マッハツェンダ型光変調器、マッハツェンダ型光変調方法、光送信器、光変調器、光送信装置、および光受信装置

申请号 JP2008530818 申请日 2007-05-11 公开(公告)号 JPWO2008023480A1 公开(公告)日 2010-01-07
申请人 日本電気株式会社; 发明人 鈴木 明; 明 鈴木;
摘要 光分岐回路(21)により2つに分岐された入 力 光 信号 (31)の一方の 光信号 を、位相変調器(22)により電気信号Saに基づいて位相変調した後、電気信号Saの逆論理信号Sbを、位相変調器(22)での過渡応答時間、または電気信号Saの立上り時間および立下り時間、より短い所定の遅延時間τだけ遅延させた電気信号Scに基づいて、位相変調器(23)により、位相変調器(22)より小さくかつ逆極性で位相変調し、位相変調器(23)で得られた光信号と入力光信号の他方の光信号とを光合波回路(24)で合波することによりパルス状の出力光信号(36)を出力する。
权利要求
  • 入力光信号を2つに分岐する光分岐回路と、
    前記光分岐回路で分岐された一方の光信号を、第1の電気信号に基づいて位相変調して出力する第1の位相変調器と、
    前記第1の電気信号の逆論理信号を、前記第1の位相変調器での過渡応答時間、または前記第1の電気信号の立上り時間および立下り時間、より短い所定の遅延時間だけ遅延した第2の電気信号に基づいて、前記第1の光変調器からの光信号を前記第1の位相変調器より小さくかつ逆極性で位相変調して出力する第2の位相変調器と、
    前記光分岐回路で分岐された他方の光信号と前記第2の位相変調器からの光信号とを合波することによりパルス状の出力光信号を出力する光合波回路と を備えることを特徴とするマッハツェンダ型光変調器。
  • 請求項1に記載のマッハツェンダ型光変調器において、
    前記第1の位相変調器および前記第2の位相変調器での位相変調量の平均値が、前記出力光信号において所望の光強度を得るための位相変調量に等しいことを特徴とするマッハツェンダ型光変調器。
  • 請求項1に記載のマッハツェンダ型光変調器において、
    前記第1の位相変調器の位相変調量は、前記出力光信号における所望の光変調度を得るための位相変調量φと、前記第1の位相変調器での過渡応答時間、または前記第1の電気信号の立上り時間および立下り時間を補償する所定の位相補償量Δθとの和からなり、
    前記第2の位相変調器の位相変調量は、位相補償量−Δθからなる ことを特徴とするマッハツェンダ型光変調器。
  • 請求項1に記載のマッハツェンダ型光変調器において、
    前記第1の電気信号はRZ符号の電気信号からなり、
    前記光合波回路は、前記出力光信号として振幅が等しく周波数チャープの符号が反対の2連パルスを出力する ことを特徴とするマッハツェンダ型光変調器。
  • 請求項1に記載のマッハツェンダ型光変調器において、
    前記第2の位相変調器は複数の位相変調部からなり、これら位相変調部の時間遅延が、前記第1の位相変調器の過渡応答時間、または前記第1の電気信号の立上りおよび立下り時間、よりも短い時間の範囲内で互いに異なることを特徴とするマッハツェンダ型光変調器。
  • 請求項1に記載のマッハツェンダ型光変調器において、
    前記入力光信号は、複数の時間チャンネルが多重化された光信号からなり、
    前記第1の電気信号は所定周期のクロック信号からなり、
    前記光合波回路は、前記出力光信号として、前記入力光信号から前記クロック信号に同期する前記時間チャンネルの光パルスを分離出力する ことを特徴とするマッハツェンダ型光変調器。
  • 2つに分岐された入力光信号の一方の光信号を、第1の電気信号に基づいて第1の位相変調をした後、第2の電気信号に基づいて前記第1の位相変調より小さくかつ逆極性で第2の位相変調をし、前記第2の位相変調で得られた光信号と前記連続光信号の他方の光信号とを合波することによりパルス状の出力光信号を出力し、
    前記第2の電気信号は、前記第1の電気信号の逆論理信号を、前記第1の位相変調器での過渡応答時間、または前記第1の電気信号の立上り時間および立下り時間、より短い所定の遅延時間だけ遅延させた電気信号からなる ことを特徴とするマッハツェンダ型光変調方法。
  • 請求項7に記載のマッハツェンダ型光変調方法において、
    前記第1の位相変調および前記第2の位相変調での位相変調量の平均値が、前記出力光信号における所望の光強度を得るための光強度位相変調量に等しいことを特徴とするマッハツェンダ型光変調方法。
  • 請求項7に記載のマッハツェンダ型光変調方法において、
    前記第1の位相変調の位相変調量は、前記出力光信号における所望の光変調度を得るための位相変調量φと、前記第1の位相変調での過渡応答時間、または前記第1の電気信号の立上り時間および立下り時間を補償する所定の位相補償量Δθとの和からなり、
    前記第2の位相変調の位相変調量は、位相補償量−Δθからなる ことを特徴とするマッハツェンダ型光変調方法。
  • 請求項7に記載のマッハツェンダ型光変調方法において、
    前記第1の電気信号はRZ符号の電気信号からなり、前記出力光信号として振幅が等しく周波数チャープの符号が反対の2連パルスを出力することを特徴とするマッハツェンダ型光変調方法。
  • 請求項7に記載のマッハツェンダ型光変調方法において、
    前記第2の位相変調は複数の位相変調からなり、これら位相変調の時間遅延が、前記第2の位相変調の過渡応答時間、または前記第1の電気信号の立上りおよび立下り時間よりも短い時間の範囲内で互いに異なることを特徴とするマッハツェンダ型光変調方法。
  • 請求項7に記載のマッハツェンダ型光変調方法において、
    前記入力光信号は、複数の時間チャンネルが多重化された光信号からなり、前記第1の電気信号は所定周期のクロック信号からなり、前記出力光信号として、前記入力光信号から前記クロック信号に同期する前記時間チャンネルのパルスを分離出力することを特徴とするマッハツェンダ型光変調方法。
  • 連続光信号を出力するレーザ光源と、
    前記連続光信号を入力光信号とする請求項1に記載のマッハツェンダ型光変調器と、
    前記マッハツェンダ型光変調器へ入力する電気信号の逆論理信号を、前記マッハツェンダ型光変調器の第1の位相変調器での過渡応答時間、または前記電気信号の立上り時間および立下り時間、より短い所定の遅延時間だけ遅延させることにより、前記マッハツェンダ型光変調器へ入力する第2の電気信号を出力する電気遅延回路と、
    前記マッハツェンダ型光変調器からの出力光信号の片側の側波帯成分を取り出す光フィルタと を備えることを特徴とする光送信器。
  • 請求項13に記載の光送信器において、
    前記マッハツェンダ型光変調器から出力される出力光信号の周波数チャープ量が前記光フィルタから出力される光信号のパルス幅のフーリエ変換値よりも大きい値からなることを特徴とする光送信器。
  • 請求項13に記載の光送信器において、
    前記光フィルタはバンドパス型透過特性を有し、その中心周波数が前記レーザ光源からの連続光信号の周波数から高周波数側または低周波数側へシフトした値からなることを特徴とする光送信器。
  • 請求項13に記載の光送信器において、
    前記光フィルタはn次(nは正数)のガウス関数で近似される透過特性を有することを特徴とする光送信器。
  • 請求項13に記載の光送信器において、
    前記光フィルタの透過スペクトル帯域幅がRZ符号の光パルス幅のフーリエ変換値よりも大きい値からなることを特徴とする光送信器。
  • 所望の時間チャンネルに同期したクロック信号からなる第1の電気信号に基づいて、複数の時間チャンネルが多重化された入力光信号から所望の時間チャンネルの光パルスを時間分離して出力する請求項1に記載のマッハツェンダ型光変調器と、
    前記第1の電気信号の逆論理信号を、前記マッハツェンダ型光変調器の第1の位相変調器での過渡応答時間、または前記第1の電気信号の立上り時間および立下り時間、より短い所定の遅延時間だけ遅延させることにより、前記マッハツェンダ型光変調器へ入力する第2の電気信号を出力する電気遅延回路と を備えることを特徴とする光変調器。
  • 連続光信号を出力するレーザ光源と、
    m(mは正数)個の時間チャンネルと2つの周波数チャンネルに多重化される2×m個の通信チャンネルごとに、前記連続光信号を分岐する光分岐回路と、
    前記通信チャンネルごとに設けられ、前記光分岐回路からの光信号をそれぞれの電気信号に基づき位相変調する請求項1に記載のマッハツェンダ型光変調器と、
    前記通信チャンネルごとに設けられ、当該通信チャンネルのマッハツェンダ型光変調器からの出力光信号を、当該通信チャンネルの時間チャンネルに応じた時間だけ遅延させる光遅延回路と、
    前記一方の周波数チャンネルに対応して設けられ、当該周波数チャンネルに属するm個の通信チャンネルの光遅延回路からの出力光信号を合波する第1の光合波回路と、
    前記他方の周波数チャンネルに対応して設けられ、当該周波数チャンネルに属するm個の通信チャンネルの光遅延回路からの出力光信号を合波する第2の光合波回路と、
    前記第1の光合波回路からの出力光信号の高周波側側波帯成分を取り出す第1の光フィルタと、
    前記第2の光合波回路からの出力光信号の低周波側側波帯成分を取り出す第2の光フィルタと、
    前記第1および第2の光フィルタからの出力光信号を合波する光合波回路と を備えることを特徴とする光送信装置。
  • 連続光信号を出力するレーザ光源と、
    m(mは正数)個の時間チャンネルと2つの周波数チャンネルに多重化される2×m個の通信チャンネルごとに、前記連続光信号を分岐する光分岐回路と、
    前記通信チャンネルごとに設けられ、前記光分岐回路からの光信号をそれぞれの電気信号に基づき位相変調する請求項1に記載のマッハツェンダ型光変調器と、
    前記通信チャンネルごとに設けられ、当該通信チャンネルのマッハツェンダ型光変調器からの出力光信号を、当該通信チャンネルの時間チャンネルに応じた時間だけ遅延させる光遅延回路と、
    前記一方の周波数チャンネルに属するm個の通信チャンネルごとに設けられ、当該通信チャンネルの光遅延回路からの出力光信号からの高周波側側波帯成分を取り出す第1の光フィルタと、
    前記他方の周波数チャンネルに属するm個の通信チャンネルごとに設けられ、当該通信チャンネルの光遅延回路からの出力光信号からの低周波側側波帯成分を取り出す第2の光フィルタと、
    前記一方の周波数チャンネルに対応して設けられ、当該周波数チャンネルに属するm個の第1の光フィルタからの出力光信号を合波する第1の光合波回路と、
    前記他方の周波数チャンネルに対応して設けられ、当該周波数チャンネルに属するm個の第2の光フィルタからの出力光信号を合波する第2の光合波回路と、
    前記第1および第2の光合波回路からの出力光信号を合波する光合波回路と を備えることを特徴とする光送信装置。
  • m(mは正数)個の時間チャンネルと2つの周波数チャンネルとが多重化された2×m個の通信チャンネルを持つ受信光信号を、前記周波数チャンネルごとに分岐する光分岐回路と、
    前記一方の周波数チャンネルに対応して設けられ、前記光分岐回路からの光信号の高周波側側波帯成分を取り出す第1の光フィルタと、
    前記他方の周波数チャンネルに対応して設けられ、前記光分岐回路からの光信号の低周波側側波帯成分を取り出す第2の光フィルタと、
    当該通信チャンネルに応じた時間位置のパルスを含む出力光信号を分離する請求項6に記載のマッハツェンダ型光変調器と、
    当該マッハツェンダ型光変調器からの出力光信号の当該通信チャンネルに応じた時間位置から、当該通信チャンネルに対応する光パルスからなる出力光信号を分離出力する時間分離スイッチと を備えることを特徴とする光受信装置。
  • m(mは正数)個の時間チャンネルと2つの周波数チャンネルとが多重化された2×m個の通信チャンネルを持つ受信光信号を、前記周波数チャンネルごとに分岐する光分岐回路と、
    前記一方の周波数チャンネルに対応して設けられ、前記光分岐回路からの光信号の高周波側側波帯成分を取り出す第1の光フィルタと、
    前記他方の周波数チャンネルに対応して設けられ、前記光分岐回路からの光信号の低周波側側波帯成分を取り出す第2の光フィルタと、
    当該2つの通信チャンネルに応じた時間位置から、これら通信チャンネルごとに当該光パルスからなる出力光信号を分離出力する請求項6に記載のマッハツェンダ型光変調器と を備えることを特徴とする光受信装置。
  • 说明书全文

