1および第2の線欠陥導波路の誘電体柱の太さが、線欠陥に含まれる誘電体柱と線欠陥に含まれない誘電体柱のいずれについても、一方が他方より太いことを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一に記載の光制御素子。
  • 前記第1および第2の線欠陥導波路の誘電体柱の太さが、線欠陥に含まれる誘電体柱についてのみ異なり、線欠陥に含まれない誘電体柱については等しいことを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一に記載の光制御素子。
  • 前記第1および第2の線欠陥導波路の誘電体柱の太さが、線欠陥に含まれない誘電体柱についてのみ異なり、線欠陥に含まれる誘電体柱については等しいことを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一に記載の光制御素子。
  • 前記第1および第2の線欠陥導波路の誘電体柱の太さが、線欠陥に含まれる誘電体柱と線欠陥に含まれない誘電体柱との間で、太さの変化する向きが反対であることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一に記載の光制御素子。
  • 2次元ブラベ格子の格子点のそれぞれに有限の高さの誘電体柱を備えたフォトニック結晶中に設けられた線欠陥導波路を含む光制御素子であって、
    第1の線欠陥導波路と、
    前記第1の線欠陥導波路の誘電体柱とは異なる断面形状の誘電体柱を備えた第2の線欠陥導波路と、
    前記第1の線欠陥導波路と前記第2の線欠陥導波路の間に、前記第1の線欠陥導波路から前記第2の線欠陥導波路へと至る過程において誘電体柱の断面形状が、前記第1の線欠陥導波路の誘電体柱の断面形状から前記第2の線欠陥導波路の誘電体柱の断面形状へと導波方向について段階的に変化するよう構成された第3の線欠陥導波路と、
    を備えたことを特徴とする光制御素子。
  • 誘電体柱の断面形状が導波方向について段階的に変化する線欠陥導波路を、前記第1ないし3の線欠陥導波路を備えた光制御素子の導波方向の一端ないし両端にさらに備えたことを特徴とする、請求項8に記載の光制御素子。
  • 前記第3の線欠陥導波路の導波方向の長さが、格子の周期の5周期分以上であることを特徴とする、請求項8または9に記載の光制御素子。
  • 前記第1および第2の線欠陥導波路の誘電体柱の断面形状が、線欠陥に含まれる誘電体柱についてのみ異なり、線欠陥に含まれない誘電体柱については等しいことを特徴とする、請求項8ないし10のいずれか一に記載の光制御素子。
  • 前記第1および第2の線欠陥導波路の誘電体柱の断面形状が、線欠陥に含まれない誘電体柱についてのみ異なり、線欠陥に含まれる誘電体柱については等しいことを特徴とする、請求項8ないし10のいずれか一に記載の光制御素子。
  • 前記第1および第2の線欠陥導波路において、誘電体柱の断面形状が、線欠陥に含まれる誘電体柱と線欠陥に含まれない誘電体柱との間で等しいことを特徴とする、請求項8ないし10のいずれか一に記載の光制御素子。
  • 前記第1および第2の線欠陥導波路の少なくともいずれか一方において、誘電体柱の断面形状が、線欠陥に含まれる誘電体柱と線欠陥に含まれない誘電体柱との間で異なることを特徴とする、請求項8ないし10のいずれか一に記載の光制御素子。
  • 2次元ブラベ格子の格子点のそれぞれに有限の高さの誘電体柱を備えたフォトニック結晶中に設けられた線欠陥導波路を含む光制御素子であって、
    第1の線欠陥導波路と、
    前記第1の線欠陥導波路の誘電体柱とは異なる格子点間隔(すなわち、局所的な格子定数)を備えた第2の線欠陥導波路と、
    前記第1の線欠陥導波路と前記第2の線欠陥導波路の間に、前記第1の線欠陥導波路から前記第2の線欠陥導波路へと至る過程において誘電体柱の格子点間隔が、前記第1の線欠陥導波路の誘電体柱の格子点間隔から前記第2の線欠陥導波路の誘電体柱の格子点間隔へと導波方向について段階的に変化するよう構成された第3の線欠陥導波路と、
    を備えたことを特徴とする光制御素子。
  • 誘電体柱の格子点間隔が導波方向について段階的に変化する線欠陥導波路を、前記第1ないし3の線欠陥導波路を備えた光制御素子の導波方向の一端ないし両端にさらに備えたことを特徴とする、請求項15に記載の光制御素子。
  • 前記第3の線欠陥導波路の導波方向の長さが、格子の周期の5周期分以上であることを特徴とする、請求項15または16に記載の光制御素子。
  • 前記第1および第2の線欠陥導波路の誘電体柱の格子点間隔が、線欠陥に含まれる誘電体柱についてのみ異なり、線欠陥に含まれない誘電体柱については等しいことを特徴とする、請求項15ないし17のいずれか一に記載の光制御素子。
  • 前記第1および第2の線欠陥導波路の誘電体柱の格子点間隔が、線欠陥に含まれない誘電体柱についてのみ異なり、線欠陥に含まれる誘電体柱については等しいことを特徴とする、請求項15ないし17のいずれか一に記載の光制御素子。
  • 前記第1および第2の線欠陥導波路において、誘電体柱の格子点間隔が、線欠陥に含まれる誘電体柱と線欠陥に含まれない誘電体柱との間で等しいことを特徴とする、請求項15ないし17のいずれか一に記載の光制御素子。
  • 前記第1および第2の線欠陥導波路の少なくともいずれか一方において、誘電体柱の格子点間隔が、線欠陥に含まれる誘電体柱と線欠陥に含まれない誘電体柱との間で異なることを特徴とする、請求項15ないし17のいずれか一に記載の光制御素子。
  • 前記誘電体柱が、背景媒質に対して高誘電率の材料で構成されることを特徴とする、請求項1ないし21のいずれか一に記載の光制御素子。
  • 前記誘電体柱が、高誘電率材料中に設けた孔であることを特徴とする、請求項1ないし21のいずれか一に記載の光制御素子。
  • 前記2次元ブラベ格子が、正方格子であることを特徴とする、請求項1ないし23のいずれか一に記載の光制御素子。
  • 说明书全文