    本発明は、光ファイバ通信技術に関し、特に光送信器および光通信装置の高速大容量化技術に関する。

    ブロードバンド接続の普及やアクセス手段の多様化等によるトラフィックの増加に対応するため、光ファイバ伝送システムでは、光信号を時間領域で多重化して伝送する時間多重伝送技術や、光信号を波長領域で多重化して伝送する波長多重伝送技術が開発され実用化されている。
    例えば、基幹伝送系においては、波長数100以上、総伝送容量が1Tbits/sを超える波長多重光伝送装置が実用化されている。 また、伝送容量をさらに上げるために、1波長あたりのビットレートを10Gbits/sから40Gbits/sへ上げる技術の開発が進められ実用化されつつある。 さらに、アクセス系や基幹伝送系のみならずサーバ等の装置間のデータ伝送や装置内のボード間のデータ伝送等においてもその大容量化が進められている。

    これらのデータ伝送では、いずれにおいても、光通信装置の小型化および低消費電化に加えて、低価格化も求められる。
    光通信装置において、その占有体積と消費電力の大部分を占めるのは電子回路の部分である。 近年、電子回路部品は化合物半導体ではなくシリコン半導体が主として用いられている。 したがって、送信側で光を変調し、受信側で電気信号を復調する光デバイスもシリコン半導体による電子回路に整合するものである必要がある。

    1波長あたり10Gbits/sを超えるデータ伝送においては、光変調器が用いられており、既に、化合物半導体やニオブ酸リチウムによる光変調器が開発されている。 しかしながら、これらの光変調器は価格が高価、あるいはサイズが大きいといった問題があり、最近では、セラミックスやシリコン半導体、さらにはシリコン基板上のセラミックスといった新しい材料が注目され、これらを用いた光変調器の研究開発がすすめられている。

    セラミックスやシリコン半導体といった材料はごくありふれた材料であり、また、微細加工技術も成熟しており、低価格の光変調器を実現できる。 しかしながら、セラミックスは誘電率が非常に大きい、シリコン半導体は結晶構造の対象性より空乏層キャリアを利用する以外に屈折率制御の手段がないといった、材料上の特性より光変調器自体が静電容量を持つため高速化が難しく、10Gbits/sから20Gbits/s程度が限界と考えられている。

    従来、レーザ光源に接続されたマッハツェンダ型光変調器の一方のアーム(光導波路)に位相変調器を挿入し、位相変調量を2πとすることにより位相変調器の駆動パルスの立ち上がりと立下りにおいて短いパルスを発生する技術が提案されている(例えば、特許3563027号公報、特開2003−21817号公報、特開2004−80462号公報、または特開2005−241902号公報など参照)。

    図13は、従来のマッハツェンダ型光変調器を示すブロック図である。 このマッハツェンダ型光変調器9では、連続レーザ光からなる入力光信号91は光分岐回路92により2つのアームに分岐され、このうち一方のアームには位相変調器93が挿入されており、この位相変調器93からの光信号と他方のアームからの光信号とが光合波回路94により合波されている。 位相変調器93は、RZ符号の電気信号95によりV 0からV までの駆動電圧を印加することにより2π位相変調を行う。 これにより、光合波回路94からパルス状の出力光信号96が得られ、この後、ビットインターリーブの手法により時間多重される。

    実際の光変調器は素子自体が静電容量を持っているため、その応答速度は有限であり理想的な応答特性ではない。 しかしながら、従来のマッハツェンダ型光変調器を用いた変調方式では、光変調器の持つ静電容量による過渡応答特性が考慮されていない。 マッハツェンダ型光変調器の一方のアームを2π位相変調することにより短パルスを発生する方法は、駆動パルスの立上りと立下り波形および光変調器の過渡応答特性に敏感なため、この対策は特に重要である。

    したがって、電気信号の立上りおよび立下り特性および位相変調器の過渡応答特性により出力光パルスの波形が決まるため、前述した従来技術によれば、電気信号として入力されるRZ符号のマーク符号に対して、完全には分離されない2連パルスが発生する。 このため、光パルスの周波数チャープを利用して、これら2連パルスから単一パルスを切り出した際、その光パルスのパルス幅は拡がる。 したがって、そのままビットインターリーブにより時間多重すると著しい符号間干渉が生じてしまい、高速大容量伝送には適用できないという問題点があった。

    図14は、図13の光パルス発生装置の位相変調動作を示す信号波形図である。
    一般に、光信号を位相変調する位相変調器は、図14に示すような、周期が2倍の正弦関数で表される光変調特性97を有している。 この光変調特性97において、電気信号95の駆動電圧が位相変調量ゼロに相当する電圧V 0から位相変調量πに相当する電圧V πまで変化した場合、出力光信号96の光信号強度が徐々に上昇しV πで最大となる。 その後、駆動電圧がV πから位相変調量2πに相当する電圧V まで変化した場合、出力光信号96の光信号強度が徐々に低下しV で最小となる。