    (関連出願)本願は、先の日本特許出願2007−002634号(2007年1月10日出願)の優先権を主張するものであり、前記先の出願の全記載内容は、本書に引用をもって繰込み記載されているものとみなされる。
    本発明は、光制御素子に関し、特に光集積回路用の光遅延器に使用可能な光制御素子に関する。

    近年、フォトニック結晶の光集積回路への応用が注目されている。 例えば、光導波路の導波光のスポットサイズを変換する素子が、特許文献1において開示されている。 また、分散制御効果を有する光制御素子が、特許文献2において開示されている。

    特開2003−240985号公報

    特開2005−274844号公報

    以上の特許文献1、2の開示事項は、本書に引用をもって繰り込み記載されているものとする。 以下に本発明による関連技術の分析を与える。 トランジスタの集積回路のように、光部品の集積回路を実現する技術が望まれている。 現状では、導波路である光ファイバや、個別部品の光スイッチ、波長フィルタ、3dB結合器(カプラ)などの個々の光部品を接続して光回路を構成している。 これらの光部品を小さなチップの中に集積化できれば、回路の体積、消費電、製造コストを大幅に削減することができる。

    光集積回路を実現するための技術はこれまでにも多く開発されてきている。 中でも、フォトニック結晶は、基板上に作成した光デバイスの単位性能当たりのサイズおよび消費電力を百分の1から1万分の1にまで削減する可能性を備えた技術として注目されている。

    フォトニック結晶とは広義には、屈折率を周期的に変化させた構造体の総称である。 フォトニック結晶は一般に電磁波に対して用いられるが、元々、光学用途として考案されたことと、周期構造を備える点において結晶と同様であることからその名がついた。

    フォトニック結晶は、その屈折率の周期性に基づいて、種々の特殊な光学的特徴を有する。 最も代表的な特徴はフォトニック・バンド・ギャップ(Photonic Band Gap、PBG)である。 フォトニック結晶の周期的な屈折率変化を大きくしていくと、特定の周波数帯域(あるいは、波長帯域)の光はフォトニック結晶中を伝搬することができなくなる。 縦軸に光の周波数、横軸に光の波数をとり、フォトニック結晶中を伝搬する光の周波数と波数の関係をプロットした図を分散関係図、または、フォトニック・バンド図という。 フォトニック・バンド図において、プロットが連続的に存在して曲線として分布する周波数帯域をバンドと呼ぶ。 フォトニック結晶中を伝搬できない光はこのようなバンドとバンドの間、即ちギャップに位置する周波数を有する。 このような光の伝搬できない禁制帯をフォトニック・バンド・ギャップ(PBG)と呼ぶ。

    フォトニック結晶中に、フォトニック結晶の屈折率分布の周期性を乱すような欠陥が存在すると、PBG内の周波数の光は、その欠陥の近傍に閉じ込められる。 このとき、欠陥の大きさに対応した周波数の光のみが閉じ込められ、光の共振器として作用するため、周波数(波長)フィルタとして用いることができる。

    フォトニック結晶中に微小な欠陥が連続的に一列に並び、線欠陥を形成すると、PBG内の周波数を有する光であっても、線欠陥の近傍に閉じ込められながら線欠陥に沿って伝搬することができる。 これは、フォトニック結晶の線欠陥が導波路の役目を果たしていることになる。 この導波路は線欠陥導波路と呼ばれる。

    フィルタと導波路を形成することができれば、導波路のみ、あるいは導波路とフィルタの組み合わせによって光変調器や光スイッチを構成することができる。

    このように、フォトニック結晶中に主要な光機能素子を形成して相互に接続することによって光回路を構成することができる。 ゆえに、フォトニック結晶は光集積回路のプラットフォームとして期待されている。

    フォトニック結晶は製造上の観点から、2次元の周期性を有するものが好ましい。 PBGの効果(例えば、光の閉じ込め効果)を互いに垂直な(直交する)x、y、zの3方向で利用しようとすると、フォトニック結晶は3次元の周期性を有する必要がある。 しかし、3次元の周期構造を形成するプロセスは複雑であるため、製造コストが高くなる。 そこで、基板面内では2次元の周期性を有するものの、基板面に垂直な(厚み)方向には有限のサイズの2次元フォトニック結晶が用いられる。 このとき、線欠陥導波路や点欠陥共振器における厚み方向の光の閉じ込めは、PBGの効果ではなく、屈折率の差により生じる全反射によって引き起こされる。

    有限な厚みの2次元フォトニック結晶の特性は、無限の厚みの(すなわち、厚み方向に一様な)2次元フォトニック結晶と完全には一致しない。 しかし、有限な厚みの2次元フォトニック結晶の厚み方向の屈折率分布が、光が伝搬する領域において鏡映対称であれば、無限の厚みの2次元フォトニック結晶の光学特性とほぼ一致する。 無限の厚み、すなわち、厚み方向に一様な2次元フォトニック結晶によるデバイスの動作予測は、有限の厚みを考慮した動作予測に比べて格段に容易である。 したがって、屈折率分布が鏡映対称の2次元フォトニック結晶を利用することにより、デバイスの設計も容易となる。

    有限な厚みの2次元フォトニック結晶としてこれまで実現された具体的な構造としては、孔型フォトニック結晶と柱型フォトニック結晶がある。 特に後者の柱型フォトニック結晶中の線欠陥導波路は導波特性に優れている。