    このような光変調特性97を有する位相変調器において、電気信号95のビットレートの4倍の光パルス信号を得るためには、符号間隔の1/8以下の急峻な立上りおよび立下り応答特性を電気回路と光変調器を含めた全体で実現する必要がある。 そのためには電気回路と光変調器を含めた全体の帯域がビットレートの4倍以上必要である。
    ところが、4倍の帯域があれば電気信号自体のビットレートを4倍上げることが可能な筈であり、従来技術により開示された方法を用いる必要はないことになる。

    別の見方をすれば、電気回路と光変調器を含めた全体の帯域がビットレートに相当する帯域特性を持つ場合、マッハツェンダ型光変調器の片側のアームを2π位相変調を行うとマッハツェンダ型光変調器から出力される光パルスは切れ目なく繋がってしまう。 したがって、ビットインターリーブにより時間多重すると著しい符号間干渉が生じ、光電気信号の伝送には使用できない。

    本発明はこのような課題を解決するためのものであり、光変調器自体の動作速度がそれほど高速でなくても、高速大容量の光信号伝送を実現できる光送信器および光通信装置を提供することを目的としている。

    このような目的を達成するために、本発明にかかるマッハツェンダ型光変調器は、入力光信号を2つに分岐する光分岐回路と、光分岐回路で分岐された一方の光信号を、第1の電気信号に基づいて位相変調して出力する第1の位相変調器と、第1の電気信号の逆論理信号を、第1の位相変調器での過渡応答時間、または第1の電気信号の立上り時間および立下り時間、より短い所定の遅延時間だけ遅延した第2の電気信号に基づいて、第1の光変調器からの光信号を第1の位相変調器より小さくかつ逆極性で位相変調して出力する第2の位相変調器と、光分岐回路で分岐された他方の光信号と第2の位相変調器からの光信号とを合波することによりパルス状の出力光信号を出力する光合波回路とを備えている。

    また、本発明にかかるマッハツェンダ型光変調方法は、2つに分岐された入力光信号の一方の光信号を、第1の電気信号に基づいて第1の位相変調をした後、第2の電気信号に基づいて第1の位相変調より小さくかつ逆極性で第2の位相変調をし、第2の位相変調で得られた光信号と連続光信号の他方の光信号とを合波することによりパルス状の出力光信号を出力し、第2の電気信号は、第1の電気信号の逆論理信号を、第1の位相変調器での過渡応答時間、または第1の電気信号の立上り時間および立下り時間、より短い所定の遅延時間だけ遅延させた電気信号からなる。

    また、本発明にかかる光送信器は、連続光信号を出力するレーザ光源と、連続光信号を入力光信号とする上記(請求項1)記載のマッハツェンダ型光変調器と、マッハツェンダ型光変調器へ入力する電気信号の逆論理信号を、マッハツェンダ型光変調器の第1の位相変調器での過渡応答時間、または電気信号の立上り時間および立下り時間、より短い所定の遅延時間だけ遅延させることにより、マッハツェンダ型光変調器へ入力する第2の電気信号を出力する電気遅延回路と、マッハツェンダ型光変調器からの出力光信号の片側の側波帯成分を取り出す光フィルタとを備える。

    また、本発明にかかる光変調器は、所望の時間チャンネルに同期したクロック信号からなる第1の電気信号に基づいて、複数の時間チャンネルが多重化された入力光信号から所望の時間チャンネルの光パルスを時間分離して出力する上記(請求項1)記載のマッハツェンダ型光変調器と、第1の電気信号の逆論理信号を、マッハツェンダ型光変調器の第1の位相変調器での過渡応答時間、または第1の電気信号の立上り時間および立下り時間、より短い所定の遅延時間だけ遅延させることにより、マッハツェンダ型光変調器へ入力する第2の電気信号を出力する電気遅延回路とを備える。

    また、本発明にかかる光送信装置は、連続光信号を出力するレーザ光源と、m(mは正数)個の時間チャンネルと2つの周波数チャンネルに多重化される2×m個の通信チャンネルごとに、連続光信号を分岐する光分岐回路と、通信チャンネルごとに設けられ、光分岐回路からの光信号をそれぞれの電気信号に基づき位相変調する上記(請求項1)記載のマッハツェンダ型光変調器と、通信チャンネルごとに設けられ、当該通信チャンネルのマッハツェンダ型光変調器からの出力光信号を、当該通信チャンネルの時間チャンネルに応じた時間だけ遅延させる光遅延回路と、一方の周波数チャンネルに対応して設けられ、当該周波数チャンネルに属するm個の通信チャンネルの光遅延回路からの出力光信号を合波する第1の光合波回路と、他方� �周波数チャンネルに対応して設けられ、当該周波数チャンネルに属するm個の通信チャンネルの光遅延回路からの出力光信号を合波する第2の光合波回路と、第1の光合波回路からの出力光信号の高周波側側波帯成分を取り出す第1の光フィルタと、第2の光合波回路からの出力光信号の低周波側側波帯成分を取り出す第2の光フィルタと、第1および第2の光フィルタからの出力光信号を合波する光合波回路とを備える。

    また、本発明にかかる他の光送信装置は、連続光信号を出力するレーザ光源と、m(mは正数)個の時間チャンネルと2つの周波数チャンネルに多重化される2×m個の通信チャンネルごとに、連続光信号を分岐する光分岐回路と、通信チャンネルごとに設けられ、光分岐回路からの光信号をそれぞれの電気信号に基づき位相変調する上記(請求項1)記載のマッハツェンダ型光変調器と、通信チャンネルごとに設けられ、当該通信チャンネルのマッハツェンダ型光変調器からの出力光信号を、当該通信チャンネルの時間チャンネルに応じた時間だけ遅延させる光遅延回路と、一方の周波数チャンネルに属するm個の通信チャンネルごとに設けられ、当該通信チャンネルの光遅延回路からの出力光信号からの高周波側側波帯成分を取り出す第� �の光フィルタと、他方の周波数チャンネルに属するm個の通信チャンネルごとに設けられ、当該通信チャンネルの光遅延回路からの出力光信号からの低周波側側波帯成分を取り出す第2の光フィルタと、一方の周波数チャンネルに対応して設けられ、当該周波数チャンネルに属するm個の第1の光フィルタからの出力光信号を合波する第1の光合波回路と、他方の周波数チャンネルに対応して設けられ、当該周波数チャンネルに属するm個の第2の光フィルタからの出力光信号を合波する第2の光合波回路と、第1および第2の光合波回路からの出力光信号を合波する光合波回路とを備える。

    また、本発明にかかる光受信装置は、m(mは正数)個の時間チャンネルと2つの周波数チャンネルとが多重化された2×m個の通信チャンネルを持つ受信光信号を、周波数チャンネルごとに分岐する光分岐回路と、一方の周波数チャンネルに対応して設けられ、光分岐回路からの光信号の高周波側側波帯成分を取り出す第1の光フィルタと、他方の周波数チャンネルに対応して設けられ、光分岐回路からの光信号の低周波側側波帯成分を取り出す第2の光フィルタと、当該通信チャンネルに応じた時間位置のパルスを含む出力光信号を分離する上記(請求項6)記載のマッハツェンダ型光変調器と、当該マッハツェンダ型光変調器からの出力光信号の当該通信チャンネルに応じた時間位置から、当該通信チャンネルに対応する光パルスから� �る出力光信号を分離出力する時間分離スイッチとを備える。

    また、本発明にかかる他の光受信装置は、m(mは正数)個の時間チャンネルと2つの周波数チャンネルとが多重化された2×m個の通信チャンネルを持つ受信光信号を、周波数チャンネルごとに分岐する光分岐回路と、一方の周波数チャンネルに対応して設けられ、光分岐回路からの光信号の高周波側側波帯成分を取り出す第1の光フィルタと、他方の周波数チャンネルに対応して設けられ、光分岐回路からの光信号の低周波側側波帯成分を取り出す第2の光フィルタと、当該2つの通信チャンネルに応じた時間位置から、これら通信チャンネルごとに当該光パルスからなる出力光信号を分離出力する上記(請求項6)記載のマッハツェンダ型光変調器とを備える。

    本発明にかかるマッハツェンダ型光変調器およびマッハツェンダ型光変調方法によれば、光変調器自体の動作速度がそれほど高速でない現状のものを利用して、符号間干渉がなく、電気信号の立上りおよび立下り特性や位相変調器の過渡応答特性を補償した良好な波形の2連パルスを生成でき、同時に大きな周波数チャープを生成することができる。
    これにより、出力光信号の周波数チャープ量をパルス幅のフーリエ変換値よりも大きい値に設定することができるため、光フィルタを用いた簡単な構成によりフーリエ変換限界に近い高品質なRZ符号光電気信号を生成でき、符号間干渉のない高速大容量の光電気信号の伝送が可能になる。