    有限な厚みの柱型フォトニック結晶の典型的な構造の斜視図を図1に示す。 図1では、背景媒質1の中に、背景媒質よりも誘電率の大きい(高誘電率)材料でできた有限の高さの誘電体柱2が正方格子状に配置されている。 ちなみに、孔型フォトニック結晶は、図1の構造において、背景媒質1を高誘電率材料とし、円柱部分2を低誘電率媒質とした構造である。 有限な厚みの円柱型正方格子フォトニック結晶の場合、線欠陥導波路は、例えば、円柱の直径を元の結晶のそれよりも小さくした線欠陥を構成する誘電体柱3を1列作ることによって形成する。 この場合、線欠陥を成す円柱の列が、光ファイバなどの全反射閉じ込め型の導波路におけるコアに相当し、線欠陥を成す円柱の列の両側の円柱からなる格子がクラッディングに相当する。

    尚、一般的には、フォトニック結晶を構成する誘電体柱は円柱に限られず、任意の断面形状を有することができる。 この場合において、一の誘電体柱が他の誘電体柱に比べて「太い」又は「細い」とは、それぞれ、断面積が大きい又は小さいことを意味するものとする。 また、本明細書では、「誘電体柱」は誘電率を有する柱と定義し、空気や真空も含む。

    線欠陥導波路は群速度が小さいという特徴を有するため、光遅延器として利用することができる。 また、低群速度であるため、導波光と結晶材料との相互作用時間が長くなり、結果として短い導波路でも相互作用効果が大きくなる(すなわち、単位長さ当りの相互作用効果が大きくなる)。 したがって、線欠陥導波路では、非線形効果を効率的に利用することができる。

    このような柱型正方格子フォトニック結晶の線欠陥導波路を用いると、導波される光の群速度を真空中の光の速度に対して、一例として、20分の1から100分の1にまで下げることも可能である。 したがって、短い導波路でも長い遅延時間が得られ、材料との強い相互作用が得られる。

    しかし、このような群速度の小さい導波路では、光の波長に依存して導波光の群速度が変化する場合が多い。 このように波長に依存して導波光の群速度が変化することを「群速度分散がある」という。 円柱型正方格子フォトニック結晶の線欠陥導波路の場合も群速度分散がある。 そのため、超高速光信号のような、一定の波長広がりを有する光信号を導波させた場合には、導波路を通過後の信号波形が崩れて(変形して)しまうという問題がある。

    また、特許文献2において、群速度分散を補償する光制御素子が開示されている。 しかし、開示された光制御素子は互いに異なる群速度分散を有するフォトニック結晶を直接接続する構造を備えているため、接続界面において反射による損失が生じるという問題がある。

    以上のことから、正方格子(任意の2次元ブラベ(Bravais)格子であってもよい。)フォトニック結晶の線欠陥導波路を用いた光遅延器において、群速度分散の影響を低減することによって、長い遅延時間と小さい群速度分散を両立し、超高速信号に対応することのできる光遅延器を提供することが課題となる。

    また、光集積回路の集積率を向上するために、光遅延器の小型化も課題となる。

    さらに、群速度分散を補償する際に、反射の影響を低減することも課題となる。

    本発明の第1の視点に係る光制御素子は、2次元ブラベ格子の格子点のそれぞれに有限の高さの誘電体柱を備えたフォトニック結晶中に設けられた線欠陥導波路を含む光制御素子であって、第1の線欠陥導波路と、前記第1の線欠陥導波路とは異なる断面積の誘電体柱を備えた第2の線欠陥導波路と、前記第1の線欠陥導波路と前記第2の線欠陥導波路の間に、誘電体柱の太さが前記第1の線欠陥導波路の誘電体柱の太さから前記第2の線欠陥導波路の誘電体柱の太さへと導波方向について段階的に変化するように構成された第3の線欠陥導波路と、を備えたことを特徴とする。

    本発明の第2の視点に係る光制御素子は、2次元ブラベ格子の格子点のそれぞれに有限の高さの誘電体柱を備えたフォトニック結晶中に設けられた線欠陥導波路を含む光制御素子であって、第1の線欠陥導波路と、前記第1の線欠陥導波路の誘電体柱とは異なる断面形状の誘電体柱を備えた第2の線欠陥導波路と、前記第1の線欠陥導波路と前記第2の線欠陥導波路の間に、前記第1の線欠陥導波路から前記第2の線欠陥導波路へと至る過程において誘電体柱の断面形状が、前記第1の線欠陥導波路の誘電体柱の断面形状から前記第2の線欠陥導波路の誘電体柱の断面形状へと導波方向について段階的に変化するよう構成された第3の線欠陥導波路と、を備えたことを特徴とする。

    本発明の第3の視点に係る光制御素子は、2次元ブラベ格子の格子点のそれぞれに有限の高さの誘電体柱を備えたフォトニック結晶中に設けられた線欠陥導波路を含む光制御素子であって、第1の線欠陥導波路と、前記第1の線欠陥導波路の誘電体柱とは異なる格子点間隔(すなわち、局所的な格子定数)を備えた第2の線欠陥導波路と、前記第1の線欠陥導波路と前記第2の線欠陥導波路の間に、前記第1の線欠陥導波路から前記第2の線欠陥導波路へと至る過程において誘電体柱の格子点間隔が、前記第1の線欠陥導波路の誘電体柱の格子点間隔から前記第2の線欠陥導波路の誘電体柱の格子点間隔へと導波方向について段階的に変化するよう構成された第3の線欠陥導波路と、を備えたことを特徴とする。

    第1の展開形態の光制御素子は、第1の視点に係る光制御素子において、誘電体柱の太さが導波方向について段階的に変化する線欠陥導波路を、前記第1ないし3の線欠陥導波路を備えた光制御素子の導波方向の一端ないし両端にさらに備えたことを特徴とする。

    第2の展開形態の光制御素子は、第1の視点に係る光制御素子において、前記第3の線欠陥導波路の導波方向の長さが、格子の周期の5周期分以上であることを特徴とする。

    第3の展開形態の光制御素子は、第1の視点に係る光制御素子において、前記第1および第2の線欠陥導波路の誘電体柱の太さが、線欠陥に含まれる誘電体柱と線欠陥に含まれない誘電体柱のいずれについても、一方が他方より太いことを特徴とする。