    また、本発明にかかる光送信器によれば、ビットレートに対して帯域が大幅に不足している位相変調器に対しても適用することが可能であり、その帯域特性を補償し良好な変調波形と周波数チャープ特性を得ることができる。

    また、本発明にかかる光変調器によれば、光変調器自体の動作速度がそれほど高速でない現状のものを利用して、符号間干渉がなく、電気信号の立上りおよび立下り特性や位相変調器の過渡応答特性を補償した良好な波形で、所望の時間位置から光パルスを時間分離することができる。 したがって、高いレートでビットインターリーブされた高速大容量の光電気信号から、任意の時間チャンネルの光パルスを時間分離することができる。

    また、本発明にかかる光送信装置や光受信装置によれば、位相変調器の帯域が25GHzであっても4チャンネルの時間多重と2チャンネルの周波数多重の組合わせにより1波長の1光源で200Gbits/sの高速大容量伝送が実現できる。 また、多重化による符号間干渉およびビート雑音発生に起因する受信レベルのペナルティも1〜2dB程度に抑制できる。

    図1は、本発明の第1の実施例にかかる光送信器の構成を示すブロック図である。

    図2は、本発明の位相変調方式の原理を示す信号波形図である。

    図3は、本発明の位相変調動作の原理を示す信号波形図である。

    図4は、本発明の第1の実施例に対応する従来の光送信器の動作を示す信号波形図である。

    図5は、本発明の第1の実施例にかかる光送信器の動作を示す信号波形図である。

    図6は、本発明の第2の実施例に対応する従来の光送信器の動作を示す信号波形図である。

    図7は、本発明の第2の実施例にかかる光送信器の動作を示す信号波形図である。

    図8は、本発明の第3の実施例にかかる光変調器の構成を示すブロック図である。

    図9は、本発明の第4の実施例にかかる光送信装置の構成を示すブロック図である。

    図10は、本発明の第4の実施例にかかる他の光送信装置の構成を示すブロック図である。

    図11は、本発明の第5の実施例にかかる光受信装置の構成を示すブロック図である。

    図12は、本発明の第5の実施例にかかる他の光受信装置の構成を示すブロック図である。

    図13は、従来のマッハツェンダ型光変調器を示すブロック図である。

    図14は、図13の光パルス発生装置の位相変調動作を示す信号波形図である。

    次に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
    [第1の実施例]
    まず、図1を参照して、本発明の第1の実施例にかかる光送信器について説明する。 図1は、本発明の第1の実施例にかかる光送信器の構成を示すブロック図である。
    この光送信器10は、連続レーザ光からなる入力光信号を電気信号により位相変調して光パルス出力信号を出力する通信装置であり、レーザ光源11、マッハツェンダ型光変調器12、電気遅延回路13、および光フィルタ14から構成されている。

    レーザ光源11は、レーザ光発生回路からなり、発生させた連続レーザ光を入力光信号31として出力する機能を有している。
    マッハツェンダ型光変調器12は、電気光学効果等を利用した光変調回路からなり、レーザ光源11からの入力光信号31を電気信号によりマッハツェンダ型光変調方式で光強度変調および光位相変調し、パルス状の出力光信号36を出力する機能を有している。

    電気遅延回路13は、一般的な遅延回路からなり、電気信号(第1の電気信号)Saの逆論理信号Sbを遅延時間τだけ遅延させ、電気信号(第2の電気信号)Scとして出力する機能を有している。 遅延時間τとしては、後述するマッハツェンダ型光変調器12内の位相変調器22の過渡応答時間、または電気信号Saの立上りおよび立下り時間、よりも短い時間長が用いられる。 なお、逆論理信号Sbについては、例えば差動出力型の論理回路を用いることにより、電気信号Saと同期し、かつ逆論理の逆論理信号Sbを得ることができる。

    光フィルタ14は、1次のガウス関数で近似されるバンドパス型の透過特性を持つ光フィルタ回路からなり、マッハツェンダ型光変調器12から出力された出力光信号36のうち、片側の側波帯の信号成分のみ透過させ、出力光信号37として出力する機能を有している。 この際、光フィルタ14の中心周波数はレーザ光源11の周波数より所定周波数だけ高周波側にシフトしており、その帯域幅はRZ符号の光パルス幅のフーリエ変換値よりも大きい。

    マッハツェンダ型光変調器12は、光分岐回路21、位相変調器(第1の位相変調器)22、位相変調器(第2の位相変調器)23、および光合波回路24から構成されている。
    光分岐回路21は、光導波路やバルク回路部品からなり、入力された入力光信号31を入力光信号32,33の2つに分岐して異なるアーム(光導波路)から出力する機能を有している。
    光合波回路24は、光導波路やバルク回路部品からなり、光分岐回路21からの入力光信号32と位相変調器23からの光信号35を合波し、出力光信号36として出力する機能を有している。

    位相変調器22は、光分岐回路21の一方のアームに接続されて、RZ(Return to Zero)符号の電気信号(第1の電気信号)Saを駆動電気信号として、V 0からV φ+Δθまでの駆動電圧を印加することにより、光分岐回路21からの入力光信号33をφ+Δθだけ位相変調した光信号34を出力する機能を有している。 V 0はマッハツェンダ型光変調器の光出力が最小となる駆動電圧、φは入力光信号33に与える位相変調量である。 以下では、入力光信号33について最大の光変調度を得るためにV 0として光出力がゼロとなる駆動電圧を用い、位相変調量φとして2πを用いる場合を例として説明するが、これに限定されるものではなく、V 0やφの値は所望の光信号強度あるいは光強度に応じて選択すればよい。 Δθ(>0)は、位相変調器22での過渡応答時や、電気信号Saの立上り時間および立下り時間を補償するための位相補償量である。

    位相変調器23は、位相変調器22の出力に接続されて、電気遅延回路13からの電気信号(第2の電気信号)Scを駆動電気信号として、V 0からV -Δθまでの駆動電圧を印加することにより、位相変調器22からの光信号34を−Δθ(<0)だけ位相変調した光信号35を出力する機能を有している。 この際、位相変調器23で与える位相変調量−Δθは、位相変調器22で与える位相変調量φ+Δθよりも小さくかつ符号が反対の位相量を用いる。 したがって、位相変調器22で与える位相変調量と位相変調器23で与える位相変調量の平均値が、出力光信号36において所望の光変調度あるいは光強度を得るための位相変調量に等しくなるよう、φやΔθを設定すればよい。

    [本発明の位相変調方式の原理]
    次に、図2を参照して、本発明の位相変調方式の原理について説明する。
    図2は、本発明の位相変調方式の原理を示す信号波形図である。 図2において、波形51,51A,52A,53,53Aは、電気信号の立ち上がり時間および立ち下がり時間がゼロで位相変調器の応答速度が無限大である場合の位相変調量の変化を示し、波形51,54Aは、電気信号の立ち上がり時間および立ち下がり時間と、位相変調器の応答速度が有限(実回路)の場合の位相変調量の変化を示している。

    本発明の位相変調方式は、位相変調器を駆動する電気信号波形の過渡期間において、出力光信号パルスにおける所望の光強度に応じた位相変調量φよりΔθだけ多く位相変調した場合、実回路での位相変調波形がより急峻に変化する現象を原理としている。

    図2に示すように、従来の位相変調方式は、波形51に示すように、位相変調器22においてφだけ位相変調し、位相変調器23での位相変調量がゼロの場合に相当する。 このため、位相変調器22と位相変調器23の合成位相変調量は、波形53に示すように波形51と等しい。 したがって、実回路における位相変調器22と位相変調器23の合成位相変調量は、位相変調器22での過渡応答時間や電気信号Saの立上り時間および立下り時間に起因して遅れを生じ、波形54に示すように、その立ち上がりおよび立ち下がり特性はなだらかとなる。

    これに対して、本発明の位相変調方式では、位相変調器22において、波形51Aのようにφ+Δθの位相変調量を用い、位相変調器23において、波形52Aに示すように、−Δθの位相変調量を用いる。 この際、位相変調器23では、位相変調器22より遅延時間τだけ遅れて位相変調を開始する。
    したがって、これら位相変調器22と位相変調器23の合成位相変調量、すなわちマッハツェンダ型光変調器12の両アームの位相差は、波形51Aと波形52Aが合成された波形53Aとなり、その立ち上がりおよび立ち下がりの時点から遅延時間τの期間において、Δθ分だけ多めに位相変調されることになる。