    第4の展開形態の光制御素子は、第1の視点に係る光制御素子において、前記第1および第2の線欠陥導波路の誘電体柱の太さが、線欠陥に含まれる誘電体柱についてのみ異なり、線欠陥に含まれない誘電体柱については等しいことを特徴とする。

    第5の展開形態の光制御素子は、第1の視点に係る光制御素子において、前記第1および第2の線欠陥導波路の誘電体柱の太さが、線欠陥に含まれない誘電体柱についてのみ異なり、線欠陥に含まれる誘電体柱については等しいことを特徴とする。

    第6の展開形態の光制御素子は、第1の視点に係る光制御素子において、前記第1および第2の線欠陥導波路の誘電体柱の太さが、線欠陥に含まれる誘電体柱と線欠陥列に含まれない誘電体柱との間で、太さの変化する向きが反対であることを特徴とする。

    第7の展開形態の光制御素子は、第2の視点に係る光制御素子において、誘電体柱の断面形状が導波方向について段階的に変化する線欠陥導波路を、前記第1ないし3の線欠陥導波路を備えた光制御素子の導波方向の一端ないし両端にさらに備えたことを特徴とする。

    第8の展開形態の光制御素子は、第2の視点に係る光制御素子において、前記第3の線欠陥導波路の導波方向の長さが、格子の周期の5周期分以上であることを特徴とする。

    第9の展開形態の光制御素子は、第2の視点に係る光制御素子において、前記第1および第2の線欠陥導波路の誘電体柱の断面形状が、線欠陥に含まれる誘電体柱についてのみ異なり、線欠陥に含まれない誘電体柱については等しいことを特徴とする。

    第10の展開形態の光制御素子は、第2の視点に係る光制御素子において、前記第1および第2の線欠陥導波路の誘電体柱の断面形状が、線欠陥に含まれない誘電体柱についてのみ異なり、線欠陥に含まれる誘電体柱については等しいことを特徴とする。

    第11の展開形態の光制御素子は、第2の視点に係る光制御素子において、前記第1および第2の線欠陥導波路において、誘電体柱の断面形状が、線欠陥に含まれる誘電体柱と線欠陥に含まれない誘電体柱との間で等しいことを特徴とする。

    第12の展開形態の光制御素子は、第2の視点に係る光制御素子において、前記第1および第2の線欠陥導波路の少なくともいずれか一方において、誘電体柱の断面形状が、線欠陥に含まれる誘電体柱と線欠陥に含まれない誘電体柱との間で異なることを特徴とする。

    第13の展開形態の光制御素子は、第3の視点に係る光制御素子において、誘電体柱の格子点間隔が導波方向について段階的に変化する線欠陥導波路を、前記第1ないし3の線欠陥導波路を備えた光制御素子の導波方向の一端ないし両端にさらに備えたことを特徴とする。

    第14の展開形態の光制御素子は、第3の視点に係る光制御素子において、前記第3の線欠陥導波路の導波方向の長さが、格子の周期の5周期分以上であることを特徴とする。

    第15の展開形態の光制御素子は、第3の視点に係る光制御素子において、前記第1および第2の線欠陥導波路の誘電体柱の格子点間隔が、線欠陥に含まれる誘電体柱についてのみ異なり、線欠陥に含まれない誘電体柱については等しいことを特徴とする。

    第16の展開形態の光制御素子は、第3の視点に係る光制御素子において、前記第1および第2の線欠陥導波路の誘電体柱の格子点間隔が、線欠陥に含まれない誘電体柱についてのみ異なり、線欠陥に含まれる誘電体柱については等しいことを特徴とする。

    第17の展開形態の光制御素子は、第3の視点に係る光制御素子において、前記第1および第2の線欠陥導波路において、誘電体柱の格子点間隔が、線欠陥に含まれる誘電体柱と線欠陥に含まれない誘電体柱との間で等しいことを特徴とする。

    第18の展開形態の光制御素子は、第3の視点に係る光制御素子において、前記第1および第2の線欠陥導波路の少なくともいずれか一方において、誘電体柱の格子点間隔が、線欠陥に含まれる誘電体柱と線欠陥に含まれない誘電体柱との間で異なることを特徴とする。

    第19の展開形態の光制御素子は、上記各視点における光制御素子において、前記誘電体柱が、背景媒質に対して高誘電率の材料から成ることを特徴とする。

    第20の展開形態の光制御素子は、上記各視点における光制御素子において、前記誘電体柱が、高誘電率材料中に設けた孔(すなわち、空隙)から成ることを特徴とする。

    第21の展開形態の光制御素子は、上記各視点における光制御素子において、前記2次元ブラベ格子が、正方格子であることを特徴とする。

    本発明の光制御素子により、光遅延器として長い遅延時間を保持しつつ群速度分散を補償することできる。 したがって、波長拡がりをもつ超高速信号に対しても、本発明の遅延器を適用することができる。 なお、群速度分散の効果によって波形が崩れる効果が抑制されるため、光制御素子(光遅延器)を導波方向に長くすることによって、遅延時間を大幅に延ばすことも出来る。

    また、群速度が小さく、かつ、群速度分散が大きい波長領域を利用することができるようになり、光遅延を従来よりも短い導波路長の素子によって実現することができる。 したがって、光遅延器の小型化が可能となる。