    これにより、電気信号波形の過渡期間長が従来と同じであっても、その過渡期間内に従来よりも多くの位相変調が加えられる。 したがって、実回路における位相変調器22と位相変調器23の合成位相変調量は、波形54Aに示すように、その立ち上がりおよび立ち下がり特性が急峻となる。
    このため、電気信号の立上りおよび立下り特性や位相変調器の過渡応答特性による波形劣化を補償することができる。

    本発明の第1の実施例では、このような過渡期間内に多くの位相変調を加える具体的な構成として、マッハツェンダ型光変調器の一方のアームに位相変調器22と位相変調器23を直列に設け、位相変調器23において位相変調器22より遅延時間τだけ後に位相変調器22より小さくかつ逆極性で位相変調を行うことにより、両位相変調を合成する構成を一例として説明している。 しかし、上記のような原理を実現できるものであれば、他の構成でもよい。 例えば、3つ以上の位相変調器で実現してもよい。

    図3は、本発明の位相変調動作の原理を示す信号波形図である。
    一般に、光信号を位相変調する位相変調器は、図3に示すような、周期が2倍の正弦関数で表される光変調特性55を有している。 この光変調特性55において、位相変調量がゼロからπまで変化した場合、光信号強度が徐々に上昇しπで最大となる。 その後、位相変調量がπから2πまで変化した場合、光信号強度が徐々に低下し2πで最小となる。

    このような光変調特性55を有する位相変調器において、電気信号56に応じた従来の位相変調波形54で位相変調した場合、位相変調波形54の立ち上がりおよび立ち下がりがなだらかであるため、得られる出力光信号57の光パルス幅は大きくなる。 例えば、位相変調波形54の過渡期間が符号間隔Tの半分程度T/2の場合、得られる出力光信号57の光パルス幅もT/2まで拡がる。

    これに対して、前述した本発明の位相変調波形54Aで位相変調した場合、従来と同じ電気信号56を用いた場合でも、位相変調波形54Aの立ち上がりおよび立ち下がりが急峻であるため、得られる出力光信号57の光パルス幅は小さくなる。 例えば、位相変調波形54Aの過渡期間がT/4以下の場合、得られる出力光信号57の光パルス幅もT/4以下となる。 したがって、ビットインターリーブにより時間多重を行う場合であっても、光変調器自体の動作速度がそれほど高速でない現状のものを利用して、符号間干渉のない高速大容量の光信号伝送を実現できる。

    [第1の実施例の動作]
    次に、図4および図5を参照して、本発明の第1の実施例にかかる光送信器の動作について説明する。 図4は、従来の光送信器の動作を示す信号波形図である。 図5は、本発明の第1の実施例にかかる光送信器の動作を示す信号波形図である。
    ここでは、電気信号Saおよび電気信号Scのビットレートを25Gbits/sとした場合を例として説明する。 なお、電気信号Saおよび電気信号Scを生成する電気回路はRZ符号に対応するものであり、通常のRZ電気信号回路と同様に符号間隔の1/3の立上り、立下り応答特性を有する。 また、位相変調器22と位相変調器23の静電容量により決まる帯域はいずれもビットレートに対応した25GHzである。

    レーザ光源11からの入力光信号31は、マッハツェンダ型光変調器12の光分岐回路21で2つの入力光信号32,33に分岐される。 このうち入力光信号33は、位相変調器22へ入力されて、RZ符号の電気信号Saを駆動電気信号としてφ+Δθだけ位相変調され光信号34として出力される。 この光信号34は、位相変調器23へ入力されて、電気遅延回路13で生成されたRZ符号の電気信号Saを駆動電気信号として−Δθだけ位相変調され光信号35として出力される。

    この際、位相変調器23で与える位相変調量は、位相変調器22で与える位相変調量よりも小さくかつ符号が反対である。 このため、電気信号Sa,Scの立上りおよび立下り特性や位相変調器の過渡応答特性を補償した良好な波形の2連パルスが生成されると同時に大きな周波数チャープを生成することができる。
    この後、光信号35と入力光信号32は、光合波回路24に入力されて合波され出力光信号36として出力される。 この出力光信号36は、光フィルタ14に入力されて、その片側の側波帯の信号成分のみ透過し、出力光信号37として出力される。

    [従来の位相変調動作]
    図4には、従来技術に相当する光送信器として、図1の位相変調器22のみを用いて2π位相変調した場合の各部の信号波形が示されており、“1011”パターンのRZ電気信号に対する電気信号Sa,Scの波形、位相変調器22の矩形電気パルスに対する光信号34の過渡応答波形、マッハツェンダ型光変調器12の出力光信号36の波形、マッハツェンダ型光変調器12の出力光信号36の周波数、および光フィルタ14の出力光信号37の波形が示されている。

    これら各波形および周波数特性は、本実施例にかかる光送信器(図1参照)の構成に対し、RZ符号、電気信号波形および位相変調器の静電容量を考慮して高速フーリエ変換法により解析した結果である。
    なお、光フィルタ14は1次のガウス関数で近似されるバンドパス型の透過特性を持ち、その中心周波数はレーザ光源11の周波数より100GHz高周波側にシフトしている。 また、光フィルタ14の帯域幅はRZ符号の光パルス幅のフーリエ変換値よりも大きな100GHzとしている。

    図4のマッハツェンダ型光変調器12の出力光信号36の周波数特性からわかるように、マッハツェンダ型光変調器12から出力される2連光パルスは、高周波側と低周波側に互いに反対方向へチャープしている。 このことを利用して光フィルタ14を用いてチャープしたマッハツェンダ型光変調器12の出力光信号36から高周波側の側波帯成分を切り出すことにより2連パルスを分離し、ビットインターリーブによる時間多重を可能にしている。

    図4に示されているように、電気信号Sa,Scの波形、位相変調器22の応答特性は25Gbits/sの信号に対して各々十分な帯域を持ち、また出力光信号36の波形からわかるように、短光パルス信号を生成できているように一見思われる。
    しかしながら、光フィルタ14により2連光パルスから単一パルスを切り出すと、図4の光フィルタ14の出力光信号37の波形からわかるように、光パルスのパルス幅に拡がりが生じる。

    光フィルタ14により2連光パルスから単一パルスを生成するためには、パルス幅のフーリエ変換値以上のスペクトル幅に相当する一定の周波数チャープが必要である。 例えば、光フィルタ14による生成する光パルスのパルス幅を10psec(ピコ秒)とすると、パルスを生成するために必要な周波数チャープ量は、理想的なガウス関数波形を仮定した場合でフーリエ変換限界より44GHzと計算される。 実際の波形はガウス関数からはずれるためそれより大きな周波数チャープが必要である。

    図4の場合、位相変調器22で2π位相変調するとマッハツェンダ型光変調器12の出力光信号36の位相変調量はπとなる。 したがって、その時間微分で与えられる周波数チャープは25GHzとなり、理想的なガウシアン波形を仮定したとしても周波数チャープに相当するスペクトル幅が不足し、光フィルタ14により片側の側波帯成分を切り取った光パルスはパルス幅が拡がることになる。 図4の光フィルタ14の出力光信号37の波形からも明らかなように、このようなパルス幅が拡がった光信号は時間多重すると符号間干渉が生じるため高速大容量の光信号を伝送することは困難である。

    [本実施形態の位相変調動作]
    このような問題を解消するためには、マッハツェンダ型光変調器12の出力光信号として良好な波形の2連パルス波形を生成すると同時に、十分な周波数チャープを生成しなければならない。
    本実施例は、図1に示すように、マッハツェンダ型光変調器12の一方のアームに挿入された、位相変調器22を2π位相変調する電圧より大きい電圧振幅で駆動して位相変調した後、位相変調器23により位相変調器22とは逆符号の位相変調をかける構成としている。

    これにより、電気信号の立上りおよび立下り特性や位相変調器の過渡応答特性を補償した良好な波形の2連パルスを生成でき、同時に大きな周波数チャープを生成することができる。 したがって、この大きな周波数チャープにより、光フィルタを用いた簡単な構成でフーリエ変換限界に近い高品質なRZ符号光電気信号を生成し、符号間干渉のない高速大容量の光電気信号が伝送可能になる。

    図5には、本実施例にかかる光送信器において、位相補償量Δθをπ/3、遅延時間τを14psecとした場合の各部の信号波形が示されており、“1011”パターンのRZ電気信号に対する電気信号Sa,Scの波形、位相変調器22および位相変調器23全体の駆動電気パルスに対する光信号35の過渡応答波形、マッハツェンダ型光変調器12の出力光信号36の波形、マッハツェンダ型光変調器12の出力光信号36の周波数、光フィルタ14の出力光信号37の波形が示されている。 なお、遅延時間14psecは、位相変調器22の矩形電気パルスに対する過渡応答時間である。