    さらに、本発明の光制御素子では、群速度分散が異なる材質間を段階的に構造を変化させた線欠陥導波路を介して接続することによって、光の反射を抑えることができる。

    有限な厚みの柱型フォトニック結晶の斜視図である。

    本発明の第1の実施形態に係る光制御素子の断面図である。

    本発明の第1の実施形態に係る光制御素子の断面図である。

    本発明の第1の実施形態に係る光制御素子の断面図である。

    本発明の第2の実施形態に係る光制御素子の断面図である。

    本発明の第2の実施形態に係る光制御素子の断面図である。

    本発明の第2の実施形態に係る光制御素子の断面図である。

    本発明の第3の実施形態に係る光制御素子の断面図である。

    本発明の第3の実施形態に係る光制御素子の断面図である。

    本発明の第3の実施形態に係る光制御素子の断面図である。

    2次元ブラベ格子における線欠陥の構造を説明するための図である。

    符号の説明

    1 背景媒質(または高誘電率材料)
    2、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、42、45、48、51、54、57、60、63、66、69、72、75、79、82、85 線欠陥に含まれない誘電体柱(または空孔)
    3、7、10、13、16、19、22、25、28、31、34、37、40、43、46、49、52、55、58、61、64、67、70、73、76、80、83、86、88 線欠陥に含まれる誘電体柱5、14、23、32、41、50、59、68、78 第1の線欠陥導波路11、20、29、38、47、56、65、74、84 第2の線欠陥導波路8、17、26、35、44、53、62、71、81 第3の線欠陥導波路89 2次元ブラベ格子の1つ(六方格子)の基本並進ベクトルa1
    90 2次元ブラベ格子の1つ(六方格子)の基本並進ベクトルa2
    91 線欠陥の基本並進ベクトル

    (実施形態1)
    以下、本発明の第1の実施形態に係る光制御素子について図面を参照して説明する。

    光遅延器として使用可能な本発明の光制御素子は、その好ましい第1の実施形態として、図2を参照すると、有限の高さの誘電体柱を備えた柱型正方格子フォトニック結晶において線欠陥導波路を設けた光制御素子である。 光制御素子は、第1の線欠陥導波路5と、第1の線欠陥導波路における誘電体柱よりも細い誘電体柱を備えた正方格子フォトニック結晶における線欠陥導波路である第2の線欠陥導波路11と、誘電体柱の太さが第1の線欠陥導波路における誘電体柱の太さから第2の線欠陥導波路における誘電体柱の太さへと導波路の導波方向に徐々に変化している第3の線欠陥導波路8とを備える。 また、光制御素子は、第1の線欠陥導波路5と前記第3の線欠陥導波路8と第2の線欠陥導波路11とがこの順序で、誘電体柱の太さが連続的に変化するように接続された1組の導波路を含む。

    第1の線欠陥導波路5と第2の線欠陥導波路11とは、反対の群速度分散を示すことが好ましい。 一例として、第1の線欠陥導波路5は正常分散を示し、短い波長の光が長い波長の光に比べて遅く導波される。 一方、、第2の線欠陥導波路11は異常分散を示し、短い波長の光が長い波長の光に比べて速く導波される。 したがって、第1の線欠陥導波路5と第2の線欠陥導波路11とを接続した場合には、全体として、群速度分散を打ち消し合うことになる。

    しかしながら、第1の線欠陥導波路5を導波される光と第2の線欠陥導波路11を導波される光とでは、光の電磁界の広がり方(分布)が異なる。 したがって、両者を単に直接接続した場合には、接続部分において導波光の反射や放射が起こる。

    第3の線欠陥導波路8は、かかる問題を解決する。 第3の線欠陥導波路8は、第1の線欠陥導波路5と第2の線欠陥導波路11との間で構造が緩やかに変化している(即ち、段階的に変化している)ため、導波光の電磁界の分布も、第1の線欠陥導波路5と第2の線欠陥導波路11との間で緩やかに変化し、反射や放射をほとんど生じない。

    この光制御素子を光遅延器として使用する場合、通常、光制御素子の入出力端に接続される導波路は、光信号を高速に伝搬させるために、光制御素子を構成する導波路とは異なる導波路と接続される。 そのような場合、それらの高速な導波路との間で連続的に光結合を行うためには、、光制御素子の両側または片側に更に柱の太さが段階的に変化する線欠陥導波路を備えることが好ましい。

    第3の線欠陥導波路8は、第1の線欠陥導波路5と第2の線欠陥導波路11との間で連続的に光結合を実現する機能を有する。 この機能を十分に発揮させ、第3の線欠陥導波路8における反射や放射を無視できる程度に抑制するには、第3の線欠陥導波路8の導波方向の長さは5周期以上であることが好ましい。

    図2では、第1の線欠陥導波路5の誘電体柱の太さは第2の線欠陥導波路11の誘電体柱の太さに比べて、線欠陥に含まれる誘電体柱7および線欠陥に含まれない誘電体柱6の両方が、線欠陥に含まれる誘電体柱13および線欠陥に含まれない誘電体柱12よりも太くなっている。 このような構造においては、第1の線欠陥導波路5と第2の線欠陥導波路11のそれぞれにおける、線欠陥に含まれる誘電体柱7および13の太さの比と、線欠陥に含まれない誘電体柱6および12の太さの比とを同一、または、ほぼ同一にすることができる。 このような誘電体柱の太さの比は線欠陥の近傍への導波光の閉じ込めの強さと相関があることから、図2の光制御素子では、素子全体を通して導波光の線欠陥近傍での広がりがほぼ同一に保たれる。 したがって、図2に示した光制御素子の構造は、作製上の制限により、線欠陥導波路の幅をある一定値に保ちたいときに有効である。

    図3に示すように、第1の線欠陥導波路14の誘電体柱と第2の線欠陥導波路20の誘電体柱との太さは、線欠陥に含まれる誘電体柱16および22の太さにおいてのみ異なっていてもよい。 線欠陥に含まれる誘電体柱16および22の太さのみを変えた場合においても、光遅延器としての特徴、すなわち遅延時間を延ばし、群速度分散を相殺するなどの特徴は、線欠陥に含まれる誘電体柱16および22の間で太さを変えるとともに、線欠陥に含まれない誘電体柱15および21の間で太さを変えた場合とほぼ同じである。 ただし、誘電体柱の太さを変化させる箇所が線欠陥列の誘電体柱19のみである点において、第3の線欠陥導波路17の設計が容易となるという利点がある。