    これら各波形および周波数特性は、図4と同様、本実施例にかかる光送信器(図1参照)の構成に対し、RZ符号、電気信号波形および各位相変調器の応答波形を考慮して高速フーリエ変換法により解析した結果である。
    ここで、位相補償量Δθと遅延時間τは、位相変調器22および位相変調器23の過渡応答時間を補償するように設定されている。

    なお、位相補償量Δθと遅延時間τは、電気信号Saおよび電気信号Scの立上りおよび立下り時間を補償するように設定することも可能である。 また、位相変調器23を複数の位相変調部に分割し、位相変調器22に対する各位相変調部の時間遅延τを位相変調器22の過渡応答時間または電気信号Saの立上りおよび立下り時間よりも短い時間の範囲内で互いに異なる値とすればより最適な調整が可能となる。

    本実施例にかかる光送信器において、位相変調器22で与える位相変調量を2πより大きな7π/3とした場合、位相変調器22および位相変調器23全体の矩形電気パルスに対する光信号35の過渡応答波形において、位相変調量が2πに到達する時間は11psecと従来の約半分に短縮される。 このことにより位相変調量の時間微分で与えられる周波数チャープは2倍の値になる。

    ここで、位相変調量が2πに到達した後の位相変調は、時間遅延14psecの後に位相変調器23により与えられる位相変調量−π/3により相殺され、出力光パルス波形には影響しない。 これはパルス立下りについても同様である。
    なお、本実施例では、遅延時間を11psecでなく14psecとしているが、これは高速フーリエ変換法による解析により最適設計して求めた値で、駆動パルス波形が完全な矩形でなく立上りおよび立下り時間を持つことを厳密に考慮したからである。

    図5のマッハツェンダ型光変調器12の出力光信号36の波形および周波数特性から、位相変調器22と位相変調器23を2段の作動駆動構成としたことにより立上りおよび立下り特性が急峻になり、波形の改善とともに周波数チャープが大きくなっていることがわかる。

    すなわち、位相補償量Δθと遅延時間τを最適化することにより、マッハツェンダ型光変調器12の出力光信号36として、振幅が等しく周波数チャープの符号が反対の2連パルスを出力として得ることができる。 これにより、出力光信号36は、光パルス幅のフーリエ変換値より大きな周波数チャープに相当するスペクトル幅を持つことになる。
    したがって、図5の光フィルタ14の出力光信号37の波形からわかるように、光フィルタ14により出力光信号36の片側の側波帯成分を切り取ってもパルス幅の拡がりは抑えられ、ビットインターリーブによる時間多重が可能な光信号が得られる。

    このように、本実施例にかかるマッハツェンダ型光変調器12は、光分岐回路21により2つに分岐された入力光信号31の一方の光信号を、位相変調器(第1の位相変調器)22により電気信号(第1の電気信号)Saに基づいて位相変調した後、電気信号Saの逆論理信号Sbを、位相変調器22での過渡応答時間、または電気信号Saの立上り時間および立下り時間、より短い所定の遅延時間τだけ遅延させた電気信号(第2の電気信号)Scに基づいて、位相変調器(第2の位相変調器)23により、位相変調器22より小さくかつ逆極性で位相変調し、位相変調器23で得られた光信号と入力光信号の他方の光信号とを光合波回路24で合波することによりパルス状の出力光信号36を出力するようにしたものである。

    また、本実施例にかかる光送信器は、連続光信号を出力するレーザ光源11と、この連続光信号を入力光信号とする上記マッハツェンダ型光変調器12と、このマッハツェンダ型光変調器へ入力する電気信号Saから電気信号Scを出力する電気遅延回路13と、マッハツェンダ型光変調器12からの出力光信号の片側の側波帯成分を取り出す光フィルタ14とを備えるものである。

    したがって、光変調器自体の動作速度がそれほど高速でない現状のものを利用して、符号間干渉がなく、電気信号の立上りおよび立下り特性や位相変調器の過渡応答特性を補償した良好な波形の2連パルスを生成でき、同時に大きな周波数チャープを生成することができる。
    これにより、出力光信号の周波数チャープ量をパルス幅のフーリエ変換値よりも大きい値に設定することができるため、光フィルタを用いた簡単な構成によりフーリエ変換限界に近い高品質なRZ符号光電気信号を生成でき、符号間干渉のない高速大容量の光電気信号の伝送が可能になる。

    また、マッハツェンダ型光変調器12において、位相変調器22および位相変調器23での位相変調量の平均値は、出力光信号36において所望の光強度を得るための位相変調量に等しくなるようにしてもよい。 例えば、位相変調器22および位相変調器23での位相変調量の平均値をπに設定しておけば、いかなる値の位相補償量Δθを用いても常に光強度が最大となる出力光信号36を得ることができる。

    また、マッハツェンダ型光変調器12において、位相変調器22の位相変調量として、出力光信号36における所望の光変調度を得るための位相変調量2πと、位相変調器22での過渡応答時間、または電気信号Saの立上り時間および立下り時間、を補償する所定の位相補償量Δθとの和を用い、位相変調器23の位相変調量として、位相補償量−Δθを用いるようにしてもよい。 例えば、伝送光信号の品質を重視して光変調度100%が必要な場合は、V 0は光出力がゼロとなる駆動電圧、位相変調量φは2π、Δθは所定の位相補償量とすればよい。 また位相変調量の駆動電気回路の消費電力の低減を重視して光変調度を50%とする場合は、V 0は光出力が1/2となる駆動電圧、位相変調量φはπ、Δθは所定の位相補償量とすればよい。 このように、要求される仕様に応じた任意の光変調度を実現することができる。

    また、マッハツェンダ型光変調器12において、電気信号SaとしてRZ符号の電気信号を用い、光合波回路24により、出力光信号36として振幅が等しく周波数チャープの符号が反対の2連パルスを出力するようにしてもよい。 この2連パルスの周波数チャープ特性を利用すれば、所定の透過型光フィルタを用いて単一パルスに分離することにより、時間多重あるいは周波数多重が可能となる。

    また、マッハツェンダ型光変調器12において、位相変調器23を複数の位相変調部から構成し、これら位相変調部の時間遅延が、位相変調器22の過渡応答時間、または第1の電気信号の立上りおよび立下り時間、よりも短い時間の範囲内で互いに異なるように設定してもよい。 これにより、電気信号の立ち上がりおよび立ち下がり時間と位相変調器の応答特性を各々最適に補償することが可能となる。 また、電気信号の立ち上がりおよび立ち下がり時間に複数の帯域制限要因があった場合においても、各々最適に補償することが可能となる。

    また、光送信器10において、マッハツェンダ型光変調器12から出力される出力光信号36の周波数チャープ量として、光フィルタ14から出力される出力光信号37のパルス幅のフーリエ変換値よりも大きい値を用いてもよい。 これにより、光フィルタ14を用いて2連パルスから単一光パルスを分離しても、フーリエ変換に近い良好な波形の出力光信号27を得ることが可能となる。

    また、光送信器10において、光フィルタ14はバンドパス型透過特性を有し、その中心周波数として、レーザ光源11からの連続光信号の周波数から高周波数側または低周波数側へシフトした値を用いてもよい。 中心周波数が高周波数側または低周波数側へシフトしたバンドパス型透過特性を持つ光フィルタ14を用いることにより、周波数チャープした出力光信号36から単一光パルスからなる出力光信号37を得ることができる。

    また、光送信器10において、光フィルタ14の透過特性として、n次(nは正数)のガウス関数で近似される透過特性を用いてもよい。 ガウス関数のスペクトルのフーリエ変換がガウス関数の波形になることから、ガウス型透過特性を持つ光フィルタを用いれば、伝送特性に優れたガウス型の波形を持つ出力光信号37を得ることが可能となる。

    また、光送信器10において、光フィルタ14の透過スペクトル帯域幅として、RZ符号の光パルス幅のフーリエ変換値よりも大きい値を用いてもよい。 これにより、出力光信号37に必要なスペクトル成分が光フィルタ14により削られることなく、パルス幅の拡がりのない高品質な出力光信号37を得ることが可能となる。

    なお、本実施例では、電気信号のビットレートを25Gbits/sとしたが、これに限定されるものではない。 例えば10Gbits/sあるいは40Gbits/sなど、任意のビットレートについて適用可能であり、前述と同様の作用効果が得られる。 また、用いるビットレートや電気信号波形のそれぞれについて、位相補償量Δθ、遅延時間τ、光フィルタ14の透過特性を最適化することができる。 なお、マッハツェンダ型光変調器12のいずれかのアームに所定の位相シフタを備えることにより、電圧信号ScのDCバイアスは任意に設定することができ、位相変調器23は正の駆動電圧の範囲で動作させることが可能である。

    [第2の実施例]
    次に、図6および図7を参照して、本発明の第2の実施例にかかる光送信器について説明する。 図6は、従来の光送信器の動作を示す信号波形図である。 図7は、本発明の第2の実施例にかかる光送信器の動作を示す信号波形図である。

    第1の実施例では、電気信号Saおよび電気信号Scのビットレートを25Gbits/sとした場合を例に説明した。 本実施例では、25Gbits/sの半分以下の10GHzとした場合の例に説明する。 この10GHzという帯域は、セラミックスやシリコン半導体、シリコン基板上のセラミックスといった材料を用いた光変調器の現状の値である。 なお、本実施例は、位相補償量Δθや遅延時間τが異なるだけで、その構成は、第1の実施例の構成と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。

    [従来の位相変調動作]
    図6には、従来技術に相当する光送信器として、図1の位相変調器22のみを用いて2π位相変調した場合の各部の信号波形が示されており、“1011”パターンのRZ電気信号に対する電気信号Sa,Scの波形、位相変調器22の矩形電気パルスに対する光信号34の過渡応答波形、マッハツェンダ型光変調器12の出力光信号36の波形、マッハツェンダ型光変調器12の出力光信号36の周波数、および光フィルタ14の出力光信号37の波形が示されている。

    この場合、位相変調器22の応答特性は立上りおよび立下り時間は35psecであり、図6の位相変調器22の過渡応答特性が次の符号区間まで届いているため、25Gbits/sの電気信号に対して帯域が不足していることがわかる。
    このため、マッハツェンダ型光変調器12から出力される2連パルスは分離されず著しい符号間干渉効果を生じるとともに、マッハツェンダ型光変調器12の出力光信号の周波数チャープもパルス幅のフーリエ変換値の1/3から1/4以下の小さな値となる。
    したがって図6の光フィルタ14の出力光信号の波形からもわかるように、25Gbits/s信号は符号間干渉により伝送することはできない。

    [本実施形態の位相変調動作]
    本実施例は、上述のように、ビットレートに対して帯域が大幅に不足している位相変調器に対しても適用することが可能であり、その帯域特性を補償し良好な変調波形と周波数チャープ特性を得ることができる。
    図7には、本実施例にかかる光送信器において、位相補償量Δθを2π/3、遅延時間を14psecとした場合の各部の信号波形が示されており、“1011”パターンのRZ電気信号に対する電気信号Sa,Scの波形、位相変調器22および位相変調器23全体の駆動電気パルスに対する光信号35の過渡応答波形、マッハツェンダ型光変調器12の出力光信号36の波形、マッハツェンダ型光変調器12の出力光信号36の周波数、光フィルタ14の出力光信号37の波形が示されている。

    この図7から分かるように、位相変調器22と位相変調器23を用いて2段の作動駆動構成としたことにより、前述の図2と同じ原理に基づいて、出力波形と周波数チャープが改善されている。 図7の光フィルタ14からの出力光信号37の波形から、25Gbits/s、さらには時間多重により高速光電気信号が得られることがわかる。

    [第3の実施例]
    次に、図8を参照して、本発明の第3の実施例にかかる光変調器について説明する。 図8は、本発明の第3の実施例にかかる光変調器の構成を示すブロック図である。
    第1の実施例では、マッハツェンダ型光変調器12を光送信器10に適用した場合を例として説明した。 本実施例では、マッハツェンダ型光変調器12を光変調器6に適用した場合について説明する。

    この光変調器6は、マッハツェンダ型光変調器12と電気遅延回路13から構成されている。
    マッハツェンダ型光変調器12は、電気光学効果等を利用した光変調回路からなり、光パルスが時間多重された入力光信号38を、電気信号CLKaによりマッハツェンダ型光変調方式で光強度変調および光位相変調し、電気信号CLKaと同期する時間位置の光パルスを含む出力光信号39を分離出力する機能を有している。

    第1の実施例と比較して、本実施例では、マッハツェンダ型光変調器12に、第1の実施例でのレーザ光源11からの入力光信号31に代えて、光パルスが時間多重された入力光信号38が入力されるとともに、マッハツェンダ型光変調器12からの出力光信号37の片側の側波帯を取り出す光フィルタ14が省かれている。
    また、電気信号Saとして、第1の実施例でのRZ符号のデータ信号に代えて、時間分離したい所望の時間位置に同期したクロック信号からなる電気信号が用いられる。

    マッハツェンダ型光変調器12は、第1の実施例と同様に、光分岐回路21、位相変調器(第1の位相変調器)22、位相変調器(第2の位相変調器)23、および光合波回路24から構成されている。
    また、これら位相変調器22で用いられる位相変調量φ+Δθや、位相変調器23で用いられる位相変調量−Δθ、さらには電気遅延回路13での遅延時間τなど、このほかの構成については、第1の実施例と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。

    [第3の実施例の動作]
    第1の実施例では、連続レーザ光からなる入力光信号31をデータ信号からなる電気信号Saの立ち上がりおよび立ち下がりタイミングで位相変調することにより、電気信号Saに応じた光パルスを得ていた。 このような位相変調動作は、電気信号Saの立ち上がりおよび立ち下がりタイミングで連続レーザ光からなる入力光信号31を時間分離し、光パルスを生成する動作と捉えることができる。

    本実施例は、このような構成において、入力光信号31に代えて光パルスが時間多重された入力光信号38を用い、電気信号Saに代えてクロック信号からなる電気信号CLKaを用いている。 これにより、マッハツェンダ型光変調器12により、電気信号CLKaの立ち上がりおよび立ち下がりタイミングで入力光信号38の光パルスが時間分離され、出力光信号39として出力される。

    このように、本実施例は、複数の時間チャンネルが多重化された入力光信号38を光分岐回路21により2つに分岐し、その一方の光信号を、位相変調器(第1の位相変調器)22により、電気信号CLKaに基づいて位相変調した後、電気信号CLKaの逆論理信号CLKbを、位相変調器22での過渡応答時間、または電気信号CLKaの立ち上がり時間および立ち下がり時間、より短い所定の遅延時間τだけ遅延させた電気信号CLKcに基づいて、位相変調器(第2の位相変調器)23により、位相変調器22より小さくかつ逆極性で位相変調し、位相変調器23で得られた光信号と入力光信号の他方の光信号とを光合波回路24で合波することにより、入力光信号38から電気信号CLKaに同期する時間チャンネルの光パルスを� �離した出力光信号39を出力するものである。

    これにより、光変調器自体の動作速度がそれほど高速でない現状のものを利用して、符号間干渉がなく、電気信号の立上りおよび立下り特性や位相変調器の過渡応答特性を補償した良好な波形で、所望の時間位置から光パルスを時間分離することができる。 したがって、高いレートでビットインターリーブされた高速大容量の光電気信号から、任意の時間チャンネルの光パルスを時間分離することができる。

    [第4の実施例]
    次に、図9を参照して、本発明の第4の実施例にかかる光送信装置について説明する。 図9は、本発明の第4の実施例にかかる光送信装置の構成を示すブロック図である。
    本実施例では、第1または第2の実施例で説明したマッハツェンダ型光変調器12と光フィルタ14の出力光信号を用いて、複数の電気信号を時間多重および周波数多重する光送信装置について説明する。 ここでは、8チャンネルの異なる電気信号を多重するとともに、電気信号のビットレートを25Gbits/s、位相変調器22および位相変調器23の帯域を25GHzとした場合を例として説明する。

    図9の光送信装置4Aにおいて、レーザ光源11からの入力光信号は光分岐回路41により8つに分岐され、マッハツェンダ型光変調器12A〜12Hへそれぞれ入力される。 マッハツェンダ型光変調器12A〜12Hは、送信チャンネル1〜8に対応し、各々の送信チャンネルに対応する電気信号S1〜S8により入力光信号を符号化する。 マッハツェンダ型光変調器12A〜12Hの構成は第1の実施例で説明したマッハツェンダ型光変調器12の構成と同一である。

    送信チャンネル1〜4では、マッハツェンダ型光変調器から出力される2連光パルスのうち高周波側にチャープした側波帯成分を利用する。 これら送信チャンネル1〜4では、マッハツェンダ型光変調器12A〜12Dからの光信号が、光遅延回路5A〜5Dと光合波回路42Aによりビットインターリーブの手法により時間多重され、光フィルタ14Aにより高周波側にチャープした側波帯成分が取り出される。 この光フィルタ14Aの構成も第1の実施例に示された光フィルタ14との構成と同一である。