    一方、図4に示すように、第1の線欠陥導波路23と第2の線欠陥導波路29の誘電体柱の太さは、線欠陥に含まれない誘電体柱24および30の間における太さのみが異なっていてもよい。 この構造の光制御素子の場合、導波光のエネルギーが集中する線欠陥に含まれる誘電体柱25、28および31の太さは変わらないため、第3の線欠陥導波路26中において反射や放射による損失が生じにくいという利点がある。

    図2ないし4に示した、誘電体柱の太さに関する上述の3つの構造は、もちろん混在させることも可能である。

    また、第1の線欠陥導波路の誘電体柱の太さは第2の線欠陥導波路の誘電体柱の太さに比べて、線欠陥に含まれる誘電体柱において太く、線欠陥に含まれない誘電体柱において細いものであってもよい。

    (実施形態2)
    本発明は、図5に示すように、第2の実施形態において、有限の高さの誘電体柱を備えた柱型正方格子フォトニック結晶において線欠陥導波路を設けた光制御素子である。 光制御素子は、第1の線欠陥導波路32と、第1の線欠陥導波路32の誘電体柱33および34とは断面形状が異なる誘電体柱39および40を備えた正方格子フォトニック結晶における線欠陥導波路である第2の線欠陥導波路38と、誘電体柱36および37の断面形状が第1の線欠陥導波路32の誘電体柱33および34の形状から第2の線欠陥導波路38の誘電体柱39および40の形状へと導波路の導波方向に徐々に変化している第3の線欠陥導波路35とを備える。 また、光制御素子は、第1の線欠陥導波路32と第3の線欠陥導波路35と第2の線欠陥導波路38とがこの順序で、誘電体柱の断面形状が連続的に変化するように接続された1組の導波路を含む。

    第2の実施形態は、第1の実施形態における誘電体柱の太さの変化を、誘電体柱の断面形状の変化に置き換えたものに相当する。 第1の実施形態は、光遅延器として動作する光制御素子の群速度分散をほぼゼロに抑制するのに適しているものの、広い周波数帯域の全体に亘ってこれを実現するにはやや難がある。 一方、第2の実施形態は、群速度分散をほぼゼロに近づける点において第1の実施形態よりもやや劣るものの、誘電体柱の断面形状を変化させることによって、光制御素子全体の群速度分散の波長依存性を広い周波数帯域に亘って微細に(精密に)制御することができる。 したがって、第2の実施形態の光制御素子の構造は、ある特定の群速度分散を光制御素子の透過光に持たせたい場合には有効な構造である。

    特性の異なる導波路に接続するため、本光制御素子は、その両側または片側に更に誘電体柱の断面形状が段階的に変化する線欠陥導波路を有するものであってもよい。

    第3の線欠陥導波路の導波方向の長さは、その内部での反射や放射を十分に抑制するために、5周期以上であることが好ましい。

    図6に示すように、第1の線欠陥導波路41と第2の線欠陥導波路47の誘電体柱の断面形状は互いに線欠陥に含まれる誘電体柱43および49においてのみ断面形状が異なっていてもよい。 このような構造は、設計が容易であるという利点がある。

    また、図7に示すように、第1の線欠陥導波路50と第2の線欠陥導波路56の誘電体柱の断面形状は、線欠陥に含まれない誘電体柱51および57の間においてのみ断面形状が異なるものであってもよい。 このような構造は、第3の線欠陥導波路53の中での反射や放射を、上記図5及び図6に示した構造と比較して、更に抑制する効果がある。

    第1の線欠陥導波路と第2の線欠陥導波路は、ぞれぞれ、線欠陥に含まれる誘電体柱の断面形状と線欠陥に含まれない誘電体柱の断面形状とが同じである場合(図5)が基本的な構造である。

    しかしながら、この基本構造(図5)では群速度分散の制御における精度が不足する場合には、第1の線欠陥導波路又は第2の線欠陥導波路の少なくともいずれか一方において、線欠陥に含まれる誘電体柱の断面形状と線欠陥に含まれない誘電体柱の断面形状とが異なるもの(図6、7)であってもよい。

    (実施形態3)
    本発明は、第3の実施形態において、図8に示すように、有限の高さの誘電体柱を備えた柱型正方格子フォトニック結晶中に設けられた線欠陥導波路を有する光制御素子(特に、光遅延器)である。 光制御素子は、第1の線欠陥導波路59と、第1の線欠陥導波路59の誘電体柱60および61とは異なる格子点間隔(すなわち、局所的な格子定数)の誘電体柱66および67を備えた第2の線欠陥導波路65と、第1の線欠陥導波路59と第2の線欠陥導波路65の間に、第1の線欠陥導波路59から第2の線欠陥導波路65へと至る過程において誘電体柱63および64の格子点間隔が、第1の線欠陥導波路59の誘電体柱の格子点間隔から第2の線欠陥導波路65の誘電体柱の格子点間隔へと導波方向について段階的に変化するよう構成された第3の線欠陥導波路62とを含む。

    尚、「格子点間隔」とは、着目する誘電体柱とその誘電体柱に隣接する個々の誘電体柱との間隔をいう。 また、「局所的な格子定数」とは、着目する誘電体柱とその誘電体柱に隣接する全ての誘電体柱との間の距離の加算平均をいう。

    第3実施の形態は、第1の実施形態における誘電体柱の太さの変化を、誘電体柱の格子点間隔(局所的な格子定数)の変化に置き換えたものに相当する。 第3の実施形態は、光遅延器として使用するとき、群速度分散の制御に関して、第1の実施形態とほぼ同じ特性を実現することができる。 第1実施の形態との違いとして、誘電体柱の太さの制御を行うよりも、誘電体柱の位置する格子点の位置の操作の方が作製精度の点で容易であるため、設計通りの光制御素子を作製し易いことが挙げられる。

    本光制御素子は、誘電体柱の格子点間隔が導波方向について段階的に変化する線欠陥導波路を、前記第1ないし3の線欠陥導波路からなる光制御素子の一端ないし両端にさらに備えてもよい。 これにより、他の特性を有する導波路との間で、導波光の反射や放射を生ずることなく光結合を行うことができる。