    送信チャンネル5〜8では、マッハツェンダ型光変調器から出力される2連光パルスのうち低周波側にチャープした側波帯成分を利用する。 これら送信チャンネル5〜8では、マッハツェンダ型光変調器12E〜12Hからの光信号が、光遅延回路5E〜5Hと光合波回路42Bによりビットインターリーブの手法により時間多重され、光フィルタ14Bにより低周波側にチャープした側波帯成分が取り出される。 この光フィルタ14Bの構成も第1の実施例に示された光フィルタ14との構成と同一である。 なお、光フィルタ14Bの中心周波数はレーザ光源11の周波数より低周波数側へ100GHzシフトさせてある。
    この後、光フィルタ14A,14Bから出力された各送信チャンネル1〜8の光信号は、光合波回路43により周波数多重され、光ファイバ40により受信側へ伝送される。

    このように、本実施例は、光分岐回路41により、レーザ光源11からの入力光信号を時間チャンネルごとに分岐し、分岐された光信号に対して第1の実施例にかかるマッハツェンダ型光変調器12A〜12Hを用いて、それぞれの時間チャンネルに応じた電気信号S1〜S8に基づき位相変調した後、光遅延回路5A〜5Hにより、それぞれの時間チャンネルに応じた時間だけ遅延させ、光合波回路42A,42Bで周波数チャンネルごとに合波して、光フィルタ14A,14Bで出力光信号の高周波側および低周波側側波帯成分をそれぞれ取り出し、光合波回路43で合波するものである。

    これにより、位相変調器の帯域が25GHzであっても4チャンネルの時間多重と2チャンネルの周波数多重の組合わせにより1波長の1光源で200Gbits/sの高速大容量伝送が実現できる。 また、多重化による符号間干渉およびビート雑音発生に起因する受信レベルのペナルティも1〜2dB程度に抑制できる。

    また、本実施例では、図9に示したように、光合波回路42A,42Bにより、周波数チャンネルごとに時間チャンネルの光信号を合波した後、光フィルタ14A,14Bで片側側波帯成分を取り出す場合を例として説明したが、これに限定されるものではない。
    図10は、本発明の第4の実施例にかかる他の光送信装置の構成を示すブロック図である。 この光送信装置4Bでは、各時間チャンネルの光遅延回路5A〜5Hの後ろに、光フィルタ15A〜15Hを時間チャンネルごとに設け、これら光フィルタ15A〜15Hからの光信号を、光合波回路44A,44Bにより、周波数チャンネルごとに時間チャンネルの光信号を合波している。

    このような光合波回路44A,44Bで合波する前に光フィルタ15A〜15Hにより測波帯成分を取り出す構成により、レーザ光源11の周波数付近のスペクトル成分の干渉効果を低減し、光変調器12A〜12Hで与える周波数チャープ量を小さくすることが可能となる。

    [第5の実施例]
    次に、図11を参照して、本発明の第5の実施例にかかる光受信装置について説明する。 図11は、本発明の第5の実施例にかかる光受信装置の構成を示すブロック図である。
    本実施例では、第1または第2の実施例で説明したマッハツェンダ型光変調器12を用いて、複数の電気信号が時間多重および周波数多重された受信光信号から元の電気信号を出力する光受信装置について説明する。 ここでは、8チャンネルの異なる電気信号を多重するとともに、電気信号のビットレートを25Gbits/s、位相変調器22および位相変調器23の帯域を25GHzとした場合を例として説明する。

    図11の光受信装置4Cにおいて、光ファイバ40からの受信光信号は、光分岐回路46と光フィルタ14C,14Dにより周波数分離された後、光分岐回路47A,47Bで各受信チャンネルの光信号に分岐される。 各受信チャンネル1〜8では、光分岐回路47A,47Bで分岐された光信号が、光変調器6A〜6H、および時間分離スイッチ7A〜7Hを用いて時間分離され、受信チャンネル1〜8の電気信号S1〜S8が再生される。

    ここで、光変調器6A〜6Hは、4ビットの時間多重信号から2ビットの時間多重信号を切り出す時間分離スイッチであり、高速のスイッチ特性が必要とされる。 本実施例では、この光変調器6A〜6Hとして、前述の図8に示した、第3の実施例にかかる光変調器6を用いる。 この場合、各光変調器6A〜6Hに入力する電気信号CLKaとして、それぞれの時間チャンネルの時間位置に応じた電気パルスからなるクロック信号CLK1〜CLK8が用いられる。
    時間分離スイッチ7A〜7Hには、入力された光信号を電気信号CLK1〜CLK8に基づきスイッチングする機能を持つ一般的な時間分離スイッチを用いればよい。

    このように、本実施例は、光分岐回路41により入力光信号を2つに分岐した後、これら光フィルタ14C,14Dで高周波側および低周波側側波帯成分をそれぞれ取り出して周波数チャンネルごとの光信号を生成し、これを光分岐回路47A,47Bで時間チャンネルごとに分岐し、分岐された光信号に対して第1の実施例にかかるマッハツェンダ型光変調器6A〜6Hを用いて、それぞれの時間チャンネルに同期した電気信号CLK1〜CLK8により当該時間チャンネルを含む2連光パルスを時間分離し、さらに時間分離スイッチ7A〜7Hにより当該時間チャンネルの光パルスのみからなる光信号をそれぞれ取り出すものである。

    これにより、位相変調器の帯域が25GHzであっても4チャンネルの時間多重と2チャンネルの周波数多重の組合わせにより1波長の1光源で200Gbits/sの高速大容量伝送が実現できる。 また、多重化による符号間干渉およびビート雑音発生に起因する受信レベルのペナルティも1〜2dB程度に抑制できる。

    また、本実施例において、光フィルタ14C,14Dからの周波数チャンネルごとの光信号を光分岐回路47A,47Bで時間チャンネルごとの光信号に分岐する場合を例として説明したが、受信光信号で用いる多重方式や光パルスの時間分離方式によっては光分岐回路47A,47Bを省くこともできる。 この場合、例えば、光フィルタ14C,14Dからの光信号から、マッハツェンダ型光変調器6A〜6H、さらには時間分離スイッチ7A〜7Hにより、通信チャンネルごとの光パルスを時間分離すればよい。
    また、本実施例において、時間分離スイッチ7A〜7Hとして、マッハツェンダ型や方向性結合器型の光路切替型光変調器(光スイッチ)を用いてもよい。 1つの光変調器で2つの時間チャンネルの光パルスを分離することにより、時間分離スイッチ7A〜7Hの数は、受信チャンネル数の半分に削減することができ、光受信装置のコストダウンに貢献できる。

    また、本実施例では、図11に示したように、時間チャンネルごとに設けた光変調器6A〜6Hと時間分離スイッチ7A〜7Hで各時間チャンネルの光パルスを時間分離する場合を例として説明したが、これに限定されるものではない。
    図12は、本発明の第5の実施例にかかる他の光受信装置の構成を示すブロック図である。 この光受信装置4Dのように、各周波数チャンネルの光分岐回路47A,47Bの後ろに、2つの時間チャンネルごとに1つずつ、マッハツェンダ型や方向性結合器型の光路切替型光変調器(光スイッチ)8A〜8Dを設け、これら時間スイッチに同期するクロック信号からなる電気信号CLK1〜CLK8に基づき、これら光変調器8A〜8Dで、各時間チャンネルの光パルスを時間分離するようにしてもよい。 これにより、光変調器6A〜6Hおよび時間分離スイッチ7A〜7Hが、受信チャンネル数の半分の数の光変調器8A〜8Dに削減することができ、光受信装置のコストダウンやサイズダウンに貢献できる。

    また、本実施例では、光変調器6A〜6Hとして、第2の実施例で示したような、ビットレートの半分以下の帯域しかない位相変調器を用いることも可能である。 位相変調器の帯域が10GHzの場合は、前述した図7からわかるように、時間多重は2チャンネルが限界であるが、2チャンネルの周波数多重の組合わせにより1波長で100Gbits/sの伝送、すなわち位相変調器の帯域の10倍の高速大容量光伝送を実現することができる。

    光変調器8A〜8Dとして差動駆動型マッハツェンダ型光変調器を用い、その位相変調量として、所望の光強度に応じた位相変調量より大きい位相変調量を用いてもよい。 通常、動作速度がそれほど高速でない光変調器を高いビットレートで駆動した場合、その位相変調器の過渡応答特性が次の符号区間まで届くような現象が発生する。 しかしながら、光受信装置で時間分離スイッチとして用いる場合は固定パターンであるクロック信号で駆動するためパターン効果は現れない。 したがって、このような位相変調器で、所望の光強度に応じた位相変調量より大きい位相変調量を用いた場合、前述した本発明の位相変調方式の原理(図2参照)と同様にして、位相変調器での位相変調波形がより急峻に変化するため、動作速度がそれほど高速でない光変調器でも、高速大容量の光伝送を行う光受信装置の時間分離スイッチに用いることができ、光送信装置のコストダウンに貢献できる。

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