    本光制御素子は、第3の線欠陥導波路62の導波方向の長さが、格子の周期の5周期分以上であるのが好ましい。 これによって、第3の線欠陥導波路62における導波光の反射や放射を無視できる程度に抑制することができる。

    本光制御素子は、第1および第2の線欠陥導波路の誘電体柱の格子点間隔が、線欠陥に含まれる誘電体柱70および76についてのみ異なり、線欠陥に含まれない誘電体柱69および75については等しい構造によって実現することができる。 この場合に相当する具体的な構造の一例が、図9に示されている。 即ち、線欠陥に含まれる誘電体柱70および76の間隔は一定であり、線欠陥に含まれない誘電体柱69および75の間隔も同じ値であるとともに一定であり、線欠陥に含まれない誘電体柱69および75の格子は、第1の線欠陥導波路68においては、線欠陥に含まれる誘電体柱70の両側に接近しており、第2の線欠陥導波路74においては、線欠陥に含まれる誘電体柱76の両側から離れており、第3の線欠陥導波路71においては、線欠陥に含まれる誘電体柱73の両側から線欠陥に含まれない誘電体柱72に対する格子点が、第1の線欠陥導波路68から第2の線欠陥導波路74の方向に向かうにつれて幅方向(すなわち、導波方向に垂直かつ2次元格子面に平行な方向)に徐々に離れていく構造を有する場合を含む。 これは、線欠陥列70、73および76の幅方向の格子点間隔のみが導波方向について徐々に広がることを意味している。

    逆に、第1および第2の線欠陥導波路の誘電体柱の格子点間隔が、線欠陥に含まれない誘電体柱79および85についてのみ異なり、線欠陥に含まれる誘電体柱80および86については等しい構造とすることもできる。 この場合に相当する具体的な構造の一例が、図10に示されている。 即ち、光制御素子は、線欠陥に含まれる誘電体柱80および86と線欠陥に最近接する誘電体柱との格子点間隔が一定であり、それ以外の誘電体柱の格子点間隔が、第1の線欠陥導波路78から第2の線欠陥導波路84に向かうにつれて幅方向(すなわち、導波方向に垂直かつ2次元格子面に平行な方向)に徐々に大きくなっていく構造を有する。 このとき、線欠陥列に含まれない誘電体柱79および85の幅方向に対する格子点間隔のみが広がる。

    さらに別の光制御素子の構造として、第1および第2の線欠陥導波路の誘電体柱の格子点間隔が、線欠陥に含まれる誘電体柱と線欠陥に含まれない誘電体柱との間で等しい構造としてもよい。

    また、更に別の光制御素子の構造として、第1および第2の線欠陥導波路の誘電体柱の格子点間隔が、少なくともいずれか一方において、線欠陥に含まれる誘電体柱と線欠陥に含まれない誘電体柱との間で異なっていてもよい。

    尚、第1ないし3の実施形態に関する説明では、誘電体柱は、背景媒質に対して高誘電率の材料から成る場合について述べたが、誘電体柱は、背景媒質に対して低誘電率の材料から成る場合であってもよい。 そのような場合の一例として、誘電体柱が、高誘電率材料中に設けた孔(空隙)から成る場合も含む。

    第1ないし3の実施形態における、柱型正方格子フォトニック結晶の線欠陥導波路は、その格子に設けた誘電体柱の太さや形状や格子点間隔を適当に調節することによって、群速度が小さく、かつ、群速度分散の効果がそれぞれ異なった導波路を形成することができる。 特に、逆の群速度分散の効果を有する2つ以上の導波路を形成することができた場合には、それらの導波路を緩やかに変化する構造を介して接続することによって、接続された導波路間での反射を生じることなく、全体としての群速度分散を低減し、同時に、長い光遅延時間を得ることができる。

    なお、前記第1ないし3の実施形態において、フォトニック結晶の2次元格子の晶系を正方格子として説明したが、正方格子でなくても、2次元ブラベ格子のいずれかであってもよいことはいうまでもない。

    さらに、線欠陥についても、2次元ブラベ格子における、基本並進ベクトルの方向でなくても、並進ベクトルのうちのいずれかの方向に並んだ欠陥の列であってもよい。

    図11は、2次元ブラベ格子における線欠陥の構造を説明するための図である。 図中には、例として、六方格子の格子点、基本並進ベクトルa1およびa2(図11の89および90)を示す。 このとき、線欠陥に含まれる誘電体柱88は、並進ベクトルのいずれかの方向に列をなすものであればよい。 図11には、線欠陥に含まれる誘電体柱の基本並進ベクトルが、2a +a によって与えられる場合を示している。

    さらに、上記の説明においては、簡単のため、線欠陥は点欠陥を一列に並べたものとして説明したが、複数の列を含むものであってもよい。

    次に、本発明の第1の実施例について図面を参照して説明する。

    図2は、円柱型正方格子フォトニック結晶に設けられた線欠陥導波路を有する光制御素子を、格子面に垂直な方向から見たときの高屈折率材料の断面図である。

    本発明の第1の実施例に係る光制御素子(光遅延器)は、図2を参照すると、有限の高さの誘電体円柱を備えた柱型正方格子フォトニック結晶において線欠陥導波路を有する光遅延器である。 光制御素子は、第1の線欠陥導波路5と、第1の線欠陥導波路の誘電体円柱よりも細い誘電体円柱を備える正方格子フォトニック結晶に設けた線欠陥導波路である第2の線欠陥導波路11と、誘電体円柱の太さが第1の線欠陥導波路における誘電体円柱の太さから第2の線欠陥導波路における誘電体円柱の太さへと導波路の導波方向に段階的に変化している第3の線欠陥導波路8とを備える。 また、光制御素子は、第1の線欠陥導波路5と、第3の線欠陥導波路8と第2の線欠陥導波路11とがこの順序で、誘電体円柱の太さが連続的になるように接続された1組の導波路を含む。

    第1の線欠陥導波路5と第2の線欠陥導波路11は共に群速度が小さく、かつ、、同一の波長に対する群速度分散が逆の符号を有するようにすることができる。 図2に示した柱型正方格子フォトニック結晶では、第1の線欠陥導波路5の誘電体柱に比べて、第2の線欠陥導波路11の誘電体柱が細い。 このような場合、第1の線欠陥導波路5の導波モードの波長数帯域に比べて、第2の線欠陥導波路11の導波モードの波長数帯域は、相対的に短波長側にシフトしている。 更に、線欠陥に含まれる誘電体円柱が周囲の誘電体円柱と比較して細い線欠陥導波路においては、その導波モードの波長帯域の短波長側で正常分散(値が負)を示し、長波長側で異常分散(値が正)を示す。 従って、第1の線欠陥導波路5と第2の線欠陥導波路11との導波モードの波長帯域が重なる波長範囲において、第1の線欠陥導波路が正常分散を示し、かつ、第2の線欠陥導波路が異常分散を示すようにすることができる。 このとき、第1の線欠陥導波路5と第2の線欠陥導波路11との群速度分散の間において、正負の値同士が打ち消し合う効果が生じるため、図2の光遅延器全体として群速度分散を無くす(相殺する)ことができる。

    群速度分散の値は導波路の導波方向の長さに比例するため、第1の線欠陥導波路5及び第2の線欠陥導波路11の長さを適当に選んだ場合、図2の光遅延器全体として、正負いずれの値の群速度分散を有する光遅延器をも作製することができる。

    第1の線欠陥導波路5と第2の線欠陥導波路11の導波光は共に線欠陥の近傍に閉じ込められつつ導波される。 このとき、両導波路における、光の電磁界の広がり方や電界と磁界の比は異なる。 したがって、第1の線欠陥導波路5と第2の線欠陥導波路11との間に両者を緩やかに結ぶ(接続する)第3の線欠陥導波路8を挿入する。 これによって、第1の線欠陥導波路5と第2の線欠陥導波路11との間の導波光の反射や損失を低減している。

    第3の線欠陥導波路8の導波方向の長さは、格子の周期の5周期以上であることが好ましい。 これによって、第3の線欠陥導波路8による反射と損失を十分に低減することができる。

    次に、実施例1の光制御素子の製造方法を説明する。

    製造にはシリコン・オン・インシュレーター(Si on Insulator wafer、SOI)基板を用いることができる。 SOI基板は、シリコン基板の上に埋め込み酸化膜と呼ばれる二酸化シリコンの薄膜を形成し、更にその上にシリコン活性層と呼ばれるシリコンの薄膜を形成したものである。

    最上層のシリコン活性層の上にフォトレジストを塗布し、リソグラフィーにより図2のフォトニック結晶光制御素子のパターンを形成する。 フッ素系のシリコン・ドライエッチング装置を用いて、シリコン活性層を垂直にエッチングし、シリコンを柱状に加工する。 フォトレジストを除去した後、二酸化シリコンまたは二酸化シリコンと同じ屈折率を有する光学樹脂によってシリコン柱を埋め込むことによって、図2の光制御素子が完成する。

    次に、第2の実施例について説明する。

    第1の実施例(図2)では、例として、誘電体柱の断面形状を円とした。 しかし、本発明の効果が生じるためには、断面形状は必ずしも円である必要は無い。 また、第1の線欠陥導波路と第2の線欠陥導波路の間で、柱の太さを変化させるのではなく、柱の形状を変化させるのみによって、小さい群速度を保持しつつ、群速度分散の効果を逆にすることができる。

    すなわち、図5を参照すると、本実施例における光制御素子は、柱型正方格子フォトニック結晶における線欠陥導波路を有する光制御素子(光遅延器)である。 光制御素子は、誘電体柱の断面形状が円である第1の線欠陥導波路32と、誘電体柱の断面形状が正方形である第2の線欠陥導波路38と、誘電体柱の断面形状が円から正方形へと導波路の方向に徐々に変化している第3の線欠陥導波路35とを備える。 また、光制御素子は、第1の線欠陥導波路32と、第3の線欠陥導波路35と第2の線欠陥導波路38とが、この順序に柱の断面形状が段階的に変化するように接続されたものであることが好ましい。

    製作の容易さの観点から、例えば、四と円との間で断面形状を変化させることが好ましい。

    第3の線欠陥導波路35の導波方向の長さは、格子の周期の5周期分以上とすることが好ましい。 このようにすると、第1および第3の線欠陥導波路(32、35)の間の界面もしくは第2および第3の線欠陥導波路(38、35)の間の界面又は第3の線欠陥導波路35における反射や損失を少なくすることができる。

    第2の実施例の製造方法は、第1の実施例の製造方法と基本的に同じである。

    すなわち、厚さ1μmのシリコン活性層を有するSOI基板上に電子線フォトレジストをスピンコーターで塗布し、電子線露光装置を用いて図5のパターンを描画する。 格子の周期は、例えば0.4μmである。 一例として、第1の線欠陥導波路32における線欠陥に含まれない円柱の直径は0.24μm、線欠陥に含まれる円柱の直径は0.16μmである。 また、一例として、第2の線欠陥導波路38における線欠陥に含まれない四角柱の一辺は0.24μm、線欠陥に含まれる四角柱の一辺は0.1μmである。 六フッ化イオウと八フッ化四炭素の混合ガスを用いたドライエッチング装置でシリコンの活性層を垂直方向に加工する。 フォトレジストを有機洗浄で除去した後、熱CVD装置を用いて二酸化シリコンを成膜する。 以上の製造方法に基づいて、図5に示した光制御素子を形成することができる。

    本発明による、小型かつ高速信号処理に適した光遅延器(光制御素子)は光集積回路の素子の1つとして搭載することができる。 したがって、本発明は光集積回路の集積度の向上、ひいては、光集積回路の適用範囲の拡大に寄与する。
    本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。 また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。

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